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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159158
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】媒体処理装置用蓋サブシステム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20231024BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20231024BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20231024BHJP
   G11B 33/12 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B41J29/13
B41J3/36 Z
B65H5/06 J
G11B33/12 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126992
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2021169637の分割
【原出願日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】17/071,615
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519047200
【氏名又は名称】ゼブラ テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Zebra Technologies Corporation
【住所又は居所原語表記】3 Overlook Point, Lincolnshire, Illinois 60069, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド イー メイナード
(72)【発明者】
【氏名】モーガン ハッサン マローン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エフ サンジェルマン
(57)【要約】
【課題】媒体処理装置用の蓋サブシステムを提供する。
【解決手段】 プリンターは、媒体カートリッジを受け入れるように構成された媒体筐体を画定する一組の内部壁と、前記内部壁のうちの一つにおけるラッチ凹部であって、保持表面及び傾斜表面を含むラッチ凹部と、を含む本体、当該本体に回転可能に結合され、閉位置と開位置との間で移動可能な蓋、並びに、ロック位置とロック解除位置との間で前記蓋によって移動可能に支持されるラッチであって、当該ラッチを前記ロック位置に向かって付勢する付勢部材と、蓋が閉じていて当該ラッチがロック位置にある時に前記保持表面と係合するように構成されたフック表面と、蓋が閉じていて当該ラッチがロック解除位置に解除される時に前記傾斜表面に対して摺動して前記蓋を前記開位置と前記閉位置との間の中間位置に持ち上げるように付勢部材を介して構成されたカム表面と、を含むラッチ、を備える。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体であって、
(i)媒体筐体を画定する一組の内部壁と、
(ii)前記内部壁のうちの一つにおけるラッチ凹部であって、保持表面及び傾斜表面を含む、ラッチ凹部と、
を含む本体と、
前記本体に回転可能に結合され、前記媒体筐体を囲む閉位置と開位置との間で移動可能な蓋と、
前記蓋によって支持され、ロック位置とロック解除位置との間で前記蓋に対して移動可能なラッチであって、
(i)当該ラッチを前記ロック位置に向かって付勢する付勢部材と、
(ii)前記蓋が閉じていて当該ラッチが前記ロック位置にある時に、前記保持表面と係合するように構成されたフック表面と、
(iii)前記蓋が閉じていて当該ラッチが前記ロック解除位置に解除される時に、前記傾斜表面に対して摺動して前記蓋を前記開位置と前記閉位置との間の中間位置に持ち上げる、というように前記付勢部材を介して構成されたカム表面と、
を含む、ラッチと、
を備えたことを特徴とするプリンター。
【請求項2】
前記ラッチは、蓋に対して回転可能であり、
前記傾斜表面は、前記ラッチの回転方向に傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンター。
【請求項3】
前記蓋は、フレームであって、当該フレームに対して回転可能なキャリッジを支持するフレームを含み、
前記ラッチは、前記キャリッジから延在している
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンター。
【請求項4】
前記蓋は、前記キャリッジに取り付けられて前記蓋の外側表面に隣接して配置されたボタンを含み、
前記ボタンの押圧が前記ラッチを前記ロック解除位置に動かす
ことを特徴とする請求項3に記載のプリンター。
