IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159321
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】光フェルール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/26 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
G02B6/26
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135096
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2020572641の分割
【原出願日】2019-06-28
(31)【優先権主張番号】62/691,871
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/806,146
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ハーセ,マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ジェームズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】スミス,テリー エル.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】屑による有意な整列誤差の発生を防ぐことができる光フェルールを提供する。
【解決手段】光フェルール(200)は、反対側にある主上面と主底面(20)とを有し、底面は、光フェルールの嵌合方向に沿って配置された別個の離隔された第1のプラットフォーム(90)及び第2のプラットフォーム(100)を含む。フェルールが嵌合光フェルールと嵌合中に、フェルールの第1のプラットフォームと第2のプラットフォームは、嵌合フェルールの対応するそれぞれの第1のプラットフォーム及び第2のプラットフォームに対して摺動する。フェルールが嵌合フェルール(と完全に嵌合したときは、当該フェルール及び嵌合フェルールの第2のプラットフォームは互いに接触し、かつ互いの上に静止したままとなり、どちらのフェルールの第1のプラットフォームも他方のフェルールに接触しない。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合方向に沿って第2の光デバイスに結合するように適合され、かつ、リーディングパッドとトレーリングパッドとの2つの離隔されたペアを含む、第1の光デバイスであって、前記第1の光デバイスが前記第2の光デバイスの着地面に着地して摺動し、前記第2の光デバイスに光学的に結合するようになっており、リーディングパッドとトレーリングパッドとの各ペアについて、前記リーディングパッドが、前記着地面上のいかなる屑も前記トレーリングパッドに集積するのを防ぎ、前記第1の光デバイスが前記第2の光デバイスに完全に結合したときは、前記リーディングパッドは前記着地面に接触していない、第1の光デバイス。
【請求項2】
前記第1の光デバイスが、光フェルールである、請求項1に記載の第1の光デバイス。
【請求項3】
反対側にある主上面と主底面とを備え、前記主上面が溝及び光リダイレクト面を備え、前記光リダイレクト面が、前記溝内に受け入れられ、かつ支持される光導波路から第1の方向に沿って光を受け取り、前記受け取った光を別の第2の方向に沿ってリダイレクトさせるように構成され、前記リダイレクトされた光が前記主底面を通って前記光フェルールから出て、前記主底面が、リーディングパッドとトレーリングパッドとの前記2つの離隔されたペアを含む、請求項2に記載の第1の光デバイス。
【請求項4】
前記第1の光デバイスが、光フェルールを受けるように構成された凹部を含むクレードルであり、前記凹部が、リーディングパッドとトレーリングパッドとの前記2つの離隔されたペアを含む底面を有する、請求項1に記載の第1の光デバイス。
【請求項5】
拭き取りパッドと嵌合パッドとのペアを複数含む光フェルールであって、前記光フェルールが、拭き取りパッドと嵌合パッドとのペアを複数含む嵌合光フェルールと嵌合するとき、前記光フェルール及び前記嵌合光フェルールの拭き取りパッドがそれぞれ、前記嵌合光フェルールと前記光フェルールの前記嵌合パッドを拭い、前記光フェルールが前記嵌合光フェルールに完全に嵌合したときは、前記光フェルール及び前記嵌合光フェルールの前記嵌合パッドが互いに接触する、光フェルール。
【請求項6】
前記光フェルールが前記嵌合光フェルールに完全に嵌合したときは、前記光フェルールの前記拭き取りパッドは、前記嵌合光フェルールに接触しない、請求項5に記載の光フェルール。
【請求項7】
光フェルールであって、前記光フェルールの第2の突出部と先端部との間に配置された第1の突出部を含み、
第2の突出部と先端部との間に配置された第1の突出部を含む嵌合光フェルールに嵌合するように構成されており、前記光フェルールが前記嵌合光フェルールに完全に嵌合しているときは、前記当該光フェルールと前記嵌合光フェルールの前記第2の突出部が互いに接触し、かつ互いに静止した状態となり、前記光フェルールと前記嵌合光フェルールの前記第1の突出部が前記第2の突出部の反対側に配置され、各光フェルールの前記第1の突出部が他方の前記光フェルールの主表面に接触することなく面する、光フェルール。
【請求項8】
反対側にある主上面と主底面とを備え、前記主上面が溝及び光リダイレクト面を備え、前記光リダイレクト面が、前記溝内に受け入れられ、かつ支持される光導波路から第1の方向に沿って光を受け取り、前記受け取った光を別の第2の方向に沿ってリダイレクトさせるように構成され、前記リダイレクトされた光が前記主底面を通って前記光フェルールから出て、前記主底面が、前記第1の突出部及び前記第2の突出部を含む、請求項7に記載の光フェルール。
【請求項9】
前記光フェルールが嵌合光フェルールと嵌合中に、前記光フェルールの各第1の突出部が、前記嵌合光フェルールの対応する第1の突出部に対して摺動し、それを超えて移動し、次いで、前記光フェルールの前記第1の突出部が、前記光フェルールの第2の突出部に対応する前記嵌合光フェルールの第2の突出部に対して摺動し、それを超えて移動する、請求項8に記載の光フェルール。
【請求項10】
前記光フェルールが嵌合光フェルールに完全に嵌合したときは、前記光フェルールの各第2の突出部と前記光嵌合フェルールの第2の突出部が互いに接触し、かつ、互いに静止したままとなり、いずれの光フェルールの第1の突出部も他方の前記光フェルールに接触していない、請求項9に記載の光フェルール。
【請求項11】
光フェルールであって、複数の第1のパッド及び第2のパッドが前記光フェルールの同一の第1の主表面上に配置されており、各パッドが前記第1の主表面からパッド表面に延びており、前記光フェルールが嵌合光フェルールに完全に嵌合しているときは、前記第1のパッドではなく前記第2のパッドのパッド表面が前記嵌合光フェルールの主表面に接触しており、その上に静止している、光フェルール。
【請求項12】
前記光フェルールが嵌合光フェルールと嵌合中に、前記光フェルールの各第1のパッドが、前記嵌合光フェルールの対応する第1のパッドに対して摺動し、それを超えて移動し、次いで、前記光フェルールの前記第1のパッドが、前記光フェルールの第2のパッドに対応する前記嵌合光フェルールの第2のパッドに対して摺動し、それを超えて移動する、請求項11に記載の光フェルール。
【請求項13】
前記光フェルールが嵌合光フェルールに完全に嵌合したときは、前記光フェルールの各第2のパッドと前記嵌合光フェルールの第2のパッドが互いに接触し、かつ、互いに静止したままとなり、いずれの光フェルールの第1のパッドも他方の前記光フェルールに接触していない、請求項12に記載の光フェルール。
【請求項14】
前記光フェルールが前記嵌合光フェルールに完全に嵌合したときは、前記光フェルールの各第2のパッドと前記嵌合光フェルールの対応する第2のパッドが互いに接触し、かつ、互いに静止したままとなり、前記光フェルールと前記嵌合光フェルールの対応する前記第1のパッドが前記第2のパッドの反対側に配置され、各光フェルールの前記第1のパッドが他方の前記光フェルールの主表面に接触することなく面している、請求項12に記載の光フェルール。
【請求項15】
