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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159517
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B62D 24/02 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
B62D24/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069225
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】栗林 巧
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA23
3D203BC34
3D203DA02
3D203DA11
3D203DA13
3D203DA15
3D203DA85
3D203DA87
(57)【要約】
【課題】キャビンがサスペンション機構を介して機体に支持された作業車において、ラテラルロッドによるキャビンの左右動の規制が安定して行われるように構成する。
【解決手段】運転部を収容するキャビン10と、キャビン10の右部及び左部を機体に支持する右及び左のサスペンション機構24と、キャビン10の機体に対する上下動を許容し、キャビン10の機体に対する左右動を規制する右及び左のラテラルロッド25とが備えられる。右のラテラルロッド25が、右のサスペンション機構24に対して右の横外側に配置されてキャビン10の右部に接続される。左のラテラルロッド25が、左のサスペンション機構24に対して左の横外側に配置されてキャビン10の左部に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が搭乗する運転部と、
前記運転部を収容するキャビンと、
前記キャビンの右部及び左部を機体に支持する右及び左のサスペンション機構と、
前記キャビンの前記機体に対する上下動を許容し、前記キャビンの前記機体に対する左右動を規制する右及び左のラテラルロッドとが備えられ、
右の前記ラテラルロッドが、右の前記サスペンション機構に対して右の横外側に配置されて、前記キャビンの右部に接続され、
左の前記ラテラルロッドが、左の前記サスペンション機構に対して左の横外側に配置されて、前記キャビンの左部に接続されている作業車。
【請求項2】
前記運転部に作業者が搭乗していない状態で、右の前記ラテラルロッドが前記キャビンの右部から右の横外側の斜め下向きに延出される姿勢となり、
前記運転部に作業者が搭乗していない状態で、左の前記ラテラルロッドが前記キャビンの左部から左の横外側の斜め下向きに延出される姿勢となり、
前記運転部に作業者が搭乗した状態で、右及び左の前記ラテラルロッドが水平に近い姿勢となるように、右及び左の前記サスペンション機構が設定されている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
右の前記サスペンション機構に設けられ、右の前記サスペンション機構の収縮作動の限度を決める右の弾性体と、
左の前記サスペンション機構に設けられ、左の前記サスペンション機構の収縮作動の限度を決める左の弾性体とが備えられている請求項1に記載の作業車。
【請求項4】
右の前記サスペンション機構に設けられ、右の前記サスペンション機構の伸長作動に抵抗を与え、右の前記サスペンション機構の収縮作動に抵抗を与えない右のリバウンドバネと、
左の前記サスペンション機構に設けられ、左の前記サスペンション機構の伸長作動に抵抗を与え、左の前記サスペンション機構の収縮作動に抵抗を与えない左のリバウンドバネとが備えられている請求項1に記載の作業車。
【請求項5】
前記機体の後部に上下揺動可能に設けられ、後方に向けて延出されて、作業装置を支持するリンク機構と、
前記機体の後部に上下揺動可能に設けられ、前記リンク機構を昇降操作するリフトアームと、
前記機体と前記リフトアームとに亘って接続され、前記リフトアームを昇降操作する昇降シリンダとが備えられ、
右の前記サスペンション機構は、前記リフトアーム及び前記昇降シリンダに対して右の横外側に配置されて、前記キャビンの後部の右部を支持し、
左の前記サスペンション機構は、前記リフトアーム及び前記昇降シリンダに対して左の横外側に配置されて、前記キャビンの後部の左部を支持する請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記機体の後部から右及び左の横外側に向けて延出されるように設けられ、右及び左の走行装置を支持する右及び左の後車軸ケースが備えられ、
右の前記ラテラルロッドは、前記キャビンの後部の右部と右の前記後車軸ケースとに亘って接続され、
左の前記ラテラルロッドは、前記キャビンの後部の左部と左の前記後車軸ケースとに亘って接続されている請求項5に記載の作業車。
【請求項7】
背面視で右の前記ラテラルロッドの右部と右の前記走行装置とが重複するように、右の前記ラテラルロッドの右部が、右の前記走行装置に入り込み、
背面視で左の前記ラテラルロッドの左部と左の前記走行装置とが重複するように、左の前記ラテラルロッドの左部が、左の前記走行装置に入り込んでいる請求項6に記載の作業車。
