(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159534
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
H04R17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069259
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】滝 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】江澤 敦
【テーマコード(参考)】
5D004
【Fターム(参考)】
5D004AA01
5D004CD07
5D004CD08
(57)【要約】
【課題】圧電素子から得られる振動の増強が図られる振動デバイスを提供する。
【解決手段】振動デバイス1Aは、第1面2A及び当該第1面2Aと反対側の第2面Bとを有する振動板2と、振動板2に設けられた圧電素子3とを備えている。第1面2Aには、圧電素子3の外縁から離間し且つ振動板2のよりも内側の領域に溝部11が設けられている。溝部11は、振動板2の平面視において、圧電素子3を挟んで対となる部分を含むように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び当該第1面と反対側の第2面とを有する振動板と、
前記振動板に設けられた圧電素子と、を備え、
前記第1面には、前記圧電素子の外縁から離間し且つ前記振動板の外縁よりも内側の領域に溝部が設けられ、
前記溝部は、前記振動板の平面視において、前記圧電素子を挟んで対となる部分を含むように配置されている振動デバイス。
【請求項2】
前記溝部は、前記振動板の平面視において、前記圧電素子を囲むように配置されている請求項1記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記圧電素子は、前記振動板の平面視において、長辺及び短辺を有する矩形状をなし、
前記圧電素子の長辺と前記溝部との間の間隔は、前記溝部と前記振動板の外縁との間の間隔よりも大きくなっている請求項1又は2記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記圧電素子は、前記振動板の平面視において、長辺及び短辺を有する矩形状をなし、
前記圧電素子の短辺と前記溝部との間の間隔は、前記溝部と前記振動板の外縁との間の間隔よりも小さくなっている請求項1又は2記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記溝部は、前記振動板の角部に対応する湾曲形状の角溝部を有している請求項1記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記角溝部の曲率半径は、前記振動板の角部の曲率半径よりも大きくなっている請求項5記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記角溝部は、前記圧電素子の外縁側から前記振動板の外縁側に向かって配列された複数のラインを有している請求項5又は6記載の振動デバイス。
【請求項8】
前記角溝部の複数のラインの曲率半径は、前記振動板の外縁側に位置するラインほど大きくなっている請求項7記載の振動デバイス。
【請求項9】
前記複数のラインの端位置は、当該複数のラインの配列方向に対して互い違いになっている請求項7記載の振動デバイス。
【請求項10】
前記溝部は、前記振動板の辺部に対応する直線状の辺溝部を有している請求項1記載の振動デバイス。
【請求項11】
前記辺溝部は、前記圧電素子の外縁側から前記振動板の外縁側に向かって並ぶ複数のラインを有している請求項10記載の振動デバイス。
【請求項12】
前記複数のラインの端位置は、当該複数のラインの配列方向に対して互い違いになっている請求項11記載の振動デバイス。
【請求項13】
前記溝部は、前記第1面から前記第2面に至る貫通溝となっている請求項1記載の振動デバイス。
【請求項14】
前記圧電素子は、前記振動板の平面視において、長辺及び短辺を有する矩形状をなし、
前記貫通溝は、当該貫通溝の延在方向において、前記圧電素子の一辺当たり少なくとも2箇所に分離部を有している請求項13記載の振動デバイス。
【請求項15】
前記溝部は、前記第1面から前記第2面に至る貫通溝となっていると共に、前記振動板の角部に対応する湾曲形状の角溝部と、振動板の辺部に対応する直線状の辺溝部と、を有し、
前記角溝部と前記辺溝部との間に分離部を有している請求項1記載の振動デバイス。
【請求項16】
前記溝部は、前記第1面に設けられた有底溝となっている請求項1記載の振動デバイス。
【請求項17】
前記有底溝は、前記振動板の平面視において、前記圧電素子の全ての縁部を囲うように連続して設けられている請求項16記載の振動デバイス。
【請求項18】
前記有底溝は、前記第1面側に設けられた第1溝と、前記第2面側に設けられた第2溝とを有し、
