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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159712
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/02 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
A01D57/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069598
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小林 宜泰
(72)【発明者】
【氏名】一二三 慶城
【テーマコード(参考)】
2B081
【Fターム(参考)】
2B081AA03
2B081BB23
2B081CC25
2B081FA01
(57)【要約】
【課題】ガイドローラの交換作業を容易に行いやすくした収穫機を提供する。
【解決手段】リールフレーム23の回転軸心Pに対して偏心した回転軸心Q回りで回転する補助リールフレーム23の回転軸心Qを中心に円形孔29が開口され、補助リールフレーム26に対向する位置の支持フレーム18に連結されたローラ取付板3と、補助リールフレーム26の回転軸心を規定する複数のガイドローラ28と、を備え、左右のリールフレーム23が、左右の支持フレーム18同士の間に配置されるとともに、補助リールフレーム26が、左右方向で支持フレーム18とリールフレーム23との間に配置され、ローラ取付板3が左右方向で補助リールフレーム26とリールフレーム23との間に設けられ、ガイドローラ28が、ローラ取付板3におけるリールフレーム23と対向する側の面とは反対側の面に取り付けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の植立穀稈を掻き込む複数のタインが設けられた掻き込みリールと、
掻き込まれた前記植立穀稈を刈り取る切断装置と、が備えられ、
前記掻き込みリールが、
左右の支持フレームに両端部を支持された回転軸と、
前記回転軸に伝達される動力で前記回転軸と同心の回転軸心回りに回転する左右のリールフレームと、
前記リールフレームの回転軸心に対して偏心した回転軸心回りで回転する補助リールフレームと、
左右の前記リールフレームに支持される複数のタイン支持バーと、
前記タイン支持バーに支持される複数のタインと、
前記補助リールフレームと前記タイン支持バーとを連結するリンク部と、
前記補助リールフレームに形成され、前記補助リールフレームの回転軸心を中心に開口される円形孔と、
前記円形孔が形成された前記補助リールフレームに対向する位置の前記支持フレームに連結されたローラ取付板と、
前記補助リールフレームの前記回転軸心を中心とする円の周方向に沿って間隔をあけた状態で前記ローラ取付板に設けられ、前記円形孔の内周面に当接することで前記補助リールフレームの前記回転軸心を規定する複数のガイドローラと、を備え、
左右の前記リールフレームが、左右の前記支持フレーム同士の間に配置されるとともに、前記補助リールフレームが、左右方向で前記支持フレームと前記リールフレームとの間に配置され、
前記ローラ取付板が左右方向で前記補助リールフレームと前記リールフレームとの間に設けられ、
前記ガイドローラが、前記ローラ取付板における前記リールフレームと対向する側の面とは反対側の面に取り付けられている収穫機。
【請求項2】
前記ローラ取付板には、当該ローラ取付板における前記ガイドローラの取付面よりも、左右方向で前記支持フレームに近づく方向へ突出する膨出連結部が一体に形成されている請求項1記載の収穫機。
【請求項3】
前記ガイドローラが、前記膨出連結部の存在箇所から外れた位置で前記取付面に取り付けられている請求項2記載の収穫機。
【請求項4】
前記ローラ取付板における前記取付面からの前記膨出連結部の突出高さは、前記ガイドローラにおける筒状部の前記取付面からの突出高さよりも高く設定されている請求項2記載の収穫機。
【請求項5】
前記ローラ取付板は、前記回転軸の軸心回りにおける前記支持フレームに対する取付角度を変更可能に連結されている請求項1~4のいずれか一項記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植立穀稈を掻き込む掻き込みリールと、掻き込まれた植立穀稈を刈り取る切断装置とが備えられた収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の掻き込みリールを備える収穫機としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
