(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159579
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】交換レンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20231025BHJP
【FI】
G02B7/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069344
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】服部 久善
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AE04
(57)【要約】
【課題】 小型化を確保した上で操作リングの回転トルクの調整を可能にする。
【解決手段】 回転操作される操作リングと、操作リングの内側に配置され操作リングを回転可能に支持するベース部材と、操作リングの内周面に対して離接される摩擦部材と、摩擦部材が取り付けられると共に摩擦部材が操作リングの内周面に押し付けられる押付位置と摩擦部材が操作リングの内周面から離隔する離隔位置との間で回動される回動レバーと、ベース部材に操作リングの周方向へ移動可能に支持され移動されることにより回動レバーを回動させる連動部材と、回動レバーを摩擦部材が操作リングの内周面に接する方向へ付勢する付勢バネと、操作されることにより連動部材を操作リングの周方向へ移動させる操作スイッチとを備え、操作スイッチの操作によって回動レバーが押付位置と離隔位置の間で回動される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作される操作リングと、
前記操作リングの内側に配置され前記操作リングを回転可能に支持するベース部材と、
前記操作リングの内周面に対して離接される摩擦部材と、
前記摩擦部材が取り付けられると共に前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に押し付けられる押付位置と前記摩擦部材が前記操作リングの内周面から離隔する離隔位置との間で回動される回動レバーと、
前記ベース部材に前記操作リングの周方向へ移動可能に支持され移動されることにより前記回動レバーを回動させる連動部材と、
前記回動レバーを前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に接する方向へ付勢する付勢バネと、
操作されることにより前記連動部材を前記操作リングの周方向へ移動させる操作スイッチとを備え、
前記操作スイッチの操作によって前記回動レバーが前記押付位置と前記離隔位置の間で回動される
交換レンズ。
【請求項2】
前記回動レバーと前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に対向する位置に配置された
請求項1に記載の交換レンズ。
【請求項3】
前記回動レバーに前記連動部材が作用される被作用部と前記摩擦部材が取り付けられる取付部とが設けられ、
前記回動レバーの回動支点となる回動軸が前記被作用部と前記取付部の間に位置され、
前記回動軸の軸方向が光軸方向に一致された
請求項1に記載の交換レンズ。
【請求項4】
前記操作リングを有する第1の鏡筒部と前記操作リングの回転に伴って前記第1の鏡筒部に対して光軸方向へ移動される第2の鏡筒部とを有し、
前記操作リングの第1の方向への回転に伴って前記第2の鏡筒部が前記第1の鏡筒部から繰り出され、
前記操作リングの前記第1の方向とは反対方向の第2の方向への回転に伴って前記第2の鏡筒部が前記第1の鏡筒部に引き込まれ、
前記第1の方向において前記回動軸が前記摩擦部材より回転方向側に位置された
請求項1に記載の交換レンズ。
【請求項5】
前記連動部材の一部が前記回動レバーの少なくとも一部を挟んで前記操作リングの反対側に位置された
請求項1に記載の交換レンズ。
【請求項6】
前記連動部材に係合部が設けられ、
前記連動部材が移動方向における一端に移動された状態において前記係合部が係合される保持用バネが設けられ、
前記係合部が前記保持用バネに係合されることにより前記回動レバーが前記押付位置と離隔位置にそれぞれ保持される
請求項1に記載の交換レンズ。
【請求項7】
前記回動レバーとして第1の回動レバーと第2の回動レバーが前記操作リングの周方向において対称な状態で配置され、
前記操作スイッチの操作によって前記第1の回動レバーと前記第2の回動レバーが同期して前記押付位置と前記離隔位置の間で回動される
請求項1に記載の交換レンズ。
【請求項8】
前記第1の回動レバーと前記第2の回動レバーとして同一の部材が用いられた
請求項7に記載の交換レンズ。
【請求項9】
前記第1の回動レバーと前記第2の回動レバーの各一部が光軸方向において並ぶ状態にされた
請求項8に記載の交換レンズ。
【請求項10】
取り込まれた光学像を電気的信号に変換する撮像素子を有する装置本体と前記装置本体に着脱可能にされた交換レンズとを備え、
前記交換レンズは、
回転操作される操作リングと、
前記操作リングの内側に配置され前記操作リングを回転可能に支持するベース部材と、
前記操作リングの内周面に対して離接される摩擦部材と、
前記摩擦部材が取り付けられると共に前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に押し付けられる押付位置と前記摩擦部材が前記操作リングの内周面から離隔する離隔位置との間で回動される回動レバーと、
前記ベース部材に前記操作リングの周方向へ移動可能に支持され移動されることにより前記回動レバーを回動させる連動部材と、
前記回動レバーを前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に接する方向へ付勢する付勢バネと、
操作されることにより前記連動部材を前記操作リングの周方向へ移動させる操作スイッチとを備え、
前記操作スイッチの操作によって前記回動レバーが前記押付位置と前記離隔位置の間で回動される
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は回転操作される操作リングを有する交換レンズ及びこれを備えた撮像装置についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやスチルカメラ等の各種の撮像装置や交換レンズ等の撮影に用いられる構造には、内部にレンズやレンズ群等の各種の光学素子を有する光学系が配置されている。
【0003】
このような構造においては、交換レンズに回転操作される操作リングが設けられており、操作リングが回転操作されることによりレンズ群等が光軸方向へ移動され、例えば、ズーミングやフォーカシングが行われる。例えば、ズームリングとして設けられた操作リングが一方へ回転されることによりレンズ群等が広角側から望遠側に移動され操作リングが他方へ回転されることによりレンズ群等が望遠側から広角側に移動されてズーミングが行われる。
【0004】
上記のような撮像装置や交換レンズにおいては、操作者によって操作リングが所望の位置まで回転操作された状態で撮影等が行われる。
【0005】
ところで、操作リングは操作性の向上を図るために操作時の円滑な回転状態が確保されることが望ましいが、一方で操作リングが過度に回転し易いと、例えば、振動等の発生によって操作リングが意図せず回転してしまい、適正な撮影状態を阻害する可能性がある。
【0006】
