(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159209
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ウェアラブル超音波パッチ及びそのようなパッチの貼付方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023130135
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2020506321の分割
【原出願日】2018-08-08
(31)【優先権主張番号】17185370.8
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17191725.5
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ハッケンス フランシスカス ヨハネス ゲラルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】ベッカース ルカス ヨハネス アンナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ベルベン エドワルド テオドルス マリア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者の身体へのパッチの簡単な(再)配置を容易にするウェアラブルパッチを提供する。
【解決手段】ウェアラブルパッチに取り付けられた超音波トランスデューサ30と、超音波トランスデューサに対する結合剤60を収容する流体リザーバ50とを含むウェアラブルパッチ10が開示される。流体リザーバは、パッチの一部20と、パッチから延在するシールリング40とによって区切られる。シールリングは、超音波トランスデューサを囲み、また、シールリングを少なくとも部分的に通って流体リザーバから延在する複数の流体導管43、45を含む。ウェアラブルパッチキット、アセンブリ及び貼付方法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサが取り付けられるのに適したウェアラブルパッチであって、
前記超音波トランスデューサに対する結合剤を収容する流体リザーバを含み、
前記流体リザーバは、前記ウェアラブルパッチの一部及び前記ウェアラブルパッチから延在するシールリングによって区切られ、
前記シールリングは、前記ウェアラブルパッチに取り付けられたときに前記超音波トランスデューサを囲み、前記ウェアラブルパッチが患者の身体の一部に固定されるときに前記患者の身体の一部と接触するように配置され、
前記シールリングは、前記シールリングを少なくとも部分的に通って前記流体リザーバから延在する複数の流体導管を含む、ウェアラブルパッチ。
【請求項2】
前記超音波トランスデューサを更に含む、請求項1に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項3】
前記シールリングは可撓性である、請求項1又は2に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項4】
前記シールリングは多孔質材料で作られ、前記多孔質材料の細孔が、前記複数の流体導管を画定する、請求項1から3のいずれか一項に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項5】
前記シールリングは多孔質発泡体で作られている、請求項4に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項6】
前記多孔質発泡体は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、シリコーン及びポリ塩化ビニルから選択される、請求項5に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項7】
前記細孔は閉じた細孔であり、前記シールリングは、前記シールリングを通って前記流体リザーバから延在する少なくとも1つの通気路を更に含む、請求項4から6のいずれか一項に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項8】
前記シールリングは非多孔質材料で作られている、請求項1から3のいずれか一項に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項9】
前記超音波トランスデューサ及び前記シールリングを担持する中央領域と、前記中央領域を取り囲む外側領域とを有し、少なくとも前記外側領域は接着剤を担持する、請求項1から8のいずれか一項に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項10】
前記ウェアラブルパッチの着用者の皮膚に接触する前記シールリングの表面部分が接着剤を担持する、請求項1から9のいずれか一項に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項11】
前記接着剤は感圧接着剤である、請求項9又は10に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項12】
前記ウェアラブルパッチを患者の身体の一部に固定するストラップを更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のウェアラブルパッチ。