この収穫機では、掻き込みリールとして、回転駆動される回転軸と同心の回転軸心回りに回転する左右のリールフレームと、リールフレームの回転軸心に対して偏心した位置の回転軸心回りで回転する補助リールフレームとを備えている。そして、回転駆動されるリールフレームにタイン支持バーが装備され、リールフレームの回転に伴ってタイン支持バーに備えたタインによる植立穀稈の掻き込み作用が行われる。補助リールフレームは、リールフレームとともに支持フレームに支持されているのであるが、リールフレームの回転軸とは偏心した位置の回転軸心回りで回動するように、支持フレームに取り付けられている。この補助リールフレームには、タイン支持バーから一体延出されたリンク部の遊端が枢支連結されている。これによって、補助リールフレームがリールフレームに同調回転するに伴ってタイン支持バーがリールフレームの回転方向と逆方向に同調自転するように構成されている。
この構造では、補助リールフレームが、補助リールフレームに開口された円形孔と、その円形孔の周方向に沿う複数箇所に配置されたガイドローラで支持されるように、複数個のガイドローラをローラ取付板に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-099228号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の収穫機における掻き込みリールは、左右方向に沿う回転軸の両横外側端部が支持フレームによって支持されている。そして掻き込みリールのうち、ガイドローラで支持される補助リールフレームが、リールフレームの横外側で支持フレームとの間に配置されている。この構造では、補助リールフレームを支持するガイドローラが、左右方向で補助リールフレームの横外方に位置する支持フレームに連結固定されたローラ取付板から、補助リールフレームに開口されている円形孔に向けて突出し、円形孔に内接する状態で補助リールフレームを支持している。
このようにガイドローラが、補助リールフレームの横外方に存在しているローラ取付板から、円形孔に突入する側に突出して、円形孔に内接するように組み込まれた構造のものでは、補助リールフレームに形成された円形孔の横外側を、ローラ取付板が閉塞する状態に位置している。したがって、ガイドローラが存在する箇所は外部からは手の届きにくい奥まった箇所となっている。
この条件下で、ガイドローラの交換を行う作業等が必要となった場合には、ガイドローラ存在箇所周辺の非常に狭い隙間に手や工具等を差し込んで作業を行う困難さを招いたり、あるいは、ガイドローラのローラ取付板を含めて広範囲にわたる分解組付け作業を要するなど、の煩雑な作業等を伴う虞がある。
【0005】
本発明は、ガイドローラの交換作業を容易に行いやすくした収穫機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の収穫機は、
圃場の植立穀稈を掻き込む複数のタインが設けられた掻き込みリールと、
掻き込まれた前記植立穀稈を刈り取る切断装置と、が備えられ、
前記掻き込みリールが、
左右の支持フレームに両端部を支持された回転軸と、
前記回転軸に伝達される動力で前記回転軸と同心の回転軸心回りに回転する左右のリールフレームと、
前記リールフレームの回転軸心に対して偏心した回転軸心回りで回転する補助リールフレームと、
左右の前記リールフレームに支持される複数のタイン支持バーと、
前記タイン支持バーに支持される複数のタインと、
前記補助リールフレームと前記タイン支持バーとを連結するリンク部と、
前記補助リールフレームに形成され、前記補助リールフレームの回転軸心を中心に開口される円形孔と、
前記円形孔が形成された前記補助リールフレームに対向する位置の前記支持フレームに連結されたローラ取付板と、
前記補助リールフレームの前記回転軸心を中心とする円の周方向に沿って間隔をあけた状態で前記ローラ取付板に設けられ、前記円形孔の内周面に当接することで前記補助リールフレームの前記回転軸心を規定する複数のガイドローラと、を備え、
左右の前記リールフレームが、左右の前記支持フレーム同士の間に配置されるとともに、前記補助リールフレームが、左右方向で前記支持フレームと前記リールフレームとの間に配置され、
