(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159592
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】車両内装用画像投影システム
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/76 20170101AFI20231025BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20231025BHJP
B60Q 3/20 20170101ALI20231025BHJP
B60Q 3/225 20170101ALI20231025BHJP
F21V 11/08 20060101ALI20231025BHJP
F21W 106/00 20180101ALN20231025BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231025BHJP
【FI】
B60Q3/76
B60Q3/217
B60Q3/20
B60Q3/225
F21V11/08
F21W106:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069370
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 将人
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA05
3K040GA04
3K040GB02
3K040GB05
3K040GB08
3K040GC14
3K040HA04
(57)【要約】
【課題】プロジェクターから投影される画像の表現の幅を拡げることができる車両内装用画像投影システムを提供することにある。
【解決手段】車両の内装に用いられる画像投影システムであって、投影対象2に画像を投影するプロジェクター1を備え、プロジェクター1が、投影対象2の表面に対して光軸が傾斜するように設置され、プロジェクター1による投影対象2上の画像の投影領域が楕円形である、車両内装用画像投影システム100を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影対象に画像を投影するプロジェクターを備え、
前記プロジェクターが、前記投影対象の表面に対して光軸が傾斜するように設置され、
前記プロジェクターによる前記投影対象上の画像の投影領域が楕円形である、
車両内装用画像投影システム。
【請求項2】
前記プロジェクターの光軸と前記投影対象の表面とのなす角度が、5°以上、80°以下である、
請求項1に記載の車両内装用画像投影システム。
【請求項3】
前記プロジェクターの400mmの投影距離における画像拡大率が、50倍以上、100倍以下である、
請求項1に記載の車両内装用画像投影システム。
【請求項4】
前記プロジェクターがドアの内部に設置され、
前記投影対象が前記ドアに取り付けられたドアトリムである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両内装用画像投影システム。
【請求項5】
前記プロジェクターがインストルメントパネル又はコンソールの内部に設置され、
前記投影対象が車両の床である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両内装用画像投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内装用画像投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から出射した光を車室内の照射面に導光する導光体と、所定の柄が形成された柄パネルを備え、導光体からの光が柄パネルを透過することで照射面に柄が投影される照明装置が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の照明装置によれば、柄パネルの柄を照射面に単純に投影するのみであるため、投影画像の表現が単調になりやすいという欠点がある。
【0005】
本発明の目的は、プロジェクターから投影される画像の表現の幅を拡げることができる車両内装用画像投影システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[5]の車両内装用画像投影システムを提供する。
【0007】
[1]投影対象に画像を投影するプロジェクターを備え、前記プロジェクターが、前記投影対象の表面に対して光軸が傾斜するように設置され、前記プロジェクターによる前記投影対象上の画像の投影領域が楕円形である、車両内装用画像投影システム。
[2]前記プロジェクターの光軸と前記投影対象の表面とのなす角度が、5°以上、80°以下である、上記[1]に記載の車両内装用画像投影システム。
[3]前記プロジェクターの400mmの投影距離における画像拡大率が、50倍以上、100倍以下である、上記[1]に記載の車両内装用画像投影システム。
