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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159719
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】光学部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/04 20060101AFI20231025BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20231025BHJP
   B60R 1/10 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B60R1/04 H
G02B5/04 F
G02B5/04 Z
B60R1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069607
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】石原 和幸
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042CA06
2H042CA14
2H042CA17
(57)【要約】
【課題】死角領域の光景に対する認識の低下を抑制する光学部材を提供する。
【解決手段】光学部材10は、死角領域からの外景光が入射する入射面25と、入射面25からの光を反射する反射面31と、反射面31で反射された光を反射する平滑面と、反射面31から法線方向Dnに突出しており入射面25からの光および平滑面で反射された光を外部に射出するプリズム40と、を有する導光体20を備え、プリズム40は、一方向Da1に間隔を空けて複数配列されているとともに他方向Da2に間隔を空けて複数配列されており、反射面31は、互いに隣り合うプリズム40同士の間に形成されていることにより、一方向Da1および他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材であって、
死角領域からの外景光(Lo)が入射する入射面(25)と、前記入射面からの光を反射する反射面(31)と、前記反射面で反射された光を反射する平滑面(32)と、前記反射面から前記反射面の法線方向(Dn)に突出しており前記入射面からの光および前記平滑面で反射された光を外部に射出するプリズム(40)と、を有する導光体(20)を備え、
前記プリズムは、前記法線方向と交差する一方向(Da1)に間隔を空けて複数配列されているとともに前記法線方向および前記一方向と交差する他方向(Da2)に間隔を空けて複数配列されており、
前記反射面は、互いに隣り合う前記プリズム同士の間に形成されていることにより、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されている光学部材。
【請求項2】
前記プリズムの一部を覆うことにより、前記導光体の外部から前記プリズムに向かう光を遮光する遮光部(60)をさらに備え、
前記遮光部は、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されている請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記プリズムは、前記入射面からの光および前記平滑面で反射された光を前記法線方向および前記一方向に外部に射出し、
前記他方向における前記プリズムの長さ(Wev)と前記他方向に互いに隣り合う前記プリズム同士の間に位置する前記反射面の前記他方向の長さ(Wsv)との和(Pev)は、2mm以下となっている請求項1または2に記載の光学部材。
【請求項4】
前記一方向において前記入射面とは反対側に位置する前記プリズムおよび前記反射面における前記法線方向から見たときの面積の和に対する前記一方向において前記入射面とは反対側に位置する前記反射面における前記法線方向から見たときの面積の和の割合は、前記一方向において前記入射面側に位置する前記プリズムおよび前記反射面における前記法線方向から見たときの面積の和に対する前記一方向において前記入射面とは反対側に位置する前記反射面における前記法線方向から見たときの面積の和の割合よりも小さくなっている請求項1または2に記載の光学部材。
【請求項5】
前記入射面は、前記反射面および前記平滑面と交差して接続されており、
前記導光体は、前記入射面とは反対側に位置しているとともに前記反射面および前記平滑面と交差して接続されている接続面(33)をさらに有し、
前記入射面側から前記接続面側に向かって数えて最後尾の前記プリズムは、前記接続面と交差して接続されている請求項1または2に記載の光学部材。
【請求項6】
光学部材であって、
死角領域からの外景光(Lo)が入射して入射した光を回折させる入射部(225)と、前記入射部により回折した光を反射する反射面(31)と、前記反射面で反射された光を反射する平滑面(32)と、前記反射面上に位置しているとともに前記入射部からの光および前記平滑面で反射された光を回折させることにより外部に射出する射出部(240)と、を有する導光体(20)を備え、
前記射出部は、前記反射面の法線方向と交差する一方向(Da1)に間隔を空けて複数配列されているとともに前記法線方向および前記一方向と交差する他方向(Da2)に間隔を空けて複数配列されており、
前記反射面は、互いに隣り合う前記射出部同士の間に形成されていることにより、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されている光学部材。
【請求項7】
光学部材であって、
死角領域からの外景光(Lo)が入射し、入射した光を干渉させることにより屈折させる第1ホログラム(325)と、前記第1ホログラムにより屈折した光を反射する反射面(31)と、前記反射面で反射された光を反射する平滑面(32)と、前記反射面上に位置しているとともに前記第1ホログラムからの光および前記平滑面で反射された光を干渉させることにより屈折させて外部に射出する第2ホログラム(340)と、を有する導光体(20)を備え、
前記第2ホログラムは、前記反射面の法線方向と交差する一方向(Da1)に間隔を空けて複数配列されているとともに前記法線方向および前記一方向と交差する他方向(Da2)に間隔を空けて複数配列されており、
前記反射面は、互いに隣り合う前記第2ホログラム同士の間に形成されていることにより、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されている光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、半透過ミラーと、ミラーと、透光性部材と、プリズムと、を備える死角補助装置が知られている。半透過ミラーは、視認者側に設けられる。ミラーは、光を半透過ミラーへ反射する。透光性部材は、半透過ミラーおよびミラーの間に設けられる。プリズムは、半透過ミラーおよび視認者の間に設けられる。さらに、プリズムは、上下方向に延びているとともに、左右方向に複数配列されている。また、それぞれのプリズムは、透光性部材の光の入射面と対向しない面に遮光層を備えている。この遮光層によって視認者側から入射する光が遮られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6372305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、特許文献1に記載された死角補助装置では、プリズムが上下方向に延びているとともに左右方向に複数配列されていることから、遮光層も上下方向に延びているとともに左右方向に複数配列されている。このため、遮光層が、例えば、黒色の樹脂で形成されており、視認者が死角補助装置を見ると、遮光層は、上下方向に延びているとともに左右方向に複数配列された黒い筋に見える。
【0005】
ここで、視認者が景色を見るとき、視認者の両眼は左右にあるため、上下方向の周期的な筋が景色と異なる距離に存在すると、人の視覚処理で、その筋に融像してしまうため、視認者による筋に対する認識しやすさである誘目性が上昇することから、景色を左右視で融像することが阻害される。また、視認者の両眼の左右の動きにより、周期構造の縦筋で生じるモアレが移動することで、誘目性が上昇する。したがって、死角補助装置に映る死角領域の光景に対する認識が低下するため、死角領域の光景の視認性が低下する。
