(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159669
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】マントルクローク組み込みレドーム
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/42 20060101AFI20231025BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20231025BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H01Q1/42
H01Q15/14 B
H01Q1/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069516
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000173658
【氏名又は名称】公益財団法人国際科学振興財団
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】田所 眞人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 輝規
(72)【発明者】
【氏名】道下 尚文
【テーマコード(参考)】
5J020
5J046
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020AA06
5J020BA04
5J020BC09
5J020BD04
5J046AA12
5J046AB07
5J046RA03
5J046UA07
(57)【要約】
【課題】アンテナ間の相互結合による干渉を有効に抑制できる実装が容易なレドームを提供する。
【解決手段】マントルクローク組み込みレドーム(10)は、アンテナ(101)を覆い周囲環境から保護するレドームであって、レドーム本体(101)と、レドーム本体上に設けられた複数の導体ストリップ(103)からなるマントルクローク層と、からなる。レドーム本体(101)の誘電率、厚さおよび導体ストリップ103の幅(w)の少なくとも1つを調整してアンテナ(101)の反射損失特性を変更することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを覆い周囲環境から保護するレドームであって、
レドーム本体と、
前記レドーム本体上に設けられた複数の導体ストリップからなるマントルクローク層と、
からなることを特徴とするマントルクローク組み込みレドーム。
【請求項2】
前記レドーム本体の誘電率、厚さおよび前記導体ストリップの幅の少なくとも1つを調整して前記アンテナの反射損失特性を変更することを特徴とする請求項1に記載のマントルクローク組み込みレドーム。
【請求項3】
前記レドーム本体の誘電率、厚さおよび前記導体ストリップの幅の少なくとも1つを調整して、前記アンテナの使用周波数で反射損失を最小にし、前記アンテナに近接する他のアンテナの使用周波数で反射損失を最大にすることを特徴とする請求項1または2に記載のマントルクローク組み込みレドーム。
【請求項4】
前記複数の導体ストリップが、スパッタリング、蒸着、導体箔の貼り付け、導体層のエッチング、導体塗料の塗布を含むいずれかの方法により、前記レドーム本体上に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のマントルクローク組み込みレドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ間の相互結合による干渉を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線端末の小型化に伴い複数のアンテナが近接して配置される場合が多くなっている。特に複数のアンテナで使用される周波数が近接していると、相互結合による干渉が双方のアンテナ放射パターンを大きく歪ませ、当初のアンテナ性能が発揮できない原因となる。このような干渉を抑制する方法はこれまでに多く提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1には携帯電話機に複数のアンテナの位置関係を調整する機構を設けアンテナの干渉を抑制する方法が開示されている。特許文献2には携帯電話機内の高周波回路にLC並列共振回路を設けることで近接配置されたアンテナの利得劣化を抑制する方法が開示されている。
【0004】
また他の方法として、非特許文献1には電磁波を制御するマントルクロークでアンテナを覆うことによりアンテナ間の相互結合を低減する方法が提案されている。なお、障害を生じされる物体を隠し、あたかも存在しないような場(電場等)を周囲に提供する技術をクローキングといい、適切に設計されたリアクタンス層でアンテナを外套(マントル)のように覆い電磁波を制御する簡易なクローキング手法をマントルクロークという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-063523号公報
【特許文献2】特開2013-110473号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】グェン タイン ビン、道下 尚文、森下 久、宮崎輝規、田所 眞人による論文「マントルクロークを用いたダイポールアンテナ間相互結合低減」(電子情報通信学会技報 vol.121, no. 34, AP2021-10, pp.7-11, 2021年5月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1および2に開示された干渉抑制方法では携帯電話機内に特別な機構あるいは回路を設ける必要があるために小型化が阻害され、その結果アンテナ設置のための空間の効率的な利用ができない。