[4]前記プロジェクターがドアの内部に設置され、前記投影対象が前記ドアに取り付けられたドアトリムである、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の車両内装用画像投影システム。
[5]前記プロジェクターがインストルメントパネル又はコンソールの内部に設置され、前記投影対象が車両の床である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の車両内装用画像投影システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プロジェクターから投影される画像の表現の幅を拡げることができる車両内装用画像投影システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両内装用画像投影システムの模式図である。
【
図2】
図2は、車両内装用画像投影システムにおけるプロジェクターの設置位置の例とそれに対応する投影領域の位置の例を示す車両室内の模式図である。
【
図3】
図3(a)は、プロジェクターを内部に設置する場合のドアの一部の側面図である。
図3(b)は、
図3(a)に示される切断線A-Aで切断されたドアの断面図である。
【
図4】
図4(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施の形態に係るプロジェクターを異なる角度から視た斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の実施の形態に係るプロジェクターを光取り出し側から視た側面図であり、
図5(b)は、
図5(a)に記載された切断線B-Bで切断されたプロジェクターの断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係るプロジェクターの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る柄プレートの一形態の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施の形態〕
(車両内装用画像投影システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る車両内装用画像投影システム100の模式図である。車両内装用画像投影システム100は、投影対象2に画像を投影するプロジェクター1を備える。車両内装用画像投影システム100においては、プロジェクター1が、投影対象2の表面に対して光軸Lが傾斜するように設置され、プロジェクター1による投影対象2上の画像の投影領域Rが楕円形である。
【0011】
プロジェクター1においては、後述する円形の投影レンズ221から光が射出される。このため、投影対象2の表面に対して光軸Lが直交するようにプロジェクター1を設置した場合、投影領域Rはほぼ真円形になる。車両内装用画像投影システム100においては、上述のように、投影対象2の表面に対して光軸Lが傾斜するようにプロジェクター1が設置されるため、投影領域Rは楕円形になる。
【0012】
なお、投影領域Rは、投影される画像の全体を含む領域であり、後述する柄プレート20の柄により表現される画像の明るい部分と暗い部分、すなわち柄プレート20の光透過部を透過した光が照射される部分と柄プレート20の光遮蔽部で遮光されて光が照射されない部分、の両方を含む。すなわち、投影領域Rは柄プレート20の柄により表現される画像の内容によらず楕円形である。
【0013】
車両内装用画像投影システム100においては、プロジェクター1が投影レンズ221を用いて柄プレート20の柄を拡大投影し、かつ投影対象2の表面に対して光軸Lが傾斜するようにプロジェクター1が設置されるため、プロジェクター1からの投影領域Rのプロジェクター1に近い部分と遠い部分までの経路差が大きくなる。このため、例えば、柄プレート20の柄が全体的に一様であったとしても、投影領域Rのプロジェクター1に近い部分と遠い部分の輝度差が大きくなり、投影領域Rにおいて明るさのグラデーション表現が可能となっている。このような効果を利用することにより、車両内装用画像投影システム100によれば、柄プレート20の柄を単純に投影するだけではなく、柄が徐々に消えていくようなグラデーション表現や徐々に大きく広がっていく表現などの投影画像における多彩な表現を実現している。
【0014】
投影領域Rにおける光の経路差を大きくして輝度差による表現の視認性をよくするためには、プロジェクター1の光軸Lと投影対象2の表面とのなす角度θが、80°以下であることが好ましく、50°以下であることがより好ましく、20°以下であることがさらに好ましい。また、投影された画像における柄の潰れを抑えるため、角度θは5°以上であることが好ましい。
【0015】
また、投影領域Rにおける光の経路差を大きくして輝度差による表現の視認性をよくするために、プロジェクター1の400mmの投影距離における画像拡大率が、50倍以上であることが好ましい。また、後述する車両内での車両内装用画像投影システム100の設置形態において投影画像の投影対象2からのはみ出しを抑えるため、画像拡大率は100倍以下であることが好ましい。ここで、プロジェクター1の400mmの投影距離における画像拡大率とは、投影レンズ221から400mmの距離に、光軸Lに対して垂直にスクリーンを置いたときに、スクリーンに投影される画像の大きさの、柄プレート20の柄の大きさに対する倍率である。