【0006】
また、ここで、発明者等の検討によれば、特許文献1に記載された死角補助装置では、半透過ミラーが備えられているところ、半透過ミラーは、誘電体多層膜等を有するため、死角補助装置の部品点数が多くなる。このため、死角補助装置のコストが高くなることから、死角補助装置のコスト削減のために死角補助装置が半透過ミラーを備えないことが望まれる。
【0007】
死角補助装置が半透過ミラーを備えないようにするため、半透過ミラーに代えて、プリズムの間に形成された導光体の面にて光を反射させることが考えられる。しかし、この場合、プリズムが上下方向に延びているとともに左右方向に複数配列されていることから、この反射面も上下方向に延びているとともに左右方向に複数配列される。このとき、反射面は、上下方向に延びているとともに左右方向に複数配列された筋に見える。したがって、反射面により、上記と同様に、視認者による筋に対する認識しやすさである誘目性が上昇する。これにより、死角補助装置に映る死角領域の光景に対する認識が低下するため、死角領域の光景の視認性が低下する。
【0008】
本開示は、死角領域の光景に対する認識の低下を抑制する光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、光学部材であって、死角領域からの外景光(Lo)が入射する入射面(25)と、入射面からの光を反射する反射面(31)と、反射面で反射された光を反射する平滑面(32)と、反射面から反射面の法線方向(Dn)に突出しており入射面からの光および平滑面で反射された光を外部に射出するプリズム(40)と、を有する導光体(20)を備え、プリズムは、法線方向と交差する一方向(Da1)に間隔を空けて複数配列されているとともに法線方向および一方向と交差する他方向(Da2)に間隔を空けて複数配列されており、反射面は、互いに隣り合うプリズム同士の間に形成されていることにより、一方向および他方向に間隔を空けて複数配列されている光学部材である。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、光学部材であって、死角領域からの外景光(Lo)が入射して入射した光を回折させる入射部(225)と、入射部により回折した光を反射する反射面(31)と、反射面で反射された光を反射する平滑面(32)と、反射面上に位置しているとともに入射部からの光および平滑面で反射された光を回折させることにより外部に射出する射出部(240)と、を有する導光体(20)を備え、射出部は、反射面の法線方向と交差する一方向(Da1)に間隔を空けて複数配列されているとともに法線方向および一方向と交差する他方向(Da2)に間隔を空けて複数配列されており、反射面は、互いに隣り合う射出部同士の間に形成されていることにより、一方向および他方向に間隔を空けて複数配列されている光学部材である。
【0011】
さらに、請求項7に記載の発明は、光学部材であって、死角領域からの外景光(Lo)が入射し、入射した光を干渉させることにより屈折させる第1ホログラム(325)と、第1ホログラムにより屈折した光を反射する反射面(31)と、反射面で反射された光を反射する平滑面(32)と、反射面上に位置しているとともに第1ホログラムからの光および平滑面で反射された光を干渉させることにより屈折させて外部に射出する第2ホログラム(340)と、を有する導光体(20)を備え、第2ホログラムは、反射面の法線方向と交差する一方向(Da1)に間隔を空けて複数配列されているとともに法線方向および一方向と交差する他方向(Da2)に間隔を空けて複数配列されており、反射面は、互いに隣り合う第2ホログラム同士の間に形成されていることにより、一方向および他方向に間隔を空けて複数配列されている光学部材である。
【0012】
これにより、法線方向Dnから見たときの複数の反射面の総面積を一定とした場合に、一方向、例えば、左右方向における反射面の長さを大きくして、他方向、例えば、上下方向における反射面の長さを小さくすることができる。このため、反射面による筋の強調が抑制されることから、誘目性が低下する。よって、光学部材に映る死角領域の光景に対する認識の低下が抑制される。
【0013】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の光学部材が用いられる車両の構成図。
図2】光学部材の断面図。
図3図2のIIIから見た矢視図。
図4図2のVI部拡大図。
図5】光学部材の入射面に外景光が入射したときを示す模式断面図。
図6】光学部材の入射面に外景光が入射したときを示す模式断面図。
図7図6のVIIから見た矢視図。
図8】比較用光学部材の模式図。
図9】比較用光学部材の模式図。
図10】第2実施形態の光学部材の断面図。
図11図10のXIから見た矢視図。
図12】第3実施形態の光学部材の断面図。
図13】光学部材の入射面に外景光が入射したときを示す模式断面図。
図14】第4実施形態の光学部材の断面図。
図15】第5実施形態の光学部材の断面図。
図16】光学部材の入射面に外景光が入射したときを示す模式断面図。
図17】第6実施形態の光学部材の断面図。
図18図17のXVIIIから見た矢視図。
図19】第7実施形態の光学部材の断面図。
図20図19のXXから見た矢視図。
図21】光学部材の入射用回折格子に外景光が入射したときを示す模式断面図。
図22】第8実施形態の光学部材の断面図。
図23図22のXXIIIから見た矢視図。
図24】光学部材の入射用ホログラムに外景光が入射したときを示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態の光学部材10は、例えば、車両1に用いられる。この車両1は、図1に示すように、ステアリングホイール2、フロントウィンドウ3、サイドウィンドウ4、ピラー5および光学部材10等を備えている。そして、光学部材10は、例えば、ピラー5に取り付けられており、ピラー5により死角となる領域からの外景光Loを車両1の乗員に導光することにより、死角領域の光景を車両1の乗員に視認させる。なお、車両1の乗員は、視認者に対応する。
【0017】
具体的には、光学部材10は、図2図4に示すように、導光体20および遮光層60を備えている。なお、図2および後述の断面図において、理解がされやすい図とするために光学部材10の断面ハッチングが省略されている。
【0018】
導光体20は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンおよびアクリル等の樹脂材料やガラスなどの透光性材料で形成されている。また、導光体20は、入射面25、反射面31、平滑面32、接続面33および複数のプリズム40を有する。
【0019】
入射面25は、外景光Loが入射する面である。反射面31は、車両1の乗員側に配置されているとともに、入射面25と交差している。また、反射面31では、入射面25からの光が反射される。平滑面32は、入射面25のうち反射面31とは反対側に接続されているとともに、反射面31と平行になっている。さらに、平滑面32では、反射面31で反射された光が反射される。接続面33は、入射面25とは反対側に位置しているとともに、反射面31および平滑面32と交差して接続されている。
【0020】
ここで、反射面31を通る法線の方向を法線方向Dnとする。そして、入射面25は、図2に示すように、法線方向Dnに対して傾いている。さらに、法線方向Dnに対する入射面25の傾斜角度である入射面角度Asiは、鋭角になっている。また、導光体20の屈折率をn1とする。また、導光体20の外部媒質の屈折率をn2とする。さらに、入射面25からの光が反射面31で反射されるときの入射角度および反射面31で反射された光が平滑面32で反射されるときの入射角度をθiとする。このとき、導光体20は、下記関係式(1-1)を満たすように形成されている。これにより、導光体20がミラーを有さなくても、入射面25からの光が反射面31および平滑面32で全反射されることで効率よく導光される。
【0021】
【数1】
【0022】
次に、プリズム40は、導光体20の形成の際において成形加工、切削加工、ブラスト加工等およびこれらの組み合わせにより形成されている。さらに、プリズム40は、反射面31から突出しており、三角柱形状に形成されている。また、プリズム40は、図3に示すように、法線方向Dnと直交する一方向Da1に間隔を空けて複数配列されている。さらに、プリズム40は、法線方向Dnおよび一方向Da1と直交する他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。これにより、反射面31は、一方向Da1に間隔を空けて配列されているとともに、他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。したがって、プリズム40および反射面31は、2次元配列になっている。さらに、プリズム40および反射面31は、一方向Da1および他方向Da2に交互に繰り返し配置されている。また、プリズム40は、プリズム射出面42およびプリズム遮光面45を含む。
