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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159539
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】温度制御装置及び温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 23/20 20060101AFI20231025BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20231025BHJP
   A61F 7/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
G05D23/20 A
A41D13/005 103
A61F7/00 300
A61F7/00 310J
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069271
(22)【出願日】2022-04-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健二
【テーマコード(参考)】
3B011
4C099
5H323
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
4C099AA03
4C099JA02
4C099PA01
5H323AA11
5H323CB12
5H323CB25
5H323CB28
5H323DA01
5H323DB11
5H323KK05
5H323NN03
(57)【要約】
【課題】ウエアラブル型の温度制御装置においてユーザの快適性を向上させる。
【解決手段】温度制御装置は、周囲の環境の温度である環境温度を測定する環境センサと、少なくともユーザの体表面の冷却に用いられる温度変化素子と、前記環境温度に基づいて、前記温度変化素子の温度である素子温度を制御する温度制御部とを備える。本技術は、例えば、ウエアラブル型の温度制御装置に適用できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の環境の温度である環境温度を測定する環境センサと、
少なくともユーザの体表面の冷却に用いられる温度変化素子と、
前記環境温度に基づいて、前記温度変化素子の温度である素子温度を制御する温度制御部と
を備える温度制御装置。
【請求項2】
前記温度制御部は、前記環境温度に基づいてターゲット温度を調整し、前記ターゲット温度に基づいて前記素子温度を制御する
請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記温度変化素子の吸熱面の温度である吸熱面温度を測定する吸熱面センサを
さらに備え、
前記温度制御部は、前記吸熱面温度と前記ターゲット温度との差が所定の範囲を超えている場合、前記吸熱面温度が前記ターゲット温度より高いとき、前記素子温度を下げ、前記吸熱面温度が前記ターゲット温度より低いとき、前記素子温度を上げる
請求項2に記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記温度変化素子の放熱に用いられる放熱部材と、
前記放熱部材の温度である放熱部材温度を計測する放熱部材センサと
を備え、
前記温度制御部は、前記放熱部材温度が所定の閾値以上である場合、前記素子温度を上げる
請求項3に記載の温度制御装置。
【請求項5】
前記温度制御部は、ユーザ設定に基づいて前記ターゲット温度の初期値を設定する
請求項2に記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記温度制御部は、前記環境温度が所定の範囲未満である場合、前記素子温度を上げ、前記環境温度が前記所定の範囲を超えている場合、前記素子温度を上げる
請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記素子温度を上げる幅の方が、前記素子温度を下げる幅より大きい
請求項6に記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記ユーザへの装着の有無を推定する装置状態推定部と、
前記ユーザへの装着の有無に基づいて、前記温度変化素子による冷却動作の開始及び停止のうち少なくとも一方を制御する装置状態制御部と
を備える請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項9】
前記装置状態制御部は、さらに前記環境温度及びその変化率のうち少なくとも1つに基づいて、前記冷却動作の開始を制御する
請求項8に記載の温度制御装置。
【請求項10】
前記体表面の温度である体表面温度を測定する体表面センサを
さらに備え、
前記装置状態制御部は、さらに前記体表面温度及びその変化率のうち少なくとも1つに基づいて、前記冷却動作の開始を制御する
請求項9に記載の温度制御装置。
【請求項11】
前記装置状態推定部は、前記温度制御装置の姿勢をさらに推定し、
前記装置状態制御部は、さらに前記温度制御装置の姿勢に基づいて、前記冷却動作の停止を制御する
請求項8に記載の温度制御装置。
【請求項12】
前記装置状態推定部は、前記温度制御装置の姿勢に基づいて、前記ユーザへの装着の有無を推定する
請求項11に記載の温度制御装置。
【請求項13】
前記ユーザの状態を推定するユーザ状態推定部を
さらに備え、
前記温度制御部は、さらに前記ユーザの状態に基づいて、前記素子温度を調整する
請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項14】
前記ユーザ状態推定部は、前記ユーザの行動及び活動量のうち少なくとも1つを推定し、
前記温度制御部は、前記ユーザの行動及び活動量のうち少なくとも1つに基づいて、前記素子温度を調整する
請求項13に記載の温度制御装置。
【請求項15】
前記温度制御部は、前記ユーザの所定の行動が所定の時間以上継続した場合、前記所定の行動が停止した後、前記素子温度を下げる
請求項14に記載の温度制御装置。
【請求項16】
前記温度制御部は、前記所定の行動が停止した後、前記素子温度を所定の時間下げる
請求項15に記載の温度制御装置。
【請求項17】
前記温度変化素子は、さらに前記体表面の加温に用いられる
請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項18】
前記温度変化素子の放熱に用いられる放熱部材と、
前記放熱部材の周囲の換気を行うファンと
をさらに備える請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項19】
前記環境温度は、前記ユーザの衣服内の温度である
請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項20】
温度制御装置が、
周囲の環境の温度である環境温度を測定し、
前記環境温度に基づいて、少なくともユーザの体表面の冷却に用いられる温度変化素子の温度である素子温度を制御する
温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ウエアラブル型の温度制御装置及び温度制御方法に関し、特に、ユーザの快適性を向上させるようにした温度制御装置及び温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下着に設けられたポケットに収納され、ユーザの頸椎付近を冷却又は加温するウエアラブル型の温度制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/066564号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなウエアラブル型の温度制御装置では、ユーザの快適性を向上させることが望まれている。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ウエアラブル型の温度制御装置においてユーザの快適性を向上できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一側面の温度制御装置は、周囲の環境の温度である環境温度を測定する環境センサと、少なくともユーザの体表面の冷却に用いられる温度変化素子と、前記環境温度に基づいて、前記温度変化素子の温度である素子温度を制御する温度制御部とを備える。
