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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159485
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20231025BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231025BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L21/90 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069153
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176599
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100205095
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 啓一
(74)【代理人】
【識別番号】100208775
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】小田 穣
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 太一
【テーマコード(参考)】
5F033
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033JJ08
5F033JJ17
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033JJ33
5F033KK01
5F033NN07
5F033NN29
5F033PP06
5F033QQ09
5F033QQ16
5F033QQ48
5F033VV16
5F033XX00
5F033XX09
5F083EP17
5F083EP22
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083JA35
5F083JA36
5F083JA39
5F083JA40
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR22
5F083PR40
5F083ZA01
5F101BA41
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
(57)【要約】
【課題】コンタクトにおける耐熱性が高く、抵抗値が低い半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、第1面を有する半導体基板と前記第1面に設けられ、第1導電形の不純物を含む第1領域と、前記第1領域に接する第1コンタクトと、を備え、前記第1コンタクトは、下面が前記第1領域に接する第1金属層と、下面が前記第1金属層に接する第2金属層と、下面が前記第2金属層に接する第3金属層とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する半導体基板と、
前記第1面に設けられ、第1導電形の不純物を含む第1領域と、
前記第1領域に接する第1コンタクトと、
を備え、
前記第1コンタクトは、下面が前記第1領域に接する第1金属層と、
下面が前記第1金属層に接する第2金属層と、
下面が前記第2金属層に接する第3金属層と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記第1面に設けられ、前記第1面に沿った方向において、前記第1領域と並び、前記第1導電形の不純物を含む第2領域と、
前記第1面に設けられ、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する電極と、を更に有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2領域に接する第2コンタクトを更に備え、
前記第2コンタクトは、下面が前記第2領域に接する第4金属層と、
下面が前記第4金属層に接する第5金属層と、
下面が前記第5金属層に接する第6金属層と、
を有する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2金属層は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)の少なくとも1つの金属を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1金属層および第3金属層は、窒化チタン(TiN)を含む、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第5金属層は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)の少なくとも1つの金属を含む、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第4金属層および第6金属層は、窒化チタン(TiN)を含む、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
メモリセルアレイ領域を更に有し、
前記第1金属層、前記第2金属層および前記第3金属層は、前記半導体基板と前記メモリセルアレイ領域との間に設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
第1面を有する半導体基板と、
前記第1面に設けられ、第1導電形の不純物を含む第1領域と、
前記第1領域に接するコンタクトと、
を備え、
前記コンタクトの底面および側面は、第1金属層、第2金属層および第3金属層を含む積層構造であり、
前記第1金属層の下面は前記第1領域に接し、前記第2金属層の下面は前記第1金属層に接し、前記第3金属層の下面は前記第2金属層に接する、半導体装置。
【請求項10】
前記第2金属層は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)の少なくとも1つを含む請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1金属層および第3金属層は、窒化チタン(TiN)を含む請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
