(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159281
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】光の再分配のための光透過性構造およびそれを含むライティング・システム
(51)【国際特許分類】
   F21V   5/02        20060101AFI20231024BHJP        
   F21V   5/00        20180101ALI20231024BHJP        
   F21S   8/02        20060101ALI20231024BHJP        
   F21S   2/00        20160101ALI20231024BHJP        
   G02B   5/02        20060101ALI20231024BHJP        
   G02B   5/04        20060101ALI20231024BHJP        
   F21Y 115/10        20160101ALN20231024BHJP        
【FI】
F21V5/02 100 
F21V5/00 510 
F21V5/02 350 
F21V5/02 400 
F21S8/02 410 
F21S2/00 330 
F21S2/00 350 
G02B5/02 C 
G02B5/04 A 
F21Y115:10 
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133439
(22)【出願日】2023-08-18
(62)【分割の表示】P 2019571741の分割
【原出願日】2018-06-29
(31)【優先権主張番号】62/527,573
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519455380
【氏名又は名称】ブライト  ヴュー  テクノロジーズ  インク
【氏名又は名称原語表記】BrightView  Technologies,Inc.
【住所又は居所原語表記】4022  Stirrup  Creek  Drive,Suite  301  Durham,NC  United  States  of  America
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】パーチェス  ケン  ジー
(72)【発明者】
【氏名】シェン  ビン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光源から放出された光を再分配する。
【解決手段】光透過性構造は、対抗する第1の面34と第2の面36とを有する光透過性基板32と、第1の面34上のマイクロプリズム要素38のアレイとを含む。各マイクロプリズム要素38は、第2の面36に対して第1の傾斜角で配設された第1の傾斜面と、第2の面に対して第2の傾斜角で配設された第2の傾斜面とを含む。第1の傾斜角は第2の傾斜角よりも小さく、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間のピーク角は約70度~約100度の範囲内である。第2の傾斜面は、それに直角な角度から見たときに凸曲率を有する。光透過性構造は、第1の方向において第1の面34に対向する光源20からの光を受け、第1の方向とは異なる第2の方向において第2の面36から出た光を再分配するように構成される。
【選択図】
図6 
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  光透過性構造であって、
  対抗する第1の面と第2の面とを有する光透過性基板と、
  前記第1の面上のマイクロプリズム要素のアレイであって、各マイクロプリズム要素が、前記第2の面に対して第1の傾斜角で配設された第1の傾斜面と、前記第2の面に対して第2の傾斜角で配設された第2の傾斜面とを備え、前記第1の傾斜角が前記第2の傾斜角よりも小さく、前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面との間のピーク角が約70度~約100度の範囲内であり、前記第2の傾斜面が、それに直角な角度から見たときに凸曲率を有する、マイクロプリズム要素のアレイとを備え、
  前記光透過性構造は、第1の方向において前記第1の面に対向する光源から放出された光を受け、前記第1の方向とは異なる第2の方向において前記第2の面から出た光を再分配するように構成された、光透過性構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
  本出願は、それの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、「LIGHT TRANSMISSIVE STRUCTURES FOR REDISTRIBUTION OF LIGHT AND LIGHTING SYSTEMS INCLUDING SAME」という名称の、2017年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/527,573号に、優先権について依拠する。
【0002】
  本発明は、光源から放出された光を再分配するために使用され得る光透過性構造、およびそのような光透過性構造を含むライティング・システムに関する。
【背景技術】
【0003】
  高効率LEDライティングは、ますます採用されるようになっている。一般的なLED光源は、約120度の半値全幅(「FWHM」)をもつランバート分布になるように光を放出する。ハウジング、リフレクタおよびレンズなどの照明器具(またはライティング・システム)の要素と組み合わせられたLEDは、1°もの低いFWHMをもつものを含む、多くの光分布を生成することができる。通常、一般的なライティング用に販売される多くのコスト効果的なLEDは、120度ランバート変体のものである。いくつかのダウンライト、タスク・ライト、およびトロファ中に見つけられるものなど、(LEDおよび旧来の)多くの照明器具は平坦な外表面を有する。これらの設備の多くでは、微細構造化拡散器、ホログラフィ拡散器、または立体拡散器などの単純な平坦な拡散器が、見る者からLEDの外観を隠し、照明器具の表面外観を平滑化するようにLEDを拡散させるために使用される。
【0004】
  平坦な拡散器が照明器具中で使用されるとき、照明器具の内部で使用される光源、レンズ、ハウジング、リフレクタ、バッフルなどの照明器具中の要素の組合せは、本明細書でソース分布と呼ぶ、拡散器の受光面に入射する光分布を生じる。使用された要素に応じて、ソース分布は、1°、10°、20°、40°、80°、100°、120°、または140°を含む、広範囲のFWHM値を有することができる。場合によっては、他の要素からの多くの干渉なしに拡散器に入射する120°LEDの広いアレイは、120°に近いソース分布を示す。多くの場合、カンスタイル・ダウンライトまたはリニア・ウォールウォッシュ照明器具などの照明器具は、ビーム角の広がりを制限し、60°、85°、または100°などの中間幅ソース分布を生成する、通常は反射性の内部側壁を含み得る。
【0005】
  多くの照明システムでは、照明されるべきターゲットにされるエリアは、光源の放出エリアよりもはるかに大きい。光分布は、一般に、Illuminating  Engineering  Society’s(「IES」)LM-79規格に記載されているものと同様の角度測定装置を使用する方法を用いて測定される。それの中で説明されているように、光度は、光検出器によって光源の主軸からの角度の関数として測定される。光検出器および/または光源は、光検出器が、所望の角度で、放出された光を測定するように、互いに対して移動する。
【0006】
  図1は、この例では、120度のFWHMをもつランバート光分布をもつ光源である、下向きの光源から放出された光の光度分布を示す極プロットである。光度は、プロット上の0°であると考えられる天底からの(すなわち、下向きの方向の)角度のコサインに比例する。床などの平坦な表面がランバート光分布によって照明されるとき、床上の照度は、天底(設備の真下)で最も大きく、天底から離れた床上の点については単調に減少する。ライティング産業では、用語「ランバート」はまた、同様の品質であるが異なる幅をもつ光分布を指すために頻繁に使用される。すなわち、天底でピークを有し、より高い角度で単調に減少する分布は、しばしばランバートと呼ばれる。一例では、80度のFWHMをもつガウス分布は、ライティング産業において、しばしば「ランバート」と呼ばれる。
 
