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特開2023-159650連携データ分析システム及び連携データ分析方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159650
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】連携データ分析システム及び連携データ分析方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231025BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069482
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大日方 絢
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 竜
(72)【発明者】
【氏名】多田 直樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】対象とするサービスに関し、複数の組織間で連携した、個人を特定できない情報を組み合わせて、1つの組織が持つ情報だけからは分かり得ない情報を分析し活用する。
【解決手段】対象とするサービスに関わる利用実績データ及び統計情報データを抽出し、抽出した利用実績データ及び統計情報データに基づき対象とするサービスの利用率を算出し、算出した利用率及び抽出した統計情報データに基づき対象とするサービスの利用に関わる属性項目を算出し、対象とするサービスの利用に関わる属性項目ごとの各属性値から当該属性項目が対象とするサービスの利用に与える影響の分布を算出し、対象とするサービスの利用に与える影響の分布の中で特異値をとる属性値を対象とするサービスの利用に影響を与える属性値として算出し、算出した対象とするサービスの利用に影響を与える属性値及び属性項目を当該サービスをレコメンドする候補となる属性情報として出力する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が使用する端末と、データ分析を行うサーバと、提供されるサービスに関わる利用実績データ及び当該利用実績データを構成する属性に関わる統計情報データを格納するデータベースとが相互にネットワークを介して接続され、
前記端末は、前記利用者が対象とするサービスに関わる入力情報を前記サーバに送信し、前記サーバの出力として受信した前記対象とするサービスをレコメンドする候補となる属性情報を出力し、
前記サーバは、
前記入力情報に基づいて前記データベースから前記対象とするサービスに関わる前記利用実績データ及び前記統計情報データを抽出する機能と、
抽出した前記利用実績データ及び前記統計情報データに基づいて前記対象とするサービスの利用率を算出する機能と、
算出した前記利用率及び抽出した前記統計情報データに基づいて前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目を算出する機能と、
前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目ごとの各属性値から当該属性項目が前記対象とするサービスの利用に与える影響の分布を算出する機能と、
前記対象とするサービスの利用に与える影響の分布の中で特異値をとる前記属性値を前記対象とするサービスの利用に影響を与える属性値として算出する機能と、
算出した前記対象とするサービスの利用に影響を与える属性値及び当該属性値を持つ前記属性項目を前記対象とするサービスをレコメンドする候補となる属性情報として出力する機能とを有する処理部と、
前記処理部が前記各機能により算出した各情報を記憶する記憶部と
を備える
ことを特徴とする連携データ分析システム。
【請求項2】
請求項1に記載の連携データ分析システムであって、
前記処理部が有する前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目を算出する機能は、前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目を、前記利用実績データに含まれる利用実績に関わる属性項目の各属性の中で前記対象とするサービスの利用率が高い属性に関して、前記統計情報データに存在する属性項目に関する分布との類似度に基づいて算出する機能である
ことを特徴とする連携データ分析システム。
【請求項3】
請求項1に記載の連携データ分析システムであって、
前記処理部が有する前記対象とするサービスの利用に与える影響の分布を算出する機能は、前記対象とするサービスの利用に与える影響の分布を、前記対象とするサービスの利用率から抽出した当該利用率が高い属性に関して、当該サービスの利用率と、前記統計情報データに存在する、前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目に関する分布と、に基づいて算出する機能である
ことを特徴とする連携データ分析システム。
【請求項4】
利用者が使用する端末と、データ分析を行うサーバと、提供されるサービスに関わる利用実績データ及び当該利用実績データを構成する属性に関わる統計情報データを格納するデータベースとが相互にネットワークを介して接続され、
前記端末は、前記利用者が対象とする前記属性に関わる入力情報を前記サーバに送信し、前記サーバから受信した当該サーバの出力情報に基づいて前記対象とする属性に対してレコメンドする候補となるサービスを出力し、
前記サーバは、
前記入力情報に基づいて前記データベースから前記対象とする属性に関わる統計情報データを抽出する機能と、
前記データベースから前記提供されるサービスに関わる利用実績データを抽出し、抽出した当該利用実績データ及び前記統計情報データに基づいて前記提供されるサービスの利用率及び当該サービスの特徴を算出する機能と、
抽出した前記対象とする属性に関わる統計情報データ及び算出した前記提供されるサービスの利用率並びに当該サービスの特徴に基づいて前記提供されるサービスの適性度を算出する機能と、
前記適性度から前記提供されるサービスをレコメンドする優先順位を算出して当該適性度と共に出力する機能と
を有する処理部と、
前記処理部が前記各機能により算出した各情報を記憶する記憶部と
を備える
ことを特徴とする連携データ分析システム。
【請求項5】
請求項4に記載の連携データ分析システムであって、
前記処理部が有する前記提供されるサービスの適性度を算出する機能は、前記提供されるサービスの利用率及び前記統計情報データに基づいて前記提供されるサービスの利用に関わる属性項目を算出し、算出した前記提供されるサービスの利用に関わる属性項目ごとの各属性値から当該属性項目が前記提供されるサービスの利用に与える影響の分布を算出し、算出した前記提供されるサービスの利用に与える影響の分布と前記対象とする属性における統計情報データの分布との類似度に基づいて、前記提供されるサービスの適性度を算出する機能である
ことを特徴とする連携データ分析システム。
【請求項6】
請求項4に記載の連携データ分析システムであって、
前記処理部が有する前記提供されるサービスの適性度を算出する機能は、前記提供されるサービスの利用率及び前記統計情報データに基づいて前記提供されるサービスの利用に影響を与える属性値を算出し、算出した当該属性値に関する時系列データから前記対象とする属性における特徴を算出し、算出した当該特徴に基づいて、前記提供されるサービスの適性度を算出する機能である
ことを特徴とする連携データ分析システム。
【請求項7】
請求項6に記載の連携データ分析システムであって、
前記対象とする属性における特徴とは、前記時系列データから検出した周期における増加度合いに基づく増加傾向度である
ことを特徴とする連携データ分析システム。
【請求項8】
請求項1または4に記載の連携データ分析システムであって、
前記利用実績データは、前記提供されるサービスを利用した個人を特定できない形態で構成されたデータであり、
前記統計情報データは、住民に関する公共のデータである
ことを特徴とする連携データ分析システム。
【請求項9】
利用者が使用する端末と、データ分析を行うサーバと、提供されるサービスに関わる利用実績データ及び当該利用実績データを構成する属性に関わる統計情報データを格納するデータベースとが相互にネットワークを介して接続され、
前記端末は、対象とするサービスに関わる入力情報を、前記ネットワークを介して前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記入力情報に基づいて前記データベースから前記対象とするサービスに関わる前記利用実績データ及び前記統計情報データを抽出し、
抽出した前記利用実績データ及び前記統計情報データに基づいて前記対象とするサービスの利用率を算出し、
算出した前記利用率及び抽出した前記統計情報データに基づいて前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目を算出し、
前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目ごとの各属性値から当該属性項目が前記対象とするサービスの利用に与える影響の分布を算出し、
前記対象とするサービスの利用に与える影響の分布の中で特異値をとる前記属性値を前記対象とするサービスの利用に影響を与える属性値として算出し、
算出した前記対象とするサービスの利用に影響を与える属性値及び当該属性値を持つ前記属性項目を前記対象とするサービスをレコメンドする候補となる属性情報として出力し、
前記端末は、前記サーバが出力する前記対象とするサービスをレコメンドする候補となる属性情報を、前記ネットワークを介して受信して前記利用者に提示する
ことを特徴とする連携データ分析方法。
【請求項10】
請求項9に記載の連携データ分析方法であって、
前記サーバは、前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目を、前記利用実績データに含まれる利用実績に関わる属性項目の各属性の中で前記対象とするサービスの利用率が高い属性に関して、前記統計情報データに存在する属性項目に関する分布との類似度に基づいて算出する
ことを特徴とする連携データ分析方法。
【請求項11】
請求項9に記載の連携データ分析方法であって、
前記サーバは、前記対象とするサービスの利用に与える影響の分布を、前記対象とするサービスの前記利用率から抽出した当該利用率が高い属性に関して、当該サービスの利用率と、前記統計情報データに存在する、前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目に関する分布と、に基づいて算出する
ことを特徴とする連携データ分析方法。
【請求項12】
利用者が使用する端末と、データ分析を行うサーバと、提供されるサービスに関わる利用実績データ及び当該利用実績データを構成する属性に関わる統計情報データを格納するデータベースとが相互にネットワークを介して接続され、
前記端末は、前記利用者が対象とする前記属性に関わる入力情報を、前記ネットワークを介して前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記入力情報に基づいて前記データベースから前記対象とする属性に関わる統計情報データを抽出し、