【0007】
本技術の一側面の温度制御方法は、温度制御装置が、周囲の環境の温度である環境温度を測定し、前記環境温度に基づいて、少なくともユーザの体表面の冷却に用いられる温度変化素子の温度である素子温度を制御する。
【0008】
本技術の一側面においては、周囲の環境の温度である環境温度を測定し、前記環境温度に基づいて、少なくともユーザの体表面の冷却に用いられる温度変化素子の温度である素子温度が制御される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本技術を適用した温度制御装置の一実施の形態を示す外観図及び断面図である。
図2図1の温度制御装置の筐体の内部の正面側の構成の一例を模式的に表す斜視図である。
図3図1の温度制御装置の背面側の構成の一例を模式的に表す図である。
図4図1の温度制御装置のファン等を外した状態の構成を模式的に表す図である。
図5図4の温度制御装置の一部の拡大図である。
図6図1等の温度制御装置の機能の構成例を示すブロック図である。
図7図1等の温度制御装置を収納可能な下着の外観の模式図である。
図8】温度制御装置の状態遷移図である。
図9】温度制御装置1のオートスタート/ストップ機能の設定方法を説明するための図である。
図10】オートスタート制御処理を説明するためのフローチャートである。
図11】温度制御装置の状態の推定処理を説明するための図である。
図12】オートストップ制御処理を説明するためのフローチャートである。
図13】スマートクールモードにおける温度制御装置の状態遷移図である。
図14】スマートクールモードの設定画面の例を示す図である。
図15】衣服内の快適性を表す指標の一例を示す図である。
図16】スマートクールモード設定時の温度制御処理を説明するためのフローチャートである。
図17】スマートクールモード設定時の吸熱面温度及びフィン温度の時系列の遷移の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.その他
【0011】
<<1.実施の形態>>
<温度制御装置1の外観の構成例>
図1乃至図5は、本技術の一実施の形態に係る温度制御装置1の外観の構成例を示している。
【0012】
図1のAは、温度制御装置1の正面1Aの構成例、図1のBは温度制御装置1の左側面1Bの構成例、図1のDは、温度制御装置1の右側面1Dの構成例、図1のEは、温度制御装置1の背面1Eの構成例、図1のFは、温度制御装置1の平面1Fの構成例、図1のGは、温度制御装置1の底面1Gの構成例を各々示している。図1のCは、右側面1Dの断面の構成例を示している。
【0013】
図2及び図3は、筐体10を外した状態の温度制御装置1の構成例を示している。図2は、正面1A側の温度制御装置1の構成例を表す斜視図である。図3は、背面1E側の温度制御装置1の構成例を示している。なお、図1に示した温度制御装置1の外観と、図2乃至図3に示した温度制御装置1の外観とは若干異なっているが、温度制御装置1はいずれの外観を有していてもよく、これら以外の外観を有していてもよい。
【0014】
図4は、ファン13を外した状態の正面1A側の温度制御装置1の構成例を示し、図5は、図4の一部(部分Bb)を拡大して示している。
【0015】
温度制御装置1は、例えば、名刺ケースと同程度の大きさであり、衣服のポケット等に収納可能である。すなわち、温度制御装置1は、ユーザが身に着けて持ち歩くことが可能なウエアラブル型の温度制御装置である。
【0016】
温度制御装置1は、ペルチェ素子11等を覆う筐体10を備えている。筐体10は、例えばシリコン又は樹脂材料等により構成されている。樹脂材料としては、例えば、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene共重合合成樹脂)及びPC(Poly Carbonate)樹脂等が挙げられる。
【0017】
温度制御装置1の正面1A及び背面1Eは矩形状である。この矩形状の長辺に対応する温度制御装置1の左側面1B及び右側面1Dは、緩やかに湾曲している。この湾曲形状は、例えば、ユーザである人体の形状、特に、背中付近及び首付近の形状の湾曲に沿っている。これにより、温度制御装置1が、ユーザの装着箇所に適切に当たり、効果的にユーザの装着箇所を冷却又は加温することができる。
【0018】
温度制御装置1は、筐体10の内側に、例えば、ペルチェ素子11、フィン12、ファン13、バッテリ14、回路基板15、吸熱面センサ16、フィンセンサ18、環境センサ19、及び、体表面センサ20を備えている。
【0019】
ペルチェ素子11は、電流を流すことにより温度制御を行う素子である。例えば、図2及び図3に示されるように、温度制御装置1の正面1A側にペルチェ素子11の一方の主面側が配置され、背面1E側にペルチェ素子11の他方の主面側が配置されている。例えば、温度制御装置1が冷却動作を行うとき、ペルチェ素子11の一方の主面側が放熱側となり、他方の主面側が吸熱側となる。ペルチェ素子11は、例えば、シリコンにより保護されている。ペルチェ素子11は、例えば、-20℃~200℃程度の間で温度を調整することができる。ペルチェ素子11は、回路基板15に電気的に接続されており、回路基板15からの信号に応じて温度制御がなされる。
【0020】
図4及び図5に示されるように、ペルチェ素子11の側面近傍には、吸熱面センサ16が設けられている。吸熱面センサ16とペルチェ素子11とは、熱伝導部材17により接続されている。吸熱面センサ16は、例えばペルチェ素子11の吸熱側の温度(以下、吸熱面温度と称する)を測定し、測定温度に応じたセンサ信号を回路基板15に供給する。熱伝導部材17は、例えば、シリコン、アクリル、グラファイト又は銅箔等により構成されている。
【0021】
図2に示されるように、フィン12は、ペルチェ素子11の放熱側に配置され、ペルチェ素子11の一方を放熱する。例えば、ペルチェ素子11の正面1A側が、フィン12で覆われている。フィン12は、例えば矩形の板状部材であり、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)等の放熱フィンにより構成されている。
【0022】
例えば、図2に示されるように、フィン12の左側面1B側にフィンセンサ18が取り付けられている。フィンセンサ18は、フィン12の温度(以下、フィン温度と称する)を測定し、測定温度に応じたセンサ信号を回路基板15に供給する。
【0023】
図2に示されるように、ファン13が、フィン12の近傍に配置され、フィン12の周囲を換気する。ファン13は、例えば、矩形の平面形状を有する温度制御装置1のうち、ペルチェ素子11及びフィン12と長辺方向に隣り合う位置に配置されている。ファン13は、例えば温度制御装置1の正面1Aに略平行に配置されている。ファン13は、フィン12を冷却するためのものであり、例えば薄型形状を有していることが好ましい。薄型形状のファン13を用いることにより、温度制御装置1を薄型化することができる。
【0024】
図1及び図2に示されるように、ファン13の正面1A側の筐体10には、複数の吸気口10Iが設けられている。ファン13により、吸気口10Iから外気が吸気され、フィン12に送風される。例えば、図1に示されるように、正面1A側の筐体10の一方の短辺に、凹部10Rが設けられ、凹部10Rに、吸気口10Iが設けられている。例えば、ファン13と隣り合う部分(フィン12と反対側の部分)の筐体10は、ファン13の正面1A側の筐体10よりも背面1E側に配置されており、これらの間には段差が設けられている。この段差にも吸気口10Iが設けられていることが好ましい。これにより、仮に、ファン13の正面1A側の筐体10に設けられた吸気口10Iが衣服等に密着して十分な吸気が行えない場合にも、段差の吸気口10Iから吸気を行うことが可能となる。
【0025】
図1のEに示されるように、筐体10の底面1Gには、排気口10Eが設けられている。排気口10Eにより、ファン13から送られてフィン12を冷却した風が吹き出される。
【0026】
環境センサ19は、例えば、図2に示されるように、吸気口10I近傍に配置されており、環境センサ19の一部は筐体10から露出されている。環境センサ19の筐体10から露出された部分は、防水シート(図示せず)に覆われている。防水シートは、空気を透過させるようになっている。環境センサ19は、温度制御装置1が配置された周囲の環境の温度(以下、環境温度と称する)及び湿度(以下、環境湿度と称する)を測定し、測定温度及び測定湿度に応じたセンサ信号を回路基板15に供給する。温度制御装置1が、例えば、後述のように下着のポケット(後述の図7のポケット81P)に収納される場合、環境センサ19は衣服内(ユーザの体表面と衣服との間)の温度及び湿度を測定する。