前記ローラ取付板が左右方向で前記補助リールフレームと前記リールフレームとの間に設けられ、
前記ガイドローラが、前記ローラ取付板における前記リールフレームと対向する側の面とは反対側の面に取り付けられていることである。
【0007】
本発明によれば、補助リールフレームの円形孔の内周面に当接して補助リールフレームの回転軸心を規定する複数のガイドローラを設けたローラ取付板が、左右方向で、補助リールフレームとリールフレームとの間に設けられている。そして、ガイドローラが、ローラ取付板におけるリールフレームと対向する側の面とは反対側の面に取り付けられている。
このように、ローラ取付板が、回転軸の軸線に沿う方向で補助リールフレームの存在箇所よりも左右方向で機体の横外方に位置するのではなく、補助リールフレームよりも左右方向で機体中央側に配置されている。そして、ローラ取付板からのガイドローラの突出方向は、ローラ取付板から左右方向で機体中央側へ向けられるのではなく、横外方へ向くように突出している。
【0008】
したがって、ガイドローラを交換する必要が生じた場合などに、リールフレームや補助リールフレーム、及びローラ取付板の存在に邪魔される虞のない状態で取り外し作業を行い易くなるので、ガイドローラの脱着作業に多大な労力や時間を割く虞を低減し易い。
【0009】
本発明において、前記ローラ取付板には、当該ローラ取付板における前記ガイドローラの取付面よりも、左右方向で前記支持フレームに近づく方向へ突出する膨出連結部が一体に形成されていると好適である。
【0010】
この構成によれば、取付面よりも支持フレームに近づく方向へ突出する膨出連結部が基板部と一体になることにより、ローラ取付板が立体的な構造となり、ローラ取付板全体の強度を向上し得る。
【0011】
本発明において、前記ガイドローラが、前記膨出連結部の存在箇所から外れた位置で前記取付面に取り付けられていると好適である。
【0012】
この構成によれば、ガイドローラが、膨出連結部の存在箇所から外れた位置に取り付けられるので、ガイドローラが膨出連結部と同じ取付面に存在していても、膨出連結部の存在によってガイドローラの脱着作業が妨げられる虞は少ない。
【0013】
本発明において、前記ローラ取付板における前記取付面からの前記膨出連結部の突出高さは、前記ガイドローラにおける筒状部の前記取付面からの突出高さよりも高く設定されていると好適である。
【0014】
この構成によれば、ローラ取付板を補助リールフレームとリールフレームとの間に位置させても、ガイドローラの筒状部は補助リールフレームの円形孔に内接させた状態とし、膨出連結部の突出端は補助リールフレームよりも横外方に位置させた状態とすることができる。これによって、補助リールフレームよりも横外方の位置で、支持フレームに対するローラ取付板の連結を作業性良く行うことができる。
【0015】
本発明において、前記ローラ取付板は、前記回転軸の軸心回りにおける前記支持フレームに対する取付角度を変更可能に連結されていると好適である。
【0016】
この構成によれば、回転軸の軸心回りで支持フレームに対するローラ取付板の取付角度を適宜に変更して、リールフレームの回転中心に対する補助リールフレームの回転中心の位置を微調節し得るので、タインの作用姿勢を最適化し易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】コンバインの全体側面図である。
図2】刈取前処理部の右側面図である。
図3】掻込みリールの平面図である。
図4】掻込みリールの右側面図である。
図5】掻き込みレールの右端部を示す部分断面図である。
図6】掻き込みリールにおけるローラ取付板の取付箇所部分を示す正面視での拡大断面図である。
図7】掻き込みリールにおけるローラ取付板の取付箇所部分を示す拡大側面図である。
図8】ローラ取付板におけるガイドローラの取付箇所を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の収穫機にかかる実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用した収穫機の作業走行時における前進側の進行方向(図1における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(図1における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図3における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(図3における矢印L参照)が「左」である。
