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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159652
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】温度制御装置及び加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/22 20060101AFI20231025BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20231025BHJP
   H05B 3/06 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H05B3/22
H05B3/00 365Z
H05B3/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069484
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】390004064
【氏名又は名称】株式会社河合電器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安井 良
(72)【発明者】
【氏名】タン ジ ジュン
【テーマコード(参考)】
3K034
3K058
3K092
【Fターム(参考)】
3K034FA13
3K034FA16
3K034HA01
3K058BA14
3K058CE13
3K058CE19
3K058GA03
3K092QA05
3K092RF03
3K092SS12
3K092SS13
3K092SS14
3K092VV22
(57)【要約】
【課題】ワーク面の温度分布を制御可能な技術を提供する。
【解決手段】熱源とワークとの間に配置して用いられ、ワークに伝わる温度を制御可能な温度制御装置は、熱流制御部を備える。熱流制御部は、面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材を含む。熱流制御部は、第1領域と、第2領域と、を有する。第1領域は、当該熱流制御部の表面における所定の範囲を占める領域である。第2領域は、第1領域の周囲を囲むように設けられる領域である。第1領域及び第2領域は、少なくとも面方向に垂直な厚さ方向における熱伝導率が異なるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源とワークとの間に配置して用いられ、前記ワークに伝わる温度を制御可能な温度制御装置であって、
面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材を含む熱流制御部を備え、
前記熱流制御部は、当該熱流制御部の表面における所定の範囲を占める第1領域と、前記第1領域の周囲を囲むように設けられる第2領域と、を有し、
前記第1領域及び前記第2領域は、少なくとも前記面方向に垂直な厚さ方向における熱伝導率が異なるように構成されている、温度制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温度制御装置であって、
前記熱流制御部は、前記第1領域に、前記熱流制御部を前記厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する、温度制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の温度制御装置であって、
前記熱流制御部は、前記第2領域に、前記熱流制御部を前記厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する、温度制御装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の温度制御装置であって、
前記複数の貫通孔は、円形、多角形及びしずく形の少なくとも何れかの形状を有する、温度制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の温度制御装置であって、
前記熱流制御部は、前記第1領域に、前記第2領域よりも熱伝導率が低い材料を含む、温度制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の温度制御装置であって、
前記熱流制御部は、前記第2領域に、前記第1領域よりも熱伝導率が低い材料を含む、温度制御装置。
【請求項7】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項5及び請求項6のいずれか1項に記載の温度制御装置であって、
前記面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材を含み、前記熱流制御部に積層される補助伝導部と、
前記熱流制御部及び前記補助伝導部に積層され、前記熱流制御部及び前記補助伝導部を保護する保護部と、
を更に備える、温度制御装置。
【請求項8】
加熱装置であって、
熱源と、
前記熱源に重ね合わせて配置される請求項1、請求項2、請求項3、請求項5及び請求項6のいずれか1項に記載の温度制御装置と、
