(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159617
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】サイドエッジ型面発光装置及びこれを用いた液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231025BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20231025BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20231025BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20231025BHJP
G02F 1/1514 20190101ALI20231025BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231025BHJP
【FI】
F21S2/00 431
F21V9/40 400
G02F1/13357
G02F1/1335 520
G02F1/1514
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069421
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】川合 佑弥
【テーマコード(参考)】
2H291
2H391
2K101
3K244
【Fターム(参考)】
2H291FA13Z
2H291FA31Z
2H291FA74X
2H291FA85Z
2H291FD13
2H291GA21
2H291LA11
2H291LA25
2H291LA26
2H291LA31
2H291NA73
2H291NA76
2H291NA78
2H391AA13
2H391AB04
2H391AC25
2H391AC32
2H391AC42
2H391AD35
2H391AD38
2H391AD44
2H391AD46
2H391CB32
2H391CB41
2H391EA14
2H391FA05
2K101AA04
2K101AA22
2K101BC02
2K101BC03
2K101BD61
2K101DA01
2K101EK01
3K244AA01
3K244BA07
3K244BA15
3K244BA16
3K244BA26
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA12
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA05
3K244GA06
3K244GA10
3K244GB02
3K244GB08
3K244GB13
3K244GB14
(57)【要約】
【課題】広視野角特性/狭視野角特性が切替可能なサイドエッジ型面発光装置及びこれを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】サイドエッジ型面発光装置は、上側に出射面S
e、下側に配光制御面S
d、出射面S
e及び配光制御面S
dの一方側の入射面S
inを有する導光板1と、導光板1の入射面S
in側に設けられた複数のLED素子2と、導光板1の出射面S
e側に対向して入射面S
inの平行方向(Y方向)に沿って下側に設けられた複数のプリズム及び上側に出射面を有する下向きプリズムシート3と、導光板1の配光制御面S
dに対向して設けられた電子ペーパ4を備えている。I
0は正面輝度、I
1、I
2は視野角θ=±35°、±45°における絶対輝度を示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に出射面、下側に配光制御面、前記出射面と前記配光制御面とを繋ぐ側面に入射面を有する導光板と、
前記導光板の前記入射面側に設けられた光源と、
前記導光板の前記出射面側に対向して前記導光板の前記入射面の平行方向に沿って下側に設けられた複数のプリズム及び上側に出射面を有するプリズムシートと、
前記導光板の前記配光制御面側に対向して白表示/黒表示切替可能な白表示/黒表示切替シートと
を具備するサイドエッジ型面発光装置。
【請求項2】
前記白表示/黒表示切替シートは電子ペーパである請求項1に記載のサイドエッジ型面発光装置。
【請求項3】
前記白表示/黒表示切替シートは、
前記導光板の前記配光制御面側に対向して設けられたエレクトロクロミック層と、
前記エレクトロクロミック層の前記導光板の前記配光制御面の反対側に設けられた白反射シートと
を具備する請求項1に記載のサイドエッジ型面発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のサイドエッジ型面発光装置と、
