(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159417
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】マルチパラメータ代謝脆弱性指数評価
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20231024BHJP
G01N 33/64 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/64
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023139487
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2020514607の分割
【原出願日】2018-09-07
(31)【優先権主張番号】62/555,421
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/619,497
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
3.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】520077160
【氏名又は名称】リポサイエンス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LIPOSCIENCE,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】オトボス,ジェームス,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シャラウロヴァ,イリナ,ワイ.
(57)【要約】
【課題】何らかの原因からの早死の人のリスクをよりよく予測又は評価することができる因子で構成されるリスク計算器が必要である。
【解決手段】少なくとも1つの定義されたリスクの数学モデルを使用して、被験者の代謝脆弱性指数(MVX)スコアを判定する為の方法及びシステムが開示される。本方法は、様々な健康リスクを区別する為に様々な生体指標を評価することを含む。一実施形態では、本方法は、生体指標を評価して、早期全原因死亡率の相対リスクを判定することを含む。モデルは、被験者の少なくとも1つの生体サンプル中のGlycA、S-HDLP、分岐鎖アミノ酸(BCAA)、ケトン体、総血清タンパク質、及びクエン酸塩のNMR由来測定値を含んでいてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の早死の相対リスクに関連付けられた指標のレベルを判定する方法であって、
被験者からサンプルを得ることと、
GlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)とを測定することを含む方法。
【請求項2】
前記GlycAと、前記少なくとも1つのHDLPサブクラスと、前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体の測定値を使用して、代謝脆弱性指数(MVX)値を生成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である請求項1又は2の何れか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記MVX値が、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用して判定される請求項2又は3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用して判定される請求項2又は3の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
心血管事象に関して低リスクであると思われる被験者において前記MVX値が判定される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
更に、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することを含む請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項8】
クエン酸塩及び血清タンパク質の少なくとも1つの前記測定が、CVD関連死に関して高リスクであると思われる被験者において行われる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用して判定される請求項7又は8の何れか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義される請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
GlycA及び前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの前記測定値を使用して、炎症指数(INFX)値を生成する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
のモデルを使用して、前記INFX値を判定する請求項10又は11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体、並びに任意でタンパク質及びクエン酸塩の測定値を使用して、代謝栄養失調指数(MMX)値を生成する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記代謝栄養失調指数(MMX)値が、MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
と定義される請求項10又は13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記代謝栄養失調指数(MMX)が第1の代謝栄養失調指数MMX1値と、第2の代謝栄養失調指数MMX2値とを含む請求項10、13、又は14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
MMX=β9*MMX1+β10*MMX2である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
MMX1=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyである請求項15又は16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)である請求項15又は16の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記MVX値がMVX1=βi*INFX+βm*MMX1のモデルを使用して判定される請求項15乃至17の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
MVX1は、CVD関連事象について低リスクであると思われる被験者について判定される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記MVX値が、MVX=βi*INFX+βm*MMX、但しMMX=β9*MMX1+β10*MMX2のモデルを使用して判定される請求項15に記載の方法。
【請求項22】
MVXは、CVD関連事象について高リスクであると思われる被験者について判定される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記BCAAがロイシン、イソロイシン、又はバリンの少なくとも1つである請求項1乃至22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ケトン体がアセトン、アセトアセテート、又はベータ-ヒドロキシブチレートのうちの少なくとも1つである請求項1乃至23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記測定は、NMRによって実施される請求項1乃至24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
被験者の早死の相対リスクに関連付けられた指標のレベルを判定する方法は、
前記被験者からサンプルを得ることと、
GlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することと、
GlycAと前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの測定値を用いて、炎症指数(INFX)値を生成することと、
前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体と、任意で、タンパク質及びクエン酸塩の前記測定値を使用して、少なくとも1つの代謝栄養失調指数(MMX)値を生成することと、
INFX値及びMMX値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することと、を含む方法。
【請求項27】
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記測定は、NMRによって行われる請求項26又は27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1乃至28の何れか一項を行うシステム。
【請求項30】
GlycAに対する少なくとも1つの信号と、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスに対する少なくとも1つの信号と、少なくとも1つの分枝鎖アミノ酸(BCAA)に対する少なくとも1つの信号と、及び少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)に対する少なくとも1つの信号とを備えるNMRスペクトル(複数も含む)を取得するように構成されたNMR分光計と、
前記GlycA、前記少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラス、前記少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)、及び前記少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)に対して測定した少なくとも1つの信号に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定するプロセッサと、を備え、
プロセッサは、メモリを含むか、又はメモリと通信するシステム。
【請求項31】
更に、血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)に対する少なくとも1つの信号を含むNMRスペクトル及び/又は複数のスペクトルを取得するように構成されたNMR分光計と、
前記血清タンパク質(Protein)及び前記クエン酸塩(Citrate)に対して測定した少なくとも1つの信号に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定するプロセッサと、を備えた請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である請求項30又は31の何れか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyの式を使用して、GlycAと、少なくとも1つのケトン体と、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸と、前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの前記測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成された請求項30乃至32の何れか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用して判定される請求項30乃至32の何れか1つに記載のシステム。
【請求項35】
前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義される請求項30乃至32の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
NMR分光計と、
前記分光計と連通するフロープローブと、
(i)前記フロープローブ中の血中血漿又は血清試料のGlycAに関連付けられたNMRスペクトルの定義されたGlycA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(ii)前記フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたケトン体適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iii)前記フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたBCAA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iv)少なくとも1つのHDLPサブクラスと、任意で、血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)に対する少なくとも1つのNMR信号と、を取得するように構成された前記分光計と通信するプロセッサと、
を含むNMRシステム。
【請求項37】
前記プロセッサは、更に、前記GlycAと、前記少なくとも1つのケトン体と、前記少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸と、前記HDLPサブクラスのそれぞれの量を計算するように構成された請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である請求項36又は37の何れかに記載のシステム。
【請求項39】
前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
の式を使用して、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及び前記HDLPサブクラスの少なくとも1つの前記測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成された請求項36乃至38の何れかに記載のシステム。
【請求項40】
前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用して判定される請求項36乃至38の何れかに記載のシステム。
【請求項41】
前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義される請求項40記載の方法。
【請求項42】
患者を観察する方法であって、
前記被験者からサンプルを得ることと、
前記サンプル中のGlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することと、
前記測定値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することと、
少なくとも前記MVX値が、全原因死亡のリスク増加に関連付けられた集団ノルムの定義されたレベルを上回るかどうかを評価することと、を含む方法。
【請求項43】
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記測定は、NMRによって実施される請求項42乃至43の何れか一項に記載の方法。
【請求項45】
患者を観察する方法であって、
(a)被験者からサンプルを取得することと、
(b)前記サンプル中のGlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することと、
(c)前記測定値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することと、
(d)後の時点で工程(a)乃至(c)を繰り返すことと、
(e)少なくとも前記MVX値が経時的に増加又は減少したかどうかを評価することと、を含む方法。
【請求項46】
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記測定は、NMRによって行われる請求項45又は46の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、PVXを測定する方法とシステム(METHODS AND SYSTEMS FOR MEASURING PVX)と題する2017年9月7日に出願された米国仮特許出願第62/555,421号と、マルチパラメータ代謝脆弱性指数評価(MULTI-PARAMETER METABOLIC VULNERABILITY INDEX EVALUATIONS)と題する2018年1月19日に出願された米国仮特許出願第62/619,497号の利益を主張するものである。上記出願の全内容は、全てのテキスト、表及び図面を含めて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概ねインビトロの生体サンプルの分析に関する。本開示は、インビトロの生体サンプルのNMR分析に特に適していると考えられる。
【背景技術】
【0003】
心血管疾患(CVD)関連死は、「従来型の」CVD危険因子への長期曝露の最も重篤な転帰であると考えられる。フラミンガム子孫研究において広範に研究され、文書化されているこれらの危険因子には、年齢、性別、血圧、喫煙習慣及びコレステロール値が含まれる。非特許文献1を参照されたい。これらの因子は、CVD関連事象に罹患するリスクがある標準集団及び集団を差別化する為に長い間使用されてきた。
【0004】
通常は、冠動脈心疾患(CHD)及び/又はCVDの患者全体のリスクは、患者のLDL及びHDL粒子の数ではなく、LDLコレステロール(LDL-C)及びHDLコレステロール(HDL-C)として示される、これら粒子のコレステロール含有量の測定値に基づいて最初に評価される。治療の決定は、「悪玉」コレステロール(LDL-C)を減らし、及び/又は「善玉」コレステロール(HDL-C)を増加させることを目的として行われることが多く、二次的な焦点は、修正可能なフラミンガム危険因子を最適化することである。
【0005】
これらのフラミンガム因子に基づくリスク計算は、概ね、CVD関連事象の発生率を予測してもよい。しかしながら、これらのリスク計算器は、非致命的及び致命的CVD事象の両方から構成される複合的なCVDの転帰を予測する為に開発されたものである。更に、臨床試験では、通常は、研究の評価項目として複合的なCVDの転帰を使用する。最近の臨床試験の分析は、複合的なCVD評価項目の致命的及び非致命的要素に対する不均一な薬剤効果を示した。例えば、幾つかの試験におけるLDL低下薬は、複合的なCVD評価項目及び当該評価項目の非致命的事象要素の発生率を減少させたが、同じ薬剤でも、組み合わせた評価項目の致命的CVD事象要素又は全原因死亡率を減少させることができなかった。逆に、幾つかの糖尿病薬は、非致命的CVD事象ではなく、CVDによる死亡及び全原因死亡率を減少させるだけで、複合的なCVD評価項目を減少させた。これらの研究の結果は、潜在的に問題となり得る複合的なCVDの転帰によって、致命的及び非致命的CVD事象の決定基が異なる場合もあることを示している。
【0006】
