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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159621
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び媒体取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/10 20190101AFI20231025BHJP
   B65H 5/16 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
G07D11/10
B65H5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069429
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真明
【テーマコード(参考)】
3E141
3F101
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA04
3E141GB03
3E141HA09
3E141JA04
3E141LA23
3E141LA57
3F101DA08
3F101DB06
3F101DB08
3F101LA08
3F101LB12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】媒体搬送時の不具合の発生を抑制し得る媒体処理装置及び媒体取り扱い装置を提供する。
【解決手段】搬送ピン31pは、第1の搬送領域と第2の搬送領域において、媒体Ciに当接可能な状態で移動しながら、媒体Ciの搬送方向上流側に当接して媒体Ciを搬送方向下流側に押すことにより媒体Ciを搬送し、規制ピン31rは、第1の搬送領域においては媒体Ciとは当接しない状態で移動し、第2の搬送領域においては、媒体Ciに当接可能な状態で移動しながら、媒体Ciの搬送方向下流側に当接することにより媒体Ciが搬送ピン31pから搬送方向下流側に離れ過ぎてしまうことを規制し、ブラシ50は、媒体Ciが搬送ピン31pから離れた状態のまま搬送方向下流側に移動することを規制して媒体Ciを搬送ピン31pに当接させる
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の搬送方向上流側から搬送方向下流側に延びる第1の搬送領域と当該第1の搬送領域から搬送方向下流側に延びる第2の搬送領域とを有する搬送路を形成する搬送ガイドと、
前記搬送路の搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって移動する搬送ピンと、
前記搬送ピンの搬送方向下流側に所定の間隔を空けて設けられ、前記搬送ピンとともに前記搬送路の搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって移動する規制ピンと、
前記第1の搬送領域の所定箇所に設けられ、前記媒体の搬送方向下流側への移動を規制する規制部と
を備え、
前記搬送ピンは、
前記第1の搬送領域と前記第2の搬送領域において、前記媒体に当接可能な状態で移動しながら、前記媒体の搬送方向上流側に当接して当該媒体を搬送方向下流側に押すことにより当該媒体を搬送し、
前記規制ピンは、
前記第1の搬送領域においては前記媒体とは当接しない状態で移動し、前記第2の搬送領域においては、前記媒体に当接可能な状態で移動しながら、前記媒体の搬送方向下流側に当接することにより当該媒体が前記搬送ピンから搬送方向下流側に離れ過ぎてしまうことを規制し、
前記規制部は、
前記媒体が前記搬送ピンから離れた状態のまま搬送方向下流側に移動することを規制して前記媒体を前記搬送ピンに当接させる
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記第1の搬送領域に設けられた、媒体を鑑別する為の媒体認識部を備え、
前記規制部は、
前記媒体認識部の搬送方向上流側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記第1の搬送領域と前記第2の搬送領域との接続部分の前記第2の搬送領域側に設けられた、媒体の搬送先を切り替える為のゲートを備え、
前記規制部は、
前記第1の搬送領域における、前記ゲートの搬送方向上流側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記規制部としての第1の規制部及び第2の規制部と、
前記第1の搬送領域に設けられた、媒体を鑑別する為の媒体認識部と、
前記第1の搬送領域と前記第2の搬送領域との接続部分の前記第2の搬送領域側に設けられた、媒体の搬送先を切り替える為のゲートと
を備え、
前記第1の規制部は、
前記媒体認識部の搬送方向上流側に設けられ、
前記第2の規制部は、
前記第1の搬送領域における、前記ゲートの搬送方向上流側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記規制部は、
前記媒体と接触する弾性部材を有し、当該弾性部材は、前記搬送ピンから離れた状態で移動してきた媒体と接触して搬送方向下流側に押された場合には変形せずに当該媒体を停止させ、前記搬送ピンに当接した状態の媒体と接触して搬送方向下流側に押された場合には変形して当該媒体を通過させる
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記規制部は、2つの前記弾性部材を有し、
2つの前記弾性部材は、
前記搬送路の幅方向に間隔を空けて対向配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記搬送ピンは、搬送方向に一定の間隔で設けられ、前記搬送路上を移動し、
前記規制ピンは、前記搬送ピンと前記搬送ピンとの間に設けられ、前記搬送路上を移動し、
前記第1の搬送領域の底面となる第1の搬送面が、前記第2の搬送領域の底面となる第2の搬送面よりも高さ方向に低くなっていて、
前記搬送ピンの長さを、当該搬送ピンの下端部が前記第1の搬送面上の媒体及び前記第2の搬送面上の媒体に当接する長さにし、
前記規制ピンの長さを、当該規制ピンの下端部が前記第1の搬送面上の媒体には当接せず前記第2の搬送面上の媒体には当接する長さにした
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記第1の搬送領域と前記第2の搬送領域との接続部分の前記第2の搬送領域側に設けられた、媒体の搬送先を切り替える為のゲートを備え、
前記第1の搬送領域と前記第2の搬送領域との接続部分の前記第1の搬送領域側に、前記第1の搬送面と前記第2の搬送面とを繋ぐ傾斜面が設けられ、
前記規制部は、
前記傾斜面上に設けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
操作表示部と、
媒体の搬送方向上流側から搬送方向下流側に延びる第1の搬送領域と当該第1の搬送領域から搬送方向下流側に延びる第2の搬送領域とを有する搬送路を形成する搬送ガイドと、前記搬送路の搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって移動する搬送ピンと、前記搬送ピンの搬送方向下流側に所定の間隔を空けて設けられ前記搬送ピンとともに前記搬送路の搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって移動する規制ピンと、前記第1の搬送領域の所定箇所に設けられ前記媒体の搬送方向下流側への移動を規制する規制部とを備える媒体処理装置と
を備え、
前記搬送ピンは、