前記サイドエッジ型面発光装置の前記プリズムシート側に設けられた液晶表示パネルとを具備し、
前記液晶表示パネルは、液晶層と、前記液晶層を挟む1対の偏光板と
を有する液晶表示装置。
【請求項5】
前記サイドエッジ型面発光装置の前記1対の偏光板の少なくとも1つは反射型である請求項4に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広視野角特性/狭視野角特性が切替可能なサイドエッジ型面発光装置及びこれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サイドエッジ型面発光装置は、導光板及びその一方側に設けられた光源たとえば発光ダイオード(LED)素子よりなり、薄型化及び軽量化の点で優れているので、表示装置たとえば液晶表示(LCD)装置のバックライトとして用いられている。このような表示装置が公共の場所で使用されると、他者による覗き見を防止するために狭配光特性つまり狭視角特性が要求される。これはバックライトのプライバシ特性(効果)と呼ばれる。
【0003】
広視野角特性/狭視野角特性が切替可能な従来のサイドエッジ型面発光装置は、上側に出射平面、下側に斜面、出射平面と斜面とを繋ぐ側面に入射面を有する導光板と、導光板の入射面に設けられた光源と、導光板の出射面側に設けられた円錐体及び上側に設けられた平面を有する円錐シートと、円錐シートの平面上に設けられ、光を集光するためのルーバと、ルーバ上に設けられた透明/散乱切替素子とを備えている(参照:特許文献1)。
【0004】
上述の従来のサイドエッジ型面発光装置においては、透明/散乱切替素子が透明状態のときに、ルーバで集光した光を集光状態を保持したまま集光させて狭視野角特性を実現する。他方、透明/散乱切替素子が散乱状態のときに、ルーバで集光した光を散乱させて広視野角特性を実現する。
【0005】
尚、導光板と電子ペーパとの組合せは公知である。たとえば、電子ペーパの白表示を散乱反射板として用いるもの(参照:特許文献2)、また、電子ペーパの白表示/黒表示切替を2次元表示/3次元表示の切替に用いるもの(参照:特許文献3)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-277999号公報
【特許文献2】WO2019/182091
【特許文献3】特開2012-155211号公報(特許5674023号公報)
【特許文献4】特開2007-199624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来のサイドエッジ型面発光装置においては、利用可能な光の最大値はルーバ通過後の全光束である。従って、ルーバ自身の透過率がたとえば80%であれば、光の利用効率は20%程度低下している(参照:特許文献4)。これは、ルーバに使用される樹脂材料の透明性及び表面反射によるもので、ルーバを用いている限り回避できない。さらに、透明/散乱切替素子の透明状態/散乱状態によって狭視野角/広視野角を切替えるので、このときの狭視野角の全光束と広視野角の全光束とはルーバ通過後の全光束とほぼ一致する。従って、広視野角の場合には、大きい視野角たとえば±45°の相対輝度が増大した分、狭視野角の場合に比較して正面輝度が低下するという課題がある。尚、広視野角時に高い正面輝度を確保するためには、光源に追加電力を供給する等の対策が必要となる。
【0008】
また、光を集光するためのルーバ及び広視野角特性/狭視野角特性が切替のための透明/散乱切替素子を設けているので、サイドエッジ型面発光装置の大型化及び高製造コストを招くという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明に係るサイドエッジ型面発光装置は、上側に出射面、下側に配光制御面、出射面と配光制御面とを繋ぐ側面に入射面を有する導光板と、導光板の入射面側に設けられた光源と、導光板の出射面側に対向して導光板の入射面の平行方向に沿って下側に設けられた複数のプリズム及び上側に出射面を有するプリズムシートと、導光板の配光制御面側に対向して設けられた白表示/黒表示切替可能な白表示/黒表示切替シートとを具備するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、白表示/黒表示切替シートによって広視野角の全光束は狭視野角の全光束より大きくなる。つまり、広視野角において、大きい視野角たとえば視野角±45°の相対輝度を大きくできると共に、正面輝度も狭視野角の場合より増大できる。また、サイドエッジ型面発光装置の小型化及び低製造コストを図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るサイドエッジ型面発光装置の実施の形態を示し、(A)は斜視図、(B)は横方向(Y方向)断面図、(C)は縦方向(X方向)断面図である。