従来のCVDリスク計算器は、様々な疾患状態の複雑な病態生理学を考慮に入れることはできず、幾つかの従来型CVD危険因子は、しばしば、栄養不良、慢性的に病気の患者における生存と逆説的に関連付けられる。例えば、慢性心臓及び腎臓疾患を有する患者では、肥満度指数、血清コレステロールレベル、及び血圧がより高い患者は、生存率が増加する。非特許文献2を参照されたい。これは、疾病状態とは無関係に、患者の罹患率及び死亡率のリスクを判定する為に、フラミンガム危険因子に対する臨床の信頼性に対する疑問を投げかけている。
【0007】
臨床医は、現在、患者の予後を予測する為の複合的な転帰に基づくリスク計算器から得た従来型のCVD危険因子に依存するという事実を考慮すると、非致命的事象を罹患するリスクとは対照的に、何らかの原因からの早死の人のリスクをよりよく予測又は評価することができる因子で構成されるリスク計算器が依然として必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ウィルソン(Wilson)他による、「コレステロールの危険因子スクリーニングに関する国家ガイドラインの影響、フラミンガム子孫研究」(Impact of National Guidelines for Cholesterol Risk Factor Screening, The Framingham Offspring Study)ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)1989年、262、pp. 41-44
【非特許文献2】カランター-ザデー(Kalanttar Zadeh)他による、「慢性心不全患者における従来の心血管危険因子の逆疫学」(Reverse Epidemiology of Conventional Cardiovascular Risk Factors in Patients with Chronic Heart Failure)アメリカ心臓病学会(Journal of the American College of Cardiology)2004年、42、pp.1439-44
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態は、定義された多要素リスク評価モデルを使用して、インビトロ血漿又は血清患者サンプルのNMRスペクトルを評価することにより、人の早期全原因死亡率の相対リスクを評価、及び/又は死亡リスク層化を提供して、患者の代謝脆弱性指数(MVX)スコアを判定する方法及びシステムを含む。
【0010】
MVXスコアは、小さいHDL粒子(S―HDLP)のような高密度リポタンパク質(HDL)のサブクラス、炎症指標GlycA、1つ以上の分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン及び/又はイソロイシン)、1つ以上のケトン体(ベータヒドロキシブチレート、アセトアセテート及び/又はアセトン)、及び任意でクエン酸塩(Citrate)及び/又は血清タンパク質(Protein)の量を含む、複数のNMR由来測定値を使用して計算してもよい。一実施形態では、HDLPサブクラスは、小さいHDL粒子(S―HDLP)である。
【0011】
本開示の実施形態は、人の早死のリスクに関連付けられた指標のレベルを判定する方法を含む。本方法は、人からサンプルを取ることと、GlycA、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)のサブクラス、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)、少なくとも1つのケトン体を測定することを含んでいてもよい。一実施形態では、高密度リポタンパク質粒子は、小さいHDL粒子(S―HDLP)である。幾つかの実施形態では、これらの測定値を使用してMVXスコアを生成する。幾つかの実施形態では、前記MVXスコアは、次のモデルを使用することによって判定される。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、前記MVX値は、次のモデルを使用することによって判定される。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
【0012】
尚、本開示を通して、A及びβ1-βnに対する経験的値は、使用するモデルによって変化し得る。例えば、MVXについての上記最初の式(即ち、β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)という項を含まない式)におけるβ1は、概ね、上記二番目の式(即ち、その生成物の項を含む式)におけるβ1とはそれぞれ異なる値である。
【0013】
幾つかの実施形態では、前記方法は、GlycAに加えて、クエン酸塩及びタンパク質の少なくとも1つ、少なくとも1つのHDLPサブクラス、少なくとも1つのBCAA、及び少なくとも1つのケトン体を測定することを含む。幾つかの実施形態では、クエン酸塩(Citrate)と血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを含む前記測定は、CVD関連の死亡のリスクが高いと思われる被験者について行われる。幾つかの実施形態では、前記MVX値は、次のモデルを使用して判定される。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
【0014】
幾つかの実施形態では、前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義される。幾つかの実施形態では、少なくともGlycA及び前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの前記測定値を使用して、炎症指数(INFX)値を生成する。幾つかの実施形態では、前記INFX値は、次のモデルを使用して判定される。
INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
【0015】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのBCAA及び少なくとも1つのケトン体の前記測定値を使用して、代謝栄養失調指数(MMX)値を生成する。幾つかの実施形態では、前記MMX値は、次のモデルを使用して判定される。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
このモデルは、MMX1で表記することができ、本明細書で詳細に議論するように、低リスクであると信じられる(例えば、周知の心血管(CV)事象を有していない)集団/被験者に使用される計算であってもよい。
【0016】
他の実施形態では、少なくとも1つのBCAA、少なくとも1つのケトン体、クエン酸塩、及びタンパク質の測定値を用いて、代替のMMX値を生成する。例えば、幾つかの実施形態では、前記MMX値は、次のモデルを使用して判定してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein
又は、前記MMX値は、次のモデルを使用して判定してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
このような実施形態では、MMXは、以下のように記載してもよい。MMX=β9*MMX1+β10*MMX2、但し、MMX1は上記の通りであり、MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)である。
【0017】
クエン酸塩及びタンパク質の測定値を含むMMX値を生成する為に使用される測定値は、概ねCVD関連死(例えば、心血管事象又は内在するCVDを示唆する症状を有する被験者)に関して高リスクであると思われる被験者及び/又は集団において行われる。
【0018】
従って、幾つかの実施形態では、前記代謝脆弱性指数は、次のように記載してもよい。
MVX=βi*INFX+βm*MMX
正常(即ち、低)リスク患者集団(例えば、周知のCV事象を有していなかった人々)に適用する為に、代謝脆弱性指数は、MVX1=βi*INFX+βm*MMX1として記載できる(但し、βi及びβmは、使用されるモデルによっては固有値を有している場合もある)。逆に、高リスク患者集団(例えば、周知のCV事象を有していた人々)に適用する為に、代謝脆弱性指数は、MVX=βi*INFX+βm*MMXとして記載できる。但し、βi及びβmは、使用するモデルと、MMX=β9*MMX1+β10*MMX2によっては固有値を有している場合もある。幾つかの場合において、βmは、低リスクモデル及び高リスクモデルの両方で同じである(例えば、
図16参照)。
【0019】
例えば、幾つかの場合において、MVXスコアは、致命的なCV事象又は他の原因による死亡に対する被験者の全体的な健康状態及びリスクを観察する方法として、高リスクの被験者又は集団において観察してもよい。又は、MVXスコアは、試薬の有効性を観察する方法として、高リスク集団で実施されている新薬の臨床試験で観察してもよい。低リスクの被験者の場合、臨床医は、一般的な健康及び健全を評価する為の手段としてMVX1値を観察することを選択してもよい。特定の実施形態では、心臓の健康を促進する生活様式への変化に関するガイドとしてMVX1値を使用してもよい。更に他の実施形態は、システムを対象とする。このシステムは、インビトロの生体サンプルの少なくとも1つのNMRスペクトルを取得する為のNMR分光計と、NMR分光計と通信する少なくとも1つのプロセッサとを含む。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのNMRスペクトルを用いて夫々の生体サンプルに対し、少なくとも1つのHDLサブクラス要素測定値、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸測定値、少なくとも1つのケトン体測定値、GlycA測定値、及び任意で、被験者のインビトロの生体サンプルの少なくとも1つから得られるクエン酸塩測定値及び/又はタンパク質測定値を検討することができる、早死のリスクの少なくとも1つの定義された数学モデルに基づいて、代謝脆弱性指数のスコアを判定するように構成してもよい。一実施形態では、HDLPサブクラスは、小さいHDLP(S―HDLP)である。幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次の式を使用して、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及び前記少なくとも1つの前記HDLPサブクラスの前記測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルを使用して前記MVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルを使用してMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むMVXスコアを計算するように構成してもよい。従って、幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルに基づいてMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=βi*INFX+βm*MMX
これらの実施形態では、プロセッサは、次のモデルを使用してINFX値を計算するように構成してもよい。
INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルを使用してMMX値を計算するように構成してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
このモデルは、MMX1と表記することができる。幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルを使用してMMXを計算するように構成してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein
別の実施形態では、プロセッサは、次のモデルを使用してMMXを計算するように構成してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
このような実施形態では、MMXは、以下のように記載してもよい。
MMX=β9*MMX1+β10*MMX2、但し、MMX1は上記の通りであり、MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)である。
【0020】
更に他の実施形態は、NMRシステムを対象とする。このシステムは、NMR分光計と、分光計と通信するフロープローブと、及び分光計と通信する少なくとも1つのプロセッサとを含む。少なくとも1つのプロセッサは、(i)フロープローブ中の血中血漿又は血清試料のGlycAに関連付けられたNMRスペクトルの定義されたGlycA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(ii)フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたケトン体適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iii)フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたBCAA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iv)HDLPサブクラスパラメータの少なくとも1つのNMR信号とを取得するように構成してもよい。プロセッサは、更に、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及びHDLPサブクラスパラメータの測定値を計算するように構成してもよい。このシステムは、更に、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、HDLPサブクラスパラメータの少なくとも1つ、及び任意で血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)の計算された測定値を使用する全原因死亡率のリスクの定義された数学モデルを使用してMVXスコアを計算するように構成してもよい。一実施形態では、HDLPサブクラスは、小さいHDLP(S―HDLP)である。幾つかの実施形態では、システムは、更に、次の式を使用して、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及びHDLPサブクラスの少なくとも1つの測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、システムは、更に、次のモデルを使用してMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、システムは、更に、次のモデルを使用してMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
幾つかの実施形態では、システムは、更に、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むMVXスコアを計算するように構成してもよい。従って、幾つかの実施形態では、システムは、更に、次のモデルに基づいてMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=βi*INFX+βm*MMX
これらの実施形態では、システムは、更に、次のモデルを使用してINFX値を計算するように構成してもよい。
INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
幾つかの実施形態では、システムは、更に、次のモデルを使用してMMX値を計算するように構成してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
このモデルは、MMX1と表記することができる。幾つかの実施形態では、システムは、更に、次のモデルを使用してMMXを計算するように構成してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein
別の実施形態では、システムは、更に、次のモデルを使用してMMXを計算するように構成してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
このような実施形態では、MMXは、以下のように記載してもよい。
MMX=β9*MMX1+β10*MMX2、但し、MMX1は上記の通りであり、MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)である。
【0021】
本開示の更なる局面は、患者を観察して、治療を評価するか、又は患者が早死のリスクがあるかどうかを判定する方法に関する。本方法は、少なくとも1つの選択されたHDLPサブクラス、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、少なくとも1つのケトン体、及びGlycA及び任意の少なくとも1つのタンパク質又はクエン酸塩のNMR由来測定値を含む複数の要素を含む、本明細書に開示される少なくとも1つの定義されたMVX数学モデルをプログラム的に提供することを含んでいてもよい。この方法は、更に、NMR由来測定値を含むスペクトルをプログラム的に解析することを含んでもよい。本方法はまた、少なくとも1つの定義されたモデル及び対応する患者サンプル測定値を使用して夫々の患者のMVXスコアをプログラム的に計算することと、(i)MVXスコアが、全原因死亡のリスク増加に関連付けられた集団ノルムの定義されたレベルを上回るかどうか、及び/又は、(ii)代謝脆弱性指数が、治療に応答して経時的に増加又は減少するかどうかのうちの少なくとも1つを評価することとを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、MVXスコアは、次の式を使用して、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及び少なくとも1つのHDLPサブクラスの測定値に基づいて計算してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、MVXスコアは、次のモデルを使用することによって計算してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、MVXスコアは、次のモデルを使用することによって計算してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
幾つかの実施形態では、前記MVXスコアの計算は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含む。従って、幾つかの実施形態では、MVXスコアの計算は、次のモデルに基づいてもよい。
MVX=βi*INFX+βm*MMX
これらの実施形態では、INFX値の計算は、次のモデルを使用してもよい。
INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
幾つかの実施形態では、MMX値の計算は、次のモデルを使用してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
このモデルは、MMX1と表記することができる。幾つかの実施形態では、MMXスコアの計算は、次のモデルであり得る。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein
別の実施形態では、MMXスコアの計算は、次のモデルを使用してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
このような実施形態では、MMXは、次のように記載してもよい。
MMX=β9*MMX1+β10*MMX2、但し、MMX1は上記の通りであり、MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)である。
【0022】
