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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015946
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20230125BHJP
【FI】
A63F5/04 650
A63F5/04 611B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120048
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 広大
(72)【発明者】
【氏名】小林 基澄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好彦
(72)【発明者】
【氏名】三澤 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】乗田 惇史
【テーマコード(参考)】
2C182
2C518
【Fターム(参考)】
2C182DA22
2C182DA25
2C182DA26
2C182DA33
2C518EB07
2C518EC01
2C518EC22
2C518EC23
2C518FA08
(57)【要約】
【課題】多様な演出を実行する場合にも遊技の公正を維持できる遊技機を提供する。
【解決手段】表示手段は、複数のリールと対向する特定領域を表示領域に有する。画像制御手段は、特定領域に特定画像を表示可能であり、特定画像が表示される場合には、特定領域を介して少なくとも有効ライン上に表示される図柄を視認可能になる。演出制御手段は、スタートレバーへの開始操作に基づき複数のリールが回転開始する場合に、リール回転開始メッセージを画像制御手段に送信し、複数のリールが停止した場合に、全リール停止メッセージを画像制御手段に送信する。画像制御手段は、リール回転開始メッセージを受信した場合に、特定画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に透過用白色画像を重ねて表示し、全リール停止メッセージを受信した場合に、重ねた透過用白色画像の表示を終了する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリールと、
スタートレバーと、
有効ライン上に停止表示された図柄組合せに基づき役の入賞判定を行う入賞判定手段と、
遊技に関する演出を制御する演出制御手段と、
前記演出制御手段から受信した情報に基づき画像に係る制御を行う画像制御手段と、
表示領域内で画像を表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記複数のリールと対向する特定領域を前記表示領域に有し、
前記画像制御手段は、前記特定領域に特定画像を表示可能であり、
前記特定画像が表示される場合には、前記特定領域を介して少なくとも前記有効ライン上に表示される図柄を視認可能になり、
前記演出制御手段は、前記スタートレバーへの開始操作に基づき前記複数のリールが回転開始する場合に、第1情報を送信し、
前記演出制御手段は、前記複数のリールが停止した場合に、第2情報を送信し、
前記画像制御手段は、前記第1情報を受信した場合に、前記特定画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に前記特定画像を重ねて表示し、
前記画像制御手段は、前記第2情報を受信した場合に、重ねた前記特定画像の表示を終了する、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
複数のリールと、
スタートレバーと、
有効ライン上に停止表示された図柄組合せに基づき役の入賞判定を行う入賞判定手段と、
遊技に関する演出を制御する演出制御手段と、
前記演出制御手段から受信した情報に基づき画像に係る制御を行う画像制御手段と、
表示領域内で画像を表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記複数のリールと対向する特定領域を前記表示領域に有し、
前記画像制御手段は、前記特定領域に特定画像を表示可能であり、
前記特定画像が表示される場合には、前記特定領域を介して少なくとも前記有効ライン上に表示される図柄を視認可能になり、
前記演出制御手段は、第1画像情報と、第2画像情報と、を送信可能であり、
前記第1画像情報に基づく画像が表示される場合には、前記特定領域を介して少なくとも前記有効ライン上に表示される図柄を視認可能であり、
前記第2画像情報に基づく画像が表示される場合には、前記第1画像情報に基づく画像が表示される場合よりも、前記有効ライン上に表示される図柄の視認性が低く、
前記画像制御手段は、前記複数のリールが回転している状態で前記第2画像情報を受信した場合に、前記第2画像情報に基づく画像を表示し且つ前記特定画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に前記特定画像を重ねて表示する、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
遊技の進行を制御し、前記入賞判定手段を有する主制御部と、
前記演出制御手段及び前記画像制御手段を有する副制御部と、を備え、
前記主制御部は、第1主制御情報と、第2主制御情報と、を前記副制御部に送信可能であり、
前記第1主制御情報は、前記スタートレバーへの開始操作に基づき前記複数のリールが回転開始する場合に送信され、
前記第2主制御情報は、前記複数のリールが停止した場合に送信され、
前記特定画像は、第1特定画像であり、
前記画像制御手段は、前記特定領域に第2特定画像を表示可能であり、
前記第2特定画像が表示される場合には、前記特定領域を介して少なくとも前記有効ライン上に表示される図柄を視認可能になり、
前記画像制御手段は、前記第1主制御情報を受信した場合に、前記第2特定画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に前記第2特定画像を重ねて表示し、
前記画像制御手段は、前記第2主制御情報を受信した場合に、重ねた前記第2特定画像の表示を終了する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
上述した遊技機においては、多様な演出を実現可能にするために、演出を表示する液晶表示装置の一部を透過液晶パネルから構成し、該透過液晶パネルを介して複数のリールを視認可能に構成することで、液晶表示装置の表示領域を広げる構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-185236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の遊技機では、複数のリールの回転中において、透過液晶パネルのうち有効ラインに対応した領域を透過させる画像を描画させる特定の描画コマンドを出力することで、複数のリールの回転中において有効ライン上に回転表示される図柄の視認性を確保するように構成されている。しかしながら、このような遊技機においては、特定の描画コマンドが予期せぬエラーによって出力されなかった場合に、透過液晶パネルのうち有効ラインに対応した領域を透過させることができず、遊技の公正を害してしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、多様な演出を実行する場合にも遊技の公正を維持できる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のリールと、
スタートレバーと、
有効ライン上に停止表示された図柄組合せに基づき役の入賞判定を行う入賞判定手段と、
遊技に関する演出を制御する演出制御手段と、
前記演出制御手段から受信した情報に基づき画像に係る制御を行う画像制御手段と、
表示領域内で画像を表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記複数のリールと対向する特定領域を前記表示領域に有し、
前記画像制御手段は、前記特定領域に特定画像を表示可能であり、
前記特定画像が表示される場合には、前記特定領域を介して少なくとも前記有効ライン上に表示される図柄を視認可能になり、
前記演出制御手段は、前記スタートレバーへの開始操作に基づき前記複数のリールが回転開始する場合に、第1情報を送信し、
前記演出制御手段は、前記複数のリールが停止した場合に、第2情報を送信し、
前記画像制御手段は、前記第1情報を受信した場合に、前記特定画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に前記特定画像を重ねて表示し、
前記画像制御手段は、前記第2情報を受信した場合に、重ねた前記特定画像の表示を終了する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多様な演出を実行する場合にも遊技の公正を維持できる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の遊技機の外観構成を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図3】本発明の実施形態の遊技機における内部抽選で当選可能な当選エリアと、各当選エリアに含まれる当選役と、を示す図である。
図4】(A)は、本発明の実施形態の遊技機における遊技状態の状態遷移図、(B)は、AT制御手段が制御する通常区間及び有利区間と、有利区間中における演出状態と、に係る遷移図である。
図5】本発明の実施形態の遊技機における特定領域を透過させる制御に関して、副制御部が受信した情報に応じて画像制御手段が実行する各制御の詳細を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本実施形態]
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す正面図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0012】
本実施形態のスロットマシン1は、筐体BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての左リールR1~右リールR3からなるリールユニット310(図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(図2参照)が収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0013】
図1に示す左リールR1~右リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
【0014】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種映像や画像から構成された演出を行うための表示手段としての表示装置330が設けられている。また、表示装置330は、画像を表示する表示領域330aのうち左リールR1~右リールR3と対向する特定領域330bが透過液晶ディスプレイから構成されており、表示装置330を介して左リールR1~右リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能に構成されている。左リールR1~右リールR3の停止状態では、左リールR1~右リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示装置330を通じて観察できるようになっている。
【0015】
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示装置330を通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると左リールR1~右リールR3の中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0016】
そして、遊技結果は、有効ラインL1上(有効ライン上)に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0017】
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1、ストップボタンB2、ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
【0018】
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選役コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後左リールR1~右リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選役コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
【0019】
