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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159657
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
E03C1/042 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069491
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 真樹
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA00
2D060BB01
2D060BC04
2D060BE09
2D060BE11
2D060BF03
(57)【要約】
【課題】水栓本体と吐水ヘッドとの間でワイヤレス給電と無線通信とを合理的に行うことが可能な水栓装置を提供すること。
【解決手段】水栓装置1は、その水栓本体2の吐水管3から取り外すことが可能な吐水ヘッド4に手かざしセンサ7が設けられ、水栓本体2と吐水ヘッド4との間に手かざしセンサ7を駆動するための電力をワイヤレス給電により伝送可能、かつ、手かざしセンサ7で検出される検出信号を搬送波の変調に伴う電磁誘導により水栓本体2側の制御部12に返送可能な給電通信部8が設けられる構成とされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体と、該水栓本体に対して着脱可能に設けられる吐水ヘッドと、を有する水栓装置であって、
前記吐水ヘッドに設けられ、使用者による吐水状態の変更操作を検出可能な操作検出部と、
前記水栓本体に設けられる送電コイルを備える送電ユニット、及び前記吐水ヘッドに設けられる受電コイルを備える受電ユニットを備え、前記吐水ヘッドの前記水栓本体への装着に伴い前記送電コイルと前記受電コイルとが互いに電磁結合されて、前記送電コイルから前記受電コイルに前記受電ユニット及び前記操作検出部を駆動するための電力を電磁誘導により伝送すると共に、前記操作検出部で検出される検出信号を搬送波の変調を伴う電磁誘導により前記受電コイルから前記送電コイルへと伝送する給電通信部と、を有する水栓装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水栓装置であって、
前記給電通信部が、前記吐水ヘッドの前記水栓本体からの取り外しに伴い前記電磁結合が解消される構成とされ、
前記操作検出部が、使用者の手の差し出しを検出した検出信号に基づいて手の差し出しの度に前記吐水状態を手が引かれても吐水を続ける連続吐水と止水とに切り替える吐水制御を行うための非接触式の手かざしセンサとされる水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に関する。詳しくは、水栓本体と、水栓本体に対して着脱可能に設けられる吐水ヘッドと、を有する水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吐水ヘッドを水栓本体から引き出して使用することが可能な水栓装置が開示されている。この水栓装置は、水栓本体と吐水ヘッドとを繋ぐ吐水流路が、フレキシブルホースにより構成されている。フレキシブルホースは、水栓本体の内部を通って吐水ヘッドと接続され、吐水ヘッドの引き出しに伴い水栓本体から引き出される構成とされる。
【0003】
吐水ヘッドと水栓本体との間には、これらの間で電磁誘導によるワイヤレス給電を行うことが可能な給電ユニットが設けられている。この給電ユニットにより、水栓本体から引き出されて使用される吐水ヘッドに対し、これらの間を配線で繋ぐことなくワイヤレスで給電を行うことが可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4351616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、ワイヤレス給電された電力により、吐水ヘッドに設けられた手かざしセンサを動作させたり、手かざしセンサの検出信号を吐水ヘッドから別の制御部へと無線通信により送信したりするようになっている。しかし、この無線通信による送信には、別途、専用の赤外線センサが用いられているため、部品点数や設置スペースが嵩むという問題がある。そこで、本発明は、水栓本体と吐水ヘッドとの間でワイヤレス給電と無線通信とを合理的に行うことが可能な水栓装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の水栓装置は、次の手段をとる。