(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159563
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】間仕切壁
(51)【国際特許分類】
E04B 2/72 20060101AFI20231025BHJP
E04C 2/04 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
E04B2/72 Z
E04C2/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069317
(22)【出願日】2022-04-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)掲載アドレス(トップページ)https://www.chiyoda-ute.co.jp/ (発明掲載ページ) https://www.chiyoda-ute.co.jp/news/page.php?id=471 令和3年8月2日掲載 (2)日刊木材新聞社、日刊木材新聞、令和3年10月14日付朝刊、第7面 (3)株式会社日刊建設通信新聞社、建設通信新聞、令和3年8月10日付朝刊、第3頁 (4)株式会社イプロス、会員向けメールマガジン、令和3年10月13日付トップコラム記事 (5)中四国チヨダ工事店会親睦会、令和3年10月22日開催 (6)名古屋チヨダ会親睦会、令和3年10月28日開催 (7)中部チヨダ工事会親睦会、令和3年11月5日開催 (8)YouTube、掲載アドレス https://www.youtube.com/watch?v=Wb7283PA7Kg 令和3年8月20日公開 (9)ダイレクトメール、令和3年8月25日送信 (10)ダイレクトメール、令和3年11月30日送信
(71)【出願人】
【識別番号】000199245
【氏名又は名称】チヨダウーテ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 英憲
(72)【発明者】
【氏名】行元 陽亮
(72)【発明者】
【氏名】牧野 貴斗
(72)【発明者】
【氏名】新田 亙
(72)【発明者】
【氏名】堤 康祐
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】施工時の作業性に優れる間仕切壁の提供。
【解決手段】本発明の間仕切壁は、上側ランナーと、下側ランナーと、複数のスタッド6と、スタッド6を間においた両側にそれぞれ配される一対の壁面部材とを備える。壁面部材は、複数の下張り面材10からなる下側壁面部材11と、複数の上張り面材12からなり、下側壁面部材11の外側に重ねられる上側壁面部材13とを有する。下張り面材10は、各々がスタッド6に沿うように重ねられる互いに平行な1組の下張第1端部10aと、複数のスタッド6と重なるように配される互いに平行な1組の下張第2端部10bとを含む。上張り面材12は、各々が下側壁面部材11越しにスタッド6に沿うように重ねられる互いに平行な1組の上張第1端部12aと、下張第2端部12bと重ならない状態で下側壁面部材11越しに複数のスタッド6と重なるように配される互いに平行な1組の上張第2端部12bとを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の天井躯体に固定された上側ランナーと、
前記建築物の床躯体に固定された下側ランナーと、
前記上側ランナーと前記下側ランナーとの間において、互いに間隔を保ちつつ整列した状態で立設された複数のスタッドと、
前記スタッドを間においた両側にそれぞれ配される一対の壁面部材と、を備える間仕切壁であって、
前記壁面部材は、複数の下張り面材が1つの壁面を構成するように並べられてなる下側壁面部材と、複数の上張り面材が1つの壁面を構成するように並べられつつ、前記下側壁面部材の外側に重ねられる上側壁面部材とを有し、
前記下張り面材は、各々が前記スタッドに沿うように重ねられる互いに平行な1組の下張第1端部と、複数の前記スタッドと重なるように配される互いに平行な1組の下張第2端部とを含み、かつ前記スタッドに対して、複数の第1ビスを利用したビス留めにより固定され、
前記上張り面材は、各々が前記下側壁面部材越しに前記スタッドに沿うように重ねられる互いに平行な1組の上張第1端部と、前記下張第2端部と重ならない状態で前記下側壁面部材越しに複数の前記スタッドと重なるように配される互いに平行な1組の上張第2端部とを含み、かつ前記スタッドに対して、前記第1ビスよりも長さの長い複数の第2ビスを利用したビス留めにより前記下側壁面部材と共に固定され、
前記スタッドの立設方向において、隣り合った前記第1ビス同士の間隔d1が、100mm以上910mm以下であり、隣り合った前記第2ビス同士の間隔d2が、100mm以上303mm以下であり、かつ隣り合った前記第1ビスと前記第2ビスとの間隔d3が、少なくとも45mm以上である間仕切壁。
【請求項2】
前記壁面部材は、前記下側壁面部材と、前記上側壁面部材との間に接着剤層を備えていない請求項1に記載の間仕切壁。
【請求項3】
複数の前記第1ビスは、少なくとも前記下張り面材の四隅にそれぞれ配され、
複数の前記第2ビスは、少なくとも前記上張り面材の四隅にそれぞれ配される請求項1又は請求項2に記載の間仕切壁。