本開示の更なる特徴、利点及び詳細は、以下の好ましい実施形態の図面及び詳細な説明を読むことにより当業者に理解されよう。また、そのような説明は本開示の単なる例示に過ぎない。一実施形態に関して記載された特徴は、その他の実施形態と共に組み込まれることができるが、これに限定されない。即ち、一実施形態に対して説明した本開示の局面は、特に記載はしないが、別の実施形態に組み込んでもよいことは理解できよう。即ち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、任意の方法及び/又は組合せで組み合わせることができる。本開示の上記及び他の目的及び/又は態様について、以下に述べる明細書において詳細に説明する。
【0023】
本開示を考慮すれば当業者には理解されるように、本開示の実施形態は、方法、システム、装置及び/又はコンピュータプログラム製品又はそれらの組合せを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一実施形態に従ってMVXを測定する方法の概略を示す。
【
図2】本開示の一実施形態によるMVX測定値を使用する方法の概略図を示す。
【
図3】本開示の実施形態によるMVXスコアにより層化されたCATHGEN参加者のサブグループについて、5年にわたる累積死亡率を示すグラフである。合計で、1263人の参加者が、5年の追跡調査の間に死亡した。
【
図4】本開示の一実施形態による、CATHGEN試験集団における死亡率についてのコックス比例ハザード予測モデルにおける、INFX、MMX及びMVXを計算する際に使用されるパラメータを含むパラメータの予測力(X
2)及び統計的有意性(p値)を示す表である。5年間の追跡調査の間、6936人のCATHGEN参加者のうち、1259人が死亡した。
【
図5】CATHGEN研究における5年追跡調査中の死亡率についてのコックス予測モデルにおけるパラメータの予測力及び統計的有意性を示す2つの表を示す。左のモデルは、炎症指数(INFX)及び代謝栄養失調指数(MMX)パラメータを含み、右のモデルは、MVXパラメータを含み、夫々が本開示の一実施形態によるものである。
【
図6】コックス予測モデルにおいて、本開示の一実施形態によるMVXを含むパラメータの予測力及び統計的有意性を示す2つの表を示しており、CATHGEN試験集団において、1年間という短期間の追跡調査中(左表)と、それより長い平均7年間の追跡調査中(右表)の死亡率を示す。
【
図7】本開示の実施形態による、CATHGEN試験集団における3つの追跡調査期間の間に生じる死亡率について、MVX単独(上段)又はMVXプラス9つの追加共変量パラメータ(下段)を含むコックス予測モデルの尤度比カイ二乗統計量によって提供される予測力を示す表である。
【
図8】左表は、本開示の実施形態による、MVXスコアの五分位数で層化されたMESA研究において、女性参加者に対し、12年に亘る追跡調査の累積死亡率を示すグラフである。12年の追跡調査期間に3581人の女性のMESA参加者のうち412人が死亡した。右表は、本開示の実施形態による、MVXスコアの五分位数で層化されたMESA研究において、男性参加者に対し、12年に亘る追跡調査の累積死亡率を示すグラフである。12年の追跡調査の間に3198人の男性のMESA参加者のうち554人が死亡した。
【
図9】MESAの参加者についての多項ロジスティック回帰モデルで評価される、本開示の一実施形態に従って判定されたMVXの予測力及び統計的有意性と、非CVD死亡率及び複合的なCVDの転帰の致命的及び非致命的要素に関する他のパラメータを示す表である。
【
図10】MESAの参加者についての多項ロジスティック回帰モデルで評価される、本開示の一実施形態に従って判定されたMVXの予測力及び統計的有意性と、鬱血性心不全(CHF)と死亡率の二重の転帰に関する他のパラメータを示す表である。
【
図11】MESAの参加者についての多項ロジスティック回帰モデルで評価される、本開示の一実施形態に従って判定されたMVXの予測力及び統計的有意性と、癌と死亡率の二重の転帰に関する他のパラメータを示す表である。
【
図12】MESAの参加者についての多項ロジスティック回帰モデルで評価される、本開示の一実施形態に従って判定されたMVXの予測力及び統計的有意性と、慢性腎疾患(CKD)と死亡率の二重の転帰に関する他のパラメータを示す表である。
【
図13】本開示の実施形態によるMVX評価モジュール及び/又は回路の為のシステムの概略図を示す。
【
図14】本開示の実施形態によるNMR分光分析装置の概略図を示す。
【
図15】本開示の実施形態に係るデータ処理システムの概略図を示す。
【
図16】本開示の実施形態による、大まかな、そして異なる患者集団において、INFX、MMX1、MMX2、MMXスコアを開発する為に使用される分析の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の上記及び他の目的及び態様について、以下に述べる明細書において詳細に説明する。
【0026】
ここで、本開示の実施形態を示す添付図面を参照して、本開示を以下でより詳しく説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書で説明する実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が一貫して、かつ完全なものとなるように提供されるものであり、当業者には本開示の範囲を十分に伝え得るものである。
【0027】
全体を通して同様の参照番号は同様の要素を示すものである。図面では、明確に示す為に、一部の線の太さ、層、構成要素、要素、又は特徴が強調されている場合もある。破線は、特に指定されない限り、任意の特徴又は動作を示す。
【0028】
A.定義及び用語
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明する目的で使用するものであり、本開示を限定することを意図したものではない。本明細書では、文脈が明らかに示されない限り、単数だけでなく複数も含まれることを意図している。更に、本明細書で使用される用語「含む」及び/又は「含んでいる」は、述べられた特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を述べるものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことが理解されるであろう。本明細書で使用される、用語「及び/又は」は、列挙された関連項目の1つ以上の任意及び全ての組合せを含むものである。本明細書で使用される「XとYとの間」及び「約XとYとの間」のような語句は、XとYを含むものであることを理解するものとする。本明細書で使用される「約XとYとの間」のような語句は、「約Xと約Yの間」を意味する。本明細書で使用される「約XからYまで」のような語句は、「約Xから約Yまで」を意味する。
【0029】
特に定義しない限り、ここで使用される全ての用語(技術的又は科学的用語を含む)は、一般に本開示が属する技術分野の当業者によって理解されるものと同じ意味を有するものである。一般に使用される辞書で定義されるような用語は、明細書の文脈及び関連技術における意味と一致する意味を有すると理解すべきであり、本明細書に明確に定義されていない限り、理想化された、又は過度に正式な意味で解釈されるべきではないことが更に理解されるであろう。周知の機能又は構造は、簡潔及び/又は明瞭の為に記載しない場合もある。
【0030】
本明細書で様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又は区分を説明するときに「第1」「第2」などを称することがあるが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は区分は、これらの用語によって限定されるものではないことは理解できよう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層又は区分を、別の領域、層又は区分から区別する為に使用されるだけである。従って、以下に論ずる第1の要素、構成要素、領域、層又は区分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層又は区分と呼ぶことができる。動作(又は工程)の順番は、特に指定がない限り、請求項又は図面に示された順番に限定するものではない。
【0031】
用語「プログラム的に」は、コンピュータプログラム及び/又はソフトウェア、プロセッサ、又はASICに向けられた動作を利用して行われることを意味する。用語「電子」及びその派生語は、精神的工程を介するのではなく、電気回路及び/又はモジュールを有する装置を使用して実行される自動化された、又は半自動化された動作を指し、通常は、プログラム的に実行される動作を指す。用語「自動化された」及び「自動化の」は、作業を最小限にするか又は手作業や手入力なく、動作を行うことができることを意味する。用語「半自動化された」は、オペレータが幾つかの入力又は起動ができるようにすることを指すが、計算及び信号取得並びにイオン化された成分の濃度の計算は、手動入力を必要とすることなく、電子的に、通常はプログラム的に行われる。
【0032】
用語「約」は、指定された値又は数の+/-10%(中央値又は平均)を指す。
【0033】
用語「患者」は広い意味で使用し、試験又は分析の為の生体サンプルを提供する個体を指す。
【0034】
用語「GlycA」は、N-アセチルグルコサミン及び/又はN-アセチルガラクトサミン部分を含む急性相反応物糖タンパク質の炭水化物部分からの、より詳細には、2つのNAcGlc及び2つのNAcGalメチル基のプロトン由来の複合的なNMR信号の測定から導き出される生体指標を指す。GlycA信号は、約47℃(+/-0.5℃)で血漿NMRスペクトルにおいて約2.00ppmを中心とする。ピーク位置は分光計場とは無関係であるが、生体サンプルの分析温度に依存して変化可能であり、尿生体サンプル中には見出されない。従って、試験サンプルの温度が変化する場合、GlycAピーク領域も変化する場合がある。GlycA NMR信号は、臨床的に関連する信号寄与部のみを含むように、定義されたピーク領域でのNMR信号のサブセットを含んでいてもよく、そして以下に更に議論されるように、この領域における信号へのタンパク質寄与部を排除してもよい。完全に引用されるがごとく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれた米国特許第9,361,429号、同第9,470,771号、及び同第9,792,410号の内容を参照されたい。
【0035】
本明細書で使用される場合、化学シフト位置(ppm)は、内部又は外部で参照されるNMRスペクトルを指す。一実施形態では、その位置は、2.519ppmでCaEDTA信号の内部で参照されてもよい。従って、本明細書において論じられる、及び/又は特許請求する顕著なピーク位置は、当業者に周知であるように、化学シフトがどのように生成されるか、又は参照されるかに依存して変化する場合がある。従って、明確に示すために、記載する及び/又は特許請求されるピーク位置の一部は、当業者に周知であるように、他の対応する化学シフトにおいて等価な異なるピーク位置を有する。
【0036】
用語「生体サンプル」は、ヒト又は動物のインビトロの血液、血漿、血清、CSF、唾液、洗浄液、痰、又は組織サンプルを指す。本開示の実施形態は、特にGlycA(例えば、尿中には見出されない)についてヒト血漿又は血清生体サンプルを評価するのに特に適している。血漿又は血清サンプルは、空腹時又は非空腹時であってもよい。
【0037】
用語「集団ノルム」及び「標準」は、フラミンガム子孫研究又はアテローム性動脈硬化の多民族研究(MESA)に登録されているような平均リスク患者、又はカテーテル遺伝学(CATHGEN)心臓カテーテル法バイオレポジトリに登録されているような高リスク患者の大きな研究(複数を含む)、又は、一般集団又は標的患者集団を代表する十分なサンプルを有する他の研究によって定義される値を指す。本明細書において、用語、低リスク(又は正常リスク)は、周知の心血管事象を有していない個体を意味する。このような集団は、一次予防集団としても知られている。例えば、MESAは低リスク集団である。本明細書中において、用語「高リスク」は、周知の心血管事象を有していた個体を示す。このような集団は、二次的予防集団としても知られている。例えば、CATHGENは、高リスク集団である。しかしながら、本開示は、現在定義されている正常又は低リスク及び高リスク集団値又はレベルが経時変化することがあるので、MESA又はCATHGENにおける集団値に限定されるものではない。従って、リスクセグメント(例えば、四分位数又は五分位数)における定義された集団からの値に関連付けられた基準範囲を提供し、使用して、臨床疾患状態を有する上昇又は減少したレベル及び/又はリスクを評価してもよい。
【0038】
用語「臨床疾患状態」は広範に使用され、医学的介入、治療、治療の調節、或いは特定の治療(例えば、医薬品)の排除及び/又は観察するのが適していることを示す、危険な医学的状態を含む。臨床疾患の可能性を特定することにより、臨床医は、それに応じて症状の発症を治療、遅延する又は発病の阻止をすることができるようになる。
【0039】
本明細書中において、用語「NMRスペクトル分析」は、プロトン(1H)核磁気共鳴分光法を使用して、生体サンプル、例えば、血漿又は血清中に存在する夫々のパラメータを測定することができるデータを取得することを意味する。「測定する」及びその派生語は、レベル又は濃度を判定し、及び/又は特定のリポタンパク質サブクラスに対しては、その平均粒子サイズを測定することを指す。用語「NMR由来」は、関連付けられた測定値が、NMR分光計におけるインビトロの生体サンプルの1つ以上のスキャン由来のNMR信号/スペクトルを使用して計算されることを意味する。
【0040】
用語「ダウンフィールド」は、(基準と比較してppmスケールが高い)特定のピーク/位置/点の左側に関するNMRスペクトル上の領域/位置を指す。逆に、用語「アップフィールド」は、特定のピーク/位置/点の右側に関するNMRスペクトル上の領域/位置を指す。
【0041】
用語「数学モデル」及び「モデル」は、置き換え可能に使用され、「MVX」、「代謝脆弱性指数」、又は「リスク」と共に使用される場合、通常は1乃至12年以内の、被験者の将来的な早死のリスクを評価する為に使用されるリスクの統計的モデルを指す。リスクモデルは、ロジスティック回帰モデル、コックス比例ハザード回帰モデル、混合モデル、又は階層線形モデルの1つ以上を含むが、これらに限定されない任意の適したモデルであってもよく、又は含まれてもよい。リスクモデルは、定義された時間枠内で、通常は1乃至12年以内に、早死の確率に基づいてリスクの尺度を提供することができる。リスクモデルは、従来のリスク要素に基づいて臨床事象を有する僅か乃至中程度の機会に関連付けられた「中間リスク」を有する患者に対してリスク層化を行うのに特に適している。MVXリスクモデルは、標準的なχ2及び/又はp値(後者は十分に代表的な試験集団を伴う)により測定されるような、早死の相対リスクを層化することができる。
【0042】
用語「相互作用パラメータ」は、(乗算された)積及び/又は比として組み合わせた少なくとも2つの異なる定義されたパラメータを指す。相互作用パラメータの例としては、(S-HDLP)(GlycA)及び(タンパク質)(クエン酸塩)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
用語「マルチ指標」は、多要素生体指標を指す。
【0044】
用語「リポタンパク質成分」は、リポタンパク質の1つ以上のサブクラス(サブタイプ)のサイズ及び/又は濃度を含むリポタンパク質粒子に関連付けられた数学リスクモデル中の成分を指す。リポタンパク質成分は、リポタンパク質粒子のサブクラス、濃度、サイズ、比率及び/又はリポタンパク質パラメータの(積算した)数学的結果、及び/又は定義されたリポタンパク質パラメータの、又は他のパラメータ、例えばGlycAと組み合わせたリポタンパク質サブクラス測定値の何れを含んでいてもよい。
【0045】
用語「HDLP」は、定義されたHDLサブクラスの粒子濃度を合計する高密度リポタンパク質粒子数測定値(例えば、HDLP数)を指す。総HDLPは、約7nm(平均)乃至約14nm(平均)、通常は7.4乃至13.5nmの間のサイズ範囲で、全てのHDLサブクラス(サイズに基づいて、大、中、小などの異なるサイズのカテゴリに分類することができる)の濃度(μmol/L)を合計する合計の高密度リポタンパク質粒子測定値を用いて生成してもよい。幾つかの実施形態では、HDLは、多数の個別サイズの構成要素、例えば、H1に関連付けられた最小のHDLPサイズからH7に関連付けられた最大のHDLPサイズの範囲にわたる異なるサイズの7つの亜集団(H1乃至H7)など、として特定してもよい。幾つかの実施形態では、HDL粒子の定義されたサブクラスは、小さいHDL粒子(S-HDLP)を含む。幾つかの実施形態では、S-HDLPは、約7.3nm(平均)乃至約9.0nm(平均)の直径を有するHDL粒子サブクラスを含んでいてもよい。
【0046】
本明細書で使用される「未処理生体サンプル」とは、質量分析法の為のサンプル調製とは異なり、得られた後に生体サンプルを物理的又は化学的に変化させる処理に供されることはない(しかし、緩衝液及び希釈剤を使用することができる)生体サンプルを指す。従って、一度生体サンプルが得られると、生体サンプル由来の成分は、変化又は除去されることはない。例えば、一度血清生体サンプルが得られると、血清は、血清から成分を除去する処理に供されることはない。幾つかの実施形態では、未処理の生体サンプルは、濾過及び/又は限外濾過プロセスに供されない。
【0047】
B.被験者のMVXを判定する方法
本明細書では、被験者の代謝脆弱性指数(MVX)を判定する為の方法及びシステムが開示される。これらの方法は、定義された生体指標の多変量モデルを利用して、患者の早死の機会を予測することを含む。方法は、被験者からサンプルを得る工程と、GlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、及び少なくとも1つのケトン体を測定する工程と、測定値に基づいて被験者の代謝脆弱性指数値を算出する工程とを含む。一実施形態では、HDLPは、小さいHDLP(S-HDLP)である。幾つかの実施形態では、MVXスコアは、次の式を使用して、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及び少なくとも1つのHDLPサブクラスの測定値に基づいて計算してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、MVXスコアは、次のモデルを使用することによって計算してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
これらの実施形態では、MVX値は、心血管事象に対するリスクが低いと思われる被験者に対して判定してもよい。
【0048】
幾つかの実施形態では、MVX値は、血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)の測定値を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、MVX値は、次のモデルを使用して判定してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
これらの実施形態では、MVX値は、心血管事象に対するリスクが高いと思われる被験者に対して判定してもよい。
【0049】
別の実施形態では、MVX値は、本明細書でより詳細に開示するように、炎症指数(INFX)及び/又は代謝栄養失調指数(MMX)を含んでいてもよい。従って、幾つかの実施形態では、MVXスコアの計算は、次のモデルに基づいてもよい。
MVX=βi*INFX+βm*MMX
これらの実施形態では、INFX値の計算は、次のモデルを使用してもよい。
INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
