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特開2023-159701照明制御システムおよび照明制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159701
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】照明制御システムおよび照明制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/11 20200101AFI20231025BHJP
   H05B 47/115 20200101ALI20231025BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20231025BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20231025BHJP
【FI】
H05B47/11
H05B47/115
H05B47/16
H05B47/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069580
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 祐也
(72)【発明者】
【氏名】三乘 雅洋
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA27
3K273QA28
3K273RA02
3K273RA12
3K273RA13
3K273RA16
3K273RA17
3K273SA04
3K273SA21
3K273SA23
3K273SA37
3K273SA45
3K273SA46
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA04
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA29
3K273TA41
3K273TA52
3K273TA55
3K273TA57
3K273TA62
3K273TA78
3K273UA19
(57)【要約】
【課題】効率の良い制御が可能な照明制御システムおよび照明制御装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る照明制御システムは、対象エリアの照度を測定する照度センサと、前記対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下であること、予め定められた時間帯であること、前記対象エリアを照らす照明器具の調光率が予め定められた調光率以上であることの少なくとも1つ以上を満たす場合に、前記照度センサに、明るさの測定値から前記照度を算出するための変換式を更新させるコントローラと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリアの照度を測定する照度センサと、
前記対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下であること、予め定められた時間帯であること、前記対象エリアを照らす照明器具の調光率が予め定められた調光率以上であることの少なくとも1つ以上を満たす場合に、前記照度センサに、明るさの測定値から前記照度を算出するための変換式を更新させるコントローラと、
を備えることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記対象エリアに滞在する人の数が前記予め定められた人数以下であること、前記予め定められた時間帯であること、前記対象エリアを照らす前記照明器具の調光率が前記予め定められた調光率以上であることの全てを満たす場合に、前記照度センサに前記変換式を更新させることを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記予め定められた時間帯は、前記対象エリアに屋外からの光が入らない時間帯であることを特徴とする請求項1または2照明制御システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記照度センサが設置された地域に応じた日の出時刻または前記地域に応じた日の入り時刻に応じて、前記屋外からの光が入らない時間帯を設定することを特徴とする請求項3に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記照度センサは、
前記対象エリアの明るさを測定する光検出部と、
前記光検出部の前記測定値に応じて、前記照度を算出する制御部と、
基準照度と、前記基準照度に対応する前記測定値である基準測定値と、を記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記コントローラからの指令に応じて前記光検出部により明るさの測定を行い、前記基準測定値を更新することで、前記変換式を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記照度センサは、
前記対象エリアの明るさを測定する光検出部と、
前記光検出部の前記測定値を増幅し、増幅された測定値に応じて、前記照度を算出する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記変換式を更新する際に前記測定値の増幅度を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記予め定められた人数、前記予め定められた時間帯または前記予め定められた調光率は、外部から設定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記コントローラが前記照度センサに前記変換式を更新させる頻度は、外部から設定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記コントローラは、日時に応じた前記対象エリアに滞在する人の数の学習データに基づき、前記対象エリアに滞在する人の数をモニタする間隔を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項10】