【請求項8】
右の前記ラテラルロッドは、側面視で前記キャビンと右の前記サスペンション機構との間に配置され、
左の前記ラテラルロッドは、側面視で前記キャビンと左の前記サスペンション機構との間に配置されている請求項7に記載の作業車。
【請求項9】
右の前記サスペンション機構は、前記キャビンの後部の右部と右の前記後車軸ケースとに亘って接続され、
左の前記サスペンション機構は、前記キャビンの後部の左部と左の前記後車軸ケースとに亘って接続されている請求項8に記載の作業車。
【請求項10】
右及び左の前記後車軸ケースに取り付けられた右及び左の支持部材が備えられ、
右の前記サスペンション機構及び右の前記ラテラルロッドは、右の前記支持部材に接続され、
左の前記サスペンション機構及び左の前記ラテラルロッドは、左の前記支持部材に接続されている請求項9に記載の作業車。
【請求項11】
右の前記支持部材に設けられ、前記キャビンの後部の右部における前記機体に対する上下作動の下限位置を決める右の下限ストッパー部と、
左の前記支持部材に設けられ、前記キャビンの後部の左部における前記機体に対する上下作動の下限位置を決める左の下限ストッパー部とが備えられている請求項10に記載の作業車。
【請求項12】
右の前記支持部材に設けられ、前記キャビンの後部の右部における前記機体に対する上下作動の上限位置を決める右の上限ストッパー部と、
左の前記支持部材に設けられ、前記キャビンの後部の左部における前記機体に対する上下作動の上限位置を決める左の上限ストッパー部とが備えられている請求項10に記載の作業車。
【請求項13】
前記支持部材とにより前記後車軸ケースを挟み込む固定部材が備えられ、
前記支持部材と前記固定部材との間に前記後車軸ケースが挟み込まれた状態で、前記支持部材と前記固定部材とが連結されることにより、前記支持部材が前記後車軸ケースに取り付けられ、
前記リンク機構の左右方向の変位を規制する規制ロッドが、前記リンク機構と前記固定部材とに亘って接続されている請求項10に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が搭乗する運転部を収容するキャビンが設けられた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例であるトラクタでは、特許文献1に開示されているように、キャビンが右及び左のサスペンション機構を介して機体に支持されるように構成されたものがある。
特許文献1では、機体とキャビンとに亘ってラテラルロッドが接続されており、ラテラルロッドにより、キャビンの機体に対する上下動が許容され、キャビンの機体に対する左右動が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5394124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車において、作業者が搭乗する運転部を収容するキャビンは、比較的大きな横幅を持つので、キャビンがサスペンション機構を介して機体に支持された場合、ラテラルロッドによるキャビンの左右動の規制の安定化の面で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、キャビンがサスペンション機構を介して機体に支持された作業車において、ラテラルロッドによるキャビンの左右動の規制が安定して行われるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業車は、作業者が搭乗する運転部と、前記運転部を収容するキャビンと、前記キャビンの右部及び左部を機体に支持する右及び左のサスペンション機構と、前記キャビンの前記機体に対する上下動を許容し、前記キャビンの前記機体に対する左右動を規制する右及び左のラテラルロッドとが備えられ、右の前記ラテラルロッドが、右の前記サスペンション機構に対して右の横外側に配置されて、前記キャビンの右部に接続され、左の前記ラテラルロッドが、左の前記サスペンション機構に対して左の横外側に配置されて、前記キャビンの左部に接続されている。
【0007】
本発明によると、キャビンが右及び左のサスペンション機構を介して機体に支持された場合、右及び左のラテラルロッドが設けられているので、比較的大きな横幅を持つキャビンであっても、ラテラルロッドによるキャビンの左右動の規制が安定して行われる。
【0008】
本発明によると、右及び左のラテラルロッドが設けられた場合に、右のラテラルロッドが、右のサスペンション機構に対して右の横外側に配置されて、キャビンの右部に接続されており、左のラテラルロッドが、左のサスペンション機構に対して左の横外側に配置されて、キャビンの左部に接続されている。
これにより、右及び左のラテラルロッドが、左右方向で互いに離れて配置されることになるので、ラテラルロッドによるキャビンの左右動の規制の安定化の面で有利である。
【0009】
本発明において、前記運転部に作業者が搭乗していない状態で、右の前記ラテラルロッドが前記キャビンの右部から右の横外側の斜め下向きに延出される姿勢となり、前記運転部に作業者が搭乗していない状態で、左の前記ラテラルロッドが前記キャビンの左部から左の横外側の斜め下向きに延出される姿勢となり、前記運転部に作業者が搭乗した状態で、右及び左の前記ラテラルロッドが水平に近い姿勢となるように、右及び左の前記サスペンション機構が設定されていると好適である。