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明は、水栓本体と、該水栓本体に対して着脱可能に設けられる吐水ヘッドと、を有する水栓装置であって、前記吐水ヘッドに設けられ、使用者による吐水状態の変更操作を検出可能な操作検出部と、前記水栓本体に設けられる送電コイルを備える送電ユニット、及び前記吐水ヘッドに設けられる受電コイルを備える受電ユニットを備え、前記吐水ヘッドの前記水栓本体への装着に伴い前記送電コイルと前記受電コイルとが互いに電磁結合されて、前記送電コイルから前記受電コイルに前記受電ユニット及び前記操作検出部を駆動するための電力を電磁誘導により伝送すると共に、前記操作検出部で検出される検出信号を搬送波の変調を伴う電磁誘導により前記受電コイルから前記送電コイルへと伝送する給電通信部と、を有する水栓装置である。
【0008】
第1の発明によれば、吐水ヘッドの水栓本体への装着により、給電通信部の送電コイルと受電コイルとが互いに電磁結合される。それにより、送電ユニットから受電ユニット及び操作検出部へのワイヤレス給電が可能となると共に、操作検出部の検出信号の送電ユニットへの伝送が可能となる。このような給電通信部を用いた構成により、水栓本体と吐水ヘッドとの間でワイヤレス給電と無線通信とを合理的に行うことが可能となる。
【0009】
本発明の第2の発明は、上記第1の発明において、前記給電通信部が、前記吐水ヘッドの前記水栓本体からの取り外しに伴い前記電磁結合が解消される構成とされ、前記操作検出部が、使用者の手の差し出しを検出した検出信号に基づいて手の差し出しの度に前記吐水状態を手が引かれても吐水を続ける連続吐水と止水とに切り替える吐水制御を行うための非接触式の手かざしセンサとされる水栓装置である。
【0010】
第2の発明によれば、使用者が操作検出部に直接手で触れることなく吐水/止水の切り替え操作を簡便に行うことが可能となる。なおかつ、使用者が吐水ヘッドを手で掴んで水栓本体から取り外した時には、手かざしセンサによる手の差し出しの検出を無効化して、吐水ヘッドの引き出し時に意図せず吐水/止水が切り替えられる誤検出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る水栓装置の概略構成を表す側面図である。
図2】吐水ヘッドを水栓本体から引き出した状態を表す側面図である。
図3】水栓装置の回路構成を模式的に表すシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
《第1の実施形態》
(水栓装置1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る水栓装置1の構成について、図1図3を用いて説明する。なお、以下の説明において、手前、奥、上、下、左、右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。各図中に示す方向は、それぞれ、水栓装置1の正面に立つ使用者から見た方向となっている。以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、図1図3のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る水栓装置1は、図示しないキッチンカウンタのシンクの奥側の天板上に設置される、いわゆる台付きタイプのシングルレバー混合水栓として構成される。この水栓装置1は、キッチンカウンタの天板の下側より供給される湯と水とを内部で混合してシンクへと吐水することが可能な機能を備える。
【0015】
具体的には、水栓装置1は、天板の下側から供給される湯と水との混合割合を内部で調節することが可能な温調機能を備える。また、水栓装置1は、混合した湯水の吐水/止水を切り替えることが可能な吐止水の切替機能を備える。また、水栓装置1は、吐水する湯水の量を調節することが可能な吐水量の調節機能を備える。
【0016】
上記湯水の混合割合の調節と吐水量の調節は、水栓本体2の上部に取り付けられた1本のレバーハンドル5の操作によって行うことが可能とされる。レバーハンドル5は、その基部が水栓本体2の上部に対して上下左右に首振り回転できるように連結されている。レバーハンドル5は、その基部から延び出す把持部が使用者により掴まれて上下左右に動かされることで、水栓本体2の内部に組み込まれた湯水混合用のカートリッジCを操作する。
【0017】
具体的には、レバーハンドル5は、使用者により把持部が左右方向に動かされることで、上記カートリッジCを操作して、水栓本体2の内部に取り込まれる湯水の各取込口の開度を変化させる。それにより、水栓本体2の内部に取り込まれて混合される湯水の混合割合が、レバーハンドル5の操作位置に応じた設定温度となるように調節される。