【請求項13】
請求項3から12のいずれか一項に記載のウェアラブルパッチと、
ケーブル及びワイヤのいずれかを介して又は無線で前記超音波トランスデューサに結合可能な制御モジュールと、
を含み、
前記制御モジュールは、前記超音波トランスデューサの動作を制御する、及び/又は、前記超音波トランスデューサで捕捉された超音波画像を処理する回路を含む、ウェアラブルパッチアセンブリ。
【請求項14】
請求項1から11のいずれかに記載のウェアラブルパッチと、
前記超音波トランスデューサに対する前記結合剤を収容する容器と、
を含む、ウェアラブルパッチキット。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載のウェアラブルパッチを患者の皮膚領域に貼付する方法であって、
前記ウェアラブルパッチの前記流体リザーバを結合剤で充填するステップと、
充填された前記ウェアラブルパッチを前記皮膚領域に配置するステップと、
前記シールリングが患者の身体の一部に接触して、前記流体リザーバ内の気泡及び余剰な結合剤が前記複数の流体導管に押し込まれるように前記ウェアラブルパッチに圧力をかけるステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記超音波トランスデューサを前記ウェアラブルパッチに取り付けるステップと、
前記皮膚領域に配置された前記超音波トランスデューサを用いて少なくとも1つの画像を捕捉するステップと、
捕捉された前記少なくとも1つの画像に基づいて前記配置するステップを調整するステップと、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルパッチに取り付けられた超音波トランスデューサと、超音波トランスデューサに対する結合剤を収容する流体リザーバとを含む上記ウェアラブルパッチに関する。
【0002】
本発明は更に、そのようなウェアラブルパッチを含むウェアラブルパッチアセンブリに関する。
【0003】
本発明は更に、そのようなウェアラブルパッチを含むウェアラブルパッチキットに関する。
【0004】
本発明は更に、そのようなウェアラブルパッチを患者の皮膚領域に貼付する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
超音波撮像は、ますます重要となってきている診断ツールである。超音波撮像は、病院やその他の医療現場での高解像度撮像に加えて、長期間にわたって患者をモニタリングするためにますます使用されるようになってきている。このようなシナリオでは、患者は通常、1つ以上の超音波トランスデューサセルを含む超音波トランスデューサを含むパッチを着用する。この超音波トランスデューサを使用して、長期間にわたって患者の解剖学的構造の特定の部分がモニタリングされる。
【0006】
このようなウェアラブル超音波パッチの使用は、例えば血流、脈圧、脈波速度、心拍出量、動脈の断面寸法といったパラメータがモニタリングされる血行動態モニタリングや、例えば病院の臨床環境において、患者の尿産生及び水分補給速度がモニタリングされる膀胱モニタリングや、影剤増強蛍光透視法を使用して視覚化することができない大規模な冠動脈慢性完全閉塞病変(CTO)(>10cm)を視覚化するCTOモニタリングや、末梢疾患の超音波ベースの診断及び治療を目的とした血管アクセスモニタリングが想定される。このような長期間の超音波患者モニタリングの他の用途は、当業者には明らかであろう。
【0007】
それ自体はよく知られているように、超音波トランスデューサと患者の身体との良好な音響結合を達成するために、結合剤、即ち、超音波伝導ゲルといった流体が通常、超音波トランスデューサと患者の身体との間に塗布される。患者の身体にこのような超音波トランスデューサを貼付する際、圧力が加えられて結合剤から気泡が排出され、所望の音響接触が確立される。病院といった臨床環境での超音波検査の時間は比較的短く、例えば5~15分であり、これは、結合剤が乾燥したり、劣化したりする時間がないことを意味する。
【0008】
このような結合剤は、ウェアラブル超音波パッチを患者の身体に貼付して、パッチと患者の身体との所望の音響結合を確立する際にも等しく望ましい。しかし、このコンテキストでの結合剤の使用には課題がないわけではない。まず、接着パッチの場合、結合剤が患者の身体へのパッチの接着を妨げないように注意しなければならない。更に、患者がパッチを着用している期間の結合剤の劣化をできるだけ防止しなければならない。
【0009】
更に、パッチを配置することが簡単でなければならない。特に、パッチが最初に患者の皮膚の最適ではない場所に配置された場合に再配置することが簡単でなければならない。また、結合剤からの空気の排出も簡単でなければならない。後者の点は、パッチの接着層(ある場合)との干渉を回避するために、使用する結合剤の量が限られるところでは、気泡を排出するためにパッチに圧力がかけられたときに、パッチと患者の身体との間に結合剤が十分にないというリスクをもたらすので単純ではない。
【0010】
