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特開2023-159588情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159588
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0203 20230101AFI20231025BHJP
【FI】
G06Q30/02 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069361
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 安昭
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】より効果的に施設の価値を評価すること。
【解決手段】情報提供装置10は、利用者の利用者情報を収集し、利用者情報が示す利用者属性に基づいて、所定の施設を訪問した利用者の全体の属性を示す訪問者属性を推定し、訪問者属性に基づいて、当該施設の価値を算出する。このとき、情報提供装置10は、訪問者属性と施設の価値との関係性を学習した機械学習モデルを用いて、当該施設の価値を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の利用者情報を収集する収集部と、
前記利用者情報が示す利用者属性に基づいて、所定の施設を訪問した前記利用者の全体の属性を示す訪問者属性を推定する推定部と、
前記訪問者属性に基づいて、前記施設の価値を算出する算出部と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記利用者情報が示す位置情報に基づいて、前記施設を訪問した前記利用者を特定する特定部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記特定部は、
前記利用者情報が示す履歴情報に基づいて、前記施設を訪問した前記利用者の目的を特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記算出部は、
前記訪問者属性が示す前記利用者属性の分布に基づいて、前記施設の価値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記算出部は、
前記訪問者属性が示す前記利用者属性に基づいて前記利用者が訪問した前記施設内のテナントの種別を推定し、当該テナントの種別に基づいて前記施設の価値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記算出部は、
訪問者属性と施設の価値との関係性を学習した機械学習モデルを用いて、前記施設の価値を算出する、
ことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
情報提供装置によって実行される情報提供方法であって、
利用者の利用者情報を収集する収集工程と、
前記利用者情報が示す利用者属性に基づいて、所定の施設を訪問した前記利用者の全体の属性を示す訪問者属性を推定する推定工程と、
前記訪問者属性に基づいて、前記施設の価値を算出する算出工程と、
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
利用者の利用者情報を収集する収集手順と、
前記利用者情報が示す利用者属性に基づいて、所定の施設を訪問した前記利用者の全体の属性を示す訪問者属性を推定する推定手順と、
前記訪問者属性に基づいて、前記施設の価値を算出する算出手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象施設の駐車可能なエリアに訪問者の自動車等の車両が駐車されたか否かを判定し、当該対象施設に対する評価をレーティング情報として作成する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-146293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術は、より効果的に施設の価値(適宜、「施設価値」)を評価する上で改善の余地がある。例えば、上記の従来技術では、駐車場がない施設の施設価値を評価することは難しい。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、より効果的に施設の価値を評価する情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報提供装置は、利用者の利用者情報を収集する収集部と、前記利用者情報が示す利用者属性に基づいて、所定の施設を訪問した前記利用者の全体の属性を示す訪問者属性を推定する推定部と、前記訪問者属性に基づいて、前記施設の価値を算出する算出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る情報提供方法は、情報提供装置によって実行される情報提供方法であって、利用者の利用者情報を収集する収集工程と、前記利用者情報が示す利用者属性に基づいて、所定の施設を訪問した前記利用者の全体の属性を示す訪問者属性を推定する推定工程と、前記訪問者属性に基づいて、前記施設の価値を算出する算出工