を備える、加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度制御装置及び加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハなどのワークを加熱するために様々なヒータが用いられることが知られている。特許文献1には、シート状の発熱体における両側の面に、金属やグラファイト等からなる熱拡散材料層がそれぞれ積層された構成を有するフィルムヒータが開示されている。
【0003】
近年、半導体における回路配線の微細化に伴い、ワーク面における温度分布の均一化が求められている。ここで、ワーク面の温度分布を均一化する方法として、例えば、ヒータの発熱量を部分的に操作することで入熱量を増減させて表面温度を調整する方法がある。また、例えば、ヒータ及びワークの材料を高熱伝導材にすることにより物理的に均一化させる方法がある。また、例えば、ワークの内部にヒートパイプなどの高熱伝導を有した別部材を挿入することで均一化させる方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-110757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した方法では、ワーク面の温度変化に対するフィードバック制御の遅れにより、温度を小さい変化幅で安定させることが困難であったり、ワークが目標値を満たす温度分布となるように温度制御を行うための、ワークに適合する発熱体の配置やワーク内部のヒートパイプの配置など、構造の微調整が難しかったりする。
【0006】
上述したように、従来の方法では、十分に均一な温度分布が実現できない場合があるため、ワーク面の温度分布を均一化するための新たな方法が望まれている。
本開示の一局面は、ワーク面の温度分布を制御可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、熱源とワークとの間に配置して用いられ、ワークに伝わる温度を制御可能な温度制御装置であって、熱流制御部を備える。熱流制御部は、面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材を含む。熱流制御部は、第1領域と、第2領域と、を有する。第1領域は、当該熱流制御部の表面における所定の範囲を占める領域である。第2領域は、第1領域の周囲を囲むように設けられる領域である。第1領域及び第2領域は、少なくとも面方向に垂直な厚さ方向における熱伝導率が異なるように構成されている。
【0008】
このような構成では、熱流制御部における第1領域及び第2領域の厚さ方向の熱伝導率が異なる。これにより、第1領域及び第2領域を通過する熱流量を制御することができる。その結果、ワーク面に伝わる温度が各領域で変化するため、ワーク面の温度分布を制御可能である。したがって、面方向において均一な温度分布が得られやすい。
【0009】
本開示の一態様では、熱流制御部は、第1領域に、熱流制御部を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有してもよい。このような構成では、第1領域に熱流制御部を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が設けられる。すなわち、熱流制御部の第1領域には、厚さ方向において高熱伝導材が存在しない部分が設けられる。このため、第1領域の厚さ方向における熱伝導率が第2領域の厚さ方向における熱伝導率よりも下がる。ここで、例えば、第1領域が熱流制御部における面方向において内側の領域であり、第2領域が前記第2領域を囲む外側の領域である。このような構成では、例えば、ワークの端面から熱が逃げやすいために、ワーク面の中央部分の温度が高く、ワーク面の端面側の温度が低くなりやすい場合でも、内側の領域である第1領域に伝わる熱流量を減らし外側の領域である第2領域に伝わる熱流量を増やすように制御することで、面方向において均一な温度分布を得やすい。
【0010】
本開示の一態様では、熱流制御部は、第2領域に、熱流制御部を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有してもよい。このような構成では、第2領域に熱流制御部を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が設けられる。すなわち、熱流制御部の第2領域には、厚さ方向において高熱伝導材が存在しない部分が設けられる。このため、第2領域の厚さ方向における熱伝導率が第1領域の厚さ方向における熱伝導率よりも下がる。ここで、例えば、第1領域が熱流制御部における面方向において内側の領域であり、第2領域が前記第2領域を囲む外側の領域である。このような構成では、例えば、ワークの端面から熱が逃げにくいために、ワーク面の中央部分の温度よりもワーク面の端面側の温度が高くなりやすい場合でも、外側の領域である第2領域に伝わる熱流量を減らし内側の領域である第1領域に伝わる熱流量を増やすように制御することで、面方向において均一な温度分布を得やすい。
【0011】
本開示の一態様では、複数の貫通孔は、円形、多角形及びしずく形の少なくとも何れかの形状を有してもよい。このような構成によれば、円形、多角形及びしずく形の何れの形状を採用した場合にも、複数の貫通孔が設けられる内側領域及び外側領域の何れか一方に伝わる熱流量を他方の領域よりも十分に下げることが可能である。