【0027】
なお、環境センサ19は、少なくとも環境温度を測定可能であればよい。
【0028】
図2及び図3に示されるように、ファン13の背面1E側には、例えば、バッテリ14が設けられている。バッテリ14は、ペルチェ素子11、ファン13及び回路基板15等に電気的に接続され、電源電圧を供給する。バッテリ14は、例えば矩形の平面形状を有している。
【0029】
図3に示されるように、体表面センサ20は、例えば、バッテリ14の背面1E側に配置されている。体表面センサ20は、ユーザの体表面近傍の温度(以下、体表面温度と称する)及び湿度(以下、体表面湿度と称する)を測定し、測定温度及び測定湿度に応じたセンサ信号を回路基板15に供給する。体表面センサ20は、防水シート(図示せず)に覆われていてもよい。体表面センサ20は、例えば、回路基板15に重ならない位置に配置されている。
【0030】
なお、体表面センサ20は、少なくともユーザの体表面温度を測定可能であればよい。
【0031】
図2及び図3に示されるように、回路基板15は、例えば、バッテリ14よりも、更に背面1E側に配置されている。回路基板15は、吸熱面センサ16、フィンセンサ18、環境センサ19、及び、体表面センサ20から供給されるセンサ信号等に応じて、ペルチェ素子11及びファン13に駆動信号を供給する。回路基板15は、例えば、バッテリ14よりも小さい矩形状であり、バッテリ14に重なって配置されている。
【0032】
図3に示されるように、回路基板15には、加速度センサ21が設けられている。加速度センサ21は、温度制御装置1の加速度を測定する。加速度センサ21の測定値により、例えば、歩行状態等のユーザの状態の予測が可能になる。
【0033】
また、図3に示されるように、回路基板15には、例えば、無線通信部22が搭載されている。無線通信部22は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)により無線通信を行う。回路基板15に無線通信部22を搭載することにより、温度制御装置1は、温度制御装置1とは別のウエアラブル機器2(図6)と無線通信を行うことが可能になる。
【0034】
<温度制御装置1の機能の構成例>
図6は、温度制御装置1の機能の構成例を示している。
【0035】
温度制御装置1は、上述した構成以外に、インタフェース部51、制御部52、及び、メモリ53を備える。
【0036】
センサ群SGを構成する吸熱面センサ16、フィンセンサ18、環境センサ19、体表面センサ20、及び、加速度センサ21は、それぞれセンサ信号を制御部52に供給する。
【0037】
無線通信部22は、ウエアラブル機器2と無線通信を行う。無線通信部22は、ウエアラブル機器2から受信した通信信号を制御部52に供給し、ウエアラブル機器2に送信する通信信号を制御部52から取得する。
【0038】
ウエアラブル機器2は、例えば、スマートフォン及びスマートウォッチ等からなる。例えば、ウエアラブル機器2は、電源のオン/オフ、温度設定、動作モードの設定等の温度制御装置1の各種の操作に用いることができる。
【0039】
例えば、ウエアラブル機器2が、温度制御装置1の動作に関する動作データ(後述)を温度制御装置1から受信し、動作データに基づいて各種の処理を実行するようにしてもよい。例えば、ウエアラブル機器2が、動作データに基づいて、温度制御装置1の動作状態等を表示したり、温度制御装置1の温度制御を行ったりするようにしてもよい。例えば、ウエアラブル機器2が、動作データに基づいて、ユーザ各々の生理的な特徴及び生活習慣等に合わせた温度制御を学習するようにしてもよい。
【0040】
インタフェース部51は、例えば、ボタン等により構成されている。例えば、ユーザは、インタフェース部51を介して温度制御装置1の動作モードを選択することができる。温度制御装置1の動作モードは、例えば、COOLモード、WARMモード、及び、スマートクールモードを含む。COOLモードは、温度制御装置1が冷却動作を行うモードである。WARMモードは、温度制御装置1が加温動作を行うモードである。スマートクールモードは、例えば、温度制御装置1の周囲の環境及びユーザの状態等に応じて、冷却温度を自動調整するモードである。
【0041】
また、ユーザは、動作モードがCOOLモードに設定されている場合、インタフェース部51により、冷却方向に所定の段階(例えば、4段階)の温度設定を行うことができる。ユーザは、動作モードがWARMモードに設定されている場合、インタフェース部51により、加温方向に所定の段階(例えば、4段階)の温度設定を行うことができる。
【0042】
インタフェース部51は、ユーザの操作内容を示す操作信号を制御部52に供給する。
【0043】
制御部52は、例えば、回路基板15により実現される。制御部52は、ユーザ状態推定部61、装置状態推定部62、装置状態制御部63、及び、温度制御部64を備える。
【0044】
ユーザ状態推定部61は、例えば、センサ群SGからのセンサ信号等に基づいて、ユーザの状態を推定する。例えば、ユーザ状態推定部61は、ユーザの状態として、ユーザの行動、姿勢等を推定する。ユーザ状態推定部61は、ユーザの状態の推定結果を示す情報を装置状態推定部62及び温度制御部64に供給する。
【0045】
装置状態推定部62は、例えば、センサ群SGからのセンサ信号、及び、ユーザ状態推定部61により推定されたユーザの状態等に基づいて、温度制御装置1の状態を推定する。例えば、装置状態推定部62は、温度制御装置1の状態として、温度制御装置1の姿勢、及び、ユーザへの装着の有無等を推定する。装置状態推定部62は、温度制御装置1の状態の推定結果を示す情報を装置状態制御部63に供給する。
【0046】
装置状態制御部63は、センサ群SGからのセンサ信号、ウエアラブル機器2からの通信信号、インタフェース部51からの操作信号、及び、装置状態推定部62による温度制御装置1の状態の推定結果等に基づいて、温度制御装置1の状態を制御する。例えば、装置状態制御部63は、温度制御装置1の電源の状態、動作モード、内部状態等を制御する。装置状態制御部63は、温度制御装置1の状態制御の結果を示す情報を温度制御部64に供給する。例えば、装置状態制御部63は、温度制御装置1の状態等に応じて、冷却動作又は加温動作の開始又は停止を温度制御部64に指示する。
【0047】
温度制御部64は、センサ群SGからのセンサ信号、ウエアラブル機器2からの通信信号、インタフェース部51からの操作信号、ユーザ状態推定部61によるユーザの状態の推定結果、及び、装置状態制御部63による温度制御装置1の状態制御の結果等に基づいて、ペルチェ素子11及びファン13を制御することにより、温度制御装置1の温度制御を実行する。
【0048】
メモリ53は、例えば、NAND型フラッシュメモリ又はNOR型フラッシュメモリ等により構成される。メモリ53は、例えば、温度制御装置1の動作に関する動作データを記憶する。動作データは、例えば、ウエアラブル機器2、インタフェース部51、及び、センサ群SGから制御部52に入力されたデータを含む。また、動作データは、例えば、ユーザ状態推定部61により推定されたユーザの状態、装置状態推定部62により推定された温度制御装置1の状態、装置状態制御部63による温度制御装置1の状態制御、及び、温度制御部64による温度制御装置1の温度制御の履歴を含む。
【0049】
例えば、温度制御部64は、メモリ53に記憶されている動作データに基づいて、ユーザ各々の生理的な特徴及び生活習慣等に合わせた温度制御を学習することが可能である。
【0050】
<温度制御装置1の装着方法例>
次に、図7を参照して、温度制御装置1の装着方法の例について説明する。
【0051】
図7のA及び図7のBは、温度制御装置1を収納するポケット81Pを備える下着81の構成を模式的に表している。図7のAは、下着81の胸側を示し、図7のBは下着81の背側を示している。
【0052】
下着81は、温度制御装置1の効果を高める素材により形成されていることが好ましい。例えば、下着81はポリエステル等により構成されており、高い通気性又は高い気密性を有している。下着81は、ユーザが着用したときに、頸椎近傍に配置される位置にポケット81Pを備えている。すなわち、下着81の首回りにポケット81Pが設けられている。ポケット81Pは、ユーザの肌との接触面側(ユーザの体表面側)に設けられていてもよく(図7のA)、ユーザの肌との非接触面側(ユーザの体表面と反対側)に設けられていてもよい(図7のB)。ポケット81Pの深さは、例えば、温度制御装置1の長辺の大きさと同程度である。
