(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159369
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faの混合物のHCFO-1233zd(E)への触媒転換のプロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 17/25 20060101AFI20231024BHJP
C07C 21/18 20060101ALI20231024BHJP
C07C 17/358 20060101ALI20231024BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
C07C17/25
C07C21/18
C07C17/358
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023137000
(22)【出願日】2023-08-25
(62)【分割の表示】P 2020523282の分割
【原出願日】2018-10-25
(31)【優先権主張番号】15/794,562
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ジュンゴング
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・シー・マーケル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】全体的な収率を向上させ、製造コストが低減される、HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faを含む混合物の製造方法を提供する。
【解決手段】HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faを含有する組成物を同時に転化して、HCFO-1233zd(E)を形成する方法であって、HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faを含む組成物を供給する工程と、組成物を、オキシフッ化クロム触媒の存在下で反応器内の気相中で反応させて、HCFO-1233zd(Z)を異性化してHCFO-1233zd(E)を形成すること、及びHCFC-244faをデヒドロハロゲン化してHCFO-1233zd(E)を形成することを同時に行う工程と、を含み、反応工程が、200℃~250℃の温度で行われる、方法とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faを含有する組成物を同時に転
化して、HCFO-1233zd(E)を形成する方法であって、
HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faを含む組成物を供給する工程
と、
反応器内の気相中の前記組成物を、三フッ化クロム(CrF3)触媒の存在下で反応さ
せて、HCFO-1233zd(Z)を異性化してHCFO-1233zd(E)を形成
すること、及びHCFC-244faをデヒドロハロゲン化してHCFO-1233zd
(E)を形成することを同時に行う工程、とを含む、方法。
【請求項2】
前記反応工程が、80℃~250℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応工程が、100℃~200℃の温度で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物と前記触媒との間の接触時間が、1秒~150秒である、請求項1に記載の
方法。
【請求項5】
前記組成物と前記触媒との間の接触時間が、25秒~125秒である、請求項4に記載
の方法。
【請求項6】
前記反応器内の圧力が25psig~100psigである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記反応工程中に、前記反応器が50ppm未満の水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応工程が、88%~96%のHCFO-1233zd(Z)のHCFO-123
3zd(E)への転化を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記反応工程が、90%~99%のHCFC-244faのHCFO-1233zd(
E)への転化を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応工程が、90%~97%のHCFO-1233zd(E)に対する選択率を達
成する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1.開示の分野