【
図4】
図2の下側プリズムを示し、(A)は底面図、(B)は(A)の部分断面図である。
【
図5】
図2の導光板の動作を説明するための断面図である。
【
図6】
図1の下向きプリズムシートの詳細を示す断面図である。
【
図7】
図1のサイドエッジ型面発光装置の動作を説明するための断面図であって、(A)-1は電子ペーパ白表示時横方向(Y方向)動作を示す断面図、(A)-2は電子ペーパ白表示時縦方向(X方向)動作を示す断面図、(B)-1は電子ペーパ黒表示時横方向(Y方向)動作を示す断面図、(B)-2は電子ペーパ黒表示時縦方向(X方向)動作を示す断面図である。
【
図8】
図7の(A)-1、(A)-2の横方向(Y方向)の動作結果を示し、(A)は横方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度、横方向プライバシ効果を示す表である。
【
図9】
図7の(B)-1、(B)-2の縦方向(X方向)の動作結果を示し、(A)は縦方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度、縦方向プライバシ効果を示す表である。
【
図10】
図1のサイドエッジ型面発光装置を用いた第1の液晶表示装置を示す断面図である。
【
図11】
図10の液晶表示装置の横方向(Y方向)の動作結果を示し、(A)は横方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度、横方向プライバシ効果を示す表である。
【
図12】
図10の液晶表示装置の縦方向(X方向)の動作結果を示し、(A)は縦方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度、縦方向プライバシ効果を示す表である。
【
図13】
図1のサイドエッジ型面発光装置を用いた第2の液晶表示装置を示す断面図である。
【
図14】
図13の液晶表示装置の横方向(Y方向)の動作結果を示し、(A)は横方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度、横方向プライバシ効果を示す表である。
【
図15】
図13の液晶表示装置の縦方向(X方向)の動作結果を示し、(A)は縦方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度、縦方向プライバシ効果を示す表である。
【
図16】
図1のサイドエッジ型面発光装置の変更例を示し、(A)は斜視図、(B)は白表示動作を説明するためのX方向断面図、(C)は黒表示動作を説明するためのX方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明に係るサイドエッジ型面発光装置の実施の形態を示し、(A)は斜視図、(B)は横方向(Y方向)断面図、(C)は縦方向(X方向)断面図である。
【0013】
図1において、サイドエッジ型面発光装置は、上側に出射面S
e、下側に配光制御面S
d、出射面S
e及び配光制御面S
dの一方側の入射面S
inを有する導光板1と、導光板1の入射面S
in側に設けられた光源たとえば複数の発光ダイオード(LED)素子2と、導光板1の出射面S
e側に対向して入射面S
inの平行方向(Y方向)に沿って下側に設けられた複数のプリズム及び上側に出射面を有する下向きプリズムシート3と、導光板1の配光制御面S
dに対向して設けられた電子ペーパ4を備えている。また、サイドエッジ型面発光装置を液晶表示装置に用いる場合、下向きプリズムシート3の表示方向(Z方向)側には図示しないLCDパネルが設けられる。尚、I
0は正面輝度、I
1、I
2は横方向(Y軸方向)及び縦方向(X方向)の視野角θ=±35°、±45°における絶対輝度を示す。
【0014】
電子ペーパ4は白表示(散乱反射)/黒表示(光吸収状態)切替可能なシートであり、たとえば1対の基板間の溶液中に粒子を分散させる電気泳動方式、1対の基板間の気体中に粒子を分散させる電子粉流体方式による粒子移動型ディスプレイ表示ユニットによって構成される。電子ペーパ4に用いられる当該粒子は、例えば白色顔料と黒色顔料を混合したものを封止したマイクロカプセル(マクロカプセル方式)を用いることができる。この場合、電場が与えられると、白色顔料と黒色顔料が逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる(参照:特許文献3)。尚、電子ペーパ4の切替動作時には電力消費があるが、白表示又は黒表示状態の保持には電力消費はほとんどない。また、電子ペーパはマイクロカプセル方式に問わず、白表示時に散乱反射、黒表示時に光吸収状態となるものであればよい。
