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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159119
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】圧力調整弁
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/20 20060101AFI20231024BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A61M16/20 J
A61M16/00 343
A61M16/06 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124391
(22)【出願日】2023-07-31
(62)【分割の表示】P 2022119304の分割
【原出願日】2017-08-16
(31)【優先権主張番号】62/375,831
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/399,643
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/485,846
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ トーマス ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】マッシー シェーン テリー
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ テイラー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】カット アルジェン ディヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン ジェイムズ アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン グラント リー
(72)【発明者】
【氏名】コラッツァ カーステン マ オン ウォン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】制限、閉塞、又は過度の流れ抵抗によって生成される呼吸ガス供給システム内の圧力を除去する/調整するデバイスを提供する
【解決手段】圧力調整又は圧力開放デバイス100は、入口101と、出口103を有する出口チャンバ102とを含む。入口101は出口チャンバ102と流体連通する。弁座104は、入口101と出口103との間に位置する。弁部材105は、付勢されて弁座104を密閉し、圧力閾値を超えて増加する入口101の入口圧によって弁座104から変位し、ガス流を入口101から出口チャンバ102を通って出口103に通す。出口103を通るガス流は、入口圧とともに、出口チャンバ102の出口圧を弁部材105に作用させ、弁部材105を弁座104から変位する。
【選択図】図12A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力調整又は圧力開放デバイスであって、
入口と、
出口を有する出口チャンバであって、前記入口は前記出口チャンバと流体連通する、出口チャンバと、
前記入口と前記出口との間の弁座と、
付勢されて前記弁座を密閉する弁部材と、
を含み、
前記弁部材は、圧力閾値を超えて増加する前記入口の入口圧によって前記弁座から変位し、ガス流を前記入口から前記出口チャンバを通って前記出口に通すように適合されており、前記出口を通る前記ガス流は、前記入口圧とともに、前記出口チャンバの出口圧を前記弁部材に作用させ、前記弁部材を前記弁座から変位する、
デバイス。
【請求項2】
前記弁部材は、前記弁座に対して付勢される膜を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記弁部材は、前記膜を張力がかけられた状態に支持するフレームを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記膜の張力によって前記膜を付勢し、前記弁座を密閉させるように、前記膜は前記弁座上で伸張される又は張力をかけられる、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記膜は弾性又はエラストマー材料である、請求項2~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記弁部材の面積は前記弁座の面積よりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記入口圧は、弁座面積にわたって前記弁部材に作用し、前記弁部材が前記弁座から変位されると、前記出口圧は、前記弁座面積の外側の面積にわたって前記弁部材に作用する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記入口圧は、弁座面積の外側の面積にわたって前記弁部材に作用し、前記弁部材が前記弁座から変位されると、前記出口圧は、弁座面積にわたって前記弁部材に作用する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記入口は、前記出口チャンバに延びる入口管を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記弁座は、前記出口チャンバ内の前記入口管の出口端に設けられている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記出口は、前記出口チャンバの壁内に少なくとも1つのアパーチャ及び/又は前記弁部材内に少なくとも1つのアパーチャを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
当該デバイスは、前記出口チャンバを囲む入口管を含み、前記弁座は前記出口チャンバへの入口に設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記弁部材は、前記出口チャンバの壁によって支持される若しくは前記出口チャンバの壁に対して密閉する、又は前記弁入口は入口管を含み、前記弁部材は、前記入口管の壁によって支持される若しくは前記入口管の壁とシールを形成する、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
変位チャンバを含み、前記弁部材が前記弁座から変位されると前記弁部材は前記変位チャンバ内に変位する、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記弁部材が前記変位チャンバ内に変位されると前記変位チャンバ内の圧力が実質的に周囲圧力(大気圧)に留まるように、前記変位チャンバは周囲圧力(大気圧)に開放されている、又は
前記変位チャンバは周囲環境から密閉されている又は密閉可能である、
請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記出口チャンバは前記弁座を囲んでいる、請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記出口の面積は可変である、請求項1~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記弁座と前記弁部材の相対位置は、前記弁座に対する前記部材の付勢を調節するために調節可能である、請求項1~17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記弁部材はプランジャ又はピストンであり、当該デバイスは、前記弁部材を付勢して前記弁座に対し密閉させるための付勢部材を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記出口は、前記弁部材の周縁部と前記出口チャンバの壁との間に間隙を含む、及び/又は前記出口は、前記弁部材内に1つ以上のアパーチャを含む、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
ガス流を供給するシステムのための流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスであって、
ガス源からガス流を受け入れるための主要入口と、前記主要入口によって受け入れられた前記ガス流の少なくとも一部分を、当該デバイスから流れるように供給するための主要出口と、
前記ガス流の圧力が圧力閾値を超えて増加すると、前記入口によって受け入れられた前記ガス流の少なくとも一部分を排出するように適合されている圧力開放弁と、
前記主要出口から患者への前記ガス流の流量に基づき前記圧力閾値を動的に調節するためのセンシング機構と、
を含む、デバイス。
【請求項22】
前記圧力開放弁は、
前記主要入口と流体連通する弁入口と、
排出出口と、
前記弁入口と前記排出出口との間の弁座と、
付勢されて前記弁座を密閉し、圧力閾値を超えて増加する前記弁入口の入口圧によって前記弁座から変位し、前記ガス流の少なくとも一部分を前記弁入口から前記排出出口に排出する弁部材と、
を含み、
前記センシング機構は、
前記主要出口を通る前記ガス流の流量を示す差圧を検知するためのセンシング部材と、
前記主要出口を通る前記ガス流の前記流量に応じて、前記センシング部材と前記弁部材との間に作用し、前記センシング部材によって加えられる力を前記弁部材に伝達し、前記弁座に対する前記弁部材の付勢を調節する機械的リンクと、
を含む、
請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記センシング機構は、前記センシング部材によって検知された前記差圧を発生させ、前記主要出口を通る前記ガスの前記流量に応じて前記センシング部材を変位するための流量制限部又は抑制部を含む、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記センシング機構は、
前記弁入口の下流の流量抑制部又は制限部と、
センシングチャンバであって、前記センシングチャンバ内に位置する前記センシング部材は前記センシングチャンバを第1のチャンバと第2のチャンバとに分割しており、前記第1のチャンバは前記流量抑制部又は制限部の上流の前記ガス流と流体連通し、前記第2のチャンバは前記流量抑制部の、又は前記流量制限部の下流の前記ガス流と流体連通し、前記流量抑制部又は制限部及び前記主要出口を通る前記ガス流により生じる差圧は前記センシング部材によって検知される、センシングチャンバと、
を含む、請求項22に記載のデバイス。
【請求項25】
前記機械的リンクは前記弁部材及び前記センシング部材に結合されており、前記主要出口を通る前記フローガスの流量に応じて前記弁部材を前記弁座に対し付勢する、
請求項22~24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記機械的リンクは前記弁部材若しくは前記センシング部材又は前記弁部材及び前記センシング部材から分離されており、
前記弁部材は、前記主要出口を通るガス流がないことにより前記弁座に対して付勢され、前記機械的リンクにより前記弁部材及び前記センシング部材を支持し、
前記主要出口を通る前記ガス流が増加するにつれて、前記センシング部材内の前記差圧は増加し、前記主要出口を通る前記ガス流の前記流量が閾値を超えて増加すると、前記機械的リンクによって前記弁部材に加えられる力が減少し、前記機械的リンクが前記弁部材又は前記センシング部材又は前記弁部材及び前記センシング部材の両方との接触を失うまで前記弁座に対する前記弁部材の付勢を低減する、
請求項22~24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記圧力開放弁は、
前記排出出口を含む出口チャンバを含み、
前記弁部材は、前記圧力閾値を超えて増加する前記弁入口の前記入口圧によって前記弁座から変位し、前記主要入口によって受け入れられた前記ガス流の少なくとも一部分を前記弁入口から前記出口チャンバを通って前記排出出口に排出するように適合されており、前記排出出口を通る前記ガス流は、前記入口圧とともに、前記出口チャンバの出口圧を前記弁部材に作用させ、前記弁部材を前記弁座から変位する、
請求項22~26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記弁部材は膜を含む及び/又は前記センシング部材は膜を含む、請求項22~27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記弁部材及び/又は前記センシング部材は、前記膜を張力がかけられた状態に支持するフレームを含む、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記弁部材の外周部は、前記出口チャンバを周囲又は変位チャンバから密閉するためのシールを提供する、及び/又は前記センシング部材の外周部は、前記第1のセンシングチャンバを前記第2のセンシングチャンバから密閉するためのシールを提供する、請求項28又は29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記センシング部材はセンシングチャンバ内に配置されており、前記流量制限部は、前記センシング部材と前記センシングチャンバの側壁との間の間隙によって設けられている及び/又は前記流量制限部は、前記センシング部材内の1つ以上のアパーチャによって設けられており、前記主要入口から前記主要出口への前記ガス流の流路は前記センシングチャンバを通る、請求項22~30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記センシング部材はピストンであり、前記センシングチャンバは前記ピストンが中で動くシリンダであり、前記ピストンは前記第1のチャンバを前記第2のチャンバから空気的に密閉する、請求項22~27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記機械的リンクはロッド又はシャフトであり、当該デバイスは、前記弁部材と前記センシング部材との間の前記機械的リンクを支持するリンクガイドを含み、前記主要入口は前記リンクと前記リンクガイドとの間の環状空間を介して前記センシングチャンバと流体連通する、請求項22~32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記機械的リンクは、一端に、前記弁部材を前記弁座に対して支持するためのフランジを含む、請求項22~33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記フランジは、前記弁座の直径よりも大きな直径を有するので、前記弁部材が前記弁座に着座すると、前記弁部材は前記フランジと前記弁座との間で前記弁座に対して支持される、請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記機械的リンクは長さ調節可能である、請求項22~35のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
前記流量抑制部又は制限部は調節可能である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項38】
前記センシング部材の移動量又は変形量を制限して、流量から独立した前記圧力閾値の圧力上限を設定するように構成されている、請求項22~37のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
前記センシング部材の移動量又は変形量を制限するための機械的限界を含む、請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記圧力開放弁及び前記センシング機構を収容するためのハウジングを更に含む、請求項22~39のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項41】
本体を含み、前記本体は、前記主要入口及び前記主要出口と、少なくとも、前記デバイスの出口チャンバと、前記センシングチャンバの前記第1のチャンバと、を含み、前記ハウジングは前記本体を実質的に収容している、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記ハウジングは前記本体の周囲に空間又は空洞を与え、当該デバイスの変位チャンバ及び/又は前記出口チャンバは前記空洞又は空間と流体連通する、請求項41に記載のデバイス。
【請求項43】
前記ハウジングは、前記ハウジング空間からのハウジング出口を含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記ハウジングは、前記出口チャンバからの排出出口と連通するハウジング排出出口を含み、前記ハウジング排出出口は前記主要入口又は前記主要出口と同軸である、請求項42に記載のデバイス。
【請求項45】
前記ハウジングは前記変位チャンバと流体連通する出口を含み、前記アパーチャは前記主要入口又は前記主要出口と同軸である、請求項42に記載のデバイス。
【請求項46】
前記センシング機構は、
当該デバイスの前記主要出口を通って流れるガスの前記流量(例えば差圧)、及び前記主要入口と主要出口との間の前記ガス流の圧力を検出するための1つ以上の電子センサと、
アクチュエータと、
前記センサから信号を受信し、前記アクチュエータを駆動し、前記圧力開放弁の前記圧力閾値を前記検出された流量に基づき調節するための出力を提供するコントローラ又はプロセッサと、
を含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項47】
前記アクチュエータは前記圧力開放弁の弁部材に取り付けられた部材を駆動し、前記圧力開放弁の弁座に対する前記弁部材の付勢量を調節する、請求項40に記載のデバイス。
【請求項48】
前記弁部材はプランジャ又はダイヤフラムである、請求項41に記載のデバイス。
【請求項49】
請求項1~48のいずれか一項に記載の圧力調整若しくは圧力開放デバイス又は流量補償圧力調整若しくは圧力開放デバイスを含む呼吸ガスシステム。
【請求項50】
当該システムは、前記流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスと、圧力ガス源と、密閉患者インターフェースとを含むバイレベル圧力システムであり、前記流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスは、
吸気圧が前記圧力源の圧力設定によって決定されるように、吸気中、前記主要入口によって受け入れられた前記ガス流の実質的に全てが前記主要出口に流れ、
呼気圧が前記デバイスの排出圧によって決定されるように、呼気中、前記主要入口によって受け入れられた前記ガス流の一部分が前記排出出口から排出されるように構成されている、請求項49に記載の呼吸システム。
【請求項51】
フロー源と、鼻カニューレなどの非密閉患者インターフェースとを含む高流量呼吸ガスシステムである、請求項49に記載の呼吸ガスシステム。
【請求項52】
請求項21~48のいずれか一項に記載の流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスを含む吹送システムであって、前記流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスは、前記圧力開放弁が、前記主要入口によって受け入れられた前記ガス流の一部分を前記排出出口から連続的に排出するように構成されており、当該システムは、使用中、前記患者から連続的に排出する、
吹送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、圧力開放又は圧力調整デバイスに関し、より具体的には、呼吸ガス流をユーザに提供するための呼吸ガスシステム、例えば、高流量呼吸ガスシステムにおいて使用する圧力開放又は調整デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸ガス供給システムは、患者に送達するためのガスを提供する。呼吸ガス供給システムは、典型的には、ガス供給部と患者との間に流体接続部を含む。これには、吸気管及び患者インターフェースを含んでもよい。このようなシステムは、開放式、すなわち鼻カニューレなどの非密閉患者インターフェースを含んでいても、又は閉鎖式、すなわちユーザの顔面に対して密閉するフェイスマスクなどの密閉式患者インターフェースを含んでいてもよい。このようなシステムは、加圧ガス供給部(ガスタンク、又は病院の壁の供給部など)、ブロワ、又はこれらの組み合わせからガスを受け取ってもよい。
【0003】
開放式呼吸ガス供給システムは、例えば、経鼻高流量療法で用いられるものを含み得る。閉鎖式呼吸ガス供給システムは、例えば、持続的気道陽圧法(CPAP:continuous positive airway pressure)又は換気で用いられるものを含み得る。
【0004】
呼吸ガス供給システムは、偶発的な又は不注意による流量制限又は閉塞の影響を受けやすい場合がある。例えば、吸気管の偶発的な引っかかり、折れ曲がり又はつぶれによって、急な及び/又は大きな流量制限又は閉塞が生じる可能性がある。結果的に、制限部又は閉塞部の上流において大きな背圧が生成される可能性がある。
【0005】
更に、急な及び/又は大きな背圧は、患者が過度の流れ抵抗を呈する場合に生じる可能性があることを認識すべきである。例えば、患者の鼻及び/又は気道の形状、大きさ、又は解剖学的構造によって、大きな背圧を生成する制限部が設けられる場合がある。更に、代替的に及び/又は同時に、大きな背圧は、入来するガス流中に患者が呼出することで生成される場合がある。
【0006】
呼吸ガス供給システム内の過剰な背圧は管、流体接続部、又は他の構成要素の破損の原因となるおそれがある。特に、管、流体接続部、又は他の構成要素が破裂又は破損するおそれがある。
【0007】
したがって、構成要素の破損を回避又は防止するために、制限、閉塞、又は過度の流れ抵抗によって生成される呼吸ガス供給システム内の圧力を除去する/調整する必要がある。
【0008】
呼吸ガス供給システムは、不適切な圧力制限手段が設けられた場合、又は圧力制限手段が設けられない場合、患者の組織にひずみを生じさせるおそれがある。これにより結果的に患者が気圧外傷又は胃膨満のリスクに曝されるおそれがある。
【0009】
したがって、患者安全性のために圧力上限を設ける必要もある。
【0010】
呼吸システムに圧力上限を設けるために圧力開放弁を使用してもよい。圧力開放弁は、システム圧力が圧力開放弁によって設けられた圧力開放閾値を超える場合にガス圧の排出を可能にしてもよい。圧力開放閾値を超えて流量が増加するにつれて、システム内の圧力は流れにほぼ比例して累進的に増加する。その結果、患者及びシステムの構成要素は、流量が増加するにつれて次第に高くなる圧力に曝される可能性がある。
【0011】
圧力開放弁の例は、プランジャ及びばね型の弁である。プランジャは、弁内の圧力が、ばねが復帰方向に与える力を超える力をプランジャに与える場合に変位される。ガスは、その後、弁内の圧力が、ばねによって与えられる復帰力を超え続ける力を生成するには不十分になるまでプランジャと弁座との間の間隙を通過することができ、この時点で、プランジャは弁座に再係合し、間隙を閉じる。この種の弁は上述の機能が繰り返し起こる際に(圧力が蓄積し、その後、連続で開放される際に)自然に振動する場合がある。これは弁の「がたつき」又は弁の「粗動」と呼ばれ得る。いくつかの場合では、このような振動は不規則な場合がある。弁の振動は不要な騒音、圧力若しくは流れの変動、又は摩耗を発生させる可能性がある。
【0012】
プランジャ及びばね型の弁は、通常、プランジャが移動するハウジング内部にあるプランジャを密閉する何らかの手段及び/又はプランジャを弁座に対して密閉する何らかの手段も必要とする。このような手段は、Oリングなどの追加構成要素を含み得る。強固な流体密封の形成は、通常、重要である。追加構成要素は、弁の構造に複雑さを付加し、次いで、弁の破損及び/又は摩耗しやすさが増加する。
【0013】
呼吸システムは、システム内の呼吸ガスの流れに対し抵抗を示す。加湿器、導管、カップリング、フィルタ、患者インターフェース、及び任意の他のシステム構成要素などの、システムの個々の構成要素によって生じる流れ抵抗はシステムの全体を通して蓄積し、システム内の総圧損をもたらす。流れ抵抗は、例えば、流路内の流れの向きの変化、制限、収束、発散、及び/又は透過性バリア(フィルタなど)に起因しうる。
【0014】
システム内のガスの流量を増加させるために、フロー源により供給される圧力を増加させ、増加した流量により生じたシステム内の増加した圧損を相殺する。流れが増加するにつれて、流量(駆動圧力)を達成するのに必要なシステム圧力は、圧力開放弁の設定開放圧、例えば、所定の安全圧力限界に達し得る。したがって、圧力開放弁の設定開放圧は、患者に送達され得る最大流量を定義又は決定する。従来技術の圧力開放弁では、患者に送達され得る最大流量は圧力開放弁の設定開放圧によって限定される。このことはシステムの構成要素の設計を制約する可能性がある。
【0015】
圧損を最小にし、患者に送達可能な流れを圧力開放弁の設定開放圧内において最大にするために、システムを、流れ抵抗が最小になるように設計することが通常は望ましい。例えば、流れ抵抗を最小にするために特定の管直径及び長さを選択してもよい。しかしながら、システム圧損は使用中に変化する場合がある。例えば、管は、使用時、湾曲する、曲がる、折れ曲がる、若しくはつぶれる場合がある、又は異なる患者は異なる気道制限特性を呈する可能性がある。
【0016】
本明細書では特許明細書、他の外部文書、又はその他情報源を参照するが、これは全般的に、本発明の特徴を説明するための状況を提供するためである。別段の指示のない限り、このような外部文書の参照は、このような文書又はこのような情報源がいかなる法域においても従来技術である、又は当該技術分野における共通一般知識の一部を成すことの承認であると解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本明細書中に開示される特定の実施形態の目的は、前述の課題に対処するのに少なくともいくらか役立つ又は業界に有用な選択肢を少なくとも与える圧力開放又は圧力調整デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、圧力調整又は圧力開放デバイスは、
入口と、
出口を有する出口チャンバであって、入口は出口チャンバと流体連通する、出口チャンバと、
入口と出口との間の弁座と、
付勢されて弁座を密閉する弁部材と、
を含み、
弁部材は、圧力閾値を超えて増加する入口の入口圧によって弁座から変位し、ガス流を入口から出口チャンバを通って出口に通すように適合されており、入口圧とともに、出口を通るガス流は出口チャンバの出口圧(背圧)を弁部材に作用させ、弁部材を弁座から(更に)変位する。
【0019】
いくつかの実施形態では、弁部材は、弁座に対して付勢される膜を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、弁部材は、膜を張力がかけられた状態に支持するフレームを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、フレームは、(膜の張力を大きく変えることなく)デバイスの本体に弁部材をクリップ留めするための1つ以上のクリッピング特徴部を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、弁部材の外周部は、出口チャンバを周囲又は変位チャンバから密閉するためのシールを提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、膜の張力によって膜を付勢し、弁座を密閉させるように、膜は弁座上で伸張される又は張力をかけられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、膜の周縁部は出口チャンバの壁によって支持される。
【0025】
いくつかの実施形態では、デバイスは、膜を弁座に対して付勢するためのばねを含み、ばねは圧縮して膜の非加圧側に作用する、又はばねは伸張して膜の加圧側に作用する。
【0026】
いくつかの実施形態では、膜は弾性又はエラストマー材料、例えば、シリコーン材料であり、熱可塑性材料又は熱硬化性材料のいずれかであってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、膜は、1mm未満、例えば、0.3mmの厚さを有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、弁座は膜に対して中央に設けられている。
【0029】
いくつかの実施形態では、膜は、弁座に接するための増厚部を含み、例えば、膜は、弁座に対して作用するための増厚中央部を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、弁部材の面積は弁座の面積よりも大きい。
【0031】
いくつかの実施形態では、入口圧は、弁座面積にわたって弁部材に作用し、弁部材が弁座から変位されると、出口圧は、弁座面積の外側の面積にわたって弁部材に作用する。
【0032】
いくつかの実施形態では、入口圧は、弁座面積の外側の面積にわたって弁部材に作用し、弁部材が弁座から変位されると、出口圧は、弁座面積にわたって弁部材に作用する。
【0033】
いくつかの実施形態では、弁部材の面積と弁座の面積の比率は、1.2~1600の範囲内である。
【0034】
いくつかの実施形態では、入口は入口管を含み、弁部材は入口管の長手方向の軸線にほぼ垂直である。
【0035】
いくつかの実施形態では、入口は、出口チャンバに延びる入口管を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、弁座は、出口チャンバ内の入口管の出口端に設けられている。
【0037】
いくつかの実施形態では、出口は、出口チャンバの壁内に少なくとも1つのアパーチャ及び/又は弁部材内に少なくとも1つのアパーチャを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアパーチャは出口チャンバの壁内にあり、且つ入口管の近傍にある。
【0039】