米国特許出願公開第2012/0277640A1号は、超音波トランスデューサに使用するための超音波結合デバイスを開示している。結合デバイスは、連続側壁及び第1の端部における開口部を有するチャンバを含む結合区画部を含む。連続側壁は、薄型超音波トランスデューサの超音波放出前方面がチャンバ開口部に向かって外側を向くように、薄型超音波トランスデューサをチャンバ内に保持する。超音波放出前方面は、トランスデューサから放出される超音波エネルギーの方向及び波パターンを制御する。連続側壁はまた、チャンバ内に一定量の超音波伝導媒体を保持し、超音波伝導媒体を被験者の表面とトランスデューサの超音波放出前方面の少なくとも一部とに同時に接触させ続けるように動作する。超音波結合デバイスは更に、チャンバの第1の端部の開口部を覆う半透膜を含む。膜は、例えば被験者が手動で超音波結合デバイスを押し下げることによって半透膜に圧力が加えられる場合に、超音波伝導媒体が結合区画部の第1の端部から放出されるのを可能にするのに効果的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この解決策の欠点は、余剰の超音波伝導媒体が超音波トランスデューサと患者の身体との間から連続側壁を越えて押し出されることであり、これは、側壁が患者の身体に接触するのを妨げる可能性がある。これにより、このような超音波結合デバイスを患者の身体にしっかりと配置することがかなり困難になる。
【0012】
本発明は、ウェアラブルパッチに取り付けられた超音波トランスデューサと、超音波トランスデューサに対する結合剤を収容する流体リザーバとを含み、患者の身体へのパッチの簡単な(再)配置を容易にするウェアラブルパッチを提供することを目的とする。
【0013】
本発明は更に、そのようなウェアラブルパッチを含むウェアラブルパッチアセンブリを提供することを目的とする。
【0014】
本発明は更に、そのようなウェアラブルパッチを含むウェアラブルパッチキットを提供することを目的とする。
【0015】
本発明は更に、そのようなウェアラブルパッチを患者の皮膚領域に貼付する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様によれば、ウェアラブルパッチに取り付けられる超音波トランスデューサに適した上記ウェアラブルパッチが提供される。ウェアラブルパッチは、超音波トランスデューサに対する結合剤を収容する流体リザーバを含み、流体リザーバは、ウェアラブルパッチの一部及びウェアラブルパッチから延在するシールリングによって区切られ、シールリングは、ウェアラブルパッチに取り付けられたときに超音波トランスデューサを囲み、ウェアラブルパッチが患者の身体の一部に固定されるときに患者の身体の一部と接触するように配置され、シールリングは、シールリングを少なくとも部分的に通って流体リザーバから延在する複数の流体導管を含む。
【0017】
パッチから超音波トランスデューサの周りの患者の皮膚に向かって延在し、流体リザーバから延在する流体導管を含むシールリングを設けることにより、ウェアラブルパッチを患者の皮膚領域に接触させるときにウェアラブルパッチに圧力を加えると、結合剤が入り込み膨張することができるボリュームがシールリング内に提供される。これにより、シールリングが密閉シールされ、したがって、結合剤とシールリング内の空気との接触面積が小さいことにより経年劣化の速度が少なくとも大幅に低下するという意味で、流体リザーバ内の結合剤が経年劣化から保護される。更に、圧力を加えるときに結合剤がシールリングの下に、即ち、シールリングと患者の皮膚領域との間に押し込まれないことで、ウェアラブルパッチの位置の再調整を簡単に達成することができることにより、シールリングと患者の皮膚領域との優れた接触を達成することができる。つまり、結合剤がウェアラブルパッチから失われるのではなく、流体導管に貯蔵されることで、患者の身体の最初の場所、即ち、最初の皮膚領域においてウェアラブルパッチに圧力を加えた後で結合剤を再度塗布する必要なくウェアラブルパッチを動かすことができることにより、ウェアラブルパッチを患者に不可逆的に固定する前に、ウェアラブルパッチを簡単に再配置することができる。
【0018】
別の実施形態では、ウェアラブルパッチはまた、ウェアラブルパッチに不可逆的に取付けられても可逆的に取付けられてもよい超音波トランスデューサを含む。
【0019】
シールリングは、ウェアラブルパッチと患者の皮膚領域との密接な接触を確立するためにシールリングの圧縮を可能にするように可撓性であることが好適である。
【0020】
特に有利な実施形態では、シールリングは、多孔質発泡体といった多孔質材料で作られ、多孔質材料の細孔が上記複数の流体導管を画定する。このような開放構造の材料は、特に大きい流体貯蔵ボリュームを提供し、その中に、例えばウェアラブルパッチに圧力が加えられたときに、余剰の結合剤が流体リザーバから排出されて入る。このために任意の適切な発泡体を使用してよく、例としてはポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、シリコーン、ポリ塩化ビニル又は任意の他の適切なポリマー発泡体から選択されるポリマー発泡体が挙げられる。
【0021】
このような材料の細孔は、開いた細孔、即ち、シールリングを貫通する細孔であっても、或いは、閉じた細孔、即ち、シールリングを部分的にのみ貫通する細孔であってもよい。後者の場合、シールリングは通常、流体リザーバからシールリングを通って延在する少なくとも1つの通気路を更に含む。この通気路を取って流体リザーバから空気を排出できることで、ウェアラブルパッチを患者の皮膚領域に押し付けたときに気泡が流体リザーバから排出される。
【0022】
しかし、シールリングは必ずしも多孔質材料で作られるわけではないことを理解すべきである。シールリングが非多孔質材料で作られ、通気路といった複数の流体導管が非多孔質材料を通って延在して作られ、上述したように、流体リザーバからの空気及び余剰の結合剤の排出を容易にすることも同様に実現可能である。