【0007】
  ライティングおよび他の分野では、光源から放出された光を曲げることが望ましいことがある。ライティング適用例では、たとえば、80度角と、ダウンライトの主軸の真下を中心とするパワーとをもつダウンライトからの光分布を取り、分布が非対称パワー分布、すなわち、ダウンライトの一方の側を中心とするパワーを有するように分布をシフトすることが望ましいことがある。このことは、用途の中でも、壁、サインまたは外科患者などのターゲット・エリアに対する照明を増加させるために、あるいは非垂直角からのディスプレイまたはサインの視認性を改善するために望ましいことがある。また、ソース分布およびパワーが、まっすぐな下方向(すなわち、光源の真下に位置する表面への垂線)に対する角度を中心とするような角度に光源の向きを変え、次いで、光分布をさらに曲げ、および/または非対称分布を与えることが望ましいことがある。
【0008】
  カリフォルニア州トレンスのLuminit  LLC製のDirection  Turning  Film、およびミネソタ州セント・ポールの3M  Optical  Systems製のImage  Directing  Film  IIによって提供されるものなど、平坦な表面上に配置された平行線形プリズムは、この目的で使用され得る。しかしながら、これらの知られている線形プリズム製品は、間違った方向に放出された光の好ましくない品質を有し得る。たとえば、120度ランバート光源をもつ照明設備では、壁を照明するために、光を壁のほうに曲げることが望ましいことがある。同時に、(照明設備の真下から見て)0度で開始し、光から離れて移動して、(壁および照明設備から遠い)曲げ方向から離れて90度視角に接近するように該設備を見たときに、望ましくない方向に残っている光を(すなわち、壁から離れて)滑らかに単調に徐々に減弱させることが望ましいことがある。
【0009】
  図2および
図3は、それぞれ、Direction  Turning  FilmおよびImage  Directing  Film  IIを通る、120°ソース分布をもつランバート光源を使用して測定された、曲がり平面内の光の分布を示す極プロットである。(破線卵形で示された)光分布曲線の左側の光分布曲線の部分は、曲げられた光が、曲げ方向から離れて0度から90度まで、どのように単調に滑らかには減弱しないかを示す。
図4および
図5は、それぞれ、Direction  Turning  FilmおよびImage  Directing  Film  IIを通る、80°ソース分布をもつランバート光源を使用して測定された、曲がり平面内の光の分布を示す極プロットである。図示のように、破線卵形内の光分布曲線の左側の「バンプ」によって立証されるように、光は、曲げ方向から離れて0度から90度まで単調に滑らかには減弱しない。
 