【請求項4】
前記スタッドの立設方向に対して垂直な方向において、隣り合った前記第1ビス同士の間隔、及び隣り合った前記第2ビス同士の間隔が、150mm以上606mm以下である請求項1に記載の間仕切壁。
【請求項5】
前記上張り面材及び前記下張り面材が、それぞれ石膏ボードからなる請求項1に記載の間仕切壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切壁に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内部空間を区画する間仕切壁の構造として、特許文献1,2に示されるものが知られている。この種の間仕切壁は、建築物の天井スラブ(躯体)に固定された上側ランナーと、床スラブ(躯体)に固定された下側ランナーとの間で整列した状態で立設された複数本のスタッドと、各々がスタッドに固定され、かつスタッドを挟むように互いに対向する一対の壁面部材とを備えている。
【0003】
壁面部材は、間仕切壁の壁面を構成する部材であり、スタッドに固定される複数の下張り面材と、それらの下張り面材に対して、外側から重ねられる複数の上張り面材とを備えている。下張り面材及び上張り面材は、それぞれ耐火性に優れる石膏ボード等からなり、それぞれ複数のものが建て込まれて1つの壁面を構成するように並べられている。
【0004】
下張り面材は、スタッドにビス留めにより固定される。上張り面材は、スタッドに固定された下張り面材に対して、接着剤を利用して固定される。接着剤は、下張り面材と上張り面材との間で挟まれて、薄く広がった層状に形成される。なお、上張り面材は、このような層状の接着剤(つまり、接着剤層)と共に、通常、ビスやステープル等を併用して、下張り面材に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-4455号公報
【特許文献2】特開2010-229630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の間仕切壁の施工時において、接着剤を利用して上張り面材を下張り面材に固定する作業が煩わしく、問題となっていた。接着剤は、下張り面材と上張り面材との間に、万遍なく、均一に塗布等される必要があり、またその塗布作業や塗布量の管理等に時間や手間を要するため、問題となっていた。
【0007】
本発明の目的は、施工時の作業性に優れる間仕切壁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る間仕切壁は、建築物の天井躯体に固定された上側ランナーと、前記建築物の床躯体に固定された下側ランナーと、前記上側ランナーと前記下側ランナーとの間において、互いに間隔を保ちつつ整列した状態で立設された複数のスタッドと、前記スタッドを間においた両側にそれぞれ配される一対の壁面部材と、を備える間仕切壁であって、前記壁面部材は、複数の下張り面材が1つの壁面を構成するように並べられてなる下側壁面部材と、複数の上張り面材が1つの壁面を構成するように並べられつつ、前記下側壁面部材の外側に重ねられる上側壁面部材とを有し、前記下張り面材は、各々が前記スタッドに沿うように重ねられる互いに平行な1組の下張第1端部と、複数の前記スタッドと重なるように配される互いに平行な1組の下張第2端部とを含み、かつ前記スタッドに対して、複数の第1ビスを利用したビス留めにより固定され、前記上張り面材は、各々が前記下側壁面部材越しに前記スタッドに沿うように重ねられる互いに平行な1組の上張第1端部と、前記下張第2端部と重ならない状態で前記下側壁面部材越しに複数の前記スタッドと重なるように配される互いに平行な1組の上張第2端部とを含み、かつ前記スタッドに対して、前記第1ビスよりも長さの長い複数の第2ビスを利用したビス留めにより前記下側壁面部材と共に固定され、前記スタッドの立設方向において、隣り合った前記第1ビス同士の間隔d1が、100mm以上910mm以下であり、隣り合った前記第2ビス同士の間隔d2が、100mm以上303mm以下であり、かつ隣り合った前記第1ビスと前記第2ビスとの間隔d3が、少なくとも45mm以上である。
【0009】
前記間仕切壁において、前記壁面部材は、前記下側壁面部材と、前記上側壁面部材との間に接着剤層を備えていないことが好ましい。
【0010】
前記間仕切壁において、複数の前記第1ビスは、少なくとも前記下張り面材の四隅にそれぞれ配され、複数の前記第2ビスは、少なくとも前記上張り面材の四隅にそれぞれ配されることが好ましい。
【0011】
前記間仕切壁において、前記スタッドの立設方向に対して垂直な方向において、隣り合った前記第1ビス同士の間隔、及び隣り合った前記第2ビス同士の間隔が、150mm以上606mm以下であってもよい。
【0012】
前記間仕切壁において、前記上張り面材及び前記下張り面材が、それぞれ石膏ボードからなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、施工時の作業性に優れる間仕切壁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】下張り面材と上張り面材との配置関係を示す説明図
【
図4】隣り合ったビス同士の間の距離(間隔)を示す説明図
【
図5】実施形態2の間仕切壁における下張り面材と上張り面材との配置関係を示す説明図
