(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159295
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】デジタル印刷システムの構成要素の保護
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20231024BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 101
B41J2/01 305
B41J2/01 451
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134353
(22)【出願日】2023-08-22
(62)【分割の表示】P 2020529123の分割
【原出願日】2018-11-25
(31)【優先権主張番号】62/591,847
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュマイサー,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ナチヴ,イド
(72)【発明者】
【氏名】バー-オン,マタン
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンステイン,ゾハー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】印刷システムの移動部分によって運ばれる異物からの潜在的損傷からデジタル印刷システムの要素を保護するシステムおよび方法を提供する。中間転送部材を使用する間接印刷システムの要素の保護に適する。
【解決手段】印刷システムは、中間転送部材と、ITMの表面の上に配置された印刷バーを含む画像形成ステーションと、ITMの回転を駆動するコンベヤと、画像形成ステーションの上流の検出位置に搬送される異物5を検出するように構成された検出システムと、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することによって異物の検出に応答するために検出システムに動作可能に結合された応答システムとを含む。
【選択図】
図13B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書および/または図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている、2017年11月29日に出願した米国特許仮出願第62591847号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、印刷システムの移動部分によって運ばれる異物からの潜在的損傷からデジタル印刷システムの要素を保護するシステムおよび方法に関する。具体的には、本発明は、中間転送部材を使用する間接印刷システムの要素の保護に適する。
【背景技術】
【0003】
間接インクジェット印刷プロセスを使用するさまざまな印刷デバイスが以前に提案されたが、この間接インクジェット印刷プロセスは、インクジェット印刷ヘッドが中間転送部材の表面に画像を印刷するのに使用され、その後に、中間転送部材が、基板に画像を転送するのに使用される、プロセスである。中間転送部材(ITM)は、硬いドラムまたはブランケットとも呼ばれる柔軟なベルト(たとえば、ローラーを介して案内されまたは硬いドラムに取り付けられる)とすることができる。異物が、ITMによって、インクジェット印刷ヘッドに向かって高速で誤って転送される場合があり、これが、回避されない場合に印刷ヘッドに損傷を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、印刷システム、たとえば、たとえば複数のローラー上に取り付けられる(たとえば、ベルト)か硬いドラムを介して取り付けられる(たとえば、ドラムマウント・ブランケット)柔軟な中間転送部材(ITM)(たとえば、ブランケット)などの移動するITMを有するデジタル印刷システムおよび印刷システムを動作させる方法に関する。
【0005】
インク画像は、移動するITMの表面に形成され(たとえば、画像形成ステーションでの液滴付着によって)、その後、基板に転送され、この基板は、紙、プラスティック、金属、または任意の他の適切な材料を含むことができる。インク画像を基板に転送するために、基板は、少なくとも1つの圧胴と、インク画像が配置される移動するITMの領域との間でプレスされ、この時に、転送ステーション(印刷ステーションとも呼ばれる)が、係合されると言われる。
【0006】
複数のローラー上に取り付けられる柔軟なITMに関して、印刷ステーションは、通常、圧胴に加えて、その外面がオプションで圧縮可能とされ得る圧力シリンダまたはローラーを含む。柔軟なブランケットまたはベルトは、そのような2つのシリンダの間を通り、これらのシリンダは、通常はこの2つの間の距離が増減される時に、選択的に係合されまたは係合解除され得る。2つのシリンダの一方は、空間内の固定された位置にあるものとすることができ、他方のシリンダは、それに向かってまたは離れて移動され(たとえば、圧力シリンダが可動であるか、圧胴が可動である)、または、2つのシリンダが、それぞれ他方に向かってまたは離れて移動することができる。硬いITMに関して、ドラム(オプションでブランケットをその上に取り付けることができる)が、圧胴に係合し、または係合解除する副シリンダを構成する。
【0007】
明瞭さのために、単語回転は、本明細書では、移動が、印刷プレス内のさまざまな位置で局所的に直線の、局所的に回転する、または他の形のいずれであるのかに関わりなく、印刷方向での印刷プレス内のITMの移動を表すのに使用される。ドラム形状またはドラム支持体を有する硬いITMに関して、ITMの動きは、回転である。印刷方向は、画像形成ステーションから印刷ステーションへのインク画像の移動によって定義される。文脈がそうではないと明瞭に示さない限り、以下で使用される可能性がある用語上流および下流は、印刷方向に対する相対的な位置に関する。
【0008】
いくつかの実施形態は、印刷システム、具体的には複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)と、ITMの表面の上に配置された印刷バーを含む画像形成ステーションであって、印刷バーは、液滴付着によってITMの表面上にインク画像を形成するように構成される、画像形成ステーションと、インク画像をそれらが基板に転送される印刷ステーションに向かって搬送するために印刷方向での固定回転速度でのITMの回転を駆動するコンベヤと、回転するITMによって、画像形成ステーションの上流で印刷ステーションの下流の検出位置に搬送される異物を検出するように構成された検出システムと、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することによって異物の検出に応答するために検出システムに動作可能に結合された応答システムとを含む印刷システムに関する。
【0009】
諸実施形態では、印刷システムは、複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)と、ITMの表面の上に配置された印刷バーを含む画像形成ステーションであって、印刷バーは、液滴付着によってITMの表面上にインク画像を形成するように構成される、画像形成ステーションと、インク画像をそれらが基板に転送される印刷ステーションに向かって搬送するために印刷方向での固定回転速度でのITMの回転を駆動するコンベヤと、回転するITMによって、画像形成ステーションの上流で印刷ステーションの下流の検出位置に搬送される異物を検出するように構成された検出システムと、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突および/または潜在的衝突の尤度を予測する衝突予測回路網と、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために少なくとも1つの衝突予防アクションを実行すること\によって潜在的衝突の予測に応答するために予測回路網に動作可能に結合された応答システムとを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、印刷システムは、複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)と、ITMの表面の上に配置された印刷バーを含む画像形成ステーションであって、印刷バーは、液滴付着によってITMの表面上にインク画像を形成するように構成される、画像形成ステーションと、インク画像をそれらが基板に転送される印刷ステーションに向かって搬送するために印刷方向での固定回転速度でのITMの回転を駆動するコンベヤと、回転するITMによって画像形成ステーションの上流で印刷ステーションの下流の検出位置で搬送される物質を検出する機械検出システムであって、機械検出システムは、長さ方向にITMの幅にまたがって配置された細長いブレードと、引張りばねおよび気圧抵抗ピストンとのうちの1つを含むリンク要素(リンク要素は、ブレードを硬いフレームにリンクする)と、リミット・スイッチおよびカメラのうちの少なくとも1つとを含み、ITMとITMに近接するブレードのエッジとの間のギャップG2は、印刷バーとITMとの間のギャップG1より小さく、検出位置で、ITMは、上流ガイド・ローラー上で延ばされる、機械検出システムと、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することによって異物の検出に応答するために検出システムに動作可能に結合された応答システムとを含むことができる。
【0011】
諸実施形態では、印刷システムは、複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)と、ITMの表面の上にその間のG1の最小限のギャップを伴って配置された印刷バーを含む画像形成ステーションであって、印刷バーは、液滴付着によってITMの表面上にインク画像を形成するように構成される、画像形成ステーションと、インク画像をそれらが基板に転送される印刷ステーションに向かって搬送するために印刷方向での固定回転速度でのITMの回転を駆動するコンベヤと、回転するITMによって、画像形成ステーションの上流で印刷ステーションの下流の検出位置に搬送される異物を検出するように構成された検出システムと、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために衝突予防アクションを応答時間内に実行することによって異物の検出に応答するために検出システムに動作可能に結合された応答システムとを含むことができ、衝突予防アクションは、ギャップG1の少なくとも2倍の高さまで印刷バーを持ち上げることを含むことができ、応答システムは、電気アクチュエータを含むことができ、応答時間は、回転するITMの速度と、印刷方向でのITMの移動経路に沿った検出位置から画像形成ステーションまでの距離と、によって定義され得る。いくつかの実施形態では、衝突予防アクションは、ギャップG1の少なくとも5倍の高さまで印刷バーを持ち上げることを含むことができる。いくつかの実施形態では、衝突予防アクションは、ギャップG1の少なくとも10倍の高さまで印刷バーを持ち上げることを含むことができる。
【0012】
