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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159143
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】複合材料、製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20231024BHJP
   C04B 40/02 20060101ALI20231024BHJP
   B28B 11/24 20060101ALI20231024BHJP
   C04B 14/38 20060101ALI20231024BHJP
   C04B 14/42 20060101ALI20231024BHJP
   C04B 16/06 20060101ALI20231024BHJP
   C04B 14/48 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B40/02
B28B11/24
C04B14/38 Z
C04B14/42 Z
C04B16/06 Z
C04B14/48 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023126026
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2020548855の分割
【原出願日】2017-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】515252684
【氏名又は名称】ソリディア テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SOLIDIA TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】ラリー イー マッカンドリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】オーランド ナリネ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル カストロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァヒット アタカン
(72)【発明者】
【氏名】デヴィン パテン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ピー クプラー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン キャムロン クイン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、中空の内部チャネルまたは通路を有する複合材料の新規な物品、ならびにそれらの製造および使用のための配合物および方法を提供する。
【解決手段】複数の別個のコンクリート物体として分配された複合材料を含む物品であって、1つ以上のダクトまたはチャネルが、前記複数の別個のコンクリート物体の間にまたはそれらを通して配置されて、前記1つ以上のダクトまたはチャネル内におよび/または前記複数の別個の物体の外部と流体輸送システムを形成しており、前記複合材料は、複数の結合要素と、粗いフィラー粒子および/または微細なフィラー粒子を含むフィラー粒子とを含み、前記各結合要素は、主にケイ酸カルシウムを含むコアと、シリカがリッチな第1のまたは内層と、炭酸カルシウムリッチな第2のまたは外層とを含み、前記複数の結合要素および前記複数のフィラー粒子は一緒に1つ以上の結合マトリックスを形成している、物品である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の別個のコンクリート物体として分配された複合材料を含む物品であって、
1つ以上のダクトまたはチャネルが、前記複数の別個のコンクリート物体の間にまたは
それらを通して配置されて、前記1つ以上のダクトまたはチャネル内におよび/または前
記複数の別個の物体の外部と流体輸送システムを形成しており、
前記複合材料は、
複数の結合要素と、
粗いフィラー粒子および/または微細なフィラー粒子を含むフィラー粒子とを含み、
前記各結合要素は、
主にケイ酸カルシウムを含むコアと、
シリカがリッチな第1のまたは内層と、
炭酸カルシウムリッチな第2のまたは外層とを含み、
前記複数の結合要素および前記複数のフィラー粒子は一緒に1つ以上の結合マトリック
スを形成し、前記結合要素および前記フィラー粒子が、その中に実質的に均一に分散され
、一緒に結合されている、物品。
【請求項2】
前記複数の別個のコンクリート物体が、エンベロープまたはチャンバー内に配置されて
いる、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記複数の別個のコンクリート物体の各々が、その中に埋め込まれた1つ以上の補強要
素を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記1つ以上の補強要素が、棒、ワイヤーおよびケーブルから選択される、請求項3に
記載の物品。
【請求項5】
前記1つ以上の補強棒が、鉄、鋼、高分子材料、ガラス、またはそれらの組み合わせで
できている、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記複数の別個のコンクリート物体が、その中に埋め込まれた補強要素を含まない、請
求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記複数の結合要素が、天然または合成珪灰石、擬珪灰石、ランキナイト、ゲーレナイ
ト、ベーライト、アリートおよびアモルファス相の1つ以上を含む、粉砕ケイ酸カルシウ
ム組成物から化学的に変換されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記複数の結合要素が、制御水熱液相焼結プロセスで粉砕ケイ酸カルシウムをCO
反応させることによって、ケイ酸カルシウムから化学変換によって調製されている、請求
項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記複数の結合要素が、合成珪灰石または擬珪灰石以外の前駆体ケイ酸カルシウムから
化学的に変換されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
結合要素:フィラー粒子の重量比が、約1:5である、請求項1~9のいずれか一項に
記載の物品。
【請求項11】
約10%未満の吸水率を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記流体輸送システムが、前記1つ以上のダクトまたはチャネルおよび前記複数の別個
の物体の外部を通してガスを流すように適合されている、請求項1~11のいずれか一項
に記載の物品。
【請求項13】
前記ガスが、二酸化炭素を含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記1つ以上のダクトまたはチャネルおよび前記複数の別個の物体の外部を通って流れ
る流体が、少なくとも1回方向を変える、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
前記1つ以上のダクトまたはチャネルおよび前記複数の別個の物体の外部を通って流れ
る流体が、少なくとも1回速度を変える、請求項12に記載の物品。
【請求項16】
前記複数の別個の物体の外部内の前記流体輸送システムが、前記エンベロープまたはチ
ャンバー間のフロー、または前記エンベロープまたはチャンバー内のチャンバー要素を含
む、請求項1~15のいずれか一項に記載の物品。
【請求項17】
物品を製造するためのシステムであって、
エンベロープまたはチャンバーとその中に囲まれている、
複数の別個のコンクリート物体として分配されている複合材料;
1つ以上のダクトまたはチャネルが、前記別個のコンクリート物体の間に、またはそれ
らを通して配置され、前記1つ以上のダクトおよびチャネル内で、かつ前記複数の別個の
物体の外部と、流体輸送システムを形成しており;
任意に、前記複数の別個のコンクリート物体が配置されている1つ以上のボード;
1つ以上のダクトまたはチャネルを形成し、前記流体輸送システムでの流体フロープロ
ファイルを促進する、平面、平面、凸面または凹面を有する1つ以上のラック、タープ、
壁またはパネル、を含む、システム。
【請求項18】
前記エンベロープまたはチャンバーの少なくとも一部の前記流体フロープロファイルを
制御する流体分配要素を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記エンベロープまたはチャンバー全体の前記流体フロープロファイルを制御する流体
分配要素を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記エンベロープまたはチャンバー全体の前記流体フロープロファイルを制御する前記
流体分配要素が、少なくとも1回、前記ガスフローの方向を変える、請求項19に記載の
システム。
【請求項21】
前記エンベロープまたはチャンバー全体の前記流体フロープロファイルを制御する前記
流体分配要素が、少なくとも1回、前記ガスフローの速度を変える、請求項19に記載の
システム。
【請求項22】
前記流体分配要素が、流体入口、出口、プレナム、または多孔板、またはそれらの組み
合わせのうちの1つ以上を含む、請求項17~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記エンベロープまたはチャンバーが、金属、合金、プラスチック、ポリマー、ポリマ
ー複合材、セラミック複合材、またはそれらの組み合わせから選択される材料でできてい
る、請求項17~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記エンベロープまたはチャンバーが、コンクリート材料、または鋼、またはタープ、
またはそれらの組み合わせでできている、請求項17~22のいずれか一項に記載のシス
テム。
【請求項25】
物品の製造プロセスであって、
粒子状組成物と液体組成物を混合して混合物を形成すること;
型枠内で前記混合物を打ち込みまたは押し出しまたは他の形成で、複数の別個のコンク
リート物体を含む打ち込みまたは押し出しまたは他の方法で形成された素地を生成するこ
と;
ここで、1つ以上のダクトまたはチャネルが、前記複数の別個のコンクリート物体と前
記複数の別個の物体の外部との間またはそれらを通して配置されており、
前記1つ以上の内部ダクトまたはチャネルおよび前記複数の別個の物体の外部における
COおよび/または水蒸気の雰囲気を維持すること;および
前記複数の別個の物体を、周囲大気圧から周囲大気圧より約60psi高い範囲の圧力
と、約10%~約90%の範囲のCO濃度とを有する水および/またはCOの雰囲気
下で、約20℃~約150℃の範囲の温度で約1時間~約80時間、硬化することを含む
、プロセス。
【請求項26】
前記1つ以上の内部ダクトまたはチャネルおよび/または前記複数の別個の物体の外部
におけるCOおよび/または水蒸気の雰囲気を維持することが、
前記1つ以上の内部ダクトまたはチャネルおよび/または前記複数の別個の物体の外部
における前記雰囲気を含むこと;
COおよび/または水蒸気の前記含まれる雰囲気を循環すること;
前記含まれる雰囲気にまたは前記含まれる雰囲気から、水蒸気を除去または追加するこ
と;および
前記含まれる雰囲気を加熱することを含む、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記1つ以上の内部ダクトまたはチャネルにおけるCOおよび/または水蒸気の雰囲
気を維持することが、COおよび/または水蒸気の前記流体フローの前記方向または速
度を前記素地の硬化期間中に少なくとも1回変えることを含む、請求項25または26に
記載のプロセス。
【請求項28】
前記粒子状組成物が、1つ以上の天然または合成珪灰石、擬珪灰石、ランキナイト、ゲ
ーレナイト、ベーライト、およびアリートを含み、約1μm~約100μmの範囲の中央
粒子サイズを有する粉砕ケイ酸カルシウムを含み、前記液体組成物が、水を含む、請求項
25~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記打ち込み混合物を硬化することが、水およびCOを含み、周囲の大気圧を有する
蒸気下で、約60℃以下の温度で約10~50時間行われる、請求項25~28のいずれ
か一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記粉砕ケイ酸カルシウムが、実質的に、粉砕珪灰石のものである、請求項25~29
のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記混合物に1つ以上の補強要素を埋め込むことをさらに含む、請求項25~29のい
ずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記1つ以上の補強要素が、棒、ワイヤーおよびケーブルから選択される、請求項31
に記載のプロセス。
【請求項33】
前記1つ以上の補強棒が、鉄、鋼、高分子材料、ガラス、またはそれらの組み合わせで
できている、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
請求項25~33のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された、物品。
【請求項35】
舗装材、ブロック、屋根瓦、中空コアスラブ、補強を伴うまたは伴わないプレキャスト
コンクリート物体から選択される、請求項34に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、複合材料の物品およびそれを製造するためのシステムおよびプロセ
スに関する。より詳細には、本発明は、複合材料の新規の物品(例えば、舗装材、ブロッ
ク、屋根瓦および中空コアスラブ)または物品の集合体、ならびにそれらの製造および使
用のための配合物および方法に関する。これらのコンクリートタイプの物体は、建設、舗
装と造園、およびインフラストラクチャのさまざまな用途に適している。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは、世界で最も消費されている人工材料である。典型的なコンクリートは
、ポルトランドセメント、水、および砂や砕石などの骨材を混合して作られる。ポルトラ
ンドセメントは、粉砕した石灰岩とクレーの混合物、または同様の組成の材料を、約1,
450℃の焼結温度でロータリーキルン内で燃焼することによって作成された合成材料で
ある。
【0003】
舗装材は、打ち込みプロセス、プレスプロセス、圧縮プロセス、または振動とプレスの
組み合わせを使用して作成されるコンクリートブロックである。舗装材は、一般的に交互
パターンで置かれる。これらの舗装材は、敷石とも呼ばれる。これらの舗装材は、耐用年
数中に損傷を受けたときに取り外すことができ、新しいものはサービスの中断を減らす。
交互舗装材は、パターンの間に隙間ができるように設計して、水を下層に排水することが
できる。
【0004】
ASTM C 936は、コンクリート舗装材が満たす必要がある基準を提供するが、
これに限定されない:8,000psiの平均圧縮強度;5%以下の平均吸水率;および
、平均材料損失が1%以下の、少なくとも50回の凍結融解サイクルに対する耐性。AS
TM要件に加えて、それは風解の減少(例えば、濃度勾配による反応生成物の浸出の減少
);良好な色の保持;および舗装材が使用されている場所に応じた耐摩耗性、を含む追加
の要件を舗装材が満たすことが望ましい場合もある。
【0005】
舗装材と同様に、ブロックも、打ち込みプロセスまたはプレスプロセス、または同様の
