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2023-159331治療用のプールされた血液アポトーシス細胞調製物及びそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159331
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】治療用のプールされた血液アポトーシス細胞調製物及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0786 20100101AFI20231024BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20231024BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20231024BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20231024BHJP
   A61K 41/17 20200101ALI20231024BHJP
【FI】
C12N5/0786
A61P1/04
A61P19/02
A61P19/06
A61P29/00
A61P31/04
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P43/00 105
A61K35/15
A61K35/17
A61K41/17
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135376
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2022138991の分割
【原出願日】2016-04-21
(31)【優先権主張番号】62/150,305
(32)【優先日】2015-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】321012580
【氏名又は名称】エンリヴェックス セラピューティクス アールディーオー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メヴォラク、ドロール
(72)【発明者】
【氏名】ノビク、シャイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プール及び濃縮された単核アポトーシス細胞集団を含む細胞調製物、ならびにこの細胞調製物を調製する方法を提供する。
【解決手段】プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、アポトーシスの誘発の前または後にプールされた、プールされた同種異系白血球画分から取得され得る。さらに、対象における免疫疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、または不妊症を治療するための、これらのプールされたアポトーシス細胞調製物の使用の方法が本明細書に説明される。例えば、プールされたアポトーシス細胞調製物は、同種異系対象における移植片対宿主疾患(GVHD)を治療するために使用され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アポトーシスの誘発後に照射された初期アポトーシス状態にある単核細胞を含む、照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団であって、
前記アポトーシス細胞集団の分析において、前記細胞の少なくとも85%がアネキシンV陽性であること示し、15%未満がヨウ化プロピジウム(PI)アッセイによって死滅したかまたは瀕死であると見なされ、
前記プールされたアポトーシス細胞集団が、複数のドナーから採取されてプールされた個別の単核細胞集団を含み、
前記プールされたアポトーシス細胞集団が、照射されていない細胞集団と比較して、
(a)減少された数の非静止非アポトーシス細胞、
(b)任意の生きた非アポトーシス細胞の抑制された細胞活性化、
(c)任意の生きた非アポトーシス細胞の低減された増殖、
またはそれらの任意の組み合わせを含む、照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団。
【請求項2】
前記個別の単核細胞集団が、アポトーシスの誘発前またはアポトーシスの誘発後にプールされた、請求項1に記載の照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団。
【請求項3】
前記個別の単核細胞集団が、前記照射の前または前記照射の後にプールされた、請求項1または2に記載の照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団。
【請求項4】
前記個別の単核細胞集団が、レシピエント対象に関してHLA適合またはHLA不適合の供給源に由来する同種異系細胞を含み、前記個別の単核細胞集団が、リンパ球、単球、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞型を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団。
【請求項5】
前記個別の単核細胞集団が、2~25単位の血液中に存在する細胞から取得され、前記血液が、献血に由来する白血球(WBC)画分を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団。
【請求項6】
前記照射が、ガンマ線照射またはUV照射を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団。
【請求項7】
前記照射されたアポトーシス細胞集団が、照射されていない細胞集団と比較して、減少した割合の、集団当たりの非静止非アポトーシス細胞を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団を含む、薬学的組成物。
【請求項9】
照射及びプールされた単核アポトーシス細胞集団を含む薬学的組成物を生成するための方法であって、前記アポトーシス細胞集団が、アポトーシスの誘発後に照射された初期アポトーシス状態にある単核細胞を含み、
前記アポトーシス細胞集団の分析において、前記細胞の少なくとも85%がアネキシンV陽性であることを示し、15%未満がヨウ化プロピジウム(PI)アッセイによって死滅したかまたは瀕死であると見なされ、
前記アポトーシス細胞集団が、複数のドナーから採取されてプールされた個別の単核細胞集団を含み、
(a)末梢血液から個別の単核濃縮細胞集団を取得するステップであって、前記単核濃縮細胞集団が単一のドナーまたは複数のドナーから取得される、該ステップと、
(b)前記単核濃縮細胞集団を、抗凝固剤を含む凍結媒体中で凍結させるステップと、
(c)前記単核濃縮細胞集団を解凍するステップと、
(d)前記単核濃縮細胞集団を、10~100μg/mLの最終濃度のメチルプレドニゾロンと抗凝固剤とを含むアポトーシスを誘発するインキュベーション媒体中でインキュベートするステップと、
(e)前記単核濃縮アポトーシス細胞集団を、投与媒体中に再懸濁させるステップと、
(f)前記単核濃縮アポトーシス細胞集団を不活性化するステップであって、前記ステップ(d)または(e)のステップの後に行われる、該ステップと、
(g)前記単核濃縮細胞集団をプールするステップであって、前記ステップ(a)~(f)のいずれかのステップの後に行われる、該ステップと、を含み、
照射およびプールされた単核初期アポトーシス細胞集団を含む薬学的組成物を生成する、方法。
【請求項10】
前記単核濃縮細胞集団を取得する前記ステップ(a)が、白血球除去によって複数の個別のドナーから白血球(WBC)画分を取得することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記単核濃縮細胞集団を取得する前記ステップ(a)が、複数の個別のドナーから白血球(WBC)画分を取得することを含み、
前記白血球(WBC)画分が、血液バンクから取得されたWBC画分を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記白血球(WBC)画分が、
(a)リンパ球、単球、樹状細胞、及びナチュラルキラー細胞からなる群から選択される少なくとも1つの細胞型を含むか、
(b)2~25単位の血液から収集されているか、または
それらの任意の組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記単核濃縮細胞集団を取得する前記ステップ(a)が、前記個別の単核濃縮細胞集団のHLA適合性によって制限されない、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
アポトーシス誘発媒体における前記インキュベートが、2~12時間である、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記単核濃縮アポトーシス細胞集団を不活性化する前記ステップ(f)が、前記単核濃縮アポトーシス細胞集団に照射することを含む、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記照射が、
(a)ガンマ線照射もしくはUV照射、
(b)25~30グレイ単位(Gy)、または
それらの組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
免疫疾患、自己免疫疾患、サイトカイン放出症候群(CRS)、サイトカインストーム、癌、または炎症性疾患の発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象においてそれを行うための薬物の調製における、請求項1~7のいずれか一項に記載の照射およびプールされた単核アポトーシス細胞集団、または請求項8に記載の薬学的組成物、または請求項9~16のいずれか一項に記載の方法によって調製された薬学的組成物の使用。
【請求項18】
前記免疫疾患が、GVHD、関節炎、痛風、または炎症性腸疾患を含む群から選択されるか、
前記CRSもしくはサイトカインストームが、感染の結果であるか、または
前記対象が、造血器悪性腫瘍を罹患しているか、敗血症を罹患しているか、移植片対腫瘍もしくは移植片対白血病(GVL)効果を保持しているか、造血幹細胞移植(HSCT)を受けているか、もしくは固形臓器移植を受けている、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記HSCTが、同種異系HSCTであり、前記薬学的組成物が、複数の同種異系ドナーであって、前記対象または前記ドナーに対してHLA適合ではない同種異系ドナーから取得された細胞を含む、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記薬学的組成物が、前記移植の最大24時間前、前記移植と同時、または前記移植の15日間後までに投与される、請求項18または19に記載の使用。
【請求項21】
前記薬学的組成物が、静脈注射によって投与される、請求項17に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、プール及び濃縮された単核アポトーシス細胞集団を含む細胞調製物、ならびに該細胞調製物を調製する方法に関する。さらに、対象における免疫疾患、炎症性疾患、サイトカイン放出症候群(CRS)、サイトカインストーム、または自己免疫疾患を治療するためのこれらのプールされた細胞調製物の使用が、本明細書に説明される。
【背景技術】
【0002】
病理学的免疫応答を特徴とする疾患としては、著しい死亡率及び疾病率に関連付けられる多くの疾患、特に、全身性エリテマトーデス(SLE)等の自己免疫疾患、及び移植片対宿主疾患(GVHD)等の移植関連疾患が挙げられる。自己免疫疾患は概して、2つの一般的な種類、すなわち、全身性自己免疫疾患(例えば、SLE及び強皮症)及び多発性硬化症等の臓器特異的自己免疫疾患、ならびに糖尿病に分けられ得る。
【0003】
免疫抑制薬は、移植された臓器及び組織(例えば、骨髄、心臓、腎臓、肝臓)の拒絶の治療または予防、自己免疫疾患または自己免疫起源である可能性が最も高い疾患(例えば、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、クローン病、ベーチェット病、天疱瘡、ブドウ膜炎、及び潰瘍性結腸炎)の治療、いくつかの他の非自己免疫炎症性疾患(例えば、長期的なアレルギー性喘息管理)及び移植関連疾患(例えば、GVHD)の治療に使用されてきた。しかしながら、免疫抑制薬治療は、多くの合併症を導くことがあり、病理学的免疫反応に対応する改善された方法が必要である。
【0004】
同種異系骨髄移植(alloBMT)において、患者の体内へのドナー髄の注入は、2つの免疫系からの細胞の相互作用を伴う。同種異系移植物を受ける患者のための調整レジメンは、免疫系を抑制することによって、ドナー幹細胞が患者内に生着することを可能にする。ドナーの免疫細胞が患者の体内に確立されると、それらは、任意の残留癌細胞を含む患者自身の組織及び細胞を異種または外来性であると認識し得る。免疫系は次に、肝臓、消化管、または皮膚等の特定の臓器に損傷を与える場合があり、この効果は、移植片対宿主疾患(GVHD)として知られている。
【0005】
今日現在、GVHD予防薬は、カルシニューリン阻害剤(CNI)、シクロスポリンまたはタクロリムス、及びメトトレキサートか、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)か、またはシロリムスかのいずれかを含む、免疫抑制薬の組み合わせを含む。しかしながら、急性GVHDは、ヒト白血球抗原(HLA)適合同胞に由来する移植物を受けるBMT患者の35%~70%において依然生じており、非血縁ドナー移植物のレシピエントにおいてはより頻繁に生じている。
【0006】
カルシニューリン阻害剤(CNI)は急性GVHDを部分的に阻害するが、これらは、T細胞の発達を阻害することによって免疫再構築を損ない、疾患の再発の危険性を増加させ得る。したがって、同種異系BMTを受けている血液悪性腫瘍患者は、CNIの使用を最小にし、GVHDを予防し、有益な移植片対腫瘍効果を含む機能的な免疫系を保持するであろうGVHD予防薬を必要とする。
【0007】
アポトーシス細胞は、樹状細胞及びマクロファージに対する免疫耐性を直接的または間接的に誘発することが可能な免疫変調細胞である。多くの動物実験が、遺伝的適合性とは独立した免疫変調効果を実証している。示唆的に、非遺伝的適合マウスに由来するアポトーシス細胞は、遺伝的適合マウス(同系)に由来するものと同程度に効果的であった。患者またはドナーから収集した末梢細胞(白血球除去)から高い寛容原性潜在力を有する(免疫耐性を有する)安定したアポトーシス細胞を作成するためのプロセスが、高度に再現可能である、非遺伝的適合アポトーシス血液サンプルを組み合わせる能力は、対象において免疫体制を誘発するための独特で費用対効果の高い供給源を提供し得る。
【0008】
また、非適合白血球(WBC)の使用は、2つの潜在的な問題を生じさせる。1つ目は、(細胞死のプロセスにおける)アポトーシス細胞に対する可能な免疫応答である。2つ目は、アポトーシス集団を作成するために誘発されるWBCの必ずしも全てがアポトーシス性になるとは限らないため、アポトーシス細胞のプール内に残る生きた細胞の画分からの応答である。したがって、投与されるアポトーシスWBCの画分は、いくらかの生きた細胞を含有することになる。生きた細胞は、レシピエントにGVHDを生じさせる場合がある。
【0009】
現在、1日当たり約1,000単位の血液が、多くはMagen David Adom(MDA)を通じてイスラエル内で加工されている。WBC画分は、加工されないか、または研究用の軟膜として加工されるかのいずれかである。このWBC画分をバッグ内に受容することが可能であり、該バッグ中には、ほぼ2×10個の白血球が存在し、そのうち約0.7×10個が、アポトーシス細胞生成に好ましい単核細胞である。現在の推定によると、生成効率はおよそ50%である。
【0010】
自己免疫及び炎症性疾患ならびに移植関連疾患を含む、免疫障害を治療または予防するための組成物及び方法に関する満たされていない必要がある。例えば、GVHDは、推定発生率が30%~70%であり、依然として成功的な同種異系血液または髄移植に対する主な障壁であり、GVHDの予防法に関する最適なアプローチは未だ確立されていない。具体的には、安全で、確実で、再現可能で、効果的な様式でGVHDを予防または改善する組成物及び方法を取得することが不可欠である。
【0011】
本明細書において下記に説明される細胞調製物及びその組成物は、複数の個別の血液ドナーまたは個別の献血から取得されたプールされたアポトーシス細胞を含む普遍的な生成物を提供することによって、この必要に応える。さらに、本プールされたアポトーシス細胞調製物は、自己免疫及び炎症性疾患、移植関連疾患及び状態、サイトカイン放出症候群(CRS)、サイトカインストーム、ならびに不妊症を含む免疫障害を治療するために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様では、初期アポトーシス状態にある単核細胞を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物が本明細書に開示され、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、プールされた個別の単核細胞集団を含み、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、
減少された割合の非静止非アポトーシス細胞、
任意の生きた非アポトーシス細胞の抑制された細胞活性化、もしくは
任意の生きた非アポトーシス細胞の低減された増殖、
またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0013】
関連する態様では、該プールされた個別の単核細胞集団は、該個別の単核細胞集団のアポトーシスの誘発前またはアポトーシスの誘発後にプールされた個別の単核細胞集団を含む。別の態様では、プールされた個別の単核細胞集団は、該個別の単核細胞集団のHLAマーカーのHLA適合性とは独立してプールされた集団を含む。別の態様では、取得されたプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、約2~25単位の血液中に存在する細胞から取得された単核細胞集団を含む。別の態様では、血液は、献血に由来する白血球(WBC)画分を含む。別の態様では、個別の単核細胞集団は、リンパ球、単球、樹状細胞、及びナチュラルキラー細胞からなる群から選択される少なくとも1つの細胞型を含む。さらなる態様では、個別の単核細胞集団は、レシピエント対象に関してHLA適合またはHLA不適合の供給源に由来する同種異系細胞を含む。
【0014】
関連する態様では、プールされた個別の単核細胞集団は、不活性なT細胞受容体を含むかまたは免疫活性が低減された細胞を含む。別の態様では、プールされた個別の単核細胞集団は、照射された細胞集団を含む。別の態様では、照射は、ガンマ線照射またはUV照射を含む。別の態様では、プールされた個別の単核細胞集団は、該照射の前または該照射の後にプールされた集団を含む。別の態様では、照射された細胞集団は、照射されていない細胞集団と比較して、減少された割合の、集団当たりの非静止非アポトーシス細胞を含む。
【0015】
一態様では、本明細書に開示される細胞調製物を含む薬学的組成物が、本明細書に説明される。
【0016】
一態様では、初期アポトーシス状態にあるプールされた個別の単核細胞集団を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む薬学的組成物を生成するための方法が、本明細書に開示され、該方法は、
(a)末梢血液の個別の単核濃縮細胞集団を取得するステップと、
(b)該単核濃縮細胞集団を、抗凝固剤を含む凍結媒体中で凍結させるステップと、
(c)該単核濃縮細胞集団を解凍するステップと、
(d)該単核濃縮細胞集団を、約10~100μg/mLの最終濃度のメチルプレドニゾロンと抗凝固剤とを含むアポトーシスを誘発するインキュベーション媒体中でインキュベートするステップと、
(e)該アポトーシス細胞集団を、投与媒体中に再懸濁させるステップと、
(f)該単核濃縮集団を不活性化するステップであって、(a)~(e)のいずれかのステップの後に生じる、不活性化するステップと、
(g)該単核濃縮集団をプールするステップであって、(a)~(f)のいずれかのステップの後に生じる、プールするステップと、を含み、
該方法は、初期アポトーシス状態にあるプールされた個別の単核細胞集団を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む薬学的組成物を生成する。
【0017】
関連する態様では、不活性化するステップは、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物中で、非静止非アポトーシス細胞の割合を減少させること、任意の生きた非アポトーシス細胞の細胞活性化を抑制すること、もしくは任意の生きた非アポトーシス細胞の増殖を低減すること、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の態様では、該個別の単核濃縮細胞集団の取得は、白血球除去によって複数の個別のドナーから白血球(WBC)画分を取得することを含む。別の態様では、白血球(WBC)画分は、血液バンクから取得されたWBC画分を含む。別の態様では、白血球(WBC)画分は、リンパ球、単球、樹状細胞、及びナチュラルキラー細胞からなる群から選択される少なくとも1つの細胞型を含む。別の態様では、白血球(WBC)画分は、約2~25単位の血液から収集されている。別の態様では、該単核濃縮細胞集団の取得は、該個別の単核濃縮細胞集団のHLA適合性によって制限されない。別の態様では、インキュベートは、約2~12時間である。別の態様では、個別の単核濃縮細胞集団は、レシピエント対象に関してHLA適合またはHLA不適合の供給源に由来する同種異系細胞を含む。
【0018】
関連する態様では、(f)該単核濃縮集団を不活性化するステップは、該個別の集団における免疫応答を抑制もしくは排除すること、該個別の集団間の交差反応性を抑制もしくは排除すること、または該個別の集団におけるT細胞受容体活性を低減もしくは排除することを含み、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む該生成される薬学的組成物は、該細胞調製物中の、減少された割合の生きた非アポトーシス細胞、任意の生きた非アポトーシス細胞の抑制された細胞活性化、もしくは任意の生きた非アポトーシス細胞の低減された増殖、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の態様では、該単核濃縮集団の不活性化は、該単核濃縮集団を照射することを含む。別の態様では、照射は、ガンマ線照射またはUV照射を含む。別の態様では、照射は、約25~30グレイ単位(Gy)を含む。
【0019】
一態様では、免疫疾患、自己免疫疾患、サイトカイン放出症候群(CRS)、サイトカインストーム、または炎症性疾患の発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象においてそれを行う方法が本明細書に開示され、該方法は、該対象に、本明細書に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物、または本明細書に説明される組成物、または本明細書に説明される方法によって調製される組成物を含む薬学的組成物を投与することを含む。一態様では、免疫疾患は、GVHD、関節炎、痛風、または炎症性腸疾患を含む群から選択される。別の態様では、対象は、造血器悪性腫瘍を罹患しているか、移植片対腫瘍もしくは移植片対白血病(GVL)効果を保持しているか、造血幹細胞移植(HSCT)を受けているか、または固形臓器移植を受けている。別の態様では、HSCTは、同種異系HSCTであり、該薬学的組成物は、複数の同種異系ドナーであって、該対象または該ドナーに対してHLA適合ではない同種異系ドナーから取得された細胞を含む。別の態様では、薬学的組成物の投与は、該移植の最大24時間前もしくは該移植と同時に実行されるか、または該移植の15日間後まで投与される。さらなる態様では、薬学的組成物は、静脈注射によって投与される。
【0020】
本明細書に開示されると見なされる主題は、本明細書の結論部分において具体的に指摘され、かつ明確に特許請求される。しかしながら、運営組織及び方法は、その目的、特徴、及び利点と共に、添付の図面を読むときに、以下の詳細な説明を参照することによって最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】生存に対する、複数の個別のドナー(青)に由来する単一のアポトーシス細胞調製物注射の明確な効果(p<0.01)を示すグラフを提示する。提示されるグラフは、単一用量の複数の個別のドナーに由来する照射されたプールされたアポトーシス細胞調製物で治療されたGvHDマウスモデルにおけるカプラン・マイヤー生存曲線である。
図2】比較された2つの群の体重損失のパーセンテージに対する、複数の個別のドナー(青)に由来する単一のアポトーシス細胞調製物注射の明確な効果(p<0.01)を示すグラフを提示する。
図3】誘発GvHDのマウスモデルを使用した、生存率に対する単一ドナーアポトーシス細胞調製物及び複数ドナーアポトーシス細胞調製物の単一用量の投与+/-照射の比較を示すグラフを提示する。
図4A】HLA-DRの発現によって測定された、アポトーシス細胞との相互作用後の樹状細胞(DC)の成熟の阻害を示す効力試験の結果を提示する。新鮮な最終生成物AのHLA DR平均蛍光(t0)。
図4B】LA-DRの発現によって測定された、アポトーシス細胞との相互作用後の樹状細胞(DC)の成熟の阻害を示す効力試験の結果を提示する。2~8℃で24時間後の最終生成物AのHLA DR平均蛍光。
図5A】CD86の発現によって測定された、アポトーシス細胞との相互作用後の樹状細胞(DC)の成熟の阻害を示す効力試験の結果を提示する。新鮮な最終生成物AのCD86平均蛍光(t0)。
図5B】CD86の発現によって測定された、アポトーシス細胞との相互作用後の樹状細胞(DC)の成熟の阻害を示す効力試験の結果を提示する。2~8℃で24時間後最終生成物AのCD86平均蛍光。
【0022】
例証の単純さ及び明瞭さのために、図中に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことが理解されるであろう。例えば、要素のうちのいくつかの寸法は、明瞭さのために他の要素に対して拡大されている場合がある。さらに、適切であると見なされる場合、参照番号は、対応するまたは類似の要素を示すために図間で反復され得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願は、2015年4月21日出願の米国特許仮出願第62/150,305号の利益を主張する。
【0024】
以下の詳細な説明では、本明細書の開示の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本細胞調製物、本細胞調製物を作製する方法、及びこれらの細胞調製物を使用する方法は、これらの具体的な詳細を伴わずに実践され得ることが、当業者によって理解されるであろう。他の例では、周知の方法、手順、及び構成要素は、本明細書に提示される開示を曖昧にしないように、詳細に説明されてはいない。
【0025】
本開示は、一実施形態において、初期アポトーシス状態にある単核細胞を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物を提供し、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、プールされた個別の単核細胞集団を含み、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、減少された割合の生きた非アポトーシス細胞、任意の生きた非アポトーシス細胞の抑制された細胞活性化、もしくは任意の生きた非アポトーシス細胞の低減された増殖、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞は、照射されている。別の実施形態では、本開示は、いくつかの実施形態では献血から取得された白血球画分(WBC)を使用する、プールされた単核アポトーシス細胞調製物を提供する。このWBC画分は、血液バンクにて廃棄されるか、または研究における使用のために標的とされることが多い。
【0026】
一実施形態では、細胞調製物は、不活性化される。別の実施形態では、不活性化は、照射を含む。別の実施形態では、不活性化は、T細胞受容体の不活性化を含む。別の実施形態では、不活性化は、T細胞受容体の編集を含む。別の実施形態では、不活性化は、該調製物における免疫応答を抑制または排除することを含む。別の実施形態では、不活性化は、調製物中に含まれる複数の個別の集団間の交差反応性を抑制または排除することを含む。他の実施形態では、不活性化は、調製物中に含まれる複数の個別の集団間のT細胞受容体活性を低減または排除することを含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、減少された割合の生きた非アポトーシス細胞、任意の生きた非アポトーシス細胞の抑制された細胞活性化、もしくは任意の生きた非アポトーシス細胞の低減された増殖、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、照射されていない細胞調製物と比較して、低減された数の非静止非アポトーシス細胞を含む。
