IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ紡織株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-燃料電池スタック 図1
  • 特開-燃料電池スタック 図2
  • 特開-燃料電池スタック 図3
  • 特開-燃料電池スタック 図4
  • 特開-燃料電池スタック 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159639
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2465 20160101AFI20231025BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20231025BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069463
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】島倉 泰博
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA22
5H126BB06
5H126EE03
5H126EE11
5H126FF08
5H126GG18
(57)【要約】
【課題】セル積層体のシール性の低下を長期間にわたって抑制することができる燃料電池スタックを提供する。
【解決手段】燃料電池スタックは、発電部11を有する単セル90が複数積層されたセル積層体10と、単セル90の第1方向Xにおいてセル積層体10の両側に位置する2つのエンドプレートとを備えている。また、燃料電池スタックは、第1方向Xにおいてセル積層体10とエンドプレートとの間に位置するとともに、第1方向Xにおいてセル積層体10の一側に設けられる積層弾性体60Aを備えている。積層弾性体60Aは、第1方向Xにおいて剛性板67と弾性ゴム層68とが交互に積層されて形成されており、第1方向Xにおいて発電部11と重なる領域の全体にわたって設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電部を有する単セルが複数積層されて形成されたセル積層体と、
前記単セルの積層方向において前記セル積層体の両側に位置する2つのエンドプレートと、
前記積層方向において前記セル積層体と前記エンドプレートとの間に位置するとともに、前記積層方向において前記セル積層体の少なくとも一側に設けられる積層弾性体と、を備え、
前記積層弾性体は、前記積層方向において剛性板と弾性ゴム層とが交互に積層されて形成されており、前記積層方向において前記発電部と重なる領域の全体にわたって設けられている、
燃料電池スタック。
【請求項2】
前記積層弾性体は、前記積層方向において前記セル積層体の少なくとも一側の端面に隣り合って設けられており、
前記弾性ゴム層は、電気絶縁性を有しており、前記端面に当接している、
請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
前記積層弾性体が、前記積層方向において前記セル積層体の両側にそれぞれ設けられている、
請求項1または請求項2に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
前記剛性板は、前記積層方向において前記発電部と重なる領域の全体にわたって、前記積層方向において隣り合う前記弾性ゴム層同士を隔離している、
請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項5】
前記剛性板は、前記積層方向において前記剛性板を貫通する貫通孔を有する、
請求項1に記載の燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池のセルスタック構造が開示されている。特許文献1に記載のセルスタック構造は、セルスタックと、第1プレートと、第2プレートと、第3プレートと、伸縮部材とを有している。セルスタックは、単セルが上下方向に複数積層されることにより構成されている。単セルは、膜電極接合体と称される発電部と、発電部を上下方向の両側から挟持する一対のセパレータとを有している。第1プレートは、セルスタックの上面から上方に離間して配置されている。第2プレートは、セルスタックの上面に隣接して配置されている。第3プレートは、セルスタックの下面に隣接して配置されている。