諸実施形態では、印刷システムは、複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)と、ITMの表面の上に配置された印刷バーを含む画像形成ステーションであって、印刷バーは、液滴付着によってITMの表面上にインク画像を形成するように構成される、画像形成ステーションと、インク画像をそれらが基板に転送される印刷ステーションに向かって搬送するために印刷方向での固定回転速度でのITMの回転を駆動するコンベヤと、回転するITMによって画像形成ステーションの上流で印刷ステーションの下流の検出位置で搬送される物質を検出する機械検出システムであって、機械検出システムは、長さ方向にITMの幅にまたがって配置された細長いブレードと、引張りばねおよび気圧抵抗ピストンのうちの1つを含むリンク要素(リンク要素は、ブレードを硬いフレームにリンクする)と、リミット・スイッチおよびカメラのうちの少なくとも1つとを含み、ITMとITMに近接するブレードのエッジとの間のギャップG2は、印刷バーとITMとの間のギャップG1より小さく、検出位置で、ITMは、上流ガイド・ローラー上で延ばされる、機械検出システムと、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために衝突予防アクションを応答時間内に実行することによって異物の検出に応答するために検出システムに動作可能に結合された応答システムとを含むことができ、衝突予防アクションは、ギャップG1の少なくとも2倍の高さまで印刷バーを持ち上げることを含むことができ、応答システムは、電気アクチュエータを含むことができ、応答時間は、回転するITMの速度と、印刷方向でのITMの移動経路に沿った検出位置から画像形成ステーションまでの距離と、によって定義され得る。いくつかの実施形態で、衝突予防アクションは、ギャップG1の少なくとも5倍の高さまで印刷バーを持ち上げることを含むことができる。いくつかの実施形態で、衝突予防アクションは、ギャップG1の少なくとも10倍の高さまで印刷バーを持ち上げることを含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態で、検出システムは、レーザー送信器、画像処理システム、音響検出システム、および機械検出システムのうちの1を含むことができる。いくつかの実施形態で、検出システムは、前記検出位置でITMに隣接して配置され、クロスプリント方向に向けられた検出要素を含むことができる。検出要素は、レーザー・ビーム、音楽ストリング、および細長いブレードのうちの1つを含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、検出要素とITMとの間のギャップG2を、印刷バーとITMとの間のギャップG1より小さくすることができる。ギャップG2を、ギャップG1の90%を超えないものとすることができる。いくつかの実施形態では、ギャップG2は、ギャップG1の70%を超えないものとすることができる。いくつかの実施形態では、ギャップG2は、ギャップG1の70%を超えないものとすることができる。
【0015】
諸実施形態では、検出位置で、ITMは、上流ガイド・ローラー上で延ばされる。印刷システムは、x軸、y軸、およびz軸を定義することができ、ここで、x軸およびz軸は、床に平行であり、お互いに直交し、一緒に平面を定義し、y軸は、その平面に直交し、印刷方向における検出位置でITMに接するベクトルは、y軸次元だけを有し、検出要素は、少なくともz軸次元を有し、ギャップG2は、x軸次元だけを有する。印刷方向でITMの移動経路に沿った検出位置から画像形成ステーションまでの距離は、ITMの全長の10%未満とすることができる。この距離を、ITMの全長の5%未満とすることができる。この距離を、ITMの全長の2%未満とすることができる。諸実施形態では、固定された回転速度を、毎秒の1/10回転と1/2回転」との間とすることができる。いくつかの実施形態では、固定された回転速度を、毎秒の1/8回転と1/4回転との間とすることができる。
【0016】
諸実施形態による検出システムは、検出要素と異物との間の衝撃を検出するように構成された幾何検出システムを含むことができる。諸実施形態では、検出システムおよび応答システムは、少なくとも1つの衝突予防アクションの実行が、異物と検出要素との間の衝撃の強度が所定のしきい値を超えることを条件とするように構成され得る。検出システムおよび応答システムは、少なくとも1つの衝突予防アクションの実行が、異物と印刷ヘッドとの間の将来の衝突の強度の計算された予測が所定のしきい値を超えることを条件とするようになるように構成され得る。
【0017】
諸実施形態では、少なくとも1つの衝突予防アクションは、印刷バーを持ち上げることを含む。印刷バーの持ち上げは、ギャップG1の少なくとも2倍または少なくとも5倍または少なくとも10倍の高さまでとすることができる。いくつかの実施形態では、印刷バーの持ち上げは、ギャップG1の少なくとも5倍の高さまでとすることができる。いくつかの実施形態では、印刷バーの持ち上げは、ギャップG1の少なくとも10倍の高さまでとすることができる。
【0018】
諸実施形態によれば、異物は、印刷ステーションの下流、検出位置の上流でITMの表面に塗布される透明処理被膜、ITMの表面剥離層に含まれるシリコン含有材料、乾燥したインク、基板材料、洗浄液、および冷却溶液のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの予防アクションは、異物が印刷バーではなく代理物に衝突するようにするために、代理物を印刷バーの上流の位置に移動することを含むことができる。いくつかの実施形態では、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突の予防の応答時間は、回転するITMの速度と、印刷方向でのITMの移動経路に沿った検出位置から画像形成ステーションまでの距離とによって定義され得、検出システムおよび応答システムは、少なくとも1つの衝突予防アクションが応答時間内に実行されるようにするために構成され得る。応答時間は、1秒未満とすることができる。応答時間は、500ミリ秒未満とすることができる。応答時間は、200ミリ秒未満とすることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの衝突予防アクションは、ITMの回転を停止することをさらに含むことができる。
【0020】
本発明の諸実施形態によれば、印刷システム(インク画像がITM上に形成される画像形成ステーションとインク画像が基板に転送される印刷ステーションとを含む印刷システム)内で回転する中間転送部材(ITM)によって搬送される異物を検出する機械検出システムは、細長いブレードと、ばねを含むリンケージ手段(リンケージ手段は、ブレードを硬いフレームにリンクする)と、リミット・スイッチおよびカメラとのうちの少なくとも1つとを含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、印刷システム(インク画像がITM上で形成される画像形成ステーションとインク画像が基板に転送される印刷ステーションとを含む印刷システム)内の回転する中間転送部材(ITM)によって搬送される異物を検出する機械検出システムは、細長いブレードと、ブレードを硬いフレームに接続するばねと、リミット・スイッチおよびカメラのうちの少なくとも1つとを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、印刷システム(インク画像がITM上で形成される画像形成ステーションとインク画像が基板に転送される印刷ステーションとを含む印刷システム)内の回転する中間転送部材(ITM)によって搬送される異物を検出する機械検出システムは、細長いブレードと、ブレードを硬いフレームに接続する弾力性のある仲介要素と、リミット・スイッチおよびカメラのうちの少なくとも1つとを含むことができる。
【0023】
諸実施形態では、機械検出システムは、印刷ステーションの下流で画像形成ステーションの上流の、ITMに面する検出位置に配置され得る。ITMに近接する細長いブレードのエッジは、そこからギャップを伴って配置され得、その結果、検出位置でITMの表面に垂直な方向でギャップより大きい異物の粒子が、細長いブレードのエッジに衝撃を与えるようになる。機械検出システムは、異物と細長いブレードとの間の衝撃を検出するように構成され得る。検出は、リミット・スイッチに接触することと画像からブレードの角度を判定することとのうちの少なくとも1つを含むことができる。機械検出システムは、異物と画像形成ステーションの構成要素との間の衝突を予防するために衝突予防応答を開始するために応答システムに信号を送るようにさらに構成され得る。応答システムに信号を送ることは、異物と細長いブレードとの間の衝撃の強度が所定のしきい値を超えることを条件とすることができる。いくつかの実施形態では、機械検出システムは、ピボットをさらに含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態は、印刷システム、具体的には、印刷バーが、回転する中間転送部材(ITM)上にインク画像を形成し、インク画像が、それらが基板に転送される印刷ステーションにITMによってその後に搬送される印刷システムを動作させる方法に関し、この方法は、画像形成ステーションの上流で印刷ステーションの下流の検出位置で、回転するITMによって搬送される異物を検出することと、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することによって検出に応答することとを含むことができる。検出は、レーザー送信器、画像処理システム、音響検出システム、および機械検出システムのうちの1つを含む検出システムを使用することによって達成され得る。検出することは、前記検出位置でITMに隣接して配置され、クロスプリント方向に向けられた検出要素を含む検出システムを使用することによって達成され得る。検出要素は、レーザー・ビーム、音楽ストリング、および細長いブレードのうちの1つを含むことができる。
【0025】
この方法の実施形態では、検出要素とITMとの間のギャップG2は、印刷バーとITMとの間のギャップG1より小さくすることができる。ギャップG2を、ギャップG1の90%を超えないものとすることができる。いくつかの実施形態では、ギャップG2は、ギャップG1の70%を超えないものとすることができる。いくつかの実施形態では、ギャップG2は、ギャップG1の70%を超えないものとすることができる。この方法の実施形態では、ITMは、検出位置の上流のガイド・ローラー上で延ばされ得る。
【0026】
この方法のいくつかの実施形態によれば、印刷システムは、x軸、y軸、およびz軸を定義し、ここで、x軸およびz軸は、床に平行であり、お互いに直交し、一緒に平面を定義し、y軸は、その平面に直交し、印刷方向において検出位置でITMに接するベクトルは、y軸次元だけを有し、検出要素は、少なくともz軸次元を有し、ギャップG2は、x軸次元だけを有する。
【0027】
この方法の実施形態では、印刷方向でのITMの移動経路に沿った検出位置から画像形成ステーションまでの距離は、ITMの全長の10%未満とすることができる。距離は、ITMの全長の5%未満とすることができる。距離は、ITMの全長の2%未満とすることができる。固定された回転速度は、毎秒1/10回転と毎秒1/2回転の間とすることができる。いくつかの実施形態では、固定された回転速度は、毎秒1/8回転と毎秒1/4回転との間とすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、検出することは、検出要素と異物との間の衝撃を検出するように構成された機械検出システムを使用して達成され得る。いくつかの実施形態では、検出への応答は、異物と検出要素との間の衝撃の強度が所定のしきい値を超えることを条件とすることができる。いくつかの実施形態では、検出への応答は、異物と印刷ヘッドとの間の将来の衝突の強度の計算された予測が所定のしきい値を超えることを条件とすることができる。
【0029】
この方法の実施形態では、少なくとも1つの衝突予防アクションは、印刷バーを持ち上げることを含むことができる。印刷バーの持ち上げは、ギャップG1の少なくとも2倍の高さまでとすることができる。いくつかの実施形態では、印刷バーの持ち上げを、ギャップG1の少なくとも5倍の高さまでとすることができる。いくつかの実施形態では、印刷バーの持ち上げを、ギャップG1の少なくとも10倍の高さまでとすることができる。
【0030】
この方法のいくつかの実施形態では、異物は、印刷ステーションの下流、検出位置の上流でITMの表面に塗布される透明処理被膜、ITMの表面剥離層に含まれるシリコン含有材料、乾燥したインク、基板材料、洗浄液、および冷却溶液のうちの少なくとも1つを含むことができる。この方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの予防アクションは、異物が印刷バーではなく代理物に衝突するようにするために、代理物を印刷バーの上流の位置に移動することを含む。
【0031】
この方法の実施形態では、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突の予防の応答時間は、回転するITMの速度と、印刷方向でのITMの移動経路に沿った検出位置から画像形成ステーションまでの距離とによって定義され得、応答は、少なくとも1つの衝突予防アクションが応答時間内に実行されるように達成され得る。応答時間は、1秒未満とすることができる。応答時間は、500ミリ秒未満とすることができる。応答時間は、200ミリ秒未満とすることができる。
【0032】
この方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの衝突予防アクションは、ITMの回転を停止することをさらに含むことができる。
【0033】