【0027】
別の実施形態では、照射は、ガンマ線照射またはUV照射を含む。また別の実施形態では、照射された調製物は、照射されていない細胞調製物と比較して、低減された数の非静止非アポトーシス細胞を有する。
【0028】
別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞は、T細胞受容体の不活性化を受けている。別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞は、T細胞受容体の編集を受けている。
【0029】
一実施形態では、プールされた血液は、レシピエントに関してHLA適合またはHLA不適合の供給源に由来する第三者(3rd party)血液を含む。
【0030】
一実施形態では、本開示は、初期アポトーシス状態にあるプールされた個別の単核細胞集団を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む薬学的組成物の生成の方法を提供し、該組成物は、減少された割合の生きた非アポトーシス細胞、任意の生きた非アポトーシス細胞の抑制された細胞活性化を有する調製物、もしくは任意の生きた非アポトーシス細胞の低減された増殖を有する調製物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、本方法は、初期アポトーシス状態にあるプールされた個別の単核細胞集団を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む薬学的組成物を提供し、該組成物は、減少された割合の非静止非アポトーシス細胞を含む。
【0031】
別の実施形態では、本開示は、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、サイトカイン放出症候群(CRS)、サイトカインストーム、または不妊症の発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象においてそれを行うための、本明細書に説明される初期アポトーシス状態にある単核細胞を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物の使用の方法を提供する。別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物が本明細書に開示され、特定の実施形態において、かかる細胞調製物の使用は、例えばHLA分類による、ドナーとレシピエントとの適合を必要としない。
【0032】
プールされた単核アポトーシス細胞調製物
【0033】
一実施形態では、本開示は、初期アポトーシス状態にある単核細胞を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物を提供し、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、プールされた個別の単核細胞集団を含み、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、
減少された割合の非静止非アポトーシス細胞、
任意の生きた非アポトーシス細胞の抑制された細胞活性化、もしくは
任意の生きた非アポトーシス細胞の低減された増殖、
またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0034】
別の実施形態では、初期アポトーシス状態にある単核細胞を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、プールされた個別の単核細胞集団を含み、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、低減された数の非静止非アポトーシス細胞を含む。
【0035】
当業者は、「プールされる」という用語は、一実施形態では、複数の個別のドナーから収集され、調製され、場合によりその後の使用のために保管された血液であって、その複数の個別のドナーの血液から取得された単核濃縮細胞集団が、例えば、末梢血液の個別の単核濃縮細胞集団を取得した後の任意の調製ステップの後またはそれと同時に組み合わされる、血液を包含することを理解するであろう。代替的に、別の実施形態では、プールは、該単核濃縮細胞集団の凍結の後またはそれと同時に生じる。別の実施形態では、プールは、該単核濃縮細胞集団の解凍の後またはそれと同時に生じる。別の実施形態では、プールは、アポトーシスを誘発するためのインキュベーションの後またはそれと同時に生じる。また別の実施形態では、プールは、細胞のアポトーシス集団の再懸濁の後またはそれと同時に生じる。別の実施形態では、プールは、単核細胞集団の不活性化ステップの後またはそれと同時に生じる。
【0036】
単核濃縮細胞集団の組み合わされたプールの加工は、次に、本明細書に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物を生成するように継続され得る。
【0037】
別の実施形態では、当業者は、「プールされる」という用語は、個別のドナーから収集され、アポトーシス細胞調製物として個別に調製され、場合により保管された血液であって、該調製物は、アポトーシス調製物の再懸濁時に「プールされる」、血液を包含することを認識するであろう。別の実施形態では、個別のドナーから収集された血液の調製は、同時で並行している。別の実施形態では、個別のドナーから収集された血液の調製は、同時ではない。
【0038】
別の実施形態では、細胞は、下記の調製の方法に説明される、アポトーシスが誘発されるインキュベーションステップの直前にプールされる。別の実施形態では、細胞は、下記の調製の方法に説明される通り、再懸濁のステップにおいてインキュベーションステップの後にプールされる。別の実施形態では、細胞は、照射ステップの直前にプールされる。別の実施形態では、細胞は、不活性化ステップの後にプールされる。別の実施形態では、細胞は、照射ステップの後にプールされる。別の実施形態では、細胞は、下記の調製の方法に説明される任意のステップにおいてプールされる。また別の実施形態では、本明細書に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、該個別の単核細胞集団のアポトーシスの誘発前またはアポトーシスの誘発後にプールされた個別の単核細胞集団を含む。
【0039】
別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、単核アポトーシス細胞の容易に利用可能な供給が、対象において免疫疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、サイトカイン放出症候群(CRS)、またはサイトカインストームの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減するための使用に利用可能であり得ることを確実にする。
【0040】
一実施形態では、プールされたアポトーシス細胞調製物は、約2~25単位の血液中に存在する細胞から取得される。別の実施形態では、該プールされたアポトーシス細胞調製物は、約2~5、2~10、2~15、2~20、5~10、5~15、5~20、5~25、10~15、10~20、10~25、6~13、または6~25単位の血液中に存在する細胞を含む。別の実施形態では、該プールされたアポトーシス細胞調製物は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25単位の血液中に存在する細胞を含む。必要とされる単位血液の数はまた、血液からのWBC回収の効率にも依存する。例えば、低効率WBC回収は、さらなる必要な単位につながり、それに対して高効率WBC回収は、より少ない必要な単位につながる。いくつかの実施形態では、各単位は、血液のバッグである。別の実施形態では、プールされたアポトーシス細胞調製物は、少なくとも25単位の血液、少なくとも50単位の血液、または少なくとも100単位の血液中に存在する細胞を含む。
【0041】
一実施形態では、単位血液は、献血に由来する白血球(WBC)画分を含む。別の実施形態では、献血は、血液センターまたは血液バンクに由来し得る。別の実施形態では、献血は、プールされたアポトーシス細胞調製物の調製時に集められた病院内のドナーに由来し得る。別の実施形態では、複数の個別のドナーに由来するWBCを含む単位血液は、本明細書に開示される目的のために作られた独立した血液バンクに保存及び維持される。別の実施形態では、複数の個別のドナーに由来するWBCを含む単位血液を供給することが可能であるように本明細書に開示される目的のために開発された血液バンクは、白血球除去単位を含む。
【0042】
一実施形態では、プールされたWBCの単位は、HLA適合性によって制限されない。したがって、結果として得られるプールされたアポトーシス細胞調製物は、HLA適合性によって制限されない細胞集団を含む。したがって、特定の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、同種異系細胞を含む。
【0043】
ヒト対象のハロタイプ整合は、治療的移植の文脈で当該技術分野において日常的に実践されており、通常HLA-A、HLA-B、及びHLA-DR対立遺伝子の整合を含むが、HLA適合性によって制限されないプールされたWBCから取得される、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物の利点は、容易に利用可能なWBC供給源、及びWBCの取得の低減された費用である。
【0044】
一実施形態では、プールされた血液は、HLA適合性とは独立した複数の個別のドナーに由来する血液を含む。別の実施形態では、プールされた血液は、レシピエントに関するHLA適合性が考慮された複数の個別のドナーに由来する血液を含む。例えば、1つのHLA対立遺伝子、2つのHLA対立遺伝子、3つのHLA対立遺伝子、4つのHLA対立遺伝子、5つのHLA対立遺伝子、6つのHLA対立遺伝子、または7つのHLA対立遺伝子が、ドナーとレシピエントとの間で適合している場合。別の実施形態では、複数の個別のドナーは、部分的に適合しており、例えば、ドナーの一部は、HLA適合しており、この場合、本明細書に開示される通り、1つのHLA対立遺伝子、2つのHLA対立遺伝子、3つのHLA対立遺伝子、4つのHLA対立遺伝子、5つのHLA対立遺伝子、6つのHLA対立遺伝子、または7つのHLA対立遺伝子がドナーの一部とレシピエントとの間で適合している。
【0045】
一実施形態では、本明細書に説明されるプールされた個別の単核細胞集団を含む細胞調製物は、個別の単核細胞集団のHLAマーカーのいずれのHLA適合性とも独立してプールされた集団を含む。別の実施形態では、本明細書に説明されるプールされた個別の単核細胞集団を含む細胞調製物は、レシピエント対象に関してHLA適合またはHLA不適合の供給源に由来する同種異系細胞を含む。
【0046】
下記の実施例において取り上げられている1つの疑問は、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物に対する実験動物(例えばGvHDのマウスモデル)の応答である。特定の実施形態では、いくつかの生存非アポトーシス細胞(場合によりアポトーシス耐性細胞)は、下記に説明されるアポトーシスステップ誘発ステップの後も残り得る。
【0047】
一実施形態では、生存非アポトーシス細胞は、アネキシンV陰性及びヨウ化プロピジウム陰性である生きた細胞を含む。当業者は、「生存非アポトーシス細胞」という用語は、「非静止非アポトーシス細胞」と互換的に使用され得ることを理解するであろう。したがって、当業者は、非静止非アポトーシス細胞がアネキシンV陰性及びヨウ化プロピジウム陰性であることを理解するであろう。
【0048】
これらの生存非アポトーシス細胞は、急速に増殖するか、または活性化されることが可能であり得る。移植の場合、プールされた単核アポトーシス細胞調製物の細胞は、新しい移植物と共に投与され得る。いくつかの実施形態では、複数の個別のドナーから取得されたプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、宿主に対して活性化されてもよく、さらに互いに対して活性化されてもよい。特定の実施形態では、投与される生存非アポトーシス細胞の約10~20%が、生着され、機能的となり得る。
【0049】
一実施形態では、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、不活性化された細胞調製物を含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、不活性なT細胞受容体を含む細胞を含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、低減された免疫応答を含む細胞を含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、不活性なT細胞受容体または低減された免疫応答を含む細胞を含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、抑制または排除された該集団間の交差反応性を有する複数の個別の単核集団を含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、低減または排除されたT細胞受容体活性を有する複数の個別の単核集団を含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、低減された数の静止非アポトーシス細胞を含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、低減または排除された免疫応答を含む。別の実施形態では、不活性化された細胞調製物は、低減または排除された互いに対する交差反応性を有するプールされた個別の単核集団を含む。別の実施形態では、プールされた個別の単核細胞集団を含む不活性化された細胞調製物は、照射された細胞集団を含む。
【0050】
一実施形態では、本明細書に開示される照射された細胞調製物または細胞集団は、照射されていない細胞調製物または集団と比較して、抑制された細胞活性化及び低減された増殖を有する。別の実施形態では、照射は、ガンマ線照射またはUV照射を含む。別の実施形態では、照射された細胞調製物または集団は、照射されていない細胞調製物と比較して、減少された割合の非静止非アポトーシス細胞を有する。別の実施形態では、照射された細胞調製物または集団は、照射されていない細胞調製物と比較して、低減された数の非静止非アポトーシス細胞を有する。別の実施形態では、照射された細胞調製物は、低減または排除された互いに対する交差反応性を有するプールされた個別の単核集団を含む。
【0051】
別の実施形態では、照射は、約15グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約20グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約25グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約30グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約35グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約40グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約45グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約50グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約55グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約60グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約65グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、最大2500Gyを含む。別の実施形態では、照射は、約15~25グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、約25~30グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、約30~40グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、約40~50グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、約50~65グレイ単位(Gy)を含む。
【0052】
別の実施形態では、照射されたプールされたアポトーシス細胞調製物は、照射されていないプールされたアポトーシス細胞調製物と同一または類似のアポトーシスプロフィール、安定性、及び有効性を維持する。別の実施形態では、照射されたプールされたアポトーシス細胞調製物は、同一または類似の細胞型分布プロフィールを維持する。
【0053】
また別の実施形態では、本明細書に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、該個別の単核細胞集団の不活性化前または不活性化後にプールされた個別の単核細胞集団を含む。別の実施形態では、本明細書に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、該個別の単核細胞集団の照射前または照射後にプールされた個別の単核細胞集団を含む。
【0054】
一実施形態では、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、最大24時間安定である。別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、少なくとも24時間安定である。別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、24時間超安定である。また別の実施形態では、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、最大36時間安定である。また別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、少なくとも36時間安定である。さらなる実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、36時間超安定である。別の実施形態では、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、最大48時間安定である。別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、少なくとも48時間安定である。別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、48時間超安定である。
【0055】
当業者は、「安定である」という用語は、初期アポトーシス細胞の割合(%)が、例えば、一実施形態では照射後等、不活性化後に低減されない調製物を包含することを理解するであろう。一実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約1%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約2%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約3%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約4%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約5%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約6%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約7%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約8%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約9%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約10%超は低減されない。別の実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の初期アポトーシス細胞の割合(%)は、約20%超は低減されない。
【0056】
一実施形態では、照射ステップを含む、プールされた細胞調製物を生成する方法は、細胞の調製物が照射ステップを含まなくてもよい単一適合ドナーから取得されたアポトーシス調製物において見られる、初期アポトーシス性の免疫変調及び安定性特性を保存する。別の実施形態では、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、移植片対宿主疾患(GVHD)応答を生じさせない。
【0057】
細胞調製物の照射は、当該技術分野において安全であると見なされる。照射手順は、WBCに対する反応を予防するために、献血に対して現在日常的に実施されている。
【0058】
別の実施形態では、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物中のアポトーシス細胞の割合は、100%に近く、それによって、細胞調製物中の生きた非アポトーシス細胞の画分を低減する。一実施形態では、アポトーシス細胞の割合は、少なくとも20%である。別の実施形態では、アポトーシス細胞の割合は、少なくとも30%である。別の実施形態では、アポトーシス細胞の割合は、少なくとも40%である。別の実施形態では、アポトーシス細胞の割合は、少なくとも50%である。また別の実施形態では、アポトーシス細胞の割合は、少なくとも60%である。また別の実施形態では、アポトーシス細胞の割合は、少なくとも70%である。さらなる実施形態では、アポトーシス細胞の割合は、少なくとも80%である。別の実施形態では、アポトーシス細胞の割合は、少なくとも90%である。また別の実施形態では、アポトーシス細胞の割合は、少なくとも99%である。したがって、低減された、または存在しない、または静止した、または活性化不可能な、生きた非アポトーシス細胞の画分を含む細胞調製物は、一実施形態において、レシピエントにGVHDを生じさせないプールされた単核アポトーシス細胞調製物を提供し得る。
【0059】
代替的に、別の実施形態では、生きた非アポトーシスWBCのパーセンテージは、例えば標的化沈殿によって、生きた細胞集団を特異的に除去することによって低減される。別の実施形態では、生きた非アポトーシス細胞の割合は、ホスファチジルセリンに結合する磁気ビーズを使用して低減され得る。別の実施形態では、生きた非アポトーシス細胞の割合は、非アポトーシス細胞の細胞表面上のマーカーに結合するが、アポトーシス細胞には結合しない磁気ビーズを使用して低減され得る。または逆に、アポトーシス細胞は、アポトーシス細胞の細胞表面上のマーカーに結合するが、非アポトーシス細胞には結合しない磁気ビーズを使用して、さらなる調製物のために選択されてもよい。また別の実施形態では、生きた非アポトーシスWBCのパーセンテージは、超音波の使用によって低減される。
【0060】
一実施形態では、アポトーシス細胞は、プールされた第三者ドナーに由来する。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、プールされた第四者ドナーに由来する。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、プールされた第五者ドナーに由来する。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、プールされた第N者ドナーに由来し、Nは、例えば個別のドナーまたは個別の単位血液等の、所与のプールされた細胞調製物中の供給源の数を表す。例えば、プールされた細胞調製物が10の個別の供給源ドナーに由来する単核細胞を含む場合、Nは、10である。
【0061】
一実施形態では、プールされた細胞調製物は、リンパ球、単球、樹状細胞、及びナチュラルキラー細胞からなる群から選択される少なくとも1つの細胞型を含む。別の実施形態では、プールされた細胞調製物は、単核細胞の濃縮集団を含む。一実施形態では、プールされた単核細胞は、リンパ球、単球、樹状細胞、及びナチュラルキラー細胞からなる群から選択される細胞型を含む単核濃縮細胞調製物である。別の実施形態では、単核濃縮細胞調製物は、15%以下、代替的に10%以下、典型的には5%以下の、顆粒球(すなわち、好中球、好塩基球、及び好酸球)としても知られる多形核白血球を含む。別の実施形態では、プールされた単核細胞調製物は、顆粒球を欠く。
【0062】
別の実施形態では、プールされた単核濃縮細胞調製物は、15%以下、代替的に10%以下、典型的には5%以下のCD15high発現細胞を含む。一実施形態では、プールされたアポトーシス細胞調製物は、15%未満のCD15high発現細胞を含む。
【0063】
一実施形態では、プールされた単核濃縮細胞調製物は、少なくとも60%の単核細胞、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%の単核細胞、代替的に少なくとも90%の単核細胞、または少なくとも95%の単核細胞を含み、各々の可能性は、別個の実施形態である。一実施形態では、プールされた単核濃縮細胞調製物は、少なくとも85%の単核細胞を含む。
【0064】
一実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、増加された多核細胞(PMN)を有する細胞調製物を、高い単核細胞を有する細胞調製物とプールすることを含む。
【0065】
当業者は、「単核細胞」という用語は、1つの分葉核を有する白血球を包含し得ることを理解するであろう。別の実施形態では、本明細書に開示されるプールされたアポトーシス細胞調製物は、5%未満の多形核白血球を含む。
【0066】
薬学的組成物及びそれらの調製
【0067】
単一の適合ドナーに由来するアポトーシス細胞を調製する方法及びそれらの使用は、国際公開第WO2014/087408号(例えば、実施例11~15を参照)及び国際出願第PCT/IL2016/050194号(例えば、実施例1~2を参照)に詳述されており、それらはその全体が本明細書に組み込まれる。
【0068】
当業者は、本明細書に開示されるとき、「組成物」及び「薬学的組成物」という用語は全ての同じ意味及び質を有して互換的に使用され、また一実施形態では、上記に詳述される通りプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む組成物を包含し得ることを理解するであろう。一実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に開示されるプールされた細胞調製物を含む組成物を包含し、抗凝固剤をさらに含む。当業者は、「組成物」という用語は、細胞調製物を、例えばそれを必要とする患者等のレシピエント対象に投与するために使用される最終懸濁媒体中に再懸濁された、本明細書に開示されるプールされた細胞調製物を含む組成物を包含し得ることを理解するであろう。当業者は、「最終懸濁媒体」及び「投与媒体」という用語は、本明細書で使用されるとき、互換的に使用され、また本明細書に開示されるプールされた細胞調製物をレシピエント対象に投与するために使用される媒体を包含し得ることをさらに理解するであろう。
【0069】
一実施形態では、本明細書に開示される薬学的組成物は、初期アポトーシス状態にある単核細胞を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含み、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、プールされた個別の単核細胞集団を含み、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、減少された割合の生きた非アポトーシス細胞、任意の生きた非アポトーシス細胞の抑制された細胞活性化、もしくは任意の生きた非アポトーシス細胞の低減された増殖、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む。
【0070】
別の実施形態では、組成物中で、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、例えば、照射された調製物、または該個別の細胞集団が照射されている調製物等の本明細書に開示される不活性化調製物を含む。別の実施形態では、組成物は、抗凝固剤をさらに含む。
【0071】
一実施形態では、初期アポトーシス状態にあるプールされた個別の単核細胞集団を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む薬学的組成物を生成するための方法が、本明細書に開示され、該方法は、