リーディングパッドとトレーリングパッドとのペアを複数含む光フェルールであって、前記光フェルールが嵌合光フェルールと嵌合中に、前記リーディングパッドとトレーリングパッドとの各ペアについて、前記リーディングパッドが前記嵌合光フェルールの前記主表面に対して摺動して、前記主表面上のいかなる屑も前記トレーリングパッドに集積されないようにし、前記光フェルールが前記嵌合光フェルールに完全に嵌合したときは、前記リーディングパッドではなく前記トレーリングパッドが前記嵌合光フェルールの前記主表面に接触している、光フェルール。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光コネクタは、電気通信ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、データセンターリンク、及びコンピュータ装置の内部リンク、を含む様々なアプリケーションにおける光通信に使用することができる。光コネクタは、光フェルールを含むことができる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、光フェルールが提供される。光フェルールは、反対側にある主上面と主底面とを有し、主上面は、第1の溝及び光リダイレクト面を含み、主底面は、光フェルールの嵌合方向に沿って配置された別個の第1及び第2のプラットフォームを含む。光リダイレクト面は、第1の溝内に受け入れられ、かつ支持される光導波路から第1の方向に沿って光を受け取り、受け取った光を別の第2の方向に沿ってリダイレクトさせるように構成されている。リダイレクトされた光は、底面を通って光フェルールから出る。当該フェルールが嵌合光フェルールと嵌合中に、当該フェルールの第1及び第2のプラットフォームは、嵌合フェルールの対応するそれぞれの第1及び第2のプラットフォームに対して摺動する。当該フェルールが嵌合フェルールと完全に嵌合したときは、当該フェルール及び嵌合フェルールの第2のプラットフォームは互いに接触し、かつ互いの上に静止したままとなり、どちらのフェルールの第1のプラットフォームも他方のフェルールに接触していない。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、フェルールの第2の突出部と先端部との間に配置された第1の突出部を含む光フェルールが提供される。当該フェルールは、第2の突出部と先端部との間に配置された第1の突出部を含む嵌合光フェルールに嵌合するように構成され、フェルールが嵌合フェルールに完全に嵌合しているときは、当該フェルールと嵌合フェルールの第2の突出部が互いに接触し、かつ互いに静止した状態となり、フェルール及び嵌合フェルールの第1の突出部が第2の突出部の反対側に配置され、各フェルールの第1の突出部が他方のフェルールの主表面に接触することなく面する。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、フェルールの同一の第1の主表面上に配置された複数の第1のパッド及び複数の第2のパッドを含む光フェルールが提供される。各パッドは、第1の主表面からパッド表面まで延びている。当該フェルールが嵌合フェルールに完全に嵌合しているときは、第1のパッドではなく第2のパッドの表面が、嵌合フェルールの主表面に接触し、その上に静止している。
【0005】
本説明のいくつかの態様では、リーディングパッドとトレーリングパッドとのペアを複数含む光フェルールが提供される。当該フェルールが嵌合光フェルールに嵌合中に、リーディングパッドとトレーリングパッドとの各ペアについて、リーディングパッドが嵌合フェルールの主表面に対して摺動して、主表面上のいかなる屑もトレーリングパッドに集積されないようにし、当該フェルールが嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、リーディングパッドではなくトレーリングパッドが嵌合フェルールの主表面に接触している。
【0006】
本明細書のいくつかの態様では、結合方向に沿って第2の光デバイスに結合するように適合された第1の光デバイスが提供される。第1の光デバイスは、リーディングパッドとトレーリングパッドとの2つの離隔されたペアを含み、第1の光デバイスが第2の光デバイスの着地面に着地して摺動し、第2の光デバイスに光学的に結合するようになっており、リーディングパッドとトレーリングパッドとの各ペアについて、リーディングパッドは、着地面上のいかなる屑もトレーリングパッドに集積するのを防ぐ。第1の光デバイスが第2の光デバイスに完全に結合したときは、リーディングパッドは着地面に接触していない。
【0007】
本記述のいくつかの態様では、拭き取りパッドと嵌合パッドとのペアを複数含む光フェルールが提供される。当該光フェルールが、拭き取りパッドと嵌合パッドとのペアを複数含む嵌合光フェルールと嵌合するとき、当該フェルール及び嵌合フェルールの拭き取りパッドがそれぞれ、嵌合フェルールと当該フェルールの嵌合パッドを拭い、当該フェルールが嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、当該フェルール及び嵌合フェルールの拭き取りパッドと嵌合パッドが互いに接触する。
【0008】
本記述のいくつかの態様では、第1のパッドと第2のパッドのペアを複数含む光フェルールが提供される。当該光フェルールが、第1のパッドと第2のパッドとのペアを複数含む嵌合光フェルールと嵌合するとき、当該フェルール及び嵌合フェルールの第1のパッドがそれぞれ、嵌合フェルールと当該フェルールの表面に接触し、当該フェルールが嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、当該フェルールの第1ではなく第2のパッドが嵌合フェルールの表面に接触する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】光フェルールの概略上面斜視図及び底面斜視図である。
図1B】光フェルールの概略上面斜視図及び底面斜視図である。
図2図1A~1Bの光フェルールの一部分の概略切断斜視図である。
図3図1A~1Bの光フェルールの底面の一部分の概略斜視図である。
図4A】光フェルールの主底面の概略平面図である。
図4B】光フェルールの主底面の概略平面図である。
図4C】光フェルールの主底面の概略平面図である。
図5A】嵌合光フェルールに近接して配置された光フェルールの概略斜視図である。
図5B】嵌合光フェルールに嵌合した光フェルールを含む光アセンブリの概略図である。
図6A】嵌合中のある時点における、光フェルールの一部分及び嵌合光フェルールの一部分の概略切断斜視図である。
図6B】光フェルールの一部分及び当該光フェルールに完全に嵌合した嵌合光フェルールの一部分の概略切断斜視図である。
図7】光フェルールの底面に形成された凹部を通る断面の概略図である。
図8】光デバイスの底面の一部分の概略断面図である。
図9A】互いに嵌合している光デバイスと嵌合光デバイスの主表面の一部分の概略断面図である。
図9B】嵌合中の光デバイス及び嵌合光デバイスの主表面の一部分の概略断面図である。
図10A】光デバイスの主表面の一部分の概略断面図である。
図10B】フェルールと嵌合フェルールが完全に嵌合されているときの、図10Aの光フェルールの主表面の一部分及び嵌合光フェルールの主表面の対応する一部分の概略断面図である。
図11A】光フェルールの一部分の概略断面図である。
図11B】嵌合光フェルールの対応する部分に嵌合し始めている、図11Aの光フェルールの一部分の概略断面図である。
図11C】嵌合中の中間点における、図11Bの光フェルール及び嵌合フェルールの一部分を示す概略断面図である。
図11D】互いに完全に嵌合した図11Bの光フェルール及び嵌合フェルールの一部分を示す概略断面図である。
図12A】光フェルールの一部分の概略断面図である。
図12B】嵌合光フェルールの対応する部分に嵌合中の、図12Aの光フェルールの一部分を示す概略断面図である。
図12C】互いに完全に嵌合した図12Bの光フェルール及び嵌合フェルールの一部分を示す概略断面図である。
図13A】光フェルールの一部分の概略断面図である。
図13B】嵌合光フェルールの対応する部分に嵌合中の、図13Aの光フェルールの一部分の概略断面図である。
図13C】互いに完全に嵌合した図13Bの光フェルール及び嵌合フェルールの一部分の概略断面図である。
図14】互いに完全に嵌合した光フェルール及び嵌合光フェルールの一部分の概略断面図である。
図15A】クレードルの概略上面図である。
図15B】クレードルの概略上面図である。
図15C】クレードルの概略上面図である。
図16】クレードルに嵌合した光フェルールを含む光アセンブリの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0011】
光フェルールは、光ファイバを他の光ファイバに光学的に結合するために使用することができる。例えば、光フェルールに取り付けられた光ファイバは、当該光フェルールが嵌合フェルールに嵌合すると、当該嵌合光フェルールに取り付けられた光ファイバに光学的に結合することができる。光フェルールはまた、例えば、光ファイバを光集積回路(PIC)内の導波路に光学的に結合するために使用することもできる。例えば、光フェルールに取り付けられた光ファイバは、PICに装着されたクレードルに当該光フェルールが嵌合すると、PICに光学的に結合することができる。光フェルールが嵌合フェルール又はクレードルに嵌合すると、当該光フェルールの嵌合面と、嵌合フェルール又はクレードルの嵌合面は、一般的には互いに接触する。例えば、嵌合面は、例えば、嵌合方向に沿って約3mmの長さであってもよい実質的に平坦な境界面上で互いに接触してもよい。実質的に平坦な境界面に直径5マイクロメートルの単一の屑(例えば、粉塵)粒子が挟まると、約0.1度以上の角度誤差が生じる。ところが、シングルモードの拡張ビーム光相互接続デバイスは多くの場合、0.1度程度の角度誤差に敏感であり、そのような角度誤差は、例えば、有意な挿入損失を引き起こす可能性がある。本明細書のいくつかの実施形態によれば、光フェルール又は他の光デバイスの嵌合面にパッド、突出部、又はプラットフォームのペアを含むことによって、屑による有意な整列誤差の発生が防がれることが分かった。例えば、いくつかの実施形態では、光フェルールは、リーディングパッドとトレーリングパッドとのペアを複数含み、当該フェルールが対応するリーディングパッドとトレーリングパッドとのペアを複数含む嵌合フェルールに嵌合中に、リーディングパッドとトレーリングパッドの各ペアについて、当該フェルールのリーディングパッドが嵌合フェルールのトレーリングパッドに対して摺動し、嵌合フェルールのリーディングパッドが当該フェルールのトレーリングパッドに対して摺動するようになっている。いくつかの実施形態では、完全に嵌合したときは、当該フェルールの底面と嵌合フェルールの底面は、嵌合中にリーディングパッドがトレーリングパッドに対して摺動することによって屑が除去されたトレーリングパッドのみに沿って、互いに接触する。