【0015】
以下、
図1のサイドエッジ型面発光装置の各部を詳細に説明する。
【0016】
【0017】
図2において、導光板1は、両面プリズム構造であって、ベース部10、入射面S
inの直角方向(X方向)に沿って出射面S
e上に設けられた複数の上側プリズム11及び入射面S
inの平行方向(Y方向)に沿って配光制御面S
d上に設けられた複数の下側プリズム12よりなる。ベース部10は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透光性材料よりなり、上側プリズム11及び下側プリズム12はUV硬化樹脂の透光性材料たとえばポリマー型アクリレートよりなる。
図1のLED素子2から入射面S
inに光が入射すると、光は導光板1内部を伝播し、下側プリズム12によって反射されて上側プリズム11に向い、出射面S
eから出射される。
【0018】
図3は
図2の上側プリズム11の1つの断面図である。
【0019】
図3に示すように、上側プリズム11はZ方向に突出しており、従って、凸状をなしている。すなわち、上側プリズム11の各プリズムは、頂角βが80~110°かつ曲率半径Rが0~25μmの丸み先端11aを有する。尚、このような複数の連続した凸状のパターンはレンチキュラー形状と称される。
【0020】
尚、上側プリズム11の各プリズムの断面形状は、他の形状たとえば半円状、台形形状、二等辺三角形状でもよい。また、半球状の突起、半球状の凹部をX方向、Y方向に配列してもよく、さらに、半円柱状の凹部をX方向に延在させてもよく、四角錘状の凸部をX方向、Y方向に配列してもよい。
【0021】
図4は
図2の下側プリズム12の詳細を示し、(A)は底面図、(B)は(A)の部分断面図である。
【0022】
図4の(A)の底面図に示すように、複数の平坦鏡面部13が配光制御面S
d上にX方向に沿って配置されている。平坦鏡面部13は光を奥まで均一にするためのものであり、平坦鏡面部13のY方向幅は入射面S
inから遠ざかるにつれて小さくされている。他方、下側プリズム12の各プリズムは入射面S
inから遠ざかるにつれて大きくなっている。これにより、奥に行く光をより多く均一に面発光させるようにする。また、
図4の(B)の部分断面図に示すように、下側プリズム12の各プリズムは非対称の傾斜角度γ1の上り傾斜面12-1及び傾斜角度γ2(<γ1)の下り傾斜面12-2よりなる。この場合、入射面S
inから入射する光の配光制御は主に下り傾斜面12-2によって行われる。
【0023】
図5は
図2の導光板1の動作を説明するための断面図である。
【0024】
図5において、ある光は出射面S
eと配光制御面S
dとの間で全反射を繰返し、次いで、出射面S
e又は下側プリズム12の下り傾斜面12-2を屈折出射する。この場合、平坦鏡面部13及び下側プリズム12の各プリズムのY方向幅はX方向に沿って変化しているので、出射面S
eから出射される光L1は出射面S
e内で均一にできる。このようにして、出射面S
eから出射される光L1は出射面S
eの法線に対して一定角度で出射し、他方、配光制御面S
dから漏れる光L2は
図1の電子ペーパ4に漏れることになる。
【0025】
図6は
図1の下向きプリズムシート3の詳細を示す断面図である。
【0026】
図6において、下向きプリズムシート3は、ベース部30と、変形三角プリズム31とで構成される。下向きプリズムシート3は、下側に入射面S
in(
図1)と平行であって等距離に配された複数の変形三角プリズム31と、上側に平坦面S
e3とを有する。各変形三角プリズム31は入射面S
in側に直線状傾斜面31-1及び入射面S
inの反対側に曲線状傾斜面31-2を有する。下向きプリズムシート3は、ベース部30がポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートの透光性樹脂からなる。変形三角プリズム31は、UV硬化性樹脂の透光性樹脂たとえばポリマー型アクリレートからなる。下向きプリズムシート3では、ベース部30にポリエチレンテレフタレート、三角プリズム31にUV硬化されたポリマー型アクリレートを用いている。各変形三角プリズム31は導光板1の出射面S
e(
図1)に対向している。各変形三角プリズム31においては、幅W
Uはたとえば18~25μmであり、高さH
Uはたとえば15~18μmである。各変形三角プリズム31の幅W
U又は高さH
Uは、サイドエッジ型面発光装置とLCDパネルとを組み合わせた時に発生するモアレを解消するために、必要に応じて変更しても良い。この場合、各変形三角プリズム31は、直線状傾斜面31-1の角δ1、曲線状傾斜面31-2の角δ2及び曲線状傾斜面31-2の半径によって決定される。但し、曲線状傾斜面31-2は直線状、スプライン曲線、放物線等の任意の曲線でもよい。導光板1の出射面S