いくつかの実施形態では、入口管の出口端は弁座を形成している。
【0040】
いくつかの実施形態では、入口管の出口端は傾斜しており、入口管の出口端の傾斜縁部は弁座を形成している。
【0041】
いくつかの実施形態では、出口は、弁部材の外周部と弁座並びに/又は入口及び/若しくは入口管の外周部との間に径方向に配置されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、デバイスは、出口チャンバを囲む入口管を含み、弁座は出口チャンバへの入口に設けられている。
【0043】
いくつかの実施形態では、弁部材は、出口チャンバの壁によって支持される若しくは出口チャンバの壁に対して密閉する、又は弁入口は入口管を含み、弁部材は、入口管の壁によって支持される又は入口管の壁とシールを形成する。
【0044】
いくつかの実施形態では、デバイスは変位チャンバを含み、弁部材が弁座から変位されると弁部材は変位チャンバ内に変位する。
【0045】
いくつかの実施形態では、弁部材が変位チャンバ内に変位されると変位チャンバ内の圧力が実質的に周囲圧力(大気圧)に留まるように、変位チャンバは周囲圧力(大気圧)に開放されている、又は
変位チャンバは周囲環境から密閉されている又は密閉可能である。
【0046】
いくつかの実施形態では、変位チャンバは周囲環境から密閉されている又は密閉可能である。
【0047】
いくつかの実施形態では、デバイスは、変位チャンバ内の圧力を変えるための加圧デバイス、例えば、変位チャンバ内の圧力を増加又は減少させるための足又は手作動式ポンプを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、デバイスは、変位チャンバの圧力を周囲圧力にリセットするための圧力リセットデバイス、例えばポペット弁を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、入口、弁部材、弁座、及び出口は、出口チャンバを通るガス流が、ガス流がチャンバに入る際に弁部材に対して導かれ、弁部材から90度を超える角度にわたって跳ね返され、出口を通ってチャンバを出るように配置されている。
【0050】
いくつかの実施形態では、出口は、弁部材に対向する出口チャンバの壁内に少なくとも1つのアパーチャを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、出口チャンバは弁座を囲んでいる(例えば、弁座は出口チャンバ内に配置されている)。
【0052】
いくつかの実施形態では、周囲圧力は弁部材の非加圧側に作用する。
【0053】
いくつかの実施形態では、出口の面積は可変である。
【0054】
いくつかの実施形態では、出口は、出口チャンバの壁内に1つ以上のアパーチャを含み、1つ以上のアパーチャは、出口の面積を変化させるために、選択的に開かれてもよい又は閉じられてもよい又は部分的に閉じられてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、弁座と弁部材の相対位置は、弁座に対する部材の付勢を調節するために調節可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、弁部材はプランジャ又はピストンであり、デバイスは、弁部材を付勢して弁座に密閉させるための付勢部材を含む。付勢部材は、ばね又は弾性ダイヤフラム又は(エラストマー)膜又は他のばね要素であってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、出口は、弁部材の周縁部と出口チャンバの壁との間に間隙を含む、及び/又は出口は、弁部材内に1つ以上のアパーチャを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、弁部材は、出口チャンバの壁との摺動シールを含むピストンであり、出口は、ピストン又は出口チャンバの壁内の1つ以上のアパーチャである。
【0059】
いくつかの実施形態では、付勢部材はばねであり、ばねの伸張又は圧縮は、プランジャ又はピストンを基準にする付勢量を変化させ、弁座を密閉するように調節可能である。
【0060】
いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイス内の30L/minの流量範囲にわたって5cmH2O未満の開放圧範囲を維持するように適合されている。
【0061】
いくつかの実施形態では、デバイスは少なくとも2つの出口チャンバを直列又は並列で含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、請求項1に記載の出口チャンバは、第1の出口を有する第1の出口チャンバであり、デバイスは、第2の出口を有する第2の出口チャンバを含み、第2の出口チャンバは、第1の出口からガス流を受け入れるように適合されており、
弁部材は、圧力閾値を超えて増加する入口の入口圧によって弁座から変位し、ガス流を入口から第1の出口チャンバ、第1の出口、及び第2の出口チャンバを通って第2の出口に通し、第1の出口及び第2の出口を通るガス流は、入口圧とともに、第1の出口チャンバの出口圧(背圧)を弁部材に作用させ、弁部材を弁座から(更に)変位するように適合されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、弁部材及び弁座は、入口と出口チャンバとの間に、入口圧及び出口圧に依存する動的可変流量制限部を設け、動的可変流量制限部は入口圧及び/又は出口圧が増加するにつれて減少する。
【0064】
いくつかの実施形態では、出口は、入口圧及び出口圧から独立した出口流量制限部を提供する。
【0065】
いくつかの実施形態では、出口流量制限部は動的可変流量制限部よりも大きい。
【0066】
いくつかの実施形態では、弁部材は第1の弁部材であり、デバイスは、第1の弁部材に結合された第2の弁部材を含み、第1の部材は呼気ガスの流れを排出し、第2の弁部材はネブライザポートを開閉し、
呼気ガスを排出するとき、第1の弁部材は弁座から変位され、第2の弁部材が変位し、ネブライザポートを閉じ、
弁部材が弁座に接しているとき、第2の弁部材はネブライザポートから変位され、ネブライザから薬剤が流れることを可能にする。
【0067】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、患者インターフェースシステム又は呼吸システムは、
患者の気道を密閉するための患者インターフェースと、
ネブライザポートを含む患者インターフェースへの入口導管又は流路と、
前述の記載で述べたようなデバイスであって、入口は患者インターフェースから呼気ガスの流れを受け入れるように配置されているデバイスと、
を含む。
【0068】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、圧力調整又は圧力開放デバイスは、
入口と、
出口と、
入口と出口との間の弁座と、
付勢されて弁座を密閉する弁部材であって、弁部材は、圧力閾値を超えて増加する入口の入口圧によって弁座から変位し、ガス流を入口から出口へと通すように適合されている、弁部材と、
を含み、
弁部材は膜(ダイヤフラム)である又は膜(ダイヤフラム)を含み、膜の張力によって膜を付勢し、弁座を密閉させるように、膜は、弁座上で伸張される又は張力をかけられる。
【0069】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、圧力調整又は圧力開放デバイスは、
入口と、
出口と、
入口と出口との間の弁座と、
付勢されて弁座を密閉する弁部材であって、弁部材は、圧力閾値を超えて増加する入口の入口圧によって弁座から変位し、入口から出口へとガス流を通すように適合されている、弁部材と、
弁部材又は弁座上で伸張される又は張力をかけられ、弁部材を弁座に対して付勢する膜(ダイヤフラム)と、
を含む。
【0070】
前述の記載によるデバイスは、圧力調整又は圧力開放デバイスに関する先行する記載のいずれか1つ以上に記載の特徴(単数)又は特徴(複数)を含んでもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、弁部材は膜(ダイヤフラム)である又は膜(ダイヤフラム)を含み、膜の張力によって膜を付勢し、弁座を密閉させるように、膜は、弁座上で伸張される又は張力をかけられる。
【0072】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、圧力開放デバイスは、
入口と、
出口を有する出口チャンバであって、入口は出口チャンバと流体連通する、出口チャンバと、
入口と出口チャンバとの間の動的可変流量制限部と、
入口から動的流量制限部及び出口チャンバを通り出口に至る、弁内の流路と、
を含み、
出口チャンバからの出口は、出口チャンバ内に出口圧(背圧)を生じさせる、デバイスからの出口流量制限部を含む又は提供し、
動的可変流量制限部は入口の入口圧及び出口チャンバの出口圧に依存し、入口圧及び/又は出口圧が増加するのに対して動的可変流量制限部は減少し、出口制限部は入口圧及び出口圧から独立している。
【0073】
前述の記載によるデバイスは、圧力調整又は圧力開放デバイスに関する先行する記載のいずれか1つ以上に記載の特徴(単数)又は特徴(複数)を含んでもよい。
【0074】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、ガス流を供給するシステムのための流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスであって、デバイスは、
ガス源からガス流を受け入れるための主要入口と、主要入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を、デバイスから流れるように供給するための主要出口と、
ガス流の圧力が圧力閾値を超えて増加すると、入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を排出するように適合されている圧力開放弁と、
主要出口から患者へのガス流の流量に基づき圧力閾値を動的に調節するためのセンシング機構と、を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、圧力開放弁は、
主要入口と流体連通する弁入口と、
排出出口と、
弁入口と排出出口との間の弁座と、
付勢されて弁座に対し密閉し、圧力閾値を超えて増加する弁入口の入口圧によって弁座から変位し、ガス流の少なくとも一部分を弁入口から排出出口に排出する弁部材と、
を含み、
センシング機構は、
主要出口を通るガス流の流量を示す差圧を検知するためのセンシング部材と、
主要出口を通るガス流の流量に応じて、センシング部材と弁部材との間に作用し、センシング部材によって加えられる力を弁部材に伝達し、弁座に対する弁部材の付勢を調節する機械的リンクと、
を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、センシング機構は、センシング部材によって検知された差圧を発生させ、主要出口を通るガスの流量に応じてセンシング部材を変位するための流量制限部又は抑制部を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、センシング機構は、
弁入口の下流の流量抑制部又は制限部と、
センシングチャンバであって、センシングチャンバ内に位置するセンシング部材はセンシングチャンバを第1のチャンバと第2のチャンバとに分割しており、第1のチャンバは流量抑制部又は制限部の上流のガス流と流体連通し、第2のチャンバは流量抑制部のガス流又は流量制限部の下流のガス流と流体連通し、流量抑制部又は制限部及び主要出口を通るガス流により生じる差圧はセンシング部材によって検知される、センシングチャンバと、を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、機械的リンクは弁部材及びセンシング部材に結合されており、主要出口を通るフローガスの流量に応じて弁部材を弁座に対し付勢する。
【0079】
いくつかの実施形態では、機械的リンクは弁部材若しくはセンシング部材又は弁部材及びセンシング部材から分離されており、
弁部材は、主要出口を通るガス流がないことにより弁座に対して付勢され、機械的リンクにより弁部材及びセンシング部材を支持し、
主要出口を通るガス流が増加するにつれて、センシング部材内の差圧は増加し、主要出口を通るガス流の流量が閾値を超えて増加すると、機械的リンクによって弁部材に加えられる力が減少し、弁座に対する弁部材の付勢は、機械的リンクが弁部材又はセンシング部材又は弁部材及びセンシング部材の両方との接触を失うまで低減される。
【0080】
いくつかの実施形態では、圧力開放弁は、
排出出口を含む出口チャンバを含み、
弁部材は、圧力閾値を超えて増加する弁入口の入口圧によって弁座から変位し、主要入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を弁入口から出口チャンバを通って排出出口へと排出し、排出出口を通るガス流は、入口圧とともに、出口チャンバの出口圧(背圧)を弁部材に作用させ、弁部材を弁座から(更に)変位するように適合されている。
【0081】
いくつかの実施形態では、弁部材は、弁座に対して付勢される膜を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、センシング部材は膜を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、弁部材及び/又はセンシング部材は、膜を張力がかけられた状態に支持するフレームを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、フレームは、(膜の張力を大きく変えることなく)弁部材又はセンシング部材をデバイスの本体にクリップ留めするための1つ以上のクリッピング特徴部を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、弁部材の外周部は、出口チャンバを周囲又は変位チャンバから密閉するためのシールを提供する及び/又はセンシング部材の外周部は、第1のセンシングチャンバを第2のセンシングチャンバから密閉するためのシールを提供する。
【0086】
いくつかの実施形態では、膜の張力によって膜を付勢し、弁座を密閉させるように、膜は弁座上で伸張される又は張力をかけられる。
【0087】
いくつかの実施形態では、弁部材はプランジャ又はピストンである。
【0088】
いくつかの実施形態では、弁部材の面積は弁座の面積よりも大きい。
【0089】
いくつかの実施形態では、入口圧は、弁座面積にわたって弁部材に作用し、弁部材が弁座から変位されると、出口圧は、弁座面積の外側の面積にわたって弁部材に作用する。
【0090】
いくつかの実施形態では、入口圧は、弁座面積の外側の面積にわたって弁部材に作用し、弁部材が弁座から変位されると、出口圧は、弁座面積にわたって弁部材に作用する。
【0091】
いくつかの実施形態では、弁入口は、出口チャンバに延びる入口管を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、弁座は、出口チャンバ内の入口管の出口端に設けられている。
【0093】
いくつかの実施形態では、排出出口は、出口チャンバの壁内に少なくとも1つのアパーチャ及び/又は弁部材内に少なくとも1つのアパーチャを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、弁部材は、出口チャンバの壁によって支持される又は出口チャンバの壁とシールを形成する、又は弁入口は入口管を含み、弁部材は、入口管の壁によって支持される又は入口管の壁とシールを形成する。
【0095】
いくつかの実施形態では、センシング部材はセンシングチャンバ内に配置されており、流量制限部は、センシング部材とセンシングチャンバの側壁との間の間隙によって設けられている及び/又は流量制限部は、センシング部材内の1つ以上のアパーチャによって設けられており、主要入口から主要出口へのガス流の流路はセンシングチャンバを通る。
【0096】
いくつかの実施形態では、センシング部材はピストンであり、センシングチャンバはピストンが中で動くシリンダであり、ピストンは第1のチャンバを第2のチャンバから空気的に密閉する。
【0097】
いくつかの実施形態では、機械的リンクは、張力及び/又は圧縮を伝達する。
【0098】
いくつかの実施形態では、機械的リンクはロッド又はシャフトであり、デバイスは、弁部材とセンシング部材との間の機械的リンクを支持するリンクガイドを含み、主要入口はリンクとリンクガイドとの間の環状空間を介してセンシングチャンバと流体連通する。
【0099】
いくつかの実施形態では、デバイスは、主要入口とセンシングチャンバとの間に開口部を含み、機械的リンクは開口部内に延び、機械的リンクが開口部内に受け入れられた開口部は、主要入口とセンシングチャンバとの間に環状開口部を呈する。
【0100】
いくつかの実施形態では、機械的リンクはリブ付きロッド又はシャフトである。
【0101】
いくつかの実施形態では、機械的リンクは、一端に、弁部材を弁座に対して支持するためのフランジを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、フランジは、弁座の直径よりも大きな直径を有するので、弁部材が弁座に着座すると、弁部材はフランジと弁座との間で弁座に対して支持される。
【0103】
いくつかの実施形態では、機械的リンクは長さ調節可能である。
【0104】
いくつかの実施形態では、デバイスは、使用中、ユーザが機械的リンクの長さを調節できるようにするためのユーザインタフェースを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、デバイスは変位チャンバを含み、弁部材は弁座から離れて変位チャンバ内に変位してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、変位チャンバは周囲環境から密閉されている又は密閉可能である。
【0107】
いくつかの実施形態では、デバイスは、変位チャンバ内の圧力を変えるための加圧デバイス、例えば、変位チャンバ内の圧力を増加又は減少させるための足又は手作動式ポンプを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、デバイスは、変位チャンバの圧力を周囲圧力にリセットするための圧力リセットデバイス、例えばポペット弁を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、弁座と弁部材の相対位置は、弁座に対する部材の付勢を調節するために調節可能である。
【0110】
いくつかの実施形態では、使用中、弁座と弁部材の相対位置は調節可能である。
【0111】
いくつかの実施形態では、デバイスは、
流量抑制部と流量抑制部から第2のチャンバへの圧力タップとを含む、又は
デバイスは、オリフィス流量制限部とオリフィスの下流側から第2のチャンバへの圧力タップとを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、流量抑制部又は制限部は調節可能である。
【0113】
いくつかの実施形態では、デバイスは、センシング部材の移動量又は変形量を制限して、流量から独立した圧力閾値の圧力上限を設定するように構成されている。
【0114】
いくつかの実施形態では、デバイスは、センシング部材の移動量又は変形量を制限するための機械的限界を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、機械的限界は、機械的リンク又はセンシング部材に作用するエンドストップである。
【0116】
いくつかの実施形態では、センシングチャンバの壁は、センシング部材の変形又は移動量を制限する。
【0117】
いくつかの実施形態では、センシング機構は、
デバイスの主要出口を通って流れるガスの流量(例えば差圧)、及び主要入口と主要出口との間のガス流の圧力を検出するための1つ以上の電子センサと、
アクチュエータと、
センサから信号を受信し、アクチュエータを駆動し、圧力開放弁の圧力閾値を検出された流量に基づき調節するための出力を提供するコントローラ又はプロセッサと、を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、アクチュエータは圧力開放弁の弁部材に取り付けられた部材を駆動し、圧力開放弁の弁座に対する弁部材の付勢量を調節する。
【0119】
いくつかの実施形態では、弁部材はプランジャ又はダイヤフラムである。
【0120】
いくつかの実施形態では、デバイスは、圧力開放弁及びセンシング機構を収容するためのハウジングを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、デバイス本体を含み、本体は、主要入口及び主要出口と、少なくとも、デバイスの出口チャンバと、センシングチャンバの第1のチャンバと、を含み、ハウジングは本体を実質的に収容している。
【0122】
いくつかの実施形態では、ハウジングは本体の周囲に空間又は空洞を与え、デバイスの変位チャンバ及び/又は出口チャンバは空洞又は空間と流体連通する。
【0123】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、ハウジング空間からのハウジング出口を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、出口チャンバからの排出出口と連通するハウジング排出出口を含み、ハウジング排出出口は主要入口又は主要出口と同軸である。
【0125】
いくつかの実施形態では、ハウジングは変位チャンバと流体連通する出口を含み、アパーチャは主要入口又は主要出口と同軸である。
【0126】
いくつかの実施形態では、流量抑制部又は制限部は第1の流量抑制部又は制限部であり、デバイスは、
弁入口の上流にある第2の流量抑制部又は制限部と、
第2のチャンバと第1の流量抑制部との間、又は第1の流量制限部の近傍及び下流の位置にある第1のポートと、
第2のチャンバと第2の流量抑制部との間、又は第2の流量制限部の近傍及び上流の位置にある第2のポートと、
を含み、
主要入口から主要出口へのガス流において、第2のポートは導管又はコネクタによって遮断され、
主要出口から主要入口へのガス流において、第1のポートは導管又はコネクタによって遮断される。
【0127】
いくつかの実施形態では、第1の流量抑制部若しくは制限部は第2の流量抑制部若しくは制限部よりも大きな差圧を呈する、又は第2の流量抑制部若しくは制限部は第1の流量抑制部若しくは制限部よりも大きな差圧を呈する。
【0128】
いくつかの実施形態では、デバイスは、ガス流が圧力開放弁から排出されているときを示すための表示器を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、表示器は、ガスが圧力開放弁から排出されているとき、視覚的に観察可能である。
【0130】
いくつかの実施形態では、表示器は、排出中/排出なしのバイナリ表示、又は排出の流量を示す排出の比例表示を提供する。
【0131】
いくつかの実施形態では、表示器は、ガイド又はハウジング、例えば圧力開放弁及びセンシング機構を収容するハウジング内に位置するシャトル又はプランジャ又はフラップなどの可動部材を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、可動部材はデバイスの排出出口の近傍に位置する。
【0133】
いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの主要出口から供給されるガス流又はガスの流量を示すための表示器を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、表示器は、デバイスの主要出口内に位置するインペラ又はフラップを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、デバイスは弁入口の下流の流量制限部を含み、表示器はガイド管内に受け入れられたシャトル又はプランジャを含み、ガイド管の入口端は流量制限部の上流の主要入口と流体連通し、ガイド管の出口端は流量制限部の下流の主要出口と流体連通する。
【0136】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、ガス流を供給するシステムのための流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスであって、デバイスは、
ガス源からガス流を受け入れるための主要入口と、主要入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を、デバイスから流れるように供給するための主要出口と、
圧力開放弁であって、
主要入口と流体連通する弁入口と、
排出出口と、
弁入口と排出出口との間の弁座と、
付勢されて弁座を密閉し、圧力閾値を超えて増加する弁入口の入口圧によって弁座から変位し、ガス流の少なくとも一部分を弁入口から排出出口に排出する、弁部材と、
を含む、圧力開放弁と、
主要出口を通るガス流の流量を示す差圧を検知するためのセンシング部材と、
センシング部材と弁部材との間に作用し、センシング部材によって加えられる力を弁部材に伝達し、主要出口を通るフローガスの流量に応じて弁座に対する弁部材の付勢を調節する機械的リンクと、
を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、デバイスは、
弁入口の下流の流量抑制部又は制限部と、
センシングチャンバであって、センシングチャンバ内に位置するセンシング部材はセンシングチャンバを第1のチャンバと第2のチャンバとに分割しており、第1のチャンバは流量抑制部又は制限部の上流のガス流と流体連通し、第2のチャンバは流量抑制部のガス流又は流量制限部の下流のガス流と流体連通し、流量抑制部又は制限部及び主要出口を通るガス流により生じる差圧はセンシング部材によって検知される、センシングチャンバと、を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、圧力開放弁は、
排出出口を含む出口チャンバを含み、
弁部材は、圧力閾値を超えて増加する弁入口の入口圧によって弁座から変位し、主要入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を弁入口から出口チャンバを通って排出出口に排出するように適合されており、排出出口を通るガス流は、入口圧とともに、出口チャンバの出口圧を弁部材に作用させ、弁部材を弁座から変位する。
【0139】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、ガス流を供給するシステムのための流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスは、
ガス源からガス流を受け入れるための主要入口と、主要入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を、デバイスから流れるように供給するための主要出口と、
入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を排出する、又は主要入口から主要出口へと流れるガス流を閉塞させるように適合されている弁と、
デバイスの主要出口を通って流れるガスの流量及びガス流の圧力を検出するための1つ以上の電子センサと、
アクチュエータと、
センサから信号(単数)又は信号(複数)を受信し、アクチュエータを駆動し、検出された圧力が圧力閾値を上回る場合、入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を排出するように、又は主要入口から主要出口へと流れるガス流を少なくとも一部閉塞させるように弁を調節するための出力を提供し、圧力閾値は検出された流量に依存する、コントローラ又はプロセッサと、
を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、弁は、主要入口から主要出口へのガス流を閉塞させるように適合されており、デバイスは、弁の下流に排出アパーチャを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、デバイスは、入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を排出するための第1の弁と、主要入口から主要出口へと流れるガス流を閉塞させるための第2の弁と、第1の弁を駆動するための第1のアクチュエータと、第2の弁を駆動するための第2のアクチュエータと、を含み、第2の弁は第1の弁の下流にあり、
コントローラは、検出された圧力が圧力閾値を上回る場合に第1及び第2のアクチュエータを駆動し、入口によって受け入れられたガス流の少なくとも一部分を排出するための第1の弁、及び主要入口から主要出口へと流れるガス流を少なくとも一部閉塞させるための第2の弁を調節し、圧力閾値は検出された流量に依存する。
【0142】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、上記記載のいずれか1つ以上に記載される、圧力調整若しくは圧力開放デバイス又は流量補償圧力調整若しくは圧力開放デバイスを含む呼吸ガスシステム。
【0143】
いくつかの実施形態では、システムは、前記流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスと、圧力ガス源と、密閉患者インターフェースとを含むバイレベル圧力システムであり、流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスは、
吸気圧が圧力源の圧力設定によって決定されるように、吸気中、主要入口によって受け入れられたガス流の実質的に全てが主要出口に流れ、
呼気圧がデバイスの排出圧によって決定されるように、呼気中、主要入口によって受け入れられたガス流の一部分が排出出口から排出されるように構成されている。
【0144】
いくつかの実施形態では、デバイスは、患者インターフェースに隣接して又は近接して配置されている。
【0145】
いくつかの実施形態では、圧力ガス源は、吸気中及び呼気中、第2のデバイスの圧力除去弁が、主要入口によって受け入れられたガス流の一部分を排出出口から連続的に排出するように調整される、上述のような、フローガス源及び第2の圧力調整又は圧力開放デバイスを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、システムは、フロー源と、鼻カニューレなどの非密閉患者インターフェースとを含む高流量呼吸ガスシステムである。