(a)末梢血液の個別の単核濃縮細胞集団を取得するステップと、
(b)該単核濃縮細胞集団を、抗凝固剤を含む凍結媒体中で凍結させるステップと、
(c)該単核濃縮細胞集団を解凍するステップと、
(d)該単核濃縮細胞集団を、約10~100μg/mLの最終濃度のメチルプレドニゾロンと抗凝固剤とを含むアポトーシスを誘発するインキュベーション媒体中でインキュベートするステップと、
(e)該アポトーシス細胞集団を、投与媒体中に再懸濁させるステップと、
(f)該単核濃縮集団を不活性化するステップであって、(a)~(e)のいずれかのステップの後に生じる、不活性化するステップと、
(g)該単核濃縮集団をプールするステップであって、(a)~(f)のいずれかのステップの後に生じる、プールするステップと、を含み、
該方法は、初期アポトーシス状態にあるプールされた個別の単核細胞集団を含むプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む薬学的組成物を生成する。
【0072】
一実施形態では、不活性化するステップ(f)は、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物中で、非静止非アポトーシス細胞の割合を減少させること、任意の生きた非アポトーシス細胞の細胞活性化を抑制すること、もしくは任意の生きた非アポトーシス細胞の増殖を低減すること、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0073】
一実施形態では、単核濃縮細胞集団の取得は、白血球除去によって複数の個別のドナーから白血球(WBC)画分を取得することを含む。別の実施形態では、単核濃縮細胞集団の取得は、血液バンクから取得されたWBC画分を含む白血球(WBC)画分を取得することを含む。別の実施形態では、収集されるWBCは、それらが取得される供給源に基づいて、即時使用可能であり得る。
【0074】
当業者は、「白血球除去」という用語は、白血球がドナーの血液から分離されるアフェレーシス手順を包含し得ることを理解するであろう。一実施形態では、ドナーの血液は、白血球除去を受け、したがって、単核濃縮細胞組成物は、本生成方法に従って取得される。当該技術分野において知られる通り、収集された細胞の凝固を予防するために、白血球除去中に少なくとも1つの抗凝固剤の使用が必要とされることが留意されるべきである。
【0075】
一実施形態では、白血球除去手順は、本生成方法に従う単核濃縮細胞組成物の収集を可能にするように構成される。一実施形態では、白血球除去によって取得された細胞収集物は、少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、または80%の単核細胞を含む。一実施形態では、細胞ドナーに由来する血漿は、本生成方法に従う単核濃縮細胞組成物の取得と並行して収集される。一実施形態では、細胞ドナーに由来する約300~600mlの血漿が、本生成方法に従う単核濃縮細胞組成物の取得と並行して収集される。一実施形態では、本生成方法に従う単核濃縮細胞組成物の取得と並行して収集された血漿は、凍結及び/またはインキュベーション媒体の一部として使用される。
【0076】
一実施形態では、単核濃縮細胞調製物は細胞収集時に少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、または少なくとも80%の単核細胞を含むが、本生成方法の後の最終薬学的組成物は、少なくとも70%、80%、85%、90%、または少なくとも95%の単核細胞を含むことが留意されるべきである。別の実施形態では、単核濃縮細胞調製物は、細胞収集時に、本明細書に開示される方法を使用して生成される最終生成物よりも低い割合の単核細胞を含む。別の実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物は、最初の単核濃縮細胞調製物、例えば、白血球除去によって収集された調製物よりも高い割合の単核細胞を含む。
【0077】
特定の実施形態によると、組成物の生成に使用される単核濃縮細胞調製物は、少なくとも50%の単核細胞を細胞収集時に含む。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物の生成に使用される単核濃縮細胞調製物は、約40~60%の単核細胞を細胞収集時に含む。特定の実施形態によると、本開示は、薬学的組成物を生成するための方法を提供し、本方法は、ドナーの末梢血液から単核濃縮細胞調製物を取得することを含み、該単核濃縮細胞調製物は、少なくとも50%の単核細胞を含む。別の実施形態では、薬学的組成物を生成するための方法であって、本方法は、ドナーの末梢血液から単核濃縮細胞調製物を取得することを含み、該単核濃縮細胞調製物は、約40~60%の単核細胞を含む。特定の実施形態によると、本開示は、薬学的組成物を生成するための方法を提供し、本方法は、少なくとも40%、50%、または60%の単核細胞を含む単核濃縮細胞調製物を凍結させることを含む。
【0078】
一実施形態では、単位血液は、0.35×10個の細胞を含む。別の実施形態では、1×10~1×10個の細胞が取得される。別の実施形態では、取得された細胞は、本明細書に開示される調製物において即時使用可能である。別の実施形態では、白血球(WBC)画分は、約2~25単位の血液から収集される。別の実施形態では、白血球(WBC)画分は、約1~250単位の血液から収集される。別の実施形態では、白血球(WBC)画分は、約1~500単位の血液から収集される。別の実施形態では、白血球(WBC)画分は、約1~1000単位の血液から収集される。別の実施形態では、白血球(WBC)画分は、約1~2000単位の血液から収集される。
【0079】
別の実施形態では、2~25単位の血液が、本明細書の組成物の調製のために一日に収集され得る。別の実施形態では、1~250単位の血液が、本明細書の組成物の調製のために一日に収集され得る。別の実施形態では、1~500単位の血液が、本明細書の組成物の調製のために一日に収集され得る。別の実施形態では、500~1000単位の血液が、本明細書の組成物の調製のために一日に収集され得る。また別の実施形態では、500~2000単位の血液が、本明細書の組成物の調製のために一日に収集され得る。別の実施形態では、1000単位の血液が、本明細書の組成物の調製のために一日に収集され得る。
【0080】
一実施形態では、3500億個のプールされた血液細胞が、本明細書に説明される組成物の調製のために取得される。別の実施形態では、1000億~5000億プールされた血液細胞が、本明細書に説明される組成物の調製のために取得される。別の実施形態では、約1000億、約2000億、約3000億、約4000億、約5000億、約6000億、約7000億、約8000億、または約9000億個の細胞が、本明細書に説明される組成物の調製のために取得される。
【0081】
一実施形態では、本明細書に説明される組成物の投薬量は、対象1キロ当たり3500万~7000万個のプールされた単核アポトーシス細胞を含む。したがって、3500億個の細胞のプールから開始して、80~150投薬単位が一度に調製され得る。一実施形態では、平均して10単位のプールされた血液が、単一治療用量を生成する。この計算は、生成効率等の可能な改善は考慮に入れず、現在の白血球除去の生成に基づいている。
【0082】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、反復投薬に使用され得る。
【0083】
一実施形態では、本明細書に開示される調製の方法は、約2~25単位の血液から収集された白血球(WBC)画分を含むプールされた単核濃縮細胞集団を調製することを含む。別の実施形態では、白血球(WBC)画分は、約13~25単位の血液から収集されている。また別の実施形態では、白血球(WBC)画分は、約10単位の血液から収集されている。別の実施形態では、該WBC画分は、約2~5、2~10、2~15、2~20、5~10、5~15、5~20、5~25、10~15、10~20、10~25、6~13、または6~25単位の血液から収集されている。別の実施形態では、該WBC画分は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25単位の血液から収集されている。必要とされる単位血液の数はまた、血液からのWBC回収の効率にも依存する。例えば、低効率WBC回収は、さらなる必要な単位につながり、それに対して高効率WBC回収は、より少ない必要な単位につながる。いくつかの実施形態では、各単位は、血液のバッグである。別の実施形態では、プールされたアポトーシス細胞調製物は、少なくとも25単位の血液、少なくとも50単位の血液、または少なくとも100単位の血液中に存在する細胞を含む。またさらなる実施形態では、プールされた単核濃縮アポトーシス細胞集団の調製物は、調製を実施する当業者によって決定される可能な限り多くの単位のWBCを含む。
【0084】
一実施形態では、組成物を生成する方法は、HLA適合性とは独立して収集されたWBC画分を含む。別の実施形態では、該WBC画分は、白血球除去によって複数の個別のドナーから取得される。別の実施形態では、白血球(WBC)画分は、血液バンクから取得される。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物を生成する方法は、該個別の単核濃縮細胞集団のHLA適合性によって制限されない該単核濃縮細胞集団を取得することを含む。
【0085】
一実施形態では、薬学的組成物中のヘパリンは、0.001U/ml~3U/ml、典型的には0.01ml~2.5U/mlの濃度で存在する。別の実施形態では、薬学的組成物中のヘパリンは、0.005U/ml~2.5U/mlの濃度で存在する。他の実施形態によると、薬学的組成物中のヘパリンは、0.01U/ml~1U/mlの濃度で存在する。一実施形態では、薬学的組成物中のACD Formula Aは、0.01体積/体積%~6体積/体積%の濃度で存在する。他の実施形態によると、薬学的組成物中のACD Formula Aは、0.05体積/体積%~5体積/体積%の濃度で存在する。他の実施形態によると、薬学的組成物中のACD Formula Aは、0.01体積/体積%~10体積/体積%の濃度で存在する。さらに、単核アポトーシス細胞を含む組成物及びその調製物は、本明細書に完全に組み込まれるWO2014/087408に説明されている。
【0086】
一実施形態では、薬学的組成物は、残留メチルプレドニゾロンをさらに含む。一実施形態では、薬学的組成物は、30μg/mlを超えない濃度でメチルプレドニゾロンをさらに含む。一実施形態では、薬学的組成物は、抗凝固剤をさらに含む。一実施形態では、抗凝固剤は、ヘパリン、ACD Formula A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0087】
一実施形態では、本明細書に開示される細胞調製物中の高パーセンテージの単核細胞は、本明細書に説明される通り、多段階の製造プロトコル(単位血液の白血球除去及びプール、冷凍保存及びメチルプレドニゾロンによるインキュベーションを使用する初期アポトーシス誘発、ならびに種々の洗浄ステップを含む)に従って達成されることが理解されるべきである。
【0088】
当業者は、「初期アポトーシス」という用語は、一実施形態では、細胞の少なくとも85%が生存したままであり(アネキシンV陽性)、15%未満がヨウ化プロピジウム(PI)アッセイによって死滅したかまたは瀕死であると見なされる(PI陰性)細胞のアポトーシス集団を指すことを理解するであろう。別の実施形態では、「初期アポトーシス」は、細胞の少なくとも85%が生存したままであり、細胞の15%未満がCD15highを発現する細胞集団を指す。
【0089】
当業者は、「初期アポトーシス状態」という用語は、アポトーシスの初期の兆候を示し、アポトーシスの後期の兆候を有さない細胞を包含し得ることを理解するであろう。細胞におけるアポトーシスの初期の兆候の例としては、ホスファチジルセリン(PS)の露出及びミトコンドリア膜電位の損失が挙げられる。後期の事象の例としては、細胞内へのヨウ化プロピジウム(PI)の侵入、及び最終的なDNA切断が挙げられる。細胞が「初期アポトーシス」状態にあることを立証するために、一実施形態では、アネキシンV及びPI染色によるPS露出検出が使用され、アネキシンVで染色されるがPIでは染色されない細胞は、「初期アポトーシス細胞」と見なされる。別の実施形態では、アネキシンV FITC及びPIの両方によって染色される細胞は、「後期アポトーシス細胞」と見なされる。別の実施形態では、アネキシンV及びPIのどちらに関しても染色しない細胞は、非アポトーシス生存細胞(生きた細胞)と見なされる。
【0090】
一実施形態では、アポトーシス細胞は、初期アポトーシス状態にある細胞を含む。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、該細胞の少なくとも90%が初期アポトーシス状態にある細胞を含む。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、該細胞の少なくとも80%が初期アポトーシス状態にある細胞を含む。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、該細胞の少なくとも70%が初期アポトーシス状態にある細胞を含む。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、該細胞の少なくとも60%が初期アポトーシス状態にある細胞を含む。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、該細胞の少なくとも50%が初期アポトーシス状態にある細胞を含む。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、該細胞の少なくとも40%が初期アポトーシス状態にある細胞を含む。
【0091】
一実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物を生成する方法は、リンパ球、単球、樹状細胞、及びナチュラルキラー細胞からなる群から選択される少なくとも1つの細胞型を含む白血球(WBC)画分を含む。
【0092】
一実施形態では、単核濃縮細胞調製物は、限定されるものではないが、多形核白血球及び好中球等の低濃度の非単核を含む。一実施形態では、プールされた単核濃縮細胞調製物は、顆粒球を欠く。一実施形態では、顆粒球は、生成方法の種々のステップの間に崩壊する。一実施形態では、組成物は、15%以下、代替的に10%以下、典型的には5%以下の顆粒球を含む。
【0093】
一実施形態では、顆粒球は、生成方法の凍結及び解凍ステップの後に著しい程度まで崩壊する。一実施形態では、顆粒球は、生成方法の凍結及び解凍ステップの後に著しい程度まで崩壊し、凍結及び/または解凍ステップ後の洗浄ステップ中に調製物から洗浄される。
【0094】
一実施形態では、崩壊した顆粒球は、生成方法の種々の洗浄ステップの間に細胞調製物から洗浄される。一実施形態では、組成物は、15%以下、場合により10%以下、典型的には5%以下の多形核白血球を含む。
【0095】
一実施形態では、組成物は、5%以下の多形核白血球を含む。一実施形態では、組成物は、15%以下、代替的に10%以下、典型的には5%以下のCD15high発現細胞を含む。
【0096】
一実施形態では、組成物は、5%以下のCD15high発現細胞を含む。
【0097】
当業者は、「CD15high」発現細胞という用語は顆粒球を包含し得ることを理解するであろう。
【0098】
アポトーシスの初期の特徴は、血漿膜の形態学的変化である。この変化は、細胞膜の内層から外層への膜リン脂質ホスファチジルセリン(PS)の転位を含む。カルシウムイオンの存在下で、アネキシンVは、PSに関する高い特異性及び親和性を有する。したがって、露出したPSを有する細胞へのアネキシンVの結合は、初期の細胞アポトーシスを検出するための高感度の方法を提供する。
【0099】
したがって、一実施形態では、細胞の「初期アポトーシス状態」または「初期アポトーシス細胞」は、本明細書で使用されるとき、無傷の細胞膜を依然有しているが、DNA切断を受け始め、ホスファチジルセリンの転位を受け始めている細胞集団を指す。本明細書で使用されるとき、初期アポトーシス細胞、または初期アポトーシス状態にある細胞は、アネキシンVを使用して陽性に染色され、ヨウ化プロピジウム(PI)で陰性に染色される細胞である。初期アポトーシスの検出のための方法は、例えばフローサイトメトリーによるアネキシンV陽性及びヨウ化プロピジウム(PI)陰性の初期アポトーシス細胞の検出等、当該技術分野において既知である。本明細書に開示される組成物を生成する方法の一実施形態において、照射のステップは、細胞調製物の初期アポトーシス的表現型(すなわち、%PS陽性及びPI陰性)を著しく喧嘩させない。
【0100】
一実施形態では、後期アポトーシス状態にある細胞は、フローサイトメトリーを使用して証明され得るように、アネキシンVを使用した陽性染色及びPIを使用した陽性染色によって検出され得る。PIは、非透過性膜であり、したがって、後期アポトーシスまたはネクローシス細胞等の細胞膜の無傷性が損なわれている細胞にのみ入り得ることが留意されるべきである。一実施形態では、ネクローシス細胞は、フローサイトメトリーを使用して証明され得るように、PIに関して強い染色を示す。
【0101】
いくつかの実施形態では、細胞調製物は、懸濁液中に細胞を含む。
【0102】
当業者は、細胞の「生存性」という用語は、ネクローシス、初期アポトーシス、または後期アポトーシスを受けていない細胞を包含し得ることを理解するであろう。したがって、「生存細胞」という用語は、本明細書で使用されるとき、ネクローシスを受けていない細胞、または初期もしくは後期アポトーシス状態にない細胞を指す。一実施形態では、「生存細胞」という用語は、無傷の血漿膜を有する細胞を指す。細胞生存性を決定するためのアッセイは、フローサイトメトリーによって検出され得るヨウ化プロピジウム(PI)染色の使用等、当該技術分野において既知である。したがって、一実施形態では、生存細胞は、ヨウ化プロピジウムの摂取を示さず、ホスファチジルセリンを発現しない細胞である。ネクローシスは、光学、蛍光、もしくは電子顕微鏡法技術を使用することによって、または染料トリパンブルーの取り込みを介して、さらに特定され得る。
【0103】
アポトーシスは、ネクローシスとは区別される細胞死プロセスであり、例えば、正常な細胞及び組織の発達、病原体に感染した細胞のTリンパ球殺傷、ならびに変異的に損傷した細胞の自己排除の間に生じる、プログラムされ、秩序立てられた細胞の生理学的排除である。アポトーシス細胞は、細胞質及び核における明白な形態学的変化、等間隔の部位におけるクロマチン切断、ならびにヌクレオソーム間の部位におけるゲノムDNAのエンドヌクレアーゼ的切断を特徴とする。細胞アポトーシスを決定するためのアッセイは、アネキシンVの使用等、当該技術分野において既知である。一方、ネクローシスは、限定されるものではないが、典型的には、致死的な細胞傷害後の酵素の制御されていない進行性の分解作用によって引き起こされる、細胞死の本質的に病的な前炎症性プロセスである。ネクローシス細胞は、典型的には、ミトコンドリアの膨張、核凝集、細胞溶解、膜の完全性の損失、及び最終的な細胞死を特徴とする。
【0104】
一実施形態では、細胞調製物は、少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、もしくは95%の生存細胞、または少なくとも97%の生存細胞を含む。
【0105】
追加的な実施形態では、細胞調製物中の高パーセンテージの生存細胞は、調製後、少なくとも24時間残る。一実施形態では、ネクローシス細胞及び/または後期アポトーシス状態にある細胞は、崩壊し、したがって生成方法の洗浄ステップ中に最終細胞調製物から実質的に排除される。
【0106】
本明細書に説明される一実施形態では、GVHD等の自己免疫疾患における治療免疫耐性を誘発するために、細胞調製物中の治療用単核濃縮細胞は、同種異系個体から取得される。別の実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して調製されたプールされた単核アポトーシス細胞調製物は、レシピエント対象に関してHLA適合またはHLA不適合の供給源に由来する同種異系細胞を含む。別の実施形態では、同種異系細胞は、レシピエント対象に関してHLA適合の供給源を含む。別の実施形態では、同種異系細胞は、レシピエント対象に関してHLA不適合の供給源を含む。
【0107】
一実施形態では、薬学的組成物は、プールされた細胞調製物を含み、抗凝固剤をさらに含む。
【0108】
当業者は、「プールされた細胞調製物」、「細胞調製物」、「プールされた単核アポトーシス細胞調製物」、「単核濃縮アポトーシス細胞調製物」、及び「単核アポトーシス細胞調製物」という用語は、一実施形態では、全ての同じ意味及び質を有して互換的に使用されることを理解するであろう。
【0109】
一実施形態では、薬学的組成物は、細胞調製物を含み、残留メチルプレドニゾロンをさらに含む。他の実施形態によると、薬学的組成物は、細胞調製物を含み、抗凝固剤及び残留メチルプレドニゾロンをさらに含む。一実施形態では、残留メチルプレドニゾロンは、本生成方法の使用後に組成物中に残留しているメチルプレドニゾロンを指す。
【0110】
一実施形態では、組成物は、抗凝固剤を含む。当該技術分野において知られる通り、本明細書で使用されるとき、抗凝固剤は、血液凝固を予防するまたは減少させる物質を指す。一実施形態では、抗凝固剤は、ヘパリンである。他の実施形態によると、抗凝固剤は、酸性クエン酸デキストロース(ACD)、formula Aである。一実施形態では、抗凝固剤は、ACD formula Aとヘパリンとを含む組成物である。一実施形態では、抗凝固剤は、約10U/mlの濃度でヘパリンを含有するACD formula Aである。一実施形態では、抗凝固剤は、ヘパリン、ACD Formula A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、組成物中の抗凝固剤の存在は、組成物の生成プロセスの凍結及び/またはインキュベーション及び/または洗浄段階中の抗凝固剤の添加に起因する。一実施形態では、組成物の生成中の抗凝固剤の存在は、本明細書に説明されるアポトーシス誘発に悪影響を及ぼさない。
【0111】
一実施形態では、組成物は、ヘパリンを含む。一実施形態では、ヘパリンは、硫酸化ヘテロ多糖類ヘパリン、非分画ヘパリン(UFH)、低分子量ヘパリン(LMWH)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。他の実施形態によると、ヘパリンは、限定されるものではないが、フォンダパリヌクス(Fondaparinaux)等の合成ヘパリンである。
【0112】
一実施形態では、組成物は、0.001U/ml~3U/ml、代替的に0.005U/ml~2.5U/ml、典型的には0.01U/ml~1U/mlの濃度でヘパリンを含む。他の実施形態によると、組成物は、0.001~2.5U/ml、代替的に0.001~1U/ml、場合により0.001~0.5U/mlの濃度でヘパリンを含む。
【0113】
他の実施形態によると、組成物は、0.005~1U/ml、代替的に0.005~0.6U/ml、場合により0.005~0.5U/mlの濃度でヘパリンを含む。他の実施形態によると、組成物は、0.01~3U/ml、代替的に0.01~2U/ml、または0.01~0.6U/mlの濃度でヘパリンを含む。一実施形態では、組成物は、0.01~0.5U/mlの濃度でヘパリンを含む。一実施形態では、組成物は、0.05U/ml~0.25U/mlの濃度でヘパリンを含む。特定の実施形態によると、組成物は、0.01U/ml~0.6U/mlの濃度でヘパリンを含む。
【0114】
一実施形態では、組成物は、最大3U/mlのヘパリン、典型的には最大2.5U/mlのヘパリン、場合により最大1U/mlのヘパリン、代替的に最大0.5U/mlのヘパリンを含む。一実施形態では、組成物は、少なくとも0.001U/mlのヘパリン、代替的に少なくとも0.005U/mlのヘパリン、場合により少なくとも0.01のヘパリンを含む。一実施形態では、組成物は、最大300U、代替的に最大150U、場合により最大75Uのヘパリンを含む。特定の実施形態によると、組成物は、最大180Uのヘパリンを含む。
【0115】
一実施形態では、組成物中に含まれるヘパリンは、細胞調製物と患者への細胞調製物の投与に使用される最終懸濁媒体とを含む組成物中のヘパリンを指す。一実施形態では、組成物中に含まれるACD Formula Aは、細胞調製物と患者への細胞調製物の投与に使用される最終懸濁媒体とを含む組成物中のヘパリンを指す。
【0116】
一実施形態では、組成物は、0.5~500Uのヘパリン、場合により0.5~500Uのヘパリン、代替的に7~180Uのヘパリンを含む。
【0117】
一実施形態では、組成物は、ACD Formula Aを含む。一実施形態では、ACD Formula Aは、クエン酸、デキストロース、及びクエン酸ナトリウムを含む。一実施形態では、ACD Formula Aは、0.73gr/l00mlの濃度の無水クエン酸、2.45gr/l00mlの濃度のデキストロース一水和物、及び2.20gr/l00mlの濃度のクエン酸ナトリウム二水和物を含む。
【0118】
一実施形態では、組成物は、0.01~10体積/体積、代替的に0.05~6体積/体積、場合により0.1体積/体積%~5体積/体積%の濃度でACD formula Aを含む。他の実施形態によると、組成物は、0.05~10体積/体積、場合により0.05~6体積/体積、代替的に0.05~5体積/体積の濃度でACD formula Aを含む。
【0119】
代替的実施形態によると、組成物は、0.1~10体積/体積、代替的に0.1%~6%、場合により0.1体積/体積%~5体積/体積%の濃度でACD formula Aを含む。一実施形態では、組成物は、0.5体積/体積%~2.5体積/体積%の濃度でACD formula Aを含む。特定の実施形態によると、組成物は、0.05~6体積/体積、典型的には0.1体積/体積%~6体積/体積%の濃度でACD formula Aを含む。
【0120】
一実施形態では、組成物は、最大15ml、代替的に最大9ml、場合により最大7.5mlのACD formula Aを含む。特定の実施形態によると、組成物は、最大18mlのACD formula Aを含む。
【0121】
一実施形態では、組成物は、0.05~40mlのACD formula A、場合により0.1~25mlのACD formula A、代替的に0.7~18mlのACD formula Aを含む。
【0122】
一実施形態では、組成物は、メチルプレドニゾロンをさらに含む。一実施形態では、組成物中の残留メチルプレドニゾロンの存在は、細胞調製物の生成プロセスのインキュベーション段階中のメチルプレドニゾロンの使用に起因する。一実施形態では、メチルプレドニゾロンは、細胞を初期アポトーシス状態に入るように誘発する手順の一部として、細胞調製物の生成中に使用される。
【0123】
一実施形態では、組成物は、0.5~30μg/ml、場合により1~25μg/ml、典型的には3~22μg/mlの濃度でメチルプレドニゾロンをさらに含む。一実施形態では、組成物は、3.7~21.9μg/mlの濃度でメチルプレドニゾロンを含む。
【0124】
一実施形態では、組成物は、30μg/mlを超えない濃度でメチルプレドニゾロンをさらに含む。一実施形態では、組成物は、30μg/mlを超えない、場合により25μg/mlを超えない、典型的には21.9μg/mlを超えない濃度でメチルプレドニゾロンをさらに含む。
【0125】
一実施形態では、組成物は、0.5~60μg/ml、場合により1.12~60μg/mlの濃度でメチルプレドニゾロンをさらに含む。一実施形態では、組成物は、60μg/mlを超えない濃度でメチルプレドニゾロンをさらに含む。
【0126】
一実施形態では、組成物は、少なくとも0.5μg/ml、場合により少なくとも1μg/ml、代替的に少なくとも3μg/mlのメチルプレドニゾロンを含む。一実施形態では、組成物は、少なくとも3.5μg/mlのメチルプレドニゾロンを含む。一実施形態では、組成物は、少なくとも3.7μg/mlのメチルプレドニゾロンを含む。
【0127】
一実施形態では、組成物は、0.1~25mgのメチルプレドニゾロン、場合により0.4~20mgのメチルプレドニゾロン、代替的に0.67~18mgのメチルプレドニゾロンをさらに含む。一実施形態では、組成物は、25mg、典型的には20mg、代替的に18mgを超えない量のメチルプレドニゾロンをさらに含む。特定の実施形態によると、組成物は、15mgを超えない量のメチルプレドニゾロンをさらに含む。
【0128】
一実施形態では、薬学的組成物中のヘパリンは、0.005U/ml~2.5U/mlの濃度で存在する。他の実施形態によると、薬学的組成物中のACD Formula Aは、0.01体積/体積%~10体積/体積%、代替的に0.05体積/体積%~5体積/体積%の濃度で存在する。
【0129】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、体重1kg当たり約30×10~300×10個の細胞、体重1kg当たり100×10~300×10個の細胞、体重1kg当たり代替的に約120×10~250×10個の細胞の投薬量で投与される。別の実施形態では、本明細書に開示される投薬量は、対象の体重1キログラム当たり約30×10、35×10、40×10、45×10、50×10、55×10、60×10、65×10、70×10、または75×10個の、プールされた単核アポトーシス細胞調製物に由来する細胞を含む。
