(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159682
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B63H 25/42 20060101AFI20231025BHJP
B63H 25/04 20060101ALI20231025BHJP
B63H 21/21 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B63H25/42 G
B63H25/04 D
B63H21/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069542
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】徳重 潤
(72)【発明者】
【氏名】津田 悠登
(72)【発明者】
【氏名】秋田 まり乃
(57)【要約】
【課題】船舶定点保持モード中における船舶の不安定な挙動を抑制する。
【解決手段】船舶は、アクチュエータと、操作部と、船舶制御装置と、時間計測部と、実船舶位置を検出する船舶位置検出部とを備え、船舶制御装置は、入力操作に応じてアクチュエータを作動させる通常操作モードと、入力操作の必要なくアクチュエータを作動させる船舶定点保持モードとを有し、船舶定点保持モード中に、船舶制御装置は目標船舶位置と実船舶位置との偏差に基づいてアクチュエータを作動させ、時間計測部は実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に時間の計測を開始し、時間計測開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が目標船舶位置を含む船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に船舶制御装置は船舶定点保持モードを中止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の推力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる機能を有する船舶制御装置と、
時間の計測を行う時間計測部と、
前記船舶の実際の位置である実船舶位置を検出する船舶位置検出部とを備え、
前記船舶制御装置は、
前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる通常操作モードと、
前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる船舶定点保持モードとを有し、
前記船舶定点保持モード中に、
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モード中の前記船舶の目標位置である目標船舶位置と前記実船舶位置との偏差に基づいて、前記アクチュエータを作動させ、
前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止する、
船舶。
【請求項2】
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む時間計測リセット判定エリア内に戻った場合に、前記時間計測部は、前記時間計測部による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする、
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記船舶の船首方位を検出する船首方位検出部を備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モードの開始時に前記船舶位置検出部によって検出された前記実船舶位置を前記船舶定点保持モード中の前記目標船舶位置に設定し、前記目標船舶位置を含む保持OKエリアを設定し、前記保持OKエリアの周りに方位制御エリアを設定し、前記方位制御エリアの周りに回帰制御エリアを設定し、
前記時間計測開始判定エリアは、前記保持OKエリアおよび前記方位制御エリアによって構成され、前記船舶定点保持モード中止判定エリアおよび前記時間計測リセット判定エリアは、前記保持OKエリアによって構成され、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記保持OKエリアから前記方位制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記船首方位検出部による前記船舶の船首方位の検出結果と前記実船舶位置と前記目標船舶位置とに基づいて、前記船舶の船首または船尾が前記目標船舶位置に向くように前記アクチュエータを作動させる方位保持制御を開始し、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記方位制御エリアから前記回帰制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記実船舶位置を前記保持OKエリア内に戻す回帰制御を開始し、
前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記方位制御エリアから前記回帰制御エリアに移動した瞬間に、時間の計測を開始し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記保持OKエリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記保持OKエリア内に戻った場合に、前記時間計測部は、前記時間計測部による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする、
請求項2に記載の船舶。
【請求項4】
前記船舶の船首方位を検出する船首方位検出部を備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モードの開始時に前記船舶位置検出部によって検出された前記実船舶位置を前記船舶定点保持モード中の前記目標船舶位置に設定し、前記目標船舶位置を含む保持OKエリアを設定し、前記保持OKエリアの周りに方位制御エリアを設定し、前記方位制御エリアの周りに回帰制御エリアを設定し、
前記時間計測開始判定エリア、前記船舶定点保持モード中止判定エリアおよび前記時間計測リセット判定エリアは、前記保持OKエリアによって構成され、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記保持OKエリアから前記方位制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記船首方位検出部による前記船舶の船首方位の検出結果と前記実船舶位置と前記目標船舶位置とに基づいて、前記船舶の船首または船尾が前記目標船舶位置に向くように前記アクチュエータを作動させる方位保持制御を開始し、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記方位制御エリアから前記回帰制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記実船舶位置を前記保持OKエリア内に戻す回帰制御を開始し、
前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記保持OKエリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記保持OKエリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記保持OKエリア内に戻った場合に、前記時間計測部は、前記時間計測部による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする、
請求項2に記載の船舶。
【請求項5】
前記船舶制御装置が前記船舶定点保持モードを中止した場合に前記船舶定点保持モードが中止されたことを通知する通知部を備える、
請求項1に記載の船舶。
【請求項6】
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モードを中止する場合に、前記船舶定点保持モードから前記通常操作モードへの切り替えを実行する、
請求項1に記載の船舶。
【請求項7】
前記船舶の船首方位を検出する船首方位検出部を備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モードの開始時に前記船舶位置検出部によって検出された前記実船舶位置を前記船舶定点保持モード中の前記目標船舶位置に設定し、前記目標船舶位置を含む保持OKエリアを設定し、前記保持OKエリアの周りに方位制御エリアを設定し、前記方位制御エリアの周りに回帰制御エリアを設定し、
前記時間計測開始判定エリア、前記船舶定点保持モード中止判定エリアおよび前記時間計測リセット判定エリアは、前記方位制御エリアによって構成され、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記保持OKエリアから前記方位制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記船首方位検出部による前記船舶の船首方位の検出結果と前記実船舶位置と前記目標船舶位置とに基づいて、前記船舶の船首または船尾が前記目標船舶位置に向くように前記アクチュエータを作動させる方位保持制御を開始し、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記方位制御エリアから前記回帰制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置が、前記実船舶位置を前記保持OKエリア内に戻す回帰制御を開始し、
前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記方位制御エリアから前記回帰制御エリアに移動した瞬間に、時間の計測を開始し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記回帰制御エリアから前記方位制御エリアに移動しない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記回帰制御エリアから前記方位制御エリアに移動した場合に、前記時間計測部は、前記時間計測部による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする、
請求項2に記載の船舶。
【請求項8】
前記船舶の船首方位を検出する船首方位検出部を備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モードの開始時に前記船舶位置検出部によって検出された前記実船舶位置を前記船舶定点保持モード中の前記目標船舶位置に設定し、前記目標船舶位置を含む保持OKエリアを設定し、前記保持OKエリアの周りに回帰制御エリアを設定し、