圧縮プロセスのいずれかによって製造されたプレキャストコンクリートである。ブロック
は、コンクリート組積造ユニット(CMU)、中空ブロック、コンクリートブロックとも
呼ばれる。これらのブロックがフライアッシュで作られるとき、それらはシンダーブロッ
クと呼ばれる。これらのブロックは一般的に中空構造を有する。高価な希少な天然素材を
低コストですぐに製造できる模倣品に置き換えるために、人工または人造の舗装材と建設
ブロック材が研究されてきた。しかしながら、そのような努力は、所望の外観、質感、密
度、硬度、多孔度、および石に特徴的な他の美的特性を有し、同時に環境への影響を最小
限に抑えて低コストで大量に製造できる合成材料でまだ達成されていない。
【0006】
ブロックは、(耐力石積み構造の)クレーレンガと比較してより優れた構造特性、およ
び石積み壁を製造する場合により滑らかな表面を提供することが期待される。さらに、交
互コンクリート組積造ユニットは、そのユニットを結合するためにモルタルを必要としな
い。一部のブロックは、中空構造を構築するために使用でき、これにより、中実構造と比
較して、遮音性と断熱性が向上する。
【0007】
ブロックは、一般に、耐力コンクリート組積造ユニットの標準仕様であるASTM C
90の要件に適合しなければならない。この規格に準拠するブロックは、強度、形状、耐
久性、および耐火性に関して許容できることが保証されており、通常、標準的な商業建設
プロジェクトでの使用が許容されている。
【0008】
中空コアスラブは、ボイドスラブまたは中空コア板と呼ばれることもあり、コンクリー
トのプレキャストスラブである。それらは、多くの場合、高層ビルの床、壁、屋根などの
建築構造物で使用される。プレキャストコンクリートスラブは、通常、スラブの全長にわ
たって管状のボイドがあり、厚さまたは強度が等しい大規模な床スラブよりもスラブが軽
くなる。軽量化によって、材料費と輸送費が削減される。
【0009】
典型的なスラブは、幅約120cmであり、標準の厚さ15cm~50cmである。穴
の間のプレキャストコンクリートI型梁には、荷重による曲げモーメントに対する曲げ抵
抗を提供する鋼線ロープが含まれている。その製造プロセスは、可動型枠からプレストレ
スト鋼線ロープの周囲に湿潤コンクリートを押し出すことを含む。硬化後、必要な長さと
幅に応じて連続スラブをカットする。中空コアの床スラブは、鉄筋コンクリート(プレス
トレストではない)でも作られている。中空コア壁パネルは補強なしで作られている。
【0010】
しかしながら、コンクリート製品は、経済性および環境への影響の両方に関して最適で
はない。既存の生産技術は大量のエネルギー消費と二酸化炭素排出を伴い、好ましくない
カーボンフットプリントにつながる。ポルトランドセメントの製造は、エネルギー集約型
のプロセスであるだけでなく、大量の温室効果ガス(CO)を放出するプロセスでもあ
る。セメント産業は、世界の人為的CO排出量の約5%を占めている。このようなCO
の60%以上は、石灰岩の化学分解またはか焼から発生する。
【0011】
最近、炭酸化性ケイ酸カルシウム材料に基づく革新的な形態のセメントが、伝統的なセ
メントの有望な代替品として登場した。炭酸化性ケイ酸カルシウム系セメントの製造には
、CO排出量とエネルギー消費の大幅な削減が含まれる。さらに、コンクリート製品を
形成する硬化プロセスでCOが炭酸化性ケイ酸カルシウム材料と反応する必要があるた
め、この新しいセメントは、コンクリート製品に硬化するときにCOを隔離する。
【0012】
したがって、新規で改良されたセメントとコンクリート製品、および改善されたエネル
ギー消費とより望ましいカーボンフットプリントで低コストで大量に適用できる生産技術
に対する継続的なニーズがある。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、部分的には、炭酸化性ケイ酸カルシウムから様々なコンクリート物体(例え
ば、舗装材、ブロック、屋根瓦および中空コアスラブ)を製造するための改善された製品
および製造技術の予想外の発見に基づく。製造された製品は、靭性、柔軟性、耐摩耗性、
耐久性を含む、既存のコンクリート製品と同等またはそれ以上の優れた物理的および性能
特性を備える。
【0014】
本発明のコンクリート物品は、より少ないエネルギー消費での大規模生産に適したプロ
セスによって、広く入手可能な低コストの原材料から容易に生産でき、したがって、環境
への影響を最小限に抑えながら望ましいカーボンフットプリントを享受できる。原材料と
しては、粒子状ケイ酸カルシウムなどの前駆体材料が挙げられる。ケイ酸カルシウム前駆
体材料は、通常、CS(珪灰石または擬珪灰石)、C3S2(ランキナイト)、C2S(
ベライトまたはラーナイトまたはブリジガイト)、および全相の約30%以上を含むケイ
酸カルシウムベースのアモルファス相のうちの1つ以上から選択される別個のケイ酸カル
シウム相のブレンドを含み、「C」は酸化カルシウムまたは石灰を指し、「S」は二酸化
ケイ素またはシリカ、結合要素となる特定の微量の不純物、および粒子状フィラー材料(
例えば、石灰石、ゾノトライト、マイクロシリカ、石英などの酸化カルシウム含有材料、
パーライトまたはバーミキュライトなどの軽量骨材、またはフライアッシュ、ボトムアッ
シュ、スラグなどの産業廃棄物)を指す。流体成分もまた、反応媒体として提供され、液
体の水および/または水蒸気と、試薬であり、製造時に反応種として消費され、最終的に
最終製品に隔離される二酸化炭素(CO)とを含む。結合要素は、制御された温度と圧
力で、水と水蒸気の間で反応が起こる水和プロセスを使用して、または水蒸気とCO
使用して反応する。
【0015】
エンドユーザーの要求に応じて、分散、レオロジー改変混和剤(混合物の質を改善する
ための)、着色顔料、遅延剤、および促進剤などの様々な他の添加剤。添加剤材料は、天
然またはリサイクル材料、および炭酸カルシウムリッチな材料および炭酸マグネシウムリ
ッチな材料、ならびに水溶性分散剤などの流体成分への添加剤を含むことができる。
【0016】
一態様では、本発明は、概して、複数の別個のコンクリート物体として分配された複合
材料を有する物品に関する。1つ以上のダクトまたはチャネルが、複数の別個のコンクリ
ート物体の間にまたはそれらを通して配置され、1つ以上のダクトまたはチャネル内およ
び/または複数の別個の物体の外部と流体輸送システムを形成する。複合材料は、複数の
結合要素と、フィラー粒子とを含み、各結合要素は、主にケイ酸カルシウムを含むコア、
シリカリッチな第1層または内層、および炭酸カルシウムリッチな第2層または外層を有
し;フィラー粒子は、粗いフィラー粒子および/または微細なフィラー粒子を含む。複数
の結合要素および複数のフィラー粒子は、一緒に1つ以上の結合マトリックスを形成し、
結合要素およびフィラー粒子は、その中に実質的に均一に分散しており、一緒に結合して
いる。特定の実施形態では、複数の別個のコンクリート物体は、エンベロープまたはチャ
ンバー内に配置されている。
【0017】
別の態様では、本発明は、概して、物品を製造するためのシステムに関する。このシス
テムは、エンベロープまたはチャンバーと、その中に囲まれている、複数の別個のコンク
リート物体として分配された複合材料を含む。1つ以上のダクトまたはチャネルは、複数
の別個のコンクリート物体の間に、またはそれらを通して配置され、1つ以上のダクトお
よびチャネル内で、複数の別個の物体の外部と流体輸送システムを形成する。システムに
は、任意に、複数の別個のコンクリート物体が配置される1つ以上のボードと、1つ以上
のダクトまたはチャネルを形成して流体輸送システムでの流体フロープロファイルを促進
する、平面、平面、凸面または凹面を備えた1つ以上のラック、タープ、壁またはパネル
も含まれる。
【0018】
さらに別の態様では、本発明は、概して、物品を製造するためのプロセスに関する。こ
のプロセスは、粒子状組成物と液体組成物を混合して混合物を形成すること;型枠でその
混合物を打ち込みまたは押出またはその他の方法で形成して、打ち込みまたは押出または
その他の方法で形成された、複数の別個のコンクリート物体を含む素地を生成すること(
1つ以上のダクトまたはチャネルが、複数の別個のコンクリート物体とその複数の別個の
物体の外部との間、またはそれらを通して配置されている。);1つ以上の内部ダクトま
たはチャネルおよび複数の別個の物体の外部でCOおよび/または水蒸気の雰囲気を維
持すること;および周囲より高く、約10%~約90%の範囲のCO濃度で、周囲の大
気圧から約60psiの範囲の圧力を有する水および/またはCOの雰囲気下で、約2
0℃~約150℃の範囲の温度で約1時間~約80時間、複数の別個の物体を硬化させる
ことを含む。
【0019】
特定の実施形態では、1つ以上の内部ダクトまたはチャネルおよび/または複数の別個
の物体の外部で、COおよび/または水蒸気の雰囲気を維持することは、1つ以上の内
部チャネルおよび/または複数の別個の物体の外部にその雰囲気を含むこと;その含まれ
るCOおよび/または水蒸気の雰囲気を循環させること;その含まれる雰囲気へまたは
その含まれる雰囲気から、水蒸気を除去することまたは追加すること;およびその含まれ
る雰囲気を加熱すること、を含む。
【0020】
さらに別の態様では、本発明は、概して、本明細書に開示されるプロセスによって調製
される物品に関する。本発明の物品は、任意の適切なサイズまたは形状、または任意の適
切な目的のためであってもよく、例えば、舗装材、ブロック、屋根瓦、中空コアスラブ、
補強を伴うまたは伴わないプレキャストコンクリート物体から選択され得る。
【0021】
本発明の目的および特徴は、以下に記載される図面および特許請求の範囲を参照してよ
りよく理解され得る。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を説明
することに一般的に重点が置かれている。図面において、同様の数字は、様々な図を通し
て同様の部品を示すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、可逆反応CaCO+SiO⇔CaSiO(ケイ酸カルシウム)+COに存在する相を示す圧力-温度相図である。
図2図2は、可逆反応3CaCO+2CaSiO⇔2CaSiO・CaCO+COに存在する相を示す圧力-温度相図である。
図3図3は、1キロバールの圧力でのCaO-SiO-COシステムの相図である。
図4図4は、可逆反応MgO+CO⇔MgCOに存在する相を示す圧力-温度相図である。
図5図5は、可逆反応MgO+CO⇔MgCOの平衡曲線を不活性ガス中のCOの比率の関数として示す圧力-温度相図である。
図6図6は、CaCO-MgCOシステムにおける様々な相の安定領域を示す温度-組成相図である。
図7図7は、化合物CaO、MgO、SiOおよびCOの間の相関係を示す四面体図であり、Cc-Di-WoおよびCc-Wo-Mo面(線入り)の下のCO欠乏領域を示し、ここでCcは方解石を示し、Woは珪灰石、Akはアケルマナイト、Diは透輝石、Moはモンチセライト(CaMgSiO)を表す。
図8図8は、方解石(Cc)、透輝石(Di)、フォルステライト(Fo)、モンティセライト(Mo)、アケルマナイト(Ak)、およびCOの相を含む四次不変点から発する一変量曲線を含む、化合物CaO、MgO、SiOおよびCO間の相関係を示す圧力-温度相図である。挿入図は、CaCO、MgO、およびSiOの3つの化合物系の相図である。
図9図9は、本発明の原理による加湿を提供するCO複合材料硬化チャンバーの概略図である。
図10図10は、湿度制御の複数の方法、ならびに一定のフローまたは圧力調整を使用してCOを制御および補充する能力を有し、本発明の原理に従って温度を制御できる硬化チャンバーの概略図である。
図11図11(a)~11(c)は、3つの例示的なコア形態:(a)繊維状、(b)楕円形、および(c)等軸を含む、本発明の例示的な実施形態による結合要素の断面の略図である。
図12図12(a)~12(f)は、本発明の例示的な実施形態による複合材料の側面および断面の概略図であり、(a)希薄結合マトリックス内の1次元配向繊維状結合要素(結合要素は接触していない)、(b)希薄結合マトリックス内の2次元配向の小板状の結合要素(結合要素は接触していない)、(c)希薄結合マトリックス内の3次元配向の小板状の結合要素(結合要素は接触していない)、および(d)希薄結合マトリックス内のランダムに配向した小板状の結合要素(結合要素は接触していない)。ここで、複合材料は、結合マトリックスと、ポリマー、金属、無機粒子、凝集体などのフィラー成分を含む、(e)マトリックスが3次元配向である、結合要素の濃密結合マトリックス(浸透ネットワークを確立するのに十分な体積分率を有する)、および(f)ポリマー、金属、無機粒子、凝集体などのフィラー成分が含まれていてもよい、ランダムに配向した結合要素の濃密結合マトリックス(浸透ネットワークを確立するのに十分な体積分率を有する)を示す。
図13図13は、本発明の例示的な実施形態による結合マトリックスのエネルギー分散型X線分光法(EDS)化学マッピングを示す(a)~(c)を有する結合要素の例の例示的な画像であり、Si(a)およびCa(b)マップの重ね合わせを示す。(c)では、CaSiO、SiO、CaCOの領域が矢印で示されている。繊維状の珪灰石(CaSiO)コア粒子は、SiOリッチな領域によってカプセル化され、CaCO粒子に囲まれている。
図14図14は、複数の別個の物体(201)がボード(202)上に乾燥打ち込みされており、エンベロープまたはチャンバー(203)内に配置されている例示的な実施形態を示す。流体のフローは、1つ以上のダクトまたはチャネル(101)の間、および複数の別個の物体の外部とエンベロープまたはチャンバ(102)との間、および複数の別個のコンクリート物体の外部とチャンバー要素(103)との間を流れる。この例では、チャンバー要素はボードである。バッフルプレート、フロー調整および方向付けプレート、ラック要素、および同様の構造などのチャンバー要素の他の実施形態。
図15図15は、調整可能なラッキングを有する硬化システムの例示的な写真を示す。コンクリート物体の上部と次の製品ボードの下部との間のチャネル高さ(101)を調整して、プロセスガス(102)の速度を変更できる。
図16図16は、可逆的なフローを伴う例示的な硬化システムの例示的な図を示す。フローの方向は、矢印(101)および矢印(102)の方向に従うように変更できる。ガスのフローと方向は、マークが付けられたフランジ(103)でシステムに接続された外部条件システムによって制御される。
図17図17は、可逆的なフローを伴う硬化システムの例示的な拡大図を示す。ガス入口プレナムは、フローがコンクリート物体(101)とコンクリート物体の外面およびチャンバー壁(102)によって形成されたチャネルとの間のチャネルに分配されるように設計されている。
図18図18は、本発明に従って作製された例示的な中空コアスラブを示す。
図19図19は、本発明の例示的な実施形態を示し、COと水蒸気のガスフローは、内部ダクトまたはチャネルを通過するときの方向に振動するように制御され、左右の鏡面対称性を維持しながら、長さに沿って時間平均の鏡面対称性を確立する。これらの対称性は、硬化プロセス中に発生する温度とガス組成の勾配の影響を低減する。
図20図20は、硬化全体にわたるヴァイサラセンサーによる端壁での例示的なチャンバー湿度測定、ならびに実行全体で収集される凝縮水の累積量を示す。
図21図21は、乾燥中空コア打ち込み物を硬化させるための硬化装置の例示的な写真を示す。
図22図22は、図21の装置で硬化された例示的な中空コア打ち込み物を示す。
【発明の詳細な説明】
【0023】
本発明は、既存のコンクリート物体に匹敵するか、またはそれを超える優れた物理的お
よび性能特性を有する優れたコンクリート物体を提供する。本発明のコンクリート物体は
、エネルギー消費が改善され、生産サイクルが短縮され(例えば、硬化時間が短縮され)
、より望ましいカーボンフットプリントで大規模生産に適したプロセスによって、広く入
手可能な低コストの原料から容易に生産できる。本発明の製造方法は、大量のCOを消
費し、CO隔離製品をもたらし、それによって、それをカーボンニュートラルで環境に
