(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159687
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】扉固定装置
(51)【国際特許分類】
E05B 15/02 20060101AFI20231025BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20231025BHJP
E05B 83/02 20140101ALI20231025BHJP
E05C 3/10 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
E05B15/02 D
E05B65/06 A
E05B83/02
E05C3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069551
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】藤松 幸則
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH04
2E250JJ49
2E250KK01
2E250LL05
2E250MM05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】廉価で軽量に筐体の開口部を扉で密閉することが可能な扉固定装置を提供する。
【解決手段】扉固定装置100は、筐体1に設けられた本体部4と、扉2に設けられた受部5とを備える。本体部4は、操作部、及び操作部の操作に伴って作動する作動片を有する。受部は、開口部1aを扉によって閉じた状態において作動片と係合可能な係合部を有する。本体部4が、係合部に対して作動片を係合させた係合状態において操作部を操作することにより、係合状態を維持したまま、作動片を所定の方向に移動させることが可能である。受部が、係合状態において作動片の移動を案内する案内部を有する。案内部が、係合状態において操作部を第一の方向に操作するのに伴って、作動片が受部に対して扉の開方向に相対移動するように案内する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の開口部に対して開閉可能に取り付けられた扉によって前記開口部を閉止した状態において、前記開口部に対して前記扉を固定するための扉固定装置であって、
前記筐体及び前記扉のうちの一方に設けられた本体部と、
前記筐体及び前記扉のうちの他方に設けられた受部と、を備え、
前記本体部は、操作部、及び前記操作部の操作に伴って作動する作動片を有し、
前記受部は、前記開口部を前記扉によって閉じた状態において前記作動片と係合可能な係合部を有し、
前記本体部が、前記係合部に対して前記作動片を係合させた係合状態において前記操作部を操作することにより、前記係合状態を維持したまま、前記作動片を所定の方向に移動させることが可能なものであり、
前記受部が、前記係合状態において前記作動片の移動を案内する案内部を有し、
前記案内部が、前記係合状態において前記操作部を第一の方向に操作するのに伴って、前記作動片が前記受部に対して前記扉の開方向に相対移動するように案内し、前記操作部を第二の方向に操作するのに伴って、前記作動片が前記受部に対して前記扉の閉方向に相対移動するように案内するものであること、を特徴とする扉固定装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記筐体側に設けられており、
前記受部は、前記扉側に設けられていること、を特徴とする請求項1に記載の扉固定装置。
【請求項3】
前記係合部は、前記係合状態における初期段階で前記作動片と係合可能な凹部、及び初期段階の次の段階で前記作動片と係合可能な押圧部を有しており、
前記凹部は、前記作動片が前記受部に対して前記扉の開方向に相対移動するように徐変形状、階段形状、及び円弧形状のうち少なくとも一つの形状により形成されていること、を特徴とする請求項2に記載の扉固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扉固定装置が提案されている(例えば、特許文献1~4参照)。
【0003】
上記特許文献1には、押ボタンを深く押し込むことにより、ハンドルを所定角度まで突出回転させる引出し回転型扉用ロックハンドル装置(扉固定装置)が開示されている。上記特許文献1に開示された引出し回転型扉用ロックハンドル装置は、押ボタンを押してもハンドルが突出しない場合に、更に深く押し込まれた押ボタンを押下することにより、ハンドルをケーシングから突出回転させるアームを備えている。
【0004】
上記特許文献2には、冷蔵庫本体の固定枠などに扉を密着して係止するための密閉ハンドル装置(扉固定装置)が開示されている。上記特許文献2に開示された密閉ハンドル装置には、経年により密閉が低下した場合に、ハンドル先端と受金との関係による押付け力調整をするための係合長さ調整機構が設けられている。係合長さ調整機構は、ハンドルの透孔がハンドルの長さ方向に沿って複数個並設されており、固定枠体の形状構造上の具体的条件に応じて選択された一個の透孔に枢軸ボルトを挿通することによって、ハンドルと受金との係合長さが必要十分な量だけ的確に確保されている。
【0005】