【0147】
いくつかの実施形態では、呼吸ガスシステムは、フローガス源及び密閉患者インターフェースを含むCPAPシステムであり、圧力調整又は圧力開放デバイスは、吸気中及び呼気中、圧力除去弁が主要入口によって受け入れられたガス流の一部分を排出出口から連続的に排出するように調整されている。
【0148】
いくつかの実施形態では、呼吸ガスシステムは、換気又はCPAPシステムであり、システムは、ベンチレータ又はフローガス源及び密閉患者インターフェースを含み、圧力調整又は圧力開放デバイスは患者インターフェースにある又は患者インターフェースに隣接し、窒息防止弁として動作するように調整され、
吸気中、主要入口によって受け入れられたガス流の実質的に全てが主要出口に流れ、
ベンチレータ又は圧力ガス源が機能を損なった又は停止した場合、患者の呼気の大部分が排出出口から排出される。
【0149】
いくつかの実施形態では、呼吸ガスシステムは換気又はバイレベル圧力システムであり、システムはフローガス源及び密閉患者インターフェースを含み、圧力調整又は圧力開放デバイスは、圧力除去弁が、吸気中、主要入口によって受け入れられたガス流の一部分を排出出口から第1の圧力閾値で連続的に排出し、圧力除去弁が、呼気中、主要入口によって受け入れられたガス流の一部分を排出出口から第2の閾値で連続的に排出するように調整され、第1の閾値は第2の閾値を超える。
【0150】
いくつかの実施形態では、システムは、吸気導管と、吸気導管に設けられた上述のような第1の圧力調整又は圧力開放デバイスと、呼気用流路に設けられた上述のような第2の圧力調整又は圧力開放デバイスと、を含み、第1のデバイスは、吸気圧を供給するように構成されており、第2のデバイスは、呼気圧を供給するように構成されている。
【0151】
いくつかの実施形態では、圧力調整又は圧力開放デバイスは、主要入口とセンシング部材との間に有意な空気圧カップリングを含み、そのため、弁は、患者における圧力が第1の閾値及び第2の閾値によって決定される吸気圧と呼気圧との間で急激に変化するように迅速応答を含む提供する。
【0152】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、吹送システムは、先行する記載のいずれか1つに記載の流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスを含む。流量補償圧力調整又は圧力開放デバイスは、圧力開放弁が、主要入口によって受け入れられたガス流の一部分を排出出口から連続的に排出するように構成されている。システムは、使用中、患者(腹腔)から連続的に排出する。システムは、患者からフィルタを通じて排出することが好ましい。
【0153】
「高流量ガス流(単数)」又は「高流量ガス流(複数)」は、本明細書で使用する場合、最大吸気流需要における吸入酸素分画必要量を超える流量における、ガス又はガス混合物の一部分/一群の、患者の気道への容量移動(volumetric movement)と定義される。特に、一実施形態では、高流量ガス流(単数)(又は高流量ガス流(複数))は、15L/min(リットル毎分)超、約20L/min以上、約30L/min以上、約40L/min以上、約50L/min以上、約60L/min以上、約70L/min以上、約80L/min以上、約90L/min以上、約100L/min超以上、約110L/min超若しくは110L/min、約120L/min超若しくは120L/min、約130L/min超若しくは130L/min、約140L/min超若しくは140L/min、又は約150L/min以下のガス流量を意味する。特定の実施形態では、高流量ガス流の有効範囲は、約40L/min~約80L/min、約50L/min~約80L/min、約70L/min~約100L/min、約70L/min~約80L/min、約100L/min~約150L/min、及び約15L/min超~約150L/min、及び約30L/min~約150L/minを含むが、これらに限定されない上述の流量のいずれかの間で選択され得る。これら流量は、患者インターフェースを使用して、及び特定の実施形態では、鼻インターフェースによって提供され得る。好適な高流量療法では、成人患者の治療のために、30~70L/min及び可能であれば30~100L/minの動作流量範囲が望まれる。小児を治療する場合、「高流量」治療では、約1~50L/minの流量を必要とする場合がある。
【0154】
文脈で別段の示唆のない限り、フロー源は、ガス流を設定流量で供給する。設定流量は一定流量であってもよく、又は変動流量、例えば、正弦波流量であってもよい。文脈で別段の示唆のない限り、圧力源はガス流を設定圧力で供給する。設定圧力は定圧であってもよく、又は変動圧力、例えば、正弦波圧力であってもよい。
【0155】
用語「含む(comprising)」は本明細書で使用される場合、「少なくとも一部~からなる(consisting at least in part of)」を意味する。本明細書において用語「含む(comprising)」を含む各文を解釈する場合、この用語が前に置かれた特徴以外の特徴も存在してよい。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの関連用語は同様に解釈される。
【0156】
本発明に関係する当業者であれば、構造の多くの変更並びに本発明の広く異なる実施形態及び用途を、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく想到するであろう。本開示及び本明細書中の記載は純粋に例示であり、限定を意図するものでは決してない。
【0157】
本発明は前述のものを構成し、以下で単なる例として記載する構造も想定する。
【0158】
好適な実施形態を、単なる例として、及び図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0159】
図1】圧力開放又は調整弁(PRV:pressure relief or regulating valve)を含む高流量呼吸システムを示す。
図1A】圧力開放又は調整弁(PRV)を含む小児蘇生システムを示す。
図1AA】流量制御圧力開放弁を含む高流量呼吸システムを示す。
図1B-1】流量制御圧力開放弁を含む持続的気道陽圧呼吸システムを示す。
図1B-2】流量制御圧力開放弁を含む持続的気道陽圧呼吸システムを示す。
図1B-3】FCPRV(Flow Compensating Pressure Relief Valve:流量補償圧力開放弁)における圧力対患者に対するガスの流量のグラフを示す。
図1C-1】流量制御圧力開放弁を含むバイレベル圧力呼吸システムを示す。
図1C-2】流量制御圧力開放弁を含むバイレベル圧力呼吸システムを示す。
図1C-3】患者圧力対患者に対するガスの流量のグラフを示す。
図1C-4】複数の呼吸周期にわたるシステムの患者圧力の特性を示す。
図1C-5】2つの流量制御圧力開放弁を含む別のバイレベル圧力呼吸システムを示す。
図1D】流量制御圧力開放弁を含む外科用吹送システムを示す。
図1E-1】窒息防止弁として構成された流量制御圧力開放弁を含む持続的気道陽圧呼吸システム又はベンチレータシステムを示す。
図1E-2】窒息防止弁として構成された流量制御圧力開放弁を含む持続的気道陽圧呼吸システム又はベンチレータシステムを示す。
図1F-1】ベンチレータとして動作するように構成された流量制御圧力開放弁を含むシステムを示す。
図1F-2】ベンチレータとして動作するように構成された流量制御圧力開放弁を含むシステムを示す。
図1F-3】FCPRVにおける圧力対患者に対するガスの流量のグラフを示す。
図2A】それぞれPRVの断面及び対応する概略図を示す。図2Aは、弁部材が密閉された位置にあるPRVを示す。図2Bは、弁座から変位した弁部材を示す。図2Cは、弁座から更に変位した弁部材を示す。
図2B】それぞれPRVの断面及び対応する概略図を示す。図2Aは、弁部材が密閉された位置にあるPRVを示す。図2Bは、弁座から変位した弁部材を示す。図2Cは、弁座から更に変位した弁部材を示す。
図2C】それぞれPRVの断面及び対応する概略図を示す。図2Aは、弁部材が密閉された位置にあるPRVを示す。図2Bは、弁座から変位した弁部材を示す。図2Cは、弁座から更に変位した弁部材を示す。
図2D】2つの出力チャンバを並列で有するPRVの断面を示す。
図3】本明細書中に記載される実施形態によるPRVの入口圧及び出口チャンバ圧力対PRVの排出流量のグラフを示す。
図4図3のPRVと同一構成であるが、図3のPRVの出口面積の2倍の出口面積を有するPRVの入口圧及び出口チャンバ圧力対PRVの排出流量のグラフを示す。
図5図3のPRVとと同一構成であるが、図3のPRVの出口面積の3倍の出口面積を有するPRVの入口圧及び出口チャンバ圧力対PRVの排出流量のグラフを示す。
図6】排出圧対排出流量を、出口チャンバのない従来技術のプランジャ型弁と記載される実施形態による出口チャンバを有するPRVとで比較したグラフ表示である。
図7】記載される実施形態によるPRVの性能(排出圧対排出流量)に対する、異なる出口面積の影響のグラフ表示である。
図8】PRVの開放又は排出圧対PRVの排出流量に対する膜弁部材の異なる張力の影響を示すグラフである。
図9A】それぞれPRVの断面及び対応する概略図を示す。図9Aは、弁部材が密閉された位置にあるPRVを示す。図9Bは、弁座から変位した弁部材を示す。図9Cは、弁座から更に変位した弁部材を示す。
図9B】それぞれPRVの断面及び対応する概略図を示す。図9Aは、弁部材が密閉された位置にあるPRVを示す。図9Bは、弁座から変位した弁部材を示す。図9Cは、弁座から更に変位した弁部材を示す。
図9C】それぞれPRVの断面及び対応する概略図を示す。図9Aは、弁部材が密閉された位置にあるPRVを示す。図9Bは、弁座から変位した弁部材を示す。図9Cは、弁座から更に変位した弁部材を示す。
図10A】それぞれピストン型弁部材を有する別のPRVの断面図である。
図10B】それぞれピストン型弁部材を有する別のPRVの断面図である。
図11A】膜弁部材の張力の量を変更するために入口管の異なる伸び量を有するPRVをそれぞれ示す。
図11B】膜弁部材の張力の量を変更するために入口管の異なる伸び量を有するPRVをそれぞれ示す。
図12A】PRVの更なる例示的実施形態の断面図を示す。
図12B】PRVの更なる例示的実施形態の断面図を示す。
図12C】PRVの更なる例示的実施形態の断面図を示す。
図12D】PRVの更なる例示的実施形態の断面図を示す。
図12E】PRVの更なる例示的実施形態の断面図を示す。
図13A】それぞれPRVの断面を示す。図13Aは、弁部材が密閉された位置にあるPRVを示す。図13Bは、弁座から変位した弁部材を示す。図13Cは、弁座から更に変位した弁部材を示す。
図13B】それぞれPRVの断面を示す。図13Aは、弁部材が密閉された位置にあるPRVを示す。図13Bは、弁座から変位した弁部材を示す。図13Cは、弁座から更に変位した弁部材を示す。
図13C】それぞれPRVの断面を示す。図13Aは、弁部材が密閉された位置にあるPRVを示す。図13Bは、弁座から変位した弁部材を示す。図13Cは、弁座から更に変位した弁部材を示す。
図14A】流量補償圧力開放弁の概略図である。図14Aは、流れのない構成のFCPRVを示し、図14Bは、流れている構成のFCPRVを示す。
図14B】流量補償圧力開放弁の概略図である。図14Aは、流れのない構成のFCPRVを示し、図14Bは、流れている構成のFCPRVを示す。
図15A】FCPRVのシステム圧力(圧損)対流量曲線及び開放圧対流量曲線を示し、流量は、患者に供給される又はFCPRVの主要出口から供給されるガスの流量である。
図15B】FCPRVのシステム圧力(圧損)対流量曲線及び開放圧対流量曲線を示し、FCPRVの様々な動作段階を示し、流量は、患者に供給される又はFCPRVの主要出口から供給されるガスの流量である。
図16A】流量補償圧力開放弁の概略図である。図16Aは、流れ排出構成のFCPRVを示し、図16Bは、低流量構成であり、図16Cは、高又は高流量圧力制限構成である。
図16B】流量補償圧力開放弁の概略図である。図16Aは、流れ排出構成のFCPRVを示し、図16Bは、低流量構成であり、図16Cは、高又は高流量圧力制限構成である。
図16C】流量補償圧力開放弁の概略図である。図16Aは、流れ排出構成のFCPRVを示し、図16Bは、低流量構成であり、図16Cは、高又は高流量圧力制限構成である。
図16D】FCPRVのシステム圧力(圧損)対流量曲線及び開放圧対流量曲線を示し、流量は、患者に供給される又はFCPRVの主要出口から供給されるガスの流量である。
図17図15Bと同じグラフを示すが、更なる2つの流量補償開放圧対流量曲線を有する。
図18】FCPRVの調整ルーチンを示す。
図18A】FCPRVの開放弁排出圧特性を調節するための調節機構をそれぞれ含む流量補償圧力開放弁の概略図である。
図18B】FCPRVの開放弁排出圧特性を調節するための調節機構をそれぞれ含む流量補償圧力開放弁の概略図である。
図18C】FCPRVの開放弁排出圧特性を調節するための調節機構をそれぞれ含む流量補償圧力開放弁の概略図である。
図19】開放圧が最大開放圧に限定されたFCPRVのシステム圧力(圧損)対流量曲線及び開放圧対流量曲線を示す。
図20】FCPRVの断面図を示す。
図21】別のFCPRVの自由体図を示す。
図22】別のFCPRVの断面図を示す。
図23A図22のFCPRVの概略図である。図23Aは、無流量又は低流量構成を示し、図23Bは、流量又は高流量構成を示す。
図23B図22のFCPRVの概略図である。図23Aは、無流量又は低流量構成を示し、図23Bは、流量又は高流量構成を示す。
図24】別のFCPRVの断面図を示す。
図25A図24のFCPRVの概略図である。図25Aは、無流量又は低流量構成を示し、図25Bは、流量又は高流量構成を示す。
図25B図24のFCPRVの概略図である。図25Aは、無流量又は低流量構成を示し、図25Bは、流量又は高流量構成を示す。
図26A】アパーチャを有するセンシングピストンを含む図24のFCPRVに類似するFCPRVの概略図である。図26Aは、無流量又は低流量構成を示し、図26Bは、流量又は高流量構成を示す。
図26B】アパーチャを有するセンシングピストンを含む図24のFCPRVに類似するFCPRVの概略図である。図26Aは、無流量又は低流量構成を示し、図26Bは、流量又は高流量構成を示す。
図27A】別のFCPRVの断面図を示す。これらの図は、弁の弁部材及びセンシング部材の中心軸線を通る軸線における断面図である。図27Aの断面平面は図27Bの断面平面に対して直角である。
図27B】別のFCPRVの断面図を示す。これらの図は、弁の弁部材及びセンシング部材の中心軸線を通る軸線における断面図である。図27Aの断面平面は図27Bの断面平面に対して直角である。
図27C】弾性ダイヤフラム又は膜及び剛性のフレームを含む弁部材又はセンシング部材を示す。図27Dは、図27Cの弁部材又はセンシング部材の断面図である。
図27D】弾性ダイヤフラム又は膜及び剛性のフレームを含む弁部材又はセンシング部材を示す。図27Dは、図27Cの弁部材又はセンシング部材の断面図である。
図27E】流量制御圧力開放弁の弁体、弁部材、及びセンシング部材のアセンブリの断面図である。
図27F】流量制御圧力開放弁の弁体、弁部材、及びセンシング部材のアセンブリの断面図である。図27Fのアセンブリは、主要流路とセンシングチャンバとの間に、図27Eのアセンブリに比べて増加した空気圧カップリングを有する。
図28A図27A及び図27BのFCPRVの弁体の図である。
図28B図27A及び図27BのFCPRVの弁体の図である。
図28C図27A及び図27BのFCPRVの弁体の図である。
図29A図27A及び図27BのFCPRVの機械的リンクを示す。
図29B図27A及び図27BのFCPRVの機械的リンクを示す。
図30】可逆的であるように適合された別のFCPRVの自由体図を示す。
図31A】電気機械式FCPRVの概略図である。図31Aは、低流量構成のFCPRVを示し、図31Bは、高流量構成のFCPRVを示す。
図31B】電気機械式FCPRVの概略図である。図31Aは、低流量構成のFCPRVを示し、図31Bは、高流量構成のFCPRVを示す。
図32A】別の電気機械式FCPRVの概略図である。図32Aは、低流量構成のFCPRVを示し、図32Bは、高流量構成のFCPRVを示す。
図32B】別の電気機械式FCPRVの概略図である。図32Aは、低流量構成のFCPRVを示し、図32Bは、高流量構成のFCPRVを示す。
図33A】別の電気機械式FCPRVの概略図である。図33Aは、低流量構成のFCPRVを示し、図33Bは、高流量構成のFCPRVを示す。
図33B】別の電気機械式FCPRVの概略図である。図33Aは、低流量構成のFCPRVを示し、図33Bは、高流量構成のFCPRVを示す。
図34A】PRVの入口圧及び出口チャンバ圧力対流量補償PRVとして使用するように調整されたPRVの排出流量のグラフを示す。
図34B】FCPRVとして使用するように調整されたPRVのシステム圧力(圧損)対流量曲線及び開放圧対流量曲線を示す表す。横軸は、PRV入口の下流の患者に送達される流量である。
図35A】呼出された呼吸ガスを排出し、ネブライザポートの開閉を制御し、患者へのガス流に薬剤を供給するように構成された圧力開放弁の概略図である。
図35B】呼出された呼吸ガスを排出し、ネブライザポートの開閉を制御し、患者へのガス流に薬剤を供給するように構成された圧力開放弁の概略図である。
図36】記載されるPRV又はFCPRV実施形態の1つ以上に実装され得る排出流量表示器を示す。図30図32は、FCPRVの一部分の断面図である。図33及び図34は、排出流量表示器を含むFCPRVの本体の断面図である。
図37】記載されるPRV又はFCPRV実施形態の1つ以上に実装され得る排出流量表示器を示す。図30図32は、FCPRVの一部分の断面図である。図33及び図34は、排出流量表示器を含むFCPRVの本体の断面図である。
図38】記載されるPRV又はFCPRV実施形態の1つ以上に実装され得る排出流量表示器を示す。図30図32は、FCPRVの一部分の断面図である。図33及び図34は、排出流量表示器を含むFCPRVの本体の断面図である。
図39】記載されるPRV又はFCPRV実施形態の1つ以上に実装され得る排出流量表示器を示す。図30図32は、FCPRVの一部分の断面図である。図33及び図34は、排出流量表示器を含むFCPRVの本体の断面図である。
図40】記載されるPRV又はFCPRV実施形態の1つ以上に実装され得る排出流量表示器を示す。図30図32は、FCPRVの一部分の断面図である。図33及び図34は、排出流量表示器を含むFCPRVの本体の断面図である。
図41A】インペラ流量表示器を示す。
図41B】FCPRVの出口の流量を示すためのインペラを出口に含むFCPRVを示す。
図42A】フラップ流量表示器を示す。
図42B】無流量状態では不可視のフラップ流量表示器を含むFCPRVを示す。
図42C】FCPRVの出口からのガス流が、流れ状態へと移動したフラップによって示される図42BのFCPRVを示す。
図43】ガイド管とシャトル又はプランジャとを含む流量表示器を含むFCPRVを示す。
【発明を実施するための形態】
【0160】
図を参照して様々な実施形態を記載する。図及び明細書の全体を通して、同じ参照番号は同じ又は類似の構成要素を示すために使用する場合があり、その重複する説明は省略する場合がある。
【0161】
本明細書中に記載される実施形態による圧力開放デバイスは、CPAP又は高流量呼吸ガスシステム、例えば、麻酔処置で使用するための高流量システムなどの呼吸システムでの使用に特に適合されている。圧力開放弁が特に有用となり得る呼吸システムは、CPAP、BiPAP、高流量療法、変動高流量療法、低流量空気送達、低流量O2送達、バブルCPAP、無呼吸高流量(すなわち、麻酔をかけた患者に対する高流量)、侵襲的換気及び非侵襲的換気である。更に、本明細書中に記載される圧力開放弁は、呼吸システム以外のシステムで有用となり得る。
【0162】
例として、図1を参照し、高流量呼吸システム10について記載する。高流量療法は、酸素及び/又は他のガスの送達並びに患者の気道からのCO2の除去によってガス交換及び/又は呼吸補助を促進するための手段として使用されてもよい。高流量療法は、医療処置前、医療処置中、又は医療処置後に特に有用であり得る。
【0163】
医療処置の前に使用される場合、高流量ガス流は、医療処置中患者が無呼吸期にある間、患者の血液酸素飽和度及び肺内酸素量を上昇させて酸素バッファ(oxygen buffer)を提供するように、患者に酸素を予め投与することができる。
【0164】
呼吸機能が損なわれる可能性のある(例えば、減少する又は停止する)医療処置中(麻酔中など)に健康な呼吸機能を維持するためには酸素の持続的な供給が必須である。この供給が損なわれると、低酸素症及び/又は高炭酸ガス血症が発生する可能性がある。患者が無意識である麻酔及び/又は全身麻酔などの医療処置中、患者を監視してこれがいつ発生するかを検知する。酸素供給及び/又はCO2除去が損なわれれば、臨床医は医療処置を停止し、酸素供給及び/又はCO2除去を促す。これは、例えば、患者を麻酔バッグ及びマスクにより手動で換気することによって又は高流量療法システムを使用して患者の気道に高流量ガス流を供給することによって実施され得る。
【0165】
高流量ガス流の更なる利点としては、高流量ガス流が患者の気道内圧を増加させ、気道、気管、肺/肺胞及び細気管支を開く圧支持を提供することが挙げられ得る。これら構造を開くと酸素投与が向上し、CO2の除去をある程度補助する。
【0166】
圧力の増加により、挿管中に喉頭などの構造が声帯の視界を妨げないようにすることもできる。加湿される場合、高流量ガス流は、気道が乾燥するのも防ぎ、粘膜線毛の損傷を軽減し、喉頭けいれんのリスク並びに鼻出血、誤嚥(鼻出血の結果)、及び気道閉塞、腫脹及び出血などの気道乾燥に関連するリスクを低下させることができる。高流量ガス流の別の利点は、手術中に気道内に生じた煙を流れにより除去できることである。このような実施形態では、煙はレーザー及び/又は焼灼デバイスによって生じる場合がある。
【0167】
圧力開放又は調整デバイスは、非密閉患者インターフェースを含む高流量システムなどの呼吸システムにおいて、システムの圧力上限を提供するために使用するのが特に望ましい。最も重要なことには、圧力上限は、患者安全性の限界を提供するように構成されていてもよい、又は管、流体接続部、若しくは他の構成要素の損傷を防ぐように構成されていてもよい。圧力開放又は調整デバイスは、CPAPシステムにおいて、患者に供給される圧力を調整するために使用されてもよい。
【0168】
図1を参照すると、システム/装置10は、図1の点線のボックス11内に全体として示される一体型又は別個の構成要素に基づく配置構成を含んでもよい。いくつかの構成では、システム10は、構成要素のモジュール式配置構成を含み得る。以後、これはシステムと呼ばれるが、これは限定と解釈すべきではない。システムは、壁内酸素源、酸素タンク、ブロワ、流量治療装置、又は任意の他の酸素若しくは他のガス源などのフロー源12を含み得る。システムは、また、フロー源と組み合わせることができる1種以上の他のガスを含む添加ガス源を含んでもよい。フロー源12は、送達導管14及び患者インターフェース15(鼻カニューレなど)を通じて患者16に送達され得る加圧された高流量ガス流13を供給することができる。コントローラ19はフロー源12及び弁を通る添加ガス等を制御して、高流量ガス13の流量、及び圧力、組成、濃度、体積のうちのいずれか1つ以上などの他の特性を制御する。コントローラの制御下でガスを加湿し、ガスの温度を制御することができる加湿器17もまた設けられていてもよい。フローセンサ、酸素センサ、圧力センサ、湿度センサ、温度センサ、又は他のセンサなどの1つ以上のセンサ18a、18b、18c、18dをシステムの全体にわたり、及び/又は患者16に、患者16上に、若しくは患者16の近傍に配置することができる。センサは、患者上にある、血液中の酸素濃度を決定するためのパルス酸素濃度計18dを含み得る。
【0169】
コントローラ19は、フロー源12、加湿器17、及びセンサ18a~18dに結合させることができる。コントローラ19はフロー源を、送達されるガス流を供給するように動作させることができる。コントローラ19は、フロー源によって供給されるガスの流量、圧力、組成(1種より多いガスが供給される場合)、体積及び/又は他のパラメータをセンサからのフィードバックに基づき制御することができる。コントローラ19は、また、フロー源の任意の他の適切なパラメータを、酸素投与要件を満たすように制御することができる。コントローラ19は、また、加湿器17をセンサ18a~18dからのフィードバックに基づき制御することができる。センサからの入力を用いて、コントローラは、フロー源及び/又は加湿器の酸素投与要件及び制御パラメータを必要に応じて決定することができる。入出力インターフェース20(ディスプレイ及び/又は入力デバイスなど)が設けられている。入力デバイスは、ユーザ(例えば、臨床医又は患者)から、酸素投与要件を決定するために使用され得る情報を受け取るためのものである。いくつかの実施形態では、システムにはコントローラ及び/又は入出力インターフェースがなくてもよい。看護師又は技術者などの医療専門家が必要な制御機能を提供してもよい(例えば、図1Aに示すように)。
【0170】
圧力もまた制御されてよい。上述のように、高流量ガス流(加湿されていてもよい)は、送達導管14、及びカニューレ、マスク、鼻若しくは口用デバイス、又はこれらの組み合わせなどの患者インターフェース15又は「インターフェース」を通じて患者16に送達され得る。鼻インターフェースは、本明細書で使用する場合、カニューレ、鼻マスク、鼻ピロー、若しくは他の種類の鼻デバイス、又はこれらの組み合わせなどのデバイスである。患者又は鼻インターフェースは実質的に密閉され得る、部分的に密閉され得る、又は実質的に非密閉にされ得る。鼻インターフェースは、また、マスク又は口用デバイス(口に挿入される管など)と併せて、並びに/又は鼻インターフェースから取り外すことができる及び/若しくは鼻インターフェースに取り付けることができるマスク又は口用デバイス(口に挿入される管など)と併せて使用され得る。鼻カニューレは、患者の鼻孔に挿入されるように構成されている1つ以上のプロングを含む鼻インターフェースである。マスクは、患者の鼻孔及び/又は口を覆うインターフェースを意味し、患者の口を覆うマスクの部分を取り外し可能なデバイス、又は喉頭マスク気道又は気管内チューブなどの他の患者インターフェースも含むことができる。マスクは、患者の外鼻孔の実質的な密閉をもたらす鼻ピローを含む鼻インターフェースも意味する。コントローラは必要な酸素投与を提供するようにシステムを制御する。
【0171】
本明細書の実施形態によるシステム10は、圧力開放若しくは調整デバイス、又は圧力制限デバイス100(本明細書中では、圧力開放弁すなわちPRV)を含む。PRVは、システム内の、ガス源12と患者16との間のどこに配置されていてもよい。好ましくは、PRVは、フロー源12の出口に、又はフロー源12と加湿器17との間に、例えば、加湿器の入口の近傍に設けられている。いくつかの実施形態では、PRVは、加湿器の出口及び/又は導管14の入口、又は適切なハウジング若しくはカップリングデバイスを通る導管14に沿う任意の箇所に設けられていてもよい。PRV100は、システム内のどこに配置されていてもよく、例えば、PRVは患者インターフェースアセンブリの一部であり得る。システムは、付加的に又は代替的に、図1AAに示されるように、流量制御圧力開放又は圧力調整デバイス(FCPRV)300を含んでもよい。
【0172】
本明細書中に記載される実施形態によるPRV100は、所与の流量範囲にわたって圧力をほぼ一定の圧力に調整する。PRV100は、患者安全性の上限を設けるために、及び/又は過圧力によるシステムの構成要素の破損を防ぐために使用されてもよい。例えば、システムが閉塞すると閉塞の上流においてシステムの大きな背圧を引き起こす可能性があり、PRVは、患者及び/又はシステムの構成要素を損傷から保護するために、背圧が限界を超えて増加しないようにするよう動作してもよい。患者の鼻孔又は呼出用導管の詰まりは患者圧力の増加につながる可能性がある。システムの閉塞は、例えば、不注意による導管14の折れ曲がり又はつぶれが原因となる場合がある、又は例えば、ガス流が患者に到達しないようにするように導管14を閉塞させることによって(例えば、導管の一部分をつまんで閉じることによって)故意に引き起こされる可能性がある。
【0173】
図2A及び図12Aを参照すると、いくつかの実施形態では、PRV100は、入口101と、出口103を有する出口チャンバ102と、入口101と出口チャンバ102との間の弁座104と、付勢され弁座104に対して密閉する弁部材105と、を含む。弁部材は、圧力閾値を超えて増加する入口の圧力Pcによって弁座から変位するように適合されている。圧力Pcは弁部材105に作用し、圧力Pcが閾値に達すると、例えば、図2Bに示すように、部材を弁座104から強制的に離す。部材が弁座から変位すると、ガス流は入口から出口チャンバ102に、その後、出口チャンバから出口103を通って周囲圧力/大気圧に流れる。チャンバからの出口は、出口を通るガス流が出口チャンバ内に(背圧)圧力Pbを生じさせるように構成されており、(背圧)圧力Pbは弁部材105に作用し、例えば、図2Cに示すように、弁部材を弁座から更に変位させる。部材が弁座から更に変位されるにつれて、弁部材と弁座との間の間隙109が増加する。弁動作の更なる説明には以下に記載する。
【0174】