【0023】
プリズム射出面42は、反射面31に接続されている。また、プリズム射出面42は、入射面25と平行になっている。このため、プリズム射出面42は、法線方向Dnに対して入射面角度Asiで傾いている。このことにより、プリズム射出面42に到達する導光体20の内部の光の入射角度がプリズム射出面42に対する全反射角度となりにくくなる。このため、導光体20が半透過ミラーを有さなくても、プリズム射出面42に到達する導光体20の内部の光は、プリズム射出面42から射出されやすくなる。
【0024】
プリズム遮光面45は、プリズム射出面42と交差して接続されている。また、プリズム遮光面45は、法線方向Dnに対して遮光面角度Assで傾いている。
【0025】
遮光層60は、光を99%以上吸収する光吸収膜である。また、遮光層60は、例えば、黒色の樹脂で塗装、印刷および蒸着等により形成されている。さらに、遮光層60は、図4に示すように、それぞれのプリズム遮光面45の全面を覆っている。これにより、遮光層60は、車両1の乗員側からプリズム遮光面45に向かって入射する光を遮る。なお、遮光層60は、黒色の樹脂で形成されているところ、黒色の樹脂に限定されないで、例えば、金属で形成されてもよい。
【0026】
ここで、図2図4に示すように、一方向Da1におけるプリズム40の平均長さをプリズム幅Wehとする。一方向Da1における反射面31の平均長さを反射幅Wshとする。他方向Da2におけるプリズム40の平均長さをプリズム高さWevとする。他方向Da2における反射面31の平均長さを反射高さWsvとする。i、j、m、rを自然数とする。入射面25側から一方向Da1に向かって数えてi番目のプリズム幅Wehを第iプリズム幅Wehiとする。入射面25側から一方向Da1に向かって数えてj番目の反射幅Wshを第j反射幅Wshjとする。導光体20の端から他方向Da2に向かって数えてm番目のプリズム高さWevを第mプリズム高さWevmとする。導光体20の端から他方向Da2に向かって数えてr番目のプリズム高さWevを第r反射高さWsvrとする。
【0027】
また、1つのプリズム40と、そのプリズム40と一方向Da1に隣接する1つの反射面31と、を1組としたときの一方向Da1におけるプリズム40と反射面31との組数をpとする。1つのプリズム40と、そのプリズム40と他方向Da2に隣接する1つの反射面31と、を1組としたときの他方向Da2におけるプリズム40と反射面31との組数をqとする。一方向Da1におけるプリズム40の数をkhとする。他方向Da2におけるプリズム40の数をkvとする。プリズム幅Wehと反射幅Wshとの和およびプリズム高さWevと反射高さWsvとの和によって区画される領域内のプリズム40の数を共有係数Cnとする。なお、ここでは、pは、例えば、13である。qは、例えば、4である。また、一方向Da1における反射面31の数は、一方向Da1におけるプリズム40の数と同じとされており、khであって、例えば、13である。さらに、他方向Da2における反射面31の数は、他方向Da2におけるプリズム40の数と同じとされており、kvであって、例えば、4である。また、共有係数Cnは、例えば、2である。
【0028】
また、法線方向Dnから見たときにおいて、プリズム40の面積の和をプリズム全面積Eとする。プリズム全面積Eに、法線方向Dnから見たときにおける反射面31の面積の和を加算した面積を全面積Sとする。全面積Sに対する、法線方向Dnから見たときにおける反射面31の面積の和の割合を反射面積率Rwとする。
【0029】
そして、プリズム幅Weh、反射幅Wsh、プリズム高さWev、反射高さWsv、第iプリズム幅Wehi、第j反射幅Wshj、第mプリズム高さWevmおよび第r反射高さWsvrは、0.1mm以上になっている。また、第iプリズム幅Wehiが所定の範囲の長さとなっていることから、プリズム幅Wehは、第iプリズム幅Wehiおよびkhを用いて、下記関係式(1-2)のように表される。さらに、例えば、第1プリズム幅Weh1がプリズム幅Wehと同じになっている。また、第j反射幅Wshjが所定の範囲の長さとなっていることから、反射幅Wshは、第j反射幅Wshjおよびkhを用いて、下記関係式(1-3)のように表される。さらに、例えば、第1反射幅Wsh1が反射幅Wshと同じになっている。また、第mプリズム高さWevmが所定の範囲の長さであることから、プリズム高さWevは、第mプリズム高さWevmおよびkvを用いて、下記関係式(1-4)のように表される。さらに、例えば、第3プリズム高さWev3がプリズム高さWevと同じになっている。また、第r反射高さWsvrが所定の範囲の長さであることから、反射高さWsvは、第r反射高さWsvrおよびkvを用いて、下記関係式(1-5)のように表される。さらに、例えば、第3反射高さWsvrが反射高さWsvと同じになっている。また、下記関係式(1-6)に示すように、プリズム幅Wehとプリズム高さWevとの積を反射幅Wshと反射高さWsvとの積で除算した値は、1以下になっている。このため、法線方向Dnから見たときのプリズム40の平均面積は、法線方向Dnから見たときの反射面31の平均面積以下となっている。
【0030】
【数2】
【0031】
また、全面積Sは、例えば、p、q、プリズム幅Weh、反射幅Wsh、プリズム高さWevおよび反射高さWsvを用いて、下記関係式(1-7)のように表される。さらに、プリズム全面積Eは、例えば、共有係数Cn、p、q、プリズム幅Wehおよびプリズム高さWevを用いて、下記関係式(1-8)のように表される。そして、法線方向Dnから見たときにおける反射面31の面積の和が全面積Sからプリズム全面積Eを減算した面積となるため、反射面積率Rwは、下記関係式(1-9)のように表される。さらに、反射面積率Rwは、0.5以上となっている。
【0032】
【数3】
【0033】
以上のように、第1実施形態の光学部材10は、構成されている。本実施形態の光学部材10では、ピラー5による死角領域の光景が車両1の乗員に視認されるとともに、死角領域の光景に対する認識の低下が抑制される。次に、図5図7を参照して、死角領域の光景の視認について説明する。
【0034】
例えば、図5に示すように、外景光Loが入射角θoで入射面25に入射すると、導光体20内で屈折することにより、入射光Liとなる。なお、入射角θoは、外景光Loの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。
【0035】
さらに、入射光Liの一部は、入射角θiで反射面31に向かって進行して、反射面31に到達する。その到達した入射光Liは、反射面31で全反射し、第1反射光Lr1となる。また、第1反射光Lr1は、入射角θiで平滑面32に向かって進行して、平滑面32に到達する。その到達した第1反射光Lr1は、平滑面32で全反射し、第2反射光Lr2となる。さらに、第2反射光Lr2は、プリズム射出面42に向かって進行して、プリズム射出面42に到達する。その到達した第2反射光Lr2は、プリズム射出面42から、入射角θoと同じとなる射出角θuで射出されて、射出光Luとなる。そして、射出光Luが車両1の乗員に向かって進行して到達することにより、ピラー5による死角領域の光景が視認される。なお、入射角θiは、入射光Liの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。射出角θuは、射出光Luの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。また、Asi<π/2-θiが満たされていることから、入射角θiは、入射角θoよりも大きくなっている。これにより、入射光Liは、反射面31の広範囲に向かって進行する。さらに、法線方向Dnに対するプリズム遮光面45の傾斜角度である遮光面角度Assは、入射角θo以上となっている。このため、射出光Luがプリズム遮光面45に遮られることなく外部に射出されることから、射出における光量のロスが低減されている。
【0036】
