(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159456
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】統合されたEKG及びPPGセンサを用いたインテリジェントパルス平均化を使用して静脈酸素飽和度を測定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142748
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2022562720の分割
【原出願日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】63/009,470
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/067,147
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/135,936
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523055318
【氏名又は名称】ヘモセプト・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ラマン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】イアイン・ヒュートン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】静脈酸素飽和度を非侵襲的に測定し判定するためのシステムを提供する。
【解決手段】静脈酸素飽和度を判定するために心電図法(EKG)及び光電式容積脈波記録法(PPG)感知を組み合わせて使用するシステムが記載される。システムは、患者の代謝予備能及び/又はストレスの評価のために、前の(又はn-1)RからRまでのパルス波持続時間、及び現在の(又はn)RからRまでのパルス波持続時間に基づく類似するパルスの平均化を使用する。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈酸素飽和度を判定するためのシステムであって、
(a)人の皮膚に接して配置可能なデバイスと、
(b)光の複数の波長で前記人のPPG信号を測定するための前記デバイスに装着された少なくとも1つのPPGセンサと、
(c)前記人のEKG信号を測定するための複数の電極と、
(d)前記PPG信号及び前記EKG信号を受信及び分析するためのコンピュータロジックシステムと、を備え、前記コンピュータロジックシステムは、
(i)前記EKG信号において心周期を識別するためのシステムと、
(ii)前記識別された心周期における特徴に基づいて、前記PPG信号を一連のPPG信号セグメントにセグメント化するためのシステムと、
(a)前記PPG信号セグメントを複数のビンにソートするためのシステムであって、各ビンが、前のRからRまでの心周期及び現在のRからRまでの心周期の持続時間に基づく、システムと、
(iv)前記複数のビンの各々について合成信号を生成するためのシステムと、
(v)人の静脈酸素飽和度を、
(a)光の異なる波長で測定された合成信号を比較することにより、動脈酸素飽和度を計算することと、
(b)光の異なる波長で測定された2つの連続する信号最大値で合成信号をサブサンプリングすることと、
(c)光の異なる波長で測定された前記サブサンプリングされた合成信号を前記計算された動脈酸素飽和度と比較して、静脈酸素飽和度を判定することと、を行うことによって測定するためのシステムと、を更に備える、システム。
【請求項2】
光の異なる波長で測定された合成信号を比較することにより、動脈酸素飽和度を計算することが、合成信号プライムオーバ信号(SPOS)信号を比較することを含み、各合成SPOS信号は、前記合成信号自体によって正規化された合成信号の導関数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
人の静脈酸素飽和度を測定するための前記システムが、前記人の静脈酸素飽和度を計算するときに前記合成信号が使用される好ましいビンを選択する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記好ましいビンが、内部に最大数のPPG信号セグメントを有するビンに対応する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記好ましいビンが、現在のRからRまでの値と前のRからRまでの値との間の最大差を有するビンに対応する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
各ビンについて合成信号を生成するための前記システムが、前記ビン内の前記PPG信号セグメントを合計又は平均するためのシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記合成信号が、前記合成信号自体によって正規化された前記合成信号の導関数である合成信号プライムオーバ信号(SPOS)を生成するために使用される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータロジックシステムが、
(vi)光の異なる波長で測定された合成SPOS信号を比較することにより、動脈酸素飽和度を計算するためのシステムを更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のビンの各々について合成信号を生成するための前記システムが、前記合成信号の計算から異常なPPG信号セグメントを除去するためのシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記合成信号の前記計算から異常なPPG信号セグメントを除去するための前記システムが、
合成信号を計算するために使用される前記PPG信号セグメントの各々のSPOSを、前記計算された合成信号の前記SPOSと比較し、
外れ値のPPG信号セグメントを除去し、
前記外れ値のPPG信号セグメントが除去された前記合成信号を再計算し、
外れ値のPPG信号セグメントがなくなるまで反復を繰り返すことによって、前記合成信号を反復的に再計算するためのシステムを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記デバイスが、ハンドヘルドデバイスであり、前記少なくとも1つのPPGセンサが前記ハンドヘルドデバイス上に装着され、複数の電極ワイヤが前記ハンドヘルドデバイスから延びる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記デバイスが、ハンドヘルドデバイスであり、前記少なくとも1つのPPGセンサが前記ハンドヘルドデバイス上に装着され、前記複数の電極のうちの少なくとも1つが前記ハンドヘルドデバイス上に装着された、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
光導波路が、前記デバイス上の前記少なくとも1つのPPGセンサと前記人の皮膚との間に挿入されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記デバイスは、前記少なくとも1つのPPGセンサ及び前記複数の電極が、前記人の胸または肢の周りに配設されたストラップまたはバンド内に配設されるように、前記人の胸または肢の周りに配設された前記ストラップ又はバンド内に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記デバイスが、パッチであり、前記少なくとも1つのPPGセンサ及び前記複数の電極のうちの少なくとも1つがパッチ内に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンピュータロジックシステムは、前記合成信号が前記デバイス内で生成されるように前記デバイス内に配置され、静脈酸素飽和度を測定するための前記システムが、