【
図6】実施形態3の間仕切壁における下張り面材と上張り面材との配置関係を示す説明図
【
図7】実施形態4の間仕切壁における下張り面材と上張り面材との配置関係を示す説明図
【
図8】実施形態5の間仕切壁における下張り面材と上張り面材との配置関係を示す説明図
【
図10】(A)試験サンプルの正面図、(B)試験サンプルの上面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1を、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1の間仕切壁1の部分破断斜視図である。間仕切壁1は、建築物(例えば、鉄筋コンクリート造のホテル、鉄骨造の工場等)の内部空間を区画する壁状の構造物である。
【0016】
間仕切壁1は、
図1に示されるように、建築物の天井躯体(天井スラブ)2と、床躯体(床スラブ)3との間に形成される。間仕切壁1は、天井躯体2の表面(天井面)に配設されている上側ランナー4と、床躯体3の表面(床面)に配設されている下側ランナー5を介して、建築物内部に取り付けられる。
【0017】
上側ランナー4及び下側ランナー5は、金属製の板材(例えば、板厚0.4mmの溶融亜鉛メッキ鋼板)の両側縁が起立するように折り曲げられ、かつ内側に溝が形成されるように断面コの字型に加工されたものからなる。上側ランナー4及び下側ランナー5は、全体的には、水平方向に沿って延びた長手状をなしている。上側ランナー4は、溝が下方を向く形で、天井躯体2の表面にランナー固定ピン等の係止具を利用して固定されている。これに対し、下側ランナー5は、溝が上方を向く形で、床躯体3の表面にランナー固定ピン等の係止具を利用して固定されている。上側ランナー4及び下側ランナー5は、互いに対向しつつ平行に並ぶ形で、それぞれ天井躯体2の表面及び床躯体3の表面に配されている。
【0018】
また、間仕切壁1は、複数のスタッド6を備えている。スタッド6は、建築物の天井躯体2と床躯体3との間において、互いに間隔を保ちつつ整列した状態で立設されている。スタッド6は、金属製の板材(例えば、板厚0.4mmの溶融亜鉛メッキ鋼板)が略コの字型に加工されてなる部材(50形、JIS材)であり、全体的には、鉛直方向(上下方向)に沿って延びた長手状をなしている。なお、スタッド6の上端は、上側ランナー4の溝内に挿入された状態で、天井躯体2側で位置決めされ、また、スタッド6の下端は、下側ランナー5の溝内に挿入され、かつ床躯体3上に載せられた状態で位置決めされている。このようにして複数のスタッド6は、等間隔で一列に並んだ状態で、天井躯体2と床躯体3との間に立設されている。本明細書において、スタッド6の長手方向を、「立設方向」と称する。
【0019】
本実施形態の間仕切壁1は、所謂、両面2枚両面張り構造であり、上記のように一列に並んだ状態のスタッド6に対して、一対の壁面部材9A,9Bが固定されている。
図1において、一対の壁面部材9A,9Bのうち、手前側のものが「壁面部材9A」と示され、奥側のものが「壁面部材9B」と示される。なお、本明細書では、壁面部材9A,9Bにおいて、スタッド6を向く側を、裏側(内側)とし、その逆側を、表側(外側)とする。
【0020】
図2は、
図1のA-A’線断面図である。
図2には、間仕切壁1を水平方向に切断した断面図が示されている。
図2に示されるように、スタッド6を間においた両側にそれぞれ壁面部材9A,9Bが配されている。壁面部材9A,9Bは、それぞれスタッド6に固定されている。壁面部材9A及び壁面部材9Bは、基本的に、同じ構造を備えている。そのため、それらを区別する必要がない場合、それらをまとめて壁面部材9と表す。
【0021】
壁面部材9は、複数の下張り面材10が1つの壁面を構成するように並べられてなる下側壁面部材11と、複数の上張り面材12が1つの壁面を構成するように並べられつつ、下側壁面部材11の外側に重ねられる上側壁面部材13とを備える。
【0022】
下側壁面部材11を構成する各下張り面材10は、複数の第1ビス14を利用して、スタッド6に固定(ビス留め)される。また、上側壁面部材13を構成する各上張り面材12は、複数の第2ビス15を利用して、下側壁面部材11(下張り面材10)と共にスタッド6に固定(ビス留め)される。第2ビス15は、第1ビス14よりも長さが長い。第1ビス14としては、例えば、直径7mm(φ3.5)、長さ22mm以上のビス(皿頭ビス)が利用される。第2ビス15としては、例えば、直径7mm(φ3.5)、長さ35mm以上のビス(皿頭ビス)が利用される。
【0023】
図3は、下張り面材10と上張り面材12との配置関係を示す説明図である。
図3には、説明の便宜上、下側壁面部材11を構成する一部の下張り面材10と、上側壁面部材13を構成する一部の上張り面材12とが示されている。
【0024】
下張り面材10は、所定の厚みを有する長方形状の面材である。本実施形態の下張り面材10は、強化石膏ボード(厚み:12.5mm、短辺の長さ:910mm、長辺の長さ:1820mm、石膏ボードの一例)からなる。下張り面材10のサイズ(厚み、長辺の長さ、短辺の長さ)は、目的に応じて、適宜、設定されてもよい。なお、下側壁面部材11を構成する複数の下張り面材10のうち、下側壁面部材11の周縁側(上側、下側等)等に配置される、一部のものについては、配置スペース等の都合により、通常サイズよりも小さくなるように、適宜、サイズが調整されてもよい。下張り面材10の厚みは、本発明の目的を損なわない限り、特に制限されないが、例えば、9.5mm以上27mm以下に設定されてもよい。