前記データベースから前記提供されるサービスに関わる利用実績データを抽出し、
抽出した前記利用実績データ及び前記統計情報データに基づいて前記提供されるサービスの利用率及び当該サービスの特徴を算出し、
抽出した前記対象とする属性に関わる統計情報データ及び算出した前記提供されるサービスの利用率並びに当該サービスの特徴に基づいて前記提供されるサービスの適性度を算出し、
前記適性度から前記提供されるサービスをレコメンドする優先順位を算出して当該適性度と共に出力し、
前記端末は、前記ネットワークを介して受信した前記サーバの出力情報に基づいて前記対象とする属性に対してレコメンドする候補となるサービスを前記利用者に提示する
ことを特徴とする連携データ分析方法。
【請求項13】
請求項12に記載の連携データ分析方法であって、
前記提供されるサービスの適性度については、前記サーバが、前記提供されるサービスの利用率及び前記統計情報データに基づいて前記提供されるサービスの利用に関わる属性項目を算出し、算出した前記提供されるサービスの利用に関わる属性項目ごとの各属性値から当該属性項目が前記提供されるサービスの利用に与える影響の分布を算出し、算出した前記提供されるサービスの利用に与える影響の分布と前記対象とする属性における統計情報データの分布との類似度に基づいて前記提供されるサービスの適性度を算出する
ことを特徴とする連携データ分析方法。
【請求項14】
請求項12に記載の連携データ分析方法であって、
前記提供されるサービスの適性度については、前記サーバが、前記提供されるサービスの利用率及び前記統計情報データに基づいて前記提供されるサービスの利用に影響を与える属性値を算出し、算出した当該属性値に関する時系列データから前記対象とする属性における特徴を算出し、算出した当該特徴に基づいて前記提供されるサービスの適性度を算出する
ことを特徴とする連携データ分析方法。
【請求項15】
請求項14に記載の連携データ分析方法であって、
前記対象とする属性における特徴とは、前記時系列データから検出した周期における増加度合いに基づく増加傾向度である
ことを特徴とする連携データ分析方法。
【請求項16】
請求項9または12に記載の連携データ分析方法であって、
前記利用実績データは、前記提供されるサービスを利用した個人を特定できない形態で構成されたデータであり、
前記統計情報データは、住民に関する公共のデータである
ことを特徴とする連携データ分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織間で連携されたデータを分析するための連携データ分析システム及び連携データ分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地域における効果的な施策実行やサービス創生のために、自治体や民間事業者等、複数組織がそれぞれ持つ多種多様なデータを連携し、活用する動きが活発である。ところが、自治体や民間事業者等の各組織が持つデータに関して、特に、個人の属性や行動履歴等の個人が関わるデータの場合、プライバシーの観点等から組織間で連携することや分析することに難しさがある。
【0003】
そこで、複数のユーザから収集したデータを統計処理し、ユーザの属性や動態を可視化させることで、分析を容易にできる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されたデータ分析システムでは、サービス享受事業者装置からの要求に応じて、サービス基盤事業者装置は、収集したデータを統計処理部が要求に応じた統計処理をし、得られた統計データを基に属性分析データ又は人流分析データを作成して、サービス享受事業者装置へ送信する。この技術によれば、ユーザの膨大な属性情報や動態情報を統計処理することで、可視化を容易にし、分析を支援できるという効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-23851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、自治体や民間事業者等の複数組織間で、各組織が持つ、個人を特定できないように処理された情報を互いに連携し、組み合わせて活用する方法については開示されていない。
【0006】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、複数組織間で連携した、個人を特定できない情報と他の情報とを組み合わせて分析し、活用することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の連携データ分析システムの一つは、利用者が使用する端末と、データ分析を行うサーバと、提供されるサービスに関わる利用実績データ及び当該利用実績データを構成する属性に関わる統計情報データを格納するデータベースとが相互にネットワークを介して接続され、端末は、利用者が対象とするサービスに関わる入力情報をサーバに送信し、サーバの出力として受信した前記対象とするサービスをレコメンドする候補となる属性情報を出力し、サーバは、入力情報に基づいてデータベースから前記対象とするサービスに関わる利用実績データ及び統計情報データを抽出する機能と、抽出した利用実績データ及び統計情報データに基づいて前記対象とするサービスの利用率を算出する機能と、算出した利用率と抽出した統計情報データに基づいて前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目を算出する機能と、前記対象とするサービスの利用に関わる属性項目ごとの各属性値から当該属性項目が前記対象とするサービスの利用に与える影響の分布を算出する機能と、前記対象とするサービスの利用に与える影響の分布の中で特異値をとる属性値を前記対象とするサービスの利用に影響を与える属性値として算出する機能と、算出した前記対象とするサービスの利用に影響を与える属性値及び当該属性値を持つ属性項目を前記対象とするサービスをレコメンドする候補となる属性情報として出力する機能とを有する処理部と、処理部が前記各機能により算出した各情報を記憶する記憶部とを備えるものである。
上記態様により、例えば、各サービスを提供する事業者(サービス提供事業者)から連携された、各サービスを使った個人を特定できない形に適切に加工処理された各サービスの利用実績データと、自治体が持つような、住民の統計データと、を組み合わせて分析することにより、個人の属性のうち利用実績データに含まれていない観点も含めたレコメンドを可能にする分析が実現可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数組織間で、各組織が持つ個人を特定できないように処理された情報と他の情報とを組み合わせた分析を可能にし、活用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る連携データ分析システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明に係る利用者端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施例1に係る分析サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】利用実績データテーブルの内容例を示す図である。
図5】統計情報データテーブル及び人数情報データテーブルの内容例を示す図である。
図6】サービス利用率データテーブルの内容例を示す図である。
図7】属性類似情報データテーブルの内容例を示す図である。
図8】サービス利用特徴情報データテーブルの内容例を示す図である。
図9】サービス利用影響分布データテーブルの内容例を示す図である。
図10】実施例1で、利用者端末が入力情報を受け付け、分析サーバが入力された対象サービスをレコメンドする候補となる属性情報を算出し、利用者端末が出力表示するまでの一連のシーケンスの一例を示す図である。
図11】利用者端末が利用者に提示する、必要な情報やデータの入力受付のための登録画面の構成例を示す図である。
図12】分析サーバが、対象サービスのサービス利用属性の特徴を算出するステップにおける処理フローを示す図である。
図13】分析サーバが、対象サービスにおける「サービスの利用に関わる属性項目」であるか否かを判定するステップにおける処理フローを示す図である。
図14】分析サーバが、対象サービスにおける「サービスの利用に与える影響の分布」と「サービスの利用に影響を与える属性値」を算出するステップにおける処理フローを示すフロー図である。
図15】実施例1で、対象サービスをレコメンドする候補となる属性情報を提示する結果画面の構成例を示す図である。
図16】本発明の実施例2に係る分析サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図17】対象属性統計情報データテーブルの内容例を示す図である。
図18】対象属性時系列情報データテーブルの内容例を示す図である。
図19】サービス適性情報データテーブルの内容例を示す図である。
図20】実施例2で、利用者端末からの入力情報受付から、分析サーバによる対象属性にレコメンドする候補となるサービスの情報の算出、利用者端末への出力表示までの一連のシーケンスの一例を示す図である。
図21】利用者端末が利用者に提示する、必要な情報やデータの入力受付のための登録画面の構成例を示す図である。
図22】対象属性における、選択した候補サービスの合致度を算出するステップの処理フローを示す図である。
図23】対象属性における、選択した候補サービスの増加傾向度を算出するステップの処理フローを示す図である。
図24】実施例2で、対象属性にレコメンドする候補となるサービスに関する情報を提示する結果画面の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態として、実施例1及び2について説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例1及び2に関する記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、以下に説明する本発明の各実施例の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略する場合がある。
【0011】
図面における各構成の位置、大きさ、形状及び範囲等は、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状及び範囲等を表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示した位置、大きさ、形状及び範囲等に限らない。
【0012】
なお、本明細書では、処理部で実行される各種のプログラムまたはその一部を、「部」、「手段」、「機能」等と呼称する場合がある。また、本発明に係る各実施例の構成は、単体のコンピュータで構成されてもよいし、あるいは、入力装置、出力装置、処理装置及び記憶装置の任意の部分が、ネットワークで接続された他のコンピュータで構成されてもよい。
【実施例0013】
実施例1は、利用者が、対象とするサービスをレコメンドする候補となる属性を知りたい場合に、対象とするサービスを利用した個人を特定できない形に適切に加工処理された利用実績データと住民の統計情報データ(例えば、自治体等が提供する公共の統計情報データ)とを用いて、レコメンドする候補となる属性を算出し、算出した属性情報を利用者に提示するための連携データ分析システム及び連携データ分析方法である。