【0010】
  1度と140度との間のFWHMと、ダウンライトの主軸の真下を中心とするパワーとをもつソース分布を有するダウンライトから光分布を取り、分布が、曲げ方向から離れて0度から90度までの光の滑らかな単調減少をもつ非対称パワー分布を有するように、曲げ方向において分布をシフトすることが可能であることが望ましい。また、1度と140度との間のFWHMと、ダウンライトのロケーションの真下の軸に対するチルト角でのパワーとをもつソース分布を有する傾斜したダウンライトから光分布を取り、分布が、曲げ方向から離れて0度から90度までの光の滑らかな単調減少をもつ対称パワー分布または非対称パワー分布を有するように、曲げ方向において分布をさらにシフトすることが可能であることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
  本発明の実施形態の一態様によれば、対抗する第1の面と第2の面とを有する光透過性基板と、第1の面上のマイクロプリズム要素のアレイとを含む、光透過性構造が提供される。各マイクロプリズム要素は、第2の面に対して第1の傾斜角で配設された第1の傾斜面と、第2の面に対して第2の傾斜角で配設された第2の傾斜面とを含む。第1の傾斜角は第2の傾斜角よりも小さく、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間のピーク角は約70度~約100度の範囲内である。第2の傾斜面は、それに直角な角度から見たときに凸曲率を有する。光透過性構造は、第1の方向において第1の面に対向する光源から放出された光を受け、第1の方向とは異なる第2の方向において第2の面から出た光を再分配するように構成される。
【0012】
  一実施形態では、第2の面から放出された光は非対称分布を有する。
【0013】
  一実施形態では、第1の傾斜角は約10度~約40度の範囲内である。
【0014】
  一実施形態では、第2の傾斜角は約40度~約100度の範囲内である。
【0015】
  一実施形態では、マイクロプリズム要素の各々は、約100μmの長さと、約40μmの幅とを有する。
【0016】
  一実施形態では、マイクロプリズム要素は、光透過性基板上に、直交する行および列に沿って格子状に配置される。
【0017】
  一実施形態では、マイクロプリズム要素は、各列において1/2周期で交互に位置する。
【0018】
  一実施形態では、第1の傾斜面は略平坦である。
【0019】
  一実施形態では、光透過性構造は、マイクロプリズム要素のアレイ上に波形パターンを含み、波形パターンは、複数の山と複数の谷とを有する。一実施形態では、波形パターンは、第3の方向において20μm周期を有し、第3の方向に直交する第4の方向において60μm周期を有する。
【0020】
  一実施形態では、マイクロプリズム要素のうちの少なくともいくつかは、六角形状をほぼ満たすように屈曲され、入れ子にされる。一実施形態では、六角形状のサイズは約270μmである。
【0021】
  一実施形態では、光透過性構造は、屈曲され、入れ子にされたマイクロプリズム要素を備える複数の六角形状を含む。
【0022】
  本発明の一態様によれば、光源と、光源から離間された光透過性構造とを含むライティング・システムが提供される。光透過性構造は、光源に対向する第1の面と、光透過性基板の第1の面と反対の側に第2の面を有する光透過性基板と、第1の面上のマイクロプリズム要素のアレイとを含む。各マイクロプリズム要素は、第2の面に対して第1の傾斜角で配設された第1の傾斜面と、第2の面に対して第2の傾斜角で配設された第2の傾斜面とを含む。第1の傾斜角は第2の傾斜角よりも小さく、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間のピーク角は約70度~約100度の範囲内である。第2の傾斜面は、それに直角な角度から見たときに凸曲率を有する。光透過性構造は、第1の方向において光源から放出された光を受け、第1の方向とは異なる第2の方向において第2の面から出た光を再分配するように構成される。
【0023】
  一実施形態では、光源は、10度と120度との間の半値全幅光分布を有する。
【0024】
  一実施形態では、光源および光透過性構造は、光源から放出された光の主軸が、垂線と垂線から約45度との間の角度で光透過性構造の第1の面に入射するように配向させられる。
【0025】
  本発明のこれらおよび他の態様、特徴、および特性、ならびに構造の関係する要素の動作の方法および機能、および部品の組合せおよび製造の経済性は、そのすべてが本明細書の一部を形成する、添付の図面を参照しながら、以下の説明および添付の特許請求の範囲を検討すると、より明らかになろう。しかしながら、図面は、例示および説明の目的のみのためのものであり、本発明の限界の定義として意図されないことを明確に理解されたい。本明細書中および特許請求の範囲中で使用する際、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段に明確に要求されない限り、複数の指示対象を含む。
【0026】
  以下の図の構成要素は、本開示の一般的な原理を強調するために示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らないが、図のうちの少なくとも1つは一定の縮尺で描かれていることがある。対応する構成要素を指定する参照符号は、必要な場合、一貫性および明瞭性のために、図全体にわたって繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
            【
図1】120度の半値全幅(「FWHM」)をもつランバート光分布を有する、下向きの光源から放出された光の光度分布を示す極プロットである。
 