また、主制御表示装置500には、7セグメント表示器のドットであり、後述するAT制御手段200(図2参照)によって有利区間が開始され、小役の入賞が補助されることでメダルの獲得期待値が1以上となっている場合に点灯する区間報知部500Aが設けられている。また、本実施形態のスロットマシン1では、音を用いた演出を行うための音響装置340が前面下扉DDに複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0020】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、左リールR1~右リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている左リールR1~右リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSも設けられている。
【0021】
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
【0022】
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての主制御部10によって制御される。主制御部10は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更許可スイッチ250及び設定変更スイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて演出装置300、リールユニット310、ホッパーユニット320及び主制御表示装置500等の出力手段の動作を制御する。
【0023】
また、主制御部10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、主記憶手段190、アシストタイム制御手段(AT制御手段)200、フリーズ制御手段600及びコマンド送信手段410を含む。主制御部10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、主記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0024】
設定変更手段100は、主記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、設定変更許可スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態において、電源装置に設けられている設定変更スイッチ260から出力される入力信号を受け付けるごとに、設定値を設定1→設定2→・・・→設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させ、スタートレバーSLが操作されスタートスイッチ230から出力されるスタート信号を受信したことに基づいて設定値を確定させる。スロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
【0025】
なお、本実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、設定変更前においてAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、初期化されて通常区間が設定されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、主制御部10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されており、電断前にAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、電断前の状態が維持されるように構成されている。
【0026】
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、メダル投入口MI(図1参照)にメダルが投入されてメダル投入スイッチ210が作動した場合には、投入されたメダルを投入状態に設定し、メダルがクレジットされた状態でマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されるベットスイッチ220が作動した場合と、には、規定投入数(3枚)を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定することで、規定投入数に相当するメダルが投入状態に設定されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。
【0027】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、左リールR1~右リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
【0028】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
【0029】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0030】
抽選テーブル選択処理では、主記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に記憶されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
【0031】
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
【0032】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0033】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。本実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、主記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に記憶される。
【0034】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、左リールR1~右リールR3の回転駆動を開始し左リールR1~右リールR3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、左リールR1~右リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する左リールR1~右リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
【0035】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって左リールR1~右リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~ストップボタンB3をそれぞれ押下操作することについて、最初の押下操作を第1停止操作、2番目の押下操作を第2停止操作、3番目の押下操作を第3停止操作とも記載する。
【0036】
本実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された時点(ストップスイッチ240が停止操作を検出した時点)から所定の期間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。
【0037】
このため、本実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
【0038】
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、主記憶手段190の停止制御テーブル記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
【0039】
なお、本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0040】
入賞判定手段140は、左リールR1~右リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、主記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、左リールR1~右リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
【0041】
本実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
【0042】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
【0043】
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、主記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0044】
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0045】
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0046】
AT制御手段200は、特定役の入賞を補助する入賞補助を実行可能な補助遊技を含む指示機能に係る制御が実行可能となる区間(期間)である有利区間(有利期間)と、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御(指示機能に係る制御)が実行不能な区間(期間)である通常区間(非有利期間、非有利区間)と、の間での移行に係る制御を、AT制御データ記憶手段197に記憶されているデータを用いて実行し、通常区間、有利区間及び補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段を構成する。
【0047】
AT制御データ記憶手段197には、有利区間内において実行されるAT状態及び非AT状態を含む複数種類の演出状態に関する各種制御において用いられるデータ(所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ、カウンタ等)が記憶されている。
【0048】
AT制御手段200は、有利区間において所定条件下で演出状態をAT状態(アシストタイム状態)に設定し、7セグメント表示器からなる主制御表示装置500に当選している特定役を入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作順序(正解打順)に対応する情報(操作指示情報の一例)を表示することで、特定役の入賞を補助する入賞補助(正解打順報知)を行う。また、スロットマシン1では、AT制御手段200による入賞補助が実行される場合に、後述する演出制御手段180によって表示装置330に正解打順に対応する指標を表示する入賞補助演出を実行する。このように、スロットマシン1では、AT状態において、入賞補助によってストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が報知されることで、遊技者にとって有利な補助遊技(AT遊技、報知遊技)が実行される。
【0049】
AT制御手段200は、より詳しくは後述する有利区間を終了する所定の終了条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始し、かつ入賞補助が実行されることで、メダルの獲得期待値が1以上となる場合に区間報知部500Aを点灯させる。このため、AT制御手段200は、有利区間を開始している場合であっても、入賞補助が実行されない演出状態である場合には、区間報知部500Aを消灯可能に構成されている。
【0050】
AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技において、1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を第1有利区間カウンタ197aに記憶される値(記憶値)に加算し、第1有利区間カウンタ197aの記憶値を累積的にインクリメント更新するゲーム数更新処理を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した差分の値(差枚数)を第2有利区間カウンタ197bに累積的に記録する差枚数更新処理を実行する。
【0051】
本実施形態のAT制御手段200は、有利区間に制御している場合、いずれの遊技状態である場合にも、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値である値「1」ずつ第1有利区間カウンタ197aの記憶値に累積的に加算(更新)するゲーム数更新処理と、メダルの差枚数に相当する値を第2有利区間カウンタ197bの記憶値に累積的に更新する差枚数更新処理と、を実行する。
【0052】