分析のためのリモートコンピュータシステムへの前記合成信号、又は
分析のためのリモートコンピュータシステムへの測定されたPPG信号及びEKG信号、のうちの1つ又は両方を送信するためのデータ送信システムを備える、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年4月14日に出願された「PULSE WAVE TRANSIT TIME(PWTT)MEASUREMENT SYSTEM USING INTEGRATED EKG AND PPG SENSORS」と題する米国仮特許出願第63/009,470号、2020年8月18日に出願された「SYSTEM FOR IMPROVED MEASUREMENT OF OXYGEN SATURATION,NON-INVASIVE DETECTION OF VENOUS AND ARTERIAL PULSE WAVEFORMS,AS WELL AS DETECTION OF CARBOXYHEMOGLOBIN,HYPERTROPHIC CARDIOMYOPATHY AND OTHER CARDIAC CONDITIONS」と題する米国仮特許出願第63/067,147号、2020年12月28日に出願された「SYSTEMS FOR SYNCHRONIZING DIFFERENT DEVICES TO A CARDIAC CYCLE AND FOR GENERATING PULSE WAVEFORMS FROM SYNCHRONIZED ECG AND PPG SYSTEMS」と題する米国特許出願第17/135,936号に対する優先権を主張し、それらの開示全体は、あらゆる目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本システムは、心電図(EKG)及びフォトプレチスモグラフ(PPG)感知システムを組み合わせた心臓感知システムに関する。
【0003】
臨床的問題の簡単な説明:
健康状態における静脈ヘモグロビンの酸素化は、80%を超えていることが多い。これは驚くべきことのように見えるかもしれないが、この高レベルの酸素化は、最後の数秒間深呼吸が行われていなくても、体が浸ることができる代謝予備能を表す。ストレスの状態では、その予備能は削られ、このような静脈飽和度は、身体の酸素予備能の尺度を提供するため、臨床的に有用である。現在、これは侵襲的な静脈血ガス測定を介してのみ取得することができる。静脈酸素飽和度と血清乳酸は、代謝ストレス時に静脈飽和度が低下するため、患者の代謝予備能及びストレスの程度を測定するために両方とも使用される。組織が代謝要求を満たすのに十分な酸素を受け取っていないときに、血清乳酸は上昇し、組織はグルコースの嫌気性使用に変わる。現在、代謝ストレスを評価するための最も一般的な尺度は血清乳酸であるが、Serum Lactate Poorly Predicts Central Venous Oxygen Saturation In Critically Ill Patients:A Retrospective Cohort Study by Bisara et.al.,PMID:21516712,DOI:10.1186/s40560-019-0401-5などの最近の研究は、静脈酸素飽和度が重大な代償不全の発症前のストレスのより良い初期尺度であり得ることを示唆している。乳酸又は静脈血ガスの血清測定は、無菌採血能力と、採血後に氷上に置かれた静脈サンプルを迅速に処理することが可能な資格のある検査室が近くに必要である。したがって、静脈酸素飽和度を非侵襲的に測定する能力は、リソースが豊富な状況とリソースが限られている状況の両方で代謝ストレスを評価するために非常な示唆を有する。
【0004】
本発明及び本発明に密接に関連する心臓生理学の要約:
好ましい態様では、本システムは、静脈酸素飽和度を判定するためのシステムであって、(a)人の皮膚に接して配置可能なデバイスと、(b)光の複数の波長で人のPPG信号を測定するためのデバイスに装着された少なくとも1つのPPGセンサと、(c)人のEKG信号を測定するための複数の電極と、(d)PPG信号及びEKG信号を受信及び分析するためのコンピュータロジックシステムと、を備え、コンピュータロジックシステムは、(i)EKG信号において心周期を識別するためのシステムと、(ii)識別された心周期における特徴に基づいて、PPG信号を一連のPPG信号セグメントにセグメント化するためのシステムと、(iii)PPG信号セグメントを複数のビンにソートするためのシステムであって、各ビンが、前のRからRまでの心周期及び現在のRからRまでの心周期の持続時間に基づく、システムと、(iv)複数のビンの各々について合成信号を生成するためのシステムと、(v)人の静脈酸素飽和度を、(a)光の異なる波長で測定された合成信号を比較することにより、動脈酸素飽和度を計算することと、(b)光の異なる波長で測定された2つの連続する信号最大値で合成信号をサブサンプリングすることと、(c)光の異なる波長で測定されたサブサンプリングされた合成信号を計算された動脈酸素飽和度と比較して、静脈酸素飽和度を判定することと、を行うことによって測定するためのシステムと、を更に備える。好ましくは、光の異なる波長で測定された合成信号を比較することにより、動脈酸素飽和度を計算することは、合成信号プライムオーバ信号(SPOS)信号を比較することを含み、各合成SPOS信号は、合成信号自体によって正規化された合成信号の導関数である。
【0005】
好ましい態様では、人の静脈酸素飽和度を測定するための本システムは、人の静脈酸素飽和度を計算するときに合成信号が使用される好ましいビンを選択し、好ましいビンは、その中の最大数のPPG信号セグメント、及び/又は現在のRからRまでの値と前のRからRまでの値の間の最大差を有するビンに対応する。合成信号は、ビン内のPPG信号セグメントを合計又は平均化することによって、各ビンについて生成され得る。追加的に、合成信号が、合成信号自体によって正規化された合成信号の導関数である合成信号プライムオーバ信号(SPOS)を生成するために使用され得る。そのような態様では、光の異なる波長で測定された合成SPOS信号を比較することにより、動脈酸素飽和度を計算するためのシステムが含められ得る。
【0006】
好ましい態様では、複数のビンの各々について合成信号を生成するためのシステムは、例えば、合成信号を計算するために使用されるPPG信号セグメントの各々のSPOSを、計算された合成信号のSPOSと比較し、外れ値のPPG信号セグメントを除去し、外れ値のPPG信号セグメントが除去された合成信号を再計算し、外れ値のPPG信号セグメントがなくなるまで反復を繰り返すことによって、合成信号を反復的に再計算することにより、合成信号の計算から異常なPPG信号セグメントを除去するためのシステムを含む。
【0007】
本明細書で例示される様々な好ましい物理的実施形態では、本システムは、ハンドヘルドデバイスであり、少なくとも1つのPPGセンサがハンドヘルドデバイス上に装着され、複数の電極ワイヤがハンドヘルドデバイスから延びるか、又はハンドヘルドデバイス上に装着されている。代替的に、本システムは、人の胸又は肢の周りに配設されたストラップ又はバンド内に配置され得、少なくとも1つのPPGセンサ及び複数の電極が、ストラップ又はバンド内に配設されている。代替的に、本システムは、パッチ内に配設され得、少なくとも1つのPPGセンサ及び複数の電極のうちの少なくとも1つがパッチ内に配置されている。システムはまた、データ送信のために提供されている。
【0008】
本システムは、所与の患者の代謝予備能/ストレスに関する情報を安価かつ非侵襲的に提供する。このような知識は、検査室の結果を待つことなく、患者の回復又は衰退の臨床経過に関する重要なポイントオブケア情報を臨床医に迅速かつ安全に提供することができる。肝心なのは、静脈飽和度を推定するためのシステムのトップレベルのフロー図を示す