また、例えば、交換レンズには操作リングを有する第1の鏡筒部と操作リングの回転に伴って第1の鏡筒部に対して光軸方向へ移動される第2の鏡筒部とを有するタイプもある。このような交換レンズにおいては、例えば、上向き状態や下向き状態での撮影時に、第2の鏡筒部が自重によって第1の鏡筒部に対して光軸方向へ移動され第2の鏡筒部の移動に伴って操作リングが意図せず回転されてしまい、やはり適正な撮影状態を阻害する可能性がある。
【0007】
そこで、交換レンズや撮像装置には、操作リングの回転トルクの調整が可能にされたトルク調整機構が設けられ、操作リングの操作時に必要な力量を変更することができるタイプがある(例えば、特許文献1参照)。操作者は撮影状況等に応じて操作リングの回転トルクを調整することにより、操作リングに対する良好な操作性を確保することが可能になると共に操作リングの意図しない回転を防止して適正な撮影状態を確保することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のようなトルク調整機構が設けられる場合に、回転トルクの調整を行うために別の操作リングが設けられるような構成にされると、その分、交換レンズや撮像装置が大型になってしまうため、交換レンズや撮像装置におけるトルク調整機構の配置スペースを小さくしたりトルク調整機構の簡素化が図られることが望ましい。
【0010】
そこで、本技術交換レンズ及び撮像装置は、小型化を確保した上で操作リングの回転トルクの調整を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術に係る交換レンズは、回転操作される操作リングと、前記操作リングの内側に配置され前記操作リングを回転可能に支持するベース部材と、前記操作リングの内周面に対して離接される摩擦部材と、前記摩擦部材が取り付けられると共に前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に押し付けられる押付位置と前記摩擦部材が前記操作リングの内周面から離隔する離隔位置との間で回動される回動レバーと、前記ベース部材に前記操作リングの周方向へ移動可能に支持され移動されることにより前記回動レバーを回動させる連動部材と、前記回動レバーを前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に接する方向へ付勢する付勢バネと、操作されることにより前記連動部材を前記操作リングの周方向へ移動させる操作スイッチとを備え、前記操作スイッチの操作によって前記回動レバーが前記押付位置と前記離隔位置の間で回動されるものである。
【0012】
これにより、操作スイッチの操作によって連動部材が操作リングの周方向へ移動されて回動レバーが押付位置と離隔位置の間で回動される。
【0013】
本技術に係る撮像装置は、取り込まれた光学像を電気的信号に変換する撮像素子を有する装置本体と前記装置本体に着脱可能にされた交換レンズとを備え、前記交換レンズは、回転操作される操作リングと、前記操作リングの内側に配置され前記操作リングを回転可能に支持するベース部材と、前記操作リングの内周面に対して離接される摩擦部材と、前記摩擦部材が取り付けられると共に前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に押し付けられる押付位置と前記摩擦部材が前記操作リングの内周面から離隔する離隔位置との間で回動される回動レバーと、前記ベース部材に前記操作リングの周方向へ移動可能に支持され移動されることにより前記回動レバーを回動させる連動部材と、前記回動レバーを前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に接する方向へ付勢する付勢バネと、操作されることにより前記連動部材を前記操作リングの周方向へ移動させる操作スイッチとを備え、前記操作スイッチの操作によって前記回動レバーが前記押付位置と前記離隔位置の間で回動されるものである。
【0014】
これにより、交換レンズにおいて、操作スイッチの操作によって連動部材が操作リングの周方向へ移動されて回動レバーが押付位置と離隔位置の間で回動される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図2乃至
図10と共に本技術交換レンズ及び撮像装置の実施の形態を示すものであり、本図は、撮像装置の斜視図である。
【
図2】撮像装置において交換レンズの第2の鏡筒部が第1の鏡筒部に対して光軸方向へ移動される状態を示す概念図である。
【
図4】トルク調整機構等の一部を分解して示す斜視図である。
【
図6】スムースモードが設定されている状態を示す断面図である。
【
図7】タイトモードが設定されている状態を示す断面図である。
【
図8】タイトモードが設定されている状態を示す斜視図である。
【
図9】一つの回動レバーと一つの摩擦部材が設けられた構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本技術を実施するための形態を添付図面を参照して説明する。
【0017】
以下に示す実施の形態は、本技術撮像装置をスチルカメラに適用し、本技術交換レンズをこのスチルカメラの装置本体に対して着脱可能な交換レンズに適用したものである。
【0018】
尚、本技術の適用範囲はスチルカメラ及びスチルカメラの装置本体に対して着脱可能な交換レンズに限られることはない。本技術は、例えば、撮像装置としてビデオカメラや他の機器に組み込まれる各種の撮像装置、これらの撮像装置の装置本体に対して着脱可能な交換レンズに広く適用することができる。
【0019】
以下の説明にあっては、スチルカメラの撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、物体側が前方になり、像面側が後方になる。
【0020】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0021】
<撮像装置の構成>
撮像装置100は装置本体200と交換レンズ1によって構成されている(
図1参照)。
【0022】
装置本体200は外筐201の内外に所要の各部が配置されて成る。
【0023】
外筐201には、例えば、上面や後面に各種の複数の操作部202が配置されている。操作部202としては、例えば、電源釦、シャッター釦、ズーム摘子、モード切替摘子等が設けられている。
【0024】
外筐201の後面には図示しないディスプレイ(表示部)が配置されている。外筐201の前面には円形状の図示しない開口が形成され、開口の周囲の部分が交換レンズ1を取り付けるためのマウント部として設けられている。外筐201の内部にはCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の図示しない撮像素子が配置され、撮像素子は開口の後方に位置されている。
【0025】
<交換レンズの構成>
交換レンズ1は、例えば、レンズ交換式デジタルカメラ用である。
【0026】
交換レンズ1は、例えば、第1の鏡筒部2と第2の鏡筒部3を有し、第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に対して光軸方向へ移動可能にされている(
図1及び
図2参照)。第1の鏡筒部2にはズームリングとして機能する第1の操作リング4とフォーカスリングとして機能する第2の操作リング5とが設けられている。第1の操作リング4が回転操作されることによりマニュアルズーミングが行われ、第2の操作リング5が回転操作されることによりマニュアルフォーカシングが行われる。
【0027】