【0025】
本実施形態の場合、下張り面材10は、所謂、「横張」の状態で、スタッド6に固定される。つまり、下張り面材10は、短辺側の端部10aがスタッド6の立設方向(長手方向、上下方向)に沿いつつ、長辺側の端部10bが前記立設方向に垂直な方向(水平方向)に沿うように、配置される。そのため、本実施形態の場合、下張り面材10の短辺側の端部10aが、「下張第1端部」となり、下張り面材10の長辺側の端部10bが、「下張第2端部」となる。下張り面材10は、各々がそれぞれ対応する1つのスタッド6に沿うように重ねられる互いに平行な1組の短辺側の端部(下張第1端部)10aと、各々が複数のスタッド6と重なるように配される互いに平行な1組の長辺側の端部(下張第2端部)10bとを有する。短辺側の端部(下張第1端部)10aは、上下方向に延びた形をなしており、1つのスタッド6の立設方向(長手方向)に沿う形で重ねられる。長辺側の端部(下張第2端部)10bは、水平方向に延びた形をなしており、複数のスタッド6を横切る形で重ねられる。つまり、長辺側の端部(下張第2端部)10bは、水平方向において、部分的に、複数のスタッド6と重なっている。
【0026】
上張り面材12は、所定の厚みを有する長方形状の面材である。本実施形態の上張り面材12は、下張り面材10と同様、強化石膏ボード(厚み:12.5mm、短辺の長さ:910mm、長辺の長さ:1820mm、石膏ボードの一例)からなる。上張り面材12のサイズ(厚み、長辺の長さ、短辺の長さ)は、目的に応じて、適宜、設定されてもよい。なお、上側壁面部材13を構成する複数の上張り面材12のうち、上側壁面部材13の周縁側(上側、下側等)等に配置される、一部のものについては、配置スペース等の都合により、通常サイズよりも小さくなるように、適宜、サイズが調整されてもよい。上張り面材12の厚みは、本発明の目的を損なわない限り、特に制限されないが、例えば、9.5mm以上27mm以下に設定されてもよい。
【0027】
本実施形態の場合、上張り面材12は、所謂、「横張」の状態で、下側壁面部材11(下張り面材10)越しに、スタッド6に固定される。つまり、上張り面材12は、短辺側の端部12aが、スタッド6の立設方向(長手方向、上下方向)に沿いつつ、長辺側の端部12bが、前記立設方向に垂直な方向(水平方向)に沿うように配置される。そのため、本実施形態の場合、上張り面材12の短辺側の端部12aが、「上張第1端部」となり、上張り面材12の長辺側の端部12bが、「上張第2端部」となる。上張り面材12は、各々が下側壁面部材11(下張り面材10)越しにそれぞれ対応する1つのスタッド6に沿うように重ねられる互いに平行な1組の短辺側の端部(上張第1端部)12aと、下張り面材10の長辺側の端部(下張第2端部)10bと重ならない状態で、下側壁面部材11(下張り面材10)越しに複数のスタッド6と重なるように配される互いに平行な1組の長辺側の端部(上張第2端部)12bとを有する。短辺側の端部(上張第1端部)12aは、上下方向に延びた形をなしており、下側壁面部材11(下張り面材10)越しに、1つのスタッド6の立設方向(長手方向)に沿う形で重ねられる。長辺側の端部(上張第2端部)12bは、水平方向に延びた形をなしており、複数のスタッド6を横切る形で重ねられる。
つまり、長辺側の端部(上張第2端部)12bは、水平方向において、部分的に、複数のスタッド6と重なっている。ただし、上張り面材12における長辺側の端部(上張第2端部)12bは、下張り面材12における長辺側の端部(下張第2端部)10bと重ならないように配置される。つまり、壁面部材9では、下側壁面部材11の横目地と、上側壁面部材13の横目地とが互いに重ならないように設定される。
【0028】
第1ビス14は、下張り面材10をスタッド6に固定するために利用される留め具である。第1ビス14は、下張り面材10を厚み方向に貫通するように、下張り面材10の表側から裏側に向かって差し込まれる。そして、下張り面材10を貫通して裏側へ飛び出した第1ビス14の先端が、スタッド6に対して差し込まれる。第1ビス14は、1枚の下張り面材10において、複数利用される。スタッド6の立設方向において、隣り合った第1ビス14同士の間隔(ビス留め位置の間隔)d1は、100mm以上910mm以下に設定される。なお、ここでの第1ビス14同士の間隔d1は、あくまで1枚の下張り面材10の固定に利用されるものであり、異なる下張り面材10同士の固定(例えば、隣り合った下張り面材10同士の固定)に利用される第1ビス14同士の間隔ではない。
【0029】
なお、1枚の下張り面材10において、第1ビス14は、下張り面材10の四隅(4つの角部10c)にそれぞれ1つずつ配置されることが好ましい。
【0030】
また、1枚の下張り面材10の水平方向(スタッド6の立設方向に垂直な方向)における第1ビス14のビス留め位置については、それぞれスタッド6と重なる位置に設定される。そのため、水平方向における隣り合った第1ビス14同士の間隔(ビス留め位置の間隔)は、概ね、壁面部材9(下側壁面部材11)の固定に利用される隣り合ったスタッド6同士の間隔となる。例えば、1枚の下張り面材10において、水平方向で隣り合った第1ビス14同士の間隔は、150mm以上606mm以下に設定されることが好ましい。
