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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159446
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/84 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
E06B9/84 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141887
(22)【出願日】2023-09-01
(62)【分割の表示】P 2019227826の分割
【原出願日】2019-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】山藤 義広
(57)【要約】
【課題】
面状の検知領域を設定するセンサを用いて、特に閉鎖中の開閉体に車両等が衝突することを防止する。
【解決手段】
面状の検知領域を設定するセンサ4を備えた検知装置であって、センサ4は、開閉体によって開閉される開口部の上方部位に設けてあり、センサ4は、前記面状の検知領域が、開口部上方から下方に向かって前記開口部から離れる方向に傾斜する傾斜面を形成するように取り付けられており、前記傾斜面と前記開口部との距離によって開口部近傍範囲が設定されており、前記開口部近傍範囲に進入した対象を前記傾斜面によって検知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状の検知領域を設定するセンサを備えた検知装置であって、
前記センサは、開閉体によって開閉される開口部の上方部位に設けてあり、
前記センサは、前記面状の検知領域が、開口部上方から下方に向かって前記開口部から離れる方向に傾斜する傾斜面を形成するように取り付けられており、
前記傾斜面と前記開口部との距離によって開口部近傍範囲が設定されており、前記開口部近傍範囲に進入した対象を前記傾斜面によって検知するように構成されている検知装置。
【請求項2】
前記傾斜面の傾きが可変である、請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記センサは、開口部上方部位に固定された取付台に角度調整可能に取り付けられており、前記取付台に対する前記センサの角度を調整することで、前記傾斜面の傾きが可変となっている、
請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記傾斜面の下端は地面までは達しておらず、地面近傍に不検知領域が設けてある、
請求項1~3いずれか1項に記載の検知装置。
【請求項5】
前記センサは、レーザスキャナセンサである、請求項1~4いずれか1項に記載の検知装置。
【請求項6】
前記対象は車両である、請求項1~5いずれか1項に記載の検知装置。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置に係り、詳しくは、シャッター等の開閉体に設けられる検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高頻度で開閉動作が行われるシャッター、例えば、マンション等の駐車場の出入口に設置されるグリルシャッターは、高頻度で車両が出入するため、より安全性が求められており、例えば、降下中のシャッターへの車両の衝突防止が要求される。
【0003】
このようなシャッターには、マイクロ波センサを用いた車両衝突防止対策が採られているものもあるが、マイクロ波センサは動体検知センサであることから、動いている車両は検知できるが、停止している車両は検知できないという課題がある。
【0004】
また、開口部の幅方向両端部の手前にポールを設置して、開口幅方向に光軸を形成する光電センサを設けて、開口部に近づく車両等の物体を検知する方法もあるが、光電センサのための地中配線が必要となること、駐車場スペース等の問題により、設置条件が限られ現実的には設置が困難な場合が多い。
【0005】
面状の検知領域を設定するセンサ(例えば、レーザスキャナセンサ)を用いて開閉体を制御するシステム(特許文献1)も提案されているが、レーザスキャンセンサはガイドレールの下方部位に設けてあることから、地面付近で開口幅寸法を狭めてしまい、車両や人との接触が懸念される。また、レーザスキャンセンサは、ガイドレールに設けてあることから、ガイドレールが埋め込み等の場合に、レーザスキャンセンサの設置が困難である。