交換レンズ1において、例えば、第1の操作リング4が一方へ回転操作されることにより第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2から繰り出され、第1の操作リング4が他方へ回転操作されることにより第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に引き込まれる。第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2から最も多く繰り出された状態は、例えば、望遠端の状態であり、第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に最も多く引き込まれた状態は、例えば、広角端の状態である。
【0028】
第1の鏡筒部2の後端部には、装置本体200のマウント部に、例えば、バヨネット結合される図示しないレンズマウントが設けられている。第2の鏡筒部3には最も前側に配置された撮影用レンズ6が設けられている。
【0029】
第1の鏡筒部2には筐体として機能するベース部材7が設けられている。ベース部材7は軸方向(光軸方向)が前後方向にされた略円筒状に形成され、軸方向における前側略半分の部分が機構配置部8として設けられている。
【0030】
機構配置部8の前端部には突状のスイッチ支持部8aが設けられている。機構配置部8にはスイッチ支持部8aの後側に中央孔8bと第1の配置孔8cと第2の配置孔8dが周方向に並んで形成されている。第1の配置孔8cと第2の配置孔8dは中央孔8bを挟んだ反対側に形成されている。
【0031】
機構配置部8には一対の第1の軸受部9が設けられ、一対の第1の軸受部9は第1の配置孔8cの開口縁における中央孔8b側の端部に位置されている。機構配置部8には一対の第2の軸受部10が設けられ、一対の第2の軸受部10は第2の配置孔8dの開口縁における中央孔8b側の端部に位置されている。
【0032】
機構配置部8には外方に突出された複数の支持ピン11が周方向に離隔して設けられている。支持ピン11はスイッチ支持部8aの直ぐ後側に位置されている。
【0033】
機構配置部8の外周面側にはトルク調整機構12が支持されている(
図3乃至
図5参照)。トルク調整機構12は連動部材13と第1の回動レバー14と第1の摩擦部材15と第2の回動レバー16と第2の摩擦部材17を有している。
【0034】
連動部材13は機構配置部8の外周面に沿う緩やかな略曲面状に形成されている。連動部材13は前側略半分の部分が周方向に延びるベース部18として設けられ、ベース部18の周方向における一端部から後方に突出された第1の突状部19とベース部18の周方向における中間部から後方に突出された第2の突状部20と後端部として設けられた連結部21とを有している。第1の突状部19には厚み方向における外面から突出された作用部19aが設けられている。
【0035】
連動部材13にはベース部18と第1の突状部19と第2の突状部20と連結部21によって囲まれた空間が形成され、この空間が逃げ孔13aとして形成されている。
【0036】
ベース部18の後端寄りの位置には周方向に延びる複数の被支持孔22が周方向に離隔して形成されている。ベース部18には挿入孔18aと突部挿通孔18bが連続して形成されている。挿入孔18aは周方向に延び一つの被支持孔22の前側に形成され、突部挿通孔18bは挿入孔18aに前側に連続して形成されている。
【0037】
ベース部18には周方向に突出された被保持部23が設けられている。被保持部23には後方に突出された係合部23aが設けられている。
【0038】
連動部材13は被支持孔22にそれぞれ支持ピン11が挿入されると共に挿入孔18aにスイッチ支持部8aが挿入された状態で機構配置部8に周方向へ移動可能(スライド可能)に支持されている。連動部材13が機構配置部8に支持された状態においては、支持ピン11の先端が被支持孔22から突出され、厚み方向における連動部材13の移動空間が確保されている。
【0039】
連動部材13は機構配置部8に支持された状態において、前端部が機構配置部8より前側に位置され、逃げ孔13aが機構配置部8の第2の配置孔8dに重なって位置され、作用部19aが機構配置部8の中央孔8bに重なって位置される。
【0040】
第1の回動レバー14は左右方向が長手方向になる形状に形成され、左右方向における略中央部に前後方向に貫通された軸挿通孔14aを有している。第1の回動レバー14は軸挿通孔14aを基準として左右方向における一方の部分が第1の被作用部24として設けられ左右方向における他方の部分が第1の取付部25として設けられている。
【0041】
第1の被作用部24は後縁が左右方向において軸挿通孔14aから遠去かるに従って前方に変位する傾斜縁24aとして形成され、全体として略直角三角形状に形成されている。第1の被作用部24には前後及び下方に開口された凹状部24bが形成されている。第1の被作用部24の先端部は押付部24cとして設けられている。
【0042】
第1の取付部25は左右方向における両端部を除く部分が湾曲部26として設けられ、湾曲部26は厚み方向において外方に凸の緩やかな曲面状に形成されている。第1の取付部25の左右方向における両端部はそれぞれ部材押さえ部27として設けられている。部材押さえ部27にはそれぞれ取付用挿入孔27aが形成されている。
【0043】
第1の回動レバー14は第1の回動軸28を介して機構配置部8に回動可能に支持されている。第1の回動軸28は軸方向が光軸方向(前後方向)に一致され、軸挿通孔14aに挿通された状態で軸方向における両端部がそれぞれ機構配置部8の第1の軸受部9に支持される。従って、第1の回動レバー14は第1の回動軸28を支点として機構配置部8に回動可能に支持される。
【0044】
第1の回動レバー14が機構配置部8に支持された状態において、第1の回動軸28に第1の付勢バネ29が支持される。第1の付勢バネ29は、例えば、捩じりコイルバネであり、コイル部29aと第1の腕部29bと第2の腕部29cから成り、機構配置部8の第1の配置孔8cに位置される。
【0045】
尚、第1の付勢バネ29は板バネやコイルバネ等の捩じりコイルバネ以外のバネであってもよい。但し、第1の付勢バネ29として捩じりコイルバネが用いられることにより、第1の付勢バネ29が第1の回動軸28に支持されるため、トルク調整機構12の小型化を図ることができる。
【0046】
第1の付勢バネ29はコイル部29aが第1の回動軸28に支持され第1の腕部29bが第1の回動レバー14の第1の取付部25に係合され第2の腕部29cが機構配置部8に係合される。従って、第1の回動レバー14は第1の付勢バネ29によって第1の被作用部24が第1の操作リング4の内周面に接近し第1の取付部25が機構配置部8から離隔する方向へ付勢される。
【0047】
第1の摩擦部材15は第1の回動レバー14の第1の取付部25に外面側から固定されている。第1の摩擦部材15は、例えば、弾性を有し摩擦係数の高い平板状の材料が屈曲されて形成されている。第1の摩擦部材15は、例えば、クッション材料やゴム材料等によって形成されている。
【0048】
第1の摩擦部材15は左右両端部がそれぞれ櫛歯状の被取付部15aとして設けられ、被取付部15a以外の部分が被固定部15bとして設けられている。第1の摩擦部材15は、被取付部15aがそれぞれ部材押さえ部27の取付用挿入孔27aに同じ方向に屈曲された状態で挿入されることにより取り付けられ、被固定部15bが接着等によって湾曲部26に固定される。第1の摩擦部材15は被取付部15aがそれぞれ同じ方向に屈曲され被固定部15bが26に固定されることにより、被固定部15bの外面が外方に凸の緩やかに湾曲された状態で第1の取付部25に固定される。したがって、第1の摩擦部材15は