また、入射光Liの一部は、プリズム射出面42に向かって進行して、プリズム射出面42に到達する。その到達した入射光Liは、プリズム射出面42から、入射角θoと同じとなる射出角θuで射出されて、射出光Luとなる。そして、射出光Luが車両1の乗員に向かって進行して到達することにより、ピラー5による死角領域の光景が視認される。
【0037】
ここで、図6および図7に示すように、一方向Da1に互いに隣り合うプリズム射出面42から射出される射出光Luの範囲の同じ縁同士の間における、射出光Luの進行方向および他方向Da2と直交する方向の長さを射出幅Pehとする。他方向Da2に互いに隣り合うプリズム射出面42から射出される射出光Luの範囲において他方向Da2に最も離れた縁同士の間における、他方向Da2の長さを射出高さPevとする。なお、図6および図7において、外景光Lo、入射光Li、第1反射光Lr1および射出光Luの範囲がドット柄で示されている。
【0038】
このとき、射出幅Pehは、プリズム幅Weh、反射幅Wshおよび入射角θoを用いて、下記関係式(1-10)のように表される。また、射出高さPevは、プリズム高さWevおよび反射高さWsvの和に対応し、プリズム高さWevおよび反射高さWsvを用いて、下記関係式(1-11)のように表される。そして、射出幅Pehおよび射出高さPevは、視認者の瞳の最小サイズである2mm以下となっている。これにより、視認者の瞳に入射する射出光Luの光量が平均化されるため、視認者の視点移動に伴う明暗の変化が抑制される。
【0039】
【数4】
【0040】
以上のように、ピラー5による死角領域の光景が車両1の乗員に視認される。次に、死角領域の光景に対する認識の低下の抑制について説明する。
【0041】
ここで、比較用第1光学部材91を用いて死角領域の光景に対する認識の低下について説明する。比較用第1光学部材91は、図8に示すように、比較用第1プリズム911および比較用第1反射面912を備える。比較用第1プリズム911は、比較用第1反射面912から、比較用第1反射面912の法線が延びる方向に向かって突出している。また、比較用第1プリズム911は、紙面上下方向に延びているとともに紙面左右方向に複数配列されている。比較用第1反射面912は、互いに隣り合う比較用第1プリズム911同士の間に形成されていることにより、紙面上下方向に延びているとともに紙面左右方向に複数配列されている。さらに、比較用第1光学部材91に入射した光は、比較用第1光学部材91の内部を通過して比較用第1反射面912にて反射する。比較用第1反射面912にて反射した光は、比較用第1反射面912とは反対側の面で反射して比較用第1プリズム911に入射し、比較用第1プリズム911から射出される。これにより、比較用第1光学部材91では死角領域の光景が視認されるところ、このとき、視認者が比較用第1光学部材91を見ると、比較用第1反射面912は、紙面上下方向に延びているとともに紙面左右方向に複数配列された筋に見える。なお、図8において、比較用第1反射面912の所在を明確にするため、比較用第1反射面912がドット柄で示されている。
【0042】
さらに、ここで、視認者が景色を見るとき、視認者の両眼は左右にあるため、上下方向の周期的な筋が景色と異なる距離に存在すると、人の視覚処理で、その筋に融像してしまうため、視認者による筋に対する認識しやすさである誘目性が上昇することから、景色を左右視で融像することが阻害される。また、視認者の両眼の左右の動きにより、周期構造の縦筋で生じるモアレが移動することで、誘目性が上昇する。したがって、比較用第1光学部材91に映る死角領域の光景に対する認識が低下する。
【0043】
これに対して、本実施形態の光学部材10では、図3に示すように、プリズム40は、一方向Da1に間隔を空けて複数配列されているとともに、他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。また、反射面31は、互いに隣り合うプリズム40同士の間に形成されていることにより、一方向Da1および他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。なお、ここでは、一方向Da1は、法線方向Dnと直交する方向であるところ、これに限定されないで、法線方向Dnと交差する方向であってもよい。また、他方向Da2は、法線方向Dnおよび一方向Da1と直交するであるところ、これに限定されないで、法線方向Dnおよび一方向Da1と交差する方向であってもよい。
【0044】
これにより、法線方向Dnから見たときの複数の反射面31の総面積を一定とした場合に、一方向Da1、例えば、左右方向における反射面31の長さを大きくして、他方向Da2、例えば、上下方向における反射面31の長さを小さくすることができる。このため、反射面31による筋の強調が抑制されることから、誘目性が低下する。よって、光学部材10に映る死角領域の光景に対する認識の低下が抑制される。
【0045】
また、第1実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0046】
[1-1]ここで、特許文献1に記載されたような比較用第2光学部材92を用いて死角領域の光景に対する認識の低下について説明する。比較用第2光学部材92は、図9に示すように、比較用第2プリズム921および比較用遮光層922を備える。比較用第2プリズム921は、紙面上下方向に延びているとともに紙面左右方向に複数配列されている。比較用遮光層922は、比較用第2プリズム921の一面を覆っている。また、比較用第2光学部材92に入射した光は、比較用第2光学部材92の内部を通過して比較用第2プリズム921に入射して比較用第2プリズム921から射出される。これにより、比較用第2光学部材92では死角領域の光景が視認されるところ、このとき、視認者が比較用第2光学部材92を見ると、比較用遮光層922は、紙面上下方向に延びているとともに紙面左右方向に複数配列された筋に見える。この筋により、上記と同様に、視認者による筋に対する認識しやすさである誘目性が上昇することから、比較用第1光学部材91に映る死角領域の光景に対する認識が低下する。なお、図9において、比較用遮光層922の所在を明確にするため、比較用遮光層922がドット柄で示されている。
【0047】
これに対して、光学部材10は、遮光層60を備えている。遮光層60は、遮光部に対応しており、プリズム40の一部を覆うことにより、導光体20の外部からプリズム40に向かう光を遮光する。また、プリズム40が一方向Da1および他方向Da2に間隔を空けて複数配列されていることにより、遮光層60は、一方向Da1に間隔を空けて複数配列されているとともに、他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。
【0048】
これにより、法線方向Dnから見たときの複数のプリズム40の総面積を一定とした場合に、一方向Da1、例えば、左右方向におけるプリズム40の長さを大きくして、他方向Da2、例えば、上下方向におけるプリズム40の長さを小さくすることができる。このため、プリズム40を覆う遮光層60による筋の強調が抑制されることから、誘目性が低下する。したがって、光学部材10に映る死角領域の光景に対する認識の低下が抑制される。
【0049】
[1-2]プリズム40は、法線方向Dnおよび一方向Da1に入射面25からの光および平滑面32で反射された光を外部に射出する。また、プリズム高さWevおよび反射高さWsvの和に対応する射出高さPevは、視認者の瞳の最小サイズである2mm以下となっている。これにより、視認者の瞳に入射する射出光Luの光量が平均化されるため、視認者の視点移動に伴う明暗の変化が抑制される。なお、反射高さWsvは、他方向Da2に互いに隣り合うプリズム40同士の間に位置する反射面31の他方向Da2の長さに対応する。
【0050】
[1-3]反射面積率Rwは、0.5以上となっている。これにより、入射面25に入射した光のうち半分以上の光を導光させることができるため、反射面積率Rwが0.5未満であるときと比較して広い視点範囲の明るさを確保することができる。
【0051】
