(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159494
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容した筆記具
(51)【国際特許分類】
C09D 11/16 20140101AFI20231025BHJP
B43K 7/00 20060101ALI20231025BHJP
B43K 8/02 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
C09D11/16
B43K7/00
B43K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069169
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】中村 尚嗣
【テーマコード(参考)】
2C350
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350GA04
4J039AD03
4J039BC07
4J039BC13
4J039BE05
4J039BE12
4J039BE22
4J039CA04
4J039EA42
4J039EA43
4J039EA47
4J039GA26
(57)【要約】
【課題】 染料を用いた油性インキであっても、紙面に筆記したときに、水の付着によって滲むことが抑制された、耐水性に優れる筆跡を形成可能とする筆記具用油性インキ組成物と前記インキ組成物を収容した筆記具を提供すること。
【解決手段】染料と低級アルコールとポリヒドロキシスチレンを少なくとも含有してなる筆記具用油性インキ組成物、およびそれを収容した筆記具とする。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料と低級アルコールとポリヒドロキシスチレンを少なくとも含有してなる筆記具用油性インキ組成物。
【請求項2】
前記染料は塩基性染料から構成されるソルベント染料である、請求項1に記載のインキ組成物。
【請求項3】
前記ポリヒドロキシスチレンの重量平均分子量が500~10000である、請求項1に記載のインキ組成物。
【請求項4】
前記ポリヒドロキシスチレンの含有率が、インキ組成物全質量を基準として0.5~5質量%である、請求項3に記載のインキ組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のインキ組成物を収容してなる筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筆記具用油性インキ組成物とそれを収容した筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油性インキには、発色性に優れることから着色剤として染料が用いられているが、耐水性に劣るため、水の付着によって筆跡から滲み出て周囲を汚す筆跡滲みが生じてしまう。そこで滲み対策として、含金染料を用いることや、樹脂を増量することが適用されているものの、含金染料は発色性が劣り、樹脂を増量するとインキ粘度が上昇して筆記性能が悪化してしまうものであった。
前記問題を解消するために、各種化合物の添加が検討されており、例えば、HLB値が8以下のものや9~11のショ糖脂肪酸エステルを添加する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、前記ショ糖脂肪酸エステルは、規定されるHLB値であっても使用する染料の種類や被筆記面の材質によっては十分な効果が発現されず、筆跡の耐水性を向上することはできなかった。特に紙面上の筆跡は、水が付着することで筆跡周辺に滲みが広がるために見栄えが悪くなってしまう。そのため、特に筆跡滲みが明瞭となる紙面における耐水性の向上が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-200186号公報
【特許文献2】特開2012-214611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、染料を用いた油性インキであっても、紙面に筆記したときに、水の付着によって滲むことが抑制された、耐水性に優れる筆跡を形成可能とする筆記具用油性インキ組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、染料と低級アルコールとポリヒドロキシスチレンを少なくとも含有してなる筆記具用油性インキ組成物を要件とする。
更に、前記染料は塩基性染料から構成されるソルベント染料であることを要件とする。
更に、前記ポリヒドロキシスチレンの重量平均分子量が500~10000であること
を要件とし、前記ポリヒドロキシスチレンの含有率がインキ組成物全質量を基準として0
.5~5質量%であることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の筆記具用油性インキ組成物を収容してなる筆記具を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、染料を用いた油性インキでありながら、紙面に筆記したときに、水の付着によって滲むことが抑制された、耐水性に優れる筆跡を形成可能とする筆記具用油性インキ組成物とそれを収容してなる筆記具が得られる。
さらに、前記インキ組成物で形成した筆跡は白化が起こりにくく、筆跡の白化が生じやすい多湿環境下での筆記においても、筆跡の白化に伴う筆跡の鮮明性や密着性の低下が抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ポリヒドロキシスチレンはフェノール基が強い電子供与性を呈するため、油性インキ中に添加することで染料に対して作用し、染料が水に溶解することを抑制する。そのため、筆跡の耐水性が向上して水の付着による滲みが抑制される。前記効果は、特に耐水性が弱い塩基性染料を原料とするソルベント染料に対して有効に作用するため、染料の種類によらず水に滲み難い鮮明な筆跡を形成できる。
また、ポリヒドロキシスチレンは、揮発性が高い親水性有機溶剤、例えば、エタノール、プロパノール等の低級アルコールが適用されたインキによる筆記で生じやすい筆跡の白化を抑制でき、白化が特に生じやすい多湿環境下においても筆跡の白化を抑えることができる。
【0008】
前記ポリヒドロキシスチレンをより具体的に例示すると、例えば、ポリオルトヒドロキシスチレン、ポリメタヒドロキシスチレン、およびポリパラヒドロキシスチレンが挙げられ、筆跡の耐水性を向上させて水の付着による滲みを抑制する効果が高いことからポリパラヒドロキシスチレンが好ましく用いられる。