前記時間計測開始判定エリア、前記船舶定点保持モード中止判定エリアおよび前記時間計測リセット判定エリアは、前記保持OKエリアによって構成され、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記目標船舶位置からずれた場合に、前記船舶制御装置は、前記船首方位検出部による前記船舶の船首方位の検出結果と前記実船舶位置と前記目標船舶位置とに基づいて、前記船舶の船首または船尾が前記目標船舶位置に向くように前記アクチュエータを作動させる方位保持制御を開始し、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記保持OKエリアから前記回帰制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記実船舶位置を前記保持OKエリア内に戻す回帰制御を開始し、
前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記保持OKエリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記保持OKエリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記保持OKエリア内に戻った場合に、前記時間計測部は、前記時間計測部による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする、
請求項2に記載の船舶。
【請求項9】
前記船舶の船首方位を検出する船首方位検出部を備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モードの開始時に前記船舶位置検出部によって検出された前記実船舶位置を前記船舶定点保持モード中の前記目標船舶位置に設定し、前記目標船舶位置を含む保持OKエリアを設定し、前記保持OKエリアの周りに方位制御エリアを設定し、前記方位制御エリアの周りに回帰制御エリアを設定し、
前記時間計測開始判定エリアおよび前記船舶定点保持モード中止判定エリアは、前記方位制御エリアによって構成され、前記時間計測リセット判定エリアは、前記保持OKエリアによって構成され、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記保持OKエリアから前記方位制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記船首方位検出部による前記船舶の船首方位の検出結果と前記実船舶位置と前記目標船舶位置とに基づいて、前記船舶の船首または船尾が前記目標船舶位置に向くように前記アクチュエータを作動させる方位保持制御を開始し、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記方位制御エリアから前記回帰制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記実船舶位置を前記保持OKエリア内に戻す回帰制御を開始し、
前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記方位制御エリアから前記回帰制御エリアに移動した瞬間に、時間の計測を開始し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記方位制御エリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記保持OKエリア内に戻った場合に、前記時間計測部は、前記時間計測部による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする、
請求項2に記載の船舶。
【請求項10】
前記船舶の船首方位を検出する船首方位検出部を備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モードの開始時に前記船舶位置検出部によって検出された前記実船舶位置を前記船舶定点保持モード中の前記目標船舶位置に設定し、前記目標船舶位置を含む保持OKエリアを設定し、前記保持OKエリアの周りに方位制御エリアを設定し、前記方位制御エリアの周りに回帰制御エリアを設定し、
前記時間計測開始判定エリアおよび前記時間計測リセット判定エリアは、前記保持OKエリアによって構成され、前記船舶定点保持モード中止判定エリアは、前記方位制御エリアによって構成され、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記保持OKエリアから前記方位制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記船首方位検出部による前記船舶の船首方位の検出結果と前記実船舶位置と前記目標船舶位置とに基づいて、前記船舶の船首または船尾が前記目標船舶位置に向くように前記アクチュエータを作動させる方位保持制御を開始し、
前記船舶定点保持モード中に、前記実船舶位置が前記方位制御エリアから前記回帰制御エリアに移動した場合に、前記船舶制御装置は、前記実船舶位置を前記保持OKエリア内に戻す回帰制御を開始し、
前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記保持OKエリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始し、
前記実船舶位置が前記方位制御エリアから前記回帰制御エリアに移動した場合であって、前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに、前記回帰制御エリアに移動した前記実船舶位置が前記方位制御エリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から前記指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記保持OKエリア内に戻った場合に、前記時間計測部は、前記時間計測部による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする、
請求項2に記載の船舶。
【請求項11】
前記船舶の船首方位を検出する船首方位検出部を備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モードを中止する場合に、前記船舶定点保持モードから、前記船舶制御装置が、前記船首方位検出部による前記船舶の船首方位の検出結果と前記実船舶位置と前記目標船舶位置とに基づいて、前記船舶の船首または船尾が前記目標船舶位置に向くように前記アクチュエータを作動させる方位保持制御を実行する方位保持モードへの切り替えを実行する、
請求項1に記載の船舶。
【請求項12】
前記船舶制御装置が、前記船舶定点保持モードから前記通常操作モードへの切り替えを実行した後、
前記操作部が前記船舶定点保持モードを開始する入力操作を受け付ける必要なく、
前記船舶制御装置が、前記通常操作モードから前記船舶定点保持モードへの切り替えを実行する、
請求項6に記載の船舶。
【請求項13】
前記船舶制御装置が、前記船舶定点保持モードから方位保持モードへの切り替えを実行した後、
前記操作部が前記船舶定点保持モードを開始する入力操作を受け付ける必要なく、
前記船舶制御装置が、前記方位保持モードから前記船舶定点保持モードへの切り替えを実行する、
請求項11に記載の船舶。
【請求項14】
船舶の推力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、
時間の計測を行う時間計測部と、
前記船舶の実際の位置である実船舶位置を検出する船舶位置検出部とを備える前記船舶に備えられ、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる機能を有する船舶制御装置であって、
前記船舶制御装置は、
前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる通常操作モードと、
前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる船舶定点保持モードとを有し、
前記船舶定点保持モード中に、
前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モード中の前記船舶の目標位置である目標船舶位置と前記実船舶位置との偏差に基づいて、前記アクチュエータを作動させ、
前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始し、
前記時間計測部による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止する、
船舶制御装置。
【請求項15】
船舶の推力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、
時間の計測を行う時間計測部と、
前記船舶の実際の位置である実船舶位置を検出する船舶位置検出部とを備える前記船舶に備えられ、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる機能を有する船舶制御装置の船舶制御方法であって、
前記船舶制御装置は、
前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる通常操作モードと、
前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる船舶定点保持モードとを有し、
前記船舶定点保持モード中に、前記船舶制御装置が、前記船舶定点保持モード中の前記船舶の目標位置である目標船舶位置と前記実船舶位置との偏差に基づいて、前記アクチュエータを作動させる第1ステップと、
前記船舶定点保持モード中に、前記時間計測部が、前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始し、前記時間計測部による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置が前記船舶定点保持モードを中止する第2ステップとを備える船舶制御方法。
【請求項16】
船舶の推力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、
時間の計測を行う時間計測部と、
前記船舶の実際の位置である実船舶位置を検出する船舶位置検出部とを備える前記船舶に備えられ、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる機能を有する船舶制御装置であって、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる通常操作モードと、前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる船舶定点保持モードとを有する前記船舶制御装置を構成するコンピュータに、
前記船舶定点保持モード中に、前記船舶定点保持モード中の前記船舶の目標位置である目標船舶位置と前記実船舶位置との偏差に基づいて、前記アクチュエータを作動させる第1ステップと、