【0012】
本開示の一態様では、熱流制御部は、第1領域に、第2領域よりも熱伝導率が低い材料を含んでもよい。このような構成では、第1領域に第2領域よりも熱伝導率が低い材料が含まれるため、第1領域の熱伝導率が第2領域の熱伝導率よりも下がる。ここで、例えば、第1領域が熱流制御部における面方向において内側の領域であり、第2領域が前記第2領域を囲む外側の領域である。このような構成では、例えば、ワークの端面から熱が逃げやすいために、ワーク面の中央部分の温度が高く、ワーク面の端面の温度が低くなりやすい場合でも、内側の領域である第1領域に伝わる熱流量を減らし外側の領域である第2領域に伝わる熱流量を増やすように制御することで、面方向における均一な温度分布を得やすい。
【0013】
本開示の一態様では、熱流制御部は、第2領域に、第1領域よりも熱伝導率が低い材料を含んでもよい。このような構成では、第2領域に第1領域よりも熱伝導率が低い材料が含まれるため、第2領域の熱伝導率が第1領域の熱伝導率よりも下がる。ここで、例えば、第1領域が熱流制御部における面方向において内側の領域であり、第2領域が前記第2領域を囲む外側の領域である。このような構成では、例えば、ワークの端面から熱が逃げにくいために、ワーク面の中央部分の温度よりもワーク面の端面の温度が高くなりやすい場合でも、外側の領域である第2領域に伝わる熱流量を減らし内側の領域である第1領域に伝わる熱流量を増やすように制御することで、面方向における均一な温度分布を得やすい。
【0014】
本開示の一態様は、補助伝導部と、保護部と、を更に備えてもよい。補助伝導部は、面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材を含み、熱流制御部に積層される。保護部は、熱流制御部及び補助伝導部に積層され、熱流制御部及び補助伝導部を保護する。このような構成によれば、温度制御装置が補助伝導部を備えない構成と比較して、面方向に熱を拡散させやすくすることができる。また、熱流制御部及び補助伝導部に保護部を積層させることによって、熱流制御部及び補助伝導部の破損を抑制することができる。
【0015】
本開示の一態様は、加熱装置であって、熱源と、上述した温度制御装置と、を備える。上述した温度制御装置は、熱源に重ね合わせて配置される。このような構成によれば、熱源と、内側領域及び外側領域を通過する熱流量を制御することができる温度制御装置と、を用いて、ワーク面の温度分布を制御可能な加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】熱流制御部及び補助伝導部を有する温度制御装置を示す側面断面図である。
図2】熱流制御部における内側領域及び外側領域を模式的に示す図である。
図3】複数の貫通孔を有する円形状の熱流制御部を示す平面図である。
図4】熱源及び温度制御装置が一体化された加熱装置を示す側面断面図である。
図5】熱流制御部における熱流制御を検証するための実験態様を模式的に示す図である。
図6】Z方向における熱流制御の効果を検証したグラフを示す図である。
図7】XY方向における熱流制御の効果を検証したグラフを示す図である。
図8】複数の貫通孔を有する四角形状の熱流制御部を示す平面図である。
図9】内側領域が四角形状に設けられる四角形状の熱流制御部を示す平面図である。
図10】形状が異なる複数の貫通孔を有する熱流制御部を示す平面図である。
図11】内側領域が低熱伝導部及び外側領域が高熱伝導材により構成される熱流制御部を有する温度制御装置を示す側面断面図である。
図12】高熱伝導材の中央部分に低熱伝導材が積層される構成の熱流制御部を有する温度制御装置を示す側面断面図である。
図13】熱流制御部を有する温度制御装置を示す側面断面図である。
図14】熱流制御部、補助伝導部及び接触熱抵抗低減部を有する温度制御装置及び熱源が一体化された加熱装置を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
<温度制御装置>
図1に示す温度制御装置100は、例えば半導体ウェハなどのワーク200と、当該ワーク200を加熱するための熱源300と、の間に配置して用いられ、ワーク200面の温度分布を制御可能である。熱源300には、例えば、フィルムヒータ、ET600高温用面状ヒータ、セラミックヒータ、シリコンラバーヒータ等の様々な種類のヒータが用いられる。また、熱源300には、シーズヒータ、カートリッジヒータ等が内蔵されたプレート等が用いられてもよい。なお図1は、温度制御装置100の構造を模式的に表したものであるため、実際の温度制御装置と比較して厳密な配置、形状、大きさの比率等が相違する場合がある。図4及び図11図14についても同様である。
【0018】
温度制御装置100は、熱流制御部11と、補助伝導部12と、接着部13と、保護部14と、を備える。温度制御装置100は、熱流制御部11、補助伝導部12、接着部13及び保護部14が積層された積層体である。なお、温度制御装置には、接着部13及び保護部14が積層されなくてもよい。
【0019】
熱流制御部11は、面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材により構成される部材である。シート形状とは、広く薄く広がる形状をいう。面方向とは、当該シート形状の平らな面の広がりに沿った方向である。高熱伝導材として、例えば、銅、窒化アルミニウム、アルミニウム等の金属、グラファイト等の熱伝導率の高い材料が用いられる。熱流制御部11は、第1の面111と、第1の面111とは反対側の面である第2の面112と、を有する。