上記特許文献3には、ハンドルの急速な突出動作によってハンドルが操作者の指に衝突せず、また特別の錠止操作の必要なしにハンドルが収納位置に保持され、装置本体の薄型化も可能な平面ハンドル装置(扉固定装置)が記載されている。上記特許文献3には、平面ハンドルが扉開放状態においてハンドルが解錠位置に的確に保持され、止め金板が不意に施錠位置に逆戻りすることを防止すること、が記載されている。
【0006】
上記特許文献4には、ハンドルの取付座、および受け金部につき、扉及び枠の側面に面付けすることで、これらの部品が外部に露出しない形式の密閉扉用ハンドル装置(扉固定装置)が開示されている。上記特許文献4に開示されたハンドル装置は、本体の取り付け座が扉の側面に、受け金具の基板が開口の側面にそれぞれ面付けされ、把手部のみが前面に露出しており、他は間隙内に納まっており、扉の開閉はハンドル体を扉と同方向へ引く又は押す操作により、それぞれ円滑かつ確実に実行されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8-246723号公報
【特許文献2】特開平8-209989号公報
【特許文献3】特開平7-286456号公報
【特許文献4】特開2013-249598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1~4の各々には、種々の扉固定装置等が開示されている。これらの扉固定装置は、例えば、筐体の開口部を密閉するために開口部の周縁枠に扉を押し当てた状態で、密閉用の操作ハンドルを回動操作することにより、扉を筐体の開口部に対して密閉可能となっている。
【0009】
ところで、廉価で軽量に開口部を密閉可能な扉を有する筐体を作製する場合には、開口部の周縁枠や扉の側面の厚みを小さくすることが考えられる。この場合、当該側面において、扉を押当てつつ係合するハンドル装置を備える必要がある。
【0010】
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、廉価で軽量に筐体の開口部を扉で密閉することが可能な扉固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
【0012】
(1)本発明による扉固定装置は、筐体の開口部に対して開閉可能に取り付けられた扉によって前記開口部を閉止した状態において、前記開口部に対して前記扉を固定するための扉固定装置であって、前記筐体及び前記扉のうちの一方に設けられた本体部と、前記筐体及び前記扉のうちの他方に設けられた受部と、を備え、前記本体部は、操作部、及び前記操作部の操作に伴って作動する作動片を有し、前記受部は、前記開口部を前記扉によって閉じた状態において前記作動片と係合可能な係合部を有し、前記本体部が、前記係合部に対して前記作動片を係合させた係合状態において前記操作部を操作することにより、前記係合状態を維持したまま、前記作動片を所定の方向に移動させることが可能なものであり、前記受部が、前記係合状態において前記作動片の移動を案内する案内部を有し、前記案内部が、前記係合状態において前記操作部を第一の方向に操作するのに伴って、前記作動片が前記受部に対して前記扉の開方向に相対移動するように案内し、前記操作部を第二の方向に操作するのに伴って、前記作動片が前記受部に対して前記扉の閉方向に相対移動するように案内するものであること、を特徴とする。
【0013】
上記本発明による扉固定装置によれば、本体部の操作にともなって作動する作動片が受部の案内部により案内される。これにより、作動片の作動により生じる受部に加わる力によって、筐体と扉とを密閉するように押し当てることができる。この結果、廉価で軽量に筐体の開口部を扉で密閉することができる。
【0014】
(2)本発明による扉固定装置において、好ましくは、前記本体部は、前記筐体側に設けられており、前記受部は、前記扉側に設けられていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、筐体側に設けられた操作部の操作にともなって作動する作動片が、扉側に設けられた受部の案内部により案内されることによって、扉を筐体に対して密閉する方向に移動させるように押し当てることができる。この結果、廉価で軽量に筐体の開口部を扉で密閉することができる。
【0015】
(3)本発明による扉固定装置において、好ましくは、前記係合部は、前記係合状態における初期段階で前記作動片と係合可能な凹部、及び初期段階の次の段階で前記作動片と係合可能な押圧部を有しており、前記凹部は、前記作動片が前記受部に対して前記扉の開方向に相対移動するように徐変形状、階段形状、及び円弧形状のうち少なくとも一つの形状により形成されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、操作部の操作にともなって作動する作動片を、凹部に設けられた形状によってスムーズに凹部から押圧部に向かって移動させることができる。これにより、扉を筐体に対して密閉する方向にスムーズに移動させることができる。
【0016】
(4)本発明による扉固定装置において、好ましくは、前記凹部及び前記押圧部は、前記作動片の移動方向に沿って延びるように溝状に形成された溝部であり、前記溝部は、前記扉の閉方向側に設けられるとともに前記作動片が当接しながら移動する当接辺、及び前記扉の開方向側に設けられるとともに前記作動片と当接しない非当接辺を有していること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、操作部の操作にともなって作動する作動片を、溝部に設けられた当接辺に沿ってスムーズに凹部から押圧部に向かって移動させることができる。これにより、扉を筐体に対して密閉する方向にスムーズに移動させることができる。