前記船舶定点保持モード中に、前記時間計測部が、前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始した後、前記時間計測部による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に、前記船舶定点保持モードを中止する第2ステップとを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、定点位置と自船位置とに基づいて定点位置への船舶の航行制御または船舶の定点保持制御を実行する技術について記載されている。特許文献1に記載された技術では、定点位置と自船位置との距離が所定値よりも大きい場合に、定点位置への船舶の航行制御が実行され、定点位置と自船位置との距離が所定値以下の場合に、船舶の定点保持制御が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、鋭意研究において、特許文献1に記載された技術のように、目標船舶位置(定点位置)と実船舶位置(自船位置)との距離のみに基づいて、目標船舶位置から離れた船舶を目標船舶位置に向けて移動させる制御(定点位置への船舶の航行制御)を実行するか、あるいは、船舶の定点保持制御を実行するかを切り替えると、風、波、潮流などの外乱により、目標船舶位置から離れた船舶を目標船舶位置に向けて移動させる制御の実行中に、船舶が、目標船舶位置に近づくことなく、例えば目標船舶位置を中心とする円形のエリアの周りを周回し続ける(つまり、不安定な挙動をする)おそれがあることを見い出した。
更に、本発明者等は、目標船舶位置を含む所定のエリアから実船舶位置が外れた時点からの経過時間に応じて船舶制御を切り替えることによって、船舶定点保持モード中における船舶の不安定な挙動を抑制できることを見い出したのである。
【0005】
つまり、本発明は、船舶定点保持モード中における船舶の不安定な挙動を抑制することができる船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、船舶の推力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる機能を有する船舶制御装置と、時間の計測を行う時間計測部と、前記船舶の実際の位置である実船舶位置を検出する船舶位置検出部とを備え、前記船舶制御装置は、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる通常操作モードと、前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる船舶定点保持モードとを有し、前記船舶定点保持モード中に、前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モード中の前記船舶の目標位置である目標船舶位置と前記実船舶位置との偏差に基づいて、前記アクチュエータを作動させ、前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始し、前記時間計測部による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止する、船舶である。
【0007】
本発明の一態様は、船舶の推力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、時間の計測を行う時間計測部と、前記船舶の実際の位置である実船舶位置を検出する船舶位置検出部とを備える前記船舶に備えられ、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる機能を有する船舶制御装置であって、前記船舶制御装置は、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる通常操作モードと、前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる船舶定点保持モードとを有し、前記船舶定点保持モード中に、前記船舶制御装置は、前記船舶定点保持モード中の前記船舶の目標位置である目標船舶位置と前記実船舶位置との偏差に基づいて、前記アクチュエータを作動させ、前記時間計測部は、前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始し、前記時間計測部による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置は前記船舶定点保持モードを中止する、船舶制御装置である。
【0008】
本発明の一態様は、船舶の推力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、時間の計測を行う時間計測部と、前記船舶の実際の位置である実船舶位置を検出する船舶位置検出部とを備える前記船舶に備えられ、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる機能を有する船舶制御装置の船舶制御方法であって、前記船舶制御装置は、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる通常操作モードと、前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる船舶定点保持モードとを有し、前記船舶定点保持モード中に、前記船舶制御装置が、前記船舶定点保持モード中の前記船舶の目標位置である目標船舶位置と前記実船舶位置との偏差に基づいて、前記アクチュエータを作動させる第1ステップと、前記船舶定点保持モード中に、前記時間計測部が、前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始し、前記時間計測部による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に、前記船舶制御装置が前記船舶定点保持モードを中止する第2ステップとを備える船舶制御方法である。
【0009】
本発明の一態様は、船舶の推力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、時間の計測を行う時間計測部と、前記船舶の実際の位置である実船舶位置を検出する船舶位置検出部とを備える前記船舶に備えられ、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる機能を有する船舶制御装置であって、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる通常操作モードと、前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる船舶定点保持モードとを有する前記船舶制御装置を構成するコンピュータに、前記船舶定点保持モード中に、前記船舶定点保持モード中の前記船舶の目標位置である目標船舶位置と前記実船舶位置との偏差に基づいて、前記アクチュエータを作動させる第1ステップと、前記船舶定点保持モード中に、前記時間計測部が、前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始した後、前記時間計測部による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに前記実船舶位置が前記目標船舶位置を含む船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に、前記船舶定点保持モードを中止する第2ステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、船舶定点保持モード中における船舶の不安定な挙動を抑制することができる船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の船舶1の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態の船舶制御装置13の船舶定点保持モード中に船舶制御装置13によって実行される制御の一例を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態の船舶制御装置13の船舶定点保持モード中に船舶制御装置13によって実行される制御の一例を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態の船舶制御装置13の船舶定点保持モード中に船舶制御装置13によって実行される制御の一例を説明するための図である。
【
図5】船舶定点保持モード中に第1実施形態の船舶制御装置13によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】船舶定点保持モード中に第3実施形態の船舶制御装置13によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】第4実施形態の船舶制御装置13の船舶定点保持モード中に船舶制御装置13によって実行される制御の一例を説明するための図である。
【
図8】第4実施形態の船舶制御装置13の船舶定点保持モード中に船舶制御装置13によって実行される制御の一例を説明するための図である。
【
図9】第4実施形態の船舶制御装置13の船舶定点保持モード中に船舶制御装置13によって実行される制御の一例を説明するための図である。
【
図10】船舶定点保持モード中に第4実施形態の船舶制御装置13によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第1実施形態について説明する。
【0013】
図1は第1実施形態の船舶1の一例を示す図である。
図1に示す例では、第1実施形態の船舶1が、例えば特開2003-237693号公報、特開2014-073790号公報の
図1等に記載されたパーソナルウォータークラフト(PWC、水上オートバイ)が有する基本的な機能と同様の機能を有するPWCである。船舶1は、例えばアクチュエータ11と、操作部12と、船舶制御装置13と、時間計測部14と、船舶位置検出部15と、船首方位検出部16と、通知部17とを備えている。
アクチュエータ11は、船舶1の推力を発生する機能と船舶1にモーメントを発生させる機能とを有する。具体的には、アクチュエータ11は、エンジン111と、ジェット推進装置112とを備えている。エンジン111は駆動力を出力する。エンジン111は、例えば特開2014-073790号公報の
図1等に記載されたエンジンと同様に構成されている。ジェット推進装置112は、エンジン111から出力された駆動力によって船舶1の推力を発生する。ジェット推進装置112は、例えば特開2003-237693号公報の
図1等に記載されたジェット推進装置と同様に構成されている。ジェット推進装置112は、ノズル112Aと、バケット112Bとを備えている。ノズル112Aは、エンジン111から出力された駆動力によって生成されたジェット噴流を噴出する。ノズル112Aは、例えば特開2003-237693号公報の
図1等に記載されたノズルと同様に構成されている。バケット112Bは、ノズル112Aから噴出されたジェット噴流の向きを変更する。バケット112Bは、例えば特開2003-237693号公報の
図1等に記載されたバケットと同様に構成されている。
【0014】
操作部12は、アクチュエータ11を作動させる操船者の入力操作を受け付ける。操作部12は、スロットル操作部121と、シフト操作部122と、操舵部123と、定点保持モード設定部124とを備えている。
スロットル操作部121は、例えば特開2014-073790号公報に記載されたスロットル操作部と同様に構成されており、エンジン111の回転速度を調整する操船者の入力操作を受け付ける。シフト操作部122は、例えば特開2014-073790号公報に記載されたシフト操作部と同様に構成されており、バケット112Bの位置を前進位置と中立位置と後進位置との間で切り替える操船者の入力操作を受け付ける。操舵部123が操船者の入力操作を受け付けることによって、アクチュエータ11は船舶1にモーメントを発生させる。操舵部123およびスロットル操作部121は、例えば特許第5196649号公報の
図1に記載されたステアリングハンドル装置、特開2019-171925号公報の