【0010】
本発明によると、作業者が運転部に搭乗すれば、作業者の体重によりサスペンション機構が少し収縮作動して、右及び左のラテラルロッドが水平に近い姿勢となる。
この状態でサスペンション機構が伸縮作動すると、ラテラルロッドが水平に近い姿勢から上下に揺動する状態となるので、ラテラルロッドによるキャビンの左右動の規制の安定化の面で有利である。
【0011】
本発明において、右の前記サスペンション機構に設けられ、右の前記サスペンション機構の収縮作動の限度を決める右の弾性体と、左の前記サスペンション機構に設けられ、左の前記サスペンション機構の収縮作動の限度を決める左の弾性体とが備えられていると好適である。
【0012】
本発明によると、キャビンの右部(左部)が機体に対して下降し、右(左)のサスペンション機構が収縮作動した場合、右(左)のサスペンション機構の収縮作動の限度を決める右(左)の弾性体により、キャビンの右部(左部)の必要以上の下降作動を規制することができる。
この場合、右(左)の弾性体が弾性変形しながら、キャビンの右部(左部)の下降作動を規制するので、ショックが発生し難く、運転部の作業者にとって乗り心地のよいものとなる。
【0013】
本発明において、右の前記サスペンション機構に設けられ、右の前記サスペンション機構の伸長作動に抵抗を与え、右の前記サスペンション機構の収縮作動に抵抗を与えない右のリバウンドバネと、左の前記サスペンション機構に設けられ、左の前記サスペンション機構の伸長作動に抵抗を与え、左の前記サスペンション機構の収縮作動に抵抗を与えない左のリバウンドバネとが備えられていると好適である。
【0014】
運転部に搭乗する作業者において、キャビンの右部(左部)の下降作動(右(左)のサスペンション機構の収縮作動)に対して、作業者が不安を感じることは少なく、キャビンの右部(左)の上昇作動(右(左)のサスペンション機構の伸長作動)に対して、作業者が不安を感じることがある。
【0015】
本発明によると、リバウンドバネをサスペンション機構に設けることにより、キャビンの右部(左部)が上昇作動し難くなるので(右(左)のサスペンション機構が伸長作動し難くなるので)、運転部の作業者にとって乗り心地のよいものとなる。
キャビンの右部(左部)が上昇作動し難くなることにより(右(左)のサスペンション機構が伸長作動し難くなることにより)、キャビンの機体に対するローリング作動も抑えられるので、運転部の作業者にとって乗り心地のよいものとなる。
【0016】
本発明において、前記機体の後部に上下揺動可能に設けられ、後方に向けて延出されて、作業装置を支持するリンク機構と、前記機体の後部に上下揺動可能に設けられ、前記リンク機構を昇降操作するリフトアームと、前記機体と前記リフトアームとに亘って接続され、前記リフトアームを昇降操作する昇降シリンダとが備えられ、右の前記サスペンション機構は、前記リフトアーム及び前記昇降シリンダに対して右の横外側に配置されて、前記キャビンの後部の右部を支持し、左の前記サスペンション機構は、前記リフトアーム及び前記昇降シリンダに対して左の横外側に配置されて、前記キャビンの後部の左部を支持すると好適である。
【0017】
トラクタ等の作業車では、作業装置を支持する為のリンク機構が、機体の後部に設けられ後方に向けて延出されることがある。リンク機構を昇降操作するリフトアームが機体の後部に設けられ、昇降シリンダが機体とリフトアームとに亘って接続されて、昇降シリンダによりリフトアームが昇降操作されることにより、リンク機構(作業装置)が昇降操作される。
【0018】
本発明によると、右(左)のサスペンション機構が、リフトアーム及び昇降シリンダに対して右(左)の横外側に配置されて、キャビンの後部の右部(左部)を支持している。
これにより、右及び左のサスペンション機構が、左右方向で互いに離れて配置されることになるので、右及び左のサスペンション機構によりキャビンが安定して支持される。
【0019】
本発明によると、右(左)のラテラルロッドが、右(左)のサスペンション機構に対して右(左)の横外側に配置され、リフトアーム及び昇降シリンダに対して右(左)の横外側に配置される。
これにより、ラテラルロッドとリフトアーム及び昇降シリンダとの干渉を避けることができる。
【0020】
本発明において、前記機体の後部から右及び左の横外側に向けて延出されるように設けられ、右及び左の走行装置を支持する右及び左の後車軸ケースが備えられ、右の前記ラテラルロッドは、前記キャビンの後部の右部と右の前記後車軸ケースとに亘って接続され、左の前記ラテラルロッドは、前記キャビンの後部の左部と左の前記後車軸ケースとに亘って接続されていると好適である。
【0021】
トラクタ等の作業車では、右及び左の後車軸ケースが、機体の後部から右及び左の横外側に向けて延出されるように設けられたものがあり、右及び左の走行装置(例えば後輪やクローラ走行装置)が後車軸ケースに支持される。
【0022】
本発明によると、右(左)のラテラルロッドが、キャビンの後部の右部(左部)と右(左)の後車軸ケースとに亘って接続されており、ラテラルロッドが後車軸ケースを介して機体に接続される。