【0031】
下張り面材10は、上述したようにスタッド6に対して「横張」の状態で固定される。つまり、下張り面材10は、長辺側が水平方向に沿い、かつ短辺側が鉛直方向(スタッド6の立設方向)に沿う形で、スタッド6に固定される。本実施形態の場合、1枚の下張り面材10を固定するのに、4つのスタッド6が利用される。4つの並んだスタッド6のうち、一方の端側に配されたスタッド6に対して、下張り面材10の一方の短辺側の端部10aが固定され、他方の端側に配されたスタッド6に対して、下張り面材10の他方の短辺側の端部10aが固定される。そして、中央側に配された2つのスタッド6に対して、下張り面材10の長辺側の端部10bの中央部分が固定される。
【0032】
本明細書において、隣り合った第1ビス14同士の間隔(距離)d1は、例えば、
図4に示されるように、一方の第1ビス14の中心と、他方の第1ビス14の中心との間の間隔(距離)として定められる。また、後述する隣り合った第2ビス15同士の間隔(距離)d2や、隣り合った第1ビス14と第2ビス15との間隔(距離)d3についても、同様に、それぞれ対応する各ビスの中心同士の間隔(距離)として定められる。
【0033】
本実施形態の間仕切壁1では、スタッド6の立設方向(上下方向)において、隣り合った第1ビス14同士の間隔d1が、従来の間仕切壁のものと比べて、広く設定されている。
【0034】
なお、下側壁面部材11を構成する下張り面材10同士は、水平方向で隣り合った端部10a同士が突付けられた状態で並べられている。この短辺側の端部10a同士が隣り合った部分が、下側壁面部材11の縦目地となる。また、下張り面材10同士は、上下方向で隣り合った端部10b同士も突付けられた状態で並べられている。この長辺側の端部10b同士が隣り合った部分が、下側壁面部材11の横目地となる。
【0035】
第2ビス15は、上張り面材12を、下張り面材10及びスタッド6に固定するために利用される留め具である。第2ビス15は、上張り面材12を厚み方向に貫通するように上張り面材12の表側から裏側に向かって差し込まれると共に、その上張り面材12の下側にある下張り面材10を厚み方向に貫通するように下張り面材10の表側から裏側に向かって差し込まれる。そして、上張り面材12及び下張り面材10を貫通して裏側へ飛び出した第2ビス15の先端が、スタッド6に対して差し込まれる。このようにして、上張り面材12は、第2ビス15を利用して、下張り面材10と共にスタッド6に固定された状態となる。上張り面材12は、その内側の面12eが、下張り面材10の外側の面10dと対向する形で、下張り面材10に重ねられる。
【0036】
第2ビス15は、1枚の上張り面材12において、複数利用される。スタッド6の立設方向において、隣り合った第2ビス15同士の間隔(ビス留め位置の間隔)d2は、100mm以上303mm以下に設定される。なお、ここでの第2ビス15同士の間隔d2は、あくまで1枚の上張り面材12の固定に利用されるものであり、異なる上張り面材12同士の固定(例えば、隣り合った上張り面材12同士の固定)に利用される第2ビス15同士の間隔ではない。間隔d2は、間隔d1よりも狭くなるように設定される。また、第2ビス15のビス留め位置は、第1ビス14のビス留め位置と重ならないように設定される。
【0037】
なお、1枚の上張り面材12において、第2ビス15は、上張り面材12の四隅(4つの角部12c)にそれぞれ1つずつ配置されることが好ましい。
【0038】
また、1枚の上張り面材12の水平方向(スタッド6の立設方向に垂直な方向)における第2ビス15のビス留め位置については、それぞれ下側壁面部材11(下張り面材10)越しにスタッド6と重なる位置に設定される。そのため、水平方向における隣り合った第2ビス15同士の間隔(ビス留め位置の間隔)は、第1ビス14の場合と同様、概ね、壁面部材9(下側壁面部材11)の固定に利用される隣り合ったスタッド6同士の間隔となる。例えば、1枚の上張り面材12において、水平方向で隣り合った第2ビス15同士の間隔は、150mm以上606mm以下に設定されることが好ましい。本実施形態の場合、上張り面材12の長辺側の端部12bに、第2ビス15のビス留め位置が設定されている。また、上張り面材12の短辺側の端部12aにも、第2ビス15のビス留め位置が設定されている。また、上張り面材12の場合、短辺側の端部12a及び長辺側の端部12b以外に、上張り面材12の面内(中央側)にも、スタッド6と重なる位置に、第2ビス15のビス留め位置が設定されている。
【0039】
壁面部材9を表側から平面視した際、スタッド6の立設方向において、隣り合った第1ビス14と第2ビス15との間隔d3は、少なくとも45mm以上、好ましくは50mm以上、より好ましくは55mm以上となるように設定される。前記間隔d3の上限値は、本発明の問題を損なわない限り特に制限はないが、例えば、136.5mm以下に設定されればよい。なお、ここでの間隔d3は、あくまで互いに重なり合った下張り面材10及び上張り面材12について、その下張り面材10の固定に利用される第1ビス14と、その上張り面材12の固定に利用される第2ビス15との間におけるものである。
【0040】