諸実施形態では、印刷システムは、複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)と、ITMの表面の上に配置された印刷バーを含む画像形成ステーションであって、印刷バーは、液滴付着によってITMの表面上にインク画像を形成するように構成される、画像形成ステーションと、インク画像をそれらが基板に転送される印刷ステーションに向かって搬送するために印刷方向における固定回転速度でのITMの回転を駆動するコンベヤと、回転するITMによって画像形成ステーションの上流で印刷ステーションの下流の検出位置で搬送される異物を検出する機械検出システム(機械検出システムは、長さ方向にITMの幅にまたがって配置された細長いブレードと、引張りばねおよび気圧抵抗ピストンとのうちの1つを含むリンク要素(リンク要素は、ブレードを硬いフレームにリンクする)と、細長いブレードの方位を検出するリミット・スイッチと細長いブレードをイメージングするカメラおよびカメラの出力を分析することによって細長いブレードの方位を検出する画像回路網とを含む(ITMとITMに近接するブレードのエッジとの間のギャップG2は印刷バーとITMとの間のギャップG1より小さく、検出位置で、ITMは、上流ガイド・ローラー上で延ばされる)イメージング・システムとのうちの少なくとも1つと、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することによって搬送された異物の検出に応答するために検出システムに動作可能に結合された応答システムとを含む。
【0034】
諸実施形態では、印刷システムは、複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)と、ITMの表面の上に配置された印刷バーを含む画像形成ステーションであって、印刷バーは、液滴付着によってITMの表面上にインク画像を形成するように構成される、画像形成ステーションと、インク画像をそれらが基板に転送される印刷ステーションに向かって搬送するために印刷方向での固定回転速度でのITMの回転を駆動するコンベヤと、回転するITMによって画像形成ステーションの上流で印刷ステーションの下流の検出位置で搬送される異物を検出する機械検出システム(機械検出システムは、長さ方向でITMの幅に沿って配置された細長いブレードと、拡張可能リンク要素(拡張可能リンク要素は、弾力性があり、かつ/または気圧もしくは液圧力ベースの抵抗を有し、引張りばねと気圧抵抗ピストンとのうちの1つを含み、拡張可能リンク要素は、ブレードを硬いフレームにリンクする)と、細長いブレードの方位またはその回転を検出する少なくとも1つのブレード方位検出器 リミット・スイッチおよびカメラのうちの少なくとも1つを含む(ITMとITMに隣接するブレードのエッジとの間のギャップG2は、印刷バーとITMとの間のギャップG1より小さく、検出位置で、ITMは、上流ガイド・ローラー上で延ばされる))と、異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することによって搬送された異物の検出に応答するために検出システムに動作可能に結合された応答システムとを含む。
【0035】
いくつかの実施形態で、拡張可能なリンク要素は、ばねを含む。いくつかの実施形態で、拡張可能なリンク要素は、気圧ピストンまたは液圧ピストンを含む。いくつかの実施形態で、ブレード方位検出器は、ブレードの方位を検出するリミット・スイッチを含む。いくつかの実施形態で、ブレード方位検出器は、細長いブレードをイメージングするカメラと、カメラの出力を分析することによって細長いブレードの方位を検出する画像回路網とを含む。いくつかの実施形態で、ブレード方位検出器は、磁気的(非限定的な例では、リード・スイッチまたは近接スイッチを使用する)である。いくつかの実施形態では、ブレード方位は、エンコーダを含む、
【0036】
諸実施形態では、印刷システムは、複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)と、ITMの表面の上にその間のG1の最小限のギャップを伴って配置された印刷バーを含む画像形成ステーションであって、印刷バーは、液滴付着によってITMの表面上にインク画像を形成するように構成される、画像形成ステーションと、インク画像をそれらが基板に転送される印刷ステーションに向かって搬送するために印刷方向において固定回転速度でのITMの回転を駆動するコンベヤと、回転するITMによって、画像形成ステーションの上流で印刷ステーションの下流の検出位置に搬送される異物を検出するように構成された検出システムと、検出された搬送された異物と印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために印刷バーを持ち上げることによって検出された搬送された異物の検出に応答するために検出システムに動作可能に結合された印刷バー持ち上げシステムとを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、応答システムは、電気アクチュエータを含む。いくつかの実施形態では、印刷バーの持ち上げは、回転するITMの速度と、印刷方向でのITMの移動経路に沿った検出位置から画像形成ステーションまでの距離とによって定義される応答時間内に実行される。いくつかの実施形態では、印刷バーの持ち上げは、ギャップG1の少なくとも2倍の高さまでである。いくつかの実施形態では、印刷バーの持ち上げを、ギャップG1の少なくとも5倍の高さまでとすることができる。いくつかの実施形態では、印刷バーの持ち上げを、ギャップG1の少なくとも10倍の高さまでとすることができる。
【0038】
本発明を、これから添付図面を参照して例としてさらに説明するが、添付図面では、図に示された構成要素および特徴の寸法が、提示の便宜および明瞭さのために選択され、必ずしも原寸通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】諸実施形態による印刷システムを示す立面図である。
【
図2】諸実施形態による印刷システムの構成要素を示す立面図である。
【
図3】諸実施形態による印刷システムの構成要素を示す立面図である。
【
図4A】諸実施形態による検出システムの例を示す透視図である。
【
図4B】諸実施形態による検出システムの例を示す透視図である。
【
図4C】諸実施形態による検出システムの構成要素を示す2つの代替の立面図である。
【
図5A】諸実施形態による検出システムの構成要素を示す立面図である。
【
図5B】諸実施形態による検出システムの構成要素を示す立面図である。
【
図5C】諸実施形態による検出システムの構成要素を示す立面図である。
【
図5D】諸実施形態による検出システムの構成要素を示す立面図である。
【
図6A】諸実施形態による検出システムの別の例を示す透視図である。
【
図6B】
図6Aに示された検出システムの構成要素を示す2つの代替の立面図である。
【
図6C】諸実施形態による検出システムの他の例を示す透視図である。
【
図7】諸実施形態による検出システムの他の例を示す透視図である。
【
図8A】諸実施形態による検出システムの他の例を示す透視図である。
【
図8B】
図8Aに示された検出システムの構成要素を示す2つの代替の立面図である。
【
図9】諸実施形態による検出システムを含む印刷プレスの動作の方法を示す流れ図である。
【
図10】諸実施形態による検出システムを含む印刷プレスの動作の方法を示す流れ図である。
【
図11】諸実施形態による検出システムを含む印刷プレスの動作の方法を示す流れ図である。
【
図12】諸実施形態による検出システムを含む印刷プレスの動作の方法を示す流れ図である。
【
図13A】諸実施形態による検出システムを含む印刷システムの構成要素を示す立面図である。
【
図13B】諸実施形態による検出システムを含む印刷システムの構成要素を示す立面図である。
【
図14A】諸実施形態による検出システムを含む印刷システムの構成要素を示す立面図である。
【
図14B】諸実施形態による検出システムを含む印刷システムの構成要素を示す立面図である。
【
図15】諸実施形態による検出システムを含む印刷プレスの動作の方法を示す流れ図である。
【
図16A】諸実施形態による検出システムの構成要素を示す立面図である。
【
図16B】諸実施形態による検出システムの構成要素を示す立面図である。
【
図16C】諸実施形態による検出システムの構成要素を示す立面図である。
【
図16D】諸実施形態による検出システムの構成要素を示す立面図である。
【
図17A】諸実施形態による検出システムを含む印刷システムの構成要素を示す立面図である。
【
図18A】諸実施形態による印刷システムの構成要素を示す立面図である。
【
図18B】諸実施形態による印刷システムの構成要素を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明を、例としてのみ、添付図面を参照して本明細書で説明する。ここで、図面を特に詳細に説明するが、図示の詳細が、例であり、本発明の好ましい実施形態の例示的議論のみのためのものであり、本発明の原理および概念的態様の最も有用でたやすく理解される説明と思われるものを提供するために提示されることを強調する。これに関して、本発明の基本的な理解に必要なものより詳細な本発明の構造的詳細を示す試みは行われず、図面と共に解釈されるこの説明は、本発明の複数の形態を実際にどのように実施できるのかを当業者に明白にする。図面全体を通じて、同様の符号が、一般に、同様の要素を指定するのに使用される。
【0041】
便宜上、本明細書の説明の文脈で、さまざまな用語をここで提示する。明示的であれ暗黙であれ、ここであれ本願の他所であれ、定義が提供される範囲で、そのような定義は、当業者によって定義される用語の使用と一貫するものと理解される。さらに、そのような定義は、そのような使用と一貫する最も広い可能な意味で解釈されなければならない。
【0042】
本開示に関して、「電子回路網」は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアのすべての組み合わせを幅広く記述することが意図されている。電子回路網は、実行可能コード・モジュール(すなわち、コンピュータ可読媒体上に記憶された)ならびに/または、フィールド・プログラマブル論理アレイ(FPLA)要素(1つまたは複数)、ハードワイヤド論理要素(1つまたは複数)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)要素(1つまたは複数)、および特定用途向け集積回路(ASIC)要素(1つまたは複数)を含むがこれに限定されないファームウェア要素(1つまたは複数)および/もしくはハードウェア要素(1つまたは複数)を含むことができる。縮小命令セット・コンピュータ(RISC)アーキテクチャおよび/または複合命令セット・コンピュータ(CISC)アーキテクチャを含むがこれに限定されない、任意の命令セット・アーキテクチャを使用することができる。電子回路網を、単一の位置に配置しまたは複数の位置の間で分散させることができ、後者の場合に、さまざまな回路網要素は、お互いと有線または無線で電子通信しているものとすることができる。
【0043】
さまざまな実施形態で、インク画像は、まず中間転送部材(ITM)の表面に付着され、中間転送部材の表面から基板(すなわち、シート基板またはウェブ基板)に転送される。本開示に関して、用語「中間転送部材」、「画像転送部材」、および「ITM」は、同義であり、交換可能に使用される場合がある。インクがITMに付着される位置を、「画像形成ステーション」と称する。多くの実施形態で、ITMは、「ベルト」、「エンドレス・ベルト」、または「ブランケット」を含み、これらの用語は、ITMと交換可能に使用される。
【0044】
インク画像が基板に転送される印刷プレスの区域または領域が、「印刷ステーション」である。一部の印刷システムに関して、複数の印刷ステーションがある場合があることを了解されたい。本発明のいくつかの実施形態では、中間転送部材は、剥離層をコーティングされた強化層または支持層を含むベルトとして形成される。非限定的な例で、強化層は、長さ方向に実質的に伸長性がなくなるように繊維強化された織物とすることができる。「実質的に伸長性がない」とは、ベルトの任意のサイクル中に、ベルト上の任意の2つの固定された点の間の距離が、画像品質に影響する範囲までは変化しないことを意味する。しかし、ベルトの長さは、温度に伴って、またはより長い時間期間にわたって、老化もしくは疲労に伴って変化する可能性がある。その幅方向で、ベルトは、画像形成ステーションを通って引っ張られる時に、緊張し平坦なままになるのを助けるために、低い度合の弾性を有することができる。適切な織物は、たとえば、直角方向の木綿繊維に織られ、縫い合わされ、または他の形で保持された、長手方向のガラス繊維を有することができる。