【請求項5】
前記付勢部材は、前記フレームと前記キャリッジとの間にコイルばねを含む
ことを特徴とする請求項3に記載のプリンター。
【請求項6】
前記蓋は、前記キャリッジによって支持されたプラテンローラーを含み、
前記本体は、前記蓋が前記閉位置にあって前記ラッチが前記ロック位置にある時に前記プラテンローラーに結合される駆動機構を含み、
前記ロック解除位置への前記ラッチの移動が、前記プラテンローラーを前記駆動機構から係合解除する
ことを特徴とする請求項3に記載のプリンター。
【請求項7】
前記フレームは、第一の媒体ガイド表面を含み、
前記キャリッジは、前記第一の媒体ガイド表面と協働して前記筐体を出る媒体のための連続的なガイドを提供するように構成された第二の媒体ガイド表面を含む
ことを特徴とする請求項3に記載のプリンター。
【請求項8】
前記第一の媒体ガイド表面の後方部分、及び、前記第二の媒体ガイド表面の前方部分が、それぞれ、相補的な交錯キャスタレーションを含む
ことを特徴とする請求項7に記載のプリンター。
【請求項9】
各キャスタレーションが、前記媒体の幅よりも小さい幅を有する
ことを特徴とする請求項8に記載のプリンター。
【請求項10】
前記蓋が、その上部表面に、押される時に前記ラッチを前記ロック解除位置に移動させるように構成されたボタンを含み、
前記蓋は、前記蓋が前記閉位置にある時に前記本体の外壁に対するレッジを形成するために、その前方縁部にアンダーカット部分を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンター。
【請求項11】
(i)媒体筐体、及び、(ii)媒体出口、を画定する一組の内部壁を含む本体と、
前記本体に回転可能に結合され、前記媒体筐体を囲む閉位置と、開位置と、の間で移動可能な蓋であって、
(i)第一のセットのキャスタレーションを有する第一の媒体ガイド表面を有するフレームと、
(ii)プラテンローラーを支持するキャリッジであって、前記フレームによって移動可能に支持され、前記筐体を出る媒体用の連続的媒体ガイドを画定するように前記第一のセットのキャスタレーションと組み合うように構成される第二のセットのキャスタレーションを有する第二の媒体ガイド表面を有する、キャリッジと、
を含む、蓋と、
を備えたことを特徴とするプリンター。
【請求項12】
前記第一及び第二の媒体ガイド表面は、前記蓋が閉じている時に前記媒体出口に隣接している
ことを特徴とする請求項11に記載のプリンター。
【請求項13】
各キャスタレーションが、前記媒体の幅よりも小さい幅を有する
ことを特徴とする請求項11に記載のプリンター。
【請求項14】
各キャスタレーションが、前記媒体の前記幅の4分の1よりも小さい幅を有する
ことを特徴とする請求項13に記載のプリンター。
【請求項15】
前記キャリッジは、ラッチを含み、
前記キャリッジ及び前記ラッチは、前記蓋を前記閉位置で前記本体に固定するためのロック位置と、ロック解除位置と、の間で移動可能である
ことを特徴とする請求項11に記載のプリンター。
【請求項16】
前記本体は、前記蓋が前記閉位置にある時に前記プラテンローラーに結合される駆動機構を含み、
前記キャリッジの前記ロック解除位置への移動が、前記プラテンローラーを前記駆動機構から係合解除する
ことを特徴とする請求項15に記載のプリンター。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ラベルプリンターなどの媒体処理装置は、処理のための、例えば印刷または他の態様で印を媒体に適用することによる処理のための、媒体のサプライ品を格納し得る。当該媒体処理装置によって格納された媒体のサプライ品が消耗される場合、当該サプライ品は、ラベルの新しいロールなど、新しいサプライ品を設置するべく、装置の内部にアクセスすることによって補充され得る。しかしながら、装置内部へのアクセスは、複雑でエラーを起こしやすい作業であり得る。それは、装置の損傷、及び/または、新しい媒体の不正確な設置につながり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
プリンターまたは他の媒体処理装置で使用されるラベルのロールなどの媒体サプライ品は、例えば当該ロールまたは他の構造によって支持されていた媒体が消耗される時、定期的な交換を必要とする。媒体サプライ品の交換は、典型的には、オペレーターによるプリンターの内部へのアクセスを必要とする。消費者向けのプリンターは、こうした装置の操作及び保守の経験がない多種多様なオペレーターによって維持され得る。プリンターの内部へのアクセスは、複雑な多段階プロセスであり得て、こうしたオペレーターによって誤って行われる場合、プリンターの損傷や媒体の誤った装填等に帰結し得る。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に開示される実施例は、本体であって、(i)媒体筐体を画定する一組の内部壁と、(ii)内部壁のうちの一つにおけるラッチ凹部であって、保持表面及び傾斜表面を含む、ラッチ凹部と、を含む本体と、本体に回転可能に結合され、前記媒体筐体を囲む閉位置と開位置との間で移動可能な蓋と、前記蓋によって支持され、ロック位置とロック解除位置との間で前記蓋に対して移動可能なラッチであって、(i)当該ラッチを前記ロック位置に向かって付勢する付勢部材と、(ii)前記蓋が閉じていて当該ラッチが前記ロック位置にある時に、前記保持表面と係合するように構成されたフック表面と、(iii)前記蓋が閉じていて当該ラッチが前記ロック解除位置に解除される時に、前記傾斜表面に対して摺動して前記蓋を前記開位置と前記閉位置との間の中間位置に持ち上げる、というように前記付勢部材を介して構成されたカム表面と、を含む、ラッチと、を備えたことを特徴とするプリンターに関する。