【0023】
幾つかの実施形態におけるウェアラブルパッチは、患者の皮膚領域へのウェアラブルパッチの取り付けを容易にするように接着パッチである。このような実施形態では、パッチは、超音波トランスデューサ及びシールリングを担持する中央領域と、中央領域を囲む外側領域とを有してよく、少なくとも外側領域が接着剤を担持する。これは、ウェアラブルパッチを必要に応じて容易に再配置することができるように、必ずしもウェアラブルパッチを患者の身体領域に接着させることなく、シールリングを当該身体領域に配置できるという利点がある。
【0024】
或いは又は更に、ウェアラブルパッチの着用者の皮膚に接触するシールリングの表面部分が接着剤を担持する。これにより、ウェアラブルパッチの表面に接着剤を担持させなくてもよい場合がある。或いは、ウェアラブルパッチも接着剤も担持している場合は、ウェアラブルパッチと当該ウェアラブルパッチが貼付される患者の皮膚領域との接着結合が更に強化される。
【0025】
上記目的のために、任意の適切な接着剤を使用することができる。具体的には感圧接着剤が挙げられる。感圧接着剤は、ウェアラブルパッチを患者の皮膚領域に固定するためにウェアラブルパッチに特定の圧力が加えられて初めて接着が作動するので、患者の特定の皮膚領域へのウェアラブルパッチの早期接着を防ぐのに更に役立つ。
【0026】
ウェアラブルパッチは必ずしも接着性ではないことを更に理解すべきである。或いは又は更に、ウェアラブルパッチは、ウェアラブルパッチを患者の身体の一部に固定するためのストラップを更に含む。
【0027】
別の態様によれば、本明細書に説明される実施形態のいずれかによるウェアラブルパッチと、ケーブル又はワイヤを介して超音波トランスデューサに取り付け可能な制御モジュールとを含むウェアラブルパッチアセンブリが提供される。制御モジュールは、超音波トランスデューサの動作を制御する、及び/又は超音波トランスデューサで捕捉された超音波画像を処理する回路を含む。
【0028】
超音波トランスデューサの動作を制御し、超音波トランスデューサで捕捉された超音波画像を処理する機能は、別々のデバイスに物理的に配置されていてもよい様々な回路ユニットによって行われる。例えばウェアラブルパッチのハウジングが、超音波トランスデューサの動作制御を行う回路部を含む一方で、超音波トランスデューサで捕捉された超音波画像の処理を行う制御モジュールの回路部は、超音波トランスデューサによって捕捉された超音波画像データが(例えば制御モジュールの無線通信モジュールを使用して)送信される遠隔サーバで実現される。
【0029】
更に別の態様によれば、本明細書に説明される実施形態のいずれかによるウェアラブルパッチと、超音波トランスデューサに対する結合剤を収容する容器とを含むウェアラブルパッチキットが提供される。
【0030】
更に別の態様によれば、本明細書に説明される実施形態のいずれかのウェアラブルパッチを患者の皮膚領域に貼付する方法が提供される。方法は、ウェアラブルパッチの流体リザーバを結合剤で充填するステップと、充填されたウェアラブルパッチを皮膚領域に配置するステップと、シールリングが患者の身体の一部(皮膚領域)に(取り囲んで)接触して、流体リザーバ内の気泡及び余剰な結合剤が複数の流体導管に押し込まれるようにウェアラブルパッチに圧力を加えるステップとを含む。この方法を使用すると、ウェアラブルパッチの超音波トランスデューサと患者の皮膚領域との間に耐久性のある高品質の音響結合を簡単に実現することができる。
【0031】
別の実施形態では、方法は更に、ウェアラブルパッチに超音波トランスデューサー(30)を取り付けるステップを含む。
【0032】
一実施形態では、方法は更に、皮膚領域に(パッチと共に)配置された超音波トランスデューサで少なくとも1つの画像を捕捉するステップと、捕捉された少なくとも1つの画像に基づいて配置を調整するステップとを含む。超音波トランスデューサの周りに流体導管を含むシールリングがあることにより、上記再配置は、超音波トランスデューサに結合剤を再度塗布する必要なく達成することができ、したがって、超音波トランスデューサで捕捉された画像に基づいて、ウェアラブルパッチを患者に接着させるか、さもなければ取り付ける前に、ウェアラブルパッチの最適な配置を見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の実施形態を、添付図面を参照して、より詳細にかつ非限定的な例として説明する。
【0034】
【
図1】
図1は、一実施形態によるウェアラブルパッチの正面図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、別の実施形態によるウェアラブルパッチの正面図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、一実施形態によるウェアラブルパッチの断面図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、別の実施形態によるウェアラブルパッチの断面図を概略的に示す。
【
図5】
図5は、一実施形態によるウェアラブルパッチのシールリングの断面図を概略的に示す。
【
図6】
図6は、別の実施形態によるウェアラブルパッチのシールリングの断面図を概略的に示す。
【
図7】
図7は、患者の皮膚領域への一実施形態によるウェアラブルパッチの貼付を概略的に示す。
【
図8】