【特許文献1】特開2013-227827
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、面状の検知領域を設定するセンサを用いるものでありながら、上記課題を解決することができる検知装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
面状の検知領域を設定するセンサを備えた検知装置であって、
前記センサは、開閉体によって開閉される開口部の上方部位に設けてあり、
前記センサは、前記面状の検知領域が、開口部上方から下方に向かって前記開口部から離れる方向に傾斜する傾斜面を形成するように取り付けられており、
前記傾斜面と前記開口部との距離によって開口部近傍範囲が設定されており、前記開口部近傍範囲に進入した対象を前記傾斜面によって検知するように構成されている検知装置、である。
1つの態様では、センサが対象を検知すると、検知装置から制御部に検知信号が送信され、前記制御部は、開閉体の状態に応じて、開閉体の閉鎖動作を規制する。例えば、開閉体閉鎖中に検知信号が制御部に送信されると、閉鎖中の開閉体が停止し、あるいは、停止後反転して開放する。
1つの態様では、前記傾斜面の下方部位と前記開口部との距離によって開口部近傍範囲が設定されている。
【0008】
1つの態様では、前記傾斜面の傾きが可変である。
異なる開口高を開閉する開閉体に設置した検知装置おいて、傾斜面(面状の検知領域)の傾きを変えることで、一定の開口部近傍範囲を設定することができる。前記傾斜面の傾きが同じ場合、開口高が大きくなると、前記傾斜面の下方部位と前記開口部との距離は大きくなるが、開口高が異なる場合に前記傾斜面の傾きを異ならしめることで、前記傾斜面の下方部位と前記開口部との距離を一定に保つことができる。
傾斜面(面状の検知領域)の傾きを変えることで、傾きに応じて任意の開口部近傍範囲を設定することができる。
【0009】
1つの態様では、前記センサは、開口部上方部位に固定された取付台に角度調整可能に取り付けられており、前記取付台に対する前記センサの角度を調整することで、前記傾斜面の傾きが可変となっている。
【0010】
1つの態様では、前記傾斜面の下端は地面までは達しておらず、地面近傍に不検知領域が設けてある。地面近傍に不検知領域を設定することで、風により地面から舞い上がった浮遊物等を誤って検知してしまうような誤検知を防止する。
【0011】
1つの態様では、前記センサは、レーザスキャナセンサである。
1つの態様では、前記対象は車両である。
1つの態様では、前記開閉体は駐車場の出入口に設置される。
1つの態様では、前記開閉体は、グリルシャッター(パイプシャッター)である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る検知装置は、面状の検知領域を設定するセンサを用いて、特に閉鎖中の開閉体に車両等が衝突することを防止する。
また、面状の検知領域を設定するセンサを用いることで、前記開口部近傍範囲に進入した対象は、少なくとも部分的に傾斜面(面状の検知領域)に位置していれば、移動中であっても静止状態でも検知することができる。
傾斜面(面状の検知領域)は、例えば、車体上側に当該車体よりも前方に突出する突出部位を備えた車両が開口部近傍範囲に近づいた時に、前記突出部位を適切に検知することができる。
前記センサは、開閉体によって開閉される開口部の上方部位に設けてあるので、対象(物や人)が開口部を通過する際にセンサが邪魔となることがない。
【0013】
前記傾斜面(面状の検知領域)の傾きを可変としたものでは、異なる開口高を開閉する開閉体に検知装置を設定する場合であっても、傾斜面(面状の検知領域)の傾きを変えることで、開口高にかかわらず、一定の開口部近傍範囲を設定することができる。
傾斜面(面状の検知領域)の傾きを変えることで、傾きに応じて任意の開口部近傍範囲を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る検知装置を備えたシャッター装置の側面図及び正面図であり、センサによって傾斜面状の検知領域が設定されている。
図2】本実施形態に係る検知装置を備えたシャッター装置の側面図及び正面図であり、図1の態様において車両を検知した状態を示している。
図3】本実施形態に係る検知装置を備えたシャッター装置の側面図及び正面図であり、図1に比べて開口高が大きく、傾斜面状の検知領域の傾きが小さく設定されている。
図4】本実施形態に係る検知装置を備えたシャッター装置の側面図及び正面図であり、センサによって略垂直面状の検知領域が設定されている。