ここで、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を更新する差枚数更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで第2有利区間カウンタ197bの記憶値を減算した際に、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」未満となる場合、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を値「0」にセットする。これにより、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最下点となる際の値について、値「0」に固定することができるため、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理において、最下点における具体的な数値に応じて判定の閾値となる値を変動させる必要がなくなり、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理の負荷を軽減させることができる。
【0053】
AT制御手段200は、1500ゲームの遊技が実行された場合、つまり第1有利区間カウンタ197aの記憶値が第1値としての値「0」になった場合又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚を超えるメダルを遊技者が獲得した場合、つまり第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2401」になった場合に、有利区間を終了させる所定の終了条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
【0054】
AT制御手段200は、所定の初期化処理において、有利区間においてON状態にセットした各フラグや有利区間において設定した値等の有利区間における各種制御処理で用いた情報をすべて初期化する。なお、AT制御手段200は、特定終了条件以外の予め設定されている所定の終了条件(通常終了条件)が成立した場合にも有利区間を終了可能であり、通常終了条件が成立した場合にも所定の初期化処理及び所定の終了処理を実行する。本実施形態のAT制御手段200が設定する通常終了条件の詳細については、後述する。
【0055】
フリーズ制御手段600は、通常の遊技の進行を一時的に遅延させるフリーズを発生させる処理であるフリーズ処理を実行する。本実施形態のフリーズ制御手段600は、フリーズとして、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、リール制御手段130にストップスイッチ240による停止操作の検出が有効化されるまでの期間内に、左リールR1~右リールR3を特定態様で動作させる回胴演出を実行する。
【0056】
なお、フリーズ制御手段600が実行するフリーズは、回胴演出を実行することで通常の遊技の進行を一時的に中断させて遊技の進行を遅延させるものに限定されない。フリーズは、通常の遊技の進行を一時的に中断させて遊技の進行を遅延させることができればよく、例えば有効なストップボタンに対する操作を一時的に無効化するものであってもよく、また、マックスベットボタンMB及びスタートレバーSL等に対する操作を一時的に無効化するものであってもよい。また、フリーズ制御手段600が実行する回胴演出の詳細については、後述する。
【0057】
コマンド送信手段410は、主制御部10を構成する各手段が実行する制御処理の内容から、他の制御部に実行させる制御指令から構成された情報であるコマンドや、他の制御部や出力手段へ送信するON/OFFのデータから構成された情報である信号を作成し、作成した情報を送信可能に構成されている。本実施形態のコマンド送信手段410、例えば、遊技者がマックスベットボタンMBを押下操作したことをベットスイッチ220が検出した際に作成するコマンドであるベットコマンド、遊技者がスタートレバーSLを開始操作したことをスタートスイッチ230が検出した際に作成するコマンドであるスタートコマンド、内部抽選手段120による内部抽選を実行した際に作成するコマンドである当選役コマンド、リール制御手段130によるリール停止制御においてストップボタンB1~ストップボタンB3が押下される都度、リールの停止態様に係るコマンドとして作成するコマンドである停止コマンド等を作成し、副制御部20を含む他の制御部や出力手段に向けて送信可能に構成されている。
【0058】
副制御部20は、主制御部10からコマンドを含む各種情報を受信可能で且つ主制御部10には情報を送信不能となるように、単方向通信可能に主制御部10と通信接続されており、主制御部10から送信される各種情報(信号、コマンド)に基づき、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて表示装置330、音響装置340を含む演出装置300等の出力手段の動作を制御する。副制御部20の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRWMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。本実施形態の副制御部20は、プロセッサとして、CPU(以下、副制御部20のCPUを「サブCPU」とも記載)を有している。また、副制御部20は、副制御部20のROM上に、コマンド受信手段420、演出制御手段180、画像制御手段180a及び副記憶手段181を設けている。副制御部20を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、副記憶手段181に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0059】
コマンド受信手段420は、主制御部10のコマンド送信手段410から送信される情報(信号、コマンド)の有無を監視するポーリング処理を主制御部10から信号やコマンドが送信される周期よりも短い周期(例えば512μs)で実行し、ポーリング処理によってコマンド送信手段410から信号やコマンドが送信されていることを判定した場合に送信された信号やコマンドを受信する制御処理であるコマンド受信処理を実行する。
【0060】
演出制御手段180は、副記憶手段181に記憶されている演出データに基づいて、例えば、表示装置330を用いて行う画像、映像演出や、音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~ストップボタンB3、演出用ボタンPUに対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、音響装置340からの音の出力を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。
【0061】
また、演出制御手段180は、画像及び映像に係る制御を実行する場合に、画像制御手段180aに描画させる画像内容に係る情報である演出メッセージを画像制御手段180aに送信するように構成されている。
【0062】
画像制御手段180aは、演出制御手段180から送信される演出メッセージを受信し、受信した演出メッセージに対応する画像を、副記憶手段181に設けられた複数のレイヤーのうち対応するレイヤーに描画する。画像制御手段180aは、複数のレイヤーに描画した画像を副記憶手段181に設けられたフレームバッファ183に重畳して1つの画像にし、重畳した画像を表示装置330の表示領域330aに表示する。画像制御手段180aは、フレームバッファ183に画像を描画する場合に、下位のレイヤーに描画された画像から順にフレームバッファ183に描画することで、上位のレイヤーに描画した画像を下位のレイヤーに描画した画像に優先して表示領域330aに表示する。
【0063】
フレームバッファ183は、第1フレームバッファと第2フレームバッファとの2つのフレームバッファから構成されている。スロットマシン1では、一方のフレームバッファに描画した画像を表示領域330aに表示している状態で他方のフレームバッファに画像を描画し、1フレーム(約33.3ms)ごとに表示装置330に表示するフレームバッファを切り換えることで、動画として表示領域330aに表示可能に構成されている。
【0064】
2.本実施形態における遊技機が備える構成
次に、図3図5を参照して、本実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0065】
<内部抽選の対象となる当選エリア>
図3は、本実施形態のスロットマシン1における内部抽選の対象となる当選エリアと、各当選エリアに対応付けられている当選番号及び当選役と、を示す図である。
【0066】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして、第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)を有している。また、スロットマシン1では、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態として、RBBが成立状態に設定されておらず、かつRBBが作動していない一般中としての非RT状態と、RBBが成立状態に設定された場合に移行され、RBBが作動するまで内部でRBBの成立状態が維持されているボーナス内部中(内部中)としてのボーナス成立状態と、RBBが作動した場合に移行され、RBBが作動しているボーナス作動中(作動中)としてのボーナス状態と、を有している。
【0067】
図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の対象となる当選エリアとして、当選エリア「全小役」、当選エリア「全1枚役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「通常リプレイ2」、当選エリア「レアリプレイ」、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」及び当選エリア「RBB」を有しており、当選番号1番~当選番号20番の番号がそれぞれ対応付けらえている。また、スロットマシン1では、内部抽選の結果として不当選(ハズレ)に当選番号0番が対応付けられている。
【0068】
ここで、「打順」とは、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対して押下を実行する順番を意味する。また、以下の記載において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下されるタイミングを「押下タイミング」とも記載する。
【0069】
本実施形態のスロットマシン1において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の3つのストップボタンを押下する順序である打順は、打順1~打順6の6種類の打順から構成されている。打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
【0070】
内部抽選手段120は、乱数判定処理において、当選番号20番に対応付けられた当選エリアから当選番号0番に対応付けられた不当選に向かう順番で、各当選エリアの当否を決定していく。
【0071】
本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役として、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役C、レア役を有しており、内部抽選で当選可能なリプレイとして、リプレイA、リプレイB、レアリプレイを有している。各小役及び各リプレイは、それぞれ図3に示す組合せで各当選エリアに対応付けられている。
【0072】
また、図3に示すように、スロットマシン1では、ボーナスと小役とを含む当選エリアとして、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」が設定され、ボーナスのみを含み当選エリアとして、当選エリア「RBB」が設定されている。
【0073】
スロットマシン1では、当選エリア「レアリプレイ」について、他のリプレイの当選エリアよりも低い当選確率に設定されている。また、スロットマシン1では、当選エリア「RBB&レア役」について、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&1枚役」の小役を含む各当選エリアよりも低い当選確率に設定されている。
【0074】
ここで、本実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBBがあり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBBを含む当選エリアに当選すると、当選したRBBの抽選フラグの成立状態を、RBBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
【0075】
<内部抽選テーブル>
本実施形態のスロットマシン1は、内部抽選手段120による内部抽選で用いられる抽選テーブルである内部抽選テーブルとして、非RT状態(一般中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルAと記載)と、ボーナス成立状態(内部中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルBと記載)と、ボーナス状態(作動中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルCと記載)と、を内部抽選テーブル記憶手段192に記憶させている。内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCの各内部抽選テーブルにおいては、抽選の対象となる各当選エリアに抽選値数が対応付けられている。