【0053】
吸気口10I(図2)からの外気の吸気及び排気口10E(図4)からの排気を効率よく行うため、温度制御装置1が収納されるポケット81P近傍には、通気孔が設けられていることが好ましい。ポケット81P近傍は、例えば、下着81の他の部分よりも織目が粗くなっている。また、ポケット81Pの体表面側には、穴があいていてもよい。この穴を介して温度制御装置1が直接ユーザの肌に触れるため、ユーザが温度制御装置1の冷却効果あるいは温め効果を体感しやすくなる。よって、ユーザの快適性を高めることができる。
【0054】
そして、温度制御装置1は、例えば、長辺方向が縦になり、背面1E側がユーザの体表面側を向くようにポケット81P内に収納され、ペルチェ素子11によりユーザの頸椎付近を冷却又は加温する。
【0055】
このように、温度制御装置1は、幅広い年齢層のユーザが容易かつ気軽に身に付けることができる。また、温度制御装置1は、例えば名刺ケースと同程度の大きさであり、下着81のポケット81Pに収納可能である。従って、ユーザが、ファッション性を損ねることなく身に付けることができる。
【0056】
<温度制御装置1の処理>
次に、図8乃至図17を参照して、温度制御装置1の処理について説明する。
【0057】
<状態制御処理>
まず、図8乃至図12を参照して、温度制御装置1により実行される状態制御処理について説明する。
【0058】
図8は、温度制御装置1の状態遷移図を示している。
【0059】
温度制御装置1は、オフ、オン、及び、スタンバイの3つの状態間を遷移する。
【0060】
オフ状態は、温度制御装置1の電源がオフされ、温度制御装置1が動作を停止している状態である。
【0061】
オン状態は、温度制御装置1の電源がオンされ、温度制御装置1が稼働している状態である。具体的には、オン状態は、温度制御装置1が冷却、加温、又は、冷却若しくは加温を一時的に停止している状態である。
【0062】
スタンバイ状態は、温度制御装置1の電源がオフされ、温度制御装置1が動作を停止している状態であって、所定の条件を満たした場合に、ユーザ操作によらずに、オン状態に自動的に遷移可能な状態である。スタンバイ状態は、オートスタート/ストップ機能がオンに設定されている場合にのみ遷移する状態である。
【0063】
温度制御装置1は、オフ状態の場合、インタフェース部51又はウエアラブル機器2を用いて、COOL(冷却)又はWARM(加温)を開始するユーザ操作が行われたとき、オン状態に遷移する。
【0064】
温度制御装置1は、オフ状態の場合、オートスタート/ストップ機能がオンに設定されており、かつ、ユーザから取り外されたとき、スタンバイ状態に遷移する。
【0065】
温度制御装置1は、オン状態の場合、インタフェース部51又はウエアラブル機器2を用いて、COOL又はWARMを停止するユーザ操作が行われたとき、オフ状態に遷移する。
【0066】
温度制御装置1は、オン状態の場合、オートスタート/ストップ機能がオンに設定されており、かつ、ユーザから取り外されたとき、スタンバイ状態に遷移する。
【0067】
温度制御装置1は、スタンバイ状態の場合、ユーザに装着され、かつ、特定の温度状態のとき、オン状態に遷移する。
【0068】
ここで、COOLモード又はスマートクールモード設定時において、特定の温度状態とは、例えば、環境温度が高い場合、又は、環境温度が急上昇している場合、又は、体表面温度が高い場合、又は、体表面温度が急上昇している場合である。環境温度が高い場合とは、例えば、環境温度が所定の閾値以上である場合である。環境温度が急上昇している場合とは、例えば、環境温度の上昇率が所定の閾値以上である場合である。体表面温度が高い場合とは、例えば、体表面温度が所定の閾値以上である場合である。体表面温度が急上昇している場合とは、例えば、体表面温度の上昇率が所定の閾値以上である場合である。
【0069】
また、WARMモード設定時において、特定の温度状態とは、例えば、環境温度が低い場合、又は、環境温度が急降下している場合、又は、体表面温度が低い場合、又は、体表面温度が急降下している場合である。環境温度が低い場合とは、例えば、環境温度が所定の閾値未満である場合である。環境温度が急降下している場合とは、例えば、環境温度の降下率が所定の閾値以上である場合である。体表面温度が低い場合とは、例えば、体表面温度が所定の閾値以下である場合である。体表面温度が急降下している場合とは、例えば、体表面温度の降下率が所定の閾値以上である場合である。
【0070】
温度制御装置1は、スタンバイ状態の場合、オートスタート/ストップ機能がオフされたとき、オフ状態に遷移する。
【0071】
図9は、温度制御装置1のオートスタート/ストップ機能の設定方法を示している。例えば、ユーザは、ウエアラブル機器2上の所定のアプリケーションソフトウエア(APP)を用いて、オートスタート/ストップ機能をオン又はオフすることができる。
【0072】
<オートスタート制御処理>
次に、図10のフローチャートを参照して、温度制御装置1により実行されるオートスタート制御処理について説明する。この処理は、図8の状態遷移図のスタンバイ状態からオン状態への遷移時に実行される処理である。
【0073】
ステップS1において、装置状態推定部62は、装着状態が規定時間(例えば、3秒間)以上継続しているか否かを判定する。具体的には、装置状態推定部62は、加速度センサ21により検出される温度制御装置1の加速度に基づいて、温度制御装置1の姿勢を推定する。また、装置状態推定部62は、例えば、図11に示されるように、温度制御装置1の姿勢に基づいて、温度制御装置1がユーザに装着されているか否かを推定する。
【0074】
例えば、装置状態推定部62は、温度制御装置1の長辺方向の鉛直方向(重力方向)に対する角度をθ(-90度≦θ≦90度)とした場合、例えば、-α≦θ≦α(例えば、α=10度)である場合、すなわち、温度制御装置1の長辺方向がほぼ鉛直方向を向いている場合、温度制御装置1がユーザに装着されていると推定する。一方、装置状態推定部62は、例えば、θ<-α又はθ>αである場合、すなわち、温度制御装置1の長手方向が鉛直方向から傾いている場合、温度制御装置1がユーザに装着されていないと推定する。
【0075】
また、装置状態推定部62は、例えば、-β<θ<-α又はα<θ<β(例えば、β=80度)である場合、温度制御装置1が斜め方向を向いていると判定する。さらに、装置状態推定部62は、例えば、-90度≦θ≦-β又はβ≦θ≦90度である場合、温度制御装置1がテーブル等に平置きされていると推定する。
【0076】
なお、装置状態推定部62は、例えば、ユーザ状態推定部61によりユーザが歩行中又は走行中であると推定された場合、温度制御装置1の姿勢の推定結果に補正を加える。これにより、例えば、ユーザが、温度制御装置1を収納したカバン等を携帯して歩行又は走行した場合に、温度制御装置1がユーザに装着されていると誤推定されることを防止することができる。
【0077】
そして、装置状態推定部62は、装着状態、すなわち、温度制御装置1がユーザに装着された状態が規定時間以上継続しているか否かを判定する。この判定処理は、装着状態が規定時間以上継続していると判定されるまで、繰り返し実行され、装着状態が規定時間以上継続していると判定された場合、処理はステップS2に進む。装置状態推定部62は、装着状態が規定時間以上継続していることを装置状態制御部63に通知する。
【0078】
ステップS2において、装置状態制御部63は、WARMモードに設定されているか否かを判定する。WARMモードに設定されていないと判定された場合、すなわち、COOLモード又はスマートクールモードに設定されている場合、処理はステップS3に進む。
【0079】
ステップS3において、装置状態制御部63は、冷温部の温度が閾値以上であるか否かを判定する。
【0080】
なお、オートスタート制御処理において、冷温部の温度の判定処理には、環境温度が使用される。また、体表面温度を使用するオプション設定がなされている場合、環境温度及び体表面温度の両方が使用される。
【0081】
装置状態制御部63は、環境温度のみを使用する場合、環境温度が閾値未満である場合、冷温部の温度が閾値未満であると判定し、処理はステップS4に進む。