【0020】
熱流制御部11の第1の面111には、補助伝導部12が積層される。補助伝導部12は、接着部13を介して熱流制御部11に接着される。
補助伝導部12は、面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材により構成される部材である。高熱伝導材として、例えば、銅、窒化アルミニウム、アルミニウム等の金属、グラファイト等が用いられる。
【0021】
熱流制御部11の第2の面112には、接着部13及び保護部14が、保護部14が最表面となる順に積層される。また、補助伝導部12の熱流制御部11側を向く面とは反対側の面にも、接着部13及び保護部14が、保護部14が最表面となる順に積層される。
【0022】
保護部14は、熱流制御部11の第2の面112、及び、補助伝導部12の熱流制御部11側を向く面とは反対側の面を保護するシート形状の部材である。保護部14には、例えば、ポリイミド系の材料により構成されるシート、マイカシート、シリコン樹脂シートが用いられる。保護部14は、接着部13を介して、熱流制御部11の第2の面112、及び、補助伝導部12の熱流制御部11側を向く面とは反対側の面に接着される。
【0023】
図2に示すように、本実施形態では、熱流制御部11は、円形状に形成されている。熱流制御部11は、面方向において内側の領域である内側領域Bと、内側領域Bを囲む外側の領域である外側領域Aと、を有する。つまり、熱流制御部11は、外側領域A及び内側領域Bの2つの領域に区分けされるように構成される。
【0024】
本実施形態では、内側領域Bは、熱流制御部11の中心点Cを中心とする円形状の領域である。外側領域Aは、熱流制御部11における内側領域B以外の円環状の領域である。外側領域A及び内側領域Bは、少なくとも面方向に垂直な厚さ方向における熱伝導率が異なるように構成されている。なお、図2に示すXY方向が面方向であり、図2に示すZ方向が厚さ方向である。
【0025】
本実施形態では、図3に示すように、熱流制御部11は、内側領域Bに、熱流制御部11を厚さ方向に貫通する、すなわち第1の面111及び第2の面112を貫通する複数の貫通孔113を有する。複数の貫通孔113が設けられている部分は、熱伝導材が存在しない部分である。このように、複数の貫通孔113を形成して高熱伝導材が存在しない箇所を設けることで、内側領域Bに熱流量を低減させる熱流低減構造を持たせると、内側領域Bの厚さ方向における熱伝導率が外側領域Aの厚さ方向における熱伝導率よりも低くなる。ここで、内側領域Bの厚さ方向における熱伝導率には、例えば、内側領域Bの面方向全体における厚さ方向の熱伝導率の平均値が用いられる。これにより、外側領域Aを通過する熱源300からの熱流量よりも内側領域Bを通過する熱流量を小さくすることが可能である。
【0026】
本実施形態では、複数の貫通孔113は、円形状を有する。複数の貫通孔113は、内側領域Bにおける高熱伝導材が存在する部分の領域が小さくなるように、隣合う貫通孔113同士の間隔を狭めて内側領域B内に設けられる。これにより、隣合う貫通孔113同士の間隔が広く設けられる場合と比較して、内側領域Bの厚さ方向における熱伝導率を低くすることができる。その結果、外側領域A及び内側領域Bの厚さ方向における熱伝導率比が高くなりやすい。例えば、複数の貫通孔113は、貫通孔113の最長幅よりも隣接する貫通孔113までの距離が短くなるような配置で設けられる。本実施形態では、複数の貫通孔113は、千鳥状に配列される。なお、複数の貫通孔の配列はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の貫通孔は、熱流制御部11の中心点Cを中心に放射状に広がるように配列されていてもよい。本実施形態では、熱流制御部11に接着部13が積層される場合に、複数の貫通孔113の内部に接着部13を構成する材料である粘着材が一部又は全部入り込む。このような場合でも、内側領域Bの厚さ方向における熱伝導率は外側領域Aの厚さ方向における熱伝導率よりも低くなる。なお、熱流制御部11に接着部13が積層される場合に、複数の貫通孔113の内部に粘着材が入り込まなくてもよい。
【0027】
<加熱装置>
図4に示す加熱装置400は、熱源300と、温度制御装置100と、が一体化した装置である。加熱装置400は、2つのワーク200の間に配置され、ワーク200面に伝わる温度を任意の温度分布に制御可能である。加熱装置400は、熱源300と、2つの温度制御装置100と、を備える。加熱装置400は、熱源300の両側の面にそれぞれ温度制御装置100が積層した積層体である。換言すると、加熱装置400は、熱源300が2つの温度制御装置100の間に挟まれた状態の構成を有する。
【0028】
加熱装置400では、熱流制御部11が補助伝導部12よりも外側に位置するように、温度制御装置100が熱源300に積層される。すなわち、補助伝導部12が熱源300側に位置するように、温度制御装置100が熱源300に積層される。つまり、熱源300及び熱流制御部11の間に、補助伝導部12が配置される。補助伝導部12は、接着部13を介して熱源300に接着される。具体的には、温度制御装置100における補助伝導部12側の保護部14を有しない接着部13が露出した状態で、温度制御装置100が熱源300に接着される。なお、加熱装置400には、熱流制御部11の第2の面112側に接着部13及び保護部14が積層されなくてもよい。また、加熱装置は、熱源300の一方の面に熱流制御部11及び補助伝導部12を有しない構成であってもよい。すなわち、加熱装置は、熱源300の一方の面に接着部13及び保護部14のみが積層されていてもよい。