前記コントローラは、日時に応じた前記対象エリアに滞在する人の数または日時に応じた前記対象エリアを照らす前記照明器具の調光率の学習データに基づき、前記照度センサに前記変換式を更新させる日時を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項11】
対象エリアの照度を測定する照度センサと、
前記対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下であること、予め定められた時間帯であること、前記対象エリアを照らす照明器具の調光率が予め定められた調光率以上であることの少なくとも1つ以上を満たす場合に、前記対象エリアの明るさの測定値から前記照度を算出するための変換式を更新する制御部と、
を備えることを特徴とする照明制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システムおよび照明制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、周辺の照度に応じて照明器具を調光する照明制御システムが開示されている。このシステムにおいて、照度センサは、周辺から検出した光の照度に応じた電流を出力する。A/D変換回路は、照度センサから入力される電流をデジタル信号に変換する。変換テーブルには、照明器具の照度の目標値が記憶されている。ゲイン切替手段は、A/D変換回路により変換されたデジタル信号を基に、実際の照度を算出し、算出した照度と変換テーブルに記憶された照度の目標値とを比較して、A/D変換回路の信号増幅度を切り替える。調光手段は、A/D変換回路から入力されたデジタル信号と、ゲイン切替手段が切り替えた信号増幅度とに基づいて照明器具を調光制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4122863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、検出した照度値に応じて、A/D変換回路の信号増幅度を変更する。この際、対象エリアの反射光を検出して照度値に換算している。このため、人物の存在などにより対象エリアの反射率が一時的に変化した場合にも、信号増幅度を変更する機能が働く。従って、信号増幅度の切り替えが必要以上に発生し、処理の負荷が大きくなるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、適切なタイミングでの更新が可能な照明制御システムおよび照明制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明制御システムは、対象エリアの照度を測定する照度センサと、前記対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下であること、予め定められた時間帯であること、前記対象エリアを照らす照明器具の調光率が予め定められた調光率以上であることの少なくとも1つ以上を満たす場合に、前記照度センサに、明るさの測定値から前記照度を算出するための変換式を更新させるコントローラと、を備える。
【0007】
本開示に係る照明制御装置は、対象エリアの照度を測定する照度センサと、前記対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下であること、予め定められた時間帯であること、前記対象エリアを照らす照明器具の調光率が予め定められた調光率以上であることの少なくとも1つ以上を満たす場合に、前記対象エリアの明るさの測定値から前記照度を算出するための変換式を更新する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る照明制御システムおよび照明制御装置によれば、3つの条件の少なくとも1つ以上を満たす場合に、照度センサが明るさの測定値から照度を算出するための変換式が更新される。3つの条件は、対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下であること、予め定められた時間帯であること、および、対象エリアを照らす照明器具の調光率が予め定められた調光率以上であることである。従って、適切なタイミングでの更新が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る照明制御システムの各端末機器の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る画像センサの検出エリアを説明する図である。
図4】実施の形態1に係る照度センサ、画像センサおよび照明器具の配置を示す図である。
図5】実施の形態2に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態3に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各実施の形態に係る照明制御システムおよび照明制御装置について図面を参照して説明する。同じまたは対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム100の構成を示すブロック図である。照明制御システム100は、コントローラ1と端末機器を備える。コントローラ1は、例えば照明制御盤内または天井に設置される。コントローラ1は、接続された端末機器からの情報収集と、照明器具2の照明状態を変化させる制御を行う。また、コントローラ1は、上位システムへの情報の伝送および上位システムからの制御指令の実行を行う。
【0012】
図1では端末機器として照明器具2と、画像センサ3と、照度センサ4と、壁スイッチ5が接続されている。各端末機器は複数接続されても良い。また、端末機器の組合せは変更可能である。コントローラ1は、各端末機器から取得した入力情報と、予めコントローラ1に設定された目標値などの設定情報より、照明器具2のON/OFF、調光、色温度を制御する。
【0013】
照明器具2は、コントローラ1と有線通信または無線通信によってデータの送受信を行う。照明器具2は、コントローラ1からON/OFF、調光率、色温度等の制御指令を受信すると、照明状態を変化させる。照明器具2は、受信した制御データを変換してLED電源等に制御指令を伝送する制御ユニットを搭載していても良い。照明器具2において、LEDの駆動電源装置が直接通信データの送受信を行っても良い。