【0082】
装置状態制御部63は、環境温度及び体表面温度の両方を使用する場合、環境温度及び体表面温度の両方が閾値未満である場合、冷温部の温度が閾値未満であると判定し、処理はステップS4に進む。
【0083】
ステップS4において、装置状態制御部63は、冷温部の温度の上昇率が閾値以上であるか否かを判定する。
【0084】
装置状態制御部63は、環境温度のみを使用する場合、環境温度の上昇率が閾値未満である場合、冷温部の温度の上昇率が閾値未満であると判定し、処理はステップS1に戻る。
【0085】
装置状態制御部63は、環境温度及び体表面温度の両方を使用する場合、環境温度及び体表面温度の両方の上昇率が閾値未満である場合、冷温部の温度の上昇率が閾値未満であると判定し、処理はステップS1に戻る。
【0086】
なお、環境温度及び体表面温度の変化率(上昇率又は降下率)は、例えば、各温度の測定値を時間微分した値を、閾値を用いて0又は1の2値に変換し、さらにその移動平均をとることにより算出される。
【0087】
その後、ステップS1以降の処理が実行される。
【0088】
一方、ステップS4において、装置状態制御部63は、環境温度のみを使用する場合、環境温度の上昇率が閾値以上である場合、冷温部の温度の上昇率が閾値以上であると判定し、処理はステップS5に進む。
【0089】
装置状態制御部63は、環境温度及び体表面温度の両方を使用する場合、環境温度及び体表面温度の少なくとも一方の上昇率が閾値以上である場合、冷温部の温度の上昇率が閾値以上であると判定し、処理はステップS5に進む。
【0090】
これは、例えば、ユーザが涼しい環境から暑い環境に移動した場合が想定される。
【0091】
また、ステップS3において、装置状態制御部63は、環境温度のみを使用する場合、環境温度が閾値以上である場合、冷温部の温度が閾値以上であると判定し、ステップS4の処理はスキップされ、処理はステップS5に進む。
【0092】
装置状態制御部63は、環境温度及び体表面温度の両方を使用する場合、環境温度及び体表面温度の少なくとも一方が閾値以上である場合、冷温部の温度が閾値以上であると判定し、ステップS4の処理はスキップされ、処理はステップS5に進む。
【0093】
これは、例えば、ユーザが暑い環境にいる場合が想定される。
【0094】
ステップS5において、温度制御装置1は、冷却動作を開始する。具体的には、装置状態制御部63は、温度制御装置1の電源をオンする。また、装置状態制御部63は、冷却動作の開始を温度制御部64に指示する。温度制御部64は、ペルチェ素子11及びファン13の駆動を開始し、冷却動作を開始する。
【0095】
その後、オートスタート制御処理は終了する。
【0096】
一方、ステップS2において、WARMモードに設定されていると判定された場合、処理はステップS6に進む。
【0097】
ステップS6において、装置状態制御部63は、冷温部の温度が閾値以下であるか否かを判定する。
【0098】
装置状態制御部63は、環境温度のみを使用する場合、環境温度が閾値を超えている場合、冷温部の温度が閾値を超えていると判定し、処理はステップS7に進む。
【0099】
装置状態制御部63は、環境温度及び体表面温度の両方を使用する場合、環境温度及び体表面温度の両方が閾値を超えている場合、冷温部の温度が閾値を超えていると判定し、処理はステップS7に進む。
【0100】
なお、ステップS3の処理とステップS6の処理の閾値は、個別に設定されてもよいし、共通であってもよい。
【0101】
ステップS7において、装置状態制御部63は、冷温部の温度の降下率が閾値以上であるか否かを判定する。
【0102】
装置状態制御部63は、環境温度のみを使用する場合、環境温度の降下率が閾値未満である場合、冷温部の温度の降下率が閾値未満であると判定し、処理はステップS1に戻る。
【0103】
装置状態制御部63は、環境温度及び体表面温度の両方を使用する場合、環境温度及び体表面温度の両方の降下率が閾値未満である場合、冷温部の温度の降下率が閾値未満であると判定し、処理はステップS1に戻る。
【0104】
その後、ステップS1以降の処理が実行される。
【0105】
一方、ステップS7において、装置状態制御部63は、環境温度のみを使用する場合、環境温度の降下率が閾値以上である場合、冷温部の温度の降下率が閾値以上であると判定し、処理はステップS8に進む。
【0106】
装置状態制御部63は、環境温度及び体表面温度の両方を使用する場合、環境温度及び体表面温度の少なくとも一方の降下率が閾値以上である場合、冷温部の温度の降下率が閾値以上であると判定し、処理はステップS8に進む。
【0107】
これは、例えば、ユーザが温暖な環境から寒い環境に移動した場合が想定される。
【0108】
なお、ステップS4の処理とステップS7の処理の閾値は、個別に設定されてもよいし、共通であってもよい。
【0109】
また、ステップS6において、装置状態制御部63は、環境温度のみを使用する場合、環境温度が閾値以下である場合、冷温部の温度が閾値以下であると判定し、ステップS7の処理はスキップされ、処理はステップS8に進む。
【0110】
また、装置状態制御部63は、環境温度及び体表面温度の両方を使用する場合、環境温度及び体表面温度の少なくとも一方が閾値以下である場合、冷温部の温度が閾値以下であると判定し、ステップS7の処理はスキップされ、処理はステップS8に進む。
【0111】
これは、例えば、ユーザが寒い環境にいる場合が想定される。
【0112】
ステップS8において、温度制御装置1は、加温動作を開始する。具体的には、装置状態制御部63は、温度制御装置1の電源をオンする。また、装置状態制御部63は、加温動作の開始を温度制御部64に指示する。温度制御部64は、ペルチェ素子11及びファン13の駆動を開始し、加温動作を開始する。
【0113】
その後、オートスタート制御処理は終了する。
【0114】
以上のようにして、環境温度及びその変化量に基づいて、冷却動作又は加温動作が開始される。これにより、迅速かつ適切に温度制御装置1(ユーザ)の周囲の環境の変化に対応して、ユーザの冷却又は加温を開始することができる。
【0115】
さらに、オプションで体表面温度及びその変化量が用いられることにより、より迅速かつ適切に温度制御装置1(ユーザ)の周囲の環境の変化に対応して、ユーザの冷却又は加温を開始することができる。
【0116】
<オートストップ制御処理>
次に、図12のフローチャートを参照して、温度制御装置1により実行されるオートストップ制御処理について説明する。この処理は、図8の状態遷移図のオン状態からスタンバイ状態への遷移時に実行される処理である。
【0117】
ステップS21において、装置状態推定部62は、水平状態が規定時間以上継続しているか否かを判定する。具体的には、装置状態推定部62は、図10のステップS1の処理と同様に、温度制御装置1の姿勢及び装着状態を推定する。装置状態推定部62は、温度制御装置1の姿勢の推定結果に基づいて、水平状態が規定時間以上継続しているか否かを判定する。水平状態が規定時間以上継続していないと判定された場合、処理はステップS22に進む。
【0118】
ステップS22において、装置状態推定部62は、温度制御装置1の装着状態の推定結果に基づいて、未装着状態が規定時間継続したか否かを判定する。未装着状態が規定時間継続していないと判定された場合、処理はステップS33に進む。
【0119】
ステップS23において、装置状態推定部62は、温度制御装置1の姿勢の推定結果に基づいて、静止状態が規定時間継続したか否かを判定する。静止状態とは、例えば、温度制御装置1の姿勢の変化が所定の範囲内である状態である。静止状態が規定時間継続していないと判定された場合、処理はステップS21に戻る。
【0120】
なお、ステップS21乃至ステップS23の処理の規定時間は、個別に設定されてもよいし、共通であってもよい。
【0121】
その後、ステップS21において、水平状態が規定時間継続していると判定されるか、ステップS22において、未装着状態が規定時間継続したと判定されるか、ステップS23において、静止状態が規定時間継続したと判定されるまで、ステップS21乃至ステップS23の処理が繰り返し実行される。
【0122】
一方、ステップS21において、水平状態が規定時間継続していると判定された場合、処理はステップS24に進む。
【0123】
これにより、例えば、温度制御装置1がユーザから取り外され、机の上等に平置きされている状態が検出される。
【0124】
また、ステップS22において、未装着状態が規定時間継続したと判定された場合、処理はステップS24に進む。