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る情報提供プログラムは、利用者の利用者情報を収集する収集手順と、前記利用者情報が示す利用者属性に基づいて、所定の施設を訪問した前記利用者の全体の属性を示す訪問者属性を推定する推定手順と、前記訪問者属性に基づいて、前記施設の価値を算出する算出手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、より効果的に施設の価値を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る情報提供システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る利用者情報記憶部の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る訪問者属性記憶部の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る施設価値記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る情報提供処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願に係る情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムを実施するための形態(以下、実施形態)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により、本願に係る情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0012】
〔実施形態〕
以下に、実施形態に係る情報提供システム100の構成、情報提供装置10の構成、情報提供処理の流れを順に説明し、最後に実施形態の効果を説明する。
【0013】
〔1.情報提供システム100の構成〕
図1を用いて、実施形態に係る情報提供システム100の処理を説明する。図1は、実施形態に係る情報提供システム100の構成例を示す図である。以下では、情報提供システム100の構成例、情報提供システム100の処理、情報提供システム100の効果の順に説明する。
【0014】
(1-1.情報提供システム100の構成例)
図1に示した情報提供システム100は、情報提供装置10と、利用者端末20(20A、20B、20C)とを有する。ここで、情報提供装置10と利用者端末20とは、図示しない所定の通信網を介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、情報提供システム100には、複数台の情報提供装置10または4台以上の利用者端末20が含まれてもよい。
【0015】
(1-1-1.情報提供装置10)
情報提供装置10は、利用者端末20との間でデータの送受信を行う装置であり、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。図1の例では、情報提供装置10がサーバ装置により実現される場合を示す。
【0016】
(1-1-2.利用者端末20)
利用者端末20は、施設の訪問者である利用者U(UA、UB、UC)によって使用されるデバイス(コンピュータ)である。利用者端末20Aは、利用者UAによる操作を受け付ける。また、利用者端末20Bは、利用者UBによる操作を受け付ける。また、利用者端末20Cは、利用者UCによる操作を受け付ける。なお、利用者端末20は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。図1の例では、利用者端末20がスマートフォンにより実現される場合を示す。
【0017】
以下では、利用者端末20を利用者Uと表記する場合がある。すなわち、利用者Uを利用者端末20と読み替えることもできる。また、利用者Uを複数の訪問者を表わすものとして使用することがある。
【0018】
(1-2.情報提供システム100の処理)
以下に、情報提供システム100の処理として、ステップS1~S5の処理について説明する。なお、下記のステップS1~S5は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS1~S5のうち、省略される処理があってもよい。
【0019】
(1-2-1.ステップS1の処理)
情報提供システム100において、第1に、情報提供装置10は、利用者U(UA、UB、UC)の利用者端末20(20A、20B、20C)から、利用者情報を収集する(ステップS1)。ここで、利用者情報とは、利用者属性、位置情報、履歴情報等を含む情報である。例えば、利用者属性は、利用者Uの性別、年齢、年代、職業、年収、居住地、既婚・未婚の別、子供の有無、利用者Uの動画像、利用者Uが興味関心を有するカテゴリ等を含む情報である。また、位置情報は、利用者Uの利用者端末20から収集された利用者Uの現在位置、移動速度、移動手段等を示す情報である。また、履歴情報は、利用者Uのウェブサイト上での検索履歴・閲覧履歴、インターネットショッピングでの購買履歴、利用者Uの移動履歴等の行動履歴全般を含む情報である。さらに、利用者情報は、利用者端末20の画面情報、利用者Uの生体情報等を含む情報であってもよく、特に限定されない。
【0020】
(1-2-2.ステップS2の処理)