図2A図2Cに示すように、いくつかの実施形態では、弁部材はエラストマー膜105である。膜は出口チャンバ102を横断して浮いた状態で取り付けられていてもよい(suspended)。膜は、膜の張力によって膜を弁座に対して付勢し、弁座とシールを形成し、入口から出口チャンバへの流路を閉じるように、弁座104上で伸張される又は張力をかけられることが好ましい。代替的に、膜を弁座に対して付勢するための別個の付勢部材又はばねが設けられていてもよい。例えば、圧縮ばねが、膜の非加圧側(非システム加圧側)に作用し、膜を弁座に対して又は向かって押すために設けられていてもよい。代替的に、伸張したばねが、膜のシステム加圧側に作用するために設けられていてもよい。膜の周縁部は、膜が弁座上で伸張された又は張力がかけられた状態で出口チャンバの壁106によって支持又は保持されてもよい。例えば、弁はハウジングを含んでもよい。ハウジングは、出口チャンバを形成する第1のハウジング部分と第2のハウジング部分とを含んでもよく、膜の周縁部は第1のハウジング部分と第2のハウジング部分との間に挟まれている。第2のハウジング部分は変位チャンバ107を形成していてもよい。弁部材はハウジングに結合/接着又は溶接されていてもよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、PRVは変位チャンバ107を含んでもよく、弁部材は弁座から離れて変位チャンバ107内に変位してもよい。膜は、出口チャンバと変位チャンバとを分離している。PRVは、出口チャンバと変位チャンバとに分離されるハウジングを含んでもよい。出口チャンバはハウジングの加圧側であると考えられてもよく、変位チャンバはハウジングの周囲側であると考えられてもよい。好ましくは、変位チャンバは大気圧/周囲圧力へと開かれている(例えば、変位チャンバは密封されていない)。例えば、変位チャンバは、変位チャンバ内の周囲圧力を維持する比較的大きな開口部(例えば、図12Aの開口部112)を有してもよい。変位チャンバが周囲圧力の状態で弁部材が弁座から変位されると、変位チャンバは、変位チャンバへの弁部材の変位により、弁座から離れる膜の変位に反するように作用する変位チャンバ内の圧力の増加がもたらされないように、周囲圧力に留まる。変位チャンバは膜を収容する可能性があるものの、変位チャンバ内の大気圧を維持するための開口部を有する。変位チャンバの開口部は、弁部材が弁座から変位されるときに変位チャンバ内の圧力増加が起こらないように十分な面積のものである。周囲圧力(大気圧)は弁部材の非加圧側112に作用する。非加圧側は、部材の、弁座を密閉する側とは反対側の弁部材の側である。大気への開口部の大きさは、弁の振動を低減する/弁の応答を変化させるために低減してもよい。開口部が小さくなるほど弁の応答時間は減少する。あるいは、変位チャンバは密閉されていてもよい。大気/周囲に開かれた変位チャンバを有することの1つの利点は、変位チャンバ内の圧力増加による弁部材のいかなる漏れも弁の動作不全を引き起こさないことである。
【0176】
好適な実施形態では、出口は、入口から出口チャンバを通ったガス流を大気/周囲環境へと排出する。
【0177】
いくつかの実施形態では、図2A図2Cに示すように、入口は、出口チャンバ102に延びる入口管108を含む。弁座104は、入口管の端部に設けられていることが好ましい。いくつかの実施形態では、入口管108の端部は弁座を形成している。いくつかの実施形態では、膜105は、入口管にほぼ垂直である(例えば、入口管の長手方向の軸線に垂直)。いくつかの実施形態では、入口管は膜に当接し、このエラストマー膜を、弁座と接したときに偏向させることで、膜は弁座に対する膜の張力によって付勢され、弁座とシールを生成する。
【0178】
出口チャンバ102は弁座104を囲む。弁部材(すなわち膜105)が弁座を密閉しているとき、入口圧は、弁座104の形状寸法によって決定される弁部材の第1の面積又は部分にわたって作用する。弁部材が弁座から変位されると、入口圧Pcは弁座面積(第1の面積)にわたって弁部材に作用し、出口チャンバの背圧Pbは、弁座面積の外側の弁部材の面積である第2の面積にわたって作用する。いくつかの実施形態では、弁部材の第2の面積は弁部材の第1の面積よりも大きい。入口圧Pcと背圧Pbとの間の圧力差は、弁部材105と弁座104との間の間隙109を通過するガス流の圧損によって生じる。弁部材の面積は弁座の面積よりも大きいため、弁部材が弁座から変位されると、入口圧及び出口圧は弁部材のより大きな面積に作用する。
【0179】
いくつかの実施形態では、入口管108の当接端104はその周縁部が傾斜し、弁座104を形成している。斜端104aは、エラストマー膜に接する入口管の端部の表面積の量を低減し、弁座と膜との間の密封の確保を補助してもよい。管の傾斜縁部は膜を損傷させる可能性があるほど鋭くはない。斜端は管の外側周縁部にあってもよい。管の当接端104は、曲線、平坦、三角形、傾斜付き、又はこれらの組み合わせを含む任意の数の形状であってもよい。
【0180】
膜(すなわち弁部材)105は、適切なエラストマー材料、例えば、ゴム又はシリコーン材料又は他の弾性材料から形成されていてもよい。材料は、熱可塑性又は熱硬化性材料であってもよく、又は熱可塑性フィルムであってもよい。膜材料は、非多孔質であってもよく、又はいくつかの実施形態では、例えば、閾値を超える圧力において弁部材に連続的な排出流を通過させるために多孔質であってもよい。厚さおよそ0.4mmのゴム材料を用いて1つの試作弁を作成した。他の試作品は0.1mm~0.3mmの厚さを有し、0.3mmが好適である。異なる材料組成及び/又は形状寸法の別の膜も用いてよいことは理解すべきである。異なる材料には、例えば、異なる各々の弾性率を有する、ゴム、熱可塑性物質、シリコーン等を含んでもよい。異なる形状寸法には、異なる厚さ、形状、又はこれらの組み合わせの膜を含んでもよい。例えば、膜は増厚領域を含んでもよい。増厚領域は、膜の増厚円形中央部又は増厚径方向リブとして形成されていてもよい。例えば、弁座104を支持するための増厚中央部105aを有する膜が図12B及び図12Cに示される。増厚中央部105aの周囲に延びる膜の部分105bは、PRVの所望の特性を与えるのに適切な厚さのものである。薄い部分105bは、弁座104に対する弁部材105の必要な付勢を与えてもよい。図12Bにおいて、薄い部分105bの断面厚さはその径方向の長さにわたって一定である。図12Cにおいて、薄い部分105bの厚さは、中央増厚部105aから出口チャンバ102の壁106における膜105の外周部まで、その径方向の長さに沿って減少する。図12D及び図12Eの例示的実施形態では、膜105にリブ105c、105dを設けている。図12Dにおいて、リブ105cは径方向リブ105cである。径方向リブは、その径方向の長さに沿って一定幅を有してもよく、又は示されるように、膜の外周部に向かい、その長さに沿って幅が増加してもよい。図12Eにおいて、リブ105dは同心リブ105dである。リブ105dは、PRVの所望の特性を実現するために、例えば、膜が弾性変形する手法に作用するために適用されてもよい。
【0181】
出口チャンバ102からの出口103は、PRVの出口チャンバからの流れに抵抗を与える。流れ抵抗は、部材を弁座104から押す又は強制的に離すように弁部材に作用する圧力Pb(背圧)を出口チャンバ102内に生成する。いくつかの実施形態では、1つより多い出口があってもよく、又は換言すると、出口103は、複数の出口穴又はアパーチャ103を含んでもよい。チャンバ圧力Pbは、チャンバ102を通る流れ及びチャンバ102からの出口103の構成によって設けられる制限部によって出口チャンバ102内に生じる背圧である。チャンバ102内に背圧を生じさせるために、いくつかの実施形態では、チャンバからの出口103は、弁座104と弁部材105との間の間隙109よりも大きな流れ抵抗を有するように構成されている。入口圧Pcと背圧Pbとの間の圧力差は、弁部材105と弁座104との間の間隙109を通って流れるガス流の圧損によって生成される。
【0182】
弁部材と弁座は、入口101と出口チャンバ102との間に動的可変流量制限部109を設ける。動的可変流量制限部は、PRVの入口の入口圧及び出口チャンバの出口圧又は背圧に依存する。入口圧及び/又は出口圧が増加するにつれて、動的可変流量制限部109は減少する。出口103は、「一定の」流量制限部、又は入口圧及び出口圧から独立した流量制限部を提供する。換言すると、出口制限部は変化する入口圧又は出口圧によって変化しない。しかしながら、以下で更に詳述するように、いくつかの実施形態では、出口の制限部はユーザによって調節されてもよい。
【0183】
図2A図2Cの実施形態では、弁座は、入口圧Pcが弁座の直径(図12AではD)によって画定される弁座面積にわたって弁部材に作用するように、入口101の端部にある。弁部材105が弁座104から変位されると、入口圧は弁座面積にわたって弁部材105に作用し続け、背圧Pbは、弁座の外側の面積にわたって弁部材に作用する。したがって、背圧Pbは、弁部材面積マイナス弁座面積に等しい弁部材の面積に作用する。
【0184】
図13A図13Cは、弁座104が出口チャンバ102の入口にある別の実施形態を示す。入口管は出口チャンバを囲んでいる。弁部材膜105の周縁部は、膜が弁座104上で伸張された又は張力がかけられた状態で入口管の壁108によって支持又は保持されてもよい。弁部材105が弁座104に着座すると、入口101の入口圧Pcは、弁座104の外側の面積(すなわち、弁部材面積マイナス弁座面積)にわたって弁部材105に作用する。弁部材105が弁座104から変位されると、入口圧は、弁座面積の外側の面積にわたって弁部材105に作用し続け、出口ベント103によって生成された出口チャンバの背圧Pbは弁座面積にわたって弁部材に作用する。デバイスは、出口チャンバを囲む入口管を含み、弁座は、出口チャンバへの開口部に設けられている。
【0185】
PRVが様々な動作流量にわたってほぼ一定の開放圧(圧力帯内)を達成することが望ましい場合がある。弁が開放圧を既定の圧力帯内に調整することができる流量範囲は、弁の有効動作範囲と呼ばれ得る。例えば、図3に示すように、一実施形態において、PRVは、約5L/min~35L/minの流量範囲にわたって約18~20cmH2Oの圧力帯を達成する。所望の圧力帯及び流量範囲を達成するために特定の弁が開発されてもよい。記載されるPRVの更なる利点は、システム流量が所望の動作範囲よりも高く設定されている場合でも、範囲外の高流量における開放圧を低減することによってPRVが安全動作に至ることである。弁の性能に影響を及ぼす要素について、以下でより詳細に記載する。
【0186】
一定の開放圧のPRVにより、所与の動作流量範囲において、システム内の圧力及び/又はユーザに送達される圧力が圧力帯を超えて上昇しないことが確実となるので、実質的に一定の応答が望ましい。これにより、システムによって送達される流量が動作範囲の上端である場合、過圧力に対するユーザの安全性を向上させる。本明細書中に記載される実施形態によるPRVは、また、圧力が従来技術の弁と比較してある流量範囲にわたって一定に維持されることから、より広い動作流量範囲を可能にし得る。これは、より広い流量範囲を高流量療法などの呼吸治療で使用できることから有利である。
【0187】
本明細書中に記載される実施形態によるPRVの動作を、図3図6を参照して記載する。入口101内の圧力Pcが膜の力に打ち勝つのに十分である場合、膜105は弁座104から変位され、ガスを、入口101から弁座104と弁部材105との間の間隙109を通って出口チャンバ102へと送る。ガスは、その後、出口チャンバから、出口103(単数)又は出口(複数)を通って大気に送られてもよい。
【0188】
ガスが出口チャンバ102内を流れると、膜105に作用する圧力PBが出口チャンバ内に生成される。流量が増加するにつれて、出口チャンバ内のこの圧力は「二乗則」に従い累進的に増加してもよい。すなわち、圧力は流量の二乗にほぼ比例する。出口チャンバ内の圧力の増加速度は、チャンバの体積が弁部材の動きによって膨張する際には、二乗則に比べて低い速度で増加してもよい。
【0189】
弁100を通る流量が増加するにつれて、出口チャンバ102内の圧力は増加し、膜105と弁座104(例えば入口管の当接端)との間の間隙109は更に広がり、間隙109によって与えられる流れ抵抗を累進的に減少させる効果を有し、入口管内の圧力Pcを、図3に示すように、約35L/minから約80L/minに減少させる。換言すると、入口101から出口103までのPRV内の総圧損が減少する。
【0190】
流量が更に増加するにつれて、膜105と弁座104との間の間隙109は更に一層広がり、最終的に、入口管108内の圧力Pcと出口チャンバ102内の圧力PBとが等しくなり始める地点に達する。換言すると、弁座104と弁部材105との間の間隙109における圧損はゼロに近づく。入口圧とチャンバ圧力は、動作時、実際には等化を達成しない場合があるが、等化に向かう傾向はあり得る。図3において、入口圧と出口チャンバ圧力は約120L/minの流量においてほぼ等化されている。この流量は、PRVの有効「一定」動作範囲の範囲外である。
【0191】
出口チャンバ内の圧力Pbと入口圧Pcが等化に向かう傾向がある際、入口101から出口チャンバ102までの圧損は減少し、PRV100内の圧損は、出口チャンバ102から周囲への出口103において優勢となる。換言すると、PRV内の圧損は、出口チャンバ102から周囲までにおいて優勢となる。出口チャンバから周囲までの圧損が優勢になると、入口圧Pcは「二乗則」に従い増加する。換言すると、PRV100の総圧損は、出口チャンバ102の圧力Pbが優勢になると「二乗則」に従い増加し始める。図3に示す例示的な弁の特性においては、これは約100L/minで起こる。PRVの圧損は、弁の有効動作流量範囲の範囲外で二乗則に従い増加し始める。図3に示すデータは例示的な弁のものを提供しており、本明細書中に記載される実施形態による他の弁は異なる流れ/圧力特性を呈する。圧力が二乗則に従い増加し始める地点を含む特定の弁の性能は、様々な要素に依存する。これら要素については以下で更に詳述する。
【0192】
従来技術の弁では、弁の圧損は、弁座と弁部材との間の間隙において優勢である。弁部材が弁座から離れることで弁が「開く」又は開放すると、弁座と弁部材との間の間隙における圧損は流量に比例して累進的に増加し、直線的に増加する場合がある。これに比べ、本明細書中に記載される実施形態によるPRVは流量の二乗に比例して実質的に増加するが、PRVの圧損が増加し始める地点はオフセットする。この本明細書中に記載される実施形態によるPRVと従来技術の弁との間の比較を、図6に概略的に示す。本明細書中に記載される実施形態による弁(図4の圧力曲線121)は広い流量範囲にわたって実質的に一定の開放圧を維持する。弁の圧損(Pc)が二乗則に従い増加し始めるおおよその地点は、グラフ上に矢印で示される。PRVは、圧力が二乗則に従い増加し始める地点が弁の有効動作流量範囲の範囲外であり、弁が、弁の所期の流量範囲に対して相対的に一定の開放圧を示すように設計されてもよい。図6のグラフは単なる例示であり、圧力曲線の形状は、記載される実施形態によるPRVの効果を強調するために誇張されている。
【0193】
出口チャンバからの出口の大きさ及び数(すなわち、総出口面積)は、出口チャンバ内で生成される圧力PBに影響を及ぼす。例えば、小さな出口アパーチャを用いると流量が増加するにつれて出口チャンバ内の圧力はより速い速度で累進的に増加する。逆に、大きな出口アパーチャを用いると流量が増加するにつれて出口チャンバ内の圧力はより遅い速度で累進的に増加する。したがって、出口アパーチャの大きさ及び/又は数(すなわち総出口面積)の調節は、弁の有効動作範囲を調節するという効果を結果的に有する。このPRVの特性を変更するメカニズムを図3図5に示す。図3において、試験用PRVは出口チャンバからの単一の出口アパーチャを含んでいた。図4において、試験用PRVは、図4の試験用PRVの出口面積が図3の試験弁の出口面積の2倍になるように、同一の大きさの2つの出口アパーチャを有していた。より大きな出口面積によって、流量が増加するにつれて出口チャンバ内の圧力がより遅い速度で累進的に増加する結果となった。その結果、図4の有効流量動作範囲は広がり、図3に比べて、圧力をより広い流量範囲にわたってほぼ一定の圧力に調整する。更に、図5では、試験用PRVは、図5の試験用PRVの出口面積が図3の試験弁の出口面積の3倍になるように、3つの出口アパーチャを含んでいた。図3及び図4で試験した弁に比べると大きな出口面積によって、流量が増加するにつれて出口チャンバ内の圧力がより遅い速度で累進的に増加する結果となった。その結果、有効流量動作範囲は更に広がり、圧力をより広い流量範囲にわたってほぼ一定の圧力に調整する。
【0194】
いくつかの実施形態では、PRVは製造時に、所定の数及び/又は大きさの出口穴を有するアセンブリなどによって特定の有効動作範囲に調整されてもよい。あるいは、出口チャンバからの出口面積を選択的に調節する手段などによってエンドユーザが弁を特定の有効動作範囲に調整してもよい。このような手段は、例えば、いくつかの出口穴を選択的に開く/閉じる機能であってもよい。一実施形態において、出口チャンバは1つ以上の出口アパーチャを含んでもよく、対応する1つ以上のアパーチャを含む被覆部材がチャンバに可動的に結合されていてもよい。この部材は、出口チャンバのアパーチャと被覆部材のアパーチャとを位置合わせし、チャンバからの出口面積を最大化するように出口チャンバに対して動いてもよい。被覆部材は、チャンバのアパーチャと部材のアパーチャが部分的に位置合わせされ、出口面積が最大出口面積よりも小さくなるように、チャンバに対して動いてもよい。例えば、被覆部材は、出口チャンバに対して回転し、部材の穴とチャンバ102からの出口アパーチャ103とが位置合わせされる位置(最大出口面積)と、出口アパーチャが部分的に被覆されるように部材の穴とチャンバ102からの出口アパーチャ103とが位置合わせされない第2の位置(最小出口面積)との間で動くように回転可能に結合されている、穴を有するリング部材であってもよい。あるいは、取り外し可能なカバーを有する複数の出口アパーチャ103があってもよく、出口面積は、1つ以上の出口アパーチャ103からカバーを取り外すことによって可変である。
【0195】
小さな出口面積は、相対的に高い流れ抵抗を生成し、出口チャンバ102内に相対的に高い背圧をもたらし、部材を当接する入口管又は弁座104から離れる方に更に「押す」ように弁部材105に作用する。その結果、弁は、弁がその所定の最大開放圧にどれほど急激に達するかを示す相対的に短く急峻な「屈曲部分(knee)」を含む圧力曲線を持つ短い有効動作範囲を有する。逆に、大きな出口面積はより低い流れ抵抗を生成し、部材を当接する入口管から離れる方に更に「押す」ように弁部材に作用するより低い背圧をもたらす。より大きな出口面積は、相対的により長く丸みのある「屈曲部分」を含む圧力曲線を持つ広い有効動作範囲を提供する。この概念を、図7に更に示す。参照番号123は、静的漏れ、急峻な「屈曲部分」がなく、一定の開放圧を有する理想的な弁圧力曲線を示す。曲線124は、圧力曲線が広い有効流量動作範囲及び相対的に長く丸みのある「屈曲部分」を有する、相対的に大きな出口面積を含む弁の圧力曲線を示す。比較のために、曲線125は、圧力曲線がより短い有効流量動作範囲及び相対的に短くより丸みのない「屈曲部分」を有する、相対的に小さな出口面積を含む弁の圧力曲線を示す。
【0196】
出口チャンバ102からの出口(単数)又は出口(複数)103は、チャンバ102からの流れにある量の抵抗を与え、したがって、弁座から弁部材を移動させるように作用するチャンバ内の圧力の量に影響する。出口の面積の影響については上述した。また、出口チャンバからの出口の長さは出口チャンバ内の圧力に影響を及ぼす可能性がある。例えば、図2A図2Cに示すように、いくつかの実施形態では、出口は、出口チャンバの壁内に1つ以上のアパーチャを含んでもよい。いくつかの実施形態では、PRVは、出口チャンバから延びる出口管(図示せず)を含んでもよい。出口管の長さは、出口チャンバ内で生成される圧力レベルに影響し得る流れ抵抗を提供してもよい。
【0197】
出口チャンバからの出口の位置はPRVのガス流動態にも影響し得る。このように、出口の位置により、出口チャンバ内で生成される圧力の量に後に影響し得るいくらかの流れ抵抗を提供してもよい。出口の形状もまたPRVの性能に影響し得る。
【0198】
図2A図2C及び図12Aの実施形態に示されるように、好ましくは、出口は、弁部材の外周部と弁座及び/又は入口及び/又は入口管の外周部との間に径方向に配置されている。弁部材の外周部と弁座との間に出口を配置することで、出口チャンバ内に、弁部材に対する流路を生成するのを助ける。いくつかの実施形態では、入口、弁部材、弁座、及び出口は、ガス流がチャンバに入る際に出口チャンバを通るガス流が弁部材に対して導かれ、90度を超える角度にわたって弁部材から跳ね返り、出口を通ってチャンバを出るように配置されている。いくつかの実施形態では、図示されるように、入口は、ガス流を出口チャンバ内に弁部材に垂直に導くように配置されている。チャンバに入る流れの方向は、出口チャンバを出るガスの流れの方向と実質的に反対であってもよい(例えば、出口からの流れの方向は、入口からの流れの方向に対し約180度である)。いくつかの実施形態では、出口は、弁部材に対向する出口チャンバの壁内にある。いくつかの実施形態では、出口ベント103は、入口管101と同心の出口管に設けられていてもよい。いくつかの実施形態では、出口ベントは弁部材の外周部の近傍に位置してもよい。代替的に又は付加的に、いくつかの実施形態では、出口ベント(単数)又はベント(複数)103は弁部材内に設けられていてもよく、(例えば、弁部材内のアパーチャ)又は弁部材は多孔質であってもよい。例えば、多孔質であるか、弁座面積の外側の面積内の弁部材内に1つ以上のアパーチャを有するかである。弁部材の全体が多孔質であってもよく、弁部材が弁座に接しているときでも弁部材を通る一定の漏洩流が生じる。
【0199】
更に、出口チャンバ102の大きさは弁の性能に影響を及ぼす可能性がある。例えば、非常に大きな出口チャンバは加圧するのにより長い時間がかかるため、「穏やかな」開放特性を備える弁特性をもたらす可能性がある。これに対し、小体積の出口チャンバはより素早く加圧され得るため、弁座から膜がより素早く上がることになる。いくつかの実施形態では、出口チャンバは、弁部材が弁座に接しているときにはゼロ体積、弁部材が弁座から離れるとゼロを超える体積を有してもよい。ゼロ体積チャンバにおいて、弁部材105が弁座104に接しているとき、弁部材はチャンバ102の壁に載置されていてもよい。壁は湾曲していても平坦であってもよい。出口面積が出口チャンバ内で生成される圧力に応じて可変であるように、弁部材105が持ち上がるにつれて弁部材は出口穴を露出させてもよい。代替的に又は付加的に、出口チャンバ102にガス流を入れるために弁部材105が弁座104から離れて持ち上がるにつれて、弁部材は出口チャンバからの出口の流れ抵抗を変化させてもよい。例えば、弁部材と出口チャンバからの出口との間の間隙は弁部材が弁座から離れるにつれて変化し、出口の流れ抵抗を変化させてもよい。好適な実施形態では、チャンバ内のガス流の速度が弁座と弁部材との間の間隙を通るガス流の速度よりも実質的に低くなるように、弁チャンバは十分な体積を有する。いくつかの実施形態では、チャンバ内のガス流の速度はチャンバからの出口を通るガス流の速度よりも実質的に低い。
【0200】
上述のように、いくつかの実施形態では、入口管108は、膜が管の端部に当接し、弁座を設けるように、出口チャンバ102内に延びる。弁の特性を調節することができる代替的な又は付加的な手段は、入口管がチャンバ内に延びる距離、ゆえに、膜が弁座上でどれほど伸張される又は張力をかけられるか、を変化させることによる。膜を弁座から離れる方に持ち上げるのに必要な入口圧は、膜が弁座上で張力をかけられる量に直接関係する。いくつかの実施形態では、入口管、ゆえに、弁座104が膜105及び出口チャンバ102に対して移動し、弁座104と当接しているときの膜の張力を調節することができるように、入口管108は出口チャンバ102に、例えば、摺動係合で可動的に結合されていてもよい。図11Aは、膜105がより張力がかけられていない状態にある、第1のより伸張していない位置に配置された入口管を示し、図11Bは、膜がより張力がかけられた状態にある、第2の伸張位置に配置された入口管を示す。出口チャンバ内への管の異なる伸張量に対する実験データを図8に示す。圧力曲線126は、入口管が非伸張位置にあるPRVの入口圧(Pc)であり、曲線127は、入口管が第1の位置を越えて最初に伸張したPRVの入口圧(Pc)であり、曲線128は、入口管が第1の伸張位置を越えて伸張したPRVの入口圧(Pc)であり、129は、入口管が第2の伸張位置を越えて伸張したPRVの入口圧(Pc)であり、曲線130は、入口管が第2の伸張位置を越えて更なる伸張位置まで伸張したPRVの入口圧(Pc)である。図8は、出口チャンバ内への入口管の伸張により膜の張力が大きくなると、より大きな開放圧が得られることを示す。実際、チャンバ102又は弁部材105に対する入口管の動きは、チャンバ102及び/又は弁部材を管に対して移動させることによって達成されてもよい、すなわち、入口管の位置は他のシステム又は弁構成要素に対して固定されている。例えば、弁部材はチャンバにねじインターフェースにより取り付けられてもよく、チャンバ内における弁部材の位置を調節することで、弁座に対する弁部材の相対位置も調節する。例えば、図18BのFCPRVに示すように、チャンバ102は、弁部材を弁座に対して移動させるための調節機構を含んでもよい。
【0201】
いくつかの実施形態では、入口管は呼吸ガス供給システムに固定されていてもよい。膜と弁座の相対位置を調節するために、膜は出口チャンバとともに、ガス供給システムの所定の位置に取り付けられたままの管に対して移動させてもよい。
【0202】
上述のように、弁部材はチャンバ102に固定されていてもよく、チャンバ102は入口管108と摺動係合していてもよいが、他の構成が可能な場合もある。例えば、いくつかの実施形態では、入口管は、ねじ機構又は差込み型取付具によって出口チャンバに係合してもよい。ユーザは、膜が入口管の当接端上を更に押すように、出口チャンバを入口管に対して回転させ、出口チャンバ及び膜を入口管に対して長手方向に移動させてもよい。調節機構は、不連続な調節段階(例えば、周知の圧力設定に相当)又は段階のない連続的な調節範囲を提供してもよい。
【0203】
入口管断面積及び/又は弁座面積は、PRVの性能に影響する場合がある。例えば、入口管面積又は弁座面積が小さくなるほど入口圧が作用する膜の面積が小さくなり、面積が小さくなるほど膜を弁座から離れる方に持ち上げるためにより大きな入口圧が必要になる。また、膜の総面積に対する入口管又は弁座の面積の比率は、所与の膜の張力におけるPRVの性能に影響する場合があり、膜の大きさの変化は張力の変化ももたらし、更に弁性能を変更する可能性がある。
【0204】
本明細書中に記載される実施形態では、出口チャンバ内の圧力が作用する弁部材の面積は、弁座/入口の面積(弁部材が弁座に着座しているときに入口圧が作用する面積)よりも大きい。弁部材の面積が大きくなるほど出口チャンバ内の圧力Pbが弁部材に作用する力は大きくなり、したがって、弁部材を弁座から押すために出口チャンバ内の圧力が及ぼす影響が大きくなる。入口管断面又は弁座の形状もPRVの性能に影響する場合がある。
【0205】
膜の材料及び/又は形状寸法は、特定の弁特性を実現するように決定してもよい。例えば、膜の形状寸法、断面形状、及び面積を全て総合して膜のばね定数又は張力を決定する。更に、膜の張力の量は、製造中、PRVの組み立て中に膜の伸展量を設定することによって設定してもよい。付加的に、弁座に対する膜の張力の量は、可動入口管に関連して上述したように、PRVの性能に影響する。
【0206】
上述の実施形態では、弁部材は膜である。別の実施形態では、弁部材はプランジャ型弁部材を含んでもよい。図9A図9Cを参照すると、図示されているPRV200は、入口201と、出口チャンバ202と、入口と出口との間の弁座204と、付勢され弁座204を密閉するプランジャ型弁部材205と、を含む。プランジャ型弁部材は付勢部材210(ばね)によって付勢され、弁座を密閉する。出口チャンバからの出口203が弁部材205の周縁部と出口チャンバの壁206との間に設けられている。出口203は周囲圧力又は大気圧に開かれている、すなわち、弁部材が向かう方のチャンバの開放側又は変位側207は変位チャンバ207と呼ぶことができ、変位チャンバは大気圧に開かれている。PRV200はハウジング206を含んでもよい。出口チャンバは、ハウジングの加圧側202であると考えられてもよく、変位チャンバは、ハウジングの周囲側207であると考えられてもよい。ハウジングの加圧側と周囲側との間の境界はプランジャが動くと移動する。周囲圧力(大気圧)はプランジャの非加圧側212に作用する。非加圧側は、プランジャの、弁座を密閉する側とは反対側のプランジャの側である。入口201は、例えば、膜弁部材を含む先の実施形態を参照して記載したような、出口チャンバ内に延びる入口管208を含んでもよい。
【0207】
弁部材205は、圧力閾値を超えて増加する入口の圧力Pcによって弁座から変位するように適合されている。圧力Pcは弁部材に作用し、圧力Pcが閾値に達すると、例えば、図9Bに示すように、部材を弁座204から強制的に離す。部材が弁座204から変位すると、ガス流は入口201から出口チャンバ202に、その後、出口チャンバから、プランジャ205とチャンバの壁206との間に画定される出口203を通って流れる。チャンバ202からの出口203は、出口203を通るガス流が出口チャンバ202内に、弁部材205に作用し、例えば、図9Cに示すように、弁部材205を弁座204から更に変位する(背圧)圧力Pbを生じさせるように構成されている。PRV内の流れが増加するにつれて、出口チャンバ内の背圧は増加し、弁座204と弁部材205との間の間隙209は更に増加する。最終的に、入口管208内の圧力Pcと出口チャンバ202内の圧力PBは等化に向かう傾向がある。出口チャンバ内の圧力Pbと入口圧Pcが等化に向かう傾向がある際、入口201から出口チャンバまでの圧損は減少し、PRV内の圧損は、出口チャンバ202からの出口203において優位になる。換言すると、PRV内の圧損は、出口チャンバ202から周囲において優位になる。出口チャンバから周囲までの圧損が優勢になると、PRVの入口の圧力Pc(すなわちPRVの圧損)は、その後、「二乗則」に従い累進的に増加する。図9A~9Cの実施形態は、したがって、図3図5を参照して上述した特性を達成することができる。
【0208】
図10A及び図10Bを参照すると、別のプランジャ型圧力開放弁では、PRVからの出口は、弁部材205内の1つ以上のアパーチャ203b(図10A)によって設けられてもよく、又はPRVは出口チャンバ202からの出口203cを含んでもよい。図10A及び図11Bの実施形態では、プランジャ弁部材205は、出口チャンバ202の壁206と摺動シールを形成しているピストンである。しかしながら、シリンダハウジングと摺動関係にあるピストンを含む一実施形態では、ピストンとシリンダとの間に、例えば、シリンダ壁内のチャネルによる、又はピストンの外周部の切り抜き若しくは切り欠きによる流路があってもよい。このようなピストンとシリンダとの間の流路はピストン内のアパーチャに追加するものであってもよい。
