(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159465
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】断熱サッシ戸
(51)【国際特許分類】
E06B 3/663 20060101AFI20231024BHJP
E06B 3/67 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
E06B3/663 N
E06B3/67 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144970
(22)【出願日】2023-09-07
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】397078273
【氏名又は名称】和田 泰久
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰久
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016AA03
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016EA05
(57)【要約】
【課題】断熱効果が高く、既設のサッシ枠に取り付けることが可能な断熱サッシ戸の提供を目的とする。
【解決手段】既設のサッシ枠に取り付け可能な断熱サッシ戸であって、前記サッシ枠に装着する障子を有し、前記障子は室内外方向に所定の間隔を隔てて複数の板材を保持することで3層以上の断熱層を形成したことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設のサッシ枠に取り付け可能な断熱サッシ戸であって、
前記サッシ枠に装着する障子を有し、
前記障子は室内外方向に所定の間隔を隔てて複数の板材を保持することで3層以上の断熱層を形成したことを特徴とする断熱サッシ戸。
【請求項2】
前記障子は障子上枠,障子下枠及び左右の障子縦枠で内枠体を形成し、
前記内枠体は内側に取付け可能でこの内枠体よりも幅広の枠部材を有し、前記枠部材に複数の板材を保持させたことを特徴とする請求項1記載の断熱サッシ戸。
【請求項3】
前記枠部材は複数の板材の間隔を保持するための複数の保持ピースと、前記保持ピースを取り付けるための基材とを有することを特徴とする請求項2記載の断熱サッシ戸。
【請求項4】
前記複数の板材はガラス板と樹脂板とからなり、前記樹脂板はその端部と前記枠部材との間に隙間を形成してあることを特徴とする請求項2記載の断熱サッシ戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱サッシ戸に関し、特に既設の窓枠(サッシ枠)に取り付けることができる断熱サッシ戸に係る。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーや結露防止等の目的に複層ガラスからなる断熱サッシ戸が市販されている。
また、特許文献1には既設の窓ガラスに中空層支持体を介して、新設の後付けガラスを貼り合せた複層ガラスを開示する。
しかし、施工が大変である技術的課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、断熱効果が高く、既設のサッシ枠に取り付けることが可能な断熱サッシ戸の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る断熱サッシ戸は、既設のサッシ枠に取り付け可能な断熱サッシ戸であって、前記サッシ枠に装着する障子を有し、前記障子は室内外方向に所定の間隔を隔てて複数の板材を保持することで3層以上の断熱層を形成したことを特徴とする。
ここで、3層以上の断熱層とは、板材の間にできる空気層からなる断熱層が3つ以上有することをいい、板材が4枚の場合断熱層が3層になり、板材が5枚の場合には断熱層が4層できる。
本発明にあって、障子は障子上枠,障子下枠及び左右の障子縦枠で内枠体を形成し、前記内枠体は内側に取付け可能でこの内枠体よりも幅広の枠部材を有し、前記枠部材に複数の板材を保持させてもよい。
このようにすると、枠部材で複数の板材を保持させた後に、内枠体に組み付けることができる。
また、内枠体の幅寸法(厚み)を既設のサッシ枠に合せつつ、複数の板材を保持できる。
【0006】
本発明において、枠部材は複数の板材の間隔を保持するための複数の保持ピースと、前記保持ピースを取り付けるための基材とを有するようにすることもでき、この場合に複数の板材はガラス板と樹脂板とからなり、前記樹脂板はその端部と前記枠部材との間に隙間を形成してあるのが好ましい。
樹脂板は、ガラス板に比較して熱膨張率が大きいので、その伸縮を吸収するのが容易になる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る断熱サッシ戸は、既設のサッシ枠に装着されているサッシ戸を取り外して、その替わりに装着できるように、既設のサッシ戸と同じ内枠体(障子)に室内外方向に厚みのある3層以上の断熱層を形成できるので、既設の窓構造を改造することなく、断熱サッシ戸の装着ができる。
本発明に係る断熱サッシ戸は、固定窓あるいはスライド窓でもよく、例えば室内レールと室外レールを有する引き違い窓に、本発明に係る断熱サッシ戸を装着する場合には、室外レールに対しては断熱層が外側にはみ出すように、室内レールに対しては断熱層が内側にはみ出すように装着する。