前記第1の搬送領域と前記第2の搬送領域において、前記媒体に当接可能な状態で移動しながら、前記媒体の搬送方向上流側に当接して当該媒体を搬送方向下流側に押すことにより当該媒体を搬送し、
前記規制ピンは、
前記第1の搬送領域においては前記媒体とは当接しない状態で移動し、前記第2の搬送領域においては、前記媒体に当接可能な状態で移動しながら、前記媒体の搬送方向下流側に当接することにより当該媒体が前記搬送ピンから搬送方向下流側に離れ過ぎてしまうことを規制し、
前記規制部は、
前記媒体が前記搬送ピンから離れた状態のまま搬送方向下流側に移動することを規制して前記媒体を前記搬送ピンに当接させる
ことを特徴とする媒体取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体処理装置及び媒体取扱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
媒体の一種である硬貨の入金機能を有する硬貨処理装置では、例えば、硬貨投入口に投入された硬貨を搬送路に沿って搬送しながら金種を判別し、金種ごとに硬貨収納部に収納することで入金するようになっている。この種の硬貨処理装置として、搬送ベルトに搬送ピンが固定されたピンベルトを搬送路に沿って走行させ、搬送ピンで硬貨を押して搬送するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-151558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の硬貨処理装置では、搬送ピンで硬貨を押して搬送する為、硬貨が搬送ピンから搬送方向下流側に離れて先行してしまう場合がある。このように硬貨が搬送ピンより先行して搬送ピンから離れ過ぎてしまうと、搬送路上に設けられた各種硬貨処理部(硬貨の金種を判別する硬貨認識部や硬貨の搬送先を変更するゲートなど)の動作タイミングと、当該各種硬貨処理部に硬貨が到達するタイミングが合わず、不具合が発生してしまう。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、媒体搬送時の不具合の発生を抑制し得る媒体処理装置及び媒体取扱装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、媒体の搬送方向上流側から搬送方向下流側に延びる第1の搬送領域と、当該第1の搬送領域から搬送方向下流側に延びる第2の搬送領域とを有する搬送路を形成する搬送ガイドと、前記搬送路の搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって移動する搬送ピンと、前記搬送ピンの搬送方向下流側に所定の間隔を空けて設けられ、前記搬送ピンとともに前記搬送路の搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって移動する規制ピンと、前記第1の搬送領域の所定箇所に設けられ、前記媒体の搬送方向下流側への移動を規制する規制部材とを備え、前記搬送ピンは、前記第1の搬送領域と前記第2の搬送領域において、前記媒体に当接可能な状態で移動しながら、前記媒体の搬送方向上流側に当接して当該媒体を搬送方向下流側に押すことにより当該媒体を搬送し、前記規制ピンは、前記第1の搬送領域においては前記媒体とは当接しない状態で移動し、前記第2の搬送領域においては、前記媒体に当接可能な状態で移動しながら、前記媒体の搬送方向下流側に当接することにより当該媒体が前記搬送ピンから搬送方向下流側に離れ過ぎてしまうことを規制し、前記規制部材は、前記媒体が前記搬送ピンから離れた状態のまま搬送方向下流側に移動することを規制して前記媒体を前記搬送ピンに当接させるようにした。
【0007】
また本発明の媒体取扱装置においては、操作表示部と、上述した媒体処理装置を備える。
【0008】
本発明は、搬送路における第1の搬送領域においては、規制部材により媒体が搬送ピンから離れた状態で搬送方向下流側に移動することを規制し、第2の搬送領域においては、規制ピンにより媒体が搬送ピンから離れ過ぎてしまうことを規制するようにしたことにより、媒体搬送時に媒体が搬送ピンから離れ過ぎてしまうことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体搬送時の不具合の発生を抑制し得る媒体処理装置及び媒体取扱装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】入出金機の外観構成を示す斜視図である。
図2】入出金機(硬貨処理装置)の内部構造を示す図である。
図3】入金搬送部の構成を示す図である。
図4】入金搬送部の一部分を拡大した図である。
図5】入金搬送部に含まれる第2の部分の一部分を前方から見た図である。
図6】入金搬送部に含まれる第3の部分の一部分を右方から見た図である。
図7】入金搬送部に含まれる第5の部分の一部分を左方から見た図である。
図8】ブラシの構成を示す斜視図である。
図9】ブラシの動作を示す遷移図である。
図10】他の実施の形態におけるブラシの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.入出金機の外観構成]
図1に、入出金機1の外観を示す。この入出金機1は、紙幣及び硬貨の入金及び出金が可能な装置であり、箱型の装置筐体2を有している。ここで、装置筐体2を形成する各面のうち、利用者と対峙する面を前面2a、利用者から見て上側の面を上面2bとする。
【0013】
装置筐体2は、前後方向及び左右方向に比べて上下方向に長い箱型であり、上面2bの中央に、取引明細などが記載されたレシートを出力するレシートプリンタ3と、各種画面を表示する表示部及び表示部に表示された各種画面に対する操作入力を受け付ける操作部として機能する操作表示部4とが設けられている。操作表示部4としては、例えばタッチパネル付きディスプレイが用いられる。
【0014】
さらに装置筐体2の前面2aの上部左寄りには、紙幣が投入される紙幣入金口5が設けられ、さらに当該紙幣入金口5の下方に、紙幣が排出される紙幣出金口6が設けられている。さらに装置筐体2の前面2aには、紙幣入金口5の右側に、硬貨が投入される硬貨投入口7が設けられ、さらに紙幣出金口6の下方に、硬貨が排出される硬貨出金口8が設けられている。
【0015】
[2.入出金機(硬貨処理装置)の内部構造]
つづけて、図2(A)、(B)を用いて、入出金機1の内部構造について説明する。図2(A)は、入出金機1を前側から見た場合の前面透過図であり、図2(B)は、入出金機1を右側から見た場合の側面透過図である。尚、入出金機1の内部には、紙幣の入金及び出金に係る処理を行う紙幣処理装置と、硬貨の入金及び出金に係る処理を行う硬貨処理装置10とが設けられているが、図2(A)、(B)では紙幣処理装置については省略している。よって、図2(A)、(B)は、硬貨処理装置10の内部構造のみを示している。
【0016】
硬貨処理装置10は、装置筐体2の上部前側の右寄りの位置に、硬貨投入口7と繋がっていて下方へ延びるスロープ状の硬貨投入部11が設けられている。この硬貨投入部11の下方には、硬貨投入部11を通ってきた硬貨を1枚ずつ後方へ繰り出す硬貨繰出部12が設けられている。この硬貨繰出部12は、後側に排出口が設けられていて、この排出口から硬貨を後方へ繰り出すようになっている。
【0017】
硬貨繰出部12の後方には入金搬送部14が設けられ、さらに硬貨繰出部12の排出口と入金搬送部14との接続部分には硬貨繰出部12から繰り出される硬貨を1枚ずつ入金搬送部14へと送出する硬貨送出部13が設けられている。硬貨送出部13は、例えば上下方向に対向配置されたローラにより硬貨を挟み込んで1枚ずつ送出するようになっている。
【0018】