機体から右(左)の横外側に向けて延出される後車軸ケースを有効に利用することにより、右(左)のラテラルロッドを、右(左)のサスペンション機構に対して右(左)の横外側に無理なく配置することができ、リフトアーム及び昇降シリンダに対して右(左)の横外側に無理なく配置することができる。
【0023】
本発明において、背面視で右の前記ラテラルロッドの右部と右の前記走行装置とが重複するように、右の前記ラテラルロッドの右部が、右の前記走行装置に入り込み、背面視で左の前記ラテラルロッドの左部と左の前記走行装置とが重複するように、左の前記ラテラルロッドの左部が、左の前記走行装置に入り込んでいると好適である。
【0024】
本発明によると、右(左)のラテラルロッドが右(左)の後車軸ケースに接続される場合、右(左)のラテラルロッドの右部(左部)が右(左)の走行装置に入り込んでいる。
これにより、長いラテラルロッドを容易に得ることができるので、ラテラルロッドによるキャビンの左右動の規制の安定化の面で有利である。
【0025】
本発明によると、右(左)のラテラルロッドの右部(左部)が右(左)の走行装置に入り込むことにより、右(左)のラテラルロッドの右部(左部)が右(左)の走行装置により覆われた状態となるので、泥や土等が右(左)のラテラルロッドの右部(左部)に付着し難くなる。これにより、泥や土等の付着によりラテラルロッドの作動が妨げられることが少なくなるので、ラテラルロッドによるキャビンの左右動の規制の安定化の面で有利である。
【0026】
本発明において、右の前記ラテラルロッドは、側面視で前記キャビンと右の前記サスペンション機構との間に配置され、左の前記ラテラルロッドは、側面視で前記キャビンと左の前記サスペンション機構との間に配置されていると好適である。
【0027】
本発明によると、右(左)のサスペンション機構がキャビンの後部の右部(左部)を支持する場合、右(左)のラテラルロッドがキャビンと右(左)のサスペンション機構との間に配置されている。
これにより、キャビンとサスペンション機構との間の空間を有効に利用して、ラテラルロッドを配置することができるので、ラテラルロッドの配置の省スペース化を図ることができる。
【0028】
本発明において、右の前記サスペンション機構は、前記キャビンの後部の右部と右の前記後車軸ケースとに亘って接続され、左の前記サスペンション機構は、前記キャビンの後部の左部と左の前記後車軸ケースとに亘って接続されていると好適である。
【0029】
本発明によると、右(左)のサスペンション機構が、キャビンの後部の右部(左部)と右(左)の後車軸ケースとに亘って接続されており、サスペンション機構が後車軸ケースを介して機体に接続される。
機体から右(左)の横外側に向けて延出される後車軸ケースを有効に利用することにより、右(左)のサスペンション機構を、リフトアーム及び昇降シリンダに対して右(左)の横外側に無理なく配置することができる。
【0030】
本発明において、右及び左の前記後車軸ケースに取り付けられた右及び左の支持部材が備えられ、右の前記サスペンション機構及び右の前記ラテラルロッドは、右の前記支持部材に接続され、左の前記サスペンション機構及び左の前記ラテラルロッドは、左の前記支持部材に接続されていると好適である。
【0031】
本発明によると、サスペンション機構及びラテラルロッドが共通の支持部材を介して後車軸ケースに接続されることにより、支持部材が、サスペンション機構を後車軸ケースに接続する為の部材、及び、ラテラルロッドを後車軸ケースに接続する為の部材に、共用されることになるので、構造の簡素化の面で有利である。
【0032】
本発明において、右の前記支持部材に設けられ、前記キャビンの後部の右部における前記機体に対する上下作動の下限位置を決める右の下限ストッパー部と、左の前記支持部材に設けられ、前記キャビンの後部の左部における前記機体に対する上下作動の下限位置を決める左の下限ストッパー部とが備えられていると好適である。
【0033】
本発明によると、キャビンの後部の右部(左部)の機体に対する上下作動の下限位置を決める右(左)の下限ストッパー部が設けられているので、キャビンの後部の右部(左部)の必要以上の下降作動を規制することができる。
本発明によると、下限ストッパー部が支持部材に設けられており、支持部材が下限ストッパー部を後車軸ケースに取り付ける為の部材に共用されるので、構造の簡素化の面で有利である。
この場合、前述のサスペンション機構の収縮作動の限度を決める弾性体が、サスペンション機構に設けられていれば、弾性体と下限ストッパー部との共働により、キャビンの右部(左部)の必要以上の下降作動の規制がショック少なく安定して行われる。
【0034】
本発明において、右の前記支持部材に設けられ、前記キャビンの後部の右部における前記機体に対する上下作動の上限位置を決める右の上限ストッパー部と、左の前記支持部材に設けられ、前記キャビンの後部の左部における前記機体に対する上下作動の上限位置を決める左の上限ストッパー部とが備えられていると好適である。
【0035】
本発明によると、キャビンの後部の右部(左部)の機体に対する上下作動の上限位置を決める右(左)の上限ストッパー部が設けられているので、キャビンの後部の右部(左部)の必要以上の上昇作動を規制することができる。
本発明によると、上限ストッパー部が支持部材に設けられており、支持部材が上限ストッパー部を後車軸ケースに取り付ける為の部材に共用されるので、構造の簡素化の面で有利である。