図1に記載されたステアリングユニットなどと同様に構成されている。
定点保持モード設定部124は、船舶制御装置13を後述する船舶定点保持モードに設定する操船者の入力操作を受け付ける。
船舶制御装置13は、操作部12が受け付けた操船者の入力操作に応じてアクチュエータ11を作動させる機能を有する。また、船舶制御装置13は、操作部12が受け付けた操船者の入力操作に応じてアクチュエータ11を作動させる通常操作モードと、定点保持モード設定部124が船舶制御装置13を船舶定点保持モードに設定する操船者の入力操作を受け付けた後、操作部12が操船者の入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11を作動させる船舶定点保持モードとを有する。
【0015】
時間計測部14は、時間の計測を行う。
船舶位置検出部15は、船舶1の実際の位置である実船舶位置を検出する。船舶位置検出部15は、例えばGPS(Global Positioning System)装置を備えている。GPS装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信することによって、船舶1の位置座標を算出する。
船首方位検出部16は、船舶1の船首方位を検出する。船首方位検出部16は、例えば方位センサを備えている。方位センサは、例えば地磁気を利用することによって、船舶1の実船首方位を算出する。
他の例では、方位センサが、高速回転するジャイロスコープに指北装置と制振装置とを付加し、常に北を示すようにした装置(ジャイロコンパス)であってもよい。
更に他の例では、方位センサが、複数のGPS(Global Positioning System)アンテナを備え、複数のGPSアンテナの相対的な位置関係から船首方位を算出するGPSコンパスであってもよい。
【0016】
図1に示す例では、通知部17が、操船者などに対する通知を行う。通知部17は、例えば音声を出力することによって、操船者などに対する通知を行う。
他の例では、通知部17が、例えばディスプレイに表示を行ったり、ステアリングハンドル、操船者の座席などを振動させたりすることによって、操船者などに対する通知を行ってもよい。
【0017】
図2~
図4は第1実施形態の船舶制御装置13の船舶定点保持モード中に船舶制御装置13によって実行される制御の一例を説明するための図である。詳細には、
図2(A)は船舶1を保持OKエリアに保持する船舶定点保持モードの開始時における船舶1と保持OKエリア等との関係を示している。
図2(B)は外乱により実船舶位置が変化した時における船舶1と保持OKエリア等との関係を示している。
図3(A)は外乱により実船舶位置が変化した船舶1の船尾を目標船舶位置(目標となる座標)に向ける船舶1の回頭を示している。
図3(B)は船尾が目標船舶位置(目標となる座標)に向けられた船舶1の実船舶位置が外乱により再び変化する様子を示している。
図4は実船舶位置が保持OKエリア内に入るまでスロットル制御(回帰制御)が行われる様子を示している。
【0018】
図2~
図4に示す例では、定点保持モード設定部124が操船者の入力操作を受け付けることによって、船舶制御装置13が船舶定点保持モードに設定される(つまり、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを開始する)。
図2(A)に示すように、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードの開始時に船舶位置検出部15によって検出された実船舶位置を、船舶定点保持モード中の目標船舶位置(目標となる座標)に設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、目標船舶位置(目標となる座標)を含む「保持OKエリア」を設定する。「保持OKエリア」は、例えば目標船舶位置(目標となる座標)を中心とする所定の半径の円内の領域である。更に、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」の周りに「方位制御エリア」を設定する。「方位制御エリア」は、「保持OKエリア」の周りの例えば環状の領域である。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「方位制御エリア」の周りに「回帰制御エリア」を設定する。
【0019】
図2(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動すると、
図3(A)に示すように、船舶1の船尾を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶1の回頭が行われる。換言すれば、
図2(B)に示すように、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
他の例では、船舶1の船首を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶の回頭が行われてもよい。この例では、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船首が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
【0020】
図2~
図4に示す例では、
図3(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動すると、
図4に示すように、船舶1を「保持OKエリア」内に入れるスロットル制御(回帰制御)が実行される。つまり、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、実船舶位置を「保持OKエリア」内に戻す回帰制御を開始する。
換言すれば、
図2~
図4に示す例では、船舶定点保持モード中に、船舶制御装置13が、船舶定点保持モード中の船舶1の目標位置(目標船舶位置)と実船舶位置との偏差に基づいて、アクチュエータ11を作動させる。
【0021】
上述したように、本発明者等は、鋭意研究において、特許文献1に記載された技術のように、目標船舶位置と実船舶位置との距離のみに基づいて(
図2~
図4に示す例では、実船舶位置が「保持OKエリア」、「方位制御エリア」および「回帰制御エリア」のいずれに位置するかのみに基づいて)、目標船舶位置から離れた船舶1を目標船舶位置に向けて移動させる制御を実行するか否かを切り替えると、風、波、潮流などの外乱により、目標船舶位置から離れた船舶1を目標船舶位置に向けて移動させる制御の実行中に、船舶1が、目標船舶位置に近づくことなく、例えば目標船舶位置を中心とする円形のエリアの周りを周回し続ける(つまり、不安定な挙動をする)おそれがあることを見い出した。
【0022】
そこで、
図2~
図4に示す例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始する。
図2~
図4に示す例では、時間計測開始判定エリアが、「保持OKエリア」および「方位制御エリア」(すなわち、「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたもの)によって構成される。つまり、
図2~
図4に示す例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した瞬間(すなわち、目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間)に、時間の計測を開始する。
更に、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア(
図2~
図4に示す例では、「保持OKエリア」)内に戻らない場合に、船舶制御装置13は船舶定点保持モードを中止する。
船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止した場合に、通知部17は、船舶定点保持モードが中止されたことを操船者などに通知する。そのため、操船者などは、風、波、潮流などの外乱によって船舶定点保持を行うことが難しい状況である旨を把握することができる。
また、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから通常操作モードへの切り替えを実行する。そのため、例えば船舶1が船舶定点保持モード中に船舶定点保持モード中止判定エリア(「保持OKエリア」)の周りを周回し続けるような動作をしてしまうおそれを抑制することができる。その結果、船舶1の利用者(船舶1の操船者、乗船者など)に不安を与えるおそれを抑制することができる。
一方、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が時間計測リセット判定エリア(
図2~
図4に示す例では、「保持OKエリア」)内に戻った場合には、時間計測部14が、時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする。そのため、必要以上に船舶定点保持モードが中止されてしまうことを抑制することができる。時間計測部14が時間計測部14による時間の時間計測開始計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットした後、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリア(
図2~
図4に示す例では、「保持OKエリア」および「方位保持エリア」を合わせたもの)から再び外れた場合には、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間(「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した瞬間)に、時間の計測を開始する。
【0023】
図5は船舶定点保持モード中に第1実施形態の船舶制御装置13によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5に示す例では、ステップS11において、船舶制御装置13が、目標船舶位置と実船舶位置との偏差に基づいて、アクチュエータ11を作動させる。
具体的には、ステップS11Aにおいて、船舶制御装置13は、実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置するか否かを判定する。
図2(A)に示すように実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置する場合には、船舶制御装置13がアクチュエータ11を作動させることなく、ステップS11Aの判定が繰り返される。実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置しない場合には、ステップS11Bに進む。
【0024】
ステップS11Bにおいて、船舶制御装置13は、実船舶位置が「方位制御エリア」内に位置するか否かを判定する。実船舶位置が「方位制御エリア」内に位置する場合、つまり、
図2(B)に示すように実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合には、ステップS11Cに進む。一方、実船舶位置が「方位制御エリア」内に位置しない場合、つまり、
図3(B)に示すように実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した場合には、ステップS11Dに進む。