【0012】
図1A図1Bはそれぞれ、反対側にある主上面10と主底面20とを有する光フェルール200の概略の上面斜視図及び底面斜視図である。主上面10は、溝30及び光リダイレクト面40を含む。図示した実施形態では、主上面10は、第1の方向(x方向)に沿って延び、直交する方向(y方向)に沿って配置された複数の溝30を含む。複数の溝30は、例えばV字溝、U字溝、又はY字溝であってもよい。Y字溝は、例えば、PCT出願公開第WO 2017/066022号(Haaseら)及び第WO 2017/066018号(Haaseら)に記載されている。図示した実施形態では、光リダイレクト面40は、複数の曲面部分41(例えば、光リダイレクト面40に形成された反射体)を含み、各曲面部分41は、その曲表面部分に対応する溝内に受け入れられた光導波路からの光を受け取るように配置されている。曲面部分41は、例えば、内部全反射によって反射してもよい。曲面部分を有する光リダイレクト面を有する光フェルールは、例えば、米国特許出願公開第2018/0259718号(Haaseら)に記載されている。光フェルール200の向きにかかわらず、溝30及び光リダイレクト面40を含む主表面は主上面と称されてもよく、光が通過して光フェルール200から出る主表面は主底面と称されてもよい。
【0013】
光フェルール200は先端部210及び後端部212を有する。フェルール200の先端部210は、フェルール200が嵌合フェルールに嵌合中に、嵌合フェルールに最初に接近する端部である。後端部212は、フェルールの結合方向又は嵌合方向(x方向)に沿って先端部210の反対側にある、フェルールの端部である。
【0014】
図2は、光フェルール200の一部分の概略切断斜視図である。光リダイレクト面40は、第1の溝30内に受け入れられ、かつ支持される光導波路32から第1の方向(x方向)に沿って光31を受け取り、受け取った光を別の第2の方向(-z方向)に沿ってリダイレクトさせるように構成されている。リダイレクトされた光33は、底面20を通って光フェルールから出る。いくつかの実施形態では、底面20は、底面20のより狭い前部60とより広い後部70との間に配置された窓領域50を含み、リダイレクトされた光33は、底面20の窓領域50を通って光フェルール200から出る。他の実施形態では、窓領域50は、実質的に同じ幅を有する前部60と後部70との間に配置される。前部60は先端部210に近接して配置され、後部70は先端部210から遠くに配置される。窓領域50は、凹んだ光窓であってもよく、反射防止コーティングでコーティングされていてもよい。窓領域を有する光フェルールは、例えば、米国特許出願公開第2018/0259718号(Haaseら)に記載されている。
【0015】
図3は、光フェルール200の底面20の一部分の概略斜視図である。底面20は、パッド、突出部、又はプラットフォーム90及び100を含む。いくつかの実施形態では、底面20は、光フェルール200の嵌合方向(x方向)に沿って配置された別個の離隔された第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100を含む。いくつかの実施形態では、底面20は、フェルール200の第2の突出部100と先端部210との間に配置された第1の突出部90を含む。いくつかの実施形態では、光フェルール200は、フェルール200の同一の第1の主表面20上に配置された第1のパッド90及び第2のパッド100を複数含み、フェルール200は、第1の主表面20の反対側の第2の主表面10もまた含み、各パッドは第1の主表面20からパッド表面91及び101まで延びる。いくつかの実施形態では、第1のパッド90及び第2のパッド100のパッド表面91及び101は、実質的に同一平面上にある(例えば、同一平面上にある状態からのパッド表面の偏差は、パッド90及び100の長さ及び幅より実質的に小さくてもよい(例えば、0.5倍又は0.2倍より小さい))。先端部210により近いパッド90は、リーディングパッドと称されてもよく、先端部210からより遠いパッド100は、トレーリングパッドと称されてもよい。いくつかの実施形態では、当該フェルール及び対応する嵌合フェルールのリーディングパッドはそれぞれ、嵌合フェルールと当該フェルールのトレーリングパッドを拭うようになっており、当該フェルール及び嵌合フェルールのトレーリングパッドは、互いの上に静止するようになっている。第1の又はリーディングパッド、プラットフォーム、又は突出部は、拭き取りパッド、拭き取りプラットフォーム、又は拭き取り突出部と呼ばれてもよく、第2の又はトレーリングパッド、プラットフォーム、又は突出部は、嵌合パッド、嵌合プラットフォーム、又は嵌合突出部と呼ばれてもよい。いくつかの実施形態では、光フェルール200は、リーディングパッド90とトレーリングパッド100とのペアを複数含む。いくつかの実施形態では、底面20のより狭い前部60は、その中に凹部80を画定している。いくつかの実施形態では、パッド又はプラットフォーム90及び100は、凹部80内に形成され、凹部80に隣接する底面20aよりも高く延びる。
【0016】
第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100はそれぞれ、光フェルール200の嵌合方向(x方向)に直交する幅方向(y方向)に沿った第1の幅W1及び第2の幅W2を有する。いくつかの実施形態では、光31が第1の方向(例えば、x方向)に沿って受け入れられ、受け入れられた光31を光リダイレクト面40が、幅方向及び嵌合方向に実質的に直交する(例えば、30、20、10、5又は3度以内で直交する)第2の方向(例えば、マイナスz方向)に沿ってリダイレクトさせる。いくつかの実施形態では、第1の方向は嵌合方向に平行である。いくつかの実施形態では、第2の幅W2は第1の幅W1よりも小さい。いくつかの実施形態では、第2の幅W2は、第1の幅W1よりも、少なくとも約10マイクロメートル、少なくとも約20マイクロメートル、少なくとも約30マイクロメートル、少なくとも約40マイクロメートル、又は少なくとも約50マイクロメートルだけ小さい。いくつかの実施形態では、第2の幅W2は、第1の幅W1よりも少なくとも約5%、又は少なくとも約10%だけ小さい。例えば、部分的に整列のずれが存在していても、第1のプラットフォーム90が嵌合フェルールの第2のプラットフォーム100の表面の実質的に全体を拭えるように、W1はW2よりも大きいことが望ましい場合がある。第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100は、光フェルール200の嵌合方向(x方向)に沿ってそれぞれの第1の長さL1及び第2の長さL2を有する。いくつかの実施形態では、第2の長さL2は第1の長さL1よりも大きい。いくつかの実施形態では、第2の長さL2は、第1の長さの少なくとも約1.5倍、又は少なくとも約2倍である。いくつかの実施形態では、第2の長さL2は、第1の長さL1よりも、少なくとも約10マイクロメートル、少なくとも約20マイクロメートル、又は少なくとも約25マイクロメートルだけ大きい。
【0017】
第1のプラットフォーム90と第2のプラットフォーム100とのペアには、各種の配置が可能である。図4A~4Cに、例示的な配置を概略的に示す。他の配置も可能である。例えば、追加のペアが含まれてもよく、又は、ペアは交互のパターンで配置されてもよく、又は、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100の一方若しくは両方が異なるサイズ及び/若しくは形状を有してもよい。図4A~4Cに概略的に示された第1のプラットフォーム90と第2のプラットフォーム100とのペアは、任意選択として、主表面に画定された凹部内に配置することもできる。凹部は、例えば、屑のための追加的空間を提供するために含まれたものであってもよい。
【0018】
図4Aは、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との4つのペア95a~95dを含む光フェルールの主表面420aの概略図である。図示した実施形態では、パッド90は規則的な配列に配置され、パッド100は規則的な配列に配置される。含まれるリーディングパッドとトレーリングパッドとのペアの数は、適切であればいくつでもよい(例えば、1ペア、2ペア、3ペア、4ペア、又はそれ以上のペア数)。単一のペアによって得られるよりも高い嵌合安定性が得られるように、2つ以上のペアが含まれてもよい。いくつかの実施形態では、含まれるパッドペアは2ペアのみである。他の実施形態では、3つ以上のペア、又は4つ以上のペアが含まれる。