この場合、前述のリバウンドバネがサスペンション機構に設けられていれば、リバウンドバネと上限ストッパー部との共働により、キャビンの右部(左部)の必要以上の上昇作動の規制がショック少なく安定して行われる。
【0036】
本発明において、前記支持部材とにより前記後車軸ケースを挟み込む固定部材が備えられ、前記支持部材と前記固定部材との間に前記後車軸ケースが挟み込まれた状態で、前記支持部材と前記固定部材とが連結されることにより、前記支持部材が前記後車軸ケースに取り付けられ、前記リンク機構の左右方向の変位を規制する規制ロッドが、前記リンク機構と前記固定部材とに亘って接続されていると好適である。
【0037】
本発明によると、支持部材を後車軸ケースに取り付ける場合、固定部材が用意され、支持部材と固定部材との間に後車軸ケースが挟み込まれた状態で、支持部材と固定部材とが連結されることにより、支持部材が後車軸ケースに取り付けられる。
【0038】
トラクタ等の作業車では、作業装置を支持する為のリンク機構が機体の後部に設けられ後方に向けて延出された場合、リンク機構の左右方向の変位(振れ)を防止する構成が設けられることがある。
【0039】
本発明によると、規制ロッドがリンク機構と固定部材とに亘って接続されて、規制ロッドによりリンク機構の左右方向の変位(振れ)が規制されるのであり、固定部材が規制ロッドを後車軸ケースに取り付ける為の部材に共用されるので、構造の簡素化の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】トラクタの左側面図である。
図2】トラクタの後部の背面図である。
図3】トラクタの後部の平面図である。
図4】左のサスペンション機構及び左のラテラルロッドの付近の左側面図である。
図5】左のサスペンション機構及び左のラテラルロッドの付近の背面図である。
図6】左のサスペンション機構及び左のラテラルロッドの付近の斜視図である。
図7】サスペンション機構の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1図7に、作業車の一例であるトラクタが示されている。図1図7において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0042】
(トラクタの全体構成)
図1に示すように、右及び左の前輪1と右及び左の後輪2(走行装置に相当)により、機体3が支持されている。機体3は、エンジン4、エンジン4の後部に連結されたクラッチハウジング5、クラッチハウジング5の後部に連結されたミッションケース6、エンジン4の前部に連結された前部フレーム7等を有している。
【0043】
前輪1が前部フレーム7に支持されている。図2及び図3に示すように、右及び左の後車軸ケース19が、ミッションケース6(機体3)の後部に連結され、ミッションケース6(機体3)の後部から右及び左の横外側に向けて延出されるように設けられており、右及び左の後輪2が右及び左の後車軸ケース19に支持されている。
【0044】
図1に示すように、機体3の前部にボンネット8が設けられて、ボンネット8によりエンジン4が覆われている。作業者が搭乗する運転部9が機体3の後部に設けられて、キャビン10に運転部9が収容されており、運転座席11と前輪1を操向操作する操縦ハンドル12とが、運転部9に設けられている。
【0045】
(作業装置の支持に関する構成)
図1,2,3に示すように、ミッションケース6(機体3)の後部に、1本のトップリンク13と右及び左のロアリンク14とが、上下に揺動可能に設けられ、後方に向けて延出されており、トップリンク13及びロアリンク14により、3点リンク型式のリンク機構18が構成されている。ロータリ耕耘装置(図示せず)やプラウ装置(図示せず)等の作業装置が、リンク機構18に接続されて支持される。
【0046】
PTO軸20が ミッションケース6(機体3)の後部に設けられており、PTO軸20の動力が、リンク機構18に支持された作業装置に、伝動軸(図示せず)を介して伝達される。平板状の右及び左のカバー部材21が、ミッションケース6(機体3)の後部に連結され、カバー部材22が右及び左のカバー部材21に亘って連結されており、PTO軸20の横外方及び上方が、カバー部材21,22により覆われている。
【0047】
ミッションケース6(機体3)の後部の上部に、右及び左のリフトアーム15が上下に揺動可能に設けられている。右及び左の昇降シリンダ16が、リフトアーム15とカバー部材21とに亘って接続されており、昇降シリンダ16が、カバー部材21を介してミッションケース6(機体3)に接続されている。
【0048】
リフトアーム15とロアリンク14とに亘って、連係ロッド17が接続されており、昇降シリンダ16によりリフトアーム15が昇降操作されることによって、ロアリンク14(リンク機構18)が昇降操作されて、作業装置が昇降操作される。
【0049】
(キャビンの支持構造の概要)
図1,2,3に示すように、キャビン10の前部の右部及び左部が、右及び左の防振ゴム23により、クラッチハウジング5(機体3)に支持されている。
キャビン10の後部の右部が右のサスペンション機構24により機体3に支持され、キャビン10の後部の左部が左のサスペンション機構24により機体3に支持されている。
【0050】