前記第1溝と前記第2溝とは、前記振動板の平面視において、同一の位置に設けられている請求項16又は17記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の振動デバイスとして、例えば特許文献1に記載の透明スピーカがある。この従来の透明スピーカは、ユニモルフ型又はバイモルフ型の振動板構造を有する振動デバイスである。この透明スピーカは、表面側に設けられた透明電極のリード部を裏面側の透明電極と絶縁して裏面側に配置した透明圧電磁器を有している。振動板は、透明圧電磁器の裏面側に設けられている。振動板には、導電性透明樹脂又は透明電極材によって構成された一対のリード線が設けられている。リード線は、表裏の各電極と電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような振動デバイスでは、圧電素子が配置される振動板の振動が振動デバイスとしての出力となる。したがって、振動デバイスの性能向上には、圧電素子が配置される振動板において、圧電素子から得られる振動の増強が重要な要素となる。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、圧電素子から得られる振動の増強が図られる振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る振動デバイスは、第1面及び当該第1面と反対側の第2面とを有する振動板と、振動板に設けられた圧電素子と、を備え、第1面には、圧電素子の外縁から離間し且つ振動板の外縁よりも内側の領域に溝部が設けられ、溝部は、振動板の平面視において、圧電素子を挟んで対となる部分を含むように配置されている。
【0007】
この振動デバイスでは、振動板において、圧電素子を挟んで対となる部分を含むように溝部が配置されている。このような溝部により、振動板の曲がり易さが向上し、圧電素子の振動に追従した振動板の振動を促進できる。溝部が圧電素子の外縁から離間していることで、圧電素子の周囲に振動板の肉部が連続するため、振動板の全体に対する圧電素子の振動の伝達効率を高めることができる。したがって、この振動デバイスでは、圧電素子から得られる振動の増強が図られる。
【0008】
溝部は、振動板の平面視において、圧電素子を囲むように配置されていてもよい。この場合、圧電素子の振動に対する振動板の振動の追従性を高めることができる。したがって、圧電素子から得られる振動の一層の増強が図られる。
【0009】
圧電素子は、振動板の平面視において、長辺及び短辺を有する矩形状をなし、圧電素子の長辺と溝部との間の間隔は、溝部と振動板の外縁との間の間隔よりも大きくなっていてもよい。この場合、振動板において、溝部よりも外縁側にフリーな振動部分を十分な面積で形成できる。したがって、圧電素子から得られる振動のバランスの最適化が図られる。
【0010】
圧電素子は、振動板の平面視において、長辺及び短辺を有する矩形状をなし、圧電素子の短辺と溝部との間の間隔は、溝部と振動板の外縁との間の間隔よりも小さくなっていてもよい。この場合、圧電素子の短辺と溝部とを近接させることで、振動板の振動効率の向上が図られる。
【0011】
溝部は、振動板の角部に対応する湾曲形状の角溝部を有していてもよい。このような角溝部の形成により、圧電素子の振動に対する振動板の振動の追従性を担保できる。
【0012】
角溝部の曲率半径は、振動板の角部の曲率半径よりも大きくなっていてもよい。この場合、圧電素子の振動に対する角溝部近傍への応力集中を緩和できる。
【0013】
角溝部は、圧電素子の外縁側から振動板の外縁側に向かって配列された複数のラインを有していてもよい。角溝部を複数のラインで構成することで、振動板の曲がり易さが更に向上し、圧電素子の振動に対する振動板の振動の追従性を一層担保できる。
【0014】
角溝部の複数のラインの曲率半径は、振動板の外縁側に位置するラインほど大きくなっていてもよい。これにより、角溝部を複数のラインで構成する場合に、圧電素子の振動に対する角溝部近傍への応力集中を一層効果的に緩和できる。
【0015】
角溝部の複数のラインの端位置は、当該複数のラインの配列方向に対して互い違いになっていてもよい。この構成によれば、複数のライン間の一部にライン間隔よりも幅広の振動領域が形成される。これにより、圧電素子から得られる振動のバランスの最適化が図られる。
【0016】
溝部は、振動板の辺部に対応する直線状の辺溝部を有していてもよい。このような辺溝部の形成により、圧電素子の振動に対する振動板の振動の追従性を担保できる。
【0017】
辺溝部は、圧電素子の外縁側から振動板の外縁側に向かって並ぶ複数のラインを有していてもよい。辺溝部を複数のラインで構成することで、振動板の曲がり易さが更に向上し、圧電素子の振動に対する振動板の振動の追従性を一層担保できる。
【0018】
辺溝部の複数のラインの端位置は、当該複数のラインの配列方向に対して互い違いになっていてもよい。この構成によれば、複数のライン間の一部にライン間隔よりも幅広の振動領域が形成される。これにより、圧電素子から得られる振動のバランスの最適化が図られる。
【0019】
溝部は、第1面から第2面に至る貫通溝となっていてもよい。この場合、溝部の深さが担保され、圧電素子の振動に対する振動板の振動の追従性を高めることができる。したがって、圧電素子から得られる振動の一層の増強が図られる。