【0014】
壁スイッチ5は、一般ユーザーの手が届く壁面に設置される。壁スイッチ5は、各ボタンに対応する制御内容を予め記憶している。制御内容は、例えば照明器具2のアドレス番号またはグループ番号等を単位としたON/OFF、調光、色温度の制御である。制御内容は、複数グループのON/OFF、調光率、色温度の制御であっても良い。ユーザーが壁スイッチ5のボタンを押下することで、予めボタンに設定された制御内容を実行することができる。
【0015】
設定器6は、コントローラ1の制御内容および端末機器の動作に関する設定を実施できる。設定器6と、コントローラ1および端末機器は、赤外線通信などで直接データを送受信しても良い。設定器6は、コントローラ1と端末機器とを接続する有線または無線通信に接続されても良い。設定器6は、コントローラ1と上位システムとを接続する通信ラインに接続されても良い。設定器6の機能は、ワイヤレスリモコン、パソコン、モバイル端末などによって実現できる。
【0016】
画像センサ3は主に天井に設置される。画像センサ3は、搭載されたカメラによって画像データを取得し、対象のエリア内に人体が存在するかを判別する。画像センサ3は、焦電センサのように熱源体の移動のみを検出するのではなく、画像の変化を検出し、独自の検出アルゴリズムによって、対象エリアに対する人体の進入、移動、滞在および通過を検出できる。画像センサ3は、検出した情報のうち必要な情報のみをコントローラ1に伝送しても良い。
【0017】
画像センサ3から情報を受信したコントローラ1は、人体の検出情報を送信した画像センサ3の検出エリアと関連付けられた照明器具2に対して、制御指令を送信して照明制御を行う。例えば人の滞在時および移動時に対して、それぞれ目標調光率をコントローラ1に予め設定しておく。コントローラ1は、対象エリア内の人の動きに合わせて、照明状態を変化させる。例えばコントローラ1は、人の移動中は歩行可能な最低限の明るさで照明器具2を点灯させる。また、コントローラ1は、人の滞在時には照明器具2の調光率を人が作業可能な値に上昇させる。
【0018】
画像センサ3は、独自のアルゴリズムにより、対象エリア内に滞在する人数をカウントし、人数情報をコントローラ1に通知する。人数データを受信したコントローラ1は、人数情報に応じて照明器具2へ制御指令を送信して照明状態を変化させても良い。コントローラ1は、上位システムに人数情報を通知しても良い。人の移動、滞在および通過の情報は、検出エリアの状態に変化が発生する度に、画像センサ3が自発的にコントローラ1へ送信すると良い。人数情報についても、滞在する人数が変化した場合に画像センサ3が自発的にコントローラ1に送信しても良い。予め設定されたモニタ間隔に応じて、コントローラ1は定期的に画像センサ3にモニタ信号を送信し、画像センサ3は応答として人数情報を送信しても良い。モニタ間隔は任意に変更できる。
【0019】
照度センサ4は、対象エリアの照度を測定する。照度センサ4は、天井などに設置され、配下の床面または机上面の明るさを検出して、照度に換算する。コントローラ1は、照度センサ4が検出する照度値を管理する。コントローラ1は、予め設定された目標照度に対して現在の照度値が高いまたは低い場合に、対象エリアに設置された照明器具2の出力を調整して、検出した照度値が目標照度に近づくように自動制御する。照度値に応じた照明器具2の制御単位には、例えば照明器具2を個別に制御する個別回路、複数の個別回路をまとめて管理するグループ、複数のグループをまとめて更に大きい単位で管理するゾーンがある。
【0020】
図2は、実施の形態1に係る照明制御システム100の各端末機器の構成を示すブロック図である。図2では壁スイッチ5は省略されている。まず、コントローラ1の構成の例について説明する。演算部1aは、通信、照明制御のための主な処理を行う。記憶部1bには、演算部1aでの制御で用いられる各種設定が保存されている。有線通信部1cは、画像センサ3、照度センサ4といった端末機器と通信を行う。赤外線通信部1dは設定器6と通信する。上位通信部1eは、コントローラ1よりも上位のシステムと通信する。日時情報管理部1fは、スケジュール制御機能を実行するための情報を管理する。設定器6が有線通信ラインを介してコントローラ1に接続される場合、赤外線通信部1dは設けられなくても良い。
【0021】
次に照明器具2の構成の例について説明する。演算部2aは、通信、照明制御のための主な処理を行う。記憶部2bには、演算部2aでの制御で用いられる各種設定が保存される。有線通信部2cはコントローラ1と通信を行う。赤外線通信部2dは設定器6と通信する。照明制御部2eは、有線通信部2cによって受信した制御指令に基づき、点灯部2fを制御する。点灯部2fは、主にLEDなどの光源によって構成される。また、照明器具2に電源部を別個に設け、電源部をOFFすることで照明器具2を消灯できるようにしても良い。設定器6が有線通信ラインを介して照明器具2に接続される場合には、赤外線通信部2dは不要になる。しかし、天井に設置された照明器具2にアドレスまたはグループ番号を設定するために、赤外線通信部2dが搭載されることが望ましい。
【0022】
次に設定器6の構成の例について説明する。演算部6aは、通信および操作部6dから入力された情報の処理等を行う。記憶部6bには、演算部6aでの制御で用いられるデータが保存される。赤外線通信部6cはコントローラ1、端末機器と通信する。操作部6dは、ユーザーからコントローラ1、端末機器の各種設定が入力される。表示部6eは、操作部6dからの入力内容またはコントローラ1、端末機器から受信した情報等が表示される。
【0023】
次に画像センサ3の構成の例について説明する。演算部3aは、通信および検出データの処理を行う。記憶部3bには、演算部3aでの制御で用いられる各種設定値が保存される。有線通信部3cはコントローラ1と通信する。赤外線通信部3dは設定器6と通信する。画像解析部3eは、画像検出部3fで検出した画像を解析して、独自のアルゴリズムによって人の在/不在および人数を検出する。画像検出部3fは、カメラによって対象エリアを撮影する。画像センサ3も天井に設置されるため、画像センサ3の各種設定のために赤外線通信部3dを搭載すると良い。
【0024】