[1-4]上記関係式(1-6)に示すように、プリズム幅Wehとプリズム高さWevとの積を反射幅Wshと反射高さWsvとの積で除算した値は、1以下になっている。このため、法線方向Dnから見たときのプリズム40の平均面積は、法線方向Dnから見たときの反射面31の平均面積以下となっている。これにより、法線方向Dnから見たときのプリズム40の平均面積が法線方向Dnから見たときの反射面31の平均面積よりも大きい場合と比較して、入射面25に入射した光が、反射面31にて反射されやすくなることから導光されやすくなる。このため、法線方向Dnから見たときのプリズム40の平均面積が法線方向Dnから見たときの反射面31の平均面積よりも大きい場合と比較して、広い視点範囲の明るさを確保することができる。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態では、導光体20がt個の領域に分割されていることにより、導光体20は、入射面25側から一方向Da1に向かって順に、第1領域F1、第2領域F2、第3領域F3、・・・、第t領域Ftを有する。また、導光体20は、反射面31に代えて、第1反射面311、第2反射面312、第3反射面313、・・・、第t反射面31tを有する。さらに、導光体20は、プリズム40に代えて、第1プリズム401、第2プリズム402、第3プリズム403、・・・、第tプリズム40tを有する。これら以外は、第1実施形態と同様である。なお、tは、2以上の整数であって、入射面25からの光が導光体20内で反射される回数に応じて設定される。
【0053】
具体的には、第t領域Ftにおいて、第t反射面31tおよび第tプリズム40tが形成されている。
【0054】
また、第tプリズム40tは、導光体20の形成の際において成形加工、切削加工、ブラスト加工等およびこれらの組み合わせにより形成されている。さらに、第tプリズム40tは、第t反射面31tから突出しており、三角柱形状に形成されている。また、第tプリズム40tは、第t領域Ftにおいて一方向Da1に間隔を空けて複数配列されている。さらに、第tプリズム40tは、第t領域Ftにおいて、他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。これにより、第t反射面31tは、第t領域Ftにおいて、一方向Da1に間隔を空けて複数配列されているとともに、他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。したがって、第tプリズム40tおよび第t反射面31tは、第t領域Ftにおいて、2次元配列になっている。さらに、第tプリズム40tおよび第t反射面31tは、第t領域Ftにおいて、一方向Da1および他方向Da2に交互に繰り返し配置されている。また、第tプリズム40tは、第tプリズム射出面42tおよび第tプリズム遮光面45tを含む。
【0055】
第tプリズム射出面42tは、第t反射面31tに接続されている。また、第tプリズム射出面42tは、入射面25と平行になっている。このため、第tプリズム射出面42tは、法線方向Dnに対して入射面角度Asiで傾いている。
【0056】
第tプリズム遮光面45tは、第tプリズム射出面42tと交差して接続されている。また、第tプリズム遮光面45tは、法線方向Dnに対して遮光面角度Assで傾いている。さらに、第tプリズム遮光面45tは、遮光層60に覆われている。
【0057】
したがって、tが3であるとすると、図10および図11に示すように、第1領域F1には、第1反射面311および第1プリズム401が形成されている。また、第2領域F2には、第2反射面312および第2プリズム402が形成されている。さらに、第3領域F3には、第3反射面313および第3プリズム403が形成されている。また、第1プリズム401は、第1プリズム射出面421および第1プリズム遮光面451を含む。さらに、第2プリズム402は、第2プリズム射出面422および第2プリズム遮光面452を含む。また、第3プリズム403は、第3プリズム射出面423および第3プリズム遮光面453を含む。
【0058】
ここで、一方向Da1における第tプリズム40tの平均長さを第tプリズム幅Wehtとする。一方向Da1における第t反射面31tの平均長さを第t反射幅Wshtとする。他方向Da2における第tプリズム40tの平均長さを第tプリズム高さWevtとする。i、j、m、rを自然数とする。第t領域Ftにおいて、入射面25側から一方向Da1に向かって数えてi番目のプリズム幅Wehを第iプリズム幅Wehiとする。第t領域Ftにおいて、入射面25側から一方向Da1に向かって数えてj番目の反射幅Wshを第j反射幅Wshjとする。第t領域Ftにおいて、導光体20の端から他方向Da2に向かって数えてm番目のプリズム高さWevを第mプリズム高さWevmとする。第t領域Ftにおいて、導光体20の端から他方向Da2に向かって数えてr番目のプリズム高さWevを第r反射高さWsvrとする。
【0059】
また、1つの第tプリズム40tと、その第tプリズム40tと一方向Da1に隣接する1つの第t反射面31tと、を1組としたときの一方向Da1における第tプリズム40tと第t反射面31tとの組数をptとする。1つの第tプリズム40tと、その第tプリズム40tと他方向Da2に隣接する1つの第t反射面31tと、を1組としたときの他方向Da2における第tプリズム40tと第t反射面31tとの組数をqとする。第t領域Ftにおいて、一方向Da1における第tプリズム40tの数をkhとする。第t領域Ftにおいて、他方向Da2における第tプリズム40tの数をkvとする。第tプリズム幅Wehtと第t反射幅Wshtとの和および第tプリズム高さWevtと第t反射高さWsvtとの和によって区画される領域内の第tプリズム40tの数を第t共有係数Cntとする。なお、ここでは、第t共有係数Cntは、例えば、2である。
【0060】
また、法線方向Dnから見たときにおいて、第tプリズム40tの面積の和を第tプリズム全面積Etとする。第tプリズム全面積Etに、法線方向Dnから見たときにおける第t反射面31tの面積の和を加算した面積を第t全面積Stとする。第t全面積Stに対する、法線方向Dnから見たときにおける第t反射面31tの面積の和の割合を第t反射面積率Rwtとする。
【0061】
そして、第tプリズム幅Weht、第t反射幅Wsht、第tプリズム高さWevt、第t反射高さWsvt、第iプリズム幅Wehi、第j反射幅Wshj、第mプリズム高さWevmおよび第r反射高さWsvrは、0.1mm以上になっている。また、第iプリズム幅Wehiが所定の範囲の長さとなっていることから、第tプリズム幅Wehtは、第iプリズム幅Wehiおよびkhを用いて、下記関係式(2-1)のように表される。また、第j反射幅Wshjが所定の範囲の長さとなっていることから、第t反射幅Wshtは、第j反射幅Wshjおよびkhを用いて、下記関係式(2-2)のように表される。また、第mプリズム高さWevmが所定の範囲の長さとなっていることから、第tプリズム高さWevtは、第mプリズム高さWevmおよびkvを用いて、下記関係式(2-3)のように表される。また、第r反射高さWsvrが所定の範囲の長さとなっていることから、第t反射高さWsvtは、第r反射高さWsvrおよびkvを用いて、下記関係式(2-4)のように表される。
【0062】
【数5】
【0063】
また、第t全面積Stは、例えば、pt、qt、第tプリズム幅Weht、第t反射幅Wsht、第tプリズム高さWevtおよび第t反射高さWsvtを用いて、下記関係式(2-5)のように表される。さらに、第tプリズム全面積Etは、例えば、第t共有係数Cnt、pt、qt、第tプリズム幅Wehtおよび第tプリズム高さWevtを用いて、下記関係式(2-6)のように表される。そして、法線方向Dnから見たときにおける第t反射面31tの面積の和が第t全面積Stから第tプリズム全面積Etを減算した面積となるため、第t反射面積率Rwtは、下記関係式(2-7)のように表される。
【0064】
【数6】
【0065】