【0014】
ここで、利用者端末の利用主体である利用者は、例えば自治体の職員等で、住民等へのレコメンドを用いて、住民等の活動促進や地域の活性化等、地域における何らかの施策等を実施しようとする者である。
【0015】
実施例1では、地域内のサービスの利用を促すために、該当するサービスをレコメンドする候補となる住民の属性を知る等の目的での利用を想定する。なお、実施例1及び後述する実施例2において、サービスとして示すものは、行政機関での手続き等でもよい。
【0016】
図1は、本発明に係る連携データ分析システム1の全体構成の一例を示すブロック図である。
連携データ分析システム1は、利用者端末101、分析サーバ102及びデータベース(以下、「DB」と略す)サーバ103から構成されるサービスシステムである。DBサーバ103には、利用実績DB104及び統計情報DB105が保管されている。利用者端末101、分析サーバ102及びDBサーバ103は、インターネット等のネットワーク106を介して通信可能に接続されている。また、分析サーバ102とDBサーバ103は、同一の装置で実現してもよいし、分離して実現してもよい。
【0017】
図2は、本発明に係る利用者端末101のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
ここで、利用者端末の利用主体は、あるサービスをレコメンドする候補となる属性を知りたい利用者である。
【0018】
利用者端末101は、一般的なコンピュータにより実現できるものであり、その構成例としては、制御部201、ネットワークインタフェース部202、入力部203及び出力部204を具備する。これら各部は、BUS(バス)205等により接続される。
【0019】
制御部201は、CPU等で構成され、各プログラムを実行する。制御部201は、入力部203からの入力情報を受け付け、出力部204へ出力情報を送出する。なお、各プログラムの機能は、LSI等のハードウェアにより実現してもよい。これは、後述する分析サーバ102の制御部301も、同様の構成である。
【0020】
ネットワークインタフェース部202は、制御部201により転送されたIPパケットを、インターネット等のネットワーク106を介して分析サーバ102に送信し、また、インターネット等のネットワーク106を介して利用者端末101が受信したIPパケットを、制御部201に転送する。このネットワークインタフェース部202は、例えば、ネットワークカード等で構成される。
【0021】
入力部203は、外部からの入力を制御部201に伝えるもので、例えば、キーボードやマウス等で構成される。
出力部204は、制御部201からの情報を外部に出力するもので、例えば、ディスプレイやプリンタ等で構成される。
【0022】
図3は、本発明の実施例1に係る分析サーバ102のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
分析サーバ102は、一般的なサーバ装置により実現できるものであり、その構成の一例として、制御部301、ネットワークインタフェース部302、ウェブサービス提供部303、データアクセス部304、データ登録部305、入力情報登録部306、入力情報記憶部307、サービス利用率算出部308、サービス利用率記憶部309、サービス特徴算出部310、属性類似情報記憶部311、サービス特徴記憶部312及びレコメンド属性算出部313を具備する。これら各部は、BUS(バス)314等により接続される。
【0023】
また、図3に示す各構成要素は、物理的に分離している必要はなく、一つの要素が他を兼ねてもよい。なお、一般的なサーバが備える、入力装置や出力装置については、図3では特に示していない。
制御部301は、CPU等で構成され、以下に記す各プログラムを実行する。
【0024】
ネットワークインタフェース部302は、制御部301により転送されたIPパケットを、インターネット等のネットワーク106を介して利用者端末101に送信し、また、インターネット等のネットワーク106を介して分析サーバ102が受信したIPパケットを、制御部301に転送する。このネットワークインタフェース部302は、例えばネットワークカード等で構成される。
【0025】
ウェブサービス提供部303は、インターネット等のネットワーク106を介して利用者端末101に、ウェブブラウザ上で表示可能なフォーマットで記述されたデータを送信する。
また、ウェブサービス提供部303は、利用者端末101のウェブブラウザ上での操作内容等の情報をインターネット等のネットワーク106を介して受信し、受信した情報を基に、データアクセス部304、データ登録部305、入力情報登録部306、サービス利用率算出部308、サービス特徴算出部310及びレコメンド属性算出部313がそれぞれの処理を実行する。このウェブサービス提供部303は、例えば上記のウェブサービス機能を有するプログラムである。
【0026】
データアクセス部304は、利用者端末101から受信した情報及び後述する入力情報記憶部307に記憶されている情報を基に、DBサーバ103中の利用実績DB104及び統計情報DB105内のデータへのアクセスを実行し、必要な情報を抽出する処理を行う機能を有するプログラムである。
【0027】
データ登録部305は、利用者端末101から受信した情報を基に、DBサーバ103中の利用実績DB104及び統計情報DB105にデータの登録を実行する処理を行う機能を有するプログラムである。
【0028】
入力情報登録部306は、利用者端末101のウェブブラウザ上で入力された、レコメンドする候補となる属性を算出したい対象のサービス(対象サービス)に関わる情報等を、インターネット等のネットワーク106を介して受信し、受信した情報を基に、対象サービスに関わる情報を入力情報記憶部307に登録する機能を持つプログラムである。
【0029】
入力情報記憶部307は、入力情報登録部306によって登録された、対象サービスに関わる情報の一部または全部を記憶するものである。
なお、入力情報記憶部307、後述するサービス利用率記憶部309、属性類似情報記憶部311及びサービス特徴記憶部312は、記憶するデータの大きさやフォーマット等に応じて、それぞれ異なる記憶方式を備えた複数の記憶部により構成してもよい。
また、入力情報記憶部307、後述するサービス利用率記憶部309、属性類似情報記憶部311及びサービス特徴記憶部312、に記憶されているデータと同等のデータの一部または全部は、インターネット等のネットワーク106に接続されたその他の複数のサーバにより提供されてもよい。
【0030】
サービス利用率算出部308は、データアクセス部304がアクセスし、利用実績DB104及び統計情報DB105から抽出した情報を基に、対象サービスの利用率(サービス利用率)を算出し、算出したサービス利用率に関する情報をサービス利用率記憶部309に登録する機能を有するプログラムである。
サービス利用率記憶部309は、サービス利用率算出部308が算出した、対象サービスのサービス利用率に関する情報の一部または全部を記憶するものである。
【0031】
サービス特徴算出部310は、サービス利用率記憶部309及び統計情報DB105の情報を基に、属性同士の類似に関する情報(属性類似情報)を算出し、算出した属性類似情報を属性類似情報記憶部311に登録する機能と、サービス利用率記憶部309及び属性類似情報記憶部311の情報を基に、対象サービスの利用に関わる属性の特徴(サービス利用属性特徴)に関する情報を算出し、算出したサービス利用属性特徴に関する情報をサービス特徴記憶部312に登録する機能とを有するプログラムである。
【0032】
属性類似情報記憶部311は、サービス特徴算出部310が算出した属性類似情報の一部または全部を記憶するものである。
サービス特徴記憶部312は、サービス特徴算出部310が算出した対象サービスのサービス利用属性特徴に関する情報の一部または全部を記憶するものである。
【0033】
レコメンド属性算出部313は、対象サービスをレコメンドする候補となる属性情報を、サービス特徴記憶部312の情報を基に算出し、利用者端末101に送信する機能を有するプログラムである。
【0034】
また、利用者端末101の制御部201および分析サーバ102の制御部301が実行するプログラムやデータの一部または全ては、予めこれら装置を実現するコンピュータ内の図示しない非一時的記憶装置に格納される態様、非一時的記憶媒体から取り込まれる態様、または外部の非一時的記憶装置を備えた情報処理装置からネットワーク経由で取り込まれる態様、の何れであってもよい。
【0035】
次に、図4から図9により、実施例1で使用する各種データテーブルについて説明する。
<利用実績データテーブル401>
【0036】
図4は、利用実績データテーブル401の内容例を示す図である。
利用実績データテーブル401は、DBサーバ103内の利用実績DB104に格納され、Userカラム群402、サービスカラム403及び利用人数カラム404により構成される。なお、1つのデータテーブルに複数のサービスに関する情報を含めてもよいし、サービス毎に異なるデータテーブルでもよい。
【0037】
Userカラム群402は、該当サービスの利用実績に含まれ、該当サービスを利用した人の属性項目のカラムから構成される。例えば、温泉施設Aの利用実績として、「年齢」及び「性別」の2種類の属性項目で利用人数を集計している情報の場合、Userカラム群402は、年齢カラム405及び性別カラム406により構成される。Userカラム群402を構成する各属性項目のカラムには、カラムに対応する属性項目における属性値を一意に特定する情報が記憶される。
【0038】
サービスカラム403には、サービスを一意に特定する情報が記憶される。
利用人数カラム404には、Userカラム群402の各属性項目カラムに記憶されている属性を持ちかつサービスカラム403に記憶されているサービス、を利用した人数が記憶される。
<統計情報データテーブル501及び人数情報データテーブル511>
【0039】
図5は、統計情報データテーブル501及び人数情報データテーブル511の内容例を示す図である。統計情報データテーブル501及び人数情報データテーブル511は、DBサーバ103内の統計情報DB105に格納される。
【0040】
統計情報データテーブル501は、属性カラム群502と503、属性項目カラム504及び属性値カラム群505~508により構成される。
属性カラム群502と503は、統計情報を集計する際に母数となる属性に対応する属性項目のカラムから構成される。例えば、「年齢」と「性別」の各属性値の組合せごとに、属性項目カラム504に関する統計情報を集計したい場合、年齢カラム502と性別カラム503から構成される。
【0041】
属性カラム群502と503を構成する各属性カラムには、各属性カラムに対応する属性項目における属性値を一意に特定する情報が記憶される。
属性項目カラム504には、属性項目を一意に特定する情報が記憶される。
【0042】
属性値カラム群505~508は、属性項目カラム504に記憶されている属性項目における各属性値のカラムから構成される。
例えば、属性項目カラム504に記憶されている属性項目が「住む地域」で、その属性値が「A地域」、「B地域」、「C地域」及び「D地域」の4種類の場合、A地域カラム505、B地域カラム506、C地域カラム507及びD地域カラム508により構成される。