【0020】
圧電素子は、振動板の平面視において、長辺及び短辺を有する矩形状をなし、貫通溝は、当該貫通溝の延在方向において、圧電素子の一辺当たり少なくとも2箇所に分離部を有していてもよい。この場合、圧電素子の振動に対する分離部近傍への応力集中を緩和できる。
【0021】
溝部は、第1面から第2面に至る貫通溝となっていると共に、振動板の角部に対応する湾曲形状の角溝部と、振動板の辺部に対応する直線状の辺溝部と、を有し、角溝部と辺溝部との間に分離部を有していてもよい。この場合、圧電素子の振動に対する分離部近傍への応力集中を緩和できる。
【0022】
溝部は、第1面に設けられた有底溝となっていてもよい。このような構成においても、圧電素子の振動に対する振動板の振動の追従性を高めることができる。したがって、圧電素子から得られる振動の一層の増強が図られる。
【0023】
有底溝は、振動板の平面視において、圧電素子の全ての縁部を囲うように連続して設けられていてもよい。これにより、振動板の曲がり易さが十分に確保され、圧電素子の振動に対する振動板の振動の追従性を高めることができる。したがって、圧電素子から得られる振動の十分な増強が図られる。
【0024】
有底溝は、第1面側に設けられた第1溝と、第2面側に設けられた第2溝とを有し、第1溝と第2溝とは、振動板の平面視において、同一の位置に設けられていてもよい。この場合、第1溝及び第2溝の双方を形成することで、振動板の曲がり易さが十分に確保され、圧電素子の振動に対する振動板の振動の追従性を更に高めることができる。また、第1溝の位置と第2溝の位置とを揃えることで、第1面側の振動と第2面側の振動とが干渉によって減衰することを回避できる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、圧電素子から得られる振動の増強が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る振動デバイスを振動板の第1面側から見た模式的な平面図である。
【
図2】
図1の振動デバイスを振動板の第2面側から見た模式的な平面図である。
【
図3】(a)は、
図1におけるIII-III線断面図である。(b)は、(a)における領域Aの拡大図である。
【
図4】第1実施形態に係る振動デバイスの溝部の要部を拡大して示す模式的な平面図である。
【
図5】本開示の第2実施形態に係る振動デバイスを振動板の第1面側から見た模式的な平面図である。
【
図6】本開示の第3実施形態に係る振動デバイスを振動板の第1面側から見た模式的な平面図である。
【
図7】本開示の第4実施形態に係る振動デバイスを示す模式的な断面図である。
【
図8】溝部が有底溝である場合の溝部の平面パターンの変形例を示す模式的な平面図である。
【
図9】本開示の第5実施形態に係る振動デバイスを示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る振動デバイスの好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
【0028】
図1は、本開示の第1実施形態に係る振動デバイスを振動板の第1面側から見た模式的な平面図である。
図2は、
図1の振動デバイスを振動板の第2面側から見た模式的な平面図である。
図3は、
図1におけるIII-III線断面図である。
【0029】
図1~
図3に示す振動デバイス1Aは、例えばスピーカ、ブザーなどの音響デバイスとして用いられるデバイスである。第1実施形態に係る振動デバイス1Aは、
図1~
図3に示すように、振動板2と、圧電素子3と、配線部材4とを備えて構成されている。
【0030】
振動板2は、例えば金属材料からなる板状の部材である。振動板2を構成する金属材料としては、例えばNi-Fe合金、Ni、黄銅、ステンレス鋼などが挙げられる。振動板2は、平面視において矩形状(ここでは正方形状)をなし、互いに対向する第1辺2a,2aと、互いに対向する第2辺2b,2bとを有している。
【0031】
振動板2は、第1面2Aと、第1面2Aと反対側の第2面2Bとを有している。第1面2Aは、圧電素子3が配置される面である。第1面2Aは、平坦面となっている。第2面Bは、振動デバイス1Aが取り付けられる外部装置(不図示)への取付面である。第2面Bの周縁には、外部装置への取り付けに用いられる脚部5が設けられている(
図2及び
図3参照)。脚部5では、振動板2が他の部分より肉厚になっている。本実施形態では、脚部5は、第2面B側において、第1辺2a,2a及び第2辺2b,2bに沿って延在し、全体として矩形の枠状をなしている。
【0032】
圧電素子3は、圧電素体及び一対の外部電極を備えている。
図1の例では、圧電素子3は、厚さ方向に扁平な直方体形状をなしている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている形状、角部及び稜線部が丸められている形状も含まれ得る。圧電素子3は、振動板2の平面視において、長辺3a,3a及び短辺3b,3bを有する矩形状をなしている。圧電素子3は、接着材或いは両面テープなどを用いて振動板2の第1面2Aの中央部分に固定されている。振動板2に固定された状態において、圧電素子3の長辺3a,3aは、振動板2の第1辺2aに沿って延在し、圧電素子3の短辺3b,3bは、振動板2の第2辺2bに沿って延在している。