【0004】
本明細書に開示される追加の実施例は、(i)媒体筐体、及び、(ii)媒体出口、を画定する一組の内部壁を含む本体と、前記本体に回転可能に結合され、前記媒体筐体を囲む閉位置と開位置との間で移動可能な蓋であって、(i)第一のセットのキャスタレーションを有する第一の媒体ガイド表面を有するフレームと、(ii)プラテンローラーを支持するキャリッジであって、前記フレームによって移動可能に支持され、前記筐体を出る媒体用の連続的媒体ガイドを画定するように前記第一のセットのキャスタレーションと組み合うように構成された第二のセットのキャスタレーションを有する第二の媒体ガイド表面を有する、キャリッジと、を含む、蓋と、を備えたことを特徴とするプリンターに関する。
【0005】
添付の図面は、以下の詳細な説明と共に、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成し、特許請求される発明を含む概念の実施形態を更に説明するのに役立ち、また、それら実施形態の様々な原理及び利点を説明するのに役立つ。添付図面において、同様の参照符号は、別個の図面を通して同一または機能的に類似の要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、その蓋が閉位置にあるプリンターの等角投影図である。
【0007】
図2図2は、前記蓋が開位置にある、図1のプリンターの等角投影図である。
【0008】
図3図3は、平面S3における図1のプリンターの断面図である。
【0009】
図4図4は、ラッチ機構がロック位置にある、平面S4における図1のプリンターの断面の詳細図である。
【0010】
図5図5は、ラッチ機構がロック解除位置にある、平面S3における図1のプリンターの断面の詳細図である。
【0011】
図6図6は、図1のプリンターの開口部を示す図である。
【0012】
図7A図7Aは、図1のプリンターの蓋のフレームの図である。
【0013】
図7B図7Bは、図1のプリンターの蓋のキャリッジの図である。
【0014】
図8A図8Aは、図2のプリンターの蓋の詳細図である。
【0015】
図8B図8Bは、図8Aの蓋の互い違いキャスタレーション(interlacing castellation)を欠く蓋によって形成される媒体ガイド表面と比較して、図8Aの蓋によって形成される媒体ガイド表面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
当業者は、図面内の要素は簡潔及び明瞭に示されていて、必ずしも一定縮尺で描かれていない、ということを理解するであろう。例えば、図面内の幾つかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を改善することを助けるべく、他の要素と比較して誇張されている可能性がある。
【0017】
装置及び方法の構成要素は、適切な場合、図面内で従来の符号によって示されており、当該図面は、詳細に関する開示を不明瞭にしないように、本発明の実施形態を理解することに関連する特定の詳細のみを示しており、当該詳細に関する開示は、本明細書の記載の利益を受ける当業者にとって容易に明らかである。
【0018】
図1は、本明細書ではプリンター100とも呼称される、媒体処理装置100を示す。プリンター100は、例えば、ラベルのロールなどの媒体を受け入れ、ラベルに印を適用(塗布)するように構成されたデスクトップラベルプリンターであり得る。ラベルは、その後、出口104を介してプリンター100を出る。出口104は、プリンター100の本体108によって少なくとも部分的に画定されている。本体108は、プリンター100の様々な構成要素を収容し、前述の媒体を受け入れるための内部筐体を画定する、一組の壁(例えば、図1で見ることのできる一組の外壁、及び、本明細書で後述される一組の内壁)を含む。媒体は、例えば、ラベルのロールを含むカートリッジの形態で前記筐体内に受け入れられ得る。
【0019】
プリンター100はまた、本体108に可動に結合された蓋112を含む。蓋112は、媒体用の前述の筐体が囲まれる図1に示す閉位置と、筐体へのアクセスを可能にする開位置と、の間で移動可能である。蓋112は、プリンター100の動作中に当該蓋112を閉位置に保持するのに役立つ、以下でより詳細に論じられるラッチ機構を含む。ラッチ機構は、蓋112上に設けられたボタン116または他のレバー機構を押すことによって解除される。更に、蓋112は、ボタン116の押圧に応答して、蓋112を閉位置から中間位置(すなわち、部分的な開位置)に移行させる特定の構造的特徴を含む。中間位置は、ラッチ機構が解除されていて蓋112がスウィングオープンされ得ることの明瞭な視覚的表示をオペレーターに提供する。更に、蓋112は、閉位置または中間位置から開位置へのオペレーターによる蓋112の移動を容易にする特定の構造的特徴を含む。