【0009】
ポリヒドロキシスチレンの重量平均分子量は、500~10000であるものが好ましく、500~8000であるものがより好ましく、1000~5000であるものがより好ましい。前記重量平均分子量を有するポリヒドロキシスチレンは、インキ粘度を過度に高めてインキ吐出性を悪化させることなく筆跡の耐水性を良好にできる。尚、本明細書において重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定し、標準物質にはポリスチレンを用いて換算した値である。
【0010】
前記ポリヒドロキシスチレンとしては、市販品では例えば、「マリルリンカー」シリーズ(丸善石油化学株式会社製)、商品名:PHS(東邦化学工業株式会社製)を用いることができる。
【0011】
ポリヒドロキシスチレンの含有率は、インキ組成物全質量に対して0.5~5質量%であることが好ましく、1~4質量%であることがより好ましい。
0.5質量%未満では筆跡の耐水性を向上することができ難く、5質量%を超えて添加しても耐水性の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
【0012】
前記着色剤として用いられる染料は、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
前記ソルベント染料の具体例としては、バリファーストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、スピロンイエローC-GNH、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8-1)、バリファーストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1とC.I.アシッドイエロー23の造塩体)、スピリットレッド102(C.I.ベーシックレッド1とC.I.アシッドイエロー42の造塩体)、バリファーストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の造塩体)、バリファーストバイオレット1702(C.I.ベーシックバイオレット3とC.I.アシッドイエロー36の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1とドデシル(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸の造塩体)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5と樹脂の混合物)等が挙げられる。
通常、塩基性染料から構成されるものは水への溶解性が高いため、水の付着による筆跡滲みを生じ易いが、本発明のインキに使用した場合には筆跡滲みが抑制されるので、特に耐水性向上効果が明瞭なものとなる。
尚、染料として塩基性染料と酸性成分の混合染料又は造塩染料を用いる場合、前記染料は耐光性に乏しいため、耐光性付与剤として2-(3-t-ブチル-5-オクチルオキシカルボニルエチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体を併用することによって染料の退色を好適に防止でき、耐光性に優れた種々の所望する色調の筆跡を形成できる。
さらに、染料の溶解性を高めるため、染料と共に酸性物質や塩基性物質を用いることもできる。
【0013】
また、顔料を併用することもできる。顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムに金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、蛍光顔料、蓄光性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
前記染料を含む着色剤は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中3乃至40質量%の範囲で用いられる。
【0014】
インキ組成物の溶剤には低級アルコールが適用される。
低級アルコールは高い揮発性と浸透性を有し、筆跡の乾燥を速めることができるとともに、ポリヒドロキシスチレンに対する良好な溶解性を示してインキ組成物の安定性を高めることができる。低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられ、安全性やポリヒドロキシスチレンに対する溶解性が高く、乾燥性が良好な筆跡が得られることから、エタノール、n-プロピルアルコール、およびイソプロピルアルコールが好ましく用いられる。
低級アルコールは1種または2種以上用いることができ、インキ組成物における低級アルコールの含有率は、インキ組成物全質量を基準として、例えば、50質量%以上である。
【0015】
インキ組成物の溶剤には、前記低級アルコールとともに従来汎用の有機溶剤を使用することもできる。
前記有機溶剤としては、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン等を例示できる。
また、有機溶剤として揮発し易い20℃における蒸気圧が5.0~50mmHg、より好ましくは10~50mmHgの溶剤を用いると筆跡の乾燥性に優れるため、筆跡を手触した際、未乾燥のインキが手に付着したり、筆記面上の筆跡を形成していない空白部分を汚染する等の不具合を生じることなく、良好な筆跡を形成できる。
蒸気圧が5.0~50mmHg(20℃)の有機溶剤としては、tert-アミルアルコール(13.0)等のアルコール系有機溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(8.5)、エチレングリコールジエチルエーテル(9.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(6.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(7.6)等のグリコールエーテル系有機溶剤、n-ヘプタン(35.0)、n-オクタン(11.0)、イソオクタン(41.0)、メチルシクロヘキサン(37.0)、エチルシクロヘキサン(10.0)、トルエン(24.0)、キシレン(5.0~6.0)、エチルベンゼン(7.1)等の炭化水素系有機溶剤、メチルイソブチルケトン(16.0)、メチルn-プロピルケトン(12.0)、メチルn-ブチルケトン(12.0)、ジ-n-プロピルケトン(5.2)等のケトン系有機溶剤、蟻酸n-ブチル(22.0)、蟻酸イソブチル(33.0)、酢酸n-プロピル(25.0)、酢酸イソプロピル(48.0)、酢酸n-ブチル(8.4)、酢酸イソブチル(13.0)、プロピオン酸エチル(28.0)、プロピオン酸n-ブチル(45.0)、酪酸メチル(25.0)、酪酸エチル(11.0)等のエステル系有機溶剤を例示できる。