図8は、一実施形態によるウェアラブルパッチアセンブリを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図は単なる概略図であり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。また、同じ又は類似の部分を示すために、図面全体を通して同じ参照符号が使用されることも理解されたい。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態によるウェアラブルパッチ10の正面図を概略的に示し、
図2は、本発明の一実施形態によるウェアラブルパッチ10の断面図を概略的に示す。ウェアラブルパッチ10は、テープ、プラスタ等といった接着担体20を含み、その上に超音波トランスデューサ30を含む装置が接着担体20の中央領域に接着される。当業者であれば、超音波トランスデューサ30がパッチに不可逆的又は可逆的に取り付けられてよいことを理解するであろう。後者の例(図示せず)では、接着剤担体は、開口部を通して超音波トランスデューサ30を配置したり取り外したりすることができる当該開口部を有することができる。中央領域を囲む接着担体20の外側領域はまた、ウェアラブルパッチ10が患者の皮膚領域に接着される場合に、超音波トランスデューサ30の超音波放出面が当該皮膚領域に面しているように、少なくとも、患者に面する表面に接着剤21を担持する。このために、任意の適切な接着剤21を使用することができる。このような適切な接着剤の例としては、シリコーン、アクリル、ゴム、ポリウレタン及び親水コロイドベースの接着剤が挙げられる。
【0037】
超音波トランスデューサ30は、非限定的な一例として、200~300ミクロンの範囲のピッチを有する16個の超音波トランスデューサ素子を有する4×4mmのアレイといったトランスデューサセル又は素子の1次元又は2次元アレイに配置された1つ以上の超音波トランスデューサセルを含む。当然ながら、他の寸法も同様に実現可能である。一実施形態では、超音波トランスデューサ素子は、2~12MHzの周波数範囲で動作可能であるが、他の周波数範囲も想定されてよい。このために、任意の適切なタイプの超音波トランスデューサ素子を使用してよく、例えば圧電トランスデューサ(PZT)素子、容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)素子、圧電マイクロマシントランスデューサ(PMUT)素子等であるが、CMUT素子は、その優れた(調整可能な)共振周波数範囲により、特にPZT素子よりも特に好適である。CMUT素子のこの優れた共振周波数範囲により、CMUT素子が、患者モニタリング目的に特に適しているものにする。このようなトランスデューサ素子自体はよく知られているので、簡潔にするためだけにこれ以上詳細には説明しない。トランスデューサセルのアレイは、超音波トランスデューサ30で生成された超音波ビームのビーム操縦を容易にするためにフェーズドアレイとして配置されてもよい。ここでもこのようなビーム操縦自体はよく知られており、簡潔さのためだけに更に詳細には説明しない。
【0038】
超音波トランスデューサ30は、通常、超音波ビームが生成される送信モードと、ウェアラブルパッチ10を着用している個人の身体内で生成された超音波ビームにより誘導されるエコー信号を超音波トランスデューサ30が受信する受信モードとで動作可能である。なお、当業者であれば、本明細書に開示されるウェアラブルパッチは、長期間にわたって患者の皮膚に貼り付けられるあらゆるタイプの超音波トランスデューサの確実な音響接触を提供する必要性に対処することを理解するであろう。超音波トランスデューサは、患者の身体内への超音波送信及び/又は患者の身体内からの超音波受信を活用する任意のタイプの機能を有していてよい。
【0039】
超音波トランスデューサ30は、例えばチップ等である基板31に取り付けられる。その上に超音波トランスデューサ30が作り付けられる。このような基板31は、フレックス基板、シリコン基板、シリコンオンインシュレータ基板、ガラス基板等といった任意の適切な材料で作られる。超音波トランスデューサ30の超音波トランスデューサ素子は、基板31に取り付けられるバッキング材に取り付けられる。基板31は、任意の適切なやり方で、例えば接着剤、スタッドボンディング等を使用して、例えばフレックスフォイル、PCB等である中間担体23を使用して、接着担体20に固定される。パッチへの超音波トランスデューサ30の可逆的な固定を可能にするために、中間担体23は開口部を有してよく、この開口部を通して、超音波トランスデューサ30(及びバッキング等の対応する音響装置)を配置したり取り外したりすることができる。同開口部はまた、ゲルの廃棄にも役立つ。音響窓材料33が、超音波トランスデューサ30の患者に面する表面に塗布されて、患者の皮膚との超音波トランスデューサ30の超音波トランスデューサセルの音響インピーダンス整合が提供される。このような音響窓材料は、シリコーンベースであってよく、また、インピーダンス整合のために、例えばFe2O3又はSiO2粒子といった金属酸化物粒子である粒子充填剤を含んでよい。他の適切な音響窓材料には、TPX(ポリメチルペンテン)、PEBA(ポリエーテルブロックアミド)又は充填シリコーンの層で覆われたシリコーン又はポリブタジエンゴムの柔らかい層を含む層スタックが含まれる。他の適切な音響窓材料はそれ自体よく知られており、当業者にはすぐに明らかになるであろう。
【0040】