優しいものにする。ここでのコンクリート物体とは、これらに限定されないが、舗装材、
レンガ、セグメント化された擁壁、湿式打ち込みスラブ、コンクリート組積造ユニット(
CMU)、またはコンクリート中空コア物体を含む消費者市場に典型的な形状の物体およ
び物品を指す。本明細書における中空コア物体は、中空のコア、チャネルを有するか、あ
るいは(例えば、拡散距離を短くして硬化を容易にするために)くり抜かれた物体および
物品を指す。
【0024】
本発明のコンクリート物体は、例えば、舗装、床、屋根、壁、ドア、タブレット、橋、
フレーム、通路、バリア、ライニング、基礎、フェンス、防音壁、パイプ、暗渠ユーティ
リティ蓋、浄化槽、乾井、雨水管を含む様々な建築および建設部品として使用することが
できる。それらは、埋め込まれた補強要素(例えば、プレテンションおよび/またはポス
トテンションおよび/またはプレストレス)、または物品の容量および耐久性を増大させ
る特徴を伴って、または伴わずに製造され得る。存在する場合の補強要素は、所望の特性
の材料、例えば、鋼、高分子材料、ガラス、またはそれらの組み合わせで作られた中実の
棒、ワイヤーまたはケーブルであってよい。
【0025】
一態様では、本発明は、概して、複数の別個のコンクリート物体として分配された複合
材料を有する製品に関する。1つ以上のダクトまたはチャネルは、複数の別個のコンクリ
ート物体の間にまたはそれらを通して配置され、1つ以上のダクトまたはチャネル内およ
び/または複数の別個の物体の外部と流体輸送システムを形成する。複合材料は、複数の
結合要素と、フィラー粒子とを含み、各結合要素は、主にケイ酸カルシウムを含むコア、
シリカリッチな第1層または内層、および炭酸カルシウムリッチな第2層または外層を有
し;フィラー粒子は、粗いフィラー粒子および/または微細なフィラー粒子を含む。複数
の結合要素および複数のフィラー粒子は一緒に1つ以上の結合マトリックスを形成し、結
合要素およびフィラー粒子は、その中に実質的に均一に分散されており、一緒に結合され
ている。
【0026】
本発明の物品の重要な特徴は、ダクトまたはチャネル(中空空間を含む)が、物品の全
体積と比較して厚さが小さい内部体積を生成することである。硬化液が内部空間の側面に
アクセスすると、硬化に影響を与えるために二酸化炭素と水が拡散しなければならない表
面積が大幅に増大する。さらに、モノリシック体の場合、ダクトまたはチャネルは、全体
的な材料の使用量と製品の重量を削減し、その結果、輸送と設置における材料とその他の
関連コストを節約できる。
【0027】
特定の実施形態では、複数の別個のコンクリート物体は、チャンバーまたはエンベロー
プ内に配置されている。この開示の目的のために、用語「チャンバー」および「エンベロ
ープ」は互換的に使用される。
【0028】
大量生産されたコンクリート物体は、形成プロセスによって、または硬化チャンバー装
填プロセス中に配置および/または配向されることがあり、その結果、内面または外面が
配列されて、硬化流体(例えば、COおよび水蒸気)への曝露を最大化し、別個の物体
の総体積に対するCOと水の拡散距離を最小化する。流体フロープロファイルに対する
別個の物体の内面または外面の配置は、均一な硬化プロセスおよび/または高速硬化プロ
セスを確保するための重要な考慮事項である。
【0029】
別個の物体は、二酸化炭素および水の拡散を最大化するために、流体フロープロファイ
ルに関して硬化チャンバー内に配列され得る。チャンバー内に配列されたコンクリート物
体間の間隔を操作して、コンクリートの同様のエンベロープ体積を維持しながら、流体フ
ローに平行なチャネルを生成できる。別個の物体の面が露出しているチャネル内の流体フ
ローの集中によって、硬化の均一性および/または速度が向上する。別個の物体の形状と
硬化システムの流体フロープロファイルによって、最適な物体間の間隔、物体の向き、別
個の物体と流体分配システム間の間隔が決定され、チャネル形成物体の面全体に高い二酸
化炭素と水の拡散率が誘導される。
【0030】
チャンバー内に配列されたコンクリート物体と、ラック、ボード、およびガス入口、出
口、プレナム、または多孔板などの流体分配要素などのチャンバー要素との間の間隔を操
作すると、コンクリート物体の面とチャンバー要素の間にチャネルを作成できる。
【0031】
ラックなどのチャンバー特徴の近くにある別個の物体の面は、流体フローが集中する別
個の物体とチャンバーに隣接するおよび/またはそれらの間にチャネルを生成する。別個
の物体の面とチャンバー要素間のチャネル内の流体フローを集中させることで、硬化の均
一性と速度が向上する。別個の物体の形状と硬化システムの流体フロープロファイルによ
って、最適な物体の方向、別個の物体とチャンバー要素間の間隔、および別個の物体と流
体分配システム間の間隔が決まり、チャネルを形成する別個の物体の面とチャンバー要素
全体にわたる高い二酸化炭素と水の拡散速度が引き起こされる。
【0032】
特定の実施形態では、複数の別個のコンクリート物体の各々は、補強要素を含まない。
【0033】
特定の実施形態において、複数の別個のコンクリート物体の各々は、その中に埋め込ま
れた1つ以上の補強要素を含む。
【0034】
特定の実施形態では、1つ以上の補強要素は、棒、ワイヤーおよびケーブルから選択さ
れる。1つ以上の補強棒は、任意の適切な材料、例えば、鉄、鋼、高分子材料、ガラス、
またはそれらの組み合わせで作製され得る。
【0035】
特定の実施形態において、複数の結合要素は、天然または合成、珪灰石、擬珪灰石、ラ
ンキナイト、ゲーレナイト、ベーライト、アリートおよびアモルファス相のうちの1つ以
上を含む粉砕ケイ酸カルシウム組成物から化学的に変換される。
【0036】
特定の実施形態では、ガスは二酸化炭素を含む。特定の実施形態において、複数の結合
要素は、制御された水熱液相焼結プロセスによって粉砕ケイ酸カルシウムをCOと反応
させることによって、粉砕ケイ酸カルシウムからの化学変換によって調製される。
【0037】
特定の実施形態では、ガスは二酸化炭素を含む。特定の実施形態では、複数の結合要素
は、合成珪灰石または擬珪灰石以外の前駆ケイ酸カルシウムから化学的に変換される。
【0038】
特定の実施形態では、結合要素:フィラー粒子の重量比は、約1:5である。
【0039】
特定の実施形態では、複数の別個のコンクリート物体は、約10%未満の吸水率を有す
る。
【0040】
特定の実施形態では、流体輸送システムは、1つ以上のダクトまたはチャネルおよび複
数の別個の物体の外部を通してガスを流すように適合されている。
【0041】
特定の実施形態では、1つ以上のダクトまたはチャネルおよび複数の別個の物体の外部
を通って流れる流体は、少なくとも1回、その方向を変える。
【0042】
特定の実施形態では、1つ以上のダクトまたはチャネルおよび複数の別個の物体の外部
を通って流れる流体は、少なくとも1回、その速度を変える。
【0043】
特定の実施形態では、複数の別個の物体の外部内の流体輸送システムは、エンベロープ
またはチャンバー間の、またはエンベロープまたはチャンバー内のチャンバー要素間のフ
ローを含む。
【0044】
任意の適切なケイ酸カルシウム組成物を、結合要素の前駆体として使用することができ
る。本明細書で使用する場合、「ケイ酸カルシウム組成物」という用語は、一般に、CS
(珪灰石または擬珪灰石、場合によっては配合CaSiOまたはCaO・SiO)、
C3S2(ランキナイト、および場合によってはCaSiまたは3CaO・2S
iOとして配合)、C2S(ベーライト、β-CaSiOまたはラーナイト、β-
CaSiOまたはブリジガイト、α-CaSiOまたはγ-CaSiO、お
よび場合によってはCaSiOまたは2CaO・SiOとして配合)、ケイ酸カル
シウムベースのアモルファス相を含むケイ酸カルシウム相の群の1つ以上で構成される天
然鉱物または合成材料を指し、それぞれの材料には、1つ以上の他の金属イオンと酸化物
(例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、マンガンの酸化物)、またはそれらのブレ
ンドが含まれてもよく、または微量(1%)から約50重量%以上までの範囲の、天然ま
たは合成形態のケイ酸マグネシウムの量を含み得る。
【0045】
ケイ酸カルシウム組成物は、上記の結晶相に加えて、アモルファス(非結晶)ケイ酸カ
ルシウム相を含み得る。アモルファス相は、原材料中に存在するAl、FeおよびMgイ
オンならびに他の不純物イオンをさらに組み込むことができる。ケイ酸カルシウム組成物
はまた、少量の残留CaO(石灰)およびSiO(シリカ)を含み得る。ケイ酸カルシ
ウム組成物はまた、少量のC3S(アライト、CaSiO)を含み得る。
【0046】
ケイ酸カルシウム組成物はまた、一般式(Ca,Na,K)[(Mg,Fe2+,F
3+,Al,Si)]を有するメリライト型鉱物(メリライトまたはゲーレナイ
トまたはアケルマナイト)、および一般式Ca(Al,Fe3+を有するフェ
ライト型鉱物(フェライトまたはブラウンミレライトまたはC4AF)などの不活性相の
量を含み得る。特定の実施形態では、ケイ酸カルシウム組成物は、アモルファス相のみで
構成される。特定の実施形態では、ケイ酸カルシウムは、結晶相のみを含む。特定の実施
形態では、ケイ酸カルシウム組成物の一部は、アモルファス相で存在し、一部は、結晶相
で存在する。
【0047】
好ましくは、本発明のケイ酸カルシウム組成物は、水和しないことに留意されたい。し
かし、少量の水和可能なケイ酸カルシウム相(例えば、C2S、C3SおよびCaO)が
存在し得る。C2Sは、水にさらされると水和の速度が遅くなり、CO硬化プロセス中
にCaCOに急速に変換される。C3SとCaOは、水に触れるとすぐに水和するため
、5質量%未満に制限する必要がある。
【0048】
特定の好ましい実施形態では、ケイ酸カルシウム組成物の元素Ca対元素Siのモル比
は、約0.80~約1.20である。特定の好ましい実施形態では、組成物のCa対Si
のモル比は、約0.85~約1.15である。特定の好ましい実施形態では、組成物のC
a対Siのモル比は、約0.90~約1.10である。特定の好ましい実施形態では、組
成物のCa対Siのモル比は、約0.95~約1.05である。特定の好ましい実施形態
では、組成物のCa対Siのモル比は、約0.98~約1.02である。特定の好ましい
実施形態では、組成物のCa対Siのモル比は、約0.99~約1.01である。
【0049】
ケイ酸カルシウム組成物中に含まれるAl、FeおよびMgの金属酸化物は、通常、約
30%未満に制御される。特定の好ましい実施形態では、組成物は、総酸化物質量に対し
て約20%以下のAl、FeおよびMgの金属酸化物を有する。特定の好ましい実施形態
では、組成物は、総酸化物質量に対して約15%以下のAl、FeおよびMgの金属酸化
物を有する。特定の好ましい実施形態では、組成物は、総酸化物質量に対して約12%以
下のAl、FeおよびMgの金属酸化物を有する。特定の好ましい実施形態では、組成物
は、総酸化物質量に対して約10%以下のAl、FeおよびMgの金属酸化物を有する。
特定の好ましい実施形態では、組成物は、総酸化物質量に対して約5%以下のAl、Fe
およびMgの金属酸化物を有する。
【0050】
これらのケイ酸カルシウム相の各々は、COを用いた炭酸化に適している。以下、炭
酸化に適した別個のケイ酸カルシウム相を反応相と呼ぶ。
【0051】
様々な反応相は、全体的な反応相の任意の適切な部分を占め得る。特定の好ましい実施
形態では、CSの反応相は、約10~約60重量%(例えば、約15重量%~約60重量
%、約20重量%~約60重量%、約25重量%~約60重量%、約30重量%~約60
重量%、約35重量%~約60重量%、約40重量%~約60重量%、約10重量%~約
50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%
~約25重量%、約10重量%~約20重量%)で存在し;C3S2は、約5~50重量
%(例えば、約10重量%~50重量%、約15重量%~50重量%、約20重量%~5
0重量%、約30重量%~50重量%、約40重量%~50重量%、約5重量%~40重
量%、約5重量%~30重量%、約5重量%~25重量%、約5重量%~20重量%、約
5重量%~15重量%)で存在し;C2Sは、約5重量%~60重量%(例えば、約10
重量%~約60重量%、約20重量%~約60重量%、約25重量%~約60重量%、約
30重量%~約60重量%、約35重量%~約60重量%、約40重量%~約60重量%
、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約30重量%、
約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約20重量%)で
存在し、Cは、約0重量%~3重量%(例えば、0重量%、1重量%以下、2重量%以下
、3重量%以下、約1重量%~2重量%、約1重量%~3重量%、約2重量%~3重量%
)で存在する。
【0052】
特定の実施形態において、反応相は、例えば、全相の質量の約40%以上(例えば、約
45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上
、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上)のケイ酸
カルシウム系アモルファス相を含む。なお、アモルファス相は、原料中に存在する不純物
イオンをさらに含んでいてもよい。
【0053】
本発明のケイ酸カルシウム組成物は、COを用いた炭酸化に適している。特に、ケイ
酸カルシウムの組成物は、約30℃~約90℃の温度でCOを用いて炭酸化して、約2
0%以上の質量増加でCaCOを形成するのに適している。質量増加は、炭酸化製品に
おけるCOの正味隔離を反映している。特定の好ましい実施形態では、組成物は、約3
0℃~約90℃(例えば、約40℃~約90℃、約50℃~約90℃、約60℃~約90
℃、約30℃~約80℃、約30℃~約70℃、約30℃~約60℃、約40℃~約80
℃、約40℃~約70℃、約40℃~約60℃)の温度でのCOによる炭酸化をして、
10%以上の質量増加(例えば、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上)で
CaCOを形成するのに適している。
【0054】
前駆ケイ酸カルシウム組成物は、典型的には、約8μm~約25μmの平均粒子サイズ
(d50)、10%の粒子(d10)が約0.1μm未満~約3μmのサイズであり、9
0%の粒子(d90)が約35μm超え~約100μmのサイズを有する粉末形態で使用
される。
【0055】
特定の実施形態では、d90:d10の比は、粉末フローの改善または打ち込みのため
の水需要の低減を可能にするように選択される。特定の実施形態では、d50:d10の
比は、改善された反応性、改善された充填、または打ち込みのための水需要の低減を可能
にするように選択される。特定の実施形態では、d90:d50の比は、反応性の改善、
充填の改善、または打ち込みのための水需要の低減を可能にするように選択される。
【0056】
任意の適切なフィラー粒子、例えば、酸化カルシウム含有またはシリカ含有材料を使用
することができる。例示的なフィラー粒子には、石灰、石英(砂を含む)、珪灰石、ゾノ
トライト、燃えたオイルシェール、フライアッシュまたは火山灰、窯からの煙突の粉塵、
粉砕粘土、軽石の粉が含まれる。産業廃棄物(例えば、フライアッシュ、スラグ、シリカ
フューム)などの材料も、フィラーとして使用することができる。特定の好ましい実施形
態では、パーライトまたはバーミキュライトなどの軽量骨材をフィラーとして使用するこ
ともできる。特定の好ましい実施形態では、フィラー粒子は、石灰などの酸化カルシウム
リッチな材料から作られる。
【0057】
フィラー粒子は、酸化カルシウムまたはシリカを含み、約0.25μm~約200μm
(例えば、約0.25μm~約150μm、約0.25μm~約100μm、約0.25
μm~約50μm、約0.25μm~約20μm、約0.25μm~約10μm、約0.
