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  • 特開-テーパー管のロール曲げ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159516
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】テーパー管のロール曲げ装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/14 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
B21D5/14 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069223
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】303016270
【氏名又は名称】株式会社フタバ
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】大西 忍
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA01
4E063BB03
4E063CA20
4E063MA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】扇状平板素材を頂角90°以上の円錐台形状のテーパー管に曲げ加工する装置を提供する。
【解決手段】三角形の底辺の2頂点の位置にて相互に平行に配置され、その回転によって扇状平板素材30を扇の周方向に送る2本の下側ロール12と、残りの1頂点の位置にて下側ロールに対して平行に配置されて基部側を片持ち支持され、先端を扇状平板素材の小径側先端と位置合わせした状態で下側ロールとの間で扇状平板素材を挟持し、下側ロールとともに扇状平板素材をテーパー状に曲げ加工する1本の上側ロール13と、扇状平板素材の小径側先端縁が上側ロールの先端と合致するように扇状平板素材の小径側先端縁を位置決めし、扇状平板素材の扇の周方向への送りをガイドする位置決めピン21と、上側ロールの先端側を下方に押付け保持する加圧機構14と、下側び上側ロールを回転駆動する駆動装置と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角形の底辺の2頂点の位置にて相互に平行に配置されて固定構造部分に支持され、扇状平板素材(30)が搭載され、その回転によって扇状平板素材(30)を扇の周方向に送る2本の下側ロール(12)と、
上記三角形の残りの1頂点の位置にて上記2本の下側ロール(12)に対して平行に配置されて基部側を片持ちにて固定構造部分に支持され、先端を上記扇状平板素材(30)の小径側先端と位置合わせした状態で上記2本の下側ロール(12)との間で扇状平板素材(30)を挟持し、回転駆動されることによって上記2本の下側ロール(12)とともに上記扇状平板素材(30)をテーパー状に曲げ加工する1本の上側ロール(13)と、
上記扇状平板素材(30)の小径側先端縁が上記1本の上側ロール(13)の先端と合致するように上記扇状平板素材(30)の小径側先端縁を位置決めし、上記扇状平板素材(30)の扇の周方向への送りをガイドする位置決めピン(21)と、
上記扇状平板素材(30)を上記扇状平板素材(30)の小径側先端と位置合わせした状態で上記1本の上側ロールの先端側を下方に押付け保持する加圧機構(14)と、
上記2本の下側ロール(12)及び1本の上側ロール(13)を回転駆動する駆動装置(17)と、を備えたことを特徴とするテーパー管のロール曲げ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテーパー管のロール曲げ装置に関し、特に扇状の平板素材を頂角90°以上の円錐台形状のテーパー管素形材に曲げ加工するようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管などの金属管は支柱などの構造物や機械設備に広く使用されているが、最近は直管に代え、管径を連続的に変化させたテーパー管が使用されるようになってきた。
【0003】
テーパー管を製造する場合、台形状の平板素材をU-Oプレス加工によって環状に成形し、突き合わせ端縁を溶接することによってテーパー管を製造する方法が提案されているが(特許文献1)、端部の曲げ加工精度が低い。
【0004】
これに対し、3本のロールを三角形の各頂点の位置に相互に平行に配置し、2本の下側ロールの上に扇状平板素材を搭載して上側のロールで挟み、扇状平板素材の所定角度の部分扇状部分を3本のロールで円弧状に部分曲げ加工し、この扇状平板素材をロール幅方向に送って上述の操作を繰り返すことによって、テーパー管素形材を曲げ加工するようにしたロール曲げ装置が提案されている(特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭55-10816号公報
【特許文献2】特開2007-015014号公報
【特許文献3】特開2006-159251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2、3記載のロール曲げ装置では頂角αが90度未満のテーパー管素形材、例えば頂角13°、頂角45°、頂角60°のテーパー管を曲げ加工する場合、図7に示されるように、上側ロール13に小径ロールを使用することができ、上側ロール13にテーパー管30の小径側の穴を貫通させることができるので、扇状平板素材の全体を長手方向に均等に押さえることができ、テーパー管を精度よく曲げ加工することができる。
【0007】