超音波トランデューサ30の周囲には、シールリング40が配置され、シールリング40は、シールリング40とウェアラブルパッチ10とによって区切られた流体リザーバ50を画定する。したがって、流体リザーバ50のボリュームが、シールリングと、パッチが患者の身体に固定される場合にこのリングで囲まれた患者の身体の一部と、リングで囲まれた患者の身体の一部に対向するパッチの一部(例えばこの例では中間担体23)とによって画定される。シールリングは、単なる非限定的な例として、矩形の閉じた輪郭を有するように示されているが、シールリングは、例えば円形である任意の適切な閉じた形状を有してよいことは理解されたい。シールリング40は、
図2に非限定的な例として示されるように、中間担体23から延在する。シールリング40は、例えばのりや両面テープである接着剤を使用する等、任意の適切なやり方で中間担体23に固定される。流体リザーバ50は、超音波トランスデューサ30を含み、超音波伝導性ゲルといった結合剤を収容する目的を有する。この結合剤は、ウェアラブルパッチ10を患者の皮膚領域に貼付したときに、超音波トランスデューサ30の患者に面する表面と患者の皮膚領域との間に結合剤によって音響結合が提供されるように、超音波トランスデューサ30の患者に面する表面に広げられる。以下で更に詳細に説明するように、シールリング40は、ウェアラブルパッチ10を患者の皮膚領域に配置する際にウェアラブルパッチ10に下向きの圧力が加えられたときに、余剰の結合剤がそこを通って排出される複数の流体導管(
図1に図示せず)を含む。
【0041】
図3は、ウェアラブルパッチ10の別の実施形態の断面図を概略的に示し、シールリング40の患者に面する表面もまた、ウェアラブルパッチ10を患者に接着するための接着剤41を担持する。この接着剤41は、接着剤21と同じ接着剤であっても異なる接着剤であってもよい。或いは、接着剤41がある場合は、接着剤21を省略してもよい。前述の実施形態のいずれかにおける接着剤21及び/又は接着剤41は、ウェアラブルパッチ10に圧力が加えられたときに患者の皮膚領域との結合を形成する感圧接着剤であってよい。このような感圧接着剤は通常、ロジンエステルといった適切な粘着付与剤が配合されたエラストマに基づいている。このために、例えばアクリル、ゴム、ニトリル、シリコーンゴム、スチレンブロックコポリマー等といった任意の適切なエラストマを使用してよい。当然ながら、接着剤21及び/又は接着剤41は、感圧接着剤である必要はなく、当業者に容易に理解されるように、代わりに任意の適切な不可逆的接着剤であってもよい。
【0042】
図4は、本発明の第1のセットの実施形態によるシールリング40の断面図を概略的に示す。この実施形態では、シールリング40は多孔質材料で作られ、その細孔43がシールリング40を通る流体導管を画定している。前述したように、シールリング40は可撓性材料で作られることが好適であり、これにより、(ウェアラブルパッチが患者の身体(皮膚)の一部に固定されたときに、当該一部に接触して)ウェアラブルパッチ10が患者の皮膚領域に押し付けられたときにシールリング40が圧縮されて、ウェアラブルパッチ10と皮膚領域との間に密封シールが形成されて、流体リザーバ50が流体導管(例えばウェアラブルパッチ10に圧力がかかると、流体リザーバ50内の結合剤が流れ込んで膨張するシールリング40の孔43)から離れてシールオフされる。細孔43は、開放細孔、即ち、流体リザーバ50が細孔43を介して外界と流体連通するように、シールリング40の全体を通って延在する導管を画定する細孔である。或いは、細孔43は、閉じた細孔、即ち、シールリング40内で終端する細孔であってもよい。このような実施形態でも、細孔43は依然として流体リザーバ50内の余剰の結合剤の流体貯蔵区画として機能することができる。ただし、気泡等の空気は細孔43を通って流体リザーバ50から出ることはできない。したがって、この実施形態では、シールリング40は、このような空気が流体リザーバ50から出られるように、シールリング40全体を通って延在する少なくとも1つの通気路(図示せず)を更に含むことが好適である。このような通気路は、任意の適切なやり方、例えばエッチング、(レーザ)穴あけ、切断等を介してシールリング40に形成することができる。
【0043】
好適な実施形態では、多孔性シールリング40は、発泡体、より好適には、例えばポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、シリコーン及びポリ塩化ビニルを含むがこれらに限定されないポリマー発泡体といった圧縮性発泡体で作られる。
【0044】
図5は、本発明の第1のセットの実施形態によるシールリング40の断面図を概略的に示す。この実施形態では、シールリング40は非多孔質材料で作られ、流体導管45(例えば通気路)が、任意の適切なやり方、例えばエッチング、(レーザ)穴あけ、切断等を介してシールリング40に形成されている。適切なシールリング材料には、熱可塑性エラストマ、エラストマ、(ニトリル、ブタジエン、ブチル)ゴム、ポリウレタン及びシリコーンが含まれるがこれらに限定されない。
【0045】
図6は、ウェアラブルパッチ10を患者の皮膚領域1に貼付する方法のステップを概略的に示す。第1のステップでは、結合剤60が流体リザーバ50に入れられた後、ウェアラブルパッチ10が皮膚領域1に貼付される。この貼付中に、ウェアラブルパッチ10に圧力がかけられ、これにより、