図5】本実施形態に係る検知装置を備えたシャッター装置の側面図及び正面図であり、図1図4の態様ではセンサがまぐさ下面に固定されているのに対して、図5の態様ではセンサがシャッターケース下面に取り付けられている。
図6図3の側面図のセンサ取付箇所の部分拡大図である。
図7図1に示す態様のセンサの姿勢を示す部分拡大図である。
図8図3に示す態様のセンサの姿勢を示す部分拡大図である。
図9図4に示す態様のセンサの姿勢を示す部分拡大図である。
図10】センサの取付構造(まぐさ下面への固定)を示す部分拡大側面図である。
図11】センサの取付構造(まぐさ下面への固定)を示す部分拡大正面図である。
図12】センサの取付構造(シャッターケース下面への固定)を示す部分拡大側面図である。
図13】センサと埋め込み式ガイドレールとの位置関係を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図4は、本実施形態に係る検知装置を備えたシャッター装置の側面図及び正面図であり、開口部の上方部位には、シャッター収納部が形成されており、シャッター収納部内には巻取シャフト1が回転可能に支持されており、巻取シャフト1にシャッターカーテン2が巻き取られるようになっている。シャッター収納部の開口幅方向の一方には開閉機Mが設けてあり、開閉機Mによって巻取シャフト1が回転駆動されて、シャッターカーテン2を巻き取り/繰り出すようになっている。
【0016】
開口部の幅方向両端には左右のガイドレール3が立設されており、左右のガイドレール3は、シャッターカーテン昇降時にシャッターカーテン2の幅方向両端部を受け入れて案内するようになっている。ガイドレール3は、シャッターカーテン2の幅方向端部を受け入れるガイド溝の内外に位置する見込面30と、開口部内外にそれぞれ面する見付面31と、ガイド溝の底に位置する底面32と、を備えている。ガイドレール3が埋め込み式で設置される場合には、見付面31、底面32が壁や躯体W内に埋設されて外部に露出しない場合がある(図13参照)。
【0017】
本実施形態に係る検知装置が設けられるシャッターが例えば集合住宅の駐車場の出入口に設けられる場合には、シャッターとしてグリルシャッター(パイプシャッター)が例示される。もっとも、本発明に係る検知装置が設けられる開閉体は限定されず、開閉体には、スラットシャッター、シートシャッター、パネルシャッター、オーバーヘッドドア、パイプシャッターを含むシャッター全般、電動式門扉(スライド式ゲート)、その他の開閉体が含まれる。
【0018】
本実施形態に係るシャッターでは、1点式のリモコン式操作部からの押しボタン入力によってシャッターカーテン2を開放させる。開口部全閉姿勢において、操作部のボタンを押すと、開閉機Mの駆動によって巻取シャフト1が回転してシャッターカーテン2を上昇させて開口部を開放する。そして、開口部全開状態が所定時間維持され、所定時間経過後、シャッターカーテン2が自動降下して開口部を閉鎖する。なお、リモコン式操作部に加えて、躯体に操作部(図示せず)を設けてもよく、この場合、当該操作部は、開放ボタン、閉鎖ボタン、停止ボタンを備えた操作部でもよい。
【0019】
本実施形態に係るシャッター装置は、挟まれ防止センサS1と異物巻き込み防止センサS2を備えている。挟まれ防止センサS1は、一方のガイドレール3の見込面30の下方部位に所定高さに亘って設けた複数の投光器と他方のガイドレール3の見込面30の下方部位に所定高さに亘って設けた複数の受光器とからなる多軸の光電センサであり、物体や人が開口部内に位置する場合に、光軸が遮られることで、物体や人を検知し、検知信号が制御部に送信されることで、シャッターカーテン2の降下を規制する。
【0020】
異物巻き込み防止センサS2は、一方のガイドレール3の見込面30の上方部位に設けた投光器と他方のガイドレール3の見込面30の上方部位に所定高さに亘って設けた受光器とからなる光電センサであり、シャッターカーテン2に異物が設けられた状態で上昇した時に、異物によって光軸が遮られることで、当該異物を検知し、検知信号が制御部に送信されることで、シャッターカーテン2の上昇を規制する。
【0021】
本実施形態に係るシャッター装置は、面状の検知領域を設定するレーザスキャナセンサ4を備えている。レーザスキャナセンサ4は、開口部の上方部位に設けてあり、レーザスキャナセンサ4は、面状の検知領域が、開口部上方から下方に向かって開口部から離れる方向に傾斜する傾斜面(図1では傾斜面P1、図3では傾斜面P2を示す)を形成するように取り付けられている。本実施形態では、レーザスキャナセンサ4は、開口部上方において、開口幅方向の一端に設けてあり、開口部の上端の角部から方形の検知領域を形成しており、方形の検知領域は、開口幅全幅に亘って拡がっている。傾斜面(傾斜面P1、P2)の下端は地面Gまでは達しておらず、地面Gの近傍に不検知領域Qが設けてある。不検知領域Qは地面Gでの誤検知を防止するために設定され、不検知領域の高さは、例えば、300mm程度である。