【0018】
また、レバーハンドル5は、使用者により把持部が上下方向に動かされることで、上記カートリッジCを操作して、水栓本体2の内部から湯水を吐出する吐出口の開度を変化させる。それにより、水栓本体2の内部から吐出される湯水の量が、レバーハンドル5の操作位置に応じた吐出量となるように調節される。
【0019】
具体的には、上記吐出口は、レバーハンドル5の引き上げに伴いその開度が徐々に開かれるように操作され、レバーハンドル5の押し下げに伴いその開度が徐々に閉じられるように操作される。なお、上記カートリッジCによる湯水の混合割合の調節と吐水量の調節とに纏わる基本構成は、特開2020-46067号公報等の文献に開示された公知の構成と同一となっている。したがって、カートリッジCの具体的な構成についての説明は省略することとする。
【0020】
また、上述した湯水の吐水/止水の切り替えは、水栓本体2から図示手前上方に向かって延び出す吐水管3の先端部に取り付いた吐水ヘッド4の手前側面にある手かざしセンサ7に対する手の差し出しによって行うことが可能とされる。手かざしセンサ7は、使用者の手がその正面に差し出されることで、手の差し出しを非接触で検出することが可能な反射型の光電センサ(赤外線センサ)から成る。ここで、手かざしセンサ7が、本発明の「操作検出部」に相当する。
【0021】
手かざしセンサ7は、後述する水栓本体2の吐水管3と吐水ヘッド4とに跨って設けられる給電通信部8を通じて、その検出信号が水栓本体2の下部に設けられる制御部12へと送信される構成とされる。制御部12は、手かざしセンサ7から送信される受光量の検出信号に基づき、手かざしセンサ7に使用者の手が差し出されたか否かを判定する。制御部12において使用者の手が手かざしセンサ7に差し出されたものと判定された場合には、制御部12から水栓装置1の吐水経路を成す後述するフレキシブルホース6に介設された不図示の電磁弁に制御信号が送信され、電磁弁の開弁/閉弁が切り替えられる。
【0022】
制御部12は、手かざしセンサ7から受ける検出信号に基づき、吐水の判定をして電磁弁を開弁した後には、その後に検出信号に基づく止水の判定をするまでの間は、電磁弁を開弁したままの状態にする。したがって、初期の止水状態から、使用者が手かざしセンサ7に手をかざすことにより、湯水の吐水状態を連続吐水の状態に切り替えることができる。
【0023】
「連続吐水」とは、使用者が手かざしセンサ7から手を引いても吐水をやめることなく継続する吐水形態である。なお、制御部12は、吐水状態を連続吐水に切り替えた後、30分又は1時間等の長時間が経過しても止水判定をする検出信号が入力されない場合には、電磁弁に閉弁の制御信号を送信して自動止水をするような止水制御を行う構成とされていても良い。
【0024】
上記制御部12は、吐水状態が止水、すなわち電磁弁が閉弁されている状態から、使用者が手かざしセンサ7に手をかざすことにより、吐水状態を連続吐水に切り替える。また、制御部12は、吐水状態が連続吐水、すなわち電磁弁が開弁されている状態から、使用者が手かざしセンサ7に手をかざすことにより、吐水状態を止水に切り替える。
【0025】
上記のような手かざしセンサ7への手の差し出しの度に吐水/止水の切り替えを行う制御は、制御部12において電磁弁の開弁/閉弁の状態を示す制御フラグを用いた切り替え制御を行うことで可能とされる。
【0026】
吐水ヘッド4は、吐水管3の図示手前側の先端部に対し、凹凸の嵌合により吐水管3の管軸方向に着脱可能となるように取り付けられている。吐水ヘッド4は、図1に示す吐水管3の先端部への装着状態から、使用者がその外周部を手で掴んで図示手前側へと引張ることにより、図2に示すように吐水管3の先端部との嵌合状態から外される。吐水管3は、水栓本体2から一体的に延び出す水栓本体2の一部として構成される。
【0027】
吐水ヘッド4は、その図示奥側の端部に接続されたフレキシブルホース6を介して、上述した水栓本体2の内部のカートリッジCの吐出口と流路が接続されている。フレキシブルホース6は、吐水ヘッド4の図示奥側の端部から吐水管3の管内を通って上述した天板の下側へと一旦引き込まれ、そこから上向きに曲げ返されて上述した水栓本体2の内部のカートリッジCの吐出口と接続されている。
【0028】
上記接続により、水栓本体2の内部でカートリッジCの吐出口より吐出される湯水が、吐水管3の管内に通されたフレキシブルホース6の内部を通って吐水ヘッド4の底面部に形成された吐水口4Aから吐水されるようになっている。フレキシブルホース6は、吐水ヘッド4が吐水管3の先端部から図示手前側へと外されることに伴い、吐水管3の先端部から引き出される。また、フレキシブルホース6は、吐水ヘッド4が吐水管3の先端部に図示手前側から嵌め込まれるのに伴い、吐水管3の管内へと引き込まれる(図1参照)。
