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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159325
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ネコカリシウイルスワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/12 20060101AFI20231024BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20231024BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20231024BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231024BHJP
   C12N 15/41 20060101ALI20231024BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20231024BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A61K39/12 ZNA
A61K9/16
A61K31/7105
A61K39/00 G
A61K48/00
A61P31/12 171
A61P37/04
A61P43/00 121
C12N15/41
C12N15/86 Z
C12N7/01
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023135198
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2020524368の分割
【原出願日】2018-11-05
(31)【優先権主張番号】62/596,508
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ターピー,イアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多価ワクチンを含む新しいネコカリシウイルスワクチンを提供する。
【解決手段】ネコカリシウイルス(FCV)抗原をコードするベネズエラウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子及び薬学的に許容される担体を含む、FCVに起因する疾患の予防を補助するためのワクチンであって、ここで、FCV抗原が、FCV F9様キャプシドタンパク質及び強毒全身性FCV(VS-FCV)キャプシドタンパク質からなる群から選択されるキャプシドタンパク質である、ワクチンを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネコカリシウイルス(FCV)抗原をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒
子を含む免疫原性組成物。
【請求項2】
前記FCV抗原が、キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントである、請求
項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、ベネズエラウマ脳炎(VEE)アルフ
ァウイルスRNAレプリコン粒子である、請求項1または2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記キャプシドタンパク質が、FCV F9様キャプシドタンパク質、前記FCV F
9様キャプシドタンパク質の抗原性フラグメント、強毒全身性FCV(VS-FCV)キ
ャプシドタンパク質、および前記VS-FCVキャプシドタンパク質の抗原性フラグメン
トからなる群から選択される、請求項2または3に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記キャプシドタンパク質が、VS-FCVキャプシドタンパク質またはその抗原性フ
ラグメントである、請求項4に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記キャプシドタンパク質が、FCV F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性
フラグメントである、請求項4に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
第2のFCV抗原をコードする追加のアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含み、
ここで、前記第2のFCV抗原が、前記FCV抗原が由来するものとは異なるFCV株に
由来する、請求項1、2、3、4、5または6に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
FCV F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントをコードする追加
のアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む、請求項5に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記追加のアルファウイルスRNAレプリコン粒子がVEEアルファウイルスRNAレ
プリコン粒子である、請求項7または8に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記アルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FCV F9様キャプシドタンパク質
、または前記FCV F9様キャプシドタンパク質の抗原性フラグメントをもコードする
、請求項5に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記VS-FCVキャプシドタンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも9
5%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項4、5、7、8、9または10に記載
の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記FCV F9様キャプシドタンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも
95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項4、6、7、8、9、10または1
1に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12に記載の免疫原性組成
物と、薬学的に許容される担体とを含む、FCVに起因する疾患の予防を補助するワクチ
ン。
【請求項14】
非FCVネコ病原体に対する防御免疫を誘発するための少なくとも1つの非FCV抗原
をさらに含む、請求項13に記載のワクチン組成物。
【請求項15】
前記非FCVネコ病原体が、ネコヘルペスウイルス(FHV)、ネコ白血病ウイルス(
FeLV)、ネコニューモウイルス(FPN)、ネコパルボウイルス(FPV)、ネコ伝
染性腹膜炎ウイルス(FIPV)、ネコ免疫不全ウイルス、ボルナ病ウイルス(BDV)
、ネコインフルエンザウイルス、ネコ汎血球減少症ウイルス(FPLV)、ネココロナウ
イルス(FCoV)、ネコ鼻腔気管炎ウイルス(FVR)、クラミドフィラ・フェリス(
Chlamydophila felis)およびそれらの任意の組合せからなる群から
選択される、請求項14に記載のワクチン。
【請求項16】
前記非FCV抗原が、ネコヘルペスウイルス(FHV)、ネコ白血病ウイルス(FeL
V)、ネコニューモウイルス(FPN)、ネコパルボウイルス(FPV)、ネコ伝染性腹
膜炎ウイルス(FIPV)、ネコ免疫不全ウイルス、ボルナ病ウイルス(BDV)、ネコ
インフルエンザウイルス、ネコ汎血球減少症ウイルス(FPLV)、ネココロナウイルス
(FCoV)、ネコ鼻腔気管炎ウイルス(FVR)、クラミドフィラ・フェリスおよびそ
れらの任意の組合せからなる死滅または弱毒化非FCV抗原の群から選択される死滅また
は弱毒化非FCV抗原である、請求項14に記載のワクチン。
【請求項17】
前記弱毒化非FCV抗原が、改変された生クラミドフィラ・フェリス、改変された生ネ
コ鼻腔気管炎ウイルス(FVR)、改変された生ネコ白血病ウイルス(FeLV)、改変
された生ネコ汎血球減少症ウイルス(FPL)、改変された生ネコヘルペスウイルス(F
HV)、改変された生ネコニューモウイルス(FPN)、改変された生ネコパルボウイル
ス(FPV)、改変された生ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)、改変された生ネコ
免疫不全ウイルス、改変された生ボルナ病ウイルス(BDV)、改変された生ネココロナ
ウイルス(FCoV)および改変された生ネコインフルエンザウイルスからなる群から選
択される改変された生ネコ病原体である、請求項16に記載のワクチン。
【請求項18】
非FCV抗原に由来する少なくとも1つのタンパク質抗原またはその抗原性フラグメン
トをコードするヌクレオチド配列を含むアルファウイルスRNAレプリコン粒子をさらに
含む、請求項13、14、15、16または17に記載のワクチン組成物。
【請求項19】
非FCVネコ病原体に由来する前記タンパク質抗原またはその抗原性フラグメントが、
ネコヘルペスウイルス(FHV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ネコニューモウイ
ルス(FPN)、ネコパルボウイルス(FPV)、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV
)、ネコ免疫不全ウイルス、ボルナ病ウイルス(BDV)、ネコインフルエンザウイルス
、ネコ汎血球減少症ウイルス(FPLV)、ネココロナウイルス(FCoV)、ネコ鼻腔
気管炎ウイルス(FVR)、クラミドフィラ・フェリスおよびそれらの任意の組合せから
なる群から選択される、請求項18に記載のワクチン。
【請求項20】
非アジュバントワクチンである、請求項13、14、15、16、17、18または1
9に記載のワクチン組成物。
【請求項21】
病原性FCVに対してネコを免疫する方法であって、請求項13、14、15、16、
17、18、19または20に記載のワクチンの免疫学的有効量を前記ネコに投与するこ
とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2017年12月8日に出願された米
国仮特許出願第62/596,508号、2017年11月6日に出願された米国仮特許
出願第62/582,050号、2017年11月6日に出願された米国仮特許出願第6
2/581,955号および2017年12月15日に出願された米国仮特許出願第62
/599,401号の優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に組み入れる
【0002】
本発明は、ネコカリシウイルスのための新しいワクチンに関する。ワクチンを単独でま
たは他の保護剤と組み合わせて製造および使用する方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
ネコカリシウイルス(FCV)は通常、ネコの上気道疾患を引き起こす。FCVは、ネ
コヘルペスウイルスとともに、あらゆるネコ呼吸器疾患のうち約80%の原因であると考
えられている。FCV感染の最も一般的な特徴および臨床徴候は、舌および口腔粘膜上の
小胞(潰瘍)の発現である。これらの小胞は小さな個々の潰瘍として始まり、舌の大部分
に広がり、影響を及ぼすことがある。小胞は通常、飲食を妨げず、一般的には問題なく治
癒する。感染したネコには発熱も観察されることが多い。
【0004】
FCVの特定の株はまた、跛行症候群(limping syndrome)として知
られている疾患をネコに引き起こす。跛行症候群は、発熱、関節および筋肉の痛み(跛行
)、ならびに時に舌/口腔潰瘍を特徴とする。さらに、FCVのいくつかの株は、感染し
たネコに慢性口内炎を引き起こす。その他のあまり一般的でない臨床徴候は、結膜炎、鼻
炎および時に肺炎である。FCVに感染したネコは持続的に感染する可能性があり、長期
間にわたって感染性ウイルスを排出する可能性がある。
【0005】
FCVは、3つのオープンリーディングフレーム(ORF)からなる一本鎖のポジティ
ブセンスRNAゲノムを含む。ゲノムは3’末端でポリアデニル化され、ウイルスにコー
ドされたタンパク質によって5’末端で結合されている。第1のオープンリーディングフ
レームは、単一のポリペプチドに発現するウイルスプロテアーゼとRNA依存性RNAポ
リメラーゼとをコードする。次いで、このポリペプチドはウイルスプロテアーゼによって
翻訳後切断される。第2のオープンリーディングフレームは、A~Fと呼ばれる6つの領
域を有する主要なキャプシドタンパク質(すなわち、FCVキャプシドタンパク質)をコ
ードする[Scottら、60 Am J Vet Res.:652-658(199
9)]。領域Aは切断されて、成熟キャプシドタンパク質を生成する。ORF2の領域B
、DおよびFはFCV分離株間で比較的保存されているが、領域CおよびEは可変であり
、ORF2の領域Eは、主要なB細胞エピトープを含む[Radfordら、38(2)
Vet Res.:319-335(2007)を参照]。ORF3は、マイナーな構造
タンパク質をコードする[Sosnovtsev and Green,277 Vir
ology:193-203(2000)]。
【0006】
ある種の病原体から保護するために、いくつかのベクター戦略が長年にわたってワクチ
ンに採用されてきた。そのようなベクター戦略の1つには、ベネズエラウマ脳炎ウイルス
(VEE)[Pushkoら、Virology 239:389-401(1997)
]、シンドビス(SIN)[Bredenbeekら、Journal of Viro
logy 67:6439-6446(1993)]およびセムリキ森林ウイルス(SF
V)[Liljestrom and Garoff,Biotechnology(N
Y)9:1356-1361(1991)]を含むいくつかの異なるアルファウイルスか
ら開発されたアルファウイルス由来レプリコンRNA粒子(RP)[Vander Ve
enら、Anim Health Res Rev.13(1):1-9(2012)d
oi:10.1017/S1466252312000011;Kamrudら、J G
en Virol 91(Pt 7):1723-1727(2010)]の使用が含ま
れる。RPワクチンは、増殖欠損アルファウイルスRNAレプリコンを宿主細胞に送達し
、インビボで所望の(1または複数の)抗原導入遺伝子の発現をもたらす[Pushko
ら、Virology 239(2):389-401(1997)]。RPは、いくつ
かの従来のワクチン製剤と比較した場合、魅力的な安全性および有効性プロファイルを有
する[Vander Veenら、Anim Health Res Rev.13(1
):1-9(2012)]。RPプラットフォームは、病原抗原をコードするために使用
されており、ブタおよび家禽用のいくつかの米国農務省認可ワクチンの基礎となっている
【0007】
FCV分離株は、単一の血清型に属すると長い間特徴付けられてきたが、抗原的に非常
に多様であり、FCV F9のようなFCVの比較的古いワクチン株を用いてワクチン接
種されたネコ由来の抗体は、現在のあらゆる野外分離株を効率的に中和しない。さらに、