ステップS11Cにおいて、船舶制御装置13は、
図3(A)に示すように、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を実行する。次いで、ステップS12A(ステップS12)に進む。
ステップS11Dにおいて、船舶制御装置13は、
図4に示すように、目標船舶位置と実船舶位置との偏差に基づいて、実船舶位置を「保持OKエリア」内に戻す回帰制御を実行する。次いで、ステップS12A(ステップS12)に進む。
【0025】
ステップS12Aにおいて、船舶制御装置13は、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過したか否かを判定する。時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過していない場合には、ステップS11Aに戻る。時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過している場合には、ステップS12Bに進む。
ステップS12Bにおいて、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する。
つまり、上述したように、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が時間計測開始判定エリア(「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたもの)から外れた瞬間に、時間の計測を開始する。更に、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア(「保持OKエリア」)内に戻らない場合に、ステップS12Bにおいて、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止する。
【0026】
上述したように、第1実施形態の船舶1では、実船舶位置が時間計測開始判定エリアから外れた瞬間から指定時間が経過する時までに実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア内に戻らない場合に、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止する。そのため、第1実施形態の船舶1では、船舶定点保持モード中に、例えば船舶1が目標船舶位置に近づくことなく船舶定点保持モード中止判定エリア(「保持OKエリア」)の周りを周回し続ける等の、船舶1の不安定な挙動を抑制することができる。
【0027】
<第2実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0028】
第2実施形態の船舶1では、
図2~
図4に示す例と同様に、定点保持モード設定部124が操船者の入力操作を受け付けることによって、船舶制御装置13が船舶定点保持モードに設定される(つまり、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを開始する)。
詳細には、
図2(A)に示す例と同様に、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードの開始時に船舶位置検出部15によって検出された実船舶位置を、船舶定点保持モード中の目標船舶位置(目標となる座標)に設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」を設定する。更に、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」の周りに「方位制御エリア」を設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「方位制御エリア」の周りに「回帰制御エリア」を設定する。
【0029】
第2実施形態の船舶1の一例では、
図2(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動すると、
図3(A)に示すように、船舶1の船尾を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶1の回頭が行われる。換言すれば、
図2(B)に示すように、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
第2実施形態の船舶1の他の例では、船舶1の船首を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶の回頭が行われてもよい。この例では、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船首が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
【0030】
第2実施形態の船舶1の一例では、
図3(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動すると、
図4に示すように、船舶1を「保持OKエリア」内に入れるスロットル制御(回帰制御)が実行される。つまり、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、実船舶位置を「保持OKエリア」内に戻す回帰制御を開始する。
換言すれば、第2実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中に、船舶制御装置13が、船舶定点保持モード中の船舶1の目標位置(目標船舶位置)と実船舶位置との偏差に基づいて、アクチュエータ11を作動させる。
【0031】
第2実施形態の船舶1の一例では、
図2~
図4に示す例と同様に、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始する。
第2実施形態の船舶1の一例では、
図2~
図4に示す例とは異なり、時間計測開始判定エリアが、「保持OKエリア」によって構成される。つまり、第2実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む「保持OKエリア」から外れた瞬間(すなわち、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した瞬間)に、時間の計測を開始する。
更に、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア(第2実施形態の船舶1の一例では、「保持OKエリア」)内に戻らない場合に、船舶制御装置13は船舶定点保持モードを中止する。
船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止した場合に、通知部17は、船舶定点保持モードが中止されたことを操船者などに通知する。そのため、操船者などは、風、波、潮流などの外乱によって船舶定点保持を行うことが難しい状況である旨を把握することができる。
また、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから通常操作モードへの切り替えを実行する。そのため、例えば船舶1が船舶定点保持モード中に判定エリア(「保持OKエリア」)の周りを周回し続けるような動作をしてしまうおそれを抑制することができる。その結果、船舶1の利用者(船舶1の操船者、乗船者など)に不安を与えるおそれを抑制することができる。
一方、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が時間計測リセット判定エリア(第2実施形態の船舶1の一例では、「保持OKエリア」)内に戻った場合には、時間計測部14が、時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする。そのため、必要以上に船舶定点保持モードが中止されてしまうことを抑制することができる。時間計測部14が時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットした後、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリア(「保持OKエリア」)から再び外れた場合には、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリア(「保持OKエリア」)から外れた瞬間に、時間の計測を開始する。
【0032】
<第3実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0033】
第3実施形態の船舶1では、
図2~
図4に示す例と同様に、定点保持モード設定部124が操船者の入力操作を受け付けることによって、船舶制御装置13が船舶定点保持モードに設定される(つまり、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを開始する)。
詳細には、
図2(A)に示す例と同様に、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードの開始時に船舶位置検出部15によって検出された実船舶位置を、船舶定点保持モード中の目標船舶位置(目標となる座標)に設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」を設定する。更に、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」の周りに「方位制御エリア」を設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「方位制御エリア」の周りに「回帰制御エリア」を設定する。
【0034】
第3実施形態の船舶1の一例では、
図2(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動すると、
図3(A)に示すように、船舶1の船尾を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶1の回頭が行われる。換言すれば、
図2(B)に示すように、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
第3実施形態の船舶1の他の例では、船舶1の船首を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶の回頭が行われてもよい。この例では、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船首が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
【0035】
第3実施形態の船舶1の一例では、
図3(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動すると、
図4に示すように、船舶1を「保持OKエリア」内に入れるスロットル制御(回帰制御)が実行される。つまり、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、実船舶位置を「保持OKエリア」内に戻す回帰制御を開始する。
換言すれば、第3実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中に、船舶制御装置13が、船舶定点保持モード中の船舶1の目標位置(目標船舶位置)と実船舶位置との偏差に基づいて、アクチュエータ11を作動させる。