【0033】
圧電素体は、複数の圧電体層の積層体によって構成されている。各圧電体層は、圧電セラミックなどの圧電材料によって形成されている。圧電セラミック材料としては、例えばPZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)などが挙げられる。
【0034】
各圧電体層は、例えば上述した圧電セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体によって構成されている。実際の圧電素体では、各圧電体層は、各圧電体層の間の境界が認識できない程度に一体化されている。圧電素体内には、複数の内部電極(不図示)が配置されている。各内部電極は、導電性材料によって形成されている。導電性材料としては、例えばAg、Pd、Ag-Pd合金などが挙げられる。
【0035】
配線部材4は、圧電素子3と外部装置とを電気的に接続する部材である。配線部材4は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)である。配線部材4の一端は、圧電素子3の一対の外部電極のそれぞれに電気的に接続されている。配線部材4の一端と圧電素子3の外部電極との接続には、例えば異方導電性接着材を用いることができる。配線部材4の他端(不図示)は、例えば振動板2の一方の第1辺2a側に引き出され、外部装置に電気的に接続されている。
【0036】
次に、上述した振動板2の構成について更に詳細に説明する。
【0037】
図1に示すように、振動デバイス1Aでは、振動板2の第1面2Aにおいて溝部11が設けられている。溝部11は、圧電素子3の外縁から離間し且つ振動板2の外縁よりも内側の領域に設けられている。また、溝部11は、振動板2の平面視において、圧電素子3を挟んで対となる部分を含むように配置されている。溝部11の形成には、例えばレーザ加工を用いることができる。
【0038】
溝部11は、振動板2の角部に対応する湾曲形状の角溝部12と、振動板の辺部に対応する直線状の辺溝部13とによって構成されている。
図1の例では、角溝部12は、振動板2の4つの角部2cのそれぞれに対応して4箇所に配置されている。辺溝部13は、振動板2の第1辺2a,2a及び第2辺2b,2bのそれぞれに対応して4箇所に配置されている。したがって、溝部11は、振動板2の平面視において、全体として環状をなし、圧電素子3を囲むように配置されている。
【0039】
角溝部12は、圧電素子3の外縁側から振動板2の外縁側に向かって配列された複数(ここでは3本)のライン12A~12Cを有している。辺溝部13は、圧電素子3の外縁側から振動板2の外縁側に向かって配列された複数(ここでは3本)のライン13A~13Cを有している。本実施形態では、
図1に示すように、角溝部12におけるライン12A~ライン12Cのそれぞれの端位置Pは、ライン12A~12Cの配列方向に対して互いに揃った状態となっている。同様に、辺溝部13におけるライン13A~ライン13Cのそれぞれの端位置Pは、ライン13A~13Cの配列方向に対して互いに揃った状態となっている。
【0040】
図4に示すように、角溝部12において、ライン12A~12Cの幅Xa~Xcは、互いに等しくなっている。ライン12Aとライン12Bとの間隔F1及びライン12Bとライン12Cとの間隔F2は、互いに等しく、且つライン12A~12Cの幅Xa~Xcよりも小さくなっている。同様に、辺溝部13において、ライン13A~13Cの幅Ya~Ycは、互いに等しくなっている。ライン13Aとライン13Bとの間隔F3及びライン13Bとライン13Cとの間隔F4は、互いに等しく、且つライン13A~13Cの幅Ya~Ycよりも小さくなっている。
【0041】
本実施形態では、ライン12A~12Cの幅Xa~Xcとライン13A~13Cの幅Ya~Ycとは、互いに等しくなっている。また、ライン12Aとライン12Bとの間隔F1、ライン12Bとライン12Cとの間隔F2、ライン13Aとライン13Bとの間隔F3、及びライン13Bとライン13Cとの間隔F4は、互いに等しくなっている。
【0042】
図1に示すように、圧電素子3の長辺3aと溝部11との間の間隔T1は、溝部11と振動板2の外縁との間の間隔T2よりも大きくなっている。本実施形態では、圧電素子3の長辺3aと振動板2の第1辺2aとの間に辺溝部13のライン13A~13Cが配列されている。このため、間隔T1は、圧電素子3の長辺3aと辺溝部13のライン13Aとの間の距離で規定され、間隔T2は、辺溝部13のライン13Cと振動板2の第1辺2aとの間の距離で規定される。間隔T1と間隔T2との比は、特に制限は無いが、例えば3:1~5:1の範囲で設定される。
【0043】