全身性疾患および高い死亡率を引き起こす新しいFCV株が同定されている[例えば、米
国特許第7,449,323号を参照]。これらの「強毒全身性」(VS‐FCV)分離
株は局地的なアウトブレイクの原因であり、現在のワクチンもこれらの株によって引き起
こされる疾患からネコを保護しないものと思われる。このことは、現行のワクチン株を用
いてワクチン接種されたネコが、そのような「抗原的に異種の」FCV株によって引き起
こされる疾患から完全には保護されておらず、ワクチン接種されたネコであっても、これ
らの異種株が疾患のアウトブレイクの原因になり得るとの懸念につながっている。したが
って、さらに広範囲に反応するウイルス中和(VN)抗体を刺激し、それにより新しい野
外分離株に対する優れた保護を提供する新しいワクチンを開発することが望ましい。
【0008】
本明細書におけるいかなる参考文献の引用も、そのような参考文献が本出願に対する「
先行技術」として利用可能であることの承認として解釈されないものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,449,323号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Scottら、60 Am J Vet Res.:652-658(1999)
【非特許文献2】Radfordら、38(2)Vet Res.:319-335(2007)
【非特許文献3】Sosnovtsev and Green,277 Virology:193-203(2000)
【非特許文献4】Pushkoら、Virology 239:389-401(1997)
【非特許文献5】Bredenbeekら、Journal of Virology 67:6439-6446(1993)
【非特許文献6】Liljestrom and Garoff,Biotechnology(NY)9:1356-1361(1991)
【非特許文献7】Vander Veenら、Anim Health Res Rev.13(1):1-9(2012)doi:10.1017/S1466252312000011
【非特許文献8】Kamrudら、J Gen Virol 91(Pt 7):1723-1727(2010)
【非特許文献9】Pushkoら、Virology 239(2):389-401(1997)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、1つ以上のネコカリシウイルス(FCV)抗原をコードするベ
クターを提供する。そのようなベクターは、これらのベクターを含む免疫原性組成物に使
用することができる。本発明の免疫原性組成物は、ワクチンに使用され得る。本発明の一
態様では、ワクチンは、ワクチン接種された対象(例えば、哺乳動物)をFCVから保護
する。この種の特定の実施形態では、ワクチン接種された対象はネコである。さらに特定
の実施形態では、ワクチン接種された対象はイエネコである。本発明はさらに、FCVお
よび他の疾患、例えばネコの他の感染性疾患に対する防御免疫を誘発するための混合ワク
チンを提供する。本発明の免疫原性組成物およびワクチンを製造および使用する方法も提
供される。
【0012】
具体的な実施形態では、ベクターは、ネコ病原体に由来する1つ以上の抗原をコードす
るアルファウイルスRNAレプリコン粒子である。特定の実施形態では、ネコ病原体はネ
コカリシウイルス(FCV)である。この種の具体的な実施形態では、アルファウイルス
RNAレプリコン粒子は、FCVキャプシドタンパク質をコードする。関連する実施形態
では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、FCVキャプシドタンパク質の抗原性
フラグメントをコードする。特定の実施形態では、FCVキャプシドタンパク質は、FC
V F9様キャプシドタンパク質である。他の実施形態では、アルファウイルスRNAレ
プリコン粒子は、FCV F9様キャプシドタンパク質の抗原性フラグメントをコードす
る。さらに他の実施形態では、FCVキャプシドタンパク質は、強毒全身性FCV(VS
-FCV)キャプシドタンパク質である。なお他の実施形態では、アルファウイルスRN
Aレプリコン粒子は、VS-FCVキャプシドタンパク質の抗原性フラグメントをコード
する。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、FCV F
9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントおよびVS-FCVキャプシド
タンパク質またはその抗原性フラグメントの両方をコードする。
【0013】
なお一層特定の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、ベネズエラ
ウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子である。さらに一層具体的な
実施形態では、VEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子は、TC-83 VEEア
ルファウイルスRNAレプリコン粒子である。他の実施形態では、アルファウイルスRN
Aレプリコン粒子は、シンドビス(SIN)アルファウイルスRNAレプリコン粒子であ
る。なお他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、セムリキ森林ウ
イルス(SFV)アルファウイルスRNAレプリコン粒子である。代替の実施形態では、
裸のDNAベクターは、ネコ病原体に由来する1つ以上の抗原をコードする核酸構築物を
含む。この種の特定の実施形態では、裸のDNAベクターは、FCVキャプシドタンパク
質またはその抗原性フラグメントをコードする核酸構築物を含む。
【0014】
特定の実施形態では、本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子は、1つ以上の
FCV抗原またはその抗原性フラグメントをコードする。この種の特定の実施形態では、
アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、2~4個のFCV抗原またはその抗原性フラ
グメントをコードする。関連する実施形態では、本発明のアルファウイルスRNAレプリ
コン粒子は、1つ以上のFCV抗原またはその抗原性フラグメントおよび1つ以上の非F
CV抗原またはその抗原性フラグメントをコードする。この種の具体的な実施形態では、
アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、1つ以上のFCVキャプシドタンパク質また
はその抗原性フラグメントおよび1~3個の非FCV抗原またはその抗原性フラグメント
をコードする。さらに具体的な実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は
、VS-FCVキャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントおよびFCV-F9
様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントおよび1~3個の非FCV抗原ま
たはその抗原性フラグメントをコードする。
【0015】
別の態様では、本発明は、1つ以上のFCV抗原またはその抗原性フラグメントをコー
ドするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む免疫原性組成物を提供する。関連す
る実施形態では、免疫原性組成物は、2~4個のFCV抗原またはその抗原性フラグメン
トをコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。この種の特定の実施形態
では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、FCVキャプシドタンパク質をコード
する。他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、FCVキャプシド
タンパク質の抗原性フラグメントをコードする。特定の実施形態では、免疫原性組成物は
、FCV F9様キャプシドタンパク質をコードするアルファウイルスRNAレプリコン
粒子を含む。他の実施形態では、免疫原性組成物は、FCV F9様キャプシドタンパク
質の抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。さ
らに他の実施形態では、免疫原性組成物は、強毒全身性FCV(VS-FCV)キャプシ
ドタンパク質をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。なお他の実施
形態では、免疫原性組成物は、VS-FCVキャプシドタンパク質の抗原性フラグメント
をコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。さらに他の実施形態では、
免疫原性組成物は、FCV F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメント
およびVS-FCVキャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントの両方をコード
するアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。さらに特定の実施形態では、免疫原
性組成物は、ベネズエラウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子であ
るアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。さらに一層具体的な実施形態では、免
疫原性組成物は、TC-83 VEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子であるVE
EアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む。
【0016】
なお他の実施形態では、免疫原性組成物は、アルファウイルスRNAレプリコン粒子の
2つ以上のセットを含む。この種の特定の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリ
コン粒子の一方のセットは第1の抗原をコードし、アルファウイルスRNAレプリコン粒
子の他方のセットは第2の抗原をコードする。この種の特定の実施形態では、アルファウ
イルスRNAレプリコン粒子の第1のセットは、1つ以上のFCV抗原またはその抗原性
フラグメントをコードし、アルファウイルスRNAレプリコン粒子の第2のセットは、1
つ以上のFeLV抗原またはその抗原性フラグメントをコードする。特定の実施形態では
、FCV抗原は、強毒全身性ネコカリシウイルス(VS-FCV)分離株に由来する。他
の実施形態では、FCV抗原は、古典的(F9様)ネコカリシウイルス分離株に由来する
。さらに他の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子の第2のセットは、
一方は強毒全身性FCV分離株に由来し、他方はF9様FCVに由来する2つのFCV抗
原またはその抗原をコードする。なお他の実施形態では、免疫原性組成物は、FCV F
9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントをコードするアルファウイルス
RNAレプリコン粒子の第1のセットと、VS-FCVキャプシドタンパク質またはその
抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子の第2のセット
とを含む。関連する実施形態では、免疫原性組成物は、VS-FCVキャプシドタンパク
質またはその抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子の
第1のセットと、FeLV糖タンパク質(例えば、gp85)またはその抗原性フラグメ
ント(例えば、FeLV糖タンパク質gp70および/またはgp45)をコードするア
ルファウイルスRNAレプリコン粒子の第2のセットとを含む。
【0017】
さらに他の実施形態では、免疫原性組成物は、第1の抗原をコードするアルファウイル
スRNAレプリコン粒子の1つのセットと、第2の抗原をコードするアルファウイルスR
NAレプリコン粒子の別のセットと、第3の抗原をコードするアルファウイルスRNAレ
プリコン粒子の第3のセットとを含む。この種の特定の実施形態では、アルファウイルス
RNAレプリコン粒子の第1のセットは、古典的(F9様)ネコカリシウイルスに由来す
るFCV抗原(例えば、キャプシドタンパク質)またはその抗原性フラグメントをコード
し、アルファウイルスRNAレプリコン粒子の第2のセットは、強毒全身性ネコカリシウ
イルスに由来するFCV抗原(例えば、キャプシドタンパク質)またはその抗原性フラグ
メントをコードし、そして、アルファウイルスRNAレプリコン粒子の第3のセットは、
FeLV抗原(例えば、FeLV gp85)またはその抗原性フラグメントをコードす
る。
【0018】
したがって、免疫原性組成物がアルファウイルスRNAレプリコン粒子の複数のセット
(例えば、2~10個)を含む特定の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン
粒子の第1のセットは、FCV F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメ
ントおよび/またはVS-FCVキャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントを
コードし、アルファウイルスRNAレプリコン粒子の1つ以上の他のセットは、1つ以上
の非FCV抗原をコードする。
【0019】
この種の特定の実施形態では、非FCV抗原またはその抗原性フラグメントは、ネコヘ
ルペスウイルス(FHV)に由来するタンパク質抗原である。他の実施形態では、非FC
V抗原は、ネコ白血病ウイルス(FeLV)に由来するタンパク質抗原である。さらに他
の実施形態では、非FCV抗原は、ネコニューモウイルス(FPN)に由来するタンパク
質抗原である。なお他の実施形態では、非FCV抗原は、ネコパルボウイルス(FPV)
に由来するタンパク質抗原である。さらに他の実施形態では、非FCV抗原は、狂犬病ウ
イルスに由来するタンパク質抗原である。なお他の実施形態では、非FCV抗原は、ネコ
伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)に由来するタンパク質抗原である。さらに他の実施形
態では、非FCV抗原は、ネコ免疫不全ウイルスに由来するタンパク質抗原である。なお
他の実施形態では、非FCV抗原は、ボルナ病ウイルス(BDV)に由来するタンパク質
抗原である。さらに他の実施形態では、非FCV抗原は、ネコインフルエンザウイルスに
由来するタンパク質抗原である。なお他の実施形態では、非FCV抗原は、ネコ汎血球減
少症ウイルス(FPLV)に由来するタンパク質抗原である。さらに他の実施形態では、
非FCV抗原は、ネココロナウイルス(FCoV)に由来するタンパク質抗原である。な
お他の実施形態では、非FCV抗原は、ネコ鼻腔気管炎ウイルス(FVR)に由来するタ
ンパク質抗原である。さらに他の実施形態では、非FCV抗原は、クラミドフィラ・フェ
リス(Chlamydophila felis)に由来するタンパク質抗原である。
【0020】
本発明はまた、本発明のすべてのアルファウイルスRNAレプリコン粒子、裸のDNA
ベクター、合成メッセンジャーRNAおよびRNAレプリコンを含む本発明の核酸構築物
を、ならびに、本発明のすべての核酸構築物(例えば、合成メッセンジャーRNA、RN