【0209】
上述の膜弁の他の特徴は図9A図10Bを参照して記載したPRVなどのプランジャ型弁に等しく当てはまり得る。例えば、ばねの一端はチャンバ202に対して固定されていてもよく、ばね210がプランジャ205に加える張力を変更するために入口管208はチャンバ202に対して調節可能であってもよい。図10A及び図10Bの実施形態を参照すると、プランジャ内又はチャンバ壁内の出口アパーチャ203b、203cの面積は調節可能であってもよい。付加的に又は代替的に、付勢部材(例えば、ばね)の伸張又は圧縮は調節可能であってもよい。図中、ばね210は伸張したばね(これは弁部材に接続されたコイルばね若しくはダイヤフラム部材又は任意の他のばね要素であり得る)として示されるが、別の実施形態では、圧縮したばね(圧縮したコイルばね、ゴムブロック、又は板ばね、又は任意の他のばね要素)は弁部材の反対側に作用してもよい。
【0210】
図12Aは、試作弁の断面図である。記載されるいくつかの実施形態による弁の一例として、この弁は以下の寸法を有する。
【0211】
弁座直径及び/又は入口直径は20mmである。いくつかの実施形態では、弁座直径及び/又は入口直径は5mm~100mmの範囲内であってもよい。弁座面積は、弁座直径(図13AのD)によって画定される面積であるとみなされることに留意されたい。このため、20mmの弁座直径において、弁座面積は約315mm2である。
【0212】
したがって、20mmの弁座直径及び60mmの弁部材直径において、弁座面積に対する弁部材面積の比率は約9である。
【0213】
膜外径は60mmである。いくつかの実施形態では、膜直径は10mm~200mmの範囲内であってもよい。
【0214】
チャンバからの出口の出口面積は、54mm2、108mm2、及び162mm2(直径8.3mmのアパーチャ)である。アパーチャは丸形/円形である必要はない。これら面積は、図3図4及び図5にそれぞれ示されるデータを提供する弁に相当する。いくつかの実施形態では、出口面積は、12mm2~200mm2の範囲内であってもよい。
【0215】
同等の性質を備えるシリコーン膜又は材料において、膜厚は0.3mmである。いくつかの実施形態では、膜厚は0.05mm~1mmの範囲内であってもよい。
【0216】
出口チャンバの体積は32mLである。
【0217】
変位チャンバの体積は55mLである(制限が望まれない限り、弁部材を制限しないほど十分なものとすべきである)。
【0218】
いくつかの実施形態では、膜厚に対する膜直径の比率は、20~2000の範囲内であってもよい(例えば、膜直径20mm及び厚さ1mm~膜直径200mm及び厚さ0.1mm)。膜厚に対する膜直径の別の表示的比率は、直径10mm及び厚さ0.5mmにおいて、50である。
【0219】
いくつかの実施形態では、入口又は弁座104、204の面積に対する弁部材105、205の面積の比率は、1.2~1600の範囲内であってもよい(例えば、膜直径20mm及び入口直径18mm~膜直径200mm及び入口直径5mm)。
【0220】
いくつかの実施形態では、PRVは、PRVを通る100L/minの流量範囲にわたって5cmH2O未満の開放圧範囲を維持するように適合されている。
【0221】
いくつかの実施形態では、PRVは、少なくとも2つの出口チャンバを直列で含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、PRVは、第1の出口を有する第1の出口チャンバと、第2の出口を有する第2の出口チャンバと、を含んでもよい。第2の出口チャンバは、第1の出口からガス流を受け入れる。
【0222】
弁部材は、圧力閾値を超えて増加する入口の入口圧によって弁座から変位し、ガス流を入口から第1の出口チャンバに流すことができる。ガス流は、その後、第1の出口チャンバから第1の出口を通って第2の出口チャンバに送られ、その後、第2の出口を通って第2の出口チャンバを出る。第1の出口及び第2の出口はそれぞれ、各第1の出口チャンバ又は第2の出口チャンバの壁内に複数のアパーチャを含んでもよい。第1の出口及び第2の出口を通るガス流によって第1の出口チャンバ内の出口圧(背圧)が入口圧とともに弁部材に作用し、弁部材を弁座から更に変位する。2つ以上の出口チャンバを直列に有することで、PRVが所望の圧力開放プロファイルを達成するための調整において更なる利点を提供し得る。第1の出口及び第2の出口のそれぞれにより与えられる出口抵抗は、単一出口チャンバ実施形態を参照して上述したように、いくつかの実施形態では調節可能であってもよい。
【0223】
いくつかの実施形態では、PRVは、少なくとも2つの出口チャンバを、例えば、図2Dに示されるように並列で含んでもよい。弁部材105が第1の弁座104-1から持ち上がると、排出流は、まず、第1のチャンバ102-1の排出出口(単数)又は排出出口(複数)103-1を流れてもよい。第1のチャンバ内の圧力Pb-1が閾値まで蓄積すると、弁部材は、その後、第2の弁座104-2から持ち上がり、第2の出口チャンバ102-2へと流れ、第2の出口チャンバ102-2の少なくとも1つの排出出口103-2を通じて排出されてもよい。代替的に又は付加的に、弁は、第1の出口チャンバと第2の出口チャンバとの間にアパーチャ又は流路102aを含んでもよい。第1の排出出口103-1を通る流れは、弁部材に作用する第1のチャンバ102-1内の背圧Pb-1を生成する。第2の排出出口103-1を通る流れは弁部材に作用する第2のチャンバ102-2内の背圧Pb-2を生成する。
【0224】
上述の実施形態によるPRVは、従来技術の弁に勝るいくつかの利点を有し得る。従来技術の弁では、圧力開放閾値を超えると、また、流量が増加するにつれて、システム内の圧力は流れに比例して累進的に増加する。その結果、患者及びシステムの構成要素は、流量が増加するにつれて次第に高くなる圧力に曝される可能性がある。本明細書中に記載される実施形態によるPRVでは、弁部材が弁座から離れて持ち上がると、出口チャンバ内に圧力PBが生成され、弁部材に作用し、弁座の流量制限を更に減少させる。これは、PRVの圧損が増加し始める地点がオフセットするという有利な効果を有し得る。したがって、弁の「有効動作範囲」を従来技術の弁のものに比べてより広い流量範囲にわたって延ばすことができる。
【0225】
膜弁部材を含む実施形態においては、膜は、非常に長く柔らかいばねと同様に働く低いばね定数を有する。低いばね定数は、弁の流れ抵抗を実質的に低減するのに望ましい場合がある。更に、膜は設計の柔軟性を提供し、例えば、低いばね定数を達成するために、長いばねを用いる弁に比べて長さの短い弁を可能にする。
【0226】
付加的に、膜は、有利には、弁部材、弁作動又は付勢部材としての役割を同時に果たす(例えば、弁部材及び密閉部材に加えてばねを必要とすることの代わりとなる。その結果、製造コストは大幅に低減される可能性があり、可動部品の潤滑が必要なく、汚染を防ぐために有用である。また、膜は、張力下で(低張力でも)確実なシールを提供する。
【0227】
使用時、膜の低質量(すなわち、膜は軽量である)によって、膜の振動は最小限である。特に、膜の低質量は、振動する又はがたつく/粗動する可能性のあるプランジャ型弁部材を有する従来技術の弁と比較すると、膜の運動における低慣性を提供する。また、低慣性は、重力、したがって向きが弁の動作に及ぼす影響が最小限であることを意味する。
【0228】
本明細書中に記載されるいくつかの実施形態では、PRVの特性は調節又は調整されてもよい。例えば、出口チャンバの出口面積及び/又は若しくは付勢部材の膜の張力は、弁の性能を調整するために(例えば、入口管/弁座と弁部材との相対位置を調節することによって)調節されてもよい。弁の圧力開放特性が様々な流量にわたってほぼ一定であるように弁を調整することが望ましい場合がある。調整性は、システムのユーザにより高い柔軟性を与える。いくつかの実施形態では、弁の2つ以上の特徴は同時に調節されてもよい。例えば、弁体の一部分を弁座に対してねじ止めすることによる膜張力の調節により、弁体からの排出出口の大きさを同時に変更してもよい。例えば、より高い圧力に設定する場合、動作流量範囲もまた、出口面積が増加することにより延長されてもよい。更なる例では、入口管101を移動させることにより弁座の位置を変換することで膜張力を変更すると、流量制限部152の大きさを同時に変更してもよい。
【0229】
上述の実施形態では、背圧Pbは弁部材に作用する。背圧は、排出出口(単数)又は排出出口(複数)103により設けられた流量制限部によって生成される。いくつかの実施形態では、排出出口は、弁部材に対する背圧がほとんど又は全く生成されないほど十分に大きくてもよく、この場合、周囲圧力は弁座面積の外側で(図2A)又は弁座面積上で(図13A)弁部材に作用する。このような弁では、弁部材を持ち上げるのに必要な圧力は弁座に対する弁部材の付勢によって決定される。膜弁部材を含む好適な実施形態では、膜は、相対的に「平らな」又は「一定の」排出圧が達成され得るように低いばね定数を呈する。更に、低いばね定数は低い弁高さで達成される。いくつかの実施形態では、弁部材はダイヤフラム膜により弁座に対して付勢されてもよく、又は弁部材はダイヤフラム/膜である若しくはダイヤフラム/膜を含む。このような弁は、図12Aに示すように構成されていてもよいが、排出出口103からの流れが背圧Pbを生成しないように大きな出口排出アパーチャ103を有する。
【0230】
弁は、異なる気道流量制限(airway flow restriction)を呈し得る異なる患者群(すなわち、成人、新生児等)用の「安全な」圧力に調節又は設定されてもよい。これは製造時又は使用前に医療関係者によって設定されてもよい。更に、弁特性の調節により、弁を他の(非呼吸)システムで用いることを可能にしてもよい。
【0231】
いくつかの実施形態では、PRVは、例えば、小児蘇生で使用するための呼気終末陽圧(PEEP:peak end expiratory pressure)及び吸気最大気道内圧(PIP:peak inspiratory pressure)を提供するための圧力調整デバイスとして使用するように適合させてもよい。図1Aは、フロー源12と、患者安全圧力限界を提供する任意のPRV100-1と、医療専門家(例えば看護師)に圧力を示すための圧力計と、マスク115で又はその近傍で提供されるPEEP及びPIPを供給するように構成されたPRV100-2と、を含むシステムを示す。PEEP及びPIPを供給するように構成されたPRV100は、専門家によって、すなわち指によって閉塞させることができる少なくとも1つの出口ベント103aと、閉塞させることができない少なくとも1つの出口ベント103bと、を含む。ベント103bを専門家が遮断/閉塞できないように、ベント103b上にカバー又はバッフル103cがあってもよい。図1Aに記載されている流れ図は、PEEP及びPIPを供給するように弁を調整又は構成するための方法を説明する。ステップ41において、マスク115とのマスクシールが作成され、ステップ42において、フロー源がガス流をマスク115に供給するための入力流量が設定される。ステップ43において、専門家がアクセス可能/閉塞可能出口ベント103aを指で遮断し、弁部材に対する背圧により弁の開放圧を低減するように作用する。弁は、その後、ステップ44において、例えば、弁部材付勢を調節すること及び/又は閉塞させることができない出口ベント103bの大きさを調節することによって所望のPEEPを達成するように調整される。ステップ45において、出口ベント103aは遮断解除され、ステップ46において、閉塞可能出口ベント103aは所望のPIP圧力を達成するように調節される。したがって、使用時、医療専門家は閉塞可能排出出口を遮断してPEEPを提供し、閉塞可能ベントを遮断解除してPIPを提供する。PEEP及びPIPを提供するための使用に適応させたPRVは、この目的のために使用される従来技術のデバイス、例えば、国際公開第03/066146号に記載されているようなデバイスを代替してもよい。
【0232】
本発明の弁では、漏れは更なる出口面積と同等のものを提供するのみであるため、弁からの漏れは弁の動作にほとんど影響がない可能性がある。そのため、漏れは出口穴の効果に一層寄与する。つまり、出口チャンバからの漏れは出口チャンバから出る流れの抵抗を少なくし、弁膜に作用する背圧の量を低減して、当接する入口管から離れる方に膜を更に「押す」。「漏れ」の例としては、可能性は低いが、組み立て時に意図せずに形成される膜の縁部周囲の小流体通路(すなわち、膜が弁チャンバの半片間に挟まれる場所)、又は弁部材の漏れ、又は圧力調整を行うための差込み/ねじ特徴部の漏れが挙げられ得る。
【0233】
流量補償圧力開放弁(FCPRV)300
最大圧力、したがって、患者に送達され得る流量は圧力開放弁の設定開放圧によって限定される。システム内の圧損は、使用時、所与の流量に対して変化してもよい。例えば、管は、使用時、湾曲しても、曲げられても、折り曲げられても、つぶれてもよく、又は異なる患者は異なる気道制限特性を呈してもよい。管が折り曲げられる又はつぶれる又はそうでなければ部分的に閉塞する場合、部分閉塞部はシステムの付加的な流量制限部を呈する。部分閉塞部に更なる圧損が生成され、システム内の流量は減少する。(特定の圧力よりもむしろ)特定の流量を送達するように構成されたシステム、例えば、高流量システムでは、フロー源は、部分閉塞部による更なる圧損を相殺し、設定された又は所望の流量を維持するためにシステム圧力を増加させてもよい。所望の流量を維持するために増加させることができるシステム圧力又は駆動圧力の量はPRVにより提供される開放圧によって限定される。システム内の最大流量がPRVの開放圧によって限定されないように、システム内の圧損を補償する圧力開放弁を設けることが望ましい場合がある。このような弁は、患者に送達可能な流量範囲を延長する。したがって、いくつかの実施形態では、流量が増加するにつれて開放圧が増加して呼吸システム内の付加的な又は可変圧損を相殺する、システム内の流量に依存する開放圧を有するPRVを有することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、システム内の最大流量がPRVの開放圧によって限定されず、また、患者が過圧力から確実に保護されるように、圧力開放弁はシステム内の圧損を補償する。
【0234】
図14A及び図14Bは、その開放圧をシステム内の流量に比例して動的に調節する流量補償圧力開放弁又はデバイス300(FCPRV)を示す。FCPRV300の例示的な特性は図15Aに示される。図15Aを参照すると、理想的な開放弁開放圧は、線140によって示される20cmH2Oであり得る。呼吸システム、例えば、図1のシステム10は図15Aの曲線141によって示されるシステム圧損対流量特性を有し、システム内の(例えば、フロー源から患者及び周囲までの)流量が増加するにつれてシステム内の圧損は増加する。圧損曲線141は、FCPRVから鼻カニューレまでのシステム圧損(あらゆる閉塞のない)を示す、又は換言すると、FCPRVにおける圧力(Pc)を示す。20cmH2Oの開放圧に対し、システムが患者に送達することができる最大流量は約75L/minであり、これは、システム圧力対流量曲線141が20cmH2Oの開放圧線140に交差する点によって示される。システム内に付加的な閉塞部がある場合、システム内の圧損は曲線141を越えて増加し、所与の最大開放圧20cmH2Oに対する患者に送達可能な最大流量は減少するであろう。
【0235】
図15Aにおいて、圧力対流量曲線142は、図14A及び図14Bに示すように構成されたFCPRVの例示的な圧力開放対流量曲線を示す。示されるように、図14A及び図14Bに示される構成において、開放圧(曲線142)は流量の増加とともに増加する。図15Aにおいて、開放圧142はシステム圧力対流量曲線141の開放圧に追従する。これは、弁が、流れ抵抗によるシステム圧損に整合していることを示す。図示される実施形態においては、圧力開放レベルはシステム圧損を20cmH2O一貫して上回っている。図15Bを参照して以下でより詳細に説明するように、曲線141と曲線142との間のオフセット(図15Aの20cmH2O)は、患者が曝され得る最大圧力である。
【0236】
図14A及び図14Bに示されるFCPRV300は、先に記載したようなPRV100を含む。FCPRV300は、PRV100が圧力を排出する圧力閾値を、FCPRV300を通過するガスの流量に基づき動的に調節するための圧力センシング機構150を更に含む。図示される実施形態においては、センシング機構150は、FCPRVの主要入口151と主要出口153との間に流量制限部又は流量抑制部152を含む。参照を容易にするために、本明細書中では、オリフィス板などの流量制限部及びベンチュリに使用されるような流量抑制部の両方を説明するために、用語「流量制限部」が使用され得る。動作時、呼吸システム内のガス流は主要入口151から主要出口153へとデバイス300内を流れる。流量制限部152は、圧力開放弁100の弁入口101の下流にあり、ゆえに、患者への又は弁の主要出口を通る流れを検知する。センシング機構150は、また、センシングチャンバ154と、センシングチャンバ154内に位置するセンシング部材155と、を含む。センシング部材155は、センシングチャンバ154を第1のチャンバ154aと第2のチャンバ154bとに分割する。第1のチャンバ154aは流量制限部152の上流のガス流と流体連通し、例えば、第1のチャンバ154aは、制限部152の上流の主要入口151及び弁入口101と流体連通する。第2のチャンバ154は流量抑制部152の又は流量制限部152の下流のガス流と流体連通する。図示される実施形態においては、デバイスは、ベンチュリとして構成された流量抑制部を含み、第2のチャンバ154bは圧力「タップ」又は連通路156を介して抑制部と流体連通する。しかしながら、別の構成では、デバイスは流量制限部152、例えば、オリフィス板を含んでもよく、第1のチャンバ及び第2のチャンバは、オリフィス板の両側から離れて接続してもよい。差圧は、任意の他の適切な手法で、例えば、既知の圧損(流量制限部)を有する透過性の膜又はフィルタによって発生させてもよい。
【0237】
デバイスの主要入口151から主要出口153へと送られ、制限部152を通過するガス流によって生じる圧損は、したがって、センシングチャンバ154内に位置するセンシング部材155によって検知される。呼吸システム内の流量を増加するために、フロー源12によって供給される圧力が増加され、PRV入口101の圧力、及びまた、センシングチャンバ154の第1のチャンバ154a内の圧力が増加する。この圧力は図14AにPcとして示される。更に、流量が増加するにつれて、制限部152を通過するガスの速度増加により、制限部152によってより大きな圧損が生成され、センシングチャンバ154の第2のチャンバ154b内の圧力Pvは減少する。したがって、主要入口151から主要出口153へとデバイス300を通過する流量の増加はセンシング部材155の差圧の増加をもたらし、第1のチャンバ154aはセンシングチャンバ154の高(より高)圧側となり、第2のチャンバ154bはセンシングチャンバ154の低(より低)圧側となる。これにより、センシング部材155は圧力開放弁100から離れ、センシングチャンバ154の低圧側に向かって移動する。
【0238】
センシング部材155がセンシングチャンバ154のより低圧側に向かって移動するにつれて、センシング部材155がPRV100の弁部材105を弁座104に対して引く又は付勢するように、センシング部材155は圧力開放弁の弁部材に機械的に結合されている。したがって、センシング部材155は、主要入口151から主要出口153へとデバイス300を通過するガス流の流量に応じ、弁部材105を弁座104に対して付勢する。いくつかの実施形態ではセンシング部材155は、機械的リンク157、例えば、コード若しくはワイヤ(例えばナイロン線)などの可撓性部材又はロッド若しくはシャフトなどの剛性部材によって弁部材105に結合されている。いくつかの実施形態では、機械的リンクは、張力のみ(例えば、ワイヤ又は分離されたシャフト)、又は張力及び圧縮の両方(例えばシャフト)を伝達することができる。
【0239】
好適な実施形態では、センシング部材は、先で記載した圧力開放弁の弁部材105と同様の手法で構成され得るが、センシングチャンバ154内に弁座又は入口管がない膜155である。あるいは、センシング部材105は、第1のチャンバと第2のチャンバとを空気的に分離し、流量抑制部又は制限部によって提供される差圧によりセンシングチャンバ154内を移動するプランジャ又はピストンであってもよい。
【0240】
膜センシング部材を含む好適な実施形態において、第1のチャンバ154aと第2のチャンバ154bとの間の増加する差圧によってセンシング膜155がセンシングチャンバの低圧側に向かって膨張又は拡張し、弁部材105との機械的リンク157を介して、PRV100によって与えられる開放圧が主要入口151から制限部152を通り主要出口153に向かうFCPRV内の流量に比例して増加するように、図14Bに示すようにPRV弁部材105に張力を与える。
【0241】
図15Bを参照して、FCPRV300の4つの動作段階を記載する。システム圧損線141上の点1によって示される段階1において、呼吸システムは患者にガス流を供給しており、フロー源12からFCPRV300の主要入口151に供給される全て(又は実質的に全て)の流れはFCPRV300の主要出口153からシステムに送達される。点1においては、システム内の全圧力が低下するため、非常に低い圧力又は周囲圧力が患者に送達される。患者に送達される流量が例えばユーザによって上下に調節されると、PRV100の圧力開放閾値は開放圧対流量曲線142に沿って変化し、患者への流量が増加するにつれて、センシング部材155によって検知される増加する差圧は、弁部材105に作用し、PRVベント閾値圧力142を増加させる。
【0242】
所与の流量設定(図15Bの90L/min)において、例えば、患者吸気導管14の部分閉塞、又は鼻カニューレ患者インターフェース15の押しつぶされた鼻プロング、又はより重要には、例えば、鼻プロングと患者の鼻孔との間の患者における遮断によって、流量制限部がシステム12に導入される状況の段階2において、流量は瞬時に減少する場合がある。しかしながら、設定されたフローシステムにおいて、フロー源12はシステム内の圧力を増加するように(急速に)調節し、流量を所望のレベルに維持する。流量の低下、及びその後の、FCPRVの設定流量を維持するためのフロー源の応答による圧力の増加は、実質的に瞬時に、すなわち非常に素早く行われ得るため、無視できる。流量が維持されると、FCPRV300の流量抑制部又は制限部152により生じる差圧は一定に留まり、センシング部材155によって弁部材105に与えられる付勢は一定に留まるため、PRV100の開放圧閾値は一定に留まる。しかしながら、システム圧力が増加する(例えば、患者の気道/鼻内の圧力増加により)と、弁部材105(及びセンシングチャンバ154の高圧側のセンシング部材155)に作用する圧力PcはPRV100の開放圧に向かって増加する。この状況は、図15Bの垂直矢印2によって示される。部分閉塞が維持され、平衡状態に達した場合、図15Bの曲線141bによって示されるより高いシステム圧力対流量曲線が生じ、より高いシステム圧力対流量曲線141bとPRV開放圧対流量曲線142との間のオフセットは小さくなる。例えば、システム圧力141bの増加をもたらす鼻プロングと患者の鼻との間の部分遮断において、患者の鼻内に生じる圧力は、曲線141bと曲線141との間のオフセットである。
【0243】
段階3において、導入された流量制限部(例えば、押しつぶされた導管14又は患者の鼻の遮断)は、所与の流量(図15Bの約90L/min)に対する、所望の流量を維持するのに必要なシステム圧力が流量補償開放弁の開放圧142を超えるレベルに増加する。FCPRV300のシステム圧力(例えばPc)が流量補償開放圧142を超えると、PRV100は排出を開始し、主要入口151に供給された流れの一部はPRV100を通じて排出され、制限部152を通過した流れの一部は主要出口153から排出される。フロー源はFCPRVの主要入口の設定流量を維持する。したがって、PRV100が排出を開始すると、抑制部又は制限部152内の流量は減少し、センシング部材155に作用する差圧は減少する。これにより、センシング部材155により機械的リンク157を介して弁部材105に与えられる付勢が減少し、ゆえに、PRV100の圧力開放閾値は減少する。この状況は、図15Bの圧力開放対流量曲線142上の矢印3によって示される。理想的状況においては、患者が圧力開放閾値を超えることなく又は患者インターフェースの最大送達圧力を超えることなく可能な限り多くの流量を受ける平衡状態に達する。
【0244】
図15Bの点4によって示される段階4において、システムに導入された流量制限部はシステムを完全に(又は実質的に完全に)遮断してもよく、例えば、導管14は完全に閉塞される(完全につぶされる又はつまんで閉じられる)又は患者の鼻は完全に遮断される。FCPRV300の主要入口151に送達される全ての流れはPRV100を通じて排出される。入口151から出口153へとデバイス300を通過する流れがない、ゆえに、抑制部/制限部152を通過する流れがないため、第1のチャンバ154aと第2のチャンバ154bの圧力は等しく、センシング部材155は弁部材105に最小限の付勢を与える。圧力Pcの変化は、センシング膜155の差圧を変化させない。PRV100は、センシング機構150のない先の実施形態に関連して(例えば、図2A図2Cを参照して)上述したように動作するが、センシング部材155への結合によってより高い圧力閾値を有する可能性がある。この状態において、2つの膜は直列する2つのばねとして機能する。
【0245】
したがって、患者の鼻が遮断される状況において、患者が受けることができる最大圧力は、開放圧曲線142とシステム圧損曲線141との間のオフセットであり、患者を過圧力から保護する。例えば、図15Bでは、この最大患者圧力は20cmH2Oである。したがって、FCPRVは、流量に依存する排出圧閾値を提供するが、患者が受ける圧力上限も同時に設定する。FCPRV300は、FCPRVを、曲線142に沿って患者への流量をゼロに戻すようシステムを確実に排出できるようにフロー源12によって供給される最大流量を排出することが可能でなければならず、そうでなければ、示されるオフセット圧力よりも高い患者圧力が生じる可能性がある。
【0246】
上述のFCPRVの動作は、患者の鼻を密閉しない鼻カニューレなどの非密閉患者インターフェースを介してユーザにガス流を供給するシステムのものである。このようなシステム内のガス源は、圧縮ガスタンク、又は病院の壁の流量計供給部、又は十分な流量を供給することができるブロワ、又はシステム抵抗の変化に対する急速な応答を与え、システムの設定流量を維持する能力を有する他の適切な源であってもよい。FCPRV300、加湿器17、フィルタ5、及び非密閉鼻カニューレ15を介して患者にガスの設定流量を供給する流量計12を含むシステムが図1AAに示される。このようなシステムは、経鼻高流量療法の提供用に特に適合させてもよい。
【0247】
FCPRVは、また、呼吸システム内において、持続的気道陽圧を提供するためのフロー源とともに使用されてもよい。FCPRVを含むCPAPシステムが図1B-1及び図1B-2に示され、このようなシステム内のFCPRVの特性は、図1B-3のグラフによって示される。システムは、圧縮ガスタンク又は病院の壁の流量計供給部などのフロー源12、FCPRV300、加湿器、及び患者の口及び鼻を覆って密閉するフェイスマスクなどの密閉式患者インターフェース、及び相互接続用ホース又は導管を含む。密閉式マスクは、マスクからガスのバイアス流を可能にし、CO2/呼出されたガスをフラッシュするためのバイアス流用穴を有する。CPAPシステムにおいて、入力流は最高吸気需要及びマスク漏洩及びバイアス流を超えるように設定され、FCPRVは、フロー源によって供給されるガスの一部を連続的に排出するように構成されている。フロー源12によって供給される流量は、通常のCPAP療法時に弁座から弁部材105を持ち上げてガスの一部の排出を可能にするのに十分なPRVの圧力Pcをもたらす。したがって、CPAP療法中のFCPRVの圧力(Pc)は、図1B-3に線142によって示されるFCPRV排出圧である。患者が吸入すると、図1B-1に示されるように、FCPRVの主要流路内及び患者に対する流れはその最大となり、相対的に高い差圧がセンシング部材155によって検知されることとなり、FCPRVの対応する、より高い開放圧を生じさせる。FCPRVは、システムの流れ抵抗とFCPRVの排出圧との間にほぼ一貫したオフセット圧力があるように調整されるため、患者における圧力は一定に留まり、これは図1-B3の線141と線142との間の圧力差によって示される。図1-B3において、曲線141は、FCPRVから患者インターフェースまでの圧損を示す。吸入中、比較的低い流量がFCPRVにおいて排出され、圧力FCPRVは図1B-3の線142上の矢印の右側端部に向かう。
【0248】
患者が吸入を終了すると、弁内の流量は、患者インターフェースにおけるバイアス流及び/又は漏洩流に等しい低レベルに減少する。FCPRVの排出圧は、低流量に起因するセンシング部材の差圧が低減されることで減少する。システム圧損は、流量が減少することでも減少する。したがって、比較的高流量がFCPRVにおいて排出され、FCPRVにおける圧力は図1B-3の線142上の矢印の左側端部に向かう。線142上の矢印の左側端部に向かうと、FCPRVの主要入口によって受け入れられたほぼ全て流れはFCPRVにおいて排出され、バイアス流及び/又はシステムの漏洩によりわずかな流れのみがFCPRVの主要出口を出る。
【0249】
患者が呼出すると、流れはFCPRV内において反転することはもとより、適宜、付勢穴を通って出る/マスク漏洩する。FCPRVにおける呼出反転流の結果は、FCPRVベンチュリによる任意の圧力減少を相殺する圧力増加を主要出口に生じさせることができ、センシング部材において低い差圧をもたらし、FCPRVにおける圧力が線142上の矢印のの左側端部に向かうようにFCPRVにおいて比較的高流量の排出を生じさせる。
【0250】
したがって、設定フローガス源が、患者に定圧を提供するように連続的に排出するように調整される、本明細書中に記載されるFCPRVとともに使用され得る。図1B-3の線141と線142との間の差として示される患者への圧力は、矢印によって示されるように、線142に沿う弁サイクルの圧力として維持される。FCPRVの排出流の変化は患者に対する流れの変化をもたらし、呼吸周期中における一定の患者圧力を達成する。