尚、括弧内の数字は20℃におけるそれぞれの有機溶剤の蒸気圧を示す。
前記20℃における蒸気圧が5.0~50mmHgの有機溶剤は二種以上の溶剤を併用して用いてもよい。
更に、インキ組成物には、沸点が160℃~250℃の有機溶剤を併用して筆跡乾燥速度を調整することもできる。
前記沸点が160℃~250℃の有機溶剤としてはベンジルアルコールが好適である。
【0016】
更にインキ中には樹脂を添加することが好ましく、筆跡の滲み抑制、定着性向上、堅牢性等を付与することが可能となる。
前記樹脂として具体的には、ケトン樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン系樹脂、クマロン-インデン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸エステル、ケトン-ホルムアルデヒド樹脂、α-及びβ-ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物等が挙げられる。
これらの樹脂は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成中、例えば、0.5~40質量%、好ましくは1~35質量%の範囲で用いられる。
【0017】
更に、必要により剪断減粘性付与剤を添加することもできる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することによって筆跡の滲みを抑制することができるため、紙面は勿論、浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても筆跡は滲むことなく、良好な筆跡を形成できる。
前記剪断減粘性付与剤としては、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、非架橋型アクリル樹脂、架橋型N-ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N-ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、オクチル酸、ラウリン酸のアルムニウム塩等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、N-アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物等を例示できる。
【0018】
本発明のインキ組成物は、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ、ボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペン等に充填される。
【0019】
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ等のマーキングペン用ペン先(砲弾型、チゼル型、筆ペン型等)を筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
また、ペン先を1本備えるものの他、太さや形状の異なるペン先を軸筒の両端に備えた両頭式形態であってもよい。尚、前記両頭式形態においては、一端をボールペンとしたものであってもよい。
【0020】
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面にはインキ逆流防止体が密接している構造のボールペンが挙げられる。
【0021】
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、シリコーン油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム等を添加することもできる。
【0022】
また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。尚、前記液状および固体のインキ逆流防止体は併用することもできる。
【実施例0023】
実施例及び比較例のインキ組成を以下の表に示す。尚、表中の組成の数値は質量部を示す。
【0024】
【0025】
表中の原料の内容を注番号に沿って説明する。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ニグロシンベースEX
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファーストレッド1308
(3)オリエント化学工業(株)製、商品名:オイルブルー613
(4)保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:スピロンイエローC-GNH
(5)荒川化学工業(株)製、商品名:ケトンレジンK-90
(6)荒川化学工業(株)製、商品名:ロジンWW
(7)ポリパラヒドロキシスチレン(重量平均分子量:2000)
(8)ポリパラヒドロキシスチレン(重量平均分子量:5000)
(9)第一工業製薬(株)製、商品名:DKエステルF-110(HLB:11)
(10)三菱化学フーズ(株)製、商品名:リョートーシュガーエステルS-570(HLB:5)
【0026】
インキの調製
前記実施例及び比較例の配合量で各原料を混合し、20℃で3時間撹拌溶解することにより油性インキ組成物を得た。
【0027】
マーキングペンの作製
得られたインキ組成物5gを、マーキングペン外装(パイロットコーポレーション製;WMBM-12L、ポリエステル製チップを備え、軸筒内部に繊維束を収容する)の軸筒内に充填することで油性マーキングペンを得た。
【0028】
前記マーキングペンを用いて以下の試験を行った。
浸漬試験
筆記可能であることを確認した各マーキングペンを用いて、20℃の環境下でJIS P3201筆記用紙Aに手書きで螺旋状の丸を連続筆記した。その後、筆跡が水に浸るように筆記用紙を30分間浸漬し、取り出して乾燥させた筆跡の状態を目視により確認した。
前記試験の結果を以下の表に示す。
【0029】
【0030】
試験結果の評価は以下の通りである。
浸漬試験
○:筆跡滲みは生じない。
×:筆跡周辺に染料が滲み出る、又は、用紙全体と浸漬液が着色する。
【0031】
また、実施例1~4のインキを充填した各マーキングペンを用いて、30℃、80%RHの環境下で前記筆記用紙Aに筆記したところ、筆跡の白化は確認されず、鮮明で高い密着性を示す筆跡が得られた。