幾つかの実施形態では、MMX値の計算は、次のモデルを使用してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
このモデルは、MMX1と表記することができ、心血管疾患関連事象に関して低リスクであると思われる被験者に対して使用してもよい。幾つかの実施形態では、MMXスコアの計算は、次のモデルであり得る。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein
別の実施形態では、MMXスコアの計算は、次のモデルを使用してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
このような実施形態では、MMXは、次のように記載してもよい。
MMX=β9*MMX1+β10*MMX2、ここでMMX1は上記の通りであり、MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
これらの実施形態では、MVXスコアは、心血管疾患関連事象に対するリスクが高いと思われる被験者に対して判定してもよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、BCAAは、ロイシン、イソロイシン、又はバリンの少なくとも1つでよい。幾つかの実施形態では、ケトン体は、アセトン、アセトアセテート、又はベータヒドロキシブチレートの少なくとも1つでよい。幾つかの実施形態では、測定は、NMRによって実施される。
【0051】
代謝脆弱性指数は、短期間(1年)乃至長期(12年)の早死リスク評価を提供することができる。これらのリスク評価は、従来の危険因子から分離されたMVX値を生成することができる。
【0052】
図1は、被験者のMVX値を判定する方法の一実施形態の概略図を示す。本方法は、被験者から得られた血漿又は血清サンプルの核磁気共鳴(NMR)スペクトルを取得する最初の工程を含んでいてもよい。次に、サンプルに対して計算された線形状を生成してもよく、この線形状は、サンプル中に潜在的に存在するリポタンパク質及び代謝産物成分の導き出された濃度に基づいている(夫々の導き出された濃度は、その成分についての参照スペクトル及び計算された基準係数の関数である)。この方法は、サンプルのNMRスペクトルに基づいて被験者のMVX値を判定することと結論付けることができる。この方法により、施術者が、日常的かつ簡易的なスクリーニングの間、被験者における早死リスクを特定すること、及び早死に関連付けられた状態の診断及び治療を開始すること、又は被験者が有害となり得る薬剤を受けることを予防することができるようになる。
【0053】
図2は、治療に対する患者の応答を判定する為にMVXの使用法についての一実施例を示す概略図である。多変量モデルを使用して、臨床試験開始時または臨床試験中、治療(複数も含む)中、に患者を評価して、薬剤開発、及び/又は抗炎症、抗肥満、又は他の薬剤若しくは栄養学的治療候補を特定又は観察することができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、測定値は、インビトロ血漿又は血清患者サンプルのNMR信号を得て、HDL粒子サブクラス、GlycA及び/又は例えば、ケトン体及びBCAAなどの複数の代謝栄養失調生体指標のNMR由来濃度測定値を判定することによって得られる。
【0055】
本開示の実施形態は、定義された予測生体指標のマルチパラメータ(多変量)モデルを用いて、患者の早期全原因死亡率のリスク評価を提供する。
【0056】
多変量リスク評価モデルは、限定されないが、S-HDLP、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの定義された分岐鎖アミノ酸、及びGlycAなどの、少なくとも1つの定義されたHDLP要素を含むことができる。更に、リスク評価モデルは、クエン酸塩及び血清タンパク質の1つ以上を含むことができる。
【0057】
多変量モデルは、GlycA、分岐鎖アミノ酸、クエン酸塩、ケトン体、総タンパク質、及び同じNMRスペクトルに由来するHDLP要素(例えば、サブクラス)のNMR測定値のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0058】
リスクの定義された数学モデルの少なくとも1つのHDLP要素は、定義されたHDLP亜集団の濃度を乗じたGlycAの測定値の第1の相互作用パラメータを含んでいてもよい。HDL粒子の定義された亜集団は、小さいHDL粒子(S-HDLP)を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、S-HDLPは、約7.3nm(平均)乃至約9.0nm(平均)の直径を有するHDL粒子サブクラスを含んでいてもよい。
【0059】
本開示の実施形態は、低リスク及び高リスクカテゴリの両方における患者に対する早死リスクを層化することができる新規な生体指標を提供する。
【0060】
本開示の実施形態は、類似の従来型危険因子を有する患者のリスクを層化するのに特に適していると思われる。概説すると、MVXスコアを使用して、早死に対する相対リスクを層化することができると考えられる。MVXスコアは、これらの臨床因子とは独立して、同じ年齢、性別、血圧及びBMIを有する患者の早死リスクを層化することができる。
【0061】
本開示の実施形態は、複数のリスクモデルパラメータを使用して、1乃至12年の時間枠内の患者の早死のリスクを評価することができる。
【0062】
上述したように、本開示の実施形態は、表1に示すように、炎症(例えば、INFX)及び代謝栄養失調(例えば、MMX)に関連付けられた生体指標を含むことができる。幾つかの実施形態では、MVXスコアは、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義してもよい。本開示の幾つかの実施形態では、被験者の早死の相対リスクに関連付けられた指標のレベルを判定する方法は、被験者からサンプルを得ることと、GlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することと、GlycAと少なくとも1つのHDLPサブクラスの測定値を使用して、炎症指数(INFX)値を生成することと、少なくとも1つのBCAAと、少なくとも1つのケトン体と、任意で、タンパク質及びクエン酸塩の測定値を使用して、少なくとも1つの代謝栄養失調指数(MMX)値を生成することと、INFX値及びMMX値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することとを含んでいてもよい。
【表1】
【0063】
炎症は、限定されないが、CVDを含む多くの異なる疾患状態と関連付けることができる。炎症はHDL機能性を調節することもあると考えられる。例えば、フォーゲルマン(Fogelman)「善玉コレステロールが悪玉コレステロールになる時」(When Good Cholesterol Go Bad)ネイチャー メディシン(Nature Medicine)2004年を参照されたい。糖タンパク質の炭水化物成分は、タンパク質選別、免疫及び受容体認識、炎症及び他の細胞プロセスにおいて生物学的機能を果たすことができる。
【0064】
本明細書に開示されるように、MVXモデルは、少なくとも2つの炎症指標、例えばGlycA及びS-HDLPと、少なくとも2つの代謝栄養失調生体指標、例えば少なくとも1つのケトン体及び少なくとも1つのBCAAとを含むことができる。幾つかの実施形態では、MVXモデルは、少なくとも1つの相互作用パラメータを含む。
【0065】
MVX数学モデルは、性別、年齢、BMIなどの他の臨床パラメータを検討することができ、高血圧薬などの場合も、MVX数学モデルは、任意の臨床パラメータとは無関係にMVX値を生成することができる。
【0066】
上述したように、本開示の実施形態を使用して、1つ以上の定義されたリスクの数学モデルを使用して少なくとも1つのMVXスコアを生成することができる。これらのモデルは、異なる定義された生体指標の測定値、又は薬学的、医学的、栄養学的、運動的又は他の介入から利益を得ることができる、早死のリスクがある患者のインビトロの生体サンプルから得たパラメータを利用してもよい。
【0067】
MVX評価は、従来型フラミンガム又は他のリスク評価から分離することができ、スクリーニングツールとして比較的容易に使用することができ、従来の試験よりも早い時期にリスクのある個体を特定できるようにしてもよい。
【0068】
例えば、
図3は、本開示の実施形態によるMVXスコアにより層化されたCATHGENに登録された高リスク心臓カテーテル患者の9つのサブグループについて、5年間の累積死亡率を示すグラフである。合計で、6971人の参加者のうち1263人は、5年の追跡調査の間に死亡した。
図3に示すように、MVXスコアが高ければ高いほど、早死するリスクは高くなった。例えば、高いMVXスコア>70(赤色線)を有する個体は、低いMVXスコア<35(暗緑色線)を有するものよりも早死の率が10倍以上高かった。
図3の9つのサブグループの各々の平均年齢及び性別組成によって示されるように、MVXスコアに関連付けられた死亡率の大きな差は、年齢及び性別とはほぼ無関係である。
【0069】
幾つかの実施形態では、MVXを使用して、
図3に見られるような、例えば、CATHGEN研究におけるような高リスク集団における死亡リスクを層化することができると考えられる。
【0070】
本明細書に開示されるように、MVX値は、少なくとも、GlycA、S-HDLP、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及び少なくとも1つのケトン体の測定値を含む複数のパラメータを使用して計算される。パラメータはまた、クエン酸塩及びタンパク質並びに様々な相互作用パラメータの測定値を含んでいてもよい。
図4は、CATHGEN試験集団における死亡率に関するコックス比例ハザード予測モデルにおける従来型危険因子及びMVX関連パラメータの予測力(χ2)と統計的有意性(p値)を示す表である。この表において、「BCAA」は3つの分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)の濃度を合計したものであり、「ケトン体」は3つのケトン体(β-ヒドロキシブチレート、アセトアセテート、アセトン)の濃度を合計したものである。
図4に示す6つのMVXパラメータ(lnGlycA*lnS-HDLP及びlnCitrate*lnProtein用の相互作用パラメータを含む)を用いて、一般式、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*ln KetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)を使用して、
図3の死亡リスク層化に使用したMVXスコアを計算した。MVX値はまた、炎症指数(INFX)パラメータによって推定できる推定炎症部位と、代謝栄養失調指数(MMX)パラメータによって推定できる推定栄養不良部位との2つの構成部位に分解してもよい。
図5は、これらのパラメータの予測力及び統計的有意性と、CATHGEN研究における5年追跡調査期間中の死亡率についてのコックス予測モデルのMVXを表した2つの表を示す。左側のモデルは、INFXパラメータ及びMMXパラメータを含み、右側のモデルはMVXパラメータを含む。
【0071】
幾つかの実施形態では、MVXを使用して、短期及び長期に亘る早期全原因死亡率リスクを予測することができる。
図6は、コックス予測モデルにおいて、MVXを含むパラメータの予測力及び統計的有意性を示す2つの表を示しており、CATHGEN試験集団における1年間という短期間の追跡調査中(左表)と、それより長い平均7年間の追跡調査中(右表)の死亡率を示す。
【0072】
幾つかの実施形態では、MVXは、従来のリスク評価パラメータとは独立して計算される。
図7は、CATHGEN試験集団における3つの追跡調査期間の間の死亡率について、MVX単独(上段)又はMVXプラス9つの追加共変量パラメータ(年齢、人種、性別、喫煙、高血圧、糖尿病、BMI、トリグリセライドリッチリポタンパク質粒子及び低密度リポタンパク質粒子)を含むコックス予測モデルの尤度比カイ二乗統計量によって提供される予測力を示す表である。
【0073】
幾つかの実施形態では、MVXを使用して、
図8に見られるように、低リスク集団の間で死亡リスクを層化することができると考えられる。
図8の左表は、本開示の実施形態による、低リスクMVXスコア(例えば、MVX1)の五分位数で層化されたMESA研究において、女性参加者に対し、12年に亘る追跡調査の累積死亡率を示すグラフである。12年の追跡調査期間に3581人の女性のMESA参加者のうち412人が死亡した。
図8の右表は、本開示の実施形態による、MVX1スコアの五分位数で層化されたMESA研究において、男性参加者に対し、12年に亘る追跡調査の累積死亡率を示すグラフである。12年の追跡調査の間に3198人の男性のMESA参加者のうち554人が死亡した。
【0074】
幾つかの実施形態では、MVXを使用して、死亡の「原因」であると考えられる疾病状態(複数も含む)と関係なく、早死の相対リスクを予測できると考えられる。
図9は、MVX(例えば、MVX1)の予測力及び統計的有意性と、4つの異なるCVDに対する他のパラメータと、多項ロジスティック回帰モデルで評価されたMESA(低リスク)の参加者の死亡率転帰を示す表である。4つの転帰のうちの3つは、一般に、「CVD」の複合的な転帰と呼ばれる:左列:追跡調査中に死亡することがない非致命的CVD事象(n=432);左から2番目の列:非致命的CVD事象ではあるが後に追跡調査中に死亡する(n=128);左から3番目の列:致命的CVD事象(n=225)を含む。右列で評価された転帰は、早期又は同時CVDなしの場合の死亡率である(n=610)。結果は、MVXが死亡を含む3つの転帰が高く予想される(p<0.0001)ことを示しているが、死を伴わない又は後に死に至らない場合(p=0.50)はCVDを予測するものではないことを示す。従って、MVXによる複合的なCVDの転帰の致命的及び非致命的要素部分の予測は実質的に異なり、非致命的及び致命的CVDの病因は、信じられている以上に異種であり、かつ致命的及び非致命的CVDを単一の転帰に組み合わせる理論に疑問を呈している。
【0075】
また、
図10乃至
図12の結果が示すように、CVD以外の他の疾患により引き起こされる、またはそれが一因となると考えられる死亡率も、MVXによって予測される。
図10は、MVX(例えば、MVX1)の予測力及び統計的有意性と、鬱血性心不全(CHF)の転帰の組合せに対する他のパラメータと、多項ロジスティック回帰モデルで評価されたMESA(低リスク)の参加者の死亡率を示す表である。
図11は、MVXの予測力及び統計的有意性と、癌の転帰の組合せに対する他のパラメータと、多項ロジスティック回帰モデルで評価されたMESAの参加者の死亡率を示す表である。
図12は、MVXの予測力及び統計的有意性と、慢性腎臓疾患(CKD)の転帰の組合せに対する他のパラメータと、多項ロジスティック回帰モデルで評価されたMESAの参加者の死亡率を示す表である。
【0076】
幾つかの実施形態では、MVXモデルにおける因子として性別を含めてもよい。幾つかの実施形態では、MVXモデルにおける因子として年齢を含めてもよい。他の実施形態では、MVXモデルは、例えば、生体サンプルに直結しないそのような補助データのデータ破損に基づいて偽陰性又は偽陽性を生成することがないように、性別か年齢の検討を排除してもよい。
【0077】
幾つかの実施形態では、MVXスコアは、サンプルと電子的に相関するデータに基づいて、又は、臨床医若しくはインテークラボでの入力、例えば、NMR分析器での生体サンプルに関連付けられたラベル上にデータを記載できる、空腹時「F」又は非空腹時「NF」または、スタチン「S」又は非スタチン「NS」などの患者の特性評価に基づいて臨床医に提供される。或いは、患者特性評価データは、コンピュータデータベース(遠隔又はサーバ又は他の定義された経路を介して)に保持することができ、臨床医又はインテークラボによって電子相関ファイルに入力され、NMR分析器と通信するインテークラボがアクセス又は管理可能な患者識別子、サンプルタイプ、試験タイプなどを含むことができる。患者特性評価データは、適したMVXモデルを特定の患者に使用できるようにすることもできる。
【0078】
代謝脆弱性指数は、臨床試験及び/又は薬剤療法の被験者を観察する為、薬剤矛盾を特定する為、及び/又は、患者独自のものとなり得る特定の薬剤や患者の生活様式等と関連付けられたリスク状態(正又は負)の変化を観察する為に使用することができると考えられる。
【0079】
リポタンパク質
リポタンパク質には、様々なタイプ及び量のトリグリセライド、コレステロール、リン脂質、スフィンゴ脂質及びタンパク質を含む、血漿、血清、全血及びリンパ液中に見出される多種多様の粒子が含まれる。これらの様々な粒子は、血液中の疎水性脂質分子を可溶化し、そして胃腸、肝臓、筋肉組織及び脂肪組織間の脂肪分解、脂質生成、及び脂質輸送に関連付けられた様々な機能を果たす。血液及び/又は血漿中では、リポタンパク質は、概ね、密度又は電気泳動のような物理的性質、又はアポリポタンパク質含有量、例えば、apoB又はapoA-1、LDL及びHDLそれぞれにおける主要なタンパク質に基づいて、多くの方法で分類されてきた。
【0080】
核磁気共鳴で判定された粒子サイズに基づく分類により、サイズ又はサイズ範囲に基づいて別個のリポタンパク質粒子が区別される。例えば、NMR測定値は、高密度リポタンパク質(HDL)の少なくとも7つのサブタイプ、低密度リポタンパク質(LDL)の少なくとも3つのサブタイプ、及び、TRL(トリグリセライドリッチリポタンパク質)とも称される超低密度リポタンパク質(VLDL)の少なくとも5つのサブタイプを含む、少なくとも15つの別個のリポタンパク質粒子サブタイプを特定することができる。
【0081】
現在の分析方法論により、VLDL、LDL及びHDLの亜集団の濃度がわかるNMR測定値から、夫々の群の大小の亜集団の群の測定値を生成することができるようになる。例えば、早期全原因死亡率とのリスク関連性を最適化する為に、以下に更に論じるような、HDL亜集団の異なるサイズのグループ分けを利用してもよい。
【0082】
本明細書で示されるNMR由来推定リポタンパク質サイズは、通常は平均測定値を指すが、他の大きさの境界が使用されてもよい。
【0083】
好ましい実施形態では、MVXリスク評価モデルパラメータは、HDL、LDL、VLDL/TRLを含むタンパク質及びリポタンパク質の解析成分を特徴付ける定義された解析モデルを使用して、リポタンパク質の共通NMRスペクトル及び特にHDLに関連付けられた、解析信号のNMR由来測定値を含んでいてもよい。このタイプの分析は、2分未満、通常は約20秒から90秒の迅速な取得時間と、それに対応する、モデル要素の測定値を生成できる迅速なプログラム計算、更には、1つ以上の定義されたリスクモデルを使用した1つ以上のMVXリスクスコアのプログラム計算が可能である。
【0084】
更に、リポタンパク質粒子のNMR測定は、本明細書中に記載される分析に特に適していると考えられる一方で、現在、そして将来的に他の技術を使用してこれらのパラメータを測定することも可能であり、本開示の実施形態はこの測定方法論に限定されないと考えられる。NMRを使用する異なるプロトコルは、本明細書中に記載される解析プロトコルの代わりに、(例えば、異なる解析プロトコルを含む)使用され得るとも考えられる。例えば、キース(Kaess)等による「リポタンパク質亜分画プロファイル:遺伝率と量的形質遺伝子座の識別」(The Lipoprotein subfraction profile: heritability and identification of quantitative trait loci, ジャーナル・オブ・リピッドリサーチ(J Lipid Res.)第49巻、pp.715乃至723(2008年)、及びスーナ(Suna)等による「プラズマリポタンパク質サブクラスの1H-NMR代謝:自己組織化マップによる代謝クラスター化の解明」(1H NMR metabolomics of plasma lipoprotein subclasses: elucidation of metabolic clustering by self-organizing maps)、NMRイン・バイオメディシン(NMR Biomed.)2007年、第20巻、pp.658乃至672を参照されたい。リポタンパク質粒子及びイオン移動度分析を評価する為の密度ベースの分離技術を使用する浮選及び超遠心分離は、リポタンパク質サブクラス粒子濃度を測定する為の代替技術である。