【0251】
CPAPシステムでは、フロー源は最大吸気流量を超えて供給することができなければならず、そうでなければ、FCPRVにおける圧力は設定排出圧を下回って低下し、患者への圧力が減少する。図1B-3の垂直破線は、フロー源によって供給される最大流量、並びにバイアス流及び/又はシステムからの漏洩、すなわち患者インターフェースにおける漏洩である最小流量により要求されるFCPRVの境界を示す。FCPRV開放圧はこれら境界間を循環する。
【0252】
FCPRVは、また、バイレベル持続的気道陽圧を供給するための呼吸システムに使用されてもよい。FCPRVを含むバイレベル圧力システムを図1C-1及び図1C-2に示し、このようなシステム内のFCPRVの特性を図1C-3のグラフによって示す。システムは、CPAP源ガス源12a(すなわち、定圧源CPAPブロワ)と、FCPRV300と、加湿器と、患者の口及び鼻を覆って密閉するフェイスマスクなどの密閉式患者インターフェースと、相互接続用ホース又は導管と、を含む。密閉式マスクは、マスクからガスのバイアス流を可能にし、CO2/呼出されたガスをフラッシュするためのバイアス流用穴を有してもよい。FCPRVは、FCPRVと患者との間に低い流れ抵抗が存在するように、患者インターフェースの近傍に位置する。
【0253】
FCPRV開放圧142とFCPRVから患者までのシステム圧損141との間に一貫したオフセットを実現するようにFCPRVが調整される図1B-1及び図1B-2のシステムとは異なり、図1C-1及び図1C-2のシステムでは、FCPRVは、図1C-3に示されるように、流量が増加するにつれて開放圧曲線142がシステム圧損曲線141から発散するように調整される。
【0254】
患者が吸入すると、FCPRV内の流れによって、センシング部材が弁部材を弁座に対して密閉した状態に維持してFCPRVが排出しないようにし、患者に、ガス源によって供給されるCPAP圧力に等しい吸気気道陽圧が供給される。この圧力レベルは、図1C-3の最上水平圧力線によって示される。
【0255】
患者が吸入すると、まず、最大吸入流量が生じ、患者においてIPAPが達成される。患者が吸入を続けるにつれて患者における流量は自然に減少し、そのため、弁内の流量は減少する。FCPRVの流量制限部を通過する流れの減少及びFCPRVによる流れの排出に起因するセンシング部材における差圧の減少によりFCPRVの排出圧は減少する。FCPRVにおける圧力は、したがって、排出圧であり、これは図1C-3の、垂直圧力軸と水平IPAP線との間の曲線である。
【0256】
吸入の終了に向かって、患者に対するFCPRV内の流量は患者インターフェースにおけるバイアス流及び/又は漏洩流に等しい低いレベルに更に一層減少し、FCPRVにおける圧力、ゆえに、患者における圧力は、図1C-3では垂直圧力軸に向かって左に移動し続け、FCPRVは圧力ガス源からの流れをより多く排出する。呼気が始まると、呼出がバイアス流を相殺するのでFCPRV内を通る流れはなく、FCPRVにおける圧力は図1C-3の垂直圧力軸の交差によって示され、FCPRVはシステムから流れを排出し続ける。患者が呼出し続けるにつれて、FCPRVにおける圧力、ゆえに、実質的に患者における圧力(FCPRVが患者に近接しているため)はFCPRVの排出圧になる。したがって、FCPRVの排出圧がバイ圧力システムの呼気気道陽圧レベルを設定する。このようなシステムは、患者蘇生、例えば、小児蘇生のために使用されてもよい。
【0257】
吸入で始まり呼出で終わる呼吸は、図1C-3の右から左に移動する。複数回の呼吸に対する、患者インターフェースにおける圧力の表示は、時間軸が右から左に延びる図1C-4に示される。
【0258】
バイレベル圧力療法用に構成された更なるシステムを図1C-5に示す。この図では、図1C-1及び図1C-2のシステムのCPAP定圧源はFCPRV300と組み合わせたフロー源12に置換されており、図1B-1及び図1B-2を参照して上述したようなCPAPシステムの定圧源を実現している。
【0259】
バイレベル圧力システムでの使用のために調整又は構成されたFCPRVは、患者に対する流れが停止した場合、例えば、フロー又は圧力源が動作不能になった場合に窒息防止弁としても動作するように構成されていてもよい。EPAP圧力レベルは患者へのFCPRV内の特定の流量に対して設定されてもよく(すなわち、バイアス流レベルに伝えられる)、また、患者へのFCPRV内の流れがない場合に患者の呼出を可能にするように設定されてもよい。
【0260】
FCPRVは、また、外科的吹送において持続的陽圧を供給するためのフロー源とともに使用されてもよい。外科用吹送システムは図1Dに示される。システムは、圧縮ガスタンク又は病院の壁の流量計供給部などのフロー源12と、FCPRV300と、加湿器17と、システムから患者の腹腔に加湿ガス流を供給するためのトロカール215と、腹腔を出るガス流のためのフィルタ216と、を含む。設定フロー源とFCPRVとの組み合わせにより、CPAPシステムにおいて上述したような定圧、及び図1B-3に示されるような流れ特性を有する、図1B-1を参照して上述した密閉式患者インターフェースを提供する。
【0261】
FCPRVは、また、呼吸システムにおいて窒息防止弁として使用されてもよい。FCPRVを窒息防止弁として含む換気又はCPAPシステムを図1E-1及び図1E-2に示す。システムは、CPAP源ガス源(すなわち定圧源CPAPブロワ)、又は患者の口及び鼻を覆って密閉するフェイスマスクなどの患者インターフェースを介してユーザにガス流を供給するためのベンチレータを含む。密閉式マスクは、マスクからガスのバイアス流を通してCO2/呼出されたガスをフラッシュするためのバイアス流用穴を有する。FCPRV300は、FCPRVと患者との間に低い流れ抵抗が存在するように、患者インターフェースの近傍に位置することが好ましい。治療中、ベンチレータ又はCPAPガス源は、持続的陽圧又は交互するバイレベル圧力を提供する。正常な吸気期間の少なくとも一部の間、弁は閉じたままであるように調整される。患者が呼出すると、弁は図1C-2を参照しバイレベルシステムについて上述したように動作する。代替的に又は付加的に、呼気用リムが設けられてもよい。ベンチレータ又はCPAP源が破損又は機能停止した場合、CPAP源又はベンチレータ流路は開放され、患者が図1E-1に示すように、ベンチレータ/CPAP源、送達導管、及び患者インターフェースを通じて吸気空気を「引く」ことが可能になる。FCPRVは患者インターフェースの近傍に位置するので、患者からFCPRV(R1)への流れ抵抗はFCPRVからCPAP源又はベンチレータ(R2)への流れ抵抗に比べ低い。したがって、図1E-2に示すように、患者が呼出する場合、患者の呼気の大部分はFCPRVから排出される。従来技術の呼吸システムは、窒息防止弁、例えば、患者インターフェースに弁を含む場合がある。従来技術の窒息防止弁は、圧力のない状態で開くフラップ弁機構を含む場合があり、このような弁はマスクの向きによっては重力の影響を受ける可能性がある。本発明によるFCPRVは重力又は向きに影響されない。
【0262】
無呼吸の(すなわち、自発呼吸していない)患者用のバイレベル圧力を提供するための又はベンチレータシステムとして動作するための別のシステム構成を図1F-1及び図1F-2に示し、このようなシステムのFCPRVの特性を図1F-3のグラフによって示す。システムは、圧縮ガスタンク又は病院の壁の流量計供給部などのフロー源12と、FCPRV300と、加湿器17と、患者の口及び鼻を覆って密閉するフェイスマスクなどの密閉式患者インターフェース115又はラリンジアルマスクエアウエイ(LMA)又は気管内挿管と、相互接続用ホース又は導管と、を含む。密閉式マスク115は、マスクからガスのバイアス流を通してCO2/呼出されたガスをフラッシュするためのバイアス流用穴を有してもよい。FCPRVは、FCPRVと患者との間に低い流れ抵抗が存在するように、患者インターフェースの近傍に位置する。しかしながら、FCPRVは、加湿器の上流又はシステム内のどこに位置してもよい。
【0263】
図1F-1及び図1F-2のシステムでは、FCPRVは、図1B-1、図1B-2、及び図1B-3のCPAPシステムにおいて上述したような定圧を供給するためのシステムで使用されるFCPRVとほぼ同じように機能する。図1F-1及び図1F-2のシステムでは、FCPRVは、FCPRVにおける圧力が排出圧であり、患者圧力が、FCPRV排出圧マイナスFCPRVから患者までのシステム圧損、すなわち、図1F-3の曲線142と曲線141との間の差に等しくなるように、連続的に排出されるように調整されている。しかしながら、FCPRVがFCPRV開放圧142とシステム圧損141との間に一貫したオフセットを実現するように調整される1B-1及び1B-2のシステムとは異なり、図1F-1及び図1F-2のシステムでは、FCPRVは、流量が増加するにつれて、図1F-3に示されるように、開放圧曲線142がシステム圧損曲線141から発散するように調整されている。したがって、FCPRVにおけるシステム圧力が図1F-1の圧力流量曲線142に沿って周期的に往復を繰り返すと、患者への圧力は相対的に低い圧力P1と相対的に高い圧力P2との間で周期的に繰り返す。図1B-3を参照して記載したように、患者が息を吸う際、患者に対する流れがその最大となり、相対的に高い差圧がセンシング部材155によって検知されることとなり、FCPRVの対応するより高い開放圧を生じさせる。比較的低い流量がFCPRVにおいて排出され、FCPRVにおける圧力は図1F-3の線142上の矢印の右側端部に向かう。FCPRV圧力は、患者が吸気を終了し呼出し始めると図1F-3の開放弁圧力曲線142上の矢印の左側端部に向かって移動する。発散するFCPRV圧力曲線によって、患者は換気の補助のため、吸気中に高い圧力を受け、呼気中に低い圧力を受ける。本発明者は、また、センシング部材155と主要ガス流路158との間に有意な空気圧カップリングを設けることによって、FCPRVを、FCPRVにおける圧力が吸気圧力P2及び呼気圧力P1から急激に変化するように相対的に迅速応答構成で動作するように作成することができ、これは無呼吸の患者の換気に特に有用であることも発見した。センシング部材と主要ガス流路との空気圧カップリングについては図27E及び図27Fを参照して以下でより詳細に記載する。
【0264】
図1F-1~図1F-3を参照して記載したようなバイレベル圧力用に構成されているFCPRVは、また、小児蘇生PEEP/PIPデバイス、例えば、国際公開第03/066146号に記載されているようなデバイスとともに使用してもよい。上述のように、FCPRV300は連続的に排出するように調整されている。呼気終末陽圧を供給するために、医療専門家は蘇生デバイス(例えば、Fisher and Paykel HealthcareのNeopuff(登録商標)デバイス)の患者インターフェース(フェイスマスク)の排出出口を遮断する。これは、FCPRVが排出して小児への流量を低減して呼気終末陽圧(例えば、図1F-3のP1)を得るように、流れ抵抗を増加させてFCPRVの開放圧を低下させるように機能する。吸気最大気道内圧を供給するために、医療専門家はNeopuff(登録商標)デバイスの排出出口を遮断解除して、FCPRVの開放圧を低減し、例えば、図1F-3の圧力P2を得る。FCPRVをこの用途用に調整するために、患者インターフェースフェイスマスクは密閉され、フロー源からの入力流量が設定される。Neopuff(登録商標)ベントは閉塞され、FCPRVは、例えば、弁部材付勢を調節することによって調節され、所望のPEEPが達成される。Neopuff(登録商標)ベントは、その後、閉塞解除され、所望のPIP圧力を達成するように調節される。
【0265】
いくつかの実施形態では、流量補償圧力開放弁300は、例えば、導管の閉塞など任意の付加的な流れ抵抗がシステムに付加されることのない通常動作条件下のシステムの圧損に整合させてもよい。このような配置構成は、図15B及び図1B-3に示す特性によって示される。これにより、例えば、図15Bに示すように、弁開放圧がシステムの圧損から一貫してオフセットし、圧力開放線142がシステム圧損線141の一貫して20cmH2O上方であるようにする。
【0266】
例えば、バイレベル圧力システムについて図1C-3を、及びベンチレータシステムについて図1F-3を参照して上述したように、いくつかの用途では、一貫したオフセットがシステム圧力対流量曲線141と開放圧対流量曲線142との間に存在してもよい。
【0267】
図17は、システム圧損141とFCPRV開放圧142との間に一貫したオフセットのない設定流量非密閉患者インターフェースシステムのFCPRV特性の更なる例を提供する。図17では、曲線143及び曲線144は、システム圧損に整合しないFCPRV開放圧を示す。上の線143は、流量が増加するにつれて累進的に増加する動的調節開放圧を示す。このような特性は、曲げなどの予想される回路の部分閉塞を補償するために望ましい場合がある。下の線144は、流量が増加するにつれて累進的に減少する動的調節開放圧を示し、この線は、FCPRV300によって検知されるシステム圧損(Pc)と最終的に交差する。この例では、システムは約105L/minの流量の送達に限定されており、これより高い流量ではFCPRVが出口ベントを通して流れを排出することになる。これはシステムの流れ抵抗が整合できない場合に実用的なオプションである。例えば、単一弁構成が、それぞれ異なる流れ抵抗を有する様々な異なるシステムで使用に供される場合、これらシステムの流れ抵抗への弁の整合を実現できない可能性がある。このため、低い曲線は安全な圧力を維持するものの流量は制限する。これは流量限界が所望の治療流量を超える場合に容認できる。いずれの場合においても、整合しない開放圧対流量曲線143及び144は、整合した曲線142よりも望ましくない場合がある。いくつかの実施形態では、FCPRVの入口から出口への流量が増加するにつれて累進的に減少する動的調節開放圧が望ましい場合がある。送達される流量が増加するにつれて、システム内の圧力(すなわち圧力流量曲線141)は増加する。システム内の圧力が増加し続ける場合、システム構成要素(シール、加湿器チャンバ、管、又は回路接続部等など)は過圧力により最終的に破損する場合がある。したがって、システムを保護するために何らかの上限を設けることが望ましい。より重要なことには、曲線144が圧力流量曲線141に交差する点は、患者に対する流れを制限するための、ゆえに、患者圧力を安全なレベルに制限するための圧力上限を提供する。異なるシステムにおいて圧力流量曲線141は異なる。例えば、成人用カニューレを備えるシステムは小児用カニューレに比べて低い流れ抵抗を有する。したがって、小児用カニューレを備えるシステムの圧力流量曲線は成人用カニューレを備えるシステムの圧力流量曲線よりも「急」である。したがって、特定のシステムのシステム圧損特性は、FCPRVの適切な上限を決定するように決定しなければならない(すなわち、圧力開放対流量閾値曲線142の形状を、圧力開放対流量曲線142が特定のシステムのシステム圧力対流量曲線141に所望の圧力上限で交差するように調整する必要がある)。
【0268】
FCPRVの構成に関連するいくつかの要素はFCPRVの動作特性に影響を及ぼす。例えば、流量制限部152のベンチュリ又はオリフィスは、センシング部材155によって検知される差圧の原因となるため、開放圧対流量曲線142の形状はベンチュリスロート部又はオリフィス直径の大きさによって決定されてもよい。
【0269】
開放圧特性を調整するために、FCPRV300に、以下に記載する様々な特徴の任意の1つ以上を設けてもよい。
【0270】
流量補償圧力開放弁デバイス300は、既知の流れ抵抗のシステム内で用いられてもよい。このような状況では、ベンチュリ又はオリフィスは固定サイズのものであってもよく、特定のシステムの既知の流れ抵抗を持つシステムと共に使用するように決定されてもよい。
【0271】
あるいは、FCPRVが用いられるシステムが未知の場合、ユーザがFCPRVを特定の用途に合わせて「調整する」ことができるようにするために、FCPRVに、調節可能なベンチュリ又はオリフィス(例えば、調節可能な面積及び/又は長さ)が設けられていてもよい。例えば、FCPRV300に、それぞれ異なるサイズのオリフィスを有する様々な異なるオリフィス板が設けられていてもよい。オリフィス板は交換可能であり、それぞれ既知の抵抗を有する。例えば、経鼻高流量システムは「成人用」カニューレと「小児用」カニューレとの間で交換可能であってもよい。各カニューレは異なる既知の流れ抵抗を呈する。1つのオリフィスは、例えば、流量補償圧力開放弁を「成人用」カニューレ用に構成されたシステムに合わせて「調整」してもよく、別のオリフィスは、流量補償圧力開放弁を「小児用」カニューレ用に構成されたシステムに合わせて「調整」してもよい。異なるオリフィスは摺動可能な板に配置されていてもよく、摺動可能な板は各オリフィスを流量補償圧力開放弁の流路内へと摺動させてもよい。ベンチュリスロート部又はオリフィス/流量制限部のサイズを調節するための他の手段を用いてもよい。例えば、最大流量制限部(すなわち最小オリフィスサイズ)になるような大きさのオリフィスが設けられていてもよく、これは、大きなオリフィスサイズ/小さな流量制限部を実現するために開けられてもよい。代替的に、大きなオリフィスサイズが設けられてもよく、それぞれ小さなオリフィスサイズを有する挿入物(単数)又は挿入物(複数)が、大きなオリフィスに嵌合させる又は隣接させるために設けられていてもよい。流量制限部は、弁配置構成、例えば、ゲートバルブ型配置構成によって設けられていてもよい。ゲートバルブ型配置構成において、弁は、弁のゲートを動かして流量制限部のサイズを調節するためのねじ調節部を有してもよい。ねじは多くの回転を与え、相対的に微調整を行いFCPRVの精密な調整を実施してもよい。代替的に又は付加的に、様々なインターフェースの全ての患者インターフェースを同一のFCPRVセットアップで使用することができるように、それぞれ同一の流れ抵抗を有する様々な異なる患者インターフェースが提供されてもよい。例えば、各患者インターフェースが同一の総流量制限を有するように、様々なインターフェースの各患者インターフェースに流量制限部が設けられてもよい。流量制限部は、フィルタ、オリフィス、管の狭い部分、又は任意の他の適切な配置構成によって設けられていてもよい。
【0272】
いくつかの実施形態では、FCPRVは、1つより多い流量制限部を直列で及び/又は並列で含んでもよい。いくつかの実施形態では、流量制限部は、制限部内の第1の流れ方向に第1の流れ抵抗、及び流量制限部内の第2の反対の流れ方向に第2の流れ抵抗を提供するように構成されていてもよい。例えば、流量制限部は、チャネルへの角度を成した引込部又はオリフィスへの漏斗流を含んでもよく、これはオリフィスを大きくする効果がある。角度を成した引込部は、負の流れ応答を平坦化するという利点を提供する。いくつかの実施形態では、流量制限部152は角度を成した引出部を含んでもよく、これもまた、オリフィスから流れを緩やかに案内することによってオリフィスを大きくするを有する。これは正の流れ応答を平坦化するという利点を有する。一般に、引出部は引込部よりも流れ応答に対する大きな効果を有する。引込部は、患者が呼出する(負の流れ)ときに引込部が引出部になるので、バイレベルPAPにおいて特に有益であり得る。
【0273】
システム内の流れ抵抗のFCPRVに対する効果は、システム内のFCPRVの位置にも依存し得る。したがって、FCPRVは、システム内の特定の位置に合わせて調整されることが好ましい。加湿されるシステムでは、FCPRVは、FCPRV内における凝縮物の可能性を避けるためにシステム内において加湿器の上流に配置されていることが好ましい。しかしながら、FCPRVは、システム内の別の場所、例えば、加湿器の下流に配置することはできる。
【0274】
図18は、本明細書中に記載される流量補償圧力開放弁の調整方法を示す。ステップ160において、システムに、システム流量(例えば、患者に送達される流量)対システムの圧損応答曲線を決定するための圧力試験が行われる。ステップ161において、例えば、システム圧力対流量曲線にオフセット圧力を加えることにより所望の開放圧対流量曲線が決定される。ステップ162において、本明細書中に記載される一実施形態によるFCPRVがシステム内に取り付けられる。ステップ163において、流量制限部がFCPRV300の下流でシステムに継続的に加えられ、様々な流量に対して生じる開放圧が決定される。ステップ164において、実際の圧力開放対流量曲線が所望の曲線と比較される。ステップ165において、実際の曲線が所望の曲線に一致しない場合、流量制限部のサイズは調整され、所望の圧力開放特性が得られるまでステップ163及びステップ164が再び繰り返され、ステップ166の時点で、FCPRVは調整が成功のうちに完了している。流量制限部は、連続的な状態で、すなわち、前後に動いて制限部を連続的に変化させることができる穴内のテーパ状のプラグで、又は弁、例えば、上述のようにねじ調節部によって駆動されるゲートを有するゲートバルブの位置を変えることで動的に調整され得る。
【0275】
代替的に又は付加的に、ベント圧力閾値は、PRV100、200に関連して上述した特徴の任意の1つ以上を調節することによって調節されてもよい。例えば、弁膜105の張力は、例えば、弁部材105に対する弁入口管108の相対位置、又は排出出口103の大きさを調節することによって調節されてもよい。PRV100において、排出出口の大きさは図3図5及び図7に示されるような圧力開放弁開放圧対流量曲線の形状、ゆえに、様々な流量にわたるベント圧力閾値を決定する。システムが完全に遮断/閉塞されると、FCPRVは、センシング部材が弁部材105にいくらかの付加的な付勢を与え得ること以外は、先で記載したPRV100として動作する。また、センシング部材155によって弁部材105に与えられる付勢力は調節可能であってもよい。例えば、センシングと弁部材との間の機械的リンク157の長さは調節可能であってもよく、リンクの長さが短いほど付勢力、ゆえに、ベント圧力が増加する。
【0276】
開放弁排出圧を調節するための更なる調節機構を図18A図18Cに示す。いくつかの実施形態では、図18Aに示すように、変位チャンバ107は周囲環境から密閉されていてもよい又は密閉可能であってもよい。図示される実施形態においては、FCPRVに、変位チャンバ内の圧力を変更するためのデバイス107aが設けられている。このようなデバイスには、PRV100(すなわち流れ制御されないもの)も設けられていてもよい。例えば、デバイス107aは、変位チャンバ内の圧力を増加又は減少させるための足又は手作動式ポンプであってもよい。変位チャンバの有効体積は、変位チャンバ107の体積及びデバイス107aの体積を含んでもよい。例えば、デバイス107aは、空気が充填されたシリンジ若しくは他のシリンダ及びプランジャ配置構成であってもよく、又は空気充填されたバッグ/バルーンであってもよい。デバイスの体積を低減することによって、変位チャンバの有効体積は減少し、変位チャンバ107内の圧力の増加をもたらす。変位チャンバ内の変化した圧力によりFCPRVのPRVの開放圧が変化し、変位チャンバの圧力の増加により開放圧が増加し、変位チャンバの圧力の減少により開放圧が減少する。デバイス107aは、弁部材を弁座104から持ち上げることが望ましくなければ、弁部材を弁座104から持ち上げないように適合されるべきである。圧力調整デバイス107aは、変位チャンバ、すなわちFCPRV上に配置されていてもよく、又はホース若しくは導管により変位チャンバに接続され、離れていてもよい。デバイス107aは、手若しくは足によって調節可能であってもよく、又はソレノイドなどの電気機械的手段によって駆動されてもよく、又は電動機械式ポンプであってもよい。PRV100は、また、変位チャンバの圧力を周囲圧力にリセットするためのリセットデバイス107bが設けられていてもよい。リセットデバイスは、ポペット弁又は他の類似デバイスなどの手動又は電動開放弁であってもよい。図18Aにおいて、FCPRV300は、変位チャンバの圧力によって弁部材105が弁座104に付勢されている無流量状態で示されている。
【0277】
いくつかの実施形態では、弁部材104と弁座の相対位置は開放圧を調節するために調節可能であってもよい。上述のように、弁座に対する弁入口の位置は調節可能であってもよい。代替的に又は付加的に、いくつかの実施形態では、弁座に対する弁部材の位置は調節可能である。図18Bに示すように、弁部材はハウジング部分によって支持されていてもよく、入口に対するハウジング部分の位置は、例えば、変位チャンバ107のハウジングと出口チャンバ102のハウジングとの間のねじ機構102aにより調節可能である。代替的に又は付加的に、センシング部材155は、弁座に接する弁部材に対しセンシング部材が与える付勢を調節するように、弁入口に対して調節可能であってもよい。例えば、センシングチャンバハウジングは、弁座104に対するセンシング部材の相対位置を移動させるためのねじ機構を含んでもよい。ユーザは、開放圧を調節するために、例えば、ハウジング部分を手で回すことによってねじ機構を操作してもよい。ハウジングは、開放圧設定に関するハウジング位置の表示を提供してもよい。
【0278】
前述のように、センシング部材と弁部材との間を接続している機械的リンク157は長さ調節可能であってもよい。いくつかの実施形態では、機械的リンクの長さはFCPRVの使用中に調節されてもよい。例えば、図18Cに示すように、いくつかの実施形態では、機械的リンクは、第1の部分157aと、第2の部分157bと、リンク157の全長を調節するための、第1の部分157aと第2の部分157bとの間のねじ係合部157cと、を含んでもよい。ねじ係合部157cによりリンク157の全長を調節するためにユーザが1つの部分157aを他方のリンク部分157bに対して回転できるようにするために、制御ハンドル又はつまみ157dが設けられていてもよい。
【0279】
いくつかの実施形態では、FCPRVは、圧力上限を含んでもよい又は提供してもよい。圧力上限は、システムの構成要素を保護するためのシステムの安全圧力上限に相当し得る。圧力上限は、センシング部材の移動量を限定すること、例えば、センシング膜の変形を限定すること又はセンシングプランジャ若しくはピストンの移動量を限定することによって設定してもよい。センシング部材の移動量を限定することで、センシング部材が弁部材に与えることができる張力の量を限定し、更には、FCPRVの流量制限部を通る流量が弁部材に対して及ぼす影響の上限を提供する。いくつかの実施形態では、第2のチャンバは、センシング膜の変形を限定してもよく、又はセンシングプランジャ若しくはピストンの移動を限定してもよい。例えば、センシング膜は、膜が膨張して第2のチャンバの壁に接すると、最大膨張構成に限定されてもよい。あるいは、センシングピストン又はプランジャの最大移動量は、第2のチャンバの壁に当たっているピストン又はプランジャによって、又は第2のチャンバ内の機械的な停止部(例えば、図21の物品271によって示されるように第2のチャンバの壁から延びる肩部又は突起)によって設定されてもよい。あるいは、機械的な停止部は、センシング部材と弁部材との間の機械的リンク157、257に係合するように設けられていてもよい。この実施形態の図示は図14A及び図14Bに提供され、これら図では、FCPRVの壁から突出している肩部272が、機械的リンク上のフランジ又は突起273によって設けられた肩部に係合し、センシング部材の移動を限定するように適合されている。
【0280】
センシング部材又は機械的リンクの移動を限定する効果を図19に示す。患者に送達される流量が増加するにつれて、システム内の圧損141が増加し、センシング部材の差圧は増加するので、FCPRVの開放圧142は増加する。しかしながら、センシング部材の移動量が最大移動量に達すると、それ以上の流量の増加及び結果として生じるセンシング部材の差圧の増加の効果は弁部材に伝達されず、このため、開放圧は最大圧力に達する。図19において、最大開放圧は線145によって示され、50cmH2O未満である。
【0281】
FCPRVが使用されるシステムの種類を問わず又は種類に関係なくシステム最大圧力限界を達成することができることから、図19に示される概念、すなわち、センシング部材の移動又は変形を最大レベルに限定すると有利になり得る。システム最大圧力を手動で設定するにはシステム内の流れ抵抗の知識を要するが、記載されるような構成は、FCPRVが使用されるシステムの種類に関係なくシステム圧力の限定を可能にする。
【0282】
いくつかの実施形態では、機械的リンクは、弁部材若しくはセンシング部材又は弁部材及びセンシング部材の両方から分離されることによって圧縮状態でのみ動作する。このような一実施形態は、機械的リンク157の端部が弁部材105及びセンシング部材155に結合されていない、図16A図16Cに示される概略図によって示す。弁158の主要流路内にガスが流れていない(すなわち、FCPRV入口151への流れはゼロ)状態において、機械的リンク157の一端は弁部材105を支持し、機械的リンク157の他端はセンシング部材を支持する。機械的リンクの長さは、その偏向されていない状態にあるとき、弁部材とセンシング部材との間の距離よりも大きい。弁部材が弁座104を支持するように、弁部材はセンシング部材よりも大きな付勢を有する。例えば、膜弁部材及び膜センシング部材を含む一実施形態では、弁部材がセンシング部材の付勢に抗して弁座に付勢されるように、弁部材膜はセンシング部材膜よりも大きな張力を有する。入口151から出口153へのFCPRV内の流れが増加するにつれて、センシング部材内の差圧は増加し、センシング部材の付勢に抗して作用し、機械的リンク157によって弁部材に加えられる力が低減される。流れが増加し続けるにつれて、機械的リンクによって弁部材に与えられる力は累進的に低下し、ゆえに、開放圧は累進的に増加する。図16Bは、主要流路及び流量制限部152内の流れにより機械的リンク157が弁部材105に加える力が減少し、機械的リンクが弁部材105及びセンシング部材155の両方を支持している弁の状態を示す。流れが増加し続けるにつれて、センシング部材は、機械的リンクがセンシング部材155、弁部材105、又はこれらの両方、のいずれかとの接触を失うように偏向される。図16Cは、リンクが弁部材及びセンシング部材にもはや接触していない高流量状態を示す。この段階では、センシング部材の付勢は機械的リンクを介して弁部材105にいかなる力ももはや与えない。このため、所定の流量閾値を超えると、開放圧は、弁座104に対する弁部材の付勢のみによって決定され、FCPRVは、流量補償のないPRVとして機能する。弁座に対する弁部材の付勢により、流量に関係ないシステムの圧力限界を設定する。これは図16Dの流量対圧力曲線における水平破線によって示される。図16Dに示すように、開放圧は、機械的リンクと、弁及びセンシング部材のうちの1つ又は両方との間の接触が失われる(図16Cに示すように)まで、流量が増加するにつれて累進的に増加し、この時点で、弁部材の付勢によって設定された圧力限界に達する。