【0130】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、体重1kg当たり約35×10個の細胞の投薬量で投与される。一実施形態では、薬学的組成物は、体重1kg当たり約140×10~210×10個の細胞の投薬量で投与される。実施形態によると、薬学的組成物は、体重1kg当たり約140×10個の細胞の投薬量で投与される。別の実施形態によると、薬学的組成物は、体重1kg当たり約210×10個の細胞の投薬量で投与される。別の実施形態によると、薬学的組成物は、体重1kg当たり約35×10~210×10個の細胞の投薬量で投与される。別の実施形態によると、薬学的組成物は、体重1kg当たり約250×10個の細胞の投薬量で投与される。他の実施形態では、薬学的組成物は、体重1kg当たり約5×10個の細胞の投薬量で投与される。該低投薬量は、関節炎を治療するための関節への局所注射等の本明細書に開示される組成物の局所注射に好適であることが理解されるべきである。
【0131】
一実施形態では、治療用のプールされた単核濃縮細胞調製物は、対象に、静脈内経路を介して全身に投与される。代替的に、治療用の単核濃縮細胞は、限定されるものではないが、非経口、腹腔内、関節内、筋肉内、及び皮下経路を含む種々の他の経路に従って態様に投与されてもよい。別の実施形態では、治療用の単核濃縮細胞は、対処に、限定されるものではないが、生理食塩水、PBS、HBSS等の好適な生理的緩衝液中に懸濁されて投与される。さらに、懸濁媒体は、細胞の生存性の維持を助ける補助物質をさらに含み得る。別の実施形態では、懸濁媒体は、細胞の初期アポトーシス状態の維持を助ける補助物質を含む。
【0132】
一実施形態では、本生成方法に従って取得された単核濃縮細胞組成物は、凍結媒体中で凍結を受ける。
【0133】
一実施形態では、凍結は、漸進的である。一実施形態では、収集後、細胞は、凍結されるまで室温に維持される。一実施形態では、細胞調製物は、細胞収集の後かつ凍結の前に、洗浄媒体中で少なくとも1つの洗浄ステップを受ける。
【0134】
当業者は、「細胞の取得」及び「細胞収集」という用語は、互換的に使用されることを理解するであろう。一実施形態では、細胞調製物の細胞は、収集の3~6時間以内に凍結される。一実施形態では、細胞調製物は、細胞収集の最大6時間以内に凍結される。一実施形態では、細胞調製物の細胞は、収集の1、2、3、4、5、6、7、8時間以内に凍結される。他の実施形態によると、細胞調製物の細胞は、収集の8、12、24、48、72時間以内に凍結される。他の実施形態によると、収集後、細胞は、凍結されるまで2~8℃に維持される。
【0135】
一実施形態では、本生成方法に従う凍結は、細胞調製物を約-18℃~-25℃で凍結させた後、細胞調製物を約-80℃で凍結させ、最後に細胞調製物を解凍まで液体窒素中で凍結させることを含む。一実施形態では、本生成方法に従う凍結は、細胞調製物を約-18℃~-25℃で少なくとも2時間凍結させることと、細胞調製物を約-80℃で少なくとも2時間凍結させることと、最後に細胞調製物を解凍まで液体窒素中で凍結させることとを含む。一実施形態では、細胞は、解凍前に少なくとも8、10、または12時間液体窒素中に保たれる。一実施形態では、細胞調製物の細胞は、解凍、及びアポトーシスを誘発するインキュベーション媒体によるインキュベーションまで、液体窒素中に保たれる。一実施形態では、細胞調製物の細胞は、造血幹細胞移植の日まで液体窒素中に保たれる。非限定的な例によると、細胞収集及び凍結から最終組成物の調製までの時間は、1~50日間、代替的に6~30日間であり得る。代替的実施形態によると、細胞調製物は、例えば少なくとも数カ月間等、より長期間液体窒素中に保たれてもよい。
【0136】
一実施形態では、本生成方法に従う凍結は、細胞調製物を約-18℃~-25℃で少なくとも0.5、1、2、4時間凍結させることを含む。一実施形態では、本生成方法に従う凍結は、細胞調製物を約-18℃~-25℃で約2時間凍結させることを含む。一実施形態では、本生成方法に従う凍結は、細胞調製物を約-80℃で少なくとも0.5、1、2、4、12時間凍結させることを含む。
【0137】
一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、20カ月間、凍結されたままであり得る。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、少なくとも0.5、1、2、3、4、5年間、凍結されたままであり得る。特定の実施形態によると、単核濃縮細胞組成物は、少なくとも20カ月間、凍結されたままであり得る。
【0138】
一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、少なくとも8、10、12、18、24時間凍結される。特定の実施形態によると、単核濃縮細胞組成物の凍結は、少なくとも8時間の期間である。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、少なくとも約10時間凍結される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、少なくとも約12時間凍結される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、約12時間凍結される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物の総凍結時間(約-18℃~-25℃、約-80℃、及び液体窒素中)は、少なくとも8、10、12、18、24時間である。
【0139】
一実施形態では、凍結は、単核濃縮細胞組成物の細胞において初期アポトーシス状態を少なくとも部分的に誘発する。一実施形態では、凍結媒体は、L-グルタミン、Hepes、Hes、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び血漿を含むRPMI 1640媒体を含む。一実施形態では、凍結媒体は、2mMのL-グルタミン、10mMのHepes、5%のHes、10%のジメチルスルホキシド、及び20体積/体積%の血漿を含むRPMI 1640媒体を含む。
【0140】
一実施形態では、凍結媒体は、抗凝固剤を含む。特定の実施形態によると、凍結媒体、インキュベーション媒体、及び洗浄媒体を含む、本生成方法中に使用される媒体のうちの少なくともいくつかは、抗凝固剤を含む。特定の実施形態によると、本生成方法中に使用される、抗凝固剤を含む全ての媒体は、同一濃度の抗凝固剤を含む。一実施形態では、抗凝固剤は、細胞組成物の最終懸濁媒体には添加されない。
【0141】
一実施形態では、少なくとも凍結媒体への抗凝固剤の添加は、細胞調製物の収率を改善する。他の実施形態によると、凍結媒体への抗凝固剤の添加は、高トリグリセリドレベルの存在下で細胞調製物の収率を改善する。本明細書で使用されるとき、細胞調製物の収率の改善は、凍結された細胞のうちの生存細胞のパーセンテージ、生存細胞のうちの初期状態のアポトーシス細胞のパーセンテージ、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つの改善に関する。
【0142】
一実施形態では、凍結媒体への抗凝固剤の添加は、薬学的組成物の異なる調製物間の高く安定した収率に貢献する。好ましい実施形態によると、少なくとも凍結媒体及びインキュベーション媒体への抗凝固剤の添加は、使用される細胞収集プロトコルに関わらず、薬学的組成物の異なる調製物間の高く安定した収率をもたらす。
【0143】
一実施形態では、凍結媒体は、ヘパリン、ACD Formula A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固剤を含む。一実施形態では、凍結媒体中に使用される抗凝固剤は、10U/mlの濃度でヘパリンを含有するACD Formula Aである。一実施形態では、凍結媒体は、10U/mlの濃度でヘパリンを含む5体積/体積%のACD Formula A溶液を含む。
【0144】
一実施形態では、凍結媒体は、ヘパリンを含む。一実施形態では、凍結媒体中のヘパリンは、0.1~2.5U/mlの濃度である。一実施形態では、凍結媒体中のヘパリンは、0.1~2.5U/ml、場合により0.3~0.7U/ml、典型的には約0.5U/mlの濃度である。特定の実施形態によると、凍結媒体中のヘパリンは、約0.5U/mlの濃度である。
【0145】
一実施形態では、凍結媒体は、ACD Formula Aを含む。一実施形態では、凍結媒体中のACD Formula Aは、1体積/体積%~15体積/体積%の濃度である。一実施形態では、凍結媒体中のACD Formula Aは、1体積/体積%~15体積/体積%、場合により4体積/体積%~7体積/体積%、典型的には約5体積/体積%の濃度である。一実施形態では、凍結媒体中のACD Formula Aは、約5体積/体積%の濃度である。
【0146】
一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、細胞収集の後、かつ凍結媒体中に再懸濁され、凍結される前に、少なくとも1つの洗浄ステップを受ける。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、凍結及び解凍の後に少なくとも1つの洗浄ステップを受ける。一実施形態では、洗浄ステップは、単核濃縮細胞組成物の遠心分離、その後の上清抽出、及び洗浄媒体中での再懸濁を含む。
【0147】
一実施形態では、細胞収集は、単核濃縮細胞組成物の取得を指す。一実施形態では、本生成方法中に実施される洗浄ステップは、洗浄媒体中で実施される。特定の実施形態によると、本生成方法のインキュベーションステップまでに実施される洗浄ステップは、洗浄媒体中で実施される。一実施形態では、洗浄媒体は、L-グルタミン及びHepesを補充したRPMI 1640媒体を含む。一実施形態では、洗浄媒体は、2mMのL-グルタミン及び10mMのHepesを補充したRPMI 1640媒体を含む。
【0148】
一実施形態では、洗浄媒体は、抗凝固剤を含む。一実施形態では、洗浄媒体は、ヘパリン、ACD Formula A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固剤を含む。一実施形態では、洗浄媒体中の抗凝固剤の濃度は、凍結媒体中のものと同一の濃度である。一実施形態では、洗浄媒体中の抗凝固剤の濃度は、インキュベーション媒体中のものと同一の濃度である。一実施形態では、洗浄媒体中に使用される抗凝固剤は、10U/mlの濃度でヘパリンを含有するACD Formula Aである。
【0149】
一実施形態では、洗浄媒体は、ヘパリンを含む。一実施形態では、洗浄媒体中のヘパリンは、0.1~2.5U/mlの濃度である。一実施形態では、洗浄媒体中のヘパリンは、0.1~2.5U/ml、場合により0.3~0.7U/ml、典型的には約0.5U/mlの濃度である。特定の実施形態によると、洗浄媒体中のヘパリンは、約0.5U/mlの濃度である。
【0150】
一実施形態では、洗浄媒体は、ACD Formula Aを含む。一実施形態では、洗浄媒体中のACD Formula Aは、1体積/体積%~15体積/体積%の濃度である。一実施形態では、洗浄媒体中のACD Formula Aは、1体積/体積%~15体積/体積%、場合により4体積/体積%~7体積/体積%、典型的には約5体積/体積の濃度である。一実施形態では、洗浄媒体中のACD Formula Aは、約5体積/体積%の濃度である。
【0151】
一実施形態では、プールされた単核濃縮細胞組成物は、対象への組成物の意図される投与の数時間前に解凍される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、約33℃~39℃で解凍される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、約30~240秒間、好ましくは40~180秒間、最も好ましくは50~120秒間解凍される。
【0152】
一実施形態では、プールされた単核濃縮細胞組成物は、組成物の意図される投与の少なくとも10時間前、代替的に組成物の意図される投与の少なくとも20、30、40、または50時間前に解凍される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、組成物の意図される投与の少なくとも15~24時間前に解凍される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、組成物の意図される投与の少なくとも約24時間前に解凍される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、組成物の意図される投与の少なくとも20時間前に解凍される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、組成物の意図される投与の30時間前に解凍される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、組成物の意図される投与の少なくとも24時間前に解凍される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、解凍の前及び/または後に洗浄媒体中で少なくとも1つの洗浄ステップを受ける。
【0153】
一実施形態では、プールされた単核濃縮細胞組成物は、インキュベーション媒体中でインキュベートされた後、凍結及び解凍される。一実施形態では、解凍とインキュベーションとの間に少なくとも1つの洗浄ステップが存在する。本明細書で使用されるとき、「インキュベーション媒体」及び「アポトーシスを誘発するインキュベーション媒体」という用語は、互換的に使用される。一実施形態では、インキュベーション媒体は、L-グルタミン、Hepesメチルプレドニゾロン、及び血漿を補充したRPMI 1640媒体を含む。一実施形態では、洗浄媒体は、2mMのL-グルタミン、10mMのHepes、及び10体積/体積%の血漿を含む。一実施形態では、インキュベーション媒体中の血漿は、細胞調製物の細胞が取得されるドナーと同じドナーから取得される。一実施形態では、血漿は、インキュベーションの日にインキュベーション媒体に添加される。一実施形態では、インキュベーションは、37℃で実施される。
【0154】
一実施形態では、インキュベーション媒体は、メチルプレドニゾロンを含む。一実施形態では、インキュベーション媒体内のメチルプレドニゾロンは、単核濃縮細胞組成物中の細胞が初期アポトーシス状態に入るようにさらに誘発する。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物中の細胞は、メチルプレドニゾロンの存在下で、凍結及びインキュベートの両方によって初期アポトーシス状態に入るように誘発される。一実施形態では、本生成方法は、ネクローシスの誘発を実質的に伴わずに初期アポトーシス状態の誘発を有利に可能にし、細胞は、調製後約24時間、その初期アポトーシス状態にて安定したままである。
【0155】
一実施形態では、インキュベーション媒体は、約10~100μg/mlの濃度でメチルプレドニゾロンを含む。一実施形態では、インキュベーション媒体は、約40~60μg/ml、代替的に約45~55μg/mlの濃度でメチルプレドニゾロンを含む。一実施形態では、インキュベーション媒体は、50μg/mlの濃度でメチルプレドニゾロンを含む。
【0156】
一実施形態では、インキュベーションは、約2~12時間、場合により4~8時間、典型的には約5~7時間である。一実施形態では、インキュベーションは、約6時間である。一実施形態では、インキュベーションは、少なくとも6時間である。好ましい実施形態によると、インキュベーションは、6時間である。
【0157】
一実施形態では、インキュベーション媒体は、抗凝固剤を含む。一実施形態では、インキュベーション媒体への抗凝固剤の添加は、細胞調製物の収率を改善する。一実施形態では、インキュベーション媒体中の抗凝固剤は、凍結媒体中のものと同一の濃度である。一実施形態では、インキュベーション媒体は、ヘパリン、ACD Formula A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固剤を含む。一実施形態では、インキュベーション媒体中に使用される抗凝固剤は、10U/mlの濃度でヘパリンを含有するACD Formula Aである。
【0158】
一実施形態では、インキュベーション媒体は、ヘパリンを含む。一実施形態では、インキュベーション媒体中のヘパリンは、0.1~2.5U/mlの濃度である。一実施形態では、インキュベーション媒体中のヘパリンは、0.1~2.5U/ml、場合により0.3~0.7U/ml、典型的には約0.5U/mlの濃度である。特定の実施形態によると、インキュベーション媒体中のヘパリンは、約0.5U/mlの濃度である。
【0159】
一実施形態では、インキュベーション媒体は、ACD Formula Aを含む。一実施形態では、インキュベーション媒体中のACD Formula Aは、1体積/体積%~15体積/体積%の濃度である。一実施形態では、インキュベーション媒体中のACD Formula Aは、1体積/体積%~15体積/体積%、場合により4体積/体積%~7体積/体積%、典型的には約5体積/体積%の濃度である。一実施形態では、インキュベーション媒体中のACD Formula Aは、約5体積/体積%の濃度である。
【0160】
一実施形態では、凍結媒体及びインキュベーション媒体の両方が、抗凝固剤を含む。一実施形態では、インキュベーション媒体及び凍結媒体の両方への抗凝固剤の添加は、例えば、限定されるものではないが、細胞収集中に添加される抗凝固剤のタイミング及び/または種類等の細胞収集条件に関わらず、組成物の異なる調製物間の高く安定した細胞収率をもたらす。一実施形態では、インキュベーション媒体及び凍結媒体の両方への抗凝固剤の添加は、白血球除去中に添加される抗凝固剤のタイミング及び/または種類に関わらず、細胞調製物の高く安定した収率をもたらす。
【0161】
一実施形態では、高トリグリセリドレベルを有するドナーの血液は、プールされた単核濃縮調製物から除外される。一実施形態では、「高トリグリセリドレベル」という用語は、同じ性別及び年齢の健康な対象の正常なレベルを上回るトリグリセリドレベルを指す。一実施形態では、「高トリグリセリドレベル」という用語は、約1.7ミリモル/リットルを上回るトリグリセリドレベルを指す。
【0162】
当業者は、高く安定した収率は、対象に投与されたときに治療効率を実証するであろう用量の調製物を可能にするのに十分に高い組成物の細胞収率を指すことを理解するであろう。一実施形態では、治療効率は、対象において免疫疾患、自己免疫疾患、または炎症性疾患を治療、予防、または改善する能力を指す。一実施形態では、高く安定した細胞収率は、初めに凍結された細胞のうち、少なくとも30%、場合により少なくとも40%、典型的には少なくとも50%の組成物中の細胞の細胞収率である。
【0163】
一実施形態では、インキュベーション媒体及び/または凍結媒体への抗凝固剤の添加は、ドナーの血液中のトリグリセリドレベルに関わらず、組成物中の高く安定した細胞収率をもたらす。一実施形態では、インキュベーション媒体及び/または凍結媒体への抗凝固剤の添加は、正常な、または高いトリグリセリドレベルを有するドナーの血液から取得されるとき、組成物における高く安定した細胞収率をもたらす。一実施形態では、少なくともインキュベーション媒体への抗凝固剤の添加は、ドナーの血液中のトリグリセリドレベルに関わらず、組成物における高く安定した細胞収率をもたらす。一実施形態では、凍結媒体及びインキュベーション媒体への抗凝固剤の添加は、ドナーの血液中のトリグリセリドレベルに関わらず、組成物における高く安定した細胞収率をもたらす。
【0164】
一実施形態では、凍結媒体及び/またはインキュベーション媒体及び/または洗浄媒体は、少なくとも0.1U/ml、場合により少なくとも0.3U/ml、典型的には少なくとも0.5U/mlの濃度でヘパリンを含む。一実施形態では、凍結媒体及び/またはインキュベーション媒体及び/または洗浄媒体は、少なくとも1体積/体積%、場合により少なくとも3体積/体積%、典型的には少なくとも5体積/体積%の濃度でACD Formula Aを含む。
【0165】
一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、本生成方法の各段階の間に少なくとも1つの洗浄ステップを受ける。一実施形態では、抗凝固剤は、本生成方法全体を通じて、洗浄ステップ中に洗浄媒体に添加される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、インキュベーションの後に少なくとも1つの洗浄ステップを受ける。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、PBSを使用して、インキュベーションの後に少なくとも1つの洗浄ステップを受ける。一実施形態では、抗凝固剤は、投与媒体中での細胞調製物の再懸濁の前の最終洗浄ステップへは添加されない。一実施形態では、抗凝固剤は、投与媒体中での細胞調製物の再懸濁の前の最終洗浄ステップで使用されるPBSには添加されない。特定の実施形態によると、抗凝固剤は、投与媒体には添加されない。
【0166】
一実施形態では、インキュベート中の細胞の濃度は、約5×l0細胞/mlである。
【0167】
一実施形態では、プールされた単核濃縮細胞組成物は、凍結、解凍、及びインキュベートの後に投与媒体中に懸濁され、それによって薬学的組成物をもたらす。一実施形態では、投与媒体は、好適な生理的緩衝液を含む。好適な生理的緩衝液の非限定的な例は、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(Phoshpate Buffered Saline)(PBS)、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)等である。一実施形態では、投与媒体は、PBSを含む。一実施形態では、投与媒体は、細胞の依存性の維持を助ける補助物質を含む。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、投与の前に濾過される。一実施形態では、単核濃縮細胞組成物は、少なくとも200μπιのフィルタを使用して投与の前に濾過される。
【0168】
一実施形態では、プールされた単核濃縮細胞組成物は、結果として得られる細胞調製物の最終体積が100~1000ml、場合により200~800ml、典型的には300~600mlであるように、投与媒体中に再懸濁される。
【0169】
一実施形態では、薬学的組成物を生成するための方法は、上記に説明されるプールされた単核濃縮細胞組成物を取得することをさらに含む。
【0170】
一実施形態では、本開示は、細胞調製物を提供し、該細胞調製物は、本生成方法によって生成される。一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、100%の同種異系細胞を含む。別の実施形態では、組成物は、100%未満の同種異系細胞を含む。
【0171】
一実施形態では、プールされた単核アポトーシス細胞調製物を生成するための方法の、該単核濃縮集団を不活性化することを含むステップ(f)は、該個別の集団における免疫応答を抑制もしくは排除すること、該個別の集団間の交差反応性を抑制もしくは排除すること、または該個別の集団におけるT細胞受容体活性を低減もしくは排除することを含み、該プールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む該生成される薬学的組成物は、該細胞調製物の、減少された割合の非静止非アポトーシス細胞、任意の生きた非アポトーシス細胞の抑制された細胞活性化、もしくは任意の生きた非アポトーシス細胞の低減された増殖、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0172】
一実施形態では、細胞調製物を調製する方法は、照射ステップを含む。別の実施形態では、プールされたアポトーシス細胞調製物を調製する方法は、該細胞調製物中に存在する非アポトーシス細胞の活性化または増殖を抑制することを含む。いくつかの実施形態では、該抑制は、細胞調製物を照射することを含む。
【0173】
一実施形態では、(f)該再懸濁された細胞集団中で、非静止非アポトーシス細胞の割合を減少させること、任意の生きた非アポトーシス細胞の細胞活性化を抑制すること、もしくは任意の生きた非アポトーシス細胞の増殖を低減すること、またはそれらの任意の組み合わせを含む、「不活性化する」ステップは、細胞調製物を照射するステップを含む。別の実施形態では、該単核濃縮集団の不活性化は、該単核濃縮集団を照射することを含む。別の実施形態では、照射ステップは、該調製物の投与時に、例えば、GVHD等を引き起こし得る細胞の割合を効果的に低減する。別の実施形態では、照射ステップは、照射されていない細胞調製物と比較して、非静止非アポトーシス細胞の実際の数を低減する。別の実施形態では、照射ステップは、照射されていない細胞調製物と比較して、非静止非アポトーシス細胞の割合を低減する。
【0174】
別の実施形態では、照射を含む薬学的組成物を生成するための方法は、ガンマ線照射またはUV照射を含む。別の実施形態では、照射を含む薬学的組成物を生成するための方法は、約15グレイ単位(Gy)照射を含む。別の態様では、照射は、約20グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約25グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約30グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約35グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約40グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約45グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約50グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約55グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約60グレイ単位(Gy)を含む。別の態様では、照射は、約65グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、最大2500Gyを含む。別の実施形態では、照射は、約15~25グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、約25~30グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、約30~40グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、約40~50グレイ単位(Gy)を含む。別の実施形態では、照射は、約50~65グレイ単位(Gy)を含む。
【0175】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、凍結され、次に医療センターで解凍され、対象に投与され得る。別の実施形態では、白血球除去によって収集されたプールされた単核細胞は、凍結され、使用時前に液体窒素中に保管されてもよく、そのプールされた単核細胞は、医療センターで解凍され、本明細書に説明される通り初期アポトーシスが誘発された後、対象へ投与するために細胞懸濁液組成物が調製される。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、「即時使用可能な」形態であってもよく、約2~8℃で冷蔵され、24時間以内は使用のために安定である。
【0176】
プールされた単核アポトーシス細胞調製物の使用
【0177】
一実施形態では、本開示は、免疫疾患、自己免疫疾患、サイトカイン放出症候群(CRS)、サイトカインストーム、または炎症性疾患の発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象においてそれを行う方法であって、該対象に、上記に詳細に説明されるような発生を治療、予防、改善、阻害、または低減するプールされた単核アポトーシス細胞調製物を含む薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。別の実施形態では、アポトーシス細胞は、プールされた単核アポトーシス細胞調製物の投与後に効率的に排出される。
【0178】