また、例えば、第1全面積S1、第2全面積S2、第3全面積S3、・・・、第t全面積が互いに同じであって、第1共有係数Cn1、第2共有係数Cn2、第3共有係数Cn3、・・・、第t共有係数が互いに同じである。さらに、第1反射面311、第2反射面312、第3反射面313、・・・、第t反射面31tの順に面積が小さくなっている。このことから、導光体20は、下記関係式(2-8)を満たすように形成されている。また、入射面25側から一方向Da1に向かって数えて最後尾の領域である第t領域Ftにおいて、第t反射面31tの面積は、ゼロになっている。このため、導光体20は、下記関係式(2-9)を満たすように形成されている。これにより、入射面25側から一方向Da1に向かって数えて最後尾の第tプリズム射出面42tは、接続面33に接続されている。さらに、第tプリズム40tは、他方向Da2に隣り合う第tプリズム40tの一方向Da1の位置が一致しないで他方向Da2に配列されている。なお、ここでは、第1全面積S1、・・・、第t全面積が互いに同じであり、第1共有係数Cn1、・・・、第t共有係数が互いに同じであって、第1反射面311、第2反射面312、・・・、第t反射面31tの順に面積が小さくなっている。これにより、下記関係式(2-8)が満たされる。これに対して、第1全面積S1、・・・、第t全面積が互いに同じであり、第1共有係数Cn1、・・・、第t共有係数が互いに同じであって、第1反射面311、第2反射面312、・・・、第t反射面31tの順に面積が小さくなっていることに限定されない。例えば、第1プリズム全面積E1、第2プリズム全面積E2、第3プリズム全面積E3、・・・、第tプリズム全面積Etが互いに同じであって、第1全面積S1、第2全面積S2、第3全面積S3、・・・第t全面積の順に面積が大きくなっていてもよい。また、例えば、第1全面積S1、第2全面積S2、第3全面積S3、・・・第t全面積が互いに同じであるとする。さらに、第1プリズム幅Weh1、第2プリズム幅Weh2、第3プリズム幅Weh3、・・・、第tプリズム幅Weht互いに同じであるとする。また、第1反射幅Wsh1、第2反射幅Wsh2、第3反射幅Wsh3、・・・、第t反射幅Wshtが互いに同じであるとする。さらに、第1プリズム高さWev1、第2プリズム高さWev2、第3プリズム高さWev3、・・・第tプリズム高さWevtが互いに同じであるとする。また、第1反射高さWsv1、第2反射高さWsv2、第3反射高さWsv3、・・・第t反射高さWsvtが互いに同じであるとする。この場合に、第1共有係数Cn1、第2共有係数Cn2、第3共有係数Cn3、・・・、第t共有係数の順に係数が大きくなっていてもよい。これら等により、下記関係式(2-8)が満たされてもよい。
【0066】
【数7】
【0067】
ここで、例えば、tが3であるとする。このとき、入射面25側から一方向Da1に向かって数えて最後尾の領域である第3領域F3において、第3反射面313の面積は、ゼロになることから、第3反射面積率Rw3は、ゼロである。これにより、入射面25側から一方向Da1に向かって数えて最後尾の第3プリズム射出面423は、接続面33に接続されている。また、第3プリズム403は、他方向Da2に隣り合う第3プリズム403の一方向Da1の位置と一致しないで他方向Da2に配列されている。なお、第3反射面313の面積がゼロであるため、図10および図11において、第3反射面313の図示が省略されている。さらに、図11において、第3プリズム高さWev3は、第2プリズム高さWev2よりも大きくなっているところ、これに限定されないで、第2プリズム高さWev2以下であってもよい。
【0068】
また、ここで、第1反射面積率Rw1が67%とする。さらに、第2反射面積率Rw2が50%とする。このとき、入射面25からの光量の33%が第1プリズム射出面421から射出されるため、残りの67%の光量が第1反射面311および平滑面32にて反射される。第1反射面311および平滑面32にて反射された光量の50%が第2プリズム射出面422から射出される。このため、入射面25からの光量の33.5%が第2プリズム射出面422から射出される。
【0069】
また、第1反射面311および平滑面32にて反射された光量の50%が第2反射面312および平滑面32にて反射される。さらに、第2反射面312および平滑面32にて反射された光は、第3反射面313の面積がゼロであることから、第3プリズム射出面423から射出される。このため、入射面25からの光量の33.5%が第3プリズム射出面423から射出される。
【0070】
したがって、入射面25からの光量の33%が第1プリズム射出面421から射出されるとともに、入射面25からの光量の33.5%が第2プリズム射出面422および第3プリズム射出面423か射出される。よって、第1プリズム射出面421、第2プリズム射出面422および第3プリズム射出面423から射出される光量が均一になる。また、これにより、第1領域F1、第2領域F2および第3領域F3における明るさのバラつきが低減する。
【0071】
以上のように、第2実施形態の光学部材10は、構成されている。この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0072】
[2-1]一方向Da1において入射面25とは反対側における第t反射面積率Rwtは、一方向Da1において入射面25側における第1反射面積率Rw1よりも小さくなっている。
【0073】
これにより、第1プリズム射出面421および第tプリズム射出面42tから射出される光量が均一になりやすい。このため、各領域における明るさのバラつきが低減しやすくなる。また、一方向Da1および他方向Da2における第1反射面311および第t反射面31tの長さが異なるため、第1反射面311および第t反射面31tによる筋の強調が抑制されることから、誘目性が低下しやすい。したがって、光学部材10に映る死角領域の光景に対する認識の低下が抑制されやすくなる。
【0074】
[2-2]入射面25側から一方向Da1に向かって数えて最後尾の第tプリズム射出面42tは、接続面33と交差して接続されている。なお、入射面25側から一方向Da1に向かうことは、入射面25側から接続面33側に向かうことに対応する。
【0075】
これにより、入射面25とは反対側に位置する第t領域Ftにおいて、平滑面32で反射される光が、反射されて接続面33から射出されることが抑制される。このため、導光体20から射出される光量の低下が抑制される。
【0076】
[2-3]入射面25側から一方向Da1に向かって数えて最後尾の領域である第t領域Ftにおいて、第tプリズム射出面42tは、他方向Da2に隣り合う第tプリズム40tの一方向Da1の位置と一致しないで他方向Da2に配列されている。これにより、互いに隣り合う第tプリズム40tによる筋の一方向Da1の位置が一致しないため、その筋が他方向Da2に連なることが抑制される。したがって、第tプリズム射出面42tを覆う遮光層60による筋の強調が抑制されることから、誘目性が低下しやすい。したがって、光学部材10に映る死角領域の光景に対する認識の低下が抑制されやすくなる。
【0077】
(第3実施形態)
第3実施形態では、図12に示すように、導光体20は、傾斜面70および傾斜面用遮光層75をさらに有する。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0078】
傾斜面70は、法線方向Dnに対して傾いており、入射面25と交差して接続されているとともに、平滑面32と交差して接続されている。また、法線方向Dnに対する傾斜面70の角度である傾斜面角度Asbは、入射角θiよりも小さくなっている。さらに、法線方向Dnにおける傾斜面70と入射面25との境界部から反射面31までの距離Tdは、法線方向Dnにおける傾斜面70と平滑面32との境界部から反射面31までの距離Tよりも長くなっている。なお、入射角θiは、上記したように、入射光Liの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。さらに、入射光Liは、上記したように、入射面25に入射して導光体20内で屈折した光である。
【0079】
傾斜面用遮光層75は、光を99%以上吸収する光吸収膜であって、傾斜面70を覆っている。また、傾斜面用遮光層75は、例えば、黒色の樹脂で塗装、印刷および蒸着等により形成されている。なお、傾斜面用遮光層75は、黒色の樹脂で形成されているところ、黒色の樹脂に限定されないで、例えば、金属で形成されてもよい。
【0080】
以上のように、第3実施形態の光学部材10は、構成されている。この第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第3実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0081】
[3]ここで、図13に示すように、射出光Luが複数の反射面31を隔てて射出光Lu同士の比較的大きな隙間である導光の隙間が生じることがある。この導光の隙間により、導光された外景光Loが視認されない領域が生じる。
【0082】
これに対して、導光体20は、傾斜面70を有する。傾斜面70は、入射面25および平滑面32と交差して接続されている。また、法線方向Dnにおける傾斜面70と入射面25との境界部から反射面31までの距離Tdは、法線方向Dnにおける傾斜面70と平滑面32との境界部から反射面31までの距離Tよりも長くなっている。
【0083】