本開示は、(Z)-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-12
33zd(Z)、又は1233zd(Z))及び1-クロロ-1,3,3,3-テトラフ
ルオロプロパン(HCFC-244fa、又は244fa)の混合物の(E)-1-クロ
ロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(E)、又は1233
zd(E))への触媒転換のプロセスに関する。
【0002】
2.関連技術の説明
(E)-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(
E)、又は1233zd(E))は、発泡剤、溶媒、及び冷媒としての用途を有する新た
な低地球温暖化及び非オゾン層破壊分子である。この分子の用途及び関心は、その製造の
ためのいくつかの製造プロセスの開発をもたらした。商業規模では、HCFO-1233
zd(E)は、フッ化水素酸(HF)を用いて1,1,1,3,3-ペンタクロロジプロ
パン(HCC-240fa)をフッ素化することによって生成され、ここで、(Z)-1
-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(Z)、又は1
233zd(Z))は、約2重量%~10重量%の1-クロロ-1,3,3,3-テトラ
フルオロプロパン(HCFC-244fa、又は244fa)と共に、HCFO-123
3zd(E)対HCFO-1233zd(Z)の比が約10~20:1の副生成物として
生成される。不都合なことに、HCFO-1233zd(Z)及びHCFC244faの
形成は、収量低下をもたらす。
【0003】
HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faの沸点が類似するという事実
のため、これらの化合物の対応する混合物は共沸様特性を示し、これら2つの成分は従来
の蒸留手法によって分離することができない。また、HCFO-1233zd(Z)は、
代替的なより高沸点の溶媒として適用されているが、HCFC-244faは特に毒性で
あり、これらの化合物の混合物を長期間保存することを不可能としている。結果として、
HCFO-1233zd(E)の商業生産から得られたHCFC-244fa及びHCF
O-1233zd(Z)の混合物は、典型的には、廃棄のために熱酸化装置に輸送され、
更なる製造コストを招く。
【0004】
したがって、無駄を減らして、全体的な収率を向上させ、製造コストが低減されるよう
に、HCFC-244fa及びHCFO-1233zd(Z)の混合物の生産用途を開発
するニーズが高まっている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faを含む混合物を触
媒の存在下で気相中にて反応させ、HCFO-1233zd(Z)を異性化してHCFO
-1233zd(E)を形成すること、及びHCFC-244faをデヒドロハロゲン化
してHCFO-1233zd(E)を形成することを同時に行うことにより、HCFO-
1233zd(Z)及びHCFC-244faを含有する組成物を転化してHCFO-1
233zd(E)を形成する方法を提供する。触媒は、例えば、三フッ化クロム、オキシ
フッ化クロム、又は酸化クロム等のクロム系触媒であってもよい。
【0006】
その一形態では、本発明は、HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244fa
を含有する組成物を同時に転化してHCFO-1233zd(E)を形成する方法であっ
て、HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faを含む混合物を供給する工
程と、三フッ化クロム(CrF3)触媒の存在下で反応器内の気相中にて組成物を反応さ
せて、HCFO-1233zd(Z)を異性化してHCFO-1233zd(E)を形成
すること、及びHCFC-244faをデヒドロハロゲン化してHCFO-1233zd
(E)を形成することを同時に行う工程、とを含む方法を提供する。
【0007】
反応工程は、80℃~250℃の温度、又は100℃~200℃の温度で行われ得る。
組成物と触媒との間の接触時間は、1秒~150秒であってもよく、又は25秒~125
秒であってもよい。反応器内の圧力は、25psig~100psigであってもよい。
【0008】
反応工程中、反応器は、50ppm未満の水を含んでもよい。反応工程は、88%~9
6%のHCFO-1233zd(Z)のHCFO-1233zd(E)への転化率を達成
し得て、90%~99%のHCFC-244faのHCFO-1233zd(E)への転
化率を達成し得て、及び/又は90%~97%のHCFO-1233zd(E)に対する