【0019】
図4Bは、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との2つのペア95a~95bを含む光フェルールの主表面420bの概略図である。本明細書の他の箇所で更に説明されるように(例えば、図11A~11Dを参照)、主表面420bは複数の凹部445を更に含んで、主表面420bを有するフェルールが対応する嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、各凹部445が、嵌合フェルールの対応するリーディングパッドを受け入れるが接触しないように配置され、トレーリングパッド100が嵌合フェルールの対応する主表面に接触するようになっていてもよい。いくつかの実施形態では、光フェルールは、導波路から第1の方向(例えば、x方向)に沿って光を受け取り、受け取った光を異なる第2の方向(例えば、z方向)に沿ってリダイレクトし、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との2つのペア95a及び95bは、第1及び第2の方向に実質的に直交する第3の方向(例えば、y方向)に沿って整列されている。
【0020】
図4Cは、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との3つのペア95a~95cを含む光フェルールの主表面420cの概略図である。リーディングパッド90とトレーリングパッド100とのペアはそれぞれ、同じサイズ及び形状を有してもよく、又はいくつかのリーディングパッドとトレーリングパッドは、他とは異なるサイズ又は形状を有してもよい。例えば、図4Cのペア95cのリーディングパッドとトレーリングパッドは、他のペアのリーディングパッドとトレーリングパッドとは異なるサイズ及び/又は形状を有してもよい。
【0021】
図5Aは、嵌合光フェルール200’に近接して配置された光フェルール200の概略図である。図5Bは、互いに嵌合している第1の光フェルール200と第2の光フェルール200とを含む、光アセンブリ201の概略図である。図6A図6Bは、光フェルール200が嵌合フェルール200’に嵌合中の時点、及び完全に嵌合したときの、それぞれの光フェルール200の一部分及び嵌合光フェルール200’の一部分の概略切断斜視図である。嵌合中に、フェルール200と嵌合フェルール200’とは、嵌合方向211及び211’に沿って互いに対して移動する。いくつかの実施形態では、光フェルール200は、フェルール200の第2のパッド、プラットフォーム、又は突出部100と先端部210との間に配置された第1のパッド、プラットフォーム、又は突出部90を含み、嵌合光フェルール200’は、嵌合フェルール200’の第2のパッド、プラットフォーム、又は突出部100’と先端部210’との間に配置された第1のパッド、プラットフォーム、又は突出部90’を含む。いくつかの実施形態では、フェルール200が嵌合光フェルール200’に嵌合中に、フェルール200の第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100は、嵌合フェルール200’の対応する第1のプラットフォーム90’及び第2のプラットフォーム100’に対してそれぞれ摺動し、フェルール200が嵌合フェルール200’に完全に嵌合したときは、フェルール200と嵌合フェルール200’の第2のプラットフォーム100と100’は互いに接触し、かつ互いの上に静止したままとなり、どちらのフェルールの第1のプラットフォーム(90及び90’)も、他方のフェルールと接触しない。いくつかの実施形態では、光フェルール200が嵌合フェルール200’に嵌合中に、光フェルール200の第1のプラットフォーム90は、嵌合フェルール200’の第1のプラットフォーム90’に接触する前に、嵌合フェルール200’の底面20’の凹部80’内に沈み込み、嵌合フェルール200’の第1プラットフォーム90’及び第2のプラットフォーム100’は、嵌合フェルール200’の底面20’の凹部80’内に形成されている。いくつかの実施形態では、フェルール200が嵌合フェルール200’に完全に嵌合しているときは、フェルール200と嵌合フェルール200’の第2の突出部100と100’が互いに接触し、かつ互いに静止した状態となり、当該フェルールと嵌合フェルールの第1の突出部(90及び90’)が第2の突出部100及び100’の反対側に配置され、各フェルールの第1の突出部が他方のフェルールの主表面(20、20’)に接触することなく面する。いくつかの実施形態では、フェルール200が嵌合フェルール200’に完全に嵌合しているときは、第2のパッド(100)ではなく第1のパッド(90)の表面101(図3参照)が、嵌合フェルール200’の主表面20’に接触し、その上に静止している。
【0022】
リーディング及びトレーリングの突出部、プラットフォーム、又はパッドとのペアを含むことにより、屑による整列精度の低下を防ぐことによって、嵌合された光デバイス間の整列性を改善できることが分かった。いくつかの実施形態では、フェルール200のリーディングパッド90は、嵌合中に嵌合フェルール200’のトレーリングパッド100’を拭い、これにより、トレーリングパッド100’上に最初から存在している屑があれば、トレーリングパッド100’からそれを機械的に押し出して、屑がフェルール200と嵌合フェルール200’の整列を妨げないようにする。同様に、いくつかの実施形態では、嵌合フェルール200のリーディングパッド90’は、嵌合中にフェルール200のトレーリングパッド100を拭い、これにより、トレーリングパッド100上に最初から存在している屑があれば、トレーリングパッド100からそれを機械的に押し出して、屑がフェルール200と嵌合フェルール200’の整列を妨げないようにする。
【0023】
いくつかの実施形態では、フェルール200及び嵌合フェルール200’の第1のプラットフォーム(90、90’)はそれぞれ、嵌合フェルール200’及びフェルール200の第2のプラットフォーム(100’、100)を拭う拭き取りプラットフォームであり、フェルール200及び嵌合フェルール200’の第2のプラットフォーム(100、100’)は、互いの上に静止する嵌合プラットフォームである。いくつかの実施形態では、フェルール200及び嵌合フェルール200’の拭き取りプラットフォーム(90、90’)がそれぞれ、嵌合フェルール200’及びフェルール200の嵌合プラットフォーム(100’、100)を拭った後、フェルール200及び嵌合フェルール200’の嵌合プラットフォーム(100、100’)は、互いに静止する。いくつかの実施形態では、フェルール200及び嵌合フェルール200’の拭き取りプラットフォーム(90、90’)がそれぞれ、嵌合フェルール200’及びフェルール200の嵌合プラットフォーム(100’、100)を拭った後、フェルール200及び嵌合フェルール200’の嵌合プラットフォーム(100、100’)は互いに拭き合い、静止するようになる。
【0024】
いくつかの実施形態では、光フェルール200は拭き取りパッド90と嵌合パッド100とのペアを複数含み、光フェルール200が、拭き取りパッド90’と嵌合パッド100’とのペアを複数含む嵌合光フェルール200’に嵌合するときに、フェルール200と嵌合フェルール200’の拭き取りパッドがそれぞれ、嵌合フェルール200’及びフェルール200の嵌合パッドを拭い、フェルール200が嵌合フェルール200’に完全に嵌合したときは、フェルール200と嵌合フェルール200の嵌合パッド(100、100’)が互いに接触する。いくつかの実施形態では、フェルール200が嵌合フェルール200’に完全に嵌合されているときは、フェルール200の拭き取りパッド90は、嵌合フェルール200’に接触していない。同様に、いくつかの実施形態では、フェルール200が嵌合フェルール200’に完全に嵌合されているときは、嵌合フェルール200の拭き取りパッド90’はフェルール200に接触していない。
【0025】
いくつかの実施形態では、光フェルール200は第1のパッド90と第2のパッド100とのペアを複数含み、光フェルール200が、第1のパッド90’と第2のパッド100’とのペアを複数含む嵌合光フェルール200’に嵌合するときに、フェルール200と嵌合フェルール200’の第1のパッド(90、90’)はそれぞれ、嵌合フェルール200’及びフェルール200の表面(20、20’)に接触し、フェルール200が嵌合フェルール200’に完全に嵌合したときは、フェルール200の第1のパッド(90)ではなく第2のパッド(100)が、嵌合フェルール200’の表面20’に接触する。いくつかの実施形態では、フェルール200と嵌合フェルール200’の第1のパッド(90、90’)はそれぞれ、嵌合フェルール200’及びフェルール200の第2のパッド(100、100)を拭う拭き取りパッドであり、フェルール200と嵌合フェルール200’の第2のパッド(100、100’)は、互いの上に静止する嵌合パッドである。いくつかの実施形態では、フェルール200と嵌合フェルール200’の拭き取りパッド(90、90’)がそれぞれ、嵌合フェルール200’及びフェルール200の嵌合パッド(100’、100)を拭った後、フェルール200と嵌合フェルール200’の嵌合パッド(100、100’)は、互いに静止している。いくつかの実施形態では、フェルール200と嵌合フェルール200’の拭き取りパッド(90、90’)がそれぞれ、嵌合フェルール200’及びフェルール200の嵌合パッド(100’、100)を拭った後、フェルール200と嵌合フェルール200’の嵌合パッド(100、100’)は互いに拭い合い、静止するようになる。