【0036】
第3実施形態の船舶1の一例では、
図2~
図4に示す例と同様に、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始する。
第3実施形態の船舶1の一例では、
図2~
図4に示す例と同様に、時間計測開始判定エリアが、「保持OKエリア」および「方位制御エリア」(すなわち、「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたもの)によって構成される。つまり、第3実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した瞬間(すなわち、目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間)に、時間の計測を開始する。
更に、第3実施形態の船舶1の一例では、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア(第3実施形態の船舶1の一例では、「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたもの)内に戻らない場合に、船舶制御装置13は船舶定点保持モードを中止する。つまり、第3実施形態の船舶1の一例では、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が回帰制御エリアから方位制御エリアに移動しない場合に、船舶制御装置13は船舶定点保持モードを中止する。
船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止した場合に、通知部17は、船舶定点保持モードが中止されたことを操船者などに通知する。
また、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから通常操作モードへの切り替えを実行する。
【0037】
一方、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が時間計測リセット判定エリア(第3実施形態の船舶1の一例では、「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたもの)内に戻った場合には、時間計測部14が、時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする。つまり、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が「回帰制御エリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、時間計測部14は、時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする。
時間計測部14が時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットした後、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリア(第3実施形態の船舶1の一例では、「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたもの)から再び外れた場合には、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間(「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した瞬間)に、時間の計測を開始する。
【0038】
図6は船舶定点保持モード中に第3実施形態の船舶制御装置13によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6に示す例では、ステップS21において、船舶制御装置13が、目標船舶位置と実船舶位置との偏差に基づいて、アクチュエータ11を作動させる。
具体的には、ステップS21Aにおいて、船舶制御装置13は、実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置するか否かを判定する。
図2(A)に示すように実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置する場合には、船舶制御装置13がアクチュエータ11を作動させることなく、ステップS21Aの判定が繰り返される。実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置しない場合には、ステップS21Bに進む。
【0039】
ステップS21Bにおいて、船舶制御装置13は、実船舶位置が「方位制御エリア」内に位置するか否かを判定する。実船舶位置が「方位制御エリア」内に位置する場合、つまり、
図2(B)に示すように実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合には、ステップS21Cに進む。一方、実船舶位置が「方位制御エリア」内に位置しない場合、つまり、
図3(B)に示すように実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した場合には、ステップS21Dに進む。
ステップS21Cにおいて、船舶制御装置13は、
図3(A)に示すように、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を実行する。次いで、ステップS21Aに戻る。
ステップS21Dにおいて、船舶制御装置13は、
図4に示すように、目標船舶位置と実船舶位置との偏差に基づいて、実船舶位置を「保持OKエリア」内に戻す回帰制御を実行する。次いで、ステップS22A(ステップS22)に進む。
【0040】
ステップS22Aにおいて、船舶制御装置13は、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過したか否かを判定する。時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過していない場合には、ステップS21Aに戻る。時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過している場合には、ステップS22Bに進む。
ステップS22Bにおいて、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する。
図6に示す例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が時間計測開始判定エリア(「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたもの)から外れた瞬間(つまり、実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した瞬間)に、時間の計測を開始する。更に、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア(「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたもの)内に戻らない場合(つまり、実船舶位置が「回帰制御エリア」から「方位制御エリア」に移動しない場合)に、ステップS22Bにおいて、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止する。
【0041】
<第4実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0042】
図7~
図9は第4実施形態の船舶制御装置13の船舶定点保持モード中に船舶制御装置13によって実行される制御の一例を説明するための図である。詳細には、
図7(A)は船舶1を保持OKエリアに保持する船舶定点保持モードの開始時における船舶1と保持OKエリア等との関係を示している。
図7(B)は外乱により実船舶位置が変化した時における船舶1と保持OKエリア等との関係を示している。
図8(A)は外乱により実船舶位置が変化した船舶1の船尾を目標船舶位置(目標となる座標)に向ける船舶1の回頭を示している。
図8(B)は船尾が目標船舶位置(目標となる座標)に向けられた船舶1の実船舶位置が外乱により再び変化する様子を示している。
図9は実船舶位置が保持OKエリア内に入るまでスロットル制御(回帰制御)が行われる様子を示している。
【0043】
図7~
図9に示す例では、定点保持モード設定部124が操船者の入力操作を受け付けることによって、船舶制御装置13が船舶定点保持モードに設定される(つまり、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを開始する)。
図7(A)に示すように、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードの開始時に船舶位置検出部15によって検出された実船舶位置を、船舶定点保持モード中の目標船舶位置(目標となる座標)に設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、目標船舶位置(目標となる座標)を含む「保持OKエリア」を設定する。「保持OKエリア」は、例えば目標船舶位置(目標となる座標)を中心とする所定の半径の円内の領域である。更に、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」の周りに「回帰制御エリア」を設定する。
【0044】
図7(B)に示すように、外乱によって、実船舶位置が目標船舶位置からずれると、
図8(A)に示すように、船舶1の船尾を目標船舶位置に向けるように、船舶1の回頭が行われる。換言すれば、
図7(B)に示すように、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が目標船舶位置からずれた場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
他の例では、船舶1の船首を目標船舶位置に向けるように、船舶の回頭が行われてもよい。この例では、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が目標船舶位置からずれた場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船首が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
【0045】
図7~
図9に示す例では、
図8(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「保持OKエリア」から「回帰制御エリア」に移動すると、
図9に示すように、船舶1を「保持OKエリア」内に入れるスロットル制御(回帰制御)が実行される。つまり、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「回帰制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、実船舶位置を「保持OKエリア」内に戻す回帰制御を開始する。
換言すれば、
図7~
図9に示す例では、船舶定点保持モード中に、船舶制御装置13が、船舶定点保持モード中の船舶1の目標位置(目標船舶位置)と実船舶位置との偏差に基づいて、アクチュエータ11を作動させる。