ここで、硬貨処理装置10を、図2(B)のA-A切断線(入金搬送部14の上方に位置する切断線)で切断した場合の断面図を図3に示す。この図3には、上方から見た入金搬送部14が示されている。
【0019】
この図3に示すように、入金搬送部14は、硬貨Ciの通り道となる搬送路Rを有している。この搬送路Rは、搬送ガイド30により形成されていて、硬貨送出部13から左斜め後方へと延びる第1の部分R1と、当該第1の部分R1の末端から左方向へ延びる第2の部分R2と、第2の部分R2の末端から後方へ延びる第3の部分R3と、第3の部分R3の末端から右方向へ延びる第4の部分R4と、第4の部分R4の末端から前方へ延びる第5の部分R5とで構成され、全体として略環状である。搬送ガイド30は、搬送路Rの幅方向の両側面を形成するガイド側面部30aと、搬送路Rの底面(以下、搬送面と呼ぶ)を形成するガイド搬送面部30bとで構成されている。
【0020】
また入金搬送部14は、搬送路Rに沿って硬貨Ciを搬送する為のピンベルト31を有している。ピンベルト31は、搬送路Rの上方(つまりガイド搬送面部30bの上方)を搬送路Rに沿って走行する搬送ベルト31bと、当該搬送ベルト31bから下方に(つまりガイド搬送面部30bに向かって)延びる棒状の搬送ピン31pとを有している。
【0021】
搬送ベルト31bは、搬送路Rの屈曲部分に設けられた図示しないプーリに架け渡され、当該プーリが回転することにともなって、搬送路Rの幅方向の中央部分を搬送路Rに沿って走行する。この搬送ベルト31bには、搬送ピン31pが、搬送方向に一定の間隔(以下、ピッチと呼ぶ)で設けられている。
【0022】
入金搬送部14は、搬送路Rに沿って搬送ベルト31bを走行させながら、硬貨送出部13から搬送路R上に送出された硬貨Ciを搬送ピン31pで押すようにして搬送する。尚、図3では省略しているが、ピンベルト31は、搬送ピン31pと搬送ピン31pとの間に、硬貨Ciが搬送ピン31pから搬送方向下流側に離れ過ぎてしまうことを規制する為の規制ピンを有している。規制ピンについて詳しくは後述する。
【0023】
また搬送路Rの第3の部分R3には、搬送方向上流側(つまり前側)から順に、硬貨認識部32、リジェクトゲート33、金種別ゲート34aが設けられている。さらに第3の部分R3には、硬貨認識部32の手前(搬送方向上流側近傍)にブラシ50が設けられ、リジェクトゲート33の手前(搬送方向上流側近傍)にブラシ51が設けられている。ブラシ50、51は、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れた状態のまま搬送方向下流側に向かって移動することを防ぐ為の部材である。ブラシ50、51についても詳しくは後述する。
【0024】
また搬送路Rの第5の部分R5には、搬送方向上流側(つまり後側)から順に、金種別ゲート34b、34c、34d、34e、34fが設けられている。
【0025】
硬貨認識部32は、搬送路Rに沿って搬送されてくる硬貨Ciの金種を判別したり、正常な硬貨であるか否かを判別したりする鑑別機能を有している。尚、硬貨処理装置10に入金可能な正常な硬貨ではないと判別された硬貨(つまり硬貨処理装置10に入金できない硬貨)を、リジェクト硬貨と呼ぶ。
【0026】
リジェクトゲート33は、リジェクト硬貨を振り分ける為のゲートである。このリジェクトゲート33は、開閉することで、搬送路Rに沿って搬送されてきた硬貨Ciをそのまま搬送路Rに沿って搬送させたり、リジェクトゲート33の下方に位置するリジェクトシュート15(図2(A)、(B)参照)へと振り分けたり(落下させたり)するようになっている。
【0027】
金種別ゲート34a~34fは、それぞれ硬貨(より詳しくは入金可能な正常な硬貨)Ciを金種別に振り分ける為のゲートである。これら金種別ゲート34a~34fは、開閉することで、搬送路Rに沿って搬送されてきた硬貨Ciをそのまま搬送路Rに沿って搬送させたり、それぞれの下方に位置する金種別シュート16a~16fへと振り分けたり(落下させたり)するようになっている。
【0028】
図2に戻る。図2(A)、(B)に示すように、金種別シュート16a~16fは、それぞれ入金搬送部14から、入金搬送部14の下方に位置する金種別出金ホッパ17a~17fへと延びていて、金種別ゲート34a~34fにより振り分けられた硬貨を、金種別出金ホッパ17a~17fへと案内するようになっている。
【0029】
金種別出金ホッパ17a~17fは、それぞれ硬貨を収容する機能と、収容した硬貨を1枚ずつ繰り出す機能とを有していて、収容した硬貨を1枚ずつ、下方に位置する水平出金搬送部18へと繰り出すようになっている。
【0030】
リジェクトシュート15は、入金搬送部14から、水平出金搬送部18へと延びていて、リジェクトゲート33により振り分けられたリジェクト硬貨を、水平出金搬送部18へと案内するようになっている。
【0031】
水平出金搬送部18は、前後方向に走行可能な搬送ベルトを有していて、金種別出金ホッパ17a~17fから繰り出された硬貨、及びリジェクトシュート15により案内されたリジェクト硬貨を、搬送ベルトにより前方(具体的には装置筐体2の前面2a近傍)へと搬送するようになっている。この水平出金搬送部18の前部は、水平出金搬送部18の下方に位置する回収庫19、及び水平出金搬送部18の前部から上方に延びるリフト出金搬送部20と接続されている。水平出金搬送部18は、硬貨の行き先を、回収庫19又はリフト出金搬送部20に切り替えることができるようになっている。
【0032】
回収庫19は、水平出金搬送部18によって搬送されてきた硬貨を、回収硬貨として収容する。リフト出金搬送部20は、水平出金搬送部18によって搬送されてきた硬貨を、上方に位置する硬貨出金口8まで搬送するようになっている。
【0033】
また装置筐体2内部の所定位置には、硬貨処理装置10全体の制御、各種情報の保持などを行う図示しない制御部が設けられている。硬貨処理装置の内部構造は、以上のようになっている。
【0034】
ここで、硬貨処理装置10の動作として、入金動作について簡単に説明する。尚、この入金動作は、制御部により制御される動作である。
【0035】
硬貨の入金時、利用者は、入金したい硬貨を硬貨投入口7に投入する。硬貨投入口7に投入された硬貨は、硬貨投入部11を通って硬貨繰出部12から繰り出され、硬貨送出部13により1枚ずつ入金搬送部14の搬送路Rに送出される。搬送路Rに送出された硬貨は、ピンベルト31により搬送され、硬貨認識部32により金種と、正常/異常とが判別される。
【0036】
ここで、投入された硬貨が硬貨認識部32によりリジェクト硬貨と判別されると、このとき制御部は、リジェクトゲート33を開く。これにより、リジェクト硬貨は、搬送路Rからリジェクトシュート15を通り、水平出金搬送部18へと送られる。水平出金搬送部18へと送られたリジェクト硬貨は、リフト出金搬送部20へと送られ、硬貨出金口8へと搬送される。
【0037】
このように、硬貨処理装置10は、利用者に投入された硬貨のうち、リジェクト硬貨と判別された硬貨については、硬貨出金口8に搬送することで、利用者に返却するようになっている。
【0038】
一方で、投入された硬貨が硬貨認識部32により正常な硬貨と判別されると、このとき制御部は、金種別ゲート34a~34fのうち、硬貨認識部32により判別された金種に対応する金種別ゲートを開く。これにより、正常な硬貨は、当該硬貨の金種に対応する金種別シュート(つまり金種別シュート16a~16fのいずれか)を通って、当該硬貨の金種に対応する金種別出金ホッパ(つまり金種別出金ホッパ17a~17fのいずれか)に収納される。
【0039】
このように、硬貨処理装置10は、利用者に投入された硬貨のうち、正常な硬貨と判別された硬貨については、硬貨認識部32により判別された金種に対応する金種別出金ホッパに収納するようになっている。硬貨処理装置10の入金動作は、以上のようになっている。