【0085】
リポタンパク質サブクラスのグループ分けは、例えば、本開示の幾つかの特定の実施形態に従って、HDL又はLDL粒子数を判定する為に合計してもよい。尚、顕著な「小、大、中」のサイズ範囲は、変更でき、又は、その上限値又は下端値を広げる又は狭くするように再定義することができるか、或いは顕著な範囲内における一定の範囲を除外することもできる。上記の粒径は、通常は平均測定値を指すが、他の区分を使用してもよい。
【0086】
本開示の実施形態は、リポタンパク質粒子を、脂質及び代謝変数とのそれらの相関によって評価される機能/代謝関連性に基づいて、サイズ範囲によってグループ化されたサブクラスに分類する。従って、上述したように、評価によってリポタンパク質粒子の15の別個の亜集団(サイズ)を測定することができる。これらの別個の亜集団は、VLDL/TRL及びHDL及びLDLに関して定義したサブクラスにグループ化することができる。中密度リポタンパク質(IDL)は、VLDL/TRL又はLDLと組み合わせることも、又は大きいLDLと小さいVLDLとの間のサイズ範囲で別個のカテゴリとして組み合わせることもできる。例えば、HDLサブクラス粒子は、通常は、(平均して)約7nm乃至約15nm、より一般的には、約7.3nm乃至約14nm(例えば、7.4nm乃至13.5nm)の範囲である。総HDL濃度は、そのHDLサブクラスの夫々の亜集団の粒子濃度の総和である。HDLPの異なる亜集団は、1乃至7の数によって特定することができ、「H1」は最小サイズのHDL亜集団を表し、「H7」は最大サイズのHDL亜集団である。幾つかの実施形態では、HDL粒子の定義されたサブクラスは、小さいHDL粒子(S-HDLP)を含む。幾つかの実施形態では、S-HDLPは、約7.3nm(平均)乃至約9.0nm(平均)の直径を有するHDL粒子サブクラスを含んでいてもよい。
BCAA
【0087】
幾つかの実施形態では、MVXモデルは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,361,429号及び米国特許出願第20150149095号に記載されているように、少なくとも1つのBCAAの測定値を含む。MVXモデルは、(本明細書に記載されるように)イソロイシン、ロイシン及びバリンの1つ以上を含む1つ以上のBCAAを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、3個のBCAA(バリン、ロイシン及びイソロイシン)の組のうちの1つ以上を、NMRによって定量化してもよい。
【0088】
ケトン体
幾つかの実施形態では、MVXモデルは、生体サンプルNMRスペクトルのNMR分析を介して得ることができる少なくとも1つのケトン体(β-ヒドロキシブチレート、アセトアセテート、アセトン)の測定値を含む。3つのケトン体の夫々のNMR定量化は、ケトン体NMR信号が現れる3つのスペクトル領域に特化した別個の解析モデルから導き出されるそれらのNMR信号振幅に基づいている。多数のリポタンパク質亜種や特定、未特定の小分子代謝物由来の信号との広範に亘る重複により、ケトン体信号の単純な積分ではなく、解析分析が必要である。導き出されたβ-ヒドロキシブチレート、アセトアセテート及びアセトン信号の振幅は、周知の濃度の、ストックしてあるケトン体溶液で血清をスパイクすることによって判定される変換因子を使用して、μmol/Lの濃度単位に変換してもよい。
【0089】
一実施形態では、約1.16及び1.15ppmに現れる二重項のβ-ヒドロキシブチレートメチル信号は、1.07ppmから1.33ppmまでのスペクトル領域を包含する線形解析モデルを使用して定量化される。この領域は、多数のTRL、LDL、及びHDLリポタンパク質亜種の脂質脂肪酸メチレンプロトン由来の重複干渉NMR信号、血清タンパク質信号、エタノール由来の三重項信号(1.13、1.15及び1.17ppm)、乳酸由来の二重項信号(1.29及び1.31ppm)、ヒト血清試料中でまれにしか出現しない未特定代謝産物由来の二重項信号(1.10及び1.11ppm)を含む。一実施形態では、解析モデルは、β-ヒドロキシブチレート及び血清中の様々な干渉物質由来のNMR信号の振幅を正確に把握する為に、83スペクトル成分のライブラリを含む。
【0090】
一実施形態では、約2.24ppmで現れる一重項のアセトアセテートメチル信号は、2.22ppmから2.39ppmまでのスペクトル領域を包含する線形解析モデルを使用して定量化される。この領域は、多数のTRL、LDL及びHDLリポタンパク質亜種の脂質脂肪酸メチレンプロトン由来の重複干渉NMR信号、血清タンパク質信号、β-ヒドロキシブチレート由来の八重項信号(2.25乃至2.39ppm)、及び2.22、2.30及び2.35乃至2.41ppmに出現する3つの未特定代謝産物由来の信号を含む。一実施形態では、解析モデルは、アセトアセテート及び血清中の様々な干渉物質由来のNMR信号の振幅を正確に把握する為に、82スペクトル成分のライブラリを含む。
【0091】
一実施形態では、約2.19ppmで現れる一重項のアセトンメチル信号は、2.14ppmから2.22ppmまでのスペクトル領域を包含する線形解析モデルを使用して定量化される。この領域は、数多くのTRL、LDL及びHDLリポタンパク質亜種の脂質脂肪酸メチレンプロトン由来の重複干渉NMR信号、血清タンパク質信号、及び2.22ppmの未特定代謝産物由来の一重項信号を含む。一実施形態では、解析モデルは、アセトン及び血清中の様々な干渉物質由来のNMR信号の振幅を正確に把握する為の、70スペクトル成分のライブラリを含む。
【0092】
GlycA
定義された線形GlycA数学的解析モデルは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,470,771号に記載されているように、GlycAを測定するために使用することができる。GlycA測定値は、NMRスペクトルにおける定義されたピーク位置におけるピーク領域下の面積を計算することにより、NMRによって評価されるようなユニットレスパラメータとしてもよい。何れの場合でも、周知の集団(例えば、MESA)に関するGlycAの測定を使って、特定のサブグループ、例えば、第3及び第4の四分位数、又は上位3乃至5個の五分位数等の値を含む定義された範囲の上半分内の値を有するもののレベル又はリスクを定義することができる。
【0093】
クエン酸塩
幾つかの実施形態では、MVXモデルは、生体サンプルNMRスペクトルのNMR分析を介して得ることができるクエン酸塩の測定値を含む。クエン酸塩のNMR定量化は、直線ベース線及び可変オフセットを仮定する解析モデルから導き出される約2.64、2.60及び2.48ppmに現れるメチレンプロトンカルテットの4つの部材のうち3つのNMR信号振幅に基づくものである。クエン酸塩信号カルテットの第4のメンバーは、約2.52ppmで現れ、内部化学シフト基準として機能するCaEDTA由来の一重項信号と重複する。導き出されたクエン酸塩信号の振幅は、周知の濃度の、ストックされたクエン酸塩溶液を用いて血清をスパイクすることによって判定される変換因子を使用して、μmol/L単位の濃度に変換することができる。
【0094】
血清タンパク質
幾つかの実施形態では、MVXモデルは、生体サンプルNMRスペクトルのNMR分析を介して得られる血清タンパク質の測定値を含む。或いは、血清タンパク質又は血清アルブミン測定値は、使用される場合、従来の方法で得ることができる。血清タンパク質のNMR定量化は、0.71ppmから1.03ppmまでのスペクトル領域を包含する線形解析モデルから導き出される非リポタンパク質タンパク質由来の広いNMR信号の振幅に基づいている。この領域は、多数のTRL、LDL及びHDLリポタンパク質亜種の脂質脂肪酸メチルプロトン由来の重複干渉NMR信号、並びに分岐鎖アミノ酸バリン、ロイシン及びイソロイシン由来のものを含む。一実施形態では、解析モデルは、血清タンパク質及び血清中の様々な干渉物質物由来のNMR信号の振幅を正確に把握する為に、66スペクトル成分のライブラリを含む。導き出された血清タンパク質信号の振幅は、任意の信号振幅単位で報告できる、又は周知の濃度のストック血清アルブミン溶液を用いて血清をスパイクすることによって判定される変換因子を使用して、モル濃度単位に変換できる。
【0095】
C.MVXを測定する為のシステム
本開示の幾つかの実施形態を参照すると、本明細書中に記載される各方法を実行することができるシステムを備える。幾つかの実施形態では、システムは、以下を含んでいてもよい。GlycAに対する少なくとも1つの信号と、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスに対する少なくとも1つの信号と、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)に対する少なくとも1つの信号と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)に対する少なくとも1つの信号とを備えるNMRスペクトル(複数も含む)を取得するように構成されたNMR分光計と、前記GlycA、前記少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラス、前記少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)、及び前記少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)に対して測定した少なくとも1つの信号に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定する為のプロセッサを備え、プロセッサは、メモリを含むか、又はメモリと通信する。システムは、血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)に対して少なくとも1つの信号を含むNMRスペクトル(複数も含む)を取得するように構成されたNMR分光計と、血清タンパク質(Protein)及びクエン酸塩(Citrate)に対して測定した少なくとも1つの信号に基づいて代謝脆弱性指数(MVX)値を判定する為のプロセッサとを更に含んでいてもよい。
【0096】
本開示の幾つかの実施形態を参照すると、本明細書中に記載される各方法を実行することができるNMRシステムを備える。幾つかの実施形態では、NMRシステムは、NMR分光計と、前記分光計と通信するフロープローブと、(i)フロープローブ中の血中血漿又は血清試料のGlycAに関連付けられたNMRスペクトルの定義されたGlycA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(ii)フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたケトン体適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iii)フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたBCAA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iv)少なくとも1つのHDLPサブクラスと、任意で、血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)に対する少なくとも1つのNMR信号と、を取得するように構成された前記分光計と通信するプロセッサを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、プロセッサは、更に、本明細書に開示される本発明の実施形態の何れかに従って分光計によって取得する測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成される。
【0097】
本明細書中の幾つかの図面のフローチャート及びブロック図は、本発明による分析モデル及び評価システム及び/又はプログラムの可能な実装のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装する為の1つ以上の実行可能な指示を含む、モジュール、セグメント、動作又はコードの一部を表す。尚、幾つかの代替実装形態では、ブロック内に記された機能は、図中に示された順序から外れて発生することもある。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又は、関連する機能性によって、ブロックは、時には逆の順序で実行されてもよい。
【0098】
ここで
図13を参照すると、全てではないにしてもほとんどの測定は、例えば、その内容が、本明細書中に完全に記載されるように、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,013,602号に対して記載されているように、NMR臨床分析器22と通信するか、又は少なくとも部分的に内蔵したシステム10で、又はそれを使用して実施することができると考えられる。分析器22は、分光計及びサンプルハンドラシステムを含む。
【0099】
システム10は、例えば、GlycA、BCAA、ケトン体、また、限定されないが、S―HDLP及び/又はクエン酸塩及び/又はタンパク質)のようなHDLP亜集団を含み得るMVX値を判定するのに適したデータを収集する為のプロセッサ(例えば、代謝脆弱性指数モジュール)350を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次の式を使用して、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及び前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの前記測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルを使用して前記MVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルを使用してMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むMVXスコアを計算するように構成してもよい。従って、幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルに基づいてMVXスコアを計算するように構成してもよい。
MVX=βi*INFX+βm*MMX
これらの実施形態では、プロセッサは、次のモデルを使用してINFX値を計算するように構成してもよい。
INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルを使用してMMX値を計算するように構成してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
このモデルは、MMX1と表記することができる。幾つかの実施形態では、前記プロセッサは、次のモデルを使用してMMXを計算するように構成してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein
別の実施形態では、プロセッサは、次のモデルを使用してMMXを計算するように構成してもよい。
MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
このような実施形態では、MMXは、以下のように記載してもよい。
MMX=β9*MMX1+β10*MMX2、但し、MMX1は上記の通りであり、MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)である。
【0100】
システムは、分析器22に搭載され得る少なくとも1つのプロセッサ、又は分析器22から少なくとも部分的に遠隔の少なくとも1つのプロセッサを含む分析回路20を含んでいてもよい。後者の場合、プロセッサ/分析回路20は、全体的に又は部分的にサーバ上に置くことができる。サーバは、コンピュータネットワークを介したオンデマンドの演算可能なリソースの提供を含むクラウドコンピューティングを使用して提供することができる。リソースは、様々なインフラストラクチャサービス(例えばコンピュータ、記憶装置など)、並びにアプリケーション、データベース、ファイルサービス、電子メールなどとして具体化してもよい。演算の従来型モデルでは、データ及びソフトウェアは共に、通常は、ユーザのコンピュータに完全に包含されており、クラウドコンピューティングにおいては、ユーザのコンピュータは、ほとんどソフトウェア又はデータ(おそらくオペレーティングシステム及び/又はウェブブラウザ)を備えていなくてもよく、外部コンピュータのネットワーク上で行われるプロセスに対し、ディスプレイ端末の機能以上のものはほとんど必要ない。クラウドコンピューティングサービス(又は複数のクラウドリソースの集合)は、一般に、「クラウド」と呼ばれることがある。クラウド記憶装置は、1つ以上の専用サーバ上でホストされるのではなく、データが複数の仮想サーバ上に記憶されるネットワーク化されたコンピュータデータ記憶装置のモデルを含んでいてもよい。データ転送は、HIPAAなどの工業又は規制基準に準拠する為に、任意の適したファイアウォールを使用して、暗号化してインターネットを介して行うことができる。用語「HIPAA」は、「医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律」(Health Insurance Portability and Accountability Act)によって定義される米国法を指す。患者データは、アクセス番号又は識別子、性別、年齢及び試験データを含むことができる。
【0101】
MVX判定の結果は、インターネット227などのコンピュータネットワークを介して、電子メールなどによって、患者、臨床医サイト50、健康保険代理店又は薬局51に送信してもよい。結果は、分析サイトから直接送信することも間接的に送ることもできる。結果は、印刷され、従来の郵便を介して送ってもよい。この情報はまた、薬局及び/又は医療保険会社、或いは患者にさえも送信して、有害事象のリスクが増大し得る処方又は薬剤使用を観察する、或いは、矛盾する医薬品の処方を防止する為の医学的警告を配布することができる。結果は、「ホーム」コンピュータへ、又はスマートフォン又はノートパッドなどの周囲で広く使われるコンピューターデバイスへと、患者に電子メールを送信することができる。結果は、例えば、総括的な報告書の電子メール添付でも、テキストメッセージ警告などでもよい。
【0102】