【0076】
<乱数判定処理>
本実施形態の内部抽選手段120は、乱数判定処理において、乱数生成手段110から取得した乱数を、内部抽選テーブル記憶手段192から取得した内部抽選テーブルにおいて各当選エリアに対応付けられている抽選値数で順次減算していき、減算した結果が負の値となった場合に、当該減算した抽選値数に対応する当選エリアに当選したと判定する。また、内部抽選手段120は、内部抽選テーブルに記憶されているすべての抽選値数で減算し終えた時点で減算した結果が正の値である場合、いずれの役にも当選しなかった不当選であると判定する。
【0077】
なお、本実施形態の乱数生成手段110は、内部抽選で用いる乱数として、0~65535の計65536個の乱数を生成可能に構成されている。また、内部抽選テーブルAにおいては、当選エリア「RBB」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっており、内部抽選テーブルBにおいては、当選エリア「RBB&レア役」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっているため、非RT状態又はボーナス成立状態における内部抽選においては、いずれかの役に当選し、不当選とならないように構成されている。
【0078】
<ボーナス当選判定処理>
上述した通り、本実施形態の内部抽選手段120は、ボーナス成立状態において、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」に抽選値数が設定されている。このため、内部抽選手段120は、遊技状態がボーナス成立状態である場合における内部抽選において、既にRBBが成立状態に設定されている状態で再度RBBが当選してしまう可能性があることから、新たに当選したRBBを成立状態に設定しないために、乱数判定処理で当否を決定される当選エリアがボーナスを含む当選エリアであるか否かを判定するボーナス当選判定処理を実行するように構成されている。
【0079】
内部抽選手段120は、ボーナス当選判定処理において、乱数判定処理でボーナスを含む当選エリアが当否を決定される対象となると判定した場合、ボーナスを含む当選エリアが当選し、かつ遊技状態がボーナス成立状態である場合に、ボーナスを成立状態に設定する処理をスキップする処理を実行する。このようにして、スロットマシン1は、既にRBBが成立状態に設定されている状態で、新たなRBBが成立状態に設定されてしまうことを防いでいる。
【0080】
<打順ベルの詳細>
本実施形態において、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」は、当選した場合にベルA~ベルFを入賞可能にする打順(正解打順)がそれぞれ設定されている。
【0081】
当選エリア「打順ベル1」、当選エリア「打順ベル7」は、ベルAを入賞可能にする正解打順が打順1に設定されており、当選エリア「打順ベル2」、当選エリア「打順ベル8」は、ベルBを入賞可能にする正解打順が打順2に設定されており、当選エリア「打順ベル3」、当選エリア「打順ベル9」は、ベルCを入賞可能にする正解打順が打順3に設定されており、当選エリア「打順ベル4」、当選エリア「打順ベル10」は、ベルDを入賞可能にする正解打順が打順4に設定されており、当選エリア「打順ベル5」、当選エリア「打順ベル11」は、ベルEを入賞可能にする正解打順が打順5に設定されており、当選エリア「打順ベル6」、当選エリア「打順ベル12」は、ベルFを入賞可能にする正解打順が打順6に設定されている。当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」は、各当選エリアに設定された正解打順とは異なる打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された場合に、1/2の確率で1枚役A又は1枚役Bが入賞し、1/2の確率でいずれの役の入賞図柄組合せとも異なる図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示される取りこぼし(非入賞)となるように構成されている。
【0082】
<リール制御手段>
本実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。つまり、リール制御手段130は、ボーナスと小役又はボーナスとリプレイが重複して当選している場合、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞させる停止制御を実行する。
【0083】
<小役の配当>
ベルA~ベルFの配当は、規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(15枚)に設定されている。また、1枚役A~1枚役C、レア役の配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(1枚)に設定されている。
【0084】
<遊技状態移行制御手段>
図4(A)は、本実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
【0085】
図4(A)に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態、通常遊技状態)であり、ボーナスが作動及び成立していない非ボーナス状態となっている。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8978/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0086】
ボーナス成立状態は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」のいずれかに当選し、RBBが成立状態に設定された場合に移行する遊技状態である。ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8982/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0087】
ボーナス状態は、RBBが入賞しRBBが作動することで移行される遊技状態である。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、払い出されたメダルの合計数によって作動しているRBBの終了条件が成立したかを判定し、予め定められた所定の払出数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出された場合に、RBBの作動を終了させることでボーナス状態を終了させて、遊技状態を非ボーナス状態である非RT状態へ移行させる。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させる。
【0088】
図3に示すように、内部抽選テーブルCでは、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役C、レア役のすべての小役に当選する当選エリア「全小役」と、1枚役A~1枚役C、レア役の配当が1枚に設定されたすべての小役に当選する当選エリア「全1枚役」と、に乱数が対応付けられている。
【0089】
図3を用いてボーナス状態について詳細に説明する。本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選テーブルCが選択されるボーナス状態において当選エリア「全小役」又は当選エリア「全1枚役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて小役を含む当選エリアのいずれかに当選する確率よりも高い、つまりボーナス状態において小役に当選する確率が、ボーナス状態以外の遊技状態においていずれかの小役に当選する確率よりも高い確率に設定されている。また、内部抽選テーブルCにおいて、当選エリア「全小役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」のいずれか1つと、当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」のいずれか1つと、に当選する確率の合算と同じ確率に設定されている。
【0090】
このような構成であることから、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態において、ボーナスの非作動時である非RT状態、ボーナス成立状態である場合よりもすべての小役の当選確率が上昇するとともに、いずれかの小役に当選する確率も同一又は上昇するように構成されている。
【0091】
また、スロットマシン1は、ボーナス状態において、当選エリア「全小役」に当選する確率が、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の各当選確率を合算した当選確率)よりも低くなるように構成されている。
【0092】
このように、本実施形態のスロットマシン1は、遊技を開始する際に必要となる遊技価値の投入数よりも多い配当に設定された複数種類の特定役(ベルA~ベルF)が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1特定当選態様(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」、当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」)と、複数種類の特定小役が重複して当選する第2特定当選態様(当選エリア「全小役」)と、を有し、内部抽選手段120が、通常遊技状態(非RT状態)、ボーナス成立状態において、複数種類の第1特定当選態様が存在するように内部抽選を行うとともに、ボーナス状態において、第2特定当選態様が存在するように内部抽選を行うように構成されている。また、スロットマシン1において、ボーナス状態における内部抽選で第2当選態様に当選する確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選で複数種類の第1当選態様のいずれかに当選する確率よりも低く、ボーナス状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率以上となるように構成されている。
【0093】
このため、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態について、メダルの獲得率の期待値が100%未満となっている。
【0094】
ここで、ボーナス成立状態においては、より詳しくは後述するが、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、打順1~打順6から構成された正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を押下しないとベルA~ベルFを入賞させることができない構成であることから、ベルA~ベルFのいずれかが入賞する確率は、6種類の打順から正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を押下できた場合に限定される。一方、後述するAT制御手段200によって入賞補助が実行されるAT遊技が実行された場合には、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、正解打順がAT制御手段200による入賞補助及び演出制御手段180による入賞補助演出によって報知されるため、ベルA~ベルFのいずれかが入賞する確率について、入賞補助が実行されない場合に対して最大で6倍まで高めることができる。
【0095】
このように、本実施形態においては、正解打順で停止操作し、かつ第1停止操作の押下タイミングが適切な場合に入賞する規定投入枚数よりも多くのメダルを払い出す入賞役(特定役)として、ベルA~ベルFの6種類を設定している。そして、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/6に圧縮している。このように構成することで、ボーナス状態以外の遊技状態においてN種類の特定役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行い、ボーナス状態においてN種類の特定役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うことによって、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/Nに圧縮することができる。これにより、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値の下限を100%未満にまで引き下げた上でAT遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