【0046】
図7~
図9に示す例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始する。
図7~
図9に示す例では、時間計測開始判定エリアが、「保持OKエリア」によって構成される。つまり、
図7~
図9に示す例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む「保持OKエリア」から外れた瞬間(すなわち、実船舶位置が「保持OKエリア」から「回帰制御エリア」に移動した瞬間)に、時間の計測を開始する。
更に、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア(
図7~
図9に示す例では、「保持OKエリア」)内に戻らない場合に、船舶制御装置13は船舶定点保持モードを中止する。
船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止した場合に、通知部17は、船舶定点保持モードが中止されたことを操船者などに通知する。
また、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから通常操作モードへの切り替えを実行する。
一方、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が時間計測リセット判定エリア(
図7~
図9に示す例では、「保持OKエリア」)内に戻った場合には、時間計測部14が、時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする。時間計測部14が時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットした後、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリア(
図7~
図9に示す例では、「保持OKエリア」)から再び外れた場合には、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間(「保持OKエリア」から「回帰制御エリア」に移動した瞬間)に、時間の計測を開始する。
【0047】
図10は船舶定点保持モード中に第4実施形態の船舶制御装置13によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図10に示す例では、ステップS31において、船舶制御装置13が、目標船舶位置と実船舶位置との偏差に基づいて、アクチュエータ11を作動させる。
具体的には、ステップS31Aにおいて、船舶制御装置13は、実船舶位置が目標船舶位置からずれたか否かを判定する。
図7(A)に示すように実船舶位置が目標船舶位置からずれていない場合には、船舶制御装置13がアクチュエータ11を作動させることなく、ステップS31Aの判定が繰り返される。実船舶位置が目標船舶位置からずれた場合には、ステップS31Bに進む。
【0048】
ステップS31Bにおいて、船舶制御装置13は、実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置するか否かを判定する。実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置する場合、つまり、
図7(B)に示すように実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置する場合には、ステップS31Cに進む。一方、実船舶位置が「保持OKエリア」内に位置しない場合、つまり、
図8(B)に示すように実船舶位置が「保持OKエリア」から「回帰制御エリア」に移動した場合には、ステップS31Dに進む。
ステップS31Cにおいて、船舶制御装置13は、
図8(A)に示すように、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を実行する。次いで、ステップS31Aに戻る。
ステップS31Dにおいて、船舶制御装置13は、
図9に示すように、目標船舶位置と実船舶位置との偏差に基づいて、実船舶位置を「保持OKエリア」内に戻す回帰制御を実行する。次いで、ステップS32A(ステップS32)に進む。
【0049】
ステップS32Aにおいて、船舶制御装置13は、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過したか否かを判定する。時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過していない場合には、ステップS31Aに戻る。時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過している場合には、ステップS32Bに進む。
ステップS32Bにおいて、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する。
図10に示す例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が時間計測開始判定エリア(「保持OKエリア」)から外れた瞬間(つまり、実船舶位置が「保持OKエリア」から「回帰制御エリア」に移動した瞬間)に、時間の計測を開始する。更に、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア(「保持OKエリア」)内に戻らない場合(つまり、実船舶位置が「回帰制御エリア」から「保持OKエリア」に移動しない場合)に、ステップS32Bにおいて、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止する。
【0050】
<第5実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第5実施形態について説明する。
第5実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第5実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0051】
第5実施形態の船舶1では、
図2~
図4に示す例と同様に、定点保持モード設定部124が操船者の入力操作を受け付けることによって、船舶制御装置13が船舶定点保持モードに設定される(つまり、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを開始する)。
詳細には、
図2(A)に示す例と同様に、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードの開始時に船舶位置検出部15によって検出された実船舶位置を、船舶定点保持モード中の目標船舶位置(目標となる座標)に設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」を設定する。更に、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」の周りに「方位制御エリア」を設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「方位制御エリア」の周りに「回帰制御エリア」を設定する。
【0052】
第5実施形態の船舶1の一例では、
図2(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動すると、
図3(A)に示すように、船舶1の船尾を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶1の回頭が行われる。換言すれば、
図2(B)に示すように、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
第5実施形態の船舶1の他の例では、船舶1の船首を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶の回頭が行われてもよい。この例では、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船首が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
【0053】
第5実施形態の船舶1の一例では、
図3(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動すると、
図4に示すように、船舶1を「保持OKエリア」内に入れるスロットル制御(回帰制御)が実行される。つまり、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、実船舶位置を「保持OKエリア」内に戻す回帰制御を開始する。
換言すれば、第5実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中に、船舶制御装置13が、船舶定点保持モード中の船舶1の目標位置(目標船舶位置)と実船舶位置との偏差に基づいて、アクチュエータ11を作動させる。
【0054】
第5実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始する。
第5実施形態の船舶1の一例では、時間計測開始判定エリアが、「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたものによって構成される。つまり、第5実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間(すなわち、実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した瞬間)に、時間の計測を開始する。
更に、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア(第5実施形態の船舶1の一例では、「方位制御エリア」)内に戻らない場合に、船舶制御装置13は船舶定点保持モードを中止する。
船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止した場合に、通知部17は、船舶定点保持モードが中止されたことを操船者などに通知する。
また、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから通常操作モードへの切り替えを実行する。
一方、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が時間計測リセット判定エリア(第5実施形態の船舶1の一例では、「保持OKエリア」)内に戻った場合には、時間計測部14が、時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする。時間計測部14が時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットした後、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリア(第5実施形態の船舶1の一例では、「保持OKエリア」および「方位制御エリア」を合わせたもの)から再び外れた場合には、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始する。
【0055】
<第6実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第6実施形態について説明する。