図1に示すように、圧電素子3の短辺3bと溝部11との間の間隔T3は、溝部11と振動板2の外縁との間の間隔T4よりも小さくなっている。本実施形態では、圧電素子3の短辺3bと振動板2の第2辺2bとの間に辺溝部13のライン13A~13Cが配列されている。このため、間隔T3は、圧電素子3の短辺3bと辺溝部13のライン13Aとの間の距離で規定され、間隔T4は、辺溝部13のライン13Cと振動板2の第2辺2bとの間の距離で規定される。間隔T3と間隔T4との比は、特に制限は無いが、例えば1:3~1:5の範囲で設定される。
【0044】
角溝部12の曲率半径は、
図4に示すように、振動板2の角部2cの曲率半径よりも大きくなっている。本実施形態では、角溝部12のライン12A~12Cの曲率半径は、振動板2の外縁側に位置するラインほど大きくなっている。すなわち、ライン12Bの曲率半径Rbは、ライン12Aの曲率半径Raよりも大きくなっており、ライン12Cの曲率半径Rcは、ライン12Bの曲率半径Rbよりも大きくなっている。本実施形態では、振動板2の角部2cは、直角に形成されており、ライン12A~ライン12Cのいずれも振動板2の角部2cに対して緩やかに湾曲した状態となっている。
【0045】
本実施形態では、
図3に示すように、溝部11は、第1面2Aから第2面2Bに至る貫通溝G1となっている。溝部11が貫通溝G1であるため、振動板2の第2面2Bには、第1面2Aの溝パターンと同一の溝パターンが形成されている(
図2参照。)貫通溝G1の深さD1は、振動板2の厚さ(脚部5を除いた厚さ)D2と一致する。貫通溝G1の深さD1は、圧電素子3の厚さD3よりも小さくなっていてもよい。貫通溝G1の深さD1は、圧電素子3の厚さD3の20%以上であってもよく、50%以上であってもよい。貫通溝G1の深さD1は、圧電素子3の厚さD3の80%以下であってもよく、50%以下であってもよい。
【0046】
溝部11を貫通溝G1とする場合、圧電素子3を囲む溝部11が環状に繋がっていると、溝部11よりも外側の振動板2が欠落することとなる。このため、貫通溝G1は、溝部11の延在方向において、圧電素子3の一辺当たり少なくとも2箇所に分離部Mを有している。本実施形態では、
図4等に示すように、それぞれの角溝部12と辺溝部13との間に分離部Mが設けられている。
【0047】
分離部Mでは、貫通溝G1の延在方向に貫通溝G1が途切れている。分離部Mでは、角溝部12のライン12A~12C及び辺溝部13のライン13A~13Cを横断するように振動板2が連続した状態となっている。溝部11の延在方向に対する分離部Mの幅は、特に制限は無いが、例えばライン12A~12Cの幅Xa~Xc及びライン13A~13Cの幅Ya~Ycと等しくなっていてもよい。
【0048】
以上説明したように、振動デバイス1Aでは、振動板2において、圧電素子3を挟んで対となる部分を含むように溝部11が配置されている。このような溝部11により、振動板2の曲がり易さが向上し、圧電素子3の振動に追従した振動板2の振動を促進できる。溝部11が圧電素子3の外縁から離間していることで、圧電素子3の周囲に振動板2の肉部が連続するため、振動板2の全体に対する圧電素子3の振動の伝達効率を高めることができる。したがって、振動デバイス1Aでは、圧電素子3から得られる振動の増強が図られる。
【0049】
振動デバイス1Aでは、振動板2の平面視において、溝部11が圧電素子3を囲むように配置されている。これにより、圧電素子3の振動に対する振動板2の振動の追従性を高めることができる。したがって、圧電素子3から得られる振動の一層の増強が図られる。
【0050】
振動デバイス1Aでは、圧電素子3の長辺3aと溝部11との間の間隔T1が溝部11と振動板2の外縁との間の間隔T2よりも大きくなっている。このような構成によれば、振動板2において、溝部11よりも外縁側にフリーな振動部分を十分な面積で形成できる。したがって、圧電素子3から得られる振動のバランスの最適化が図られる。
【0051】
振動デバイス1Aでは、圧電素子3の短辺3bと溝部11との間の間隔T3が溝部11と振動板2の外縁との間の間隔T4よりも小さくなっている。このような構成によれば、圧電素子3の短辺3bと溝部11とを近接させることで、振動板2の振動効率の向上が図られる。
【0052】
振動デバイス1Aでは、溝部11が振動板2の角部2cに対応する湾曲形状の角溝部12を有している。このような角溝部12の形成により、圧電素子3の振動に対する振動板2の振動の追従性を担保できる。また、角溝部12の曲率半径が振動板2の角部2cの曲率半径よりも大きくなっている。これにより、圧電素子3の振動に対する角溝部12近傍への応力集中を緩和できる。
【0053】
振動デバイス1Aでは、角溝部12が圧電素子3の外縁側から振動板2の外縁側に向かって配列された複数のライン12A~12Cを有している。角溝部12を複数のライン12A~12Cで構成することで、振動板2の曲がり易さが更に向上し、圧電素子3の振動に対する振動板2の振動の追従性を一層担保できる。また、角溝部12の複数のライン12A~12Cの曲率半径は、振動板2の外縁側に位置するラインほど大きくなっている。これにより、角溝部12を複数のライン12A~12Cで構成する場合に、圧電素子3の振動に対する角溝部12近傍への応力集中を一層効果的に緩和できる。
【0054】