【0125】
さらに、ステップS23において、静止状態が規定時間継続したと判定された場合、処理はステップS24に進む。
【0126】
ステップS22及びステップS23の判定処理により、例えば、温度制御装置1がユーザから取り外され、平置き以外の状態で置かれたり、ユーザと共に移動するカバン等の中に収納されたりしている状態が検出される。
【0127】
ステップS24において、温度制御装置1は、冷却動作又は加温動作を停止する。具体的には、装置状態推定部62は、水平状態、未装着状態、又は、静止状態が規定時間継続したことにより、温度制御装置1がユーザから取り外されたと推定する。装置状態推定部62は、温度制御装置1がユーザから取り外されたことを装置状態制御部63に通知する。
【0128】
装置状態制御部63は、冷却動作又は加温動作の停止を温度制御部64に指示する。これに対して、温度制御部64は、ペルチェ素子11及びファン13を停止する。また、装置状態制御部63は、温度制御装置1の状態をスタンバイ状態に設定し、温度制御装置1の電源をオフする。
【0129】
その後、オートストップ制御処理は終了する。
【0130】
以上のようにして、温度制御装置1がユーザから取り外されると、温度制御装置1の電源が自動的にオフされる。これにより、温度制御装置1の省電力化が実現され、バッテリ14の使用時間を延ばすことができる。
【0131】
<温度制御処理>
次に、温度制御装置1の温度制御処理について説明する。
【0132】
例えば、温度制御装置1(温度制御部64)は、動作モードがCOOLモード又はWARMモードに設定されている場合、設定されている温度設定に基づいて、ペルチェ素子11の出力を制御する。この場合、設定温度に基づいてペルチェ素子11の出力は固定され、周囲の環境等に応じた温度制御は行われない。
【0133】
一方、温度制御装置1は、スマートクールモードに設定されている場合、周囲の環境等に応じて、ターゲット温度を自動的に調整したり、冷却動作のオン/オフを制御したりする。
【0134】
ここで、図13乃至図17を参照して、温度制御装置1がスマートクールモードに設定されている場合の温度制御装置1の温度制御処理について説明する。
【0135】
図13は、スマートクールモードに対する温度制御装置1の状態遷移図を示している。
【0136】
温度制御装置1は、スマートクールモードがオフされたオフ状態及びスマートクールモードがオンされたオン状態の2種類の状態間を遷移する。
【0137】
温度制御装置1は、例えば、APP操作、自動開始、又は、クイック起動により、オフ状態からオン状態に遷移する。APP操作は、ウエアラブル機器2上のAPPを用いてスマートクールモードをオンする操作である。自動開始は、例えば、温度制御装置1の電源がオンされたときに自動的にスマートクールモードがオンされる機能である。クイック起動は、例えば、インタフェース部51に対して所定の操作を行うことによりスマートクールモードを素早くオンする操作である。
【0138】
温度制御装置1は、例えば、APP操作、自動停止、又は、2秒長押しにより、オン状態からオフ状態に遷移する。APP操作は、ウエアラブル機器2上のAPPを用いてスマートクールモードをオフする操作である。自動停止は、例えば、温度制御装置1の電源がオフされたときに自動的にスマートクールモードがオフされる機能である。2秒長押しは、例えば、インタフェース部51の所定のボタンを2秒以上長押しすることによりスマートクールモードをオフする操作である。
【0139】
また、温度制御装置1は、オン状態の場合、冷却動作中及び冷却動作一時停止中の状態間を遷移する。冷却動作中は、温度制御装置1が冷却動作を実行している状態である。冷却動作一時停止中は、温度制御装置1が冷却動作を一時的に停止している状態である。
【0140】
例えば、温度制御装置1は、冷却動作中に、遷移条件C1が満たされた場合、冷却動作一時停止中に遷移する。遷移条件C1は、例えば、環境温度がT1℃以下、かつ、吸熱面温度が(設定温度+T2)℃以下の状態が所定の時間継続した場合とされる。T1は、例えば、28~32℃の範囲内に設定される。T2は、例えば、1~2℃の範囲内に設定される。
【0141】
例えば、温度制御装置1は、冷却動作一時停止中に、遷移条件C2が満たされた場合、冷却動作中に遷移する。遷移条件C2は、例えば、環境温度がT3℃以上になった場合、又は、吸熱面温度が(設定温度+T4)℃以上になった場合とされる。T3は、例えば、30~34℃の範囲内に設定される。T4は、例えば、2~4℃の範囲内に設定される。
【0142】
次に、図14及び図15を参照して、スマートクールモードにおけるターゲット温度の制御方法について説明する。
【0143】
温度制御装置1は、スマートクールモードに設定されている場合、環境温度、及び、ユーザの行動に基づいて、設定温度を基準にして、ターゲット温度を調整する。
【0144】
なお、環境温度とユーザの行動は、ユーザの体感温度に影響する異なる因子であるため、それぞれ独立して検出又は推定され、個別にターゲット温度の調整に用いられる。
【0145】
図14は、ウエアラブル機器2において表示されるスマートクールモードの設定画面の例を示している。
【0146】
この設定画面は、ウインドウ101、オプションボタン102、オフボタン103、及び、マニュアルボタン104を含む。
【0147】
ウインドウ101には、現在の温度を示すアイコン111、及び、ターゲット温度を示すターゲット温度領域112が表示される。
【0148】
アイコン111の位置は、例えば、吸熱面温度の変化に合わせて上下方向に移動する。
【0149】
ターゲット温度領域112の位置は、ターゲット温度の変化に合わせて上下方向に移動する。
【0150】
オプションボタン102が押下されると、お好み温度設定ウインドウ105が表示される。お好み温度設定ウインドウ105において、ユーザは「ぬるめ」、「ややぬるめ」、「普通」、「やや冷ため」、及び、「冷ため」の5段階の中から所望の設定温度を選択することができる。
【0151】
お好み温度が「ぬるめ」に設定された場合、例えば、設定温度は29~31℃に設定される。お好み温度が「ややぬるめ」に設定された場合、例えば、設定温度は28~30℃に設定される。お好み温度が「普通」に設定された場合、例えば、設定温度は27~29℃に設定される。お好み温度が「やや冷ため」に設定された場合、例えば、設定温度は26~28℃に設定される。お好み温度が「冷ため」に設定された場合、例えば、設定温度は25~27℃に設定される。そして、温度制御部64は、ターゲット温度の初期値をユーザにより設定された設定温度に設定する。
【0152】
オフボタン103が押下されると、温度制御装置1の電源がオフされる。
【0153】
マニュアルボタン104が押下されると、例えば、動作モードをCOOLモード又はWARMモードに設定し、設定温度を設定するための画面が表示される。
【0154】
図15は、衣服内の快適性を表す指標の一例を示している。図15の横軸は、衣服内の温度(単位は℃)を示し、縦軸は、衣服内の相対湿度(単位は%RH)を示している。
【0155】
この図に示されるように、人の快不快は、衣服内の温度及び湿度により変化する。
【0156】
これに対して、温度制御装置1は、ユーザの衣服内の温度(環境温度)に応じて、ターゲット温度を調整する。
【0157】
例えば、温度制御部64は、環境温度が所定の範囲内(例えば、30~34℃)である場合、ターゲット温度を現在の値のまま変更しない。
【0158】
一方、例えば、温度制御部64は、環境温度が上述した所定の範囲未満である場合、すなわち、涼しい環境である場合、ターゲット温度を現在の値から+x℃(例えば、+1~+2℃)だけ上げる。
【0159】
また、例えば、温度制御部64は、環境温度が上述した所定の範囲を超えている場合、すなわち、かなり暑い環境である場合、ターゲット温度を現在の値から-y℃(例えば、-0.5~-1℃)だけ下げる。
【0160】
なお、ターゲット温度を上げる幅(+1~+2℃)の方が、下げる幅(-0.5~-1℃)よりも大きい。ただし、例えば、両者を同じ値にしてもよいし、ターゲット温度を上げる幅を、下げる幅より小さくすることも可能である。
【0161】
さらに、温度制御部64は、ユーザの行動に基づいて、ターゲット温度を調整する。
【0162】