図3は、実施の形態1に係る画像センサ3の検出エリアを説明する図である。図3では、天井に設置された画像センサ3がカメラで床面方向を撮像する場合の、検出エリアの例が示されている。画像センサ3の検出エリアは、使用するカメラまたは検出精度によって異なるが、例えば床面の7.2m四方の正方形の範囲である。画像センサ3は、例えば検出エリア内の0.9m四方の正方形を1ブロックとして、検出エリアを1辺あたり8列の64ブロックに分けて検出する。
【0025】
画像センサ3に搭載されたカメラの撮像範囲は広角である。画像センサ3は、撮像範囲の外周部等の不要な範囲を禁止領域として、検出エリアを絞っても良い。画像センサ3は、例えば7.2m四方の検出エリアを、1辺あたり16列の256ブロックに分けて検出可能な高性能の画像センサであっても良い。また、画像センサ3は設置する高さによってもカメラの撮像範囲が異なる。このため、照明制御システム100の初期設定として、予め設置高さを設定して検出エリアを調整しても良い。また、画像センサ3の検出エリアの一辺を、6.4m、7.2m、9.0mなどに任意に変更して、検出範囲を変化させても良い。また、画像センサ3が検出する対象物の高さを0.7m、1.2mなどと運用に合わせて選択できても良い。画像センサ3が検出する対象物の高さは、例えば床面、机上面、人が座った状態での頭の高さなどに設定される。
【0026】
図2の例では、画像センサ3は1ブロック毎に人が存在するかを判別する。画像センサ3は、例えば全範囲の64ブロックを16ブロック毎の4エリアに分け、それぞれのエリアにおける人の滞在情報をコントローラ1へ通知する。コントローラ1は4つのエリアと、照明器具2の個別アドレスまたはグループ番号との割付け情報を予め記憶している。コントローラ1は、エリアへの人の在/不在状態の変化によって、エリアに割り付けた照明器具2の照明状態を変化させる。各エリアに含まれるブロックの組合せおよび検出を禁止するブロックなどは、設定器6によって設定できる。
【0027】
画像センサ3は、例えば人の存在を検出しているブロックの合計数によって、現在、検出エリアに存在する人の数を判別する。この場合、図2の例では最大64人を検出できる。画像センサ3は、独自のアルゴリズムによって、隣り合う複数のブロックで同時に人の存在を検出している場合は、当該隣り合うブロックで1人とカウントしても良い。画像センサ3は、予め設定された画像センサ3の設置高さまたは検出エリアに応じて、人体の大きさに相当するブロック数を自動算出しても良い。画像センサ3は、隣り合う複数のブロックで人体を検出した場合に、当該隣り合うブロックに含まれるブロックの数に応じて、人数を判別しても良い。これにより、人数検出の精度を向上させることができる。
【0028】
図2の例では、画像センサ3は、画像検出部3fが備えるカメラで撮影することによって、画像データを取得する。画像検出部3fが取得した画像データに基づき、画像解析部3eは、現在、対象エリアに存在する人数を算出する。有線通信部3cは、算出された人数情報をコントローラ1に送信する。これにより、コントローラ1は人数情報を取得できる。画像センサ3はコントローラ1からのモニタ信号を待機し、モニタ信号を受信した時に、応答として人数情報を送信しても良い。
【0029】
次に図2を参照して照度センサ4の構成の例について説明する。演算部4aは、通信および検出データの処理を行う。記憶部4bには、演算部4aでの制御で用いられる各種設定が保存される。有線通信部4cはコントローラ1と通信する。赤外線通信部4dは設定器6と通信する。照度算出部4eは、光検出部4fが検出して出力したアナログ電圧値を照度値に変換する。光検出部4fは、対象エリアの明るさを測定する。照度センサ4も天井に設置されるため、照度センサ4の各種設定のために赤外線通信部4dを搭載すると良い。
【0030】
光検出部4fには、検出した光の量を電圧信号に変換するセンサ素子が搭載される。光検出部4fに入る光の量によって、センサ素子から出力されるアナログ電圧値が変化する。アナログ電圧値は、照度センサ4に搭載された制御部に入力される。制御部は、例えば演算部4aおよび照度算出部4eに該当する。制御部は、例えば増幅回路およびマイコン等の演算回路を備える。記憶部4bには、光検出部4fによる明るさの測定値から、照度を算出するための変換式が予め記憶されている。変換式は変換テーブルであっても良い。照度算出部4eは光検出部4fの測定値を、変換式を用いて照度に変換する。このように、照度センサ4の制御部は、光検出部4fの測定値に応じて、照度を算出する。
【0031】
照度算出部4eは、アナログの直流電圧値である光検出部4fの測定値を、マイコンに入力可能な適切な電圧範囲となるように変換する増幅回路を備える。照度センサ4は天井に設置され、床面等からの反射光が入力される。対象エリアの床面、壁面、天井面、机上面等の色または材質によって、反射率は異なる。反射率が異なると、同じ照度値でも照度センサ4に入射する光の量は異なる。増幅回路の増幅度は、予め搭載された複数の増幅度から任意に選択できる。これにより、対象エリアの反射率が変化しても、光検出部4fの測定値をマイコンが処理できる電圧範囲内に調整できる。このように、照度センサ4の制御部は、光検出部4fの測定値を増幅し、増幅された測定値に応じて、照度を算出する。
【0032】
増幅回路の増幅度は、照度センサ4の内部で自動算出できる。例えば、設定者は対象となる照明器具2を任意の調光率で制御させた状態で、増幅度の自動設定操作を実行する。これに応じて、照度センサ4は、予め設定された複数の増幅度を順に再現し、マイコンに入力される電圧値が最適と判別される増幅度を抽出する。その後、照度センサ4は抽出された増幅度で運用を行う。
【0033】
図4は、実施の形態1に係る照度センサ4、画像センサ3および照明器具2の配置を示す図である。図4の例では、図3に示される例と同様に、画像センサ3の検出エリアが4つのエリアに分割されている。各エリアには4台の照明器具2が設置されている。コントローラ1は、各エリアにある4台の照明器具2と、画像センサ3のエリア番号とを、同一のグループ番号として紐づける。画像センサ3があるエリア内の16ブロックのうち1ブロック以上で人体を検出した場合には、コントローラ1は例えばこのエリアに紐づけられた4台の照明器具2を点灯させる。検出エリア中のエリアの数が多い場合には、各エリアに照明器具2を例えば1台紐づけるなど、照明器具2を細かく制御しても良い。