図6の下部ペインの矢印によって概略的に示されるように、結合剤60が流体リザーバ50を実質的に満たし、余剰の結合剤60がシールリング40の流体導管に押し込まれるように、流体リザーバ50の有効ボリュームが減少する。ウェアラブルパッチ10に加えられる圧力量が変化すると、超音波トランスデューサ30と皮膚領域1との間の結合剤60の層の有効厚さは、流体リザーバ50とシールリング40内の流体導管との流体連通により変化する。通常、この圧力を増加すると、より多くの結合剤60がシールリング40の中に押し込まれるので、この層の有効厚さは減少し、この圧力を減少すると、結合剤60がシールリング40の流体導管から流れて流体リザーバ50に戻るので、この層の有効厚さは増加する。
【0046】
重要なことは、ウェアラブルパッチ10に圧力をかけることによりシールリング40の流体導管に押し込まれる気泡は、当該気泡が通常シールリング40の流体導管において低い表面エネルギーを有することにより、圧力が弱められてもシールリング40の中に残る傾向がある点である。このような気泡は、シールリング40の流体導管(例えば細孔43)内でほぼ丸い形状であるが、流体リザーバ50ではより楕円形(パンケーキ状)、即ち、特に気泡が超音波トランスデューサ30の患者に面する表面と患者の皮膚の対向する領域との間にある場合、より高い表面エネルギーを有する形状をとる。
【0047】
更に、シールリング40の流体導管に押し込まれた余剰の結合剤60は、この余剰の結合剤60が流体導管を満たすことにより、周囲空気が流体リザーバ50に到達することが阻止されるので、周囲空気への暴露から流体リザーバ50内の結合剤60のボリュームを効果的にシールオフする。この結果、流体リザーバ50内の結合剤60は、脱水又は乾燥から保護され、流体リザーバ50内の結合剤60は、長期間にわたって、即ち、患者がウェアラブルパッチ10を着用する必要のある期間にわたってその所望の特性を保持する。
【0048】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によるウェアラブルパッチ10を貼付することの更なる利点は、ウェアラブルパッチ10を患者に固定する(例えば接着する)必要なく、ウェアラブルパッチ10を患者の最初の皮膚領域1に配置することができる点である。これは、超音波トランスデューサ30を用いて1つ以上の超音波画像を取得して、当該画像を例えば医療専門家が評価して、ウェアラブルパッチ10が最適に配置されているかどうかを確認することによって、ウェアラブルパッチ10が患者の正しい皮膚領域1に配置されているかどうかを確認することを容易にする。ウェアラブルパッチ10が最適ではない位置にある場合、上記1つ以上の超音波画像は、ウェアラブルパッチ10が最適に配置されることを確実にするために、患者の皮膚上のウェアラブルパッチ10の位置をどのように再調整するかについて医療専門家にガイダンスを提供することができ、その後、ウェアラブルパッチ10を患者に固定することができる。結合剤60がシールリング40内の流体導管に少なくとも部分的に貯蔵されることにより、ウェアラブルパッチ10のこのような再配置は、結合剤60を超音波トランスデューサ30に再度塗布する必要なく、ウェアラブルパッチ10を患者の皮膚上に単にスライドさせるか、さもなければ動かすことによって行うことができる。
【0049】
図7は、本発明の別の実施形態によるウェアラブルパッチ10の正面図を概略的に示す。この実施形態では、ウェアラブルパッチ10は、第1の固定部材27及び第2の固定部材27’を含む固定装置を有するストラップ25を使用して患者の身体部分に固定することができる。これらの固定部材は、互いに係合して、ストラップ25を閉じて、ウェアラブルパッチ10を患者の身体に固定する。例えばこのような固定装置は、バックル27とバックル27のロッキングピンを受け入れる複数の穴27’とを含む。或いは、このような固定装置は、第1の固定部材27がベルクロ(登録商標)装置のフックを具体化し、第2の固定部材27’がベルクロ(登録商標)装置のループを具体化するベルクロ(登録商標)装置であってもよい。ストラップ25を患者の身体に固定するために、例えばボタン装置、プッシュボタン装置、ジップ装置、接着装置等である他の固定装置も考えられる。ウェアラブルパッチ10の更なる実施形態は、患者の皮膚領域にウェアラブルパッチ10を特にしっかりと固定するために、接着層20とストラップ25との組み合わせを含む。
【0050】
本発明の実施形態によるウェアラブルパッチ10は、結合剤60を含む容器(例えば超音波伝導性ゲル等のボトル)と共に提供されて、本発明の実施形態によるウェアラブルパッチキットを形成することができる。
【0051】
図8は、本発明の実施形態によるウェアラブルパッチ10と、超音波トランスデューサ30を制御する制御モジュール80とを含むウェアラブルパッチアセンブリ100を概略的に示す。制御モジュール80は、ワイヤ又はケーブル70を介して超音波トランスデューサ30に接続される。ワイヤ又はケーブル70は、任意の適切なワイヤ又はケーブル(例えば同軸ケーブル、個別に絶縁されたワイヤを含むケーブル、導電性トラックを含むリボン等)であってよい。別の実施形態では、制御モジュールは、トランスデューサに無線で結合されていてもよい。制御モジュール80は、超音波トランスデューサ30を制御する回路81を含む。例えば回路81は、ダウンコンバージョンステージに結合されるアレイコントローラを含む。ダウンコンバージョンステージは、アレイコントローラの一部を形成しても、別個のエンティティであってもよい。ダウンコンバージョンステージは、エコー信号のノイズフィルタリングや、例えばMHz領域からKHz領域への周波数ダウンコンバージョンを適用したり、ダウンコンバートされたエコー信号に信号エンベロープを使用して、取得エコー信号から所望の膀胱情報を得るために信号プロセッサに提供されなければならないデータ量を削減したりする。他の適切なデータ削減技術は、当業者にはすぐに明らかであろう。