【0008】
また上記非特許文献1に開示されたマントルクロークでアンテナを覆う方法は、所定厚さの誘電体をアンテナ自体に積層させるために実装が困難であり、また十分な耐環境性も得にくい。
【0009】
耐環境性の向上にはアンテナをレドームで被覆して保護する方法が採用されるが、通常、レドームの目的は透過周波数帯での良好な透過特性に向けられており、アンテナ間の相互結合による干渉抑制を目的としていない。
【0010】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、アンテナ間の相互結合による干渉を有効に抑制できる実装が容易なレドームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため本発明の一実施の形態によるマントルクローク組み込みレドームは、アンテナを覆い周囲環境から保護するレドームであって、レドーム本体と、前記レドーム本体上に設けられた複数の導体ストリップからなるマントルクローク層と、からなることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態によれば、前記レドーム本体の誘電率、厚さおよび前記導体ストリップの幅の少なくとも1つを調整して前記アンテナの反射損失特性を変更することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、前記レドーム本体の誘電率、厚さおよび前記導体ストリップの幅の少なくとも1つを調整して、前記アンテナの使用周波数で反射損失を最小にし、前記アンテナに近接する他のアンテナの使用周波数で反射損失を最大にすることができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、前記複数の導体ストリップが、スパッタリング、蒸着、導体箔の貼り付け、導体層のエッチング、導体塗料の塗布を含むいずれかの方法により、前記レドーム本体上に形成され得る。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明の一実施の形態によれば、レドームをアンテナに実装するだけでアンテナ間の相互結合による干渉を容易に抑制することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、レドーム本体の誘電率、厚さおよび前記導体ストリップの幅の少なくとも1つを調整することでアンテナの反射損失特性を変更し、アンテナ間の相互結合による干渉を容易に抑制することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、レドーム本体の誘電率、厚さおよび前記導体ストリップの幅の少なくとも1つを調整することで自アンテナの反射損失を小さく他アンテナの反射損失を大きくすることができ、近接した周波数で運用するアンテナを近接配置することが可能になり、従来よりもアンテナを稠密に配置しスペースを効率利用することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、レドーム本体上にスパッタリング、蒸着、導体箔の貼り付け、導体層のエッチング、導体塗料の塗布を含むいずれかの方法により導体ストリップを形成できるので、マントルクローク層の特性を容易に調整することができる。
また、適宜設計したマントルクローク組み込みレドームを交換するだけで容易にアンテナの性能変更が可能になる。またアンテナにマントルクローク組み込みレドームを実装することで、アンテナの性能変更だけでなくアンテナ全体に優れた耐環境性を付与こともできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)は本発明の一実施形態によるマントルクローク組み込みレドームの模式的平面図、(B)はそのI-I線断面図、(C)はそのII-II線断面図である。
【
図2】レドームなしのマントルクロークアンテナの概略的構成を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態によるマントルクローク組み込みレドームに覆われたダイポールアンテナと
図2に示すマントルクロークアンテナとの構成上の差異を説明するための図である。
【
図4】
図2に示すマントルクロークアンテナと本実施形態によるマントルクローク組み込みレドームに覆われたダイポールアンテナの周波数に対する反射損失をアンテナ長Lをパラメータとして示すグラフである。
【
図5】本実施形態によるマントルクローク組み込みレドームに覆われたダイポールアンテナの周波数に対する反射損失を導体スプリット幅wをパラメータとして示すグラフである。
【
図6】本実施形態によるマントルクローク組み込みレドームに覆われたダイポールアンテナの周波数に対する反射損失を比誘電率εをパラメータとして示すグラフである。
【
図7】所定のパラメータに設定したときの本実施形態によるマントルクローク組み込みレドームに覆われたダイポールアンテナの周波数に対する反射損失を示すグラフである。
【
図8】本実施形態によるマントルクローク組み込みレドームに覆われたダイポールアンテナを他のアンテナと近接させた場合の干渉抑制効果を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態ではダイポールアンテナを例示するが、これに限定されるものではない。また図示されたマントルクローク組み込みレドームの構成要素、それらの寸法、および図示された構成要素間のサイズ比は説明の便宜のための例示であって、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨ではない。
【0015】
1.マントルクローク構成
図1に例示するように、本発明の一実施形態によるマントルクローク組み込みレドーム10は、ダイポールアンテナ101を覆うレドーム本体(以下、シェルという。)102と、シェル102上にマントルクローク層として設けられた複数の導体ストリップ103とからなる。ダイポールアンテナ101は2つのダイポールアンテナ素子からなり、その間の給電点スペースにダイポールアンテナ101の給電部104が設けられている。
【0016】
シェル102は、ダイポールアンテナ101を覆い周囲環境から保護するものであり、後述するマントルクローク設計に従った誘電率を有する誘電体で構成される。ダイポールアンテナ101はシェル102の中空部に着脱可能に収容され、シェル102の内壁に接触しても所定距離だけ離れていてもよい。ここではシェル102がダイポールアンテナ101の全体を覆っているが、各アンテナ要素を別々に覆う分割型であっても良い。
【0017】
マントルクローク層を構成する複数の導体ストリップ103の各々は、ダイポールアンテナ101の長手方向に延びた所定の幅の矩形状を有する。nを2以上の整数とすれば、n本の導体ストリップ103は2つのダイポールアンテナ素子を取り巻くシェル102の外周に等間隔で設けられる。導体ストリップ103の本数nは、シェル102の外周長(ダイポールアンテナ素子の半径およびシェル102の厚さにより決定される長さ)、導体ストリップ103の幅および導体ストリップ間の間隔により決定される。なお
図1(C)において導体ストリップ103の厚さは図面で明示するために強調されており、実際の導体ストリップ103の厚さを示すものではない。
【0018】
複数の導体ストリップ103は導体材料のスパッタリングや蒸着、導体箔の貼り付け、シェル102上の導体層のエッチング、あるいは導電塗料の塗布等により形成することができる。さらに複数の導体ストリップ103を設けたシェル102の外面を塗装して耐環境性を向上させてもよい。
【0019】
以下、ダイポールアンテナ101のアンテナ長をL、半径をr、ダイポールアンテナ101の給電点スペース(アンテネ素子の間隔)をg、シェル102の厚さをt、各導体ストリップ103の幅をw、導体ストリップ間の間隔をdとし、またシェル102の誘電体の比誘電率をεとする。また円筒形状のシェル102の中空部にダイポールアンテナ101が収納されるものとする。
【0020】
2.マントルクローク設計
以下、ダイポールアンテナを例としてレドーム10のマントルクロークの設計方法について説明する。
【0021】
ダイポールアンテナ101にマントルクロークを適用する形態では、種々のパラメータを調整することで所望の特性を得ることができる。パラメータとしては、アンテナ長さL、アンテナ半径r、アンテナ素子間隔g、アンテナ素子を被覆する誘電体の比誘電率ε、シェルの誘電体厚さt、導体ストリップの本数n、導体ストリップ幅w、導体ストリップ幅wと間隔dの比(w/d)等がある。これらのパラメータを調整して、以下に述べるように、自アンテナの使用周波数で反射損失S11が最小になり最大限放射効率を上げ、近隣アンテナの使用周波数でS11が最大になり感度を極小化する設計が可能となる。
【0022】
以下、アンテナ長L、導体ストリップ102のストリップ幅wを変化させた場合の反射損失S11の周波数特性を例示する。
【0023】
図2に例示するように、長さLのマントルクロークアンテナ20には、各ダイポールアンテナ素子201の側面に厚さtの誘電体を積層し、その上に幅wの複数の導体ストリップ202を形成したマントルクロークが設けられている。またマントルクロークアンテナ20のアンテナ素子201の間の給電点スペースgにはマントルクロークアンテナ20の給電部203が設けられている。以下、
図3に示すように、このようなマントルクロークアンテナ20をレドーム化し、
図1に示すレドーム10により覆われたダイポールアンテナ101を構成した場合を考える。
【0024】
図3において、
図2に示すマントルクロークアンテナ20と、それをレドーム化したダイポールアンテナ101とは、以下に示すようにパラメータを調整することで同等の性能を達成することができる。
【0025】
図4に示すグラフは、ダイポールアンテナの半径r=10mm、シェル102の厚さt=2mmおよび比誘電率ε=8、アンテナ素子間隔g=46mm、導体ストリップ幅w=4.19mmとし、レドームの有無およびアンテナ長Lをパラメータとした反射損失(S11)の周波数特性を示す。ここでは電磁界解析ソフトウエア「Feko」(登録商標)を用いて解析を行った(以下同様。)。
図4に示すように、長さL=195mmのマントルクロークアンテナ20のS11の周波数特性と、同じ長さのレドーム化したダイポールアンテナ101のS11の周波数特性とは若干異なっている。しかしながらレドーム化したダイポールアンテナ101の長さLを195mmから192mmに調整すると、ほぼ同等な性能を達成できることが分かる。
【0026】
また、レドーム化したダイポールアンテナ101の長さLを192、195、198[mm]と変化させると、S11の極小値を示す周波数301と極大値を示す周波数302とがほぼ同じ周波数差でシフトすることがわかる。
【0027】
図5に示すグラフは導体ストリップ幅wをパラメータとした反射損失(S11)の周波数特性を示す。この場合、ダイポールアンテナの半径r=10mm、アンテナ長L=211mm、シェル102の厚さt=2mmおよび比誘電率ε=10およびアンテナ素子間隔g=46mm、導体ストリップ本数nを一定数にそれぞれ固定されている。
【0028】