【0040】
尚、硬貨処理装置10の出金動作では、制御部が、金種別出金ホッパ17a~17fのそれぞれから、金種ごとに指定された枚数の硬貨を繰り出し、繰り出した硬貨を、水平出金搬送部18及びリフト出金搬送部20により、硬貨出金口8へと搬送して、硬貨出金口8から排出するようになっている。
【0041】
また硬貨処理装置10の回収動作では、制御部が、金種別出金ホッパ17a~17fのそれぞれから、収容されている硬貨を繰り出し、繰り出した硬貨を水平出金搬送部18により回収庫19へと搬送して、回収庫19に収容するようになっている。
【0042】
[3.入金搬送部の構成]
次に、入金搬送部14の構成についてさらに詳しく説明する。尚、ここでは、入金搬送部14の構成のうち、主にピンベルト31と、ブラシ50、51の構成について、図3図8を用いて説明する。ここで、図4は、図3の一部分(具体的には搬送路Rの第2の部分R2の周辺部分)を拡大した部分拡大図であり、図5は、第2の部分R2の一部分を前方から見た場合の側面図(ガイド側面部30aは省略)である。また図6は、搬送路Rの第3の部分R3の一部分を右方から見た場合の側面図(ガイド側面部30aは省略)であり、図7は、搬送路Rの第5の部分R5の一部分を左方から見た場合の側面図(ガイド側面部30a及び各種ゲートは省略)である。尚、図6及び図7は、各部の縮尺を実際の縮尺から適宜変更したり、一部を省略したりした模式図となっている。図8は、ブラシ50の斜視図である。
【0043】
まず図4図5を用いて、ピンベルト31の構成について説明する。ピンベルト31は、搬送ベルト31bと、搬送ピン31pと、規制ピン31rとを有している。搬送ベルト31bは、上述したように搬送路Rに沿って走行する部分であり、この搬送ベルト31bに、搬送ピン31pと規制ピン31rが設けられている。
【0044】
図5に示すように、搬送ベルト31bには、搬送ピン31pが、矢印Aw1で示す搬送方向に一定のピッチPtで設けられている。本実施の形態では、1ピッチPtが105[mm]となっている。搬送ピン31pは、搬送ベルト31bから搬送路Rの底面となる搬送面Rbに向かって下方に延びている。
【0045】
また搬送ベルト31bには、搬送ピン31pと搬送ピン31pとの間に1つずつ(つまり1ピッチPtに1つずつ)規制ピン31rが設けられている。具体的には、規制ピン31rは、搬送方向上流側(図5の右側)の搬送ピン31pから距離D1だけ離れ、搬送方向下流側(図5の左側)の搬送ピン31pから距離D2だけ離れた位置に設けられている。尚、本実施の形態では、距離D1が42[mm]、距離D2が63[mm]となっている。規制ピン31rも、搬送ピン31pと同様、搬送ベルト31bから搬送面Rbに向かって下方に延びているが、その長さは搬送ピン31pよりも短くなっている。
【0046】
ところで、図3に示すように、搬送路Rは、リジェクトゲート33の搬送方向上流側の端を境として搬送方向上流側の範囲Aと搬送方向下流側の範囲Bとに分けることができ、図6に示すように、範囲Aと範囲Bとで搬送面Rbの高さが異なっている。具体的には、リジェクトゲート33などの各種ゲートが含まれる範囲Bでは、硬貨認識部32が含まれる範囲Aよりも搬送面Rbが高くなっている。より具体的には、範囲B側の搬送面Rb(以下、ゲート側搬送面RbBと呼ぶ)は、例えば、範囲A側の搬送面Rb(以下、認識部側搬送面RbAと呼ぶ)よりも、取り扱う硬貨Ciのなかで最も厚い硬貨Ciの厚さ(以下、最大硬貨厚さと呼ぶ)Th1以上高くなっている。尚、図6図7では、規制ピン31rの搬送方向下流側(図中右側)に位置する搬送ピン31pについては省略している。
【0047】
認識部側搬送面RbAとゲート側搬送面RbBは、それぞれ水平(もしくはほぼ水平)な面であり、また認識部側搬送面RbAとゲート側搬送面RbBとの接続部は、認識部側搬送面RbAからゲート側搬送面RbBに向かって上るなだらかな傾斜面RbCとなっている。この傾斜面RbCは、例えば範囲A側に含まれる。
【0048】
搬送ピン31pは、硬貨Ciを押して運ぶことで搬送する部材であり、図5に示すように、範囲A内において、その下端と、認識部側搬送面RbAとの隙間が、取り扱う硬貨Ciのなかで最も薄い硬貨Ciの厚さ(以下、最小硬貨厚さと呼ぶ)Th2よりも狭くなるように、その長さが選定されている。また図7に搬送ピン31pに関して点線で示すように、搬送ピン31pは、範囲B内において、その下端が、ゲート側搬送面RbBの幅方向の中央部分に形成された図示しない溝に入り込み、ゲート側搬送面RbBに対し下方にオーバーラップするようになっている。
【0049】
またゲート側搬送面RbBに形成された溝は、傾斜面RbC(図6)にも形成されている。つまり範囲Aから範囲Bへと搬送ピン31pが移動する際、搬送ピン31pは、その下端部が、傾斜面RbCの溝に入り込み、そのままゲート側搬送面RbBの溝へと入り込んでいくようになっている。尚、認識部側搬送面RbAには、硬貨認識部32の硬貨読取面(硬貨認識部32の上面)が設けられている為、溝が形成されていると硬貨認識の妨げとなってしまう。この為、硬貨認識部32よりも搬送方向下流側のゲート側搬送面RbBと傾斜面RbCにのみ溝が形成され、認識部側搬送面RbAはこれらの面より低くなっている。
【0050】
一方、規制ピン31rは、範囲B内において硬貨Ciが当該硬貨Ciの搬送方向上流側に位置する搬送ピン31pから離れ過ぎてしまうことを規制する部材であり、図6に示すように、範囲A内において、その下端と認識部側搬送面RbAとの隙間が最大硬貨厚さTh1よりも広く、且つ図7に示すように、範囲B内において、その下端とゲート側搬送面RbBとの隙間が最小硬貨厚さTh2よりも狭くなるように、その長さが選定されている。尚、本実施の形態では、規制ピン31rは、その下端が、ゲート側搬送面RbBに対し下方にオーバーラップしていないが、搬送ピン31pと同様、ゲート側搬送面RbBの溝に入り込んでオーバーラップするようになっていてもよい。
【0051】
ピンベルト31は、このような構成であり、図4に示すように、範囲A内において、硬貨送出部13から、搬送ピン31pと搬送ピン31pとの間に1枚ずつ硬貨Ciが送出される。このとき、規制ピン31rは、その下端と認識部側搬送面RbAとの隙間が最大硬貨厚さTh1(図6参照)よりも広くなっている。この為、ピンベルト31は、1ピッチにおける搬送方向上流側の搬送ピン31pと搬送方向下流側の搬送ピン31pとの間のエリアAr1が、硬貨送出部13から送出される硬貨Ciを受け入れるエリアとなっている。よってここでは、エリアAr1を、硬貨受入エリアAr1と呼ぶ。尚、規制ピン31rの下端と認識部側搬送面RbAとの隙間が広いほど、硬貨送出部13から送出された硬貨Ciが規制ピン31rに衝突してしまう可能性を低くすることができる。この為、規制ピン31rの長さについては、その下端とゲート側搬送面RbBとの隙間が最小硬貨厚さTh2よりも狭くなる範囲でできるだけ短くすることが望ましい。
【0052】
ピンベルト31は、搬送ベルト31bが搬送方向Aw1に向かって走行することにより搬送ピン31pが搬送方向Aw1に移動する。このとき、硬貨受入エリアAr1内の硬貨Ciは、当該硬貨Ciの外周面が当該硬貨Ciの搬送方向上流側に位置する搬送ピン31pと当接して、当該搬送ピン31pにより搬送方向Aw1に押されて運ばれることで、搬送方向Aw1に搬送される。
【0053】
このようにしてピンベルト31は、硬貨Ciを搬送路Rに沿って搬送する。このとき、ピンベルト31の規制ピン31rは、図7に示すように、範囲B内においてのみ、硬貨Ciが当該硬貨Ciの搬送方向上流側に位置する搬送ピン31p(つまり当該硬貨Ciを搬送する搬送ピン31p)から搬送方向下流側に離れ過ぎてしまうことを規制するようになっている。
【0054】