振動デバイス1Aでは、溝部11が振動板2の辺部に対応する直線状の辺溝部13を有している。このような辺溝部13の形成により、圧電素子3の振動に対する振動板2の振動の追従性を担保できる。また、辺溝部13は、圧電素子3の外縁側から振動板2の外縁側に向かって並ぶ複数のライン13A~13Cを有している。辺溝部13を複数のライン13A~13Cで構成することで、振動板2の曲がり易さが更に向上し、圧電素子3の振動に対する振動板の振動の追従性を一層担保できる。
【0055】
振動デバイス1Aでは、溝部11が第1面2Aから第2面2Bに至る貫通溝G1となっている。これにより、溝部11の深さが担保され、圧電素子3の振動に対する振動板2の振動の追従性を高めることができる。したがって、圧電素子3から得られる振動の一層の増強が図られる。
【0056】
振動デバイス1Aでは、貫通溝G1は、当該貫通溝G1の延在方向において、圧電素子3の一辺当たり少なくとも2箇所に分離部Mを有している。具体的には、本実施形態では、それぞれの角溝部12と辺溝部13との間に分離部Mが設けられている。このような分離部Mの配置により、圧電素子3の振動に対する分離部M近傍への応力集中を緩和できる。
[第2実施形態]
【0057】
図5は、本開示の第2実施形態に係る振動デバイスを振動板の第1面側から見た模式的な平面図である。同図に示すように、第2実施形態に係る振動デバイス1Bは、溝部11の平面パターンが第1実施形態と異なっている。他の点は、第1実施形態と同様の構成となっている。
【0058】
具体的には、振動デバイス1Bでは、辺溝部13の複数のライン13A~13Cの端位置Pが当該複数のライン13A~13Cの配列方向に対して互い違いになっている点で、辺溝部13の複数のライン13A~13Cの端位置Pが当該複数のライン13A~13Cの配列方向に対して揃っている振動デバイス1Aと相違している。
【0059】
圧電素子3の一方の長辺3a側の辺溝部131では、ライン13A及びライン13Cの端位置Pが振動板2の一方の第2辺2b側に偏在し、ライン13Bの端位置Pが振動板2の他方の第2辺2b側に偏在している。圧電素子3の他方の長辺3a側の辺溝部132では、ライン13A及びライン13Cの端位置Pが振動板2の他方の第2辺2b側に偏在し、ライン13Bの端位置Pが振動板の一方の第2辺2b側に偏在している。
【0060】
圧電素子3の一方の短辺3b側の辺溝部133では、ライン13A及びライン13Cの端位置Pが振動板2の一方の第1辺2a側に偏在し、ライン13Bの端位置Pが振動板2の他方の第1辺2a側に偏在している。圧電素子3の他方の短辺3b側の辺溝部134では、ライン13A及びライン13Cの端位置Pが振動板2の他方の第1辺2a側に偏在し、ライン13Bの端位置Pが振動板2の一方の第1辺2a側に偏在している。
【0061】
このような振動デバイス1Bにおいても、上述した振動デバイス1Aと同様に、振動板2に設けられた溝部11によって圧電素子3から得られる振動の増強が図られる。また、振動デバイス1Bでは、辺溝部13の複数のライン13A~13Cの端位置Pが当該複数のライン13A~13Cの配列方向に対して互い違いになっている。この構成によれば、複数のライン13A~13C間の一部にライン間隔よりも幅広の振動領域が形成される。これにより、圧電素子3から得られる振動のバランスの最適化が図られる。
[第3実施形態]
【0062】
図6は、本開示の第3実施形態に係る振動デバイスを振動板の第1面側から見た模式的な平面図である。同図に示すように、第3実施形態に係る振動デバイス1Cは、溝部11の平面パターンが第2実施形態と異なっている。他の点は、第2実施形態と同様の構成となっている。
【0063】
具体的には、振動デバイス1Cでは、角溝部12の複数のライン12A~12Cの端位置Pが当該複数のライン12A~12Cの配列方向に対して互い違いになっている点で、角溝部12の複数のライン12A~12Cの端位置Pが当該複数のライン12A~12Cの配列方向に対して揃っている振動デバイス1Bと更に相違している。振動デバイス1Cでは、角溝部12におけるライン12A~12Cと、辺溝部13におけるライン13A~13Cとは、これらのラインの延在方向についても互い違いとなっている。
【0064】
振動板2の一方の第1辺2aと一方の第2辺2bとがなす角部2cに対応する角溝部121では、ライン12A及びライン12Cの端位置Pが辺溝部134側に偏在し、ライン12Bの端位置Pが辺溝部131側に偏在している。振動板2の一方の第1辺2aと他方の第2辺2bとがなす角部2cに対応する角溝部122では、ライン12A及びライン12Cの端位置Pが辺溝部131側に偏在し、ライン12Bの端位置Pが辺溝部133側に偏在している。
【0065】
振動板2の他方の第1辺2aと一方の第2辺2bとがなす角部2cに対応する角溝部123では、ライン12A及びライン12Cの端位置Pが辺溝部132側に偏在し、ライン12Bの端位置Pが辺溝部134側に偏在している。振動板2の他方の第1辺2aと他方の第2辺2bとがなす角部2cに対応する角溝部124では、ライン12A及びライン12Cの端位置Pが辺溝部133側に偏在し、ライン12Bの端位置Pが辺溝部132側に偏在している。
【0066】