【0045】
エンドレス中間転送部材に関して、ITMの「長さ」は、その外周と定義される。
【0046】
ここで図面を参照すると、
図1は、本発明のいくつかの実施形態による間接印刷のための印刷システム100の概略図である。
図1のシステムは、複数のガイド・ローラー232、240、250、253、242上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)210を含む。他の例(図示せず)では、ITM 220は、ドラムまたはドラムの周囲に巻き付けられたベルトである。この図は、本発明の議論に関する特定の構成の諸態様を示し、図示の構成は、ローラーの提示される個数および配置に限定されず、形状および相対寸法にも限定されず、それらのすべては、ここでは、システム構成要素を明瞭な形で図示するための便宜のためのものである。
【0047】
図1の例では、ITM 210は、この図に対して時計回りの方向に回転する。ベルト移動の方向は、上流方向および下流方向を定義する。ローラー242および240は、それぞれ画像形成ステーション212の上流および下流に位置決めされ、したがって、ローラー242を「上流ローラー」と称する場合があり、ローラー240を「下流ローラー」と称する場合がある。印刷システム100は、さらに、
(a)印刷バー222A~222D(それぞれC、M Y、およびKのうちの1つと指定される)を含む画像形成ステーション212であって、各印刷バーは、
図3に示されたインクジェット印刷ヘッド(1つまたは複数)223を含み、画像形成ステーション212は、ITM 210の表面にインク画像(図示せず)を形成する(たとえば、そこへの液滴付着によって)ように構成される、画像形成ステーション212と、
(b)インク画像を乾燥させる乾燥ステーション214と、
(c)インク画像がITM 210の表面からシート231またはウェブ基板(
図1にはシート基板のみを図示)に転送される印刷ステーション216であって、
図1の特定の非限定的な例では、印刷ステーション216は、圧胴220と、圧縮可能なブランケット219を担持するブランケット/圧力シリンダ218とを含む、印刷ステーション216と、
(d)印刷ステーションから上流の洗浄ステーション258(
図1に示されているように、洗浄ブラシを含むことができ、これは、このシステム内で使用できる洗浄対応策の一例にすぎない)であって、残留物質(たとえば、処理被膜および/またはインク画像もしくはその一部あるいは他の残留物質)がITM 210の表面から洗浄される、洗浄ステーション258と、
(e)印刷ステーションおよび洗浄ステーションから上流の処理ステーション260と(液体処理製剤(たとえば、水性処理液)の層がITM表面に塗布され、一例として、処理液は、荷電ポリマの希薄液を含むことができる
をさらに含む。
【0048】
当業者は、
図1に示された構成要素のすべてが必要とは限らないことを了解しよう。たとえば、冷却ステーションおよび洗浄ステーションを単一のステーションに組み合わせることができ、この単一のステーションは、画像形成ステーション212に継続する前に、ITMを冷却する冷却機能をも満足することができる。
【0049】
処理ステーション260の一例を、
図2に概略的に示す。
【0050】
図2の特定の非限定的な実施形態では、ITM 210は、全体的に2014と指定され、タンク2016内に適切に取り付けられるドクター・ブレード上で、矢印2012によって表されるように、図示のように右から左へ(すなわち、時計回り回転の下部ランの一部として)移動される。
図2では、ドクター・ブレード2014は、ITM 210の全幅にまたがって延びる滑らかで整然とした円筒形表面を有する硬いバーから形成される。
【0051】
ドクター・ブレード2014上を通る前に、ITM 210の下側(すなわち、下部ラン)は、過剰な処理製剤(たとえば、溶液)2030をコーティングされる。過剰な処理製剤(たとえば、溶液)がITM 210に塗布される形は、本発明にとって基本的に重要ではなく、ITM 210は、たとえば、液体を含むタンクに単純に沈められ、
図2に示されているように処理製剤(たとえば、溶液)2030の噴水1128の上に通され、あるいは、上向きのジェット(図示せず)によってスプレイされ得る。
【0052】
この図に示されているように、ITM 210は、ドクター・ブレード2014に接近する時に、所望の厚さより厚いか大幅に厚い液体のコーティング2030を有する。ドクター・ブレード2014の機能は、過剰な液体2031をITM 210から除去し、残りの液体が、ITM 210表面全体に均等に均一に広げられることを保証することである。非限定的な例では、ドクター・ブレード2014は、ITM 210が張力の下に維持される間に、ITM 210に向かって駆り立てられ得る。
【0053】
当業者は、他の手段によって処理液をITMに塗布でき、他の手段によって過剰な液体2031を除去できることを了解しよう。
【0054】
本明細書で説明されるものなどのデジタル間接印刷システムの動作において、さまざまな材料を用いることができる。材料の例は、インクおよびインク成分、基板(紙、プラスティック、金属、またはその上に印刷される任意の他の材料)、洗浄液(1つまたは複数)、冷却溶液(1つまたは複数)、ならびに処理製剤(1つまたは複数)を含む。
【0055】
もう1つの例では、ITM 210は、シリコンおよびシリコンベース材料を含む表面剥離層を含むことができる。上記材料のいずれかが、単独でまたは組み合わされて、乾燥し、削げ、薄片になってはがれ、砕け、または他の形で、印刷システムの物理範囲内で異物の望まれない粒子を作成する可能性がある。そのような異物の粒子は、たとえば、処理製剤2030の粘着性の表面に接着し、ITM 210の表面に薄い層を形成する可能性がある。ITM 210は、印刷システムを構成するさまざまなステーションを通って高速で循環しまたは回転し、物理的接着、化学的接着、または静電気を介してそのような粒子を拾い上げ、1.5m/s超、2.5m/s超、または3m/s超の速度で印刷方向に粒子を搬送する可能性がある。
【0056】
ここで
図3を参照すると、印刷システムのいくつかの実施形態がさらに詳細に示されている。印刷ヘッド223は、表面からある高さすなわちギャップG1でITM 210の上に配置されて図示されている。便宜および明瞭さのために、印刷ヘッド223は、
図3および後続の図では連続的として図示されているが、これらが連続的である必要はなく、いくつかの実施形態では、隣接する印刷ヘッドの間に間隔を設けることができ、たとえばヒーターなどの他の機器が、隣接する印刷ヘッドの間に並置されてもよい。G1は、ITM 210の表面上の処理製剤2030の層の不規則性を考慮に入れるための最小のギャップとしてセットされても、そのような不規則性を考慮に入れた平均ギャップもしくは通常のギャップとされても、濃縮、噴射距離、または液滴サイズを網羅的にではなく含む印刷システムおよびそのさまざまな構成要素の仕様の考慮に基づいて定義されてもよい。そのような不規則性は、たとえば処理ステーション260の設計など、複数の要因に応じて、数ミクロンまたは数十ミクロン程度になる可能性がある。ギャップG1は、数百ミクロン、1000ミクロン、または1000ミクロン超程度とすることができる。この図に示された例では、異物の粒子301は、ITM 210が矢印2012によって示される方向(印刷方向とも称する)に回転する時に、ITM 210によって搬送される。粒子301は、少なくとも1つの次元でまたはITM 210の表面上の高さにおいて、ギャップG1より大きくなる可能性がある。用語「ITM 210の表面上の高さ」は、ITMがたとえば
図3の粒子301と反対のITMの断面など、地面に関して「垂直」である場合であっても、ITM 210の表面に実質的に垂直な次元を意味する。粒子301が、画像形成ステーション212またはその反対に達するまでITM 210によって搬送され続ける場合に、粒子301は、将来にまたは潜在的に、印刷バー222A~222Dのうちの1つまたは複数、具体的には、その中の印刷ヘッド223と衝突する。粒子301が、十分な質量または十分な運動量を有する場合に、粒子301は、そのような衝突の結果として印刷ヘッド223またはその構成要素に損傷を与える可能性がある。あるいは、印刷ヘッド223の要素に対する損傷が生じない場合であっても、粒子は、その中またはその上に固着しまたはひっかかる可能性がある。
【0057】
そのような衝突の可能性を、その発生の前に検出することが望ましい可能性があり、そのために、本発明によれば、検出システム310が、画像形成ステーション212の上流に設けられる。検出システム310は、画像形成ステーション212の要素とのすべての潜在的な将来の衝突の前に、異物のすべての粒子301を検出するように構成されることが好ましい。検出システム310は、より好ましくは、少なくとも衝突の所定の強度を有し、画像形成ステーション212の要素との衝突の所定の確率を有するそのような異物の粒子301をすべて検出するように構成され、さらに、異物の粒子301が、衝突予防アクションまたは衝突回避アクションを講じるのに間に合って検出されるように構成される。
【0058】
図3では、検出システム310が、上流ローラー242の上流の位置L1に配置される(少なくとも、検出システム310の要素がITM 210上の位置L1に面していることを意味する)ことがわかる。他の実施形態では、検出システムは、ITM 210が上流ローラー242に出会い、ITM 210が垂直であり、ITM 210に対する法線ベクトルが水平である、位置L2に配置される。ITM 210が張力を受ける傾向があり、この張力が、ITM 210自体の表面またはその上の処理2030製剤の薄いコーティング内の不規則性を平らにならす可能性があり、この不規則性が、そうでなければ異物の有効な検出を複雑にする可能性があるので、ITM 210がローラーと接触する位置で異物を検出することが望ましい可能性がある。いくつかの代替実施形態では、検出システムは、印刷方向で上流ローラー242の回りに90°時計回りの位置L3すなわち、ITM 210が水平になり、ITM 210に対する法線ベクトルが垂直である、上流ローラー242上の位置に配置される。他の代替実施形態では、検出システムは、上流ローラー242の下流で画像形成ステーション212の上流の位置L4に配置される。
【0059】
検出システム310に面するITM 210上の位置を、本明細書では「検出位置」と称する。検出システム310が検出要素(
図3には図示せず)を含む実施形態では、用語「検出位置」は、具体的には、検出要素に面するITM上の位置を指す。
【0060】
図4Aは、下流を見、ITM 210の画像担持面を「下に」見る、「上」から「右」への透視図を含み、用語「上」および「下」は、ITM 210が検出システム310eの区域内で局所的に水平である非限定的な例に関して相対的に使用される。この図が示すように、この透視図は、X軸、Y軸、およびZ軸によって画定され得、X軸およびZ軸は、床(図示せず)に平行であり、お互いに直交し、一緒に平面を画定し、y軸は、その平面に直交する。したがって、本明細書で使用される「水平」は、床と平行であるx-z平面内またはx-z平面上に配置されるという意味を有し、本明細書で使用される「垂直」は、Y方向に、具体的にはX-Z平面に直交して配置されるという意味を有する。上で議論したように、ITM 210は、検出システム(たとえば、検出システム310e)の区域内で局所的に水平または局所的に垂直とすることができる。ここで、他のすべての透視
図4B、
図5、
図6A、
図6C、
図7、
図8A、および
図17Bが、それぞれの実施形態を示すのにこの同一の透視法を利用することに留意されたい。
【0061】
図4Aに示された実施形態では、検出システム310は、細長く、クロスプリント方向に向けられ、
図4Cに示されているようにその間のギャップG2を伴ってITM 210に隣接する近接エッジ421を有して変位されたブレード410を含む機械検出システム310eを含む。ブレード410のそれぞれのエッジは、さまざまな図面で平坦または曲げられるものとして図示されているが、これらの形状に重要性はなく、ブレード410のエッジは、任意の形状を有することができる。検出位置が、ITM 210が垂直である位置になるように選択され、たとえば、機械検出システム310eが、位置L1または位置L2(
図3に示されている)のいずれかに面して位置決めされる場合には、
図4Cに示されているように、異物による衝撃が全くない印刷システムの通常動作中に水平になるブレード410 そうではなく、検出位置が、ITM 210が水平である位置になるように選択され、たとえば、機械検出システム310eが、位置L3また配置L4(