【0029】
<熱流制御部における熱流制御の検証結果>
図5には、熱流制御部11における熱流制御を検証するための検証態様を模式的に示す。本実施形態では、熱流制御の検証結果は、CFDを利用したシミュレーション(以下、CFDシミュレーションという)に基づくものである。CFDとは、Computational Fluid Dynamicsの略である。CFDシミュレーションは、外気温度21℃、ヒータ熱量1500W、ワーク200の材質がSUS304及びヒータ温度調節点がワーク200の上面の中心という条件下において行われた。具体的には、ワーク200と、熱源300と、の間に、外側領域A及び内側領域Bを有する熱流検証部110及び補助伝導部12を重ねて配置して、温度制御装置100を模擬的に構成して検証が行われた。熱流検証部110及び補助伝導部12は、熱流検証部110がワーク200側、補助伝導部12が熱源300側に位置するように配置する。なお、熱流検証部110は、図6においては熱流制御部11に該当する構造であり、図7においては熱流制御部11に該当しない構造である。
【0030】
図6は、熱流検証部110において、内側領域BのZ方向における熱伝導率を変更した場合のワーク面の温度の均一性への影響を示すグラフである。
例えば、熱流検証部110において、外側領域A及び内側領域BのXY方向における熱伝導率を同一の500として、外側領域A及び内側領域BのZ方向における熱伝導率比を変え、ワーク200の面方向、すなわちXY方向における最大温度及び最小温度の温度差を比較する。具体的には、熱流検証部110において、外側領域A及び内側領域BのXY方向における熱伝導率を同一の500とし、内側領域BのZ方向における熱伝導率を0.5とし、外側領域AのZ方向における熱伝導率を3.84とした条件を検証条件T1とする。なお、検証条件T1において、補助伝導部12のXY方向における熱伝導率は500であり、Z方向における熱伝導率は3.84である。また、補助伝導部12のみにより実質構成された条件、すなわち、熱流検証部110において、外側領域A及び内側領域BのXY方向における熱伝導率を同一の500とし、外側領域A及び内側領域BのZ方向における熱伝導率を同一の3.84とした条件を比較条件T2とする。そして、検証条件T1及び比較条件T2を比較した。
【0031】
図6に示すように、内側領域BのZ方向における熱伝導率を外側領域AのZ方向における熱伝導率よりも低くした検証条件T1の温度差の方が、比較条件T2の温度差よりも小さいという結果となった。XY方向における温度差は、小さいほどワーク200面の温度分布が均一となる。このため、熱流制御部11は、内側領域BのZ方向における熱伝導率が、外側領域AのZ方向における熱伝導率よりも低いことが望ましいことがわかる。換言すると、熱流制御部11は、内側領域Bと外側領域AとのZ方向における熱伝導率比を高くすることが望ましいことがわかる。
【0032】
また、図7は、熱流検証部110において、内側領域BのXY方向における熱伝導率を変更した場合のワーク面の温度の均一性への影響を示すグラフである。
例えば、熱流検証部110において、外側領域A及び内側領域BのZ方向における熱伝導率を同一の3.84として、外側領域A及び内側領域BのXY方向における熱伝導率比を変え、ワーク200の面方向、すなわちXY方向における最大温度及び最小温度の温度差を比較する。具体的には、熱流検証部110において、外側領域A及び内側領域BのZ方向における熱伝導率を同一の3.84とし、内側領域BのXY方向における熱伝導率を340とし、外側領域AのXY方向における熱伝導率を500とした条件を検証条件T3とする。なお、検証条件T3において、補助伝導部12のZ方向における熱伝導率は3.84であり、XY方向における熱伝導率は500である。また、補助伝導部12のみにより実質構成された条件、すなわち、熱流検証部110において、外側領域A及び内側領域BのZ方向における熱伝導率を同一の3.84とし、外側領域A及び内側領域BのXY方向における熱伝導率を同一の500とした条件を比較条件T4とする。そして、検証条件T3及び比較条件T4を比較した。
【0033】
図7に示すように、外側領域A及び内側領域BのXY方向における熱伝導率を共に高くした比較条件T4の温度差の方が、検証条件T3の温度差よりも小さいという結果となった。すなわち、内側領域Bにおける面方向への熱伝導率を下げると、ワーク200面の温度分布の均一性が低下する方向への影響が出得る。
【0034】
上述した図6及び図7の検証結果から、熱流制御部11においては、外側領域A及び内側領域Bの面方向への熱伝導率比は変えずに、外側領域A及び内側領域Bの厚さ方向における熱伝導率を変更することが、ワーク200面の温度分布の均一性を向上させるために重要であることがわかる。