当業者は、「治療」または「治療する」という用語は、本明細書において上記に説明される標的とされた病理学的状態または障害を予防または軽減することを目的とする、疾患または状態の改善を含む治療的治療及び予防的(prophylactic)または予防的(preventative)尺度の両方を包含することを理解するであろう。したがって、一実施形態では、治療することは、疾患、障害、もしくは状態に関連する症状に直接影響を及ぼすか、もしくはそれらを治癒、抑制、阻害、予防すること、それらの重症度を低減すること、それらの発症を遅らせること、それらを低減すること、またはそれらの組み合わせを含み得る。したがって、一実施形態では、「治療する」は、とりわけ、進行を遅らせること、寛解を促進こと、寛解を誘発すること、寛解を増大させること、回収を速めること、代替的な治療薬の有効性を増加させることもしくはそれに対する耐性を減少させること、またはそれらの組み合わせを指す。一実施形態では、「予防する」は、とりわけ、症状の発症を遅延させること、疾患の再発を予防すること、再発エピソードの数もしくは頻度を減少させること、症候性エピソード間の潜伏期間を増加させること、またはそれらの組み合わせを指す。一実施形態では、「抑制する」または「阻害する」は、とりわけ、症状の重症度を低減すること、急性エピソードの重症度を低減すること、症状の数を低減すること、疾患関連症状の発生を低減すること、症状の潜伏期間を低減すること、症状を改善すること、二次的な症状を低減すること、二次感染を低減すること、患者の生存を延長すること、またはそれらの組み合わせを指す。
【0179】
一実施形態では、本明細書に開示される使用の方法の対象は、ヒト成人である。別の実施形態では、本明細書に開示される使用の方法の対象は、ヒト小児である。別の実施形態では、使用の方法の対象は、ヒト乳幼児である。
【0180】
一実施形態では、本明細書に開示される方法によって治療される免疫疾患は、GvHD、関節炎疾患、痛風、または炎症性腸疾患を含む群から選択される。
【0181】
一実施形態では、本明細書に開示される方法に従う濃縮されたプールされた単核細胞調製物における初期アポトーシスの誘発は、アポトーシス性の非HLA適合同種異系ドナー細胞の臨床グレード集団を提供し、それは、骨髄から取得された細胞と共に注入されたときに、移植に関連付けられる重要な因子に影響を及ぼし、血液悪性腫瘍を有する対象においてGVHDの発生を効果的に低減した。
【0182】
GvHD
【0183】
具体的には、移植後100日目で、グレードII~IVのGVHDの発生は、調製されたアポトーシスドナー細胞で治療されたHSC移植レシピエントにおいて低減され得、非再発生存率は、有意に増加された。初期アポトーシス細胞調製物の使用の詳細は、本明細書に完全に組み込まれるWO2014/087408に開示されている。
【0184】
さらに、別の実施形態では、本方法に従って調製されたアポトーシスドナー細胞の注入は、HSCの生着までの時間の低減、及びHSC移植レシピエントにおける肝毒性の発生の著しい低減に効果的である。
【0185】
一実施形態では、本開示は、HSCTを受けている対象においてGVHDの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法であって、該対象に薬学的組成物を投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、対象において不妊症を治療する方法を提供する。
【0186】
一実施形態では、本開示は、HSCTを受けている対象においてGVHDの発生を予防、改善、阻害、または低減する方法であって、該対象に薬学的組成物を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示は、HSCTを受けている対象におけるGVHDの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法であって、該対象に、本明細書において上記に詳細に説明される通り本明細書において詳細に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその薬学的組成物を含む薬学的組成物を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示は、HSCTを受けている対象においてGVHDの発生を治療、改善、阻害、または低減する、その発生を改善、阻害、または低減する方法であって、該対象に、本明細書において上記に詳細に開示される薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0187】
一実施形態では、本開示は、HSCTを受けている対象においてGVHDの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法であって、該対象に、上記に詳細に開示されるプールされた単核濃縮細胞を含む細胞調製物を含む薬学的組成物を投与することを含み、該薬学的組成物が、ヘパリン、ACD Formula A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固剤を含む、方法を提供する。
【0188】
一実施形態では、本開示は、HSCTを受けている対象においてGVHDの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法であって、該対象に、本明細書において上記に詳細に開示される通り本明細書において詳細に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその薬学的組成物を含む薬学的組成物を投与することを含み、該薬学的組成物が、ヘパリン、ACD Formula A、及びそれらの組み合わせから選択される抗凝固剤を含む、方法を提供する。
【0189】
一実施形態では、本開示は、HSCTを受けている対象においてGVHDの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法であって、該対象に、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核濃縮細胞を含む細胞調製物を含む薬学的組成物を投与することを含み、該調製物が、30μg/mlを超えない濃度でメチルプレドニゾロンを含む、方法を提供する。一実施形態では、の発生を治療、予防、改善、阻害、または低減すること。
【0190】
一実施形態では、の発生を治療、予防、改善、阻害、または低減すること、一実施形態では、本明細書において詳細に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその薬学的組成物の発生を治療、予防、改善、阻害、または低減すること。
【0191】
一実施形態では、の発生を治療、予防、改善、阻害、または低減すること、一実施形態では、の発生を治療、予防、改善、阻害、または低減すること、一実施形態では、本開示は、HSCTを受けている対象におけるGVHDの発生の治療、予防、改善、阻害、または低減の発生の治療、予防、改善、阻害、または低減における使用のための薬学的組成物を提供する。別の実施形態では、該HSCTは、同種異系HSCTを含み、該薬学的組成物は、該レシピエント対象に対してHLA適合ではない複数の同種異系ドナーから取得された細胞を含み、互いに対してHLA適合である該複数の同種異系ドナーに由来する細胞は含まない。
【0192】
一実施形態では、GVHDは、高グレードGVHDである。特定の実施形態によると、高グレードGVHDは、グレードII~IVのGVHDである。別の特定の実施形態によると、高グレードGVHDは、グレードIII~IVのGVHDである。実施形態によると、薬学的組成物は、高グレードGVHDからグレードIのGVHDへの移行を誘発する。
【0193】
別の実施形態によると、GVHDは、急性GVHDである。また別の実施形態によると、GVHDは、慢性GVHDである。別の実施形態によると、薬学的組成物を投与された対象は、移植片対腫瘍(GVTS)または移植片対白血病(GVL)効果を保持する。
【0194】
一実施形態では、GVHDは、対象の肝臓におけるGVHDである。同種異系HSCTレシピエントにおける肝機能障害は、予備レジメン及び他の薬に由来する毒性、感染、静脈閉塞性疾患(VOD)、ならびに肝臓の急性及び慢性移植片対宿主疾患(GVHD)を含む多様な因子に起因し得る。
【0195】
別の実施形態によると、薬学的組成物は、GVHDに関連付けられる肝毒性を低減する。一実施形態では、細胞調製物は、GVHDに関連付けられる肝毒性を低減する。肝毒性の一般的な症状及び合併症としては、リンパ節炎、発熱、増加された赤血球沈降速度、高ビリルビンレベル、及び発熱性好中球減少症が挙げられる。
【0196】
免疫疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、サイトカイン放出症候群(CRS)、及びサイトカインストーム
【0197】
一実施形態では、本開示は、免疫疾患または自己免疫疾患またはサイトカイン放出症候群(CRS)または炎症性疾患、またはサイトカインストームの発生の予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象においてそれを行う方法であって、該対象に、本明細書において上記に詳細に開示される細胞調製物を含む薬学的組成物を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示は、免疫疾患または自己免疫疾患またはサイトカイン放出症候群(CRS)または炎症性疾患またはサイトカインストームの発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象においてそれを行う方法であって、該対象に、本明細書において上記に詳細に説明される薬学的組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0198】
一実施形態では、本開示は、免疫疾患または自己免疫疾患またはサイトカイン放出症候群(CRS)または炎症性疾患またはサイトカインストームの発症の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象におけるその実施における使用のためのプールされた細胞調製物を提供する。一実施形態では、本開示は、免疫疾患または自己免疫疾患またはサイトカイン放出症候群(CRS)または炎症性疾患またはサイトカインストームの発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象におけるその実施における使用のための薬学的組成物を提供する。
【0199】
一実施形態では、免疫疾患は、GVHDである。一実施形態では、本開示は、GVHDの発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象におけるその実施における使用のための薬学的組成物を提供する。
【0200】
一実施形態では、本開示は、造血器悪性腫瘍の発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法であって、それを必要とする対象に薬学的組成物を投与することを含む方法を提供する。実施形態によると、対象は、造血器悪性腫瘍を罹患している。
【0201】
本明細書で使用されるとき、「造血器悪性腫瘍」という用語は、血液細胞の制御されていない異常な成長を特徴とする任意の血液細胞癌を指す。「造血器悪性腫瘍」という用語は、限定されるものではないが、白血病、骨髄異形成症候群、リンパ腫、及び多発性骨髄腫(形質細胞疾患)を含む。「白血病」という用語は、循環血液中の白血球数の対応する増加を伴うまたは伴わない身体組織中の白血球数の異常な増加を特徴とする、造血臓器の疾患(例えば、急性リンパ芽球性白血病、ALL;急性骨髄性(myelogenous)白血病、AML;慢性骨髄性白血病、CML等)を指す。「骨髄異形成症候群」という用語は、骨髄が、前白血病プロセスを示唆する定性的及び定量的変化を示すが、必ずしも急性白血病として終わるわけではない慢性経過を有する状態を指す。「リンパ腫」という用語は、BまたはTリンパ球から得られるリンパ芽球の悪性腫瘍(例えば、ホジキンリンパ腫、HL;非ホジキンリンパ腫、NHL等)を指す。「形質細胞疾患」という用語は、形質細胞増殖(例えば、多発性骨髄腫、MM;形質細胞白血病、PCL等)に起因する形質細胞増加症を指す。
【0202】
例示的な実施形態によると、該造血器悪性腫瘍は、MDS、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性(myeloid)白血病(AML)、及び慢性骨髄性白血病(CML)からなる群から選択される。
【0203】
Tリンパ球等の特定の種類のドナー血液細胞の注入はまた、移植片対白血病効果を刺激し得る。この効果は、慢性骨髄性白血病(CML)を有する患者に最も良く観察されている。CMLでは、移植後に再発した患者の75パーセントが、再び寛解に入る。急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄異形成症候群(MDS)等の他の障害に関しては、この効果はより顕著ではなく、AML及びMDSにおいては、およそ20パーセントの患者が寛解に入る。急性リンパ芽球性白血病(ALL)を有する患者に関しては、移植片対白血病効果の効果は明確ではないが、少数の患者は、少なくとも一時的にこの効果から恩恵を受けていることが報告されている。
【0204】
換言すると、プールされたドナー免疫細胞は、残留白血病細胞、リンパ腫細胞、または癌細胞を異種として認識し、それらを破壊し得る。遡及的研究は、急性または慢性GVHDを発症する患者は、GVHDを発症しない患者よりも低い疾患再発率を有することを実証している。この発見は、移植片対腫瘍効果の間接的な現れである。
【0205】
「調整処置」という用語は、放射線、免疫血清、化学療法、及び/または免疫抑制剤を含む種々の調整レジメンによる、移植前の移植レシピエントの予備的処置を指す。移植調整は、骨髄移植の前に極めて一般的である。
【0206】
当業者は、「対象」、「患者」、「レシピエント」、及び「それを必要とする対象」という用語は、互換的に使用され得、薬学的組成物の投与を必要とする対象を包含し得ることを理解するであろう。
【0207】
一実施形態では、薬学的組成物は、HSCTを受けた、または受ける予定である対象に投与される。一実施形態では、それを必要とする対象は、HSCTを受けている対象である。一実施形態では、それを必要とする対象に移植される造血幹細胞(HSC)及び薬学的組成物の細胞は、同一のドナーから取得される。
【0208】
別の実施形態によると、薬学的組成物の投与は、HSCTの最大24時間前に実行される。一実施形態では、薬学的組成物の投与は、HSCTの約24~30時間前に実行される。また別の実施形態によると、薬学的組成物の投与は、HSCTと同時に実行される。一実施形態では、薬学的組成物の投与は、HSCT後、最大15日間後実行される。追加的な実施形態によると、HSCTに使用されるHSCは、同種異系HSCである。非限定的な例によると、HSCTに使用されるHSCは、骨髄、末梢血液、または臍帯血から取得され得る。別の実施形態によると、薬学的組成物は、単一用量で投与される。
【0209】
炎症性腸疾患(IBD)は、クローン病及び潰瘍性結腸炎として示される、消化管における粘膜免疫系の異常調節を伴う慢性腸炎を特徴とする。本明細書で使用されるとき、IBDという用語は、クローン病、潰瘍性結腸炎、またはそれらの組み合わせを指す。デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)等の腸管微生物叢及び危険信号の両方を含む遺伝因子及び環境因子は全て、腸炎を誘発することが示されている。TNFa及びIFNy遮断ならびに抗IL-Ιβ戦略、ならびに抗生物質治療は、大腸炎の誘発を改善することを可能であり、固有層におけるマクロファージ及び樹状細胞の核因子カッパB(NF-κΒ)及びインフラマソーム阻害に関する役割を示唆している。
【0210】
一実施形態では、プールされたアポトーシス細胞組成物は、インビトロ及びインビボの両方でNLRP3インフラマソームを陰性調節し、造血細胞中のNLRP3インフラマソームを介して誘発される前炎症性応答を下方調節することが可能である。
【0211】
一実施形態では、本開示は、IBDの発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象においてそれを行う方法であって、該対象に薬学的組成物を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示は、IBDの発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象におけるその実施における使用のための薬学的組成物を提供する。
【0212】
一実施形態では、本開示は、IBDの発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象においてそれを行う方法であって、該対象に、本明細書に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその薬学的組成物を含み、15%以下の多形核白血球を含む薬学的組成物を投与することを含み、該薬学的組成物が、ヘパリン、ACD Formula A、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固剤を含む、方法を提供する。
【0213】
一実施形態では、本開示は、IBDの発生の治療、予防、改善、阻害、または低減を必要とする対象においてそれを行う方法であって、該対象に、本明細書に詳細に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその薬学的組成物を含む薬学的組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0214】
一実施形態では、免疫疾患の発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法は、固形臓器移植を受けている対象に本明細書に開示される組成物を投与することを含む。一実施形態では、臓器は、肺、心臓、腎臓、膵臓、肝臓、皮膚、及び小腸からなる群から選択される。別の実施形態では、固形臓器は、β細胞を含む。別の実施形態では、固形臓器は、四肢である。
【0215】
一実施形態では、薬学的組成物の投与は、該移植の最大24時間前に実行される。別の実施形態では、薬学的組成物の投与は、移植と同時に実行される。また別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、該移植の15日間後まで投与される。別の実施形態では、投与は、単回投与を含む。また別の実施形態では、投与は、本明細書に開示される組成物による反復投薬を含む。別の実施形態では、反復投薬は、増加された効果を示す。
【0216】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物の投与に対する免疫原性応答が、モニタリングされる。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物の投与は、例えば、投与及び該対象の治療に悪影響を及ぼす抗体が生成される等の負の免疫応答に応答して中断される。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物の投与に対する免疫応答は、中和抗体に関してモニタリングされる。
【0217】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物で治療される炎症性疾患は、関節炎である。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物で治療される炎症性疾患は、痛風である。また別の実施形態では、炎症性疾患は、炎症性腸疾患である。
【0218】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物で治療される炎症性腸疾患は、クローン病、潰瘍性結腸炎、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0219】
サイトカインストーム及びサイトカイン放出症候群
【0220】
一実施形態では、本明細書に説明される方法は、本明細書において詳細に説明されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物を提供して、対象において生じ得る毒性サイトカイン放出または「サイトカイン放出症候群」(CRS)または「重度のサイトカイン放出症候群」(sCRS)または「サイトカインストーム」を減少させることを含む。別の実施形態では、CRS、sCRS、またはサイトカインストームは、免疫細胞の投与の結果として生じる。別の実施形態では、CRS、sCRS、またはサイトカインストームは、免疫細胞とは別の刺激、状態、または症候群の結果である(下記参照)。別の実施形態では、サイトカインストーム、サイトカインカスケード、または高サイトカイン血症は、サイトカイン放出症候群のより重度の形態である。
【0221】
当業者は、毒性サイトカイン放出または毒性サイトカインレベルの減少は、対象における毒性サイトカインレベルの生成を減少もしくは阻害すること、または対象におけるサイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームの発生を阻害もしくは低減することを含むことを理解するであろう。別の実施形態では、毒性サイトカインレベルは、CRSまたはサイトカインストーム中に低減される。別の実施形態では、毒性サイトカインレベルの生成の減少または阻害は、CRSまたはサイトカインストームを治療することを含む。別の実施形態では、毒性サイトカインレベルの生成の減少または阻害は、CRSまたはサイトカインストームを予防することを含む。別の実施形態では、毒性サイトカインレベルの生成の減少または阻害は、CRSまたはサイトカインストームを緩和することを含む。別の実施形態では、毒性サイトカインレベルの生成の減少または阻害は、CRSまたはサイトカインストームを改善することを含む。別の実施形態では、毒性サイトカインは、前炎症性サイトカインを含む。別の実施形態では、前炎症性サイトカインは、IL-6を含む。別の実施形態では、前炎症性サイトカインは、IL-1βを含む。別の実施形態では、前炎症性サイトカインは、TNF-αを含む。別の実施形態では、前炎症性サイトカインは、IL-6、IL-1β、もしくはTNF-α、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0222】
一実施形態では、サイトカイン放出症候群は、いくつかの炎症性サイトカインの上昇したレベル、ならびに低血圧、高熱、及び震え等の対象における有害な身体的反応を特徴とする。別の実施形態では、炎症性サイトカインは、IL-6、IL-1β、及びTNF-αを含む。別の実施形態では、CRSは、IL-6、IL-1β、もしくはTNF-α、またはそれらの任意の組み合わせの上昇したレベルを特徴とする。別の実施形態では、CRSは、IL-8、もしくはIL-13、またはそれらの任意の組み合わせの上昇したレベルを特徴とする。別の実施形態では、サイトカインストームは、TNF-α、IFN-γ、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-8、IL-10、IL-13、GM-CSF、IL-5、フラックタルカイン(fracktalkine)、またはそれらの組み合わせもしくはそれらのサブセットの増加を特徴とする。また別の実施形態では、IL-6は、CRSまたはサイトカインストームのマーカーを含む。別の実施形態では、IFN-γは、CRSまたはサイトカインストームのマーカーを含む。別の実施形態では、より大きい腫瘍負荷を有する患者は、サイトカイン放出症候群のより高い発生及び重症度を有する。
【0223】
別の実施形態では、ヒト及びマウスにおけるCRSまたはサイトカインストームにおいて増加されるサイトカインは、下記の表1及び2に列挙されるサイトカインの任意の組み合わせを含み得る。
【0224】
【表1】
【0225】
一実施形態では、表1のサイトカインFlt-3L、フラクタルカイン、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-2、IL-2Rα、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、及びIL-13は、CRSまたはサイトカインストームにおいて顕著であると見なされる別の実施形態では、表1のIFN-α、IFN-β、IL-1、及びIL-1Rαは、CRSまたはサイトカインストームにおいて重要であると考えられる。別の実施形態では、M-CSFは、未知の重要性を有する。別の実施形態では、表1に列挙される任意のサイトカイン、またはそれらの組み合わせは、CRSまたはサイトカインストームのマーカーとして使用され得る。
【0226】
【表2】
【0227】
一実施形態では、表2のIL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-22、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、及びTNF-αは、CRSまたはサイトカインストームにおいて顕著であると見なされる。別の実施形態では、表2のIL-27、MCP-3、PGE2、RANTES、TGF-β、TNF-αR1、及びMIGは、CRSまたはサイトカインストームにおいて重要であると考えられる。別の実施形態では、IL-23及びIL-25は、未知の重要性を有する。別の実施形態では、表2に列挙される任意のサイトカイン、またはそれらの組み合わせは、CRSまたはサイトカインストームのマーカーとして使用され得る。
【0228】
当業者は、「サイトカイン」という用語は、サイトカイン(例えば、インターフェロンγ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍ネクローシス因子α)、ケモカイン(例えば、MIP 1α、MIP 1β、RANTES)、ならびに活性酸素種及び酸化窒素等の他の好適な炎症メディエーターを包含し得ることを理解するであろう。
【0229】
一実施形態では、特定のサイトカインの増加された放出は、顕著であるか、重要であるか、未知の重要性を有しているかに関わらず、その特定のサイトカインがサイトカインストームの一部であることを先験的に意味するものではない。一実施形態では、少なくとも1つのサイトカインの増加は、サイトカインストームまたはCRSの結果ではない。別の実施形態では、CAR T細胞は、増加したレベルの特定のサイトカインまたはサイトカイン群の供給源であり得る。
【0230】
別の実施形態では、サイトカイン放出症候群は、以下の症状のうちの任意のものまたは全てを特徴とする:悪寒を伴うまたは伴わない発熱、不快感、倦怠感、食欲不振、筋肉痛、関節痛、吐き気、嘔吐、頭痛、皮膚発疹、吐き気、嘔吐、下痢、多呼吸、低酸素血症、心管性頻脈(Cardiovascular Tachycardia)、脈圧拡大、低血圧、増加した心拍出量(初期)、潜在的に減退した心拍出量(後期)、上昇したD二量体、出血を伴うまたは伴わない低フィブリノゲン血症、高窒素血漿、肝臓高トランスアミナーゼ血症(Hepatic Transaminitis)、高ビリルビン血症、頭痛、精神状態の変化、混乱、せん妄、喚語困難または明らかな失語、幻覚、振戦、ディスメトリア、歩行変動、発作。別の実施形態では、サイトカインストームは、IL-2放出及びリンパ増殖を特徴とする。別の実施形態では、サイトカインストームは、CAR T細胞によって放出されるサイトカインの増加を特徴とする。別の実施形態では、サイトカインストームは、CAR T細胞以外の細胞によって放出されるサイトカインの増加を特徴とする。
【0231】
別の実施形態では、サイトカインストームは、心機能障害、成人呼吸促迫症候群、神経毒性、腎及び/または肝不全、ならびに播種性血管内凝固を含む、生命に関わり得る合併症につながる。
【0232】
当業者は、サイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームの特徴は、CRSまたはサイトカインストームの要因の数日~数週間後に生じると推定されることを理解するであろう。一実施形態では、CAR T細胞は、CRSまたはサイトカインストームの要因である。別の実施形態では、CRSまたはサイトカインストームの要因は、CAR T細胞ではない。
【0233】
一実施形態では、サイトカインストームの指標としてのサイトカインレベルまたは濃度の測定は、サイトカインレベルまたは濃度の倍増加、パーセント(%)増加、純増加、または変化率として表され得る。別の実施形態では、特定のレベルまたは濃度を上回る絶対サイトカインレベルまたは濃度は、サイトカインストームを受けているか、またはサイトカインストームを経験しようとしている対象の兆候であり得る。別の実施形態では、例えば、CAR-T細胞療法を受けていない対照対象において正常に見られるレベルまたは濃度等、特定のレベルまたは濃度の絶対サイトカインレベルまたは濃度は、CAR T細胞を受けている対象におけるサイトカインストームの発生を阻害または低減するための方法の兆候であり得る。
【0234】
当業者は、「サイトカインレベル」という用語は、濃度の尺度、倍変化の尺度、パーセント(%)変化の尺度、または速度変化の尺度を包含し得ることを理解するであろう。さらに、血液、唾液、血清、尿、及び血漿中のサイトカインを測定するための方法は、当該技術分野において周知である。
【0235】
一実施形態では、サイトカインストームはいくつかの炎症性サイトカインの上昇に関連付けられるという認識にも関わらず、IL-6レベルは、サイトカインストームの一般的尺度及び/またはサイトカインストームの治療の効果の一般的尺度として使用され得る。当業者は、他のサイトカインがサイトカインストームのマーカーとして使用されてもよく、例えば、TNF-α、IB-1α、IL-6、IL-8、IL-13、もしくはINF-γ、または任意の上記の組み合わせのいずれかが、CRSまたはサイトカインストームのマーカーとして使用されてもよいことを理解するであろう。さらに、このサイトカインを測定するためのアッセイ方法は、当該技術分野において周知である。当業者は、サイトカインストームに影響を及ぼす方法は、同様にサイトカイン放出症候群(CRS)に影響を及ぼし得ることを理解するであろう。