【0043】
属性値カラム群505~508を構成する各属性値カラムは、属性カラム群502と503に記憶されている属性値を持つ人の内で、各属性値カラムに対応する属性値を持つ人の割合が記憶される。
なお、本明細書では、ある1行における、属性値カラム群505~508の値で構成された情報を、該当する行の属性カラム群502と503に記憶されている属性における、属性項目カラム504に記憶されている属性項目の「分布」と呼ぶ場合がある。
【0044】
次に、人数情報データテーブル511は、属性カラム群512と513、総数カラム514により構成される。
属性カラム群512と513は、統計情報を集計する際に母数となる属性に対応する属性項目のカラムから構成される。例えば、「年齢」と「性別」の各属性値の組合せごとに、各属性値を持つ人の総数を集計したい場合、年齢カラム512と性別カラム513から構成される。
総数カラム514には、属性カラム群512と513に記憶されている属性値を持つ人の総人数が記憶される。
<サービス利用率データテーブル601>
【0045】
図6は、サービス利用率データテーブル601の内容例を示す図である。
サービス利用率データテーブル601は、分析サーバ102のサービス利用率記憶部309に格納され、Userカラム群602、サービスカラム603、利用率カラム604及び利用率順位カラム605により構成される。
【0046】
Userカラム群602は、該当サービスの利用実績に含まれ、該当サービスを利用した人の属性項目のカラムから構成される。例えば、温泉施設Aの利用実績が、「年齢」と「性別」の2種類の属性項目で利用人数を集計している情報の場合、Userカラム群602は、年齢カラム606と性別カラム607により構成される。Userカラム群602を構成する各属性項目のカラムは、該当する属性項目における属性値を一意に特定する情報が記憶される。
サービスカラム603には、サービスを一意に特定する情報が記憶される。
【0047】
利用率カラム604には、Userカラム群602の各属性項目カラムに記憶されている属性値を持つ人の内、サービスカラム603に記憶されているサービスを利用した人の割合が記憶される。
利用率順位カラム605は、サービスカラム603に記憶されているサービスごとに、利用率カラム604に記憶されている利用率が高い順に付けられた順位が記憶される。
<属性類似情報データテーブル701>
【0048】
図7は、属性類似情報データテーブル701の内容例を示す図である。
属性類似情報データテーブル701は、分析サーバ102の属性類似情報記憶部311に格納され、Userカラム群702、属性項目カラム703、1位属性との類似度カラム704及び類似度順位カラム705により構成される。
【0049】
Userカラム群702は、対象サービスの利用実績に含まれ、対象サービスを利用した人の属性項目のカラムから構成される。例えば、対象サービスが温泉施設Aであり、温泉施設Aの利用実績が、「年齢」と「性別」の2種類の属性項目で利用人数を集計している情報の場合、Userカラム群702は、年齢カラム706と性別カラム707により構成される。Userカラム群702を構成する各属性項目のカラムは、該当する属性項目における属性値を一意に特定する情報が記憶される。
属性項目カラム703には、属性項目を一意に特定する情報が記憶される。
【0050】
1位属性との類似度カラム704には、属性項目カラム703に記憶されている属性項目に関する分布について、対象サービスに関する利用率順位が1位の属性とUserカラム群702の各属性項目カラムに記憶されている属性との類似度が記憶される。
類似度順位カラム705には、属性項目カラム703に記憶されているサービスごとに、1位属性との類似度カラム704に記憶されている類似度が高い順に付けられた順位が記憶される。
<サービス利用特徴情報データテーブル801>
【0051】
図8は、サービス利用特徴情報データテーブル801の内容例を示す図である。
サービス利用特徴情報データテーブル801は、分析サーバ102のサービス特徴記憶部312に格納され、サービスカラム802、属性項目カラム803及び属性値カラム804により構成される。
サービスカラム802には、サービスを一意に特定する情報が記憶される。
【0052】
属性項目カラム803には、サービスカラム802に記憶されているサービスに対する「サービスの利用に関わる属性項目」が記憶される。
属性値カラム804には、サービスカラム802に記憶されているサービスについて、属性項目カラム803に記憶されている属性項目に対応する「サービスの利用に影響を与える属性値」が記憶される。
<サービス利用影響分布データテーブル901>
【0053】
図9は、サービス利用影響分布データテーブル901の内容例を示す図である。
サービス利用影響分布データテーブル901は、分析サーバ102のサービス特徴記憶部312に格納され、サービスカラム902、属性項目カラム903、属性値カラム904、推定影響度カラム905及び標準偏差カラム906により構成される。
【0054】
サービスカラム902には、サービスを一意に特定する情報が記憶される。
属性項目カラム903には、サービスカラム902に記憶されているサービスに対する「サービスの利用に関わる属性項目」が記憶される。
属性値カラム904には、属性項目カラム903に記憶されている属性項目に対応する属性値を一意に特定する情報が記憶される。
【0055】
推定影響度カラム905には、属性値カラム904に記憶されている属性について、サービスカラム902に記憶されているサービスの利用に与える推定影響度が記憶される。
標準偏差カラム906には、推定影響度カラム905に記憶されている推定影響度を推定する際に算出した標準偏差の値が記憶される。
【0056】
図10は、対象サービスをレコメンドする候補となる属性情報を、利用者に提示するまでの一連のシーケンス1001の一例を示す図である。
図10では、利用者端末101が、利用者からレコメンドする候補となる属性を算出したい対象サービスに関わる入力を受け付け、分析サーバ102が、DBサーバ103内の利用実績DB104及び統計情報DB105内の情報を基に、対象サービスをレコメンドする候補となる属性情報を算出して利用者端末に送信し、利用者端末101が受信した情報を出力して利用者に提示するまでの一連のシーケンス1001の処理フローを示している。
【0057】
なお、分析サーバ102からDBサーバ103へのデータアクセスや、分析サーバ102からDBサーバ103へのデータ登録等、分析サーバ102とDBサーバ103間のやり取りについては、省略している。
【0058】
ステップ1001(s1001)で、利用者端末101は、利用者から、レコメンドする候補となる属性を算出したい対象サービスに関わる入力を受け付け、この入力情報を分析サーバ102に送信する。対象サービスとしては、例えば、「温泉施設A」、「スポーツジムB」、「博物館C」等、が挙げられる。
【0059】
ステップ1002(s1002)で、分析サーバ102は、利用者端末101から対象サービスに関わる入力情報を受信し、受信した入力情報を分析サーバ102の入力情報記憶部307に登録する。
【0060】
ステップ1003(s1003)で、分析サーバ102は、DBサーバ103内の利用実績DB104にアクセスし、入力された対象サービスに関する利用実績のデータが利用実績DB104に存在するかを確かめる。存在する場合(Yes)には、ステップ1007(s1007)に進み、存在しなかった場合(No)には、存在しなかった旨を利用者端末101に送信する。
【0061】
ステップ1004(s1004)で、利用者端末101は、利用実績のデータが存在しない旨の情報を受信すると、対象サービスの利用実績データの入力を促すメッセージを出力する。
【0062】
ステップ1005(s1005)で、利用者端末101は、利用者から対象サービスの利用実績データに関わる入力を受け付けると、この入力情報を分析サーバ102に送信する。
【0063】
ステップ1006(s1006)で、分析サーバ102は、利用者端末101から対象サービスの利用実績データに関わる入力情報を受信し、この受信情報に基づき、対象サービスの利用実績データを利用実績DB104に登録する。
【0064】
ステップ1007(s1007)で、分析サーバ102は、DBサーバ103にアクセスし、対象サービスの利用実績に関わる利用実績データテーブル401(図4)から、該当する利用実績に含まれている属性項目(利用実績属性項目)の情報を、また、統計情報データテーブル501(図5)から、利用実績属性項目の属性(利用実績属性)ごとに統計情報が集計されている属性項目(候補属性項目)の情報を、抽出する。
【0065】
ステップ1008(s1008)で、分析サーバ102は、ステップ1007(s1007)で抽出した利用実績属性項目及び候補属性項目の情報を、利用者端末101に送信する。
【0066】
ステップ1009(s1009)で、利用者端末101は、分析サーバ102から受信した利用実績属性項目及び候補属性項目の情報を出力する。
【0067】
ステップ1010(s1010)で、利用者端末101は、利用者から追加で使用したい統計情報データに関わる情報の入力を受け付けると、この入力情報を分析サーバ102に送信する。
【0068】
ステップ1011(s1011)で、分析サーバ102は、利用者端末101から追加で使用したい統計情報データに関わる入力情報を受信し、この受信情報に基づき、追加で使用したい統計情報データを統計情報DB105に登録する。
【0069】
ここで、利用者端末101の登録画面について説明する。
図11は、利用者端末101が利用者に提示する、必要な情報やデータの入力受付のための登録画面1101の構成例を示す図である。
登録画面1101は、ウェブブラウザ等のウィンドウ上に表示される。この登録画面1101には、対象サービス入力エリア1102、送信ボタン1103、利用実績データ登録エリア1104及び属性項目情報確認エリア1107が配置される。
【0070】
対象サービス入力エリア1102には、利用者が、レコメンドする候補となる属性を算出したい対象サービスの名前等、対象サービスを一意に特定できる情報を入力する。送信ボタン1103が押されると、利用者端末101は、対象サービス入力エリア1102に入力された内容を分析サーバ102に送信する。
【0071】
利用実績データ登録エリア1104は、ステップ1004(s1004)において出力表示される。利用実績データ登録エリア1104には、利用実績データ入力エリア1105及び登録ボタン1106が配置される。
【0072】
利用実績データ登録エリア1104が表示されると、利用者は、利用実績データ入力エリア1105に、対象サービスの利用実績データに関わる情報を入力する。この入力態様としては、データのファイルをアップロードする方法や利用実績データの所在を入力する方法等がある。登録ボタン1106が押されると、利用者端末101は、利用実績データ入力エリア1105に入力された情報を分析サーバ102に送信する。
【0073】
属性項目情報確認エリア1107は、ステップ1009(s1009)において出力表示される。属性項目情報確認エリア1107には、統計情報データ入力エリア1108、登録ボタン1109及び属性項目表示エリア1110が配置される。
属性項目表示エリア1110には、分析サーバ102が送信した利用実績属性項目及び候補属性項目の情報が出力される。
【0074】