図1の分析であり、動脈血のヘモグロビン飽和度は、合成PPG信号形状の主パルス領域、すなわち最も大きい傾き変化の領域から取得され(101)、エンドパルス信号最大値/動脈パルス最小値のみを使用して、静脈血ヘモグロビン酸素化の別個の推定値が取得される(102)。次いで、2つの結果が比較されて、どの位酸素予備能が明白であるかを判定する。
【0009】
この分析の鍵は、PPG信号がフィルタリングされる「組織サンドイッチ」のダイナミクスが、パルスの終わりにおいてわずかに変化することを理解することである。これは、
図2に見られる。曲線201は、合成IR PPG信号から導出された、実験的に取得された動脈波形である。分かるように、波形は信じられないほどクリーンであり、これは、インテリジェントな類似するパルスが何分にもわたって平均化された結果である。顕著な点は、ピークからの動脈パルスの下降(又は「ロールオフ」)が単純な指数関数、又は安定した下降でさえあることであり、曲線は、次のパルスの開始の直前のパルスの最小値の前に見られる「こぶ」をもたらさない(202)。
【0010】
受動的なドレ-ニングではなく、この時間枠では細動脈の能動的な充満があり、本質的に細動脈、毛細血管(血球が1つずつ通過する)、及び細静脈からなる「砂時計」構造をプライミングする。このプライミング効果により、PPGオキシメトリにより測定される血液の組成の変化が引き起される。血液組成がパルスの終わりの直前に変化しているというこの観察を利用して、信号の最大値(動脈のパルスの最小値に対応する)が一緒に収集され、パルスを通じて取得されたPPG信号とは別に分析される。このアプローチの絵画的描写が
図3に提供され、これは、
図3AのLEDサンプリング、標準的なPPG動脈ヘモグロビンオキシメトリ、及び
図3Bのエンドパルス/信号最大値サンプリングを示す。線302は、LED信号(301)のサンプリングが発生する標準オキシメトリを介してサンプリングされた動脈パルスを示す。線303は、結果として得られるPPG信号である。点304は、信号最大値/パルス最小値を示す。
図3Bは、エンドパルス/信号最大値オキシメトリで行われる異なるサンプリングを示す。線306は動脈パルスを示しており、これを通じてLED信号(305)のサンプリングが発生するが、エンドパルスにおいてのみ信号最大となる。線307は、そのようなサンプリングにより結果として得られるPPG信号である。
【0011】
動脈エンドパルスにおいて測定される構造の更なる描写は、
図4に見ることができる。
図4Aでは、細動脈/毛細血管/細静脈の構造が砂時計として示されている。動脈拍動の主要部分を通して、反射オキシメトリにおいて測定された細動脈/毛細血管/細静脈構造を表す砂時計は、最大限に酸素化された前毛細血管細動脈血液(401)によって支配される。しかしながら、エンドパルスにおいて、402に描写されているように、細静脈、毛細血管後の血液の蓄積がある。
図4Bは、構造の別の表現を与えており、反射オキシメトリにおいて測定された構造が影付き領域(403)として示されている。また、血液の移動速度の曲線を有するグラフも見られる(404)。これは、血球が毛細血管を通過するときに最低速度に減速することを示し、毛細血管の前後で速度が非対称であり、エンドパルスにおける細動脈から細静脈への血液の変化を説明している。
【0012】
このアプローチは、
図5A及び5Bにおいて更に説明され、線形としてのサンプリング点(RからRまでの持続時間)間の変化、及びPPG信号がどのように変化し得るかを示す。面積501はエンドパルス動脈(前毛細血管)血液を示し、領域502はエンドパルス静脈(後毛細血管)血液を示し、面積503は、構造の固定要素(大部分は結合組織)である。
図5Aでは、長いパルスの前後のエンドパルス/信号最大値(504)において構造を通るLEDサンプリングは、時間507(RからRまでの持続時間)によって分離されたPPG信号505及び506をもたらす。
図5Bでは、短いパルスの前後のエンドパルス/信号最大値(504)において構造を通るLEDサンプリングは、時間510(RからRまでの持続時間)によって分離されたPPG信号508及び509をもたらす。
【0013】
本システムは、心電図法(EKG)及び光電式容積脈波記録法(PPG)信号を組み合わせて使用する(PPGは、一般にオキシメトリとも称され、この2つの用語は、本明細書の全体を通して交換可能に使用される)。前者は、心筋の収縮によって生成された電圧を感知し、後者は組織によって吸収された光を測定する。PPG信号の変化は血液量の変化を反映し、異なる波長での測定により酸素飽和度の判定を可能にする。
【0014】
現在のシステムは、ハンドヘルドのポータブルPPGシステム/デバイスを使用して現在利用可能なものとは異なる洞察を可能にする。このシステムにおけるEKG信号とPPG信号の組み合わせは、脈波伝播時間(又はPWTT)、及びPPG信号プライムオーバ信号(SPOS)曲線を利用する。PWTTは、QRS復号の開始によって測定される心拍と、SPOS曲線において生成される負のスパイクによって判定される、大動脈からの血液が肢又は他の身体部分に到達する時間との間にかかる時間期間であり、LED信号を信号で割った導関数としても記載される。カリフォルニア州パロアルトのMocaCare Corporationに譲渡された米国特許第10,213,123号には、動脈パルスの到着を告げるLED信号の変化を判定するための信号導関数の使用が記載されている。しかしながら、各波長信号を正規化し、異なる波長の信号プライムオーバ信号(SPOS)曲線を比較することを可能にするため、SPOSの使用は、より深い洞察を可能にする。
【0015】
したがって、改善された動脈酸素飽和度の推定は、類似するパルスの合成合計/平均を使用してSPOS曲線からこのシステムによって生成され、心周期の選択されたセグメント、特にエンドパルスオキシメトリの酸素飽和度を生成する能力が追加されている。R波ピークを使用した前の(n-1)EKG RからRまでの持続時間が計算され、現在の(n)RからRまでの持続時間、PWTT、及びSPOSも計算される。これらは全て、酸素測定パルスの類似性を判定するために本システムによって使用され、類似のパルスを合計/平均して合成パルスを形成し、異なる合成パルスを比較して心臓血管の洞察を得る。
【0016】
PWTTの減少は脈波速度の増加に対応するが、速度の増加がポンプ機能の向上を示すわけではない。これは、大動脈バルブが「機械的コンデンサ」として作用し、動脈パルス量の計量送達が可能になるためである。しかしながら、身体上の任意の所与のモニタリング点に対してPWTTを取得すると、このメトリックは比較的安定したままであり、心血管状態の突然の変化(例えば、急速な心室反応を伴う心房細動の開始などの心拍リズムの突然の変化)がなければ、徐々にしか変化しない。したがって、PWTTは、正確な更なるデータ収集及び分析を確保するための手段を提供する。これにより、信号の組み合わせから追加情報をより確実に抽出し、導入されたノイズを除去/最小化することが可能になる。
【0017】
光の吸収の測定(Beer-Lambertの法則による)は、Measurement(t)=Ke
[-Cf(t)]の形式を有し、測定の信号プライムオーバ信号(SPOS)は、以下となる。
【数1】
【0018】
光電式容積脈波記録法におけるLED信号は、以下の形式を有する。
【数2】
【0019】
【数3】
は、血液の組成を表し、一般的にゆっくりと変化する。したがって、これらの2つの項は、サンプリングの持続時間にわたって一定である。(これらの項は、本明細書でより詳細に記載される)。
【0020】
更に、健康な個人では、静脈の流れは一定であると考えられる。現在のオキシメトリ測定はこれを前提としており、この最初の調査でも同様である。この仮定が与えられると、式は以下に低減される。
【数4】
【0021】
指数関数とその導関数の特性を使用して、いくつかの波長(例えば、IRと赤色)でのPPG信号に対するSPOSを導出する。
【数5】
【0022】