具体的には、規制ピン31rは、範囲B内においては、その下端とゲート側搬送面RbBとの隙間が最小硬貨厚さTh2よりも狭く、搬送ピン31pから搬送方向下流側に離れた硬貨Ciと当接することで、それ以上、当該硬貨Ciが搬送ピン31pから搬送方向下流側に離れてしまうことを規制するようになっている。つまり、図4図5に示すように、ピンベルト31は、1ピッチにおける搬送方向上流側の搬送ピン31pと規制ピン31rとの間のエリアAr2が、範囲B内において、硬貨Ciが入るエリアとなる。この為、エリアAr2は、取り扱う硬貨Ciのなかで最も径が大きい硬貨Ciの径よりもわずかに大きくなっている。これに対して、1ピッチにおける規制ピン31rと搬送方向下流側の搬送ピン31pとの間のエリアAr3は、範囲B内において、硬貨Ciが入ってはいけないエリアとなる。
【0055】
このように、入金搬送部14では、範囲B内において、規制ピン31rにより硬貨Ciが搬送ピン31pから離れ過ぎてしまうことを規制することで、範囲B内に設けられている各ゲートの開閉タイミングと、各ゲートへの硬貨到達タイミングとを合わせることができるようになっている。
【0056】
一方で、図6に示すように、規制ピン31rは、範囲A内においては、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れ過ぎてしまうことを規制することはできない。具体的には、規制ピン31rは、その下端と認識部側搬送面RbAとの隙間が最大硬貨厚さTh1よりも広く、硬貨Ciとは当接しない為、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れ過ぎてしまうことを規制することはできない。よって、図5に示すように、範囲A内においては、硬貨Ciは、搬送ピン31pと搬送ピン31pとの間(つまり硬貨受入エリアAr1内)に位置することになる。
【0057】
ここで例えば、規制ピン31rを搬送ピン31pと同じ長さにすることで、範囲A内でも、規制ピン31rによる規制を行うようにすることも考えられる。しかしながらこの場合、図5に示すエリアAr2が、硬貨受入エリアとなる為、硬貨受入エリアが狭くなってしまう。このように、硬貨受入エリアが狭くなると、硬貨送出部13から搬送路Rへの硬貨送出タイミングがシビアになり、例えば硬貨Ciの搬送速度を上げることが困難となる。この為、硬貨受入エリア(つまり図5に示すエリアAr2)を広げたいが、硬貨受入エリアを広げてしまうと、規制ピン31rが搬送ピン31pから離れ過ぎてしまい、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れ過ぎてしまうことを規制できなくなる。
【0058】
そこで、本実施の形態では、硬貨送出部13から送出される硬貨Ciを受け入れる範囲A内においては規制ピン31rによる規制は行わない代わりに、硬貨受入エリアを1ピッチ内で最大まで広くし、範囲B内においてのみ規制ピン31rによる規制を行うようになっている。
【0059】
また一方で、範囲B内においてのみ規制ピン31rによる規制を行うようにした場合、当然のことながら、範囲A内においては、規制ピン31rによる規制を行うことができなくなる。この為、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れ過ぎた状態で硬貨認識部32に到達してしまう場合があり、この場合、硬貨認識部32による動作タイミングと、硬貨認識部32への硬貨到達タイミングが合わず、硬貨Ciを正しく認識できない等の不具合が発生してしまう。また、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れ過ぎた状態で範囲Aから範囲Bに入ると、範囲B内において硬貨Ciが図5に示すエリアAr3内に入ってしまう場合があり、この場合、例えばリジェクトゲート33の動作タイミングと、リジェクトゲート33への硬貨到達タイミングが合わず、硬貨Ciを適切な搬送先に搬送できない等の不具合が発生してしまう。
【0060】
そこで、本実施の形態では、硬貨認識部32の手前(搬送方向上流側近傍)と、リジェクトゲート33の手前(搬送方向上流側近傍)とに、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れた状態のまま搬送方向下流側に向かって移動することを防ぐ為のブラシ50、51を設けるようにした。ここで、図3図8を用いてブラシ50、51の構成について説明する。尚、図8では搬送ベルト31bについては点線で示し、硬貨認識部32については省略している。
【0061】
尚、ブラシ50、51は、基本的な構成は同一の為、ここでは、硬貨認識部32の手前に設けられたブラシ50の構成について説明する。ブラシ50は、取付部60と、2つの毛束61(61b、61c)とで構成される。取付部60は、金属や樹脂で形成された部材であり、搬送ベルト31bの上方に設けられていて、図示しないフレームなどに取り付けられている。この取付部60は、搬送路Rの幅方向に延びる板状の中央部60aと、中央部60aの後端(つまり搬送方向下流側の端)から下方(つまり搬送面Rb側)に延びる2本の板状の腕部60b、60cとで構成され、搬送路Rの幅方向から見てL字型となっている。2本の腕部60b、60cは、中央部60aの長手方向(つまり搬送路Rの幅方向)に所定の間隔を空けて設けられている。
【0062】
取付部60は、上から見て2本の腕部60b、60cの間に搬送ベルト31bが位置するようにして、中央部60aが図示しないフレームなどに固定されている。尚、中央部60aは、左側の腕部60cよりも左側に位置する左端部分60aLが、図示しないフレームなどに固定されるようになっている。また取付部60は、図示しないフレームなどから容易に取り外すことができるようになっていて、例えば、毛束61b、61cが摩耗した場合には、ブラシ50ごと交換できるようになっている。この取付部60は、2本の腕部60b、60cの間隔が、搬送ピン31p及び規制ピン31r(図8では省略)の径よりも広くなっている。この為、2本の腕部60b、60cは、それぞれ上から見て、搬送ピン31p及び規制ピン31rの外周のさらに外側(ガイド側面部30a側)に位置するようになっている。
【0063】
そして2本の腕部60b、60cの前側の面(搬送方向下流側の面)に、それぞれ下方へと延びる毛束61b、61cが取り付けられている。つまり、2つの毛束61b、61cは、搬送ベルト31bを間に挟んで搬送路Rの幅方向に間隔を空けて対向配置されている。尚、毛束61b、61cは、例えば複数の毛が搬送路Rの幅方向に束状に並ぶようにして取り付けられている。搬送ベルト31bに取り付けられた搬送ピン31p及び規制ピン31rは、これら2つの毛束61b、61cの間を通るようになっている。尚、2本の腕部60b、60cは、それぞれ搬送ベルト31bからの距離が等しくなるように対向配置されていることが望ましい。
【0064】
2つの毛束61b、61cは、それぞれ取付部60の2本の腕部60b、60cから下方の搬送面Rbまで延びていて、それぞれの下端が搬送面Rbに接する(もしくはほぼ接する)長さとなっている。尚、毛束61b、61cの下端が、搬送面Rbから離れるようにする場合、毛束61b、61cの下端と搬送面Rbとの隙間が最小硬貨厚さTh2よりも狭くなっていればよい。また毛束61bと毛束61cとの間隔(毛束61bのベルト31bに近い側の側面と、毛束61cのベルト31bに近い側の側面との距離)は、最小硬貨の直径よりも狭いことが望ましい。2つの毛束61b、61cは、例えばゴムなどの弾性部材で形成された複数の毛を束状にした部材であり、上端側は取付部60の腕部60b、60cに固定され、下端側はフリーとなっている。
【0065】