【0020】
図2を参照すると、プリンター100は、開位置にある蓋112とともに示されている。特に、蓋112は、ヒンジ200で本体108に対して回転可能である。本体108内に画定される前述の筐体204も図2に示されており、ラベルなどの媒体のロールを含むカートリッジを受け入れるように構成されている。ラベルは、カートリッジから分配され、出口104でプリンター100を出る前にプリントヘッド208を横断する。プリントヘッド208は、プラテンローラー212とともにニップを形成している。図2に示すように蓋112内に支持されているプラテンローラー212は、プリンター100の本体108内の駆動機構を介して駆動される。
【0021】
図示の例では、プラテンローラー212は、ギア216に結合されており、当該ギア216は、本体108内に取り付けられモータ(図示せず)によって駆動される駆動ギア220と係合するように構成されている。明らかであるように、ギア216及び220は、蓋112が開位置にあるときに係合しない。代わりに、ギア216及び220は、蓋112が閉位置にあるときに係合する。
【0022】
上述のラッチ機構は、例えばボタン116の押圧に応答して、蓋112に対して移動可能なラッチ224(二つのラッチ224が本実施例に含まれる)を含む。ラッチ(複数可)224は、本体108に画定された対応するラッチ凹部228(図示の例では二つの凹部228)と係合する。ラッチ224及びラッチ凹部228のさらなる特徴が、以下でより詳細に説明される。また、以下で更に説明されるように、プラテンローラー212及びギア216は、蓋112の残りの部分に対して、ラッチ224と共に移動可能である。具体的には、蓋112は、フレーム232を含み、ラッチ224及びプラテンローラー212は、ラッチ224がラッチ凹部228と係合して蓋112を閉位置に保持するロック位置と、ラッチ224がラッチ凹部228から係合解除して蓋112の開放を許容するロック解除位置との間で、フレーム232によって移動可能に支持されている。
【0023】
この実施例では、ラッチ224及びプラテンローラー212は、蓋112のフレーム232内に回転可能に取り付けられるキャリッジ236によって、フレーム232内に移動可能に支持されている。後述されるように、キャリッジ236の回転が、ラッチ224のロック及びロック解除、ギア216及び220の係合及び係合解除、並びに、前述の中間位置への蓋112の移行、を含む、幾つかの機能を果たす。
【0024】
図3を参照すると、図1に示す平面S3で切断されたプリンター100の断面図が示される。特に、キャリッジ236は、フレーム232内で視認可能である。キャリッジ236は、フレーム232内の相補的な凹部内に突出するスピンドル300によってフレーム232に連結されている。従って、キャリッジ236は、フレーム232に対してスピンドル300回りに回転する。キャリッジ236は、更に、キャリッジ236の本体をボタン116に接続するアーム304を含んでいる。幾つかの実施例では、ボタン116は、アーム304及びキャリッジ236の残りの部分と一体的に形成され得る。従って、方向308へのボタン116の押し込みが、方向312へのスピンドル300回りのキャリッジ236の回転を引き起こす。後述されるように、キャリッジ236の回転はまた、キャリッジ236から延在するラッチ224を回転させる。
【0025】
方向312での回転は、ラッチ224をロック解除位置に動かす(ロック位置は図3に示されている)。キャリッジ236、ラッチ224及びボタン116は、例えばフレーム232とアーム304との間のコイルばね316などの付勢部材によって、ロック位置に向かって付勢されている。
【0026】
図4を参照すると、図1に示す平面S4で切断された断面の詳細図が図示されている。図4の断面図は、キャリッジ236から下向きに延在するラッチ224の構造と、プリンター100の本体108のラッチ凹部228の構造と、を示す。特に、ラッチ凹部228及びラッチ224は、特定の条件下で互いに相互作用するように構成された様々な表面を含んでいる。
【0027】
ラッチ224は、特に、フック表面400及びカム表面404を含む。凹部228は、次に、保持表面408及び傾斜表面412を含む。ラッチ224がロック位置にあり、蓋112が閉位置にあるとき、図4に示すように、フック表面は保持表面と係合し、ラッチ224(従って、蓋112全体)を閉位置に保持する。結果として、プラテンローラー212のギア216はまた、前述の駆動ギア220と係合される。更に、プラテンローラー212は、プリントヘッド208(明確のために図4には図示せず)に隣接して配置され、それを通して媒体が引き出されるニップを形成している。言い換えれば、蓋112が閉位置にあり、ラッチ224がロック位置にある場合、プリンター100は動作状態にあり、この状態では、媒体が筐体204から引き出され、出口104を介して出る前にプリントヘッド208で処理され得る。