【0022】
レーザスキャナセンサ4を用いた検知装置では、傾斜面(傾斜面P1、P2)と開口部との水平方向の距離によって開口部近傍範囲が設定されており、開口部近傍範囲に進入した対象を傾斜面によって検知するようになっている。開口部近傍範囲は、開口部を出入する対象(例えば車両)に対応して設定される。開口部近傍範囲は、例えば、開口部(ガイドレール3のガイド溝の中心)から傾斜面の下端までの水平距離A(図1図3参照)によって決定される。なお、傾斜面は、側面視において傾斜状の直線であるので、傾斜状の直線のいずれかの高さにおいて、開口部(ガイドレール3のガイド溝の中心)との水平距離を決定すれば、開口部近傍範囲を一意に設定することができる。
【0023】
検知対象が車両であれば、開口部(ガイドレール3のガイド溝の中心)から傾斜面の下端までの水平距離が、例えば1400mm程度に設定される。したがって、図2に示すように、車両が開口部近傍範囲に進入した時には、レーザスキャナセンサ4によって車両が検知されて、検知信号が制御部に送信される。また、傾斜面(面状の検知領域)は、例えば、車体上側に当該車体よりも前方に突出する突出部位を備えた車両が開口部近傍範囲に近づいた時に、当該突出部位が車体前方部位よりも上方において、傾斜面によって検知されることで、適切な位置で車両を検知することができる。
【0024】
レーザスキャナセンサ4からの検知信号を制御部が受信した時のシャッター制御について説明する。レーザスキャナセンサ4は、操作部からの信号の入力の有無に関わらず、常時検知可能状態となっており、レーザスキャナセンサ4が対象を検知すると、検知信号が制御部に送信される。しかしながら、レーザスキャナセンサ4からの検知信号に基づくシャッター制御は、以下に述べるように、制御部が検知信号を受信した時のシャッターの状態によって異なる。
【0025】
シャッター閉鎖動作中にレーザスキャナセンサ4が物体(例えば、開口部に接近する車両)を検知した場合には、検知信号を受信した制御部による制御によって、降下中のシャッターカーテン2が停止し、その後反転上昇して、開口部全開状態となって停止する。したがって、シャッターカーテン2が降下している時に、車両が開口部に近づいて開口部近傍範囲に進入すると、レーザスキャナセンサ4によって車両が検知され、検知信号が制御部に送信され、制御部によって、降下中のシャッターカーテン2が停止し、その後反転上昇して、開口部全開状態まで上昇するので、開口部近傍範囲に進入した車両は降下中のシャッターカーテン2に衝突することなく開放された開口部を通過することができる。
【0026】
開口部全開状態において、レーザスキャナセンサ4が物体(例えば、開口部に接近する車両や開口部近傍に停車している車両)を検知した場合には、シャッターカーテン2は降下しない。
【0027】
また、開口部全開状態において、例えば、車両が開口部に跨った状態で停止し、開口部内外のレーザスキャナセンサ4で検知されない場合には、当該車両は、挟まれ防止センサS1によって検知されて、シャッターカーテン2は降下しない。なお、レーザスキャナセンサ4により物体が検知されるのと同時に、当該物体が挟まれ防止センサS1の光軸を遮っているような場合には、当該物体は、レーザスキャナセンサ4、挟まれ防止センサS1の両方のセンサによって検知され得る。いずれのセンサによって検知されても、シャッターカーテン2の降下は規制されるが、いずれのセンサからの検知信号を優先させるかについては、当業者において適宜設定し得る。
【0028】
本実施形態に係るレーザスキャナセンサ4は、主として、降下中のシャッターカーテンに車両が衝突することを防止するためのものであり、レーザスキャナセンサ4は起動スイッチとしては作動しない。開口部全閉状態において、例えば車両がレーザスキャナセンサ4によって検知された場合であっても、シャッターカーテン2は上昇せず、操作部からの開放信号によってシャッターカーテン2は上昇を開始し、開口部近傍範囲に進入した車両は、開放された開口部を通過することができる。シャッター開放動作中にレーザスキャナセンサ4が物体(例えば、開口部に接近する車両)を検知した場合であっても、シャッターカーテン2は上昇を続け、開口部近傍範囲に進入した車両は、開放された開口部を通過することができる。