概念関数Arterial(t)が赤色及びIRのPPG信号の両方に対して同じであるという事実を使用して、IR LEDからの信号のSPOS(SPOSIR)が、赤色LEDからの信号のSPOS(SPOS赤色)に正比例することを示す。
(4)SPOS赤色=R*SPOSIR又はSPOS赤色/SPOSIR=R
【0023】
【数6】
の式に戻る。これは、血液内に存在するヘモグロビンの種類の相対量に応じて、光の異なる波長がどのように血液に吸収されるかを説明している。
【0024】
式中、
【数7】
=波長μに対するヘモグロビンの種類x(デオキシヘモグロビン、オキシヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、メトヘモグロビン)の吸収係数であり、
Hb
x=様々な種類のヘモグロビンの血液の成分率である。異なる種類のヘモグロビンの成分率の合計=1.0である。
【0025】
低レベルのカルボキシヘモグロビン及びメトヘモグロビンの状態(例えば、一酸化炭素又はシアン化物中毒などの状況を除く)では、
【数8】
に対して許可される標準吸収係数を使用して、
【数9】
である。
【0026】
【0027】
唯一不明なのは、
【数11】
である。
【数12】
に対する解決により酸素化された血液率(動脈酸素化ヘモグロビン率、又はArterial Frac O2)が与えられる。
【数13】
【0028】
任意の波長に対するSPOSと、ヘモグロビン率を掛けた光吸収係数の合計との間のこの正比例は、本システムによって広く使用される。
【0029】
EKG、オキシメトリ信号、又はそれらの相互作用の記録は、ノイズだけでなく生理学的な変動性も有する。EKGノイズの管理は、100年以上にわたって構築されてきたプロトコルが確立されている。オキシメトリ信号の条件付けは、それほど長い歴史を有していない。生理的オキシメトリ変動性は、静脈の流れの変化(随意運動、体位変換による受動的運動、又は血圧カフ/血圧計の膨張/収縮などによる)、呼吸によって胸腔内圧が変化した結果、心臓に戻る血液量の変化、又は心拍間の持続時間の変動により発生する可能性がある。ノイズ、又は非生理学的変動性は、検出器の表面圧力と適用角度の変動から、信号収集の周囲光の影響、検出回路のDCドリフトまで、様々な可能性から発生する可能性がある。特定の変動源が何であれ、信号へのインテリジェントなアプローチがなければ、生理学的変動と非生理学的変動(導入されたノイズ)を区別することができない。
【0030】
オキシメトリ信号に導入されたノイズに対処する従来の手段は、フィルタリングである。例えば、信号対雑音比を検出するために一般的に使用されるアルゴリズムは、20Hz未満の周波数内の電力を、この周波数を超える電力と比較して利用する(カリフォルニア州サンノゼのMaxim Integrated Corporationによって提供されるMaximIntegrated AppNote AN6410.pdfに説明されているように)。この周波数フィルタリングは、基礎となる一次リズム(心拍数)を強調し、表示される波形の外観を滑らかにする。しかしながら、パルスは全て同じというわけではなく、それらをあたかも同じであるかのように扱うと、より深い洞察のために探索され得る貴重な情報が削除される。
【0031】
変動性を最小化する代替的な手段は、Intel Corporationに譲渡された米国特許第10,485,433号に記載されているように、多くのパルスにわたってオキシメトリを平均化することである。これにより、導入されたノイズを最小限にすることが可能となるが、生理学的変動性から収集できる任意の情報が除去される。このアプローチは、プロセスの最後に単一の均質化された代表的なパルスを生成する。しかしながら、パルスは全て同じというわけではなく、それらをあたかも同じであるかのように扱うと、利用可能な情報の一部が効果的に消去される。
【0032】
図2を観察すると、平坦な静脈血プロファイル(式(1)のような)の仮定の再評価を行うことができる。多かれ少なかれ細動脈の充満/空化と多かれ少なかれ異なるRからRまでを有する右心室の充満の組み合わせが、PPG信号最大値の変動に見られ、細静脈量と細動脈量の両方が信号最大値で変化する(
図5)。このデルタ量における細動脈と細静脈の組成比は、まだ完全には明らかではない。しかしながら、このアプローチは、上昇パルス(メインパルスオキシメトリ)から計算されたエンドパルスオキシメトリと動脈ヘモグロビン酸素飽和度の差の拡大が、下降静脈ヘモグロビン酸素飽和度を反映していることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】パルスの終わりにわずかな変化を示す、「組織サンドイッチ」を通してフィルタリングされたPPG信号を示す。
【
図3A】標準的なPPG動脈ヘモグロビンオキシメトリについてのLEDサンプリングの図である。
【
図3B】エンドパルス/信号最大値サンプリングの図である。
【
図4A】砂時計として示されている細動脈/毛細血管/細静脈の構造を図示する。
【
図4B】構造が反射オキシメトリで測定された
図4Aに対応する。
【
図5A】長いパルスの前後のエンドパルス/信号最大値における
図4A及び4Bの構造によるLEDサンプリングを図示する。
【
図5B】短いパルスの前後のエンドパルス/信号最大値における
図4A及び4Bの構造によるLEDサンプリングを図示する。
【
図6】t0nを生成するために使用されるR波ピーク精緻化のプロセスを示す。
【
図7】本システムの説明で使用する命名法及びデータ構造を示す。
【
図8】本システムの説明で使用される命法及びデータ構造も示す。
【
図9】本システムの様々な物理コンポーネントの例示的な図である。
【
図10A】本システムのハンドヘルド実施形態の様々な図を示しており、PPG及びEKGセンサがハンドヘルド実施形態に装着されているか、又はハンドヘルド実施形態に取り付けられている。
【
図10B】本システムのハンドヘルド実施形態の様々な図を示しており、PPG及びEKGセンサがハンドヘルド実施形態に装着されているか、又はハンドヘルド実施形態に取り付けられている。
【
図10C】本システムのハンドヘルド実施形態の様々な図を示しており、PPG及びEKGセンサがハンドヘルド実施形態に装着されているか、又はハンドヘルド実施形態に取り付けられている。
【
図10D】本システムのハンドヘルド実施形態の様々な図を示しており、PPG及びEKGセンサがハンドヘルド実施形態に装着されているか、又はハンドヘルド実施形態に取り付けられている。
【
図11】PPGセンサに隣接する光導波路を示す
図10A~10Dのデバイスの一部分の切断図である。
【
図12B】人の腕の外側からPPG信号を収集する
図10A~11のシステムの図である。
【
図13】経時的に測定されたEKG及びPPG信号と、それらに対応する生成されたSPOS信号の図である。
【
図15】SPOSネガティブスパイクフィッティングウィンドウに対する関心のあるエンドパルス/プレパルス面積の時間関係を図示する。
【
図16】現在の及び前の「RからRまで」を示す2心拍の依存関係の作成における関係を示すEKG信号とPPG信号の時間相関比較を図示する。
【
図17A】正常な洞調律を有する患者のランに対する各ビンにおけるパルスの数を図示する。
【
図17B】エンドパルスオキシメトリ(RからRまでの持続時間の最大の差)を判定する目的で、現在のRからRまでと以前のRからRまでのマトリックスの充填、及び静脈酸素飽和度の推定を可能にするPPG信号最大差を提供する中間ビンを使用した第2の層のビンの選択又は「フォールバック」を図示する。
【
図18】エンドパルス/静脈酸素飽和度計算の最上位のブロック図である。
【
図19】本システムに従ってパルスデータセットを準備するための例示的なアルゴリズムである。
【
図20】脈波伝播時間(PWTT)の導出を図示する。
【
図21】エンドパルス/静脈酸素飽和度の計算を示す。
【
図22】胸ストラップに配設された本システムの例示的な実施形態を図示する。
【