このような振動デバイス1Cにおいても、上述した振動デバイス1A,1Bと同様に、振動板2に設けられた溝部11によって圧電素子3から得られる振動の増強が図られる。また、振動デバイス1Cでは、角溝部12の複数のライン12A~12Cの端位置Pが当該複数のライン12A~12Cの配列方向に対して互い違いになっている。この構成によれば、複数のライン12A~12C間の一部にライン間隔よりも幅広の振動領域が形成される。これにより、圧電素子3から得られる振動のバランスの一層の最適化が図られる。
[第4実施形態]
【0067】
図7は、本開示の第4実施形態に係る振動デバイスを示す模式的な断面図である。同図に示すように、第4実施形態に係る振動デバイス1Dは、溝部11の断面パターンが第1実施形態と異なっている。他の点は、第1実施形態と同様の構成となっている。
【0068】
振動デバイス1Dでは、
図7に示すように、溝部11は、振動板2の第1面2Aに設けられた有底溝G2となっている。溝部11が有底溝G2である場合、有底溝G2の深さD4は、振動板2の厚さD2よりも小さくなる。有底溝G2の深さD4は、振動板2の厚さD2の30%以上であってもよく、50%以上であってもよい。有底溝G2の深さD4は、振動板2の厚さD2の50%以下であってもよく、70%以下であってもよい。
【0069】
有底溝G2の深さD4は、圧電素子3の厚さD3よりも小さくなっていてもよい。有底溝G2の深さD4は、圧電素子3の厚さD3の30%以上であってもよく、50%以上であってもよい。有底溝G2の深さD4は、圧電素子3の厚さD3の50%以下であってもよく、70%以下であってもよい。
【0070】
このような振動デバイス1Dにおいても、上述した振動デバイス1A~1Cと同様に、振動板2に設けられた溝部11によって圧電素子3から得られる振動の増強が図られる。
【0071】
振動デバイス1Dにおける溝部11の平面パターンは、第1実施形態と同様のパターンであってもよく、第2実施形態及び第3実施形態と同様のパターンであってもよい。溝部11を有底溝G2とする場合、貫通溝G1とは異なり、圧電素子3を囲む溝部11が環状に繋がっていても、溝部11よりも外側の振動板2が欠落することはない。このため、
図8に示すように、有底溝G2は、振動板2の平面視において、圧電素子3の全ての縁部を囲うように連続して設けられていてもよい。
【0072】
図8の例では、角溝部12と辺溝部13との間に分離部Mが設けられておらず、全ての角溝部12と辺溝部13とが互いに連続した状態となっている。このような構成によれば、溝部11が長くなる分、振動板2の曲がり易さが十分に確保され、圧電素子3の振動に対する振動板2の振動の追従性を更に高めることができる。したがって、圧電素子3から得られる振動の十分な増強が図られる。
[第5実施形態]
【0073】
図9は、本開示の第5実施形態に係る振動デバイスを示す模式的な断面図である。同図に示すように、第5実施形態に係る振動デバイス1Eは、溝部11の断面パターンが第1実施形態と異なっている。他の点は、第1実施形態と同様の構成となっている。
【0074】
振動デバイス1Eでは、
図9に示すように、溝部11は、振動板2の第1面2Aに設けられた有底溝G2となっている。また、有底溝G2は、第1面2A側に設けられた第1溝G2aと、第2面2B側に設けられた第2溝G2bとによって構成されている。第1溝G2aと第2溝G2bとは、振動板2の平面視において、同一の位置に設けられている。すなわち、第1溝G2aによる第1面2A側の溝部11の平面パターンと、第2溝G2bによる第2面2B側の溝部11の平面パターンとは、振動板2の厚さ方向の中心面に対して対称となっている。
【0075】
図9の例では、第1溝G2aの深さD4aと第2溝G2bの深さD4bとは、互いに等しくなっている。第1溝G2aの深さD4aと第2溝G2bの深さD4bとは、互いに異なっていてもよい。この場合、深さD4a及び深さD4bのいずれが大きくなっていてもよい。
【0076】
深さD4aと深さD4bとの和は、振動板2の厚さD2の30%以上であってもよく、50%以上であってもよい。深さD4aと深さD4bとの和は、振動板2の厚さD2の50%以下であってもよく、70%以下であってもよい。
【0077】
深さD4aと深さD4bとの和は、圧電素子3の厚さD3よりも小さくなっていてもよい。深さD4aと深さD4bとの和は、圧電素子3の厚さD3の30%以上であってもよく、50%以上であってもよい。深さD4aと深さD4bとの和は、圧電素子3の厚さD3の50%以下であってもよく、70%以下であってもよい。
【0078】
このような振動デバイス1Eにおいても、上述した振動デバイス1A~1Dと同様に、振動板2に設けられた溝部11によって圧電素子3から得られる振動の増強が図られる。振動デバイス1Eでは、第1溝G2a及び第2溝G2bの双方を形成することで、振動板2の曲がり易さが十分に確保され、圧電素子3の振動に対する振動板2の振動の追従性を更に高めることができる。
【0079】
振動デバイス1Eでは、有底溝G2は、第1面2A側に設けられた第1溝G2aと、第2面2B側に設けられた第2溝とを有している。そして、第1溝G2aと第2溝G2bとは、振動板2の平面視において、同一の位置に設けられている。このように、第1溝G2aの位置と第2溝G2bの位置とを揃えることで、有底溝G2を第1溝G2a及び第2溝G2bによって構成する場合であっても、第1面2A側の振動と第2面2B側の振動とが干渉によって減衰することを回避できる。