例えば、温度制御部64は、ユーザが歩いたり走ったりすることにより体を動かす状態(以下、活動状態と称する)が継続した場合、活動状態の終了後に、しばらくターゲット温度を下げる。具体的には、例えば、温度制御部64は、ユーザ状態推定部61によりユーザが活動状態であると推定された状態が規定時間(例えば、5分間)以上継続した後、活動状態が停止したと推定された場合、ターゲット温度を所定の時間(例えば、30秒間)、所定の温度(例えば、-0.5~-1℃)だけ下げる。
【0163】
例えば、人は活動中より活動後に暑さを感じる場合が多い。そのため、このように、活動後に所定の時間ターゲット温度が下げられる。
【0164】
次に、図16のフローチャートを参照して、温度制御装置1の状態が図13の冷却動作中である場合の温度制御装置1の温度制御処理の例について説明する。
【0165】
ステップS51において、温度制御部64は、前回のフィードバック制御から所定の時間(例えば、5~10秒)待機する。
【0166】
ステップS52において、温度制御部64は、冷温部の温度とターゲット温度との差が閾値を超えているか否かを判定する。例えば、温度制御部64は、吸熱面温度とターゲット温度との差が閾値を超えていない場合、冷温部の温度とターゲット温度との差が閾値を超えていないと判定し、処理はステップS51に戻る。閾値は、例えば、±0.1~±1.0℃の範囲内に設定される。
【0167】
なお、上述したように、ターゲット温度は、必ずしも設定温度と一致せず、状況に応じて調整される。
【0168】
その後、ステップS52において、冷温部の温度とターゲット温度との差が閾値を超えていると判定されるまで、ステップS51及びステップS52の処理が繰り返し実行される。
【0169】
一方、ステップS52において、例えば、温度制御部64は、吸熱面温度とターゲット温度との差が閾値を超えている場合、冷温部の温度とターゲット温度との差が閾値を超えていると判定し、処理はステップS53に進む。
【0170】
ステップS53において、温度制御部64は、冷温部の温度がターゲット温度以上であるか否かを判定する。例えば、温度制御部64は、吸熱面温度がターゲット温度以上である場合、冷温部の温度がターゲット温度を以上であると判定し、処理はステップS54に進む。
【0171】
ステップS54において、温度制御部64は、フィン12の温度変化が正常であるか否かを判定する。例えば、温度制御部64は、フィン温度が所定の閾値未満である場合、フィン12の温度変化が正常であると判定し、処理はステップS55に進む。
【0172】
ステップS55において、温度制御部64は、ペルチェ素子11の出力が上限に達しているか否かを判定する。ペルチェ素子11の出力が上限に達していないと判定された場合、処理はステップS56に進む。
【0173】
ステップS56において、温度制御部64は、ペルチェ素子11の出力を上げる。例えば、温度制御部64は、ペルチェ素子11の出力を所定の割合(例えば、1~50%)だけ上げる。これにより、ペルチェ素子11の吸熱側の温度が低下する(冷却温度が下がる)。
【0174】
その後、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。
【0175】
一方、ステップS55において、ペルチェ素子11の出力が上限に達していると判定された場合、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。この場合、ペルチェ素子11の出力は変更されない。
【0176】
また、ステップS54において、例えば、温度制御部64は、フィン温度が所定の閾値以上である場合、フィン12の温度変化が異常であると判定し、処理はステップS57に進む。
【0177】
これは、例えば、ペルチェ素子11の異常により吸熱側と放熱側の温度差が大きくなり過ぎていたり、ファン13の異常、吸気口10I又は排気口10Eが塞がれている等の要因により、フィン12の冷却が正常に行われていなかったりする場合が想定される。
【0178】
ステップS57において、温度制御部64は、ペルチェ素子11の出力を下げる。例えば、温度制御部64は、ペルチェ素子11の出力を所定の割合(例えば、1~50%)だけ下げる。これにより、ペルチェ素子11の吸熱側の温度が上昇する(冷却温度が上がる)。
【0179】
その後、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。
【0180】
一方、ステップS53において、例えば、温度制御部64は、吸熱面温度がターゲット温度未満である場合、冷温部の温度がターゲット温度未満であると判定し、処理はステップS58に進む。
【0181】
ステップS58において、ステップS54の処理と同様に、フィン12の温度変化が正常であるか否かが判定される。フィン12の温度変化が正常であると判定された場合、処理はステップS59に進む。
【0182】
ステップS59において、温度制御部64は、ペルチェ素子11の出力を下げる。例えば、温度制御部64は、ペルチェ素子11の出力を所定の割合(例えば、1~50%)だけ下げる。これにより、ペルチェ素子11の吸熱側の温度が上昇する(冷却温度が上がる)。
【0183】
その後、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。
【0184】
一方、ステップS58において、フィン12の温度変化が異常であると判定された場合、処理はステップS60に進む。
【0185】
ステップS60において、温度制御部64は、ペルチェ素子11の出力を1/n(例えば、1/10~1/2)にする。これにより、ペルチェ素子11の吸熱側の温度が上昇する(冷却温度が上がる)。
【0186】
その後、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。
【0187】
以上のようにして、冷温部の温度(例えば、吸熱面温度)がターゲット温度に近づくように、ペルチェ素子11の出力が制御され、ペルチェ素子11の温度(素子温度)が制御される。また、上述したように、周囲の環境(例えば、環境温度)、及び、ユーザの状態(例えば、ユーザの行動)に基づいて、ターゲット温度が調整される。従って、周囲の環境及びユーザの状態に基づいて、ペルチェ素子11の温度が制御され、温度制御装置1の冷却温度が適切に調整される。その結果、ユーザの快適性が向上する。
【0188】
例えば、図17は、吸熱面温度及びフィン温度の時系列の変化の例を示している。横軸は、温度制御装置1が装着されてからの経過時間(単位は分)を示し、縦軸は温度(単位は℃)を示している。
【0189】
この例では、設定温度が28℃に設定されている。そして、例えば、ユーザが、温度制御装置1の装着中に涼しい環境に移動した場合、ターゲット温度が28℃から29℃に自動的に調整されることにより、吸熱面温度がほぼ一定に保たれる。これにより、ユーザにとって最適な体感温度が保たれ、快適性が向上する。
【0190】
<<2.変形例>>
<温度制御に関する変形例>
以上の説明では、環境センサ19が、衣服内の温度を環境温度として測定する例を示したが、例えば、環境センサ19が、衣服内の温度の代わりに、衣服の外の外気温を環境温度として測定したり、衣服内の温度と外気温の両方を測定したりするようにしてもよい。外気温の測定が可能になることにより、温度制御装置1は、さらに適切に温度調整を実行することが可能になり、ユーザの快適性が向上する。
【0191】
例えば、以上の説明では、温度制御装置1は、冷却温度を自動調整する例を示したが、加温温度を自動調整できるようにしてもよい。この場合、例えば、温度制御部64が、環境センサ19が測定した外気温を用いることにより、加温温度をより適切に調整することが可能になる。
【0192】
例えば、温度制御装置1が、冷却動作と加温動作を自動的に切り替えることができるようにしてもよい。この場合、例えば、装置状態制御部63が、環境センサ19が測定した外気温を用いることにより、冷却動作と加温動作とをより適切に切り替えることが可能になる。なお、例えば、装置状態制御部63は、外気温に加えて、季節等を考慮して、冷却動作と加温動作とを切り替えるようにしてもよい。
【0193】
<ターゲット温度の調整方法に関する変形例>
例えば、生体センサ等により検出されるユーザの生体情報に基づいて、ターゲット温度が調整されるようにしてもよい。そのような生体情報としては、例えば、ユーザの活動量(例えば、消費カロリー)、心拍数等が想定される。
【0194】
また、例えば、ユーザの行動と生体情報の両方に基づいて、ターゲット温度が調整されるようにしてもよい。
【0195】
<温度制御装置1の装着の有無の検出方法に関する変形例>