図3に示されている)のいずれかに面して位置決めされる場合には、
図4Cに示されているように、ブレード410は、異物による衝撃が全くない印刷システムの通常動作中に垂直になる。
図4Aに示されているように、ブレード410の幅は、ITM 210の幅の大部分に沿って延び、
図4Bに示されているように、ブレード410は、隣接するブレード410の各対の間にギャップG4を有する、ITM 210の幅にまたがって並んで提供される複数の隣接するブレード410を含むことができる。いくつかの実施形態では、ギャップG4を除くすべてのブレード410の総幅は、ITM 210の幅の少なくとも99%である。いくつかの実施形態では、ギャップG4を除くすべてのブレード410の総幅は、ITM 210の幅の少なくとも99.5%である。いくつかの実施形態では、ギャップG4を除くすべてのブレード410の総幅は、ITM 210の幅の少なくとも99.7%である。
【0062】
ブレード410は、好ましくは「フローティング・ブレード」である。これは、ブレード410が、ITM 210によって搬送される異物の粒子301によって、近接エッジ421またはブレード401の面上で近接エッジ421の近く(たとえば、
図5Aの点P1)で打たれる場合に、近接エッジ421の回転運動が相対的に制約されないことを意味する。
【0063】
図5Aは、ITM 210の表面に隣接しまたはこれに面し、
図7Cに示されているように、その間のギャップG2だけそこから変位された近接エッジ421を有するフローティング・ブレード410の非限定的な例を示す。
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dのすべてが、便宜のみのために局所的に垂直であるものとしてITM 210を、水平であるものとしてブレード410を示し、いくつかの実施形態では、その逆が真であり、したがって、これらの図に示された主要な要素の相対方向が、図示されるさまざまなシステム要素の構造的 および機能を例示するのみのためのものであることを理解されたい。図のように、ブレード410は、硬いフレーム要素415aに固定して設置されたピボット機構411に配置されて、矢印414によって示される自由度を伴ってピボット回転可能である。
図5Aが立面図であることを考慮して、当業者は、これから説明するように、矢印414が、印刷方向2012のベクトルに直交し、ITM 210の幅次元に平行である軸の回りでのピボット回転または回転を示すことを理解しよう。
図5Aは、印刷方向2012が、Y方向で上向きであると理解され得るように、X-Y軸を示す(このX-Y軸は、
図5Aの展望では、
図5aが2次元投影なので見ることのできないZ軸をも含むものとして図示されている)。ブレード410の断面が、末端エッジ422から近接エッジ421までX方向で長さ方向に延び、ブレード410の厚さが、Y方向に示されていることがわかる。したがって、ブレード410の幅は、必然的にZ方向(図示せず)にある。同様に、ITM 210の幅は、Z方向にあり、ピボット機構411の回りのブレード410の回転軸は、同様にZ方向に配置されている。したがって、ピボット軸は、ブレード410の幅を横切って延びる。他の実施形態(図示せず)では、ピボット機構411は、硬いフレーム要素415aの一体の部分、たとえば、この図では別々の要素として図示されているピボット機構411と同一の配置および機能を有する金属などの、硬いフレーム要素415a材料の細長いスパイクまたは細長い三角形とすることができる。
【0064】
ピボット機構411は、図面に便宜上示された鋭い三角形頂部のエッジを有することができ、あるいは、たとえば、ブレード410が上で自由度矢印414に関して説明したようにその上で自由にピボット回転する限り、丸められたエッジとすることができる。ブレード410の末端エッジ422は、リンク手段416によって硬いフレーム要素415bにリンクされ、リンク手段416は、この例では引張りばねを含む。リンク手段416は、位置、長さ、および張力を含むその静止構成(異物とブレード410との間の衝撃が全くない印刷システムの通常動作中を意味する)で、ブレード410の水平状態を保ち、その近接エッジの正確な垂直位置を画定するように働く。いくつかの代替実施形態で、リンク手段416は、気圧抵抗ピストンおよびシリンダ(図示せず)を含むことができる。リンク手段416は、上向きの力がブレード410の近接421エッジに印加される場合に、ブレード410の末端エッジ422の下向きの動きを制限し、減らし、または減衰させるように働く。上の議論は、リンク手段416が静止位置にある時にブレード410が水平である例を説明するのに使用されたが、当業者は、他の実施形態で、リンク手段416が、水平ではないすなわち、末端エッジ422が近接エッジ421より高いかその逆であるブレード410の位置を維持するように働くことができることを理解しよう。静止構成でのブレード410の静止の正確な角度のそのような決定は、網羅的ではなく、割り振られた空間、ブレード410の寸法、およびリンク手段416の機械的特性などのパラメータを検討する時に、システム設計者によって行われる。同様に、機械検出システム310eが、ITM 210が局所的に水平である位置に垂直に配置される場合に、ブレード410を、垂直または垂直に近い静止の角度にあるものとすることができることを理解されたい。
【0065】
ブレード410は、上向きの力(発生した場合に末端エッジの下向きの移動を減らすはずである)が近接エッジに印加される時に、持ち上がり、ピボット機構411との接触を失うことができなくなるように構成されることが好ましい。たとえば、ブレード410の重さを、このために調整することができ、あるいは、追加の重さを、ブレードに、全体的に、またはその代わりにピボット機構411の区域に沿って局所的に追加することができる。代替案では、ブレード410は、矢印414によって示される方向にピボット回転する自由をブレード410に与えるが、所望の範囲内の回転運動を制限しない形で、ピボット機構411に接続され得る。この接続(図示せず)は、網羅的ではなく、釘、リベット、ボルト、ねじ、鋼線係蹄、抑制ブラケット、またはベアリングを含む、任意の既知の機械コネクタを含むことができる。代替案では、ブレード410は、たとえば硬いフレーム要素415bなどの硬いフレーム要素に固定して取り付けられた機械部材(図示せず)によってピボット機構411の上に「抑え込」まれ得る。
【0066】
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dに示された検出システム310eは、ITM 210の表面からの粒子301、302の伸張量H
301(すなわち、ITM 210が水平である場合に表面の「上の」「高さ」と呼ばれる、
図5AでH
301として示された寸法)が、ブレード410の近接エッジとITM 210の表面との間のギャップG2の値より大きい場合に、矢印2012によって示される方向でITM 210によって搬送される異物の粒子301、302が、ブレード410の近接エッジに衝撃を与えるように構成される。
図5Bに示されているように、異物の粒子302は、ギャップG2より小さく、ブレード410に衝撃を与えずにブレード410を通過するが、より大きい粒子301は、G2より大きく、ブレード410に衝撃を与える。したがって、ギャップG2の値すなわち、ITM 210の表面へのブレード410の近接は、G2の値より小さい、ITM 210の表面から突き出す異物粒子が、印刷ヘッド222と衝突しない、衝突する可能性が低い、または衝突する可能性が極端に低く、「無視」できるとの仮定に少なくとも部分的に基づく設計選択であることがわかる。
【0067】
図5Aまたは
図5Bより後刻の検出システム310eを示す
図5Cでは、異物の粒子301が、ブレード410の近接エッジ421に衝撃を与え、ブレード410にピボット機構411上でピボット回転させ、「反時計回りの」(この非限定的な図示された例に関して)回転力をブレード410に与え、ブレード410の末端エッジ422の下向きの移動を引き起こしたことがわかる。リンク手段416は、末端エッジ422の下向きの移動を制限するか減衰させ、その結果、ブレード410の末端エッジ422に衝撃を与える異物の粒子301によって引き起こされる末端エッジ422の下向きの移動は、衝撃の強度に応じてその範囲を制限される。
【0068】
諸実施形態によれば、機械検出システムは、たとえばITMによって搬送された異物がブレードに衝撃を与え、これにピボット回転させた後に、ブレードの方位を識別し、かつ/またはブレードのたわみを検出する、ブレード方位検出器を含む。ブレード方位検出器は、機械要素、磁気要素、光学要素、電子要素、およびソフトウェア要素の任意の組合せを含むことができる。ブレード方位検出器の機械構成要素の例が、リミット・スイッチである。
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dの非限定的な例に示されているように、機械検出システム310eは、さらに、ブレード410の末端エッジ422によって物理的に接触される時に電流をオンに切り替えまたは促進するように構成されたリミット・スイッチ412を含むことができる。正しく設計された機械検出システム301eでは、リミット・スイッチ412およびシステムの他の構成要素は、印刷ヘッドとの粒子301の潜在的な将来の衝突を予防するアクションの実行を保証するために、リミット・スイッチ412が、十分な強度の衝撃(異物の粒子301と近接エッジ421との間の)の結果として末端エッジ422によって接触されるようになるように構成される。リミット・スイッチ412によってオンに切り替えられまたは促進される電流を使用して、下で説明するように、アクションを自動的に実行することができる。適切なリミット・スイッチ412の例は、電子産業および機械産業で既知の「Micro Switch(商標)」製品などのミニチュア・スナップアクション・スイッチである。用語マイクロ・スイッチは、本明細書では、リミット・スイッチまたはスナップアクション・スイッチなどの他の既知の用語と交換可能に使用され、物理的な力によって、たとえば、ティッピングポイント機構の使用を介して作動される任意の電気スイッチを意味する。
【0069】
最小衝突強度「INTMIN」は、本明細書では、印刷ヘッドへの損傷を引き起こす可能性を有する、異物と印刷ヘッドとの間の最小衝突強度を意味するのに使用される。最小衝突強度INTMINは、運動量または力のいずれかを表しまたはこれによって計算され得、その値は、システム設計者によって計算され、またはその代わりに、試行錯誤を介してもしくは事実の後に経験的に決定され得る。たとえば、設計者は、2メートル毎秒の速度で移動する(すなわち、ITMによって搬送される)5ミリグラムの質量を有する異物の粒子による印刷ヘッドとの衝突から生じる衝突強度が、印刷ヘッドに損傷を与える可能性がある最小衝突強度になると計算し、または判定することができる。この粒子は、10mg-m/secの運動量を有する。この粒子が、静止している印刷ヘッドを打ち、1ミリ秒で0の速度まで減速する場合に、粒子に作用する停止力は、10g-m/sec/secになるはずである(単純化された例のために、これは、粒子および印刷ヘッドの両方の変形の影響を無視し、印刷ヘッドが移動しないと仮定するものである)。したがって、この例の最小衝突強度INTMINを、10mg-m/secの粒子運動量または10g-m/sec/secの衝突力のいずれかとして表現することができる。異物とブレード410の近接エッジ421などの検出器または検出要素との間の衝撃の強度を使用して、異物と印刷ヘッドとの間の潜在的な将来の衝突の強度を予測することができ、したがって、INTMINは、将来の衝突を回避しまたは予防するためのアクションをトリガしなければならない、異物の粒子301とブレード410の近接エッジ421との間の衝撃強度の最小強度を判定する際に使用され得る。
【0070】
たとえば、ブレード410にリミット・スイッチ412に接触させまたはこれを可能にし、衝突予防アクションをトリガするためのINT
MINから導出された最小衝撃強度が、印刷ヘッド損傷を与えるはずの実際の理論的なまたは経験的な最小衝突強度より小さい衝撃強度にセットされるように、安全係数をとることができることは、当業者に明白である。したがって、
図5Cおよび
図5Dに関連して議論される最小衝撃強度は、所望の安全マージンに応じて、異物の粒子が印刷ヘッドへの損傷を引き起こすのに実際に必要な運動量または衝突力(すなわち、INT
MIN)の2/3、1/2、1/3、または任意の他の分数とすることができる。
図5AのH