5μm~約200μm、約1μm~約200μm、約5μm~約200μm、約10μm
~約200μm、約20μm~約200μm、約50μm~約200μm)の範囲の粒子
サイズ(d50)を有する。
【0058】
特定の実施形態では、フィラー粒子は、約0.5μm~約300μm(例えば、約1μ
m~約300μm、約5μm~約300μm、約10μm~約300μm、約50μm~
約300μm、約100μm~約300μm、約0.5μm~約200μm、約0.5μ
m~約100μm、約0.5μm~約50μm、約0.5μm~約20μm、約0.5μ
m~約10μm、約0.5μm~約5μm)の範囲の粒子サイズを有するフライアッシュ
、ボトムアッシュ、スラグから選択される。
【0059】
本発明のケイ酸カルシウム組成物の炭酸化の例示的な実施形態では、使用される粉砕ケ
イ酸カルシウム粒子は、粒子サイズ分布の体積分布において1μmより大きい累積10%
直径を有する粒子サイズを有する。
【0060】
特定の実施形態では、フィラー粒子は、約1μm~約500μm(例えば、約1μm~
約400μm、約1μm~約300μm、約1μm~約200μm、約1μm~約100
μm、約1μm~約50μm、約1μm~約30μm、約5μm~約500μm、約10
μm~約500μm、約20μm~約500μm、約50μm~約500μm、約100
μm~約500μm、約200μm~約500μm)の範囲の粒子サイズを有する石灰石
、マイクロシリカ、および石英から選択される。
【0061】
特定の実施形態では、フィラー粒子は、約20μm~約500μm(例えば、約20μ
m~約400μm、約20μm~約300μm、約20μm~約200μm、約20μm
~約100μm、約50μm~約500μm、約100μm~約500μm、約200μ
m~約500μm、約300μm~約500μm)の範囲の粒子サイズを有する軽量骨材
から選択される。
【0062】
特定の実施形態では、凝結制御混和剤は、グルコン酸塩およびスクロースから選択され
る。特定の実施形態では、分散剤/粘度調整剤は、ポリカルボキシレート系材料である。
【0063】
例示的な実施形態において、粉砕ケイ酸カルシウムは、粉砕珪灰石であり、フィラー粒
子は、粉砕石灰石およびシリカを含み、活性化剤は、粉砕石灰であり、凝固制御混和剤は
、グルコン酸塩であり、粘度調整剤は、ポリカルボキシレート系材料であり、通気剤は、
アルミペーストである。
【0064】
本明細書に開示されるケイ酸カルシウム組成物、相および方法は、ケイ酸カルシウム相
の代わりにまたはそれに加えてケイ酸マグネシウム相を使用するために採用され得ること
が理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「ケイ酸マグネシウム」という用
語は、例えば、MgSiO(「フォステライト」としても知られる)およびMg
10(OH)(「タルク」としても知られる)を含むマグネシウムシリコン含有
化合物の群の1つ以上から構成される天然鉱物または合成材料を指し、これらの材料は、
1つ以上の他の金属イオンおよび酸化物(例えば、カルシウム、アルミニウム、鉄または
マンガンの酸化物)、またはそれらのブレンドを含むことができ、または微量(1%)か
ら約50重量%以上の範囲の天然または合成の形のケイ酸カルシウムの量を含むことがで
きる。
【0065】
本明細書で使用される「石英」という用語は、一般的な砂(建設および石造)、ならび
にガラスおよび再生ガラスを含む、任意のSiOベースの材料を指す。この用語には、
かなりの量のSiOを含む他のリサイクルされた天然および合成材料も含まれる(例え
ば、マイカはKAl(AlSi10)(OH)として配合されることもある)。
【0066】
別の態様では、本発明は、概して、物品を製造するためのシステムに関する。このシス
テムは、エンベロープまたはチャンバーと、その中に囲まれている、複数の別個のコンク
リート物体として分散された複合材料とを含む。1つ以上のダクトまたはチャネルは、複
数の別個のコンクリート物体の間に、またはそれらを通して配置され、1つ以上のダクト
およびチャネル内で、および複数の別個の物体の外部と流体輸送システムを形成する。シ
ステムには、任意に、複数の別個のコンクリート物体が配置される1つ以上のボードと、
1つ以上のダクトまたはチャネルを形成して流体輸送システムでの流体フロープロファイ
ルを容易にする、平面、平面、凸面または凹面を有する1つ以上のラック、タープ、壁ま
たはパネルも含まれる。
【0067】
特定の実施形態では、システムは、エンベロープまたはチャンバーの少なくとも一部の
流体フロープロファイルを制御する流体分配要素を含む。
【0068】
特定の実施形態では、システムは、エンベロープまたはチャンバー全体の流体フロープ
ロファイルを制御する流体分配要素を含む。
【0069】
特定の実施形態では、エンベロープまたはチャンバー全体の流体フロープロファイルを
制御する流体分配要素は、少なくとも1回、ガスフローの方向を変える。
【0070】
特定の実施形態では、エンベロープまたはチャンバー全体の流体フロープロファイルを
制御する流体分配要素は、少なくとも1回、ガスフローの速度を変える。
【0071】
特定の実施形態では、流体分配要素は、流体入口、出口、プレナム、または多孔板、ま
たはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0072】
特定の実施形態では、エンベロープまたはチャンバーは、金属、合金、プラスチック、
ポリマー、ポリマー複合材、セラミック複合材、またはそれらの組み合わせから選択され
る材料でできている。いくつかの実施形態では、エンベロープまたはチャンバーは、コン
クリート材料、または鋼、タープ、またはそれらの組み合わせでできている。
【0073】
さらに別の態様では、本発明は、概して、製品を製造するためのプロセスに関する。
このプロセスは、粒子状組成物と液体組成物を混合して混合物を形成すること;型枠で混
合物を打ち込みまたは押出またはその他の方法で形成して、複数の別個のコンクリート物
体を含む打ち込みまたは押出またはその他の方法で形成された素地を生成すること(1つ
以上のダクトまたはチャネルが、複数の別個のコンクリート物体と複数の別個の物体の外
部との間またはそれらを通して配置されている);1つ以上の内部ダクトまたはチャネル
内および複数の別個の物体の外部でCOおよび/または水蒸気の雰囲気を維持すること
;および周囲の大気圧から周囲より約60psi高い範囲の圧力と約10%~約90%の
範囲のCO濃度を有する水および/またはCOの雰囲気下で、約20℃~約150℃
の範囲の温度で約1時間~約80時間、複数の別個の物体を硬化することを含む。
【0074】
特定の実施形態では、1つ以上の内部ダクトまたはチャネル内および/または複数の別
個の物体の外部でCOおよび/または水蒸気の雰囲気を維持することは、1つ以上の内
部チャネル内および/または複数の別個の物体の外部の雰囲気を含むこと;含まれたCO
および/または水蒸気の雰囲気を循環させること;含まれた雰囲気への、または含まれ
た雰囲気から水蒸気を除去または追加すること;含まれる雰囲気を加熱することを含む。
【0075】
特定の実施形態では、1つ以上の内部ダクトまたはチャネル内でCOおよび/または
水蒸気の雰囲気を維持することは、COおよび/または水蒸気の流体フローの方向また
は速度を、少なくとも1回、その物体の硬化の期間中に変えることを含む。
【0076】
特定の実施形態では、粒子状組成物は、天然または合成珪灰石、擬珪灰石、ランキナイ
ト、ゲーレナイト、ベーライト、およびアライトの1つ以上を含み、約1μm~約100
μmの範囲の平均粒子サイズを有する粉砕ケイ酸カルシウムを含み、液体組成物は、水を
含む。
【0077】
特定の実施形態では、打ち込み混合物の硬化は、水およびCOを含み、周囲大気圧を
有する蒸気下で、約60℃以下の温度で約10~約50時間行われる。
【0078】
特定の実施形態では、粉砕ケイ酸カルシウムは、実質的に粉砕珪灰石のものである。
【0079】
特定の実施形態では、プロセスは、混合物に1つ以上の補強要素を埋め込むことをさら
に含む。
【0080】
1つ以上の補強棒は、任意の適切な材料、例えば、鉄、鋼、ポリマー材料、ガラス、ま
たはそれらの組み合わせで作製され得る。
【0081】
1つ以上の補強要素は、例えば、棒、ワイヤーおよびケーブルの形態の、任意の適切な
サイズおよび形状であり得る。
【0082】
さらに別の態様では、本発明は、概して、本明細書に開示されるプロセスによって調製
される物品に関する。
【0083】
物品は、任意の適切なサイズまたは形状、または任意の適切な目的用であってもよく、
例えば、舗装材、ブロック、屋根瓦、中空コアスラブ、補強を伴うまたは伴わないプレキ
ャストコンクリート物体から選択される。
【0084】
1つ以上のダクトまたはチャネル(中空スペースを含む)は重要な特徴であり、全体の
重量、機械的特性、および機能性を含む、別個の物体の全体的な特性および性能に影響を
与える。別個の物体は、チャンバー要素およびチャンバー自体とともに、事前に設計され
たパターンと相互接続性で、適切な数のダクトまたはチャネルを形成できる。これらのダ
クトまたはチャネルは、任意の適切なサイズおよび形状(例えば、円形、楕円形、多角形
、長方形または正方形)を取ることができる。それらは、任意の適切なパターンまたは相
互接続性で配置され得る。
【0085】
ダクトおよびチャネルの数、形状、サイズおよび構成は、中空コア物品の様々な機械的
特性に影響を与えるであろう。本明細書でより詳細に論じられるように、ダクトおよびチ
ャネルの数、形状、サイズ、および構成はまた、製造の利点に利用され得、例えば、硬化
プロセスをスピードアップし、より均一な硬化を達成する。
【0086】
ダクトまたはチャネルの体積は、製品の型枠形状および製品の間隔に対する形成後の変
更によって、複数の別個の物体の体積の任意の適切な割合、例えば、約5体積%~約95
体積%(例えば、約10体積%~約95体積%、約20体積%~約95体積%、約30体
積%~約95体積%、約50体積%~約95体積%、約70体積%~約95体積%、約5
体積%~約90体積%、約5体積%~約70体積%、約5体積%~約50体積%、約5体
積%~約30体積%、約5体積%~約20体積%)を占め得る。
【0087】
本発明の別個の物体は、様々なサイズおよび寸法に製造することができる。典型的な乾
燥打ち込み舗装材の高さは40mm~120mmで、最大1.45m×1.45mの領域
でプレスでき、生産ボードあたり最大0.26mの体積の複数のコンクリート物体の分
布をもたらす。例えば、典型的な乾燥打ち込みコンクリート組積造ユニット(CMU)は
高さ200mmで、最大1.45m×1.45mの領域でプレスすると、生産ボードあた
り最大0.43mの体積の複数のコンクリート物体が分布し得る。チャネルの数、形状
、サイズ、および構成を利用して、硬化の速度と均一性を改善することによって、製造プ
ロセスを強化できる。
【0088】
別個の物体が舗装材である特定の実施形態では、寸法は、長さが1インチ~24インチ
、幅が1インチ~24インチ、高さが0.5インチ~6インチの範囲である。特定の実施
形態では、寸法は、長さが4インチ~12インチ、幅が4インチ~12インチ、高さが1
.5インチ~5インチの範囲である。
【0089】
別個の物体がブロックである特定の実施形態では、寸法は、長さが7と1/2インチ~
16インチ、幅が3と1/2インチ~12インチ、高さが4インチ~16インチの範囲で
ある。特定の実施形態では、寸法は、長さが7と1/2インチ~16インチ、幅が3と1
/2インチ~12インチ、高さが6インチ~12インチの範囲である。
【0090】
別個の物体が屋根瓦である特定の実施形態では、寸法は、長さが2インチ~24インチ
、幅が2インチ~24インチ、および厚さが0.25インチ~2インチの範囲である。特
定の実施形態では、寸法は、長さが4インチ~12インチ、幅が4インチ~12インチ、
および厚さが0.25インチ~1インチの範囲である。
【0091】
別個の物体がスラブである特定の実施形態では、寸法は、長さが4インチ~48インチ
、幅が4インチ~48インチ、高さが1.5インチ~5インチの範囲である。特定の実施
形態では、寸法は、長さが4インチ~48インチ、幅が4インチ~48インチ、高さが1
.5インチ~5インチの範囲であり、通常、144平方インチよりも大きいフットプリン
トを有する。
【0092】
別個の物体は、典型的には、ボードごとに製造されるコンクリート体積を最大化するよ
うな方法で、生産ボードにプレスされる。均一な横方向の形状の製品が製造されると、物
体間の平行なギャップが残り、複数の別個の物体間にチャネルが生ずる。チャネルの数、
形状、サイズ、および構成はまた、例えば、硬化プロセスを加速し、より均一な硬化を達
成するために、製造の利点に利用することができる。
【0093】
複数のコンクリート物体は、規則的な方法でチャンバーに装填される。いくつかの実施
形態では、硬化チャンバーは、チャンバーまたはエンベロープを形成する。チャンバー内
には、硬化のためにボードが積み重ねられ、配置される。チャンバーでは、ボードの向き
と間隔を操作して、複数の別個の物体の外面、多数の別個の物体面、および流体フローを
方向付けることができる、別の積み重ねられた生産ボードなどのチャンバー要素からなる
チャネルを生成できる。別個の物体の形状と硬化チャンバーの流体フロープロファイルに
よって、最適な物体の向き、物体とチャンバー要素間の間隔、および物体と流体分配シス
テム間の間隔が決定され、チャネルを形成する別個の物体の面にわたって高い二酸化炭素
と水の拡散速度が誘導される。
【0094】
特定の実施形態では、一連の別個の物体を製造するために使用されるコンクリート型枠
は、チャンバーのフロー分布プロファイルに従って複数の別個の物体間の間隔を変更し、
チャネルを形成する別個の物体の面にわたって二酸化炭素および水の拡散速度を改善する
ように変更される。
【0095】
特定の実施形態では、別個の物体は、形成操作に続いて分離または移動されて、チャン
バーフロー分布プロファイルに従ってコンクリート物体間の間隔を変更し、チャネルを形
成する別個の物体の面にわたって二酸化炭素および水の拡散速度を改善する。
【0096】
特定の実施形態では、製品ボードの間隔および/または製品ボードの向きを流体分配シ
ステムに対して調整して、複数の別個の物体の面の外部と、エンベロープと、複数の別個
の物体とチャンバー要素によって生成されたチャネルを通る流体フローを増大させること
ができる。これは、複数の別個の物体およびチャンバーの関連する外面と、複数の別個の
物体およびチャンバー要素の関連する外面との間の二酸化炭素および水の拡散率を増加さ
せる。
【0097】
特定の実施形態において、混合物を形成するステップは、ミキサー中で骨材、砂、ケイ
酸カルシウムおよび水を混合することを含む/伴う。ミキサーは、従来のコンクリートを
混合する際に典型的に使用されるタイプの任意のミキサーであり得る。骨材、砂、および
固体をわずかに濡らすのに十分な水を完全に混合する。次に、ケイ酸カルシウムが、残り
の水および任意の混和剤とともにバッチに追加される。混合物を完全に混合し、水を調整
して目的の水分レベルを達成する。
【0098】
特定の好ましい実施形態では、1つ以上の内部ダクトまたはチャネルを有する打ち込み
または押出または他の方法で形成された素地を生成するように構成された型枠でスラリー
混合物を打ち込みまたは押出するステップは、混合物を型枠または押出機に注ぐことを含
む/伴う。例えば、打ち込み物を作る場合、閉じ込められた空気の除去を促進し、粒子の
再配列を促進して混合物を緻密化するために、型枠を振動させることによって、または振
動ワンドを型枠内の混合物に挿入することによって、混合物を振動させることができる。
押し出しの場合、押出機は固定式でも移動式でもよい。固定押出機は、混合物を所望の形
状に成形するチャネルを通して混合物を押し、粒子の再配列を促進して物品を高密度化す
る。物品は押出機内でダイから押し出され、そこで所望の長さに切断され、物品は硬化の
ために積み重ねられる。移動する押出機は、混合物を固定ストッパーに押し付け、混合物
を望ましい形状に成形するチャネルを通過させる。混合物が固定ストッパーに押し付けら
れると、混合物内の圧力が増加し、粒子が再配列し、混合物が緻密化する。より多くの材
料が押し出されると、圧縮された混合物が押出機を押し出しベッドに沿って押す。
【0099】
特定の好ましい実施形態では、1つ以上の内部ダクトまたはチャネル内のCOおよび
水蒸気の雰囲気を維持するステップは、ダクトまたはチャネル内および/または外部また
は物品の周囲の雰囲気を含むこと;含まれるCOおよび/または水蒸気の雰囲気を循環
させること;含まれる雰囲気への、またはそこから水蒸気を除去または追加すること;お
よび含まれる雰囲気を加熱することを、含む/伴う。迅速かつ/または均一な硬化を達成
するために、ダクトとチャネルの数、形状、サイズ、および構成は、押し出された素地の
壁とCOおよび水蒸気の接触面積を増やすように設計できる。一般に、硬化が進行する
につれて、温度と濃度の勾配が、含まれる雰囲気内および製品自体内で発生する。これら
の勾配は認識され、制御されて、製品の均一な硬化を実現する。COと水蒸気のガスフ
ローは、例えば、反対方向に振動して、内部のダクトまたはチャネルを通過し、物品の外
部の外側を通過するときに勾配を反転するように制御されるため、温度と濃度勾配の影響
は硬化期間全体で平均化される。
【0100】
特定の好ましい実施形態では、複数のコンクリート物体内の、または複数のコンクリー
ト物体とエンベロープの間、または複数のコンクリート物体とチャンバー要素の間の1つ
以上のチャネル内にCOおよび水蒸気の雰囲気を維持するステップは、チャネル内およ
び/またはコンクリート物体の外部の周囲の雰囲気を含むこと;含まれるCOおよび/
または水蒸気の雰囲気を循環させること;含まれる雰囲気への、またはそこから水蒸気を
除去または追加すること;および含まれる雰囲気を加熱することを含む/伴う。
【0101】
迅速かつ/または均一な硬化を達成するために、チャネルの数、形状、サイズおよび構
成は、押し出された素地の壁とCOおよび水蒸気の接触面積を増加させるように設計さ
れてもよい。一般に、硬化が進行するにつれて、温度と濃度の勾配が含まれる雰囲気内お
よび物品自体内で発生する。これらの勾配は認識され、制御されて、物品の均一な硬化を
実現する。COと水蒸気のガスフローは、例えば、ガスフローの方向が、勾配を逆にす
るために、1つの方向から他の方向に交互に逆になり、チャネルと物品の外面の外側を通
過するため、温度と濃度勾配の影響は硬化期間全体で平均化される。
【0102】
特定の好ましい実施形態において、打ち込みまたは押出成形体を硬化させるステップは
、物品をCOおよび/または水蒸気の雰囲気と一定期間接触させることを含む/伴う。
【0103】
硬化温度および時間は、所望の最終生成物に従って、例えば、水およびCOの雰囲気
下で約20℃~約150℃の範囲の温度(例えば、約20℃~約140℃、約20℃~約
120℃、約20℃~約100℃、約20℃~約90℃、約20℃~約80℃、約20℃
~約70℃、約20℃~約60℃、約30℃~約100℃、約30℃~約90℃、約30
℃~約80℃、約30℃~約70℃、約30℃~約60℃)で約1時間~約80時間(例
えば、約1時間~約70時間、約1時間~約60時間、約6時間~約80時間、約6時間
~約70時間、約6時間~約60時間、約10時間~約80時間、約10時間~約70時
間、約10時間~約60時間、約15時間~約60時間、約15時間~約50時間、約2
0時間)で調整されてもよい。
【0104】
硬化プロセスの相対湿度環境は、例えば、約10%~約98%(例えば、約20%~約
98%、約30%~約98%、約50%~約98%、約80%~約98%、約90%~約
98%、約10%~約90%、約10%~約70%、約10%~約50%、約10%~約
40%、約10%~約30%、約10%~約20%)の範囲の所望の結果に合うように、
周囲の大気圧から大気圧より約100psi高い範囲(例えば、周囲の大気圧から周囲よ
りも約90psi高い、周囲の大気圧から周囲よりも約80psi高い、周囲の大気圧か
ら周囲よりも約70psi高い、周囲の大気圧から周囲よりも約60psi高い、周囲よ
りも約20psi高いから周囲よりも約100psi高い、周囲よりも約30psi高い
から周囲よりも約100psi高い)のCO圧力で調整して、均一で均質な多孔質構造
を示す複合材料を生成することができる。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態におけるような例示的な製造において、使用される材料は
、粉砕ケイ酸カルシウムである。例示的な実施形態において、本発明のケイ酸カルシウム
組成物、使用される粉砕ケイ酸カルシウム粒子は、粒子サイズ分布の体積分布において1
μmより大きい累積10%直径を有する粒子サイズを有する。
【0106】
粉砕ケイ酸カルシウムは、約1μm~約100μm(例えば、約1μm~約80μm、
約1μm~約60μm、約1μm~約50μm、約1μm~約40μm、約1μm~約3
0μm、約1μm~約20μm、約1μm~約10μm、約5μm~約90μm、約5μ
m~約80μm、約5μm~約70μm、約5μm~約60μm、約5μm~約50μm
、約5μm~約40μm、約10μm~約80μm、約10μm~約70μm、約10μ
m~約60μm、約10μm~約50μm、約10μm~約40μm、約10μm~約3
0μm、約10μm~約20μm、約1μm、10μm、15μm、20μm、25μm
、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μ
m)の平均粒子サイズ、約0.5g/mL~約3.5g/mL(ゆるい、例えば0.5g
/mL、1.0g/mL、1.5g/mL、2.0g/mL、2.5g/mL、2.8g
/mL、3.0g/mL、3.5g/mL)のかさ密度および約1.0g/mL~約1.