情報提供システム100において、第2に、情報提供装置10は、利用者Uの位置情報から利用者Uを特定する(ステップS2)。ここで、情報提供装置10は、利用者情報が示す位置情報を利用者Uの利用者端末20から取得し、評価対象となるビル等の施設(適宜、「評価対象施設」)を訪問した利用者Uを特定する。また、情報提供装置10は、利用者Uの履歴情報から利用者Uの当該施設の利用目的(住居利用、職場利用、立ち寄り利用等)を特定する。
【0021】
(1-2-3.ステップS3の処理)
情報提供システム100において、第3に、情報提供装置10は、利用者U全体の利用者属性である訪問者属性を推定する(ステップS3)。ここで、訪問者属性とは評価対象施設に訪問する利用者Uの属性(ペルソナ)を集約した情報であって、利用者Uの性別、年代、興味関心、職業、世帯収入、利用用途(住居、職場、立ち寄り等)の割合や訪問者数等の評価対象施設の属性(ペルソナ)を示す情報であるが、特に限定されない。
【0022】
(1-2-4.ステップS4の処理)
情報提供システム100において、第4に、情報提供装置10は、評価対象施設の施設価値を算出する(ステップS4)。このとき、情報提供装置10は、評価対象施設の施設を訪問した利用者Uの属性の分布に基づいて、評価対象施設の施設価値を算出する。例えば、情報提供装置10は、年収が所定の閾値を上回る利用者Uが多いか否か、男性と女性との比率等の各種属性の分布の特徴に応じて、価値を示す価格等のスコア値を算出する。また、情報提供装置10は、評価対象施設に出店しているテナント種別に応じて施設価値を算出してもよい。例えば、情報提供装置10は、利用者属性に基づいてテナント種別を推定し、推定した各テナントの種別に基づいて、施設価値を算出する。具体的には、情報提供装置10は、同一のテナントに利用者Uが訪問する時間帯、利用者属性、ステップS2の処理によって特定された利用者Uの利用目的等から、施設内に所在するテナント種別を推定する。このとき、情報提供装置10は、テナント種別として、例えば、高級レストランであるか、通常のレストランであるか等の価格帯、テナントが提供する業務の種別、1人当たりの平均予算等を推定し、当該施設内の各テナント種別に基づいて、施設価値を算出することもできる。
【0023】
ここで、情報提供装置10は、学習済みの機械学習モデルを用いて施設価値を算出することもできる。例えば、情報提供装置10は、地価公示価格等の施設の実際の価値と、当該施設の実際の訪問者から生成した訪問者属性との関係性を学習したDNN(Deep Neural Network)等の機械学習モデルを用いて、評価対象施設の施設価値を算出する。なお、情報提供装置10は、ルールベースで施設価値を算出してもよい。
【0024】
(1-2-5.ステップS5の処理)
情報提供システム100において、第5に、情報提供装置10は、算出した施設価値を学習する(ステップS5)。例えば、情報提供装置10は、評価対象施設の地価公示価格が上昇した情報が機械学習モデルに入力された場合には、施設価値がより高い価値として出力されるように、バックプロパゲーション等を用いて学習する。また、情報提供装置10は、評価対象施設の地価公示価格が下降した情報が機械学習モデルに入力された場合には、施設価値がより低い価値として出力されるように、バックプロパゲーション等を用いて学習する。
【0025】
(1-3.情報提供システム100の効果)
以下では、情報提供システム100の処理の概要を説明した上で、情報提供システム100の効果について説明する。
【0026】
(1-3-1.概要)
情報提供システム100では、情報提供装置10は、利用者Uの利用者情報を収集し、利用者情報が示す位置情報に基づいて施設を訪問した利用者Uを特定し、利用者情報が示す履歴情報に基づいて施設を訪問した利用者Uの目的を特定し、利用者情報が示す利用者属性に基づいて利用者属性の分布等の訪問者属性を推定し、訪問者属性に基づいて施設の価値を算出する。このとき、情報提供装置10は、訪問者属性と施設の価値との関係性を学習した機械学習モデルを用いて、施設の価値を算出する。また、情報提供装置10は、施設に入っているテナント種別に応じて価値を推定し、推定した各テナントの種別に基づいて施設全体の価値を算出することもできる。
【0027】
(1-3-2.効果)
上述してきたように、情報提供システム100では、ビル等の施設の不動産価値の評価基準だけではなく、当該施設の利用者像を付加することによって、より精緻で柔軟な施設の評価を行うことができる。すなわち、情報提供システム100では、評価対象施設のビル来訪者のペルソナ(性別、年齢、興味関心、世帯収入等)を集約し、地価公示価格や不動産売買実績データ等と紐づけることで、評価対象施設の価格の妥当性や将来価格を評価することができる。
【0028】
さらに、情報提供システム100では、従業員の年収や興味関心によって、会社名からは想像できない業種・業態等といったテナントの実際の種別を推定し、推定した種別に基づいた価値推定が可能となる。なお、情報提供システム100では、上記のように推定したテナントの実際の種別を合わせて提供することで、テナントへのアプローチをより実際の業種等に即したものとすることができる。
【0029】
〔2.情報提供装置10の構成〕
図2を用いて、実施形態に係る情報提供装置10の構成について説明する。図2は、実施形態に係る情報提供装置10の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、情報提供装置10は、通信部11、記憶部12および制御部13を有する。なお、情報提供装置10は、情報提供装置10の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0030】