【0034】
以上のような方法により、画像センサ3は、各エリアの人体の在/不在情報に応じて照明器具2の照明状態を制御できる。また、画像センサ3は、同時に対象エリア内に存在する人数をカウントして、コントローラ1に通知することができる。画像センサ3からコントローラ1へ通知する情報は、画像センサ3の検出エリアを構成する複数のエリアの合計人数でも良く、エリア毎の人数でも良い。
【0035】
図4では、照度センサ4をエリアの中央付近に設置している。照度センサ4は、主に太陽光を含む屋外からの光を利用して、照明器具2の出力を下げて消費電力を抑制することを目的としている。よって、照度センサ4は、例えば屋外からの光の影響を受けやすいエリアの照明器具2を制御するように設定される。屋外からの光の影響を受けやすいエリアは、例えば窓が隣接するエリアである。
【0036】
次に、照度の自動制御の方法について説明する。自動制御を行うために、照度センサ4の記憶部4bには、基準照度と、基準照度に対応する光検出部4fの測定値である基準測定値とが記憶されている。基準照度は、照明器具2の調光率を運用で使用する適度な明るさに調整した状態で、照度センサ4の配下の床面または机上面等の照度値を照度計等で測定することで取得できる。基準測定値は、基準照度の測定時における照度センサ4のマイコンに入力されるアナログ電圧値である。照度センサ4は、基準照度と基準測定値を紐づけて基準値として記憶する。基準値の別の取得方法として、照明器具2の調光率を100%とした最大出力状態で、基準照度と基準測定値を取得しても良い。なお、基準値の算出は演算部4aで実施される。
【0037】
照度センサ4は、光検出部4fの測定値が変化すると、基準照度と基準測定値に基づき、比例計算によって現在の照度値を算出できる。本実施の形態では、基準照度と基準測定値を用いた比例計算式が、明るさの測定値から照度を算出するための変換式に該当する。
【0038】
コントローラ1には予め運用時に実現したい照度値が目標照度として設定される。コントローラ1は、定期的または必要時に照度センサ4から現在の照度値を受信する。コントローラ1は、現在の照度値が目標照度より低い場合には、照明器具2の調光率を上げ、現在の照度値が目標照度より高い場合には、照明器具2の調光率を下げる。コントローラ1は、照明器具2の調光率を調整して、安定した照度になるように自動制御する。
【0039】
次に、変換式の更新について説明する。照明制御システム100の設置時の初期設定として、照度センサ4の増幅度等が設定され、床面の色および照度センサ4の設置高さなどの設置環境に対する最適化が実施される。その後、運用中に設定を変更する必要が生じることは少ない。しかし、机などのレイアウト変更により、対象エリアの反射率に変化が生じた場合、初期設定で設定した基準値を継続して使用すると、実際の照度にずれが生じる可能性がある。
【0040】
例えば、初期設定により基準照度を設定した後、レイアウト変更によって、検出エリアの反射率が5%程度上がったとする。この場合、レイアウト変更前後で同じ調光率で照明器具2を制御したとしても、照度センサ4が検出する光の量が大きくなる。このため、実際より高い照度が検出され、コントローラ1は調光率を下げる。従って、目標照度よりも実際の照度が低くなる場合がある。このような事象を避けるため、レイアウト変更により対象エリアの反射率等の環境が変化した場合には、基準値を適切な値に再設定することが望ましい。
【0041】
コントローラ1は、初期設定時に基準照度を取得した際の対象エリアを照らす照明器具2の調光率を、基準照度と紐づけて記憶している。基準値の再設定をする際には、コントローラ1は、基準照度に紐づけられた調光率で照明器具2を点灯させる。照度センサ4は、当該調光率で照明器具2が点灯した状態で、光検出部4fにより基準測定値を取得する。照度センサ4は、取得された基準測定値で基準値を更新する。このように、照度センサ4の制御部は、コントローラ1からの指令に応じて光検出部4fにより明るさの測定を行い、基準測定値を更新する。これにより、変換式を更新できる。従って、設置環境に対する最適化を実施できる。
【0042】
照度センサ4の制御部は、変換式を更新する際に上述した光検出部4fの測定値の増幅度を更新しても良い。
【0043】
ここで、照度を算出するための変換式を更新する際には、いくつかの環境条件を満たすことが望ましい。まず、初期設定を実施する場合と同様に、更新を実施する際には、対象エリアに照明器具2以外の光が入らないことが望ましい。日中などに屋外からの光が窓等から入る状態で更新を実施すると、照明器具2の出力のみで照度を確保する場合に、目標照度が得られない可能性がある。また、屋外からの光の量の変化により照度が影響を受けるおそれがある。
【0044】
このため、コントローラ1は、予め定められた時間帯に、照度センサ4に照度を算出するための変換式を更新させると良い。予め定められた時間帯は、対象エリアに屋外からの光が入らない時間帯である。
【0045】
コントローラ1の日時情報管理部1fには、時計機能が搭載されている。日時情報管理部1fは、例えば年、月、日、曜日、時、分、秒をカウントして管理する。コントローラ1は電源が一時的にOFFされても、時計機能の計測を継続する。コントローラ1は、バックアップ用として例えば二次電池またはキャパシタを搭載している。これにより、電源がOFFされた場合も、一定期間は時計機能の計測を継続でき、再度、電源がONされても日時情報は消えない。時計機能は、例えばマイコンに搭載されたRTC(Real-Time Clock)機能で実現しても良く、RTC機能を持つ電子部品をマイコンに外付けしても良い。時計の計測の精度を高めるため、例えば水晶振動子またはセラミック発振子などの部品を搭載しても良い。
【0046】
コントローラ1の記憶部1bに設定されたデータテーブルには、地域毎の日の出、日の入り時刻が記憶されている。例えば照明制御システム100を国内で使用する場合、コントローラ1には各都道府県の県庁所在地の日の出、日の入り時刻が記憶されている。また、照明制御システム100の設置時には、設置する地域に応じた地域名称等をコントローラ1に登録する。例えば、照明制御システム100を設置する地域に最も近い県庁所在地または地域をコントローラ1に登録することで、季節に応じて、太陽光を含む屋外からの光が入らない時間帯を検出できる。コントローラ1は、検出された時間帯を、更新を自動で実行するための条件に反映する。このようにコントローラ1は、照度センサ4が設置された地域に応じた日の出時刻または日の入り時刻に応じて、屋外からの光が入らない時間帯を設定する。