例えば、臨床医サイト、患者及び/又は試験若しくはラボサイトなど、異なるユーザに関連付けられた1つ以上の電子デバイスは、夫々の電子デバイスのディスプレイと通信する電子分析回路にアクセスするように構成してもよい。分析回路は、サーバ上でホストすることができ、インターネットポータル又はダウンロード可能なAPP又は他のコンピュータプログラムを様々なデバイスに対して提供することができる。この回路は、ユーザ、例えば、臨床医が、(i)患者の従来の危険因子値、(ii)患者の従来の危険因子値、及び個人脆弱性指数スコア、又は(iii)個人脆弱性指数スコア、のうちの1つ以上を入力することを可能にするように構成してもよい。この回路は、サインイン時の患者識別子又は他のパスワードに基づいて、異なるデータフィールドを自動的に追加することができ、或いは、ユーザが、夫々の患者に対するMVXスコアと従来のファクタ測定値の両方を入力できるようにすることができる。分析回路は、経時的にMVXスコアの変化を追跡し、臨床医、患者又は他のユーザに送信可能な電子報告書を生成するように構成することができる。分析回路は、再試験、追跡試験等の勧めに関する通知を送信することもできる。例えば、MVXリスクスコアが、例えば中間リスクカテゴリにおいて上昇した、或いは低リスク値を超えた場合、この回路は、臨床医に、更なる試験の実施が適切であることを通知することができ、或いは、どの試験が適切であるか、又は追跡MVX試験の為の観察間隔を増加した方が望ましいかなどを医師と相談するよう患者に通知を送ることもできる。分析回路は、リスク評価経路又は分析を生成して、同じ従来型危険因子値を有する患者にとって将来の早期全原因死亡リスクを層化する写実的な情報を提供してもよい。電子分析回路は、クラウド内のサーバに搭載されてもよく、別様にインターネットを介してアクセス可能であってもよく、又は当業者には理解されるように、異なるクライアントアーキテクチャと関連付けられてもよい。従って、臨床医、患者又は他のユーザは、リスク評価に関するカスタマイズされた報告書を生成することができる、或いは、リスク層化情報を得ることができる。
【0103】
図14は、NMRを使用したMVXの測定の例を示す。本開示の幾つかの実施形態は、本明細書中に記載される各方法を実行することができるNMRシステムを備える。幾つかの実施形態では、NMRシステムは、NMR分光計と、分光計と通信するフロープローブと、(i)フロープローブ中の血中血漿又は血清試料のGlycAに関連付けられたNMRスペクトルの定義されたGlycA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(ii)フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたケトン体適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iii)フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたBCAA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iv)少なくとも1つのHDLPサブクラスと、任意で、血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)に対する少なくとも1つのNMR信号と、を取得するように構成された前記分光計と通信するプロセッサを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、プロセッサは、更に、本明細書に開示される本発明の実施形態の何れかに従って分光計によって取得する測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成される。
【0104】
図14を参照すると、選択されたサンプルの線形状を取得し計算する為のシステム207が示されている。システム207は、サンプルのNMR測定を行う為のNMR分光計22を含む。一実施形態では、分光計22は、プロトン信号についてのNMR測定が400MHzで行われるように構成され、他の実施形態では、測定は、200MHz乃至約900MHzの間、若しくは他の適した周波数で実施してもよい。所望の操作可能な磁界強度に対応する他の周波数を使用してもよい。通常は、プロトンフロープローブが設置されると共に、温度コントローラが設置されてサンプル温度を47+/-0.5℃に維持する。分光計22は、デジタルコンピュータ211又は他の信号処理ユニットによって制御される。コンピュータ211は、高速フーリエ変換を実行可能であるべきである。また、他のプロセッサ又はコンピュータ213へのデータリンク212と、ハードメモリ記憶ユニット215に接続することができる直接メモリアクセスチャネル214とを含んでいてもよい。
【0105】
デジタルコンピュータ211はまた、パルス制御及びインターフェース回路216を介して分光計22の動作要素に接続する、1組のアナログ-デジタル変換器、デジタル-アナログ変換器及び低速装置I/Oポートを含んでいてもよい。これらの要素は、デジタルコンピュータ211に搭載されるか又は通信可能な少なくとも1つのデジタル信号プロセッサが指示する持続時間、周波数及び大きさのRF励起パルスを生成するRF送信機217と、パルスを増幅し、サンプルセル220及び/又はフロープローブ220を取り囲むRE送信コイル219にそれを接続するRF電力増幅器218と、を含む。超伝導磁石221によって生成された9.4テスラ分極磁場の存在下で励起されたサンプルにより生成されたNMR信号は、コイル222によって受信され、RF受信機223に印加される。増幅され、フィルタされたNMR信号は、224において復調され、得られた直交信号は、インターフェース回路216に印加され、そこでデジタル化され、デジタルコンピュータ211を介して入力される。
図13及び
図14のプロセッサ及び/又は分析器回路20、及び/又は
図13及び
図15のマルチパラメータMVXリスクモジュール350は、デジタルコンピュータ211及び/又は2次コンピュータ213又はインターネット227などのワールドワイドネットワークを介してアクセス可能な施設内又は遠隔であり得る他のコンピュータに関連付けられた1つ以上のプロセッサ内に配置することができる。
【0106】
測定セル220内のサンプルからNMRデータを取得した後、コンピュータ211による処理は、必要に応じて記憶装置215に記憶することができる別のファイルを生成する。この第2のファイルは、化学シフトスペクトルのデジタル表現であり、その後、コンピュータ213に読み出されてその記憶装置225又は1つ以上のサーバに関連付けられたデータベースに記憶される。コンピュータ213は、そのメモリに記憶した、又はコンピュータ213がアクセス可能なプログラムの指示下で、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、電子ノートパッド、電子タブレット、スマートフォン又は少なくとも1つのプロセッサ若しくは他のコンピュータを備えた他のデバイスなどであってよく、コンピュータ213は、本発明の教示に従って化学シフトスペクトルを処理して、プリンタ226へ出力、又は所望の電子メールアドレス又はURIへ電子的に記憶又は中継され得る報告書を生成する。当業者は、コンピュータディスプレイ画面、電子ノートパッド、スマートフォンなどの他の出力デバイスも、結果の表示に採用できることを認識するであろう。
【0107】
コンピュータ213及びその別個の記憶装置225によって実行される機能は、分光計のデジタルコンピュータ211によって実行される機能に組み込まれてもよいことは、当業者には明らかであろう。このような場合、プリンタ226は、デジタルコンピュータ211に直接接続されていてもよい。当業者にはよく知られているように、他のインターフェース及び出力デバイスも使用してもよい。
【0108】
本発明の特定の実施形態は、臨床疾患状態の自動スクリーニング試験及び/又はインビトロの生体サンプルをスクリーニングする為のリスク査定評価において特に有用であり得るMVX評価を使用する方法、システム及び/又はコンピュータプログラム製品を提供することを目的とする。
【0109】
本開示の実施形態は、本明細書で概して「回路」又は「モジュール」と呼ばれる、ソフトウェア全体の実施形態又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができる。
【0110】
当業者には理解されるように、本開示は、装置、方法、データ若しくは信号処理システム、又はコンピュータプログラム製品として具現化してもよい。従って、本開示は、ソフトウェア全体の実施形態又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができる。更に、本開示の幾つかの実施形態は、媒体内に具現化されたコンピュータ利用可能なプログラムコード手段を有するコンピュータ利用可能な記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。ハードディスク、CD-ROM、光記憶装置、又は磁気記憶装置を含む、任意の適したコンピュータ可読媒体を利用してもよい。
【0111】
コンピュータ利用可能又はコンピュータ可読媒体は、限定されるものではないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体システム、装置、デバイス、又は伝搬媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、1本以上の線を有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、及びポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)を含む。尚、コンピュータ利用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、例えば紙又は他の媒体の光学的走査を介してプログラムを電子的に取り込み、その後、必要であれば、適した方法でコンパイルされ、解釈され、又は処理されて、更にコンピュータメモリに記憶することができるように、プログラムが印刷された紙又は別の適した媒体であってもよい。
【0112】
本開示の動作を実行する為のコンピュータプログラムコードは、Java7、Smalltalk、Python、Labview、C++、又はVisualBasicのようなオブジェクト指向プログラミング言語で書かれてもよい。しかしながら、本開示の動作を行う為のコンピュータプログラムコードは、「C」プログラミング言語、更にはアセンブリ言語のような従来の手続き型プログラミング言語で記述することもできる。プログラムコードは、全てユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、又、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、そして、部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にリモートコンピュータ上で、又は全てリモートコンピュータ上で実行してもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)又はセキュアエリアネットワーク(SAN)を介してユーザコンピュータに接続されてもよく、或いは、接続は、外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを介して)に行われてもよい。
【0113】
図15は、本発明の実施形態によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品を示すデータ処理システム305の例示的な実施形態のブロック図である。プロセッサ310は、アドレス/データバス348を介してメモリ314を備えるか、又はメモリ314と通信してもよい。プロセッサ310は、任意の市販のマイクロプロセッサでも、又はカスタムのマイクロプロセッサでもよい。メモリ314は、データ処理システム305の機能性を実現する為に使用されるソフトウェア及びデータを含むメモリデバイスの全体的な階層を表す。メモリ314は、限定はされないが、キャッシュ、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、SRAM、及びDRAMなどのタイプのデバイスを含むことができる。
【0114】
図15に示すように、メモリ314は、データ処理システム305で使用される幾つかのカテゴリのソフトウェア及びデータ、すなわちオペレーティングシステム352、アプリケーションプログラム354、入力/出力(I/O)デバイスドライバ358、MVX評価モジュール350、及びデータ356を含んでいてもよい。MVX評価モジュール350は、NMR信号を解析して、夫々の生体サンプルのプロトンNMRスペクトルにおける定義されたNMR信号ピーク領域を明らかにし、本明細書に開示される様々なアプローチを使用してMVX値を計算することができる。
【0115】
データ356は、データ又は信号取得システム225(例えば、NMR分光計22及び/又は分析器22)から得ることができる信号(構成及び/又は複合スペクトル線形状)データ362を含んでいてもよい。当業者には理解されるように、オペレーティングシステム352は、ニューヨーク州、アーモンクのアイビーエム(International Business Machines Corporation)社製OS/2、AIX、又はOS/390、ワシントン州、レドモンドのマイクロソフトコーポレーション(Microsoft Corporation)製WindowsCE、WindowsNT、Windows95、Windows98、Windows2000、WindowsXP、Windows10、パーム社(Palm, Inc.) 製パームOS、アップル社(Apple Inc.)製MacOS、UNIX(登録商標)、FreeBSD、又はLinux(登録商標)等のデータ処理システムと共に使用するのに適した任意のオペレーションシステム、独自のオペレーティングシステム、又は例えば、埋め込み式データ処理システムの為の専用オペレーティングシステムでよい。
【0116】
I/Oデバイスドライバ358は、通常は、アプリケーションプログラム354がオペレーティングシステム352を介してアクセスするソフトウェアルーチンを含み、I/Oデータポート(複数可)、データ記憶装置356、及び特定のメモリ314構成要素及び/画像取得システム225などのデバイスと通信する。アプリケーションプログラム354は、データ処理システム305の様々な特徴を実現するプログラムの例であり、本発明の実施形態による動作をサポートする少なくとも1つのアプリケーションを含むことができる。最後に、データ356は、アプリケーションプログラム354、オペレーティングシステム352、I/Oデバイスドライバ358、及びメモリ314内に常駐することができる他のソフトウェアプログラムによって使用される静的及び動的データを表す。
【0117】
本発明は、例えば、
図15のアプリケーションプログラムであるモジュール350を参照して示されているが、当業者には理解できるように、本発明の教示から利益を得ながら他の構成も利用できる。従って、本発明は、本明細書で説明される動作を実行することができる任意の構成を含むことを意図する、
図15の構成に限定されるように解釈されるべきではない。
【0118】
特定の実施形態では、モジュール350は、臨床疾患状態又はリスクを評価する為、及び/又は治療介入が望まれるかどうか、及び/又は治療の有効性、あるいは、意図しない治療結果さえも示す為の指標として使用することができるMVX測定を提供する為のコンピュータプログラムコードを含む。
【0119】
本開示の更なる実施形態について、以下の非限定的な実施例によって説明する。
【0120】
実施例
実施例1
代謝脆弱性指数(MVX)数学モデルは、6936人の参加者のCATHGEN試験集団から収集されたデータを使用して開発された。年齢、人種、性別、喫煙状態、高血圧状態、糖尿病状態、BMI、トリグリセライドリッチリポタンパク質粒子(TRLP)、及びLDL粒子(LDLP)を含む従来の臨床パラメータを、各患者について記録した。更に、GlycA、S-HDLP、BCAA、ケトン体、クエン酸塩、及びタンパク質の測定値を、各研究参加者からの血漿サンプルの単一核磁気共鳴(NMR)スペクトルから導き出した。死亡率についてのコックス比例ハザード予測モデルを使用して、
図4及び5に見られるような、各パラメータの予測力(χ2)及び統計的有意性(p値)を生成した。この場合、全ての列挙したパラメータを、予測モデルにおいて使用し、各パラメータの予測力を生成したが、モデルのMVXはそれだけで、
図7に見られるように、非常に強い、統計的に有意性の高い死亡率リスク予測因子である。
【0121】
死亡率についてのコックス比例ハザード予測モデルから生成されたMVX数学モデルを用いて、CATHGEN研究における各参加者についてMVXスコア(1-100)値を作成した。次に、これらのMVXスコアを用いて集団を9つのサブグループに細分化し、
図3に見られるように、5年間の追跡調査期間にわたる各サブグループの累積死亡発生率が、MVXスコアの増加に正比例して増加したことを示している。
【0122】
図16は、
図3に示されるような数値スコアを開発する為に、INFX、MMX1、MMX2及びMMXの様々なモデルをどのように使用できるかの例を示す。正常(即ち、高リスクではない)集団への適用については、MVX1=(INFX*0.84310)+(MMX1*1.0)、但し、MMX1=10+(lnBCAA*-1.10056)+(lnKetoneBody*0.2373)である。一方、高リスク集団の場合、MMXの寄与部は、MMX1及びMMX2を含む(
図16)。使用される実際の係数(例えば、MMX1、β4=-1.10056及びβ5=0.2373に対して)は、使用される集団及び/又は実施される分析に依存して変化し得る。
【0123】
実施形態
A1.被験者の早死の相対リスクに関連付けられた指標のレベルを判定する方法は、
被験者からサンプルを得ることと、
GlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)とを測定することを含む。
A2.前記GlycAと、前記少なくとも1つのHDLPサブクラスと、前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体の測定値を使用して、代謝脆弱性指数(MVX)値を生成するA1の方法。
A3.前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)であるA1-A2の方法。
A4.前記MVX値が、
MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
のモデルを使用して判定されるA2乃至A3の方法。
A5.前記MVX値が、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
のモデルを使用して判定されるA2乃至A3の方法。
A6.前記MVX値は、心血管事象に関して低リスクであると思われる被験者に対して判定されるA5の方法。
A7.クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することを更に含むA1乃至A2の方法。
A8.クエン酸塩及び血清タンパク質の少なくとも1つの測定が、CVD関連死に関して高リスクであると思われる被験者において行われるA7の方法。
A9.前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用して判定されるA7乃至A8の方法。
A10.前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義される前記実施形態の何れか1つの方法。
A11.GlycA及び前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの前記測定値を使用して、炎症指数(INFX)値を生成するA10の方法。
A12.INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
のモデルを用いて、INFX値を判定するA10乃至A11の方法。
A13.前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体、並びに任意でタンパク質及びクエン酸塩の測定値を使用して代謝栄養失調指数(MMX)値を生成するA10の方法。
A14.前記代謝栄養失調指数(MMX)値がMMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
と定義されるA10及びA13の方法。
A15.前記代謝栄養失調指数(MMX)が第1の代謝栄養失調指数MMX1値と、第2の代謝栄養失調指数MMX2値とを含むA10、A13及びA14の何れか1つの方法。