【0028】
ボタン116が押されると、キャリッジ236は時計回りの方向に(図4に示す方向に)回転する。キャリッジの回転は、今や明らかになるように、フック表面400を保持表面408から解放し、それによって蓋112が開位置に向かって動くことを可能にする。
【0029】
図5を参照すると、図4の断面が、ロック位置からロック解除位置へのラッチ224の解除後で示されている。ボタン116は、図4に示す初期位置から押されたものとして示されており、従って、キャリッジ236は、図4に示す方向に対して時計回りに回転した。フック表面400は、保持表面408から係合解除する。更に、カム表面404は、傾斜表面412と係合する。付勢部材316の作用は、キャリッジ236を反時計回りに、ロック位置に向かって戻るように回転させる役割を果たす。しかしながら、カム表面404は、(蓋112に十分な下向きの圧力がない状態で)再ロックするのではなく傾斜表面と係合しているため、カム表面404は代わりに傾斜表面412に圧力をかける。この圧力により、カム表面404は傾斜表面412に沿って摺動する。
【0030】
図5に見られるように、傾斜表面412は、こうした摺動運動を可能にするように角度付けられており、蓋112を閉位置から中間位置へ移動させる。図5に見られるように、特に出口104で、蓋112は閉位置から開位置に向かって持ち上げられている。図示の移行位置は、蓋112がラッチ解除されて開放される準備ができているという視覚的表示を提供する(カム表面404が傾斜表面412の上端に到達した後、さらなる開放は、例えばオペレーターからの追加の機械的入力を必要とする)。
【0031】
傾斜表面412は、付勢部材316による蓋112の部分的な開放を可能にするために、キャリッジ236の回転方向に傾斜している。すなわち、キャリッジ236は、図示されるように(付勢部材316によって)反時計回りに回転するように付勢される。ラッチ224は、このような回転で、一般に、左下から右上に向かって移動する。傾斜表面412は、同様の軌道に倣っている。明らかであるように、ある角度の範囲が、傾斜表面412にとって好適であり得る。例えば、カム表面412は、90度未満である角度500(水平に対して)を有し得る。いくつかの実施例では、傾斜表面412の角度500は、60度と80度との間とすることができる。
【0032】
図示の例では、傾斜表面は、約75度の角度を有し、傾斜表面412の上端(ボタン116により近い)は、プリンター100のより後方にあり(すなわち、ヒンジ200により近い)、傾斜表面の下端は、プリンター100のより前方にある(すなわち、出口104により近い)。より一般的に、傾斜表面412の角度は、(付勢部材316の結果として)カム表面404によって及ぼされる力がカム表面404と傾斜表面412との間の摩擦に打ち勝つのに十分であるように、選択され得る。
【0033】
図4及び図5に図示された配置の例示的な利点は、蓋112がラッチ解除されて開く準備ができている時の視覚的表示の提供に加えて、こうした表示が追加の付勢部材なしで提供され得ることである。すなわち、付勢部材316は、ボタン116を上方に付勢し、且つ、ラッチをロック位置に付勢し、ラッチ224が解除される時にカム表面404を介して力を適用して蓋112を部分的に開く。
【0034】
蓋112はまた、アンダーカット504を含む。アンダーカット504は、蓋112の第一の前方表面508が第二の前方表面512を超えて延在し、オペレーターが当該アンダーカット504に上向きの圧力をかけることによって蓋112を持ち上げることを可能にする、蓋112の領域である。特に、図6を参照すると、蓋112は、オペレーターによって一方の手で、開く間に手を再配置することなく、開かれ得る。特に、オペレーターは、まず、指先600で、ボタン116を方向308に押し得る。前述したように、ボタン116を押し下げると、ラッチ224がロック位置から解除され、オペレーターが指先600を介して適用した圧力を解放する時に、付勢部材316が蓋112を部分的に開くことができる。
【0035】
明らかであるように、ボタン116の押し込みは、ギア216及び220も結合解除し、それによって、蓋112の開放の準備として、プラテンローラー212を本体108の駆動機構から分離する。次に、オペレーターは、親指604をアンダーカット504の下に挿入し、蓋112を方向608に持ち上げることができる。更に、ボタン116の押し込みは、蓋112を持ち上げる間に指先600が掴むための縁を提供する。
【0036】
図2及び図4から明らかになるように、本体108は出口104の一部分を画定しているが、出口104はまた、部分的に蓋112によっても画定されている。すなわち、出口104の下部は本体108によって画定され、出口104の上部は蓋112によって画定されている。このように、本体108及び蓋112の両方が、プリントヘッド208及びプラテンローラー212によって形成されるニップから出口104へと媒体をガイド(誘導)するための媒体ガイド表面を含む。こうしたガイド表面のギャップは、媒体の前縁部が当該ギャップの中で捕捉されることを引き起こし得て、詰まりを引き起こしたり、他の態様のプリンター100の動作中断を引き起こしたりし得る。