第1面を有する半導体基板に第1導電形の不純物を導入して第1領域を形成し、
前記第1領域に接する第1金属層を形成し、前記第1金属層に接する第2金属層を形成し、前記第2金属層に接する第3金属層を形成することにより、前記第1金属層、前記第2金属層および前記第3金属層の積層構造を有するコンタクトを形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2金属層は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)の少なくとも1つの金属を含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1金属層および第3金属層は、窒化チタン(TiN)を含む、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、半導体基板に設けられた半導体部から電気的な接続を得るためにコンタクトが設けられている。コンタクトは積層構造を有しているが、半導体装置の微細化、高性能化に伴い、より高い特性が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0091064号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンタクトにおける耐熱性が高く、抵抗値が低い半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1面を有する半導体基板と前記第1面に設けられ、第1導電形の不純物を含む第1領域と、前記第1領域に接する第1コンタクトと、を備え、前記第1コンタクトは、下面が前記第1領域に接する第1金属層と、下面が前記第1金属層に接する第2金属層と、下面が前記第2金属層に接する第3金属層とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図。
図2】本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部を示す断面図。
図3図2に続く、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部を示す断面図。
図4図3に続く、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部を示す断面図。
図5図4に続く、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部を示す断面図。
図6図5に続く、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部を示す断面図。
図7図6に続く、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部を示す断面図。
図8】CUA構造の半導体装置の構成を示す断面図。
図9】第1の比較例に係る半導体装置の構成を示す断面図。
図10】第2の比較例に係る半導体装置の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本実施形態について説明する。以下に説明する図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なる。
【0008】
また、本明細書においては、半導体部に積層されたゲート絶縁膜及びゲート電極の積層方向をZ方向と呼ぶ。Z方向と垂直な方向をX方向と呼び、Z方向及びX方向と垂直な方向をY方向と呼ぶ。
【0009】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、半導体部及びゲート電極を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って半導体部からゲート電極に向かう向きを上とし、Z方向に沿ってゲート電極から半導体部に向かう向きを下とする。また、ある構成について上面や下面と言う場合には、Z方向と交差する面であって、上向きの面又は下向きの面を意味する事とする。また、ある構成について上端又は下端と言う場合には、Z方向の端部であって、上方に位置する端部、又は、下方に位置する端部を意味する事とする。また、第2方向と交差する面を側面と呼ぶ。
【0010】
最初に、図1を参照して、本実施形態に係る半導体装置の構成を説明する。説明の都合上、図1では一部の構成を省略する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置はトランジスタTr1を含む。以下では、トランジスタTr1がPチャネル型の電界効果トランジスタである場合を例に挙げて説明する。トランジスタTr1は、Z方向に並ぶ半導体部100及び電極部200を備える。また、半導体装置は、電極部200のX方向側面に設けられた側壁絶縁膜310と、半導体部100及び電極部200を覆うライナー膜320と、半導体部100に接続されたコンタクト400a及び400bと、これらを覆う層間絶縁膜500とを備える。
【0012】
半導体部100は、半導体基板101は第1面と第1面とは反対側の第2面とを有する。第1拡散領域110及び第2拡散領域120は第1面側に設けられる。第2拡散領域120は、第1拡散領域110とX方向に沿った方向に電極部200を介して設けられている。第1拡散領域110はコンタクト400aに、第2拡散領域120はコンタクト400bに接続されている。
【0013】
半導体基板101は、例えば、表面にN型ウェル領域及びP型ウェル領域が設けられた半導体基板であり、不純物を含むシリコン(Si)等を含む。図1に示したトランジスタTr1は、半導体基板101の、N型ウェル領域が設けられた部分に位置する。N型ウェル領域は、例えば、リン(P)等のN型不純物を含むシリコン(Si)等を含む。半導体基板101の第1拡散領域110と第2拡散領域120の間の領域はチャネル領域となっており、N型半導体として機能する。また、半導体基板101の第1拡散領域110と第2拡散領域120の間の領域には、Extension領域やHalo領域等が設けられていてもよい。
【0014】
第1拡散領域110は、ソース領域として機能する。第1拡散領域110は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むシリコン(Si)等を含み、P型半導体として機能する。
【0015】
第2拡散領域120は、ドレイン領域として機能する。第2拡散領域120は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むシリコン(Si)等を含み、P型半導体として機能する。