選択率を達成し得る。
【0009】
供給工程において、全不純物は、組成物の総重量に基づいて10重量%未満の量で存在
してもよく、組成物の総重量に基づいて6重量%未満の量で存在してもよく、又は組成物
の総重量に基づいて1.5重量%未満の量で存在してもよい。組成物中に存在する場合、
任意のHCFC-243fa及びHCFC-243dbは、組成物の総重量に基づいて3
重量%未満の量で存在してもよい。
【0010】
反応工程後、方法は、追加で、蒸留塔内で組成物を蒸留する工程;蒸留塔から塔頂流を
除去する工程であって、塔頂流をHCFO-1233zd(E)に濃縮する工程;並びに
蒸留塔から塔底流を除去する工程であって、塔底流をHCFO-1233zd(Z)及び
HCFC-244faに濃縮する工程、を含み得る。方法は、第2の除去工程の後に、塔
底流を反応器に再循環する追加の工程を更に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面を考慮して、本開示の実施形態についての以下の記載を参照することによっ
て、本開示の上述及び他の特性、並びにそれらを達成する様式がより明らかになり、本開
示自体がより良好に理解されるであろう。
【0012】
【
図1】以下の反応を示す:(i)HCFO-1233zd(Z)の異性化によるHCFO-1233zd(E)の形成、及び(ii)HCFC-244faのデヒドロハロゲン化によるHCFO-1233zd(E)、フッ化水素、及び塩化水素の形成;並びに
【
図2】
図1の反応を実施するためのプロセスの概略図である。
【0013】
対応する参照文字は、いくつかの図にわたって対応する部分を示す。図面は、本開示に
従った様々な特性及び構成要素の実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺どおりではなく
、本開示をより良好に例示及び説明するために、ある特定の特性が誇張されている場合が
ある。本明細書に記載される例証は、本開示の実施態様を例示するものであり、かかる例
証は、いかなる様式においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではな
い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faを含む混合物を触
媒の存在下で気相中にて反応させ、HCFO-1233zd(Z)を異性化してHCFO
-1233zd(E)を形成すること、及びHCFC-244faをデヒドロハロゲン化
してHCFO-1233zd(E)を形成することを同時に行うことにより、HCFO-
1233zd(Z)及びHCFC-244faを含有する組成物を転化してHCFO-1
233zd(E)を形成する方法を提供する。触媒は、例えば、三フッ化クロム、オキシ
フッ化クロム、又は酸化クロム等のクロム系触媒であってもよい。
【0015】
図1を参照すると、HCFO-1233zd(E)(すなわち、トランス-HCFO-
1233zd、又はt-1233zd)を形成するためのHCFO-1233zd(Z)
(すなわち、シス-HCFO-1233zd、又はc-1233zd)の異性化を反応(
i)に示し、HCFO-1233zd(E)、フッ化水素、及び塩化水素を形成するため
のHCFC-244faのデヒドロハロゲン化を反応(ii)に示す。本開示によれば、
前述の両方の反応が、同じ触媒を使用して同時に行われ得ることが見出された。具体的に
は、本開示は、HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faの混合物を、不
均一気相触媒作用によってHCFO-1233zd(E)に転化する製造プロセスを紹介
する。
【0016】
本反応を実施するためのプロセスの概略図を
図2に示す。HCFO-1233zd(Z
)及びHCFC-244faを含むインプット流10が反応器12に提供される。インプ
ット流10中のHCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faは、特定の副生
成物の形成を回避するために、以下に記載されるように、互いに対して及び/又は混合物
全体の総重量に対して任意の所望の量で存在してもよいが、インプット流10中のHCF
C-244faの総量を制限することが望ましい場合がある。
【0017】
インプット流10は、それ自体が、HCFO-1233zd(E)を調製するための商
業生産プロセスから得られる留分であってもよい。この点について、インプット流10は
また、HCFO-1233zd(E)へのインプット流10内に存在するHCFO-12
33zd(Z)及びHCFC-244faの転化に影響を与えない、任意の量のHCFO
-1233zd(E)を含んでもよい。あるいは、インプット流10は、未反応のHCF