Aレプリコン)、アルファウイルスRNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベク
ターを含む免疫原性組成物および/またはワクチンを含む。
【0021】
特定の実施形態では、本発明の核酸構築物は、1つ以上のFCV抗原またはその抗原性
フラグメントをコードする。この種の関連する実施形態では、核酸構築物は、2~4個の
FCV抗原またはその抗原性フラグメントをコードする。他の実施形態では、アルファウ
イルスRNAレプリコン粒子は、1つ以上のFCV抗原またはその抗原性フラグメントを
コードする核酸構築物を含む。特定の実施形態では、アルファウイルスRNAレプリコン
粒子は、2~4個のFCV抗原またはその抗原性フラグメントをコードする核酸構築物を
含む。
【0022】
なお他の実施形態では、免疫原性組成物は、2~4個のFCV抗原またはその抗原性フ
ラグメントをコードする核酸構築物を含むアルファウイルスRNAレプリコン粒子および
/または裸のDNAベクターを含む。この種の特定の実施形態では、アルファウイルスR
NAレプリコン粒子は、FCV F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメ
ントおよび/またはVS-FCVキャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントお
よびFeLV糖タンパク質(gp85)またはその抗原性フラグメントをコードする。こ
の種の特定の実施形態では、gp85の抗原性フラグメントは、FeLV糖タンパク質g
p70である。他の関連する実施形態では、gp85の抗原性フラグメントは、FeLV
糖タンパク質gp45である。さらに特定の実施形態では、免疫原性組成物は、ベネズエ
ラウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子であるアルファウイルスR
NAレプリコン粒子を含む。さらに一層具体的な実施形態では、VEEアルファウイルス
RNAレプリコン粒子は、TC-83 VEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子で
ある。
【0023】
さらに他の実施形態では、免疫原性組成物は、アルファウイルスRNAレプリコン粒子
および/または裸のDNAベクターの2つ以上のセットを含む。この種の特定の実施形態
では、アルファウイルスRNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクターの一方
のセットは第1の核酸構築物を含み、アルファウイルスRNAレプリコン粒子および/ま
たは裸のDNAベクターの他方のセットは第2の核酸構築物を含む。この種の具体的な実
施形態では、第1の核酸構築物はFCV抗原またはその抗原性フラグメントをコードし、
第2の核酸構築物はネコカリシウイルス(FCV)抗原またはその抗原性フラグメントを
コードする。この種の特定の実施形態では、FCV抗原は、強毒全身性ネコカリシウイル
ス(VS-FCV)分離株に由来する。他の実施形態では、FCV抗原は、古典的(F9
様)ネコカリシウイルス分離株に由来する。さらに他の実施形態では、第2の核酸構築物
は、一方が強毒全身性ネコカリシウイルス分離株に由来し、他方が古典的(F9様)ネコ
カリシウイルス分離株に由来する2つのFCV抗原をコードする。
【0024】
なお他の実施形態では、免疫原性組成物は、第1の核酸構築物を含むアルファウイルス
RNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクターの1つのセットと、第2の核酸
構築物を含むアルファウイルスRNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクター
の別のセットと、第3の核酸構築物を含むアルファウイルスRNAレプリコン粒子および
/または裸のDNAベクターの第3のセットとを含む。この種の特定の実施形態では、第
1の核酸構築物はFeLV抗原またはその抗原性フラグメントをコードし、第2の核酸構
築物は、強毒全身性ネコカリシウイルスに由来するネコカリシウイルス(FCV)抗原ま
たはその抗原性フラグメントをコードし、第3の核酸構築物は、古典的(F9様)ネコカ
リシウイルスに由来するネコカリシウイルス(FCV)抗原またはその抗原性フラグメン
トをコードする。
【0025】
さらに他の実施形態では、免疫原性組成物は、第1の核酸構築物を含むアルファウイル
スRNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクターの1つのセットと、第2の核
酸構築物を含むアルファウイルスRNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクタ
ーの別のセットと、第3の核酸構築物を含むアルファウイルスRNAレプリコン粒子およ
び/または裸のDNAベクターの第3のセットと、第4の核酸構築物を含むアルファウイ
ルスRNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクターの第4のセットとを含む。
この種の特定の実施形態では、第1の核酸構築物は、強毒全身性ネコカリシウイルスに由
来するネコカリシウイルス(FCV)抗原またはその抗原性フラグメント、および古典的
(F9様)ネコカリシウイルスに由来するネコカリシウイルス(FCV)抗原またはその
抗原性フラグメントの両方をコードする。
【0026】
なお他の実施形態では、免疫原性組成物は、第1の核酸構築物を含むアルファウイルス
RNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクターのセットと、第2の核酸構築物
を含むアルファウイルスRNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクターの別の
セットと、第3の核酸構築物を含むアルファウイルスRNAレプリコン粒子および/また
は裸のDNAベクターの第3のセットと、第4の核酸構築物を含むアルファウイルスRN
Aレプリコン粒子および/または裸のDNAベクターの第4のセットと、第5の核酸構築
物を含むアルファウイルスRNAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクターの第
5のセットとを含む。そのような実施形態では、第1の核酸構築物、第2の核酸構築物、
第3の核酸構築物、第4の核酸構築物および第5の核酸構築物のヌクレオチド配列はいず
れも異なる。この種の特定の実施形態では、第1の核酸構築物は、強毒全身性ネコカリシ
ウイルスに由来するネコカリシウイルス(FCV)抗原またはその抗原性フラグメント、
および古典的(F9様)ネコカリシウイルスに由来するネコカリシウイルス(FCV)抗
原またはその抗原性フラグメントの両方をコードする。
【0027】
したがって、本発明の免疫原性組成物は、非FCV病原体に対する防御免疫を誘発する
ための少なくとも1つの非FCV抗原をコードする核酸構築物を含むアルファウイルスR
NAレプリコン粒子および/または裸のDNAベクターを含有することができる。この種
の特定の実施形態では、非FCV抗原は、ネコヘルペスウイルス(FHV)に由来するタ
ンパク質抗原である。他の実施形態では、非FCV抗原は、ネコ白血病ウイルス(FeL
V)に由来するタンパク質抗原である。さらに他の実施形態では、非FCV抗原は、ネコ
ニューモウイルス(FPN)に由来するタンパク質抗原である。なお他の実施形態では、
非FCV抗原は、ネコパルボウイルス(FPV)に由来するタンパク質抗原である。さら
に他の実施形態では、非FCV抗原は、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)に由来す
るタンパク質抗原である。なお他の実施形態では、非FCV抗原は、ネコ免疫不全ウイル
スに由来するタンパク質抗原である。さらに他の実施形態では、非FCV抗原は、狂犬病
ウイルスに由来するタンパク質抗原である。なお他の実施形態では、非FCV抗原は、ボ
ルナ病ウイルス(BDV)に由来するタンパク質抗原である。さらに他の実施形態では、
非FCV抗原は、ネコインフルエンザウイルスに由来するタンパク質抗原である。なお他
の実施形態では、非FCV抗原は、ネコ汎血球減少症ウイルス(FPLV)に由来するタ
ンパク質抗原である。さらに他の実施形態では、非FCV抗原は、ネココロナウイルス(
FCoV)に由来するタンパク質抗原である。なお他の実施形態では、非FCV抗原は、
ネコ鼻腔気管炎ウイルス(FVR)に由来するタンパク質抗原である。なお他の実施形態
では、非FCV抗原は、クラミドフィラ・フェリスに由来するタンパク質抗原である。
【0028】
本発明はさらに、ともにFCV(例えば、FCVキャプシドタンパク質)に由来する1
つ以上の抗原またはその抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNAレプリ
コン粒子を含み、更に、1つ以上の改変された生/弱毒化または死滅ネコ病原体を含む組
合せ免疫原性組成物および/またはワクチン(多価ワクチン)を提供する。特定の実施形
態では、免疫原性組成物は、FeLVに由来する抗原またはその抗原性フラグメントをコ
ードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子と組み合わされた改変された生または死
滅クラミドフィラ・フェリスをさらに含む。他の実施形態では、免疫原性組成物は、Fe
LVに由来する抗原またはその抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNA
レプリコン粒子と組み合わされた改変された生または死滅ネコ鼻腔気管炎ウイルス(FV
R)をさらに含む。さらに他の実施形態では、免疫原性組成物は、FeLVに由来する抗
原またはその抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子と
組み合わされた改変された生または死滅ネコ汎血球減少症ウイルス(FPL)をさらに含
む。特定の実施形態では、ワクチンは、これらの免疫原性組成物のうちの1つ以上の免疫
学的有効量を含む。
【0029】
さらに具体的な実施形態では、免疫原性組成物は、VS-FCVに由来するキャプシド
タンパク質またはその抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNAレプリコ
ン粒子を含み、そして更に、改変された生または死滅F9様FCVをさらに含む。なお他
の実施形態では、免疫原性組成物は、VS-FCVに由来するキャプシドタンパク質また
はその抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含み、
そして更に、改変された生または死滅F9様FCV、改変された生または死滅クラミドフ
ィラ・フェリス、改変された生または死滅FVR、および改変された生または死滅FPL
をさらに含む。関連する実施形態では、免疫原性組成物はまた、FeLVに由来する抗原
またはその抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含
む。この種の特定の実施形態では、FeLVのネコ抗原は、FeLVウイルス糖タンパク
質(gp85)である。特定の実施形態では、本発明は、これらの免疫原性組成物のうち
の1つ以上の免疫学的有効量を含むワクチンを提供する。
【0030】
特定の実施形態では、本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子は、VS-FC
Vキャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントをコードする。この種の具体的な
実施形態では、VS-FCVキャプシドタンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列と95
%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む。この種のさらに具体的な実施形態では、V
S-FCVキャプシドタンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列と98%以上の同一性を
有するアミノ酸配列を含む。この種のさらになお具体的な実施形態では、VS-FCVキ
ャプシドタンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を含む。この種の具体的な実施形態で
は、VS-FCVキャプシドタンパク質は、配列番号1または配列番号12のヌクレオチ
ド配列によってコードされる。
【0031】
関連する実施形態では、本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子は、FCV
F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントをコードする。この種の具体
的な実施形態では、FCV F9様キャプシドタンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列
と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む。この種のさらに具体的な実施形態で
は、FCV F9様キャプシドタンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列と98%以上の
同一性を有するアミノ酸配列を含む。この種のさらになお具体的な実施形態では、FCV
F9様キャプシドタンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。この種の具体的な
実施形態では、FCV F9様キャプシドタンパク質は、配列番号3または配列番号13
のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0032】
特定の実施形態では、本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子は、FeLV糖
タンパク質(gp85)をコードする。この種の具体的な実施形態では、FeLV糖タン
パク質gp85は、配列番号6のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配
列を含む。この種のさらに具体的な実施形態では、FeLV糖タンパク質(gp85)は
、配列番号6のアミノ酸配列を含む。この種のさらになお具体的な実施形態では、FeL
V糖タンパク質(gp85)は、配列番号5または配列番号14のヌクレオチド配列によ
ってコードされる。
【0033】
関連する実施形態では、FeLV糖タンパク質gp70は、配列番号8のアミノ酸配列
と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む。この種のさらに具体的な実施形態で
は、FeLV糖タンパク質(gp85)は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。この種の
さらになお具体的な実施形態では、FeLV糖タンパク質(gp70)は、配列番号7ま
たは配列番号15のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0034】
さらに他の実施形態では、本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子は、狂犬病
ウイルス糖タンパク質(G)をコードする。この種の具体的な実施形態では、狂犬病ウイ
ルス糖タンパク質は、配列番号10のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ
酸配列を含む。この種のさらに具体的な実施形態では、狂犬病ウイルス糖タンパク質(G
)は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。この種のさらになお具体的な実施形態では、
狂犬病ウイルス糖タンパク質(G)は、配列番号9または配列番号16のヌクレオチド配
列によってコードされる。
【0035】
本発明はさらに、本発明の免疫原性組成物を含む多価ワクチンを含むワクチンを含む。
特定の実施形態では、ワクチンは非アジュバントワクチンである。特定の実施形態では、
ワクチンは、FCVに起因する疾患の予防を補助する。関連する実施形態では、ネコがワ
クチンにより免疫されると、ネコ対象に抗体が誘導される。
【0036】
本発明はまた、ネコ病原体、例えばFCVに対してネコを免疫する方法であって、本発
明のワクチンまたは多価の免疫学的有効量をネコに投与することを含む方法を提供する。
特定の実施形態では、ワクチンは筋肉内注射を介して投与される。代替の実施形態では、
ワクチンは皮下注射を介して投与される。他の実施形態では、ワクチンは静脈内注射を介
して投与される。なお他の実施形態では、ワクチンは皮内注射を介して投与される。さら
に他の実施形態では、ワクチンは経口投与を介して投与される。なお他の実施形態では、
ワクチンは鼻腔内投与を介して投与される。具体的な実施形態では、ネコはイエネコであ
る。
【0037】
本発明のワクチンおよび多価ワクチンは、プライマーワクチンおよび/またはブースタ
ーワクチンとして投与することができる。具体的な実施形態では、本発明のワクチンは、
その後の投与を必要とせずに、単回接種ワクチン(1回用量)として投与される。特定の
実施形態では、プライマーワクチンおよびブースターワクチンの両方の投与の場合、プラ
イマーワクチンおよびブースターワクチンは、同一の経路によって投与することができる
。この種の特定の実施形態では、プライマーワクチンおよびブースターワクチンはともに
皮下注射によって投与される。代替の実施形態では、プライマーワクチンおよびブースタ
ーワクチンの両方の投与の場合、プライマーワクチンの投与は1つの経路によって行い、
ブースターワクチンの投与は別の経路によって行うことができる。この種の特定の実施形
態では、プライマーワクチンは皮下注射によって投与することができ、ブースターワクチ
ンは経口投与することができる。
【0038】
本発明はさらに、FCVに対してネコを免疫する方法であって、上記のワクチンの免疫
学的有効量をネコに注射することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、ワクチン
は、例えば、約1×10~約1×1010又はそれ以上のRPを含むことができる。さ
らに特定の実施形態では、ワクチンは、約1×10~約1×10のRPを含むことが
できる。さらになお特定の実施形態では、ワクチンは、約1×10~約1×10のR
Pを含むことができる。特定の実施形態では、ネコはイエネコである。
【0039】
特定の実施形態では、本発明のワクチンは、0.05mL~3mLの用量で投与される
。さらに特定の実施形態では、投与される用量は、0.1mL~2mLである。なお一層
特定の実施形態では、投与される用量は、0.2mL~1.5mLである。さらに他の実
施形態では、投与される用量は、0.5mL~2.0mLである。なお他の実施形態では
、投与される用量は、0.3~1.0mLである。さらに一層特定の実施形態では、投与
される用量は、0.4mL~0.8mLである。
【0040】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を参照することによってさらによ
く理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、効果的で安全なFCVワクチンを提供する。特定の実施形態では、ワクチン
はアジュバント化されていない。一態様では、本発明のワクチンは、ネコ注射部位肉腫を
誘発しないが、それでもなお、FCV感染によって引き起こされる上気道疾患および/ま
たは跛行症候群からのワクチン接種対象の保護に役立つ。特定の実施形態では、FCVキ
ャプシドタンパク質は、強毒全身性FCV(VS-FCV)に由来する。関連する実施形
態では、FCVキャプシドタンパク質は、FCV F9株(F9様FCV)のようなさら
に古い株に由来する。
【0042】
したがって、本発明のワクチン組成物は、レシピエントワクチン接種動物の防御免疫の
誘発を補助する、ネコカリシウイルスの1つ以上の株由来の抗原をコードする免疫学的有
効量のベクターを含む。さらに、本発明は、ワクチン接種の信頼性を改善して、FCVに
感染したネコのネコの上気道疾患の減少を補助し、それにより、疾患を比較的一過性また
は軽度なものとし、および/または感染の減少をもたらす新しい免疫原性組成物を提供す
る。本発明の特定の態様では、ワクチンは、例えば、VS-FCV、または代わりに、F
CV F9様株のような古典的株に由来するFCVキャプシドをコードするアルファウイ
ルスRNAレプリコン粒子(RP)を含む。
【0043】
さらに具体的な実施形態では、ワクチンは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)の
キャプシドタンパク質および糖タンパク質を含み、そして、FCVキャプシドタンパク質
および/またはその抗原性フラグメントをコードするアルファウイルスRNAレプリコン
粒子(RP)を含む。さらになお具体的な実施形態では、ワクチンは、VEEの無毒性T
C-83株のキャプシドタンパク質および糖タンパク質を含み、そして、1つ以上のFC
Vキャプシドタンパク質および/またはその1つ以上の抗原性フラグメントをコードする
アルファウイルスRNAレプリコン粒子(RP)を含む。
【0044】
本発明の別の態様では、ワクチンは、1つ以上のFCVキャプシドタンパク質および/
またはその1つ以上の抗原性フラグメントをコードする裸のDNAベクターを含む。本発
明のワクチンは、アジュバントの非存在下でネコに投与し、ワクチン接種されたネコをF
CVに対して保護することを依然として効果的に補助することができる。
【0045】
本発明をさらに完全に理解するために、以下の定義が提供される。
【0046】
説明の便宜のための単数形の用語の使用は、決してそのように限定することを意図する
ものではない。したがって、例えば、「ポリペプチド」を含む組成物への言及は、そのよ
うなポリペプチドのうちの1つ以上への言及を含む。さらに、「アルファウイルスRNA
レプリコン粒子」への言及は、特に指示しない限り、複数のそのようなアルファウイルス
RNAレプリコン粒子への言及を含む。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「およそ」は、用語「約」と区別なく使用され、ある
値が示された値の50%以内であること、すなわち、1ミリリットル当たり「およそ」1
×10のアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含有する組成物が、1ミリリットル
当たり0.5×10~1.5×10のアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含有
することを意味する。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「ネコ」は、ネコ科の任意の一員を指す。イエネコ、
純血種および/または雑種のペット用ネコ、および野生又は野良ネコはいずれもネコであ
る。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「レプリコン」は、それらが存在するならば、細胞培
養物または動物宿主に対して親ウイルスの増殖を成功させることができるであろう1つ以
上の要素(例えば、構造タンパク質のコード配列)を欠く改変されたRNAウイルスゲノ
ムを指す。好適な細胞の状況では、レプリコンはそれ自体を増幅し、1つ以上のサブゲノ
ムRNA種を生成し得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「RP」と略される用語「アルファウイルスRNAレプリ
コン粒子」は、例えば、Pushkoら[Virology 239(2):389-4
01(1997)]によって記載されるように、構造タンパク質、例えば、同じくアルフ
ァウイルスに由来するキャプシドおよび糖タンパク質に包み込まれたアルファウイルス由
来RNAレプリコンである。レプリコンはアルファウイルスの構造成分(例えば、キャプ
シドおよび糖タンパク質)をコードしないため、RPは細胞培養物または動物宿主では(
ヘルパープラスミドまたは類似の成分を用いることなく)増殖することができない。
【0051】
用語「FCV F9様」および「F9様FCV」は、相互に、および用語「古典的FC
V」と区別なく使用され、本明細書で使用される場合、FCV F9株が典型的な代表で
あると考えられる、FCVの比較的古く、以前の万能なワクチン株として特徴付けられ得
るFCVである。これとは対照的に、強毒全身性「VS-FCV」または本明細書で区別
なく使用される「(VS)FCV」と称されるFCVは、比較的新しいクラスのFCVで
あり、非常に強毒性であり、FCV F9様株に対して生じた抗体によって中和すること
ができない[米国特許第7,449,323号;Radfordら、38(2)Vet
res 319-335(2007)を参照]。
【0052】
用語「非FCV」は、それぞれの病原体および/または抗原(または免疫原)がFCV
病原体およびFCV抗原(または免疫原)のいずれでもなく、非FCVタンパク質抗原(
または免疫原)がFCVに由来しないことを意味するように、病原体および/または抗原
(または免疫原)のような用語を修飾するために使用される。
【0053】
用語「由来する(originate from)」、「由来する(originat
es from)」および「由来する(originating from)」は、所与
のタンパク質抗原およびそれを天然にコードする病原体またはその病原体の株に関して区
別なく使用され、本明細書で使用される場合、その所与のタンパク質抗原の未改変および
/または切断アミノ酸配列が、その病原体またはその病原体の株によってコードされてい
ることを意味する。本発明の核酸構築物内では、病原体に由来するタンパク質抗原のコー
ド配列は、それが由来する病原体または病原体の株(自然弱毒株を含む)におけるそのタ
ンパク質抗原の対応する配列に対して、発現されたタンパク質抗原のアミノ酸配列の改変
および/または切断をもたらすように遺伝的に操作され得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「保護する」、または「保護を提供する」、または「
防御免疫を誘発する」、「疾患の予防を補助する」、および「保護を補助する」は、感染
の何らかの兆候からの完全な保護を必要としない。例えば、「保護に役立つ」は、惹起後
に、根底にある感染の症状が少なくとも減少し、および/または症状を引き起こす、根底
にある細胞性、生理学的または生化学的な原因または機構のうちの1つ以上が減少および
/または排除されるように、保護が十分であることを意味し得る。これに関連して使用さ
れる場合、「減少した」は、感染の生理学的状態だけでなく、感染の分子状態を含め、感
染の症状に関連することを意味すると理解されたい。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ワクチン」は、動物、例えばネコ(特定の実施形態では
ヒトを含むが、他の実施形態ではヒトに特異的ではない)に適用するのに適した、水を含
有する液体などの薬学的に許容される担体と典型的に組み合わされた1つ以上の抗原を含
む組成物であり、動物に投与すると、野生型微生物による感染から生じる疾患からの保護
を最小限に補助するのに十分に強力な、すなわち、疾患の予防、および/または疾患の予
防、改善または治癒を補助するのに十分な強力な免疫応答を誘導する。
【0056】
本明細書で使用される場合、多価ワクチンとは、2つ以上の異なる抗原を含むワクチン
である。この種の特定の実施形態では、多価ワクチンは、2つ以上の異なる病原体に対し
てレシピエントの免疫系を刺激する。
【0057】
用語「アジュバント」および「免疫刺激剤」は、本明細書では区別なく使用され、免疫
系の刺激を引き起こす1つ以上の物質として定義される。これに関連して、アジュバント
は、1つ以上のワクチン抗原/分離株に対する免疫応答を増強するために使用される。し
たがって、「アジュバント」は、特定の抗原に対する免疫応答を非特異的に増加させ、ひ
いては、任意の所与のワクチンに必要な抗原の量、および/または目的の抗原に対する適
切な免疫応答をもたらすために必要な注射の頻度を減少させる薬剤である。これに関連し
て、アジュバントは、1つ以上のワクチン抗原/分離株に対する免疫応答を増強するため
に使用される。例えば、American Association of Felin
e Practitioners Feline Vaccination Guide
linesは、非アジュバントFeLVワクチンの使用を提案している[AAFP Fe
line Advisory Panel,15:785-808(2013)]。
【0058】
本明細書で使用される場合、「非アジュバントワクチン」は、アジュバントを含有しな
いワクチンまたは多価ワクチンである。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、その修飾された名詞が医
薬品に使用するのに適切であることを意味するように形容詞的に使用される。用語「薬学
的に許容される」は、例えば、医薬品ワクチン中の賦形剤を説明するために使用される場
合、組成物の他の成分と適合し、意図されるレシピエント動物、例えばネコに不都合なほ
ど有害ではないとして賦形剤を特徴付ける。
【0060】
非経口投与」には、皮下注射、粘膜下注射、静脈内注射、筋肉内注射、皮内注射および
注入が含まれる。
【0061】
本明細書で使用される場合、特定のタンパク質(例えば、タンパク質抗原)に関する用
語「抗原性フラグメント」は、抗原性の、すなわち免疫系の抗原認識分子、例えば、免疫
グロブリン(抗体)またはT細胞抗原受容体と特異的に相互作用することができる、その
タンパク質のフラグメントである。例えば、FCVキャプシドタンパク質の抗原性フラグ
メントは、抗原性であるキャプシドタンパク質のフラグメントである。具体的な実施形態
では、FCVキャプシドタンパク質の抗原性フラグメントは、主要なB細胞エピトープを
含む、ORF2の領域Eを含む。好ましくは、本発明の抗原性フラグメントは、抗体およ
び/またはT細胞受容体認識に対して免疫優性である。特定の実施形態では、所与のタン
パク質抗原に関する抗原性フラグメントは、全長タンパク質の抗原性の少なくとも25%
を保持する、そのタンパク質のフラグメントである。好ましい実施形態では、抗原性フラ
グメントは、全長タンパク質の抗原性の少なくとも50%を保持する。さらに好ましい実
施形態では、抗原性フラグメントは、全長タンパク質の抗原性の少なくとも75%を保持
する。抗原性フラグメントは、20アミノ酸程度の小さなものである場合もあれば、極端
な場合、全長タンパク質から1つのアミノ酸だけが失われている大きなフラグメントであ
る場合もある。特定の実施形態では、抗原性フラグメントは、25~150のアミノ酸残
基を含む。他の実施形態では、抗原性フラグメントは、50~250のアミノ酸残基を含
む。例えば、FeLVの場合、FeLV gp45糖タンパク質およびFeLV gp7
0糖タンパク質は、FeLV gp85糖タンパク質の抗原性フラグメントである。
【0062】
本明細書で使用される場合、2つの配列のアミノ酸残基が同一である場合、1つのアミ
ノ酸配列は、第2のアミノ酸配列に対して100%「同一」であるか、100%の「同一