【0047】
照明制御システム100が設置された地域を選択する際には、コントローラ1に当該地域の緯度、経度を登録しても良い。コントローラ1には、緯度、経度から日の出、日の入り時刻を抽出できるよう、予めデータを保持していても良い。コントローラ1に特定の地域が設定されることで、コントローラ1が、設定された地域の緯度、経度に基づき日の出、日の入り時刻を抽出しても良い。照明制御システム100の設置場所が日本の場合、例えば緯度は20°から50°の範囲、経度は120°から160°の範囲で設定される。照明制御システム100が日本国外で使用される場合、緯度、経度は、最適なデータ範囲に調整される。緯度、経度の情報は使用せずに、コントローラ1は、選択された地域情報に基づき日の出、日の入り時刻を参照できるようデータテーブルを保持しても良い。照明制御システム100の位置情報については、管理者が手動で設定しても良いし、基地局情報またはGPS(Global Positioning System)等によって自動で検出されても良い。
【0048】
これにより、季節によって異なる日の入り後から日の出前までの時間帯を、屋外からの光が入らない夜間として扱うことができる。コントローラ1は、現在が夜間であるか否かを、更新を行う条件とする。日の入りから予め定められた時間経過後、かつ、日の出から予め定められた時間前の時間帯を夜間の時間帯としても良い。コントローラ1の演算部1aは、記憶部1bで保持されたデータに基づき、夜間であることを判別する。
【0049】
また、変換式の更新を実施するには、照明器具2が点灯している必要がある。変換式の更新時には、照明器具2は初期設定時と同じ調光率で点灯していると良い。また、照明器具2が初期設定時と異なる調光率で点灯している場合でも、検出した測定値から比例計算により相対的に基準測定値を算出することが可能である。
【0050】
ここで、例えば夜間に施設が使用されておらず、照明が消灯状態である時間帯に、タイマー等を使用して急に照明を点灯することは望ましくない場合がある。このため、自動で変換式の更新を実施するためには、予め照明器具2が点灯していることが望ましい。また、相対的に基準測定値を算出する場合には、初期設定時の調光率に近い調光率であるほど基準測定値の精度は上がる。このため、例えば調光率5%などで点灯している場合には、算出した基準測定値にずれが生じる可能性がある。
【0051】
以上から、コントローラ1は、対象エリアを照らす照明器具2の調光率が予め定められた調光率以上である場合に、照度センサ4に照度を算出するための変換式を更新させると良い。予め定められた調光率は、例えば40%~100%の範囲で設定される。これにより、基準測定値を精度よく更新できる。また、消灯時などに急な照明状態の変化が生じて、管理者または施設の周囲に対して不快感を与えることを抑制できる。さらに、急な照明状態の変化を抑制することで、ユーザーの安全を確保できる。
【0052】
コントローラ1は、予め、対象エリアが重なる照度センサ4と画像センサ3と照明器具2とをグループ化等により関連付けている。コントローラ1の演算部1aは、対象となる照度センサ4と関連付けられた照明器具2を記憶部1bの設定情報から抽出する。演算部1aは、予め記憶部1bに設定された判別条件となる調光率を読み出し、抽出された照明器具2の調光率が、判別条件となる調光率より高いかを判別する。
【0053】
また、対象エリアに人物が多く存在する場合には、複数の人物の衣服または頭髪部分などの影響で、反射率が変動することがある。これにより、照度センサ4が検出する光の量が大きく変動する場合がある。一般に、多くの人物が滞在すると反射率が低くなり、照度センサ4が検出する光の量が小さくなる。この状態で更新を実施すると、光検出部4fが出力するアナログ電圧値が低い状態が基準測定値として設定される。運用時に人数が減ると、更新時よりも明るく検出され、コントローラ1は照明器具2の調光率を低く制御する可能性がある。
【0054】
以上から、コントローラ1は、対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下である場合に、照度センサ4に照度を算出するための変換式を更新させると良い。予め定められた人数は、0~64人の範囲で設定できる。対象エリア内に存在する人数については、曜日または時間帯によって、管理者が推測することができる。しかし、人数が少ないと思われる時間帯でも一時的に人数が多くなることもあるため、人数情報を正確に検出し、変換式の更新を行う条件として使用することが望ましい。対象エリアに滞在する人数はゼロに近い程、測定値への影響が少なく、望ましい。しかし、夜間に照明器具2を点灯させているため、対象エリアが無人という条件に限定するのは難しい可能性がある。このため、予め定められた人数は例えば3人に設定すると良い。
【0055】
コントローラ1の演算部1aは、画像センサ3から取得した人数情報と、予め記憶部1bに設定されている人数条件を比較し、人数情報が示す人数が人数条件以下であるかを判別する。
【0056】
コントローラ1は、上記3つの条件の全てを満たす場合に、照度センサ4に変換式を更新させると良い。3つの条件は、対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下であること、予め定められた時間帯であること、および、対象エリアを照らす照明器具2の調光率が予め定められた調光率以上であることである。これに限らず、コントローラ1は、上記3つの条件の少なくとも1つ以上を満たす場合に、照度センサ4に変換式を更新させても良い。例えば、屋外からの光の影響が少ない環境では、時間帯の条件を外しても良い。また、対象エリアに滞在する人による明るさの測定値への影響が少ない環境では、人数の条件を外しても良い。また、日付または時間帯に応じて、条件の組み合わせを変更しても良い。
【0057】