ブラシ50は、このような構成であり、図6に示すように、硬貨認識部32の手前(つまり認識部側搬送面RbA上)に配置されている。尚、ブラシ50の位置としては、硬貨認識部32にできるだけ近い位置に設けることが望ましい。一方、ブラシ51も、ブラシ50と基本的な構成は同一であり、図6に示すように、リジェクトゲート33の手前に配置されている。
【0066】
具体的には、ブラシ51は、認識部側搬送面RbAとゲート側搬送面RbBとを繋ぐ傾斜面RbC上に設けられている。尚、ブラシ51の位置としては、リジェクトゲート33にできるだけ近い位置に設けることが望ましいが、本実施の形態では、傾斜面RbC上のうち、規制ピン31rとの高さ方向の距離が最大硬貨厚さTh1となっている地点P1よりも搬送方向上流側に設けられている。この理由について詳しくは後述する。
【0067】
[4.ブラシの動作]
つづけてブラシ50、51の動作(つまり硬貨Ciが搬送ピン31pから離れた状態のまま搬送方向下流側に向かって移動することを防ぐ動作)について説明する。尚、ブラシ50、51の基本的な動作は同一の為、ここでは、硬貨認識部32の手前に設けられたブラシ50の動作について、図9に示す動作遷移図を用いて説明する。
【0068】
まず図9(A)に、硬貨Ciが当該硬貨Ciの搬送方向上流側(図中左側)に位置する搬送ピン31p(図9(A)では省略)から離れた状態で、ブラシ50に到達したときの様子を示す。尚、硬貨Ciは、通常、搬送方向上流側の搬送ピン31pに押されて運ばれることで搬送される(つまり搬送方向上流側の搬送ピン31pと当接した状態で搬送される)ようになっている。その一方で、例えば、搬送路Rのコーナ部分を通過する際などに硬貨Ciに負荷がかかると、硬貨Ciがコーナ部分を通り過ぎた際にこの負荷から開放されることで搬送方向Aw1へはじかれ、搬送方向上流側の搬送ピン31pから離れてしまう場合がある。図9(A)は、このようにして硬貨Ciが搬送方向上流側の搬送ピン31pから離れてしまった状態を示している。
【0069】
このとき、硬貨Ciは、外周面の搬送方向下流側の端が、ブラシ50の毛束61b、61cの下端部に接触する。ここで、毛束61b、61cは、搬送ピン31pから離れた状態の硬貨Ciにより搬送方向Aw1に押されるが、変形することなく当該硬貨Ciを停止させる。つまり毛束61b、61cは、搬送路Rを塞いでいて、搬送ピン31pから離れた状態で移動してきた当該硬貨Ciを停止させる。尚、毛束61b、61cは、搬送ピン31pから離れた状態の硬貨Ciに押されても変形しないように、素材、毛の量などが適切に選定されている。
【0070】
このように毛束61b、61cにより当該硬貨Ciを停止させた後も、搬送ベルト31bは走行し続ける為、図9(B)に示すように、当該硬貨Ciの搬送方向上流側に位置する搬送ピン31pが、毛束61b、61cにより停止させられている硬貨Ciに追いつき、当該硬貨Ciの外周面の搬送方向上流側の端に当接する。この時点で、搬送方向上流側の搬送ピン31pから離れて先行していた硬貨Ciが、当該搬送ピン31pに追いつかれて当該搬送ピン31pと当接したことになる。
【0071】
ここからさらに搬送ベルト31bが走行すると、搬送ピン31pが当該硬貨Ciを搬送方向Aw1に押す。このとき、毛束61b、61cは、搬送ピン31pに押された硬貨Ciにより、硬貨Ciと接触している下端部が搬送方向Aw1に押されることで、図9(C)に示すように、下端部が搬送方向Aw1に向かって折れ曲がるように変形する。
【0072】
このように毛束61b、61cが変形すると、毛束61b、61cの下端と認識部側搬送面RbAとの間に隙間が空き、搬送ピン31pにより押されている硬貨Ciが、この隙間を通って毛束61b、61cを通過していく。つまり、毛束61b、61cは、搬送ピン31pにより押されている硬貨Ciにより下端部が搬送方向Aw1に押されると、当該下端部が認識部側搬送面RbAから離れるように変形することで、硬貨Ciの通り道(つまり毛束61b、61cの下端と認識部側搬送面RbAとの間の隙間)を形成するようになっている。尚、毛束61b、61cは、搬送ピン31pにより押されている硬貨Ciに押された場合には変形するように、素材、毛の量などが適切に選定されている。
【0073】
このようにして毛束61b、61cを通過した硬貨Ciは、搬送ピン31pと当接した状態のまま、搬送ピン31pにより押されて硬貨認識部32上を通過する。毛束61b、61cは、硬貨Ciが通過すると、元の形状に戻り、再び搬送路Rを塞ぐようになっている。
【0074】
ブラシ50は、このように動作することで、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れた状態のまま搬送方向下流側の硬貨認識部32に向かって移動することを防ぐことができるようになっている。これにより、ブラシ50は、硬貨認識部32による動作タイミングと、硬貨認識部32への硬貨到達タイミングとを合わせることができ、硬貨Ciを正しく認識できない等の不具合を防止することができる。
【0075】
一方、リジェクトゲート33の手前に設けられたブラシ51も、ブラシ50と同様に動作することで、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れた状態のまま搬送方向下流側のリジェクトゲート33に向かって移動することを防ぐことができるようになっている。これにより、ブラシ51は、リジェクトゲート33などの各ゲートによる動作タイミングと、各ゲートへの硬貨到達タイミングとを合わせることができ、硬貨Ciを適切な搬送先に搬送できない等の不具合を防止することができる。
【0076】
ここで、図6に示すように、ブラシ51を、傾斜面RbC上のうち、規制ピン31rとの高さ方向の距離が最大硬貨厚さTh1となっている地点P1よりも搬送方向上流側に設けた理由について説明する。
【0077】
硬貨Ciが搬送方向上流側の搬送ピン31pから離れた状態で搬送方向Aw1に移動しながら傾斜面RbCを登っていく場合を考える。この場合、地点P1よりも搬送方向下流側の部分で、規制ピン31rと傾斜面RbCとの高さ方向の距離が最大硬貨厚さTh1よりも小さくなることから、規制ピン31rの真下を当該硬貨Ciが移動している場合に、規制ピン31rと傾斜面RbCとの間に当該硬貨Ciが挟まってしまう可能性が出てくる。このような不具合を防ぐ為には、少なくとも硬貨Ciが地点P1に到達する前に、硬貨Ciをブラシ51により停止させて、当該硬貨Ciよりも規制ピン31rを先行させなければならない。
【0078】
そこで、本実施の形態では、ブラシ51を、地点P1よりも搬送方向上流側に設けることで、上述した不具合を防ぐようになっている。尚、ブラシ51については、リジェクトゲート33にできるだけ近い位置に設けることが望ましい為、地点P1よりも搬送方向上流側で且つ地点P1にできるだけ近い位置に設けることが望ましい。尚、搬送ピン31pと当接している硬貨Ciに押されてブラシ51の毛束61b、61cが搬送方向下流側に折れ曲がるように変形した際に、この毛束61b、61cの先端部がリジェクトゲート33に届かない位置にあることを、ブラシ51の配置条件に追加してもよい。
【0079】
[5.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、媒体取扱装置としての入出金機1に媒体処理装置としての硬貨処理装置10と操作表示部4を設けた。そしてこの硬貨処理装置10に、媒体としての硬貨Ciの搬送方向上流側から搬送方向下流側に延びる第1の搬送領域としての範囲Aと、当該範囲Aから搬送方向下流側に延びる第2の搬送領域としての範囲Bを有する搬送路Rを形成する搬送ガイド30と、搬送路Rの搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって移動する搬送ピン31pと、搬送ピン31pの搬送方向下流側に所定の間隔を空けて設けられ、搬送ピン31pとともに搬送路Rの搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって移動する規制ピン31rと、範囲Aの所定箇所に設けられ、硬貨Ciの搬送方向下流側への移動を規制する規制部としてのブラシ50、51を設けた。