性」を有する。したがって、2つのアミノ酸配列のアミノ酸残基の50%が同一である場
合、アミノ酸配列は、第2のアミノ酸配列と50%「同一」である。配列比較は、所与の
タンパク質、例えば、比較されるタンパク質、またはポリペプチドの一部に含まれるアミ
ノ酸残基の連続したブロックに対して行われる。特定の実施形態では、普通なら2つのア
ミノ酸配列間の対応を変更する可能性がある選択された欠失または挿入が考慮に入れられ
る。
【0063】
本明細書で使用される場合、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列のパーセント同一性は、
アライメントのデフォルトパラメーター、および同一性のためのデフォルトパラメーター
とともに、C,MacVector(MacVector,Inc.Cary,NC 2
7519),Vector NTI(Informax,Inc MD),Oxford
Molecular Group PLC(1996)およびClustal Wアル
ゴリズムを使用して決定することができる。これらの市販のプログラムは、同じまたは類
似のデフォルトパラメーターを使用して配列類似性を決定するために使用することもでき
る。あるいは、例えば、デフォルトパラメーターを使用するGCG(Genetics
Computer Group,Program Manual for the GC
G Package,Version 7,Madison,Wisconsin)のパ
イルアッププログラムを使用して、デフォルトのフィルター条件下でAdvanced
Blast検索を使用することができる。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「不活化」微生物は、用語「死滅」微生物と区別なく
使用される。本発明の目的では、「不活化」微生物とは、動物に免疫応答を誘導すること
ができるが、動物に感染することができない生物である。本発明の抗原(例えば、不活化
ネコカリシウイルス)は、バイナリーエチレンイミン、ホルマリン、ベータプロピオラク
トン、チメロサールからなる群から選択される薬剤、または熱によって不活化されてもよ
い。特定の実施形態では、本発明のRPと組み合わされた不活化ネコカリシウイルス分離
株は、バイナリーエチレンイミンによって不活化される。
【0065】
本発明のアルファウイルスRNAレプリコン粒子は、凍結乾燥され、滅菌水希釈剤によ
って再水和されてもよい。一方、アルファウイルスRNAレプリコン粒子を別個に保存す
るが、投与前に他のワクチン成分と混合することを意図する場合、アルファウイルスRN
Aレプリコン粒子は、これらの成分の安定化溶液、例えば高スクロース溶液中で保存する
ことができる。
【0066】
本発明のワクチンは、静脈内、筋肉内、皮下、経口、鼻腔内、皮内および/または腹腔
内ワクチン接種を含む任意の標準的な経路によって容易に投与することができる。当業者
であれば、ワクチン組成物が好ましくは各種のレシピエント動物および投与経路に対して
適切に製剤化されることを理解するであろう。
【0067】
したがって、本発明はまた、FCVおよび/または他のネコ病原体に対してネコを免疫
する方法を提供する。そのような方法の1つは、本発明のワクチンの免疫学的有効量をネ
コに注射することを含み、その結果、ネコは適切なFCV抗体を産生する。
【0068】
多価ワクチン
本発明はまた、多価ワクチンを提供する。例えば、ネコ用ワクチンに有用なタンパク質
抗原もしくはその抗原性フラグメントのコード配列、またはタンパク質抗原のそのような
コード配列の組合せは、ワクチン中のFCV[例えば、FCVキャプシドタンパク質]の
ネコ抗原をコードするものとして、アルファウイルスRNAレプリコン粒子(RP)に付
加するか、同じRP中で組み合わせることができる。具体的な実施形態では、アルファウ
イルスRNAレプリコン粒子は、FCV F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性
フラグメントおよびVS-FCVキャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントの
両方をコードし、非FCV抗原をコードする。したがって、そのような多価ワクチンは本
発明に含まれる。
【0069】
そのようなタンパク質抗原のうちの1つ以上が由来し得る病原体の例には、ネコ鼻腔気
管炎ウイルス(FVR)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ネコ汎血球減少症ウイルス
(FPL)ネコヘルペスウイルス(FHV)、他のFCV株、ネコパルボウイルス(FP
V)、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)、ネコ免疫不全ウイルス、ボルナ病ウイル
ス(BDV)、狂犬病ウイルス、ネコインフルエンザウイルス、イヌインフルエンザウイ
ルス、トリインフルエンザ、イヌニューモウイルス、ネコニューモウイルス、クラミドフ
ィラ・フェリス(FKAクラミジア・シタッシ(FKA Chlamydia psit
taci))、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchi
septica)およびバルトネラ(Bartonella)属(例えば、B.ヘンセラ
(B.henselae))を含み得る。特定の実施形態では、これらのネコ病原体また
はイヌ病原体のうちの1つ以上に由来するキャプシドタンパク質または類似タンパク質の
コード配列をFCV抗原と同じRPに挿入することができる。あるいは、またはそれと組
み合わせて、これらのネコ病原体またはイヌ病原体のうちの1つ以上に由来するキャプシ
ドタンパク質または類似タンパク質のコード配列を1つ以上の他のRPに挿入することが
でき、これをワクチン中で、FCV F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラ
グメントおよび/またはVS-FCVキャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメン
トをコードするRPと組み合わせることができる。
【0070】
さらに、1つ以上の他の生弱毒ウイルス分離株、例えば、生弱毒FCV F9様ウイル
ス(例えば、改変された生FCV F9)および/または生弱毒ネコヘルペスウイルスお
よび/または生弱毒ネコパルボウイルスおよび/または生弱毒ネコ白血病ウイルスおよび
/または生弱毒ネコ伝染性腹膜炎ウイルスおよび/または生弱毒ネコ免疫不全ウイルスお
よび/または生弱毒ボルナ病ウイルスおよび/または生弱毒狂犬病ウイルスおよび/また
は生弱毒ネコインフルエンザウイルスおよび/または生弱毒イヌインフルエンザウイルス
および/または生弱毒トリインフルエンザおよび/または生弱毒イヌニューモウイルスお
よび/または生弱毒ネコニューモウイルスとともに、FCVの1つ以上の抗原[例えば、
FCV F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントおよび/またはVS
-FCVキャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメント]をコードするアルファウ
イルスRNAレプリコン粒子(RP)を加えることができる。さらに、生弱毒クラミドフ
ィラ・フェリスおよび/または生弱毒ボルデテラ・ブロンキセプチカおよび/または生弱
毒バルトネラ属(例えば、B.ヘンセラ)も、そのような多価ワクチンに含めることがで
きる。
【0071】
さらに、1つ以上の他の死滅ウイルス分離株、例えば、死滅FCV株および/または死
滅ネコヘルペスウイルスおよび/または死滅ネコパルボウイルスおよび/または死滅ネコ
白血病ウイルスおよび/または死滅ネコ伝染性腹膜炎ウイルスおよび/または死滅ネコ免
疫不全ウイルスおよび/または死滅ボルナ病ウイルスおよび/または死滅狂犬病ウイルス
および/または死滅ネコインフルエンザウイルスおよび/または死滅イヌインフルエンザ
ウイルスおよび/または死滅トリインフルエンザウイルスおよび/または死滅イヌニュー
モウイルスおよび/または死滅ネコニューモウイルスとともに、FCVの1つ以上の抗原
[例えば、FCV F9様キャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメントおよび/
またはVS-FCVキャプシドタンパク質またはその抗原性フラグメント]をコードする
アルファウイルスRNAレプリコン粒子(RP)を加えることができる。さらに、クラミ
ドフィラ・フェリスおよび/またはボルデテラ・ブロンキセプチカおよび/またはバルト
ネラ属(例えば、B.ヘンセラ)のバクテリン(またはバクテリンの亜分画、例えば線毛
亜分画)もそのような多価ワクチンに含めることができる。
【0072】
また、本発明は、本明細書に開示される特定の構成、プロセス工程および材料に限定さ
れず、したがって、構成、プロセス工程および材料はいくらか変動し得ることを理解され
たい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるた
め、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明する目的のみのために使用され、
限定することを意図しないことをさらに理解されたい。
【表1】
【0073】
配列
ネコカリシウイルスキャプシド(VS-FCV)配列番号1
atggctgacgacggatctgtgaccaccccagaacaagga
acaatggtcggaggagtgatt
gccgaacccagcgctcagatgtcaactgcggcggacatg
gcctccggaaagtcggtggac
tccgagtgggaagccttcttctcgttccacacgtccgtg
aactggagcacctccgaaacc
caaggaaagatcctcttcaagcagtccctgggtcccctg
ctgaacccgtacctggagcac
atcagcaagctgtacgtcgcttggagcgggtcgatcgaa
gtgcgattttccatctcggga
agcggcgtgttcggtggtaaactggccgccatcgtcgtg
ccgcctggtgtcgaccctgtc
cagtcaacctccatgctgcagtacccgcacgtcctgttc
gacgcaagacaagtggagcca
gtgatcttctccatcccggacctccgcaacagcctgtat
cacttgatgtccgataccgat
accacttccctcgtgatcatggtgtacaacgatctgatc
aacccgtacgccaatgactcc
aacagctcgggttgcatcgtgaccgtcgaaacgaagcct
ggcatcgatttcaagtttcat
ctgctgaaaccgcccggatccatgcttactcacgggtcc
atcccttccgatctgatcccc
aagagctcctccctgtggattgggaaccgccactggacc
gatattaccgatttcgtgatt
cggcctttcgtgttccaagccaaccggcacttcgacttc
aaccaggagactgccggctgg
tcaactccacggttccgcccattggccgtgactgtgtcg
cagtcaaagggagccaagctc
gggaacggcatcgccaccgactacattgtgcctggaatc
cccgacggatggcctgatact
accatccccaccaagctgacccctaccggagattacgcc
atcacctcctccgacggcaat
gatattgaaaccaagctggaatacgagaacgcggacgtg
attaagaacaacaccaacttc
cgctccatgtatatctgcggaagcctccagagggcttgg
ggcgacaagaagatcagcaac
accgggttcatcactaccggagtgatttctgacaactcc
atcagcccttcgaacacaatt
gaccagtccaagatcgtggtgtaccaggacaaccatgtc
aattcggaggtccagactagc
gacatcactcttgccatcctgggctacaccggaattgga
gaagaggccataggcgccaac
cgggactccgtcgtgagaatttccgtgcttccggaaact
ggagcaaggggcggaaatcac
cccatcttctacaaaaattccatgaagctgggctacgtg
atctcctccattgacgtgttc
aactcccaaatcctccacacctcgcgccagctgtcactg
aacaactacttgttgccccct
gactccttcgcggtgtaccggattattgacagcaacgga
tcatggttcgacattgggatt
gacagcgatgggttttcattcgtgggcgtgtcgtcattt
ccaaagctggagtttccgctg
tccgcctcatacatgggcatccagctcgcaaagatccgg
ctggcgtccaacatccggtca
tccatgactaagctgtga
【0074】
ネコカリシウイルスキャプシド(VS-FCV)配列番号2
MADDGSVTTPEQGTMVGGVIAEPSAQMSTAADMASGKSV
DSEWEAFFSFHTSVNWSTSET
QGKILFKQSLGPLLNPYLEHISKLYVAWSGSIEVRFSIS
GSGVFGGKLAAIVVPPGVDPV
QSTSMLQYPHVLFDARQVEPVIFSIPDLRNSLYHLMSDT
DTTSLVIMVYNDLINPYANDS
NSSGCIVTVETKPGIDFKFHLLKPPGSMLTHGSIPSDLI
PKSSSLWIGNRHWTDITDFVI
RPFVFQANRHFDFNQETAGWSTPRFRPLAVTVSQSKGAK
LGNGIATDYIVPGIPDGWPDT
TIPTKLTPTGDYAITSSDGNDIETKLEYENADVIKNNTN
FRSMYICGSLQRAWGDKKISN
TGFITTGVISDNSISPSNTIDQSKIVVYQDNHVNSEVQT
SDITLAILGYTGIGEEAIGAN
RDSVVRISVLPETGARGGNHPIFYKNSMKLGYVISSIDV
FNSQILHTSRQLSLNNYLLPP
DSFAVYRIIDSNGSWFDIGIDSDGFSFVGVSSFPKLEFP
LSASYMGIQLAKIRLASNIRS
SMTKL
【0075】
ネコカリシウイルス(VS-FCV)キャプシド(配列番号12)
auggcugacgacggaucugugaccaccccagaacaagga
acaauggucggaggagugauu
gccgaacccagcgcucagaugucaacugcggcggacaug
gccuccggaaagucgguggac
uccgagugggaagccuucuucucguuccacacguccgug
aacuggagcaccuccgaaacc
caaggaaagauccucuucaagcagucccuggguccccug
cugaacccguaccuggagcac
aucagcaagcuguacgucgcuuggagcgggucgaucgaa
gugcgauuuuccaucucggga
agcggcguguucggugguaaacuggccgccaucgucgug
ccgccuggugucgacccuguc
cagucaaccuccaugcugcaguacccgcacguccuguuc
gacgcaagacaaguggagcca
gugaucuucuccaucccggaccuccgcaacagccuguau
cacuugauguccgauaccgau
accacuucccucgugaucaugguguacaacgaucugauc
aacccguacgccaaugacucc
aacagcucggguugcaucgugaccgucgaaacgaagccu