            【
図2】Luminit  Direction  Turning  Filmを通った後の、
図1の光度ソース分布を示す極プロットである。
 
            【
図3】3M  Image  Directing  Filmを通った後の、
図1の光度ソース分布を示す極プロットである。
 
            【
図4】Luminit  Direction  Turning  Filmを通った後の、80度FWHMソース分布をもつ下向きの光源から放出された光の光度分布を示す極プロットである。
 
            【
図5】3M  Image  Directing  Filmを通った後の、80度FWHMソース分布をもつ下向きの光源から放出された光の光度分布を示す極プロットである。
 
            【
図6】本発明の実施形態による、光源と光透過性構造とを有するライティング・システムを概略的に示す図である。
 
            【
図7】本発明の一実施形態による、
図6の光透過性構造の一部としての複数のマイクロプリズムを示す図である。
 
            【
図8】本発明の一実施形態による、
図6の光透過性構造の一部としての複数のマイクロプリズムを示す図である。
 
            【
図9】本発明の一実施形態による、
図6の光透過性構造の一部としての複数のマイクロプリズムを示す図である。
 
            【
図10】本発明の一実施形態による、
図6の光透過性構造の一部としての複数のマイクロプリズムを示す図である。
 
            【
図11】反復パターンにおける、
図10のマイクロプリズムを示す図である。
 
            【
図12】
図8のマイクロプリズムを有する光透過性構造を通った後の、120度FWHMランバート・ソース分布をもつ下向きの光源から放出された光の光度分布を示す極プロットである。
 
            【
図13】
図8のマイクロプリズムを有する光透過性構造を通った後の、80度FWHMソース分布をもつ下向きの光源から放出された光の光度分布を示す極プロットである。
 
            【
図14】10度だけ傾けられた10度FWHMをもつ光源から放出された光のソース分布を示す極プロットである。
 
            【
図15】Luminit  Direction  Turning  Filmを通った後の、
図14のソース分布の極プロットである。
 
            【
図16】
図8のマイクロプリズムを有する光透過性構造を通った後の、
図14のソース分布の極プロットである。
 
            【
図17】30度だけ傾けられた10度FWHMをもつ光源から放出された光のソース分布を示す極プロットである。
 
            【
図18】Luminit  Direction  Turning  Filmを通った後の、
図17のソース分布の極プロットである。
 
            【
図19】
図8のマイクロプリズムを有する光透過性構造を通った後の、
図17のソース分布の極プロットである。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0028】
  図6は、本発明の実施形態による、ライティング・システム10を概略的に示す。図示のように、ライティング・システム10は、光源20と、光源20から離間された拡散器または光透過性構造30とを含む。光源20は、1つのLEDまたは複数のLEDなど、任意の好適な光源であり得る。光透過性構造30は、第1の面34を有する光透過性基板32と、第1の面34と反対の側にある第2の面36とを含む。複数のマイクロプリズム要素(またはマイクロプリズム)38が第1の面32上にある。マイクロプリズム38の実施形態のさらなる詳細について以下で説明する。
 