【0016】
電極部200は、第1拡散領域110と第2拡散領域120との間の上に設けられている。すなわち、電極部200は、第1拡散領域110と第2拡散領域120との間に位置する。電極部200は、半導体基板101の上面に順に積層されたゲート絶縁膜210、ゲート電極220、及び、キャップ絶縁膜230を備える。ゲート絶縁膜210は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等を含む。ゲート電極220は、金属であっても良く、ホウ素(B)、またはリン(P)等の不純物が注入されたポリシリコン(poly-Si)であっても良い。あるいは、金属とポリシリコンとの積層膜であっても良い。キャップ絶縁膜230は、例えば、窒化シリコン(SiN)等を含む。
【0017】
側壁絶縁膜310は、例えば、窒化シリコン(SiN)やシリコン酸化膜(SiO2)、またはこれらの積層膜等を含む。ライナー膜320は、例えば、窒化シリコン(SiN)等を含む。
【0018】
コンタクト400a及び400bは、例えば、金属等の導電性のコンタクトであり、Z方向に延伸する。コンタクト400aは、ソースコンタクトとして用いられる。コンタクト400bは、ドレインコンタクトとして用いられる。コンタクト400a及び400bは、第1金属層401、第2金属層402、第3金属層403及び第4金属層404を含む積層構造を有する。第1金属層401は、例えば、窒化チタン(TiN)等を含む。コンタクト400aに含まれる第1金属層401は、その下面が第1拡散領域110に接し、コンタクト400bに含まれる第1金属層401は、その下面が第2拡散領域120に接する。第2金属層402は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)等の電子親和力が高い金属を少なくとも含む金属層である。コンタクト400aに含まれる第2金属層402の下面は、第1拡散領域110と接している第1金属層401の上面と接する。コンタクト400bに含まれる第2金属層402の下面は、第2拡散領域120と接している第1金属層401の上面と接する。第3金属層403は、窒化チタン(TiN)等を含む。第4金属層404は、タングステン(W)等を含む。第3金属層403の下面は、第2金属層402の上面と接する。層間絶縁膜500は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等を含む。
【0019】
第1金属層401、第3金属層403は、バリア性を有し、金属材料の拡散防止や相互反応防止するバリア金属層である。
【0020】
また、第2金属層402は、含有する金属の還元作用により、第1金属層401の成膜過程で、半導体基板101の表面に形成された自然酸化膜中の酸素(O)と結合する。そのため、第2金属層402は、最終的に酸素を取り込んだ層となる。このような反応を、「スキャベンジング(Scavenging)反応」と称す。第2金属層402において生じるスキャベンジング反応により、半導体基板101と第1金属層401間の界面に酸化膜が形成することを抑制することができる。
【0021】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図2から図7は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。図2から図7は、図1と同じ断面において、トランジスタTr1と、コンタクト300a及び300bが形成される工程を示している。
【0022】
まず、図2に示すように、リン(P)等のN型不純物が注入された半導体基板101上に、ゲート絶縁膜210、ゲート電極220、及び、キャップ絶縁膜230を順に形成する。
【0023】
次に、図3に示すように、側壁絶縁膜310を形成する。そして、ホウ素(B)等のP型の不純物を注入する。これにより、第1拡散領域110と第2拡散領域120が形成される。
【0024】
次に、図4に示すように、ライナー膜320及び層間絶縁膜500を順に形成する。
【0025】
次に、図5に示すように、コンタクトホールCHa及びCHbを形成する。コンタクトホールCHa及びCHbの形成方法としては、例えば、以下のような方法があげられる。まず、層間絶縁膜500上にコンタクト300a及び300bの形成位置が開口した図示しないレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンをマスクにして第1拡散領域110と第2拡散領域120の上面が露出するまで異方性エッチングを行う。このようにして、コンタクトホールCha及びCHbが形成される。その後、半導体部100の上面に薄い自然酸化膜(図示無し)が形成されてしまう。 次に、図6に示すように、層間絶縁膜500上とコンタクトホールCHa及びCHbの底面及び側面に、第1金属層401、第2金属層402、第3金属層403及び第4金属層404を順に形成する。第1金属層401は、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって形成される。第2金属層402は、例えば、PLD(Physical Layer Deposition)法やCVD法等によって形成される。第3金属層403は、例えば、ALD法やCVD法等によって形成される。第4金属層404は、例えば、CVD法等によって形成される。第2金属層402は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)等の電子親和力が高い金属を含む金属層であるため、還元作用によりスキャベンジング反応が生じ、半導体部100の表面の自然酸化膜(図示無し)の酸素と反応して酸素を取り込む。これにより、自然酸化膜(図示無し)は薄膜化あるいは除去される。
【0026】
次に、図7に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により第4金属層404、第3金属層403、第2金属層402および第1金属層401を削り、層間絶縁膜500の上面を露出させる。
【0027】
このようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することが出来る。
【0028】
なお、本実施形態に係る半導体装置は、図8に示すようなCUA(CMOS Under Array)構造であってもよい。CUA構造とは、メモリセルアレイ領域MARの下方に周辺回路領域PCRが設けられた構造である。メモリセルアレイ領域MARはメモリセルとして機能し、例えば、複数のワード線が積層された積層体に、半導体層および電荷蓄積層がZ方向に設けられた構造を有する。トランジスタTr1は、例えば、図8の領域A等に設けられる。すなわち、トランジスタTr1は、メモリセルアレイ領域MARの下部に設けられる。CUA構造に本実施形態の構造を適用した際の利点については、後述する。