【0049】
第2の回動レバー16としては第1の回動レバー14と同一の部材が用いられている。第2の回動レバー16はベース部材7の周方向において第1の回動レバー14と対称な状態で位置されている。
【0050】
このように交換レンズ1においては、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16として同一の部材が用いられている。従って、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16として異なる部材を形成する必要がなく、交換レンズ1の製造コストの低減を図ることができる。
【0051】
第2の回動レバー16は左右方向が長手方向になる形状に形成され、左右方向における略中央部に前後方向に貫通された軸挿通孔16aを有している。第2の回動レバー16は軸挿通孔16aを基準として左右方向における一方の部分が第2の被作用部30として設けられ左右方向における他方の部分が第2の取付部31として設けられている。
【0052】
第2の被作用部30は前縁が左右方向において軸挿通孔16aから遠去かるに従って後方に変位する傾斜縁30aとして形成され、全体として略直角三角形状に形成されている。第2の被作用部30には前後及び下方に開口された凹状部30bが形成されている。第2の被作用部30の先端部は押付部30cとして設けられている。
【0053】
第2の取付部31は左右方向における両端部を除く部分が湾曲部32として設けられ、湾曲部32は厚み方向において外方に凸の緩やかな曲面状に形成されている。第2の取付部31の左右方向における両端部はそれぞれ部材押さえ部33として設けられている。部材押さえ部33にはそれぞれ取付用挿入孔33aが形成されている。
【0054】
第2の回動レバー16は第2の回動軸34を介して機構配置部8に回動可能に支持されている。第2の回動軸34は軸方向が光軸方向に一致され、軸挿通孔16aに挿通された状態で軸方向における両端部がそれぞれ機構配置部8の第2の軸受部10に支持される。従って、第2の回動レバー16は第2の回動軸34を支点として機構配置部8に回動可能に支持される。
【0055】
第2の回動レバー16が機構配置部8に支持された状態において、第2の回動軸34に第2の付勢バネ35が支持される。第2の付勢バネ35は、例えば、捩じりコイルバネであり、コイル部35aと第2の腕部35bと第2の腕部35cから成り、機構配置部8の第2の配置孔8dと連動部材13の逃げ孔13aとに位置される。従って、第2の付勢バネ35は連動部材13の外側に位置される。
【0056】
尚、第2の付勢バネ35は板バネやコイルバネ等の捩じりコイルバネ以外のバネであってもよい。但し、第2の付勢バネ35として捩じりコイルバネが用いられることにより、第2の付勢バネ35が第2の回動軸34に支持されるため、トルク調整機構12の小型化を図ることができる。
【0057】
第2の付勢バネ35はコイル部35aが第2の回動軸34に支持され第2の腕部35bが第2の回動レバー16の第2の取付部31に係合され第2の腕部35cが機構配置部8に係合される。従って、第2の回動レバー16は第2の付勢バネ35によって第2の被作用部30が第1の操作リング4の内周面に接近し第2の取付部31が機構配置部8から離隔する方向へ付勢される。
【0058】
第2の摩擦部材17は第2の回動レバー16の第2の取付部31に外面側から固定されている。第2の摩擦部材17としては第1の摩擦部材15と同一の部材が用いられている。
【0059】
上記のように、交換レンズ1においては、第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17として同一の部材が用いられている。従って、第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17として異なる部材を形成する必要がなく、交換レンズ1の製造コストの低減を図ることができる。
【0060】
第2の摩擦部材17は両端部がそれぞれ櫛歯状の被取付部17aとして設けられ、被取付部17a以外の部分が被固定部17bとして設けられている。第2の摩擦部材17は、被取付部17aがそれぞれ部材押さえ部33の取付用挿入孔33aに同じ方向に屈曲された状態で挿入されることにより取り付けられ、被固定部17bが接着等によって湾曲部32に固定される。第2の摩擦部材17は被取付部17aがそれぞれ同じ方向に屈曲され被固定部17bが湾曲部32に固定されることにより、被固定部17bの外面が外方に凸の緩やかに湾曲された状態で第2の取付部31に固定される。
【0061】
上記したように、第2の回動レバー16は第1の回動レバー14と対称な状態で位置されており、第1の回動レバー14における第1の被作用部24の傾斜縁24aと第2の回動レバー16における第2の被作用部30の傾斜縁30aとが前後で対向した状態にされ、第1の被作用部24の一部と第2の被作用部30の一部とが前後方向において並ぶ状態にされている。従って、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16は各一部が前後方向(光軸方向)において並ぶ状態にされている。また、第1の回動レバー14は第1の取付部25が機構配置部8の第1の配置孔8cに挿入可能な位置にあり、第2の回動レバー16は第2の取付部31が機構配置部8の第2の配置孔8dに挿入可能な位置にある。
【0062】
上記のように、交換レンズ1においては、第1の回動レバー14における第1の被作用部24の一部と第2の回動レバー16における第2の被作用部30の一部とが前後方向(光軸方向)において並ぶ状態にされ第1の回動レバー14と第2の回動レバー16が同一の部材にされている。
【0063】
従って、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16の周方向における配置スペースが小さくなるため、交換レンズ1の小型化を図った上で製造コストの低減を図ることができる。
【0064】
機構配置部8の外周面には保持用バネ36が取り付けられている。保持用バネ36は板バネであり、機構配置部8にネジ止め等によって取り付けられた被取付ベース部37と被取付ベース部37に連続された保持バネ部38とから成る。保持バネ部38には第1の係合凹部38aと第2の係合凹部38bがベース部材7の周方向に離隔して形成されている。
【0065】
上記のように構成されたトルク調整機構12は、連動部材13の前端部を除く部分がベース部材7に回転可能に支持された第1の操作リング4によって覆われる。従って、機構配置部8と第1の回動レバー14の少なくとも一部及び第2の回動レバー16の少なくとも一部と第1の操作リング4とが厚み方向において順に位置され、連動部材13の一部が第1の回動レバー14と第2の回動レバー16の少なくとも一部を挟んで第1の操作リング4の反対側に位置される。
【0066】
このように交換レンズ1においては、連動部材13の一部が第1の回動レバー14と第2の回動レバー16の少なくとも一部を挟んで第1の操作リング4の反対側に位置されているため、連動部材13と第1の回動レバー14及び第2の回動レバー16と第1の操作リング4が径方向において重なる状態にされ、交換レンズ1の光軸方向における小型化を図ることができる。
【0067】
第1の鏡筒部2の外周面側には操作スイッチ39が配置されている(
図1及び