A16.MMX=β9*MMX1+β10*MMX2であるA15の方法。
A17.MMX1=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyであるA15乃至A16の方法。
A18.MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)であるA15乃至A16の方法。
A19.前記MVX値がMVX1=βi*INFX+βm*MMX1のモデルを使用して判定されるA15乃至A17の何れか1つの方法。
A20.MVX1は、CVD関連事象に関して低リスクであると思われる被験者について判定されるA19の方法。
A21.前記MVX値が、MVX=βi*INFX+βm*MMXであり、ここでMMX=β9*MMX1+β10*MMX2のモデルを使用して判定されるA15の方法。
A22.MVXは、CVD関連事象に関して高リスクであると思われる被験者について判定されるA21の方法。
A23.前記BCAAがロイシン、イソロイシン、又はバリンのうちの少なくとも1つである前記実施形態の何れか1つの方法。
A24.前記ケトン体がアセトン、アセトアセテート、又はベータ-ヒドロキシブチレートのうちの少なくとも1つである前記実施形態の何れか1つの方法。
A25.前記測定は、NMRによって行われる前記実施形態の何れか1つの方法。
B1.被験者の早死の相対リスクに関連付けられた指標のレベルを判定する方法は、
前記被験者からサンプルを得ることと、
GlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することと、
GlycAと前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの測定値を用いて、炎症指数(INFX)値を生成することと、
前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体と、任意で、タンパク質及びクエン酸塩の前記測定値を使用して、少なくとも1つの代謝栄養失調指数(MMX)値を生成することと、
INFX値及びMMX値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することとを含んでいてもよい。
B2.前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)であるB1の方法。
B3.前記INFX値は、INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)のモデルを用いて決定されるB1乃至B2の方法。
B4.前記代謝栄養失調指数(MMX)値は、MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)と定義されるB1乃至B2の方法。
B5.前記代謝栄養失調指数(MMX)が第1の代謝栄養失調指数MMX1値と、第2の代謝栄養失調指数MMX2値とを含む実施形態B1乃至B4の何れか1つの方法。
B6.MMX=β9*MMX1+β10*MMX2であるB5の方法。
B7.MMX1=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyであるB5乃至B6の方法。
B8.MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)であるB5乃至B6の方法。
B9.前記MVX値が、MVX1=βi*INFX+βm*MMX1のモデルを使用して判定されるB5乃至B7の方法。
B10.MVX1がCVD関連事象に関して低リスクであると思われる被験者について判定されるB9の方法。
B11.前記MVX値がMVX=βi*INFX+βm*MMXであり、ここでMMX=β9*MMX1+β10*MMX2のモデルを使用して判定されるB5乃至B8の何れかの方法。
B12.MVXがCVD関連事象に関して高リスクであると思われる被験者について判定されるB11の方法。
B13.前記BCAAがロイシン、イソロイシン、又はバリンのうちの少なくとも1つであるB1乃至B12の何れか1つの方法。
B14.前記ケトン体がアセトン、アセトアセテート、又はベータ-ヒドロキシブチレートのうちの少なくとも1つであるB1乃至B13の何れか1つの方法。
B15.前記測定は、NMRによって行われるB1乃至B14の何れか1つの方法。
C1.前述の実施形態の何れか1つを実行するシステム。
D1.GlycAに対する少なくとも1つの信号と、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスに対する少なくとも1つの信号と、少なくとも1つの分枝鎖アミノ酸(BCAA)に対する少なくとも1つの信号と、及び少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)に対する少なくとも1つの信号とを備えるNMRスペクトル(複数も含む)を取得するように構成されたNMR分光計と、
前記GlycA、前記少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラス、前記少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)、及び前記少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)に対して測定した少なくとも1つの信号に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定する為のプロセッサを備え、プロセッサは、メモリを含むか、又はメモリと通信するシステム。
D2.更に、血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)に対する少なくとも1つの信号を含むNMRスペクトル(単数または複数)を取得するように構成されたNMR分光計と、血清タンパク質(Protein)及びクエン酸塩(Citrate)に対して測定した少なくとも1つの信号に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定するプロセッサとを備えたD1のシステム。
D3.前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)であるD1乃至D2のシステム。
D4.前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
の式を使用して、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及び少なくとも1つのHDLPサブクラスの測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成されたD1又はD3の何れか1つのシステム。
D5.前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用してMVXスコアを計算するように構成されるD1又はD3の何れか1つのシステム。
D6.前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用してMVX値を計算するように構成されるD1乃至D3の何れか1つのシステム。
D7.前記プロセッサは、更に、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むMVX値を計算するように構成されるD1乃至D6の何れか1つのシステム。
D8.前記プロセッサは、更に、INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)のモデルを使用してINFX値を計算するように構成されるD7のシステム。
D9.前記プロセッサは、更に、MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用してMMX値を計算するように構成されるD7のシステム。
D10.前記プロセッサは、更に、第1の代謝栄養失調指数MMX1値及び第2の代謝栄養失調指数MMX2値を含む代謝栄養失調指数(MMX)を計算するように構成されるD7乃至D9の何れか1つのシステム。
D11.前記プロセッサは、更に、MMX=β9*MMX1+β10*MMX2のモデルを使用してMMX値を計算するように構成されるD10のシステム。
D12.前記プロセッサは、更に、MMX1=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用してMMX1値を計算するように構成されるD10乃至D11のシステム。
D13.前記プロセッサは、更に、MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
のモデルを使用してMMX2値を計算するように構成されるD10乃至D11のシステム。
D14.前記プロセッサは、更に、MVX1=βi*INFX+βm*MMX1
のモデルを使用してMVX値を計算するように構成されるD10乃至D12の何れか1つのシステム。
D15.前記プロセッサは、更に、MVX=βi*INFX+βm*MMX、但しMMX=β9*MMX1+β10*MMX2
であるモデルを使用してMVX値を計算するように構成されるD10又はD11乃至D13の何れか1つのシステム。
D16.前記BCAAがロイシン、イソロイシン又はバリンの少なくとも1つであるD1乃至D15の何れか1つのシステム。
D17.前記ケトン体がアセトン、アセトアセテート、又はベータ-ヒドロキシブチレートの少なくとも1つであるD1乃至D16の何れか1項のシステム。
E1.NMR分光計と、
前記分光計と連通するフロープローブと、
(i)フロープローブ中の血中血漿又は血清試料のGlycAに関連付けられたNMRスペクトルの定義されたGlycA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(ii)フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたケトン体適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iii)フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたBCAA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iv)前記フロープローブ中の試料と関連付けられたNMRスペクトルの少なくとも1つのHDLPサブクラス適合領域に対する少なくとも1つのNMR信号と、任意で、フロープローブ中の試料に関連付けられたNMRスペクトルの血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)適合領域(複数も含む)の少なくとも1つのNMR信号とを得られるように構成された前記分光計と通信するプロセッサと、
を備えたNMRシステム。
E2.前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である、E1のシステム。
E3.前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyの式を使用して、GlycAと、少なくとも1つのケトン体と、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸と、前記少なくとも1つの前記HDLPサブクラスの前記測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成されるE1乃至E2のシステム。
E4.前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用してMVXスコアを計算するように構成されるE1乃至E2のシステム。
E5.前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)の
モデルを使用してMVX値を計算するように構成されるE1乃至E4の何れか1つのシステム。
E6.前記プロセッサは、更に、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX値)を含むMVX値を計算するように構成されるE1乃至E5の何れか1つのシステム。
E7.前記プロセッサは、更に、INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)のモデルを使用してINFX値を計算するように構成されるE6のシステム。
E8.前記プロセッサが、更に、MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用してMMX値を計算するように構成されるE6のシステム。
E9.前記プロセッサは、更に、第1の代謝栄養失調指数MMX1値及び第2の代謝栄養失調指数MMX2値を含む代謝栄養失調指数(MMX)を計算するように構成されるE6乃至E7の何れか1つのシステム。
E10.前記プロセッサが、更に、MMX=β9*MMX1+β10*MMX2
のモデルを使用してMMX値を計算するように構成されるE9のシステム。
E11.前記プロセッサが、更に、MMX1=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用してMMX1値を計算するように構成されるE9乃至E10のシステム。
E12.前記プロセッサは、更に、MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用してMMX2値を計算するように構成されるE9乃至E10のシステム。
E13.前記プロセッサは、更に、MVX1=βi*INFX+βm*MMX1のモデルを使用してMVX値を計算するように構成されるE9乃至E11の何れか1つのシステム。
E14.前記プロセッサは、更に、MVX=βi*INFX+βm*MMX、但しMMX=β9*MMX1+β10*MMX2のモデルを使用してMVX値を計算するように構成されるE10乃至E13の何れか1つのシステム。
E15.前記BCAAがロイシン、イソロイシン、又はバリンの少なくとも1つであるE1乃至E14の何れか1つのシステム。
E16.前記ケトン体がアセトン、アセトアセテート、又はベータ-ヒドロキシブチレートの少なくとも1つである、E1乃至E15の何れか1つのシステム。
F1.患者を観察する方法であって、
前記被験者からサンプルを得ることと、
サンプル中のGlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び/又は血清タンパク質(Protein)のうちの少なくとも1つを測定することと、
前記測定値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することと、
少なくとも前記MVX値が、全原因死亡のリスク増加に関連付けられた集団ノルムの定義されたレベルを上回るかどうかを評価することと、を含む方法。
F2.前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)であるF1の方法。
F3.前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用して判定されるF1乃至F2の方法。
F4.前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用して判定されるF1乃至F2の方法。
F5.心血管事象に関して低リスクであると思われる被験者において前記MVX値が判定されるF1乃至F4の方法。
F6.クエン酸塩及び血清タンパク質の少なくとも1つの測定が、CVD関連死に関して高リスクであると思われる被験者において行われるF1の方法。
F7.前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用して判定されるF1乃至F2の方法。
F8.前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義されるF1乃至F7の方法。
F9.GlycA及び前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの前記測定値を使用して、炎症指数(INFX)値を生成するF8の方法。
F10.INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)のモデルを使用して、INFX値を判定するF8乃至F9の方法。
F11.前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体、並びに任意でタンパク質及びクエン酸塩の測定値を使用して、代謝栄養失調指数(MMX)値を生成するF8の方法。
F12.代謝栄養失調指数(MMX)値が、MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)と定義されるF8又はF11の何れか1つの方法。
F13.前記代謝栄養失調指数(MMX)が、第1の代謝栄養失調指数MMX1値と、第2の代謝栄養失調指数MMX2値とを含むF8又はF11の何れか1つの方法。
F14.MMX=β9*MMX1+β10*MMX2であるF13の方法。
F15.MMX1=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyであるF13又はF14の何れか1つの方法。
F16.MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)である、F14のF13の何れか1つの方法。
F17.前記MVX値は、MVX1=βi*INFX+βm*MMX1のモデルを使用して判定されるF13乃至F15の何れか1つの方法。
F18.MVX1は、CVD関連事象について低リスクであると思われる被験者について判定されるF17の方法。
F19.前記MVX値は、MVX=βi*INFX+βm*MMX、但し、MMX=β9*MMX1+β10*MMX2のモデルを使用して判定されるF13の方法。
F20.MVXは、CVD関連事象について高リスクであると思われる被験者について判定されるF19の方法。
F21.前記BCAAがロイシン、イソロイシン、又はバリンの少なくとも1つであるF1乃至F20の何れか1つの方法。
F22.前記ケトン体がアセトン、アセトアセテート、又はベータ-ヒドロキシブチレートのうちの少なくとも1つであるF1乃至F21の何れか1つの方法。
F23.前記測定は、NMRによって行われるF1乃至F21の何れか1つの方法。
G1.患者を観察する方法であって、
(a)被験者からサンプルを取得することと、
(b)前記サンプル中のGlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することと、
(c)前記測定値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することと、
(d)後の時点で工程(a)乃至(c)を繰り返すことと、
(e)少なくとも前記MVX値が経時的に増加又は減少したかどうかを評価することと、を含む方法。
G2.前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)であるG1の方法。
G3.前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用して判定されるG1乃至G2の方法。
G4.前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用して判定されるG1乃至G2の方法。
G5.心血管事象に関して低リスクであると思われる被験者において前記MVX値が判定される、G1乃至G4の何れか1つの方法。
G6.クエン酸塩及び血清タンパク質の少なくとも1つの測定が、CVD関連死に関して高リスクであると思われる被験者において行われるG1乃至G2の方法。
G7.前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用して判定されるG1、G2、又はG6の何れか1つの方法。