これにより、キャビン10の前部の下部(防振ゴム23)を支点として、キャビン10の後部が、サスペンション機構24により機体3に対して上下動する状態となる。
キャビン10の機体3に対する上下動を許容し、キャビン10の機体3に対する左右動を規制する右及び左のラテラルロッド25が設けられている。
【0051】
(支持部材及び固定部材の構成)
図2及び図3に示すように、右及び左の支持部材26と、右及び左の固定部材27とが設けられている。
【0052】
図4,5,6に示すように、支持部材26が後車軸ケース19の上面部に当て付けられて、固定部材27が後車軸ケース19の下面部に当て付けられ、支持部材26と固定部材27とにより後車軸ケース19が挟み込まれており、4本のボルト28が、支持部材26と固定部材27とに亘って取り付けられて締め付けられている。
【0053】
支持部材26と固定部材27との間に後車軸ケース19が挟み込まれた状態で、支持部材26と固定部材27とがボルト28により連結されることによって、右(左)の支持部材26が右(左)の後車軸ケース19に取り付けられ、右(左)の固定部材27が右(左)の後車軸ケース19に取り付けられている。
【0054】
支持部材26は、平板状の基板26aが設けられ、4種のブラケット26b,26c,26d,26eが基板26aに設けられており、右及び左の支持部材26は、互いに左右対称形状に構成されている。
【0055】
図2に示すように、背面視で右(左)の支持部材26のブラケット26cと右(左)の後輪2のホイール2aとが重複するように、右(左)の支持部材26のブラケット26cが、右(左)の後輪2のホイール2aに入り込んでいる。
【0056】
図4,5,6に示すように、硬質ゴム製の右及び左の下限ストッパー部29が、右及び左の支持部材26のブラケット26dに設けられている。
右及び左の上限ストッパー部30が、右及び左の支持部材26のブラケット26eに設けられている。上限ストッパー部30は、ロッド部30aと、ロッド部30aの上部に取り付けられた平板状の受け部30bとを有しており、ロッド部30aの下部が支持部材26のブラケット26eに取り付けられている。
【0057】
固定部材27は、平板状の基板27aが設けられ、ブラケット27bが基板37aに設けられており、右及び左の固定部材27は、互いに左右対称形状に構成されている。
図1,2,3に示すように、右及び左の規制ロッド31が設けられている。右(左)の規制ロッド31が、右(左)のロアリンク14(リンク機構18)と、右(左)の固定部材27のブラケット27bとに亘って接続されており、規制ロッド31によりリンク機構18の左右方向の変位(振れ)が規制される。
【0058】
(サスペンション機構の配置)
図1及び図2に示すように、右及び左のフレーム32が、キャビン10の下部の右部及び左部に前後方向に沿って連結され、右及び左のフレーム33が、キャビン10の後部の右部(左部)とフレーム32の後部とに亘って連結されており、フレーム32,33がキャビン10の一部となっている。右及び左の後輪フェンダー34が、フレーム32,33に取り付けられている。右及び左のブラケット35が、フレーム33に連結されて後方に向けて延出されている。
【0059】
図4,5,6に示すように、右のサスペンション機構24が、右のブラケット35と、右の支持部材26のブラケット26bとに亘って接続されている。左のサスペンション機構24が、左のブラケット35と、左の支持部材26のブラケット26bとに亘って接続されている。
【0060】
以上の構成により、図2に示すように、右のサスペンション機構24は、背面視で、右のリフトアーム15及び右の昇降シリンダ16に対して右の横外側に配置されて、キャビン10の後部の右部と右の後車軸ケース19とに亘って接続されており、右のサスペンション機構24の下部が、右の後車軸ケース19を介してミッションケース6(機体3)の後部に接続されている。
【0061】
左のサスペンション機構24は、背面視で、左のリフトアーム15及び左の昇降シリンダ16に対して左の横外側に配置されて、キャビン10の後部の左部と左の後車軸ケース19とに亘って接続されており、左のサスペンション機構24の下部が、左の後車軸ケース19を介してミッションケース6(機体3)の後部に接続されている。
【0062】
(サスペンション機構の構成)
図7に示すように、右及び左のサスペンション機構24は、サスペンションバネ38、ダンパー39、弾性体40及びリバウンドバネ41等を有して構成されている。
【0063】
ダンパー39は、単筒式に構成されており、外筒39a、ピストンロッド39b、ピストン39c及びフリーピストン39d等を有している。外筒39aの内部において、ピストンババルブ(オリフィス)(図示せず)を有するピストン39cが、ピストンロッド39bの下部に取り付けられ、フリーピストン39dが外筒39aの下部に配置されて、オイル室39e及びガス室39fが構成されている。
【0064】
ダンパー39のピストンロッド39bの上部にバネ受け42が連結され、ダンパー39の外筒39aにバネ受け43が連結されている。サスペンションバネ38がバネ受け42とバネ受け43とに亘って取り付けられており、サスペンションバネ38を覆うカバー44がバネ受け42に取り付けられている。
【0065】