【0026】
いくつかの実施形態では、光フェルール200は、リーディングパッド90とトレーリングパッド100とのペアを複数含み、光フェルール200は、嵌合フェルール200’に嵌合中に、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との各ペアについて、リーディングパッド90が嵌合フェルール200の主表面20’に対して摺動して、主表面20’上にいかなる屑49もトレーリングパッド100に集積されないようにし、フェルール200が嵌合フェルール200’に完全に嵌合したときは、リーディングパッド(90)ではなくトレーリングパッド(100)が嵌合フェルール200’の主表面20’に接触している。いくつかの実施形態では、第1の光デバイス(例えば、光フェルール200又は光フェルール200を受け入れるように適合されたクレードル)は、第2の光デバイス(例えば、光フェルール200又は光フェルール200を結合方向(x方向)に沿って受け入れるように適合されたクレードル)に結合するように適合され、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との離隔されたペアを2つ以上含み、第1の光デバイスが第2の光デバイスの着地面(例えば、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、クレードルの主表面20又はキャビティ若しくは凹部の底面)に着地して摺動し、第2の光デバイスに光学的に結合するときに、また、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との各ペアについて、リーディングパッド90が、着地面にいかなる屑49もトレーリングパッド100に集積するのを防ぐようになっている。いくつかの実施形態では、第1の光デバイスが第2の光デバイスに完全に結合したときは、リーディングパッド90は着地面に接触していない。
【0027】
いくつかの実施形態では、底面20は複数のプラットフォームを含み、複数のプラットフォームは、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100を含む。いくつかの実施形態では、複数のプラットフォームは、第1のプラットフォーム90と第2のプラットフォーム100との離隔されたペアを複数含む。いくつかの実施形態では、フェルール200が、対応する複数のプラットフォームを含む嵌合光フェルール200’に嵌合中に、光フェルール200及び嵌合フェルール200’の底面は、複数のプラットフォームにおいてのみ互いに接触する。いくつかの実施形態では、底面20は複数のプラットフォームを含み、複数のプラットフォームは、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100を含み、フェルール200が、対応する複数のプラットフォームを含む嵌合光フェルール200’に完全に嵌合したときは、フェルール200及び嵌合フェルール200’の底面(20、20’)は、複数のプラットフォームのうち、フェルール200が嵌合フェルール200’に嵌合中に少なくとも1つの他方のプラットフォームによって拭われたものにおいてのみ、互いに接触する。いくつかの実施形態では、複数のプラットフォームは、第1のプラットフォーム90と第2のプラットフォーム100とのペアを複数含む。いくつかの実施形態では、複数のプラットフォームのうち、少なくとも1つの他方のプラットフォームによって拭われるプラットフォームには、第2のプラットフォーム100及び100’のみが含まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、光フェルール200及び嵌合フェルール200’は、実質的に同じサイズ及び形状を有する(例えば、それぞれの寸法は、30、20、又は10パーセント未満だけ異なる)。いくつかの実施形態では、光フェルール200は雌雄同型である。いくつかの実施形態では、光フェルール又はその他の光デバイスの嵌合面と、嵌合光フェルール又はその他の光デバイスの、光フェルール又は光デバイスに嵌合するように適合された嵌合面とは、実質的に同じサイズ及び形状を有する。例えば、底面20と20’は、実質的に同じサイズ及び形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、光フェルール又はその他の光デバイスの嵌合面の、パッド、突出部、又はプラットフォームを含む部分と、嵌合光フェルール又はその他の嵌合光デバイスの嵌合面の対応する部分とは、実質的に同じサイズ及び形状を有する。
【0029】
図7は、底面20に形成された凹部80を通る概略断面図である。いくつかの実施形態では、底面20のより狭い前部60は、その中に凹部80を画定し、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100は、凹部内に形成され、凹部に隣接する底面20aよりも高く延びる。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100は、第1及び第2のプラットフォームに近接した底面20の領域20aよりも、それぞれ第1の距離d1及び第2の距離d2だけ高くなっている。いくつかの実施形態では、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100は凹部80内に形成され、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100に近接する底面20の領域20aは、凹部80に隣接し、かつ凹部80の外側にある。このような実施形態、又は他の実施形態では、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100は、それぞれ第1の距離d1及び第2の距離d2だけ、凹部80に隣接する底面20aよりも高くなっている。他の実施形態では、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100は、凹部に形成されない(例えば、図10Aを参照)。いくつかの実施形態では、d1は、d2に実質的に等しい(例えば、約5%以内、約3%以内、又は約2%以内の範囲で等しい)。いくつかの実施形態では、d1>d2であってもよい(例えば、d1はd2よりも、少なくとも10%又は少なくとも20%だけ大きい)。いくつかの実施形態では、d1とd2はそれぞれ、少なくとも約5マイクロメートル、少なくとも約10マイクロメートル、又は少なくとも約20マイクロメートルである。
【0031】
図8は、その中に凹部880を画定する、光デバイスの底面820の一部分の概略断面図である。光デバイスは、例えば、光フェルール又は光フェルールを受け入れるように適合されたクレードルであってもよい。第1、第2及び第3のパッド、突出部又はプラットフォーム90、100及び92が凹部内に形成され、凹部に隣接する底面820aよりも高く延びている。第1のプラットフォーム90は、第2のプラットフォーム100と第3のプラットフォーム92との間に配置され、それらのプラットフォームから離隔されている。いくつかの実施形態では、第1と第3のプラットフォームは、実質的に同じサイズ及び形状を有する。他の実施形態では、第1と第3のプラットフォームは、異なるサイズ及び/又は形状を有する。
【0032】
図9Aは、互いに嵌合している第1の光デバイスの主表面920及び第2の光デバイスの主表面920’の一部分の概略断面図である。第1の光デバイスは、光フェルールであってもよく、第2の光デバイスは、別の光フェルール又は、例えば、光フェルールを受け入れるように適合されたクレードルであってもよい。主表面920と920’は、実質的に同じサイズ及び形状を有してもよい。主表面920は、その中に凹部980を画定し、主表面920’は、その中に凹部980’を画定している。第1及び第2の突出部、パッド、又はプラットフォーム90及び100は、凹部980内に形成され、凹部900に隣接する底面920aよりも高く延び、対応する第1及び第2の突出部、パッド又はプラットフォーム90’及び100’は、凹部980’内に形成され、凹部920’に隣接する底面920a’よりも高く(嵌合光デバイスの本体から離れる方向に)延びている。第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100は、凹部980に隣接する底面920aよりも、それぞれ第1及び第2の距離だけ高く延び、第1の距離は第2の距離よりも長い。対応する第2のプラットフォーム100及び100’は、互いに接触し、かつ、互いに静止している。どちらの光デバイスの対応する第1のプラットフォーム90及び90’も、他方の光デバイスと接触しない。第1のプラットフォーム90は、嵌合光デバイスの凹部980の中に部分的に延びる。同様に、第1のプラットフォーム90’は、光デバイスの凹部980の中に部分的に延びる。いくつかの実施形態では、光デバイス(例えば、光フェルール)が嵌合デバイス(例えば、嵌合光フェルール)に完全に嵌合したときは、光デバイスの第2のパッド100のそれぞれと、嵌合デバイスの対応する第2のパッド100’とは互いに接触し、かつ、互いに静止したままとなり、光デバイスと嵌合デバイスの対応する第1のパッド90及び90’は、第2のパッド100及び100’の反対側に配置され、それぞれのデバイスの第1及び第3のパッドは、他方のデバイスの主表面(920、920’)に接触することなく面している。いくつかの実施形態では、第1の光デバイスは光フェルールであり、第2の光デバイスは嵌合フェルールであり、当該フェルールが嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、当該フェルール及び嵌合フェルールの第2の突出部100及び100’は互いに接触し、かつ互いに静止したままとなり、どちらのフェルールの第1の突出部(90、90’)も、他方のフェルールと接触していない。