【0017】
(5)本発明による扉固定装置において、好ましくは、前記押圧部における前記当接辺と前記非当接辺との間の間隔は、前記凹部における前記当接辺と前記非当接辺との間の間隔よりも小さいこと、を特徴とするとよい。このように構成すれば、作動片が作動する際に、当接辺と非当接辺との間で作動片が意図せずに移動してしまう距離を小さくすることができる。これにより、作動片を当接辺に沿ってスムーズに凹部から押圧部に向かって移動させることができる。
【0018】
(6)本発明による扉固定装置において、好ましくは、前記押圧部における前記凹部とは反対側の端部には、前記作動片の移動による係合のずれを防止する係合ずれ防止部が形成されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、作動片を押圧部の端部まで作動させた際に、作動片における押圧部に対する係合状態がずれてしまうことを防止することができる。その結果、筐体と扉との密閉状態を維持することができる。
【0019】
(7)本発明による扉固定装置において、好ましくは、前記受部における前記押圧部に隣接する部分には、前記押圧部における前記扉の開閉方向に沿った方向の間隔を調整する調整機構が設けられていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、作動片の大きさ(厚み)に合わせて押圧部における扉の開閉方向に沿った方向の間隔を調整することができる。これにより、作動片を押圧部に対してより効果的に係合させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る態様によれば、廉価で軽量に筐体の開口部を扉で密閉することが可能な扉固定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る扉固定装置に係る筐体及び扉の概略構成(扉開状態)を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る扉固定装置に係る筐体及び扉の概略構成(扉閉状態)を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る扉固定装置に係る筐体の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る扉固定装置に係る筐体及び扉を扉側から見た図である。
【
図5】本実施形態に係る扉固定装置に係る扉を側方から見た図である。
【
図6】本実施形態に係る扉固定装置に係る操作部を示す斜視図である。
【
図7】(a)は扉固定装置に係る受部を示す側面図であり、(b)は扉固定装置に係る受部を示す正面図である。
【
図8】(a)は作動片を示す平面図であり、(b)は作動片を示す側面図であり、(c)は作動片を示す断面図である。
【
図10】第一変形例に係る受部及び調整機構を示す正面図である。
【
図11】第二変形例に係る本体部を示す図であり、(a)は本体部に設けられたスプリングの伸長状態を示す側面図であり、(b)は本体部に設けられたスプリングの圧縮状態を示す側面図である。
【
図12】第三変形例に係る作動片を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は断面図である。
【
図13】第四変形例に係る作動片を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る扉固定装置を説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。
【0023】
図1~
図9を参照して、本実施形態における扉固定装置100について説明する。
【0024】
図1~
図4に示すように、扉固定装置100は、筐体1の開口部1aに対して開閉可能に取り付けられた扉2によって開口部1aを閉止した状態において、開口部1aに対して扉2を固定(密閉)するためのものである。例えば、扉固定装置100は、軽トラック等の自動車の後部に設けられた荷台等に設置(載置)されるものである。
【0025】
筐体1は、底部11と、第一側部12と、第二側部13と、第三側部14と、第四側部15とを備えている。底部11には、第一側部12、第二側部13、第三側部14、及び第四側部15が立設されている。第四側部15の上部には、切欠部15aが形成されている。
【0026】
第二側部13は、枠131と、扉2とを備えている。枠131には、開口部1aが形成されている。開口部1aには、ゴム材料等により形成されたシール部3が設けられている(
図3参照)。枠131の上部(上辺)には、複数個のヒンジ等の連結部材(図示せず)が設けられているとともに、連結部材を介して扉2が開閉可能に連結されている。枠131下部(下辺)には、扉2を把持して開閉するための把持部2aが設けられている。これにより、把持部2aを把持して扉2を第二側部13の枠131(開口部1a)に対して、連結部材を支点として、上下方向(高さ方向)に沿って開閉可能となっている。
【0027】
本実施形態では、扉固定装置100は、本体部4と、受部5とを備えている。
図4及び
図5に示すように、本体部4は、筐体1の枠131の外面で、かつ、幅方向における二か所に設けられている。受部5は、扉2の幅方向における二つの側面に設けられている。