eからの傾斜した光L1が下向きプリズムシート3の変形三角プリズム31に入射すると、光L1は直線状傾斜面31-1で屈折入射し、次いで、曲線状傾斜面31-2で全反射する。この結果、下向きプリズムシート3の平坦面S
e3から該平坦面S
e3の法線方向の光L1が出射される。
【0027】
図7は
図1のサイドエッジ型面発光装置の動作を説明するための断面図であって、(A)-1は電子ペーパ白表示時横方向(Y方向)動作を示す断面図、(A)-2は電子ペーパ白表示時縦方向(X方向)動作を示す断面図、(B)-1は電子ペーパ黒表示時横方向(Y方向)動作を示す断面図、(B)-2は電子ペーパ黒表示時縦方向(X方向)動作を示す断面図である。
【0028】
図7の(A)-1、(A)-2に示すように、電子ペーパ4が白表示時には、導光板1の裏面で反射した光L1は導光板1の表面から出射して下向きプリズムシート3の裏面から入射する。この結果、下向きプリズムシート3の表面から法線方向へ出射する。プリズムシートのプリズム部分が下向き(導光板1に対向する構造)であることによって、
図7の(A)―1のようにプリズム部分の内面で反射された光が下向きプリズムシート3の表面から法線方向に出射する光が増加する。従って、狭い配光を実現する点で、プリズムシートは下向きであることが好ましい。また同時に、導光板1の裏面から漏れた光L2は電子ペーパ4の白表示によって反射されるが、その際、正反射成分以外に拡散反射成分も反射される。この結果、正面方向以外の光成分にもなる。従って、光L2によって正面輝度I
0も増加すると共に、視野角が拡がる。
【0029】
他方、
図7の(B)-1、(B)-2に示すように、電子ペーパ4が黒表示時にも、導光板1の裏面で反射した光L1は導光板1の表面から出射して下向きプリズムシート3の裏面から入射する。この結果、下向きプリズムシート3の表面から法線方向へ出射する。しかし、導光板1の裏面から漏れた光L2は電子ペーパ4の黒表示によって吸収され、反射成分自体が小さくなる。この結果、視野角が広い成分の輝度が低下する。
【0030】
図8は
図7の(A)-1、(A)-2の横方向(Y方向)の動作結果を示し、(A)は横方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度I
0及び横方向プライバシ効果を示す表である。以後の説明において、輝度配向分布は、Radiant ImagingのImaging Sphereを用いて測定した。また、特に断りのない限り、下向きプリズムシート3は、各変形三角プリズム31の幅W
Uを21μm、高さH
Uを17μmとする。導光板1は、全て
図5に示した導光板1を用いて検討している。
【0031】
白表示の正面輝度を100とすると、黒表示の正面輝度は98.8であり、電子ペーパ4にかかわらず、同等の正面輝度を実現している。しかも、白表示の正面輝度は黒表示の正面輝度よりやや大きい。つまり、白表示において、導光板1の裏面から漏れた光L2は、白表示の電子ペーパ4を拡散反射して後に下向きプリズムシート3を介して出射する際、正面輝度の増加にほとんど影響せず広視野角に大きく影響している。また、白表示の正面輝度と黒表示の正面輝度とはほとんど同一であること及び
図8の相対輝度配光分布から、白表示の全光束が黒表示の全光束より大きいことが分る。換言すれば、正面輝度は光L1が比較的大きく影響し、広視野角の輝度は光L2が比較的大きく影響している。つまり、黒表示の場合は、光L2が吸収されるため正面輝度がほぼ変化することなく、広視野角の輝度が減少している。
【0032】
また、白表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値2.31%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値1.17%である。従って、白表示において、広視野角を実現できる。他方、黒表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値1.53%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値0.54%である。従って、黒表示において、狭視野角のプライバシ効果を十分発揮できる。
【0033】
図9は
図7の(B)-1、(B)-2の縦方向(X方向)の動作結果を示し、(A)は縦方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度I
0及び縦方向プライバシ効果を示す表である。
【0034】