これにより、改造工事をすることなく容易に、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る断熱サッシ戸の構造例において枠部材に板材を組み込んだ構造例を示す。
【
図2】本発明に係る断熱サッシ戸をサッシ枠に装着する例を示す。
【
図3】既設のサッシ枠に本発明に係る断熱サッシ戸を装着した例を示す。
【
図4】既設のサッシ枠に本発明に係る断熱サッシ戸を装着した引き違い窓の縦断面図を示す。
【
図5】既設のサッシ枠に本発明に係る断熱サッシ戸を装着した場合の召合せ部の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る断熱サッシ戸は、固定窓,引き違い窓等、装着される窓構造に制限はない。
本実施例は、
図6に示すように既設のサッシ枠がサッシ上枠1,サッシ下枠2と左右のサッシ縦枠3,4からなるサッシ枠に、2つの障子をスライド可能に装着した引き違い窓の例である。
【0010】
図6に示した引き違い窓の縦断面図を
図4に示し、召合せ部の横断面図を
図5に示す。
外障子となる室外側の障子Aと、内障子となる室内側の障子Bとがサッシ枠内側に引き違いに装着されている。
障子A,Bは、共通の符号を用いてあり、以下障子Aに基づいて説明する。
障子Aは、障子上枠5,障子下枠6と左右の障子縦枠7,8とで内枠体を形成し、その周方向内側に枠部材12a,12bを取り付け、複数の板材を用いて複数の断層構造を形成してある。
その構造を
図1に示す。
【0011】
障子上枠側の枠部材12a,12bと、障子下枠側の枠部材12a,12bとは、上下対称になっている。
中空部11bを有する中空断面形状からなる基材11の内側に複数の凹部形状からなる嵌着部(11a,11a)を形成し、これに複数の保持ピース13を嵌合連結する。
保持ピース13は、基材11の嵌着部(11a,11a)に、嵌合連結する嵌合片(13a,13a)と板材との間をシールするシール材取付部13bを有し、
図1ではシール材の図示を省略してある。
本実施例では、最も室外にガラス板からなる外側板材14を配置し、最も室内側にアクリル板からなる内側板材15を配置し、その間に2枚のアクリル板からなる第1仕切板16と第2仕切板材17を配置することで、空気層からなる3つの断熱層d
1,d
2,d
3を形成した例になっている。
【0012】
基材11に嵌着した複数の保持ピース13の間に、第1仕切板材16と第2仕切板材17を挟み込み、室外側の保持ピース13と室外側の枠部材12aとの間に、外側板材14を挟み、室内側の保持ピース13と室内側の枠部材12bとの間に、内側板材15を挟み込むように組み付けてある。
室外側の枠部材12aと室内側の枠部材12bは、それぞれ基材11にビス等の固定部材18にて固定連結してある。
また、外側板材14と枠部材12aとの間及び、内側板材15と枠部材12bとの間には、シール部材を設けることになるが、このシール部材の表示は省略してある。
【0013】
室内側の枠部材12bは、外周面に差し込み片(12c,12c)を形成することで、
図4に示すように障子上枠5,障子下枠6の差し込み部5b,6bに差し込み連結する。
障子縦枠7,8にも
図5に示すように、上下の障子枠と同様に差し込み部7b,8bを形成し、枠部材を差し込み連結してある。
【0014】
室外側の障子を外枠(サッシ枠)の周方向内側に装着する例を
図2,
図3に示す。
既設のサッシ上枠1とサッシ下枠2とには、外レール1a,2aと内レール1b,2bを有しているが、このサッシ下枠2のレールに戸車等を用いて室内外の障子がスライド自在に装着される。
従って、
図4,
図5に示すように、障子側のスライド凹部5a,6a,7a,8aが、サッシ側のレールに沿ってスライドする位置関係を取り替える前のサッシ戸と同様にしつつ、室外側の障子は枠部材12a,12bを外側に張り出し、室内側の障子は枠部材12a,12bを室内側に張り出すことで、厚み方向の幅寸法が上下,左右の内枠体の厚みよりも厚い幅寸法からなる断熱層を形成することができる。
【0015】
本実施例は、外側板材14にガラス板を用い、それよりも内側の板材にアクリル板からなる樹脂板を用いることで、軽量化を図ってある。
この場合に、樹脂板は熱膨張率が大きく、外気温や室内温の変化により、外径寸法が伸縮する。
そこで本実施例では、
図1で説明すると、板材の端部と基材11との間に隙間d
4,d
5ができるように、
図5,
図6にて示した支持ピン19を樹脂板と保持ピース13とに貫通させるように連通保持させてある。
また、ガラス板は、内側に紫外線をカットするものや、遮熱性を有するフィルムを貼り付けてもよい。
このようなフィルムは、ガラスの保護効果もあり、外部からの侵入を防ぐ防犯効果も向上する。
3層の空気層からなる断熱層を有すると、結露が生じにくく、防音効果も向上する。
これにより、夏の冷房や冬の暖房の効率も向上する。
【0016】
本発明に係る断熱サッシ戸は、既設のアルミサッシ等のサッシ枠から既存のガラス障子を取り外し、次にこのガラス障子からガラス板を取り外し、
図1に示した枠部材で組み立てた断熱面材を障子(内枠体)に組み込むことができる。
【符号の説明】
【0017】
1 サッシ上枠
2 サッシ下枠
3 サッシ縦枠
4 サッシ縦枠
5 障子上枠
6 障子下枠
7 障子縦枠
8 障子縦枠
11 基材
12a 枠部材
12b 枠部材
13 保持ピース
14 外側板材
15 内側板材
16 第1仕切板材
17 第2仕切板材