2g/mL(タップ)、約1.5m/g~約3.5m/g(例えば、1.5m/g
、2.0m/g、2.3m/g、2.5m/g、2.8m/g、3.0m/g
、3.2m/g、3.5m/g)の表面積を有し得る。
【0107】
特定の好ましい実施形態において、粒子状組成物は、約10重量%~約95重量%(例
えば、約20重量%~約95重量%、約30重量%~約95重量%、約50重量%~約9
5重量%、約60重量%~約95重量%、約20重量%~約90重量%、約20重量%~
約80重量%、約20重量%~約70重量%、約30重量%~約80重量%、約50重量
%~約80重量%)の粉砕ケイ酸カルシウム材料を含む。
【0108】
別個の物体を製造するために、化学的混和剤を含めることができ;例えば、可塑剤、遅
延剤、促進剤、分散剤、その他のレオロジー調整剤。BASF(登録商標)Chemic
alsによるGlenium(商標)7500およびDow Chemical Com
panyによるAcumer(商標)等の特定の市販の化学混和剤も含まれ得る。特定の
実施形態では、所望の複合材料に応じて、1つ以上の顔料を結合マトリックス中に均一に
分散させるか、または実質的に不均一に分散させることができる。顔料は、例えば、様々
な金属の酸化物(例えば、黒色酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化クロム)を含む任意の適
切な顔料であってよい。顔料は、例えば、黒色、白色、青色、灰色、ピンク色、緑色、赤
色、黄色および茶色から選択される任意の1つ以上の色であってよい。顔料は、所望の複
合材料に応じて任意の適切な量、例えば、約0.0重量%~約10重量%の範囲の量で存
在することができる。
【0109】
特定の実施形態では、顔料は、所望の複合材料に応じて、結合マトリックス中に均一に
分散されてもよく、または実質的に不均一に分散されてもよい。顔料は、例えば、様々な
金属の酸化物(例えば、黒色酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化クロム)を含む任意の適切
な顔料であってよい。顔料は、例えば、黒色、白色、青色、灰色、ピンク色、緑色、赤色
、黄色および茶色から選択される任意の1つ以上の色であってよい。顔料は、所望の複合
材料に応じて任意の適切な量で、例えば、約0.0重量%~約10重量%(例えば、約0
.0%~約8%、約0.0%~約6%、約0.0%~約5%、約0.0%~約4%、約0
.0%~約3%、約0.0%~約2%、約0.0%~約1%、約0.0%~約0.5%、
約0.0%~約0.3%、約0.0%~約2%、約0.0%~約0.1%)の範囲の量で
存在し得る。
【0110】
したがって、所望の製造プロセスを達成するために、様々な反応温度、圧力および反応
の長さを含む、硬化条件の様々な組み合わせを考えだすことができる。第1の例示的な実
施形態では、液体形態の水とCOガスが、乾燥オーブンで予備乾燥された物品に供給さ
れ、硬化プロセスが約90℃および約20psig(すなわち、周囲圧力より20psi
高い)で約48時間行われる。第2の例示的な実施形態では、水が前駆体材料中に存在し
(例えば、前の混合ステップからの残留水として)、COガスが物品に供給され、硬化
プロセスが約60℃および0psigで(周囲大気圧で)約19時間行われる。第3の例
示的な実施形態では、水はCOと共に蒸気形態で物品に供給され、硬化プロセスは約9
0℃および20psig(周囲大気圧より20psi高い)で約19時間行われる。
【0111】
物品の特性、製造時間および規模は、例えば、硬化技術(例えば、CO供給、システ
ム圧力および温度)ならびに混合比率と構成要素を調整することによって、本明細書の開
示に基づいて微調整できることに留意されたい。
【0112】
使用される材料および有利な環境的および経済的利益を提供する製造プロセスに加えて
、本発明の中空コア物品は、従来のコンクリートから作製された中空コア製品よりも性能
において多くの利点を提供し、例えば、通常のポルトランドセメントを使用して製造され
たプレキャストコンクリート製品の場合よりもはるかに短い時間で安定した特性を達成で
きる。
【0113】
・結合要素、結合マトリックス、および複合材料
・化学的議論
本発明は、CO消費反応によって主に硬化される新規の複合材料を製造するために使
用される装置および方法を提供する。これらの材料は有用な特性を示し、広く利用可能な
低コストの前駆体材料から、環境への影響を最小限に抑えた大規模生産に適したプロセス
で容易に製造できる。前駆体材料は、安価で豊富なケイ酸カルシウムリッチな組成物、微
粒子および粗い粒子を含む。ケイ酸カルシウム組成物は、様々なケイ酸カルシウム相(例
えば、CS、C3S2、C2Sおよびケイ酸カルシウム系アモルファス相を含む)を含む
粉砕生成物から構成されてもよい。微粒子と粗い粒子は、石灰岩または他の炭酸カルシウ
ム系材料、粉砕石英または他のSiO系材料、砂および砕石で構成されていてもよい。
微粒子と粗い粒子は、花崗岩、雲母、長石などの砕かれた鉱物で構成されている場合もあ
る。その他のプロセス要素には、水とCOが含まれる。1つ以上の顔料(例:黒色酸化
鉄、酸化コバルト、酸化クロム)着色ガラスおよび/または着色石英から選択される添加
剤など、さまざまな添加剤を使用して、得られる複合材料の物理的外観および/または機
械的特性を変更および微調整できる。水の使用量の削減やレオロジーの変化に関する添加
剤も使用できる。
【0114】
本明細書に開示されるように、複合材料は、エネルギー効率の良い水熱液相焼結(HL
PS)プロセスを使用して製造され、複合材料の様々な要素を一緒に保持する結合要素を
生成することができる。複合材料は、低コストで製造でき、環境に好ましい影響を与える
ことができる。例えば、本発明の好ましい実施形態では、COが反応種として使用され
、COの隔離と、既存の製造技術では比類のないカーボンフットプリントを有する製造
された複合材料における結合要素の生成をもたらす。HLPSプロセスは、化学反応の自
由エネルギーと結晶成長によって引き起こされる表面エネルギー(面積)の減少によって
熱力学的に推進される。高融点流体または高温固体媒体を使用する代わりに溶液(水性ま
たは非水性)を使用して反応種を輸送するため、HLPSプロセスの速度論は低温で妥当
な速度で進行する。
【0115】
HLPS、炭酸化性ケイ酸カルシウム系セメント、結合要素の炭酸化および形成、その
装置およびプロセスの様々な特徴の議論、ならびに関連するトピックは、米国特許第8,
114,367号、米国特許公開第2009/0143211号(出願番号12/271
,566)、米国特許公開第2011/0104469号(出願番号12/984,29
9)、米国特許公開第2009/0142578号(出願番号12/271,513)、
米国特許公開第2013/0122267号(出願番号13/411,218)、米国特
許公開第2012/0312194号(出願番号13/491,098)、国際公開第2
009/102360号(PCT/US2008/083606)、国際公開第2011
/053598号(PCT/US2010/054146)、国際公開第2011/09
0967号(PCT/US2011/021623)、2012年10月1日出願の米国
仮特許出願番号61/708,423、米国特許公開第2014/0127450号(出
願番号14/045,758)、米国特許公開第2015/0266778号(出願番号
14/045,519)、米国特許公開第2014/0127458号(出願番号14/
045,766)、米国特許公開第2014/0342124号(出願番号14/045
,540)、米国特許公開第2014/0272216号(出願番号14/207,41
3)、米国特許公開第2014/0263683号(出願番号14/207,421)、
米国特許公開第2014/0314990号(出願番号14/207,920)、米国特
許第9,221,027号(出願番号14/209,238)、米国特許公開第2014
/0363665号(出願番号14/295,601)、米国特許公開第2014/03
61471号(出願番号14/295,402)、米国特許公開第2016/03554
39号(出願番号14/506,079)、米国特許公開第2015/0225295号
(出願番号14/602,313)、米国特許公開第2015/0056437号(出願
番号14/463,901)、米国特許公開第2016/0168720号(出願番号1
4/584,249)、米国特許公開第2015/0336852号(出願番号14/8
18,629)、米国特許公開第2016/0031757号(出願番号14/817,
193)、米国特許公開第2016/0272544号(出願番号15/074,659
)、米国特許公開第2016/0096773号(出願番号14/874,350)、米
国特許公開第2016/0340261号(出願番号14/715,497)、米国特許
公開第2016/0272545号(出願番号15/074,692)、米国特許公開第
2017/0102373号(出願番号15/290,328)、米国特許公開第20
17/0121223号(出願番号15/335,520)、米国特許公開第2017/
0204010号(出願番号15/409,352)、米国特許公開第2017/025
3530号(出願番号15/449,736)、米国特許公開第2017/026009
6号(出願番号15/451,344)、米国特許公開第2017/0320781号(
出願番号15/587,705)、2017年5月31日出願の米国特許出願番号15/
609,908、2017年9月26日出願の米国特許出願番号15/716,392に
見出すことができ、これらの各々は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細
書に明示的に組み込まれる。
【0116】
図1図8は、記載されたいくつかの材料の間の様々な相の相互関係を示す相図である
【0117】
特定の好ましい実施形態において、複数の結合要素は、ガス支援HLPSプロセスによ
ってそれらをCOと反応させることによって、粉砕ケイ酸カルシウム組成物からの化学
変換によって調製される。
【0118】
特定の実施形態において、複合材料は、約90MPa~約175MPa(例えば、約9
0MPa~約150MPa、約90MPa~約140MPa、約90MPa~約130M
Pa、約90MPa~約120MPa、約90MPa~約110MPa、約100MPa
~約175MPa、約120MPa~約175MPa、約130MPa~約175MPa
、約140MPa~約175MPa、約150MPa~約175MPa、約160MPa
~約175MPa)の圧縮強度を特徴とする。
【0119】
特定の実施形態では、複合材料は、約5MPa~約30MPa(例えば、約5MPa~
約25MPa、約5MPa~約20MPa、約5MPa~約15MPa、約5MPa~約
10MPa、約10MPa~約30MPa、約20MPa~約30MPa、約25MPa
~約30MPa)の曲げ強度を特徴とする。
【0120】
特定の実施形態において、複合材料は、約10%未満(例えば、約8%、5%、4%、
3%、2%、または1%未満)の吸水を特徴とする。
【0121】
複合材料は、所望の質感、パターン、および物理的特性、特に天然石に特徴的なものの
うちの1つ以上を表すことができる。特定の好ましい実施形態では、複合材料は、天然石
と同様の視覚的パターンを示す。その他の特性には、色(例えば、黒、白、青、ピンク、
グレー(淡~暗)、緑、赤、黄色、茶色、シアン(青緑)または紫)および質感などがあ
る。
【0122】
・機器と処理の議論
・CO制御
記載された実施形態では、約99%の純度の工業用COが使用され、これは、Pra
xair、Inc.、Linde AG、Air Liquideなどの様々な異なる工
業用ガス会社によって提供される。この供給は、約300PSIGの蒸気圧を維持するよ
うな温度に調整された液体二酸化炭素の形で、大きな加圧保持タンクに保持できる。次に
、このガスはCO硬化エンクロージャーまたはチャンバーに配管される。最も単純なシ
ステムでは、COは、エンクロージャー内の周囲の空気を追い出すのに十分な速度でエ
ンクロージャーを通って流れる。一般に、パージ時間はエンクロージャーのサイズとCO
ガスが供給される速度に依存する。多くのシステムでは、空気のエンクロージャーをパ
ージするこのプロセスは、CO濃度を妥当なレベルに上げるために分単位で測定される
時間で実行でき、その後硬化を実行できる。単純なシステムでは、COガスが所定の速
度でシステムに供給され、硬化反応を促進するのに十分なCOの濃度を維持する。
【0123】
例として、ここでは、非常に一貫した濃度を維持するのによく適した、反応中に二酸化
炭素濃度を維持する方法について説明するが、これは、最も高価な技術になる傾向がある
「閉ループ」プロセスである。この方法は、システム内のCO濃度の測定を直接使用し
、PLCなどのコントローラーを使用して、設定点での電子/自動制御バルブでCO
度を制御する。NDIRのようなCOを直接測定する測定技術を採用することが望まし
い。NDIR測定方法では、ガスサンプルストリームは、低流量ポンプを介してシステム
から引き出される。チラーは、NDIR装置によってサンプリングされる前に、ガススト
リームから水分を取り除くために使用される。したがって、アナライザーによって提供さ
れる測定には、ガスストリームの水蒸気成分が欠落しており、テストサンプルから除去さ
れた湿度を考慮して調整する必要がある。システムガスフローの湿度の測定は、乾球湿球
湿度測定技術を使用して、乾球湿球湿度測定デバイスを使用して、または異なるタイプの
水分センサーを使用して実行できる。真のCO濃度は、コンピューター制御システムま
たはPLCを使用して計算できる。真のCO濃度がわかると、作動した比例制御バルブ
は、乾燥したCOが消費され、その時点で望ましい設定値を下回ったときに乾燥したC
をシステムに追加できる。様々な実施形態において、設定点は、必要に応じて、特定
の組成物、複合材料試料の形状およびサイズを硬化する経験に基づいて、時間とともに変
化し得る。
【0124】
・湿度制御
図9は、本発明の原理による加湿を提供するCO複合材料硬化チャンバーの概略図で
ある。図9では、水供給が提供され、水蒸気が硬化チャンバー内を循環している雰囲気に
加えられる。水は、飲料水の便利な供給源であり得る。いくつかの実施形態では、通常の
水道水が使用される。いくつかの実施形態において、水は、霧化ノズルまたは噴霧スプレ
ーノズル、電気蒸気発生器、ガス燃焼蒸気発生器を通って流れることによって、または例
は、浸漬ヒーターを備えたドラム反応器である液体水供給からの蒸発を引き起こすように
チャンバー内のガス温度を超えて加熱されることによって、蒸気に変換され得る。さらに
別の実施形態では、入ってくるガスストリームの相対湿度を上げるために、加熱された水