【0016】
また、投影距離、すなわちプロジェクター1の投影レンズ221の中心から投影領域Rの中心までの距離は、投影された柄プレート20の柄がぼやけない範囲に設定され、例えば、100mm以上、800mm以下の範囲に設定される。
【0017】
図2は、車両内装用画像投影システム100におけるプロジェクター1の設置位置の例P1~P6とそれに対応する投影領域Rの位置の例R1~R6を示す車両室内の模式図である。
【0018】
プロジェクター1は、例えば、
図2の位置P1で示されるように、ドア50の内部、例えば、アームレストのポケット内や、ドア前方(運転席側又は助手席側のドアであればインストルメントパネル51との接続部近傍)の凸形状部の内部、に設置される。そして、その場合の投影対象2は、例えば、
図2の位置R1で示されるように、ドアトリムであり、ドア上部のオーナメントパネルの表面などに投影領域Rが設けられる。なお、
図2ではドア50は運転席側のドアを指しているが、助手席側のドアや後部座席側のドアであってもよい。このようにドア50をプロジェクター1の設置対象及び投影対象2とする場合、プロジェクター1の光軸Lと投影対象2の表面とのなす角度θは、10°以上、20°以下であることが好ましい。
【0019】
また、プロジェクター1は、例えば、
図2の位置P2で示されるように、インストルメントパネル51の中央付近に位置する部分の内部、例えば、コンソール52の上方に位置する部分の内部、に設置される。そして、その場合の投影対象2は、例えば、
図2の位置R2で示されるように、コンソール52の上部であり、コンソールアッパーパネルの表面などに投影領域Rが設けられる。
【0020】
また、プロジェクター1は、例えば、
図2の位置P3で示されるように、インストルメントパネル51の内部、例えば、カーナビゲーションシステムのフェイスパネルの裏側や側部、エアーコンディショナーの吹き出し口の側部、に設置される。そして、その場合の投影対象2は、例えば、
図2の位置R3で示されるように、インストルメントパネル51であり、助手席の前方のオーナメントパネルの表面などに投影領域Rが設けられる。
【0021】
また、プロジェクター1は、例えば、
図2の位置P4で示されるように、フロントガラス下のインストルメントパネルの上面にあるバスタブ53の内部、例えば、カーナビゲーションシステムの周辺の突起部分の内部、に設置される。そして、その場合の投影対象2は、例えば、
図2の位置R4で示されるように、バスタブ53であり、その比較的平坦な部分の表面などに投影領域Rが設けられる。
【0022】
また、プロジェクター1は、例えば、
図2の位置P5で示されるように、インストルメントパネル51の下側に位置する部分の内部、例えば、運転席の前方や助手席の前方の部分の内部、に設置される。そして、その場合の投影対象2は、例えば、
図2の位置R5で示されるように、運転席や助手席の足下の床54であり、フロアマットの表面などに投影領域Rが設けられる。このように運転席や助手席の足下の床54を投影対象2とする場合、プロジェクター1の光軸Lと投影対象2の表面とのなす角度θは、40°以上、50°以下であることが好ましい。なお、インストルメントパネルの下側にプロジェクター1を設置する場合、投影対象2をコンソール52の側面として、その表面に投影領域Rを設けてもよい。また、運転席や助手席の足下の床を投影対象2とする場合、コンソール52の側面の内部にプロジェクター1を設置してもよい。
【0023】
また、プロジェクター1は、例えば、
図2の位置P6で示されるように、コンソール52の後方部分の内部、例えば、コンソールリアエンドパネルの内側、に設置される。そして、その場合の投影対象2は、例えば、
図2の位置R6で示されるように、後部座席の足下の床55であり、コンソール52の後方の凸部分の上面やフロアマットの表面などに投影領域Rが設けられる。このように後部座席の足下の床55を投影対象2とする場合、プロジェクター1の光軸Lと投影対象2の表面とのなす角度θは、40°以上、50°以下であることが好ましい。なお、コンソール52の後方部分の内部にプロジェクター1を設置する場合、投影対象2を天井56として、その表面に投影領域Rを設けてもよい。
【0024】
その他、プロジェクター1をドア下側のポケット内に設置して、ドア下部の収納ポケットの内面に投影領域Rを設ける形態(ドアは運転席側ドア、助手席側ドア、後部座席側ドアのいずれであってもよい)や、プロジェクター1をインストルメントパネル51の内部に設置して、Aピラーの表面に投影領域Rを設ける形態、プロジェクター1をコンソールボックスの前方に設置して、センタートレイの表面に投影領域Rを設ける形態、プロジェクター1をAピラー又はBピラーの内部に設置して、天井の前方部に投影領域Rを設ける形態、プロジェクター1をBピラー又はCピラーの内部に設置して、天井の後方部に投影領域Rを設ける形態、プロジェクター1をBピラーの内部に設置して、後部座席ドアの上部のオーナメントパネルの表面に投影領域Rを設ける形態などを実施することができる。