図24】二頭筋ストラップとそこから延びる電極を組み込んだ本システムの例示的な実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本システムの中心的な要素は、前のRからRまで及び現在のRからRまでの持続時間に基づくPPG信号の識別及び操作である。次いで、本システムは、類似のパルスから合成パルスを生成する。
【0035】
2019年12月30日に出願された「A System For Synchronizing Different Devices To A Cardiac Cycle」と題する米国仮特許出願第62/955,196号、及び2020年12月28日に出願された「SYSTEMS FOR SYNCHRONIZING DIFFERENT DEVICES TO A CARDIAC CYCLE AND FOR GENERATING PULSE WAVEFORMS FROM SYNCHRONIZED ECG AND PPG SYSTEMS」と題する米国特許出願第17/135,936号であって、全体として参照により本明細書に組み込まれるものにおいて開示された好ましい態様によれば、本システムは、特定のトリガを使用して、各拍動(例えば、EKG R波ピーク)に対して時間=0をセットし、次いで、この開始点からセンサデータの完全なサイクルが完了するまでの各パルスを、例えば、最大から最小になり、最大に戻るLED酸素測定信号を用いて記憶し、これは、単一のパルス長よりも長い波形となる。次のパルス波形は、次のEKG R波ピークでt=0を有するため、次の心拍の記録は、最後のパルス波形の記録が完了する前に開始する。絶対的に言えば、n番目のパルスのt=0に対応する時間は、本明細書の残りの部分全体を通して時間t0nと称される。
【0036】
図6は、t0nを生成するために使用されるR波ピーク精密化のプロセスを示す。この例は、アルゴリズムがこのコレクションの極性を負(ワイヤが逆)であり、その結果、R波が負であるとどのように判定したかを示している。R波ピークのt0nは、EKGデータポイント(601)への多項式フィッティング(602)と補間を使用して見出され、パルスデータセットを画定するために使用される。
【0037】
図7及び
図8は、説明で使用される命名法及びデータ構造を示す(特に指定のない限り、PWTT=PWTTIRであり、PPG信号=PPG信号IRである)。次いで、t0n時点を使用して、複数の波長(ここでは赤色、赤外、及び緑色)のPPG信号を有するパルスデータセットを画定する。PPG信号とともに記憶されるのは、前のRからRまでの値、現在のRからRまでの値、各波長に対する信号プライムオーバ信号(SPOS)に対して導出された信号、及び各波長に対する脈波伝播時間(PWTT)である。第1のPPG信号の最大値(701)と第2のPPG信号の最大値(702)に留意する。
図8は、画定された基準(例えば、類似する前のRからRまでの持続時間、又は現在のRからRまでの持続時間)に基づいて、パルスデータセットのグループから構成された合成パルスデータセットの構造を示す。PPG波形の持続時間が単一の心周期よりも長く、第1のPPG信号最大値(801)と第2のPPG信号最大値(802)との両方を確実に捕捉するのに十分な長さであることに留意する。
【0038】
図9~11は、システムの好ましいデバイスの実装形態を示す。デバイスのブロック図は、デバイス/システムの要素を示しており、複数の波長のLED(901)及びフォトダイオード検出器(902)と、左右の胸部(又は左右の上肢)に適用される電極(903)からのEKG入力を備える。好ましい実施形態では、次いで、信号が、生の信号から複合パルスデータセットを生成する「オンチップ」ロジックを実行する処理ユニット(904)に供給される。次いで、合成パルスデータセットは、無線又は直接ケーブル接続のいずれかを介して「オフデバイス」ディスプレイ/コンピューティングユニット(905)に通信され、このユニットは、最終エンドパルス酸素化、動脈主パルス酸素化、及び結果として生じる静脈酸素化の推定を多くのグラフィカルオプション(時間の経過に伴う変化など)とともにユーザに提供する。コードのためのオンデバイスストレージ(906)、並びにデータのバッファ及びパケット化された転送もある。代替的な実施形態では、処理ユニットは、水分補給レベル推定ロジックの全ての態様を処理する外部コンピューティング/表示デバイスへの生のECG及びPPG信号データの通信を単に調整する。更に別の実施形態では、水分補給レベル推定の全ての態様が、グラフィックスのレンダリング及び酸素飽和度の報告を含めて、処理ユニットによって実行される。この場合、外部コンピューティング/表示デバイスは、表示機能のみを提供する。
【0039】
図10A~Dは、PPG収集デバイスの様々な図を示す。1001は、(LED及び検出器の前の)光導波路を示し、1002は、任意選択で組み込まれたEKG電極を示し、1003は、(右胸部及び左胸部に対する)接着性EKG電極へのEKGリードワイヤのためのプラグインコネクタ部位を示す。
【0040】
図11は、デバイスの内部でLED及び検出器(1102)に当接する光導波路(1101)を有するPPGヘッドの詳細を示す。光導波路により、指以外の部位でのPPG信号の収集が可能になる。
【0041】
図12A及び12Bは、指(
図12A)及び上腕の外側(
図12B)からPPG信号を収集する使用中のデバイスを示す。デバイスのPPG測定端を安定するやり方で皮膚に適用され、1~2分以上経過させてPPG測定を取得することができるようにする。EKG電極は、胴体(又は上肢)の左側と右側に適用され、デバイスの小さい方の端にあるプラグインに接続される。
【0042】
図1に戻ると、PPG信号及びEKG信号が収集される。PPG波形選択は、心収縮が前の心拍から適切に変化しない例である心室期外収縮の心拍など、大部分のパルスとはかなり異なる異常な心拍を排除するために実行される。
【0043】
図13は、EKG信号(1301)、EKG R波ピーク(1302)、PPG信号セグメント(パルスデータセット内に含まれる)(1303、1304、1305)、SPOS信号(パルスデータセット内に含まれる)(1306、1307、1308)、SPOSを使用したPWTT(これもパルスデータセットに含まれる)(1309、1310、1311)を示す。これは、PPG信号とRからRまでの持続時間よりも長いSPOSの両方の完全な時間長さを有するPPG信号の1つの選択を提示している(現在の実装形態では、赤色、赤外、及び緑色が使用されているが、アプローチはこれらだけを使用することに限定されない)。
【0044】
インテリジェントなパルス平均化の本方法及びシステムは、分析される組織内の固定要素からの吸収に関連する(式1に見られる)「K」のドリフトの影響に対抗する。平均化により、一部のパルスはKの上向きのドリフトを有し、一部は下向きのドリフトを有し、合成パルス幅にわたってデータポイントを比較するためのより多くのオプションを平均化されたパルスに残す。
【0045】
SPOSが異なる波長のLED信号に対して同様の形状の曲線を生成するかを示しており、特定の波長に対して
【数14】
である乗数によって大きさのみが異なっている。本システムは、「負のスパイク」の領域でSPOS信号を調べて以下のことを判定する2つの新しいアプローチを含む。
-LED SPOS信号の立ち上がりの直線性、又は
-ガウス導関数及び/又は指数及び/又は多項式の組み合わせへのSPOS信号のフィッティング
【0046】
SPOS曲線の形状が似ていることが与えられると、そのようなフィッティングを1つの波長に適用して、フィッティング曲線を得ることができる。別の波長へのフィッティングは、その曲線に最適にフィッティングするために必要な大きさを見つけることだけが必要とされる。例えば、f(t)が赤外LED SPOSに最適にフィッティングする場合、赤色LED信号のSPOSにA*f(t)を最適にフィッティングするために必要な「A」により、式1と同様に動脈酸素飽和度が得られる。標準的な定式化との違いは、このフィッティングが、標準的な定式化で使用される2つ(最大及び最小)よりも多くの時点(より遅い心拍数では最大50)に基づくことである。
【0047】