【0033】
図9Bは、嵌合中のある時点における、第1の光デバイスの主表面920及び第2の光デバイスの主表面920’の一部分の概略断面図であり、第1のプラットフォーム90は、第1のプラットフォーム90’に接触する前に、底面920’の凹部980’の中に沈み込んでいる。同様に、第1のプラットフォーム90’は、第1のプラットフォーム90に接触する前に底面920の凹部980の中に沈み込んでいる。嵌合中に、フェルールの主表面920及び嵌合フェルールの主表面920’とは、嵌合方向911と911’に沿って互いに対して移動する。
【0034】
いくつかの実施形態では、パッド又はプラットフォームは、主表面に画定された凹部内に配置されずに、光フェルール又は光デバイスの主表面上に配置される。
【0035】
図10Aは、光フェルール(又はクレードルなどの、光フェルールを受け入れるように適合された他の光デバイス)の主表面1020の一部分の概略断面図である。主表面1020は、光フェルールの嵌合方向(x方向)に沿って配置された離隔された別個の第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100を含む。図示した実施形態では、主表面1020は、オプションの第3のプラットフォーム92を更に含む。第1のプラットフォーム90は、第2のプラットフォーム100と第3のプラットフォーム92との間に配置され、それらのプラットフォームから離隔されている。第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100は、第1のプラットフォーム90及び第2のプラットフォーム100に近接する底面1020aの領域よりも、それぞれ第1の距離d1及び第2の距離d2だけ高く、これらの距離は、本明細書の他の箇所に記載されるいずれかの範囲にあってもよい。いくつかの実施形態では、2d2>d1>d2である。いくつかの実施形態では、d3は実質的にd1に等しい。いくつかの実施形態では、d3はd1と異なる。いくつかの実施形態では、d1、d2及びd3はそれぞれ、少なくとも約5マイクロメートル、又は少なくとも約10マイクロメートル、又は少なくとも約20マイクロメートルである。
【0036】
図10Bは、光フェルールと嵌合光フェルールが完全に嵌合されているときの、当該光フェルールの主表面1020の一部分及び嵌合光フェルールの主表面1020’の対応する一部分の概略断面図である。主表面1020’は、主表面1020の第1、第2、及び第3のプラットフォーム90、100及び92に対応する第1、第2、及び第3のプラットフォーム90’、100’及び92’を含む。いくつかの実施形態では、光フェルールが嵌合光フェルールに完全に嵌合したときは、当該光フェルールの第2のプラットフォーム100と、嵌合プラットフォームの対応する第2のプラットフォーム100’のそれぞれは互いに接触し、かつ互いに静止したままとなり、当該フェルールと嵌合フェルールの対応する第1のプラットフォーム(90及び90’)及び第3のプラットフォーム(92と92’)は、第2のプラットフォーム(100及び100’)の反対側に配配置され、それぞれのフェルールの第1及び第3のプラットフォームは、他方のフェルールの主表面(1020、1020’)に接触することなく面している。
【0037】
いくつかの実施形態では、フェルールが嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、当該フェルールのトレーリングパッドは、嵌合フェルールの主表面上のどのパッドにも接触していない。
【0038】
図11Aは、先端部1110、後端部1112、及び、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との複数のペアを含む主表面1120を有する、光フェルール1100の一部分の概略断面図である。光フェルール1100は、図示されていない導波路整列溝及び光リダイレクト面などの追加の特徴を含んでもよい。主表面1120は、光フェルール1100の嵌合面であり、光フェルール1100の向きにかかわらず、主底面と称されてもよい。図示された断面に、1ペアのパッドが示されている。図示された断面からy方向に変位した断面内に、少なくとも1つの別のペアが存在してもよい(例えば、図4Bを参照)。図11Bは、嵌合光フェルール1100’の対応する部分に嵌合し始めている光フェルール1100の一部分の概略断面図である。嵌合中に、フェルール1100と嵌合フェルール1100’とは、嵌合方向1111と1111’に沿って互いに対して移動する。嵌合フェルール1100’は、リーディングパッド90’とトレーリングパッド100’とのペアを複数含む底面1120’を有する。図11Cは、嵌合光フェルール1100’に嵌合中の光フェルール1100を示す概略断面図である。図11Dは、嵌合光フェルール1100’に完全に嵌合した光フェルール1100を示す概略断面図である。完全に嵌合したときは、フェルール1100のトレーリングパッド100は、嵌合フェルール1100’の主底面に接触するが、嵌合フェルール1100’の主表面1120’上のどのパッドとも接触していない。いくつかの実施形態では、主底面1120は複数の凹部1145を更に含み、フェルール1100が嵌合フェルール1100’に完全に嵌合したときは、各凹部1145が嵌合フェルール1100’の対応するリーディングパッド90’を受け入れるように配置されるようになっている。同様に、いくつかの実施形態では、主底面1120は複数の凹部1145を更に含み、フェルール1100が嵌合フェルール1100’に完全に嵌合したときは、各凹部1145’が光フェルール1100の対応するリーディングパッド90を受け入れるように配置されるようになっている。
【0039】
いくつかの実施形態では、光フェルール1100は第1のパッド90と第2のパッド100とのペアを複数含み、光フェルール1100が、第1のパッド90’と第2のパッド1100’とのペアを複数含む嵌合光フェルール1100’に嵌合するときに、フェルール1100と嵌合フェルール1100’の第1のパッド(90、90’)はそれぞれ、嵌合フェルール1100’及びフェルール1100の表面(1120’、1120)に接触し、フェルール1100が嵌合フェルール1100’に完全に嵌合したときは、フェルール1100の第1のパッド(90)ではなく第2のパッド(100)が、嵌合フェルール1100’の表面1120’に接触する。いくつかの実施形態では、フェルール1100と嵌合フェルール1100’の第1のパッド(90、90’)はそれぞれ、嵌合フェルール1100’及びフェルール1100の第2のパッド(100、100’)を拭う拭き取りパッドであり、フェルール1100と嵌合フェルール1100’の第2のパッド(100、100’)は、に嵌合フェルール1100’及びフェルール1100の表面(1120’、1120)上に静止する嵌合パッドである。いくつかの実施形態では、フェルール1100が嵌合フェルール1100’に完全に嵌合されているときは、フェルール1100の嵌合パッド100は、嵌合フェルール1100’の表面1120’上のどのパッドとも接触していない。同様に、いくつかの実施形態では、フェルール1100が嵌合フェルール1100’に完全に嵌合されているときは、嵌合フェルール1100’の嵌合パッド100’は、フェルール1100の表面1120上のどのパッドとも接触していない。
【0040】