図3参照)。操作スイッチ39は操作者によってスライド操作される被操作部39aと被操作部39aから突出された略L字状の摺動部39bとから成る。操作スイッチ39は摺動部39bが第1の鏡筒部2に形成された図示しない挿通孔を挿通され機構配置部8の突部挿通孔18bを挿通されてスイッチ支持部8aに摺動可能に係合される。従って、被操作部39aが操作されると、操作スイッチ39の操作に伴って連動部材13が機構配置部8に対して周方向へ移動される。尚、操作スイッチ39は操作方向が連動部材13の移動方向と同じ周方向にされることが望ましい。但し、操作スイッチ39の操作方向は周方向に限られることはなく、操作スイッチ39が、例えば、光軸方向に操作されることにより連動部材13が機構配置部8に対して周方向へ移動される構成にされていてもよい。
【0068】
<交換レンズにおける動作>
以下に、交換レンズ1におけるトルク調整機構12の動作について説明する(
図5乃至
図8参照)。交換レンズ1においては、連動部材13の移動位置に応じて第1の操作リング4を小さな力で回転させることができるスムースモードと第1の操作リング4をスムースモードの場合よりも大きな力でしか回転させることができないタイトモードとが設定される。
【0069】
スムースモードにおいては、操作スイッチ39が一方の移動端に位置されて連動部材13が一方の移動端に位置されている(
図6参照)。このとき連動部材13の第1の突状部19に設けられた作用部19aが第1の回動レバー14における第1の被作用部24の押付部24cと第2の回動レバー16における第2の被作用部30の押付部30cとに接触され、押付部24cと押付部30cがそれぞれ第1の付勢バネ29と第2の付勢バネ35の付勢力によって作用部19aに押し付けられている。
【0070】
従って、第1の回動レバー14に固定された第1の摩擦部材15と第2の回動レバー16に固定された第2の摩擦部材17とは何れも第1の操作リング4の内周面から離隔して位置され、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16はそれぞれ第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17が第1の操作リング4の内周面から離隔する離隔位置に保持されている。このとき第1の回動レバー14の第1の被作用部24と第2の回動レバー16の第2の被作用部30も第1の操作リング4の内周面から離隔して位置されている。
【0071】
このようにスムースモードにおいては、第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17の何れもが第1の操作リング4の内周面に接触されない状態にされているため、操作者(撮影者)は第1の操作リング4を小さな力で円滑かつ迅速に回転させることができる。スムースモードは、例えば、操作者が被写体の撮影時に撮影倍率の調整を行いたい場合に設定することが好適である。
【0072】
また、スムースモードにおいては、連動部材13の被保持部23に設けられた係合部23aが保持用バネ36における保持バネ部38の第1の係合凹部38aに係合されている(
図5参照)。従って、連動部材13が保持用バネ36によって一方の移動端において保持され、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16がそれぞれ離隔位置に保持される。
【0073】
このように交換レンズ1においては、係合部23aが保持バネ部38に係合されることにより第1の回動レバー14と第2の回動レバー16がそれぞれ離隔位置に保持される。従って、係合部23aが保持バネ部38に係合された状態において第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17が第1の操作リング4の内周面から離隔した状態が保持されるため、離隔位置に保持されている第1の回動レバー14と第2の回動レバー16の意図しない回動を防止することができる。
【0074】
また、操作者には係合部23aが保持バネ部38に係合されるときに係合された感触が操作スイッチ39を介して伝達されると共に係合されたときに生じる音も伝達される可能性があり、操作者はスムースモードが設定されたことを認識し易く、交換レンズ1の使い勝手の向上を図ることができる。
【0075】
一方、スムースモードにおいて操作者が操作スイッチ39を操作して他方の移動端まで操作すると、操作スイッチ39の操作に伴って連動部材13が他方の移動端まで移動されてタイトモードが設定される(
図8参照)。連動部材13が一方の移動端から他方の移動端まで移動されてスムースモードからタイトモードが設定されるときには、作用部19aが第1の回動レバー14の押付部24cから離隔されて凹状部24bに挿入される。
【0076】
従って、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16がそれぞれ第1の付勢バネ29と第2の付勢バネ35の付勢力によって同期して回動され、第1の回動レバー14に固定された第1の摩擦部材15と第2の回動レバー16に固定された第2の摩擦部材17とが何れも第1の操作リング4の内周面に押し付けられる。第1の回動レバー14と第2の回動レバー16はそれぞれ第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17が第1の操作リング4の内周面に押し付けられる押付位置に位置される。
【0077】
このとき第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17は被固定部15bの外面と被固定部17bの外面とが外方に凸の状態で緩やかに湾曲された状態にされているため、第1の操作リング4の内周面に被固定部15bの外面と被固定部17bの外面とが接触される。また、被固定部15bの外面と被固定部17bの外面とが外方に凸の状態で緩やかに湾曲されているため、第1の操作リング4の内周面に角張った部分が接触されることがなく、第1の操作リング4の内周面に第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17が接触した状態における第1の操作リング4のトルクの変動を低減することができる。
【0078】
上記のようにタイトモードにおいては、第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17の双方が第1の操作リング4の内周面に接触されて押し付けられるため、操作者は第1の操作リング4をスムースモードの場合よりも大きな力でしか回転させることができない。タイトモードは、例えば、操作者が被写体の撮影時に撮影倍率の変更を終了したときや第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に対して自重や振動等によって光軸方向へ移動される可能性がある場合に設定することが好適である。
【0079】
第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に対して自重によって光軸方向へ移動される可能性がある場合としては、例えば、上向き撮影や下向き撮影等の第1の鏡筒部2と第2の鏡筒部3が水平方向に対して傾斜する場合等がある。また、第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に対して振動によって光軸方向へ移動される可能性がある場合としては、例えば、交換レンズ1や撮像装置100の持ち運び時や車両の搭乗中に撮影を行う場合等がある。
【0080】
但し、タイトモードが設定されている場合でも第1の操作リング4の回転を行うことは可能であるため、撮影時等には通常のモードとしてタイトモードを設定し、必要に応じてスムースモードを設定するように交換レンズ1を使用することも可能である。
【0081】