供給を通じて泡立てられた後、CO供給をシステムに流すことができ、一例は、「フロ
ースルー」または「開ループ」用に構成されたドラム反応器である。
【0125】
相対湿度は、従来のコンクリート硬化およびCO複合材料硬化の両方において重要な
パラメーターである。従来の硬化チャンバーには、主に窒素、酸素、および水蒸気で構成
される湿った空気雰囲気が存在する。これらのシステムでは、ほとんどの場合、相対湿度
は標準の静電容量センサー技術によって測定される。ただし、CO硬化チャンバーには
、これらのセンサーの一部のタイプと互換性のない、主に二酸化炭素で構成されるガス雰
囲気がある。ここで説明するCO複合材料硬化システムでは、二酸化炭素と水蒸気また
は双極子分極水蒸気測定機器、冷却ミラー湿度計、または静電容量湿度センサーの湿度比
を利用する乾球湿球技術などのセンシング技術を使用できる。
【0126】
硬化される製品のタイプおよび形状、チャンバーの設計、およびチャンバー内での製品
の充填効率に応じて、湿度を減少または増加させ、特定の設定点に調整する必要がある場
合がある。設定値の範囲は、相対湿度1%~99%である。湿度制御のための3つの異な
る方法が、単一のシステムに組み合わせることができるCO複合材料の硬化プロセスに
存在する場合がある。CO硬化システムの一実施形態における加湿のための1つの方法
が、図9に表されている。別の方法では、システムから水分を除去して、複合材料製品を
COで硬化させることができる。相対湿度を下げる簡単な方法は、システム内の湿った
ガスを二酸化炭素などの乾燥ガスで置き換えることである。さらに別の実施形態では、相
対湿度を下げることができ、したがって、非パージ方法によってガスから水蒸気を除去す
ることができ、これは、好ましい一実施形態では、水抽出を実行する冷却熱交換器である
【0127】
図10は、湿度制御の複数の方法、ならびに一定の流れまたは圧力調節を使用してCO
を制御および補充する能力を有し、本発明の原理に従って温度を制御できる硬化チャン
バーの概略図である。このシステムは、閉ループ制御またはフィードバックを使用した制
御を提供できるシステムの例であり、プロセスサイクルの特定の時間に必要なCO濃度
、湿度、温度などの動作パラメーターの設定値が提供され、制御されているパラメーター
の実際の値が目的の値かどうかを確認するために測定される。目的の値からの偏差が測定
された場合は、パラメーターの値が目的の値と一致するように修正アクションが実行され
る。このような制御システムは高価で複雑になる可能性があり、高価値の製品または非常
に正確なプロセス条件を必要とする製品に関しては役立つ場合がある。
【0128】
・温度制御
いくつかの実施形態では、温度は、熱電対またはRTDなどのセンサーを利用して測定
される。測定信号は、熱交換器へのエネルギーを調整し、それによってシステム全体の温
度を経時的に調整できるコントローラーまたはコンピューターに送り返される。ブロワー
は、サンプルの制御された水分の重要な部分である製品とチャンバー自体に伝達するガス
に熱エネルギーを伝達するのに役立つため、加熱システムの重要な要素である。加熱の方
法は、電気またはガス燃焼がある。ジャケットヒーターは、加熱ジャケットと接触してい
るチャンバーを通って流れるCOの温度を制御するために使用でき、任意の便利な熱源
を使用できる。外部加熱の手段には、電気加熱、温水加熱、または熱油加熱が含まれ得る
が、これらに限定されない。CO硬化チャンバーでは、これまで間接ガス燃焼システム
が利用されており、直接燃焼ガスバーナーはそれらが空気と燃焼生成物をシステムに引き
込み、それによってCOを希釈し、CO濃度の制御を困難にするため、避けられてい
た。ドラムリアクターなどの一部の小規模システムは、チャンバー内の加熱要素ではなく
、電気ジャケットヒーターを使用してチャンバーの表面全体を加熱する。
【0129】
・ガスフロー制御
別の制御パラメーターは、システムで硬化される材料にわたるガス速度である。ガスの
速度は、これらに限定されないが、チャンバーの設計、バッフルの設計、ファンのサイズ
、ファンの速度/電力、ファンの数、システム内の温度勾配、システム内のラック設計、
システム内のサンプル形状など、プロセス機器の変数に大きく依存する。チャンバー内の
ガス速度を制御する最も簡単な方法は、ブロワー速度(RPM)を調整することであり、
通常、可変周波数ドライブを使用してブロワーモーター速度を制御できるようにする。ブ
ロワーを使用して、硬化チャンバー内でガスを所望の速度で循環させることができる。シ
ステム内のガス速度は、ピトー管測定およびレーザードップラー検出システムを含むがこ
れらに限定されない様々な異なる技術を介してシステム内で測定される。ガス速度の測定
信号は、コンピューターシステムまたはプログラマブルロジックコントローラーに送り返
され、硬化プロファイルの制御パラメーターとして利用できる。
【0130】
・複合材料を準備するプロセス
複合材料を調製するための一般的なプロセスは、粒子組成物と液体組成物を混合して、
スラリー混合物を作成すること;スラリーを型枠に流し込み打ち込むこと、スラリーを型
枠でプレスすること、スラリーを振動する型枠でプレスすること、スラリーを押し出すこ
と、スラリーをスリップ成形すること、またはコンクリート製造で一般的であるその他の
形状成形方法を使用することによって、スラリー混合物を所望の形状に成形すること、形
成されたスラリー混合物を、水とCOを含み、ほぼ大気圧から周囲の大気圧より約50
psi高い範囲の圧力と、約10%~約90%の範囲のCO濃度を有する蒸気下で、約
1時間~約80時間、約20℃~約150℃の範囲の温度で硬化させて、質感および/ま
たはパターン、および圧縮強度、曲げ強度、密度、耐劣化性などに関する望ましい物理的
特性を示す複合材料を生成することを含む。
【0131】
粒子状組成物は、約1μm~約100μmの範囲の平均粒子サイズを有する粉砕ケイ酸
カルシウム組成物を含む。さらに、粒子状組成物は、約3μm~約25mmの範囲の平均
粒子サイズを有する粉砕炭酸カルシウムまたはSiO含有材料を含み得る。液体組成物
は水を含み、水溶性分散剤を含んでもよい。
【0132】
このプロセスは、打ち込み混合物を硬化させる前に、打ち込み混合物を乾燥させるステ
ップをさらに含むことができる。粒子状組成物は、本明細書で論じられるように、顔料ま
たは着色剤をさらに含む。
【0133】
特定の実施形態では、形成されたスラリー混合物を硬化することは、水およびCO
含み、周囲気圧~周囲気圧より約30psi高い範囲の圧力を有する蒸気下で、約30℃
~約120℃の範囲の温度で、約1時間~約70時間行われる。
【0134】
特定の実施形態では、形成されたスラリー混合物を硬化することは、水およびCO
含み、周囲気圧~周囲気圧より約30psi高い範囲の圧力を有する蒸気下で、約60℃
~約110℃の範囲の温度で、約1時間~約70時間行われる。
【0135】
特定の実施形態では、形成されたスラリー混合物を硬化することは、水およびCO
含み、周囲気圧~周囲気圧より約30psi高い範囲の圧力を有する蒸気下で、約80℃
~約100℃の範囲の温度で、約1時間~約60時間行われる。
【0136】
特定の実施形態では、形成されたスラリー混合物を硬化することは、水およびCO
含み、周囲気圧を有する蒸気下で、約60℃以下の温度で、約1時間~約50時間行われ
る。
【0137】
例えば、いくつかの実施形態では、粉砕ケイ酸カルシウム組成物は、約1μm~約10
0μm(例えば、約1μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、40
μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm)の平均粒子サ
イズ、約0.5g/mL~約3.5g/mLのかさ密度(ゆるい、例えば、0.5g/m
L、1.0g/mL、1.5g/mL、2.0g/mL、2.5g/mL、2.8g/m
L、3.0g/mL、3.5g/mL)、約1.0g/mL~約1.2g/mL(タップ
)、約150m/kg~約700m/kgのブレーン表面積(例えば、150m
kg、200m/kg、250m/kg、300m/kg、350m/kg、4
00m/kg、450m/kg、500m/kg、550m/kg、600m
/kg、650m/kg、700m/kg)を有する。
【0138】
特定の好ましい実施形態では、液体組成物は、水と、液体組成物の約0.1%~約2%
w/wの濃度を有するポリマー塩(例えば、アクリルホモポリマー塩)を含む水溶性分散
剤とを含む。
【0139】
本明細書に開示されるプロセスに従って調製される複合材料は、約3.0MPa~約3
0.0MPa(例えば、約3MPa、5MPa、10MPa、15MPa、20MPa、
25MPa、30MPa)の圧縮強度、約0.3MPa~約4.0MPa(例えば、約0
.3MPa、0.5MPa、1.0MPa、1.5MPa、2.0MPa、2.5MPa
、3.0MPa、3.5MPa、4.0MPa)の曲げ強度を示すことができる。
【0140】
例えば、本明細書に開示されるケイ酸カルシウム組成物を含む、任意の適切な前駆体材
料を使用することができる。カルシウムカチオンがケイ酸カルシウム組成物粒子から浸出
し、ケイ酸カルシウム組成物粒子の周辺部分をカルシウム欠乏状態に変換すると考えられ
ている。カルシウムカチオンが粒子の周辺部分から浸出し続けると、周辺部分の構造は最
終的に不安定になり、破壊され、それによって粒子のカルシウム不足の周辺部分が主にシ
リカリッチな第1層に変換される。その間、主に炭酸カルシウムの第2層が水から沈殿す
る。この3層構造の例を、米国特許公開第2013/0122267号(図6(a)~6
(c)から複製して図13に示し、例示的な結合マトリックスのエネルギー分散型X線分
光法(EDS)化学マッピングの例を示し、Si(図13a)とCa(図13b)マップ
の重ね合わせを示している。図13cでは、CaSiO、SiO、およびCaCO
領域が矢印で示されている。珪灰石(CaSiO)コア粒子は、SiOリッチな領域
によってカプセル化され、CaCO粒子に囲まれている。結合マトリックスのさまざま
な要素は、CaCO粒子によって結合されている。この組成物のXRDから、CaSi
とCaCO(方解石)は結晶相であり、シリカリッチな領域はアモルファスである
ことがわかった。
【0141】
本明細書で使用する場合、「粗い」および「微細な」フィラー粒子という用語は、適切
な粒子サイズおよびサイズ分布を有する任意の適切な材料を指す。特定の好ましい実施形
態では、例えば、フィラー粒子は、石灰石(例えば、粉砕石灰石)などの炭酸カルシウム
リッチな材料から作られる。特定の材料では、フィラー粒子は、石英、マイカ、花崗岩、
長石など(例えば、粉砕石英、粉砕雲母、粉砕花崗岩、粉砕長石)の1つ以上のSiO
系またはケイ酸塩系の材料から作られている。
【0142】
特定の実施形態において、フィラー粒子は、ガラス、リサイクルガラス、石炭スラグ、
フライアッシュ、炭酸カルシウムリッチな材料および炭酸マグネシウムリッチな材料など
の天然、合成およびリサイクル材料を含み得る。
【0143】
特定の実施形態において、複数の「粗い」および「微細な」フィラー粒子は、約5μm
~約7mm(例えば、約5μm~約5mm、約5μm~約4mm、約5μm~約3mm、
約5μm~約2mm、約5μm~約1mm、約5μm~約500μm、約5μm~約30
0μm、約20μm~約5mm、約20μm~約4mm、約20μm~約3mm、約20
μm~約2mm、約20μm~約1mm、約20μm~約500μm、約20μm~約3
00μm、約100μm~約5mm、約100μm~約4mm、約100μm~約3mm
、約100μm~約2mm、約100μm~約1mm)の範囲の平均粒子サイズを有する
【0144】
いくつかの実施形態では、結合要素と「粗い」および「微細な」フィラー粒子の重量比
は、複合材料製品の意図される用途に応じて、任意の適切な比であってよい。例えば、結
合要素と「粗い」および「微細な」フィラー粒子の重量比は、約(50~99):約(1
~50)、例えば、約(60~99):約(1~40)、約(80~99):約(1~2
0)、約(90~99):約(1~10)、約(50~90):約(10~50)、約(
50~70):約(30~50)の範囲であり得る。特定の実施形態では、用途に応じて
、結合要素とフィラー粒子の重量比は、約(10~50):約(50~90)、例えば、
約(30~50):約(50~70)、約(40~50):約(50~60)の範囲であ
り得る。
【0145】
より具体的には、第1層および第2層は、試薬としてではなく、反応媒体として水を使
用でき(すなわち、水は消費されない)以下の反応(1~3)に従って、前駆体粒子から
形成され得る:
CaSiO(固)+CO(気)→CaCO(固)+SiO(固) (1)
CaSi(固)+3CO(気)→3CaCO(固)+2SiO(固) (
2)
CaSiO(固)+2CO(気)→2CaCO(固)+SiO(固) (3)
【0146】
例えば、ケイ酸カルシウム組成物を用いるなどのケイ酸塩鉱物炭酸化反応では、CO
は、水などの浸透流体に溶解する気相として導入される。COが溶解すると、酸性炭酸
種(炭酸、HCOなど)が形成され、溶液のpHが低下する。弱酸性溶液は、ケイ酸
カルシウム相からのカルシウム種を一致せずに溶解する。カルシウムは、同様のメカニズ
ムで、カルシウム含有アモルファス相から浸出する可能性がある。放出されたカルシウム
カチオンおよび解離した炭酸塩種は、不溶性炭酸塩の沈殿をもたらす。シリカリッチな層
は、カルシウムが枯渇した層として鉱物粒子上に残ると考えられている。
【0147】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、COはケイ酸カルシウム組成物前
駆体コアのカルシウムカチオンと優先的に反応し、それにより前駆体コアの周辺部分をシ
リカリッチな第1層および炭酸カルシウムリッチな第2層に変換する。また、コア上の第
1および第2の層の存在は、ケイ酸カルシウムと二酸化炭素との間のさらなる反応に対す
る障壁として機能し、コア、第1の層および第2の層を有する結合要素をもたらす。
【0148】
いくつかの実施形態では、Ca以外の金属またはCaに加えて金属を有するケイ酸塩材
料、例えばフォステライト(MgSiO)、透輝石(CaMgSi)、および
タルク(MgSi10(OH))は、上記のケイ酸カルシウムの反応と同様の方
法で水中に溶解した二酸化炭素と反応することができる。そのようなケイ酸塩材料は、本
発明の原理による結合要素の前駆体として、単独で、組み合わせて、および/またはケイ
酸カルシウムと組み合わせて使用できると考えられている。
【0149】
ガス支援HLPSプロセスは、ガス拡散が多孔質プリフォームに迅速に浸透し、溶解し
たCOで細孔内の薄い液体界面溶媒膜を飽和できるように、部分的に浸透した細孔空間