【0236】
一実施形態では、サイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを経験している対象においてサイトカイン生成を減少させるまたは阻害する方法が本明細書に開示される。別の実施形態では、サイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを経験しやすい対象においてサイトカイン生成を減少させるまたは阻害する方法が本明細書に開示される。別の実施形態では、サイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを経験している対象においてサイトカイン生成を減少させるまたは阻害する方法であって、表1及び/または2に列挙される任意のサイトカインまたはサイトカイン群の生成が減少または阻害される方法が、本明細書に開示される。別の実施形態では、サイトカインIL-6生成が、減少または阻害される。別の実施形態では、サイトカインIL-β1生成が、減少または阻害される。別の実施形態では、サイトカインIL-8生成が、減少または阻害される。別の実施形態では、サイトカインIL-13生成が、減少または阻害される。別の実施形態では、サイトカインTNF-α生成が、減少または阻害される。別の実施形態では、サイトカインIL-6生成、IL-1β生成、もしくはTNF-α生成、またはそれらの任意の組み合わせが、減少または阻害される。
【0237】
一実施形態では、サイトカイン放出症候群は、等級付けられる。別の実施形態では、グレード1は、症状は致命的ではなく、例えば、発熱、吐き気、倦怠感、頭痛、筋肉痛、不快感等の対症治療のみを必要とするサイトカイン放出症候群を説明する。別の実施形態では、グレード2の症状は、酸素、低血圧用の流体または昇圧剤等の中程度の介入を必要とし、それに応答する。別の実施形態では、グレード3の症状は、積極的な介入を必要とし、それに応答する。別の実施形態では、グレード4の症状は、致命的な症状であり、人工呼吸器を必要とし、患者は臓器毒性を示す。
【0238】
別の実施形態では、サイトカインストームは、IL-6及びインターフェロンγの放出を特徴とする。別の実施形態では、サイトカインストームは、IL-6の放出を特徴とする。別の実施形態では、サイトカインストームは、インターフェロンγの放出を特徴とする。別の実施形態では、サイトカインストームは、表1及び2に列挙される任意のサイトカインまたはそれらの組み合わせの放出を特徴とする。別の実施形態では、サイトカインストームは、当該技術分野において既知である任意のサイトカインまたはそれらの組み合わせの放出を特徴とする。
【0239】
一実施形態では、症状の発症は、注入開始の数分~数時間後に開始する。別の実施形態では、症状は、ピークサイトカインレベルと同時に生じる。
【0240】
一実施形態では、CAR T細胞癌療法を受けている対象においてサイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームの発生を阻害または低減する方法は、本明細書に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその薬学的組成物を投与することを含む。
【0241】
一実施形態では、CAR T細胞癌療法を受けている対象においてサイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法は、CAR T細胞療法の有効性に影響を及ぼさない。別の実施形態では、CAR T細胞癌療法を受けている対象においてCRSまたはサイトカインストームの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法は、CAR T細胞療法の有効性を約5%超は低減しない。別の実施形態では、CAR T細胞癌療法を受けている対象においてCRSまたはサイトカインストームの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法は、CAR T細胞療法の有効性を約10%超は低減しない。別の実施形態では、CAR T細胞癌療法を受けている対象においてCRSまたはサイトカインストームの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法は、CAR T細胞療法の有効性を約15%超は低減しない。別の実施形態では、CAR T細胞癌療法を受けている対象においてCRSまたはサイトカインストームの発生を治療、予防、改善、阻害、または低減する方法は、CAR T細胞療法の有効性を約20%超は低減しない。
【0242】
CARを発現するように修飾された免疫細胞の活性が実質的に変化しないままであるかを決定するために、細胞毒性を定量化する任意の適切な方法が使用され得る。例えば、細胞毒性は、実施例に説明される細胞毒性アッセイ等の細胞培養に基づいたアッセイを使用して定量化され得る。細胞毒性アッセイは、死滅した細胞のDNAを選択的に染色する染料を用い得る。他の場合では、細胞集団内の生きた細胞及び死滅した細胞の相対数を測定する蛍光及び発光アッセイが、使用され得る。かかるアッセイに関して、プロテアーゼ活性は、細胞の生存性及び細胞の毒性に関するマーカーとして働き、標識された細胞透過性ペプチドは、サンプル中の生存細胞の数に比例する蛍光信号を生み出す。種々の細胞毒性アッセイ用のキットが、Promega and Life Technologies等の製造者から市販されている。別の実施形態では、細胞毒性の尺度は、定性的であり得る。別の実施形態では、細胞毒性の尺度は、定量的であり得る。さらなる実施形態では、細胞毒性の尺度は、細胞毒性サイトカインの発現の変化に関連し得る。
【0243】
CAR T細胞療法に関連付けられるサイトカイン放出
【0244】
一実施形態では、サイトカイン放出は、CAR T細胞療法等の免疫療法の投与の数日間~2週間後に発生する。一実施形態では、低血圧及び他の症状が、サイトカイン放出後に、すなわち数日間~数週間後に続く。したがって、一実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、予防薬として免疫療法と同時に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~3日間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の7日間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の10日間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の14日間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~14日間後に対象に投与される。
【0245】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、免疫療法の投与の2~3時間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の7時間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の10時間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の14時間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~14時間後に対象に投与される。
【0246】
代替的実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、予防薬として免疫療法の前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の1日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~3日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の7日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の10日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の14日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~14日間前に対象に投与される。
【0247】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、免疫療法の投与の2~3時間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の7時間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の10時間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の14時間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~14時間前に対象に投与される。
【0248】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、サイトカイン放出症候群が生じた後に治療的に投与され得る。一実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、サイトカイン放出症候群の開始につながるか、またはそれを立証するサイトカイン放出が検出された後に、投与され得る。一実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、増加したサイトカインレベル、またはサイトカイン放出症候群を終わらせ、その後遺症を回避し得る。
【0249】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、複数の時点で治療的に投与され得る。別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物の投与は、本明細書に説明される少なくとも2つの時点における。別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物の投与は、本明細書に説明される少なくとも3つの時点における。別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物の投与は、CRSまたはサイトカインストームの前、及びサイトカイン放出症候群が生じた後、ならびにそれらの任意の組み合わせである。
【0250】
一実施形態では、キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR T細胞)療法と、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物とは、一緒に投与される。別の実施形態では、CAR T細胞療法は、アポトーシス細胞療法または上清の後に投与される。別の実施形態では、CAR T細胞療法は、アポトーシス細胞療法または上清の前に投与される。この態様によると、一実施形態では、アポトーシス細胞療法または上清は、CAR T細胞療法のおよそ2~3週間後に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞療法または上清は、CAR T細胞療法のおよそ6~7週間後に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞療法または上清は、CAR T細胞療法のおよそ9週間後に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞療法は、CAR T細胞療法の最大数カ月間後に投与される。
【0251】
したがって、一実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、予防薬として免疫療法と同時に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~3日間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の7日間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の10日間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の14日間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~14日間後に対象に投与される。
【0252】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、免疫療法の投与の2~3時間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の7時間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の10時間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の14時間後に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~14時間後に対象に投与される。
【0253】
代替的実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、予防薬として免疫療法の前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の1日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~3日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の7日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の10日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の14日間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~14日間前に対象に投与される。
【0254】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、免疫療法の投与の2~3時間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の7時間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の10時間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の14時間前に対象に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、免疫療法の投与の2~14時間前に対象に投与される。
【0255】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、サイトカイン放出症候群が生じた後に治療的に投与され得る。一実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、サイトカイン放出症候群の開始につながるか、またはそれを立証するサイトカイン放出が検出された後に、投与され得る。一実施形態では、アポトーシス細胞または上清は、増加したサイトカインレベル、またはサイトカイン放出症候群を終わらせ、その後遺症を回避し得る。
【0256】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、複数の時点で治療的に投与され得る。別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物の投与は、本明細書に説明される少なくとも2つの時点における。別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物の投与は、本明細書に説明される少なくとも3つの時点における。別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物の投与は、CRSまたはサイトカインストームの前、及びサイトカイン放出症候群が生じた後、ならびにそれらの任意の組み合わせである。
【0257】
一実施形態では、キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR T細胞)療法と、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物とは、一緒に投与される。別の実施形態では、CAR T細胞療法は、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物の後に投与される。別の実施形態では、CAR T細胞療法は、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物の前に投与される。この態様によると、一実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、CAR T細胞療法のおよそ2~3週間後に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞療法または上清は、CAR T細胞療法のおよそ6~7週間後に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞療法または上清は、CAR T細胞療法のおよそ9週間後に投与される。別の実施形態では、アポトーシス細胞療法は、CAR T細胞療法の最大数カ月間後に投与される。
【0258】
一実施形態では、CAR T細胞は、対象に対して異種である。一実施形態では、CAR T細胞は、1人以上のドナーから取得される。一実施形態では、CAR T細胞は、1人以上の骨髄ドナーから取得される。別の実施形態では、CAR T細胞は、1つ以上の血液バンク寄付から取得される。一実施形態では、ドナーは、適合ドナーである。一実施形態では、CAR T細胞は、普遍的な同種異系CAR T細胞である。別の実施形態では、CAR T細胞は、同系CAR T細胞である。別の実施形態では、CAR T細胞は、不適合の第三者ドナーに由来する。別の実施形態では、CAR T細胞は、プールされた第三者ドナーのT細胞に由来する。一実施形態では、ドナーは、骨髄ドナーである。別の実施形態では、ドナーは、血液バンクドナーである。一実施形態では、本明細書に開示される組成物及び方法のCAR T細胞は、1つ以上のMHC非制限的腫瘍指向性キメラ受容体を含む。一実施形態では、非自己T細胞は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0156794号に説明されるもの等の、自己免疫反応を予防または最小化するような当該技術分野において既知であるプロトコルに従って、操作または投与され得る。
【0259】
別の実施形態では、CAR T細胞は、対象に対して自己由来である。一実施形態では、患者自身の細胞が使用される。この実施形態では、患者自身の細胞が使用される場合、CAR T細胞療法は、プールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物の後に投与される。
【0260】
一実施形態では、調製物は、例えば、患者の身体の特定の領域への直接的な調製物の注射を介して、全身的な様式というよりもむしろ局所的に投与される。別の実施形態では、特定の領域は、腫瘍または癌を含む。
【0261】
特定の実施形態では、CAR T細胞療法は、CAR T細胞とプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物とを含む本明細書に開示される組成物を投与することを含む。
【0262】
非CAR T細胞用途に関連付けられるサイトカイン放出
【0263】
一実施形態では、サイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを経験しているか、またはサイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを発症しやすい対象において、サイトカイン生成を減少させる阻害する方法であって、該対象に、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物を含む組成物を投与するステップを含み、該投与が、該対象におけるサイトカイン生成を減少させるまたは阻害する方法が、本明細書に開示される。別の実施形態では、サイトカイン生成の減少または阻害は、サイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを経験しているか、またはサイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを発症しやすく、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物を投与されていない対象と比較される。別の実施形態では、サイトカイン生成を減少させるまたは阻害する方法は、前炎症性サイトカインの生成を減少させるまたは阻害する。別の実施形態では、サイトカイン生成を減少させるまたは阻害する方法は、少なくとも1つの前炎症性サイトカインの生成を減少させるまたは阻害する。別の実施形態では、サイトカイン生成を減少させるまたは阻害する方法は、少なくともサイトカインIL-6の生成を減少させるまたは阻害する。別の実施形態では、サイトカイン生成を減少させるまたは阻害する方法は、少なくともサイトカインIL-1βの生成を減少させるまたは阻害する。別の実施形態では、サイトカイン生成を減少させるまたは阻害する方法は、少なくともサイトカインTNF-αの生成を減少させるまたは阻害する。別の実施形態では、本明細書に開示されるサイトカイン生成を減少させるまたは阻害するための方法は、該対象において、サイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを経験しているか、またはサイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを発症しやすく、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物を投与されていない対象と比較してサイトカインIL-6、IL-1β、もしくはTNF-α、または任意の組み合わせの生成の低減または阻害をもたらす。
【0264】
癌または腫瘍もまた、前炎症性サイトカインを含むサイトカインの絶対レベルに影響を及ぼし得る。対象における腫瘍負荷のレベルは、サイトカインレベル、特にpro0炎症性サイトカインに影響を及ぼし得る。当業者は、「減少させるまたは阻害する」という語句またはその文法的変異形は、サイトカイン生成の倍減少もしくは阻害、またはサイトカイン生成の純減少もしくは阻害、またはパーセント(%)減少もしくは阻害を含み得るか、あるいはサイトカイン生成の減少または阻害の変化率を包含し得ることを理解するであろう。
【0265】
別の実施形態では、サイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを経験しているか、またはサイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを発症しやすい対象においてサイトカイン生成を減少または阻害する方法であって、該対象に、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物を投与するステップを含む方法が、本明細書に開示される。
【0266】
別の実施形態では、サイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを経験しているか、またはサイトカイン放出症候群もしくはサイトカインストームを発症しやすい対象においてサイトカイン生成を減少または阻害する方法であって、該対象に、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物を投与するステップを含む方法が、本明細書に開示される。
【0267】
一実施形態では、感染が、対象においてサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを引き起こす。一実施形態では、感染は、インフルエンザ感染である。一実施形態では、インフルエンザ感染は、H1N1である。別の実施形態では、インフルエンザ感染は、H5N1鳥インフルエンザである。別の実施形態では、感染は、重症急性呼吸器症候群(SARS)である。別の実施形態では、対象は、エプスタイン・バーウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(HLH)を有する。別の実施形態では、感染は、敗血症である。一実施形態では、敗血症は、グラム陰性である。別の実施形態では、感染は、マラリアである。別の実施形態では、感染は、エボラウイルス感染である。別の実施形態では、感染は、天然痘ウイルスである。別の実施形態では、感染は、全身性グラム陰性細菌感染である。別の実施形態では、感染は、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー症候群である。
【0268】
一実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)である。別の実施形態では、HLHは、散発性HLHである。別の実施形態では、HLHは、マクロファージ活性化症候群(MAS)である。別の実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、MASである。
【0269】
一実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、慢性関節炎である。別の実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、スチル病としても知られる全身性若年性特発性関節炎(sJIA)である。
【0270】
一実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)である。別の実施形態では、CAPSは、家族性寒冷蕁麻疹症(FCU)としても知られる家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS)を含む。別の実施形態では、CAPSは、マックル・ウェルズ症候群(MWS)を含む。別の実施形態では、CAPSは、慢性幼児神経学的皮膚及び関節(CINCA)症候群を含む。また別の実施形態では、CAPSは、FCAS、FCU、MWS、もしくはCINCA症候群、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、FCASである。別の実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、FCUである。別の実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、MWSである。別の実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、CINCA症候群である。また別の実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、FCAS、FCU、MWS、もしくはCINCA症候群、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0271】
別の実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、CIASI遺伝子としても知られるNLRP3遺伝子内に遺伝性またはデノボ機能獲得型変異を含むクライオピリノパチー(cryopyrinopathy)である。
【0272】
一実施形態では、対象におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの原因は、遺伝性自己炎症性障害である。
【0273】
一実施形態では、炎症性サイトカインの放出の要因は、リポ多糖(LPS)、グラム陽性毒素、真菌毒素、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)、またはRIG-1遺伝子発現の変調である。
【0274】
別の実施形態では、サイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを経験している対象は、感染性疾患を有さない。一実施形態では、対象は、急性膵炎を有する。別の実施形態では、対象は組織傷害を有し、それは一実施形態では、重度の火傷または外傷である。別の実施形態では、対象は、急性呼吸促迫症候群を有する。別の実施形態では、対象は、薬剤の使用に続発するサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを有する。別の実施形態では、対象は、毒素吸入に続発するサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを有する。