属性項目情報確認エリア1107が表示されると、利用者は、属性項目表示エリア1110に表示された、利用実績属性項目及び候補属性項目の情報を確認し、表示された候補属性項目以外に利用したい統計情報がある場合には、統計情報データ入力エリア1108に、利用したい統計情報に関わる情報を入力する。この入力態様としては、データのファイルをアップロードする方法や統計情報データの所在を入力する方法等がある。登録ボタン1109が押されると、利用者端末101は、統計情報データ入力エリア1108に入力された情報を分析サーバ102に送信する。
【0075】
また、図10に戻り、ステップ1011(s1011)以降の処理フローについて説明する。
ステップ1012(s1012)で、分析サーバ102は、利用実績DB104に記憶されている対象サービスの利用実績データテーブル401(図4)及び統計情報DB105に記憶されている人数情報データテーブル511(図5)の情報を基に、対象サービスのサービス利用率を算出する。
【0076】
具体的には、分析サーバ102は、利用実績データテーブル401(図4)の利用人数カラム404の利用人数の値を、人数情報データテーブル511(図5)の属性カラム群512と513に記憶されている属性値が利用実績データテーブル401(図4)における該当行のUserカラム群402に記憶されている属性値と一致する行における総数カラム514に記憶されている人数の値で割ることにより、算出する。算出したサービス利用率の情報は、サービス利用率データテーブル601(図6)として、分析サーバ102のサービス利用率記憶部309に記憶される。
【0077】
なお、利用実績属性項目が複数存在する場合は、すべての利用実績属性項目に注目してもよいし、一部の利用実績属性項目に注目してもよい。また、複数の利用実績属性項目を組み合わせた属性について算出してもよいし、利用実績属性項目ごとに算出してもよい。一部の利用実績属性項目に注目する場合や、利用実績属性項目ごとに算出する場合には、注目する利用実績属性項目の各属性値あるいはそれらの組合せで、利用人数を集計し直してからサービス利用率を算出する。
【0078】
次に、ステップ1013(s1013)で、分析サーバ102は、サービス利用率記憶部309に記憶されているサービス利用率データテーブル601(図6)及び統計情報DB105に記憶されている統計情報データテーブル501(図5)の情報を基に、対象サービスの利用に関わる属性の特徴(サービス利用属性特徴)に関する情報を算出する。
また、処理の途中で算出した属性同士の類似に関する情報(属性類似情報)を属性類似情報記憶部311に登録し、算出したサービス利用属性特徴に関する情報をサービス特徴記憶部312に登録する。
【0079】
ここで、ステップ1013(s1013)の詳細フローについて説明する。
図12は、分析サーバ102が、対象サービスのサービス利用属性の特徴を算出するステップ1013(s1013)における処理フローを示す図である。以下では、分析サーバ102が各ステップの処理主体であるので、主体の記載を省略する。
【0080】
まず、ステップ1201(f1201)では、サービス利用率データテーブル601(図6)において、サービスカラム603に記憶されているサービスが対象サービスと一致する行に関して、利用率カラム604に記憶されているサービス利用率の値が高い順に順位(利用率順位)をつけ、利用率順位カラム605に記憶する。
【0081】
ステップ1202(f1202)では、ステップ1007(s1007)で抽出した候補属性項目の内、ステップ1013(s1013)において未選択の候補属性項目を1つ選択する。
【0082】
ステップ1203(f1203)では、ステップ1202(f1202)で選択した候補属性項目が対象サービスの「サービスの利用に関わる属性項目」であるか否かを判定し、判定結果が、「サービスの利用に関わる属性項目」である(Yes)場合には、サービス特徴記憶部312中のサービス利用特徴情報データテーブル801(図8)に記憶し、ステップ1204(f1204)へ進み、そうでない(No)場合には、ステップ1207(f1207)に進む。
【0083】
更に、ステップ1203(f1203)の詳細フローについて説明する。
図13は、ステップ1203(s1203)の詳細フローとして、分析サーバ102が、対象サービスにおける「サービスの利用に関わる属性項目」であるか否かを判定するステップにおける処理フローを示す図である。以下では、分析サーバ102が各ステップの処理主体であるので、主体の記載を省略する。
【0084】
ステップ1301(f1301)では、DBサーバ103にアクセスし、統計情報DB105から、統計情報データテーブル501(図5)において、選択した候補属性項目につきサービス利用率を算出した各利用実績属性に対して集計された情報を抽出する。
例えば、選択した候補属性項目が「住む地域」で、対象サービスの利用実績属性項目が「年齢」と「性別」であった場合、統計情報データテーブル501中の属性カラム群502と503が「年齢」カラムと「性別」カラムで構成され、属性項目カラム504が「住む地域」と一致する行の情報を抽出する。
【0085】
ステップ1302(f1302)では、ステップ1201(f1201)で算出し、サービス利用率データテーブル601(図6)の利用率順位カラム605に記憶されている利用率順位が1位である行におけるUserカラム群602に記憶されている属性値を、利用率1位属性として抽出する。
【0086】
ステップ1303(f1303)では、選択した候補属性項目の分布について、利用率1位属性とその他の各利用実績属性との類似度を算出し、算出した値を、属性類似情報記憶部311中の属性類似情報データテーブル701(図7)における1位属性との類似度カラム704に記憶する。
【0087】
具体的には、ステップ1301(f1301)で抽出した統計情報データテーブル501(図5)について、属性カラム群502と503に記憶されている属性値がステップ1302(f1302)で抽出した利用率1位属性と一致する行における、属性値カラム群505~508の値で構成されるベクトル(分布ベクトル)と、ステップ1301(f1301)で抽出した統計情報データテーブル501中の各行における分布ベクトルの類似度を算出する。
【0088】
例えば、利用率1位属性について、「年齢」が「30-39」かつ「性別」が「男性」であったとする。統計情報データテーブル501(図5)を見ると、候補属性項目「住む地域」に関して、属性値カラム群505~508は、A地域カラム505、B地域カラム506、C地域カラム507及びD地域カラム508で構成されている。利用率1位属性(「年齢」が「30-39」かつ「性別」が「男性」)の分布ベクトルは、A地域カラム505、B地域カラム506、C地域カラム507及びD地域カラム508の各値で構成されるベクトルである(0.26,0.2,0.45,0.09)となる。「住む地域」の分布について、利用率1位属性と他の利用実績属性、例えば「年齢」が「30-39」かつ「性別」が「女性」の属性との類似度を算出する際は、利用率1位属性の分布ベクトル(0.26,0.2,0.45,0.09)と、「年齢」が「30-39」かつ「性別」が「女性」の属性の分布ベクトル(0.23,0.18,0.42,0.17)との類似度を算出する。ここで、類似度としては、例えばコサイン類似度等が想定される。
【0089】
ステップ1304(f1304)では、属性類似情報データテーブル701(図7)における1位属性との類似度カラム704に記憶されている、利用率1位属性との類似度の値が高い順に順位(類似度順位)をつけ、類似度順位カラム705に記憶する。なお、利用率1位属性に対応する行(図7では、「年齢」が「30-39」かつ「性別」が「男性」である行)の類似度順位が1位となる。
【0090】
ステップ1305(f1305)では、利用率順位が上位N位の利用実績属性と類似度順位が上位N位の利用実績属性との一致度、及び、利用率順位が下位N位の利用実績属性と類似度順位が下位N位の利用実績属性との一致度を算出し、上位N位の利用実績属性の一致度と下位N位の利用実績属性の一致度との平均を算出する。
【0091】
具体的には、まず、サービス利用率データテーブル601(図6)における利用率順位カラム605の値が上位1位~N位である行の、Userカラム群602に記憶されている利用実績属性を抽出する。抽出したN種類の利用実績属性と、属性類似情報データテーブル701(図7)における類似度順位カラム705の値が上位1位~N位である行に相当する、Userカラム群702に記憶されている利用実績属性とを比較し、N種類の内一致している割合を算出する。
【0092】
同様に、下位1位~N位の利用実績属性についても、サービス利用率データテーブル601(図6)の利用率順位カラム605の値が下位1位~N位である利用実績属性と、属性類似情報データテーブル701(図7)の類似度順位カラム705の値が下位1位~N位である利用実績属性とを比較することで、N種類の内一致している割合を算出する。
ここで、Nについては、利用者が設定してもよいし、利用実績属性の種類数に応じて決められた値としてもよい。
【0093】
ステップ1306(f1306)では、ステップ1305(f1305)で算出した一致度が閾値より高いか否かを判定し、閾値より高ければ「Yes」、そうでなければ「No」とする。ここで、この閾値は、利用者が設定してもよいし、利用実績属性の種類数に応じて決められた値としてもよい。
【0094】
次に、図12に戻り、ステップ1204(f1204)では、ステップ1203(f1203)で「Yes」と判定された場合に、該当の候補属性項目の各属性値に関して、対象サービスの利用に与える推定影響度を、「サービスの利用に与える影響の分布」として算出し、この算出結果を、サービス特徴記憶部312のサービス利用影響分布データテーブル901(図9)の推定影響度カラム905に記憶する。
【0095】
具体的には、候補属性項目の各属性値について、統計情報データテーブル501(図5)におけるUserカラム群502と503の各カラムに記憶されている属性値が、サービス利用率データテーブル601(図6)における利用率順位カラム605の値が1位~N位である行のUserカラム群602に記憶されている利用実績属性と一致する行にあって、該当する属性値カラム505~508に記憶されている値を、サービス利用率データテーブル601(図6)における各利用実績属性に対応する行の利用率カラム604に記憶されている利用率の値で重みづけして平均をとる。
【0096】
なお、住民全体について候補属性項目の各属性値を持つ人数に偏りがある場合、その偏りを考慮してもよい。例えば、候補属性項目の各属性値について上述の方法で算出した値に対して、さらに、住民全体における該当の属性値を持つ人の割合との比や差分をとる、あるいは、各属性における候補属性項目の分布(該当する属性値カラム505~508に記憶されている値)と住民全体における該当の候補属性項目との差分を各利用率の値で重みづけして平均をとる、等がある。
また、その際に、この重みづけ平均を算出したときの標準偏差を算出し、その標準偏差をサービス利用影響分布データテーブル901(図9)の標準偏差カラム906に記憶してもよい。
【0097】
ステップ1205(f1205)では、ステップ1204(f1204)で算出した「サービスの利用に与える影響の分布」を基に、候補属性項目の各属性値の推定影響度が特異値であるか否かを判定する。判定結果が、特異値である場合(Yes)は、ステップ1206(f1206)へ進み、そうでない場合(NO)は、ステップ1207(f1207)へ進む。