【0035】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)本実施形態では、熱流制御部11における外側領域A及び内側領域Bの厚さ方向の熱伝導率が異なるように構成されている。これにより、外側領域A及び内側領域Bを通過する熱流量を制御することができる。その結果、ワーク200面に伝わる温度が各領域A,Bで変化するため、ワーク200面の温度分布を制御可能である。
【0036】
具体的には、内側領域Bに熱流制御部11を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔113が設けられる。すなわち、熱流制御部11の内側領域Bには、厚さ方向において高熱伝導材が存在しない部分が設けられる。これにより、内側領域Bの厚さ方向における熱伝導率が外側領域Aの厚さ方向における熱伝導率よりも下がる。このため、内側領域Bに伝わる熱流量が減り、外側領域Aに伝わる熱流量が増える。したがって、例えば、ワーク200の端面から熱が逃げやすいために、ワーク200面の中央部分の温度が高く、ワーク200面の端面側の温度が低くなりやすい場合でも、熱が逃げやすい部分である外側領域Aに伝わる熱流量が増えるため、ワーク200面における中央部分と端面側との温度差を小さくすることができる。その結果、ワーク200面の温度分布の均一性が向上する。
【0037】
(2b)本実施形態では、温度制御装置100は、熱流制御部11、補助伝導部12、接着部13及び保護部14を備える。このように、温度制御装置100が熱流制御部11に加え、補助伝導部12を備えることによって、温度制御装置が補助伝導部を備えない構成と比較して、面方向に熱を拡散させやすくすることができる。また、熱源300上に温度制御装置100を配置する場合に、熱流制御部11に積層される補助伝導部12を熱源300側に配置することによって、熱流制御部11の内側領域Bにおける複数の貫通孔113が熱源300の真上に配置されることで複数の貫通孔113の直下で生じ得る急激な温度上昇が抑制される。その結果、温度制御装置100の故障を抑制することができる。すなわち、絶縁されていない状態の熱源300にも温度制御装置100を用いることができる。
【0038】
また、熱流制御部11及び補助伝導部12に保護部14を積層させることによって、温度制御装置100において、熱流制御部11及び補助伝導部12が露出しないため、熱流制御部11及び補助伝導部12の破損を抑制することができる。また、温度制御装置100単体での取り扱い時に熱流制御部11及び補助伝導部12が保護されているため、材料が脆いため取り扱いが難しいグラファイトにより構成される熱流制御部11及び補助伝導部12等を取り扱い易くすることができる。
なお、本実施形態では、内側領域Bが第1領域の一例に相当し、外側領域Aが第2領域の一例に相当する。
【0039】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0040】
(3a)上記実施形態では、熱流制御部11が円形状の構成を例示したが、熱流制御部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示す熱流制御部11aのように、四角形状であってもよい。熱流制御部11aは、円形状の領域である内側領域Bと、四角形状のシートにおける内側領域B以外の領域、すなわち内側領域Bを囲う外側の領域である外側領域A2と、を有する。熱流制御部11aの内側領域Bには、円形状の複数の貫通孔113が設けられている。
【0041】
(3b)上記実施形態では、熱流制御部11の内側領域Bが円形状の領域である構成を例示したが、熱流制御部の内側領域の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示す熱流制御部11bのように、内側領域B3は、四角形状の領域であってもよい。熱流制御部11bは、四角形状の領域である内側領域B3と、四角形状のシートにおける内側領域B3以外の領域、すなわち内側領域B3を囲う外側の領域である外側領域A3と、を有する。熱流制御部11bの内側領域B3には、円形状の複数の貫通孔113が設けられている。
【0042】
(3c)上記実施形態では、複数の貫通孔113が円形状の構成を例示したが、複数の貫通孔の形状はこれに限定されるものではない。例えば、複数の貫通孔は、三角形、ひし形及び四角形等を含む多角形又はしずく形の形状であってもよい。このような構成によれば、複数の貫通孔が様々な形状を取り得るため、目標値を満たす温度分布の制御に合わせてより好ましい形状を設けることが可能である。なお、円形、多角形及びしずく形の何れの形状を採用した場合にも、内側領域B,B3に伝わる熱流量を外側領域A~A3よりも十分に下げることが可能である。CFDシミュレーションによる検証結果によれば、複数の貫通孔が形成される領域では、厚さ方向における熱伝導率を低くすることができるが、面方向における熱伝導率も少なからず低くなり得る。ここで、複数の貫通孔がしずく形やダイヤの形状を有する場合、厚さ方向における熱伝導率を低くでき、かつ、面方向における熱伝導率を他の形状と比較して低くなりにくくすることができる。その結果、複数の貫通孔がしずく形やダイヤの形状を有する場合、ワーク200面の温度分布の均一性を向上させやすくすることができる。
【0043】