しかし、頂角αが90°以上のテーパー管素形材、例えば頂角100°や頂角120°といったテーパー管を曲げ加工する場合、図6に示されるように、上側ロール13に大径ロールを使用せざるを得ず、図6に破線で示すように上側ロール13の先端がテーパー管30の小径側の穴端縁と当たって貫通させることができず、上側ロール13の先端側の押圧力を確保することができず、テーパー管30を精度よく曲げ加工することができないことがあった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み、扇状平板素材を頂角90°以上のテーパー管素形材に精度よく曲げ加工できるようにしたテーパー管のロール曲げ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係るテーパー管のロール曲げ装置は、三角形の底辺の2頂点の位置にて相互に平行に配置されて固定構造部分に支持され、扇状平板素材が搭載され、その回転によって扇状平板素材を扇の周方向に送る2本の下側ロールと、上記三角形の残りの1頂点の位置にて上記2本の下側ロールに対して平行に配置されて基部側を片持ちにて固定構造部分に支持され、先端を上記扇状平板素材の小径側先端と位置合わせした状態で上記2本の下側ロールとの間で扇状平板素材を挟持し、回転駆動されることによって上記2本の下側ロールとともに上記扇状平板素材をテーパー状に曲げ加工する1本の上側ロールと、上記扇状平板素材の小径側先端縁が上記1本の上側ロールの先端と合致するように上記扇状平板素材の小径側先端縁を位置決めし、上記扇状平板素材の扇の周方向への送りをガイドする位置決めピンと、上記扇状平板素材を上記扇状平板素材の小径側先端と位置合わせした状態で上記1本の上側ロールの先端側を下方に押付け保持する加圧機構と、上記2本の下側ロール及び1本の上側ロールを回転駆動する駆動装置と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の特徴は三角形の3頂点に2本の下側ロール及び1本の上側ロールを配置して1本の上側ロールは基部側を片持ち支持し、位置決めピンによって扇状平板素材の小径先端縁を1本の上側ロールの先端と合致させ(図6参照)、2本の下側ロールと1本の上側ロールとの間に扇状平板素材を挟持し、1本の上側ロールの先端側を加圧機構で下方に押付け保持し、1本の上側ロールと2本の下側ロールを回転させて、位置決めピンによって扇状平板素材扇の周方向に送りをガイドしながら.扇状平板素材をテーパー状に曲げ加工するようにした点にある。
【0011】
これにより、上側ロールに大径ロールを使用して頂角が90°以上のテーパー管素形材、例えば頂角100°や頂角120°といったテーパー管を曲げ加工する場合に、テーパー管の小径側の穴端縁を位置決めピンに当接させることによって、上側ロールが扇状平板素材と干渉することがなく、しかも加圧機構によって1本の上側ロールの先端を加圧保持しているので、1本の上側ロールの長手方向の全体を均等に扇状平板素材に押し付けることができ、頂角90°以上のテーパー管を精度よく曲げ加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るテーパー管のロール曲げ装置の好ましい実施形態の構造を示す概略正面図である。
図2】上記実施形態を示す概略側面図である。
図3】上記実施形態を示す概略平面図である。
図4】上記実施形態における加圧機構を含む部分を示す要部正面図であるう。
図5】上記実施形態におけるロール曲げ作業の状態を示す概略斜視図である。
図6】本発明が解決しようとする課題を説明するための図面である。
図7】本発明が解決しようとする課題を説明するための他の図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図5は本発明に係るテーパー管のロール曲げ装置の好ましい実施形態を示す。図において、床面上にはロール曲げ装置が設置され、ロール曲げ装置に門型フレーム(固定構造部分)10、作業テーブル(固定構造部分)11及びベースフレーム(固定構造部分)20が設けられている。
【0014】
作業テーブル11には2本の下側ローラ12が三角形の底辺の2つの頂点の位置にて相互に平行にかつ両端を受けブラケット12Aによって回転可能に支持して搭載され、又作業テーブル11には1本の上側ローラ13が三角形の残りの頂点の位置にて2本の下側ローラ12と平行にかつ基部側を片持ち支持して設けられている。
【0015】
1本の上側ローラ13は基部側をスライダー機構15Aによって上下動可能に設けられ、ハンドル15によって上下方向にスライドできるようになっている一方、1本の上側ローラ13の先端側には加圧機構14が設けられ、加圧機構14のロッド14Aの下端コ字状部分は上側ローラ13の先端部に嵌合され、1本の上側ローラ13の先端部を加圧保持し得るようになっている。
【0016】
さらに、1本の上側ローラ13の先端側には位置決めピン21が設けられ、位置決めピン21は扇状平板素材30の小径側先端縁が1本の上側ロール13の先端と合致するように扇状平板素材30の小径側先端縁を位置決めするとともに、位置決めピン21回りに扇状平板素材30の扇の周方向への送りをガイドするようになっている。
【0017】
扇状平板素材30をロール曲げ加工する場合、ハンドル15を操作して1本の上側ローラ13を上昇させ、2本の下側ローラ12の上に扇状平板素材30を搭載して扇状平板素材30の小径側の先端縁を位置決めピン21と当接させ、上側ローラ13の先端を扇状平板素材30の小径側の先端縁と一致させた後、ハンドル15を操作して1本の上側ローラ13を下降させ、1本の上側ローラ13を扇状平板素材30に押し付け、その状態で加圧機構14を作動させて上側ローラ13の先端側を加圧保持する。
【0018】
すると、1本の上側ローラ13の長手方向の全体を扇状平板素材30に均等に押し付けることができ、その状態で駆動装置17を作動させると、2本の下側ローラ12と1本の上側ローラ13が回転し、図5に示されるように、2本の下側ローラ12によって扇状平板素材30を位置決めピン21回りに扇の周方向に送りながら、2本の下側ローラ12と1本の上側ローラ13との間で扇状平板素材30がテーパー状にロール曲げ加工される。
【0019】
このとき、扇状平板素材30の小径側の穴端縁を位置決めピン21に当接させて位置決めしているので、1本の上側ロール13の長手方向の全体を均等に扇状平板素材30に押し付けることができ、上側ロール13に大径ロールを使用して頂角が90°以上のテーパー管素形材、例えば頂角100°や頂角120°といったテーパー管を曲げ加工する場合に、頂角90°以上のテーパー管を精度よく曲げ加工することができる。
【符号の説明】
【0020】
10 門型フレーム(固定構造部分)
11 作業テーブル(固定構造部分)
12 下側ロール
13 上側ロール
14 加圧機構
20 ベースフレーム(固定構造部分)
21 位置決めピン
30 扇状平板素材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7