を利用することが好ましい。CO系化学種は、純水への溶解度が低い(25℃、1at
mで1.5g/L)。したがって、かなりの量のCOは、有意な炭酸塩変換を可能にす
るために、多孔質プリフォーム全体に継続的に供給され、その全体に分配されなければな
らない。気相拡散を利用すると、液相での同等の時間に可溶性COを拡散する場合より
も、拡散距離が大幅に(約100倍)増加する(「Handbook of chemi
stry and physics」、編集者:D.R.Lide、第6章および第8章
、第87版2006-2007、CRC)。この部分的に浸透した状態では、一定期間で
反応を高度の炭酸化に進めることができる。
【0150】
細孔中の液体水は、炭酸種とカルシウム種の両方のイオン化のための媒体を提供するた
め、反応速度を速める。ただし、COガスが細孔結合水相に溶解する前に多孔質マトリ
ックスに拡散できるように、水のレベルは十分に低くする必要がある。さらに、積極的に
溶解する多孔質プリフォームは、拡張反応性結晶成長のテンプレートとして機能する。し
たがって、結合要素およびマトリックスは、最小の歪みおよび残留応力で形成することが
できる。これにより、他の多くの用途に加えて、インフラおよび建築材料に必要なものな
ど、大きくて複雑な形状を実現できる。
【0151】
したがって、所望の製造プロセスを達成するために、様々な反応温度、圧力および反応
の長さを含む、硬化条件の様々な組み合わせを考え出すことができる。第1の例示的な実
施形態では、水は(例えば、前の混合ステップからの残留水として)前駆体材料中に存在
し、液体水がCOと共に前駆体材料に提供され(例えば、水レベルを維持し、および/
または蒸発による水の損失を制御するため)、硬化プロセスは、約90℃で約20psi
g(すなわち、周囲圧力より20psi高い)で、約2~90時間の範囲の時間行われる
【0152】
第2の例示的な実施形態では、水は(例えば、前の混合ステップからの残留水として)
前駆体材料中に存在し、水蒸気がCOと共に前駆体材料に提供され(例えば、水レベル
を維持し、および/または蒸発による水の損失を制御するため)、硬化プロセスは、約9
0℃で約20psig(すなわち、周囲圧力より20psi高い)で、約2~90時間の
範囲の時間行われる。
【0153】
第3の例示的な実施形態では、水は(例えば、前の混合ステップからの残留水として)
前駆体材料中に存在し、水蒸気がCOと共に前駆体材料に提供され(例えば、水レベル
を維持し、および/または蒸発による水の損失を制御するため)、硬化プロセスは、約2
5~90℃で約0psig(すなわち、周囲大気圧)で、約2~72時間行われる。
【0154】
上記の実施形態では、複合材料物体の硬化に必要な時間は、物体全体に拡散する水蒸気
およびCOガスの能力によって決定される。一般に、厚い物体は薄い物体よりも硬化に
時間がかかる。同様に、密度が高い(および開気孔のスペースが少ない)物体は、密度が
低い(開気孔のスペースが多い)物体よりも硬化に時間がかかる。次の表は、3次元の最
小の厚さ(または壁の厚さまたは断面の厚さ)と、製造される物体のかさ密度に関して、
硬化時間がどのように変化するかを示す例である。
【0155】
【表1】
【0156】
・製造された微細構造の議論
図11(a)~11(c)に概略的に示すように、結合要素は、コア(黒い内側部分で
表される)、第1の層(白い中央部分で表される)、および第2または封入層(外側部分
で表される)を含む。第1の層は、1つだけの層または複数の副層を含むことができ、コ
アを完全にまたは部分的に覆うことができる。第1の層は、結晶相、アモルファス相また
はそれらの混合物中に存在し得、そして連続相中にあり得るか、または別個の粒子として
あり得る。第2の層は、1つの層のみまたは複数の副層を含むことができ、第1の層を完
全にまたは部分的に覆うこともできる。第2の層は、複数の粒子を含み得るか、または最
小の別個の粒子を有する連続相のものであり得る。
【0157】
接合要素は、意図される用途に応じて、任意のサイズおよび任意の規則的または不規則
な、中実または中空の形態を示し得る。例示的な形態には、立方体、直方体、プリズム、
ディスク、ピラミッド、多面体または多面体粒子、円柱、球、円錐、リング、管、三日月
、針、繊維、フィラメント、フレーク、球、亜球、ビーズ、ブドウ、顆粒、長方形、棒、
波紋などが含まれる。
【0158】
一般に、本明細書でより詳細に論じられるように、結合要素は、変換プロセスを通じて
反応性前駆体材料(例えば、前駆体粒子)から生成される。前駆体粒子は、それらが意図
された用途のニーズを満たす限り、任意のサイズおよび形状を有することができる。変換
プロセスは一般に、前駆体粒子の同様のサイズおよび形状を有する対応する結合要素をも
たらす。
【0159】
結合マトリクス内で、結合要素は、いくつかの向きのうちの任意の1つで、互いに対し
て配置されてもよい。図12(a)~12(f)は、結合要素間の間隔で表されるように
、フィラー材料の組み込みによって希釈される可能性のある異なる方向の繊維状または小
板形状の結合要素を含む例示的な結合マトリックスを概略的に示している。例えば、図1
2(a)は、一方向(「1-D」)方向に整列した(例えば、x方向に対して整列した)
繊維形状の結合要素を含む結合マトリックスを示す。図12(b)は、二方向(「2-D
」)方向に整列した(例えば、xおよびy方向に対して整列した)小板形状の結合要素を
含む結合マトリックスを示す。図12(c)は、3方向(「3-D」)配向で整列した(
例えば、x、yおよびz方向に関して整列した)小板形状の結合要素を含む結合マトリッ
クスを示す。図12(d)は、ランダムな配向の小板形状の結合要素を含む結合マトリッ
クスを示し、結合要素は、特定の方向に関して整列していない。図12(e)は、3-D
方向で整列した比較的高濃度の小板形状の結合要素を含む結合マトリックスを示す。図1
2(f)は、ランダムな配向(パーコレーションネットワーク)に配置された比較的低濃
度の小板形状の結合要素を含む結合マトリックスを示す。図12(f)の複合材料は、接
触の連続的なネットワークが材料の一端から他端へと形成されるように、結合要素の大部
分が互いに接触しているため、パーコレーション閾値を達成する。パーコレーション閾値
は、それを超えると結合要素が秩序ある、例えば、図12(e)または結合要素のランダ
ムな向き、例えば図12(f)のいずれかとの長距離接続性を示す臨界濃度である。接続
性パターンの例は、例えば、Newnhamら、「Connectivity and
piezoelectric-pyroelectric composites」,M
at.Res.Bull.13巻、525~536ページ、1978)に見出すことがで
きる。
【0160】
複数の結合要素は、任意の適切な前駆体材料、例えば、任意の適切なケイ酸カルシウム
組成物前駆体から化学的に変換されてもよい。前駆体ケイ酸カルシウム組成物はまた、ア
ルミニウム、マグネシウムおよび鉄の1つ以上の化学元素を含み得る。
【0161】
複数の結合要素は、所望の複合材料に応じて、任意の適切な平均粒子サイズおよびサイ
ズ分布を有することができる。特定の実施形態において、複数の結合要素は、約1μm~
約100μm(例えば、約1μm~約80μm、約1μm~約60μm、約1μm~約5
0μm、約1μm~約40μm、約1μm~約30μm、約1μm~約20μm、約1μ
m~約10μm、約5μm~約90μm、約5μm~約80μm、約5μm~約70μm
、約5μm~約60μm、約5μm~約50μm、約5μm~約40μm、約10μm~
約80μm、約10μm~約70μm、約10μm~約60μm、約10μm~約50μ
m、約10μm~約40μm、約10μm~約30μm、約10μm~約20μm)の範
囲の平均粒子サイズを有する。
【0162】
いくつかの例では、複合材料は、複数の結合要素および複数のフィラー粒子を含む。各
結合要素は、ケイ酸カルシウム組成物を主に含むコア、シリカリッチな第1層または内層
、および炭酸カルシウムリッチな第2層または外層を含む。複数の結合要素と複数のフィ
ラー粒子は一緒に1つ以上の結合マトリックスを形成し、結合要素とフィラー粒子はその
中に実質的に均一に分散されて一緒に結合され、複合材料は1つ以上のテクスチャー、パ
ターン、および物理的特性を示す。いくつかの例では、結合要素は、ケイ酸マグネシウム
のコア、およびシリカリッチな第1層または内層、および炭酸マグネシウムリッチな第2
層または外層を有し得る。ケイ酸マグネシウムは、アルミニウム、カルシウム、鉄または
マンガンの酸化物を含むことができる。
【0163】
特定の実施形態では、これらの複合材料は、様々なパターン、テクスチャー、および様
々な色の視覚的パターンなど他の特性を表示することができる。さらに、本発明の複合材
料は、従来のコンクリートまたは対応する天然材料と同様の圧縮強度、曲げ強度および吸
水特性を示す。
【0164】
特定の実施形態では、複合物はさらに顔料を含む。顔料は、所望の複合材料に応じて、
結合マトリックス中に均一に分散されてもよく、または実質的に不均一に分散されてもよ
い。顔料は、例えば、様々な金属の酸化物(例えば、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム
)を含む任意の適切な顔料であってよい。顔料は、例えば、黒色、白色、青色、灰色、ピ
ンク色、緑色、赤色、黄色および茶色から選択される1つ以上の色であってよい。顔料は
、所望の複合材料に応じて任意の適切な量で、例えば、約0.0重量%~約10重量%(
例えば、約0.0%~約8%、約0.0%~約6%、約0.0%~約5%、約0.0%~
約4%、約0.0%~約3%、約0.0%~約2%、約0.0%~約1%、約0.0%~
約0.5%、約0.0%~約0.3%、約0.0%~約2%、約0.0%~約0.1%)
の範囲の量で存在し得る。
【実施例0165】
・例1:チャンバー要素間の調整可能な間隔を有する硬化システム
製品ボード間の間隔を調整することができる硬化システムを製造した。別個のコンクリ
ート物体が配置されたボード間の間隔を増減すると、別個のコンクリート物体の上部と別
個のコンクリート物体の上のボードの下部との間に形成されるチャネル101のサイズが
変化する。ボード間のギャップと別個のコンクリート物体の寸法によって支配されるこの
チャネル101のサイズは、物体間を移動する流体の速度に影響を与える。ボード間の流
体フローの量が一定である場合、より小さいチャネル101は速度を増加させ、チャネル
101を広げることは速度を減少させる。
【0166】
結合要素とフィラーの比、含水量、圧縮の程度、および未硬化の別個のコンクリート物
体の寸法に応じて、チャネル101の増加または減少したサイズを通る流体フローの速度
の変化が望ましい。このシステムの画像を図15に示す。
【0167】
結合要素とフィラーの比が高いいくつかの実施形態では、チャネル101のサイズを大
きくして、完成した物体の特性を改善し、合計プロセス時間要件を最適化することが望ま
しい場合がある。
【0168】
結合要素とフィラーの比率が低いいくつかの実施形態では、チャネル101のサイズを
小さくして、完成した物体の特性を改善し、合計プロセス時間要件を最適化することが望
ましい場合がある。
【0169】
いくつかの実施形態では、異なる結合要素とフィラーの比、含水量、圧縮の程度または
寸法を有する別個のコンクリート物体の複数のカテゴリーが、同じチャンバーまたはエン
ベロープで処理される。この実施形態では、チャネル101のサイズは、チャネルに隣接
するコンクリート物体のタイプに従って、製品ボードごとに独立して調整することができ
る。この方法では、完成した物体の特性を統一し、合計プロセス時間要件を最適化するた
め、コンクリート物体の各カテゴリーの最適速度に応じてプロセスガスの速度を調整でき
る。
【0170】
・例2:可逆的フローを有する硬化システム
プロセスガスのフローが別個のコンクリート物体の間、ならびに別個のコンクリート物
体とチャンバー要素の間のチャネルに向けられる硬化システムを設計した。両方のチャネ
ルのフローの方向は逆にできる。アレイ状に配置した複数の別個のコンクリート物体を収
容できるエンベロープまたはチャンバー内で流体がこれらのコンクリート物体の上を流れ
る。流体が複数の別個の物体の上を流れるにつれて、温度、相対湿度または水分含有量お
よび速度などの流体の状態が変化する。流体の初期状態、および結合要素とフィラーの比
、含水量、圧縮の程度と寸法などの複数の別個のコンクリート物体の特性によって決定さ
れる特定の長さを通過した後、チャンバーの要素間のチャネルおよび別個のコンクリート
物体間のチャネルでは、流体の状態は、最適な硬化には不適切になる。言い換えると、流
体の温度が低下し、流体の相対湿度または含水率が、別個のコンクリート物体の硬化に適
した閾値を超えて増加する。
【0171】
いくつかの実施形態では、流体の温度が60℃未満、または55℃未満、または50℃
未満、または45℃未満、または40℃未満または35℃未満、または30℃未満または
25℃未満に低下すると、流体は使用に適さないと考えられる。
【0172】
いくつかの実施形態では、相対湿度として表される、流体の含水率が20%を超える、
または30%を超える、または40%を超える、または50%を超える、または60%を
超える、または70%を超える、または80%を超える、または90%超える場合、流体
は硬化に使用するのに適さないと考えられる。
【0173】
しかしながら、硬化サイクル中に少なくとも1回流体の流れの方向を逆にすることによ
り、硬化することができる別個のコンクリート物体の配列の長さを増加させることができ
る。そうすることで、より低温でより高い含水率の流体にさらされる下流に位置する別個
のコンクリート物体は、硬化サイクルの少なくとも一部で、今度はより乾燥したより低い
含水率の流体にさらされる。いくつかの実施形態では、この長さは、ガスの状態が、硬化
サイクル全体にわたって一方向の流れを伴うセットアップでの硬化に使用されるガスに適
さなくなる長さの2倍に増加することができる。全体として、このコンセプトはエンベロ
ープまたはチャンバーの容量を増やすのに役立つ。
【0174】
例示的なシステムの大規模な図面が図16に示されている。内部にコンクリート物体を
有する提案したシステムの図面の端部を図17に示す。
【0175】
別の実施形態では、製品は、図15に示すように、互いにボードの上に積み重ねること
ができ、図16および17に示す提案したシステムの変更バージョンの内部に含まれ、チ
ャンバーの高さは、複数のラックを収容するために増加している。
【0176】
・例3:脱着等温線法を使用した中空コアスラブの硬化
・混合
コンクリート混合物設計の成分を混合するために、Sicoma TO8シリーズ遊星
ミキサー(モデルMP 250/375 WWWSW)を使用した。遊星の速度は18.