【0037】
本実施例では、フレーム232及びキャリッジ236は両方とも、プラテンローラー212と出口104との間のガイド表面を含む。プラテンローラー212(ならびにキャリッジ236)は、蓋112のフレーム232に対して移動するため、これらのガイド表面は、フレーム232に対するキャリッジ236の移動を許容しながら、媒体に対して比較的ギャップのないガイド構造を提供するように相互作用するように構成される。
【0038】
図7A及び図7Bを参照して、フレーム232及びキャリッジ236が単独で示されている。図7Aに示すように、フレーム232は、キャリッジ236のスピンドル300を回転可能に支持するためのスピンドルハウジング700、並びに、キャリッジ236がフレーム232内に取り付けられる時にプラテンローラー212を露出する開口部704、を含む。更に、フレーム232は、開口部704の前方縁部に一組のキャスタレーション708を含む。後述されるように、当該キャスタレーション708は、キャリッジ236の相補的な構造と相互作用して、フレーム232内のキャリッジ236の移動を可能にする連続的媒体ガイドを形成する。
【0039】
図7Bでは、キャリッジ236は、ボタン116が取り付けられ得るマウント712を含み得る。プラテンローラー212は、一対の対向するシャフトハウジング716によってキャリッジ236上に回転可能に取り付けられる。キャリッジ236はまた、当該キャリッジ236の前方縁部に一組のキャスタレーション720も含む。
【0040】
図8Aは、蓋112の下側の詳細図を示し、キャリッジ236及びプラテンローラー212の一部分が開口部704を通って突出している。図8Aに見られるように、フレーム232のキャスタレーション708は、媒体ガイド表面の前方部分を形成し、キャリッジ236のキャスタレーション720は、媒体ガイド表面の後方部分を形成する。キャスタレーション708及び720は、キャリッジ236及びフレーム232が出会う場所で連続的媒体ガイド表面を形成するように、互い違いに組み合わされている。結果として生じる媒体ガイド表面は、媒体の走行方向(すなわち、プラテンローラー212の長さ800に平行な方向)に垂直な方向で測定される時の表面における中断(例えば、隣接するキャスタレーション708または隣接するキャスタレーション720間の中断)が、媒体自体の幅以上ではないため、連続的と称される。
【0041】
媒体は、典型的には、プラテンローラーの長さ800より広くない。従って、交錯キャスタレーションは、中断が長さ800よりも長くない媒体ガイド表面を提供する。いくつかの実施例では、各キャスタレーションは、長さ800の約1/4の幅を有する。図示の例では、媒体ガイド表面の中断は、長さ800の約10分の1よりも大きくない。今や明らかであるように、図8B(キャスタレーション708及び720の非存在下)に示されるギャップ804などの、媒体ガイド表面における十分な長さの中断は、媒体808の前縁部が、方向806に移動することを許容し得て、ギャップ804内に捕捉され得る。図8Bの右図に示すように、ガイド表面内により小さい中断を設けることで、このような捕捉を低減または回避する一方で、キャリッジ236とフレーム232との間の移動を許容する。また、明らかであるように、このようなガイド表面を提供するために交錯キャスタレーションを使用することは、両方の走行方向での媒体808の捕捉を低減または防止する。
【0042】
前述の明細書において、特定の実施形態が説明された。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲で示す本発明の範囲から逸脱することなく、種々の改変及び変更を行うことができることを認識する。従って、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的なものであるとみなされるべきであり、このような改変の全てが、本教示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0043】
利益、利点、課題の解決法、並びに、何らかの利益、利点または解決法を生じさせ得るかより顕著にし得るあらゆる要素は、特許請求の範囲の請求項のいずれかまたは全てにおける、決定的な、要求される、または必須の、特徴または要素として解釈されるべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、本出願の係属中になされるあらゆる補正と、発行時の特許請求の範囲の全ての均等物と、を含む。
【0044】