【0029】
  光透過性構造30は、ケーブル、側面または縁部のフレーム、またはハウジングなどのエンクロージャを使用するなど、当技術分野で知られている任意の技法によって、光源20の下に懸架され得る。図示のように、光源20および光透過性構造30はハウジング40に取り付けられる。単一のハウジング40が示されているが、光源20および/または光透過性構造30は、ハウジング40に取り付けられるサブハウジング中に取り付けられ得ることが企図される。ハウジング40は、光の最大強度が所望の角度で光透過性基板32の第1の面34に入射するように、光源20が光を放出するように、互いに所望の間隔および配向で光源20と光透過性構造30とを保持するように構成された1つまたは複数のブラケットからなり得る。以下でさらに詳細に説明するように、光透過性構造30は、第2の面36から出た光が、光源20から放出された光の主軸とは異なる主軸を有するように、光を「曲げる」ように構成される。
【0030】
  図7は、
図6の光透過性構造30のマイクロプリズム52のアレイ50の実施形態を示す。図示のように、各マイクロプリズム52は、略平坦である、約40度の傾き角55を有する第1の表面54と、約70度の傾き角57を有する第2の表面56とを含む。第1の表面54と第2の表面56との間のピーク角59は約70度である。第2の表面56は、第1の表面54の傾き角よりも大きい傾き角57と、それに垂直である方向Nにおいて光透過性構造30の外側から見たときに凸である曲率とを有する。
図7に示された実施形態では、各マイクロプリズム52のサイズは、ほぼ(y軸に沿って)100μm×(x軸に沿って)40μmであり得、複数のマイクロプリズム52は、基板32上に、直交する行および列に沿って配置され得る。これらの寸法は、例としてのみ与えられることが意図されており、マイクロプリズム52のサイズは、より大きいか、またはより小さいことがあることを理解されたい。また、傾き角55、57およびピーク角59は、より大きいか、またはより小さいことがある。たとえば、第1の表面54の傾き角55は約10度~約40度の範囲内であり得、第2の表面56の傾き角57は約40度~約100度の範囲内であり得、ピーク角59は約70度~約100度の範囲内であり得る。
 
【0031】
  図8は、
図6の光透過性構造30のマイクロプリズム62のアレイ60の実施形態を示す。図示のように、各マイクロプリズム62は、略平坦であり、約40度の傾き角65を有する第1の表面64と、約70度の傾き角67を有する第2の表面66とを含む。第1の表面64と第2の表面66との間のピーク角69は約70度である。第2の表面66は、第1の表面64の傾き角よりも大きい傾き角67と、それに垂直である方向Nにおいて光透過性構造30の外側から見たときに凸である曲率とを有する。
図8に示された実施形態では、各マイクロプリズム62のサイズは、ほぼ(y軸に沿って)100μm×(x軸に沿って)40μmであり得、複数のマイクロプリズム62は、基板32上に、直交する行および列に沿って配置され得、マイクロプリズム62は、図示のように、各列において1/2周期で交互に位置する。これらの寸法は、例としてのみ与えられることが意図されており、マイクロプリズム62のサイズは、より大きいか、またはより小さいことがあることを理解されたい。また、傾き角65、67およびピーク角69は、より大きいか、またはより小さいことがある。たとえば、第1の表面64の傾き角65は約10度~約40度の範囲内であり得、第2の表面66の傾き角67は約40度~約100度の範囲内であり得、ピーク角69は約70度~約100度の範囲内であり得る。
 