また、連動部材13が移動されてタイトモードが設定されたときには、連動部材13の係合部23aが保持用バネ36における保持バネ部38の第2の係合凹部38bに係合される(
図8参照)。従って、連動部材13が保持用バネ36によって他方の移動端において保持され、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16がそれぞれ押付位置に保持される。
【0082】
このように交換レンズ1においては、係合部23aが保持バネ部38に係合されることにより第1の回動レバー14と第2の回動レバー16がそれぞれ押付位置に保持される。従って、係合部23aが保持バネ部38に係合された状態において第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17が第1の操作リング4の内周面に押し付けられた状態が保持されるため、押付位置に保持されている第1の回動レバー14と第2の回動レバー16の意図しない回動を防止することができる。
【0083】
また、操作者には係合部23aが保持バネ部38に係合されるときに係合された感触が操作スイッチ39を介して伝達されると共に係合されたときに生じる音も伝達される可能性があり、操作者はタイトモードが設定されたことを認識し易く、交換レンズ1の使い勝手の向上を図ることができる。
【0084】
タイトモードにおいて操作者が操作スイッチ39を操作して一方の移動端まで操作すると、操作スイッチ39の操作に伴って連動部材13が一方の移動端まで移動されてスムースモードが設定される(
図6参照)。
スムースモードにおいては、押付部24cと押付部30cがそれぞれ第1の付勢バネ29と第2の付勢バネ35の付勢力によって作用部19aに押し付けられ、第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17とが第1の操作リング4の内周面から離隔して位置され、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16が離隔位置に位置される。このとき連動部材13の係合部23aが保持用バネ36から離隔される。
【0085】
尚、第1の操作リング4の内周面にはタイトモードにおいて第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17の摺動性を高めるためのポリエチレン等によって形成された摺動シートが貼り付けられていてもよい。
【0086】
<まとめ>
以上に記載した通り、交換レンズ1及びこれを備えた撮像装置100においては、第1の操作リング4の内周面に対して離接される第1の摩擦部材15及び第2の摩擦部材17と、押付位置と離隔位置の間で回動される第1の回動レバー14及び第2の回動レバー16と、移動されることにより第1の回動レバー14及び第2の回動レバー16を回動させる連動部材13とが設けられ、操作スイッチ39の操作によって第1の回動レバー14及び第2の回動レバー16が押付位置と離隔位置の間で回動される。
【0087】
従って、操作スイッチ39の操作によって連動部材13が第1の操作リング4の周方向へ移動されて第1の回動レバー14と第2の回動レバー16が押付位置と離隔位置の間で回動されるため、第1の操作リング4のトルクを調整するための別の操作リングを設ける必要もなく、構造が簡素であり、小型化を確保した上で第1の操作リング4の回転トルクの調整を可能にすることができる。
【0088】
また、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16と第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17が第1の操作リング4の内周面に対向する位置に配置されている。
【0089】
従って、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16と第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17が光軸方向において第1の操作リング4の外側に位置されないため、交換レンズ1の光軸方向における小型化を確保した上で第1の操作リング4の意図しない回転を防止することができる。
【0090】
さらに、第1の回動レバー14において回動支点となる第1の回動軸28が第1の被作用部24と第1の取付部25の間に位置され、第2の回動レバー16において回動支点となる第2の回動軸34が第2の被作用部30と第2の取付部31の間に位置され、第1の回動軸28と第2の回動軸34の軸方向が光軸方向に一致されている。
【0091】
従って、第1の被作用部24と第1の取付部25が周方向に離隔した状態で第1の回動レバー14が回動され、第2の被作用部30と第2の取付部31が周方向に離隔した状態で第2の回動レバー16が回動されるため、交換レンズ1の光軸方向における一層の小型化を確保した上で第1の操作リング4の意図しない回転を防止することができる。
【0092】
交換レンズ1においては、上記したように、軸方向が光軸方向に一致された第1の回動軸28と第2の回動軸34を支点としてそれぞれ第1の回動レバー14と第2の回動レバー16が回動されるため、第1の操作リング4の回転方向によって第1の被作用部24と第2の被作用部30の間の摩擦力が異なる。具体的には、タイトモードの設定時に第1の操作リング4が周方向において第1の回動レバー14側から第2の回動レバー16側へ回転されるときには、第1の摩擦部材15と第1の操作リング4の間の摩擦力が第2の摩擦部材17と第1の操作リング4の間の摩擦力より大きい。一方、タイトモードの設定時に第1の操作リング4が周方向において第2の回動レバー16側から第1の回動レバー14側へ回転されるときには、第2の摩擦部材17と第1の操作リング4の間の摩擦力が第1の摩擦部材15と第1の操作リング4の間の摩擦力より大きい。
【0093】
そこで、交換レンズ1においては、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16が周方向に並び対称な状態で位置されているため、第1の操作リング4の回転方向に拘わらず第1の摩擦部材15と第1の操作リング4の間の摩擦力と第2の摩擦部材17と第1の操作リング4の間の摩擦力の双方の合計の摩擦力が同じにされている。
【0094】
従って、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16が第1の操作リング4の周方向において対称な状態で配置され、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16が同期して押付位置と離隔位置の間で回動されることにより、第1の操作リング4の回転方向に拘わらず第1の摩擦部材15及び第2の摩擦部材17から第1の操作リング4に対して同一の制動力が付与される。これにより、第1の操作リング4の回転方向に拘わらずタイトモードの設定時に操作者において同一の操作感を確保することができる。
【0095】
尚、交換レンズ1においては、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16が光軸方向に並んで位置されていてもよい。第1の回動レバー14と第2の回動レバー16が光軸方向に並んで位置されることにより、周方向における配置スペースが小さくなるため、径の小さい交換レンズ1においても簡素な構造で第1の操作リング4の回転トルクの調整を可能にすることができる。
【0096】
<その他>