図14は、片側ガウス導関数フィッティングを使用するこの概念を示す。曲線1401は、フィッティングウィンドウ1402が負のSPOS「スパイク」を選択する、収集された複合IR SPOS信号のデータポイントである。曲線1403は、ウィンドウのデータポイントを拡張プロットで示し、片側ガウス導関数適合曲線1404も示す。
【0048】
選択されたフィッティングウィンドウの間隔(SPOS「負のスパイク」)、又はそのサブセット(例えば、「負のスパイク」の立ち上がりSPOSの右半分)は、単一の支配的でコヒーレントな生理学的イベント、具体的には、大動脈弁が開いている間の左心室の収縮が、他の交絡する生理学的特徴とは明確に分離された一意な期間を表す。これは、パラメータの抽出を可能にし、これらのパラメータは、PPGセンサのパルス波形全体に適用することができる。
【0049】
上記の生理学の要約で記載したように、SPOSの「負のスパイク」のこのフィッティングウィンドウの直前の間隔は、更に別の固有の間隔を表す。
図15は、SPOSの負のスパイクのフィッティングウィンドウに対する関心のあるエンドパルス/プレパルス面積の時間関係を示す。時間1501はエンドパルス点を識別し、領域1502は、予想される線形又は指数関数的「ロールオフ」を超える超過SPOS PPGを示す(
図15の影付き領域は、
図2の影付き領域に対応する)。領域1503は、動脈ヘモグロビン酸素飽和率を推定するために使用される負のSPOS「スパイク」のウィンドウを識別する。
【0050】
静脈飽和分析のための2心拍複合の作成:
心房細動(ランダムなRからRまでの持続時間をもたらす)におけるより長いパルス列に対する2心拍複合選択が
図16に示されている。2電極単一リードEKGからの信号(曲線1601)が、赤外(IR)LED PPG信号(曲線1602)と時間的に整列してプロットされている。赤外波長は、静脈血と動脈血からの吸収が比較的同等であるため、この波長が示され、更なる分析のためにパルスを選択するために使用される。
【0051】
類似する2心拍複合の蓄積(同様のn-1 RからRまで及びn RからRまでの持続時間に基づく)により、合成パルス構成は、1つのパルスの最小値/信号最大値から次のパルスの最小値/信号最大値まで幅広く取ることができる。この定式化により、パルスの開始時及びパルスの終了時のパルス最小値/信号最大値を比較することができ、個人の心血管状態に関する追加情報を利用可能である。
図16は、静脈酸素飽和度を導出する目的で合成PPG波を生成するステップを示すEKG信号(1601)及びPPG信号(1602)の上/下整列を示す。
【0052】
上記のEKG(1601)信号は、A~Iまでのラベル付けされた一連のパルスを示している。これらのパルスの各々は、持続時間が異なるが、いくつかは他のものより持続時間が短い。2心拍依存関係は、2つの連続する心拍を一緒に関係付け、重要な特徴は、第1の心拍のRからRまでの持続時間と、第2の心拍のPPG信号である。これは、心拍「B」のRからRまでの持続時間(1604)と心拍「C」のPPG信号(1605)とを一緒にしようとする括弧において描写されている依存関係(1603)である。この分析において更に重要なのは、現在のRからRまでの持続時間であり、これは、この複合の場合、パルス「C」のRからRまでの持続時間である(1606)。括弧で囲まれた複合1603で注目に値するのは、長いn-1 RからRまでとそれに続く短いn RからRまでの対である。
【0053】
パルスB及びCが一緒に分析され、BのRからRまでの持続時間とCのRからRまでの持続時間は、この2心拍複合を長いn-1 RからRまで/短いn RからRまでの「ビン」に入れる。次に、パルスC及びDが一緒に考慮され、CのRからRまでの持続時間とDのRからRまでの持続時間は、この2心拍複合を短いn-1 RからRまで/長いn RからRまでの「ビン」に入れる。次に、パルスD及びEが一緒に考慮され、DのRからRまでの持続時間とEのRからRまでの持続時間は、この2心拍複合を長いn-1 RからRまで/中間のn RからRまでの「ビン」に入れる。次に、パルスE及びFが一緒に考慮され、EのRからRまでの持続時間とFのRからRまでの持続時間は、この2心拍複合を中間のn-1 RからRまで/短いn RからRまでの「ビン」に入れる。次に、パルスF及びGが一緒に考慮され、FのRからRまでの持続時間とGのRからRまでの持続時間は、この2心拍複合を短いn-1 RからRまで/長いn RからRまでの「ビン」に入れる。次に、パルスG及びHが一緒に考慮され、GのRからRまでの持続時間とHのRからRまでの持続時間は、この2心拍複合を長いn-1 RからRまで/中間のn RからRまでの「ビン」に入れる。
【0054】
この分析が明らかにするように、心房細動は、n-1 RからRまで及びn RからRまでの持続時間の幅広い順列を提供する。これにより、短い-長い及び長い-短いn-1及びn RからRまでの持続時間、PPG信号最大値の最大の変化を明らかにする組み合わせを使用した分析が可能となる。しかしながら、通常の洞調律では、信号の最大値の差を明らかにするのに役立つ組み合わせを選択することはより難しい。
図17Aは、正常な洞調律を有する患者のランに対する各ビンのパルスの数を示す。同じn-1及びn RからRまでの持続時間に対応する対角線が最も多く密集しており、短い-長いビン及び長い-短いビンが最も密集していないことに留意する。
図17Bは、エンドパルスオキシメトリ(RからRまでの持続時間の最大の差)を判定する目的で、現在のRからRまで対前のRからRまでのマトリックスの好ましい充填(1701)、及び静脈酸素飽和度の推定を可能にするPPG信号最大差を提供する中間ビンを使用した第2の層のビンの選択又は「フォールバック」(1702)を示す。
【0055】
静脈酸素飽和度の測定
これらの2心拍複合は開始及び終了合成PPG信号の両方を定義するため、第1及び第2の両方の信号最大値(パルス最小値)が定義される。また、類似する2心拍複合の蓄積はDCドリフトの影響を軽減するため、ここで記載される方法は静脈飽和度の推定も可能にする。エンドパルス/静脈酸素飽和度計算の最上位のブロック図が
図18に見られる。
【0056】
パルス「n」のR波ピーク精緻化は、前の(n-1)RからRまでの持続時間及び現在の(n)RからRまでの持続時間を判定する前に、曲線フィッティング及び補間(1801)によって行われ、次いで、パルスデータセット「n」に対する(n-1)及び現在の(n)RからRまでの持続時間が、パルスデータセット「n」に組み込まれる(1802)。PPG信号が収集され、外れ値拒絶のプロセスが実行される(加速度計入力を使用してデータが破損していると判定されること、及び複数のLED PPGセンサとのクロスチェックを含むが、これらに限定されない、1803)。現在のパルスデータセットのPPG信号が選択されると、パルスデータセットは、利用可能な前の全てのパルスデータセット及びそれらのPPG信号(各々が前の(n-1)RからRまでの持続時間及び現在の(n)RからRまでの持続時間に関連する)と一緒に考慮される。
【0057】
次いで、利用可能なパルスデータセットは、各々が短い、中間の、又は長い持続時間であると考慮され、見なされる、前のRからR及び現在のRからRの3x3ビンマトリックスにソートされる(1804)。動的な境界調整を使用して、ビン間で可能な限り等しい数を確保し、通常の洞調律では、短い-短い、中間-中間、及び長い-長いの対角線から外れたビンに利用可能なパルスデータセットはほとんどもたらさない(
図17を参照)。全てのパルスデータセットがビンに割り当てられた後、最適なビン、例えば、最大数のパルスデータセットを含むビン、及び信号最大値の最大変化を明らかにするビンが選択される(1805)。最適なビンが確立されると、ビン内の各パルスデータセットに対する各波長の対応するPPG信号を一緒に加えることによって、初期合成パルスデータセットが形成される(1808)。
【0058】