301などの異物の伸張量が、検出器(ブレード410の近接エッジ421)とITM 201の表面との間のギャップG2より大きい場合に限って、衝撃が発生することが、当業者によって理解されよう。
【0071】
リンク手段416は、最小衝突強度定数INT
MIN以上の強度を有する衝撃が、末端エッジが接触点C1でリミット・スイッチ412に接触し、これをアクティブ化する範囲まで末端エッジに下向きに移動させるように、かつ、INT
MIN未満の強度を有す衝撃が、末端エッジがリミット・スイッチ412に接触し、これをアクティブ化する範囲まで末端エッジに下向きに移動させない(あるいは、いくつかの実施形態では、末端エッジが下向きに移動するのを予防する)ように、構成されることが好ましい。これは、たとえば、長さおよび張力の適切な特性を有する引張りばねを選択することによって達成することができる。図面からわかるように、
図5Cの衝撃強度は、INT
MIN未満であり、ブレード410の末端エッジは、接触点C1でリミット・スイッチ412に接触しないが、
図5Dでは、衝撃強度は、INT
MINを超え、ブレード410の末端エッジは、接触点C1でリミット・スイッチ412に実際に接触する。
【0072】
図6Aは、粒子301が画像形成ステーション212に達する前に有効になるはずの衝突予防応答を保証しまたはトリガするために、検出システム310が、ミニチュア・レーザー送信器151と、ミニチュア・レーザー受信器152と、それぞれの土台155aおよび155bと、レーザー送信器151およびレーザー受信器152からの信号を処理し、回転するITM 210によって搬送される時にレーザー・ビーム154に割り込みまたはトラバースする異物の粒子301が、粒子301の搬送速度と一緒に考慮される時に十分なサイズおよび質量を有するかどうかを計算する事前にプログラムされた電子回路網160とを含むレーザーベースの検出システム310aを含む、実施形態を示す。この実施形態では、レーザー・ビーム154は、ITM 210の表面に平行であり、ITM 210の幅をトラバースし、
図6Bに示された高さまたはギャップG2だけITM 210から変位される。この実施形態での適切なレーザー・ビーム検出システムの例は、米国イリノイ州アイタスカのKeyence Corporation of Americaから市販されているLV-S71およびLV-S72 Small Beam Spot Thrubeamレーザー・センサである。本明細書の実施形態のいずれにおいても、ギャップG2は、G1以上またはG1より多少小さいサイズの異物粒子301の印刷ヘッド223との将来のまたは潜在的衝突を予測するために、印刷ヘッド223とITM 210との間のギャップの特徴を表すギャップG1より小さいことが好ましい。たとえば、ギャップG2の値を、G1の値の50%を超えない、70%を超えない、または90%を超えないようにセットすることができ、あるいは、その代わりに、G1の値の少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも90%にセットすることができる。
【0073】
図6Cに示された代替実施形態では、レーザー検出システム310bは、粒子301が画像形成ステーション212に達する前に有効になるはずの衝突予防応答を保証しまたはトリガするために、ミニチュア・レーザー送信器151と、土台155aと、レーザー反射器153と、レーザー送信器151からの信号を処理し、回転するITM 210によって搬送される時にレーザー・ビーム154に割り込みまたはトラバースする異物の粒子301が、粒子301の搬送速度と一緒に考慮される時に十分なサイズおよび質量を有するかどうかを計算する事前にプログラムされた電子回路網160とを含むことができる。この実施形態での適切なレーザー検出システムの例は、米国イリノイ州アイタスカのKeyence Corporation of Americaから市販されているLV-S61 Small Beam Spot Retro-Reflectiveレーザー・センサである。
【0074】
一例では、ブレード方位検出器は、カメラおよび画像処理ソフトウェアを含むことができる。
図7は、粒子301が画像形成ステーション212に達する前に有効になるはずの衝突予防応答を保証しまたはトリガするために、検出システム310が、1つまたは複数の視距離カメラ163と、少なくとも1つの横土台157と、対向する土台157aと、1つまたは複数のカメラ163からの画像を処理し、1つまたは複数のカメラ163によってイメージングされた異物の粒子301が、ITM 210上での粒子301の搬送速度と一緒に考慮される時に十分なサイズおよび質量を有するかどうかを計算する事前にプログラムされた電子回路網161とを含む視覚カメラ・システム310cを含む実施形態を示す。この図からわかるように、1つまたは複数のカメラ163を、ITM 210の移動する表面をイメージングするようにITM 210の横に展開することができ、それに加えてまたはその代わりに、1つまたは複数のカメラを、カメラ163の取込角度およびITM 210の幅を考慮に入れた距離で、移動するITM 210に対向してまたはこれに面して展開することができ、イメージング・システムの当業者には、ITM 210のカバレージを、複数のカメラ163の間で幅方向に分割して、カメラをITM 210のより近くに配置することを可能にすることができることが明白である。この実施形態の適切なカメラの例は、米国マサチューセッツ州ナティックのCognex Corporationから市販されているIn-Sight(登録商標)Micro 8000シリーズ・スマート・カメラである。本明細書で言及する視覚カメラは、静止画像および/または動画を記録することができる。
【0075】
図8Aおよび
図8Bに示された別の実施形態では、検出システム310は、たとえば調整可能な弦取付要素158aおよび158bによって張力の下で保持される柔軟な部材を含む弦164を含む音響ベースの検出システム310dを含む。弦164は、たとえばナイロンもしくは鋼などの単一の材料または、第1の材料、たとえば銅合金がたとえば鋼もしくはナイロンなどのコア材料の回りに巻き付けられる複数の材料を含むことができる。弦164は、その代わりにまたはそれに加えて他の材料を含むことができ、材料選択の目的は、回転するITM 210によって搬送される異物の粒子301によって打たれた時の所望のピッチまたはピッチの範囲および所望の振幅または振幅の範囲での振動である。
図8Bに示されているように、弦は、取付要素158aおよび158bがITM 210の両側に配置されるように、幅方向にITM 210にまたがって、その間のギャップG2を伴ってITM 210の表面から変位されることが好ましい。音響ベースの検出システム310cは、粒子301が画像形成ステーション212に達する前に有効になるはずの衝突予防応答を保証しまたはトリガするために、マイクロホン165と、弦164によって生成されたトーンを処理し、回転するITM 210によって搬送される時に弦164に衝突する異物の粒子301が、粒子301の搬送速度と一緒に考慮される時に十分なサイズおよび質量を有するかどうかを計算する事前にプログラムされた電子回路網162とをさらに含むことが好ましい。
【0076】
ここで
図9を参照すると、いくつかの実施形態で、印刷システムを動作させる方法は、
a)ステップS01 液滴付着によってITM 210の表面にインク画像を形成することと、
b)ステップS02 印刷ステーションに向かってインク画像を搬送することと、
c)ステップS03 インク画像を基板に転送することと、
d)ステップS04 回転するITMによって運ばれる異物の存在を検出することと、
e)ステップS05 S04での検出に応答してアクションを実行することによって、異物と印刷ヘッドとの間の潜在的衝突を予防することと
を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、この方法のステップのすべてが必要とは限らない。
【0078】
いくつかの実施形態では、ステップS04は、レーザー検出器システム、視覚カメラを含む画像処理システム、音響検出システム、および機械検出システムのうちの少なくとも1つを含む検出システムによって実行される。適切なレーザー検出器システムの例は、上で
図6A、
図6B、および
図6Cに関して議論した。視覚カメラを含む適切な画像処理システムの例は、上で
図7に関して議論した。適切な音響検出器システムの例は、上で
図8Aおよび
図8Bを参照して議論した。適切な機械検出システムの例は、上で
図4A、
図4B、
図4C、
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dに関して議論した。
【0079】
いくつかの実施形態で、ステップS05は、異物の検出と、印刷ヘッドの位置または印刷ヘッドに面するITM 210上の点への異物の到着との間に経過する時間の長さである許容可能応答時間内に衝突回避アクションを実行することを含む。潜在的衝突の予防のこの許容可能応答時間は、ITMの回転速度ならびに、検出位置(異物の存在が検出される)と印刷ヘッド(または印刷ヘッドに面するITM表面上の上流位置)との間のITM表面に沿った距離によって定義される。応答時間は、1秒未満、500ミリ秒未満、または200ミリ秒未満とすることができる。
【0080】
図10では、上で
図9を参照して議論したものなどの印刷システムを動作させる方法が、印刷ヘッドとの潜在的衝突の予想される強度が、最小衝突強度INT
MINの所定のしきい値を超えるか否かの計算、判定またはデザインインされた合否Q1を含むことができ、その結果に応じて、この方法は、ステップS09の応答なしすなわち、潜在的衝突を予防するアクションを実行しないことまたはその代わりにステップS05の衝突予防アクションの実行を含むことができることがわかる。計算または判定は、上で
図6A、
図6B、
図6C、
図7、
図8A、および
図8Bを参照して議論したものなどのプログラムされた命令を含む電子回路網を含む検出器システムによって実行することができる。潜在的衝突の予想される強度が所定のしきい値を超えるか否かのデザインインされた合否は、上で
図4A、
図4B、
図4C、
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dを参照して議論したブレード410を含む検出システムの議論を参照して解決することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、潜在的衝突を予防するステップS05は、異物が印刷ヘッドに衝突できる前に印刷ヘッドを上げることを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、潜在的衝突を予防するステップS05は、異物が印刷ヘッドではなく代理物と衝突するようにするために、印刷ヘッドの上流の位置に代理物を移動することを含む。
【0083】
図11は、印刷ヘッドを動作させる方法が、
a)ステップS11 液滴付着によってITM 210の表面にインク画像を形成することと、
b)印刷ステーションに向かってインク画像を搬送するステップS12と、
c)基板にインク画像を転送するステップS13と、
d)検出要素と回転するITMによって搬送される異物との間の衝撃を検出するステップS14と、
e)少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することによって衝撃検出に応答するステップS15と
を含む実施形態を示す。
【0084】
いくつかの実施形態では、この方法のステップのすべてが必要とは限らない。
【0085】
検出要素と回転するITM 210によって搬送される異物との間の衝撃を検出するステップS14の実行に適切な装置の例は、上で
図4A、
図4B、
図4C、
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dに関連して議論した実施形態のいずれかである。
【0086】
いくつかの実施形態で、ステップS15は、異物の検出と、印刷ヘッドがITMから離れて持ち上げられる前の印刷ヘッドの位置または印刷ヘッドに面するITM上の点への異物の到着との間に経過する時間の長さ以内に衝突回避アクションを実行することを含む。潜在的衝突の予防のこの許容可能応答時間は、ITMの回転速度ならびに、異質の存在が検出される位置と印刷ヘッドまたは印刷ヘッドに面するITM表面上の上流位置との間のITM表面に沿った距離によって定義される。応答時間は、1秒未満、500ミリ秒未満、または200ミリ秒未満とすることができる。
【0087】
図12では、上で
図11を参照して議論したものなどの印刷ヘッドを動作させる方法が、印刷ヘッドとの潜在的衝突の予想される強度が、最小衝突強度INT