上記には、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16と第1の摩擦部材15と第2の摩擦部材17が設けられた例を示したが、交換レンズ1においては、第1の回動レバー14又は第2の回動レバー16の一方と第1の摩擦部材15又は第2の摩擦部材17の一方が設けられた構成にされていてもよい(
図8参照)。
【0097】
交換レンズ1においては、例えば、持ち運び時等に第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に引き込まれた状態で保持されることが多く、第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に引き込まれた状態で第1の操作リング4の意図しない回転が防止されることが望ましい。
【0098】
従って、例えば、第1の操作リング4の第1の方向R1への回転に伴って第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2から繰り出され、第1の操作リング4の第1の方向R1とは反対方向の第2の方向R2への回転に伴って第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に引き込まれる構成にされている場合には、第1の回動レバー14と第1の摩擦部材15が設けられていることが望ましい。
【0099】
第1の回動レバー14が設けられることにより、第1の方向R1において第1の回動軸28が第1の摩擦部材15より第1の方向R1側に位置されるため、第1の操作リング4の第1の方向R1への回転に対して第2の方向R2への回転よりも第1の摩擦部材15による第1の操作リング4の回転が制限され易くなり、第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に引き込まれた状態からの第1の操作リング4の意図しない回転を防止することができる。
【0100】
逆に、例えば、第1の操作リング4の第1の方向R1への回転に伴って第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に引き込まれ、第1の操作リング4の第2の方向R2への回転に伴って第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2から繰り出される構成にされている場合には、第2の回動レバー16と第2の摩擦部材17が設けられていることが望ましい。
【0101】
第2の回動レバー16が設けられることにより、第2の方向R2において第2の回動軸34が第2の摩擦部材17より第2の方向R2側に位置されるため、第1の操作リング4の第2の方向R2への回転に対して第2の摩擦部材17による第1の操作リング4の回転が制限され易くなり、第2の鏡筒部3が第1の鏡筒部2に引き込まれた状態からの第1の操作リング4の意図しない回転を防止することができる。
【0102】
尚、交換レンズ1においては、第1の回動軸28と第2の回動軸34は軸方向が前後方向以外の方向にされていてもよく、軸方向が、例えば、ベース部材7の接線方向にされていてもよい。このとき、第1の回動レバー14と第2の回動レバー16の湾曲部26、32は回動軸の軸方向における中央部が最も外方に位置された緩やかな曲面状に形成されることが望ましい。
【0103】
また、交換レンズ1においては三つ以上の回動レバーと摩擦部材が設けられていてもよい。さらに、スムースモードとタイトモードが設定される対象は第1の操作リング4に限らず、交換レンズ1に設けられた他のリング、例えば、第2の操作リング5に対してスムースモードとタイトモードが設定される構成にされていてもよい。
【0104】
さらにまた、交換レンズ1においては、例えば、操作スイッチ39のスムースモードとタイトモードが設定される操作位置の他に、操作スイッチ39の別の操作位置に応じて第1の操作リング4がロックされる構成にされていてもよい。
【0105】
<撮像装置の一実施形態>
以下に、撮像装置100の一実施形態の構成例について説明する(
図10参照)。
【0106】
撮像装置100には、例えば、撮像機能を担うカメラブロック90を有する交換レンズが取り付けられる。
【0107】
撮像装置100は、撮影された画像信号のアナログ-デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部91と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部92とを有している。また、撮像装置100は、撮影された画像等を表示する表示部93と、メモリ99への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)94と、撮像装置100の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)95と、カメラブロック90に配置されたレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部96と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等の操作部97(操作部202)とを有している。
【0108】
撮像装置100には、カメラブロック90によって取り込まれた光学像を電気的信号に変換するCCDやCMOS等の撮像素子98が設けられている。
【0109】
カメラ信号処理部91は、撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
【0110】
画像処理部92は、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行う。
【0111】
表示部93はユーザーの操作部97に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。尚、撮像装置100においては、表示部93が設けられていなくてもよく、撮影された画像データが他の表示装置に送出されて画像が表示されるように構成されていてもよい。
【0112】
R/W94は、画像処理部92によって符号化された画像データのメモリ99への書込及びメモリ99に記録された画像データの読出を行う。
【0113】
CPU95は、撮像装置100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、操作部97からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
【0114】
レンズ駆動制御部96は、CPU95からの制御信号に基づいてレンズを移動させる駆動源を制御する。
【0115】
操作部97はユーザーによる操作に応じた指示入力信号をCPU95に対して出力する。
【0116】
メモリ99は、例えば、R/W94に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリ又は撮像装置100の内部に予め組み込まれている半導体メモリである。
【0117】
以下に、撮像装置100における動作を説明する。
【0118】
撮影の待機状態では、CPU95による制御の下で、撮影された画像信号がカメラ信号処理部91を介して表示部93に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、操作部97からの指示入力信号が入力されると、CPU95がレンズ駆動制御部96に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部96の制御に基づいてレンズが移動される。
【0119】