コントローラ1は、設定された頻度に応じて、上記3つの条件が揃った場合に、有線通信部1cより照度センサ4に向けて、変換式の更新を実行する制御指令を送信する。照度センサ4は有線通信部4cで制御指令を受信すると、現在の光検出部4fの測定値を取得する。照度センサ4は、照明器具2の調光率が初期設定時と同じである場合、現在の測定値をそのまま基準測定値として記憶部4bに上書きする。また、照明器具2の調光率が初期設定時と異なる場合、照度センサ4は、現在の調光率と初期設定時の調光率の比率に基づき、比例計算によって、現在の測定値から初期設定時に相当する基準測定値を算出し、記憶部4bに上書きする。以降、照度センサ4の照度算出には、新しく設定された基準値が使用される。
【0058】
本実施の形態では、変換式の更新を自動で実施できる。このため、時間帯または対象エリアの環境を考慮しながら、管理者が手動で更新を実施する場合に比べて、設置環境に対する最適化を容易に実施できる。また、上記3つの条件に基づき更新を行うことで、適切なタイミングでの更新が可能となる。
【0059】
環境の変化が大きい場合、基準測定値だけでなく、増幅度の最適化も同時に実施できる。予め設定されたアナログ電圧値の範囲に基準測定値が入らない場合には、増幅度を変更すると良い。
【0060】
コントローラ1が照度センサ4に変換式を更新させる頻度は、設定器6等によって外部から設定可能である。更新の頻度は、例えば1日毎、1週間毎、1ヵ月毎など、管理者が任意に変更できる。更新は日曜日等の指定の日に行われても良い。コントローラ1は、設定された頻度となるように、条件が合致したタイミングで、自動で変換式の更新を行う。コントローラ1では予め設定した頻度に応じて、変換式の更新の条件の照合を行う。例えば、設定された頻度に応じた日に条件が合わず、更新が実施できなかった場合、コントローラ1は、翌日にリトライしても良い。これにより、更新が必要以上に発生することを抑制でき、効率の良い制御が可能となる。
【0061】
条件として予め定められた人数、予め定められた時間帯および予め定められた調光率には、初期値が設けられている。予め定められた人数、予め定められた時間帯または予め定められた調光率は、例えば設定器6により、外部から設定可能であり、実際の環境に応じて調整できる。予め定められた人数、予め定められた時間帯および予め定められた調光率は、日時に応じて変更されても良い。
【0062】
照明制御システム100は、人工知能を用いて、曜日または時間帯によって変化する人数情報のデータを蓄積しても良い。コントローラ1は、日時に応じた対象エリアに滞在する人の数の学習データに基づき、対象エリアに滞在する人の数をモニタする間隔を調整しても良い。定期モニタを実施すると、定常的に通信トラフィックが大きくなる。このため、人数の変化が少ない曜日または時間帯には、モニタ間隔を広げて通信トラフィックを軽減することが望ましい。よって、学習データによって人数情報の変化が少ない曜日または時間帯を割り出し、その時間帯にはモニタ間隔を広げる処理を行っても良い。
【0063】
照明制御システム100は、人工知能による学習データを用いて、変換式の更新を行う条件が揃いやすい曜日または時間帯を抽出しても良い。この場合、照明制御システム100は、抽出された時間帯に基づき、変換式の更新を行うための条件の判別処理を行う時間帯を絞っても良い。これにより、条件が揃わないタイミングにおいて不要に判別処理を行うことを抑制でき、コントローラ1の負荷を軽減できる。また、条件の判別処理によって、他の重要な処理が遅れることを抑制できる。このように、コントローラ1は、日時に応じた対象エリアに滞在する人の数または日時に応じた対象エリアを照らす照明器具2の調光率の学習データに基づき、照度センサ4に変換式を更新させる日時を設定しても良い。
【0064】
図2の例では、端末機器とコントローラ1とが有線で通信を行っているが、無線で通信を行っても良い。また、本実施の形態の例では、画像センサ3が変換式の更新を行うための条件の判別に用いられた。これに限らず、画像検出部3fが撮像した画像データを基に、画像解析部3eが人体の移動、通過、滞在を判別し、画像センサ3からの情報に基づき、コントローラ1は予め記憶部1bに保存された設定値に基づき、対応する照明器具2を制御しても良い。
【0065】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る照明制御システムおよび照明制御装置について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る照明制御システムおよび照明制御装置については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0066】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る照明制御システム100の構成を示すブロック図である。
本実施の形態では、コントローラ1に、画像センサ3の機能と照度センサ4の機能が備わっている点が実施の形態1と異なる。他の構成は、実施の形態1と同様である。照明制御装置であるコントローラ1は、照度センサと、実施の形態1で説明した更新を行うための3つの条件のうち少なくとも1つ以上を満たす場合に変換式を更新する制御部を備える。
【0067】
画像センサ3と照度センサ4は機能上、どちらも対象エリアの中央部に設置されることが多い。従って、コントローラ1に画像センサ3と照度センサ4を内蔵することが可能である。この構成によれば、画像センサ3および照度センサ4を設置する手間およびコストを削減できる。また、通信ライン上での人数情報および更新を行うためのデータの送受信を低減できる。
【0068】
画像センサ3の機能または照度センサ4の機能の一方のみが、コントローラ1に搭載されても良い。コントローラ1、照明器具2、壁スイッチ5間の通信手段は有線通信でも無線通信でも良い。
【0069】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3に係る照明制御システム100の構成を示すブロック図である。
本実施の形態では、コントローラ1より下位のシステム構成は実施の形態1と同様であり、処理動作についても同様である。また、実施の形態2と同様に、コントローラ1に一部の端末機器の機能が含まれても良い。本実施の形態では、コントローラ1の上位側にゲートウェイ装置7が接続され、ゲートウェイ装置7には中央管理装置8が接続される。
【0070】