【0096】
<AT制御手段>
図4(B)は、本実施形態のAT制御手段200よって制御される通常区間及び有利区間と、有利区間中に制御される演出状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
【0097】
上述した通り、通常区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御が実行されない期間である。AT制御手段200は、通常区間内における遊技において、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアに基づき、通常区間を終了し有利区間を開始するか否かを決定する抽選である有利区間抽選を実行する。
【0098】
有利区間抽選において、AT制御手段200は、まず、AT制御データ記憶手段197から、複数の乱数のそれぞれに対して「有利区間の開始」、「ハズレ(不当選)」が対応付けられているデータテーブルである有利区間移行抽選テーブルを取得する。そして、AT制御手段200は、乱数生成手段110から乱数を取得し、取得した乱数を有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき、有利区間を開始するか否かを決定する。
【0099】
AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、有利区間抽選における「有利区間の開始」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように有利区間抽選を実行する。
【0100】
本実施形態のAT制御手段200は、非RT状態及びボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&レア役」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、有利区間抽選を実行し、他の当選エリアに当選した場合には、有利区間抽選を実行しないように構成されている。また、AT制御手段200は、約1/1.5と高い確率で「有利区間の開始」に当選する有利区間抽選を実行する。
【0101】
有利区間において、AT制御手段200は、指示機能に係る状態(演出状態)として、通常状態と、CZ状態と、AT状態と、を有し、通常状態においては、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助を実行しないように構成され、CZ状態及びAT状態においては、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助を実行可能に構成されている。また、本実施形態のスロットマシン1は、全体の遊技における有利区間の滞在比率が、7割以上となりうる構成となっている。
【0102】
通常状態は、他の演出状態に移行していない場合に設定される、複数種類の演出状態の中で通常の状態に相当する演出状態(通常演出状態)である。AT制御手段200は、演出状態が通常状態に移行した場合、通常状態における遊技回数をカウントする非ATゲーム数カウンタ(不図示)に、遊技が実行される都度、非ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」を加算するインリメント更新を実行する。AT制御手段200は、非ATゲーム数カウンタの記憶値が値「700」となった場合に、CZ状態への移行条件が成立したと判定し、演出状態を通常状態からCZ状態に移行する。
【0103】
また、AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、において、CZ状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ抽選を実行する。
【0104】
AT制御手段200は、CZ抽選において、「CZ状態への移行」、「不当選」のいずれかに決定する抽選を行い、CZ抽選において「CZ状態への移行」に当選した場合には、CZ移行条件が成立したと判定し、演出状態を通常状態からCZ状態に移行する。
【0105】
CZ状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助が実行されることで、通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0106】
AT制御手段200は、CZ状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のCZ補助遊技回数カウンタ(不図示)に、入賞補助を実行する所定の回数に対応する値(例えば、8回)をセットする。AT制御手段200は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」に当選し、入賞補助を実行する都度、CZ補助遊技回数カウンタの記憶値を1回に相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0107】
AT制御手段200は、CZ状態が開始された遊技において、AT状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ中AT抽選を実行するように構成されている。CZ中AT抽選において「AT状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から8回の入賞補助が実行された後に、演出状態をCZ状態からAT状態に移行する。一方、CZ中AT抽選で「AT状態への移行」に当選しなかった場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から8回の入賞補助が実行された後に、CZ状態を終了する。AT制御手段200は、AT移行条件が成立していない状態でCZ状態を終了した場合、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0108】
CZ中AT抽選において、AT制御手段200は、内部抽選の結果によらず「AT状態への移行」に当選可能な抽選を実行する。また、CZ中AT抽選において、AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアを参照して抽選テーブルを取得することで、内部抽選で当選した当選エリアによって「AT状態への移行」に当選する確率が変化するように構成されている。AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に他の当選エリアに当選した場合よりも高い確率で「AT状態への移行」に当選可能な抽選テーブルを取得する。
【0109】
AT状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助が実行されることで、通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0110】
AT制御手段200は、AT状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のATゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する初期値(50ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0111】
また、AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に、ATゲーム数カウンタの記憶値に抽選により決定された値を加算するか否かを決定することで、AT状態が継続する期間を加算(上乗せ)するか否かを決定する上乗せ抽選を実行し、上乗せ抽選によって決定した値が1以上の値である場合に、決定した値をATゲーム数カウンタに加算する上乗せ処理を実行するように構成されている。
【0112】
AT制御手段200は、AT状態における毎回の遊技の実行の都度実行するデクリメント更新によってATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になった場合に、AT状態の終了条件(AT終了条件)が成立したと判定し、AT状態を終了するとともに、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0113】
また、AT制御手段200は、AT状態において第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「1500」に達した場合と、AT状態において第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2400」を超えた場合と、にも、AT終了条件が成立したと判定し、AT状態を終了するとともに、有利区間の終了条件のうち特定終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0114】
<フリーズ制御手段>
本実施形態のフリーズ制御手段600は、回胴演出として、スタートレバーSLへの操作によって左リールR1~右リールR3を回転させ、ストップボタンB1~ストップボタンB3への押下操作によって左リールR1~右リールR3を仮停止させることで、遊技者に遊技を擬似的に体験させる擬似遊技を実行可能(発生可能)に構成されている。ここで、仮停止とは、回胴演出によって回転しているリールの回転を中止する制御である。
【0115】
具体的には、スロットマシン1では、フリーズ制御手段600によって擬似遊技の実行が決定された場合、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、左リールR1~右リールR3が回転開始し、ストップスイッチ240によって検出される停止操作が有効化する以前であることから、ストップスイッチ240から出力されるストップ信号を仮停止信号として処理し、入力された仮停止信号に対応するリールの回転を中止する。
【0116】
このように、本実施形態のスロットマシン1は、回胴演出として擬似遊技を実行する場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作されることによる各リールの仮停止を実行し、遊技者に遊技を擬似的に体験させ、回胴演出であることを意識させることなく、あたかも通常の遊技を実行しているかのような感覚を与えることができる。
【0117】
擬似遊技が終了した場合、スロットマシン1では、擬似遊技によって有効ラインL1上に所定の図柄組合せが表示されていることから、左リールR1~右リールR3の回転開始が同期することで役の入賞が補助され遊技の公正が害されてしまうことを防ぐために、各リールの回転を開始させるタイミングについて、ランダムに遅延させるランダム遅延処理をリール制御手段130が実行する。ランダム遅延処理によって左リールR1~右リールR3の回転開始のタイミングが同期しないことで、スロットマシン1は、擬似遊技が実行された場合であっても、遊技の公正が担保される。
【0118】
<コマンド送信手段>
本実施形態のコマンド送信手段410は、スタートレバーSLへの開始操作に基づきスタートスイッチ230から出力されるスタート信号を受信した場合に、開始操作が行われたことを示すスタートコマンドを副制御部20に向けて送信する。また、コマンド送信手段410は、左リールR1~右リールR3の回転に係るコマンドとして、左リールR1~右リールR3の回転が開始されたことを示すリール回転開始コマンドと、左リールR1~右リールR3のうち少なくとも1つが回転していることを示すリール回転中コマンドと、左リールR1~右リールR3のすべてが停止したことを示す全リール停止コマンドと、を副制御部20に向けて送信可能に構成されている。全リール停止コマンドは、左リールR1~右リールR3のすべてが停止した後に送信されるように構成されており、ストップボタンB1~ストップボタンB3を1つずつ押下する停止操作が実行された場合と、ストップボタンB1~ストップボタンB3を略同時に押下する停止操作(いわゆるスライドプッシュ)が実行された場合と、のいずれの場合においても、左リールR1~右リールR3が完全に停止した後に送信される。
【0119】
また、コマンド送信手段410は、CZ状態やAT状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」に当選し、AT制御手段200による入賞補助が実行されることで作成される情報であり、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のいずれの当選エリアに当選したかを判別可能にする情報である択役グループ情報を副制御部20に送信可能に構成されている。演出制御手段180は、コマンド受信手段420が択役グループ情報を受信した場合に、ベルA~ベルFを入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様について、表示装置330に表示するストップボタンB1~ストップボタンB3を押下する順序を報知する指示指標と、音響装置340から出力する音と、によって報知する入賞補助演出を実行する。
【0120】