【0029】
図1に示すように、給電通信部8は、水栓本体2の吐水管3と吐水ヘッド4とに跨って設けられている。給電通信部8は、これらの間で電磁誘導によるワイヤレス給電を行うことが可能な構成とされる。また、給電通信部8は、吐水ヘッド4に設けられる手かざしセンサ7において検出した検出信号を、搬送波の変調を伴う電磁誘導により、水栓本体2側に設けられる制御部12に無線通信で送信することが可能な構成とされる。
【0030】
(給電通信部8)
以下、給電通信部8の具体的な構成について説明する。給電通信部8は、水栓本体2の吐水管3の先端部に内蔵される送電コイル11を備える送電ユニット10と、吐水ヘッド4の図示奥側の端部に内蔵される受電コイル21を備える受電ユニット20と、を有する。
【0031】
図3に示すように、送電ユニット10は、上記送電コイル11に加え、水栓本体2の下部に設置される制御部12と、電源プラグ13Aを介して不図示の商用電源に接続される電源部13と、を有する。制御部12は、不図示の演算処理部であるCPU、CPUによる実行プログラムを記憶するROM、一時的なデータ記憶部となるRAM、及びタイマ等の機能部を備える。電源部13は、いわゆるAC/DCコンバータから成り、不図示の商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して制御部12に供給する。
【0032】
受電ユニット20は、上記受電コイル21に加え、吐水ヘッド4の内部に組み込まれる制御部22と、受電コイル21のインピーダンスを変化させて搬送波を変調する負荷変調23と、を有する。制御部22は、不図示の演算処理部であるCPU、CPUによる実行プログラムを記憶するROM、一時的なデータ記憶部となるRAM、及びタイマ等の機能部を備える。受電ユニット20は、バッテリ等の電源部を備えない構成とされる。
【0033】
送電コイル11と受電コイル21とは、互いに吐水管3の管軸方向(図1参照)に対向して配置されている。具体的には、送電コイル11と受電コイル21とは、それぞれ、前述した吐水管3の内部を通って吐水ヘッド4と接続されるフレキシブルホース6を取り巻くようにコイル状に巻かれて配置されている。
【0034】
上記配置により、送電コイル11と受電コイル21とは、図1に示すように、吐水ヘッド4が吐水管3の先端部に装着されることで、互いに電磁結合されるように近接配置される構成とされる。また、図2に示すように、送電コイル11と受電コイル21とは、吐水ヘッド4が吐水管3の先端部から図示手前側に取り外されることで、互いの電磁結合が解消される構成とされる。
【0035】
送電ユニット10は、Qi規格又はPMA規格に基づく無線電力伝送により、送電コイル11から受電コイル21にワイヤレス給電を行う。具体的には、図3に示すように、送電ユニット10は、制御部12から1次側コイルである送電コイル11に高周波の交流電流を流すことで、電磁誘導作用により2次側コイルである受電コイル21に誘導電流を生じさせる。それにより、受電コイル21に接続された受電ユニット20の制御部22に電力が供給される。
【0036】
受電ユニット20の制御部22は、所定値以上の電力が供給されることで起動し、制御部22に電気接続された手かざしセンサ7への電力供給を行うと共に、手かざしセンサ7から返信される受光量の検出信号を受信する。そして、制御部22は、上記受信した手かざしセンサ7の検出信号を、受電コイル21と直列に繋がれた負荷変調23の制御により搬送波を変調した上で電磁誘導作用により受電コイル21から送電コイル11へと伝送して、送電ユニット10の制御部12へと送信する。
【0037】
したがって、設置スペースの狭い吐水ヘッド4にバッテリ等の電源部や給電用とは別の信号送信用の機器を設けることなく、上記のようなワイヤレス給電と無線通信とを行うことができる。なお、給電通信部8は、上記のような電力伝送及び情報伝送の効率を高めるために、送電ユニット10と受電ユニット20とを、送電コイル11と受電コイル21とにそれぞれ不図示のコンデンサを直列に繋いだLC共振回路にして構成しても良い。それにより、送電ユニット10と受電ユニット20との間で、磁界共鳴を伴う電磁誘導によりワイヤレス給電と無線通信とをより高効率に行うことが可能となる。
【0038】
以上をまとめると、第1の実施形態に係る水栓装置1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0039】