【0019】
〔全体構成〕
図1は、本発明に係る収穫機の一例である普通型のコンバインの全体側面を示している。す。図2は、コンバインの前部に装備された刈取前処理部2を示している。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置10を備えた走行機体1の前部に刈取前処理部2が配置されている。
走行機体1上には、脱穀装置11と穀粒回収部12が左右に並列した状態で設けられている。穀粒回収部12の前方には運転部13が配備されている。運転部13に備えた運転座席13aは、エンジン14を内装するエンジンボンネット15の上方に設けられている。
【0020】
脱穀装置11の前部には、刈取り穀稈物搬送用のフィーダ16が連結されている。フィーダ16は、後端側が脱穀装置11の前部近くに設けられた横軸心(図外)回りで上下揺動可能に支持され、前端側が、略機体横幅に相当する刈幅を有した刈取前処理部2の後部に連結されている。
【0021】
刈取前処理部2は、左右一対の分草フレーム2Aに亘ってバリカン型の切断装置2B、および、刈り取った作物を刈り幅中間に横送りするオーガ2Cが架設された構造となっている。
刈取前処理部2の前部上方には、植立した穀稈を後方に掻き込んで引き上げる掻き込みリール2Dが装備されている。この掻き込みリール2Dで圃場に植立する穀稈の穂先側を後方に掻き込みながら切断装置2Bで刈り取り、刈り取られた作物がオーガ2Cで左右方向の中央側に集められる。集められた作物がフィーダ16に受け渡され、後方の脱穀装置11へ送り込まれる。
【0022】
掻き込みリール2Dは、横向きの支点Pa周りに上下揺動自在な左右一対の支持アーム17の前部に、支持ブラケット18(支持フレームに相当する)を介して支架されている。
支持ブラケット18は支持アーム17の長手方向に沿って前後にスライド移動可能に外嵌され、この支持ブラケット18に掻き込みリール2Dの回転軸22が支持されている。したがって、掻き込みリール2Dは、支持ブラケット18を支持アーム17の長手方向に沿ってスライド移動させることにより、掻き込み作用位置を前後に調節することが可能となっている。支持ブラケット18は手動でスライド移動させることが可能であり、スライド移動方向の前後複数箇所で、ピン連結等により位置固定できるように構成されている。
また、油圧シリンダ19によって支持アーム17を上下揺動することで掻き込みリール2Dの掻き込み作用高さを変更することができる。
【0023】
掻き込みリール2Dの回転軸22の右端部に入力プーリ21が装着されている。この入力プーリ21に掛張された伝動ベルト20を介して、走行機体上のエンジン14から駆動力が掻き込みリール2Dの回転軸22に伝達される。
【0024】
〔掻き込みリール〕
次に、掻き込みリール2Dの構造を、図2図8を参照して説明する。
【0025】
掻き込みリール2Dは、左右の支持ブラケット18に両端部を支持された回転軸22と、回転軸22に伝達される動力で回転軸22と同心の回転軸心P回りに回転する左右のリールフレーム23と、リールフレーム23の回転軸心Pに対して偏心した回転軸心Q回りで回転する補助リールフレーム26と、左右のリールフレーム23に支持される複数のタイン支持バー24と、タイン支持バー24に支持される複数のタイン24aと、を備えている。
【0026】
図2図4に示すように、リールフレーム23は、回転軸22と一体に回転するように支持された円板状の中心ハブ23a、この中心ハブ23aから放射状に延出された5本のアーム部23b、および、アーム部23bの先端同士に亘って架設された補強杆23c、を備えて、側面視で正五角形状に形成されている。
タイン支持バー24は、左右のリールフレーム23の各アーム部23bの頂部5箇所で回動自在に支持され、回転軸22の軸線方向に沿うように水平方向に支架されている。
【0027】
補助リールフレーム26は、円板状の中心ハブ26a、この中心ハブ26aから放射状に延出された5本のアーム部26b、および、アーム部26bの先端同士に亘って架設された補強杆26cと、を備えて、側面視で正五角形状に形成されている。この補助リールフレーム26は、リールフレーム23と同一形状に形成されている。
【0028】
