(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015962
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】デジタル資産に関する個人情報のネット非接続による管理・保存方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230125BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021138418
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】520477599
【氏名又は名称】株式会社オフィス・テイク・ワン
(72)【発明者】
【氏名】武井 亮
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】一般的に高齢者が不得手とするデジタル機器やデジタル資産に関するID、パスワード等を忘れてしまい、その都度それらを再設定しなければいけないという煩わしさがある。
また、本人死亡の際に遺族がデジタル機器にある情報を確認することができない、またデジタル資産そのものの存在をわからないまま相続するという課題がある。
【解決手段】デジタル資産に関する個人情報をアナログで保管するという一見相反するスキームにより、個人情報を安心、安全に保管し、その後の相続発生時等において、相続人がその個人のデジタル機器内でしかわからない個人情報やデジタル資産に関してスムーズに対応可能となるようにする。
また、基本的には顧客へのお預かり事項の説明及び契約申込み等はすべて対面での完結となる。その為様々な対面販売チャネルを持つ業界や終活に関連する資格保有者(協会、団体)と提携し、デジタル社会移行への安心感を提供し高齢化社会に貢献する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既に統計により想定されていた超高齢社会が本格化し、多くの孤独死を含む多死時代に突入しようとしつつある中、一方で資産のデジタル化が急速に進展してきている。この二つの大きな潮流に視点を当てるとき、目に見えないデジタル資産の相続についての社会不安が増大すると推測される。
そのデジタル資産のID、パスワード等の個人情報についてネット非接続で現物をリアル保管する管理・保存方法。
【請求項2】
請求項1の管理方法にあって、保管した個人情報について契約者に定期連絡をすることで常に最新情報にメンテナンスをしつつ、必要な時に指定された親族に遅滞なく伝達することを可能にした管理・保存方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコンやスマホ内にある個人の大切な情報、ネットで取引する資産情報(ネット銀行・証券)、或いはSNSなどが安心・安全に活用出来、また死亡時にその遺族が困ることのないように、それらデジタル資産のID、パスワードなど個人特定情報をネット非接続で安全に預かり、万一の際にはあらかじめ指定した親族に伝えるものである。
【0002】
デジタル資産とは、ここでは、(1)パソコン、スマホやそれに類するモバイルの中にある金融資産、個人情報、(2)ネットで取引する資産情報(ネット銀行・証券)、またその資産、(3)SNSや動画サービス等の各種サービスに関する個人情報 等デジタル環境を通してしか実態のつかめないものとしている。
【背景技術】
【0003】
このスキームは社会全般でデジタル化が進む中、高齢者のデジタル資産管理に寄与しその不安感を払拭するものである。
大切な情報をオフラインの環境でリアルに保管することはシニア世代にも分かり易く、安心感を持ってもらうことができる。
【0004】
日本の人口は、2008年をピークに減少している。高齢化率は年々進み、65歳以上の人口の全人口に占める割合は2000年に17.4%。2020年に29.1%となり、2035年には33.4%に達すると予測されている。一方で、高齢者とは言っても最近のスマホの普及により各種のインターネットサービス(SNS,ネットバンク・証券など)は身近なものになりサービス利用者の割合は2018年には60歳代で76.6%、70歳代でも51.0%に達している。
そういう中で、「故人のスマホ、パソコンが開かなくて、資産が把握できず困る人が多い」というような話を聞き、また同様のことを新聞・雑誌の記事でもよく目にするようになった。
【0005】
シニア世代は総じてインターネット上のサービスを自由に使いこなすほどのスキルは乏しく、個人情報の管理・保護の難しさについても漠然とした不安を持っている。こうしたシニア世代に向けてパソコン、スマホにある資産情報の管理と安心・安全な引継ぎを支援するサービスの必要性を感じた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】毎日新聞2019年11月15日朝刊「デジタル遺品 混乱の種 パソコンやスマホを残して死ねますか?」
【非特許文献2】毎日新聞2019年12月27日朝刊「三井住友銀行 単身者の『終活』支援」
【非特許文献3】日本経済新聞2020年1月18日朝刊「せまる『多死社会』に備え」
【非特許文献4】毎日新聞2020年8月22日朝刊「みずほ銀行 通帳発行1100円」
【非特許文献5】出生数及び死亡者の将来推計 令和元年高齢社会白書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に高齢者が不得手とするデジタル機器に関するID、パスワード等の個人情報を安心、安全に保管することにより、その後の相続発生時等において、相続人がその個人のデジタル機器内でしかわからない資産(デジタル資産)に関してスムーズに対応可能となるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ID、パスワード等の個人情報を保管することについて、対面での個人情報の正確な確認を行うことと、その保管についてはネットに非接続とすることで安心、安全を確保する手段を用いた。
【0009】
ネット環境を活用しないことにでインターネットによる個人情報の流失防止とする。
【0010】
また、お預かりした情報が変更となることを想定し、安否確認の機能を含めて、定期連絡することにより保管事項のメンテナンスを行う手段を用いた。
【0011】
なお、保管した情報については、現物保管とは別にUSB等の外部記憶媒体、銀行貸金庫等を活用した保管方法とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、高齢者のデジタル資産に対する不安感を払拭し、我が国における超高齢社会とデジタル社会の到来という二大潮流のスムーズな融合を図る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は事業のスキームとそれぞれ役割を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
対面により正確に収集した個人情報を定期的に最新情報にメンテナンスし、相続発生時には迅速にあらかじめ指定された親族に伝達することにある。
【実施例0015】
対面によるデジタル資産、個人情報の確認、及び申込書兼お預かり証書を作成する。
【0016】
申込書兼お預かり証書には、ID、パスワード等とは別に自由に記載できる項目として、預貯金の口座、株式・有価証券の種類・保管場所、不動産に関する書類・保管場所、遺書の保管場所、等がある。
【0017】
この申込書兼お預かり証書と入会金の入金双方の確認で契約が開始する。
【0018】
申込書兼お預かり証書の現物は金庫に保管、外部記憶装置としてUSBメモリを複数作成、またネット非接続のパソコン内にもデータを保管する。
【0019】
なお、USBメモリは銀行の貸金庫に保管することでセキュリティー対策を万全にする。
【0020】
一定の変更があると想定されるデータのメンテナンスは契約者本人に定期的に確認する。またこの定期連絡は安否確認としても活用する。
【0021】
その定期連絡において、複数回、複数手段でも契約者と連絡が取れない場合、指定親族に連絡、状況を確認する。
【0022】
契約者に異常があった場合は指定親族に申込書兼お預かり証書を通知し、契約終了とする。
【0023】
契約終了後は、保管データについて一定の期間経過後すべて安全・確実に自社において破棄する。
デジタル機器の取り扱いが増えることによりログインに必要なID、パスワードを忘れてしまうという問題はこれまでも存在しているが、今後さらに金融資産等のデジタル化が進むことで、そのデジタル資産にもログインできず、相続時に問題となることが増大すると予想される。
そこで、それらの個人情報を安全に保管かつ定期的に更新することで、多くの人々の利便性が拡大し家族の安心感も拡大する。
その視点で言えば、終活関連業界、銀行・証券等金融業界、終活関連の各種認定資格保有者への業務提供と連携、等応用範囲の拡大に期待できる。