また、コマンド送信手段410は、フリーズ制御手段600によってフリーズが発生された場合に、フリーズの発生によって遊技の進行が中断していることを示す遊技中断信号を、中継基板(不図示)を介してスロットマシン1の外部に設けられた外部試験装置に向けて送信する。
【0121】
ここで、本実施形態のスロットマシン1において、擬似遊技は、遊技者の操作によって継続する期間を調整可能な回胴演出となっている。このため、本実施形態のコマンド送信手段410は、擬似遊技が開始されることで遊技中断信号を外部試験装置に出力した場合、外部試験装置を用いた試験に必要な時間を短縮するために、擬似遊技を短期に終了させるための識別情報(コマンド)である演出短縮要求コマンドを、主制御部10と外部試験装置とを接続する中継基板に出力する。コマンド送信手段410は、所定の時間として左リールR1~右リールR3が1図柄分回転するまでに必要な時間(本実施形態においては37.5ms)よりも長い時間として、約50msが経過するごとに、演出短縮要求コマンドを中継基板に向けて送信する。
【0122】
中継基板は、演出短縮要求コマンドに対応するストップボタンが押下されたことを示すストップ信号を外部試験装置から出力させるためのストップボタン押下信号を外部試験装置に向けて出力する。
【0123】
このような構成により、スロットマシン1は、遊技者の操作によって継続する期間が変化する回胴演出である擬似遊技を有する構成において、外部試験装置を用いる試験で擬似遊技の実行が決定された場合に、左リールR1~右リールR3が所定の期間が経過するごとに1つずつ仮停止していく信号を出力することで、擬似遊技の特徴を維持したまま、短時間で擬似遊技を終了させることができ、適切でかつ迅速な試験の実行を実現することができる。
【0124】
また、上述した制御を実行することにより、スロットマシン1では、主制御部10が演出短縮要求コマンドを中継基板に向けて出力することで、演出短縮要求コマンドに対応した操作手段が操作された際に出力される信号の出力を中継基板を介して外部試験装置に要求することができるとともに、要求した信号が外部試験装置から中継基板を入力されることで、中継基板から演出短縮要求コマンドに対応した操作手段が操作された際に出力される信号が出力されるため、中継基板から出力された信号を、操作手段への操作と代替可能となっている。
【0125】
3.特定領域の表示に係る制御の詳細
次に、本実施形態のスロットマシン1が有する表示装置330に設けられた特定領域330bの表示に係る制御の詳細について説明する。
【0126】
<特定領域を透過させる制御>
本実施形態の表示装置330では、特定領域330bに不透明度100%の白色画像(透過用白色画像)が表示されることで光が透過する状態となり、特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3を視認可能となる。本実施形態の画像制御手段180aは、左リールR1~右リールR3が回転している場合に、特定領域330bの全領域を透過させるように構成されている。透過用白色画像は、副記憶手段181の演出データ記憶手段182に記憶された画像データや、画像制御手段180aの機能として用意されている単色を設定可能にされた平面データから構成されており、画像制御手段180aによって読み出されることで描画される。
【0127】
図5は、特定領域330bを透過させる制御に関して、副制御部20が受信した情報に応じて画像制御手段180aが実行する各制御の詳細を説明する図である。
【0128】
本実施形態のスロットマシン1は、複数のレイヤーとして、第1レイヤー~第7レイヤーを有しており、第1レイヤーが最も上位のレイヤーとして構成され、以下、第2レイヤー、第3レイヤー、・・・、第6レイヤー、第7レイヤーの順に、フレームバッファ183に重畳される場合における優先度が設定されている。なお、第1レイヤーは、ユーザレイヤーとして区分された第2レイヤー~第7レイヤーとは異なる区分のレイヤー(エクストラレイヤー)に含まれている。エクストラレイヤーは、ユーザレイヤーよりも上位のレイヤーとなっており、図5に示した第1レイヤーの他に、遊技機にエラーが発生した際に表示するエラー画面が描画されるレイヤー、リールが回転した状態で所定時間(例えば1分)以上ストップボタンが操作されなかった場合に表示する回転警告画面が描画されるレイヤー等が含まれる。
【0129】
画像制御手段180aは、演出制御手段180から送信された演出メッセージを受信した場合や、主制御部10のコマンド送信手段410から送信されるリール回転開始コマンドをコマンド受信手段420が受信した場合に、受信した演出メッセージまたはコマンドに応じた画像を対応するレイヤーに描画可能に構成されており、図5に示すように、各コマンド、各演出メッセージに応じた画像の描画又は画像の消去を実行するように構成されている。なお、図5に「-」で示す項目は、各コマンド、各演出メッセージを受信した場合において、特定領域330bを透過させる制御として当該レイヤーに画像制御手段180aがいずれの処理も行わないことを示している。
【0130】
演出制御手段180は、背景画像や通常状態におけるデフォルト画像等の他の画像の背後に表示する画像を第7レイヤーに描画させる場合に、画像制御手段180aに主演出用メッセージを送信する。主演出用メッセージには、特定領域330bを含む表示領域330aに画像が描画される場合に送信される非透過主演出メッセージと、特定領域330bを透過した状態にする画像を描画させ且つ特定領域330b以外の領域に画像が描画される場合に送信される透過主演出メッセージと、が含まれる。
【0131】
また、演出制御手段180は、CZ状態やAT状態において入賞補助演出を実行する場合に表示する指示指標や、アイコン画像や帯状の画像等の主演出メッセージに基づき描画される画像と複合して表示する画像を、第7レイヤーよりも上位の第4レイヤーに描画させる場合に、画像制御手段180aに複合演出用メッセージを送信する。本実施形態のスロットマシン1では、複合演出として、特定領域330bを除く領域に表示する演出を実行するように構成されており、演出制御手段180から、特定領域330bが複合演出によって非透過とならない透過複合演出メッセージが画像制御手段180aに向けて送信される。
【0132】
なお、特定領域330bを含む領域に表示される複合演出を実行可能に構成され、該複合演出を実行する場合には、演出制御手段180から、特定領域330bの少なくとも一部が複合演出によって非透過となる非透過複合演出メッセージが画像制御手段180aに向けて送信されるように構成されていてもよい。
【0133】
演出制御手段180は、左リールR1~右リールR3の回転態様によらず、演出の実行タイミングに応じて主演出メッセージや複合演出メッセージを画像制御手段180aに送信可能に構成されている。画像制御手段180aは、主演出メッセージや複合演出メッセージを受信した場合に、受信したメッセージに対応する画像を描画して表示装置330に表示する。
【0134】
また、演出制御手段180は、主演出メッセージと複合演出メッセージとの双方を送信する場合に、主演出メッセージを送信した後に複合演出メッセージを送信する。このため、画像制御手段180aは、第7レイヤーにおいて主演出メッセージに対応する演出画像を描画した後に、第4レイヤーにおいて複合演出メッセージに対応する演出画像を描画する。
【0135】
図5に示すように、画像制御手段180aは、主制御部10のコマンド送信手段410から送信されるリール回転開始コマンドをコマンド受信手段420が受信したことに基づき、第1レイヤーのうち特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画するとともに、第1レイヤーの不透明度を100%に設定する。
【0136】
第1レイヤーに描画された透過用白色画像は、主制御部10のコマンド送信手段410から送信される全リール停止コマンドをコマンド受信手段420が受信した場合に、画像制御手段180aによるクリア処理によって消去される。
【0137】
コマンド受信手段420がリール回転開始コマンドを受信した場合、演出制御手段180は、左リールR1~右リールR3が回転開始したことを示すリール回転開始メッセージを作成し、画像制御手段180aに向けて送信するように構成されている。画像制御手段180aは、リール回転開始メッセージを受信した場合に、第2レイヤーのうち特定領域330bに対応する位置と、第5レイヤーのうち特定領域330bに対応する位置と、に透過用白色画像を描画するとともに、第2レイヤーの不透明度と、第5レイヤーの不透明度と、をそれぞれ100%に設定する。
【0138】
また、画像制御手段180aは、リール回転開始メッセージを受信した場合に、透過複合演出メッセージを受信した場合において透過用白色画像を描画する第3レイヤー及び複合演出として表示する演出画像を描画する第4レイヤーについて、描画されている画像を消去するクリア処理を行う。
【0139】
演出制御手段180は、主制御部10のコマンド送信手段410から送信される全リール停止コマンドをコマンド受信手段420が受信した場合に、左リールR1~右リールR3がすべて停止したことを示す全リール停止メッセージを作成し、画像制御手段180aに向けて送信する。第2レイヤーに描画された透過用白色画像と、第5レイヤーに描画された透過用白色画像と、は、演出制御手段180から送信される全リール停止メッセージを画像制御手段180aが受信した場合に、画像制御手段180aによるクリア処理によって消去される。
【0140】
画像制御手段180aは、左リールR1~右リールR3が回転している状態で非透過主演出メッセージを受信した場合に、第6レイヤーのうち特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画するとともに、第6レイヤーの不透明度を100%に設定する。また、画像制御手段180aは、非透過主演出メッセージに対応する演出画像を第7レイヤーに描画する。また、画像制御手段180aは、非透過主演出メッセージを受信した場合に、第3レイヤー及び第4レイヤーについて、描画されている画像を消去するクリア処理を実行可能に構成されている。
【0141】
画像制御手段180aは、非透過主演出メッセージにおいて第7レイヤーに描画する画像が、それまでの表示内容のキャンセルを伴う画像(例えば、デフォルト画面を構成する画像等)である場合に、第3レイヤー及び第4レイヤーに対してクリア処理を実行する。一方、画像制御手段180aは、非透過主演出メッセージにおいて第7レイヤーに描画する画像が、それまでの表示内容のキャンセルを伴わない画像(例えば、複数の遊技に亘って連続する背景画像等)である場合には、非透過主演出メッセージを受信した後に透過する複合演出メッセージを受信し第3レイヤー及び第4レイヤーへの画像の描画を行う構成であることから、第3レイヤー及び第4レイヤーに対してクリア処理を実行せず、第3レイヤー及び第4レイヤーに対して特に処理を行わないように構成されている。
【0142】
画像制御手段180aは、左リールR1~右リールR3が回転している状態で透過主演出メッセージを受信した場合に、第6レイヤーのうち特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画するとともに、第6レイヤーの不透明度を30%に設定する。また、画像制御手段180aは、透過主演出メッセージに対応する演出画像を第7レイヤーに描画する。
【0143】
ここで、画像制御手段180aは、第7レイヤーに描画した画像について、特定領域330bにいずれの濃度で描画するかを第6レイヤーを用いて管理している。具体的には、画像制御手段180aは、非透過主演出メッセージに基づく画像を第7レイヤーに描画した場合には、第7レイヤーに描画された画像が特定領域330b内に表示され、左リールR1~右リールR3の視認性が低下することを防ぐために、第6レイヤーに不透明度100%の透過用白色画像を描画することで、第7レイヤーに描画した画像のうち特定領域330bと位置が重複する箇所の濃度を0%にし、特定領域330bを確実に透過させる。
【0144】
また、画像制御手段180aは、透過主演出メッセージに基づく画像を第7レイヤーに描画した場合には、第7レイヤーに描画された画像が特定領域330bに表示されることがないことから、第6レイヤーに不透明度30%の透過用白色画像を描画する。スロットマシン1では、透過主演出メッセージに基づく画像が画像制御手段180aによって第7レイヤーに描画した場合、特定領域330bと位置が重複する箇所の画像の内容が白色又は透明な画像であることから、特定領域330bが透過した状態を維持される。
【0145】
画像制御手段180aは、左リールR1~右リールR3が回転している状態で透過複合演出メッセージを受信した場合に、第3レイヤーのうち特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画するとともに、第3レイヤーの不透明度を30%に設定する。また、画像制御手段180aは、透過複合演出メッセージに対応する演出画像を第4レイヤーに描画する。
【0146】
演出制御手段180は、透過複合演出メッセージで描画させた複合演出が終了するタイミングで複合演出キャンセルメッセージを作成し、画像制御手段180aに向けて送信する。第3レイヤーに描画された透過用白色画像は、演出制御手段180から送信される複合演出キャンセルメッセージを画像制御手段180aが受信した場合に、画像制御手段180aによるクリア処理によって第4レイヤーに描画された演出画像とともに消去される。