図3に示すように、各タイン支持バー24の両端から後ろ向きにリンク部25が一体突設され、このリンク部25の遊端が補助リールフレーム26の各頂部に枢支連結されている。各タイン支持バー24の軸心Tからリンク部25の遊端枢支点Sまでの距離は、リールフレーム23の回転軸心Pから、そのリールフレーム23の回転軸心Pから偏心した回転軸心Qまでの設定距離L1と一致する。また、軸心Tと遊端枢支点Sとを結ぶ仮想線の方向は、リールフレーム23の回転軸心Pと、そのリールフレーム23の回転軸心Pから偏心した補助リールフレーム26の回転軸心Qと、を結ぶ仮想線の方向に一致する。その結果、リールフレーム23の回転軸心P、補助リールフレーム26の回転軸心Q、タイン支持バー24の軸心T、および、リンク部25の遊端枢支点Sが平行四連リンクの支点をなしている。従って、リールフレーム23がリールフレーム23の回転軸心P周りに回転されると、これに追随して補助リールフレーム26が、リールフレーム23の回転軸心Pから偏心した回転軸心Q周りに回転することでタイン支持バー24がリールフレーム23の回転軸心P周りに公転しながら軸心T周りに逆方向に同調自転され、タイン支持バー24が常に一定の回動姿勢に維持されるようになっている。
【0029】
補助リールフレーム26の回転を、リールフレーム23の回転軸心Pから偏心した回転軸心Q回りの回転に規定する構造は、補助リールフレーム26の中心ハブ26aに形成された円形孔29と、その円形孔29に内接するガイドローラ28と、によって構成される。
ガイドローラ28は、図5及び図6に示すように、ローラ取付板3に設けられ、ローラ取付板3は、支持ブラケット18の機体内側に一体に設けられた板状の位置調整板27を介して、支持ブラケット18に脱着可能に取り付けられている。
【0030】
〔ローラ取付板〕
図5乃至図8に示すように、ローラ取付板3は、片面側にガイドローラ28を取り付けるための取付面31が形成された円板状の基板部30と、その取付面31よりも、ガイドローラ28の突出方向と同方向へ突出する膨出連結部32と、を備えている。
円板状の基板部30は、その外径D1が、補助リールフレーム26の中心ハブ26aに打ち出し形成された円形孔29に対して抜き差しが可能であるように、円形孔29の内径D2よりもやや小径に形成されている。
【0031】
基板部30の外周近くの内側面には、リールフレーム23の回転軸心Pから偏心した回転軸心Qに対して等距離の位置に、かつ基板部30の周方向でも等間隔を隔てて3個のガイドローラ28が装備されている。
また、基板部30には、支持ブラケット18に支持された回転軸22の最大径部分を挿通可能な挿通孔30aも形成されている。
【0032】
ガイドローラ28は、基板部30に溶接固定される支軸33と、その支軸33に対して相対回動可能に外嵌させた合成樹脂製の筒状部34と、その筒状部34を支軸33に対して位置固定させるための締め付けナット35と、を備えている。
支軸33は、基板部30への固定端側が太く、締め付けナット35を装着する螺軸部33a側が細い段付きボルトに形成されており、取付面31から段部33bまでの距離h1が、筒状部34の軸線方向長さh2よりも僅かに長く形成されている。したがって、締め付けナット35を強く締め付けても、その締め付け力は段部33bによって規制されるので、筒状部34が締め付け力で破損したり変形したりする虞を回避し得る。
図6乃至図8に示すように、締め付けナット35は、筒状部34に直接に当接するのではなく、止めカラー37を段部33bへ押しつけることにより、支軸33からの筒状部34の抜け出しを規制している。抜け止めカラー37の外径は、筒状部34の外径よりもさらに大きく設定されている。
【0033】
ガイドローラ28の支軸33は、基板部30の外径D1の内側に固定されるものであるが、その固定位置は、次のように設定される。
つまり、図7に示すように、ガイドローラ28の支軸33に外嵌させた筒状部34に対する外接円の径が、基板部30の外径D1よりも僅かに大きく、かつ補助リールフレーム26の中心ハブ26aに打ち出し形成された円形孔29の内径D2と同径、もしくはほぼ同径となるように、支軸33の位置を位置決めした状態で基板部30に取り付けられる。このように支軸33の位置を設定することで、基板部30が円形孔29に対して楽に挿抜可能であるとともに、支軸33に外嵌した筒状部34に対する外接円が円形孔29の内径D2と同径、もしくはほぼ同径であることにより、外接円内の筒状部34の挿抜も、ガタツキの少ない状態で行うことができる。
【0034】