G8.前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義されるG1乃至G7の何れか1つの方法。
G9.GlycA及び前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの前記測定値を使用して、炎症指数(INFX)値を生成するG8の方法。
G10.INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
のモデルを使用して、INFX値を判定するG8乃至G9の方法。
G11.前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体、並びに任意でタンパク質及びクエン酸塩の測定値を使用して、代謝栄養失調指数(MMX)値を生成するG8の方法。
G12.代謝栄養失調指数(MMX)値が、MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
と定義されるG8又はG11の何れか1つの方法。
G13.前記代謝栄養失調指数(MMX)が、第1の代謝栄養失調指数MMX1値と、第2の代謝栄養失調指数MMX2値とを含むG8、G11、又はG12の何れか1つの方法。
G14.MMX=β9*MMX1+β10*MMX2であるG13の方法。
G15.MMX1=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyであるG13の方法。
G16.MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)であるG13の方法。
G17.前記MVX値は、MVX1=βi*INFX+βm*MMX1のモデルを使用して判定されるG15の方法。
G18.MVX1は、CVD関連事象について低リスクであると思われる被験者について判定されるG17の方法。
G19.前記MVX値は、MVX=βi*INFX+βm*MMX、但しMMX=β9*MMX1+β10*MMX2のモデルを使用して判定されるG13の方法。
G20.MVXは、CVD関連事象について高リスクであると思われる被験者について判定されるG19の方法。
G21.前記BCAAがロイシン、イソロイシン、又はバリンの少なくとも1つであるG1乃至G20の何れか1つの方法。
G22.前記ケトン体がアセトン、アセトアセテート、又はベータ-ヒドロキシブチレートのうちの少なくとも1つであるG1乃至G21の何れか1つの方法。
G23.前記測定は、NMRによって行われるG1の方法。
【0124】
以上は、本開示を例示するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の幾つかの例示的な実施形態について説明したが、当業者であれば、本開示の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの変更が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、そのような変更の全ては、特許請求の範囲に定義される本開示の範囲内に含まれるよう意図される。特許請求の範囲において、ミーンズプラスファンクション(Means-plus-Function)項が使用される場合は、構造的等価物だけでなく、同等の構造物に対しても列挙した機能を行うものとして本明細書に記載された構造物を包含することを意図する。従って、前述は本開示の例示であり、開示された特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、開示された実施形態に対する変更、並びに他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図するものである。本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義され、その中に含まれる特許請求の範囲の等価物によって定義される。
【符号の説明】
【0125】
20 プロセッサ/分析回路
22 NMR分析器
211 デジタルコンピュータ/プロセッサ
213 コンピュータ/プロセッサ
215 メモリ記憶装置
216 パルス制御&インターフェース回路
217 RF送信機
218 RF電力増幅器
221 磁石
223 RFレシーバ
224 復調器
225 メモリ記憶装置
225 NMRデータ又は信号取得システム
226 プリンタ
227 インターネット
310 プロセッサ
314 メモリ
350 MVX評価モジュール
352 オペレーティングシステム
354 アプリケーションプログラム
356 データ
358 I/Oデバイスドライバ
362 信号データ
370 臨床疾患状態モジュール
375 リスク予測モジュール
378 全原因死亡リスク評価モジュール
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の早死の相対リスクに関連付けられた指標のレベルを判定する方法であって、
被験者からサンプルを得ることと、
GlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)とを測定することを含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0124】
以上は、本開示を例示するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の幾つかの例示的な実施形態について説明したが、当業者であれば、本開示の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの変更が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、そのような変更の全ては、特許請求の範囲に定義される本開示の範囲内に含まれるよう意図される。特許請求の範囲において、ミーンズプラスファンクション(Means-plus-Function)項が使用される場合は、構造的等価物だけでなく、同等の構造物に対しても列挙した機能を行うものとして本明細書に記載された構造物を包含することを意図する。従って、前述は本開示の例示であり、開示された特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、開示された実施形態に対する変更、並びに他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図するものである。本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義され、その中に含まれる特許請求の範囲の等価物によって定義される。
〔付記1〕
被験者の早死の相対リスクに関連付けられた指標のレベルを判定する方法であって、
被験者からサンプルを得ることと、
GlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)とを測定することを含む方法。
〔付記2〕
前記GlycAと、前記少なくとも1つのHDLPサブクラスと、前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体の測定値を使用して、代謝脆弱性指数(MVX)値を生成する付記1に記載の方法。
〔付記3〕
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である付記1又は2の何れか一項に記載の方法。
〔付記4〕
前記MVX値が、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用して判定される付記2又は3の何れか一項に記載の方法。
〔付記5〕
前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyのモデルを使用して判定される付記2又は3の何れか一項に記載の方法。
〔付記6〕
心血管事象に関して低リスクであると思われる被験者において前記MVX値が判定される付記5に記載の方法。
〔付記7〕
更に、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することを含む付記1、2、又は3に記載の方法。
〔付記8〕
クエン酸塩及び血清タンパク質の少なくとも1つの前記測定が、CVD関連死に関して高リスクであると思われる被験者において行われる付記7に記載の方法。
〔付記9〕
前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用して判定される付記7又は8の何れか1つに記載の方法。
〔付記10〕
前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義される付記1乃至9の何れか1項に記載の方法。
〔付記11〕
GlycA及び前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの前記測定値を使用して、炎症指数(INFX)値を生成する付記10に記載の方法。
〔付記12〕
INFX=β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)
のモデルを使用して、前記INFX値を判定する付記10又は11の何れかに記載の方法。
〔付記13〕
前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体、並びに任意でタンパク質及びクエン酸塩の測定値を使用して、代謝栄養失調指数(MMX)値を生成する付記10に記載の方法。
〔付記14〕
前記代謝栄養失調指数(MMX)値が、MMX=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)
と定義される付記10又は13の何れか一項に記載の方法。
〔付記15〕
前記代謝栄養失調指数(MMX)が第1の代謝栄養失調指数MMX1値と、第2の代謝栄養失調指数MMX2値とを含む付記10、13、又は14の何れか一項に記載の方法。
〔付記16〕
MMX=β9*MMX1+β10*MMX2である付記15に記載の方法。
〔付記17〕
MMX1=β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyである付記15又は16の何れか一項に記載の方法。
〔付記18〕
MMX2=β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)である付記15又は16の何れか一項に記載の方法。
〔付記19〕
前記MVX値がMVX1=βi*INFX+βm*MMX1のモデルを使用して判定される付記15乃至17の何れか一項に記載の方法。
〔付記20〕
MVX1は、CVD関連事象について低リスクであると思われる被験者について判定される付記19に記載の方法。
〔付記21〕
前記MVX値が、MVX=βi*INFX+βm*MMX、但しMMX=β9*MMX1+β10*MMX2のモデルを使用して判定される付記15に記載の方法。
〔付記22〕
MVXは、CVD関連事象について高リスクであると思われる被験者について判定される付記21に記載の方法。
〔付記23〕
前記BCAAがロイシン、イソロイシン、又はバリンの少なくとも1つである付記1乃至22の何れか一項に記載の方法。
〔付記24〕
前記ケトン体がアセトン、アセトアセテート、又はベータ-ヒドロキシブチレートのうちの少なくとも1つである付記1乃至23の何れか一項に記載の方法。
〔付記25〕
前記測定は、NMRによって実施される付記1乃至24の何れか一項に記載の方法。
〔付記26〕
被験者の早死の相対リスクに関連付けられた指標のレベルを判定する方法は、
前記被験者からサンプルを得ることと、
GlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することと、
GlycAと前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの測定値を用いて、炎症指数(INFX)値を生成することと、
前記少なくとも1つのBCAAと、前記少なくとも1つのケトン体と、任意で、タンパク質及びクエン酸塩の前記測定値を使用して、少なくとも1つの代謝栄養失調指数(MMX)値を生成することと、
INFX値及びMMX値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することと、を含む方法。
〔付記27〕
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である付記26に記載の方法。
〔付記28〕
前記測定は、NMRによって行われる付記26又は27の何れか一項に記載の方法。
〔付記29〕
付記1乃至28の何れか一項を行うシステム。
〔付記30〕
GlycAに対する少なくとも1つの信号と、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスに対する少なくとも1つの信号と、少なくとも1つの分枝鎖アミノ酸(BCAA)に対する少なくとも1つの信号と、及び少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)に対する少なくとも1つの信号とを備えるNMRスペクトル(複数も含む)を取得するように構成されたNMR分光計と、
前記GlycA、前記少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラス、前記少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)、及び前記少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)に対して測定した少なくとも1つの信号に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定するプロセッサと、を備え、
プロセッサは、メモリを含むか、又はメモリと通信するシステム。
〔付記31〕
更に、血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)に対する少なくとも1つの信号を含むNMRスペクトル及び/又は複数のスペクトルを取得するように構成されたNMR分光計と、
前記血清タンパク質(Protein)及び前記クエン酸塩(Citrate)に対して測定した少なくとも1つの信号に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定するプロセッサと、を備えた付記30に記載のシステム。
〔付記32〕
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である付記30又は31の何れか一項に記載のシステム。
〔付記33〕
前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBodyの式を使用して、GlycAと、少なくとも1つのケトン体と、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸と、前記少なくとも1つのHDLPサブクラスの前記測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成された付記30乃至32の何れか一項に記載のシステム。
〔付記34〕
前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用して判定される付記30乃至32の何れか1つに記載のシステム。
〔付記35〕
前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義される付記30乃至32の何れか1項に記載の方法。
〔付記36〕
NMR分光計と、
前記分光計と連通するフロープローブと、
(i)前記フロープローブ中の血中血漿又は血清試料のGlycAに関連付けられたNMRスペクトルの定義されたGlycA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(ii)前記フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたケトン体適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iii)前記フロープローブ内の試料に関連付けられたNMRスペクトルの定義されたBCAA適合領域の少なくとも1つのNMR信号と、(iv)少なくとも1つのHDLPサブクラスと、任意で、血清タンパク質(Protein)及び/又はクエン酸塩(Citrate)に対する少なくとも1つのNMR信号と、を取得するように構成された前記分光計と通信するプロセッサと、
を含むNMRシステム。
〔付記37〕
前記プロセッサは、更に、前記GlycAと、前記少なくとも1つのケトン体と、前記少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸と、前記HDLPサブクラスのそれぞれの量を計算するように構成された付記36に記載の方法。
〔付記38〕
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である付記36又は37の何れかに記載のシステム。
〔付記39〕
前記プロセッサは、更に、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody
の式を使用して、GlycA、少なくとも1つのケトン体、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸、及び前記HDLPサブクラスの少なくとも1つの前記測定値に基づいてMVXスコアを計算するように構成された付記36乃至38の何れかに記載のシステム。
〔付記40〕
前記MVX値は、MVX=A+β1*lnGlycA+β2*lnS-HDLP+β3*(lnGlycA*lnS-HDLP)+β4*lnBCAA+β5*lnKetoneBody+β6*lnCitrate+β7*lnProtein+β8*(lnCitrate*lnProtein)のモデルを使用して判定される付記36乃至38の何れかに記載のシステム。
〔付記41〕
前記MVX値は、炎症指数(INFX)値及び代謝栄養失調指数(MMX)値を含むものとして定義される付記40記載の方法。
〔付記42〕
患者を観察する方法であって、
前記被験者からサンプルを得ることと、
前記サンプル中のGlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することと、
前記測定値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することと、
少なくとも前記MVX値が、全原因死亡のリスク増加に関連付けられた集団ノルムの定義されたレベルを上回るかどうかを評価することと、を含む方法。
〔付記43〕
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である付記42に記載の方法。
〔付記44〕
前記測定は、NMRによって実施される付記42乃至43の何れか一項に記載の方法。
〔付記45〕
患者を観察する方法であって、
(a)被験者からサンプルを取得することと、
(b)前記サンプル中のGlycAと、少なくとも1つの高密度リポタンパク質粒子(HDLP)サブクラスと、少なくとも1つの分岐鎖アミノ酸(BCAA)と、少なくとも1つのケトン体(KetoneBody)と、任意で、クエン酸塩(Citrate)及び血清タンパク質(Protein)の少なくとも1つを測定することと、
(c)前記測定値に基づいて、代謝脆弱性指数(MVX)値を判定することと、
(d)後の時点で工程(a)乃至(c)を繰り返すことと、
(e)少なくとも前記MVX値が経時的に増加又は減少したかどうかを評価することと、を含む方法。
〔付記46〕
前記HDLPサブクラスが小さいHDLP(S-HDLP)である付記45に記載の方法。
〔付記47〕
前記測定は、NMRによって行われる付記45又は46の何れか一項に記載の方法。
【外国語明細書】