[変形例]
【0080】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記各実施形態では、振動板2の第1面2A側に圧電素子3が設けられているが、振動板2の第2面2B側に圧電素子3が設けられていてもよい。また、例えば上記各実施形態では、角溝部12及び辺溝部13がいずれも複数のラインで構成されているが、角溝部12及び辺溝部13の一方又は双方が単数のラインで構成されていてもよい。溝部11は、角溝部12及び辺溝部13の一方のみによって構成されていてもよい。
【0081】
角溝部12は、必ずしも湾曲形状をなしていなくてもよい。角溝部12は、例えば直角形状をなしていてもよい。辺溝部13は、必ずしも直線状をなしていなくてもよい。辺溝部13は、例えば振動板2の外縁側に凸となるような湾曲形状をなしていてもよく、圧電素子3の外縁側に凸となるような湾曲形状をなしていてもよい。
【0082】
溝部11は、圧電素子3を挟んで対となる部分を含むように配置されていればよい。溝部11は、圧電素子3の長辺3a,3a側のみに配置されていてもよく、短辺3b,3b側のみに配置されていてもよい。溝部11は、振動板2において一方の対角線上にある角部2c,2cのみに対応して配置されていてもよい。
【0083】
本開示の要旨は、以下の[1]~[18]のとおりである。
[1]第1面及び当該第1面と反対側の第2面とを有する振動板と、前記振動板に設けられた圧電素子と、を備え、前記第1面には、前記圧電素子の外縁から離間し且つ前記振動板の外縁よりも内側の領域に溝部が設けられ、前記溝部は、前記振動板の平面視において、前記圧電素子を挟んで対となる部分を含むように配置されている振動デバイス。
[2]前記溝部は、前記振動板の平面視において、前記圧電素子を囲むように配置されている[1]記載の振動デバイス。
[3]前記圧電素子は、前記振動板の平面視において、長辺及び短辺を有する矩形状をなし、前記圧電素子の長辺と前記溝部との間の間隔は、前記溝部と前記振動板の外縁との間の間隔よりも大きくなっている[1]又は[2]記載の振動デバイス。
[4]前記圧電素子は、前記振動板の平面視において、長辺及び短辺を有する矩形状をなし、前記圧電素子の短辺と前記溝部との間の間隔は、前記溝部と前記振動板の外縁との間の間隔よりも小さくなっている[1]又は[2]記載の振動デバイス。
[5]前記溝部は、前記振動板の角部に対応する湾曲形状の角溝部を有している[1]~[4]のいずれか記載の振動デバイス。
[6]前記角溝部の曲率半径は、前記振動板の角部の曲率半径よりも大きくなっている[5]記載の振動デバイス。
[7]前記角溝部は、前記圧電素子の外縁側から前記振動板の外縁側に向かって配列された複数のラインを有している[5]又は[6]記載の振動デバイス。
[8]前記角溝部の複数のラインの曲率半径は、前記振動板の外縁側に位置するラインほど大きくなっている[7]記載の振動デバイス。
[9]前記複数のラインの端位置は、当該複数のラインの配列方向に対して互い違いになっている[7]又は[8]記載の振動デバイス。
[10]前記溝部は、前記振動板の辺部に対応する直線状の辺溝部を有している[1]~[9]記載の振動デバイス。
[11]前記辺溝部は、前記圧電素子の外縁側から前記振動板の外縁側に向かって並ぶ複数のラインを有している[10]記載の振動デバイス。
[12]前記複数のラインの端位置は、当該複数のラインの配列方向に対して互い違いになっている[11]記載の振動デバイス。
[13]前記溝部は、前記第1面から前記第2面に至る貫通溝となっている[1]~[12]のいずれか記載の振動デバイス。
[14]前記圧電素子は、前記振動板の平面視において、長辺及び短辺を有する矩形状をなし、前記貫通溝は、当該貫通溝の延在方向において、前記圧電素子の一辺当たり少なくとも2箇所に分離部を有している[13]記載の振動デバイス。
[15]前記溝部は、前記第1面から前記第2面に至る貫通溝となっていると共に、前記振動板の角部に対応する湾曲形状の角溝部と、振動板の辺部に対応する直線状の辺溝部と、を有し、前記角溝部と前記辺溝部との間に分離部を有している[1]~[12]のいずれか記載の振動デバイス。
[16]前記溝部は、前記第1面に設けられた有底溝となっている[1]~[12]のいずれか記載の振動デバイス。
[17]前記有底溝は、前記振動板の平面視において、前記圧電素子の全ての縁部を囲うように連続して設けられている[16]記載の振動デバイス。
[18]前記有底溝は、前記第1面側に設けられた第1溝と、前記第2面側に設けられた第2溝とを有し、前記第1溝と前記第2溝とは、前記振動板の平面視において、同一の位置に設けられている[16]又は[17]記載の振動デバイス。
【符号の説明】
【0084】
1A~1E…振動デバイス、2…振動板、2A…第1面、2B…第2面、3…圧電素子、3a…長辺、3b…短辺、11…溝部、12(121~124)…角溝部、12A~12C…ライン、13(131~134)…辺溝部、13A~13C…ライン、G1…貫通溝、G2…有底溝、G2a…第1溝、G2b…第2溝、M…分離部、P…端位置。