このとき、各支軸33に装着された止めカラー37は、筒状部34の外径よりも大きく設定されているので、図7に仮想線で示すように、その外径の一部が、中心ハブ26aの円形孔29の内周縁よりも径方向での外側にはみ出した状態で装着されている。このように、止めカラー37の一部が円形孔29の内周縁よりも径方向で外側にはみ出していると、円形孔29に内接しているガイドローラ28の、前記中心ハブ26aからの位置ずれを抑制し易い。
つまり、ガイドローラ28が、補助リールフレーム26の回転軸心Qに沿う左右方向で、横外方から中央側へ、つまり支持ブラケット18に近い側からリールフレーム23に近い側へ相対移動することを、中心ハブ26aと止めカラー37との当接によって規制することができる。これによって、例えば、補助リールフレーム26が回転軸心Qに直交する平面内で回転するのではなく、多少傾いて回転するような何らかの外力が作用した場合や、ガイドローラ28自体を補助リールフレーム26の回転軸心Qに沿う左右方向で相対的に移動させるような外力が生じた場合、などに、中心ハブ26aと止めカラー37との当接によって、円形孔29に対するガイドローラ28の相対移動を規制した状態に保ち易い。
【0035】
膨出連結部32は、チャンネル状の断面形状を有し、そのチャンネル状断面の開口側を基板部30に対向させた状態で基板部30に溶接固定されている。側面視において膨出連結部32の大部分は、基板部30の外径D1の範囲内に収まる状態で基板部30に溶接固定されているが、図5乃至図7に示されているように、膨出連結部32のうちの基板部30の取付面31から離れた箇所の一部が、基板部30の外径から少しはみ出した状態で設けられている。しかし、このはみ出した部位は、補助リールフレーム26の中心ハブ26aに打ち出し形成された円形孔29を通す必要のない位置にあるため、多少はみ出しても差し支えない。
【0036】
この膨出連結部32の突出端面32aには、基板部30に形成された回転軸22の挿通孔30aと同心位置に、その回転軸22を枢支する支持ブラケット18のボス部18aを挿入可能なボス挿入孔32bが形成されている。このボス挿入孔32bは、基板部30に形成された回転軸22の挿通孔30aと同径、又はほぼ同径に形成されている。
回転軸22は段付き軸であり、基板部30の挿通孔30aは回転軸22の最大径部分を支持している。そして、膨出連結部32のボス挿入孔32bは、回転軸22の最大径よりも小径に形成されている部分を支持する支持ブラケット18のボス部18aを支持するものである。このボス部18aの外径は、回転軸22の最大径部分と同径、又はほぼ同径に形成されている。
【0037】
膨出連結部32の突出端面32aにおける基板部30の取付面31からの突出高さh3は、取付面31に取り付けられたガイドローラ28の支軸33部分を除く高さ、つまり、筒状部34の軸線方向長さh2よりも高く設定されている。
また、ガイドローラ28の支軸33部分における最大突出高さh4は、基板部30の取付面31からの膨出連結部32の突出端面32aの突出高さh3よりも高く設定されている。したがって、支軸33の螺軸部33aに対して装着される締め付けナット35を狭い場所で脱着する際に、膨出連結部32の突出高さh3よりも高い位置でスパナ等を回転方向に操作する作業を行い易い。
【0038】
支持ブラケット18の機体内方側、つまり掻き込みリール2Dに対向する側の面には、位置調整板27が一体に設けられている。この位置調整板27には、ローラ取付板3を連結するための連結孔27aが形成されている。連結孔27aは、回転軸22の軸心Pを中心とする円弧に沿うように湾曲した部分円弧状の長孔で形成されている(図7参照)。
ローラ取付板3の膨出連結部32における突出端面32aにボルト挿通孔32cが形成され、そのボルト挿通孔32cを形成した突出端面32aの裏面側に溶接ナット32dが設けられている。この溶接ナット32dに連結固定用の連結ボルト36を螺合させて位置調整板27とともに締め付け固定することにより、支持ブラケット18の機体内方側に、ローラ取付板3を連結固定することができる。
【0039】
このとき、位置調整板27の連結孔27aに挿通された連結ボルト36を、連結孔27aの長さ範囲内で、位置変更することにより、支持ブラケット18に対するローラ取付板3の相対姿勢を変更することができる。これに伴って、リールフレーム23の回転軸心Pに対する補助リールフレーム26の回転軸心Qの相対位置を調節し、タイン支持バー24でのタイン24aの揺動角度を変更することができる。
【0040】