【0098】
ステップ1206(f1206)では、該当する属性値を「サービスの利用に影響を与える属性値」として算出し、サービス特徴記憶部312のサービス利用特徴情報データテーブル801(図8)の属性値カラム804に記憶する。特異値であるか否かを判定する方法としては、例えば、各属性値の推定影響度の値、あるいは推定影響度から標準偏差を引いた値が、該当の候補属性項目の属性値の種類数の逆数より大きいか否かを判定する、等がある。
【0099】
ステップ1207(f1207)では、ステップ1007(s1007)で抽出したすべての候補属性項目について選択したかを判定し、「Yes」であればステップ1208(f1208)に進み、「No」であればステップ1202(f1202)に戻る。
【0100】
ステップ1208(f1208)では、各利用実績属性項目に関して、「サービスの利用に与える影響の分布」と「サービスの利用に影響を与える属性値」を算出する。
【0101】
ここで、ステップ1208(f1208)の詳細フローについて説明する。
図14は、ステップ1208(s1208)の詳細フローとして、分析サーバ102が、対象サービスにおける「サービスの利用に与える影響の分布」と「サービスの利用に影響を与える属性値」を算出するステップにおける処理フローを示す図である。以下では、分析サーバ102が各ステップの処理主体であるので、主体の記載を省略する。
【0102】
ステップ1401(f1401)では、利用実績属性項目が複数存在する場合、利用実績属性項目の内、ステップ1208(f1208)で未選択のものを1つ選択する。
【0103】
ステップ1402(f1402)では、サービス特徴記憶部312のサービス利用特徴情報データテーブル801(図8)に記憶する。
【0104】
ステップ1403(f1403)では、選択した利用実績属性項目のみで集計されたサービス利用率を算出する。具体的には、ステップ1012(s1012)と同様に、利用実績DB104における対象サービスの利用実績データテーブル401(図4)及び統計情報DB105における人数情報データテーブル511(図5)の情報を基に、対象サービスのサービス利用率を算出する。
【0105】
このとき、利用実績データテーブル401及び人数情報データテーブル511は、選択した利用実績属性項目のみで集計し直したものを使用する。例えば、利用実績属性項目が「年齢」と「性別」であり、ステップ1401(f1401)で「年齢」を選択した場合、この「年齢」の各属性値に対して、「性別」に関するすべての属性値における利用人数または総人数の値を足し直すことで、集計し直す。
【0106】
ステップ1404(f1404)では、ステップ1403(f1403)で算出したサービス利用率の値を基に、選択した利用実績属性項目の各属性値における推定影響度として、「サービスの利用に与える影響の分布」を算出し、この算出結果を、サービス特徴記憶部312のサービス利用影響分布データテーブル901(図9)に記憶する。
具体的に、選択した利用実績属性項目のある属性値における推定影響度は、選択した利用実績属性項目の該当する属性値におけるサービス利用率の値を、選択した利用実績属性項目のすべての属性値におけるサービス利用率の値を足し合わせたもので割ることで算出される。
【0107】
ステップ1405(f1405)では、ステップ1205(f1205)及びステップ1206(f1206)と同様に、ステップ1404(f1404)で算出した「サービスの利用に与える影響の分布」を基に、該当する利用実績属性項目の各属性値の推定影響度が特異値であるか否かを判定し、判定結果が、特異値である場合(YES)は、ステップ1406(f1406)に進み、そうでない場合(No)は、ステップ1401(f1401)に戻る。
【0108】
ステップ1406(f1406)では、特異値をとる属性値を「サービスの利用に影響を与える属性値」として算出して、サービス特徴記憶部312のサービス利用特徴情報データテーブル801(図8)に記憶する。
【0109】
最後に、ステップ1407(f1407)では、すべての利用実績属性項目について選択したか判定し、「Yes」であれば終了し、「No」であればステップ1401(f1401)に戻る。
【0110】
再び、図10の処理フローに戻り、ステップ1014(s1014)以降の処理フローについて説明する。
ステップ1014(s1014)で、分析サーバ102は、サービス特徴記憶部312に格納されているサービス利用特徴情報データテーブル801(図8)の内容を基に、対象サービスに対応する行の属性項目カラム803の値(サービスの利用に関わる属性項目)及び属性値カラム804の値(サービスの利用に影響を与える属性値)を、レコメンドする候補となる属性情報として抽出する。
【0111】
なお、ステップ1012(s1012)及びステップ1013(s1013)の処理を、利用実績DB104の中に利用実績データテーブル401(図4)が存在するすべてのサービスに対して定期的に実施し、その結果をサービス特徴記憶部312のサービス利用特徴情報データテーブル801(図8)に記憶して更新する。これにより、ステップ1010(s1010)にて利用者が追加で使用したい統計情報がない場合には、ステップ1012(s1012)及びステップ1013(s1013)を省略し、定期的に更新されるサービス利用特徴情報データテーブル801の内容を基に、ステップ1014(s1014)を実施することも可能である。
【0112】
ステップ1015(s1015)で、分析サーバ102は、ステップ1014(s1014)で抽出した、レコメンドする候補となる属性情報を利用者端末101に送信する。
【0113】
最後に、ステップ1016(s1016)で、利用者端末101は、分析サーバ102から受信したレコメンドする候補となる属性情報を出力し、利用者端末101の利用者に提示する。
【0114】
次に、利用者端末101の結果画面について説明する。
図15は、実施例1で、対象サービスをレコメンドする候補となる属性情報を提示する結果画面1501の構成例を示す図である。
結果画面1501は、ウェブブラウザ等のウィンドウ上に表示され、対象サービス表示エリア1502とレコメンド属性確認エリア1503が配置される。
【0115】
対象サービス表示エリア1502には、利用者がステップ1001(s1001)で入力した対象サービスの情報が表示される。
レコメンド属性確認エリア1503には、利用者端末101が、分析サーバ102から受信したレコメンドする候補となる属性情報が表示される。レコメンドする候補となる各属性について、推定影響度の値と、対応する属性項目における属性値の数及び他の属性値を、利用者に提示する。
【0116】
実施例1は、自治体が持つ住民の統計データと、サービス提供事業者が持つサービスを利用した個人を特定できない形の利用実績データとを組み合わせて分析することで、利用実績に含まれていない属性情報以外にも、対象のサービスをレコメンドする候補となる属性情報を示すことができる。
【0117】
また、住民ごとに利用したサービスを把握しなくても、地域における効果的な施策に役立てる効果がある。さらに、この分析結果を、例えばサービス提供事業者にフィードバックすることで、サービス提供事業者は、自身が提供するサービスに対する改善策や新たな工夫等を検討することができる。
【実施例0118】
実施例2は、利用者が、対象とする属性に対してレコメンドする候補となるサービスを知りたい場合に、レコメンドする候補となるサービス(候補サービス)の利用実績と住民の統計情報とを用いて、レコメンドする候補となるサービスを算出し、算出したレコメンドする候補となるサービスの情報を利用者に提示するための連携データ分析システム及び連携データ分析方法である。
なお、以下の実施例2についての説明では、実施例1と共通する部分について記述を省略し、異なる部分のみを記述する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、逐一記述しない。
【0119】
利用者端末の利用主体である利用者は、実施例1と同様に、例えば、自治体の職員等、住民等へのレコメンドを用いて住民の活動促進や地域の活性化等、地域における何らかの施策等を実施しようとする者である。
【0120】
実施例2では、施策の目的に即し、ある属性を持つ住民に対して地域内の活動を促進するために、該当の属性に対してレコメンドする候補となるサービスを知る等の目的での利用を想定する。
【0121】
図16は、本発明の実施例2に係る分析サーバ102のハードウェア構成例を示すブロック図である。
分析サーバ102は、一般的なサーバ装置により実現できるものであり、図3で示した実施例1の構成要素である、制御部301、ネットワークインタフェース部302、ウェブサービス提供部303、データアクセス部304、データ登録部305、入力情報登録部306、入力情報記憶部307、サービス利用率算出部308、サービス利用率記憶部309、サービス特徴算出部310、属性類似情報記憶部311及びサービス特徴記憶部312に加えて、対象属性情報記憶部1601、サービス適性情報算出部1602、サービス適性情報記憶部1603及びレコメンドサービス算出部1604を具備する。また各部は、BUS(バス)314等により接続される。
【0122】
対象属性情報記憶部1601は、利用者端末101から受信した情報及び入力情報記憶部307に記憶されている情報を基に、データアクセス部304が、DBサーバ103の統計情報DB105から抽出した対象属性に関する統計情報の一部または全部を記憶するものである。
【0123】
なお、対象属性情報記憶部1601及び後述するサービス適性情報記憶部1603は、記憶するデータの大きさやフォーマット等に応じて、それぞれ異なる記憶方式を備えた複数の記憶部により構成されてもよい。
【0124】
また、対象属性情報記憶部1601及び後述するサービス適性情報記憶部1603に記憶されているデータと同等のデータの一部または全部は、インターネット等のネットワーク106に接続されたその他の複数のサーバにより提供されてもよい。
【0125】
サービス適性情報算出部1602は、サービス特徴記憶部312及び対象属性情報記憶部1601の情報を基に、対象属性における各サービスの適性(サービス適性情報)を算出し、サービス適性情報をサービス適性情報記憶部1603に登録する機能を有するプログラムである。
【0126】
サービス適性情報記憶部1603は、サービス適性情報算出部1602が算出した、サービス適性情報に関する情報の一部または全部を記憶するものである。
【0127】
レコメンドサービス算出部1604は、対象属性にレコメンドする候補となるサービスを、サービス適性情報記憶部1603の情報を基に算出し、利用者端末101に送信する機能を有するプログラムである。
【0128】
次に、図17から図19により、実施例21で使用する各種データテーブルについて説明する。
<対象属性統計情報データテーブル1701>
【0129】
図17は、対象属性統計情報データテーブル1701の内容例を示す図である。
対象属性統計情報データテーブル1701は、分析サーバ102の対象属性情報記憶部1601に格納され、対象属性カラム群1702、属性項目カラム1703、属性値カラム1704及び割合カラム1705により構成される。
対象属性カラム群1702は、利用者端末101から受信した対象属性における各属性項目のカラムから構成される。
【0130】