すなわち、水栓装置(1)は、水栓本体(2)と、水栓本体(2)に対して着脱可能に設けられる吐水ヘッド(4)と、を有する。水栓装置(1)は、更に、吐水ヘッド(4)に設けられ、使用者による吐水状態の変更操作を検出可能な操作検出部(7)と、水栓本体(2)に設けられる送電コイル(11)を備える送電ユニット(10)、及び吐水ヘッド(4)に設けられる受電コイル(21)を備える受電ユニット(20)を備える給電通信部(8)と、を有する。
【0040】
給電通信部(8)は、吐水ヘッド(4)の水栓本体(2)への装着に伴い送電コイル(11)と受電コイル(21)とが互いに電磁結合されて、送電コイル(11)から受電コイル(21)に受電ユニット(20)及び操作検出部(7)を駆動するための電力を電磁誘導により伝送すると共に、操作検出部(7)で検出される検出信号を搬送波の変調を伴う電磁誘導により受電コイル(21)から送電コイル(11)へと伝送する。
【0041】
上記構成によれば、吐水ヘッド(4)の水栓本体(2)への装着により、給電通信部(8)の送電コイル(11)と受電コイル(21)とが互いに電磁結合される。それにより、送電ユニット(10)から受電ユニット(20)及び操作検出部(7)へのワイヤレス給電が可能となると共に、操作検出部(7)の検出信号の送電ユニット(10)への伝送が可能となる。このような給電通信部(8)を用いた構成により、水栓本体(2)と吐水ヘッド(4)との間でワイヤレス給電と無線通信とを合理的に行うことが可能となる。
【0042】
また、給電通信部(8)が、吐水ヘッド(4)の水栓本体(2)からの取り外しに伴い上記の電磁結合が解消される構成とされる。操作検出部(7)が、使用者の手の差し出しを検出した検出信号に基づいて手の差し出しの度に吐水状態を手が引かれても吐水を続ける連続吐水と止水とに切り替える吐水制御を行うための非接触式の手かざしセンサ(7)とされる。
【0043】
上記構成によれば、使用者が操作検出部(7)に直接手で触れることなく吐水/止水の切り替え操作を簡便に行うことが可能となる。なおかつ、使用者が吐水ヘッド(4)を手で掴んで水栓本体(2)から取り外した時には、手かざしセンサ(7)による手の差し出しの検出を無効化して、吐水ヘッド(4)の引き出し時に意図せず吐水/止水が切り替えられる誤検出を防止することができる。
【0044】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0045】
1.本発明の水栓装置は、吐水量や温度の調節を行うレバーハンドルを備えない自動水栓として構成されるものであっても良い。また、水栓装置は、湯水を吐水する混合水栓の他、水のみを吐水する単水栓として構成されるものであっても良い。また、水栓装置は、キッチンの他、洗面台や浴室に設置されるものであっても良い。
【0046】
2.上記実施形態では、操作検出部の検出信号に基づき吐水状態を連続吐水と止水とに切り替える構成を例示した。しかし、操作検出部の検出信号に基づく吐水状態の切り替えは、吐水状態をストレート吐水、シャワー吐水、気泡を含んだ水撥ねしにくい泡沫吐水及び浄水のうちのいずれか2つあるいは3つ以上の状態に切り替えるものであっても良い。
【0047】
また、操作検出部の検出信号に基づく吐水状態の切り替えは、吐水量の大小や吐水温度の高低を段階的に切り替えるものであっても良い。このような吐水量の大小や吐水温度の高低を段階的に切り替えられるようにする具体的な構成例としては、水栓本体の内部に組み込まれる湯水混合用のカートリッジ(特開2020-46067号公報等の文献参照)を、ステッピングモータを利用したパルス制御によって電動操作する構成が挙げられる。
【0048】
すなわち、湯水混合用のカートリッジの操作栓棒(湯水の混合割合や吐水量の調節を行うための回転式の操作栓棒)を、ステッピングモータを利用したパルス制御によって一定角度ずつ回転させるように操作制御することで、上記のような段階的な切り替え操作を行うことが可能となる。
【0049】
3.使用者による吐水状態の変更操作を検出可能な操作検出部は、手かざしセンサの他、押ボタン式或いはスライド操作式等の接点式の操作スイッチから成るものであっても良い。
【0050】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
1…水栓装置、2…水栓本体、3…吐水管、4…吐水ヘッド、4A…吐水口、5…レバーハンドル、6…フレキシブルホース、7…手かざしセンサ(操作検出部)、8…給電通信部、10…送電ユニット、11…送電コイル、12…制御部、13…電源部、13A…電源プラグ、20…受電ユニット、21…受電コイル、22…制御部、23…負荷変調、C…カートリッジ
図1
図2
図3