上張り面材12は、上述したようにスタッド6及び下側壁面部材11(下張り面材10)に対して「横張」の状態で固定される。つまり、上張り面材12は、長辺側が水平方向に沿い、かつ短編側が鉛直方向(スタッド6の立設方向)に沿う形で、スタッド6及び下側壁面部材11(下張り面材10)に固定される。本実施形態の場合、1枚の上張り面材12を固定するのに、下張り面材10とは場所が異なるものの、4つのスタッド6が利用される。4つの並んだスタッド6のうち、一方の端側に配されたスタッド6に対して、上張り面材12の一方の短辺側の端部12aが固定され、他方の端側に配されたスタッド6に対して、上張り面材12の他方の短辺側の端部12aが固定される。そして、中央側に配された2つのスタッド6に対して、上張り面材12の長辺側の端部12bの中央部分、及び上張り面材12の面内中央側の部分が固定される。
【0041】
以上のように、本実施形態の間仕切壁1では、上側壁面部材13を構成する各上張り面材12が、所定の間隔d2に互いのビス留め位置が設定されると共に、第1ビス14に対して所定の間隔d3にビス留め位置が設定された複数の第2ビス15を利用して、下側壁面部材13及びスタッド6に固定されている。
【0042】
上側壁面部材13を構成する上張り面材12同士は、水平方向で隣り合った端部12a同士が突付けられた状態で並べられている。この短辺側の端部12a同士が隣り合った部分が、上側壁面部材13の縦目地となる。また、上張り面材12同士は、上下方向で隣り合った端部12b同士も突付けられた状態で並べられている。この長辺側の端部12b同士が隣り合った部分が、上側壁面部材13の横目地となる。
【0043】
本実施形態の場合、上側壁面部材13の縦目地が、下側壁面部材11の縦目地と重ならず、かつ上側壁面部材13の横目地が、下側壁面部材11の横目地と重ならないように、設定されている。他の実施形態においては、上側壁面部材13の縦目地が下側壁面部材11の縦目地と重なってもよいが、耐久性(特に、壁面部材9の内側から外側への変形(面外方向の変形)に対する耐久性)の確保等の観点より、上側壁面部材13の横目地と、下側壁面部材11の横目地とが互いに重ならないように設定される。なお、より優れた耐久性を確保等する観点より、本実施形態のように、上側壁面部材13の縦目地と、下側壁面部材11の縦目地とは互いに重ならないように設定することが好ましい。
【0044】
壁面部材9の上端と、天井躯体2との間の隙間には、図示されない端部処理材(例えば、アクリル系樹脂のシーリング材)が充填されている。また、壁面部材9の下端と、床躯体3との間の隙間にも、図示されない端部処理材(例えば、アクリル系樹脂のシーリング材)が充填されている。
【0045】
また、
図2に示されるように、壁面部材9Aと壁面部材9Bとの間には、断熱材(例えば、グラスウール)20が充填されている。
図1には、断熱材20の一部のみが示されているが、実際には、各壁面部材9A,9Bの内側を全面的に覆うように壁面部材9Aと壁面部材9Bとの間に設けられている。なお、
図2では、説明の便宜上、断熱材20は省略されている。
【0046】
本実施形態の間仕切壁1は、壁面部材9における下側壁面部材11と上側壁面部材13との間に、接着剤層(接着剤)を備えていない。本実施形態の場合、上側壁面部材13を構成する各上張り面材12を、第2ビス15のみを利用して、下側壁面部材11及びスタッド6に固定することができるため、接着剤を使用する必要がない。本実施形態の間仕切壁1は、ビス留めだけで、下張り面材10及び上張り面材12をそれぞれスタッド6等に固定することができ、施工時の作業性に優れる。本実施形態の間仕切壁1は、従来品と比べて、大幅に施工時間を短縮することができる。
【0047】
本実施形態の間仕切壁1では、スタッド6の立設方向において、隣り合った第1ビス14同士の間隔d1、隣り合った第2ビス15同士の間隔d2、及び隣り合った第1ビス14と第2ビス15との間の間隔d3が、それぞれ上述した所定の範囲に設定されることにより、耐久性(特に、壁面部材9の面内方向の変形に対する耐久性)に優れる。本明細書において、壁面部材9の面内方向とは、上側ランナー4や下側ランナー5の長手方向(延設方向、水平方向)に沿った方向である。
【0048】
また、本実施形態の間仕切壁1は、施工性(作業性)、耐久性(面内方向の変形に対する耐久性)以外に、耐火性(1時間耐火性)、遮音性、面外方向の変形に対する耐久性等にも優れる。
【0049】
〔実施形態2〕
次いで、実施形態2の間仕切壁1Aを、
図5を参照しつつ説明する。
図5は、実施形態2の間仕切壁1Aにおける下張り面材10と上張り面材12との配置関係を示す説明図である。説明の便宜上、
図5には、下側壁面部材11及び上側壁面部材13を構成する一部の下張り面材10及び上張り面材12が示される。本実施形態の場合、下側壁面部材11を構成する各下張り面材10、及び上側壁面部材13を構成する各上張り面材12は、実施形態1と同様、共に「横張」の状態で固定される。そのため、本実施形態の場合、実施形態1と同様、下張り面材10の短辺側の端部10aが、「下張第1端部」となり、下張り面材10の長辺側の端部10bが、「下張第2端部」となる。また、上張り面材12の短辺側の端部12aが、「上張第1端部」となり、上張り面材12の長辺側の端部12bが、「上張第2端部」となる。
【0050】