図12Aは、リーディングパッド90とトレーリングパッド100とのペアを複数含む主底面1220を有する光フェルール1200の一部分の概略断面図である。図示された断面に、1ペアのパッドが示されている。異なる断面内に、少なくとも1つの他のペアが存在してもよい。光フェルール1200は、先端部1210及び後端部1212を有する。図12Bは、嵌合光フェルール1200の対応する部分に嵌合中の光フェルール1200の一部分を示す概略断面図である。嵌合フェルール1200’は、先端部1210’、後端部1212’、及び、リーディングパッド90’とトレーリングパッド100’とのペアを複数含む底面1220’を有する。嵌合中に、フェルール1200と嵌合フェルール1200’とは、嵌合方向1211と1211’に沿って互いに対して移動する。図12Cは、嵌合光フェルール1200’に完全に嵌合した光フェルール1200を示す概略断面図である。図12Cでは、フェルール1200のトレーリングパッド100は、嵌合フェルール1200’の主底面に接触するが、嵌合フェルール1200’の主表面上のどのパッドとも接触していない。フェルール1200が嵌合フェルール1200’に完全に嵌合したときは、フェルール1200の各トレーリングパッド100は、嵌合フェルール1200’の後端部1212’に近接する、嵌合フェルール1200’の主表面1220’に接触し、フェルール1200の各リーディングパッド90は嵌合フェルール1200’の後端部1212’を超えて延びており、フェルール1200のリーディングパッド90が嵌合フェルール1200’と接触しないようになっている。同様に、フェルール1200が嵌合フェルール1200’に完全に嵌合したときは、嵌合フェルール1200’の各トレーリングパッド100’は、フェルール1200の後端部1212に近接する、フェルール1200の主表面1220に接触し、嵌合フェルール1200’の各リーディングパッド90は、フェルール1200の後端部1212を超えて延びており、嵌合フェルール1200’のリーディングパッド90’がフェルール1200と接触しないようになっている。
【0041】
図13Aは、リーディングパッド90とトレーリングパッド100とのペア95aと95bを複数含む主表面1320を有する光フェルール1300の一部分の概略断面図である。いくつかの実施形態では、リーディングパッド90とトレーリングパッド100とのペアがより多く(例えば、3ペア、4ペア、又はそれ以上のペア)含まれる。リーディングパッドとトレーリングパッドとの複数のペアには、光フェルール1300の主表面1320の第1の部分1321上に配置されたリーディングパッド90とトレーリングパッド100との第1のペア95aと、光フェルール1300の主表面1320の別の第2の部分1322上に配置されたリーディングパッド90とトレーリングパッド100との第2のペア95bとが含まれる。第1の部分1321と第2の部分1322とは、同一平面上にない。いくつかの実施形態では、第1の部分1321及び第2の部分1322は、実質的に平面であり(例えば、第1の部分又は第2の部分に曲率半径がある場合、その曲率半径は、その部分の最大の横方向寸法よりも実質的に大きくてもよい(例えば、少なくとも5倍、又は10倍、又は20倍大きい))、実質的に平行であってもよい(例えば、30、20又は10度以内)。図13Bは、嵌合光フェルール1300’の対応する部分に嵌合中の光フェルール1300の一部分の概略断面図であり、図13Cは、嵌合光フェルール1300’に完全に嵌合した光フェルール1300を示す概略断面図である。嵌合中に、フェルール1300と嵌合フェルール1300’とは、嵌合方向1311と1311’に沿って互いに対して移動する。嵌合フェルール1300’は、リーディングパッド90とトレーリングパッド100の複数ペア95a及び95bに対応する、リーディングパッド90’とトレーリングパッド100’の複数ペア95a’と95b’を含む主表面1320’を有する。
【0042】
図14は、嵌合光フェルール1400の対応する部分に完全に嵌合した光フェルール1400の一部分の概略断面図である。光フェルール1400は、第1の部分1421の、第2の部分1422に対する嵌合方向に沿った長さが、第1の部分1321及び第2の部分1322に比べると長くなっていることを除いて、光フェルール1300に相当する。これにより、窓領域1450を設けることができ、光導波路によって受け取られ、光フェルール1400の光リダイレクト面(図14には図示せず)によってリダイレクトさせられた光はその窓領域を通って光フェルール1400から出る。いくつかの実施形態では、光フェルール1400及び嵌合光フェルール1400’は、雌雄同型である。
【0043】
本明細書のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのペアのパッド、突出部、又はプラットフォームを含む光デバイスが提供される。光デバイスは、光フェルール、米国特許出願公開第2018/0217337号(Smithら)若しくは第2018/0284357号(Nelsonら)に記載されているものなどの複数の光フェルールを含む光コネクタ、嵌合フェルール若しくは嵌合クレードルに嵌合したフェルールを含む光アセンブリ、嵌合コネクタに嵌合した光コネクタを含む光アセンブリ、又は光フェルールを受け入れるように適合されたクレードルであってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、嵌合方向又は結合方向に沿って第2の光デバイスに結合するように適合された第1の光デバイスが提供される。例えば、第1の光デバイスは、本明細書の他の箇所に記載される光フェルールのいずれかであってもよく、第2の光デバイスは、対応する嵌合光フェルールのいずれかであってもよい。別の例として、第1及び第2の光デバイスのうち1つは、光フェルールを受け入れるように適合されたクレードルであってもよく、第1及び第2の光デバイスのうち他方は光フェルールであってもよい。
【0045】
図15A~15Cは、光フェルールを受け入れるように適合されたそれぞれの空洞又は凹部1525a~1525cを有する、クレードル1500a~1500cの概略上面図である。凹部1525a~1525cはそれぞれ底面1520a~1520cを有し、底面は、リーディングプラットフォーム、リーディング突出部又はリーディングパッド90と、トレーリングプラットフォーム、トレーリング突出部又はトレーリングパッド100を複数含む。凹部1525a~1525cは、光フェルールがトレーリングパッド100より前にリーディングパッド90に接近するように、結合方向に(x方向)に沿って光フェルールを受け入れるように適合されている。底面1520a~1520cは、光フェルールの着地面である。逆に、光フェルールの底面は、クレードルのための着地面であると考えることもできる。底面1520aは、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との2つのペア95aと95bを有する。いくつかの実施形態では、第1のペア95a及び第2のペア95bは、結合方向(x方向)に実質的に直交する方向(y方向)に沿って、底面1625上に整列されている。第1のペア95a及び第2のペア95bのリーディングパッドとトレーリングパッドは、同じ又は異なったサイズ又は形状を有してもよい。図15Bに概略的に示される底面1520bは、リーディングパッド90とトレーリングパッド100との、離隔された3つのペア95a~95cを含む。いくつかの実施形態では、第1のペア95a及び第2のペア95bは、結合方向(x方向)に実質的に直交する方向(y方向)に沿って、底面1625上で整列され、第3のペア95cは、第1のペア95a及び第2のペア95bと同じ直線上にない。いくつかの実施形態では、第1のペア95a及び第2のペア95bのリーディングパッドとトレーリングパッドは同じサイズ及び形状を有し、第3のペア95cのリーディングパッドとトレーリングパッドは、第1のペア95a及び第2のペア95bのものと同じ又は異なったサイズ又は形状を有してもよい。例えば、第3のペア95cのリーディングパッド及びトレーリングパッドは、第1のペア95a及び第2のペア95bのリーディングパッド及びトレーリングパッドよりも大きくてもよい。図15Cに概略的に示す底面1520cは、リーディングパッド90とトレーリングパッド100の、定間隔で離隔された4つのペア95a~95dを含む。いくつかの実施形態では、リーディングパッドとトレーリングパッドは、それぞれ、第1と第2の規則的な配列に配置される。
【0046】
リーディングパッドとトレーリングパッドとのペアには、他の構成も考え得る。例えば、追加のペアが含まれてもよく、又はペアが代替的なパターンで配置されてもよく、又はリーディングパッド及び/若しくはトレーリングパッドは、異なるサイズ及び/又は形状を有してもよい。図15A~15Cに概略的に図示されたリーディングパッド90とトレーリングパッド100とのペアは、任意選択として、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、底面内に画定された凹部内に配置することもできる。
【0047】
図16は、クレードル1700に嵌合したフェルール1600を含むフェルールアセンブリ1601の概略上面図である。光フェルール1600は、本明細書の他の所で説明する光フェルールのいずれかに相当してもよい。例えば、光フェルール1600は、例えば、図1A図2図5A、又は図5Bに示すものなどなどの、複数の溝及び光リダイレクト面(図16には図示せず)を含んでもよい。クレードル1700は、例えば、クレードル1500a~1500cのいずれかに相当してもよい。いくつかの実施形態では、クレードル1700は、光フェルール1600を受け入れる凹部又は空洞を含み、光フェルール1600の第1のプラットフォーム(90)ではなく第2のプラットフォーム(100)が空洞の主底面に接触する。いくつかの実施形態では、クレードル1700の主底面は、光フェルール1600の第1及び第2のプラットフォームにそれぞれ対応する第1及び第2のプラットフォームを含み、光フェルール1600の第2のプラットフォームは、クレードル1700の第2のプラットフォーム(複数可)に接触し、その上に静止する。