MINの所定のしきい値を超えるか否かのデザインインされた合否Q2を含むことができ、その結果に応じて、この方法が、ステップS19の応答なしすなわち潜在的衝突を予防するアクションを実行しないこと、またはその代わりにステップS15の衝突予防アクションの実行を含むことができることがわかる。潜在的衝突の予想される強度が所定のしきい値を超えるか否かのデザインインされた合否は、上で
図4A、
図4B、
図4C、
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dを参照して議論したブレード410を含む検出システムの議論を参照して解決することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、潜在的衝突を予防するステップS15は、異物が印刷ヘッドに衝突できる前に印刷ヘッドを上げることを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、潜在的衝突を予防するステップS15は、異物が印刷ヘッドではなく代理物と衝突するようにするために、印刷ヘッドの上流の位置に代理物を移動することを含む。
【0090】
ここで
図13Aおよび
図13Bを参照すると、検出システム310e、たとえば
図4A、
図4B、
図4C、
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dに示されたシステムのいずれかを含む、印刷システム100のいくつかの構成要素の実施形態が示されている。検出システム310eは、ブレード410の近接エッジ421が反対の位置L2に来るように配置される。
図13Aは、異物の粒子301が、まだ検出位置L2の上流にあり、ブレード410がまだ水平である時刻=T
1でのシステムの状況を示す。
図13Bは、粒子301が、ブレード410の近接エッジに衝撃を与え、ブレード410にピボット回転させ、さらに、衝撃の後にITM 210によって搬送され続ける粒子301が、印刷ヘッド223との衝突が潜在的に発生するはずの位置に達した後の時刻=T
2でのシステムの状況を示す。衝撃の強度が、
図5Dに示された例と同様に、INT
MINより大きかったので、その強度は、ブレード410の末端エッジ422が、リンク手段416の抵抗に打ち勝ち、接触点C1でマイクロ・スイッチ412に接触するのに十分であった。
【0091】
マイクロ・スイッチ412との接触は、
図12のステップS14の衝撃の検出の、Q2すなわちデザインインされた合否「衝撃の強度はしきい値INT
MINを超えるか」が肯定で回答される表示の例である。
図12のステップS15による衝突予防アクションは、T
2の前にすなわち、粒子301(ブレード410に衝撃を与えた)が印刷ヘッド223に達する時に終了する許容可能応答時間の終りの前に実行されている。実行された衝突予防アクションは、異物が印刷ヘッドと衝突できる前に印刷ヘッド223と共に印刷バー222を上げることを含んだ。印刷ヘッド223とITM 210との間のギャップは、もはや
図13AのようにG1と等しくはなく、G1より大きいG3である。一例では、G1は1mmであり、G3は15mmである。別の例では、G1は2mmであり、G3は4mmと10mmとの間である。さらに別の例では、G1は800ミクロンであり、G3は8mmである。この図に示された実施形態では、印刷バー・フレーム225が、衝突予防アクションの一部として印刷バー222のすべてを同時に持ち上げるのに使用された。代替実施形態(図示せず)では、特定の印刷システムの設計で衝突を予防するのに十分である場合に、1つまたは複数の個々の印刷バー222を、上で説明したものと同一の形で持ち上げることができる。
【0092】
図14Aに示された実施形態では、本明細書で議論される検出のためにさまざまな実施形態に設けられる事前にプログラムされた電子回路網160は、印刷バー・フレーム225を上げることによって印刷バー222を持ち上げるように構成された電気アクチュエータ229と電気通信している。したがって、計算または判定が事前にプログラムされた電子回路網160によって行われ、たとえば
図10を参照して議論されたデザインインされた合否Q1「衝突の強度はしきい値INT
MINを超えるか」が肯定的に解決され、
図10のステップS05のように異物と印刷ヘッドとの間の潜在的衝突を予防することが望まれる時に、電気アクチュエータ229は、ITM 210の表面からより遠くに、たとえばG3の所定の距離まで印刷ヘッド223を持ち上げるのに使用され得る。
図14Aのこの議論で、選択される検出システム310a、310b、310c、または310dのそれぞれの実施形態に応じて、事前にプログラムされた電子回路網160を事前にプログラムされた電子回路網161または事前にプログラムされた電子回路網162に置換できることが明白である。
【0093】
図14Bに示された実施形態では、本明細書で議論される衝撃検出のためのさまざまな実施形態に設けられるリミット・スイッチ412は、印刷バー・フレーム225を上げることによって印刷バー222を持ち上げるように構成された電気アクチュエータ229と電気通信している。したがって、たとえば、
図12を参照して議論したデザインインされた合否Q2「衝突の強度はしきい値INT
MINを超えるか」が、上で議論したようにリミット・スイッチ412が接触点C1でブレード410によって接触されたという点で肯定的に解決され、
図12のステップS15のように少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することによって衝撃検出に応答することが望まれる時に、電気アクチュエータ229は、ITM 210の表面から遠くに、たとえばG3の所定の距離まで印刷ヘッド223を持ち上げるのに使用され得る。
【0094】
上の実施形態のいずれにも適切な電気アクチュエータの例は、カナダ国ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドのProgressive Automationsから入手可能なモデルPA-15 High-Speed Linear Actuatorである。しかし、応答時間内に衝突予防アクションを実行することのできる任意の高速アクチュエータが適当である。当業者は、許容される応答時間内に印刷バーを有効に持ち上げるのに、複数の電気アクチュエータが必要になる場合があることと、気圧アクチュエータが電気アクチュエータを置換できることとを理解しよう。さらに、ピストン・アクチュエータの使用が、一例として開示される設計選択であり、印刷バーを効果的に持ち上げる複数の可能な形のうちの1つにすぎず、任意の形の機械的装置を設計して、許容される応答時間内に印刷バーをすばやく持ち上げるという同一の結果を達成できることは、システム設計者に明白である。
【0095】
図15は、印刷システムを動作させる方法が
a)ステップS21 検出システムのブレード要素と回転するITMによって搬送される異物との間の衝撃を検出することと、
b)ステップS22 印刷ヘッドとの潜在的衝突の予想される強度が最小衝突強度の所定のしきい値INT
MINを超えるか否かのデザインインされた合否Q6の肯定の解決を条件として、異物が印刷バーに達するのに要する時間より短い時間内にITMから に 離れて印刷バーを持ち上げることによって衝撃検出に応答することであって、これによって、合否Q6の否定の解決の場合にこの方法がステップS29の非応答を含む、衝撃検出に応答することと、
c)ステップS23 印刷ヘッドとの潜在的衝突の予想される強度が、さらなる応答衝突予防アクションを必要とする最大衝突強度の所定のしきい値INT
MAXを超えるか否かの判断Q7に対する肯定の解決を条件として、ITMの回転を停止することによって衝撃検出にさらに応答することであって、これによって、判断Q7の否定の解決の場合にこの方法がステップS30のさらなる応答なしを含む、衝撃検出にさらに応答することと
を含む実施形態を示す。
【0096】
いくつかの実施形態では、この方法のステップのすべてが必要とは限らない。
【0097】
いくつかの実施形態では、ITMの回転を停止することによって衝撃検出にさらに応答するステップS23は、判断Q7の解決に関するオペレータ判断に少なくとも部分的に基づくものとすることができる。
【0098】
図15の方法は、機械検出システム310fのブレード410の回転運動が、視距離カメラ191によってイメージングされ、カメラ191によって取り込まれた画像が、事前にプログラムされた電子回路網167によって処理される実施形態のセットを示す、
図16A、
図16B、
図16C、および
図16Dの以下の議論に鑑みて、よりよく理解され得る。したがって、
図16A、
図16B、
図16C、および
図16Dのカメラ191および電子回路網167は、
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dのリミット・スイッチ412を置換するが、他の図示の構成要素のすべては、構造的および動作的に同一である。
【0099】
図16Aでは、機械検出システム310fは、衝撃を「待っており」、異物の粒子301は、印刷方向すなわち、画像形成ステーションとその印刷バーおよび印刷ヘッドと(すべて
図16Aには図示せず)に向かってITM 210搬送されているものとして見ることができる。
【0100】
図16Bは、
図16Aより後の時刻の機械検出システム310fを示し、異物の粒子301が、ブレード410の近接エッジ421に衝撃を与え、ブレード410にピボット機構411上でピボット回転させ、ブレード410に「反時計回り」回転力を与え、水平の下のθ
1の角度へのブレード410の末端エッジの下向き移動を引き起こしたことがわかる。リンク手段416は、最小衝突強度定数INT
MIN以上の強度を有する衝撃が、カメラ191および事前にプログラムされた電子回路網167による末端エッジ422の検出が応答衝突予防アクションをトリガする範囲まで末端エッジ422が下向きに移動することを可能にするように構成されることが好ましい。
【0101】
図16Bでは、衝撃強度がINT
MIN未満である。INT
MINは、上で説明され、ここでは同一の意味および目的を有する。
図16Bの例では、カメラ191は、水平からθ
1の角度だけピボット回転されたブレード410の画像を取り込み、電子回路網167は、θ
1の角度のピボット回転が、INT
MIN未満の強度を有する衝撃を表す、すなわち、
図15のQ6が、否定に解決され、「応答」ステップS22ではなく「応答なし」ステップS29が実行されるとの設計情報を事前にプログラムされる。
【0102】
図16Cは、ブレード410との粒子301の衝撃が
図16Bの衝撃より大きい強度を有するシナリオを示す。これは、より大きい(
図16Bより)回転角度θ
2(すなわち、θ
2>θ
1)によって証明され、実際に、この角度がカメラ191によって取り込まれる時に、電子回路網167は、たとえば角度および衝撃強度の事前にプログラムされたルックアップ・テーブルを使用することによって、このシナリオの衝撃が、INT
MINを超える強度を有し、したがって、
図15のQ6が肯定に解決されると判定する。このルックアップ・テーブルは、角度θ
2がINT
MAX未満の衝撃強度を示し、したがって、
図15のQ7を否定に解決し、「さらに応答する」ステップS23ではなく「応答なし」ステップS30が実行されると判定するのにさらに使用され得る。INT
MAXは、衝突の時の粒子の運動量または衝突の力に基づいて計算される別の値であり、画像形成ステーションの構成要素に対するより深刻なレベルの損傷を引き起こす可能性が高い衝突を示す。
【0103】
図16Dは、ブレード410との粒子301の衝突が
図16Bおよび
図16Cのいずれの衝撃よりも大きい強度を有するシナリオを示す。これは、さらに大きい回転角度θ
3(すなわち、θ
3≧θ
2)によって証明され、実際に、この角度がカメラ191によって取り込まれる時に、電子回路網167は、たとえば角度および衝撃強度の事前にプログラムされたルックアップ・テーブルを使用することによって、このシナリオの衝撃が、INT
MINより大きく(したがって、
図15のQ6を肯定に解決する)、INT
MAXより大きい(したがって、
図15のQ7を肯定に解決する)強度を有すると判定する。
【0104】
図16A、
図16B、
図16C、および
図16Dに示された実施形態の事前にプログラムされた電子回路網167は、たとえば印刷バー・フレーム225を上げることによって印刷バー222を持ち上げるように構成された
図14Aの電気アクチュエータ229に電気インパルスを供給することによって、応答衝突予防アクションをトリガするように構成され得る。