図9においても、白表示においては、導光板1の裏面から漏れた光L2は、白表示の電子ペーパ4を拡散反射して後に導光板1及び下向きプリズムシート3を介して出射する際、正面輝度の増加にほとんど影響せず広視野角に大きく影響している。また、白表示の正面輝度と黒表示の正面輝度とはほとんど同一であること及び
図9の相対輝度配光分布から、白表示の全光束が黒表示の全光束より大きいことが分る。換言すれば、
図9においても正面輝度は光L1が比較的大きく影響し、広視野角の輝度は光L2が比較的大きく影響している。つまり、黒表示の場合は、光L2が吸収されるため正面輝度がほぼ変化することなく、広視野角の輝度が減少している。
【0035】
また、白表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値2.49%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値2.00%である。従って、白表示において、広視野角を実現できる。他方、黒表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値0.83%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値0.57%である。従って、黒表示において、狭視野角のプライバシ効果を十分発揮できる。
【0036】
従って、サイドエッジ型面発光装置は、白表示から黒表示に切り替えた時に正面輝度を維持しつつ、プライバシ効果を発揮することができる。
【0037】
図10は
図1のサイドエッジ型面発光装置を用いた第1の液晶表示(LCD)装置を示す断面図である。
【0038】
図10においては、
図1のサイドエッジ型面発光装置上にLCDパネル5を設ける。LCDパネル5は交差角90°の2つの偏光板51、52を有し、偏光板51、52間には電極、液晶層等(図示せず)が設けられている。この場合、偏光板51、52は輝度向上フィルムを有していない。従って、偏光板51はP波、S波の一方のみたとえばP波を透過し、他方のS波を吸収する。従って、サイドエッジ型面発光装置の輝度に比較して第1のLCD装置の輝度は小さくなると予想される。
【0039】
図11は
図10の横方向(Y方向)の動作結果を示し、(A)は横方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度、横方向プライバシ効果を示す表である。
【0040】
第1のLCD装置において、白表示の正面輝度を100とすると、黒表示の正面輝度は97.8であり、電子ペーパ4にかかわらず、同等の正面輝度を実現している。しかも、白表示の正面輝度は黒表示の正面輝度よりやや大きい。つまり、第1のLCD装置の白表示において、導光板1の裏面から出射する光は、電子ペーパ4を拡散反射して導光板1及び下向きプリズムシート3を介してLCDパネル5を通過して出射する際、正面輝度の増加にほとんど影響せず広視野角に大きく影響している。また、第1のLCD装置の白表示の正面輝度と黒表示の正面輝度とはほとんど同一であること及び
図11の相対輝度配光分布から、白表示の全光束が黒表示の全光束より大きいことが分る。換言すれば、広視野角の輝度は、電子ペーパ4を拡散反射して導光板1及び下向きプリズムシート3を介してLCDパネル5を通過する光が比較的大きく影響している。つまり、黒表示の場合、電子ペーパ4へ入射した光は、吸収されて、正面輝度がほぼ変化することなく広視野角の輝度が比較的大きく減少している。
【0041】
また、第1のLCD装置の白表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値2.95%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値1.23%である。従って、白表示において、広視野角を実現できる。他方、第1のLCD装置の黒表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値2.17%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値0.69%である。従って、第1のLCD装置の黒表示において、狭視野角のプライバシ効果を十分発揮できる。
【0042】
図12は
図10の縦方向(X方向)の動作結果を示し、(A)は縦方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度I
0及び縦方向プライバシ効果を示す表である。
【0043】
図12においても、第1のLCD装置の白表示においては、導光板1の裏面から電子ペーパ4を反射して導光板1を介して下向きプリズムシート3に戻ってLCDパネル5を通過する光は正面輝度の増加にほとんど影響せず、従って、広視野角に実質的に貢献している。また、第1のLCD装置の白表示の正面輝度と黒表示の正面輝度とはほとんど同一であること及び