ggcaucgauuucaaguuucau
cugcugaaaccgcccggauccaugcuuacucacgggucc
aucccuuccgaucugaucccc
aagagcuccucccuguggauugggaaccgccacuggacc
gauauuaccgauuucgugauu
cggccuuucguguuccaagccaaccggcacuucgacuuc
aaccaggagacugccggcugg
ucaacuccacgguuccgcccauuggccgugacugugucg
cagucaaagggagccaagcuc
gggaacggcaucgccaccgacuacauugugccuggaauc
cccgacggauggccugauacu
accauccccaccaagcugaccccuaccggagauuacgcc
aucaccuccuccgacggcaau
gauauugaaaccaagcuggaauacgagaacgcggacgug
auuaagaacaacaccaacuuc
cgcuccauguauaucugcggaagccuccagagggcuugg
ggcgacaagaagaucagcaac
accggguucaucacuaccggagugauuucugacaacucc
aucagcccuucgaacacaauu
gaccaguccaagaucgugguguaccaggacaaccauguc
aauucggagguccagacuagc
gacaucacucuugccauccugggcuacaccggaauugga
gaagaggccauaggcgccaac
cgggacuccgucgugagaauuuccgugcuuccggaaacu
ggagcaaggggcggaaaucac
cccaucuucuacaaaaauuccaugaagcugggcuacgug
aucuccuccauugacguguuc
aacucccaaauccuccacaccucgcgccagcugucacug
aacaacuacuuguugcccccu
gacuccuucgcgguguaccggauuauugacagcaacgga
ucaugguucgacauugggauu
gacagcgauggguuuucauucgugggcgugucgucauuu
ccaaagcuggaguuuccgcug
uccgccucauacaugggcauccagcucgcaaagauccgg
cuggcguccaacauccgguca
uccaugacuaagcuguga
【0076】
ネコカリシウイルス(F9様)キャプシド(配列番号3)
atgactgccccggaacaaggaacgatggtcggaggagtg
attgcagaaccgtcagcacag
atgtccaccgctgccgacatggccactggaaagagcgtg
gactccgaatgggaagccttc
ttctccttccacacttcggtcaactggtcgactagcgaa
acccaggggaagattttgttc
aagcaatccctcggccctctgctgaacccctacctggag
catctggccaagctgtacgtg
gcatggtcgggcagcatcgaagtgcgctttagcatttcc
ggctccggagtgttcggggga
aagcttgctgccattgtcgtgccgccaggagtggacccg
gtgcagtccacttctatgctc
caatacccgcatgtcctgttcgacgccagacaggtggag
cctgtgatcttttgcctgccg
gatctcaggtccaccctgtatcacctcatgtccgacacc
gacaccacctcgctcgtgatc
atggtgtacaacgacctgatcaacccctacgctaacgac
gccaacagctcaggttgcatt
gtgactgtcgaaaccaagccaggccctgacttcaagttt
catttgctgaagccgcccggt
tccatgctgacccacggctcgatcccatccgacctgatc
cccaagacgagctccctgtgg
atcggaaaccgctactggtccgatattaccgacttcgtg
atcagaccattcgtgttccaa
gccaaccgccatttcgacttcaaccaggaaaccgcagga
tggtcgacccctcgattccgc
ccgatttcagtgaccatcaccgaacagaacggcgcgaag
ctgggaattggcgtggcgacc
gactacatcgtgccgggaatcccggatggatggcctgat
acgaccattcccggggagctg
atccctgccggggactacgccatcaccaacggtactgga
aacgacatcaccactgccacc
ggttacgacaccgccgacatcataaagaacaacaccaac
ttcagaggaatgtacatttgc
ggctccctgcaacgcgcttggggtgacaaaaagatctcg
aacactgccttcatcacaaca
gcgactctggacggcgataacaacaacaagatcaatcct
tgtaataccatcgaccagtcc
aaaatcgtggtgttccaggataaccacgtgggaaagaag
gcgcagacctccgacgacact
ctggcgctgcttggctacaccgggatcggcgagcaggcc
attggaagcgatcgggatcgg
gtcgtgcggatctccaccctccccgagactggagcaagg
ggaggcaaccaccccatcttt
tacaaaaacagcattaagctcggatacgtcatccgctcc
atcgatgtgttcaactctcaa
atcctgcacacttcgcggcagctgtccctgaaccactac
ctcttgccgcccgactccttc
gccgtctaccggatcattgattcgaacgggagctggttc
gacatcggcattgatagcgat
ggcttctcgtttgtgggcgtgtcgggcttcgggaagctg
gagttcccactgagcgcctca
tacatgggtatccagctggccaagatcaggctggcctcc
aacatccgctcacctatgact
aagctgtga
【0077】
ネコカリシウイルス(F9様)キャプシド(配列番号4)
MTAPEQGTMVGGVIAEPSAQMSTAADMATGKSVDSEWEA
FFSFHTSVNWSTSETQGKILF
KQSLGPLLNPYLEHLAKLYVAWSGSIEVRFSISGSGVFG
GKLAAIVVPPGVDPVQSTSML
QYPHVLFDARQVEPVIFCLPDLRSTLYHLMSDTDTTSLV
IMVYNDLINPYANDANSSGCI
VTVETKPGPDFKFHLLKPPGSMLTHGSIPSDLIPKTSSL
WIGNRYWSDITDFVIRPFVFQ
ANRHFDFNQETAGWSTPRFRPISVTITEQNGAKLGIGVA
TDYIVPGIPDGWPDTTIPGEL
IPAGDYAITNGTGNDITTATGYDTADIIKNNTNFRGMYI
CGSLQRAWGDKKISNTAFITT
ATLDGDNNNKINPCNTIDQSKIVVFQDNHVGKKAQTSDD
TLALLGYTGIGEQAIGSDRDR
VVRISTLPETGARGGNHPIFYKNSIKLGYVIRSIDVFNS
QILHTSRQLSLNHYLLPPDSF
AVYRIIDSNGSWFDIGIDSDGFSFVGVSGFGKLEFPLSA
SYMGIQLAKIRLASNIRSPMT
KL
【0078】
ネコカリシウイルス(F9様)キャプシド(配列番号13)
augacugccccggaacaaggaacgauggucggaggagug
auugcagaaccgucagcacag
auguccaccgcugccgacauggccacuggaaagagcgug
gacuccgaaugggaagccuuc
uucuccuuccacacuucggucaacuggucgacuagcgaa
acccaggggaagauuuuguuc
aagcaaucccucggcccucugcugaaccccuaccuggag
caucuggccaagcuguacgug
gcauggucgggcagcaucgaagugcgcuuuagcauuucc
ggcuccggaguguucggggga
aagcuugcugccauugucgugccgccaggaguggacccg
gugcaguccacuucuaugcuc
caauacccgcauguccuguucgacgccagacagguggag
ccugugaucuuuugccugccg
gaucucagguccacccuguaucaccucauguccgacacc
gacaccaccucgcucgugauc
augguguacaacgaccugaucaaccccuacgcuaacgac
gccaacagcucagguugcauu
gugacugucgaaaccaagccaggcccugacuucaaguuu
cauuugcugaagccgcccggu
uccaugcugacccacggcucgaucccauccgaccugauc
cccaagacgagcucccugugg
aucggaaaccgcuacugguccgauauuaccgacuucgug
aucagaccauucguguuccaa
gccaaccgccauuucgacuucaaccaggaaaccgcagga
uggucgaccccucgauuccgc
ccgauuucagugaccaucaccgaacagaacggcgcgaag
cugggaauuggcguggcgacc
gacuacaucgugccgggaaucccggauggauggccugau
acgaccauucccggggagcug
aucccugccggggacuacgccaucaccaacgguacugga
aacgacaucaccacugccacc
gguuacgacaccgccgacaucauaaagaacaacaccaac
uucagaggaauguacauuugc
ggcucccugcaacgcgcuuggggugacaaaaagaucucg
aacacugccuucaucacaaca
gcgacucuggacggcgauaacaacaacaagaucaauccu
uguaauaccaucgaccagucc
aaaaucgugguguuccaggauaaccacgugggaaagaag
gcgcagaccuccgacgacacu
cuggcgcugcuuggcuacaccgggaucggcgagcaggcc
auuggaagcgaucgggaucgg
gucgugcggaucuccacccuccccgagacuggagcaagg
ggaggcaaccaccccaucuuu
uacaaaaacagcauuaagcucggauacgucauccgcucc
aucgauguguucaacucucaa
auccugcacacuucgcggcagcugucccugaaccacuac
cucuugccgcccgacuccuuc
gccgucuaccggaucauugauucgaacgggagcugguuc
gacaucggcauugauagcgau
ggcuucucguuugugggcgugucgggcuucgggaagcug
gaguucccacugagcgccuca
uacauggguauccagcuggccaagaucaggcuggccucc
aacauccgcucaccuaugacu
aagcuguga
【0079】
ネコ白血病ウイルスエンベロープ糖タンパク質(gp85)配列番号5
atggagtcaccaacacaccctaaaccttctaaagacaaa
accctctcgtggaatctcgccttccttgt
gggcatcctgttcacaatcgacatcggcatggccaaccc
ttcgccgcatcagatctacaatgtgacat
gggtcattactaatgtgcagacaaacacccaggcaaatg
ctacttctatgcttggtactctgactgat
gcttatccaaccctgcacgtcgacctttgcgatctcgtc
ggtgacacatgggagcccatcgtgctgaa
tccaactaatgtcaaacatggtgccaggtattcttctag
caaatacgggtgtaagaccactgatcgga
agaaacagcaacaaacctacccattctacgtgtgcccgg
gtcacgcaccgtccctgggtccgaaggga
acacattgtgggggagcccaagacggtttttgcgctgct
tggggttgtgaaacaaccggagaagcctg
gtggaagcctacctcatcttgggactacattactgtgaa
aagaggctctagccaggataacagctgcg
aaggaaagtgtaatcccctggtgcttcaattcacccaga
aaggccggcaggcatcatgggatggaccg
aaaatgtggggacttagactctatcgcaccggatacgac
cccatcgctctgtttactgtgtcacgcca
agtctccaccattactccgccacaggccatggggccgaa
tctggtcctccccgatcagaagccaccct
cacggcaaagtcaaaccggctcaaaagtggccacccaac
ggccccagacaaatgagtccgcacctagg
tcagtggcacctacaacaatgggtccaaagcggatcgga
accggagacaggctcattaacctcgtgca
agggacttatctggcccttaacgctactgaccccaacaa
gaccaaggattgctggctctgccttgtga
gcagacctccttactatgaggggatcgccattctcggaa
actactcaaatcagaccaacccccctccg
tcgtgtctgagcaccccccagcacaagcttactatttca
gaagtcagtggacagggaatgtgcatcgg
aaccgtgccaaagactcatcaagccctttgcaacaaaac
tcaacaagggcacactggagctcattatc
tcgccgcacctaacgggacctactgggcttgcaatactg
gattgaccccgtgtatctctatggccgtg
ctgaattggacttccgacttctgcgtgcttattgagctt
tggcctagagtgacataccatcagcctga
gtacgtctatacccatttcgccaaggcagtcagattccg
gcgggagcctatctccctgactgtggcct
tgatgctcggtggactgacagtgggaggaattgcagctg
gagtcggaactggaaccaaggccctgctc
gaaactgctcagttccggcagctgcagatggccatgcac
actgacatccaggctctggaggaatcaat
ttcagcccttgagaaaagcttgacctcgctgtctgaagt
ggtcctccaaaacaggcgcggtttggaca
tcctgttccttcaagagggtggtctgtgcgccgctctca
aggaggaatgctgtttctacgctgaccat
accgggctggtgcgcgataacatggcaaagctgcgggaa
cgcttgaaacagaggcagcaactgttcga
ctctcagcagggatggttcgagggctggtttaacaagag
cccatggtttaccactctgatctcttcaa
tcatgggtccactgctcatcctgcttctgattcttctct
tcggaccgtgtattctcaacaggctggtg