【0052】
回路81は更に、超音波トランスデューサ30から受信した信号を処理する信号プロセッサを含む。或いは、当該信号プロセッサは、制御モジュール80内の電池87の寿命を延ばすことができるようにウェアラブルパッチ10の必要な計算量を削減するために、例えばスマートウォッチといったウェアラブルスマートデバイス、モバイルフォン若しくはタブレットコンピュータといったポータブルスマートデバイス、ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ等であるリモートデバイスの一部を形成してもよい。
【0053】
回路81は、制御モジュール80に搭載された例えばメモリ等であるデータ記憶装置83に通信可能に結合される。また、無線通信モジュール85が、データ記憶装置83に通信可能に結合され、データ記憶装置83に記憶されている取得エコー信号に関するデータが、例えばリモートデバイスからの通信リクエストに応えて、当該リモートデバイスに定期的に通信される。例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)や、3G、4G、5G等といったモバイル通信プロトコル、近距離無線通信プロトコル(NFC)等である任意の適切な無線通信プロトコルが、制御モジュール80とリモートデバイスとの通信のために配備されてよい。
【0054】
前述のように、制御モジュール80からリモートデバイスに通信される取得エコー信号に関するデータは、サイズを小さくして、通信する必要のデータの量を最小限に抑え、電池87の寿命を延ばすことが好適である。回路81が信号プロセッサを含む別の実施形態では、無線通信モジュール85を使用して、信号プロセッサの処理結果をリモートデバイスに通信して、例えばリモートデバイスのディスプレイに処理結果を表示することができることを理解されたい。別の実施形態では、ウェアラブルパッチ10及び制御モジュール80を共に同じハウジングに収容してもよい。
【0055】
更に別の実施形態では、制御モジュール80は、無線通信モジュール85を用いて、取得エコー信号に関するデータを、中間データ記憶装置として機能するリモートデータレポジトリにアップロードする。リモートデバイスは、そこから保存データをダウンロードすることができる。これは、リモートデバイスが無線通信モジュール85の通信範囲内にある必要がなく、代わりにこのデータを評価するために任意の適切な時点でデータをダウンロードできるという利点がある。例えばリモートデータレポジトリは、インターネットといったネットワーク接続を介して無線通信モジュール85及びリモートデバイスの両方によってアクセスすることができるクラウドストレージソリューション等とすることがでる。この場合、無線通信モジュール85は、無線通信モジュール85の通信範囲内にあるルータ等といったインターネットハブと無線接続を確立して、これを介して、取得エコー信号に関するデータがリモートデータリポジトリにアップロードされる。
【0056】
上述の実施形態は、本発明を限定するのではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態をデザインすることができることに留意されたい。請求項では、括弧の間に置かれた参照符号は請求項を限定するものとして解釈されるものではない。「含む」との用語は、請求項に列挙されているもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。単数形の要素は、そのような要素が複数存在することを排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を含むハードウェアによって実施することができる。幾つかの手段を列挙するデバイスクレームにおいて、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの同一のアイテムによって具現化されてよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているということだけで、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサが取り付けられるのに適したウェアラブルパッチであって、前記ウェアラブルパッチは、
前記超音波トランスデューサが前記ウェアラブルパッチに取り付けられるときに前記超音波トランスデューサを囲み、前記ウェアラブルパッチが患者の身体の一部に固定されるときに前記患者の身体の一部と接触するように配置されるシールリングと、
前記ウェアラブルパッチが前記患者の身体の一部に固定されるときに前記超音波トランスデューサに対する結合剤を収容する流体リザーバと、
を含み、
前記流体リザーバは、前記ウェアラブルパッチの一部、前記シールリング、及び前記患者の身体の一部によって区切られ、
前記シールリングは、前記シールリングを少なくとも部分的に通って前記流体リザーバから延在する複数の流体導管を含み、
前記シールリングは多孔質材料で作られ、前記多孔質材料の細孔が、前記複数の流体導管を画定し、前記細孔は閉じた細孔であり、前記シールリングは、前記シールリングを通って前記流体リザーバから延在する少なくとも1つの通気路を更に含む、ウェアラブルパッチ。
【外国語明細書】