【0147】
なお、図5には、スタートレバーSLへの開始操作に基づき左リールR1~右リールR3が回転開始され、ストップボタンB1~ストップボタンB3への押下操作によって左リールR1~右リールR3を停止させる実際の遊技(本遊技)が行われる場合における特定領域330bの表示に係る制御について示したが、擬似遊技が行われる場合においても、左リールR1~右リールR3が回転開始する場合に、特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画して特定領域330bの全領域を透過させるように構成される。
【0148】
<特定領域の表示態様>
図5に示したように、画像制御手段180aは、主制御部10のコマンド送信手段410から送信されるリール回転開始コマンドをコマンド受信手段420が受信したことに基づき、複数のレイヤーのうち最も上位のレイヤーである第1レイヤーのうち特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画し、第1レイヤーの不透明度を100%に設定する。このため、特定領域330bは、第2レイヤー以下のレイヤーにおいて透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲(本実施形態では特定領域330bの全領域)に描画された画像(表示内容)に透過用白色画像が重ねられることで、特定領域330bの全領域が透過される。
【0149】
また、画像制御手段180aは、主制御部10のコマンド送信手段410から送信される全リール停止コマンドをコマンド受信手段420が受信したことに基づき、第1レイヤーに描画した透過用白色画像をクリアすることで、左リールR1~右リールR3が停止した後において第1レイヤーに描画された透過用白色画像の表示が終了される。
【0150】
また、画像制御手段180aは、主制御部10のコマンド送信手段410から送信されるリール回転開始コマンドをコマンド受信手段420が受信したことに基づき演出制御手段180によって作成されるリール回転開始メッセージを受信した場合に、第2レイヤーと、第5レイヤーと、のそれぞれにおいて、特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画し、第2レイヤー及び第5レイヤーの不透明度を100%に設定する。このため、特定領域330bは、第3レイヤー以下のレイヤーにおいて透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲(本実施形態では特定領域330bの全領域)に描画された画像(表示内容)に透過用白色画像が重ねられることで、特定領域330bの全領域が透過される。
【0151】
また、画像制御手段180aは、主制御部10のコマンド送信手段410から送信される全リール停止コマンドをコマンド受信手段420が受信したことに基づき演出制御手段180によって作成される全リール停止メッセージを受信した場合に、第2レイヤー及び第5レイヤーに描画した透過用白色画像をクリアすることで、左リールR1~右リールR3が停止した後において第2レイヤー及び第5レイヤーに描画された透過用白色画像の表示が終了される。
【0152】
このような構成により、本実施形態のスロットマシン1は、主制御部10から副制御部20に送信された左リールR1~右リールR3の回転が開始されたことを示すリール回転開始コマンドを受信したことに基づき、画像制御手段180aが第1レイヤーに透過用白色画像を描画し、リール回転開始コマンドを受信したことに基づき演出制御手段180に作成されるリール回転開始メッセージを画像制御手段180aが受信したことに基づき、画像制御手段180aが第2レイヤー及び第5レイヤーに透過用白色画像を描画することで、特定領域330bにおいて透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に透過用白色画像が重ねて表示され、特定領域330bが透過されることで、特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態を視認することができ、表示領域330a内(表示領域内)で多様な演出を実行する場合にも左リールR1~右リールR3の回転中に有効ラインL1上に回転表示される図柄の視認性が低下することを防ぎ遊技の公正を維持できる。
【0153】
また、スロットマシン1は、主制御部10から副制御部20に送信された左リールR1~右リールR3の回転が開始されたことを示すリール回転開始コマンドを受信したことに基づき画像制御手段180aが第1レイヤーに透過用白色画像を描画するとともに、リール回転開始コマンドを受信したことに基づき演出制御手段180によって作成されるリール回転開始メッセージを画像制御手段180aが受信したことに基づき画像制御手段180aが第2レイヤーと第5レイヤーとに透過用白色画像を描画する、つまり複数の契機においてそれぞれ異なるレイヤーに透過用白色画像を描画することで、特定領域330bの透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に透過用白色画像が確実に重ねて表示され、特定領域330bが透過されることで、特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態を視認することができ、表示領域330a内で多様な演出を実行する場合にも左リールR1~右リールR3の回転中に有効ラインL1上に回転表示される図柄の視認性が低下することを確実に防ぎ、遊技の公正を十分に担保することができる。
【0154】
また、スロットマシン1は、主制御部10から副制御部20に送信されたリール回転開始コマンドを受信したことに基づき画像制御手段180aが第1レイヤーに透過用白色画像を描画し、リール回転開始コマンドを受信したことに基づき演出制御手段180によって作成されるリール回転開始メッセージを画像制御手段180aが受信した場合に、画像制御手段180aが第2レイヤーと第5レイヤーとに透過用白色画像を描画することで、特定領域330bにおいて透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に透過用白色画像が重ねて表示され、特定領域330bが透過されるため、演出制御手段180によって特定領域330bを透過させるための専用のメッセージの作成及び送信を要することなくリールの回転開始を示すコマンドやメッセージに基づき特定領域330bを透過し、特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態を視認可能にすることができ、副制御部20での制御処理の負担を増やすことなく遊技の公正を担保することができる。
【0155】
また、スロットマシン1は、演出制御手段180によって作成されるリール回転開始メッセージを画像制御手段180aが受信したことに基づき画像制御手段180aが第2レイヤーと第5レイヤーとの複数のレイヤーに透過用白色画像を描画することで、左リールR1~右リールR3の回転中において受信した他の演出メッセージに基づく描画処理によって1つのレイヤーに描画した透過用白色画像を消去してしまった場合であっても、特定領域330bが透過された状態を維持し特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態を視認することができ、表示領域330a内で多様な演出を実行する場合にも左リールR1~右リールR3の回転中に有効ラインL1上に回転表示される図柄の視認性が低下することを防ぎ、遊技の公正を十分に維持することができる。
【0156】
また、スロットマシン1は、主制御部10から副制御部20に送信された左リールR1~右リールR3の回転が停止したことを示す全リール停止コマンドを受信したことに基づき、画像制御手段180aが第1レイヤーに描画した透過用白色画像の表示を終了し、全リール停止コマンドを受信したことに基づき演出制御手段180に作成される全リール停止メッセージを画像制御手段180aが受信したことに基づき、画像制御手段180aが第2レイヤー及び第5レイヤーに描画した透過用白色画像の表示を終了することで、特定領域330bにおいて透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容の表示を再開可能に構成されており、左リールR1~右リールR3が停止した以降における演出内容に多様さを有することができ、遊技者の演出に対する興趣を向上させることができる。
【0157】
また、上述したように、画像制御手段180aは、特定領域330bを透過した状態にする画像を描画させ且つ特定領域330b以外の領域に画像が描画する透過主演出メッセージを受信した場合には、第6レイヤーにおいて、特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画し、第6レイヤーの不透明度を30%に設定することで、透過主演出メッセージに対応する画像において特定領域330bに対応する位置に描画される白色又は透明な画像と合わせて、特定領域330bを透過した状態に維持する。一方、画像制御手段180aは、特定領域330bを含む表示領域330aに画像を描画する場合に非透過主演出メッセージを受信した場合に、第6レイヤーにおいて、特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画し、第6レイヤーの不透明度を100%に設定することで、第7レイヤーに描画した画像のうち特定領域330bと位置が重複する箇所の濃度を0%にし、特定領域330bを確実に透過させる。
【0158】
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、特定領域330bを含む表示領域330aに画像を描画する非透過主演出メッセージに基づく演出画像を左リールR1~右リールR3の回転中に表示する場合には、透過主演出メッセージに基づく演出画像が表示される場合よりも特定領域330bの視認性が低く、特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態を視認することが困難であり遊技の公正が害される懸念があるものの、演出画像を描画する第7レイヤーよりも上位の第6レイヤーを用いて第7レイヤーのうち特定領域330bと位置が重複する箇所の画像の濃度を管理し、特定領域330bと位置が重複する箇所の画像の濃度を0%にすることで特定領域330bを透過させ、特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態を視認することができ、表示領域330a内で多様な演出を実行する場合にも左リールR1~右リールR3の回転中に有効ラインL1上に回転表示される図柄の視認性が低下することを防ぎ遊技の公正を維持できる。
【0159】
また、スロットマシン1は、特定領域330bを透過した状態にする画像を描画させ且つ特定領域330b以外の領域に画像が描画する透過主演出メッセージに基づく演出画像を表示する場合には、第6レイヤーにおいて、特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画し、第6レイヤーの不透明度を30%に設定し、透過主演出メッセージに対応する画像において特定領域330bに対応する位置に描画される白色又は透明な画像の濃度を70%にすることで、特定領域330bを透過した状態に維持することで、特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態を視認することができ、表示領域330a内で多様な演出を実行する場合にも左リールR1~右リールR3の回転中に有効ラインL1上に回転表示される図柄の視認性が低下することを防ぎ遊技の公正を維持できる。
【0160】
この、スタートレバーSLへの開始操作に基づき左リールR1~右リールR3が回転開始する場合に演出制御手段180から画像制御手段180aに送信されるリール回転開始メッセージが、本実施形態における第1情報を構成し、左リールR1~右リールR3が停止した場合に演出制御手段180から画像制御手段180aに送信される全リール停止メッセージが、本実施形態における第2情報を構成する。また、特定領域330bを透過した状態にする画像を描画させ且つ特定領域330b以外の領域に画像を描画させる透過主演出メッセージが、本実施形態における第1画像情報を構成し、特定領域330bを含む表示領域330aに画像を描画させる非透過主演出メッセージが、本実施形態における第2画像情報を構成する。また、リール回転開始メッセージの受信に基づき第2レイヤー及び第5レイヤーに描画される透過用白色画像と、左リールR1~右リールR3が回転している状態で非透過主演出メッセージを受信した場合に第6レイヤーに描画される透過用白色画像と、が、本実施形態における特定画像及び第1特定画像を構成する。
【0161】
また、スタートレバーSLへの開始操作に基づき左リールR1~右リールR3が回転開始する場合に主制御部10から副制御部20に送信されるリール回転開始コマンドが、本実施形態における第1主制御情報を構成し、左リールR1~右リールR3が停止した場合に主制御部10から副制御部20に送信される全リール停止コマンドが、本実施形態における第2主制御情報を構成し、リール回転開始コマンドの受信に基づき第1レイヤーに描画される透過用白色画像が、本実施形態における第2特定画像を構成する。