【0275】
別の実施形態では、対象は、免疫療法の受容に続発するサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを有し、該免疫療法は、一実施形態では、超作動性CD28特異性モノクローナル抗体(CD28SA)による免疫療法である。一実施形態では、CD28SAは、TGN1412である。別の実施形態では、免疫療法は、CAR T細胞療法である。別の実施形態では、免疫療法は、樹状細胞療法である。
【0276】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、薬学的組成物の投与の結果としてもたらされるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを制御するために使用され得る。
【0277】
別の実施形態では、本明細書において上記に詳細に開示されるプールされた単核アポトーシス細胞調製物またはその組成物は、抗体の投与の結果としてもたらされるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを制御するために使用され得る。一実施形態では、抗体は、モノクローナルである。別の実施形態では、抗体は、ポリクローナルである。一実施形態では、抗体は、リツキシマブである。別の実施形態では、抗体は、Orthoclone OKT3(ムロモナブ-CD3)である。別の実施形態では、抗体は、アレムツズマブ、トシツズマブ(tosituzumab)、CP-870,893、LO-CD2a/BTI-322、またはTGN1412である。
【0278】
別の実施形態では、炎症性サイトカイン生成の制御が有益であり得る疾患の例としては、癌、アレルギー、任意の種類の感染、毒素性ショック症候群、敗血症、任意の種類の自己免疫疾患、関節炎、クローン病、狼瘡、乾癬、または顕著な特徴が対象において有害効果を引き起こす毒性サイトカイン放出である任意の他の疾患が挙げられる。
【0279】
以下の実施例は、実施形態をより完全に例証するために提示される。しかしながら、それらは決して、広い範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【実施例0280】
実施例1:単一供給源初期アポトーシス細胞の生成
【0281】
同胞HLA適合ドナーに由来する単核濃縮細胞画分から生成されたアポトーシス細胞を含有する初期アポトーシス細胞生成物は、WO2014/087408に詳細に説明されており、例えば、実施例の章を参照されたく、このWO2014/087408出願は本明細書に完全に組み込まれる。ドナーの適格性基準は、以下のものを含んだ:成人男性または女性ドナー、18~65歳;ドナー及びレシピエントは、HLA A、B、C、及びDR遺伝子座において少なくとも7/8HLA適合を有していなくてはならない;40kg超;HSCTの提供に加えて、初期アポトーシス細胞の生産のために造血血液単核細胞を提供する意思。適格ドナーは、地域のSOPに従って白血球除去手順(Cobe(登録商標)SpectraTM,Gambro BCT,Lakewood,CO,USA)を使用して末梢血液単核細胞を採取するために、およそ-19日目に診療所を再来した。
【0282】
およそ2.5時間の白血球除去中に、7Lの血液を処理し、単核細胞を、室温で移送用パック内に収集した。ドナーからの濃縮単核細胞画分の推定収率は、推定体積100~140ml中1.0×1010個の細胞であった。白血球除去から得られた細胞収集中の単核細胞画分の平均パーセンテージは、88±8%(65~96%の範囲)であった。細胞収率は、ドナーの変動性に応じて変動した。
【0283】
HLA適合ドナーに由来する収集した単核濃縮細胞画分を、細胞の凍結及び解凍、その後のメチルプレドニゾロンによるインキュベーション(詳細は下記)を含む多段階手順を通じて初期アポトーシスを誘発するための一連のプロセスに供した。初期アポトーシス最終細胞懸濁液は、少なくとも40%の初期アポトーシス細胞を含有した。注入用の細胞懸濁液を、現行の良好製造手順(cGMP)下で製造した。注入は、HSCTの24~30時間前かつ調製の完了の8時間以内に実施した。細胞は、投与するまで2~8℃で保管した。
【0284】
メチルプレドニゾロンによるインキュベーション
【0285】
初期アポトーシス細胞生成物の調製中、濃縮単核細胞画分を、50μg/mLのメチルプレドニゾロンを含むアポトーシス誘発媒体中で6時間インキュベートした。アポトーシス誘発の終了時に、細胞を洗浄し、PBS中に再懸濁させた。品質制御サンプルの収集後の初期アポトーシス細胞生成物の最終体積は、300mlであった。初期アポトーシス細胞最終生成物の上清中のメチルプレドニゾロンの残留量は、3回の実行から調製した最終生成物において決定した。メチルプレドニゾロンレベルを、逆相液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定した。アッセイは、Spectrolab Analytical Laboratory,Rehovot,Israelによって適格であると見なされ、実施された。初期アポトーシス細胞最終生成物中の残留メチルプレドニゾロンのレベルは、下記の表3に提示される。
【0286】
【表3】
【0287】
最終生成物中の残留メチルプレドニゾロン濃度の範囲は、初期アポトーシス細胞生成物の最低細胞用量において3.7mg/L、最高細胞用量において21.9mg/Lであった。最終用量中の総メチルプレドニゾロンの範囲は、初期アポトーシス性の用量に相関して1.11~6.57mgであった。結果は、最高コホートを含む初期アポトーシス細胞生成物中に存在するメチルプレドニゾロンの量は、骨髄移植中に一般的な治療プロトコルの一部として患者が受けるメチルプレドニゾロンの用量に対してごく僅かであることを実証した。
【0288】
製造プロセスの説明
【0289】
健全な適格ドナーからの濃縮単核細胞画分及び血漿の収集を、アフェレーシス機及び滅菌した使い捨てキットを介して、アフェレーシスセンターにて実施した。細胞を細胞収集バッグに、及び自己血漿を血漿収集バッグに収集した。ドナーからの濃縮単核細胞画分の推定収率は、250~350mL中におよそ1.5×1010個の細胞であると期待された。アフェレーシス中、およそ400~600mLのドナー自己血漿も収集した。収集した細胞及び血漿は、さらなる処理まで室温で保管し、収集の完了から平均3~6時間以内に冷凍保存用に調製する。
【0290】
凍結手順:
【0291】
細胞:
【0292】
凍結媒体をバッグ内に調製し、凍結手順をcGMP条件下でクローズドシステムにて実施した。
【0293】
細胞凍結用の媒体をアフェレーシスの日に新鮮に調製し、それは事前に予冷され、以下の配合で構成された:
【0294】
ミックス1:pH7.4の注射用プラズマライトA(PlasmaLyte A)、5%のヒト血清アルブミン、及び10U/mlのヘパリンを植菌した5%の抗凝固剤クエン酸デキストロース(ACD)formula A溶液。
【0295】
ミックス2:pH7.4の注射用プラズマライトA、10%のDMSO、及び10U/mlのヘパリンを植菌した5%のACD formula A溶液。
【0296】
白血球除去手順の完了後、細胞を、10U/mlのヘパリンを植菌した5%のACD formula A溶液を補充した、予冷したpH7.4の注射用プラズマライトAで洗浄した。洗浄後、上清を除去し、ミックス1を用いて細胞ペレットを再懸濁させた。次に、細胞を計数し、生存性を分析した。
【0297】
【表4】
【0298】
細胞計数に従って、収集した細胞の総数を算出した。細胞凍結バッグの数を、50~65×10細胞/mlの濃度に従って決定した。次に、ミックス1を、最終凍結体積の50%の体積まで細胞にさらに添加する。次に、細胞を凍結バッグに移し、ミックス2を、最終凍結体積の50%の体積まで各バッグに添加した。
【0299】
各凍結バッグを、予冷した凍結カセット内に配置し、-18-(-25)°Cの冷凍庫に2時間移した。-18-(-25)℃にて2時間の後、カセットを-80℃の冷凍庫にさらに2時間移した。-80℃にて2時間の後、カセットを、製造用に必要となるまで長期の保管のために液体窒素冷凍庫に移した。
【0300】
血漿:
【0301】
血漿を、50mlのアリコートに分割し、150mlの移送用パック容器(「血漿凍結バッグ」と指定される)で保管した。
【0302】
等分の完了後、全ての血漿凍結バッグを-80℃の冷凍庫に2時間移した。-80℃にて2時間の後、血漿凍結バッグを、-18-(-25)℃の冷凍庫にて長期の保管に移した。
【0303】
アポトーシス細胞(初期アポトーシス)の製造
【0304】
プロセスは、cGMP条件下でクローズドシステムにて実施した。
【0305】
製造プロセス
【0306】
媒体の調製:
【0307】
製造プロセスは、全てバッグ内で作製される3つの媒体を含む:
(1)解凍洗浄媒体
(2)誘発溶液
(3)乳酸加リンゲル溶液
【0308】
解凍洗浄媒体は、解凍後の細胞の洗浄に使用した。解凍洗浄媒体の最終製剤は、2mMのL-グルタミン、10mMのHepes、及び10U/mlのヘパリンを植菌した5%のACD formula A溶液を補充した、RPMI 1640であった。誘発溶液は、アポトーシス誘発に使用し、その製剤は、2mMのL-グルタミン及び10mMのHepes、10%の自己血漿、50μg/mlのメチルプレドニゾロン、及び10U/mlのヘパリンを植菌した5%のACD formula A溶液を補充した、RPMI 1640である。
【0309】
媒体は、使用前に予熱した。
【0310】
解凍及びアポトーシス誘発:
【0311】
凍結した細胞濃縮物を含有する凍結バッグを、液体窒素保管冷凍庫から移し、35~380℃の循環水浴中に浸した。細胞濃縮物を、およそ120秒間、穏やかに混合しながら完全に解凍した。次に、細胞凍結バッグを水浴から除去し、70%のイソプロパノールで濯ぐことによって消毒し、拭いて乾燥させた。
【0312】
解凍した凍結バッグを、予熱した解凍洗浄媒体バッグに接続し、解凍した細胞を、重量流によって移送用パックに移した。このプロセスを、さらなる凍結バッグの各々に繰り返した。
【0313】
懸濁させた解凍した細胞を、290×gで10分間、25℃にて遠心分離した。その終了時に、洗浄した細胞を遠心分離機から慎重に除去し、上清を除去した。
【0314】
洗浄した細胞を、予熱した誘発溶液で再懸濁させ、均質な懸濁液が形成されるまで穏やかに混合した。
【0315】
次に、細胞を計数し、生存性を分析した。
【0316】
【表5】
【0317】
細胞計数及び適格対象に必要とされる細胞の用量に基づいて、各バッグの体積が製造者によって決定された体積の範囲内に維持されるように、適切な数の細胞培養バッグを調製した。細胞を、誘発溶液を用いておよそ5×10細胞/mlの最終濃度にし、次に細胞を、必要とされるだけ多くの細胞培養バッグに均等に分配した。
【0318】
誘発溶液と共に細胞を含有する細胞培養バッグを、37℃、5%COにて、6時間インキュベートした。
【0319】
体積低減及び最終生成物の最終製剤化:
【0320】
体積低減及び投与緩衝液(乳酸加リンゲル溶液)への媒体交換を、LOVO細胞処理システムを使用して自動で実施した。
【0321】
LOVO計器に、滅菌した使い捨てキットを装填した。投与緩衝液及び細胞培養バッグを、キットに滅菌接続した。アポトーシス細胞を含有する細胞培養バッグを、5:1の低減率を使用してLOVOを介して処理し、一方、冷たい乳酸加リンゲル溶液を用いて、最終製剤化を450~500mlの最終体積に送達バッグ内へ直接実施した。
【0322】
放出及び放出後試験のためのサンプルの収集
【0323】
最終生成物送達バッグの内容物を、均質な混合物を確実にするように適正に混合した。下記の表6に詳述される通り、およそ10%を放出試験のために除去した。
【0324】
【表6】
【0325】
最終生成物のデータは、表7に提示される。
【0326】
【表7】
【0327】
注入用の放出生成物:
【0328】
最終生成物が放出試験を通過した後、最終初期アポトーシス細胞生成物を2~8℃で保管し、患者への投与のために臨床センターに輸送した。生成物は、200ミクロン以上のフィルタを用いた注入セットを使用して投与する。予備段階の安定性データに基づくと、最終初期アポトーシス細胞生成物に関する有効時間は、調製の時間から48時間であった。
【0329】
実施例2:GvHD白血病/リンパ腫モデルにおけるプールされたアポトーシス細胞調製物の使用
【0330】
以下の予備研究において、GvHD白血病/リンパ腫モデルにおける同一の注入の効果を調査した。骨髄移植(BMT)を受けているマウスにおける急性GvHDの予防に関して、照射された複数ドナー由来単一アポトーシス細胞注入(プールされた単核の照射されたアポトーシス細胞調製物)の安全性及び有効性を調査した。このモデルでは、BMTは、照射されたマウスを救済した(80~100%)。
【0331】
移植片対白血病(GvL)効果はGVHDの重症度と相関していることが見出されているため、高グレードのaGVHDを潜在的に回避する全ての成功的治療において、この効果の可能性のある損失に関する疑問が生じる。
【0332】
方法
【0333】
アポトーシス細胞を、本実験では調製を4ドナーから同時に行ったことを除いて、上記の実施例1の通りに調製した。4ドナーからの調製の後、細胞調製物を、最終ステップ(照射前)にて組み合わせ、直後に照射し、照射の直後に注射した。照射は、25Gyであった。
【0334】
結果
【0335】
図1及び2に提示される2つのグラフは、生存及び体重損失の両方に対する、複数の個別のドナー(3個組)に由来するアポトーシス細胞の単一注射の明確な効果(p<0.01)を示す。図1は、複数の個別のドナーに由来する単一用量の照射されたアポトーシス細胞で治療したGvHDマウスモデルにおけるカプラン・マイヤー生存曲線であり、生存は有意に改善された。図2は、比較された2つの群の体重損失のパーセンテージであり、これは図1の発見に従い、それと相関する。
【0336】
要約すると、複数ドナー由来の照射されたアポトーシス細胞の単一注入は、GvHDのマウスモデルにおいて余命を成功裏に及び有意に改善した。
【0337】
実施例3:複数の個別のドナーに由来するアポトーシス細胞に関する安定性基準
【0338】
この研究の目的は、複数の個別のドナーに由来するアポトーシス細胞に関する安定性基準を、照射されていないHLA適合アポトーシス細胞に対する比較可能性研究を用いて開発することである(Mevorach et al.(2014)Biology of Blood and Marrow Transplantation 20(1):58-65;Mevorach et al.(2015)Biology of Blood and Marrow Transplantation 21(2):S339-S340)。
【0339】
アポトーシス細胞最終生成物調製物を、2~8℃で8、24、48、及び60時間保管した後、各時点でサンプリングしながら、細胞数、生存性、アポトーシス的表現型、及び効力に関して評定する。アポトーシス細胞最終生成物のロットを、標準操作手順(SOP)(実施例1、実施例5)及びバッチ記録(BR、すなわち、特定の製造手順)に従って調製する。効力評定については、初期アポトーシス細胞調製物最終生成物ロットのサンプルを、未成熟樹状細胞(時点0~24時間)または単球(時点0~6)においてリポ多糖(LPS)によって誘発されたMHC-II発現の上方調節の阻害に関して試験し、SOPに従って実施し、BRに記録する。これらの一連の試験を、それぞれ、複数の個別のドナー及び単一のドナーを起源とする調製物中のプールされた及びプールされていない生成物において実施する。
【0340】
さらに、CD3(T細胞)、CD19(B細胞)、CD14(単球)、CD15high(顆粒球)、及びCD56(NK細胞)のフローサイトメトリー分析を記録する。これらの研究の目的は、狭い範囲の結果との一貫性を実証することである。予備段階の結果は、これらの目標と一致しており、SOPからの逸脱は見られず、技術的問題は報告されない。しかしながら、効果的な治療の範囲及び安定性を結論付けるために、さらなる研究が必要とされる。予備段階の結果は、これらの全てのパラメータにおいて同値を示している(実施例6、表3)。さらに、単一ドナーの安定性研究は、少なくとも48時間の期間を通して安定性を示した(実施例5、細胞調製物)。
【0341】
実施例4:急性移植片対宿主疾患の予防薬としての複数ドナー由来の照射されたアポトーシス細胞の安全性及び有効性
【0342】
目的:同種異系hla適合造血幹細胞移植を受けているヒト白血球抗原適合の血縁及び非血縁患者の造血器悪性腫瘍における移植片対宿主疾患の予防のための、複数の不適合ドナーに由来する照射されたアポトーシス細胞の単一用量投与の安全性、忍容性、及び予備段階の有効性を評定する、フェーズ1/2a、多施設、非盲検研究
【0343】
第一目的:複数ドナー由来の照射されたアポトーシス細胞治療の安全性及び忍容性を決定すること。
【0344】
第二目的:造血幹細胞移植(HSCT)を受ける予定の造血器悪性腫瘍患者における急性GVHD(aGVHD)に関する予防尺度としての、複数の個別のドナーに由来する照射されたアポトーシス細胞の有効性を決定すること。この研究の目的のために、HSCTは、骨髄移植(BMT)または末梢血液幹細胞移植(PBSCT)のいずれかであり得る。
【0345】
治療指標: ヒト白血球抗原(HLA)適合の血縁及び非血縁患者内の造血器悪性腫瘍における移植後の移植片対宿主疾患(GVHD)
【0346】
研究設計:これは、完全な骨髄機能廃絶または強度低減骨髄機能廃絶調整レジメンに従ってHLA適合の血縁または非血縁ドナーに由来するHSCT(骨髄移植または末梢血液幹細胞移植のいずれか)を受ける予定である造血器悪性腫瘍と診断された患者における、非盲検研究、多施設、フェーズ-1/2a研究である。
【0347】
調整レジメンの開始前のレシピエント患者によるインフォームドコンセントへの署名、ドナースクリーニング期間、及び細胞収集の後に、適格レシピエント患者を、いずれかのHSCT移植の12~36時間前に静脈(IV)注射を受けるために割り当てる(予防的治療及び血縁対非血縁移植物ドナーによって1:1の比率に分類する)。
【0348】
調査アーム:リン酸緩衝液(PBS)中、複数の個別のドナーの照射された初期アポトーシス細胞/kg体重からの140×10±20%細胞/kgの単一用量
【0349】
全患者はまた、機関の標準治療(SOC)免疫抑制レジメンによって治療する:骨髄除去に関してはシクロスポリン/メトトレキサートまたはタクロリムス/メトトレキサート、及び強度低減に関してはミコフェノレート(mycofenolate)/シクロスポリンまたはミコフェノレート/タクロリヌス(tacrolinus)。患者は、医学上の指示により入院する。
【0350】
患者は、二次有効性エンドポイントに関して180日間、ならびに一次安全性及び三次有効性エンドポイントに関して1年間追跡される。この研究に参加する患者の訪問回数は、それらの状態にある患者に関して慣習的であるものに相当する。ドナーに関しては、スクリーニング期間中のアフェレーシス手順のための、研究に特有の訪問である。
【0351】
これらの患者は、多くの潜在的な医学的状態を有し、またaGVHDと両立し得る症状を経験する場合があるため、GvHD予防のためにアポトーシス細胞を使用する先行するフェーズ1-2a研究からの基礎データは存在するものの、毒性がアポトーシス細胞に関連しているか否かを完全に決定することは困難であり得る(Mevorach et al.(2014)Biology of Blood and Marrow Transplantation 20(1):58-65、Single Infusion of Donor Mononuclear Early Apoptotic Cells as Prophylaxis for Graft-versus-Host Disease in Myeloablative HLA-Matched Allogeneic Bone Marrow Transplantation:A Phase I/IIa Clinical Trial.BBMT 20(1)58-65)。
【0352】
データ安全性モニタリング委員会(DSMB)を、安全性に関する懸念が事前に生じていないと仮定し、予定された中間分析(180日間)の時点を含めDSMB検証に指定される通りに開く。
【0353】
研究手順:
【0354】
本研究は、スクリーニング、治療、及び追跡調査期間で構成される。
【0355】
1.スクリーニング期間(-60日目~-2日目)
【0356】
潜在的レシピエント患者は、全ての研究に関連する手順の遂行の前にインフォームドコンセントへ署名する。認可前の標準的な評価は、スクリーニング期間中にドナーのための移植センターによって実施し、通常は以下のものを含む:人口統計データ、病歴、HLA適合状態の検証(非適合が必要とされる)、身体検査、身長及び体重、生命兆候、妊娠検査(全女性)、血液学、血液化学、感染性疾患スクリーニング、ECG、ならびに尿検査。
【0357】
レシピエント(研究患者)は、スクリーニング期間中に以下の評価を受ける:人口統計データ、病歴、カルノフスキーパフォーマンスステータス、HLA適合の検証、身体検査、身長及び体重、生命兆候、妊娠検査(全女性)、ECG、肺機能検査、血液学、血液化学、凝固マーカー、感染性疾患スクリーニング、ならびに尿検査。
【0358】
最初のスクリーニング評定の後、レシピエントが研究への参加に適格である場合、レシピエント患者は、調整レジメンの初日に割り当てられ、140×10±20%細胞/kgの複数ドナーアポトーシス細胞の単一IV注入を受ける。アポトーシス細胞の注入の前またはその日に完了するべき調整レジメンは、研究の-1日目に予定する。
【0359】
アポトーシス細胞の投薬量を各レシピエント患者に関して算出し、それに従って推定されるアフェレーシス収集数及びドナー数を決定する。
【0360】
末梢幹細胞移植物ドナーについて:-6日目~-1日目に、ドナーは、前駆細胞を動員するために1日1回のG-CSF注射を1回以上受け、0日目に、移植用のドナー造血血液幹細胞を生成するためにアフェレーシスを受ける。骨髄移植用の造血血液幹細胞の調製物は、施設の標準的慣行に従って熟練した医療スタッフにより実施する。HSCT用の造血血液幹細胞は、操作しないか、または投与前にT細胞を除去する。
【0361】
骨髄移植物ドナーについて:骨髄を、施設の標準的慣行によって採取及び調製し、それ以外には操作しない。
【0362】
2.治療日(-1日目)
【0363】
-1日目(HSCTの12~36時間前)に、適格患者は、いずれかの140×10±20%細胞/kgの複数の個別のドナー由来の照射された初期アポトーシス細胞の単一IV注入を受ける。生命兆候を、注入中は毎時間、その後、最初の24時間は4時間毎にモニタリングする。治療に関連するAEを、注入後即座に評価する。
【0364】
0日目に、患者は、地方機関のガイドラインに従って造血幹細胞移植を受ける。
【0365】
3.短期追跡調査期間(0日目~180日目)
【0366】
患者は、以下の一次エンドポイント安全性及び忍容性ならびに二次及び三次エンドポイントの評価に関して研究の180日目まで追跡される:aGVHDグレードII~IVの累積発生率(Przepiorkaらの任意のグレード及び高グレードのaGVHDの累積発生率に基づく「修正されたGlucksberg」コンセンサス、すなわちグレードII~IVのaGVHDの発症までの時間)、GVHDの任意の全身治療、及びcGVHDの発症。
【0367】
短期追跡調査訪問は、移植のための入院中は毎日(通常少なくとも-1~+14日目以上)であり、退院後の最初の7週間は毎週訪問し、+7、+14、+21、+28、+35、42日目、次いで60、100、140、及び180日目である。訪問ウィンドウは、毎週の訪問(最初の7週間)については±5日間、最大180日間のその後の追跡調査期間中は隔週またはそれ以上について±5日間である。
【0368】
血液サンプルを、1、3、7、+7、+28、+42、60、100、140、及び180日目に取得し、生着、免疫回復、血漿及び血清バイオマーカー(「Michigan」)、ならびに細胞下位集団を記録するために調査する。
【0369】
4.長期追跡調査期間(181日目~365日目/1年間)
【0370】
患者は、以下のより長期の二次エンドポイントに関してHSCT後1年間追跡される:非再発性死亡率及び全生存率(OS)、再発、無白血病生存率(LFS)、ならびに慢性GVHD。少なくとも2回の長期追跡調査訪問があり、最後の訪問はHSCTの12±1カ月間後である。
【0371】
研究期間:各参加患者に関して、研究期間は、以下の通り最大14カ月間である:
A.スクリーニング 最大60日間(2ヶ月間)
B.治療 1日間
C.追跡調査 以下からなる365日間(12ヶ月間)
D.短期 180日間
E.長期 +180日間
【0372】
研究集団:血液悪性腫瘍と診断され、施設の標準的慣行によって骨髄機能廃絶または強度低減調整レジメンのいずれかに従い少なくとも15名の非血縁ドナーによるHSCT(骨髄移植または末梢血液幹細胞移植のいずれか)を受ける予定である合計25人の患者を本研究に含め、歴史的対照と比較する。
【0373】
包含/除外基準:
【0374】
レシピエント患者除外基準
【0375】
1.患者、年齢>18歳、以下の悪性腫瘍のための同種異系HSCTに適格である:
A.完全寛解(任意の寛解)またはそれ以上にあるが、骨髄の形態により<5%の芽球を有する急性骨髄性白血病または未分化白血病または混合型白血病。
B.完全寛解にある急性骨髄性白血病(AML)であり、骨髄異形成症候群(MDS)から進展している場合(急性骨髄性白血病の診断の少なくとも3カ月間前にMDSの記録された診断が存在しなければならない)。または真性赤血球増加症もしくは本態性血小板増加症から進展している場合。
C.骨髄の形態により<5%の芽球を有する、完全寛解(任意の寛解)にある急性リンパ芽球性白血病(ALL)。
D.慢性期または加速期にある慢性骨髄性白血病(CML)。
E.骨髄異形成症候群-多血球系異形成を伴う不応性血球減少(RCMD)、RA(不応性貧血)、環状鉄芽球を伴うRA(RARS;全て<5%芽球)、過剰な芽球を伴うRA(RAEB;5~20%芽球)。
【0376】
移植物ドナー及びレシピエント患者は、HLA A、B、C、DQ、及びDR遺伝子座において少なくとも8/8HLA適合を有していなければならず、かつ抗原または対立遺伝子不適合を有していてはならない。しかしながら、アポトーシス細胞形成用の白血球のドナー(複数可)は、HLA適合性に制限されない。
【0377】
スクリーニング訪問時点に少なくとも70%のパフォーマンスステータススコア(成人ではカルノフスキー、16歳未満のレシピエントではランスキー)。
【0378】
調整開始後4週間以内に、成人において>40%の左心室駆出分画;以前にアントラサイクリン曝露または心疾患の病歴がある場合、MUGAスキャンまたは心臓エコーを要する。
【0379】
>60%の予測を伴うDLCO1、FEV1(努力呼気肺活量)、及びFVC(努力肺活量)による肺機能検査。
【0380】
室内気に対する少なくとも90%の酸素飽和度。
【0381】
患者は、下記に定義される通り適正な臓器機能を有していなければならない:
A.AST(SGOT)/ALT(SGPT)<3x正常上限(ULN)。
B.血清クレアチニン<2.0mg/dL(成人、>16歳)、または<0.8(1~2歳)、<1(3~4歳)、<1.2(5~9歳)、<1.6(10~13歳)、及び1.8(14~15歳)。
C.血清ビリルビン<3mg/dL、但しジルベール病または溶血に起因する場合を除く。
【0382】
患者、または未成年者の場合には保護者による、本研究への自主的な参加に関する書面によるインフォームドコンセントへの署名。
【0383】
研究要件に従う能力。
【0384】
(-1日目から)4週間の間、女性及び男性のどちらも以下に同意しなければならない。
A.BMTに関連する制限がある場合、最初の1カ月間以上は適切な避妊法を使用するか、または避妊手術を受けていること。
B.妊娠の可能性に関わらず、陰性の妊娠検査を有すること。
【0385】
レシピエント患者除外基準
【0386】
包含基準に指定されていない、HSCTに適格である全ての疾患。
【0387】
スクリーニング訪問の30日間以内の介入性治験への参加。
【0388】
進行性のまたは不良に制御された悪性腫瘍を有する。
【0389】
BMT計画が、T細胞欠失同種移植片を含む場合。
【0390】
BMT計画が、移植後のGVHDの予防のために免疫抑制レジメンまたは高用量シクロホスファミド療法の一部として抗胸腺細胞グロブリン(ATG)またはアレムツズマブを含む場合。
【0391】
スクリーニング訪問の2週間以内の敗血症、低酸素血症を伴う肺炎、持続性菌血症、または髄膜炎を含む、制御されていない感染。(一酸化炭素肺拡散能)
【0392】
現在既知であるHBVまたはHCVを伴う活動性の急性または慢性感染。
【0393】
既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染。
【0394】
人工呼吸器による補助を必要とする、重度または症候性の拘束性もしくは閉塞性肺疾患または呼吸不全を有する患者。
【0395】
本研究への参加に支障をきたし得る、他の併発した重度の及び/または制御されていない医学的状態を有する患者(すなわち、活動性感染、制御されていない糖尿病、制御されていない高血圧、鬱血性心不全、不安定狭心症、心室性不整脈、活動性虚血性心疾患、6カ月間以内の心筋梗塞、慢性の肝疾患または腎疾患、活動性上部消化管潰瘍)。
【0396】
治験生成物の効果の評定を妨げやすい任意の慢性または急性状態。
【0397】