【0025】
図3(a)は、プロジェクター1を内部に設置する場合のドア50の一部の側面図である。
図3(b)は、
図3(a)に示される切断線A-Aで切断されたドア50の断面図である。
【0026】
図3(a)、(b)に示される例では、プロジェクター1はドア50とインストルメントパネル51との接続部近傍のオーナメントパネルの凸形状部501の内部に設置される。そして、インサイドドアハンドル504の下側のオーナメントパネルの比較的平坦な領域503に投影領域Rが設けられる。プロジェクター1から照射された光は、凸形状部501に設けられた開口部502を通って領域503に照射される。
図3(a)、(b)に示される例では、プロジェクター1の光軸Lと投影対象2である領域503の表面とのなす角度θは、10°程度である。
【0027】
(プロジェクターの構成)
以下に、本発明の実施の形態に係るプロジェクター1の構成例について説明する。
【0028】
図4(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施の形態に係るプロジェクター1を異なる角度から視た斜視図である。
図5(a)は、プロジェクター1を光取り出し側から視た側面図であり、
図5(b)は、
図5(a)に記載された切断線B-Bで切断されたプロジェクター1の断面図である。
図6は、プロジェクター1の分解斜視図である。
【0029】
プロジェクター1は、光を発する光源11と、投影用の柄を有する柄プレート20と、光源11から発せられた光を集めて柄プレート20に送る集光レンズ211を含む第1のレンズ部品21と、柄プレート20の柄を投影するための投影レンズ221を含む第2のレンズ部品22とを備える。プロジェクター1において、第1のレンズ部品21と第2のレンズ部品22は、柄プレート20を第1のレンズ部品21と第2のレンズ部品22の内部に密閉するように挟み込んで固定している。
【0030】
光源11は、LEDチップなどを備えた発光素子である。光源11は、回路基板10に実装されており、回路基板10には、光源11に電力や信号を送るためのコネクター12が接続されている。
【0031】
光源11が実装された回路基板10、第1のレンズ部品21、第2のレンズ部品22、及び柄プレート20は、部品30a、30b、30cで構成される筐体30に収容される。筐体30は、投影レンズ221からの光を取り出すための開口部301と、外部機器のコネクターをコネクター12に接続するための開口部302を有する。筐体30は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ABS樹脂などの樹脂からなる。
【0032】
部品30aと部品30bは、部品30bの両側面に設けられた突起305を部品30aに設けられた孔304にスナップフィットさせることにより固定される。また、部品30aと部品30cは、部品30cの両側面に設けられた突起307を部品30aに設けられた孔306にスナップフィットさせることにより固定される。回路基板10は、部品30aと部品30cに挟まれて固定される。
【0033】
第1のレンズ部品21は、集光レンズ211と、1つの面が開口した箱状(例えば直方体)の形状を有する枠部212と、第1のレンズ部品21を第2のレンズ部品22及び筐体の部品30bに固定するための固定部215を有する。集光レンズ211は、枠部212の開口面に対向する面内に位置する。第1のレンズ部品21は、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂などの樹脂からなる。
【0034】
第2のレンズ部品22は、投影レンズ221と、1つの面が開口した箱状(例えば直方体)の形状を有する枠部222と、第2のレンズ部品22を第1のレンズ部品21及び筐体の部品30bに固定するための固定部225を有する。投影レンズ221は、枠部222の開口面に対向する面内に位置する。第2のレンズ部品22は、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などの樹脂からなる。
【0035】
プロジェクター1において、第1のレンズ部品21と第2のレンズ部品22は、枠部212の開口面と枠部222の開口面が向かい合い、枠部212の開口面の縁である端面213と枠部222の開口面の縁である端面223が全周に渡って密着した状態で固定される。これによって、第1のレンズ部品21と第2のレンズ部品22の内側の柄プレート20が含まれる空間が密閉される。なお、密着性を向上させるため、端面213と端面223には磨き処理が施されていることが好ましい。
【0036】
第1のレンズ部品21と第2のレンズ部品22を密着させると、枠部212の内部空間の四隅から内側に張り出した部分214と枠部222の内部空間の四隅から内側に張り出した部分とが、柄プレート20の四隅を表裏から挟み込んで固定する。
【0037】