図5に示すように、導体ストリップ幅wを3.14、4.19、5.24[mm]と変化させると、S11の極小値を示す周波数303と極大値を示す周波数304とがほぼ同じ周波数差でシフトすることがわかる。このように導体ストリップ幅wを調整するだけでS11極小値の周波数303を自アンテナの使用周波数に、S11極大値の周波数304を近隣アンテナの使用周波数にそれぞれ一致させることができる。これにより自アンテナの電波の反射損失を小さく、他アンテナの電波の反射損失を大きくすることができ、アンテナ間の相互結合による干渉を抑制できる。
【0029】
特に本実施形態によるマントルクローク組み込みレドーム10はシェル102上に複数の導体ストリップ103を設けているので導体ストリップ103の幅wの調整が容易である。S11極小値の周波数303とS11極大値の周波数304とを自アンテナの使用周波数と他アンテナの使用周波数とにそれぞれ配置することが極めて容易となる。また適宜導体ストリップ幅wを設計したレドーム10を交換することで容易に性能変更が可能になる。
【0030】
図5は導体ストリップ幅wを調整した例であるが、本実施形態によるマントルクローク組み込みレドーム10はシェル102の誘電体の比誘電率ε、シェルの誘電体厚さt、導体ストリップの本数nおよび導体ストリップ幅wと間隔dの比(w/d)のうち少なくとも1つを調整することで、容易にアンテナ性能の変更が可能である。
【0031】
図6に示すグラフはシェル102の誘電体の比誘電率εをパラメータとした反射損失(S11)の周波数特性を示す。この場合、ダイポールアンテナの半径r=10mm、アンテナ長L=211mm、シェル102の厚さt=2mm、導体ストリップ幅w=4.19mm、アンテナ素子間隔g=46mm、導体ストリップ本数nを一定数にそれぞれ固定されている。
【0032】
図6に示すように、シェル102の比誘電率ε
r=6の場合、S11の極小値および極大値を示す周波数はそれぞれ周波数305および306であり、この極小値および極大値を示す周波数の組は比誘電率ε
r=8の場合には周波数307および308、ε
r=10の場合には周波数309および310と変化する。このようにシェル102の比誘電率εを決定するだけでS11極小値の周波数を自アンテナの使用周波数に、S11極大値の周波数を近隣アンテナの使用周波数にそれぞれ一致させることができる。これにより自アンテナの電波の反射損失を小さく、他アンテナの電波の反射損失を大きくすることができ、アンテナ間の相互結合による干渉を抑制できる。
【0033】
3.適用例
図7に例示するように、ダイポールアンテナ101の半径r=10mm、アンテナ長L=192mm、シェル102の厚さt=2mmおよび比誘電率ε=8、アンテナ素子間隔g=46mm、導体ストリップ幅w=4.19mmとした場合、S11極小値の周波数305を自アンテナの使用周波数f1に、S11極大値の周波数306を他アンテナの使用周波数f2にそれぞれ一致させる。ここでは自アンテナの使用周波数f1=750MHz、他アンテナの使用周波数f2=720MHzである。本実施形態によるマントルクローク組み込みレドーム10は、自アンテナの電波の反射損失が極小値となり、他アンテナの電波の反射損失が極大値となるので、周波数差30MHzであってもアンテナ間の相互結合による干渉を抑制することができる。以下、本実施形態によるマントルクローク組み込みレドーム10を一方のアンテナの使用周波数がf1、他方のアンテナの使用周波数がf2の場合に適用した例を説明する。
【0034】
図8において、マントルクローク組み込みレドーム10aは、自アンテナの使用周波数がf1、他方のアンテナの使用周波数がf2となるように設定されたマントルクローク組み込みレドーム10である。同様に、マントルクローク組み込みレドーム10bは、自アンテナの使用周波数がf2、他方のアンテナの使用周波数がf1となるように設定されたマントルクローク組み込みレドーム10である。
【0035】
マントルクローク組み込みレドーム10aと10bとの距離Dを変化させて双方のアンテナ放射パターンを解析すると、D=40mmまで接近させても放射パターンが大きく歪むことなく当初のアンテナ性能を維持できた。本実施形態によるマントルクローク組み込みレドーム10を用いることで複数のアンテナを近接配置可能となりスペースを効率利用できる。
【0036】
4.効果
以上述べたように、本実施形態によるマントルクローク組み込みレドーム10を実装することでアンテナ間の相互結合による干渉を抑制することができ、近接した周波数で運用するアンテナを近接配置することが可能になる。したがって、従来よりもアンテナを稠密に配置しスペースを効率利用することができる。
【0037】
また、マントルクローク組み込みレドーム10をアンテナに取り付けるだけで所望の反射損失特性を設定することができる。したがって、適宜設計したマントルクローク組み込みレドーム10を交換することで容易にアンテナの性能変更が可能になる。またアンテナにマントルクローク組み込みレドーム10を実装することで、アンテナの性能変更だけでなくアンテナ全体に優れた耐環境性を付与できるという利点もある。
【0038】
なお、上述した実施形態および適用例では、円柱型のダイポールアンテナを例示したが、本発明は円柱型に限定されるものではなく、たとえば四角柱型のダイポールアンテナであっても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0039】
10、10a、10b マントルクローク組み込みレドーム
20 レドームなしのマントルクロークアンテナ
101 ダイポールアンテナ
102 シェル(レドーム本体)
103 導体ストリップ
104 給電部
201 ダイポールアンテナ
202 導体ストリップ
203 給電部