【0048】
本明細書の光フェルールは、一体型であってもよい。一体型の本体は、内部インタフェース、接合部、又は継ぎ目を一切有さない、一体成形構造である。一体型の本体は、例えば、モールディング(例えば、熱可塑性材料の射出成形)、キャスティング又はマシニングによって作製することができる。本明細書の他の光デバイス(例えば、光フェルールを受け入れるように適合されたクレードル)は、一体型であってもよく、及び/又はモールディングによって作製されてもよい。
【0049】
「約、ほぼ(about)」などの用語は、それらが本明細書の記載に使用され記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部の大きさ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約、ほぼ(about)」の使用が、本明細書の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「約、ほぼ」は、指定された値から10パーセント以内にあること意味するものと理解されよう。指定された値の約として与えられる量は、正確に指定された値であり得る。例えば、本発明の記載に使用され記載されている文脈において当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量は、0.9~1.1の値を有する量かつその値が1であり得ることを意味する。
【0050】
前述の参照文献、特許、又は特許出願はいずれも一貫した方法でそれらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0051】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。
なお、以上の各実施形態に加えて以下の態様について付記する。
(付記1)
反対側にある主上面と主底面とを備える光フェルールであって、前記主上面が第1の溝及び光リダイレクト面を備え、前記光リダイレクト面が、前記第1の溝内に受け入れられ、かつ支持される光導波路から第1の方向に沿って光を受け取り、前記受け取った光を別の第2の方向に沿ってリダイレクトさせるように構成され、前記リダイレクトされた光が前記底面を通って前記光フェルールから出て、前記底面が、前記光フェルールの嵌合方向に沿って配置された離隔された別個の第1及び第2のプラットフォームを含み、前記フェルールが嵌合光フェルールと嵌合中に、前記フェルールの前記第1及び第2のプラットフォームが、前記嵌合フェルールの対応するそれぞれの第1及び第2のプラットフォームに対して摺動し、前記フェルールが前記嵌合フェルールと完全に嵌合したときは、前記フェルール及び前記嵌合フェルールの前記第2のプラットフォームが互いに接触し、かつ互いの上に静止し、前記どちらのフェルールの前記第1のプラットフォームも他方のフェルールに接触しない、光フェルール。
(付記2)
前記フェルール及び前記嵌合フェルールの前記第1のプラットフォームはそれぞれ、前記嵌合フェルール及び前記フェルールの前記第2のプラットフォームを拭うための拭き取りプラットフォームであり、前記フェルール及び前記嵌合フェルールの前記第2のプラットフォームは互いの上に静止する嵌合プラットフォームである、付記1に記載の光フェルール。
(付記3)
前記フェルール及び前記嵌合フェルールの前記拭き取りプラットフォームがそれぞれ、前記嵌合フェルール及び前記フェルールの前記嵌合プラットフォームを拭った後、前記フェルール及び前記嵌合フェルールの前記嵌合プラットフォームが互いの上に静止する、付記2に記載の光フェルール。
(付記4)
前記フェルール及び前記嵌合フェルールの前記拭き取りプラットフォームがそれぞれ、前記嵌合フェルール及び前記フェルールの前記嵌合プラットフォームを拭った後、前記フェルール及び前記嵌合フェルールの前記嵌合プラットフォームが互いに拭い合い、静止するようになる、付記2又は3に記載の光フェルール。
(付記5)
前記底面が、前記底面のより狭い前部とより広い後部との間に配置された窓領域を含み、前記リダイレクトされた光が、前記底面の前記窓領域を通って前記光フェルールから出る、付記1~4のいずれか一項に記載の光フェルール。
(付記6)
前記より狭い前部がその中に凹部を画定しており、前記第1及び第2のプラットフォームが前記凹部の中に形成されており、前記凹部に隣接する前記底面よりも高く延びている、付記5に記載の光フェルール。
(付記7)
前記フェルールが前記嵌合フェルールに完全に嵌合されているとき、前記嵌合フェルールの前記第1のプラットフォームが、前記光フェルールの前記凹部の中に延びており、かつ、前記光フェルールに接触していない、付記6に記載の光フェルール。
(付記8)
光フェルールであって、前記フェルールの第2の突出部と先端部との間に配置された第1の突出部を含み、
第2の突出部と先端部との間に配置された第1の突出部を含む嵌合光フェルールに嵌合するように構成されており、前記フェルールが前記嵌合フェルールに完全に嵌合しているときは、前記当該フェルールと前記嵌合フェルールの前記第2の突出部が互いに接触し、かつ互いに静止した状態となり、前記フェルールと前記嵌合フェルールの前記第1の突出部が前記第2の突出部の反対側に配置され、各フェルールの前記第1の突出部が他方の前記フェルールの主表面に接触することなく面する、光フェルール。
(付記9)
光フェルールであって、複数の第1のパッド及び第2のパッドが前記フェルールの同一の第1の主表面上に配置されており、各パッドが前記第1の主表面からパッド表面に延びており、前記フェルールが嵌合フェルールに完全に嵌合しているときは、前記第1のパッドではなく前記第2のパッドのパッド表面が前記嵌合フェルールの主表面に接触しており、その上に静止している、光フェルール。
(付記10)
前記光フェルールが嵌合フェルールと嵌合中に、前記光フェルールの各第1のパッドが、前記嵌合フェルールの対応する第1のパッドに対して摺動し、それを超えて移動し、次いで、前記光フェルールの前記第1のパッドが、前記光フェルールの第2のパッドに対応する前記嵌合フェルールの第2のパッドに対して摺動し、それを超えて移動する、付記9に記載の光フェルール。
(付記11)
前記フェルールが嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、前記フェルールの各第2のパッドと前記嵌合フェルールの第2のパッドが互いに接触し、かつ、互いに静止したままとなり、いずれのフェルールの第1のパッドも他方の前記フェルールに接触していない、付記10に記載の光フェルール。
(付記12)
前記フェルールが前記嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、前記フェルールの各第2のパッドと前記嵌合フェルールの対応する第2のパッドが互いに接触し、かつ、互いに静止したままとなり、前記フェルールと前記嵌合フェルールの対応する前記第1のパッドが前記第2のパッドの反対側に配置され、各フェルールの前記第1のパッドが他方の前記フェルールの主表面に接触することなく面している、付記10に記載の光フェルール。
(付記13)
リーディングパッドとトレーリングパッドとのペアを複数含む光フェルールであって、前記フェルールが嵌合光フェルールと嵌合中に、前記リーディングパッドとトレーリングパッドとの各ペアについて、前記リーディングパッドが前記嵌合フェルールの前記主表面に対して摺動して、前記主表面上のいかなる屑も前記トレーリングパッドに集積されないようにし、前記フェルールが前記嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、前記リーディングパッドではなく前記トレーリングパッドが前記嵌合フェルールの前記主表面に接触している、光フェルール。
(付記14)
結合方向に沿って第2の光デバイスに結合するように適合され、かつ、リーディングパッドとトレーリングパッドとの2つの離隔されたペアを含む、第1の光デバイスであって、前記第1の光デバイスが前記第2の光デバイスの着地面に着地して摺動し、前記第2の光デバイスに光学的に結合するようになっており、リーディングパッドとトレーリングパッドとの各ペアについて、前記リーディングパッドが、前記着地面上のいかなる屑も前記トレーリングパッドに集積するのを防ぎ、前記第1の光デバイスが前記第2の光デバイスに完全に結合したときは、前記リーディングパッドは前記着地面に接触していない、第1の光デバイス。
(付記15)
拭き取りパッドと嵌合パッドとのペアを複数含む光フェルールであって、前記光フェルールが、拭き取りパッドと嵌合パッドとのペアを複数含む嵌合光フェルールと嵌合するとき、前記フェルール及び前記嵌合フェルールの拭き取りパッドがそれぞれ、前記嵌合フェルールと前記フェルールの前記嵌合パッドを拭い、前記フェルールが前記嵌合フェルールに完全に嵌合したときは、前記フェルール及び前記嵌合フェルールの前記嵌合パッドが互いに接触する、光フェルール。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C
図16