弾性体40は、合成ゴムやウレタン等により円柱状(リング状)に構成されており、ダンパー39の外筒39aの上端部とバネ受け42との間に配置されて、ダンパー39のピストンロッド39bに取り付けられている。
ダンパー39の外筒39aの内部において、リバウンドバネ41が、ダンパー39の外筒39aの上端部とピストン39cとに亘って、取り付けられている。
【0066】
以上のように構成されたサスペンション機構24において、ダンパー39のピストンロッド39bの上端部が、ブラケット35(図4,5,6参照)に取り付けられ、ダンパー39の外筒39aの下端部が、支持部材26のブラケット26bに取り付けられている。
【0067】
(ラテラルロッドの構成)
図4,5,6に示すように、板材がクランク状に折り曲げられた右及び左の受け板36が設けられており、受け板36がフレーム32の後部に連結されている。右及び左のブラケット37が設けられており、ブラケット37がフレーム32の後部に連結されている。
【0068】
右及び左のラテラルロッド25が設けられている。右のラテラルロッド25が、右のブラケット37と右の支持部材26のブラケット26cとに亘って接続されており、右の支持部材26のブラケット26b,26dの間に配置されている。
【0069】
左のラテラルロッド25が、左のブラケット37と左の支持部材26のブラケット26cとに亘って接続されており、左の支持部材26のブラケット26b,26dの間に配置されている。
【0070】
図2及び図5に示すように、運転部9に作業者が搭乗していない状態において、右のサスペンション機構24の設定により、右のラテラルロッド25が、右のブラケット37(キャビン10の後部の右部)から右の横外側の斜め下向きに延出される姿勢となり、右の支持部材26のブラケット26cに接続される状態となる。
【0071】
運転部9に作業者が搭乗していない状態において、左のサスペンション機構24の設定により、左のラテラルロッド25が、左のブラケット37(キャビン10の後部の左部)から左の横外側の斜め下向きに延出される姿勢となり、左の支持部材26のブラケット26cに接続される状態となる。
【0072】
作業者が運転部9に搭乗すると、作業者の体重によりサスペンション機構24が少し収縮作動して、右及び左のラテラルロッド25が、図2及び図5に示す姿勢から水平に近い姿勢となる。
【0073】
前述の状態において、キャビン10の後部の右部(左部)が上下動した場合(右(左)のサスペンション機構24が伸縮作動した場合)、右(左)のラテラルロッド25が、右(左)の支持部材26のブラケット26cを支点として、水平に近い姿勢から上下に揺動する状態となる。これにより、右(左)のラテラルロッド25により、キャビン10の機体3に対する上下動が許容され、キャビン10の機体3に対する左右動が規制される。
【0074】
以上の構成により、図2に示すように、右のラテラルロッド25が、背面視で、右のサスペンション機構24に対して右の横外側に配置されて、キャビン10の右部に接続されている。左のラテラルロッド25が、背面視で、左のサスペンション機構24に対して左の横外側に配置されて、キャビン10の左部に接続されている。
【0075】
右のラテラルロッド25は、キャビン10の後部の右部と、右の支持部材26のブラケット26cとに亘って接続され、右のラテラルロッド25の右部が、右の支持部材26を介して右の後車軸ケース19に接続されている。
【0076】
左のラテラルロッド25は、キャビン10の後部の左部と、左の支持部材26のブラケット26cとに亘って接続され、左のラテラルロッド25の左部が、左の支持部材26を介して左の後車軸ケース19に接続されている。
【0077】
背面視で右のラテラルロッド25の右部(右の支持部材26のブラケット26c)と右の後輪2のホイール2aとが重複するように、右のラテラルロッド25の右部(右の支持部材26のブラケット26c)が、右の後輪2のホイール2aに入り込んでいる。
【0078】
背面視で左のラテラルロッド25の左部(左の支持部材26のブラケット26c)と左の後輪2のホイール2aとが重複するように、左のラテラルロッド25の左部(左の支持部材26のブラケット26c)が、左の後輪2のホイール2aに入り込んでいる。
【0079】
図1及び図4に示すように、右のラテラルロッド25は、側面視で、右のサスペンション機構24に対して前側に配置されており、キャビン10と右のサスペンション機構24との間に配置されている。左のラテラルロッド25は、側面視で、左のサスペンション機構24に対して前側に配置されており、キャビン10と左のサスペンション機構24との間に配置されている。
【0080】
(下限ストッパー部及び上限ストッパー部の構成)
図4,5,6に示すように、右の支持部材26のブラケット26dに設けられた右の下限ストッパー部29が、右の受け板36の下方に位置している。左の支持部材26のブラケット26dに設けられた左の下限ストッパー部29が、左の受け板36の下方に位置している。
【0081】
右及び左の受け板36に開口部36aが設けられており、右及び左の上限ストッパー部30のロッド部30aが、受け板36の開口部36aに入り込んでいる。上限ストッパー部30の受け部30bは、受け板36の開口部36aよりも大径に構成されている。
【0082】
以上の構成により、右の下限ストッパー部29の位置が、キャビン10の後部の右部における機体3に対する上下作動の下限位置である。