O-1233zd(Z)及びHCFC-244faを含む、下記の蒸留塔からの再循環流
であってもよい。インプット流10はまた、前述の組み合わせであってもよい。
【0018】
インプット流10はまた、例えば、HCFC-243fa及びHCFC-243db等
の微量の他の不純物を含む場合があり、流れ10の組成物の総重量に基づいて、HCFO
-1233zd(Z)及びHCFC-244faの混合物中のHCFC-243fa及び
HCFC-243dbの3重量%未満の量の存在は、生成物の分布に顕著な影響をほとん
ど又は全く有していないことが見出された。
【0019】
インプット流10内の不純物、具体的には、インプット流10中のHCFO-1233
zd(Z)、HCFC-244fa、及びHCFO-1233zd(E)以外の全ての化
合物の総量は、インプット流中の全ての化合物の総重量に基づいて、10重量%未満、8
重量%未満、6重量%未満、又は更には1.5重量%未満であってもよく、より高濃度の
不純物は、潜在的に経時的な触媒活性の喪失をもたらす可能性があるため、より多量の不
純物は長時間の操作期間には望ましくない。
【0020】
反応器12では、HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faを気化させ
、本反応では固体触媒である不均一触媒等の触媒の存在下で気相中にて反応させる。
【0021】
好適なクロム系触媒としては、酸化クロム、オキシフッ化クロム、及びハロゲン化クロ
ムが挙げられる。酸化クロムは、非晶質酸化クロム(Cr2O3)、結晶性酸化クロム、
及びこれらの組み合わせを含んでもよい。オキシフッ化クロムとしては、HFで前処理さ
れたフレッシュ非晶質酸化クロム(Cr2O3)、HFで前処理されたフレッシュ結晶性
酸化クロム(Cr2O3)、非晶質オキシフッ化クロム(CrxOyFz、式中、xは1
又は2であってもよく、yは1又は2であってもよく、zは1、2、又は4であってもよ
い)、結晶性オキシフッ化クロム(CrxOyFz、式中、xは1又は2であってもよく
、yは1又は2であってもよく、zは1、2、又は4であってもよい)、及びこれらの組
み合わせが挙げられる。一実施形態では、触媒は非晶質オキシフッ化クロム(CrxOy
Fzであり、式中、xは1又は2であってもよく、yは1又は2であってもよく、zは1
、2、又は4であってもよい)。ハロゲン化クロムとしては、三フッ化クロム(CrF3
)、三塩化クロム(CrCl3)、三ヨウ化クロム(CrI3)及び三臭化クロム(Cr
Br3)、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。一実施形態では、触媒は、
三フッ化クロム(CrF3)である。
【0022】
クロム系触媒に加えて、他の好適な触媒としては、フッ化ニッケル、フッ化チタン、フ
ッ化モリブデン、フッ化コバルト、フッ化アルミニウム、及び前述のものの組み合わせ等
の他の金属ハロゲン化物が挙げられる。
【0023】
反応器12内の好適な反応温度は、例えば、低ければ100℃、125℃、150℃、
175℃、又は高ければ200℃、225℃、250℃若しくは275℃、又は100℃
~275℃、125℃~250℃、150℃~225℃若しくは175℃~200℃等の
前述の値の任意の対の間で定義される任意の範囲内であってもよい。
【0024】
有利には、触媒として三フッ化クロム(CrF3)を使用する場合、本発明の同時異性
化及びデヒドロハロゲン化の反応は、例えば、80℃、100℃若しくは125℃、又は
高ければ175℃、200℃若しくは250℃、又は80℃~250℃、100℃~20
0℃若しくは125℃~175℃等の前述の値の任意の対の間で定義される任意の範囲内
の比較的低い温度で有効な転化率及び選択率を達成するために行われ得る。
【0025】
反応器12内の好適な反応圧力は、例えば、低ければ0psig、25psig、50
psig若しくは75psig、又は高ければ100psig、125psig若しくは
150psig、又は0psig~150psig、25psig~125psig若し
くは50psig~100psig等の前述の値の任意の対の間で定義される任意の範囲
内であってもよい。一実施形態では、反応器内の反応圧力は、約50psigである。
【0026】
使用される触媒の量は変化し得るが、一般的には、反応器12内の流れ10と触媒との
間の接触時間は、例えば、短ければ1秒、25秒若しくは50秒であってもよく、又は長
ければ100秒、125秒若しくは150秒であってもよく、又は1秒~150秒、25
秒~125秒若しくは50秒~100秒等の前述の値の任意の対の間で定義される任意の
範囲内であってもよい。
【0027】
反応器12内の水又は水蒸気の存在は、クロム系触媒に有害な影響を及ぼし、急速な触
媒不活性化につながる可能性がある。したがって、反応器12内のインプット流及び/又