ゲートウェイ装置7は、コントローラ1が制御情報を上位システムに伝送する場合および上位システムからコントローラ1に制御指令を送信する場合に、上位システムと照明制御システム100の通信形態の間で変換を行う。ゲートウェイ装置7は、照明制御システム100の通信方式から、例えば、BACnet等のオープン規格を含む他設備との通信方式に変換することができる。中央管理装置8は、Ethernet(登録商標)を使用したBACnet通信等によって、ゲートウェイ装置7から照明制御システム100の状態をモニタする。また、中央管理装置8は、制御指令を発信して照明制御システム100を管理する。
【0071】
本実施の形態では、画像センサ3が検出した人数情報または照明状態の情報等を、他設備に当たる中央管理装置8に通知できる。これにより、例えば空調システムまたは警備システムにおいて、照明制御システム100から通知した人数情報等を活用できる。また、中央管理装置8から照明制御に関する設定、操作、状態モニタを実施することができる。また、設定器6で設定を行う各種設定項目、および、変換式を更新するための条件に関わる判定値についても、上位システムから設定できる。
【0072】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【0073】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
対象エリアの照度を測定する照度センサと、
前記対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下であること、予め定められた時間帯であること、前記対象エリアを照らす照明器具の調光率が予め定められた調光率以上であることの少なくとも1つ以上を満たす場合に、前記照度センサに、明るさの測定値から前記照度を算出するための変換式を更新させるコントローラと、
を備えることを特徴とする照明制御システム。
(付記2)
前記コントローラは、前記対象エリアに滞在する人の数が前記予め定められた人数以下であること、前記予め定められた時間帯であること、前記対象エリアを照らす前記照明器具の調光率が前記予め定められた調光率以上であることの全てを満たす場合に、前記照度センサに前記変換式を更新させることを特徴とする付記1に記載の照明制御システム。
(付記3)
前記予め定められた時間帯は、前記対象エリアに屋外からの光が入らない時間帯であることを特徴とする付記1または2照明制御システム。
(付記4)
前記コントローラは、前記照度センサが設置された地域に応じた日の出時刻または前記地域に応じた日の入り時刻に応じて、前記屋外からの光が入らない時間帯を設定することを特徴とする付記3に記載の照明制御システム。
(付記5)
前記照度センサは、
前記対象エリアの明るさを測定する光検出部と、
前記光検出部の前記測定値に応じて、前記照度を算出する制御部と、
基準照度と、前記基準照度に対応する前記測定値である基準測定値と、を記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記コントローラからの指令に応じて前記光検出部により明るさの測定を行い、前記基準測定値を更新することで、前記変換式を更新することを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記6)
前記照度センサは、
前記対象エリアの明るさを測定する光検出部と、
前記光検出部の前記測定値を増幅し、増幅された測定値に応じて、前記照度を算出する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記変換式を更新する際に前記測定値の増幅度を更新することを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記7)
前記予め定められた人数、前記予め定められた時間帯または前記予め定められた調光率は、外部から設定可能であることを特徴とする付記1から6の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記8)
前記コントローラが前記照度センサに前記変換式を更新させる頻度は、外部から設定可能であることを特徴とする付記1から7の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記9)
前記コントローラは、日時に応じた前記対象エリアに滞在する人の数の学習データに基づき、前記対象エリアに滞在する人の数をモニタする間隔を調整することを特徴とする付記1から8の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記10)
前記コントローラは、日時に応じた前記対象エリアに滞在する人の数または日時に応じた前記対象エリアを照らす前記照明器具の調光率の学習データに基づき、前記照度センサに前記変換式を更新させる日時を設定することを特徴とする付記1から9の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記11)
対象エリアの照度を測定する照度センサと、
前記対象エリアに滞在する人の数が予め定められた人数以下であること、予め定められた時間帯であること、前記対象エリアを照らす照明器具の調光率が予め定められた調光率以上であることの少なくとも1つ以上を満たす場合に、前記対象エリアの明るさの測定値から前記照度を算出するための変換式を更新する制御部と、
を備えることを特徴とする照明制御装置。
【符号の説明】
【0074】
1 コントローラ、1a 演算部、1b 記憶部、1c 有線通信部、1d 赤外線通信部、1e 上位通信部、1f 日時情報管理部、2 照明器具、2a 演算部、2b 記憶部、2c 有線通信部、2d 赤外線通信部、2e 照明制御部、2f 点灯部、3 画像センサ、3a 演算部、3b 記憶部、3c 有線通信部、3d 赤外線通信部、3e 画像解析部、3f 画像検出部、4 照度センサ、4a 演算部、4b 記憶部、4c 有線通信部、4d 赤外線通信部、4e 照度算出部、4f 光検出部、5 壁スイッチ、6 設定器、6a 演算部、6b 記憶部、6c 赤外線通信部、6d 操作部、6e 表示部、7 ゲートウェイ装置、8 中央管理装置、100 照明制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6