キャビン10の後部の右部が下降した場合(右のサスペンション機構24が収縮作動した場合)、右の受け板36が右の下限ストッパー部29に当たる少し前に、右のサスペンション機構24において、図7に示すように、ダンパー39の外筒39aの上端部が右の弾性体40に当たり、右の弾性体40が圧縮されるのであり、右の受け板36が右の下限ストッパー部29に当たることにより、右の弾性体40と右の下限ストッパー部29とにより、キャビン10の後部の右部の下降作動が規制される。
【0083】
左の下限ストッパー部29の位置が、キャビン10の後部の左部における機体3に対する上下作動の下限位置である。
キャビン10の後部の左部が下降した場合(左のサスペンション機構24が収縮作動した場合)、左の受け板36が左の下限ストッパー部29に当たる少し前に、図7に示すように、左のサスペンション機構24において、ダンパー39の外筒39aの上端部が左の弾性体40に当たり、左の弾性体40が圧縮されるのであり、左の受け板36が左の下限ストッパー部29に当たることにより、左の弾性体40と左の下限ストッパー部29とにより、キャビン10の後部の左部の下降作動が規制される。
【0084】
右(左)の弾性体40が圧縮される場合、弾性体40が圧縮限度(弾性体40が圧縮されない状態)に達すると、右(左)の受け板36が右(左)の下限ストッパー部29に当たるように設定されている。これにより、右(左)の弾性体40が圧縮されながらショックが吸収され、右(左)の弾性体40が圧縮限度に達することにより、キャビン10の後部の右部(左部)の下降作動が規制されるのであり、右(左)の受け板36が右(左)の下限ストッパー部29に当たった際のショックが抑えられる。
【0085】
右(左)のサスペンション機構24が収縮作動した場合、図7に示すように、右(左)のサスペンション機構24において、ダンパー39のピストン39cが、リバウンドバネ41から離れる方向(下方)に移動する。これにより、右(左)のリバウンドバネ41が圧縮されることはなく、右(左)のリバウンドバネ41は右(左)のサスペンション機構24の収縮作動に抵抗を与えない。
【0086】
右の上限ストッパー部30の受け部30bの位置が、キャビン10の後部の右部における機体3に対する上下作動の上限位置である。キャビン10の後部の右部が上昇した場合に、右の受け板36が右の上限ストッパー部30の受け部30bに当たることにより、キャビン10の後部の右部の上昇作動が規制される。
【0087】
左の上限ストッパー部30の受け部30bの位置が、キャビン10の後部の左部における機体3に対する上下作動の上限位置である。キャビン10の後部の左部が上昇した場合に、左の受け板36が左の上限ストッパー部30の受け部30bに当たることにより、キャビン10の後部の左部の上昇作動が規制される。
【0088】
右(左)のサスペンション機構24が伸長作動した場合、図7に示すように、右(左)のサスペンション機構24において、ダンパー39のピストン39cが、リバウンドバネ41に接近する方向(上方)に移動する。これにより、ダンパー39のピストン39cによりリバウンドバネ41が圧縮されるので、右(左)のリバウンドバネ41は右(左)のサスペンション機構24の伸長作動に抵抗を与える。
【0089】
右(左)のサスペンション機構24が伸長作動した場合、右(左)のリバウンドバネ41が圧縮されながらショックが吸収されるのであり、右(左)の受け板36が右(左)の上限ストッパー部30の受け部30bに当たった際のショックが抑えられる。
【0090】
(発明の実施の第1別形態)
キャビン10の後部の右部及び左部が、右及び左の防振ゴム23によりミッションケース6(機体3)の後部に支持され、キャビン10の前部の右部及び左部が、右及び左のサスペンション機構24によりクラッチハウジング5(機体3)に支持されるように構成してもよい。
【0091】
(発明の実施の第2別形態)
後輪2に代えて、クローラ走行装置(図示せず)が、走行装置として後車軸ケース19に支持されるように構成してもよい。
【0092】
(発明の実施の第3別形態)
図7において、弾性体40が、ダンパー39の外筒39aの上端部と間隔を開けることなく、ダンパー39の外筒39aの上端部とバネ受け42とに亘って接続されるように構成してもよい。
弾性体40は、合成ゴムやウレタンばかりではなく、金属製の短いコイルバネ(図示せず)により構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、トラクタばかりではなく、キャビンを搭載したコンバイン等の農業用の作業車、キャビンを搭載したバックホウやホイルローダ等の建設用の作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0094】
2 後輪(走行装置)
3 機体
9 運転部
10 キャビン
15 リフトアーム
16 昇降シリンダ
18 リンク機構
19 後車軸ケース
24 サスペンション機構
25 ラテラルロッド
26 支持部材
27 固定部材
29 下限ストッパー部
30 上限ストッパー部
31 規制ロッド
40 弾性体
41 リバウンドバネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7