第1のレンズ部品21、第2のレンズ部品22、及び柄プレート20は、例えば、第1のレンズ部品21、柄プレート20、及び第2のレンズ部品22を筐体30の部品30bに組み付けることにより、互いに密着した状態で固定される。具体的には、第2のレンズ部品22、柄プレート20、第1のレンズ部品21を部品30bに組み付けると、第2のレンズ部品22の固定部225に設けられた突起226が、第1のレンズ部品21の固定部215に設けられた孔216に嵌め込まれる。また、固定部215が部品30bに嵌め込まれると、固定部215の両側面に設けられた突起217が部品30bに設けられた孔303にスナップフィットする。
【0038】
プロジェクター1においては、第1のレンズ部品21、第2のレンズ部品22、及び柄プレート20が互いに密着した状態で固定されるため、第1のレンズ部品21に含まれる集光レンズ211、第2のレンズ部品22に含まれる投影レンズ221、及び柄プレート20の相対的な位置決め精度が高い。このため、集光レンズ211、投影レンズ221、及び柄プレート20の相対的な位置ずれにより投影画像が不鮮明になることを抑制できる。
【0039】
また、第1のレンズ部品21と第2のレンズ部品22の内部の空間が密閉されているため、柄プレート20の周囲への塵などの異物の侵入を抑えることができる。このため、投影画像への異物の映り込みを抑制できる。
【0040】
図7は、柄プレート20の一形態の垂直断面図である。柄プレート20は、光源11からの光を透過する透明基板201と、光源11からの光を透過しない不透明膜202を含む。不透明膜202は、柄プレート20の柄を構成する所定の開口パターンを有し、開口部である光透過部203と開口していない部分である光遮蔽部204を有する。
【0041】
プロジェクター1による投影画像は、光透過部203のパターンに対応するパターンを有する明度の高い領域と、光遮蔽部204のパターンに対応するパターンを有する明度の低い領域で構成される。
【0042】
不透明膜202に微細な開口パターンを形成し、柄プレート20の柄を微細にするためには、ガラスからなる透明基板201上に成膜された金属からなる不透明膜202に、金属エッチングによりパターンを形成することが好ましい。金属膜を蒸着により成膜することにより、非常に薄い(100nm程度)不透明膜202を得ることができ、エッチングにより精度よくパターンを形成することができる。
【0043】
この場合、不透明膜202は、例えば、CrOからなる不透明膜202aとCrからなる不透明膜202bの積層膜からなる。また、例えば、不透明膜202、不透明膜202a、不透明膜202bの厚さは、それぞれ1.1mm、8nm、62nmであり、柄プレート20の平面サイズは8mm×8mmである。
【0044】
ガラスからなる透明基板201上に成膜された金属からなる不透明膜202にパターンを形成する場合、パターンを形成された不透明膜202の最小幅(両側に光透過部203が形成された光遮蔽部204の最小幅)を1μm以上、10μm未満、より細かくは1μm以上、5μm以下とすることも可能である。
【0045】
また、柄プレート20の柄が投影レンズ221の分解能を超えるほど微細な部分を含む場合は、その微細な部分は焦点の合った投影画像においても解像されなくなる。具体的には、投影画像において、光透過部203によって形成される明度の高い領域と、光遮蔽部204によって形成される明度の低い領域との境界が視認できなくなり、明度の高い領域と明度の低い領域が混ざり合って、それらの明度の間の明度(解像された明度の高い領域の明度より低く、解像された明度の低い領域の明度より高い明度)を有する領域が視認される。
【0046】
すなわち、柄プレート20の柄に含まれる、焦点の合った投影画像において解像されない微細部を用いて、投影画像において、光透過部203により形成される部分の明度と光遮蔽部204により形成される部分の明度との間の明度を表現することができる。
【0047】
なお、柄プレート20の構成は、
図7に示されるものに限られない。例えば、光源11からの光を透過する透明樹脂からなり、一方の面上に、平面で構成される光透過部と、その平面に対して傾斜する傾斜面で構成される光遮蔽部を有するプレートを柄プレート20として用いてもよい。この柄プレート20の光遮蔽部では、傾斜面での光の全反射を利用して光を遮蔽する。
【0048】
(実施の形態の効果)
上記の本発明の実施の形態に係る車両内装用画像投影システム100においては、プロジェクター1が投影レンズ221を用いて柄プレート20の柄を拡大投影し、かつ投影対象2の表面に対して光軸Lが傾斜するようにプロジェクター1が設置されるため、プロジェクター1からの投影領域Rのプロジェクター1に近い部分と遠い部分までの経路差が大きくなり、投影画像における輝度に関する表現の幅が広がる。これにより、柄プレート20の柄を単純に投影するだけではなく、投影画像における多彩な表現を実現することができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0050】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0051】
1 プロジェクター
2 投影対象
50 ドア
51 インストルメントパネル
52 コンソール
100 車両内装用画像投影システム
221 投影レンズ