また、例えば、図10に示す熱流制御部11cのように、複数の貫通孔113cは、三角形、ひし形及び四角形等を含む多角形及びしずく形などの様々な形状を組み合わせて有してもよい。熱流制御部11cは、円形状の領域である内側領域B4と、四角形状のシートにおける内側領域B4以外の領域、すなわち内側領域B4を囲う外側の領域である外側領域A4と、を有する。熱流制御部11cの内側領域B4には、様々な形状の複数の貫通孔113cが、貫通孔113c同士の間の隙間が極力少なくなるような配置で設けられている。このような構成によれば、様々な形状の貫通孔113cを隙間を埋めるように配置することで、内側領域B4における高熱伝導材が存在しない部分を多く設けることができ、その結果、内側領域B4の熱伝導率が低くなりやすい。
【0044】
(3d)上記実施形態では、外側領域A及び内側領域Bの厚さ方向における熱伝導率が異なるように、熱流制御部11の内側領域Bに複数の貫通孔113を設けることで、内側領域に熱流低減構造を持たせる構成を例示した。しかし、熱流制御部の内側領域に熱流低減構造を持たせる構成はこれに限定されるものではない。
【0045】
例えば、図11に示す温度制御装置100dのように、内側領域B5に、外側領域A5よりも熱伝導率が低い材料を含む熱流制御部11dを備えてもよい。熱流制御部11dは、外側領域A5が面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材により構成され、内側領域B5が高熱伝導材よりも熱伝導率が低い材料により構成される。すなわち、熱流制御部11dは、高熱伝導材のくり抜かれた中央部分に高熱伝導材よりも熱伝導率が低い材料により構成されるシート形状の低熱伝導部15が嵌め込まれて形成される。高熱伝導材よりも熱伝導率が低い材料として、例えば、樹脂シート、ポリイミドシート、ゴムシート及びシリコンシート等が用いられる。このような構成では、内側領域B5に外側領域A5よりも熱伝導率が低い材料が含まれるため、内側領域B5の熱伝導率が外側領域A5の熱伝導率よりも下がる。したがって、例えば、ワーク200の端面から熱が逃げやすいために、ワーク200面の中央部分の温度が高く、ワーク200面の端面の温度が低くなりやすい場合でも、内側領域B5に伝わる熱量を減らし外側領域A5に伝わる熱量を増やすように制御することで、面方向における均一な温度分布を得やすい。
【0046】
また、例えば、図12に示す温度制御装置100eのように、高熱伝導材111eと、高熱伝導材111eの中央部の領域のみに積層される低熱伝導材112eと、により構成される熱流制御部11eを備えてもよい。このように、中央部のみに低熱伝導材112eを置くと、高熱伝導材111eの中央部が沈み込み、図12に示す熱流制御部11eのように、低熱伝導材112eが高熱伝導材111eにより囲われた状態となり得る。なお、熱流制御部11d,11eは、上記実施形態の熱流制御部11と同様の効果を奏する。
【0047】
(3e)上記実施形態では、熱流制御部11は、内側領域Bに熱流低減構造を有する構成を例示したが、熱流制御部に設けられる熱流低減構造の領域は、内側領域に限定されるものではない。例えば、熱流制御部は、内側領域に熱流低減構造を有さず、外側領域に熱流低減構造を有する構成であってもよい。具体的には、例えば、熱流制御部は、外側領域に、熱流制御部を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有してもよい。また、例えば、熱流制御部は、外側領域に、内側領域よりも熱伝導率が低い材料を含んでもよい。このような構成においても、内側領域及び外側領域は、少なくとも厚さ方向における熱伝導率が異なるように構成される。この場合、外側領域の厚さ方向の熱伝導率が内側領域の厚さ方向の熱伝導率よりも下がる。このため、外側領域に伝わる熱流量が減り、内側領域に伝わる熱流量が増える。したがって、例えば、ワーク200の端面から熱が逃げにくいために、ワーク200面の中央部分の温度よりも、ワーク200面の端面側の温度が高くなりやすい場合でも、熱が逃げにくい部分である外側領域に伝わる熱流量が減るため、ワーク200面における中央部分と端面側との温度差を小さくすることができる。その結果、ワーク200面の温度分布の均一性が向上する。
【0048】
(3f)上記実施形態では、温度制御装置100は、熱流制御部11に補助伝導部12が積層された構成を例示したが、温度制御装置の構成はこれに限定されるものではない。
例えば、図13に示す温度制御装置100fのように、補助伝導部12を有しない構成であってもよい。温度制御装置100fは、熱流制御部11と、その両面に接着部13を介して接着される保護部14と、を備える。
【0049】
(3g)上記実施形態では、熱源300の両側の面のそれぞれに、熱流制御部11の破損を抑制するための保護部14を有する温度制御装置100が積層した構成の加熱装置400を例示したが、加熱装置の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図14に示す加熱装置400aのように、熱源300の両側の面のそれぞれに、ワーク当接部16を有する温度制御装置100gが積層されていてもよい。ワーク当接部16は、ワーク200面の温度分布に悪影響を及ぼすような、温度制御装置100gとワーク200との接触熱抵抗を低減可能である。温度制御装置100gは、熱流制御部11と、補助伝導部12と、接着部13と、ワーク当接部16と、を備える。ワーク当接部16は、温度制御装置100gにおける最表面に位置するように、熱流制御部11の第2の面112に接着部13を介して接着される。ワーク当接部16は、TIMにより構成される部材である。TIMは、Thermal Interface Materialの略である。TIMは、例えばシリコン樹脂、グラファイト等により構成される。ワーク当接部16が最表面に配置されることによって、ワーク200と当接した際に、ワーク当接部16が沈み込むことで、ワーク200面の加工の影響を吸収可能である結果、ワーク200面との接触熱抵抗が低減する。ワーク200面との接触熱抵抗が低減されることによって、ワーク200面の温度分布をより均一にしやすくなる。