【0029】
本実施形態では、レーザスキャナセンサ4によって設定される面状の検知領域、すなわち、傾斜面(図1の傾斜面P1、図3の傾斜面P2)の傾きが可変である。傾斜面P1、P2の傾きを可変とすることで、シャッターによって開閉される開口高が異なる場合であっても、一定の検知範囲(開口部近傍範囲)を設定することが可能となる。レーザスキャナセンサ4によって形成される傾斜面の傾きが同じ場合、開口高が大きくなると、傾斜面の下方部位と開口部との水平距離は大きくなるが、開口高が異なる場合に傾斜面の傾きを異ならしめることで、開口高にかかわらずに、傾斜面の下方部位(想定される検知部位)と開口部との水平距離を一定に保つことができる。図1図3を対比すれば明らかなように、図3の態様では、開口部の高さ寸法が図1の態様の開口部の高さ寸法よりも大きい。図3の態様において、傾斜面P2の傾き(水平面に対する角度)を、図1の態様の傾斜面P1の傾き(水平面に対する角度)よりも大きくする(垂直面に近づける方向)ことで、図1の態様と図3の態様で、開口高にかかわらずに、一定の検知範囲(開口部近傍範囲を決定する水平距離A)を設定することができる。
【0030】
また、傾斜面状の検知領域の傾きを変えることで、傾きに応じて任意の開口部近傍範囲を設定することができる。例えば、駐車場の出入口が道路に近いような場合に、検知領域の傾き(水平面に対する角度)を大きくする(垂直面に近づける方向)ことで、道路上に位置する人や物体による誤検知を防止することができる。さらに、図4に示す態様のように、面状の検知領域を略垂直面P3とすることで、レーザスキャナセンサ4を挟まれ防止センサとして用いることもできる。
【0031】
本実施形態に係るレーザスキャナセンサ4によって設定される面状の検知領域(傾斜面)の傾きの具体的な構成(角度調整機構)について説明する。本実施形態に係るレーザスキャナセンサ4は、センサ本体5と取付ブラケット6とからなり、取付ブラケット6を介して開口部上方部位に固定された取付台7に角度調整可能に取り付けられている。取付台7に対するレーザスキャナセンサ4(センサ本体5+取付ブラケット6)の取付角度を調整することで、センサ本体5から照射される面状の検知領域(傾斜面P1、P2、垂直面P3)の傾きが可変となっている。
【0032】
取付台7は、垂直状の基辺70と、基辺70の幅方向両端から対向状に延びる垂直状の側辺71と、基辺70の上端に形成した水平状の上辺72と、とを備え、上辺72を開口部上方部位に固定することで、開口部上端に垂下状に取り付けられている。取付台7の上辺72が固定される開口部上方部位としては、後述するように、まぐさ下面80、90やシャッターケース下面100を例示することができる。
【0033】
レーザスキャナセンサ4は、取付ブラケット6を取付台7の側辺71間に位置させて、上側の回動支軸60及び下側の角度調整固定軸61によって、取付台7に所定の姿勢で固定される。より具体的には、レーザスキャナセンサ4は、上側の回動支軸60を介して取付台7に対して回動可能に支持されており、対向状の側辺71には、回動支軸60を中心とした弧状のガイド溝73が形成されており、下側の角度調整固定軸61はガイド溝73内を移動可能かつ位置固定可能となっている。
【0034】
少なくとも一方の側辺71には、ガイド溝73に沿って角度の目印となる複数のマーク74が設けてあり、所定のマーク74に角度調整固定軸61が一致するようにレーザスキャナセンサ4を回動させて、所望位置で角度調整固定軸61を固定する。図7に示す態様では、角度調整固定軸61は、右から2つ目のマーク74に一致させてあり、レーザスキャナセンサ4は垂直面に対して所定の角度姿勢で固定されており、レーザスキャナセンサ4から照射されるレーザは傾斜面P1を形成する。図8に示す態様では、角度調整固定軸61は、左から4つ目のマーク74に一致させてあり、レーザスキャナセンサ4は垂直面に対して所定の角度姿勢で固定されており、レーザスキャナセンサ4から照射されるレーザは傾斜面P2を形成する。図9に示す態様では、角度調整固定軸61は、左から1つ目のマーク74に一致させてあり、レーザスキャナセンサ4は略垂直姿勢で固定されており、レーザスキャナセンサ4から照射されるレーザは垂直面P3を形成する。図示の態様では、8個のマーク74が設けてあるが、マーク74の個数は限定されない。また、マーク74の形状も図示のものに限定されない。
【0035】
角度調整固定軸61は例えば螺子61´から構成されており、螺子61´を締めて、螺子61´の頭部を側辺71に圧接する(ワッシャを介してもよい)ことで軸部(角度調整固定軸61)の位置が固定され、螺子61´を緩めることで、ガイド溝73に沿って軸部(角度調整固定軸61)が移動可能となる。また、回動支軸60を螺子60´の軸部から構成してもよい。