これにより、傾斜面70がない場合と比較して入射面25の大きさが大きくなることから、入射面25に入射する外景光Loの範囲が大きくなる。このため、上記した導光の隙間の発生が抑制される。したがって、導光された外景光Loが視認されない領域が生じることが抑制される。
【0084】
(第4実施形態)
第4実施形態では、導光体20は、入射面25を有さない。また、導光体20は、図14に示すように、反射面31、平滑面32、接続面33および複数のプリズム40に加えて、複数の入射用プリズム80を有する。さらに、光学部材10は、導光体20および遮光層60に加えて、入射用遮光層90を備える。これら以外は、第1実施形態と同様である。
【0085】
入射用プリズム80は、導光体20の形成の際において成形加工、切削加工、ブラスト加工等およびこれらの組み合わせにより形成されている。また、入射用プリズム80は、導光体20の内部から外部に向かって突出しており、三角柱形状に形成されている。さらに、入射用プリズム80は、法線方向Dn、一方向Da1および他方向Da2と交差する方向に所定の間隔で配列されている。このため、法線方向Dnにおけるそれぞれの入射用プリズム80から反射面31までの距離が異なっている。また、入射用プリズム80は、プリズム入射面82および入射用遮光面85を含む。
【0086】
プリズム入射面82は、入射面25と対応しており、外景光Loが入射する面である。また、プリズム入射面82は、プリズム射出面42と平行になっているとともに、反射面31および平滑面32と交差している。さらに、法線方向Dnに対するプリズム入射面82の傾斜角度は、上記入射面角度Asiと同じになっている。また、複数のプリズム入射面82のうち平滑面32とは反対側の1つは、プリズム40のプリズム遮光面45に接続されている。
【0087】
入射用遮光面85は、互いに隣り合うプリズム入射面82と交差して接続されている。また、複数の入射用遮光面85のうち平滑面32側の1つは、平滑面32と交差して接続されている。さらに、入射用遮光面85は、法線方向Dnに対して傾いており、法線方向Dnに対する入射用遮光面85の傾斜角度である入射用遮光面角度Assiは、入射角θo以上、入射角θi以下となっている。なお、入射角θoは、上記したように、外景光Loの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。また、入射角θiは、上記したように、入射光Liの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。さらに、入射光Liは、上記したように、入射面25に入射して導光体20内で屈折した光である。
【0088】
入射用遮光層90は、光を99%以上吸収する光吸収膜である。また、入射用遮光層90は、例えば、黒色の樹脂で塗装、印刷および蒸着等により形成されている。さらに、入射用遮光層90は、それぞれの入射用遮光面85の全面を覆っている。また、入射用遮光層90は、死角領域側から入射用プリズム80に向かって進行する光を遮る。
【0089】
以上のように、第4実施形態の光学部材10は、構成されている。この第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第4実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0090】
[4-1]導光体20は、外景光Loが入射する入射用プリズム80を複数有する。これにより、外景光Loが入射する導光体20の面が複数となることから、外景光Loが入射する導光体20の部位が単一面である場合と比較して、入射面25に入射する外景光Loの範囲が大きくなりやすい。このため、上記した導光の隙間の発生が抑制されるしたがって、導光された外景光Loが視認されない領域が生じることが抑制される。
【0091】
[4-2]入射用遮光面角度Assiは、入射角θo以上、入射角θi以下となっている。これにより、互いに隣り合うプリズム入射面82から射出される光の範囲が重なりやすくなるため、互いに隣り合うプリズム入射面82から射出される光の範囲同士の間に形成される導光の隙間の発生が抑制される。このため、射出光Luが複数の反射面31を隔てて射出光Lu同士の比較的大きな隙間である導光の隙間の発生が抑制される。したがって、導光された外景光Loが視認されない領域が生じることが抑制される。
【0092】
(第5実施形態)
第5実施形態では、導光体20は、図15に示すように、接続面33に代えて、第1接続面331および第2接続面332をさらに有する。また、入射用プリズム80の形態が第4実施形態と異なる。これら以外は、第4実施形態と同様である。
【0093】
第1接続面331は、接続面33に対応しており、反射面31および平滑面32と交差して接続されている。第2接続面332は、第1接続面331とは反対側に位置しているとともに、平滑面32とは反対側の入射用プリズム80のプリズム入射面82およびプリズム40のプリズム遮光面45と交差して接続されている。また、第2接続面332は、反射面31および平滑面32と交差している。
【0094】
また、入射用プリズム80は、一方向Da1に複数配列されている。このため、他方向Da2におけるそれぞれ入射用プリズム80から反射面31までの距離は、同じになっている。なお、「同じ」は、製造誤差範囲を含む。
【0095】
ここで、法線方向Dnにおける平滑面32から反射面31までの距離をTとする。また、一方向Da1における第2接続面332とプリズム入射面82との境界部から平滑面32と入射用遮光面85との境界部までの距離をWとする。
【0096】
そして、法線方向Dnにおけるそれぞれの入射用プリズム80から反射面31までの距離は、Tとほぼ同じになっている。また、導光体20は、下記関係式(3)を満たすように形成されている。なお、下記関係式(3)において、「=」は、製造誤差範囲を含む。また、θiは、上記したように、入射光Liの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。さらに、入射光Liは、上記したように、入射面25に入射して導光体20内で屈折した光である。
【0097】
【数8】
【0098】
以上のように、第5実施形態の光学部材10は、構成されている。この第5実施形態においても、第4実施形態と同様の効果を奏する。また、第5実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0099】
[5-1]法線方向Dnにおけるそれぞれ入射用プリズム80から反射面31までの距離は、同じになっている。これにより、図16に示すように、プリズム入射面82からの光がプリズム射出面42に到達するまでの光路長が同じになりやすくなるため、プリズム射出面42から射出される光によって形成される像のゆがみが小さくなりやすくなる。
【0100】
[5-2]導光体20は、上記関係式(3)を満たすように形成されている。これにより、反射面31で反射した光が入射用プリズム80に到達することが抑制される。このため、プリズム射出面42から射出されない領域の発生が抑制されるとともに、プリズム射出面42から射出される光量の低下が抑制される。
【0101】
(第6実施形態)
第6実施形態では、図17および図18に示すように、第2実施形態と第5実施形態とが組み合わされた形態である。また、第6実施形態では、図18に示すように、第1接続面331および第2接続面332は、他方向Da2に対して傾いている。さらに、第1接続面331が他方向Da2に対して傾いているため、第1接続面331に接続されている第3プリズム403と第1接続面331との境界部は、他方向Da2に対して傾いている。
【0102】
以上のように、第6実施形態の光学部材10は、構成されている。この第6実施形態においても、第2実施形態および第5実施形態と同様の効果を奏する。また、第6実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0103】
[6]ピラー5が車両1の上下方向に対して傾いているところ、第1接続面331および第2接続面332は、他方向Da2に対して傾いている。これにより、車両1の上下方向を他方向Da2に対応させることで、ピラー5の形状と導光体20の形状が対応しやすくなるため、ピラー5への光学部材10の取り付けがしやすくなる。
【0104】
(第7実施形態)