(2-1.通信部11)
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部11は、所定の通信網(ネットワーク)と有線または無線で接続され、各種装置との間で情報の送受信を行う。
【0031】
(2-2.記憶部12)
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。実施形態に係る記憶部12は、図2に示すように、利用者情報記憶部12a、訪問者属性記憶部12bおよび施設価値記憶部12cを有する。そして、記憶部12は、制御部13が動作する際に参照する各種情報や、制御部13が動作した際に取得した各種情報を記憶する。
【0032】
(2-2-1.利用者情報記憶部12a)
利用者情報記憶部12aは、利用者Uに関する各種の情報(利用者情報)を記憶する。ここで、図3を用いて、利用者情報記憶部12aが記憶する情報の一例を説明する。図3は、実施形態に係る利用者情報記憶部12aの一例を示す図である。図3の例において、利用者情報記憶部12aは、「利用者ID」、「利用者属性」、「位置情報」、「履歴情報」といった項目を有する。
【0033】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。「利用者属性」は、事前に登録された利用者Uの分類に寄与する情報であって、利用者Uの性別、年齢、年代、職業、年収、居住地、既婚・未婚の別、子供の有無、利用者Uの動画像、利用者Uが興味関心を有するカテゴリ等を含む情報である。「位置情報」は、利用者Uの利用者端末20から収集された利用者Uの現在位置、移動速度、移動手段等を示す情報である。「履歴情報」は、購買履歴、閲覧履歴、検索履歴、移動履歴、通信履歴等を含む情報である。
【0034】
図3では、利用者ID「UID#1」によって識別される利用者Uについて、利用者属性が「利用者属性#1」、位置情報が「位置情報#1」、履歴情報が「履歴情報#1」である例を示す。
【0035】
(2-2-2.訪問者属性記憶部12b)
訪問者属性記憶部12bは、後述する制御部13の推定部13cによって推定された訪問者属性を記憶する。ここで、図4を用いて、訪問者属性記憶部12bが記憶する情報の一例を説明する。図4は、実施形態に係る訪問者属性記憶部12bの一例を示す図である。図4の例において、訪問者属性記憶部12bは、「施設ID」、「訪問者属性」といった項目を有する。
【0036】
「施設ID」は、評価対象施設であるビル等の施設を識別するための識別情報を示す。「訪問者属性」は、評価対象施設を訪問した利用者Uの全体の属性、すなわち当該評価対象施設の属性を示す情報である。
【0037】
図4では、施設ID「BID#1」によって識別される施設について、訪問者属性が「訪問者属性#1」である例を示す。
【0038】
(2-2-3.施設価値記憶部12c)
施設価値記憶部12cは、後述する制御部13の算出部13dによって算出された施設の価値を記憶する。ここで、図5を用いて、施設価値記憶部12cが記憶する情報の一例を説明する。図5は、実施形態に係る施設価値記憶部12cの一例を示す図である。図5の例において、施設価値記憶部12cは、「施設ID」、「施設価値」といった項目を有する。
【0039】
「施設ID」は、評価対象施設であるビル等の施設を識別するための識別情報を示す。「施設価値」は、評価対象施設の地価公示価格等の不動産価値に訪問者属性に基づく価値を付加した施設の価値である。
【0040】
図5では、施設ID「BID#1」によって識別される施設について、施設価値が「施設価値#1」、施設ID「BID#2」によって識別される施設について、施設価値が「施設価値#2」である例を示す。
【0041】
(2-3.制御部13)
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報提供装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0042】
図2に示すように、制御部13は、収集部13a、特定部13b、推定部13c、算出部13dおよび学習部13eを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部13の内部構成は、図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部13が有する各処理部の接続関係は、図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0043】
(2-3-1.収集部13a)
収集部13aは、利用者U(UA、UB、UC)の利用者情報を収集する。例えば、収集部13aは、利用者情報として、利用者Uにおける利用者属性(例:性別、年齢、年代、職業、年収、居住地、既婚・未婚の別、子供の有無、利用者Uの動画像、利用者Uが興味関心を有するカテゴリ)、位置情報(例:現在位置、移動速度、移動手段)、履歴情報(例:購買履歴、閲覧履歴、検索履歴、移動履歴、通信履歴)等を利用者Uの利用者端末20から収集する。なお、収集部13aは、収集した利用者情報を利用者情報記憶部12aに格納する。
【0044】
(2-3-2.特定部13b)