【0283】
FCPRVの下流においてシステムに流量制限部(例えば、部分的につぶれた導管)が導入される場合、フロー源(図1AAの参照番号12)は、FCPRVへの設定流量を維持し、FCPRVの圧力Pcは、センシング部材の差圧が対応して増加することなく増加する。このような状況では、圧力Pcは、図16Dの垂直線によって示される開放圧に達するまで増加し、センシング部材、機械的リンク、及び弁部材は、弁部材が弁座から持ち上がり、出口チャンバ及び出口ベント開口部103を通じて流れを排出する方向に移動する。
【0284】
図16Aは、FCPRVの下流における完全な遮断によりFCPRV入口151に供給される全ての流れがPRV排出出口103を通じて排出される状態を示す。
【0285】
いくつかの実施形態では、例えば、図9A及び図10Aを参照して記載したような膜弁部材又は付勢ばね部材の張力によって、弁部材は弁座に対して付勢される。更なる付勢量(正又は負)が機械的リンクを介してセンシング部材により与えられ、弁部材を弁座から離れる方に持ち上げるのに必要な圧力を変更する。いくつかの実施形態では、例えば、図23Aに示すように、弁部材は、センシング部材によって与えられる付勢によるほかは弁座に対して付勢されない。膜弁部材は、膜がセンシング部材により引かれて弁座に接触するまで膜が弁座に対して付勢されないように、弁座上に伸張されなくてもよい。いくつかの実施形態では、センシング部材は弁部材に正の付勢を与える、すなわちセンシング部材は弁部材を弁座に対して引く。いくつかの実施形態では、図16A図16Dを参照して記載したように、センシング部材は、弁部材に負の付勢を与える、すなわちセンシング部材は弁部材を弁座から離れる方に押す。文脈で別段の示唆のない限り、弁座に対する弁部材の付勢(bias)又は付勢(biasing)は、弁部材膜の張力によって、又はばね要素によって、又は機械的リンクを介してセンシング部材によって与えられる、弁座に対する弁部材の全体的な付勢を意味するものである。
【0286】
図14A及び図14Bの表現は、FCPRVの1つの可能な構成を示す。この配置構成では、弁入口101とセンシングチャンバ154の第1のチャンバ154aは、主要入口151と、主要出口153と、流れ抵抗部152とを含む主要流路158に「T」部品を介して接続されており、T部品の足は主要流路に接続され、PRV100及びセンシングチャンバ154配置構成は「T」部品の上部の各側に、対向して接続されている。
【0287】
流量補償圧力開放弁の別の実施形態を図20に示す。図14A及び図14Bの構成と比較すると、図20の実施形態は、より小さな空間を占め、外観がより美的に優れた単一弁ユニット400に構成されている。
【0288】
図20において、弁体110はセンシングチャンバ154の第1のチャンバ154aと出口チャンバ102とを形成している。第1のチャンバ154aと出口チャンバ102とは壁106bによって分割されている。主要入口151から主要出口153へと送られるガス流が第1のチャンバ154aを通過するように、主要入口151及び主要出口153は、第1のチャンバ154aと直接連通するように本体110内に又は本体110とともに形成されている。オリフィス152が主要出口153において本体110の壁106内に設けられており、圧力タップ156が出口及び/又はオリフィスの下流に、本体110の端部に取り付けられたキャップ110aにより設けられた第2のチャンバ154bに連通するように設けられている。第1のチャンバ154aと第2のチャンバ154bは、センシング部材155を中に有するセンシングチャンバ154を形成している。図示される実施形態においては、センシング部材155は、第2のチャンバ154bを形成しているキャップ110aと第1のチャンバ154aを形成している本体110との間に固定された膜である。弁入口管108は第1のチャンバ154aから出口チャンバ102へと延び、入口管の端部104は弁部材105が密閉する弁座104を提供する。弁部材105は本体110に取り付けられた第2のキャップ110bによって本体110に固定されている。出口アパーチャ103は本体110の壁106内に設けられており、出口チャンバ102を形成している。弁部材105とセンシング部材155は剛性のロッド157によって結合されている。
【0289】
図21は、図20のものに類似するFCPRV500の一実施形態の自由体図であるが、センシング部材155は、センシングチャンバ154を形成しているシリンダ内を移動するピストン280である。この実施形態では、弁部材105は膜である。
【0290】
図22は、FCPRV600の更に別の実施形態を示す。図22の実施形態は、図20の実施形態に類似するが、図22では、弁部材205は膜ではなく非密閉プランジャ205であり、これは、プランジャが出口チャンバ202の壁206とシールを形成しないことを意味する。この実施形態では、弁部材205は、図9A図9Cを参照して記載した弁部材に類似する。図22では、弁部材205とセンシング部材155との間の機械的リンク257は調節可能な長さのものであり、例えば、伸縮式部品を含んでもよい。リンクの長さの調節により、第1のチャンバ154aと第2のチャンバ154bとの間の差圧により生じる力に加え、センシング部材155が弁部材205に与える力の量を調節する。主要入口151から主要出口153への流れは導管167を通る。主要入口から主要出口へのガス流が第1のチャンバ154aの壁内の開口部170を通じて第1のチャンバ154aに連通するように、導管167は第1のチャンバ154aに交差する(例えば、導管は第1のチャンバに正接していてもよい)。連通路(図示せず)は、流量制限部(オリフィス又はベンチュリなどの流量制限部は開口部170から下流にある)の下流側からニップル159又は他の適切な接続部を介して第2のチャンバ154bに接続されていてもよい。
【0291】
図22のFCPRVの概略図を図23A及び図23Bに記載する。図23Aは、センシング膜の差圧がない又は差圧が小さい無流量又は低流量構成を示す。図23Bは、センシング部材155がセンシングチャンバの第2のチャンバ154bに向かって変形されるようにセンシング部材の差圧がある、増加流量又は高流量構成を示す。センシング部材の変形によって、センシング部材が機械的リンク257を介して密閉部材205を弁座204に対して付勢する。図23Aは、無流量又は低流量構成にあるとき、中立点(変形していない又は伸張していない)から変形されているセンシング膜155を示す。例えば、一部の実施形態によるPRV100に対して上述したように、この変形は、弁部材205に、弁座204に対する初期又は最小限の付勢力を与える初期変形又は予荷重である。
【0292】
図24は、FCPRV700の更に別の実施形態を示す。FCPRVは、ガス源からガス流を受け、ガス流をシステム、例えば、図1の呼吸システム12に送達するための主要入口251及び主要出口253を有する。圧力閾値を超える圧力を開放するためにPRV100が設けられており、図示される実施形態においては、膜弁部材105並びに弁入口101と、出口チャンバ102と、弁座104とを含む、先の実施形態を参照して記載したような他の特徴を含む。出口チャンバ102からの排出出口(例えば、図2Aの排出出口103)は図24では視界から隠れているが、出口チャンバ102の壁206内に設けられている。FCPRV700は、主要入口251から主要出口253へと送られるガス流の流量に基づきPRV100の圧力閾値を動的に調節するためのセンシング機構を含む。センシング機構はセンシングチャンバ254を含み、センシングチャンバ254内にセンシング部材255が配置されている。FCPRV700の本体210はセンシングチャンバ254及び出口チャンバ102の両方を形成しており、隔壁206bがこの2つを隔てている。
【0293】
前述の実施形態とは異なり、図24の実施形態では、主要入口251から主要出口253へのガス流は第1のチャンバ254aから第2のチャンバ254bへとセンシングチャンバ254内を流れ、主要出口253は第2のチャンバ254bからのものである。センシング部材255は非密閉プランジャであり、これは、プランジャがセンシングチャンバの壁206cとシールを形成しないことを意味する。センシングプランジャ255は機械的リンク257によって弁部材105に機械的に結合されている。図示される実施形態においては、リンク257は、長さ調節可能であるための2つの伸縮式部材を含む。プランジャ255の外周部とセンシングチャンバの壁206cとの間の環状間隙252は、主要入口から主要出口へのガス流の制限部を提供する。付加的に、いくつかの実施形態では、プランジャ内のアパーチャ、及びプランジャとチャンバ壁との間の環状間隙252が所望の流れ抵抗を提供するように、プランジャはプランジャ内にアパーチャ(図示せず)を含んでもよい。別の実施形態では、プランジャは、例えば、センシングチャンバの壁とシールを形成しているが、ピストン内の1つ以上のアパーチャが流量制限部252を提供するピストンであってもよい。弁入口101はガス流が流量制限部252を通過する前に主要入口251からガス流を受けることから間隙又は流量制限部252は弁入口101の下流にある、又は換言すると、弁入口101は制限部252によって生成される圧損を受けないことから弁入口101は流量制限部252の上流にある。流れが環状間隙252内を通過すると、プランジャ255の下流側254bのセンシングチャンバ内の圧力がプランジャ255の上流側254bのセンシングチャンバ254内の圧力よりも低くなるように圧損が生成される。センシング部材255の上流側はセンシングチャンバ254の第1のチャンバ254aと呼ぶことができ、センシング部材255の下流側は第2のチャンバ254bと呼ぶことができる。センシングプランジャ255は第1のチャンバ254aと第2のチャンバ254bとを分割するが、ガス流が第1のチャンバから第2のチャンバに送られることから2つのチャンバを空気的には分離しない。第1のチャンバ254aは、センシング部材255とセンシングチャンバ壁206cとの間の間隙によって提供される、流量制限部252の上流のガス流と流体連通し、第2のチャンバ254bは、センシング部材255とチャンバ壁206cとの間の間隙252によって提供される、流量制限部252の下流のガス流と流体連通する。センシング部材255内の差圧によって、センシング部材255が、センシングチャンバ254を通じて主要入口から主要出口へと送られるガスの流量に応じて弁入口101から離れ、リンク257を介して弁部材101を弁座104に向かって付勢する。
【0294】
図24のFCPRVの概略図を図25A及び図25Bに記載する。図25Aは、センシングプランジャ255の差圧がない又は差圧が小さい無流量又は低流量構成を示す。図25Bは、センシングプランジャ255がセンシングチャンバの第2のチャンバ254bに向かって強制的に押されるようにセンシングプランジャの差圧がある、増加流量又は高流量構成を示す。センシングプランジャの移動によって、センシングプランジャが機械的リンク257を介して密閉部材105を弁座104に対して付勢し、主要入口251から主要出口253へとFCPRVを通る流れは、プランジャ255とセンシングチャンバ254の壁との間の環状間隙252によって設けられた流量制限部を通過する。
【0295】
図24のものに類似するFCPRVの概略図を図26A及び図26Bに記載する。この実施形態では、センシング部材は、センシングチャンバの壁とシールを形成するピストン280である。ピストンはアパーチャ281を含む。アパーチャ281は、センシングチャンバ内に流量制限部を設ける。図26Aは、センシングピストン280の差圧がない又は差圧が小さい無流量又は低流量構成を示す。図26Bは、センシングピストン255がセンシングチャンバの第2のチャンバ254bに向かって強制的に押されるようにセンシングピストンの差圧がある、増加流量又は高流量構成を示す。センシングピストンの移動によって、センシングピストンが機械的リンク257を介して密閉部材105を弁座104に対して付勢し、主要入口251から主要出口253へとFCPRVを通る流れは、ピストン280内のアパーチャ281によって設けられた流量制限部を通過する。更に、シリンダハウジング254と摺動関係にあるピストンセンシング部材255を含む一実施形態では、ピストン255とシリンダ254との間に、例えば、シリンダ壁内のチャネルによる、又はピストンの外周部の切り抜き又は切り欠きによる流路があってもよい。このようなピストンとシリンダとの間の流路はピストン内のアパーチャに付加するものであってもよい。更なる実施形態では、図26A及び図26Bの配置構成は、膜センシング部材、膜内のアパーチャ、又は多孔質膜を使用することによって実施してもよい。流路が機械的リンク内、及びセンシング部材内のアパーチャ、例えば、センシング部材内に延びる端部を有する中空機械的リンクに設けられてもよい。
【0296】
いくつかの実施形態では、FCPRVは、膜105、155などのFCPRVの構成要素を収容するための外部ハウジング又はハウジング筐体を含む。図27A及び図27Bは、ハウジング180を含むFCPRV800を示す。ハウジングは弁部材105及びセンシング部材155を収容する。FCPRVは本体110を有する。いくつかの実施形態では、本体は、出口チャンバ102と、センシングチャンバ154の第1のチャンバ154aとを設ける又は形成する。いくつかの実施形態では、本体は、また、例えば、一体形成された本体110内に主要入口151及び主要出口153を含む。図27aに示される実施形態の本体110を図28A及び図28Bに示す。いくつかの実施形態では、ハウジング180は、組み合わせる2つの部品180a、180b(例えば2つの半片)を含む。2つのハウジング部分は、相補的なさね継ぎ構成によって又はねじ止め若しくはボルト式構成を用いてともに固定されてもよく、又は例えば、超音波溶接若しくは任意の他の適切な方法でともに溶接されてもよい。シール部材、例えばガスケットが2つのハウジング部分の間に設けられていてもよいが、周囲圧力がハウジングの内部及び外部に存在することからシールは必要ないように思われる。本体110及び弁及びセンシング部材は、2つのハウジング部分内に受け入れられており、且つ2つのハウジング部分によって収容されている。いくつかの実施形態では、ハウジング部分180aの1つ(第1のハウジング部分)は変位チャンバ107を設け、弁部材は弁座104から変位チャンバ107内に変位する。いくつかの実施形態では、ハウジング部分180bの1つ(第2のハウジング部分)はセンシングチャンバ154の第2のチャンバ154bを設ける。いくつかの実施形態では、弁部材及び/又はセンシング部材は、また、出口チャンバ102、又はセンシングチャンバの第1のチャンバ154aを密閉するための密閉部材を設ける若しくは密閉部材としての役割を果たす。例えば、ハウジング(例えば第1のハウジング部分180a)は、ハウジングの側壁から内方に延びる環状部材182を含む。環状部材182は弁部材105(ダイヤフラム)の外周部を支持しているため、弁部材はハウジングと本体110との間に挟まれ、出口チャンバ102を周囲又は変位チャンバ107から密閉する(弁部材内に設けられてもよい任意の流路以外)。本体は、環状肩部又はフランジ183と、本体環状フランジとハウジング環状部材との間に挟まれた弁部材と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、弁部材は、環状フランジ183の外縁部を受け入れる、径方向内側に面するチャネル又は溝を含んでもよい。ハウジング環状部材182と環状部材182の径方向内側のハウジング壁は変位チャンバを形成している。環状部材182及び本体フランジ183は円形又は他の形状であってもよい。センシングチャンバの第2のチャンバ154bは同様に形成されていてもよく、本体110は、環状フランジ184と、ハウジング180の側壁から延びるハウジング環状部材182とを含み、環状フランジ184とハウジング環状部材182との間にセンシング部材が捕捉されている/挟まれている。
【0297】
いくつかの実施形態では、本体110は2つのハウジング部分の間にクランプされている。図27Bに最も良く示されるように、本体110はハウジング部分180a、180bの環状壁182の間にクランプされている。弁部材及びセンシング部材は、また、各ハウジング部分180a、180bと本体110との間にクランプされている。
【0298】
いくつかの実施形態では、弁部材及び/又はセンシング部材は、剛性のフレームとダイヤフラム又は膜とを含む。剛性のフレームは、ダイヤフラム又は膜の外周部を支持若しくは保持する、又はダイヤフラム若しくは膜の外周部に結合されている。先に記載したように、いくつかの実施形態では、膜105、155はエラストマー膜である。図27C図27Eを参照すると、膜105は、膜が所定の張力を有するようにフレーム105eによって張力がかけられた状態で保持されていてもよい。剛性のフレーム105eは膜105に重ね成形されてもよく、又は好適な実施形態では、膜がフレームに重ね成形される。重ね成形プロセスにおいて、剛性のフレームは型穴内に保持されてもよく、未硬化の材料が型穴に注入され、フレームに重ね成形される膜を形成してもよい。膜材料が硬化すると膜の材料は例えば2~3%収縮し、フレーム内で膜の予張力がもたらされる。フレーム105eは弁体110に係合して膜を本体に組み付ける。フレームは、フレームを本体にクリップ留めするためのクリップ留めインターフェース105fを含んでもよい。フレームにより、FCPRVの組み立て時に膜の適切な張力が得られ、維持されることになる。膜105及び膜155のたわみをもたらす本体110上の特徴を用いて付加的な予張力が加えられてもよい。フレーム105eを弁体に結合すると、膜を弁体に組み付けるために伸張させる必要がないため、適切な張力の維持が確実となる。フレームのない一実施形態(例えば、図27Bに示すような)では、膜は弁体に取り付けるために伸張させるあるいは変形させることが必要な場合があり、これにより弁体に組み付けられた後に膜の張力の変化が生じる可能性があり、異なる弁の間で性能の変化が生じる。弁部材内にポート、例えば、図27Aに示される圧力ポート156及び圧力ポート185が設けられる場合、ポートは、剛性のフレーム内、又はフレーム及びフレームに重ね成形された膜材料内に延びてもよい。ポートのこのような配置構成は、ポートが膜の張力を阻害しないことを意味する。フレーム上に重ね成形された膜材料の領域105gは、弁のチャンバ壁、例えば、センシングチャンバ又は出口チャンバ又は変位チャンバとシールを形成してもよい。
【0299】
弁部材105の相対的に剛性のフレーム105e及びセンシング部材155は、金属、又はポリカーボネート若しくは当技術分野で周知の他のプラスチック材料などのプラスチック材料など任意の適切に剛性のある材料から形成されていてもよい。本体110は、また、相対的に剛性の材料から作成されていてもよく、且つ弁のフレーム及びセンシング部材又は当技術分野で周知の他の剛性材料と同じ材料から作られていてもよい。好ましくは、ハウジングはまた、相対的に剛性の材料から作成されていてもよく、且つ弁体又は当技術分野で周知の他の材料と同じ材料から作られていてもよい。弁膜又は弁体などの弁の部品は蒸気透過性材料から形成されていてもよい。
【0300】
ハウジング180は弁部材105の外周部及び環状壁182の外側に延び、ハウジング内及び変位チャンバの外側に空洞又は空間186(第1の空間)を作成する。いくつかの実施形態では、ハウジング180内のハウジング空間186は変位チャンバ及び出口チャンバ102を囲む。いくつかの実施形態では、ハウジング180内のハウジング空間186は、変位チャンバ107と、出口チャンバ102と、センシングチャンバ154とを囲む。連通導管又は線185が変位チャンバ107とハウジング空間186との間に設けられていてもよい。空間186はアパーチャ112及びアパーチャ188を通じて周囲環境に開かれている。いくつかの実施形態では、連通導管は周囲環境と直接流体連通している。いくつかの実施形態では、アパーチャ112は、主要入口及び主要出口のうちの1つと同軸である。図27aの図示される実施形態においては、変位チャンバ107と流体連通するアパーチャは、アパーチャ112が環状アパーチャであるように、主要出口153と同軸である。いくつかの実施形態では、変位チャンバ107をハウジング空間186と流体的に接続しているポート185は、弁部材105の外周部の近傍において弁部材105内に、及びハウジング180の環状壁182の径方向内側に延びる。
【0301】
いくつかの実施形態では、連通ポート又は線156が、主要出口153とセンシングチャンバ154の第2のチャンバ154bとの間に設けられている。いくつかの実施形態では、ポート156は、センシング部材155の外周部の近傍においてセンシング部材155内に、及びハウジング180の環状壁182の径方向内側に流体的に延びる。主要出口又は流量制限部若しくはオリフィス152の下流の圧力は位置156a(図27A)にて検知される。これは流量抑制部においても同様であり得る。この圧力抽出箇所は主要ガス流中にあることから、センシングチャンバ154の第2のチャンバ内のセンシング部材155によって検知される圧力は乱流/動圧を受ける可能性がある。FCPRVは、ガスの主流からポート156を遮蔽し、センシング部材によって検知される圧力変動を安定させるためのバッフルを含んでいてもよい。FCPRVは、主要ガス流路及びセンシングチャンバから流路を遮蔽し、センシング部材によって検知される圧力変動を安定させるためのバッフルを含んでいてもよい。
【0302】
いくつかの実施形態では、ハウジング180は出口チャンバ102の外側に空洞又は空間187(第2の空間)を設けている。弁部材が弁座104から離れて持ち上がるときに圧力開放弁100を通るガスを出口チャンバ102からハウジング空間187に排出することができるように、排出出口103が本体110の壁106(図27Aに示される)内に設けられていてもよい。出口チャンバ102は第1の出口チャンバであってもよく、ハウジング空間187は第2の出口チャンバであってもよく、第1の出口チャンバと第2の出口チャンバは直列で配置されており、排出ガスは第1の出口チャンバ及び第2の出口チャンバを通過し、周囲環境に排出される。ベント又はハウジング空間187から周りの周囲環境への出口(単数)188又は出口(複数)は排出出口とも記載され得る。排出出口103及び排出出口188は特定の弁特性を実現するように調整されてもよい。いくつかの実施形態では、排出出口188において有意な圧損が得られるように排出出口103は排出出口188に比べ十分に大きくてもよい、あるいは、いくつかの実施形態では、出口チャンバ102からの排出出口103において有意な圧損が得られるように排出出口103は十分に小さくてもよい。いくつかの実施形態では、上述のハウジング空間186、187は、センシングチャンバ154と、出口チャンバ102と、変位チャンバ103とを囲む単一のハウジング空間として接合されている。いくつかの実施形態では、ハウジングは、2つの別個のハウジング空間186、187を設ける。いくつかの実施形態では、本体又はハウジングは、排出出口103とハウジング排出出口188との間に延び、出口チャンバからハウジング排出出口188に排出するガスを導くためのシュラウド又はダクト189を含む。ダクトは、変位チャンバと流体連通するハウジング空間186とともに配置されていてもよい。ダクト189の内部はハウジング空間187を提供してもよく、ハウジング空間187内に出口チャンバからガスが排出される。ダクトは、出口チャンバから排出するガスを、変位チャンバと連通するハウジング空間186から実質的に分離してもよい。図示される実施形態においては、ダクト189は本体から延びる。
【0303】
いくつかの実施形態では、ハウジング空間187から周囲へのハウジング排出出口188は主要入口及び主要出口のうちの1つと同軸である。図27Aの図示される実施形態においては、排出出口188が環状であるように、排出出口188は主要入口151と同軸である。
【0304】
いくつかの実施形態では、図27Aに最も良く示されるように、主要入口と主要出口は整列している。上述のように、いくつかの実施形態では、変位チャンバ出口112(第1のハウジング出口)及び排出出口188(第2のハウジング出口)は、主要入口及び主要出口のうちの各1つと同軸である。
【0305】
図27Aに示すように、いくつかの実施形態では、弁は、主要入口151と弁座104との間の流路に湾曲部を含む。図27Aの実施形態では、湾曲部は90度の湾曲部である。弁部材105によって検知された圧力は、湾曲部の下流側の、図27Aの位置151aで抽出される。湾曲部は、弁部材105に作用する抽出箇所151aにおける乱流動圧を低減してもよい。抽出箇所151aは、主要入口151から主要出口153への直流流路である主要ガス流路158の外にある。
【0306】
前述の実施形態を参照して先に記載したように、弁部材とセンシング部材は機械的リンク157によって結合されていてもよい。機械的リンク157は剛性のロッド若しくはシャフト、又は線若しくはコードなどの可撓性部材であってもよい。機械的リンクはガイド、例えば、管状ガイド181内に受け入れられている。図27Aの実施形態では、リンクは、管状ガイド181内を摺動する剛性のロッド又はシャフトである。いくつかの実施形態では、センシング部材が機械的リンクガイドを介して主要入口内の圧力を検知することができるように、センシングチャンバ154の第1のチャンバ154aは機械的リンクガイド181を介して主要入口と流体連通している。ガイド181はリンク157を配置し、主要入口151とセンシングチャンバ154aとの間に流体連通を提供する。主要入口又は主要流路は、リンク157とリンクガイド181との間の環状空間を介してセンシングチャンバと流体連通している。空間は相対的に小さな断面積を有し、また、主要ガス流路からセンシングチャンバ154までの相対的に長い経路を有してもよい。リンクとリンクガイドとの間の空間の小さな面積は、主要ガス流路158内の圧力変動がセンシングチャンバ及びセンシング部材155に達するのにかかる時間を遅らせる計画的な流れ抵抗を提供する。その結果、弁の応答の時定数が延長され、圧力変動に対する弁の応答性を低下させる。これはCPAPなどのいくつかの用途において有益である。いくつかの実施形態では、リンク157はリブ付き外部表面を含む。リブは、入口とセンシングチャンバとの間に更なる流れ抵抗を生成するための乱流路を作成する。リブは、所望の流れ抵抗を生成するためにリンクとリンクガイドとの間に適度な空間を維持しながら、すなわち、シャフトとシャフトガイドとの間に精密公差嵌合を必要とすることなく、乱流による流れ抵抗を生成することができる。
【0307】
いくつかの実施形態では、機械的リンクは、図29A及び図29Bに示すようなリブ付き構造体を含む剛性のシャフト又はロッドである。リブは、材料の量を低減させたシャフトに十分な剛性を与える。フランジ157bがシャフトの一端に設けられている。ロック用ワッシャ157c又はリンクをセンシング部材に結合するための他の手段が反対端に設けられている。ロック用ワッシャは、外周部分から内方に延びるいくつかの突起を含む。突起の径方向内側端部はシャフトの端部に係合している。ワッシャは肩部又はワッシャ受け部によってシャフトの端部に保持されている。ワッシャ及びフランジは、図29Bに示すように、弁部材105及びセンシング部材155の各1つを支持し、この2つの部材を共に結合している。いくつかの実施形態では、部材がリンクにクリップ式に留められるようにワッシャは弁部材又はセンシング部材に重ね成形され得る。いくつかの実施形態では、ワッシャ又はロック用ワッシャは、シャフトの両端に設けられていてもよい。ワッシャは以下に記載されるようにフランジ157bを設けていてもよい。
【0308】
いくつかの実施形態では機械的リンクは、弁部材105を弁座に対して支持するためのフランジ157bを含む。いくつかの実施形態では、図27E及び図27Fに示すように、フランジ157bは弁座の直径よりも大きな直径を有するので、弁部材が弁座に着座すると、弁部材はフランジと弁座との間で弁座に対して支持される。センシング部材が弁部材を弁座に対して引く場合、図27E及び図27Fに示すように、フランジは弁座の外径によって画定される面積を超える面積にわたって弁部材を支持し、引く。フランジは弁座上に弁部材の平坦領域を維持するように機能する。いくつかの実施形態では、フランジは、弁座104に接触する側とは反対側の弁部材の側で弁部材を支持する。いくつかの実施形態では、フランジは弁部材内に重ね成形されてもよい。フランジの直径は弁座の直径未満(図27A及び図27B)であっても、弁座の直径を超えていても(図27E及び図27F)、弁座の直径に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、フランジは弁座に着座してもよく、この場合、フランジは弁部材の一部である。
【0309】
図27Eの実施形態は、主要ガス流路158とセンシング部材155との間に、比較的制限された空気圧カップリングを含む。図27Aを参照して上述したように、これはセンシング部材155に達する主要ガス流路158内の圧力変動に対する減衰効果を提供し、ゆえに、安定した弁動作を提供する。しかしながら、いくつかの用途では、望ましいより小さな時定数/より迅速に応答する弁が望ましい場合がある。より迅速な応答特性は、流量制限部の上流の主要ガス流路(すなわち主要入口)とセンシング部材155との間に増強した又は有意な空気圧カップリングを設けることによって達成することができる。図27Eは、主要ガス流路158とセンシング部材155との間の増強した空気圧カップリングを含む一実施形態を示す。図27FのFCPRVは、図27Eの実施形態と同一であるが、機械的リンクガイド管181はない。主要入口又は主要ガス流路158とセンシングチャンバとの間に、機械的リンクが延びる開口部158aが設けられている。したがって、リンクが開口部内に受け入れられている状態で、開口部158は主要ガス流とセンシングチャンバ、ゆえに、センシング部材との間に環状空間を設ける。図27Eにおける、リンクガイド181とリンクとの間の環状空間に比べて増加した開口部158aの環状空間の面積は、図27Fの弁が主要ガス流路158内の圧力変化により素早く応答するように、より迅速な応答をもたらす。代替的に、ガイド管は、ガイド管181とキンク157との間により大きな隙間を設けることができる。開口部158aの増加した面積は、主要ガス流とセンシングチャンバとの間の流量制限部の減少をもたらす。生じる迅速応答弁は、ベンチレータ、例えば、図1F-1、図1F-2及び図1F-3を参照して上述したシステムとして機能する圧縮ガスタンク又は病院の壁の流量計供給部など設定フロー源とともに使用するのに特に有用である。迅速応答弁において、FCPRV、ゆえにまた患者におけるシステム圧力は図1F-3に示されるバイレベル圧力P1とバイレベル圧力P2との間で急速に変化する傾向にある。このように構成された弁は、従来のベンチレータが利用できない状況、例えば、救急車での搬送時、限られた数の従来のベンチレータしか利用できない大量の患者がいる状況、野戦病院、及び発展途上国において有用となり得る非常に低コストの可搬式ベンチレータを有利に提供する。