図12の相対輝度配光分布から白表示の全光束が黒表示の全光束より大きいことが分る。
【0044】
また、第1のLCD装置の白表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値3.10%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値2.46%である。従って、第1のLCD装置の白表示において、広視野角を実現できる。他方、第1のLCD装置の黒表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値1.19%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値0.74%である。従って、第1のLCD装置の黒表示において、狭視野角のプライバシ効果を十分発揮できる。
【0045】
従って、サイドエッジ型面発光装置上にLCDパネル5を設けた第1のLCD装置は、白表示から黒表示に切り替えた時に正面輝度を維持しつつ、プライバシ効果を発揮することができる。
【0046】
図13は
図1のサイドエッジ型面発光装置を用いた第2の液晶表示(LCD)装置を示す断面図である。
【0047】
図13においては、
図10のLCDパネル5の代りにLCDパネル5’を設け、LCDパネル5’において、偏光板51の代りに反射型偏光板51’を設けてある。反射型偏光板51’は輝度向上フィルム(APCF)を有し、P波、S波の一方のみたとえばP波を透過し、他方のS波を反射する。このS波はサイドエッジ型面発光装置に戻る。白表示のサイドエッジ型面発光装置に戻ったS波はサイドエッジ型面発光装置内部で偏光を解消しつつ白表示の電子ペーパ4で反射を繰返し再びサイドエッジ型面発光装置からLCDパネル5’へ出光し、一部は再びサイドエッジ型面発光装置内に戻る。このようなプロセスを繰返すことによってLCDパネル5’に出光される拡散成分に追加され、白表示の広視野角を実現できる。
【0048】
図14は
図13の横方向(Y方向)の動作結果を示し、(A)は横方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度、横方向プライバシ効果を示す表である。
【0049】
図13の第2のLCD装置において、白表示の正面輝度を100とすると、黒表示の正面輝度は95.4であり、電子ペーパ4にかかわらず、同等の正面輝度を実現している。尚、第1のLCD装置と比較して、白表示と黒表示の正面輝度の輝度率の差が大きい。これは、反射型偏光板で反射された反射光が、サイドエッジ型面発光装置の下向きプリズムシート3又は導光板1又は下向きプリズムシート3又は電子ペーパ4で反射され、偏光が変化して出射されたことによるものである。つまり、第1のLCD装置においては偏光板51に光が吸収されていたが、第2のLCD装置においては反射型偏光板51’で反射された光が正面輝度の光に寄与したことによるものである。すなわち、反射型偏光板を用いることによって正面輝度が増加し、輝度率の差が大きくなっている。また、第1のLCD装置の白表示において、導光板1の裏面から出射する光は、電子ペーパ4を拡散反射して導光板1及び下向きプリズムシート3を介してLCDパネル5’を通過して出射する際、正面輝度の増加にほとんど影響せず広視野角に大きく影響している。また、第2のLCD装置の白表示の正面輝度と黒表示の正面輝度とはほとんど同一であること及び
図14の相対輝度配光分布から、白表示の全光束が黒表示の全光束より大きいことが分る。換言すれば、広視野角の輝度は、電子ペーパ4を拡散反射して導光板1及び下向きプリズムシート3を介してLCDパネル5’を通過する光が比較的大きく影響している。つまり、黒表示の場合は、電子ペーパ4へ入射した光は、吸収されて、正面輝度がほぼ変化することなく広視野角の輝度が比較的大きく減少している。
【0050】
また、第2のLCD装置の白表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値6.59%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値3.16%である。従って、白表示において、広視野角を実現できる。他方、第2のLCD装置の黒表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値4.72%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値1.77%である。従って、第2のLCD装置の黒表示において、狭視野角のプライバシ効果を十分発揮できる。
【0051】
図15は