は混合物は、例えば、0.0050重量%(50ppm)未満の水、0.0030重量%
(30ppm)未満の水、又は0.0020重量%(20ppm)未満の水を含んでもよ
い。
【0028】
HCFO-1233zd(E)を形成するためのHCFO-1233zd(Z)及びH
CFC-244faの同時の異性化及びデヒドロハロゲン化の間にそれぞれ生成され得る
1つの副生成物は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa
)である。HFC-245faの形成は、HCFO-1233zd(E)及びHFC-2
45faの間の二成分共沸混合物の潜在的な形成に起因して収量低下をもたらす。しかし
ながら、反応混合物が15重量%未満のHCFC-244faを含む場合、望ましくない
副生成物であるHFC-245faに対する選択率は、5%未満に限定され得ることが見
出された。
【0029】
HFC-245faに加えて、フッ化水素酸及び塩酸は、HCFC-244faのデヒ
ドロハロゲン化反応から作製される。
図2を参照すると、反応中に作製されたこれらの酸
は、例えば、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液16を使用して生成物流を苛性スクラ
バー14に通すことによって、生成物及び副生成物の分布に影響を与えることなく中和さ
れ得るが、他の濃度の他の苛性(塩基性)溶液を使用してもよい。苛性スクラバー14を
通過させた後、組成物を、水分を除去するのに好適な乾燥剤を含む乾燥機18を通過させ
てもよい。
【0030】
HFC-245faに加えて、他の副生成物は、HCFC-243fa、及び1,3,
3,3-テトラフルオロプロペンの両方の異性体(HFO-1234ze(Z)及びHF
O-1234ze(E))を含んでもよい。HCFO-1233zd(E)と二成分共沸
混合物を形成する可能性があるHFC-245faを除いて、
図2に示すように、全ての
他の副生成物は、蒸留塔20を使用する従来の上流によってHCFO-1233zd(E
)生成物から容易に分離することができ、この蒸留塔では、副生成物が、それらの沸点に
応じて塔頂流22又は塔底流24のいずれかにおいて除去される。
【0031】
HCFO-1233zd(E)生成物は、塔頂流22に濃縮され、これは、塔底流24
中よりも多くのHCFO-1233zd(E)生成物が塔頂流22に存在することを意味
し、任意の残りの未反応HCFO-1233zd(Z)及びHCFC-244faは塔底
流24に濃縮され、塔頂流22中よりも多くのHCFO-1233zd(Z)及びHCF
C-244faが塔底流24に存在することを意味する。任意に、未反応HCFO-12
33zd(Z)及びHCFC-244faは、再循環流26を経て反応器12に戻されて
もよい。
【0032】
有利には、本プロセスでは、同時のHCFO-1233zd(Z)の異性化及びHCF
C-244faのデヒドロハロゲン化の間のHCFO-1233zd(Z)のHCFO-
1233zd(E)への転化率は、88%超、90%超、93%超、95%超、最大96
%であってもよく、同時のHCFO-1233zd(Z)の異性化及びHCFC-244
faのデヒドロハロゲン化の間のHCFC-244faのHCFO-1233zd(E)
への転化率は、99%超、90%、92%超、95%超、97%超、及び最大96%又は
99%であってもよい。
【0033】
また、本プロセスでは、同時のHCFO-1233zd(Z)の異性化及びHCFC-
244faのデヒドロハロゲン化に基づいて、HCFO-1233zd(E)に対する選
択率は、90%超、92%超、95%超、96%超、最大97%であってもよい。
【実施例0034】
CrF3触媒を用いた同時異性化及びデヒドロハロゲン化
HCFO-1233zd(Z)、HCFC-244fa、及びHCFO-1233zd
(E)からなる供給流を気化させ、気相中にてCrF3触媒上で反応させて、HCFO-
1233zd(E)を生成した。具体的には、約77GC面積%のHCFO-1233z
d(Z)、7.97GC面積%のHCFC-244fa、及び13.89GC面積%のH
CFO-1233zd(E)からなる供給材料を気化させ、0.3lb/時(136g/
時)の速度、及び50psigの反応器圧力で0.28LのCrF3ペレットを含有する
1インチ反応器に供給した。反応温度を100℃~220℃に変化させた。観察された平
均生産性は、CrF3触媒1立方フィート(0.028立方メートル)当たり27.72
5lb/時間(1.26kg/時間)のHCFO-1233zd(E)であった。表1は
、CrF3触媒を用いた、温度の関数として、HCFO-1233zd(Z)及びHCF
C-244faの平均転化率、並びにHCFO-1233zd(E)及び副生成物に対す
る平均選択率を示す。
【0035】