特定部13bは、利用者情報が示す位置情報に基づいて、所定の施設を訪問した利用者Uを特定する。例えば、特定部13bは、利用者Uの現在位置、移動速度、移動手段等を用いて、ビルAを訪問した利用者Uを特定する。また、特定部13bは、利用者Uの現在位置、移動速度、移動手段等を用いて、ビルAのうち利用者Uが訪問した階や店舗を特定する。さらに、特定部13bは、利用者情報が示す履歴情報に基づいて、所定の施設を訪問した利用者Uの目的を特定する。例えば、特定部13bは、購買履歴や移動履歴等の履歴情報を用いて、ビルAを訪問した利用者の利用目的として、住居利用、職場利用、立ち寄り利用等を特定する。
【0045】
なお、特定部13bは、利用者情報記憶部12aから位置情報または履歴情報を取得する。一方、特定部13bは、特定した利用者Uの目的を記憶部12に格納してもよい。
【0046】
(2-3-3.推定部13c)
推定部13cは、利用者情報が示す利用者属性に基づいて、所定の施設を訪問した利用者Uの全体の属性を示す訪問者属性を推定する。例えば、推定部13cは、利用者Uの性別、年齢、年代、職業、年収等から、ビルAを訪問する利用者Uの性別の割合、年齢・年代の割合、職業や年収の分布等を推定する。また、推定部13cは、利用者UのビルAの利用目的の割合等を推定する。
【0047】
なお、推定部13cは、利用者情報記憶部12aから利用者属性を取得する。一方、推定部13cは、推定した訪問者属性を訪問者属性記憶部12bに格納する。
【0048】
(2-3-4.算出部13d)
算出部13dは、訪問者属性に基づいて、所定の施設の価値を算出する。例えば、算出部13dは、訪問者属性が示す利用者属性の分布に基づいて、当該施設の価値を算出する。具体的には、算出部13dは、ビルAを訪問する利用者Uの性別の割合、年齢・年代の割合、職業や年収の分布を用いて、ビルAの施設価値を算出する。さらに、算出部13dは、ビルAの階数ごとに施設価値を算出してもよい。また、算出部13dは、訪問者属性が示す利用者属性に基づいて利用者Uが訪問した施設内のテナントの種別を推定し、当該テナントの種別に基づいて当該施設の価値を算出する。具体的には、算出部13dは、同一のテナントに利用者Uが訪問する時間帯、利用者属性、利用者Uの利用目的等から、施設内に所在するテナントの種別(例:高級レストラン、通常のレストラン、業務の種別、1人当たりの平均予算等)を推定し、当該施設の価値を算出することもできる。
【0049】
算出する手法について説明すると、算出部13dは、訪問者属性と施設の価値との関係性を学習した機械学習モデルを用いて、施設の価値を算出する。また、算出部13dは、ルールベースで施設の価値を算出してもよい。
【0050】
算出する数値について説明すると、算出部13dは、施設の価値に応じた価格を算出する。また、算出部13dは、実際の不動産価値として算出された価格を100%としたときの倍率として施設の価値を算出してもよく、算出する数値の範囲や単位は特に限定されない。
【0051】
なお、算出部13dは、訪問者属性記憶部12bから訪問者属性を取得する。一方、算出部13dは、算出した施設の価値を施設価値記憶部12cに格納する。
【0052】
(2-3-5.学習部13e)
学習部13eは、所定の施設の訪問者である利用者U(UA、UB、UC)の利用者情報が入力された際に、当該施設の価値が出力されるように、機械学習モデルを学習する。このとき、学習部13eは、バックプロパゲーション等により機械学習モデルを学習してもよい。
【0053】
例えば、学習部13eは、所定の施設の地価公示価格等の不動産価値が上昇した情報が機械学習モデルに入力された場合には、当該施設の価値が高い数値として出力されるように、機械学習モデルを学習する。
【0054】
例えば、学習部13eは、所定の施設の地価公示価格等の不動産価値が下降した情報が機械学習モデルに入力された場合には、当該施設の価値が低い数値として出力されるように、機械学習モデルを学習する。
【0055】
〔3.情報提供処理の流れ〕
図6を用いて、実施形態に係る情報提供装置10の情報提供処理の手順について説明する。図6は、実施形態に係る情報提供処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS101~S105は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S105のうち、省略される処理があってもよい。
【0056】
(3-1.利用者情報収集処理)
第1に、情報提供装置10の収集部13aは、利用者情報収集処理を実行する(ステップS101)。例えば、収集部13aは、利用者情報として、ビルAを訪問した利用者Uの利用者属性、位置情報、履歴情報等を収集する。
【0057】
(3-2.利用者特定処理)
第2に、情報提供装置10の特定部13bは、利用者特定処理を実行する(ステップS102)。例えば、特定部13bは、利用者Uの位置情報に基づいて、ビルAを訪問した利用者Uや利用者Uの利用目的を特定する。
【0058】
(3-3.訪問者属性推定処理)
第3に、情報提供装置10の推定部13cは、訪問者属性推定処理を実行する(ステップS103)。例えば、推定部13cは、ビルAを訪問する利用者Uの性別の割合、年齢・年代の割合、職業や年収の分布や、利用者Uの利用目的の割合等を推定する。
【0059】
(3-4.施設価値算出処理)