【0050】
(3h)上記実施形態では、内側領域Bが熱流制御部11の中心点Cを中心とする円形状の領域である構成を例示したが、熱流制御部における内側領域が配置される位置はこれに限定されるものではない。例えば、内側領域は、熱流制御部の中心点からズレた位置に配置されてもよい。また、上記実施形態では、熱流制御部11が外側領域A及び内側領域Bの2つの領域に区分けされる構成を例示したが、熱流制御部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、熱流制御部は、複数の第1領域と、第2領域と、を有するような、3つ以上の領域に区分けされるように構成されてもよい。第1領域は、当該熱流制御部の表面における所定の範囲を占める領域である。第2領域は、第1領域の周囲を囲むように設けられる領域である。そして、熱流制御部は、例えば、複数の第1領域が第2領域に囲まれる範囲において任意の位置に配置されていてもよい。このような構成の場合においても、第1領域及び第2領域の何れか一方に、複数の貫通孔を有してもよい。また、第1領域に第2領域よりも熱伝導率が低い材料を含んでもよいし、第2領域に第1領域よりも熱伝導率が低い材料を含んでもよい。また、例えば、第1領域は、内側から外側又は外側から内側に向かって温度勾配を有するように、第1領域の範囲内においても熱伝導率に差を有するように構成されていてもよい。また、例えば、熱流制御部は、第1領域及び第2領域に加え、例えば、第3領域及び第3領域の周囲を囲む第4領域を備えるように構成されていてもよい。そして、第3領域及第4領域が第1領域及び第2領域とは異なるような熱伝導率差を有するように、熱流制御部において、複数の異なる熱流制御を実現できるように構成されていてもよい。
【0051】
(3i)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0052】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
熱源とワークとの間に配置して用いられ、前記ワークに伝わる温度を制御可能な温度制御装置であって、
面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材を含む熱流制御部を備え、
前記熱流制御部は、当該熱流制御部の表面における所定の範囲を占める第1領域と、前記第1領域の周囲を囲むように設けられる第2領域と、を有し、
前記第1領域及び前記第2領域は、少なくとも前記面方向に垂直な厚さ方向における熱伝導率が異なるように構成されている、温度制御装置。
【0053】
[項目2]
項目1に記載の温度制御装置であって、
前記熱流制御部は、前記第1領域に、前記熱流制御部を前記厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する、温度制御装置。
【0054】
[項目3]
項目1に記載の温度制御装置であって、
前記熱流制御部は、前記第2領域に、前記熱流制御部を前記厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する、温度制御装置。
【0055】
[項目4]
項目2又は項目3に記載の温度制御装置であって、
前記複数の貫通孔は、円形、多角形及びしずく形の少なくとも何れかの形状を有する、温度制御装置。
【0056】
[項目5]
項目1に記載の温度制御装置であって、
前記熱流制御部は、前記第1領域に、前記第2領域よりも熱伝導率が低い材料を含む、温度制御装置。
【0057】
[項目6]
項目1に記載の温度制御装置であって、
前記熱流制御部は、前記第2領域に、前記第1領域よりも熱伝導率が低い材料を含む、温度制御装置。
【0058】
[項目7]
項目1から項目6までのいずれか1項に記載の温度制御装置であって、
前記面方向への熱伝導率に優れたシート形状の高熱伝導材を含み、前記熱流制御部に積層される補助伝導部と、
前記熱流制御部及び前記補助伝導部に積層され、前記熱流制御部及び前記補助伝導部を保護する保護部と、
を更に備える、温度制御装置。
【0059】
[項目8]
加熱装置であって、
熱源と、
前記熱源に重ね合わせて配置される項目1から項目7までのいずれか1項に記載の温度制御装置と、
を備える、加熱装置。
【符号の説明】
【0060】
11,11a~11e…熱流制御部、12…補助伝導部、13…接着部、14…保護部、15…低熱伝導部、16…ワーク当接部、100,100d~100g…温度制御装置、110…熱流検証部、111…第1の面、112…第2の面、113,113c…貫通孔、200…ワーク、300…熱源、400,400a…加熱装置、A,A2~A5…外側領域、B,B3~B5…内側領域、C…中心点、T1,T3…検証条件、T2,T4…比較条件。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14