【0032】
  図9は、
図6の光透過性構造30のマイクロプリズム72のアレイ70の実施形態を示す。図示のように、各マイクロプリズム72は、約40度の傾き角75を有する第1の表面74と、約70度の傾き角77を有する第2の表面76とを含む。第1の表面74と第2の表面76との間のピーク角79は約70度である。第2の表面76は、第1の表面74の傾き角よりも大きい傾き角77と、それに垂直である方向Nにおいて光透過性構造30の外側から見たときに凸である曲率とを有する。
図9に示された実施形態では、各マイクロプリズム72のサイズは、ほぼ(y軸に沿って)100μm×(x軸に沿って)40μmであり得、複数のマイクロプリズム72は、基板32上に、直交する行および列に沿って配置され得、マイクロプリズム72は、図示のように、各列において1/2周期で交互に位置する。これらの寸法は、例としてのみ与えられることが意図されており、マイクロプリズム72のサイズは、より大きいか、またはより小さいことがあることを理解されたい。また、傾き角75、77およびピーク角79は、より大きいか、またはより小さいことがある。たとえば、第1の表面74の傾き角75は約10度~約40度の範囲内であり得、第2の表面76の傾き角77は約40度~約100度の範囲内であり得、ピーク角79は約70度~約100度の範囲内であり得る。
 
【0033】
  また、
図9に示されているように、マイクロプリズム70のアレイは、複数の山78aと複数の谷78bとを含む波形パターン78を含む。波形パターン78は、y軸に平行な方向において約20μm周期を有し、x軸に平行な方向において約60μm周期を有し得る。図示の実施形態は決して限定的であると考えられるべきではなく、本発明の実施形態に従って、異なるサイズを有する異なる波形パターンまたはテクスチャ・パターンが使用され得る。
 
【0034】
  図10は、光透過性構造30のマイクロプリズム82のアレイ80の実施形態の俯瞰図を示し、
図11は、反復パターン90におけるマイクロプリズム82のアレイ80を示す。図示のように、より白い色ほど、マイクロプリズム82の表面上のより高い点を表し、より暗い色ほど、マイクロプリズム82の表面上のより低い点を表す。マイクロプリズム82は、六角形状83をほぼ満たすように、屈曲され、サイズが異なり、入れ子にされる。マイクロプリズム82の各々は、約40度の傾き角85で配設された第1の表面84と、約70度の傾き角87で配設された第2の表面86とを有する。第1の表面84と第2の表面86との間のピーク角89は約70度である。第2の表面86は、第1の表面84の傾き角よりも大きい傾き角87と、それに垂直である方向Nにおいて光透過性構造30の外側から見たときに凸である曲率とを有する。六角形状83は、(平坦面間)サイズが約270μmであり得、
図10に部分的に示されているように、基板32の表面上で反復され得る。この寸法は、例としてのみ与えられることが意図されており、六角形状83のサイズは、より大きいか、またはより小さいことがあることを理解されたい。他の実施形態では、入れ子にされた屈曲されたマイクロプリズム82は、六角形83以外の形状を満たすように構成され得る。たとえば、他の実施形態では、入れ子にされた屈曲されたマイクロプリズム82は、正方形、菱形、または反復パターンにおいて複製され得る任意の他の所望の形状を満たすように構成され得る。
 