第6実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第6実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0056】
第6実施形態の船舶1では、
図2~
図4に示す例と同様に、定点保持モード設定部124が操船者の入力操作を受け付けることによって、船舶制御装置13が船舶定点保持モードに設定される(つまり、船舶制御装置13が船舶定点保持モードを開始する)。
詳細には、
図2(A)に示す例と同様に、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードの開始時に船舶位置検出部15によって検出された実船舶位置を、船舶定点保持モード中の目標船舶位置(目標となる座標)に設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」を設定する。更に、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「保持OKエリア」の周りに「方位制御エリア」を設定する。また、船舶定点保持モードの開始時に、船舶制御装置13は、「方位制御エリア」の周りに「回帰制御エリア」を設定する。
【0057】
第6実施形態の船舶1の一例では、
図2(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動すると、
図3(A)に示すように、船舶1の船尾を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶1の回頭が行われる。換言すれば、
図2(B)に示すように、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
第6実施形態の船舶1の他の例では、船舶1の船首を目標船舶位置(目標となる座標)に向けるように、船舶の回頭が行われてもよい。この例では、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船首が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を開始する。
【0058】
第6実施形態の船舶1の一例では、
図3(B)に示すように、外乱によって、船舶1(実船舶位置)が、「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動すると、
図4に示すように、船舶1を「保持OKエリア」内に入れるスロットル制御(回帰制御)が実行される。つまり、船舶定点保持モード中に、実船舶位置が「方位制御エリア」から「回帰制御エリア」に移動した場合に、船舶制御装置13は、実船舶位置を「保持OKエリア」内に戻す回帰制御を開始する。
換言すれば、第6実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中に、船舶制御装置13が、船舶定点保持モード中の船舶1の目標位置(目標船舶位置)と実船舶位置との偏差に基づいて、アクチュエータ11を作動させる。
【0059】
第6実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始する。
第6実施形態の船舶1の一例では、時間計測開始判定エリアが、「保持OKエリア」によって構成される。つまり、第6実施形態の船舶1の一例では、船舶定点保持モード中、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間(すなわち、実船舶位置が「保持OKエリア」から「方位制御エリア」に移動した瞬間)に、時間の計測を開始する。
更に、実船舶位置が方位制御エリアから回帰制御エリアに移動した場合であって、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに、回帰制御エリアに移動した実船舶位置が船舶定点保持モード中止判定エリア(第6実施形態の船舶1の一例では、「方位制御エリア」)内に戻らない場合に、船舶制御装置13は船舶定点保持モードを中止する。
船舶制御装置13が船舶定点保持モードを中止した場合に、通知部17は、船舶定点保持モードが中止されたことを操船者などに通知する。
また、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから通常操作モードへの切り替えを実行する。
一方、時間計測部14による時間の計測の開始時から指定時間が経過する時までに実船舶位置が時間計測リセット判定エリア(第6実施形態の船舶1の一例では、「保持OKエリア」)内に戻った場合には、時間計測部14が、時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットする。時間計測部14が時間計測部14による時間の計測の開始時からの経過時間をゼロにリセットした後、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリア(第6実施形態の船舶1の一例では、「保持OKエリア」)から再び外れた場合には、時間計測部14は、実船舶位置が目標船舶位置を含む時間計測開始判定エリアから外れた瞬間に、時間の計測を開始する。
【0060】
<第7実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第7実施形態について説明する。
第7実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第7実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0061】
上述したように、
図2~
図4に示す例では、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから通常操作モードへの切り替えを実行する。
一方、第7実施形態の船舶1の一例では、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから方位保持モードへの切り替えを実行する。詳細には、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから、船舶制御装置13が、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船尾が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を実行する方位保持モードへの切り替えを実行する。通知部17は、船舶定点保持モードが中止され、船舶定点保持モードから方位保持モードへの切り替えが実行されたことを操船者などに通知する。
第7実施形態の船舶1の他の例では、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから、船舶制御装置13が、船首方位検出部16による船舶1の船首方位の検出結果と実船舶位置と目標船舶位置とに基づいて、船舶1の船首が目標船舶位置に向くようにアクチュエータ11を作動させる方位保持制御を実行する方位保持モードへの切り替えを実行してもよい。
【0062】
<第8実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第8実施形態について説明する。
第8実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1から第7実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第8実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1から第7実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0063】
上述したように、
図2~
図4に示す例では、船舶制御装置13は、船舶定点保持モードを中止する場合に、船舶定点保持モードから通常操作モードへの切り替えを実行する。
本発明者等は、鋭意研究において、風、波、潮流などの外乱によって船舶定点保持を行うことが難しい状況である場合に、目標船舶位置を異なる位置に変更することによって、船舶定点保持が可能になる場合があることを見い出した。
また、本発明者等は、操船者等が、目標船舶位置を異なる位置に変更した後に行われる船舶定点保持モードに十分満足する可能性があること(つまり、厳密な目標船舶位置を求めていない操船者等も存在すること)を確認した。
そこで、第8実施形態の船舶1の一例では、船舶制御装置13が、船舶定点保持モードから通常操作モードへの切り替えを実行した後、操作部12の定点保持モード設定部124が船舶定点保持モードを開始する入力操作を受け付ける必要なく、船舶制御装置13が、通常操作モードから船舶定点保持モードへの切り替えを実行する。この例では、船舶制御装置13が通常操作モードから船舶定点保持モードへの切り替えを実行する時に、船舶位置検出部15によって検出された実船舶位置が、切り替え後の船舶定点保持モード中の目標船舶位置に設定される。
第8実施形態の船舶1の他の例では、船舶制御装置13が、船舶定点保持モードから方位保持モードへの切り替えを実行した後、操作部12の定点保持モード設定部124が船舶定点保持モードを開始する入力操作を受け付ける必要なく、船舶制御装置13が、方位保持モードから船舶定点保持モードへの切り替えを実行する。この例では、船舶制御装置13が方位保持モードから船舶定点保持モードへの切り替えを実行する時に、船舶位置検出部15によって検出された実船舶位置が、切り替え後の船舶定点保持モード中の目標船舶位置に設定される。
【0064】
<第9実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第9実施形態について説明する。
第9実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1から第8実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第9実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1から第8実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0065】
上述したように第1から第8実施形態の船舶1はPWCであるが、第9実施形態の船舶1は、例えば特開2020-019321号公報の
図1に記載されたスポーツボートが有する基本的な機能と同様の機能を有する船舶、ジェット推進機を備えていない船舶(例えば特許第6198192号公報、特開2007-22284号公報などに記載された船外機を装備した船舶、船内外機または船内エンジンを備える船舶、サイドスラスタを備える大型船舶など)等のいずれかのようなPWC以外の船舶である。
【0066】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0067】
なお、上述した実施形態における船舶1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0068】
1…船舶、11…アクチュエータ、111…エンジン、112…ジェット推進装置、112A…ノズル、112B…バケット、12…操作部、121…スロットル操作部、122…シフト操作部、123…操舵部、124…定点保持モード設定部、13…船舶制御装置、14…時間計測部、15…船舶位置検出部、16…船首方位検出部、17…通知部