ビン内のパルスデータセット及び初期合成パルスデータセットが手元にある状態で、より粗い外れ値拒絶を通過した、ノイズの多い又は別様に異常なPPG信号を含むパルスデータセットを除外するために、各ビンに対してプルーニングループが実行される(1806)。ビン内の各パルスデータセット、及びパルスデータセット内の各波長について、波長のPWTTが、合成パルスデータセット(全てのパルスの集合)の波長に対するPWTTに対して比較される。現在の3つの波長(赤、緑、IR)のうち2つのPWTTが、合成パルスデータセットのPWTTの15%以内にある場合、パルスデータセットは合成内に残される。そうでない場合、パルスデータセットは拒絶され(「プルーニングされ」)、残りのパルスデータセットでプロセスが再度実行される。プルーニングされたパルスデータセットはビンから削除され、合成パルスデータセットから差し引かれる。パルスデータセットの数がビンにおける数に対する指定されたしきい値を下回る場合(4までの数で良好な結果が得られている)、結果を報告する前に追加のパルスデータセットが追加される。このアルゴリズムは、
図19に見られる。
図20は、脈波伝播時間(PWTT)の導出を示す。これは、各波長のPPG信号(t)に対する信号プライムオーバ信号(SPOS(t))曲線を、補間及び(負の)ピーク精密化と一緒に使用して行われる。
【0059】
次いで、エンドパルス/静脈酸素飽和度の計算は、
図21に示されるように進行する。静脈酸素飽和度の計算は、2心拍複合からの一致しないRからRまで持続時間に対応するPPG信号最大値で構成される2点合成信号を使用して付録Bに示されている導出に従う(1807)。結果は平均化され、静脈部分酸素飽和度が報告される(1809)。
【0060】
システム動作:
以下の本システムの様々な例示的な実施形態では、動作上の代替オプションが提示される。本システムは、本明細書に記載されるシステムのいずれかで具現化することができ、本システムは、以下に記載される様々な例示的な実施形態のみに限定されないと理解されたい。
【0061】
図22は、組み込まれた電極(2202)が左右の胸部に接触し、かつ検出器付きLEDデバイス(2203)を備えた、胸部を横切る胸部ストラップ(2201)の使用を図示する。
【0062】
図23は、組み込まれた電極(2302)が左右の胸部と接触し、かつ検出器付きLEDデバイス(2303)を備えた、胸部を横切る胸部ストラップ(2301)の断面を図示する。
【0063】
図24は、組み込まれた電極(2402)、及びLED検出器付きLEDデバイス(2403)を備えた二頭筋ストラップ(2401)の使用を図示する。第2の電極は、既存のテレメトリ配線(2404)にピギーバックする。
【0064】
図25は、組み込まれた電極(2502)、及び検出器付きLEDデバイス(2503)を備えた二頭筋ストラップ(2501)の断面を図示する。第2の電極は、既存のテレメトリ配線(2504)にピギーバックする。
【0065】
胸部又はアームのストラップ又はバンドの利点は、バンド/ストラップがPPGセンサのLEDに垂直な力を提供して、胸壁から良好な信号を得られることである。胸部又はアームのストラップが使用される態様では、オプションの「トラクション」がストラップの内側に提供されてもよく、これは、脚がずり上がらないようにするために標準的なバイクショーツの内側に見つかるシリコン/粘着性ビーズに類似する。
【0066】
付録A:心血管生理学の背景
正常な健康状態では、酸素とグルコースの組織への送達は、好気性解糖、酸素を使用してグルコースを分解するプロセスであり、嫌気性解糖よりもはるかに多くのエネルギーを放出するプロセス、又は発酵(酸素を使用しないグルコースの代謝)によって、組織がエネルギー需要を満たすのに十分である。好気性解糖は、ブドウ糖を水と二酸化炭素に分解するが、嫌気性解糖は、ブドウ糖を乳酸に分解する。健康状態では、乳酸は低く、pH(乳酸の存在によって影響を受ける)は、約7.4に維持される。乳酸の生産を伴う嫌気性代謝により、筋肉は、組織の需要が高く、利用可能なグルコースを「燃焼」するための酸素の送達が不十分であるときに、一時的に余分なエネルギーにアクセスすることを可能にする(このような状況は、短距離を全力疾走するときに見られる)。このようにして生産された乳酸は、肝臓によって血流から取り除かれて、生理的ストレスが解消されるとグルコースに戻るように変換される。これにより、前に発酵したグルコースの完全な好気的解糖が可能となる。
【0067】
しかし、その生理的ストレスが一時的ではなく持続すると、多くのことがうまくいかなくなり始める。これは、感染によって代謝が大幅に増加したときに発生する可能性があるか、又は、心臓発作のように、送達能力が突然低下したときに発生する可能性があるし、心臓ポンプ機能のベースライン低下の設定で、そうでなければ中程度のストレスの設定でも発生する可能性がある。いずれの場合も、組織の酸素要求量は、心血管系が送達することができる量に比べて増加する。肺で取得された酸素は、毛細血管の血流から除去された酸素を完全に置き換えることができない。この状況では、動脈ヘモグロビン酸素化は低下し、静脈血の酸素飽和度は、ストレスの前に蓄積された静脈血中の酸素予備を体が使い込むため、更に低下する(静脈血の酸素飽和度は、ストレスのない正常な健康状態では、80%を超えることがある)。これら全てが、動脈酸素と静脈酸素の差を大きくすることをもたらす。
【0068】
静脈酸素化が更に低下すると、最終的には乳酸レベルが上昇し始めるが、最近の研究では、乳酸の上昇に先行して静脈酸素化が測定可能に低下し、その低下が臨床的に有用な情報を提供することが示されている。ただし、静脈血酸素を測定するためには、静脈血ガスのサンプルが必要である。これは、すぐに氷の上に置かれ、かつ資格のある研究室に送られる採血によって取得される。これらは全て、比較的高価で侵襲的な処置であり、STATを実行した場合、最短所要時間は約10~15分である。
【0069】
循環性ショックは不十分な酸素送達を引き起こし、ミトコンドリアの低酸素症をもたらす。ミトコンドリアの酸化的リン酸化が失敗すると、エネルギー代謝は嫌気的解糖に依存するようになる。嫌気性解糖は、細胞の乳酸の生産を急激に増加させ、次に血中レベルを増加させる。重度の感染症では、血中乳酸濃度は、組織の酸素化の継続的な不足に比例して変動する。血中乳酸を取り除く患者の能力は、蘇生による酸素送達の回復を示す。研究によると、10%以上の乳酸クリアランスが敗血症性ショックからの生存を予測することが示されている。
【0070】
研究によると、静脈酸素の減少は、乳酸の上昇よりも早く有用な情報を提供できることが示されている。残念ながら、これには、中心静脈線(、又はSwan-Ganz心臓内カテーテル)及び/又は繰り返しの採血を介した継続的な侵襲的モニタリングを必要とする。
【0071】
付録B:静脈ヘモグロビン飽和度の計算
パルスの最小値(LED信号の最大値)では、
【数15】
【数16】
式中、(α*Hb)動脈及び(α*Hb)静脈は、ヘモグロビンの種類(デオキシヘモグロビン、オキシヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、メトヘモグロビン)の吸収係数であり、
【数17】
は、ヘモグロビンの各タイプの吸収係数の合計に、動脈と静脈のパルスを構成する各タイプのヘモグロビンの率を掛けたものである(組成が異なるため、動脈血ははるかに高い率の酸素化された血液を有する)。
【0072】
LED信号の最大値(RからRまでの持続時間により時間的に分離されたA及びB)を収集し、それらを時間的変動信号として扱い、以下のように式を並べ替える。
【数18】
【0073】
細動脈血液は、パルスの終わりに向かって細動脈、毛細血管、及び細静脈からなる「砂時計」構造をプライミングするため、パルスの終わりに向かって血液の組成にいくらかの変化が存在する。これは、PPG信号最大値における血液組成の変化をモデル化するために以下を使用することにより、平坦な静脈血プロファイルの仮定の再評価を行うことができることを示唆する。
(4)デルタ動脈血=ガンマ*デルタ量
(5)デルタ静脈血=(1-ガンマ)*デルタ量
【0074】
ガンマは、1~0.5のどこかである。
【数19】