図13の縦方向(X方向)の動作結果を示し、(A)は縦方向相対輝度配光分布を示すグラフ、(B)は正面輝度I
0及び縦方向プライバシ効果を示す表である。
【0052】
図15においても、第2のLCD装置の白表示においては、導光板1の裏面から電子ペーパ4を反射して導光板1を介して下向きプリズムシート3に戻ってLCDパネル5’を通過する光は正面輝度の増加にほとんど影響せず、従って、広視野角に実質的に貢献している。また、第2のLCD装置の白表示の正面輝度と黒表示の正面輝度とはほとんど同一であること及び
図15の相対輝度配光分布から、白表示の全光束が黒表示の全光束より大きいことが分る。
【0053】
また、第2のLCD装置の白表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値7.08%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値4.89%である。従って、第2のLCD装置の白表示において、広視野角を実現できる。他方、第2のLCD装置の黒表示において、視野角θ=±35°での相対輝度I1/I0は平均値3.74%であり、また、θ=±45°での相対輝度I2/I0は平均値1.89%である。従って、第2のLCD装置の黒表示において、狭視野角のプライバシ効果を十分発揮できる。
【0054】
従って、サイドエッジ型面発光装置上にLCDパネル5’を設けた第2のLCD装置は、白表示から黒表示に切り替えた時に正面輝度を維持しつつ、プライバシ効果を発揮することができる。尚、
図13においては、反射型偏光板51’の代りに偏光板52を反射型偏光板にしてもよく、また、両偏光板を反射型にしてもよい。
【0055】
図16は
図1のサイドエッジ型面発光装置の変更例を示し、(A)は斜視図、(B)は白表示動作を説明するためのX方向断面図、(C)は黒表示動作を説明するためのX方向断面図である。
【0056】
図16においては、
図1の電子ペーパ4の代りに、エレクトロクロミック層6-1及び白反射シート6-2を設けてある。エレクトロクロミック層6-1においては、電圧非印加時には透明状態(白表示状態)となり、電圧印加時には、有色状態(黒表示状態)となる。白反射シート6-2は、例えば、多層膜反射フィルムや、白色PETフィルムの表面に拡散作用をもたらす加工を施したもの等の、拡散反射機能を有するフィルムで構成され、拡散反射層として作用する。尚、エレクトロクロミック層6-1が拡散作用を有しているので、白反射シート6-2は多層膜ミラーでもよい。また、エレクトロクロミック層6-1の白表示/黒表示の切替には電力消費を必要とするが、白表示又は黒表示の保持には電力消費はほとんど必要ない。
【0057】
図16の(B)に示すように、エレクトロクロミック層6-1が透明状態時には、導光板1の裏面で反射した光L1は導光板1の表面から出射して下向きプリズムシート3の裏面から入射する。この結果、下向きプリズムシート3の表面から法線方向へ出射する。また同時に、導光板1の裏面から漏れた光L2は白反射シート6-2の拡散反射作用によって反射されるが、その際、正反射成分以外に拡散反射成分も反射される。この結果、正面方向以外の光成分にもなる。従って、光L2によって正面輝度I
0も増加すると共に、視野角が拡がる。
【0058】
他方、
図16の(C)に示すように、エレクトロクロミック層6-1が有色状態時にも、導光板1の裏面で反射した光L1は導光板1の表面から出射して下向きプリズムシート3の裏面から入射する。この結果、下向きプリズムシート3の表面から法線方向へ出射する。しかし、導光板1の裏面から漏れた光L2はエレクトロクロミック層6-1の有色状態によって吸収され、反射成分自体が小さくなる。この結果、正面輝度I
0も減少すると共に、視野角が狭くなる。
【0059】
このように、電子ペーパ4の代りに、エレクトロクロミック層6-1及び白反射シート6-2の組合せを用いることもできる。
【0060】
尚、本発明は、上述の実施の形態の自明の範囲内でいかなる変更にも適用し得る。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係るサイドエッジ型面発光装置は、ノートパソコン用のLCD装置、ATMや公共機関で使用するモニターディスプレイ装置、配光特性を切り替えることが可能な照明装置、カーナビ用LCD装置、車インテリアディスプレイ装置等に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1:導光板
11:上側プリズム
12:下側プリズム
Sin:入射面
Se:出射面
Sd:配光制御面
13:平坦鏡面部
2:LED素子
3:下向きプリズムシート
4:電子ペーパ
5、5’:LCDパネル
51、52:偏光板
51’:反射型偏光板
6-1:エレクトロクロミック層
6-2:白反射シート