第4に、情報提供装置10の算出部13dは、施設価値算出処理を実行する(ステップS104)。例えば、算出部13dは、推定されたビルAの訪問者属性に基づいて、ビルAの施設価値を算出する。
【0060】
(3-5.施設価値学習処理)
第5に、情報提供装置10の学習部13eは、施設価値学習処理を実行する(ステップS105)。例えば、学習部13eは、ビルAの不動産売買実績データ等を用いて機械学習モデルの学習を行う。
【0061】
〔4.実施形態の効果〕
最後に、実施形態の効果について説明する。以下では、実施形態に係る処理に対応する効果1~4について説明する。
【0062】
(4-1.効果1)
上述した実施形態に係る処理では、利用者の利用者情報を収集し、利用者情報が示す利用者属性に基づいて、所定の施設を訪問した利用者Uの全体の属性を示す訪問者属性を推定し、訪問者属性に基づいて、当該施設の価値を算出する。このため、本処理では、より効果的に施設の価値を評価することができる。
【0063】
(4-2.効果2)
上述した実施形態に係る処理では、利用者情報が示す位置情報に基づいて、所定の施設を訪問した利用者Uを特定する。このため、本処理では、所定の施設を訪問した利用者Uを特定することによって、より効果的に施設の価値を評価することができる。
【0064】
(4-3.効果3)
上述した実施形態に係る処理では、利用者情報が示す履歴情報に基づいて、所定の施設を訪問した利用者Uの目的を特定する。このため、本処理では、所定の施設を訪問した利用者Uの目的を特定することによって、より効果的に施設の価値を評価することができる。
【0065】
(4-4.効果4)
上述した実施形態に係る処理では、訪問者属性が示す利用者属性の分布に基づいて、施設の価値を算出する。このため、本処理では、施設の属性を推定することによって、より効果的に施設の価値を評価することができる。
【0066】
(4-5.効果5)
上述した実施形態に係る処理では、訪問者属性が示す利用者属性に基づいて利用者Uが訪問した施設内のテナントの種別を推定し、当該テナントの種別に基づいて施設の価値を算出する。このため、本処理では、施設内のテナントの種別を推定することによって、より効果的に施設の価値を評価することができる。
【0067】
(4-6.効果6)
上述した実施形態に係る処理では、訪問者属性と施設の価値との関係性を学習した機械学習モデルを用いて、当該施設の価値を算出する。このため、本処理では、より効果的にかつ精度よく施設の価値を評価することができる。
【0068】
〔ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報提供装置10は、例えば、図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、情報提供装置10を例に挙げて説明する。図7は、情報提供装置10の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、およびメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0069】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0070】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0071】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0072】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0073】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報提供装置10として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部13の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0074】
〔その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0075】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0076】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0077】
例えば、上述した情報提供装置10は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットホーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0078】
また、上述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0079】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0080】
10 情報提供装置
11 通信部
12 記憶部
12a 利用者情報記憶部
12b 訪問者属性記憶部
12c 施設価値記憶部
13 制御部
13a 収集部
13b 特定部
13c 推定部
13d 算出部
13e 学習部
20、20A、20B、20C 利用者端末
100 情報提供システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7