第1プレートと第2プレートとの間には、上下方向に沿って伸縮可能である伸縮部材が配置されている。伸縮部材は、第1プレートと第2プレートとの間において、圧縮された状態で配置されるとともに、等間隔で複数個配置されている。伸縮部材は、第2プレートを介して、セルスタックに対して面圧を印加する。これにより、例えば発電開始時における内圧の上昇によってセルスタックが熱膨張しても、伸縮部材によって面圧が印加されることで、セルスタックを構成する単セル間のシール性が低下することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のセルスタック構造の場合、複数の伸縮部材が等間隔に配置されているため、第2プレートにおいて、伸縮部材が配置されている部分と、伸縮部材が配置されていない部分とでは、セルスタックに印加される面圧がばらつく。このため、単セル間のシール性の低下を抑制する上では改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための燃料電池スタックは、発電部を有する単セルが複数積層されて形成されたセル積層体と、前記単セルの積層方向において前記セル積層体の両側に位置する2つのエンドプレートと、前記積層方向において前記セル積層体と前記エンドプレートとの間に位置するとともに、前記積層方向において前記セル積層体の少なくとも一側に設けられる積層弾性体と、を備え、前記積層弾性体は、前記積層方向において剛性板と弾性ゴム層とが交互に積層されて形成されており、前記積層方向において前記発電部と重なる領域の全体にわたって設けられている。
【0006】
同構成によれば、積層弾性体により、セル積層体に対して積層方向において発電部と重なる領域の全体にわたって面圧が印加されるようになる。これにより、セル積層体のうち発電に伴って熱膨張する部分に印加される面圧が位置によってばらつくことを抑制できる。
【0007】
また、上記構成によれば、面圧を印加する部材が弾性ゴムのみにより形成される場合と比べて、各弾性ゴム層の厚みの総和を小さくできる。これにより、セル積層体の熱膨張によって弾性ゴム層が圧縮された状態が継続した際に弾性ゴム層のクリープ変形が発生しても、クリープ変形量の総和を低減できる。このため、積層弾性体により印加される面圧が低下することを抑制できる。
【0008】
したがって、セル積層体のシール性の低下を長期間にわたって抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る燃料電池スタックの断面図である。
図2図2は、図1の燃料電池スタックを構成するセル積層体及び積層弾性体の分解斜視図である。
図3図3は、図1の燃料電池スタックを構成する単セルの分解斜視図である。
図4図4(a)は、圧縮荷重が作用していない自然状態の積層弾性体を中心とした断面図であり、図4(b)は、圧縮荷重が作用している組付状態の積層弾性体を中心とした断面図である。
図5図5は、変更例の積層弾性体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図4を参照して、燃料電池スタックの一実施形態について説明する。
なお、各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示しているため、各構成の寸法比率が実際とは異なる場合がある。
【0011】
図1に示すように、燃料電池スタックは、セル積層体10と、2つの積層弾性体60A,60Bと、2つのエンドプレート70A,70Bと、ケース80とを有している。
<セル積層体10>
図2に示すように、セル積層体10は、単セル90が複数積層されて形成されている。
【0012】
図3に示すように、単セル90は、膜電極接合体11(Membrane Electrode Assembly(MEA)、以下、発電部11)と、発電部11を囲む電気絶縁性のシート部材20とを有している。また、単セル90は、発電部11及びシート部材20を挟持するカソード側セパレータ50及びアノード側セパレータ30を有している。
【0013】
図2及び図3に示すように、単セル90は、全体として長方形板状である。
なお、以降では、複数の単セル90の積層方向を第1方向Xとして説明する。
また、単セル90の長辺の延在方向及び短辺の延在方向を、それぞれ第2方向Y及び第3方向Zとして説明する。
【0014】