更に、当該文書において、第1及び第2、上及び下、等のような関連語は、1つの実体または動作を他の実体または動作から区別するためにのみ用いられている可能性があり、必ずしもそのような実体または動作間の実際のそのような関係または順序を要求したり含意したりしていない可能性がある。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、あるいは、それらの他のあらゆる変形語は、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。要素の列挙(リスト)を、備える、有する、含む、または、含有する、というプロセス、方法、物品、または、装置は、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない他の要素や、そのようなプロセス、方法、物品、または、装置に固有の他の要素を含み得る。「を備える(comprises ...a)」、「を有する(has ...)」、「を含む(includes ...a)」、「を含有する(contains ...a)」の後に続く要素は、更なる制約条件が無ければ、当該要素を、備える、有する、含む、または、含有する、というプロセス、方法、物品、または、装置、における付加的な同一要素の存在を排除しない。用語「a」及び「an」は、明示的に他の言及が無い限り、1または複数として定義される。用語「実質的に」、「本質的に」、「およそ」、「約」、あるいは、それらの他のあらゆる変形語は、当業者に理解されるように、近い状態であるものとして定義され、1つの非限定的な実施形態において、当該用語は、10%以内、別の実施形態においては5%以内、別の実施形態においては1%以内、及び、別の実施形態において0.5%以内、として定義される。本明細書で用いられる用語「結合された」は、接続されたものとして定義されるが、必ずしも直接的でなくてもよく、また、必ずしも機械的でなくてもよい。ある方式で「構成された」デバイスまたは構造は、少なくとも当該方式で構成されるが、挙げられていない方式で構成されてもよい。
【0045】
幾つかの実施形態は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、カスタマイズドプロセッサ及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のような、1または複数の専用プロセッサ(又は「処理デバイス」)と、当該1または複数のプロセッサを制御して、特定の非プロセッサ回路と共に、本明細書で説明される方法及び/または装置の機能の一部、大部分、または、全て、を実装する、特有の記憶されたプログラム命令(ソフトウェア及びファームウェアの両方を含む)と、で構成され得ることが認識されるであろう。あるいは、一部または全ての機能が、記憶されたプログラム命令を有しない状態機械によって実装され得るし、または、各機能もしくは特定の機能の幾つかの組合せがカスタム論理として実装された1または複数の特定用途向け集積回路(ASIC)において実装され得る。勿論、2つの手法の組合せが用いられてもよい。
【0046】
更に、実施形態は、本明細書で説明されて特許請求される方法を実行するようにコンピュータ(例えばプロセッサを含む)をプログラミングするための、記憶されたコンピュータ可読コードを有する、コンピュータ可読ストレージ媒体として実装され得る。このようなコンピュータ可読ストレージ媒体の例は、ハードディスク、CD-ROM、光学ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、ROM(読出し専用メモリ)、PROM(プログラマブル読出し専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラマブル読出し専用メモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ)、及び、フラッシュメモリ、を含むがこれらに限定されない。更に、例えば、利用可能な時間、現在の技術水準、及び、経済的考慮事項、によって動機付けされる、可能性ある顕著な努力や多くの設計選択肢にもかかわらず、本明細書に開示される概念及び原理によって導かれる時、当業者は、このようなソフトウェア命令及びプログラム並びにICを最小限の実験で容易に生成可能になる、ということが期待される。
【0047】
本開示の要約は、読者が当該技術的開示の性質を素早く確認することを許容するために提供される。それは、特許請求の範囲の請求項の範囲または意味を解釈または制限するために用いられないという理解と共に提示される。また、前述の詳細な説明において、当該開示を円滑にする目的で、様々な実施形態において様々な特徴がまとめてグループ化されていることが認められ得る。この開示方法は、特許請求される実施形態が、各請求項で明示的に記載されている特徴よりも多くの特徴を必要とする、という意図を反映するものとして解釈されるべきでない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示された実施形態の全ての特徴よりも少なく存在する。以下の特許請求の範囲は、ここで詳細な説明に組み入れられ、各請求項は、別個に特許請求される主題として、それ自身独立している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B