調査者の意見により、本研究の遂行を妨げやすい任意の形態の物質乱用(薬物またはアルコール乱用を含む)、精神障害、または任意の慢性状態。
【0398】
臓器同種移植、または幹細胞移植(同種異系のみ)の以前の履歴。
【0399】
妊娠の可能性のある女性における授乳。
【0400】
本研究中に従わないまたは非協力的である可能性のある患者。
【0401】
治験生成物の経路及び剤形
【0402】
アポトーシス細胞を、HSCTの12~36時間前に、140×10+20%細胞/kgの照射された複数ドナー由来のアポトーシス細胞生成物のIV注入として投与する。
【0403】
アポトーシス細胞は、複数の個別のドナー由来のアポトーシス細胞で構成された細胞ベースの治療薬である。生成物は、少なくとも40%の初期アポトーシス細胞を有する懸濁液体の形態の同種異系ドナー単核濃縮細胞を含有する。懸濁液は、GMP規制に従ってPBS溶液と共に複数の個別のドナーから調製し、注入まで2~8℃で保管しなければならない。最終生成物は、不透明な移送用パック内で300~600mLの総体積であり、調製後に25Gyで照射する。治験生成物は、製造プロセスの完了の48時間以内に患者に投与されるべきである。
【0404】
安全性の結果/有効性エンドポイント/結果尺度
【0405】
一次:
【0406】
安全性及び忍容性エンドポイントは、生着までの時間、ならびに180日目及び360日目(1年間)における有害事象、併用薬、及び安全性実験室(safety laboratories)を決定するための身体検査を含む。さらに、照射されたプールされたアポトーシス細胞調製物は、インビトロ及びインビボの細胞増殖の欠落ならびにインビボの活性化の欠落を示すことが期待される。かかる結果は、プールされたアポトーシス細胞調製物を使用に安全であると認める。
【0407】
二次:
A.180日目における、(Przepiorka et al.,1995)に基づく「修正されたGlucksberg」コンセンサスを使用したグレードII~IVのaGVHDの累積発生率
B.1年間の非再発性死亡率及び全生存率(OS)
C.1年間の再発
D.1年間の無白血病生存率(LFS)
E.最初の180日間以内のaGVHDの最大グレード
F.グレードIII~IVのaGVHDの累積発生率
G.180日目及び360日目(1年間)における、(Jagasia et al.,2015)に従う慢性GVHDの発生。
H.20日目~180日目における、aGvHDの治療のためのコルチコステロイド(使用または非使用及び累積投薬量の両方)を含む任意の「全身治療」
I.+28、100、180、及び360日目(1年間)における、T、B、NK、及び単球に関連する免疫再構築及び機能
J.80日目~1年間における主要な感染率(肺浸潤物、CMV再活性化、及び入院を要する任意の他の感染を含む)。
【0408】
三次/探索的:
A.入院日数の、危険性がある日数の合計または生存し入院していない日数の合計に対する割合。または、移植後の最初の退院までの入院日数の合計。
B.臓器特異的GVHD
C.180日目におけるT reg、CD4 Tcon、CD8、NK及びB細胞のレベル
【0409】
統計的分析:
【0410】
研究結果を、相当のベースライン特徴を有する個体を用いた歴史的対照と比較する。
【0411】
記述統計学を使用して、結果尺度及びベースライン特徴を要約する。この分析では、欠測データを補完することなく、全ての利用可能なデータを提示する。対象は、離脱または研究完了または死亡の時点まで利用可能なデータとなる。平均、中央値、標準偏差、最小値、及び最大値等の記述統計学を使用して、連続型変数を要約する。アポトーシス細胞注入を受ける全ての対象が、安全性分析に含まれる。HSCTも受ける対象は、有効性分析に含まれる。この研究は探索的な性質であるため、臨時の分析が計画される。
【0412】
サンプルサイズの検討
【0413】
合計25名の患者が含まれ、少なくとも15名の適合非血縁患者が登録される。アポトーシス細胞(活性)を全てに付与し、GVHD予防レジメン、及び血縁対非血縁移植物ドナーについて分類する。
【0414】
集団分析の定義
【0415】
全ての有効性分析は、包括解析(ITT)集団にて遂行し、適当な歴史的対照と比較する。安全性集団は、研究薬の投薬を受ける全ての患者と定義する。
【0416】
統計的方法
【0417】
患者、疾患、及び移植物の特徴を、必要に応じて頻度及びパーセンテージまたは中央値(範囲)を使用して記述する。
【0418】
安全性分析
【0419】
記述統計学を使用して、研究治療の注入とHSCT処置との間(24~30時間ウィンドウ)に報告されたAEに着目し、安全性の結果を要約する。DSMBの考察の結果として、サンプルサイズ調整を含むいかなる変更も研究の遂行において開始しない。したがって、中間分析の結果として第1種の過誤全体において罰則調整は必要としない。
【0420】
二次エンドポイント分析
【0421】
グレードII~IVのaGVHDを、aGVHD前の死亡を競合事象として累積発生率推定器を使用して記述する。
【0422】
好中球及び血小板回収、グレードIII~IVのaGVHD、慢性GVHD、感染、再発、ならびに移植物関連死亡率を、TRMに関しては再発を競合事象として、他の全てに関しては死亡を競合事象として累積発生率を使用して記述する。全生存率及び無白血病生存率を、カプラン・マイヤー推定器を使用して記述する。最初の180日間以内の最大グレードのaGVHD、及び180日目におけるステロイドの必要性を、それぞれ、マンホイットニーU検定及びカイ二乗検定を使用し、頻度及びパーセンテージを使用して記述する。各細胞サブセット及びTREGの免疫回復を、中央値及び範囲マンホイットニー検定をお使用して各時点で記述する。
【0423】
実施例5:GvHD白血病/リンパ腫モデルにおけるプールされたアポトーシス細胞調製物対単一ドナーアポトーシス細胞調製物の比較
【0424】
目的:GvHDのマウスモデルにおけるGvHDの重症度に対する、単一ドナーから取得されたヒト初期アポトーシス細胞の有益な臨床効果を、存在する場合、GvHDのマウスモデルにおけるGvHDの重症度に対する、複数の個別のドナーから取得されたヒト初期アポトーシス細胞の臨床効果と比較することであり、ここでは、複数の個別のドナーは、HLA不適合異種ドナーを表した。
【0425】
上記の実施例2は、複数の個別のドナーからプールされた照射されたアポトーシス細胞の有益な効果を示している。当業者は、不適合細胞の複数の供給源は細胞の抗原性の多様性を増加させ得、したがって臨床効果の劇的な低減が予測されるであろうと認識し得るため、図1及び図2に示される結果は、驚くべきものであった。予期せぬことに、GvHDの重症度の低減、またしたがって死亡までの日数の延長に対する初期アポトーシス細胞の既知の有益な効果は、プールされた不適合初期アポトーシス細胞(図1)によっても緩和され、これは、プールされた複数の不適合供給源細胞に起因する増加された抗原性を有するであろうと推測される。
【0426】
さらなる目的は、照射された初期アポトーシス細胞の使用と、照射されていない期アポトーシス細胞の使用との間に差があるかを理解することであった。
【0427】
当業者は、不適合の照射された細胞は、APCメカニズムによって認識される通り、及びそれらが注入されている宿主のT細胞によって認識される通り、その抗原プロフィールを維持することを理解するであろう。したがって、細胞の異種不適合集団をプールする際の懸念として、プールされている個別の集団間の交差反応性、プールされた集団の混合細胞リンパ球反応、細胞を低減もしくは排除し得るプールされた集団間のT細胞免疫反応、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられた。
【0428】
方法
【0429】
マウスモデル:不適合GVHDモデルにおいて、雌の7~9週齢のBALB/cマウス(H-2)を、レシピエントとして使用し、雌の8~9週齢のC57BL/6マウス(H-2)を、ドナーとして使用した。レシピエントを、骨髄及び脾細胞移植の24時間前に850cGyで全身に照射した。ドナー骨髄細胞を、骨髄再構築に使用した。骨髄細胞を、RPMI 1640によって大腿骨及び脛骨から抽出した。赤血球を溶解し、次に、細胞を洗浄し、PBSで再懸濁させた。トリパンブルー染料排除を証して、生存性を評価した(>90%生存性)。ドナー脾細胞を、GVHDの誘発に使用した。脾臓を除去し、均質化し、単一細胞懸濁液を取得した。赤血球を溶解し、脾細胞をPBSで再懸濁させた。トリパンブルー染料を使用して、少なくとも90%の生存細胞を評価した。
【0430】
初期アポトーシス細胞:実施例1と同様に、健全なドナーから、単核濃縮細胞画分アフェレーシスによりアポトーシス細胞を生成した。手短に述べると:
【0431】
単核細胞(MNC)の濃縮画分を、白血球除去手順によって健全な適格ドナーから取得した。細胞を、12リットルの血液及び400~600mlの自己血漿から、Spectra OPTIA(登録商標)アフェレーシスシステムによって収集した。ドナーからの濃縮単核細胞画分の推定収率は、およそ1.2~1.5×1010個の細胞であると期待された。白血球除去手順の前に、ドナーを試験し、下記のウイルスベクターに対して陰性であることを確認する:
1.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、1及び2型、
2.B型肝炎ウイルス(HBV)、
3.C型肝炎ウイルス(HCV)、
4.サイトメガロウイルス(CMV)、
5.梅毒トレポネーマ(梅毒)、
6.ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)、I及びII型
【0432】
細胞収集後、細胞をRPMIで洗浄し、以下の通り凍結させた。凍結製剤は、pH7.4の注射用プラズマライトA、10%のDMSO、5%のヒト血清アルブミン、及び10U/mlのヘパリンを植菌した5%の抗凝固剤クエン酸デキストロース溶液で構成された。
【0433】
凍結媒体をバッグ内に調製し、凍結手順をcGMP条件下でクローズドシステムにて実施した。
【0434】
白血球除去手順の完了後、濃縮MNC画分をプラズマライトAで洗浄し、氷冷した凍結媒体で50~65×10細胞/mlの濃度に再懸濁させた。次に、細胞を凍結バッグに移し、バッグを予冷したアルミニウムカセットに移し、即座にカセットを-18-(-25)℃に2時間に移した。
【0435】
2時間後、カセットを、-80℃にさらに2時間移し、次に液体窒素(>-135℃)中で長期保管した。
【0436】
自己血漿を、50grアリコートに分割した。血漿アリコートを、-80℃に2時間移し、次に-18-(-25)℃で長期保管した。
【0437】
アポトーシス誘発のために、細胞を解凍し、10mMのHepes緩衝液、2mMのL-グルタミン、及び10U/mlヘパリンを有する5%の抗凝固剤クエン酸デキストロース溶液を含有する予熱したRPMI1640で洗浄した。上清抽出後、細胞を、10mMのHepes、2mMのL-グルタミンを補充し、10%の自己血漿と、50μg/mlのメチルプレドニゾロンと、10U/mlのヘパリンを植菌した5%の抗凝固剤クエン酸デキストロース溶液とを添加したRPMI 1640中で、5×10/mlの最終濃度に再懸濁させた。次に、細胞を細胞培養バッグに移し、加湿したインキュベータにて37℃、5%COで6時間インキュベートして、アポトーシスを安定させた。
【0438】
インキュベーション後、細胞を採取し、PBSで洗浄し、PBS中に再懸濁させた。
【0439】
初期アポトーシス細胞生成物を、1つの単一ドナーまたは組み合わせた10個の異なる個別のドナーから生成し、異なる個別のドナーの場合、細胞は照射の直前に組み合わせた。複数ドナー生成物中の成分間、例えば、生きた非アポトーシス細胞間等で干渉が生じ得るため、初期アポトーシス細胞生成物をさらに分割し、インビボで試験するための初期アポトーシス細胞のサンプルを、投与の前に2500cGyで照射し(下記のサンプルF)、投与まで2~8℃で保管した。下記の実施例6の表3は、アネキシンV陽性/ヨウ化プロピジウム陰性の比率及び初期アポトーシス細胞生成物の細胞表面マーカーの詳細を提示しており、マウスに投与されたアポトーシス細胞の一貫性が維持されていることを立証する。最終生成物は、2~8℃で48時間安定していた。
【0440】
移植の日に、マウスは、以下の実験設計に従って、5×10個の骨髄細胞、3×10個の脾細胞、及び30×10個の単一または複数ドナー初期アポトーシス細胞生成物を受けた:
A.照射対照
B.再構築対照-照射+骨髄移植(BM)
C.GVHD対照-照射+骨髄及び脾細胞移植
D.単一ドナー、照射-照射+骨髄及び脾細胞移植+単一ドナーに由来する照射された初期アポトーシス細胞生成物
E.単一ドナー、非照射-照射+骨髄及び脾細胞移植+単一ドナーに由来する照射されていない初期アポトーシス細胞生成物
F.複数ドナー、照射-照射+骨髄及び脾細胞移植+複数ドナーに由来する照射された初期アポトーシス細胞生成物
G.複数ドナー、非照射-照射+骨髄及び脾細胞移植+複数の個別のドナーに由来する照射されていない初期アポトーシス細胞生成物
【0441】
モニタリング-移植したマウスにタグ付けをし、生存をモニタリングした。体重を、実験の最初の2週間は2日毎に、その後は毎日評価した。開始体重からの35%の損失を一次エンドポイントとして決定し、マウスを屠殺し、それに従って生存曲線を更新した。体重の結果は、実施例3、図2に見られるものに匹敵した。
【0442】
GVHDの重症度を、以下の5つの臨床パラメータを含む既知の採点システム(Cooke KR,et al.An experimental model of idiopathic pneumonia syndrome after bone marrow transplantation.I.The roles of minor H antigens and endotoxin.Blood.1996;8:3230-3239)を使用して評価した:体重損失、姿勢(背中の丸まり)、活性、毛皮の手触り、及び皮膚の完全性。マウスを、各基準に関して評定し、0~2に等級付けした。5つの臨床的スコアの総和によって、臨床的指標値を生み出した(指標数は、GVHDの重症度に伴い増加する)。
【0443】
結果
【0444】
異なるマウス集団の生存率が、図3にグラフ表示される。照射のみの対照マウスは、骨髄再構築を受けなかったマウスから予測される通り、8~12日目に死亡した(n=13)。GVHD対照マウス(骨髄及び脾臓を受けた)の大多数は、6~27日目に死亡した。1匹のマウスは死亡しなかった(n=18)。骨髄再構築対照群(BM)では、7匹のマウスのうち3匹が6~8日目に死亡した。残りのマウスにおいては、ドナー骨髄によって骨髄が再構築され、マウスは生存したままであった(>50日間)。
【0445】
単一ドナーの照射されていないマウスは、15~36日目に死亡した。したがって、先に示された通り、単一ドナーの照射されていない初期アポトーシス細胞は有益な効果を有し、生存は延長された(p<0.01)。
【0446】
単一ドナー由来の照射されたマウスは、7~35日目に死亡し、1匹のマウスは無疾患生存に留まった(>50日間)。これは、単一ドナーの照射されたアポトーシス細胞もまた、GVHDに関して有益な効果を提供したことを実証している。したがって、照射は、初期アポトーシス細胞の免疫変調効果を損なわなかった。全て、GVHDマウスモデルにける生存に対してGVHD対照と比較して有益な効果を有した(p<0.01)。
【0447】
照射されていない複数ドナー治療は、GVHD対照と比較して有益な効果を提供しなかった(n=11)。生存パターンは、GVHD対照に類似しており、マウスは、6~28日目に死亡した(p=NS-有意差無し)。驚くべきことに、また照射されていないアポトーシス細胞とは対照的に、照射された複数の個別のドナー由来のアポトーシス細胞(治療F)(n=10)は、GVHD対照と比較して、単一ドナー治療に類似した有益な効果を有した。GVHDの症状は、その後により顕著に現れ、マウスは、18~34日目に死亡した(p<0.01)。
【0448】
照射された複数の個別のドナー(n=10)、照射された単一ドナー(n=10)、及び照射されていない単一ドナー治療(n=10)は、類似の生存パターンを有しており、これらの3つの治療群間で、生存に対する効果の有意な差は観察されなかった。
【0449】
実験は、GVHDを誘発されたマウスにおけるアポトーシス細胞注入の明確な効果を示唆した。照射された複数の個別のドナー、ならびに照射された及び照射されていない単一ドナーのアポトーシス細胞の治療に関して、顕著な延長された生存の効果が存在した。
【0450】
複数ドナー治療は、照射されない場合にマウスの生存を延長しなかったが、マウスへの投与前のアポトーシス細胞生成物の照射は、結果を改善し、治療は、単一ドナー治療に近い生存パターンを有した。
【0451】
上述の通り、図3は、複数の不適合ドナーから取得された照射されていないアポトーシス細胞は、(1)単一の不適合ドナーから取得された照射されていないアポトーシス細胞、(2)単一の不適合ドナーから取得された照射されたアポトーシス細胞、及び(3)複数の不適合ドナーから取得された照射されたアポトーシス細胞と比較して、GvHDの低減及び死亡率(%生存)に対して有意により低い正の臨床効果を有することを示している。さらに、3つ全て(照射されていない初期アポトーシス細胞、単一ドナー:照射された初期アポトーシス細胞、単一ドナー;及び照射された初期アポトーシス細胞、複数の個別のドナー)は、類似の効果を有する。
【0452】
このデータは、複数の個別のドナーから取得された照射されていないアポトーシス細胞の抗原性は、複数の個別のドナーから取得された照射されたアポトーシス細胞の抗原性に類似であることが予測されるため、驚くべきものであり、なぜ、両方ともが移植された骨髄に対する類似の敵対的な抗原反応を有さないのであろうか、またなぜ、両方ともがGvHD及び死亡率を低減することが可能ではないのであろうか?
【0453】
ここで、抗原性が主要な問題であるならば、単一ドナーから取得された照射されていないアポトーシス細胞と単一ドナーから取得された照射されたアポトーシス細胞との臨床効果に差が見られることが期待された。しかしながら、データはこの差を示していない。
【0454】
1つの可能性は、複数の個別のドナーから調製された照射されていないプールされたアポトーシス細胞調製物の有効性の欠落が、プールされた調製物中に存在する個別の単核集団間の交差相互作用からもたらされたということである。照射された細胞はその抗原性を維持しているため、これらの相互作用は、宿主に対する抗原性に直接起因しているようには見えないが、有効性は、照射されていない細胞とは顕著に異なった。したがって、照射を受けているプールされた初期アポトーシス細胞調製物間の交差相互作用は、予期せぬことに排除され、宿主は細胞の投与に良好に応答したと考えられる。
【0455】
示される通り、照射されたプールされたドナーは、単一の照射されていないドナーと本質的に同一の効果を有した。
【0456】
実施例6:最終アポトーシス細胞生成物における照射の効果
アポトーシス細胞は、それらの固有の免疫変調及び抗炎症特性のため、新規の治療戦略においてますます使用されるようになっている。初期アポトーシス細胞調製物は、20~40%もの生存細胞(PS露出の欠落及びPI無浸入;アネキシンV陰性及びヨウ化プロピジウム陰性によって測定する)を含有してもよく、その一部は、輸液中に使用された後にアポトーシス性となり得るが、一部は生存したままとなる。適合ドナーからの骨髄移植の場合、レシピエントは実際の移植物においてより多くの生存細胞を既に受けているため、生存細胞は臨床的問題を示さない。しかしながら、第三者輸液(または、プールされた単核アポトーシス細胞調製物で表され得る通り、第四者以上)の場合、生存細胞を含むアポトーシス細胞集団の使用は、第2のGvHD誘発因子を導入し得る。さらに、初期アポトーシス細胞の免疫変調潜在力における照射の意義は、現在のところ評価されていない。当業者は、初期アポトーシス細胞集団の追加の照射が、細胞をより後期のアポトーシスまたはネクローシスへと進行させ得ることを考慮し得る。これは、臨床用途に関して特に適切な疑問であると考えられるため、下記に提示される実験は、この問題に対処するように設計されており、少なくとも1つの目標は、機能的なアポトーシス細胞の生体安全性を改善することであった。
【0457】
したがって、目的は、アポトーシス細胞の効力が、移植された細胞の生着よりもむしろバイスタンダー効果に依存し得る、多数の兆候のためのアポトーシス細胞の臨床利用を促進することであった。
【0458】
目的:初期アポトーシス細胞に対する照射の効果を調査することであり、ここでは、照射はアポトーシスの誘発後に生じる。
【0459】
方法(手短に記す):実施例5に従って細胞を収集し、本質的に実施例5に説明される通りに初期アポトーシス細胞を調製した。
【0460】
3つの別個の初期アポトーシス細胞バッチを、異なる日に調製した(収集物404-1、0044-1、及び0043-1)。
【0461】
各最終生成物を、3つの群に分けた:
【0462】
未治療
【0463】
2500rad
【0464】
4000rad
【0465】
照射後、初期アポトーシス細胞を、細胞計数、アネキシンV陽性-PI陰性染色、細胞表面マーカー(異なる細胞型集団の%)、及び効力(樹状細胞(DC))に関して即座に試験した(t)。tにおける調査の後、初期アポトーシス細胞を2~8℃で24時間保管し、同じ試験パネルを使用して次の日に調査した(t24h)(細胞計数、アネキシンV陽性-PI陰性染色、ならびに細胞表面マーカー及び効力)。
【0466】
これまでに、放出後効力アッセイが開発されており、これは耐性を誘発するドナー単核初期アポトーシス細胞(初期アポトーシス細胞)の能力を評価する(Mevorach et al,BBMT 2014 ibid)。このアッセイは、LPSへの曝露後のiDC膜上のMHCクラスII分子(HLA-DR)及び副刺激分子(CD86)の発現のフローサイトメトリー評定の使用に基づく。これまでに繰り返し示されている通り、寛容原性DCは、アポトーシス細胞との相互作用時に生産され得(Verbovetsky et al.,J Exp Med 2002,Krispin et al.,Blood 2006)、LPSで処置されたDCの成熟の阻害(DR及びCD86発現の阻害)は、用量依存性様式で生じる。
【0467】
初期アポトーシス細胞臨床研究のフェーズ1/2a中に、放出後効力アッセイを各初期アポトーシス細胞バッチに関して遂行して、耐性を誘発する各バッチの能力を評定した(全体の結果n=13)(結果は図1に示される、Mevorach et al.(2014)Biology of Blood and Marrow Transplantation 20(1):58-65)。
【0468】
未知の非血縁の健康なドナーから収集された新鮮な軟膜からの各初期アポトーシス細胞バッチに関して、DCを生産し、異なる比率で初期アポトーシス細胞と組み合わせた(それぞれ、1:2、1:4、及び1:8のDC:初期アポトーシス細胞)。初期アポトーシス細胞によるインキュベーション及びLPSへの曝露の後、DC:初期アポトーシス細胞の1つ以上の比率におけるHLA DRまたはCD86のいずれかのDC膜発現の下方調節に基づいて、効力を決定した。13のアッセイ全てにおいて、初期アポトーシス細胞は寛容原性効果を実証しており、これは、最も高いDC:初期アポトーシス細胞比の調製物において、両マーカーに関して用量依存性様式で見られた。
【0469】
単球取得した未成熟DC(iDC)を、健康なドナーの末梢血液PBMCから生産し、1%の自己血漿、G-CSF、及びIL-4の存在下で培養した。次に、iDCを、新鮮に調製した最終生成物か、または2~8℃で24時間保管した最終生成物かのいずれかのアポトーシス細胞と共に、1;2、1;4、及び1;8の比率で2時間予備インキュベートした。2つの最終生成物を、同時に調査して、保管がアポトーシス細胞の効力に影響を及ぼすかを判定した。インキュベーションの後、LPSを指定のウェルに添加し、それをさらに24時間放置した。インキュベーションの終了時に、iDCSを収集し、洗浄し、DC兆候及びHLA-DRまたはCD86の両方で染色して、発現の変化を決定した。フローサイトメータを使用して細胞を分析し、FCS-express softwareを使用して、DC兆候陽性細胞ゲートから分析を実施して、DCのみの分析を確実にした。
【0470】
図4A~B及び図5A~Bは、照射されていない単一ドナー細胞と比較した照射されたプールされたアポトーシス細胞の効力試験を示す。
【0471】
結果:
【0472】
単一ドナー調製物
【0473】
表8は、照射されていない、及び照射されたアポトーシス細胞の、以下の比較結果を提示する;24時間における平均細胞損失(%);0時間及び24時間におけるアネキシン陽性()ヨウ化プロピジウム(PI)陰性()%(初期アポトーシス細胞の%);0時間及び24時間におけるアネキシン陽性()ヨウ化プロピジウム(PI)陽性()%(後期アポトーシス細胞の%);0時間及び24時間における細胞表面抗原CD3(T細胞)、CD19(B細胞)、CD56(NK細胞)、CD14(単球)、及びCD15high(顆粒球)の存在。
【0474】
【表8】
【0475】
表8の結果は、照射されていないアポトーシス細胞及び照射されたアポトーシス細胞の両方が、初期(2及び3行目)及び後期(4及び5行目)のアポトーシス細胞に相当するパーセンテージを有していたことを示す。したがって、25または40Gyの照射は、この高レベルのガンマ線照射の前に誘発されたアポトーシスまたはネクローシスプロセスを加速しなかった。さらに、細胞型に関して、照射された細胞集団と対照の照射されていない集団との間に一貫性があった。
【0476】
図4A~4B(HLA-DR発現)及び図5A~5B(CD86発現)に提示される効力アッセイの結果は、照射されていないアポトーシス細胞と比較して、新鮮な(図4A図5A)及び24時間保管された(図4B図5B)照射されたアポトーシス細胞の免疫変調能力に変化がなかったことを示す。
【0477】
図4A~B及び図5A~Bの両方において、成熟剤LPSへの曝露後にHLA-DR及びCD86発現の両方において明確な情報調節が存在する。両方の共刺激マーカーの有意な(p<0.01)用量依存性下方調節が、単一ドナーまたは照射されたプールされたドナーから新鮮に調製した両方のアポトーシス細胞の存在下で観察された。さらに、用量依存性下方調節は、2~8℃で24時間保管されたアポトーシス細胞の存在下で両マーカーにおいて維持され、24時間の保管後の最終生成物の安定性及び効力を示している。
【0478】
樹状細胞に対する効果。アポトーシス細胞の免疫変調能力を試験するために、放出後効力アッセイを使用した(Mevorach et al.,(2014)BBMT,ibid)。樹状細胞の免疫変調アッセイにおいて、変化は観察されなかった。(データは示されていない)
【0479】
混合リンパ球反応(MLR)に対する効果。免疫変調効果をさらに試験するために、標準化MLRアッセイを確立した。ここで、刺激因子及び応答細胞の共培養、すなわちMLRは、強く確実な増殖をもたらした。照射されていないアポトーシス細胞をMLRに添加すると、リンパ球増殖は、有意に5倍超低減し、増殖の細胞阻害を明白に実証している。照射されたアポトーシス細胞によって媒介されたMLRにおけるリンパ球増殖の阻害は、完全に相当した。(データは示されていない)
【0480】
次のステップは、完全不適合マウスモデルにおいて照射された及び照射されていないアポトーシス細胞をインビボで評定することであった。図1~2に示される通り、照射された及び照射されていない初期アポトーシス細胞調製物は、相当なインビボの有益な効果を有した。
【0481】
単一ドナー調製物の結論:
【0482】
結論として、25Gyまたは40Gyの照射は、アポトーシス細胞の集団において、アポトーシスまたは誘発されたネクローシスを有意に加速しなかった。意義深いことに、これらの集団は、インビトロ及びインビボの両方でアポトーシス細胞の免疫変調効果を維持した。
【0483】
複数ドナー調製物
【0484】
次に、単一ドナーの第三者調製物にて観察された現象が複数の第三者ドナーに関しても当てはまることを検証するために、実験を実施した。予期せぬことに、プールされた個別のドナーのアポトーシス細胞調製物を使用したときに、単一不適合ドナーの有益な効果は失われた(図3)。各ドナーの有益な効果は別々に維持されているため、これはGvHDに起因するものではない(試験結果は示されていない)。1つの可能性は、初期アポトーシス細胞調製物の有益な効果が、個別のドナー細胞のそれらの間の相互作用によって失われたということである。さらに、異なるドナーのこの可能な相互作用がガンマ線照射によって回避され得るかを調査した。
【0485】
図3に示される通り、単一ドナーの有益な効果は、ガンマ線照射後に完全に復活しており、照射された複数ドナー調製物及び単一ドナー調製物(照射されたまたは照射されていない)は、類似の生存パターンを有した。
【0486】
結論:
【0487】
驚くべきことに、照射(及び、場合によりT細胞受容体の阻害を導く任意の方法)は、T細胞の望ましくない増殖及び活性化を回避するだけでなく、複数ドナーの第三者アポトーシス細胞の調製物を使用したときに免疫変調の有益な効果を可能にすることが、今回初めて示された。
【0488】
本明細書において特定の特徴が例証及び説明されているが、当業者は、多数の修正、置換、変更、及び同等物を思い付くであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、かかる修正及び変更を本明細書の開示の真の精神に入るように包含することが意図されることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B