【0035】
  本明細書で説明する実施形態のいずれかによる光透過性構造は、当技術分野で知られている多くの技法を使用して作成され得る。たとえば、一実施形態では、プリズムの形状は、好適なマスタ金型と、熱硬化性ポリマーまたは紫外(UV)光硬化性ポリマーとを使用して、基板上にキャストされ得るか、あるいは形状は、圧縮成形または他の成形によって熱可塑性基板中にインプレスされ得るか、または押出エンボス加工または射出成形を使用して基板と同時に作成され得る。マイクロプリズムは、マスタを複製することによって製造され得る。たとえば、光拡散器は、本明細書に十分に記載されているかのように、それのすべての開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された、「Systems And Methods for Fabricating Optical Microstructures Using a Cylindrical Platform and a Rastered Radiation Beam」という名称の、Rinehartらへの米国特許第7,190,387B2号、「Methods for Mastering Microstructures Through a Substrate Using Negative Photoresist」という名称の、Freeseらへの米国特許第7,867,695B2号、および/または「Methods for Fabricating Microstructures by Imaging a Radiation Sensitive Layer Sandwiched Between Outer Layers」という名称の、Woodらへの米国特許第7,192,692B2号に記載されているように、所望の形状を収めるマスタの複製によって製造され得る。マスタ自体は、これらの特許に記載されているレーザー走査技法を使用して作製され得、また、これらの特許に記載されている複製技法を使用して拡散器を与えるように複製され得る。
【0036】
  一実施形態では、感光性材料中に所望のマイクロプリズムを作成するホログラフィ・パターンを作成するために、当技術分野で知られているレーザー・ホログラフィが使用され得る。一実施形態では、感光性材料中にマイクロプリズムを露光するために、当技術分野で知られている、半導体、ディスプレイ、回路板、および他の一般的な技術において使用されるような、投影または接触フォトリソグラフィが使用され得る。一実施形態では、材料中にインディシアを含むマイクロプリズムを作成するために、マスクを使用するか、または集束および変調レーザー・ビームを使用するかのいずれかによって、レーザー・アブレーションが使用され得る。一実施形態では、固体材料から所望のマイクロプリズムを作成するために、当技術分野で知られている、(ダイヤモンド機械加工としても知られる)微細加工が使用され得る。一実施形態では、固体材料中に所望のマイクロプリズムを作成するために、当技術分野で知られている、(3Dプリンティングとしても知られる)付加製造が使用され得る。
【0037】
  図12は、
図8に示されたマイクロプリズム62のアレイ60を有する光透過性構造30を通った、120度FWHMソース分布をもつランバート光源を使用して測定された曲がり平面内の光の分布を示す。
図12は、曲げ方向から離れて0度から90度までの光の滑らかな単調減少を示す。さらに、光透過性構造30は、上記で説明した従来技術のフィルムと比較して、光のより強いまたは増加した曲がりを与えるように見える。
 
【0038】
  図13は、
図8に示されたマイクロプリズム62のアレイ60を有する光透過性構造30を通った、80度FWHMソース分布をもつ光源を使用して測定された曲がり平面内の光の分布を示す。
図13は、曲げ方向から離れて0度から90度までの光の単調減少を示す。さらに、光透過性構造30は、上記で説明した従来技術のフィルムと比較して、光のより強いまたは増加した曲がりを与えるように見える。
 
【0039】
  図14は、光源から真下に延びる(0°に対応する)方向に対して10度だけ傾けられた、10度FWHMをもつ光源から放出された光のソース分布を示す。図示のように、分布はチルト方向に対して概して対称である。
 
【0040】
  図15は、
図14のソース分布がLuminit  Direction  Turning  Filmを通った後の、曲がり平面内の光分布を示す。図示のように、Luminit  Direction  Turning  Filmは、一般に、チルト方向から約+20°である曲げ方向において光を再分配しただけでなく、概してチルト方向から約-20°の角度に向けられた不要な2次分布100をも生じた。
 
【0041】
  図16は、
図14のソース分布が、
図8のマイクロプリズム62のアレイ60を有する光透過性構造30を通った後の、曲がり平面内の光分布を示す。図示のように、光透過性構造30は、チルト方向から約+20°である曲げ方向において光を再分配し、2次分布を生じなかった。
 
【0042】
  図17は、光源から真下に延びる(0°に対応する)方向に対して30度だけ傾けられた、10度FWHMをもつ光源から放出された光のソース分布を示す。図示のように、分布はチルト方向に対して概して対称である。
 
【0043】
  図18は、
図17のソース分布がLuminit  Direction  Turning  Filmを通った後の、曲がり平面内の光分布を示す。図示のように、Luminit  Direction  Turning  Filmは、一般に、チルト方向から+20°よりも大きい曲げ方向において光を再分配しただけでなく、概してチルト方向から-60°よりも大きい角度に向けられた不要な2次分布110をも生じた。
 
【0044】
  図19は、
図17のソース分布が、
図8のマイクロプリズム62のアレイ60を有する光透過性構造30を通った後の、曲がり平面内の光分布を示す。図示のように、光透過性構造30は、チルト方向から+20°よりも大きい曲げ方向において光を再分配し、2次分布を生じなかった。
 
【0045】
  本明細書で説明する実施形態は、いくつかの可能な実装形態および例を表し、必ずしも本開示をいずれかの特定の実施形態に限定するものではない。代わりに、様々な変更がこれらの実施形態になされ得、当業者によって理解され得るように、明確に説明されない場合でも、本明細書で説明する様々な実施形態の異なる組合せが本発明の一部として使用され得る。任意のそのような変更は、本開示の趣旨および範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されるものとする。