【0028】
図6~
図8に示すように、本体部4は、ベース部41と、操作部42と、作動片43とを有している。
図6及び
図7に示すように、ベース部41における厚み方向の一方側には、操作部42の一端を中心として回動操作可能なように操作部42が設けられている。ベース部41における厚み方向の他方側には、作動片43の一端を中心として回動可能なように作動片43がボルト44等により設けられている。操作部42及び作動片43は、互いに所定の角度(本実施形態では90°)傾斜した状態でベース部41に対して取り付けられている。作動片43は、操作部42の操作に伴って同方向に作動(回動)する。
【0029】
図8(a)に示すように、作動片43の先端部は、円弧状に形成されている。
図8(b)に示すように、作動片43は、側面視において、薄板状に形成されている。
図8(c)に示すように、作動片43は、断面視において、長方形状に形成されている。
【0030】
図9に示すように、受部5は、正面視において、長方形状に形成されている。受部5は、例えば、金属製である。受部5は、受部5の長辺が扉2の側面における長辺方向に沿うように扉2に配置されている(
図1参照)。受部5は、係合部51と、案内部52とを有している。係合部51は、開口部1aを扉2によって閉じた状態において作動片43と係合可能である。案内部52は、係合状態において作動片43の移動を案内する。
【0031】
また、係合部51は、凹部53と、押圧部54とを有している。凹部53は、係合状態における初期段階で作動片43と係合可能である。なお、初期段階とは、操作部42が操作され始めて、作動片43が凹部53に対して係合した状態から押圧部54に対して係合するまでの段階をいう。凹部53は、作動片43が受部5に対して扉2の開方向(
図9では右方向)に相対移動するように徐変形状、階段形状、及び円弧形状のうち少なくとも一つの形状により形成されている。
【0032】
押圧部54は、初期段階の次の段階で作動片43と係合可能である。なお、次の段階とは、操作部42の操作が進行して、作動片43が凹部53に対して係合した状態が終了して、作動片43が押圧部54に対して係合した段階をいう。凹部53及び押圧部54は、作動片43の移動方向(
図9では上下方向)に沿って延びるように溝状に形成された溝部56である。
【0033】
押圧部54における凹部53とは反対側の端部には、作動片43の移動による係合のずれを防止する係合ずれ防止部57が形成されている。
【0034】
溝部56は、当接辺56aと、非当接辺56bとを有している。当接辺56aは、扉2の閉方向側に設けられるとともに、作動片43が当接しながら移動する。非当接辺56bは、扉2の開方向(
図9では左方向)側に設けられるとともに、作動片43と当接しない。
【0035】
押圧部54における当接辺56aと非当接辺56bとの間の間隔D1は、凹部53における当接辺56aと非当接辺56bとの間の間隔D2よりも小さい。
【0036】
本体部4が、係合部51に対して作動片43を係合させた係合状態において、操作部42を操作することにより、係合状態を維持したまま、作動片43を所定の方向(
図9では下方向から上方向)に移動させることが可能なものである。
【0037】
案内部52が、係合状態において操作部42を第一の方向(作動片43が凹部53側から押圧部54側に移動する方向)に操作するのに伴って、作動片43が受部5に対して扉2の開方向に相対移動するように案内する。これにより、扉2がシール部3を介して筐体1に対して固定(密閉)される。
【0038】
上記説明した実施形態によれば、以下の効果(1)~(5)を得ることができる。
【0039】
(1)上記実施形態による扉固定装置100では、本体部4を筐体1側に設けるとともに受部5を扉2側に設け、案内部52が、係合状態において操作部42を第一の方向に操作するのに伴って、作動片43が受部5に対して扉2の開方向に相対移動するように案内するようにした。上記実施形態によれば、筐体1側に設けられた操作部42の操作にともなって作動する作動片43が、扉2側に設けられた受部5の案内部52により案内されることによって、扉2を筐体1に対して密閉する方向に移動させるように押し当てることができる。この結果、廉価で軽量に筐体1の開口部1aを扉2で密閉することができる。
【0040】
(2)上記実施形態による扉固定装置100では、凹部53を、作動片43が受部5に対して扉2の開方向に相対移動するように徐変形状、階段形状、及び円弧形状のうち少なくとも一つの形状により形成した。これにより、操作部42の操作にともなって作動する作動片43を、凹部53に設けられた形状によってスムーズに凹部53から押圧部54に向かって移動させることができる。このため、扉2を筐体1に対して密閉する方向にスムーズに移動させることができる。
【0041】
(3)上記実施形態による扉固定装置100では、溝部56が、扉2の閉方向側に設けられるとともに作動片43が当接しながら移動する当接辺56a、及び扉2の開方向側に設けられるとともに作動片43と当接しない非当接辺56bを有するようにした。これにより、操作部42の操作にともなって作動する作動片43を、溝部56に設けられた当接辺56aに沿ってスムーズに凹部53から押圧部54に向かって移動させることができる。このため、扉2を筐体1に対して密閉する方向にスムーズに移動させることができる。
【0042】