図14Aのどの議論においても、事前にプログラムされた電子回路網160が、選択される検出システム301のそれぞれの実施形態に応じて事前にプログラムされた電子回路網167に置換され得ることは明白である。
図16A、
図16B、
図16C、および
図16Dに示された実施形態の事前にプログラムされた電子回路網167は、たとえばITM 210の回転を自動的に停止することまたはITM 210の回転が停止されなければならないことをオペレータに示す警報を表示しもしくは鳴らすことによって、さらなる応答衝突予防アクションをトリガするようにさらに構成され得る。
【0105】
図17Aおよび
図17Bは、本明細書で開示される実施形態のいずれかによる衝突予防アクションまたは衝突回避アクションが、応答時間内に印刷ヘッド223の前(上流)に代理物307を移動し、これによって、印刷ヘッド223との異物の粒子301の衝突を予防することを含む、代替実施形態を示す。その代わりに、異物は、代理物と衝突する。これらの図に示されているように、代理物307は、好ましくは、ITM 210の移動を妨げず、ITM 210から乾燥した処理製剤2030(
図2に図示)を削らないようになるのに十分にITM 210の表面から離れ、衝撃および異物の最終的な除去を保証するのに十分に近い(好ましくはG2未満のギャップを有する)、幅方向にITM 210の表面に沿って配置された細長い部材である。
図17Aと
図17Bとの両方で、時刻がT
2であり、代理物307が、ブレード410との異物の粒子301の衝撃に応答して展開済みであることがわかる。
【0106】
図18Aは、幅方向にITM 210の表面に沿って配置された細長い部材の形の代理物307が、ITM 210の表面の上の位置に格納され(すなわち、応答衝突予防アクションを必要とする衝撃検出を「待っている」間に)、ヒンジ309の使用によってピボット回転することによって格納位置に達している代替実施形態を示す。
【0107】
図18Aに示された画像形成ステーション212の上流のITM 210のセクションの平面図である
図18Bは)細長い部材の形の代理物307が、幅方向にITM 210の表面に沿って配置され、定位置に、電気アクチュエータ(図示せず)または他の適切な機械的手段によって、ITM 210の側面から離れた貯蔵位置からITM 210幅にまたがる定位置にすばやく滑らされ、代理物307が、矢印901によって示される方向での前後移動能力を有する、他の代替実施形態を示す。いくつかの実施形態では、代理物307は、代理物と衝突した異物のすべての粒子301をITM 210の表面から除去するように構成された突起311を含み、除去は、印刷ヘッド223との潜在的衝突がそらされた(異物がその代わりに代理物に衝突することによって)後に、代理物307が、幅方向にITM 210の表面を横切って配置された状態から引っ込められる時に行われる。
【0108】
本発明を、例として提供され、本発明の範囲を限定することが意図されていない本発明の実施形態の詳細な説明を使用して説明した。説明された実施形態は、異なる特徴を含み、これらの特徴のすべてが、本発明のすべての実施形態で必要とは限らない。本発明のいくつかの実施形態は、特徴または特徴の可能な組合せのうちの一部だけを利用する。説明された本発明の実施形態の変形形態と、説明された実施形態で言及された特徴の異なる組合せを含む本発明の実施形態とを、当業者は思い浮かべよう。
【0109】
本開示の説明および特許請求の範囲で、動詞「comprise(含む)」、「include(含む)」、および「have(有する)」ならびにその同根語は、その動詞の1つまたは複数の目的語が、必ずしも、その動詞の1つまたは複数の主語のメンバ、構成要素、要素、または部分の完全なリストではないことを示すのに使用される。本明細書で使用される時に、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうではないことを明瞭に規定しない限り、複数形を含む。たとえば、用語「a marking」または「at least one marking」は、複数のmarkingを含んでもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
a.複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)と、
b.前記ITMの表面の上に配置された印刷バーを含む画像形成ステーションであって、前記印刷バーは、液滴付着によって前記ITMの表面上にインク画像を形成するように構成される、画像形成ステーションと、
c.前記インク画像をそれらが基板に転送される印刷ステーションに向かって搬送するために印刷方向において前記ITMの回転を駆動するためのコンベヤと、
d.残留物質が前記ITMの表面から洗浄される、前記画像形成ステーションの上流に配置された洗浄ステーションと、
e.液体処理製剤の層が前記ITMの表面に塗布される、前記洗浄ステーションの下流にかつ前記画像形成ステーションの上流に配置された処理ステーションと、
f.前記画像形成ステーションの上流にかつ前記印刷ステーションの下流にある検出位置で、回転するITMによって搬送される異物を検出するように構成された検出システムと、
g.前記異物と前記印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することによって、前記異物の検出に応答するために前記検出システムに動作可能に結合された応答システムであって、前記検出システムは、前記検出位置に配置された検出要素を含み、
I.前記検出システムは、(i)前記検出位置に存在しかつそれと衝突する場合は前記異物と、(ii)前記検出要素との間の衝撃の強度を定量化するように構成され、
II.前記応答システムは、前記少なくとも1つの衝突予防アクションが、前記衝撃の定量化された強度がしきい値を超えることを条件とするように構成される、
応答システムと、
を含む、印刷システム。
【請求項2】
(i)前記複数のガイド・ローラーは、前記洗浄ステーションの下流にかつ前記画像形成ステーションの上流に両方とも配置される第1のガイド・ローラーおよび第2のガイド・ローラーを含み、(ii)前記ITMは、前記第1のガイド・ローラーと前記第2のガイド・ローラーとの間に配置された垂直配向ランを含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第1のガイド・ローラーは、前記第2のガイド・ローラーの上流に配置され、前記検出システムは、前記異物が前記第2のガイド・ローラーの上または上方に配置されるときに前記異物を検出するように構成される、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記検出システムは、前記異物が前記垂直配向ランの上に配置されるときに前記異物を検出するように構成される、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷システムは、前記印刷ステーションに到達する前に前記インク画像をあらかじめ乾燥させるための乾燥ステーションをさらに含み、前記乾燥ステーションは、前記ITMの水平配向ランの上方に展開される、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記処理ステーションは、前記ITMの水平配向ランに展開される、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記処理ステーションは、前記ITMの水平配向ランの下方に配置された垂直配向ブレードを含み、前記垂直配向ブレードは、前記ITMからその水平配向ランで、前記ITMにあらかじめ塗布されている過剰な液体を除去することによって前記液体処理製剤の層を形成する、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記処理ステーションは、前記ITMの水平配向ランの下方に配置された垂直配向ブレードを含み、前記垂直配向ブレードは、前記ITMからその水平配向ランで、前記ITMにあらかじめ塗布されている過剰な液体を除去することによって前記液体処理製剤の層を形成する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記検出システムは、均衡位置において水平に配向されるブレードを含み、その検出は、垂直に動く異物が前記ブレードをその水平配向均衡位置から回転させることを条件とする、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項10】
印刷システムを動作させる方法であって、前記印刷システムは、(i)複数のガイド・ローラー上に取り付けられた柔軟なエンドレス・ベルトを含む中間転送部材(ITM)、および(ii)前記ITMの表面の上に配置された印刷バーを含む画像形成ステーションを含み、前記方法は、
a.前記画像形成ステーションで、液滴付着によって前記ITMの表面上にインク画像を形成するように前記印刷バーを動作させることと、
b.印刷ステーションで、残留物質を置き去りにするように前記インク画像を基板に転送することであって、前記方法は、全てステップ(a)の前に実行される以下のステップ:
i.前記画像形成ステーションの上流に配置される洗浄ステーションで、前記ITMの表面から、以前の印刷サイクルから残されている残留物質を洗浄することと、
ii.前記洗浄ステーションの下流にかつ前記画像形成ステーションの上流に配置された処理ステーションで、液体処理製剤の層を前記ITMの表面に塗布することと、
iii.前記画像形成ステーションの上流にかつ前記印刷ステーションの下流にある検出位置で、存在する場合は、回転するITMによって搬送される異物を検出することと、
iv.前記異物の検出の結果に応答しかつこれを条件として、前記異物と前記印刷バーとの間の潜在的衝突を予防するために少なくとも1つの衝突予防アクションを実行することであって、
I.前記検出することは、(i)前記検出位置に存在しかつそれと衝突する場合は前記異物と、(ii)前記検出要素との間の衝撃の強度を定量化することを含み、
II.前記少なくとも1つの衝突予防アクションは、前記衝撃の定量化された強度がしきい値を超えることを条件とする、
ことと、
を含むことと、
を含む、方法。
【請求項11】
(i)前記複数のガイド・ローラーは、前記洗浄ステーションの下流にかつ前記画像形成ステーションの上流に両方とも配置される第1のガイド・ローラーおよび第2のガイド・ローラーを含み、(ii)前記ITMは、前記第1のガイド・ローラーと前記第2のガイド・ローラーとの間に配置された垂直配向ランを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のガイド・ローラーは、前記第2のガイド・ローラーの上流に配置され、前記第2のガイド・ローラーの上または上方に配置されるときに、存在する場合は前記異物が検出される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のガイド・ローラーと前記第2のガイド・ローラーとの間に配置されるときに、存在する場合は前記異物が検出される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記ITMの水平配向ランの上方に展開される乾燥ステーションで、前記印刷ステーションに到達する前に前記インク画像をあらかじめ乾燥させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記液体処理製剤の層は、その水平配向ランで前記ITMに塗布される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記液体処理製剤の層の形成は、前記ITMの水平配向ランの下方に配置された垂直配向ブレードを使用して実行され、前記垂直配向ブレードは、前記ITMからその水平配向ランで、前記ITMにあらかじめ塗布されている過剰な液体を除去することによって前記液体処理製剤の層を形成する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記液体処理製剤の層の形成は、前記ITMの水平配向ランの下方に配置された垂直配向ブレードを使用して実行され、前記垂直配向ブレードは、前記ITMからその水平配向ランで、前記ITMにあらかじめ塗布されている過剰な液体を除去することによって前記液体処理製剤の層を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記検出することは、均衡位置において水平に配向される回転可能なブレードによって実行され、前記検出することは、垂直に動く異物が前記ブレードをその水平配向均衡位置から回転させることを条件とする、請求項10に記載の方法。