例えば、対象属性が、「年齢」が「40-49」かつ「15歳未満の子の有無」が「有」の場合には、対象属性カラム群1702は、年齢カラム1706と15歳未満の子の有無カラム1707の2種類の属性項目カラムにより構成される。対象属性カラム群1702を構成する各属性項目のカラムは、利用者端末101から受信した対象属性の情報に基づいて、属性項目カラムに対応する属性項目における属性値を一意に特定する情報が記憶される。
【0131】
属性項目カラム1703には、属性項目を一意に特定することが可能な情報が記憶される。
属性値カラム1704には、属性値を一意に特定することが可能な情報が記憶される。
割合カラム1705には、対象属性の内、属性項目カラム1703に記憶されている属性項目について、属性値カラム1704に記憶されている属性値を持つ人の割合に関する情報が記憶される。
<対象属性時系列情報データテーブル1801>
【0132】
図18は、対象属性時系列情報データテーブル1801の内容例を示す図である。
対象属性時系列情報データテーブル1801は、分析サーバ102の対象属性情報記憶部1601に格納され、対象属性カラム群1802、属性項目カラム1803、属性値カラム1804及び時系列データカラム群1805により構成される。
対象属性カラム群1802は、対象属性統計情報データテーブル1701(図17)の対象属性カラム群1702と同様に、利用者端末101から受信した対象属性における各属性項目のカラムから構成される。各属性項目のカラムは、カラムに対応する属性項目における属性値を一意に特定する情報が記憶される。
【0133】
属性項目カラム1803と属性値カラム1804はそれぞれ、対象属性統計情報データテーブル1701中の属性項目カラム1703と属性値カラム1704と同様に、属性項目を一意に特定する情報と属性値を一意に特定する情報が記憶される。
【0134】
時系列データカラム群1805は、過去の時系列カラムから構成され、各時系列カラムには、該当する時点において、対象属性の内、属性項目カラム1803に記憶されている属性項目について、属性値カラム1804に記憶されている属性値を持つ人の人数が記憶される。例えば、2021/11時点を示すカラム1806には、2021年11月時点で該当の条件を満たす人の人数が記憶される。
<サービス適性情報データテーブル1901>
【0135】
図19は、サービス適性情報データテーブル1901の内容例を示す図である。
サービス適性情報データテーブル1901は、分析サーバ102のサービス適性情報記憶部1603に格納され、サービスカラム1902、合致度カラム1903、増加傾向度カラム1904、適性度カラム1905及びレコメンド優先順位カラム1906により構成される。
【0136】
サービスカラム1902は、サービスを一意に特定する情報が記憶される。
合致度カラム1903には、サービスカラム1902に記憶されているサービスについて、対象属性における合致度の値が記憶される。
【0137】
増加傾向度カラム1904には、サービスカラム1902に記憶されているサービスについて、対象属性における増加傾向度の値が記憶される。
【0138】
適性度カラム1905は、サービスカラム1902に記憶されているサービスについて、対象属性における適性度の値が記憶される。
【0139】
レコメンド優先順位カラム1906は、サービスカラム1902に記憶されているサービスについて、対象属性に対してレコメンドする優先順位の値が記憶される。
【0140】
図20は、実施例2で、利用者端末101からの入力情報受付から、分析サーバ102による対象属性にレコメンドする候補となるサービスの情報の算出、利用者端末への出力表示までの一連のシーケンス2001の一例を示す図である。なお、実施例1の説明と同様に、分析サーバ102とDBサーバ103間のやり取りは、省略している。
ステップ2001(s2001)で、利用者端末101は、利用者からレコメンドする候補となるサービスを算出したい対象属性に関わる情報の入力を受け付け、入力情報を分析サーバ102に送信する。
【0141】
ステップ2002(s2002)で、分析サーバ102は、利用者端末101から対象属性に関わる入力情報を受信し、受信した情報を分析サーバ102の入力情報記憶部307に登録する。
【0142】
ステップ2003(s2003)で、分析サーバ102は、データアクセス部304によりDBサーバ103の利用実績DB104にアクセスし、利用実績データテーブル401(図4)が存在するサービスに関する情報を抽出し、抽出したサービスに関する情報を利用者端末101に送信する。なお、図20では、サービスに関する情報をサービス情報として略記する。
【0143】
ステップ2004(s2004)で、利用者端末101は、分析サーバ102から送信された情報を受信し、受信したサービスに関する情報(サービス情報)を出力する。
【0144】
ステップ2005(s2005)で、利用者端末101は、利用者から、レコメンドする候補対象とするサービス(以下、候補対象サービスという)の選択に関わる入力を受け付け、この入力情報を分析サーバ102に送信する。
【0145】
ステップ2006(s2006)で、分析サーバ102は、利用者端末101から候補対象サービスに関わる入力情報を受信し、受信した情報を分析サーバ102の入力情報記憶部307に登録する。
【0146】
ここで、利用者端末101の登録画面について説明する。
図21は、利用者端末101が利用者に提示する、対象属性に関わる必要な情報やデータの入力受付のための登録画面2101の構成例を示す図である。
登録画面2101は、ウェブブラウザ等のウィンドウ上に表示され、対象属性入力エリア2102、送信ボタン2105及び候補対象サービス選択エリア2106が配置される。
【0147】
対象属性入力エリア2102には、対象属性項目入力エリア2103及びその対象属性項目の対象属性値入力エリア2104が配置される。利用者は、対象属性の属性項目及び属性値をそれぞれ、対象属性項目入力エリア2103及び対象属性値入力エリア2104に入力し、送信ボタン2105を押下する。このとき、対象属性が、「年齢」が「40-49」かつ「15歳未満の子の有無」が「有」等、対象属性の属性項目が1つでない場合に対応して、複数の属性項目を入力することも可能である。送信ボタン2105の押下を受け付けた利用者端末101は、対象属性入力エリア2102に入力された対象属性の情報を分析サーバ102に送信する。
【0148】
候補対象サービス選択エリア2106には、候補対象サービス表示エリア2107、チェックボックス2108及び送信ボタン2109が配置される。ステップ2004(s2004)で候補対象サービス選択エリア2106が表示されると、利用者は、ステップ2003(s2003)で分析サーバ102から送信され、候補対象サービス表示エリア2107に表示されるサービスの情報を確認し、例えば候補対象サービスとするサービスのチェックボックス2108にチェックを入れて、候補対象サービスを選択する。候補対象サービスの選択後、送信ボタン2109の押下を受け付けた利用者端末101は、候補対象サービス選択エリア2106に入力された情報を分析サーバ102に送信する。
【0149】
また、図20に示すシーケンスに戻り、ステップ2007(s2007)以降の処理フローについて説明する。
ステップ2007(s2007)で、分析サーバ102は、データアクセス部304によりDBサーバ103の統計情報DB105にアクセスし、統計情報データテーブル501及び人数情報データテーブル511(図5)から対象属性に関わる情報を抽出し、対象属性情報記憶部1601中の対象属性統計情報データテーブル1701(図17)及び対象属性時系列情報データテーブル1801(図18)に記憶する。
【0150】
ステップ2008(s2008)で、分析サーバ102は、ステップ2006(s2006)で入力情報記憶部307に記憶されている候補対象サービスの中から未選択の候補対象サービスを1つ選択する。
【0151】
ステップ2009(s2009)で、分析サーバ102は、データアクセス部304によりDBサーバ103の利用実績DB104にアクセスし、選択した候補対象サービスに関わる利用実績の情報を抽出する。
【0152】
ステップ2010(s2010)及びステップ2011(s2011)では、分析サーバ102は、選択した候補対象サービスについて、先の実施例1で説明した、ステップ1012(s1012)のサービスの利用率の算出処理及びステップ1013(s1013)のサービスの特徴の算出処理を実施する。
【0153】
なお、実施例1と同様に、ステップ2010(s2010)とステップ2011(s2011)の処理を、利用実績DB104の利用実績データテーブル401(図4)が存在するすべてのサービスに対して定期的に実施し、その結果をサービス特徴記憶部312のサービス利用特徴情報データテーブル801(図8)に記憶し更新する。これにより、ステップ2010(s2010)とステップ2011(s2011)を省略し、定期的に更新されるサービス利用特徴情報データテーブル801の内容を基に、以降のステップを実施してもよい。
【0154】
ステップ2012(s2012)で、分析サーバ102は、対象属性情報記憶部1601とサービス特徴記憶部312の情報を基に、選択した候補対象サービスについて、対象属性に対する適性に関わる情報(適性情報)を算出する。
【0155】
ステップ2012(s2012)を実施する方法として、2つの分析手法(分析1及び分析2)について説明する。
先ず、分析1の手法は、対象属性における候補属性項目の分布と、選択している候補対象サービスの「サービスの利用に与える影響の分布」との類似度の観点から、対象属性における、選択した候補対象サービスの合致度を、適性情報として算出する。
【0156】
図22は、この分析1として、対象属性における、選択した候補対象サービスの合致度を算出するステップの処理フローを示す図である。以下では、分析サーバ102が各ステップの処理主体であるので、主体の記載を省略する。
ステップ2201(f2201)では、サービス特徴記憶部312に記憶されているサービス利用特徴情報データテーブル801(図8)から、選択している候補対象サービスの「サービスの利用に関わる属性項目」(属性項目カラム803)を抽出し、その中からこの処理フローにおいて未選択のものを1つ選択する。
【0157】
ステップ2202(f2202)では、ステップ2201(f2201)で選択した「サービスの利用に関わる属性項目」について、対象属性情報記憶部1601の対象属性統計情報データテーブル1701(図17)の情報及びサービス特徴記憶部312のサービス利用影響分布データテーブル901(図9)の情報を基に、対象属性における統計情報データの分布と「サービスの利用に与える影響の分布」との類似度を算出し、サービス適性情報記憶部1603に記憶する。
【0158】
例えば、「サービスの利用に関わる属性項目」が「住む地域」で、対応する属性値が「A地域」、「B地域」、「C地域」及び「D地域」の4種類のとき、図17に示す対象属性統計情報データテーブル1701によると、対象属性(図17に示す対象属性カラム群1702の、年齢カラム1706が「40-49」かつ15歳未満の子の有無カラム1707」が「有」の場合)における統計情報データの分布は、(0.36,0.19,0.38,0.07)と表現され、一方で、図9に示すサービス利用影響分布データテーブル901によると、「サービスの利用に与える影響の分布」は、(0.21,0.18,0.42,0.19)と表現される。そこで、実施例1のステップ1303(f1303)と同様に、この2つのベクトルの類似度を算出する。