本実施形態の場合、下側壁面部材11の縦目地と、上側壁面部材13の縦目地とが互いに重なるように設定されている。このように、下側壁面部材11の縦目地と、上側壁面部材13の縦目地とが互いに重なるように、下側壁面部材11及び上側壁面部材13が構成されてもよい。また、本実施形態の間仕切壁1Aでも、スタッドの立設方向における、隣り合った第1ビス14同士の間隔d1、隣り合った第2ビス15同士の間隔d2、及び隣り合った第1ビス14と第2ビス15との間隔d3が、実施形態1と同様、それぞれ所定の範囲に設定される。そのため、本実施形態の間仕切壁1Aも、施工性、耐久性等に優れる。
【0051】
〔実施形態3〕
次いで、実施形態3の間仕切壁1Bを、
図6を参照しつつ説明する。
図6は、実施形態3の間仕切壁1Bにおける下張り面材10と上張り面材12との配置関係を示す説明図である。説明の便宜上、
図6には、下側壁面部材11及び上側壁面部材13を構成する一部の下張り面材10及び上張り面材12が示される。本実施形態の場合、下側壁面部材11を構成する各下張り面材10は、「横張」の状態で固定され、上側壁面部材13を構成する各上張り面材12は、「縦張」の状態で固定される。そのため、本実施形態の場合、下張り面材10の短辺側の端部10aが、「下張第1端部」となり、下張り面材10の長辺側の端部10bが、「下張第2端部」となる。また、上張り面材12の短辺側の端部12aが、「上張第2端部」となり、上張り面材12の長辺側の端部12bが、「上張第1端部」となる。
【0052】
本実施形態の間仕切壁1Bでも、スタッドの立設方向における、隣り合った第1ビス14同士の間隔d1、隣り合った第2ビス15同士の間隔d2、及び隣り合った第1ビス14と第2ビス15との間隔d3が、実施形態1と同様、それぞれ所定の範囲に設定される。そのため、本実施形態の間仕切壁1Bも、施工性、耐久性等に優れる。
【0053】
〔実施形態4〕
次いで、実施形態4の間仕切壁1Cを、
図7を参照しつつ説明する。
図7は、実施形態4の間仕切壁1Cにおける下張り面材10と上張り面材12との配置関係を示す説明図である。説明の便宜上、
図7には、下側壁面部材11及び上側壁面部材13を構成する一部の下張り面材10及び上張り面材12が示される。本実施形態の場合、下側壁面部材11を構成する各下張り面材10は、「縦張」の状態で固定され、上側壁面部材13を構成する各上張り面材12は、「横張」の状態で固定される。そのため、本実施形態の場合、下張り面材10の短辺側の端部10aが、「下張第2端部」となり、下張り面材10の長辺側の端部10bが、「下張第1端部」となる。また、上張り面材12の短辺側の端部12aが、「上張第1端部」となり、上張り面材12の長辺側の端部12bが、「上張第2端部」となる。
【0054】
本実施形態の間仕切壁1Cでも、スタッドの立設方向における、隣り合った第1ビス14同士の間隔d1、隣り合った第2ビス15同士の間隔d2、及び隣り合った第1ビス14と第2ビス15との間隔d3が、実施形態1と同様、それぞれ所定の範囲に設定される。そのため、本実施形態の間仕切壁1Cも、施工性、耐久性等に優れる。
【0055】
〔実施形態5〕
次いで、実施形態5の間仕切壁1Dを、
図8を参照しつつ説明する。
図8は、実施形態5の間仕切壁1Dにおける下張り面材10と上張り面材12との配置関係を示す説明図である。説明の便宜上、
図8には、下側壁面部材11及び上側壁面部材13を構成する一部の下張り面材10及び上張り面材12が示される。本実施形態の場合、下側壁面部材11を構成する各下張り面材10は、「縦張」の状態で固定され、上側壁面部材13を構成する各上張り面材12も、「縦張」の状態で固定される。そのため、本実施形態の場合、下張り面材10の短辺側の端部10aが、「下張第2端部」となり、下張り面材10の長辺側の端部10bが、「下張第1端部」となる。また、上張り面材12の短辺側の端部12aが、「上張第2端部」となり、上張り面材12の長辺側の端部12bが、「上張第1端部」となる。
【0056】
本実施形態の間仕切壁1Dでも、スタッドの立設方向における、隣り合った第1ビス14同士の間隔d1、隣り合った第2ビス15同士の間隔d2、及び隣り合った第1ビス14と第2ビス15との間隔d3が、実施形態1と同様、それぞれ所定の範囲に設定される。そのため、本実施形態の間仕切壁1Dも、施工性、耐久性等に優れる。
【0057】
〔実施形態6〕
次いで、実施形態6の間仕切壁1Eを、
図9を参照しつつ説明する。
図9は、実施形態6の間仕切壁1Eの断面図(水平断面図)である。
図9には、実施形態1の
図2に対応した箇所の断面構造が示される。本実施形態の場合、隣り合ったスタッド6Eの配置が、所謂「千鳥配置」となっている。つまり、複数のスタッド6Eが、全体として列状に並ぶ方向に対して、左右交互に位置をずらして、各スタッド6Eが配置されている。そのため、例えば、1組の壁面部材9のうち、一方の壁面部材9Aの固定に利用されるスタッド6Eは、一列に並んだ複数のスタッド6Eのうち、壁面部材9Aの近くに配置される1つ置きに並んだスタッド6Eaとなる。これに対して、他方の壁面部材9Bの固定に利用されるスタッド6Eは、一列に並んだ複数のスタッド6Eのうち、壁面部材9Bの近くに配置される1つ置きに並んだスタッド6Ebとなる。
図9には、壁面部材9Aと壁面部材9Bとの間に配置される断熱材20Eが示されている。
【0058】