【0036】
本実施形態では、2つのレーザスキャナセンサ4が、開口部の上方部位の開口幅方向一側において、ガイドレール3のガイド溝を挟んだ内外に位置して設けてある。本実施形態では、レーザスキャナセンサ4は開閉機Mが設けられた側に位置して設けてあり、開閉機Mの近傍に設けた制御部(図示せず)とレーザスキャナセンサ4との電気的配線40をスムーズに行えるようになっている。なお、図10では、一方(外側)のレーザスキャナセンサ4は省略されている。
【0037】
図1図4に示す態様では、シャッター収納部は天井CL内に形成されており、図6に示すように、開口部上方部位には、内まぐさ(ケースまぐさ)8と外まぐさ9が設けてあり、これらの間に、シャッターカーテン2の昇降路が形成されている。内まぐさ8は水平状の下面80を備えており、下面80は開口部の上方部位に露出している。外まぐさ9は水平状の下面90を備えており、下面90は開口部の上方部位に露出している。外側のレーザスキャナセンサ4の取付台7は、上辺72を開口幅方向の一方の端部において外まぐさ9の下面90に固定することで、一方のガイドレール3の上端に近接して、下面90から垂下するように取り付けられている。外側のレーザスキャナセンサ4の取付台7の一方の側辺71は、ガイドレール3の外側の見込面30に近接ないし接触している。内側のレーザスキャナセンサ4の取付台7は、上辺72を開口幅方向の一方の端部において内まぐさ8の下面80に固定することで、一方のガイドレール3の上端に近接して、下面80から垂下するように取り付けられている。内側のレーザスキャナセンサ4の取付台7の一方の側辺71は、ガイドレール3の内側の見込面30に近接ないし接触している。
【0038】
レーザスキャナセンサ4は、スキャナ本体5と取付ブラケット6からなり、取付ブラケット6を取付台7に固定することで、開口部上方で、かつ、開口幅方向の一端に位置して設けられる。レーザスキャナセンサ4は、開口部の上端で開口幅方向の一端の角部に位置して設けてあり、開口部を通過する物や人に接触することが可及的に防止されている。本実施形態に係るレーザスキャナセンサ4は、方形状の検知領域を形成するので、角部に設けたレーザスキャナセンサ4から照射される検知領域は、開口部の全幅をカバーするように面状に広がりをもって形成される。
【0039】
取付台7の上辺72には、レーザスキャナセンサ4の配線40を挿通させる溝部ないし開口が形成されており、まぐさ下面80、90には、配線40の挿通部81、91(図6参照)が形成されており、レーザスキャナセンサ4の配線40は、溝部、挿通部81、91を通って、シャッター収納部内に延びており(図10参照)、開閉機M近傍の制御部(図示せず)に電気的に接続されている。
【0040】
図5に示す態様では、躯体Wにシャッターケース10が取り付けられており、シャッターケース10の内部空間がシャッター収納部となっている。図1図4に示す態様ではレーザスキャナセンサ4がまぐさ下面80、90に固定されているのに対して、図5に示す態様ではレーザスキャナセンサ4はシャッターケース10の下面100に取り付けられている。より具体的には、取付台7の上辺72がシャッターケース下面100の開口幅方向の一端側部位に固定されている。シャッターケース下面100には、配線40の挿通部が形成されており、レーザスキャナセンサ4の配線40は、溝部、挿通部を通って、シャッターケース10内に延びている(図12参照)。
【0041】
本実施形態に係るレーザスキャナセンサ4は、一方のガイドレール3(開閉機Mが設けられた側)の見込面30の上端部位よりも内側に位置した状態で、開口部上方部位に取り付けてあり、図示の態様では、取付台7の一方の側辺71は、上記ガイドレール3の見込面30の上端部位に近接ないし当接しており、レーザスキャナセンサ4は、上記ガイドレール3の見込面30の上端部位に近接している。このように、レーザスキャナセンサ4を、開口部上方部位(まぐさ下面80、90やシャッターケース下面100)において、ガイドレール3の見込面30の内側に位置して設けたことで、シャッター装置の現場の仕上げの納まり(ガイドレールの埋め込みや外壁タイル仕上げ等)に制限されることなく、レーザスキャナセンサ4を設置することができる。
【0042】