単セル90は、燃料ガス、冷却媒体、及び酸化剤ガスを単セル90内にそれぞれ導入するための導入孔91,93,95と、単セル90内の燃料ガス、冷却媒体、及び酸化剤ガスをそれぞれ外部へ導出するための導出孔92,94,96とを有している。
【0015】
導入孔91,93,95及び導出孔92,94,96は、単セル90を第1方向Xに貫通している。導入孔91及び導出孔94,96は、第2方向Yにおける単セル90の一側(図2の左右方向における左側)に設けられている。導入孔91及び導出孔94,96は、第3方向Zにおいて互いに間隔をあけて順に並んでいる。導出孔92及び導入孔93,95は、第2方向Yにおける単セル90の他側(図2の右側)に設けられている。導出孔92及び導入孔93,95は、第3方向Zにおいて互いに間隔をあけて順に並んでいる。
【0016】
<発電部11>
図3に示すように、発電部11は、図示しない固体高分子電解質膜(以下、電解質膜)と、電解質膜の両面に設けられた電極11A,11Bとを有している。なお、本実施形態では、第1方向Xにおける電解質膜(図示略)の一側(図3の上下方向における上側)の面に接合された電極が、カソード電極11Aである。また、第1方向Xにおける電解質膜の他側(図3の下側)の面に接合された電極が、アノード電極11Bである。
【0017】
電極11A,11Bは、電解質膜に接合された触媒層(図示略)と、触媒層に接合されたガス拡散層12(Gas Diffusion Layer、以下、GDL12)とを有している。
シート部材20は、単セル90を構成するカソード側セパレータ50とアノード側セパレータ30との間に設けられている。シート部材20は、第2方向Yに長い平面視略長方形板状である。シート部材20は、例えば電気絶縁性の合成樹脂材料により形成されている。
【0018】
シート部材20は、孔91,92,93,94,95,96をそれぞれ構成する貫通孔21,22,23,24,25,26を有している。
シート部材20は、中央に開口部27を有している。開口部27の内周縁部には、第1方向Xの一側(図3の上側)から発電部11の周縁部が接合されている。
【0019】
<カソード側セパレータ50>
図3に示すように、カソード側セパレータ50は、第2方向Yに長い平面視長方形板状である。
【0020】
カソード側セパレータ50は、例えばチタン、ステンレス鋼などの金属薄板をプレス成形することにより形成されている。
カソード側セパレータ50は、発電部11のカソード電極11A側に設けられている。
【0021】
カソード側セパレータ50は、発電部11に対向する第1面50aと、第1面50aとは反対側の面である第2面50bとを有している。
カソード側セパレータ50は、孔91,92,93,94,95,96をそれぞれ構成する貫通孔51,52,53,54,55,56を有している。
【0022】
カソード側セパレータ50は、酸化剤ガスが流通する複数の溝流路57と、冷却媒体が流通する複数の溝流路58とを有している。溝流路57は、第1面50aに設けられている。溝流路58は、第2面50bに設けられている。なお、図3には、カソード側セパレータ50において、複数の溝流路57が形成された部分の外縁と、複数の溝流路58が形成された部分の外縁とをそれぞれ簡略化して示している。
【0023】
<アノード側セパレータ30>
図3に示すように、アノード側セパレータ30は、第2方向Yに長い平面視長方形板状である。
【0024】
アノード側セパレータ30は、例えばチタン、ステンレス鋼などの金属薄板をプレス成形することにより形成されている。
アノード側セパレータ30は、発電部11のアノード電極11B側に設けられている。
【0025】
アノード側セパレータ30は、発電部11に対向する第1面30aと、第1面30aとは反対側の面である第2面30bとを有している。
アノード側セパレータ30は、孔91,92,93,94,95,96をそれぞれ構成する貫通孔31,32,33,34,35,36を有している。
【0026】
アノード側セパレータ30は、燃料ガスが流通する複数の溝流路37と、冷却媒体が流通する複数の溝流路38とを有している。溝流路37は、第1面30aに設けられている。溝流路38は、第2面30bに設けられている。なお、図3には、アノード側セパレータ30において、複数の溝流路37が形成された部分の外縁と、複数の溝流路38が形成された部分の外縁とをそれぞれ簡略化して示している。
【0027】
<ケース80>
図1に示すように、ケース80は、第1方向Xの両側に開口する断面長方形の筒状である。ケース80は、セル積層体10の側面を取り囲んでいる。ケース80の内周面80aとセル積層体10との間には、隙間が設けられている。