cagtttgtcaaggacagaatctcggtggtccaggccctg
attcttactcagcagtatcagcagattaa
gcagtacgaccccgatcggccttga
【0080】
ネコ白血病ウイルスエンベロープ糖タンパク質(gp85)配列番号6
MESPTHPKPSKDKTLSWNLAFLVGILFTIDIGMANPSPH
QIYNVTWVITNVQTNTQANAT
SMLGTLTDAYPTLHVDLCDLVGDTWEPIVLNPTNVKHGA
RYSSSKYGCKTTDRKKQQQTY
PFYVCPGHAPSLGPKGTHCGGAQDGFCAAWGCETTGEAW
WKPTSSWDYITVKRGSSQDNS
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LVLPDQKPPSRQSQTGSKVATQRPQTNESAPRSVAPTTM
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CIGTVPKTHQALCNKTQQGHTGAHYLAAPNGTYWACNTG
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YADHTGLVRDNMAKLRERLKQRQQLFDSQQGWFEGWFNK
SPWFTTLISSIMGPLLILLLI
LLFGPCILNRLVQFVKDRISVVQALILTQQYQQIKQYDP
DRP*
【0081】
ネコ白血病ウイルスエンベロープ糖タンパク質(gp85)配列番号14
auggagucaccaacacacccuaaaccuucuaaagacaaa
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gggcauccuguucacaaucgacaucggcauggccaaccc
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【0082】
ネコ白血病ウイルスエンベロープ糖タンパク質(gp70)配列番号7
aatcctagtccacaccaaatatataatgtaacttgggta
ataaccaatgtacaaactaacacc
caagctaacgccacctctatgttaggaaccttaaccgat
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tctgatttttgtgtcttaatcgaattatggcccagagtg
acttaccatcaacccgaatatgtg
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【0083】
ネコ白血病ウイルスエンベロープ糖タンパク質(gp70)配列番号8
NPSPHQIYNVTWVITNVQTNTQANATSMLGTLTDAYPTL
HVDLCDLVGDTWEPIVLNPTNVKHGARYSSS
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SSQDNSCEGKCNPLVLQFTQKGRQASWDGPKMWGLRLYR
TGYDPIALFTVSRQVSTITPPQAMGPNLVLP
DQKPPSRQSQTGSKVATQRPQTNESAPRSVAPTTMGPKR
IGTGDRLINLVQGTYLALNATDPNKTKDCWL
CLVSRPPYYEGIAILGNYSNQTNPPPSCLSTPQHKLTIS
EVSGQGMCIGTVPKTHQALCNKTQQGHTGAH
YLAAPNGTYWACNTGLTPCISMAVLNWTSDFCVLIELWP
RVTYHQPEYVYTHFAKAVRFRR
【0084】
ネコ白血病ウイルスエンベロープ糖タンパク質(gp70)配列番号15
aauccuaguccacaccaaauauauaauguaacuugggua
auaaccaauguacaaacuaacacc
caagcuaacgccaccucuauguuaggaaccuuaaccgau
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acauaccccuuuuacgucugccccggacaugcccccucg
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ggaggggcacaagauggguuuugugccgcauggggaugu
gagaccaccggagaagcuuggugg
aagcccaccuccucaugggacuauaucacaguaaaaaga
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gagggaaaaugcaacccccugguuuugcaguucacccag
aagggaagacaagccucuugggac
ggaccuaagauguggggauugcgacuauaccguacagga
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augggaccaaaccuagucuuaccu
gaucaaaaacccccaucccgacaaucucaaacagggucc
aaaguggcgacccagaggccccaa
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augggucccaaacggauugggacc
ggagauagguuaauaaauuuaguacaagggacauaccua
gccuuaaaugccaccgaccccaac
aaaacuaaagacuguuggcucugccugguuucucgacca
cccuauuacgaagggauugcaauc
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cuaacuauaucugaaguaucagggcaaggaaugugcaua
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cacuaucuagccgcccccaacggc
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uccauggcggugcucaauuggacc
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uacacacauuuugccaaagcugucagguuccgaaga
【0085】
狂犬病ウイルスG(配列番号9)
atggtgccgcaggctctcctgtttgtcccccttctggtc
tttccattgtgttttgggaaattccctatctacacaattc
cggacaagttgggaccctggagcccaattgacattcatc
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ggatgctttggaatcaatcatgaccaccaagtcagtgtct
ttcagacggctctcacatcttaggaaattggtgccaggt
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aagccgatgctcactacaagtctgtcaggacttggaatg
agatcatcccgtctaaagggtgtcttagggtcggagggag
atgtcatcctcatgtcaacggagtctttttcaatggtat
cattcttggacctgacggaaatgtccttatccctgagatg
caatcttccctcctccagcaacacatggaacttcttgtc
tcatcggtcatcccccttatgcaccccctggctgacccat
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tcgaggtccaccttcccgatgtgcatgaacggatctctgg
tgtcgaccttggactccctaactggggaaagtatgtcct
tctgtcggcaggagccctgactgccttgatgttgattatc
ttcctgatgacttgttggaggagagtcaatcggtcggag
ccaacacaacataatctcagaggaacaggaagggaggtgt
cagtcacaccccaaagcgggaagatcatttcgtcttggg
agtcatacaagagcggaggtgaaaccggactgtga
【0086】
狂犬病ウイルスG(配列番号10)
MVPQALLFVPLLVFPLCFGKFPIYTIPDKLGPWSPIDIH
HLSCPNNLVVEDEGCTNLSGF
SYMELKVGYISAIKMNGFTCTGVVTEAETYTNFVGYVTT
TFKRKHFRPTPDACRAAYNWK
MAGDPRYEESLHNPYPDYHWLRTVKTTKESLVIISPSVA
DLDPYDRSLHSRVFPGGNCSG
VAVSSTYCSTNHDYTIWMPENPRLGMSCDIFTNSRGKRA
SKGSETCGFVDERGLYKSLKG
ACKLKLCGVLGLRLMDGTWVAMQTSNETKWCPPGQLVNL
HDFRSDEIEHLVVEELVKKRE
ECLDALESIMTTKSVSFRRLSHLRKLVPGFGKAYTIFNK
TLMEADAHYKSVRTWNEIIPS
KGCLRVGGRCHPHVNGVFFNGIILGPDGNVLIPEMQSSL
LQQHMELLVSSVIPLMHPLAD
PSTVFKNGDEAEDFVEVHLPDVHERISGVDLGLPNWGKY
VLLSAGALTALMLIIFLMTCW
RRVNRSEPTQHNLRGTGREVSVTPQSGKIISSWESYKSG
GETGL*
【0087】
狂犬病ウイルスG(配列番号16)
auggugccgcaggcucuccuguuugucccccuucugguc
uuuccauuguguuuugggaaauucccuaucuacacaauuc
cggacaaguugggacccuggagcccaauugacauucauc
aucucagcugcccgaacaauuuggucguggaggacgaagg
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ggaagauggccggugaccccagauaugaggaaucacuuca
caauccguacccugacuaccacuggcuucggacugucaa
aaccaccaaggagucacucgugaucauuaguccaagugug
gcugaucuugacccauacgaccggucacuucacucacgg
guguucccgggggggaauugcucuggugucgcagugucgu
caaccuacugcuccacaaaccacgauuacaccauuugga
ugccagaaaauccucggcuugguaugucaugugacauuuu
caccaauucucgggggaagagggcuuccaaagggucuga
aacuugcggcuuugucgaugagcggggcuuguauaaguca
cuuaaaggugcuugcaaacucaagcuuuguggugucuug
ggauugagauugauggauggaacuugggucgcaaugcaga
cuucuaacgaaaccaaauggugcccucccggacagcuug
ugaauuugcaugacuuucgcucugacgaaauugagcaucu
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ggaugcuuuggaaucaaucaugaccaccaagucagugucu
uucagacggcucucacaucuuaggaaauuggugccaggu
uuuggaaaagcauauaccauuuucaacaagacccuuaugg
aagccgaugcucacuacaagucugucaggacuuggaaug
agaucaucccgucuaaagggugucuuagggucggagggag
augucauccucaugucaacggagucuuuuucaaugguau
cauucuuggaccugacggaaauguccuuaucccugagaug
caaucuucccuccuccagcaacacauggaacuucuuguc
ucaucggucaucccccuuaugcacccccuggcugacccau
caaccguguucaagaacggugacgaggcagaggauuuug
ucgagguccaccuucccgaugugcaugaacggaucucugg
ugucgaccuuggacucccuaacuggggaaaguauguccu
ucugucggcaggagcccugacugccuugauguugauuauc
uuccugaugacuuguuggaggagagucaaucggucggag
ccaacacaacauaaucucagaggaacaggaagggaggugu
cagucacaccccaaagcgggaagaucauuucgucuuggg
agucauacaagagcggaggugaaaccggacuguga
【0088】
以下の実施例は、本発明のさらなる認識を提供するのに役立つが、本発明の有効な範囲
を制限することを決して意味するものではない。
【0089】
[実施例]
[実施例1]
アルファウイルスRNAレプリコン粒子へのFCVキャプシドタンパク質のコード配列
の組込み
緒言
RNAウイルスは、ゲノムに遺伝子操作されたワクチン抗原を導入するためのベクター
ビヒクルとして使用されてきた。しかし、現在までのそれらの使用は、RNAウイルスに
ウイルス抗原を組み込み、次いでレシピエント宿主にウイルスを導入することに主に限定
されてきた。その結果、組み込まれたウイルス抗原に対する防御抗体が誘導される。アル
ファウイルスRNAレプリコン粒子は、病原抗原をコードするために使用されている。そ
のようなアルファウイルスレプリコンプラットフォームは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス
(VEE)[Pushkoら、Virology 239:389-401(1997)
]、シンドビス(SIN)[これによりその内容全体が本明細書に組み込まれるBred
enbeekら、Journal of Virology 67:6439-6446
(1993)]およびセムリキ森林ウイルス(SFV)[これによりその内容全体が本明
細書に組み込まれるLiljestrom and Garoff,Biotechno
logy(NY)9:1356-1361(1991)]を含むいくつかの異なるアルフ
ァウイルスから開発されている。さらに、アルファウイルスRNAレプリコン粒子は、ブ
タおよび家禽用のいくつかの米国農務省認可ワクチンの基礎となっている。これらには、
ブタ流行性下痢ワクチン(RNA粒子)(製品コード19U5.P1)、ブタインフルエ
ンザワクチン(RNA)(製品コード19A5.D0)、トリインフルエンザワクチン(
RNA)(製品コード19O5.D0)および処方品(RNA粒子)(製品コード9PP
0.00)が含まれる。
【0090】
アルファウイルスRNAレプリコン粒子の構築
FCVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を使用して、インシリコでコドン最適化(
ネココドン使用)ヌクレオチド配列を生成した。最適化された配列は、商用業者(ATU
M,Newark,CA)によって合成DNAとして調製された。したがって、VS-F
CVキャプシドタンパク質およびFCV F9様キャプシドタンパク質のアミノ酸配列に
基づいて、合成遺伝子をそれぞれ設計した。VS-FCVキャプシドタンパク質[配列番
号2]またはFCV F9様キャプシドタンパク質[配列番号4]のアミノ酸配列をコー
ドする構築物を、アルファウイルスレプリコンプラスミドへのクローニングに適切なフラ