例えば、図13に示すように、ガイドレール3が埋め込み式で設置される場合には、ガイドレール3の見付面31、底面32が壁や躯体W内に埋設されて外部に露出しない場合がある。このような埋め込み式のガイドレール3においても、開口部上方部位(まぐさ下面80、90やシャッターケース下面100)にレーザスキャナセンサ4を設けることで、シャッター装置の現場の仕上げの納まり(ガイドレールの埋め込み)に制限されない。また、埋め込み式のガイドレール3においても、見込面30は外部に露出しているので、レーザスキャナセンサ4を見込面30の上端部位に近接させて配置することができる。開口部の上側の角部に位置して設けたレーザスキャナセンサ4はシャッター装置の外観を損ねることがなく、また、開口部を通過する物体や人と接触して通過の妨げとなることがない。
【符号の説明】
【0043】
3 ガイドレール
30 見込面
4 レーザスキャナセンサ
5 センサ本体
6 取付ブラケット
7 取付台
8 内まぐさ
80 下面
9 外まぐさ
90 下面
10 シャッターケース
100 下面
A 傾斜面と開口部との距離
P1、P2 傾斜面
Q 不検知領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状の検知領域を設定するセンサを備えた検知装置であって、
前記センサは、開閉体によって開閉される開口部の上方部位に設けてあり、
前記センサは、前記面状の検知領域が、開口部の全幅をカバーするように正面視方形状で、開口部上方から下方に向かって前記開口部から離れる方向に傾斜する傾斜面を形成するように取り付けられており、
前記傾斜面と前記開口部との距離によって開口部近傍範囲が設定されており、前記開口部近傍範囲に進入した対象を前記傾斜面からなる面状の検知領域によって検知するように構成されており、
開閉体の閉鎖動作中に対象が検知された場合には、降下中の開閉体は停止、反転上昇される、
検知装置。
【請求項2】
前記傾斜面の傾きが可変である、請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
面状の検知領域を設定するセンサを備えた検知装置であって、
前記センサは、開閉体によって開閉される開口部の上方部位に設けてあり、
前記センサは、前記面状の検知領域が、開口部上方から下方に向かって前記開口部から離れる方向に傾斜する傾斜面を形成するように取り付けられており、
前記傾斜面と前記開口部との距離によって開口部近傍範囲が設定されており、前記開口部近傍範囲に進入した対象を前記傾斜面からなる面状の検知領域によって検知するように構成されており、
開閉体の閉鎖動作中に対象が検知された場合には、降下中の開閉体は停止、反転上昇され、
前記傾斜面からなる面状の検知領域の傾きが可変であり、前記開口部の開口高にかかわらず、前記傾斜面の下端と前記開口部との距離を一定に設定可能となっている、
検知装置。
【請求項4】
前記センサは、開口部上方部位に固定された取付台に角度調整可能に取り付けられており、前記取付台に対する前記センサの角度を調整することで、前記傾斜面の傾きが可変となっている、
請求項2、3いずれか1項に記載の検知装置。
【請求項5】
前記傾斜面の下端は地面までは達しておらず、地面近傍に不検知領域が設けてある、
請求項1~いずれか1項に記載の検知装置。
【請求項6】
面状の検知領域を設定するセンサを備えた検知装置であって、
前記センサは、開閉体によって開閉される開口部の上方部位に設けられた外側センサと内側センサとからなり、
前記外側センサは、前記面状の検知領域が、開口部上方から下方に向かって前記開口部から離れる方向に外側に傾斜する外側傾斜面を形成するように取り付けられており、
前記外側傾斜面と前記開口部との距離によって開口部近傍範囲が設定されており、前記開口部近傍範囲に進入した対象を前記外側傾斜面からなる面状の検知領域によって検知し、
前記内側センサは、前記面状の検知領域が、開口部上方から下方に向かって前記開口部から離れる方向に内側に傾斜する内側傾斜面を形成するように取り付けられており、
前記内側傾斜面と前記開口部との距離によって開口部近傍範囲が設定されており、前記開口部近傍範囲に進入した対象を前記内側傾斜面からなる面状の検知領域によって検知するように構成されており、
開閉体の閉鎖動作中に対象が検知された場合には、降下中の開閉体は停止、反転上昇される、
検知装置。
【請求項7】
前記開口部の上方部位には、開口幅方向の一方に位置して開閉機が設けてあり、
前記外側センサ及び前記内側センサは、共に開閉機が設けられた開口幅方向一側に位置して設けてある、
請求項6に記載の検知装置。
【請求項8】
開閉体の閉鎖動作中に対象が検知された場合には、降下中の開閉体は停止、反転上昇し開口部全開状態となる、請求項1~7いずれか1項に記載の検知装置。