【0080】
また搬送ピン31pは、範囲Aと範囲Bにおいて、硬貨Ciに当接可能な状態で移動しながら、硬貨Ciの搬送方向上流側に当接して当該硬貨Ciを搬送方向下流側に押すことにより当該硬貨Ciを搬送するようにした。
【0081】
さらに規制ピン31rは、範囲Aにおいては硬貨Ciとは当接しない状態で移動し、範囲Bにおいては、硬貨Ciに当接可能な状態で移動しながら、硬貨Ciの搬送方向下流側に当接することにより当該硬貨Ciが搬送ピン31pから搬送方向下流側に離れ過ぎてしまうことを規制するようにした。さらにブラシ50、51は、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れた状態のまま搬送方向下流側に移動することを規制して当該硬貨Ciを搬送ピン31pに当接させるようにした。
【0082】
このように硬貨処理装置10は、搬送路Rにおける範囲Aにおいては、ブラシ50、51により硬貨Ciが搬送ピン31pから離れた状態で搬送方向下流側に移動することを規制し、範囲Bにおいては、規制ピン31rにより硬貨Ciが搬送ピン31pから離れ過ぎてしまうことを規制するようにしたことにより、硬貨搬送時に硬貨Ciが搬送ピン31pから離れ過ぎてしまうことを防ぐことができる。かくして、硬貨処理装置10は、硬貨搬送時の不具合の発生を抑制することができる。
【0083】
また本実施の形態の硬貨処理装置10では、範囲Aに媒体認識部としての硬貨認識部32を設け、第1の規制部としてのブラシ50を、範囲Aにおける硬貨認識部32の搬送方向上流側近傍に設けた。こうすることで、ブラシ50により硬貨Ciが搬送ピン31pに当接した状態で硬貨認識部32を通過する為、硬貨認識部32による動作タイミングと、硬貨認識部32への硬貨到達タイミングとを合わせることができ、硬貨Ciを正しく認識できない等の不具合を防止することができる。
【0084】
さらに本実施の形態の硬貨処理装置10では、範囲Aと範囲Bの接続部分の範囲B側にゲートの1つであるリジェクトゲート33を設け、第2の規制部としてのブラシ51を、範囲Aにおけるリジェクトゲート33の搬送方向上流側近傍に設けた。こうすることで、ブラシ51により硬貨Ciが搬送ピン31pに当接した状態でリジェクトゲート33へと搬送される為、リジェクトゲート33による動作タイミングと、リジェクトゲート33への硬貨到達タイミングとを合わせることができ、硬貨Ciを適切な搬送先に搬送できない等の不具合を防止することができる。
【0085】
さらに本実施の形態の硬貨処理装置10では、ブラシ50、51が、それぞれ硬貨Ciと接触する弾性部材としての毛束61b、61cを有し、当該毛束61b、61cが、搬送ピン31pから離れた状態で移動してきた硬貨Ciと接触して搬送方向下流側に押された場合には変形せずに当該硬貨Ciを停止させ、搬送ピン31pに当接した状態の硬貨Ciと接触して搬送方向下流側に押された場合には変形して当該硬貨Ciを通過させるようにした。
【0086】
ブラシ50、51は、このような構成により、搬送ピン31pから離れた状態で移動してきた硬貨Ciを停止させ、その後、当該硬貨Ciに搬送ピン31pが追い付いて当該搬送ピン31pにより当該硬貨Ciが搬送方向下流側に押されると、当該搬送ピン31pに当接した状態の硬貨Ciを通過させることができる。またブラシ50、51は、硬貨Ciが通過する際に、毛束61b、61cの下端部が硬貨Ciの上面に接触する為、硬貨Ciの上面に付着していた異物を毛束61b、61cにより除去する効果も期待できる。
【0087】
さらに本実施の形態の硬貨処理装置10では、搬送ベルト31bを間に挟むようにして、2つの毛束61b、61cを搬送路Rの幅方向に間隔を空けて対向配置するようにした。つまり、毛束61b、61cを搬送ベルト31bの両脇に設けるようにした。これにより、2本の毛束61b、61cが、硬貨Ciの外周面の2箇所(具体的には硬貨Ciの外周面を搬送路Rの幅方向に分割した場合の一方の部分と他方の部分)に当接することになる為、硬貨Ciをより確実に停止させることができ、また硬貨Ciを通過させる際に硬貨Ciが回転したりすることを防ぎ、硬貨Ciを安定して搬送することができる。
【0088】
さらに本実施の形態の硬貨処理装置10では、搬送ピン31pについては搬送方向Aw1に一定のピッチPtで設け、規制ピン31rについては搬送ピン31pと搬送ピン31pとの間に設けるようにした。さらに硬貨処理装置10では、範囲Aの搬送面(第1の搬送面)である認識部側搬送面RbAを、範囲Bの搬送面(第2の搬送面)であるゲート側搬送面RbBよりも高さ方向に低くするとともに、認識部側搬送面RbA及びゲート側搬送面RbB上を移動する搬送ピン31pの長さを、当該搬送ピン31pの下端部が、認識部側搬送面RbA及びゲート側搬送面RbB上の硬貨Ciに当接する長さにする一方で、認識部側搬送面RbA及びゲート側搬送面RbB上を移動する規制ピン31rの長さを、当該規制ピン31rの下端部が、認識部側搬送面RbA上の硬貨Ciには当接せず、ゲート側搬送面RbB上の硬貨Ciには当接する長さとした。
【0089】
こうすることで、硬貨送出部13から範囲Aに硬貨が送出される際に、搬送ピン31pと搬送ピン31pとの間のエリアAr1を硬貨受入エリアとすることができるので、搬送ピン31pと規制ピン31rとの間のエリアAr2を硬貨受入エリアとする場合と比較して、硬貨受入エリアを広くすることができる。これにより、硬貨送出部13から搬送路Rへの硬貨送出タイミングに余裕を持たせることができ、例えば硬貨Ciの搬送速度を上げることが容易となる。
【0090】
[6.他の実施の形態]
[6-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、規制部材として、取付部60と2つの毛束61(61b、61c)とで構成されブラシ50、51を用いたが、これに限らず、ブラシ50、51とは構成が異なるブラシを用いてもよい。ここで、図10に、一例として、ブラシ50、51とは構成が異なるブラシ100を示す。
【0091】
ブラシ100は、取付部110と、2つの毛束111(111b、111c)とで構成される。取付部110は、金属や樹脂で形成された部材であり、搬送ベルト31bの上方に設けられていて、図示しないフレームなどに固定されている。この取付部110は、搬送路Rの幅方向に延びる中央部110aと、中央部110aの両端から下方(つまり搬送面Rb側)に延びる両腕部110b、110cとで構成され、搬送方向Aw1から見てコの字型となっている。
【0092】
取付部60は、上から見て、両腕部110b、110cの間に搬送ベルト31bが位置するように配置されている。また中央部110aは、その長さ(搬送路Rの幅方向の長さ)が、搬送ピン31p及び規制ピン31r(図8では省略)の径よりも長く、且つ搬送路Rの幅(つまり搬送面Rbの幅)よりも短くなっている。この為、中央部60aの両端から下方に延びる両腕部110b、110cは、それぞれ上から見て、搬送ピン31p及び規制ピン31rの外周のさらに外側(ガイド側面部30a側)に位置するようになっている。
【0093】
そしてこの両腕部110b、110cの内側の面(搬送ベルト31b側の面)に、それぞれ下方へと延びる毛束111b、111cが取り付けられている。つまり、2つの毛束111b、111cは、搬送ベルト31bを間に挟んで搬送路Rの幅方向に間隔を空けて対向配置されている。尚、毛束111b、111cは、例えば複数の毛が搬送方向Aw1に束状に並ぶようにして取り付けられている。搬送ベルト31bに取り付けられた搬送ピン31p及び規制ピン31rは、これら2つの毛束111b、111cの間を通るようになっている。尚、両腕部110b、110cは、それぞれ搬送ベルト31bからの距離が等しくなるように対向配置されていることが望ましい。