【数20】
【数21】
【数22】
【0075】
再度、デオキシヘモグロビン(Hb)とオキシヘモグロビン(HbO2)しかないと仮定すると、
【数23】
【0076】
未知数がHbO2及びdVolume(t)/dtのみであるとすれば、2つ以上の異なる波長(例えば、赤色、赤外、ただしこれらに制限されない)において行われると、HbO2に対して解くことができる。各波長において、
【数24】
は、システム説明のあらゆるところで行われる分析から既知であることに留意する。
【数25】
【数26】
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PPG信号およびEKG信号を受け取り、分析するためのコンピュータロジックシステムであって、
(i)(a)光の複数の波長で人のPPG信号を測定するための少なくとも1つのPPGセンサを含むデバイスからのPPG信号、および(b)人に結合された複数の電極からのEKG信号を得るためのシステムと、
(ii)EKG信号において心周期を識別するためのシステムと、
(iii)識別された心周期における特徴に基づいてPPG信号を一連のPPG信号セグメントにセグメント化するためのシステムと、
(iv)PPG信号セグメントを複数のビンにソートするためのシステムであって、各ビンが前のRからRまでの心周期および現在のRからRまでの心周期の持続時間に基づく、システムと、
(v)複数のビンの各々について合成信号を生成するためのシステムと、
(vi)人の静脈酸素飽和度を、
(a)光の異なる波長で測定された合成信号に基づいて動脈酸素飽和度を計算することであって、合成信号プライムオーバ信号(SPOS)信号を比較することを備え、各合成SPOS信号が合成信号自体によって正規化された合成信号の導関数であることと、
(b)光の異なる波長で測定された2つの連続する信号最大値で合成信号をサブサンプリングすることと、
(c)光の異なる波長で測定されたサブサンプリングされた合成信号および計算された動脈酸素飽和度に基づいて、静脈酸素飽和度を判定することとを行うことによって測定するためのシステムと
を備える、システム。
【請求項2】
人の静脈酸素飽和度を測定するためのシステムが、人の静脈酸素飽和度を計算するときに合成信号が使用される好ましいビンを選択する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
好ましいビンが、その中に最大数のPPG信号セグメントを有するビンに対応する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
好ましいビンが、現在のRからRまでの値と前のRからRまでの値との間の最大差を有するビンに対応する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
各ビンについて合成信号を生成するためのシステムが、ビンのPPG信号セグメントを合計または平均するためのシステムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
合成信号が、合成信号自体によって正規化された合成信号の導関数である合成信号プライムオーバ信号(SPOS)を生成するために使用される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
コンピュータロジックシステムが、
(vii)光の異なる波長で測定された合成SPOS信号に基づいて動脈酸素飽和度を計算するためのシステムをさらに備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
複数のビンの各々について合成信号を生成するためのシステムが、合成信号の計算から異常なPPG信号セグメントを除去するためのシステムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
合成信号の計算から異常なPPG信号セグメントを除去するためのシステムが、
合成信号を計算するために使用されるPPG信号セグメントの各々のSPOSを、計算された合成信号の前記SPOSに対して比較し、
外れ値のPPG信号セグメントを除去し、
外れ値のPPG信号セグメントが除去された合成信号を再計算し、
外れ値のPPG信号セグメントがなくなるまで反復を繰り返すことによって、合成信号を反復的に再計算するためのシステムを備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
デバイスが、少なくとも1つのPPGセンサがその上に装着され、複数の電極ワイヤがそこから延びるハンドヘルドデバイスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記デバイスが、少なくとも1つのPPGセンサがその上に装着され、複数の電極のうちの少なくとも1つがその上に装着されたハンドヘルドデバイスである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
光導波路が、デバイス上の少なくとも1つのPPGセンサと人の皮膚との間に挿入されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
デバイスは、少なくとも1つのPPGセンサおよび複数の電極が、人の胸または肢の周りに配設されたストラップまたはバンド内に配設されるように、人の胸または肢の周りに配設されたストラップ又はバンド内に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
デバイスが、少なくとも1つのPPGセンサおよび複数の電極のうちの少なくとも1つがその中に配置されたパッチである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
コンピュータロジックシステムは、合成信号がデバイス内で生成されるようにデバイス内に配置され、静脈酸素飽和度を測定するためのシステムが、
分析のためのリモートコンピュータシステムへの合成信号、または
分析のためのリモートコンピュータシステムへの測定されたPPG信号およびEKG信号
のうちの1つまたは両方を送信するためのデータ送信システム
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
PPG信号およびEKG信号を受け取り、分析するための方法であって、
(a)光の複数の波長で人のPPG信号を測定するための、その上に装着された少なくとも1つのPPGセンサを含むデバイスからのPPG信号、および(b)人に結合された複数の電極からのEKG信号を、コンピュータロジックシステムを介して、得ることと、
EKG信号において心周期を、コンピュータロジックシステムを介して、識別することと、
識別された心周期における特徴に基づいてPPG信号を一連のPPG信号セグメントに、コンピュータロジックシステムを介して、セグメント化することと、
PPG信号セグメントを複数のビンに、コンピュータロジックシステムを介して、ソートすることであって、各ビンが前のRからRまでの心周期および現在のRからRまでの心周期の持続時間に基づくことと、
複数のビンの各々について合成信号を、コンピュータロジックシステムを介して、生成することと、
人の静脈酸素飽和度を、コンピュータロジックシステムを介して、
(a)光の異なる波長で測定された合成信号に基づいて動脈酸素飽和度を、コンピュータロジックシステムを介して、計算することであって、合成信号プライムオーバ信号(SPOS)信号を比較することを備え、各合成SPOS信号が合成信号自体によって正規化された合成信号の導関数であることと、
(b)光の異なる波長で測定された2つの連続する信号最大値で合成信号を、コンピュータロジックシステムを介して、サブサンプリングすることと、
(c)光の異なる波長で測定されたサブサンプリングされた合成信号および計算された動脈酸素飽和度に基づいて、静脈酸素飽和度を、コンピュータロジックシステムを介して、判定することと
を行うことによって測定することと
を備える、方法。