5RPMであった。293.8kgの1/4インチ骨材と砂160.3kgの砂の形態の
フィラー材料を90秒間乾式混合した。5kgの水、168gのGlenium 750
0混和剤(BASF)、120gの空気連行混和剤を乾燥混合物に加え、その組み合わせ
をさらに90秒間混合した。80.1kgのSolidiaセメント(Solidia
Technologies)の形態のバインダー(4%擬珪灰石、19%珪灰石、13%
ラーナイト、2%カルサイト、62%アモルファス酸化物)をミキサー内の湿った材料に
追加の16kgの水と一緒に添加した。その組み合わせをさらに90秒間混合した。Sart
orius MA100水分計で測定した混合物の最終含水率は3.68%であった。合計3
つのこのようなバッチは、中空コアスラブの押し出しのために押出機に移した。
【0177】
押し出し:
2つの40’長×3/8インチ直径のスチールケーブル(低緩和7ワイヤーストランド
、スミデンワイヤープロダクツ社)を、鋼の押出ベッドの長さに沿って3インチの伸びに
引っ張った。ケーブルの1つをスラブの底とコア1および2の間に対称的に位置するよう
に配置し;もう1つは、スラブの底とコア5および6の間で対称的に配置した。
【0178】
中空コアスラブは、55RPMのオーガー速度を使用して、市販のElematic
EL 600/8押出機によって鋼床上に押し出した。押し出したスラブは、長さ18フ
ィート、幅4フィート、高さ8インチで、6個の(6インチ直径)中空コアが含まれてい
た。隣接するコアは、1.25インチの厚い壁で区切られていた。図18は、中空コアス
ラブの写真を示す。
【0179】
・硬化
図19は、硬化装置の概略図である。硬化中、鋼床内のパイプを通して熱水を循環させ
ることでその床を加熱した。加熱水の温度は81℃に保たれたガス燃焼ボイラーによって
維持した。鋼床の上面の温度は約49℃であった。チラー(10℃に維持)からの冷水を
凝縮器に循環させ、循環ガスストリームから水分を除去した。電気ヒーター(3.75k
W)を87℃に維持して、乾燥した循環ガスストリームを硬化チャンバーに戻す前に加熱
した。循環ブロワーの速度は、可変周波数ドライブによって制御した。ブロワーの初期速
度は30Hzであった。乾燥COは、必要に応じてAlicatマスフローコントロー
ラーで硬化システムに供給した。硬化チャンバーは、スチール押出ベッドとポリエチレン
シートで構成されており、キャノピーとして機能し、CO/HOストリームを周囲の
大気から分離する。キャノピーは中空コアのスラブを覆い、スラブの両端にある支持壁の
間に張られた。キャノピーは、鋼の押し出しベッドに沿って、そして磁気ストリップで端
壁まで密閉され、循環ガスストリームによって膨張させた。キャノピーの内側と外側の間
の差圧は、大気圧よりわずかに高く維持されていた(差圧=+0.2インチの水柱)。硬
化チャンバーの各端壁は、壁の高さが8インチではなく9.25インチであったことを除
いて、スラブと同じ断面形状であった。各端壁は、長方形のボックスの前面として機能し
、ガスが硬化チャンバーに出入りする6つの穴の反対側に1つのガス入口ポートを備えた
チャンバーを形成した。6つの穴は穴の開いた金属シートで覆われているため、エンドチ
ャンバーはプレナムとして機能し、硬化チャンバーへのガスフローを分散および平滑化す
るように機能した。差圧トランスミッタに属する2つのポートの1つを、一方の端壁から
硬化チャンバーに挿入した。他のポートは周囲の大気に開放したままにした。NDIR
COメーターのサンプリングプローブを硬化チャンバーのもう一方の端の端壁に挿入し
て、硬化実行中のチャンバー内のCO濃度を監視した。2つのVaisala湿度/温度プロ
ーブを硬化チャンバー内に配置し、両端に1つずつ、端壁のすぐ内側に配置した。
【0180】
硬化チャンバーをCOガスで10分間パージした。硬化実行中、ガス循環は60分ご
とに逆転した。ブロワー速度は、硬化90分で15Hzに下げ、その後、硬化209分で
45Hzに増加し、硬化の実行が490分で終了するまでそのままであった。
【0181】
図20は、硬化中にVaisalaセンサーによって端壁で測定したチャンバーの湿度と、実
行中に収集した凝縮水の累積量を示している。
【0182】
中空コアスラブの強度は、スラブの上面の44点でリバウンドハンマーを使用して推定
した。リバウンド測定により、平均圧縮強度は30MPaであった。
【0183】
・例4:吸着等温線法を使用した中空コア打ち込み物の硬化
・混合
混合設計は、6つの固体成分からなる:(1)3/8インチ骨材、29%(2)1/4
インチ骨材、15%(3)2mmの粉砕石英、12%(4)建設砂、20%(5)マーブ
ルホワイト200、11%および(6)NYCO 400珪灰石13%。成分を、Ker
cher Industries 12インチのラボスケールミキサーで2分間「乾燥」
混合した。ガム添加剤を含む水(570g)を乾燥成分に加え、得られた混合物をさらに
4分間混合した。さらに水(265g)を追加し、混合物をさらに4分間混合した。最後
に、さらに水(260g)を追加し、混合物をさらに2分間混合した。
【0184】
・打ち込み
湿潤混合物を長寸法が水平に配置した4インチ×4インチ×20インチの長方形の型枠
に打ち込んだ。ワックス紙で包んだ直径2インチ×長さ20インチのPVC管を型枠の中
央に固定し、打ち込み物の長さに沿って直径2インチのコアを形成した。コンクリートミ
ックスを6層で、最後の層を除いて各層で30秒の振動で打ち込んだ。最後の層は60秒
間振動した。
【0185】
・乾燥
中空コア打ち込み物は、亀裂を防ぐためにゆっくりと乾燥した。それを一晩風乾させ、
次いで90℃の乾燥オーブンに51時間入れ、その後100℃でさらに20時間置いた。
乾燥後、中空コア打ち込み物を型枠から取り外し、pvcパイプを打ち込み物のコアから
取り外した。中空コア打ち込み物の正味重量は8769グラムであった。
【0186】
・硬化
図21は、硬化セットアップの写真である。硬化ガスが打ち込み物を通過できるように
、管継手がパイプ継手にねじ込まれた状態で、PVCパイプ継手をコアの両端に挿入した
。中空コアの打ち込み物は、厚さ1インチのアルミホイルで裏打ちしたグラスファイバー
断熱材に包んだ。コアのチューブ継手の1つ(入口チューブアセンブリ)は、1/4’ス
テンレス鋼チューブでガス飽和器(水を入れた加熱容器)に取り付けた。コアからのもう
1つのチューブ継手(出口チューブアセンブリ)は、通気口につながる1/4インチのプ
ラスチックチューブに取り付けた。各チューブアセンブリに熱電対を取り付け、コアを通
過する前後に硬化ガスの温度を測定できるようにした。各チューブアセンブリは、グラス
ファイバー断熱材で断熱されている。
【0187】
硬化実行中、飽和器内の水を65℃に維持した。二酸化炭素ガスを6.5リットル/分
で水にバブリングして、ガスストリームを水蒸気で飽和させた。硬化反応のためのすべて
の熱と水を、飽和二酸化炭素ストリームによって中空コアに運んだ。コアの入口の温度は
、1時間の間に26℃から60℃に上昇し、残りの硬化実行中そのままであった。コアの
出口の温度が53℃に上昇するまでにさらに90分かかり、残りの硬化期間にとどまった
。硬化作業は20時間後に終了した。
【0188】
硬化実行中に中空コア打ち込み物を取り囲んでいた断熱材を取り除いた。打ち込み物の
最初の3分の1(入口端)は、明るくて乾いた残りの打ち込み物よりも外側が湿って暗く
見えた(図22)。打ち込み物を、乾燥炉内で完全に8939グラムの一定重量まで乾燥
し、炭酸化により170グラム増加した。炭酸化の平均程度は、重量増加から40%と計
算した。
【0189】
打ち込み物の両端が視覚的に異なるため、乾燥した中空コアの打ち込み物を半分に切断
して、硬化の均一性を評価した。一部の材料は、打ち込み物を切断する際に切り口から失
われ、一部の材料は、鋸刃による切断の外側エッジの破砕から失われた。破砕パターンは
対称的で、打ち込み物の両半分でほぼ同じであったため、切断損失は両方の破片でほぼ同
じであった。切断損失の総重量は137グラムに達した。
【0190】
内側エッジ(例えば、コア表面)はきれいに切断され、これは、打ち込み物の内側が外
側よりも良好に反応し、反応の程度がコアの周りの放射状パターンで変化したことを示唆
している。乾燥打ち込み物の入口半分の重量は4429グラムであり、乾燥打ち込み物の
出口半分の重量は4373グラムであった。したがって、スラブの切断後に残った質量は
、2つの半分に均等に分配した(50.3%の入口端、49.7%の出口端)。したがっ
て、炭酸化の程度は、中空コア打ち込み物の長さに沿って均一に分布した。
【0191】
出願人の開示は、図を参照して好ましい実施形態において本明細書に記載されており、
図中、同様の番号は同じまたは同様の要素を表す。本明細書全体を通して「一実施形態」
、「実施形態」、または同様の言語への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特
徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。
したがって、「一実施形態では」、「実施形態では」という語句、および本明細書全体に
わたる同様の言語の出現は、必ずしもそうとは限らないが、すべて同じ実施形態を指す場
合がある。
【0192】
出願人の開示の記載した特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意
の適切な方法で組み合わせることができる。本明細書の説明では、本発明の実施形態の完
全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が列挙されている。しかしながら、当業者
は、出願人の組成物および/または方法が、1つ以上の特定の詳細なしで、または他の方
法、要素、材料などを用いて実施され得ることを認識するであろう。他の例では、本開示
の態様を不明瞭にしないようにするために、よく知られている構造、材料、または動作は
、詳細に示されていないか、または説明されていない。
【0193】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、文脈が明らかに他のことを指示しない
限り、単数形「a」、「an」、および「the」は複数の言及を含む。
【0194】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当
業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと
類似または同等の任意の方法および材料もまた、本開示の実施または試験において使用さ
れ得るが、好ましい方法および材料がここで記載される。本明細書に列挙した方法は、開
示した特定の順序に加えて、論理的に可能な任意の順序で実行されてもよい。
【0195】
参照による組込
特許、特許出願、特許公開、雑誌、本、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書への参
照および引用は、この開示においてなされている。そのようなすべての文書は、あらゆる
目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により本明細書に
組み込まれると言われるが、既存の定義、記載、または本明細書に明示的に示される他の
開示材料と矛盾する任意の材料またはその一部は、組み込まれた材料と本開示の材料の間
で矛盾が生じない程度で組み込まれる。矛盾が発生した場合、優先する開示として本開示
を優先して、矛盾を解決する。
【0196】
均等
本明細書に開示されている代表的な例は、本発明を例示するのを助けることを意図して
おり、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、そのように解釈されるべきではな
い。実際、本明細書に示され記載されているものに加えて、本発明の様々な改変およびそ
の多くのさらなる実施形態は、以下の例および科学文献への参照を含むこの文書の全内容
から当業者に明らかになるであろう。以下の実施例は、様々な実施形態およびその等価物
における本発明の実施に適合させることができる重要な追加情報、例示およびガイダンス
を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を製造するためのシステムであって、
エンベロープまたはチャンバーとその中に囲まれている、
複数の別個のコンクリート物体として分配されている複合材料、ここで、前記複数の別個のコンクリート物体は、複数の平行な平面に沿って配置されておりここで、複数相互接続されたダクトまたはチャネルが、前記複数の別個のコンクリート物体の間に配置され、前記ダクトおよびチャネル内で、かつ前記複数の別個の物体の外部と、流体輸送システムを形成しており;
任意に、前記複数の別個のコンクリート物体が配置されている1つ以上のボード;
前記流体輸送システムの一部を形成する1つ以上のダクトまたはチャネルを形成する、平面、平面、凸面または凹面を有する1つ以上のラック、タープ、壁またはパネル
前記エンベロープもしくはチャンバーの少なくとも一部、または前記エンベロープもしくはチャンバー全体の前記流体フロープロファイルを制御する流体分配要素、
を含む、システム。
【請求項2】
前記エンベロープまたはチャンバー全体の前記流体フロープロファイルを制御する前記流体分配要素が、少なくとも1回、前記ガスフローの方向を変える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エンベロープまたはチャンバー全体の前記流体フロープロファイルを制御する前記流体分配要素が、少なくとも1回、前記ガスフローの速度を変える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体分配要素が、流体入口、出口、プレナムもしくは多孔板、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記エンベロープまたはチャンバーが、金属、合金、プラスチック、ポリマー、ポリマー複合材、セラミック複合材、またはそれらの組み合わせから選択される材料でできている、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記エンベロープまたはチャンバーが、コンクリート材料、または鋼、またはタープ、またはそれらの組み合わせでできている、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
物品の製造プロセスであって、
CO を用いた炭酸化に適したケイ酸カルシウム組成物と液体組成物を混合して混合物を形成すること;
型枠内で前記混合物を打ち込みまたは押し出しまたは他の形成で、複数の別個のコンクリート物体を含む打ち込みまたは押し出しまたは他の方法で形成された素地を生成すること、ここで、前記複数の別個のコンクリート物体は、複数の平行な平面に沿って配置されており;
ここで、複数の相互接続されたダクトまたはチャネルが、前記複数の別個のコンクリート物体と前記複数の別個の物体の外部との間に配置されており;
前記1つ以上の内部ダクトまたはチャネル内および前記複数の別個の物体の外部でCO および/または水蒸気の雰囲気を維持すること;および
前記複数の別個の物体を、周囲大気圧から周囲大気圧より約60psi高い範囲の圧力と、約10%~約90%の範囲のCO 濃度とを有する水および/またはCO の雰囲気下で、約20℃~約150℃の範囲の温度で約1時間~約80時間、硬化することを含む、プロセス。
【請求項8】
前記1つ以上の内部ダクトまたはチャネル内および/または前記複数の別個の物体の外部でCO および/または水蒸気の雰囲気を維持することが、
前記1つ以上の内部チャネル内および/または前記複数の別個の物体の外部に前記雰囲気を含むことと、
CO および/または水蒸気の前記含まれる雰囲気を循環することと;
前記含まれる雰囲気にまたは前記含まれる雰囲気から、水蒸気を除去または追加することと;
前記含まれる雰囲気を加熱することと、
を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記1つ以上の内部ダクトまたはチャネルにおけるCO および/または水蒸気の雰囲気を維持することが、CO および/または水蒸気の前記流体フローの前記方向または速度を前記素地の硬化期間中に少なくとも1回変えることを含む、請求項7または8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記粒子状組成物が、1つ以上の天然または合成珪灰石、擬珪灰石、ランキナイト、ゲーレナイト、ベーライト、およびアリートを含み、約1μm~約100μmの範囲の中央粒子サイズを有する粉砕ケイ酸カルシウムを含み、前記液体組成物が、水を含む、請求項7~9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
前記打ち込み混合物を硬化することが、水およびCO を含み、周囲の大気圧を有する蒸気下で、約60℃以下の温度で約10~50時間行われる、請求項7~10のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
前記粉砕ケイ酸カルシウムが、実質的に、粉砕珪灰石のものである、請求項7~11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
前記混合物に1つ以上の補強要素を埋め込むことをさらに含む、請求項7~11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
前記1つ以上の補強要素が、棒、ワイヤーおよびケーブルから選択される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記1つ以上の補強棒が、鉄、鋼、高分子材料、ガラス、またはそれらの組み合わせでできている、請求項14に記載のプロセス。
【外国語明細書】