【0028】
<エンドプレート70A,70B>
図1に示すように、第1方向Xにおいてセル積層体10の一側(図1の上側)には、エンドプレート70Aが設けられている。第1方向Xにおいてセル積層体10の他側(図1の下側)には、エンドプレート70Bが設けられている。エンドプレート70A,70Bは、ケース80の開口をそれぞれ閉塞している。エンドプレート70A,70Bは、第1方向Xに延在する図示しないボルトとナットとによって、互いに連結されている。
【0029】
<積層弾性体60A,60B>
図1に示すように、積層弾性体60A,60Bは、第1方向Xにおいてセル積層体10とエンドプレート70A,70Bとの間に位置している。ケース80の内周面80aと積層弾性体60A,60Bとの間には、隙間が設けられている。積層弾性体60Aは、第1方向Xにおいてセル積層体10の一側(図1の上側)に設けられている。積層弾性体60Bは、第1方向Xにおいてセル積層体10の他側(図1の下側)に設けられている。すなわち、積層弾性体60A,60Bは、第1方向Xにおいてセル積層体10の両側にそれぞれ設けられている。
【0030】
積層弾性体60A,60Bは、第1方向Xにおいてセル積層体10の端面10a,10bに隣り合ってそれぞれ設けられている。
図1及び図2に示すように、積層弾性体60A,60Bは、第1方向Xにおいて発電部11と重なる領域の全体にわたって設けられている。本実施形態の積層弾性体60Aは、セル積層体10の端面10aの全体にわたって設けられている。本実施形態の積層弾性体60Bは、セル積層体10の端面10bの全体にわたって設けられている。
【0031】
図2図4(a)、及び図4(b)に示すように、積層弾性体60Aは、第1方向Xにおいて剛性板67と弾性ゴム層68とが交互に複数積層されて形成されている。剛性板67と弾性ゴム層68とは、例えば接着剤によって互いに接着されている。
【0032】
弾性ゴム層68は、第2方向Yに長い平面視略長方形板状である。
本実施形態の弾性ゴム層68は、電気絶縁性を有している。
なお、弾性ゴム層68は、天然ゴム、合成ゴムなどのゴムにより形成されている。
【0033】
剛性板67は、第2方向Yに長い平面視略長方形板状である。本実施形態の剛性板67は、平板状であり、貫通孔を有していない。したがって、剛性板67は、第1方向Xにおいて発電部11と重なる領域の全体にわたって、第1方向Xにおいて隣り合う弾性ゴム層68同士を隔離している。なお、剛性板67は、例えばアルミニウム、ステンレス鋼などの金属薄板により形成されている。
【0034】
図2に示すように、積層弾性体60Aには、積層弾性体60Aを第1方向Xに貫通する貫通孔61,62,63,64,65,66が設けられている。貫通孔61,64,66は、単セル90の孔91,94,96にそれぞれ対応する位置に設けられている。貫通孔62,63,65は、単セル90の孔92,93,95とそれぞれ対応する位置に設けられている。
【0035】
なお、図示は省略するが、積層弾性体60Bには、貫通孔61,62,63,64,65,66が設けられていない。
図4(a)及び図4(b)に示すように、積層弾性体60Aの弾性ゴム層68は、セル積層体10の端面10aに当接している。また、図示は省略するが、積層弾性体60Bの弾性ゴム層68は、セル積層体10の端面10bに当接している。
【0036】
図4(b)に示すように、上記ボルト及びナットによってエンドプレート70A,70B同士が連結された組付状態においては、積層弾性体60Aは、第1方向Xにおいて圧縮される。このとき、弾性ゴム層68は、ケース80の内周面80aに向かって突出する。
【0037】
次に、本実施形態の作用について説明する。
積層弾性体60A,60Bにより、セル積層体10に対して第1方向Xにおいて発電部11と重なる領域の全体にわたって面圧が印加されるようになる。これにより、セル積層体10のうち発電に伴って熱膨張する部分に印加される面圧が位置によってばらつくことを抑制できる。
【0038】
また、面圧を印加する部材が弾性ゴムのみにより形成される場合と比べて、各弾性ゴム層68の厚みの総和を小さくできる。これにより、セル積層体10の熱膨張によって弾性ゴム層68が圧縮された状態が継続した際に弾性ゴム層68のクリープ変形が発生しても、クリープ変形量の総和を低減できる。このため、積層弾性体60A,60Bにより印加される面圧が低下することを抑制できる。