【0094】
2つの毛束111b、111cは、それぞれ取付部110の両腕部110b、110cから下方の搬送面Rbまで延びていて、それぞれの下端が搬送面Rbに接する(もしくはほぼ接する)長さとなっている。尚、毛束111b、111cの下端が、搬送面Rbから離れるようにする場合、毛束111b、111cの下端と搬送面Rbとの隙間が最小硬貨厚さTh2よりも狭くなっていればよい。また毛束111bと毛束111cとの間隔(毛束111bのベルト31bに近い側の側面と、毛束111cのベルト31bに近い側の側面との距離)は、最小硬貨の直径よりも狭いことが望ましい。2つの毛束111b、111cは、例えばゴムなどの弾性部材で形成された複数の毛を束状にした部材であり、上端側は取付部110の両腕部110b、110cに固定され、下端側はフリーとなっている。
【0095】
ブラシ50、51の代わりに、このようなブラシ100を用いてもよい。ブラシ100も、ブラシ50、51と同様、搬送ピン31pから離れた状態で移動してきた硬貨Ciを停止させ、その後、当該硬貨Ciに搬送ピン31pが追い付いて当該搬送ピン31pにより当該硬貨Ciが搬送方向下流側に押されると、当該搬送ピン31pに当接した状態の硬貨Ciを通過させることができる。
【0096】
[6-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、規制部材として毛束61b、61cを有するブラシ50、51を用いた。これに限らず、規制部材として、ブラシ50、51とは異なる規制部材を用いてもよい。
【0097】
例えばブラシ50、51の代わりに、弾性部材で形成されたシートを規制部材として用いてもよい。この場合、シートは、ブラシ50、51と同様、搬送ピン31pから離れた状態で移動してきた硬貨Ciと接触して搬送方向下流側に押された場合には変形せずに当該硬貨Ciを停止させ、搬送ピン31pに当接した状態の硬貨Ciと接触して搬送方向下流側に押された場合には変形して当該硬貨Ciを通過させるようになっていればよい。
【0098】
またこれに限らず、ブラシ50、51の代わりに、棒状の回転部材を規制部材として用いてもよい。この場合、回転部材は、例えば、搬送路Rを塞いで硬貨Ciと接触する位置に付勢されていて、搬送ピン31pから離れた状態で移動してきた硬貨Ciと接触して搬送方向下流側に押された場合には付勢力により回転せずに当該硬貨Ciを停止させ、搬送ピン31pに当接した状態の硬貨Ciと接触して搬送方向下流側に押された場合には回転して当該硬貨Ciを通過させるようになっていればよい。
【0099】
さらにこれに限らず、ブラシ50、51の代わりに、ローラを規制部材として用いてもよい。この場合、ローラは、搬送路Rの幅方向に延びる回転軸を有し、搬送路Rを塞いで硬貨Ciと接触する位置に設けられ、搬送面Rb側(つまり下方)に押し付けられている。そしてこのローラは、搬送ピン31pから離れた状態で移動してきた硬貨Ciと接触して搬送方向下流側に押された場合には回転せずに当該硬貨Ciを停止させ、搬送ピン31pに当接した状態の硬貨Ciと接触して搬送方向下流側に押された場合には回転しながら上方に押し上げられることにより当該硬貨Ciを通過させるようになっていればよい。
【0100】
さらにこれに限らず、ブラシ50、51の代わりに、搬送面Rbよりも摩擦係数が大きい高摩擦部材を規制部材として用いてもよい。この場合、高摩擦部材を、硬貨認識部32の手前に位置する搬送面Rb(認識部側搬送面RbA)上と、リジェクトゲート33の手前に位置する搬送面Rb(傾斜面RbC)上に設ける。そして、搬送ピン31pから離れた状態で移動してきた硬貨Ciについては、高摩擦部材の摩擦力により停止し、搬送ピン31pと当接して当該搬送ピン31pにより押された硬貨Ciについては摩擦力に逆らって高摩擦部材を通過するようになっていればよい。
【0101】
[6-3.他の実施の形態3]
また上述した実施の形態では、搬送ベルト31bを間に挟んで2つの毛束61b、61cを搬送路Rの幅方向に対向配置するようにした。つまり、毛束61を搬送ベルト31bの両脇に設けるようにした。これに限らず、搬送ベルト31bの両脇ではなく片側の脇に1つの毛束61を設けるようにしてもよい。またこの場合、例えば、ブラシ50、51のうちの一方を搬送ベルト31bの片側の脇に1つの毛束61を設ける構成とし、他方を搬送ベルト31bの両脇に毛束61b、61cを設ける構成としてもよい。
【0102】
[6-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、搬送路Rの認識部側搬送面RbAとゲート側搬送面RbBを水平な面(つまり入出金機1の底面と平行な面)としたが、これに限らず、これら認識部側搬送面RbAとゲート側搬送面RbBを水平からわずかに傾けるようにしてもよい。この場合、認識部側搬送面RbAとゲート側搬送面RbBがそれぞれ搬送方向下流側に向かって下る傾斜面となっていてもよい。このように、搬送面Rbが下りの傾斜面となっている場合、硬貨Ciが搬送ピン31pから離れ易くなる為、ブラシ50、51による効果が顕著となる。
【0103】
[6-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、硬貨認識部32の手前とリジェクトゲート33の手前にブラシ50、51を設けるようにしたが、これに限らず、硬貨認識部32の手前にブラシ50を設ける一方でリジェクトゲート33の手前にはブラシ51を設けないようにしたり、硬貨認識部32の手前にはブラシ50を設けないようにする一方でリジェクトゲート33の手前にはブラシ51を設けるようにしたりしてもよい。
【0104】
[6-6.他の実施の形態6]
さらに上述した実施の形態では、本発明を、搬送路Rに硬貨認識部32と各種ゲートを有する硬貨処理装置10及び当該硬貨処理装置10を有する入出金機1に適用した。これに限らず、本発明は、媒体の搬送路に各種媒体処理部を有する、硬貨処理装置10以外の媒体処理装置や入出金機1以外の媒体取扱装置にも適用することができる。具体的には、例えば、セミセルフ精算機が有する硬貨処理装置に適用することもできる。
【0105】
さらに上述した実施の形態では、本発明を、硬貨を扱う硬貨処理装置10及び入出金機1に適用したが、これに限らず、本発明は、硬貨以外の媒体(例えばメダルなど)を扱う様々な媒体処理装置や媒体取扱装置に適用することができる。
【0106】
[6-7.他の実施の形態7]
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、例えば硬貨を扱う硬貨処理装置で利用できる。
【符号の説明】
【0108】
1……入出金機、2……装置筐体、7……硬貨投入口、8……硬貨出金口、10……硬貨処理装置、11……硬貨投入部、12……硬貨繰出部、13……硬貨送出部、14……入金搬送部、30……搬送ガイド、30a……ガイド側面部、30b……ガイド搬送面部、31……ピンベルト、31b……搬送ベルト、31p……搬送ピン、31r……規制ピン、50、51、100……ブラシ、60、110……取付部、61、111……毛束、A、B……範囲、Aw1……搬送方向、Ci……硬貨、R……搬送路、R1……第1の部分、R2……第2の部分、R3……第3の部分、R4……第4の部分、R5……第5の部分、Rb……搬送面、RbA……認識部側搬送面、RbB……ゲート側搬送面、RbC……傾斜面。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10