以上の説明では、加速度センサ21を用いて温度制御装置1の装着の有無(装着及び取り外し)を検出する例を示したが、他の方法を採用することも可能である。
【0196】
例えば、加速度センサ21以外の体表面センサ20、角速度センサ、タッチセンサ等の他のセンサを用いて、又は、加速度センサ21と他のセンサとを組み合わせて、温度制御装置1の装着の有無を検出するようにしてもよい。
【0197】
<温度制御装置1の装着方法に関する変形例>
以上の説明では、下着81のポケット81Pに温度制御装置1を収納し、ユーザの頸椎近傍に配置されるように温度制御装置1が装着される例を示したが、温度制御装置1の装着方法や装着位置は、特に限定されない。
【0198】
例えば、下着81以外の下着や衣服が備えるポケットに温度制御装置1を収納するようにしてもよい。例えば、ストラップやサポータ等を用いて温度制御装置1がユーザに装着されるようにしてもよい。
【0199】
例えば、ユーザは、頸椎以外の冷却又は加温したい任意の体の部位に温度制御装置1を装着したり、手に持って当てたりすることが可能である。また、ユーザは、温度制御装置1が直接肌に接触するように装着することも可能であるし、温度制御装置1が布等を介して間接的に肌に接触するように装着することも可能である。
【0200】
<その他の変形例>
以上、実施の形態及び変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態等において例示した温度制御装置1の構成要素及び配置等は、あくまで一例であり、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0201】
また、上記実施の形態等では、本技術の温度変化素子の一具体例として、ペルチェ素子11を挙げて説明したが、温度変化素子は他のものにより構成されていてもよい。
【0202】
また、上記実施の形態等では、温度制御装置1の使用例として、人が身に付ける例を説明したが、温度制御装置1は、例えば、飲み物等の物の冷却又は温めを行ってもよい。あるいは、温度制御装置1により、スマートフォン等の冷却を行うことも可能である。
【0203】
<<3.その他>>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0204】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0205】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0206】
さらに、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0207】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0208】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0209】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0210】
<構成の組み合わせ例>
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
【0211】
(1)
周囲の環境の温度である環境温度を測定する環境センサと、
少なくともユーザの体表面の冷却に用いられる温度変化素子と、
前記環境温度に基づいて、前記温度変化素子の温度である素子温度を制御する温度制御部と
を備える温度制御装置。
(2)
前記温度制御部は、前記環境温度に基づいてターゲット温度を調整し、前記ターゲット温度に基づいて前記素子温度を制御する
前記(1)に記載の温度制御装置。
(3)
前記温度変化素子の吸熱面の温度である吸熱面温度を測定する吸熱面センサを
さらに備え、
前記温度制御部は、前記吸熱面温度と前記ターゲット温度との差が所定の範囲を超えている場合、前記吸熱面温度が前記ターゲット温度より高いとき、前記素子温度を下げ、前記吸熱面温度が前記ターゲット温度より低いとき、前記素子温度を上げる
前記(2)に記載の温度制御装置。
(4)
前記温度変化素子の放熱に用いられる放熱部材と、
前記放熱部材の温度である放熱部材温度を計測する放熱部材センサと
を備え、
前記温度制御部は、前記放熱部材温度が所定の閾値以上である場合、前記素子温度を上げる
前記(3)に記載の温度制御装置。
(5)
前記温度制御部は、ユーザ設定に基づいて前記ターゲット温度の初期値を設定する
前記(2)乃至(4)のいずれかに記載の温度制御装置。
(6)
前記温度制御部は、前記環境温度が所定の範囲未満である場合、前記素子温度を上げ、前記環境温度が前記所定の範囲を超えている場合、前記素子温度を上げる
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の温度制御装置。
(7)
前記素子温度を上げる幅の方が、前記素子温度を下げる幅より大きい
前記(6)に記載の温度制御装置。
(8)
前記ユーザへの装着の有無を推定する装置状態推定部と、
前記ユーザへの装着の有無に基づいて、前記温度変化素子による冷却動作の開始及び停止のうち少なくとも一方を制御する装置状態制御部と
を備える前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の温度制御装置。
(9)
前記装置状態制御部は、さらに前記環境温度及びその変化率のうち少なくとも1つに基づいて、前記冷却動作の開始を制御する
前記(8)に記載の温度制御装置。
(10)
前記体表面の温度である体表面温度を測定する体表面センサを
さらに備え、
前記装置状態制御部は、さらに前記体表面温度及びその変化率のうち少なくとも1つに基づいて、前記冷却動作の開始を制御する
前記(9)に記載の温度制御装置。
(11)
前記装置状態推定部は、前記温度制御装置の姿勢をさらに推定し、
前記装置状態制御部は、さらに前記温度制御装置の姿勢に基づいて、前記冷却動作の停止を制御する
前記(8)乃至(10)のいずれかに記載の温度制御装置。
(12)
前記装置状態推定部は、前記温度制御装置の姿勢に基づいて、前記ユーザへの装着の有無を推定する
前記(11)に記載の温度制御装置。
(13)
前記ユーザの状態を推定するユーザ状態推定部を
さらに備え、
前記温度制御部は、さらに前記ユーザの状態に基づいて、前記素子温度を調整する
前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の温度制御装置。
(14)
前記ユーザ状態推定部は、前記ユーザの行動及び活動量のうち少なくとも1つを推定し、
前記温度制御部は、前記ユーザの行動及び活動量のうち少なくとも1つに基づいて、前記素子温度を調整する
前記(13)に記載の温度制御装置。
(15)
前記温度制御部は、前記ユーザの所定の行動が所定の時間以上継続した場合、前記所定の行動が停止した後、前記素子温度を下げる
前記(14)に記載の温度制御装置。
(16)
前記温度制御部は、前記所定の行動が停止した後、前記素子温度を所定の時間下げる
前記(15)に記載の温度制御装置。
(17)
前記温度変化素子は、さらに前記体表面の加温に用いられる
前記(1)乃至(16)のいずれかに記載の温度制御装置。
(18)
前記温度変化素子の放熱に用いられる放熱部材と、
前記放熱部材の周囲の換気を行うファンと
をさらに備える前記(1)乃至(17)のいずれかに記載の温度制御装置。
(19)
前記環境温度は、前記ユーザの衣服内の温度である
前記(1)乃至(18)のいずれかに記載の温度制御装置。
(20)
温度制御装置が、
周囲の環境の温度である環境温度を測定し、
前記環境温度に基づいて、少なくともユーザの体表面の冷却に用いられる温度変化素子の温度である素子温度を制御する
温度制御方法。
【0212】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0213】
1 温度制御装置, 2 ウエアラブル機器, 10 筐体, 11 ペルチェ素子, 12 フィン, 13 ファン, 14 バッテリ, 15 回路基板, 16 吸熱面センサ, 18 フィンセンサ, 19 環境センサ, 20 体表面センサ, 21 加速度センサ, 22 無線通信部, 51 インタフェース部, 52 制御部, 61 ユーザ状態推定部, 62 装置状態推定部, 63 装置状態制御部, 64 温度制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17