【0039】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)積層弾性体60A,60Bは、第1方向Xにおいてセル積層体10とエンドプレート70A,70Bとの間に位置している。積層弾性体60A,60Bは、第1方向Xにおいて剛性板67と弾性ゴム層68とが交互に積層されて形成されており、第1方向Xにおいて発電部11と重なる領域の全体にわたって設けられている。
【0040】
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、セル積層体10のシール性の低下を長期間にわたって抑制することができる。
(2)積層弾性体60A,60Bは、第1方向Xにおいてセル積層体10の両側の端面10a,10bに隣り合って設けられている。弾性ゴム層68は、電気絶縁性を有しており、端面10a,10bに当接している。
【0041】
こうした構成によれば、積層弾性体60A,60Bがセル積層体10の端面10a,10bに隣り合って設けられる構成において、積層弾性体60A,60Bとセル積層体10とを電気的に絶縁することが容易にできる。
【0042】
(3)積層弾性体60A,60Bが、第1方向Xにおいてセル積層体10の両側にそれぞれ設けられている。
こうした構成によれば、積層弾性体60A,60Bにより、セル積層体10に対して第1方向Xの両側から面圧が印加されるようになる。これにより、セル積層体10のうち発電に伴って熱膨張する部分に印加される面圧が位置によってばらつくことを一層抑制できる。
【0043】
(4)剛性板67は、第1方向Xにおいて発電部11と重なる領域の全体にわたって、第1方向Xにおいて隣り合う弾性ゴム層68同士を隔離している。
こうした構成によれば、積層弾性体60A,60Bからセル積層体10に対して印加される面圧を均一にできる。これにより、セル積層体10のうち発電に伴って熱膨張する部分に印加される面圧が位置によってばらつくことを一層抑制できる。
【0044】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0045】
図5に示すように、剛性板67は、第1方向Xにおいて剛性板67を貫通する貫通孔100を有していてもよい。
発電部11においては、熱膨張しやすい部位と熱膨張しにくい部位とが存在する。
【0046】
上記構成によれば、積層弾性体60A,60Bのうち剛性板67に貫通孔100が設けられている部分は、貫通孔100が設けられていない部分に比べて第1方向Xに弾性変形し易くなる。このため、例えば剛性板67において、発電部11のうち熱膨張しやすい部位に対応する位置に貫通孔100を設けるようにすれば、積層弾性体60A,60Bによってセル積層体10の熱膨張を効果的に吸収することができる。このように、貫通孔100の位置、大きさ、及び形状を適宜設定することによって、積層弾性体60A,60Bからセル積層体10に対して印加される面圧を部分的に調整することが容易にできる。
【0047】
・積層弾性体60A,60Bのいずれか一方を省略してもよい。
・積層弾性体60A,60Bの剛性板67がセル積層体10の端面10a,10bに当接する構成であってもよい。この場合、積層弾性体60A,60Bとセル積層体10の端面10a,10bの間に、電気絶縁性のシートを設けるようにすることが好ましい。
【0048】
・上記実施形態では、積層弾性体60A,60Bが、セル積層体10の端面10a,10bの全体にわたって設けられるようにしたが、これに限らない。積層弾性体60A,60Bは、第1方向Xにおいて発電部11と重なる領域の全体にわたって設けられていればよく、第1方向Xにおいて発電部11と重なる領域にのみ設けられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…セル積層体
10a,10b…端面
11…発電部
11A…カソード電極
11B…アノード電極
12…ガス拡散層
20…シート部材
21~26…貫通孔
27…開口部
30…アノード側セパレータ
30a…第1面
30b…第2面
31~36…貫通孔
37,38…溝流路
50…カソード側セパレータ
50a…第1面
50b…第2面
51~56…貫通孔
57,57…溝流路
60A,60B…積層弾性体
61~66…貫通孔
67…剛性板
68…弾性ゴム層
70A,70B…エンドプレート
80…ケース
80a…内周面
90…単セル
91,93,95…導入孔
92,94,96…導出孔
100…貫通孔
X…第1方向(積層方向)
Y…第2方向
Z…第3方向
図1
図2
図3
図4
図5