【0029】
続いて、本実施形態に係る半導体装置の利点について、比較例を用いて説明する。まず、第1の利点について、第1の比較例を用いて説明する。図9は、第1の比較例に係る半導体装置の構成を示す図である。図9に示すように、第1の比較例のトランジスタTr2は、半導体部100に接続されたコンタクト400c及び400dを備える。
【0030】
コンタクト400a及び400bは、第1金属層405、第2金属層406及び第3金属層407を含む積層構造を有する。第1金属層405は、例えば、チタン(Ti)等を含む金属層である。第1金属層405は、第1拡散領域110及び第2拡散領域120と反応してシリサイド130を形成する。第2金属層406は、例えば、窒化チタン(TiN)等を含むバリア金属層である。第3金属層407は、タングステン(W)等である。
【0031】
上記のように、第1の比較例では、半導体部100に接する第1金属層405がチタン(Ti)等を含む金属層となっている。これは、チタン(Ti)等を第1拡散領域110及び第2拡散領域120と反応させて、シリサイド130を形成するためである。このシリサイド130は、半導体部100とコンタクト400c及び400dとの界面における高抵抗化を防ぐために形成される。しかしながら、メモリセルアレイ領域MAR形成時の高温処理により、シリサイド130の異常成長が発生してコンタクト不良を発生させる場合がある。
【0032】
それに対して、本実施形態に係る半導体装置では、第1金属層401がバリア金属層となっているため、半導体部100とコンタクト400a及び400bとの間にシリサイド130が形成されることを抑制することができる。本実施形態に係る半導体装置では、シリサイドの形成が完全に防がれ、シリサイドが存在しない場合もある。これにより、高温処理によるコンタクト不良を抑制することが出来る。その結果、半導体部100とコンタクト400a及び400b周辺の耐熱性を向上させることが出来る。
【0033】
特に、第1の比較例の構造を図8に示すCUA構造の領域Aに用いた場合、CUA構造の製造プロセスでは、周辺回路領域PCRと、周辺回路PCRとメモリセルアレイ領域MARとを結線するコンタクトを形成した後に、メモリセルアレイ領域MARが形成される。一方で、メモリセルアレイ領域MARの周辺に周辺回路領域PCRが設けられるCNA(CMOS Next to Array)構造では、周辺回路領域PCRを形成し、メモリセルアレイ領域MARを形成したのちに、それぞれのコンタクトを形成する。つまり、周辺回路PCRとメモリセルアレイ領域MARとを結線するコンタクトと、メモリセルアレイ領域MARを形成する順番は、CNA構造とCUA構造を比較すると逆になった製造プロセスとなっている。そのため、CUA構造の製造プロセスでは、周辺回路領域PCRとメモリセルアレイ領域MARとを結線するコンタクトに対して、メモリセルアレイ領域MARの製造工程に含まれる850℃以上の高温処理による熱負荷がかかってしまう。したがって、上述した本実施形態に係る半導体装置の効果(シリサイド異常成長の発生を抑制し耐熱性を向上させる)がより有効となる。
【0034】
つづいて、第2の利点について、第2の比較例を用いて説明する。図10は、第2の比較例に係る半導体装置の構成を示す図である。図10に示すように、第2の比較例のトランジスタTr3は、半導体部100に接続されたコンタクト400e及び400fを備える。
【0035】
コンタクト400e及び400fは、第1金属層408及び第2金属層409を含む。第1金属層408は、例えば、窒化チタン(TiN)等を含むバリア金属層である。第2金属層409は、タングステン(W)等である。
【0036】
上記のように、第2の比較例では、半導体部100に接する第1金属層408がバリア金属層となっている。そのため、第1の比較例を用いて説明したように、半導体部100とコンタクト400e及び400f周辺の耐熱性が向上した構造となっている。しかしながら、バリア金属層と半導体部100が接する構造では、半導体部100とコンタクト400c及び400dとの界面が高抵抗化してしまうということが分かっている。これは、コンタクトホールCHa及びCHbの形成後に、半導体部100の上面に薄い自然酸化膜が形成されてしまうことに起因する。
【0037】
それに対して、本実施形態に係る半導体装置では、第1金属層401と第3金属層403との間に、第2金属層402が設けられた積層構造を備える。第1金属層401及び第3金属層403は、バリア金属層である。第2金属層402は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)等の電子親和力が高い金属を含む金属層。前述のとおり、第2金属層402は、電子親和力が高い金属を含む金属層であるため、還元作用によりスキャベンジング反応が生じ、半導体部100の表面の自然酸化膜の酸素と反応して酸素を取り込む。これにより、自然酸化膜を薄膜化あるいは除去することが出来る。本実施形態に係る半導体装置では、自然酸化膜が完全に除去され、自然酸化膜が存在しない場合もある。そのため、第2の比較例に示す構成と比較して、半導体部100とコンタクト400a、400b間の抵抗値を低くすることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る半導体装置では、第2金属層402によるスキャベンジング反応は、半導体部100だけでなく、層間絶縁膜500においても生じる。シリコン酸化物である層間絶縁膜500においてスキャベンジング反応が生じることにより、コンタクト400a及び400b近傍の層間絶縁膜500は、酸素が抜かれた状態となり、誘電率が低下し、寄生容量も低下する。これにより、半導体基板101上に形成された半導体素子の動作速度を向上させることができる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
100…半導体部、101…半導体基板、110…第1拡散領域、120…第2拡散領域、200…電極部、210…ゲート絶縁膜、220…ゲート電極、230…キャップ絶縁膜、310…側壁絶縁膜、320…ライナー膜、400a、400b…コンタクト、401…第1金属層、402…第2金属層、403…第3金属層、404…第4金属層、500…層間絶縁膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10