【0159】
ステップ2203(f2203)では、選択した候補対象サービスにおける、すべての「サービスの利用に関わる属性項目」について選択したか否かを判定し、「Yes」であれば、ステップ2204(f2204)に進み、「No」であれば、ステップ2201(f2201)に戻る。
【0160】
ステップ2204(f2204)では、対象属性における、選択した候補対象サービスの合致度を算出し、サービス適性情報記憶部1603に記憶する。具体的には、ステップ2202(f2202)で算出した、選択した候補対象サービスにおけるすべての「サービスの利用に関わる属性項目」における類似度の平均値を、選択した候補対象サービスの合致度として算出する。
以上の分析1によれば、利用者が、対象属性として選択した属性項目以外の属性項目の観点も踏まえて、対象属性における各サービスの適性を算出できる。
【0161】
次に、分析2の手法は、対象属性における、選択した候補対象サービスの「サービスの利用に影響を与える属性値」を持つ人数の増加傾向の観点から、対象属性における、選択した候補対象サービスの増加傾向度を、適性情報として算出する。
図23は、この分析2として、対象属性における、選択した候補対象サービスの増加傾向度を算出するステップの処理フローを示す図である。以下では、分析サーバ102が各ステップの処理主体であるので、主体の記載を省略する。
【0162】
ステップ2301(f2301)では、サービス特徴記憶部312に記憶されているサービス利用特徴情報データテーブル801(図8)から、選択している候補対象サービスの「サービスの利用に影響を与える属性値」(属性値カラム804)を抽出し、その中からこの処理フローにおいて未選択のものを1つ選択する。
【0163】
ステップ2302(f2302)では、対象属性情報記憶部1601に記憶されている対象属性時系列情報データテーブル1801(図18)から、対象属性における、ステップ2301(f2301)で選択した「サービスの利用に影響を与える属性値」に関する時系列データを抽出する。
【0164】
ステップ2303(f2303)では、ステップ2302(f2302)で抽出した時系列データについて、周期を検出できるか検証する。周期を検出する方法としては、例えば自己相関関数を利用する方法等がある。周期が検出できれば(Yes)、ステップ2304(f2304)に進み、周期を検出できなければ(No)、ステップ2305(f2305)に進む。
【0165】
ステップ2304(f2304)では、検出した周期だけ現在から遡った時期の変化傾向を基に、増加周期度を算出する。具体的には、時系列データにおける時系列の刻み(刻み単位)が「月」だった場合、検出した周期だけ現在から遡った時期(n月)の変化傾向を算出する方法がある。例えば、階差を利用し、n月の1か月後の月((n+1)月)の人数からn月の人数を引いた差分と、n月の2か月後の月((n+2)月)の人数から(n+1)月の人数を引いた差分とをとり、両者が正であれば、周期的な増加傾向時期と考えて増加周期度を1とし、どちらか一方が負であれば、増加周期度を0としてもよい。また、ピーク時期を検出し、現在が最大ピークに近づいている時期であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて増加周期度を算出してもよい。
【0166】
ステップ2305(f2305)では、周期を検出できない場合として、増加周期度を0とする。
【0167】
ステップ2306(f2306)では、直近の期間における、刻み単位ごとの増加人数の平均値を基に、直近増加度を算出する。ここで、直近増加度は、増加人数の平均値が正である場合には、一番最近の該当する属性値を持つ人の人数に対する平均値の割合となり、増加人数の平均値が負である場合には、0となる。例えば、刻み単位が「月」である場合、直近mか月について各月ごとに増加人数を算出し、算出値の平均値をとる。その際、平均値を算出する直近の期間(mか月)は、あらかじめ固定で設定してもよいし、利用者が設定してもよい。
【0168】
ステップ2307(f2307)では、ステップ2304(f2304)またはステップ2305(f2305)で算出した増加周期度と、ステップ2306(f2306)で算出した直近増加度との平均値を算出し、選択した「サービスの利用に影響を与える属性値」の増加傾向度とする。
【0169】
ステップ2308(f2308)では、該当の候補対象サービスにおいて、すべての「サービスの利用に影響を与える属性値」について選択したか否かを判定し、「Yes」であれば、ステップ2309(f2309)に進み、「No」であれば、ステップ2301(f2301)に戻る。
【0170】
ステップ2309(f2309)では、対象属性における、選択した候補対象サービスの増加傾向度を算出し、サービス適性情報記憶部1603に記憶する。具体的には、選択した候補対象サービスにおいて、ステップ2307(f2307)で算出した、すべての「サービスの利用に影響を与える属性値」における増加傾向度の平均値を、該当の候補対象サービスの増加傾向度として算出する。
以上の分析2によれば、対象属性の時系列の特徴を踏まえて、対象属性における各サービスの適性を算出できる。
【0171】
以上のように、ステップ2012(s2012)を実現する方法として、上述した分析1または分析2のどちらかを用いてもよい、あるいは、両者の組合せでもよい。また、サービス利用率データテーブル601(図6)を利用し、各候補対象サービスにおける、対象属性のうちUserカラム群に含まれている属性の利用率を、対象属性における各サービスの適性に関わる情報として用いる方法、あるいは、その方法と、分析1または分析2を組み合わせてもよい。ステップ2012(s2012)を実現する選択した分析手法に基づいて得られた適性の値、すなわち、分析1を選択すれば合致度の値、分析2を選択すれば増加傾向度の値、から適性度の値を決定する。
【0172】
再び、図20に示すシーケンスに戻り、ステップ2013(s2013)以降の処理フローについて説明する。
ステップ2013(s2013)で、分析サーバ102は、すべての候補対象サービスについて選択したか否かを判定し、「Yes」であればステップ2014(s2014)に進み、「No」であればステップ2008(s2008)に戻る。
【0173】
ステップ2014(s2014)で、分析サーバ102は、すべての候補対象サービスについて、サービスの適性情報を算出した後、サービス適性情報データテーブル1901(図19)の内容を基に、各候補対象サービスにレコメンド優先順位をつける。
【0174】
ステップ2015(s2015)で、分析サーバ102は、各候補対象サービスについて算出した、適性度の値及びレコメンド優先順位の情報(図20では、サービス情報と略記する)を、利用者端末101に送信する。
【0175】
ステップ2016(s2016)で、利用者端末101は、分析サーバ102から各候補対象サービスの情報を受信し、この情報から、適性度の値がとる範囲として適性度の最小値及び最大値を出力し、利用者から適性度の閾値の入力を受け付ける。
【0176】
ステップ2017(s2017)で、利用者端末101は、入力を受け付けた適性度の閾値の値よりも適性度の値が大きいサービスを、対象属性にレコメンドする候補となるサービスとして、該当するサービスの適性度とレコメンド優先順位の情報を出力し、利用者に提示する。
【0177】
次に、利用者端末101の結果画面について説明する。
図24は、実施例2において、対象属性に対してレコメンドする候補となるサービスに関する情報を提示する結果画面2401の構成例を示す図である。
結果画面2401は、ウェブブラウザ等のウィンドウ上に表示され、対象属性表示エリア2402、閾値確認エリア2403及びレコメンドサービス確認エリア2407が配置される。
【0178】
対象属性表示エリア2402には、利用者がステップ2001(s2001)で入力した対象属性の情報が表示される。
閾値確認エリア2403には、適性度範囲表示エリア2404、閾値入力エリア2405及び設定ボタン2406が配置される。
【0179】
利用者端末101の利用者は、候補対象サービスがとる適性度の値の範囲を、適性度範囲表示エリア2404に表示された値から確認し、閾値入力エリア2405に適性度の閾値を入力する。その後、設定ボタン2406が押下されると、利用者端末101は、候補対象サービスの内、適性度が閾値入力エリア2405に入力された値より大きいサービスに関する情報を、レコメンドサービス確認エリア2407に出力する。
【0180】
レコメンドサービス確認エリア2407には、レコメンドする候補となる各サービスについて、レコメンド優先順位の値、サービスの名前及びサービスの適性度を表示する。すなわち、利用者に対して、効果的に、レコメンドする候補となるサービスに関する情報が提示される。
【0181】
実施例2は、自治体が持つ住民の統計データと、複数のサービス提供事業者がそれぞれに持つ、各サービスを利用した個人を特定できない形の利用実績データとを組み合わせて分析することで、利用実績に含まれていない属性情報以外の観点からも、対象属性に対してレコメンドする候補となるサービスの分析を可能とする。これにより、住民ごとに利用したサービスを把握しなくても、住民への効果的なレコメンドにつながるという効果がある。
【0182】
なお、本発明は、上記した実施例1及び2に限定されるものではない。必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではなく、また、1つの実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることや、1つの実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除または置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0183】
1:連携データ分析システム、101:利用者端末、102:分析サーバ、
103:DBサーバ、104:利用実績DB、105:統計情報DB、
201,301:制御部、202,302:ネットワークインタフェース部、
203:入力部、204:出力部、205,314:BUS(バス)、
303:ウェブサービス提供部、304:データアクセス部、305:データ登録部、
306:入力情報登録部、307:入力情報記憶部、308:サービス利用率算出部、
309:サービス利用率記憶部、310:サービス特徴算出部、
311:属性類似情報記憶部、312:サービス特徴記憶部、
313:レコメンド属性算出部、401:利用実績データテーブル、
501:統計情報データテーブル、511:人数情報データテーブル、
601:サービス利用率データテーブル、701:属性類似情報データテーブル、
801:サービス利用特徴情報データテーブル、
901:サービス利用影響分布データテーブル、1601:対象属性情報記憶部、
1602:サービス適性情報算出部、1603:サービス適性情報記憶部、
1604:レコメンドサービス算出部、1701:対象属性統計情報データテーブル、
1801:対象属性時系列情報データテーブル、
1901:サービス適性情報データテーブル
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