【0162】
4.本実施形態のまとめ
以上のように、本実施形態のスロットマシン1は、主制御部10から副制御部20に送信された左リールR1~右リールR3の回転が開始されたことを示すリール回転開始コマンドを受信したことに基づき演出制御手段180によって作成されるリール回転開始メッセージを画像制御手段180aが受信した場合に、画像制御手段180aが第2レイヤーと第5レイヤーとに透過用白色画像を描画することで、特定領域330bにおいて透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に透過用白色画像が重ねて表示され、特定領域330bが透過されることで、特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態を視認することができ、表示領域330a内で多様な演出を実行する場合にも左リールR1~右リールR3の回転中に有効ラインL1上に回転表示される図柄の視認性が低下することを防ぎ遊技の公正を維持できる。
【0163】
また、スロットマシン1は、主制御部10から副制御部20に送信された左リールR1~右リールR3の回転が停止したことを示す全リール停止コマンドを受信したことに基づき、画像制御手段180aが第1レイヤーに描画した透過用白色画像の表示を終了することで、特定領域330bにおいて透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容の表示を再開可能に構成されており、左リールR1~右リールR3が停止した以降における演出内容に多様さを有することができ、遊技者の演出に対する興趣を向上させることができる。
【0164】
また、本実施形態のスロットマシン1は、主制御部10から副制御部20に送信された左リールR1~右リールR3の回転が開始されたことを示すリール回転開始コマンドを受信したことに基づき、画像制御手段180aが第1レイヤーに透過用白色画像を描画することで、特定領域330bにおいて透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容に透過用白色画像が重ねて表示され、特定領域330bが透過されることで、特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態を視認することができ、表示領域330a内で多様な演出を実行する場合にも左リールR1~右リールR3の回転中に有効ラインL1上に回転表示される図柄の視認性が低下することを防ぎ遊技の公正を維持できる。
【0165】
また、スロットマシン1は、主制御部10から副制御部20に送信された左リールR1~右リールR3の回転が停止したことを示す全リール停止コマンドを受信したことに基づき、画像制御手段180aが第1レイヤーに描画した透過用白色画像の表示を終了することで、特定領域330bにおいて透過用白色画像の表示範囲と重複する範囲の表示内容の表示を再開可能に構成されており、左リールR1~右リールR3が停止した以降における演出内容に多様さを有することができ、遊技者の演出に対する興趣を向上させることができる。
【0166】
5.変形例
なお、本実施形態において、画像制御手段180aは、透過用白色画像として特定領域330bの全領域に表示される画像を描画するが、これに限定されない。画像制御手段180aは、少なくとも有効ラインL1上に表示される図柄を視認可能な範囲に透過用白色画像を描画すればよい。具体的には、画像制御手段180aは、有効ラインL1が左リールR1~右リールR3の中段から構成されている場合において、正面視左右方向の長さ(幅)が左リールR1~右リールR3のそれぞれの幅の合計から構成され、正面視上下方向の長さ(高さ)が、図柄1個分の高さを有するように構成された透過用白色画像を、特定領域330bのうち左リールR1~右リールR3の中段と対応する位置に描画することで、特定領域330bを介して有効ラインL1上に表示される図柄を視認可能となるように構成されていてもよい。
【0167】
また、本実施形態において、画像制御手段180aは、リール回転開始コマンドを受信したことに基づき第1レイヤーに透過用白色画像を描画し、リール回転開始メッセージを受信したことに基づき第2レイヤー及び第5レイヤーに透過用白色画像を描画し、左リールR1~右リールR3が回転している状態で非透過主演出メッセージを受信したことに基づき第6レイヤーに透過用白色画像を描画するように構成されているが、これに限定されない。画像制御手段180aは、リール回転開始コマンドを受信したことに基づく第1レイヤーへの透過用白色画像の描画(第1透過制御)と、リール回転開始メッセージを受信したことに基づく第2レイヤー及び第5レイヤーへの透過用白色画像の描画(第2透過制御)と、左リールR1~右リールR3が回転している状態で非透過主演出メッセージを受信したことに基づく第6レイヤーへの透過用白色画像の描画(第3透過制御)と、について、少なくとも1つの透過制御を実行するように構成されていればよく、必ずしもすべての透過制御を実行するように構成されている必要はない。
【0168】
また、画像制御手段180aは、第1透過制御~第3透過制御のそれぞれにおいて、少なくとも有効ラインL1上に表示される図柄を視認可能な範囲に透過用白色画像を描画するように構成されていればよく、例えば、第1透過制御では特定領域330bの全領域に透過用白色画像を描画し、第2透過制御及び第3透過制御では有効ラインL1上に表示される図柄と表示範囲が重複する領域に透過用白色画像を描画する等、第1透過制御~第3透過制御のそれぞれにおいて透過用白色画像を描画する範囲を設定するように構成されていてもよい。第1透過制御と第2透過制御とで透過する領域が異なる構成となる場合、第1特定画像と、第2特定画像と、で画像の表示サイズが異なる構成となる。
【0169】
なお、第1透過制御及び第2透過制御を実行せずに第3透過制御を実行するように構成される場合、画像制御手段180aは、左リールR1~右リールR3の回転中に透過主演出メッセージや透過複合演出メッセージを受信した場合に、第3レイヤー、第6レイヤーに不透明度30%の透過用白色画像を描画しないように構成されることが好ましい。
【0170】
また、本実施形態において、画像制御手段180aは、左リールR1~右リールR3が回転開始したことを示すリール回転開始コマンドを主制御部10から受信した場合に、第1レイヤーに透過用白色画像を描画するように構成されているが、これに限定されない。画像制御手段180aは、例えば、スタートレバーSLが開始操作されたことを示すスタートコマンドを主制御部10から受信した場合に、第1レイヤーに透過用白色画像を描画するように構成されていてもよい。このように構成された場合、スタートコマンドが、第1主制御情報を構成する。
【0171】
また、本実施形態において、画像制御手段180aは、左リールR1~右リールR3が回転開始したことを示すリール回転開始コマンドを受信したことに基づき演出制御手段180が作成するリール回転開始メッセージを受信した場合に、第2レイヤー及び第5レイヤーに透過用白色画像を描画するように構成されているが、これに限定されない。画像制御手段180aは、例えば、スタートレバーSLが開始操作されたことを示すスタートコマンドを主制御部10から受信したことに基づき演出制御手段180が作成するスタートメッセージを受信した場合に、第2レイヤー及び第5レイヤーに透過用白色画像を描画するように構成されていてもよい。このように構成された場合、スタートメッセージが、第1情報を構成する。
【0172】
また、本実施形態において、画像制御手段180aは、左リールR1~右リールR3が回転開始したことを示すリール回転開始コマンドを受信したことに基づき演出制御手段180が作成するリール回転開始メッセージを受信した場合に、第2レイヤー及び第5レイヤーに透過用白色画像を描画するように構成されているが、これに限定されない。画像制御手段180aは、第2レイヤーと、第5レイヤーと、の少なくとも一方のレイヤーに透過用白色画像を描画するように構成されていればよい。
【0173】
また、本実施形態において、画像制御手段180aは、左リールR1~右リールR3の回転中における左リールR1~右リールR3の視認性を確保するために、透過用白色画像を描画したレイヤーの不透明度を100%にするように構成されているが、これに限定されない。画像制御手段180aは、例えば、左リールR1~右リールR3の回転中における左リールR1~右リールR3の視認性を十分に確保できる程度の不透明度を透過用白色画像を描画したレイヤーに設定するように構成されていればよく、不透明度を略100%(99%等)に設定するように構成されていてもよい。
【0174】
また、本実施形態において、画像制御手段180aは、演出データ記憶手段182から透過用白色画像の画像データを取得して透過用白色画像を対応するレイヤーに描画するように構成されているが、これに限定されない。画像制御手段180aは、例えば、画像データを使用せずに単色の画像を描画する描画制御によって対応するレイヤー上に透過用白色画像を描画するように構成されていてもよい。
【0175】
また、本実施形態において、画像制御手段180aは、演出画像が描画されるレイヤーよりも上位のレイヤーに透過用白色画像を描画することで、特定領域330bを透過させているが、これに限定されない。画像制御手段180aは、例えば、演出画像が描画されるレイヤーのうち特定領域330bと重複する範囲において、演出画像に重ねるスプライト画像として透過用白色画像を描画するように構成されていてもよい。
【0176】
また、本実施形態において、画像制御手段180aは、擬似遊技が行われる場合においても、左リールR1~右リールR3が回転開始する場合に、特定領域330bに対応する位置に透過用白色画像を描画して特定領域330bの全領域を透過させるように構成されているが、これに限定されない。画像制御手段180aは、例えば、本遊技である場合には左リールR1~右リールR3の回転中において特定領域330bの全領域を透過させ、擬似遊技である場合には特定領域330bのうち有効ラインL1上に表示される図柄と表示範囲が重複する領域に限って透過させるように構成されていてもよい。また、画像制御手段180aは、例えば、本遊技である場合には左リールR1~右リールR3の回転中において特定領域330bのうち有効ラインL1上に表示される図柄と表示範囲が重複する領域に限って透過させ、擬似遊技である場合には特定領域330bの全領域を透過させるように構成されていてもよい。
【0177】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMBを有しているが、これに限らず、例えば、マックスベットボタンMBに加え、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンを有するように構成されていてもよい。
【0178】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、遊技価値として、メダルを投入及び払出可能に構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、スロットマシン1の外部に設けられ、遊技者が遊技の用に供することができる遊技価値の総数を電磁的方法によって記録可能な構成を有する遊技価値管理装置(専用ユニット)から出力される投入信号に基づき、遊技価値を投入状態に設定し、遊技価値の払い出しを行う場合に、遊技価値管理装置へ払出信号を出力し、遊技価値管理装置において所定の記録媒体に払出信号に対応する遊技価値を電磁的方法によって記録するように構成されていてもよい。つまり、スロットマシン1は、いわゆるメダルレス遊技機から構成されていてもよい。
【0179】
このように構成される場合、スロットマシン1は、例えば、遊技者によって遊技価値管理装置に投入された金額に対応するクレジット数を表示するクレジット数表示手段を有するように構成される。また、スロットマシン1は、最大で16368枚のメダルに相当する遊技価値をクレジット可能に構成され、16368枚を超える遊技価値がクレジットされた場合、遊技制御手段をエラー状態に設定し、遊技価値管理装置を介して所定の記録媒体に電磁的方法によって記録される方式によって遊技価値が払い出されることで16368枚以下のクレジット数になるまで、遊技不可(遊技価値が投入状態に設定されずスタートレバーSLへの開始操作が有効化されない状態)に構成されていてもよい。
【0180】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、各カウンタや記憶手段の記憶値に初期値として値をセットし、毎回の遊技の実行時に1ずつ減算するデクリメント更新や、毎回の遊技の実行時に1ずつ加算するインクリメント更新を実行するように構成されているが、これに限らず、各カウンタや記憶手段の更新方法については乗算や除算等を実行するように構成されていてもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0181】
1 スロットマシン(遊技機)
10 主制御部
20 副制御部
140 入賞判定手段
180 演出制御手段
180a 画像制御手段
330 表示装置(表示手段)
330a 表示領域
330b 特定領域
SL スタートレバー
R1 左リール
R2 中リール
R3 右リール
図1
図2
図3
図4
図5