本実施形態の場合も、下側壁面部材11を構成する各下張り面材10は、スタッド6Eに対して、複数の第1ビス14を利用して固定される、上側壁面部材13を構成する各上張り面材12は、スタッド6E及び下側壁面部材11に対して、複数の第2ビス15を利用して固定される。そして、本実施形態の間仕切壁1Dでも、スタッド6Eの立設方向における、隣り合った第1ビス14同士の間隔d1、隣り合った第2ビス15同士の間隔d2、及び隣り合った第1ビス14と第2ビス15との間隔d3が、実施形態1と同様、それぞれ所定の範囲に設定される。そのため、本実施形態の間仕切壁1Eも、施工性、耐久性等に優れる。
【0059】
〔壁面部材の強度試験〕
壁面部材の固定に使用される第1ビスと第2ビスとの間隔の違いにより生じる、面内方向の変形に対する壁面部材の強度の変化を、以下に示される試験によって評価した。
【0060】
(試験サンプルの作製)
強度試験用のサンプル(試験サンプル)Sとして、
図10に示されるような構造のものを作製した。
図10(A)は、試験サンプルSの正面図であり、
図10(B)は、試験サンプルSの上面図である。試験サンプルSは、間仕切壁から、スタッド6の一部と共に壁面部材9の一部をくり抜いたような形をなしている。試験サンプルSは、長さ230mmのスタッド(75形、JIS材)6と、それぞれ所定の大きさ(100mm×290mm×12.5mm)に加工された下張り面材10及び上張り面材12と、第1ビス14(直径:7mm(φ3.5)、長さ:22mm)と、第2ビス15(直径:7mm(φ3.5)、長さ:38mm)とからなる。下張り面材10は、スタッド6に対して第1ビス14を利用して留付けられる。上張り面材12は、下張り面材10に重ねられた状態で、第2ビス15を利用してスタッド6に留付けられる。なお、下張り面材10及び上張り面材12としては、それぞれ強化石膏ボード(チヨダウーテ株式会社製、「タイプX」、18時間40℃乾燥)を使用した。
【0061】
このような試験サンプルSとして、第1ビス14と第2ビス15との距離dが、それぞれ、「15mm」、「30mm」、「45mm」、「60mm」及び「136.5mm」のもの(つまり、距離dの異なる5種類のもの)を作製した。
【0062】
(試験方法)
図11は、試験方法を示す説明図(写真)である。試験は、100kN万能試験機(ロードセル100kN、コンピュータ計測制御式精密万能試験機、「AG-100kN1」、株式会社島津製作所製)を使用して行った。
図11に示されるように、試験サンプルSの長手方向(長辺方向)が水平方向と一致し、試験サンプルSの短手方向(短辺方向)が上下方向と一致した状態で、所定の載置台(H鋼)30上に試験サンプルSが載せられる。載置台30上には、試験サンプルSのスタッド6のみが載せられ、壁面部材9は載せられない。そして、このような状態の試験サンプルSのスタッド6が、固定治具40を利用して載置台30に固定される。このように試験サンプルSのスタッド6を固定した状態で、壁面部材9の長手方向における一方の端部側に対して、万能試験機の圧縮治具50により、圧縮荷重を上方から連続的に加えた。圧縮治具50の速度は、3mm/分に設定した。試験結果は、表1及び
図12に示した。
【0063】
図12には、試験サンプルSに加えられた荷重(N)と、試験サンプルSの変位(mm)との関係を示すグラフが示されている。
図12のグラフの縦軸が荷重(N)を表し、横軸が変位(mm)を表す。なお、試験の開始直後に、試験サンプルSに対して所定の大きさの荷重が加えられるまでにばらつきがあるため、
図12では、荷重の大きさが100N以上の場合の結果を示した。
【0064】
【0065】
表1に示されるように、第1ビス14と第2ビス15との距離dが大きいほど、最大荷重が大きくなる。また、表1及び
図12に示されるように、距離dが大きい場合(d=136.5mm、60mm、45mm)は、距離dが小さい場合(d=15mm、30mm)と比べて、剛性(100-150N、100-200N)が大きく、面内方向の変形に対して強いことが確かめられた。
【0066】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
(1)上記実施形態のスタッドは、上述したよう形状を備えていたが、本発明はこれに限られず、例えば、角スタッド等の一般的な形状の部材が用いられてもよい。また、スタッドの板厚についても、本発明は上述したものに限られず、例えば、0.45mm、0.6mm、0.8mm、1.2mm、1.6mm、2.3mm、3.2mm、4.0mm、4.5mm、6.0mm等が挙げられる。
【0068】
(2)上記実施形態では、下張り面材10及び上張り面材12が強化石膏ボードより構成されていたが、本発明はこれに限られず、例えば、石膏ボード、硬質石膏ボード、ケイ酸カルシウム板等が使用されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…間仕切壁、2…天井躯体、3…床躯体、4…上側ランナー、5…下側ランナー、6…スタッド、9(9A,9B)…壁面部材、10…下張り面材、10a…短辺側の端部、10b…長辺側の端部、10c…角部、11…下側壁面部材、12…上張り面材、12a…短辺側の端部、12b…長辺側の端部、12c…角部、13…上側壁面部材、14…第1ビス、15…第2ビス、20…断熱材、30…載置台、S…試験サンプル、d1…第1ビス同士の間隔、d2…第2ビス同士の間隔、d3…第1ビスと第2ビスとの間隔