このように構成されたローラ取付板3は、図5及び図6に示されるように、左右方向で補助リールフレーム26とリールフレーム23との間に設けられ、ガイドローラ28が、ローラ取付板3におけるリールフレーム23と対向する側の面とは反対側の面である取付面31に取り付けられている。
したがって、ガイドローラ28の筒状部34が摩耗して交換が必要となったとき、掻き込みリール2Dのうちの、最も横外方に位置する補助リールフレーム26よりも横外方側から、ガイドローラ28にアクセスして、筒状部34の交換作業を行うことが容易になる。
【0041】
また、ガイドローラ28は、側面視において、膨出連結部32の存在箇所から外れた位置で基板部30の取付面31に取り付けられている。したがって、膨出連結部32の存在によって、ガイドローラ28の脱着操作が阻害されることを回避できる。
【0042】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態について説明する。下記の各別実施形態は、矛盾が生じない限り、複数組み合わせて用いてもよい。なお、本発明の範囲は、これら実施形態の内容に限定されるものではない。
【0043】
(1)上述した実施形態では、3個のガイドローラ28を用いた場合の構造を例示したが、ガイドローラ28の個数は、3個に限らず、4個以上の複数個であってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0044】
(2)上述した実施形態では、円板状の基板部30と膨出連結部32とが、別々の板材で構成されたものを例示したが、必ずしもこの構造に限られるものではない。
例えば、基板部30として単一の板状体を用い、その板状体を屈折させて取付面31と膨出連結部32との間に段差を形成するようにしたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0045】
(3)上述した実施形態では、基板部30と膨出連結部32との両方を備えた構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限られるものではない。
例えば、基板部30にガイドローラ28を取り付け、膨出連結部32に相当する部材を基板部30には設けずに、支持ブラケット18部分、あるいは位置調整板27に、基板部30との連結が可能な構造を設けて、基板部30のガイドローラ28の脱着が可能な構造を採用してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0046】
(4)上述した実施形態では、ガイドローラ28として、筒状部34を樹脂材で構成したものを例示したが、必ずしもこの構造に限られるものではなく、筒状部34を金属製部材などの適宜の素材で構成したものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0047】
(5)上述した実施形態では、ガイドローラ28として、支軸33と筒状部34が別体で構成された構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限られるものではなく、支軸33と筒状部34が一体に構成されて、支軸33と筒状部34の両方を一度に脱着できるようにしたものであってもよい。この場合にも、ガイドローラ28が、ローラ取付板3におけるリールフレーム23と対向する側の面とは反対側の面である取付面31に取り付けられていて、掻き込みリール2Dのうちの、最も横外方に位置する補助リールフレーム26よりも横外方側から、脱着できるようにしておけばよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、普通型のコンバインだけでなく、自脱型のコンバインにも適用可能である。また、稲や麦等の作物に限らず、掻き込みリールによる引き起こし操作が要望される各種の稈状の作物の収穫機に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
2B 切断装置
2D 掻き込みリール
3 ローラ取付板
18 支持フレーム
22 回転軸
23 リールフレーム
24 タイン支持バー
24a タイン
25 リンク部
26 補助リールフレーム
27 支持板
28 ガイドローラ
28a ガイドローラ
29 円形孔
31 取付面
32 膨出連結部
34 筒状部
h2 突出高さ
h3 突出高さ
P 回転軸心
Q 回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8