(4)上記実施形態による扉固定装置100では、押圧部54における当接辺56aと非当接辺56bとの間の間隔D1を、凹部53における当接辺56aと非当接辺56bとの間の間隔D2よりも小さくした。これにより、作動片43が作動する際に、当接辺56aと非当接辺56bとの間で作動片43が意図せずに移動してしまう距離を小さくすることができる。このため、作動片43を当接辺56aに沿ってスムーズに凹部53から押圧部54に向かって移動させることができる。
【0043】
(5)上記実施形態による扉固定装置100では、押圧部54における凹部53とは反対側の端部に、作動片43の移動による係合のずれを防止する係合ずれ防止部57を形成した。これにより、作動片43を押圧部54の端部まで作動させた際に、作動片43における押圧部54に対する係合状態がずれてしまうことを防止することができる。その結果、筐体1と扉2との密閉状態を維持することができる。
【0044】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
【0045】
(第一変形例)
本実施形態の第一変形例では、
図10に示すように、受部5における押圧部54に隣接する部分には、押圧部54における扉2の開閉方向に沿った方向の間隔を調整する調整機構6が設けられている。調整機構6は、受部5に対してボルト等の固定部材7により取り付けられている。調整機構6には、円弧状の切欠部6aが形成されている。切欠部6aは、受部5に設けられた凸部50と嵌合している。調整機構6は、固定部材7を中心として、回動可能に構成されている。このため、調整機構6は、切欠部6aと凸部50との嵌合範囲内において回動可能となっている。また、調整機構6が回動操作されることにより、調整機構6が押圧部54側に移動し、押圧部54の間隔が調整される。
【0046】
上記のように、受部5における押圧部54に隣接する部分に押圧部54における扉2の開閉方向に沿った方向の間隔を調整する調整機構6を設けることによって、作動片43の大きさ(厚み)に合わせて押圧部54における扉2の開閉方向に沿った方向の間隔を調整することができる。これにより、作動片43を押圧部54に対してより効果的に係合させることができる。
【0047】
(第二変形例)
本実施形態の第二変形例では、
図11に示すように、受部5のベース部41とボルト44との間にスプリング8を備えている。これにより、作動片43が作動した際に、作動片43をスプリング8の伸長及び圧縮方向(前後)へ動かすことが可能となる。すなわち、
図11(a)に示すように、作動片43が作動する前においては、スプリング8が伸長状態となっている。その後、
図11(b)に示すように、作動片43が作動して係合部51に係合し始めると、作動片43がスプリング8を圧縮しながらベース部41側に移動することとなる。
【0048】
(第三変形例)
本実施形態の第三変形例では、
図12(a)に示すように、作動片431の先端部は、平面視において、円弧状に形成されている。
図12(b)に示すように、作動片431は、側面視において、薄板状に形成されている。
図12(c)に示すように、作動片431は、断面視において、中央に薄肉部431aと、薄肉部431aの両端に厚肉部431bとが形成されている。
【0049】
(第四変形例)
本実施形態の第四変形例では、
図13(a)に示すように、作動片432の先端部は、平面視において、円弧状に形成されている。
図13(b)に示すように、作動片432は、側面視において、薄板状に形成されている。
図13(c)に示すように、作動片432は、断面視において、三つの平面部432aと、二つの凸部432bとが形成されている。二つの凸部432bの各々は、平面部432aの各々に挟まれるように配置されている。
【0050】
(その他の変形例)
上記実施形態では、筐体側に本体部を設けるとともに、扉側に受部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体側に受部を設けるとともに、扉側に本体部を設けることも可能である。この場合、案内部が、操作部を第二の方向に操作するのに伴って、作動片が受部に対して扉の閉方向に相対移動するように案内することとなる。上記のような構成によっても、本体部の操作にともなって作動する作動片が受部の案内部により案内される。これにより、作動片の作動により生じる受部に対する力によって、筐体と扉とを密閉するように押し当てることができる。この結果、廉価で軽量に筐体の開口部を扉で密閉することができる。
【0051】
上記実施形態では、受部の一例として、金属製の受部を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、金属以外の材料により形成された受部を適用することも可能である。
【0052】
上記実施形態では、本体部及び受部をそれぞれ筐体及び扉のうち2か所に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、本体部及び受部をそれぞれ筐体及び扉の1か所又は3か所以上に設けることも可能である。
【0053】
上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
【符号の説明】
【0054】
1 筐体
1a 開口部
2 扉
4 本体部
42 操作部
43、431、432 作動片
5 受部
51 係合部
52 案内部
53 凹部
54 押圧部
56 溝部
56a 当接辺
56b 非当接辺
57 係合ずれ防止部
6 調整機構
100 扉固定装置