【0310】
図27Fの実施形態では、主要ガス流158とセンシングチャンバ154の第1のチャンバ154aとの間の流量制限部は減少し、主要ガス流と第1のチャンバとの間の空気圧カップリングは増加している。代替的に又は付加的に、迅速応答弁を実現するために、主要ガス流158とセンシングチャンバ154の第2のチャンバ154bとの間の空気圧カップリングを増加させることによって主要ガス流158とセンシングチャンバ154との間の空気圧カップリングを増加させてもよい。例えば、主要流路158と第2のチャンバ154bとの間の圧力ポート156の面積を増加させてもよい及び/又は圧力ポート156の長さを低減させてもよい。迅速応答弁は、また、変位チャンバ107からの圧力ポート185の面積を増加することによって、又はセンシングチャンバの第1のチャンバ及び/若しくは第2のチャンバの体積を低減することによって実現されてもよい。
【0311】
種々のFCPRV実施形態を上で記載してきた。2つの好適な実施形態の弁体110、弁部材105、及びセンシング部材155を図27E及び図27Fに示す。これら実施形態におけるいくつかの例示的な概算弁寸法を以下に記載する。
【0312】
弁座直径20mm/PRV入口管101面積は315mm2(すなわち、弁部材が弁座104に着座すると入口圧Pcに曝される弁部材105の面積)。
弁部材及びセンシング部材は厚さ0.3mmのゴム材料、例えば、弾性係数約0.1GPa(例えばシリコーンゴム)。
弁部材及びセンシング部材直径は約60mm。
弁座に対する弁部材の付勢は約1mm。
センシング部材付勢は約1mm、すなわち、弁部材が弁座に接した状態で、センシング部材は約1mm変位される。
流量制限部オリフィス152面積は37mm2。
流れの方向における出口排出アパーチャ103は80mm2(例えば、それぞれ40mm2の2つの穴)。
【0313】
いくつかの実施形態では、FCPRVは、FCPRVが、システムにおいて、第1の構成では、入口151としての主要流路158の第1の接続部と、出口153としての主要流路158の第2の接続部と、第2の構成では、出口153としての主要流路158の第1の接続部と、入口151としての主要流路158の第2の接続部と接続され得るように、可逆的であるように構成されていてもよい。図30に示すように、FCPRVは、主要入口151としてシステムに接続された主要流路158の第1の接続部158aと接続されている。主要流路158の第2の接続部158bは主要出口153として接続している。可逆的な弁500’には、主要流路の第1の接続部158aとセンシングチャンバ154bとの間に第1の圧力ポート又は連通路156-1、主要流路158の第2の接続部158bとセンシングチャンバ154bとの間に第2の圧力ポート又は連通路156-2が設けられている。可逆的なFCPRVには、主要流路158の第1の接続部158aの近傍に第1の流量制限部152-1(例えばオリフィス又はベンチュリ)、主要流路158の第2の接続部158bの近傍に第2の流量制限部152-2(例えばオリフィス又はベンチュリ)も設けられている。システムの入口導管及び出口導管は、入口導管が主要流の第1の接続部158a又は主要流の第2の接続部158bに取り付けられると、第1の圧力ポート156-1又は第2の圧力ポート156-2が入口導管によって遮断されるように適合されている。あるいは、FCPRVには、主要流路の第1の接続部158a又は主要流路の第2の接続部158bのいずれかに取り付けられていてもよく、各圧力ポート156-1又は圧力ポート156-2を遮断し、主要流路への入口151として第1の接続部158a又は第2の接続部158bを構成するコネクタ168が設けられていてもよい。第1の主要流接続部158a及び第2の主要流接続部158bのうちのもう一方は、主要出口153として構成されており、各第1又は第2の圧力ポート156-1、156-2は遮断されていない。例えば、図30に示すように入口導管又はコネクタ168が第1の主要流接続部168aに接続されると、第1の圧力ポート156-1は遮断され、第1の制限部152-1の圧損はセンシング部材280によって検知されない。センシング部材280は主要出口153として構成されている主要流接続部158bの近傍の第2の圧力部156-2により差圧を検知する。入口導管が圧力ポート156-1、156-2を遮断し、出口導管が圧力ポート156-1、156-2を遮断しないようにシステム導管が入口導管及び出口導管として構成されている場合、FCPRVはシステム内にいずれの方向に取り付けられていてもよく、FCPRVが第1の接続部158aから弁座104まで、及び第2の接続部158bから弁座104まで同じ流路を有するように構成されている(すなわち、第1の流量制限部156-1と第2の流量制限部156-2は同一)場合、同じ性能特性を実現してもよい。このような配置構成は、システム内においてFCPRVを意図せずに誤った方向に接続するのを回避する。あるいは、FCPRVは、弁内の主要流の方向に応じて異なる特性を提供するように構成されていてもよい。例えば、図30の実施形態では、弁の接続の方向によりセンシング部材によって検知される第1の流量制限部又は第2の流量制限部を選択してもよいように、第1の流量制限部156-1は第2の流量制限部156-2と異なっていてもよい。図30に示される可逆的な弁は、ピストンセンシング部材280を含む図21の実施形態を示す。しかしながら、図30を参照して記載した第1及び第2の制限部152-1、152-2並びに第1及び第2の圧力ポート156-1、156-2を含む可逆的な構成を本明細書中に記載される実施形態のいずれかによるFCPRVのいずれに、例えば、膜センシング部材155を含むFCPRVに実装してもよい。
【0314】
いくつかの実施形態では、FCPRVには、管又は導管、例えば、FCPRVから患者にガス流を供給するための導管が設けられている。導管はFCPRVに永久的に取り付けられていてもよい。FCPRVを導管とともに設けることによって、システムにおいてFCPRVを意図せずに誤った方向に接続するリスクが低下する。
【0315】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるPRV又はFCPRVは、加湿器を含むシステムで使用するために適応させてもよい、及び/又はシステム内において患者の近傍に配置してもよい。このため、いくつかの用途では、加湿ガス又は患者の呼吸による凝縮物はPRV又はFCPRV内に蓄積する場合がある。凝縮物の蓄積を低減する又は防止するために、いくつかの実施形態において、PRV又はFCPRVは、デバイス又はデバイスの一部を加熱し、PRV又はFCPRV内に形成する凝縮物を低減する又は除去するためのヒータを含んでもよい。例えば、弁体110は、本体に又は本体内に提供されるワイヤ又は他の抵抗素子などの電気ヒータによって加熱されてもよい。弁は、捕水部又は凝縮物を除去するための他の手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、PRV又はFCPRVは加湿器のないシステムで使用されてもよい。
【0316】
更に別の実施形態では、FCPRVは、FCPRVの主要入口から主要出口へと流れるガスの流量(例えば、流量制限部又は制限部を通る流れの圧損)を検出するための1つ以上の電子センサを含む電気センシングデバイスであるセンシング機構を含んでもよい。好適であり得るセンサのいくつかの例は、ホットフィルムセンサ又は超音波センサ、又はオリフィス若しくはベンチュリを通る流れを測定するための圧力センサ若しくは差圧センサの使用を含む、任意の他の適切なセンサである。センサから信号を受信する電気コントローラ/プロセッサは、アクチュエータを駆動し、FCPRVのPRVの開放圧閾値を調節するようにFCPRVのPRVを制御するための出力を提供してもよい。例えば、アクチュエータは、PRVの弁部材105、205に取り付けられた、PRVの弁座104、204に対する部材105、205の付勢量を調節するためのリンク157、257などの部材を駆動するサーボを含んでもよい。ソレノイドは弁部材を移動させるように制御されてもよい。
【0317】
円形の弁及びセンシング部材を有する様々なPRV及びFCPRV実施形態を示してきた。しかしながら、所望の特性を達成するためには他の形状が望ましい場合がある。
【0318】
図31A及び図31Bは、電気センシングデバイスを含むFCPRV901を示す。電気センシングデバイスは、フロー及び/又は圧力センシング機構950と、プロセッサ又はコントローラ951(例えば、デジタル及び/若しくはアナログ電子機器並びに/又は電気機械式デバイス)と、アクチュエータ952と、を含む。センシング機構は、ベンチュリスロート部及びベンチュリスロート部の近傍における流量を測定するためのベンチュリ並びに第1及び第2の圧力センサを含んでもよく、又は上流及び下流圧力センサを有するオリフィス若しくは当技術分野で周知の任意の他のフローセンシング機構を含んでもよい。コントローラ951はセンサ950から信号を受信し、弁座104に接する弁部材205(すなわちプランジャ)に、例えば機械的リンク157を介して加えられる力又は負荷の量を、主要出口153内を流れるガスの流量に基づき変化させるようにアクチュエータ952を制御する。図31A及び図31Bの実施形態では、弁部材は弁座104を支持するように適合されたプランジャである。アクチュエータは付勢部材又は要素953、例えばばね953を介して弁部材205に接続されていてもよい。アクチュエータは、センサ950によって提供された信号によりコントローラが決定した流量に応じて、付勢部材953により与えられる付勢量を調節して弁部材205を弁座104から持ち上げるのに必要な圧力を調節するように、コントローラにより駆動されてもよい。図31Bは、付勢部材953を伸張させてPRVの開放圧を増加することによって付勢を増加するように駆動されたアクチュエータを示す。結合部材157は、また、剛性であってもよく、それにより、アクチュエータは弁部材を直接開閉する。このような一実施形態では、センサは圧力及び流量の両方を測定し、圧力と流量との間の関係に基づき排出弁を開く。測定された流量及び測定された圧力に対し、弁は所定の量開き、患者における圧力を制御し、図15Bに示される特性を達成する。
【0319】
図32A及び図32Bは、電気センシングデバイスを含むFCPRVを示す。電気センシングデバイスは、フロー及び/又は圧力センサ950と、プロセッサ又はコントローラ951(例えば、デジタル及び/又はアナログ電子機器)と、アクチュエータ952と、を含む。コントローラ951は、センサ950から信号を受信し、弁座104に接する弁部材105に、例えば機械的リンク157を介して加えられる力又は負荷の量を変化させるようにアクチュエータ952を制御する。図32A及び図32Bの実施形態では、弁部材104は、弁座104を支持するように適合されている可撓性ダイヤフラムである。アクチュエータは、センサ950によって提供された信号によりコントローラが決定した流量に応じて、弁部材に加えられる力又は負荷の量を調節し、可撓性ダイヤフラムが弁座に対して引かれる際の可撓性ダイヤフラムの屈曲の量を変化させ、弁部材105を弁座104から持ち上げるのに必要な圧力を調節するように駆動されてもよい。弁座に対する付勢は可撓性ダイヤフラムの弾力性によって与えられる。図32Bは、ダイヤフラムを弁座104に対して引くことによって付勢を増加するように駆動されたアクチュエータを示す。
【0320】
図33A及び図33Bは、患者における圧力を、患者に提供される圧力と流量との間の関係に基づき安全なレベルに制御する流量制御式圧力調整デバイスを示す。デバイスはそれぞれ、電気センシングデバイスを含む。電気センシングデバイスは、フロー及び圧力センサ950と、プロセッサ又はコントローラ951(例えば、デジタル及び/又はアナログ電子機器)と、アクチュエータ952と、を含む。コントローラ951はセンサ950から信号を受信し、制限部又は開口部/オリフィスのサイズを変化させ、患者に対する流れの量を調節するようにアクチュエータ952を制御する。センサ950は、患者に対する圧力の表示を提供するために、可変流量制限部954(例えば弁)の下流に(すなわち患者側に)配置されている。可変制限部又は弁954の後ろで乱流が発生する可能性がある。センシングデバイス950に対する乱流の影響を低減するために、バッフル又はベーンが設けられていてもよく、及び/又はセンサが可変流量制限部/弁の十分に下流に配置されていてもよい。図33Aでは、可変流量制限部954は主要入口151から主要出口153への主要流路内にある。流量制限部が可変制限部954の下流において(又は例えば、患者の鼻孔内)システムに導入される場合、コントローラは所与の流量に対する圧力の増加を検知し、アクチュエータ952を移動させてオリフィス又は開口部954の大きさを増加することによって流量制限部954を低減し、システム内の設定流量(例えば、図15Bのグラフ内の垂直線によって示されるような)を維持してもよい。流量制限部によりデバイスの圧力が圧力対流量関係(すなわち図15Bの曲線142)に基づき圧力限界に達する場合、コントローラは、その後、アクチュエータ952を移動させることによって流量制限部954を増加し始め、オリフィス又は開口部の大きさを減少させ、デバイスの圧力、ゆえに、患者における流量及び圧力を制限してもよい(すなわち、流量制限部はデバイスにおける圧力及び流量が図15Bの点3にあるように制御される)。したがって、弁又は可変流量制限部954は圧力と流量との間の関係に基づき制御される。アクチュエータが十分に迅速に応答することができない迅速な遮断の場合に出口管内の圧力を低減するために付加的なベント955が使用されてもよい。
【0321】
図33Bにおいて、可変流量制限部954はシステムから流れの一部を排出するための排出経路内にある。流量制限部が弁又は可変制限部954の下流においてシステムに導入される場合、コントローラは圧力の増加を検知し、アクチュエータ952を移動させてオリフィス又は開口部954の大きさを増加させることによって流量制限部954を低減し、システムから流れを排出し、圧力調整デバイス、ゆえに、患者における最大設定圧力を維持する。したがって、弁又は可変流量制限部954は圧力と流量との間の関係に基づき制御される。いくつかの実施形態では、図33Aのデバイスは、アパーチャ955から排出するガスの流量を制御するための第2のアクチュエータ及び弁954を含んでもよい。例えば、図33Aの排出アパーチャ955は、図33Bに示すような弁配置構成によって制御されてもよい。コントローラは、(第1の)アクチュエータ及び弁を、図33Aに示すように主要入口から主要出口への流れを閉塞させるように制御してもよく、第2のアクチュエータ及び弁を、図33Bに示すように第1の弁の下流においてアパーチャ955からのベント流を制御するように制御してもよい。第1の弁は上述のように制御されてもよいが、第1の弁が素早い圧力増加に応答することができない場合、第2の弁が流れ及び圧力を排出するように動作することができる。
【0322】
流量に応じて弁の開放圧を調節するためのセンシング機構を含むFCPRVの様々な実施形態について記載してきた。しかしながら、フローセンシング機構のないPRV、例えば、図2A図12Eを参照して上述した実施形態が、固定入力流のための流量補償圧力開放弁として動作するように構成されていてもよい。図34Aのグラフを参照すると、PRVは、先の図3図8を参照して記載したように「屈曲部分」を有するように調整されていてもよい。Pc圧力は、排出流量が増加するにつれて、Pc曲線の屈曲部分から、例えば、図34Aの点Aと点Bとの間において低下する。患者に対する流量がPRVに対する流量マイナス排出流量に等しくなると、点Aと点Bとの間の排出流量曲線の負の傾きは、同一圧力帯(本例では、約18cmH2O~約30cmH2O)内の患者に対する流れの正の傾きに一致する。
【0323】
図34Bは、PRVに対する流量マイナスPRVの排出流量曲線142aである、患者に対する流れの開放圧流量曲線142bを示す。したがって、患者に対する流れに対し、弁のシステム圧力Pcが増加するにつれて、開放圧142bもまた増加する。PRVは弁が弁の動作範囲内において連続的に排出するように調整されるため、PRVのシステム圧力PcはPRVの排出圧142bに等しい。患者に対する任意の流量における患者に対する圧力は、排出圧Pc(曲線142b)マイナスその流量におけるPRVから患者へのシステム圧損(曲線141)、すなわち、曲線142bと曲線141との間のオフセットに等しい。システムの既知の流れ抵抗141及び固定入力流において、余分な流れを排出して安全患者圧力を実現するのに必要な駆動圧力142aを実現するのに必要な弁の応答を設計することができる。患者に対する所与の流量xにおける排出圧142bは、その流量におけるシステムの流れ抵抗141に安全患者圧力(P患者)を加えたものに等しい。患者に対する所与の流量における患者圧力は、ある排出流量(この流量は入力流量マイナス患者流量に等しい)における排出圧142aマイナスその患者流量におけるシステムの流れ抵抗として決定され得る。
【0324】
患者インターフェースを介してユーザに供給されるガス流からの排出圧に関するPRV100の様々な実施形態を上で記載してきた。本明細書中に記載される実施形態によるPRVの更なる使用及び配置構成を図35A及び図35Bに示す。示されるように、PRV100の弁部材105-1は機械的リンク157を介して第2の弁部材105-2に結合されている。第2の弁部材105-2は、患者に対する呼吸ガス流中に位置するネブライザ116のポートを密閉するように構成されている。図35Aに示されるように、患者が息を吐くと、呼気ガスは患者インターフェース115からPRV100を通って流れ、PRV100の排出出口103から排出される。PRV100を通して呼気ガスを排出するとき、弁部材は弁座104から持ち上がり、弁部材105-1の変位により第2の弁部材105-2をネブライザ116の弁座104-2に対して保持する。したがって、患者が呼出する際、ネブライザ116により供給される薬剤は患者に対するガス流中に放出されないように密閉される。図35Bに示すように、患者が吸入する際、PRVは、弁部材105-1が弁座104-1に接している閉鎖又は非排出構成にある。弁座104-1に対する弁部材105-1の変位により第2の弁部材105-2をネブライザの弁座104-2から持ち上げるので、ネブライザ116から、患者インターフェース115を介して患者に供給されるガス流中に薬剤が放出される。したがって、上記配置構成は大気に薬剤を排出するのを阻止し、ゆえに、薬剤が無駄にならないようにする。
【0325】
いくつかの実施形態では、PRV(例えばPRV100)又はFCPRV(例えばFCPRV800)は、PRV又はFCPRVから出口チャンバ102及び出口ベント103を通じて流れが排出されるときを示すためのベント表示器を含む。いくつかのベント表示器の実施形態を、以下、図36図40を参照して記載する。
【0326】
いくつかの実施形態では、図36に示されるように、FCPRVは、ガイド又は視認管1001と、ガス流が出口チャンバ102を出るのに応答し管1001に沿って移動するシャトル1002と、を含む。管1001は、出口排出アパーチャ103と位置合わせされていてもよい。排出アパーチャ103を通る流れによってシャトルが移動するとき、シャトルは、例えば、ハウジング及び/又は視認管の透明部分を通してハウジング180の外側から見えるようになる
【0327】
いくつかの実施形態では、図37に示されるように、FCPRVは、ガス流が出口チャンバ102を出るのに応答して、例えば、矢印Aによって示される方向にヒンジ軸線の周りで動くフラップ1003を含む。フラップ1003は、出口ベント103に隣接して又は出口ベント103の近傍に位置する。ハウジングは視認用アパーチャ1004を有してもよく、フラップがベント103からの流れに応答して曲がると、フラップは、視認用アパーチャを、ハウジングの外側から見えるようにカバーする。アパーチャ1004を通して、フラップは、曲げ又は排出構成にあるとき、色付きの「ドット」に見える。
【0328】
いくつかの実施形態では、図38に示されるように、FCPRVは、ガス流が出口チャンバ102を出るのに応答して移動するための、ガイド内に受け入れられたプランジャ又はシャトルを含む。シャトル1005は、ハウジング出口188内に受け入れられた、例えば、ハウジング出口188内に同軸に受け入れられた環状部又はカフを含んでもよい。環状ハウジング出口188はシャトルを案内してもよい。排出構成において、シャトルはハウジングの外側から見えるように移動する、例えば、ハウジングから外に延びてもよく、又はハウジングの透明部分を通して見えるようになってもよい。例えば、ハウジング出口188は透明であってもよい。ハウジングの残部は不透明であってもよい。図39は、ガスが出口チャンバを出るのに応答して移動するシャトル1005を含む類似の実施形態を示す。図39の実施形態では、シャトルは出口チャンバ排出出口103内に受け入れられる部材を含み、例えば、2つの長尺状の部材1006があり、各長尺状の部材は各排出出口103内に受け入れられている。
【0329】
いくつかの実施形態では、図40に示されるように、FCPRVは、出口チャンバ内の圧力に応答して移動するための、ガイド、例えばガイド管1008内に受け入れられたプランジャ又はシャトル1007を含む。出口チャンバ102内の圧力は出口チャンバから排出するガスの流れ、したがって、FCPRVから排出するガスの流量の表示に比例する。シャトルはガイドに沿って移動すると、ハウジング180の外側から、例えば、ハウジング及び/又は視認管/ガイド1008の透明部分を通して見えるようになる。図40に示すように、ガイド管には、ガイド管に沿ったシャトルの位置を流量に関連付ける目盛りが付けられていてもよい。シャトルの外部表面とガイド1008の内部表面との間に環状空間が形成されていてもよい。排出ガスは出口ベント103を通って視認管1008に入り、ガイドに沿って及びシャトル1007の周囲を移動し、管の出口端を通ってガイドを出てもよい。キャップ1008aが管の出口端に取り付けられていてもよく、キャップは、穴又はアパーチャ1008bを含む。穴はガイド1008の断面よりも小さくてよく、排出ガスの流量を示すようにシャトルを較正するような大きさに作られていてもよい。
【0330】
記載する排出表示器機構において、例えば、排出中又は排出なし(閾値を超える)を示す、PRV/FCPRVからの排出流のバイナリ表示を提供してもよい。このような機構は、弁から流れが排出されているときにハウジングの外側から見えるように「突然現れる」部材を含む「ポップアップ」表示器と表される場合がある。代替的に、いくつかの実施形態では、排出表示器は、出口チャンバから排出されているガスの流量を示す、排出の比例表示を提供してもよい。例えば、ハウジング又はシャトルガイド1001、1008、又はハウジング180の一部分は、排出流量を示すシャトルの移動量を示すマーキング又は印を含んでもよい。
【0331】
いくつかの実施形態では、PRV又はFCPRVは、PRV/FCPRVの出口から患者又はユーザに供給されるガスの流れを表示するための表示器を含んでもよい。例えば、図41A及び図41Bを参照すると、いくつかの実施形態では、流量表示器は、FCPRVの出口153に配置されるインペラ1009を含む。ガスの流れが出口153に沿って進むと、流れによりインペラが回転し、流れを示す。インペラは出口153の端部から見えてもよく、又は出口153はインペラが出口の壁を通して見えるように透明であってもよい。インペラ1009は、インペラハウジング1010内に回転可能に取り付けられていてもよく、インペラハウジング1010は出口153内に受け入れられていてもよい。
【0332】
図42A図42Cを参照すると、いくつかの実施形態では、流量表示器はPRVの出口153内に配置されるフラップ1011を含んでもよい。フラップは、出口を少なくとも一部閉塞する閉位置と開位置との間で動くことができる。流れによってフラップが開位置に動き、出口を通って患者に向かう流れの表示を提供する。フラップは出口153の端部から見えてもよく、又は出口153はフラップが出口の壁を通して見えるように透明であってもよい。
【0333】
図43に示すように、いくつかの実施形態では、流量表示器は、ガイド管1008内に受け入れられたプランジャ又はシャトル1012を含んでもよい。ガイド管が、FCPRVの入口151と出口153との間の流量制限部152(例えば図27Aに示すような)の差圧を検知するように、ガイド管の入口端1008cはFCPRVの入口151と流体連通していてもよく、出口端1008dはFCPRVの出口153と流体連通していてもよい。シャトル1012は、流量制限部152の差圧に応答してガイド管内を移動し、FCPRVを通って患者に向かう流れの表示を提供するように適合されている。図43に示すように、ガイド管には、ガイド管に沿ったシャトルの位置を流量に関連付ける目盛りが付けられていてもよい。ばね(図43に図示せず)が、増加する流量に応答した動きに抗してシャトル又はプランジャを付勢してもよい。換言すると、ばねはプランジャ又はシャトルをゼロ流量表示へと付勢してもよい。流れが増加するにつれて、流れはシャトル又はプランジャをばねの付勢に抗して移動させ、FCPRV内の流量を示す。
【0334】
いくつかの実施形態では、図2A図12Eを参照して上述したようなPRVは、ダンパを含んでもよい。いくつかの実施形態では、図14A図26Bを参照して上述したFCPRVは、ダンパを含んでもよい。いくつかの実施形態では、減衰部材(ダンパ)は、センシング部材155、255、280及び/又は弁部材105、205に接触して配置又は位置していてもよい。いくつかの実施形態では、ダンパは弁部材105、205に接触して配置されている。ダンパは弁部材105、255に取り付けられていてもよい。ダンパは、変位チャンバ107、207内に配置されていてもよく、又はセンシング部材に接触している場合には、第2のチャンバ154b、254b内に配置されていてもよい。ダンパは、発泡体、又は綿パッド、スポンジ、又はティッシュなどの減衰材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ダンパは、軟質のスポンジ状材料から形成されていることが好ましい。いくつかの実施形態では、ダンパは、複数の孔を有する多孔質材料を含む。いくつかの実施形態では、ダンパは、種々の弁可動構成要素の騒音を減衰させる又は消すように構成されているマフラーとしての役割を果たす。いくつかの実施形態では、ダンパは、また、より広い動作流量範囲にわたって弁の安定性を増加させる。いくつかの実施形態では、ダンパはPRV又はFCPRVの可動部品の機械的な振動を減衰し、これにより更に、騒音を低減してもよい及び/又はより広い動作流量範囲にわたって弁の安定性を増加させてもよい。
【0335】
いくつかの実施形態では、流量補償圧力開放弁の圧力除去弁には出口チャンバがなくてもよい。
【0336】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるPRV又はFCPRVは、PRV又はFCPRVの洗浄が必要ないように、短時間の使用後に廃棄される使い捨て又は消耗可能な物品として提供されてもよい。導管にPRV又はFCPRVが設けられる場合、導管もPRV又はFCPRVとともに使い捨てであってもよい。あるいは、本明細書中に記載されるPRV又はFCPRVは再利用可能デバイスとして提供されてもよい。このような物品は好ましくは洗浄可能であり、例えば、オートクレーブにより滅菌可能である。デバイスは、例えば、医療専門家により洗浄のために分解され、洗浄後に再度組み立てることができてもよい。
【0337】
前述の本発明の説明は、その好適な形態を含む。本発明の範囲から逸脱することなく、これに改良を施してもよい。
【0338】
前述の説明において、既知の均等物を有する整数又は構成要素を参照する場合、これら整数は個々に説明するかのように本明細書中に組み込まれる。
【0339】
本発明は、また、個々に又は集合的に、要素又は特徴の2つ以上の一部又は全部の組み合わせにおいて、本出願の明細書で参照される又は示される部品、要素及び特徴で広く構成されるとされ得る。
図1
図1A
図1AA
図1B-1】
図1B-2】
図1B-3】
図1C-1】
図1C-2】
図1C-3】
図1C-4】
図1C-5】
図1D
図1E-1】
図1E-2】
図1F-1】
図1F-2】
図1F-3】
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図17
図18
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図27C
図27D
図27E
図27F
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図30
図31A
図31B
図32A
図32B
図33A
図33B
図34A
図34B
図35A
図35B
図36
図37
図38
図39
図40
図41A
図41B
図42A
図42B
図42C
図43
【手続補正書】
【提出日】2023-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力調整又は圧力開放デバイスであって、
入口と、
出口を有する出口チャンバであって、前記入口は前記出口チャンバと流体連通する、出口チャンバと、
前記入口と前記出口との間の弁座と、
付勢されて前記弁座を密閉する弁部材と、
を含み、
前記弁部材は、圧力閾値を超えて増加する前記入口の入口圧によって前記弁座から変位し、ガス流を前記入口から前記出口チャンバを通って前記出口に通すように適合されており、前記出口を通る前記ガス流は、前記入口圧とともに、前記出口チャンバの出口圧を前記弁部材に作用させ、前記弁部材を前記弁座から変位する、
デバイス。
【外国語明細書】