操作部97からの指示入力信号により撮影動作が行われると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部91から画像処理部92に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはR/W94に出力され、メモリ99に書き込まれる。
【0120】
メモリ99に記録された画像データを再生する場合には、操作部97に対する操作に応じて、R/W94によってメモリ99から所定の画像データが読み出され、画像処理部92によって伸張復号化処理が行われた後に、再生画像信号が表示部93に出力されて再生画像が表示される。
【0121】
尚、本技術において、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理から、カメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理、R/W94によるメモリ99への画像信号の書込処理までの一連の処理の一部のみ、または全てを含む処理のことを言う。
【0122】
即ち、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理のみを指してもよく、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理までを指してもよい、また、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理を経て、画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよい。さらに、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、及び画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよく、R/W94によるメモリ99への画像信号の書込処理までを指してもよい。
【0123】
上記の処理において各処理の順番は適宜入れ替わってもよい。
【0124】
また、本技術において、カメラブロック90及び撮像装置100は、上記の処理を行う撮像素子98、カメラ信号処理部91、画像処理部92、R/W94の一部のみまたは全てを含むように構成されていてもよい。
【0125】
さらに、カメラブロック90が撮像素子98、カメラ信号処理部91、画像処理部92、R/W94のうち一部を含んで構成されていてもよい。
【0126】
<本技術>
本技術は、以下のような構成にすることもできる。
【0127】
(1)
回転操作される操作リングと、
前記操作リングの内側に配置され前記操作リングを回転可能に支持するベース部材と、
前記操作リングの内周面に対して離接される摩擦部材と、
前記摩擦部材が取り付けられると共に前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に押し付けられる押付位置と前記摩擦部材が前記操作リングの内周面から離隔する離隔位置との間で回動される回動レバーと、
前記ベース部材に前記操作リングの周方向へ移動可能に支持され移動されることにより前記回動レバーを回動させる連動部材と、
前記回動レバーを前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に接する方向へ付勢する付勢バネと、
操作されることにより前記連動部材を前記操作リングの周方向へ移動させる操作スイッチとを備え、
前記操作スイッチの操作によって前記回動レバーが前記押付位置と前記離隔位置の間で回動される
交換レンズ。
【0128】
(2)
前記回動レバーと前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に対向する位置に配置された
前記(2)に記載の交換レンズ。
【0129】
(3)
前記回動レバーに前記連動部材が作用される被作用部と前記摩擦部材が取り付けられる取付部とが設けられ、
前記回動レバーの回動支点となる回動軸が前記被作用部と前記取付部の間に位置され、
前記回動軸の軸方向が光軸方向に一致された
前記(1)又は前記(2)に記載の交換レンズ。
【0130】
(4)
前記操作リングを有する第1の鏡筒部と前記操作リングの回転に伴って前記第1の鏡筒部に対して光軸方向へ移動される第2の鏡筒部とを有し、
前記操作リングの第1の方向への回転に伴って前記第2の鏡筒部が前記第1の鏡筒部から繰り出され、
前記操作リングの前記第1の方向とは反対方向の第2の方向への回転に伴って前記第2の鏡筒部が前記第1の鏡筒部に引き込まれ、
前記第1の方向において前記回動軸が前記摩擦部材より回転方向側に位置された
前記(1)から前記(3)の何れかに記載の交換レンズ。
【0131】
(5)
前記連動部材の一部が前記回動レバーの少なくとも一部を挟んで前記操作リングの反対側に位置された
前記(1)から前記(4)の何れかに記載の交換レンズ。
【0132】
(6)
前記連動部材に係合部が設けられ、
前記連動部材が移動方向における一端に移動された状態において前記係合部が係合される保持用バネが設けられ、
前記係合部が前記保持用バネに係合されることにより前記回動レバーが前記押付位置と離隔位置にそれぞれ保持される
前記(1)から前記(5)の何れかに記載の交換レンズ。
【0133】
(7)
前記回動レバーとして第1の回動レバーと第2の回動レバーが前記操作リングの周方向において対称な状態で配置され、
前記操作スイッチの操作によって前記第1の回動レバーと前記第2の回動レバーが同期して前記押付位置と前記離隔位置の間で回動される
前記(1)から前記(6)の何れかに記載の交換レンズ。
【0134】
(8)
前記第1の回動レバーと前記第2の回動レバーとして同一の部材が用いられた
前記(7)に記載の交換レンズ。
【0135】
(9)
前記第1の回動レバーと前記第2の回動レバーの各一部が光軸方向において並ぶ状態にされた
前記(8)に記載の交換レンズ。
【0136】
(10)
取り込まれた光学像を電気的信号に変換する撮像素子を有する装置本体と前記装置本体に着脱可能にされた交換レンズとを備え、
前記交換レンズは、
回転操作される操作リングと、
前記操作リングの内側に配置され前記操作リングを回転可能に支持するベース部材と、
前記操作リングの内周面に対して離接される摩擦部材と、
前記摩擦部材が取り付けられると共に前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に押し付けられる押付位置と前記摩擦部材が前記操作リングの内周面から離隔する離隔位置との間で回動される回動レバーと、
前記ベース部材に前記操作リングの周方向へ移動可能に支持され移動されることにより前記回動レバーを回動させる連動部材と、
前記回動レバーを前記摩擦部材が前記操作リングの内周面に接する方向へ付勢する付勢バネと、
操作されることにより前記連動部材を前記操作リングの周方向へ移動させる操作スイッチとを備え、
前記操作スイッチの操作によって前記回動レバーが前記押付位置と前記離隔位置の間で回動される
撮像装置。
【符号の説明】
【0137】
100 撮像装置
1 交換レンズ
2 第1の鏡筒部
3 第2の鏡筒部
4 第1の操作リング
7 ベース部材
13 連動部材
14 第1の回動レバー
15 第1の摩擦部材
16 第2の回動レバー
17 第2の摩擦部材
23a 係合部
24 第1の被作用部
25 第1の取付部
28 第1の回動軸
29 第1の付勢バネ
30 第2の被作用部
31 第2の取付部
34 第2の回動軸
35 第2の付勢バネ
36 保持用バネ
39 操作スイッチ
98 撮像素子