ンキング配列を有するようにネコ用にコドン最適化した。
【0091】
以前に記載されたように[米国特許第9,441,247号を参照;その内容は参照に
より本明細書に組み込まれる]、以下の改変を加えて、FCVキャプシドタンパク質を発
現するように設計されたVEEレプリコンベクターを構築した。制限酵素AscIおよび
PacIを用いて、TC-83由来レプリコンベクター「pVEK」[米国特許第9,4
41,247号に開示され記載されている]を消化した。制限酵素AscIおよびPac
Iを用いて、FCVキャプシドタンパク質遺伝子のうちの1つ(FCV F9様またはV
S-FCVのいずれか)のコドン最適化オープンリーディングフレームヌクレオチド配列
を含み、5’フランキング配列(5’-GGCGCGCCGCACC-3’)[配列番号
11]および3’フランキング配列(5’-TTAATTAA-3’)を有するDNAプ
ラスミドを同様に消化した。次いで、同様に消化されたpVEKベクターに合成遺伝子カ
セットをライゲーションし、それぞれFCV F9様およびVS-FCVキャプシドタン
パク質をコードする得られたクローンを、「pVHV-F9」および「pVHV-Kal
em」と再命名した。「pVHV」ベクターの命名は、pVEKの多重クローニング部位
中のAscI部位およびPacI部位を介してクローニングされた導入遺伝子カセットを
含むpVEK由来レプリコンベクターを指すように選択された。
【0092】
二重構築物を作製するために、VEEサブゲノムプロモーターおよびFCV Kale
m(VS-FCV)キャプシド配列をコードするpVHVベクター領域をPCRによって
除去し、F9 FCVキャプシド配列の3’末端とVEE 3’UTR配列との間のpV
HV-F9ベクターにライゲーションした。サブゲノムプロモーター配列の重複、および
FCV Kalemキャプシド配列の確認は、「pVHV-F9-Kalem」と呼ばれ
る最終ベクタークローンの配列決定によって達成した。
【0093】
TC-83 RNAレプリコン粒子(RP)の作製は、以前に記載された方法[米国特
許第9,441,247号および米国特許第8,460,913号;その内容全体は参照
により本明細書に組み込まれる]に従って行った。要約すると、pVHVレプリコンベク
ターDNAおよびヘルパーDNAプラスミドを、NotI制限酵素を用いて線形化した後
、MegaScript T7 RNAポリメラーゼおよびキャップ類似体(Prome
ga,Madison,WI)を使用してインビトロ転写を行った。重要なことに、この
作製に使用されるヘルパーRNAは、以前に記載されているように、VEEサブゲノムプ
ロモーター配列を欠いている[Kamrudら、J Gen Virol 91(Pt
7):1723-1727(2010)]。レプリコンおよびヘルパー成分の精製RNA
を組み合わせ、Vero細胞の懸濁液と混合し、4mmキュベットで電気穿孔し、Opt
iPro(登録商標)SFM細胞培養培地(Thermo Fisher,Waltha
m MA)に戻した。一晩インキュベーションした後、ZetaPlus BioCap
デプスフィルター(3M,Maplewood,MN)に懸濁液を通し、5%スクロース
(w/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、最後に400mM NaCl緩衝
液を用いて、保持されたRPを溶出することによって、細胞および培地からアルファウイ
ルスRNAレプリコン粒子を精製した。溶出したRPを、最終的な5%スクロース(w/
v)に配合し、0.22ミクロンのメンブレンフィルターに通し、保存のためにアリコー
トに分注した。感染Vero細胞単層に対する免疫蛍光アッセイにより機能性RPの力価
を決定した。
【0094】
[実施例2]
ネコを対象とした二重構築物FCVワクチンの有効性および安全性の評価
ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)の無毒性TC-83株のキャプシドタンパク質
および糖タンパク質とともに、2つの異なるFCV株、強毒全身性株(VS-FCV)お
よび古典的ワクチン株(FCV F9様)由来のキャプシドタンパク質をコードする増殖
欠損RNA粒子(RP)を含む二重構築物ワクチンを5%スクロースに配合し、凍結保存
した。以下の表1に示すように、この二重構築物ワクチンを使用して、2つのFCV株に
よる惹起に対する有効性を評価した。各ネコ10匹の2群に、13~14週齢の時点で、
次いで21日後に、プライム/ブーストレジメンで二重構築物FCVワクチンを接種した
。対照ネコの2群に、同じレジメンにより、細胞培養培地(Earle塩を含む最小必須
培地、EMEM)からなるプラセボワクチンを接種した。
【表2】
【0095】
ワクチン接種後、ワクチンに対するあらゆる局所的または全身的反応、およびFCV感
染の臨床徴候についてネコを観察することにより、ワクチンに対する有害反応についてネ
コを観察した。ワクチン接種したネコのいずれにも有害反応は観察されなかった。
【0096】
ブースターワクチン接種の3週間後、第1群および第2群のネコに、FCV株255(
古典的FCV惹起株)の強毒培養物を鼻腔内投与して惹起した。ブースターワクチン接種
の3週間後、第3群および第4群のネコに、強毒全身性FCV惹起株(FCV株Kale
m)の強毒培養物を鼻腔内投与して惹起した。
【0097】
以下のように惹起後14日間にわたり、FCV感染の臨床徴候についてネコを観察した
。ネコを観察し、死亡、抑鬱/嗜眠、体温、鼻および口腔の潰瘍、鼻および眼の分泌物、
跛行、脱水ならびにくしゃみを含む臨床徴候を連日スコア化した。惹起後14日間の間隔
をあけて4日間にわたり体重を測定した。観察された各臨床徴候に、重症度と、臨床徴候
が観察された日数とに基づいて加重数値スコアを付与した。次いで、各ネコに、毎日の加
重スコアの合計に基づいて合計の加重スコアを付与した。次いで、各治療群の平均および
中央値加重スコアを計算した。惹起が有効であると考えるためには、対照ネコの80%に
FCV感染の臨床徴候(発熱以外)が認められなければならない。惹起の結果を以下の表
2に要約する。
【表3】
【0098】
プラセボワクチンを接種した対照ネコの100%がFCV感染の臨床徴候(発熱以外)
を示したため、両株に対する惹起は有効であると考えられた。
【0099】
FCVの強毒全身性および古典的ワクチン株をコードする二重構築物RP‐FCVワク
チンは、2つの異なるFCV株、すなわち、古典的FCV株および強毒全身性FCV株に
対してネコを保護した。この実験用ワクチンはネコに対して安全であることが分かった。
【0100】
[実施例3]
2つの異なるRNA粒子ワクチンの投与による阻害の評価
血清学的応答、惹起に対する有効性および阻害を含む、アルファウイルスRNAレプリ
コン粒子FCVワクチンの複数の態様を評価するために試験を実施した。古典的FCVワ
クチン株(F9)のキャプシドタンパク質をコードするRP-FCV構築物ワクチンを、
ゼラチン、NZアミンおよびスクロースからなる安定剤に配合し、凍結乾燥した。ネコ5
匹の2群に、17週齢の時点でRP-FCVワクチンを接種した。21日後、第1群のネ
コにはRP-FCVワクチンのブースター用量のみを投与し、第2群のネコにはRP-F
CVワクチンのブースター用量と、表3に示す一定用量のRP-狂犬病ワクチンとを同時
に投与した。RP-狂犬病ウイルスワクチンは、同じTC-83 VEEアルファウイル
スプラットフォームにおいて狂犬病ウイルス糖タンパク質(G)をコードする構築物であ
る。
【表4】
【0101】
各ワクチン接種後、ワクチンに対するあらゆる局所的または全身的反応についてネコを
観察することにより、ワクチンに対する有害反応についてネコを観察した。ワクチン接種
したネコのいずれにも有害反応は観察されなかった。
【0102】
初回ワクチン接種日(試験0日目)、ブースターワクチン接種日(試験21日目)、お
よび初回ワクチン接種の6週間後(試験42日目)にネコを採血し、血清を採取した。血
清中和アッセイによって、FCV F9に対する抗体価について血清を試験した。また、
迅速蛍光焦点抑制試験(RFFIT)によって、狂犬病ウイルスに対する抗体価について
も血清を試験した。RIFFTの結果は、国際単位/mL(IU/mL)として報告する
。以下の表4および表5に血清学的結果を要約する。
【表5】
【0103】
FCV(F9)抗体価(ブースター後に採取した血清試料に対する)の比較に基づくと
、RP-狂犬病ウイルスワクチンとの同時接種は、RP-FCV(F9)ワクチンに対す
る抗体反応を阻害しない。
【表6】
【0104】
この試験には、RP-狂犬病ウイルスワクチンのみを接種した対照群は含めなかったが
、第2群のブースター後狂犬病力価を比較するために、他の試験から過去に得られたデー
タを以下の表6に示す。
【表7】
【0105】
RP-狂犬病ウイルスワクチンの効力、およびワクチン接種後の狂犬病抗体価に基づく
と、RP-FCVワクチンの事前接種は、RP-狂犬病ウイルスワクチンに対する抗体反
応を阻害しない。ベクター免疫は、プラットフォームに基づくワクチンの懸念事項である
が、この試験結果は、有効性を損なうことなく、複数のRPに基づくワクチンを動物に使
用することができることを示唆している。
【0106】
RP-狂犬病ウイルスとの同時ワクチン接種がRP-FCV(F9)の有効性を阻害し
ないことを確認するために、試験を修正し、継続した。ワクチン接種されていない対照と
して役立つように、同年齢のネコ5匹の群を試験に追加した。第1群および第2群の初回
ワクチン接種の79日後、全ネコに強毒の古典的FCV株(FCV 255)を鼻腔内投
与して惹起した。
【0107】
惹起後14日間にわたり、FCV感染の以下の臨床徴候、すなわち、死亡、抑鬱/嗜眠
、体温、鼻および口腔の潰瘍、鼻および眼の分泌物、跛行、脱水ならびにくしゃみについ
てネコを観察し、連日スコア化した。惹起後14日間の間隔をあけて4日間にわたり体重
を測定した。観察された各臨床徴候に、重症度と、臨床徴候が観察された日数とに基づい
て加重数値スコアを付与した。次いで、各ネコに、毎日の加重スコアの合計に基づいて合
計の加重スコアを付与した。次いで、各治療群の平均および中央値加重スコアを計算した
。惹起が有効であると考えるためには、対照ネコの80%にFCV感染の臨床徴候(発熱
以外)が認められなければならない。惹起の結果を以下の表に要約する。
【表8】
【0108】
ワクチン接種しなかった対照ネコの100%がFCV感染の臨床徴候(発熱以外)を示
したため、惹起は有効であると考えられた。両ワクチン接種群(第1群および第2群)は
、強毒のFCV惹起から有意に保護された(両群についてp値0.012)。
【0109】
臨床スコアの比較に基づくと、RP-狂犬病ウイルスワクチンとの同時ワクチン接種は
、RP-FCV(F9)ワクチンの有効性を阻害しない。この実験用ワクチンはネコに対
して安全であることが分かった。
【0110】
[実施例4]
単一のFCV F9様キャプシドタンパク質をコードするRP構築物のネコに対するワ
クチン有効性の評価
単一のFCV F9様キャプシドタンパク質(RP-FCV F9)をコードするアル
ファウイルスRNAレプリコン粒子を含むネコ用ワクチンの有効性をさらに評価するため
に本試験を実施した。古典的FCV惹起に対して、ワクチンとプラセボ対照群とを比較し
た。この一価ワクチンまたはプラセボのいずれかをネコに接種し、その後、古典的FCV
を用いて惹起した。臨床スコアは、FCV感染の典型的な徴候、主に口腔および外部の潰
瘍ならびに鼻炎に基づき、これをFCV惹起後14日間にわたりスコア化した。スコアリ
ングシステムは、上記の実施例2および3で説明したものと同じである。一方、プラセボ
対照の平均臨床スコアは92であったが、RP-FCV F9ワクチンの平均臨床スコア
はわずか2であった。また、驚いたことに、RP-FCV F9ワクチンのスコアは、単
一の弱毒化生FCV F9様ウイルスを個別に含めた2つのワクチンにより得られたスコ
アよりも顕著に低かった。この実験はさらに、FCVの古典的ワクチン株をコードするR
P-FCVワクチンが、FCV F9様ウイルスからネコを保護することを示している。
【0111】
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲が限定されるべきでは
ない。実際、本明細書に記載されているものに加えて、本発明の様々な変更が、前述の説
明から当業者には明らかになるであろう。このような変更は、添付の特許請求の範囲内に
あることが意図される。
【0112】
さらに、核酸またはポリペプチドに与えられるすべての塩基サイズまたはアミノ酸サイ
ズ、およびすべての分子量または分子量値は近似値であり、説明のために提供されている
ことを理解されたい。
【配列表】
2023159325000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネコカリシウイルス(FCV)抗原をコードするベネズエラウマ脳炎(VEE)アルファウイルスRNAレプリコン粒子及び薬学的に許容される担体を含む、FCVに起因する疾患の予防を補助するためのワクチンであって、
ここで、FCV抗原が、FCV F9様キャプシドタンパク質及び強毒全身性FCV(VS-FCV)キャプシドタンパク質からなる群から選択されるキャプシドタンパク質である、ワクチン。
【請求項2】
前記キャプシドタンパク質が、VS-FCVキャプシドタンパク質である、請求項1に記載のワクチン。
【請求項3】
前記キャプシドタンパク質が、FCV F9様キャプシドタンパク質である、請求項1に記載のワクチン。
【請求項4】
第2のFCV抗原をコードする追加のVEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含み、ここで、前記第2のFCV抗原が、前記FCVキャプシドタンパク質が由来するものとは異なるFCV株に由来する、請求項1、2または3に記載のワクチン。
【請求項5】
FCV F9様キャプシドタンパク質をコードする追加のVEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子を含む、請求項2に記載のワクチン。
【請求項6】
前記VEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子が、FCV F9様キャプシドタンパク質をもコードする、請求項2に記載のワクチン。
【請求項7】
前記VS-FCVキャプシドタンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1、2、4、5または6に記載のワクチン。
【請求項8】
前記FCV F9様キャプシドタンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1、3、4、5、6または7に記載のワクチン。
【請求項9】
非FCVネコ病原体に対する防御免疫を誘発するための少なくとも1つの非FCV抗原をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載のワクチン。
【請求項10】
非FCV抗原に由来する少なくとも1つのタンパク質抗原をコードするヌクレオチド配列を含むVEEアルファウイルスRNAレプリコン粒子をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載のワクチン。
【請求項11】
非アジュバントワクチンである、請求項1~10のいずれかに記載のワクチン。
【請求項12】
病原性FCVに対してネコを免疫する方法であって、請求項1~11のいずれかに記載のワクチンの免疫学的有効量を前記ネコに投与することを含む方法。
【請求項13】
ネコ被験者に対して免疫学的有効量のワクチンを投与することからなる方法であることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の、使用のためのワクチン。
【外国語明細書】