第7実施形態では、図19および図20に示すように、光学部材10は、遮光層60を備えていない。また、導光体20は、入射面25、接続面33およびプリズム40に代えて、第1接続面331、第2接続面332、入射用回折格子225および射出用回折格子240を有する。これら以外は、第1実施形態と同様である。なお、図19および図20において、入射用回折格子225および射出用回折格子240の所在を明確にするため、入射用回折格子225および射出用回折格子240がドット柄で示されている。
【0105】
第1接続面331は、接続面33に対応しており、反射面31および平滑面32と交差して接続されている。第2接続面332は、第1接続面331とは反対側に位置している。
【0106】
入射用回折格子225は、入射部に対応しており、10μm以下の微細な凹凸を有する。また、入射用回折格子225は、平滑面32上に位置しているとともに、平滑面32に接続されている。さらに、入射用回折格子225は、第2接続面332と交差して接続されている。ここで、法線方向Dnにおける平滑面32から反射面31までの距離をTとする。また、一方向Da1における入射用回折格子225の長さをWとする。このとき、入射用回折格子225は、上記関係式(3)を満たすように形成されている。
【0107】
射出用回折格子240は、射出部に対応しており、10μm以下の微細な凹凸を有する。また、射出用回折格子240は、反射面31上に位置しているとともに、一方向Da1に間隔を空けて複数配列されている。さらに、射出用回折格子240は、他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。これにより、反射面31は、一方向Da1に間隔を空けて配列されているとともに、他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。したがって、射出用回折格子240および反射面31は、2次元配列になっている。さらに、射出用回折格子240および反射面31は、一方向Da1および他方向Da2に交互に繰り返し配置されている。また、法線方向Dnから見たときの射出用回折格子240および反射面31の幅、高さおよび面積は、第1実施形態のプリズム40および反射面31の幅、高さおよび面積と同様に形成されている。
【0108】
以上のように、第7実施形態の光学部材10は、構成されている。次に、第7実施形態の光学部材10においても、ピラー5による死角領域の光景が車両1の乗員に視認されることについて説明する。
【0109】
例えば、図21に示すように、外景光Loが入射角θoで入射用回折格子225に入射すると、入射用回折格子225の微細な凹凸により、入射用回折格子225に入射した光は、回折する。これにより、入射用回折格子225に入射した光は、導光体20内で屈折するため、入射光Liとなる。なお、入射角θoは、上記したように、外景光Loの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。
【0110】
さらに、入射光Liの一部は、入射角θiで反射面31に向かって進行して、反射面31に到達する。その到達した入射光Liは、反射面31で全反射し、第1反射光Lr1となる。また、第1反射光Lr1は、入射角θiで平滑面32に向かって進行して、平滑面32に到達する。その到達した第1反射光Lr1は、平滑面32で全反射し、第2反射光Lr2となる。さらに、第2反射光Lr2は、射出用回折格子240に向かって進行して、射出用回折格子240に到達する。その到達した第2反射光Lr2は、射出用回折格子240の微細な凹凸により回折することで、射出用回折格子240から、入射角θoと同じとなる射出角θuで射出されて、射出光Luとなる。そして、射出光Luが車両1の乗員に向かって進行して到達することにより、ピラー5による死角領域の光景が視認される。なお、入射角θiは、上記したように、入射光Liの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。射出角θuは、上記したように、射出光Luの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。また、上記と同様に、Asi<π/2-θiが満たされている。さらに、射出角θuが入射角θoと同じとなるように、入射用回折格子225および射出用回折格子240の微細な凹凸の大きさや向きが調整されている。
【0111】
また、入射光Liの一部は、射出用回折格子240に向かって進行して、射出用回折格子240に到達する。その到達した入射光Liは、射出用回折格子240の微細な凹凸により回折することで、射出用回折格子240から、入射角θoと同じとなる射出角θuで射出されて、射出光Luとなる。そして、射出光Luが車両1の乗員に向かって進行して到達することにより、ピラー5による死角領域の光景が視認される。
【0112】
以上のように、第7実施形態の光学部材10においても、ピラー5による死角領域の光景が車両1の乗員に視認される。また、第7実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0113】
(第8実施形態)
第8実施形態では、図22および図23に示すように、導光体20は、入射用回折格子225および射出用回折格子240に代えて、入射用ホログラム325および射出用ホログラム340を有する。これ以外は、第7実施形態と同様である。なお、図22および図23において、入射用ホログラム325および射出用ホログラム340の所在を明確にするため、入射用ホログラム325および射出用ホログラム340がドット柄で示されている。
【0114】
入射用ホログラム325は、第1ホログラムに対応しており、微小な凹凸を有することにより、所定の光の電場の振幅および位相を記録している。さらに、入射用ホログラム325に光が入射すると、入射した光が干渉されることで屈折される。また、入射用ホログラム325は、平滑面32上に位置しているとともに、平滑面32に接続されている。さらに、入射用ホログラム325は、第2接続面332と交差して接続されている。ここで、法線方向Dnにおける平滑面32から反射面31までの距離をTとする。また、一方向Da1における入射用ホログラム325の長さをWとする。このとき、入射用ホログラム325は、上記関係式(3)を満たすように形成されている。
【0115】
射出用ホログラム340は、第2ホログラムに対応しており、微小な凹凸を有することにより、所定の光の電場の振幅および位相を記録している。さらに、射出用ホログラム340に所定の光が入射すると、入射した光が干渉されることで屈折される。また、射出用ホログラム340は、一方向Da1に間隔を空けて複数配列されている。さらに、射出用ホログラム340は、他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。これにより、反射面31は、一方向Da1に間隔を空けて配列されているとともに、他方向Da2に間隔を空けて複数配列されている。したがって、射出用ホログラム340および反射面31は、2次元配列になっている。さらに、射出用ホログラム340および反射面31は、一方向Da1および他方向Da2に交互に繰り返し配置されている。また、法線方向Dnから見たときの射出用ホログラム340および反射面31の幅、高さおよび面積は、第1実施形態のプリズム40および反射面31の幅、高さおよび面積と同様に形成されている。
【0116】
以上のように、第8実施形態の光学部材10は、構成されている。次に、第8実施形態の光学部材10においても、ピラー5による死角領域の光景が車両1の乗員に視認されることについて説明する。
【0117】
例えば、図24に示すように、外景光Loが入射角θoで入射用ホログラム325に入射すると、入射用ホログラム325による干渉によって、入射用ホログラム325に入射した光は、導光体20内で屈折する。このため、入射用ホログラム325に入射した光は、入射光Liとなる。なお、入射角θoは、上記したように、外景光Loの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。
【0118】
さらに、入射光Liの一部は、入射角θiで反射面31に向かって進行して、反射面31に到達する。その到達した入射光Liは、反射面31で全反射し、第1反射光Lr1となる。また、第1反射光Lr1は、入射角θiで平滑面32に向かって進行して、平滑面32に到達する。その到達した第1反射光Lr1は、平滑面32で全反射し、第2反射光Lr2となる。さらに、第2反射光Lr2は、射出用ホログラム340に向かって進行して、射出用ホログラム340に到達する。その到達した第2反射光Lr2は、射出用ホログラム340にて干渉することで、射出用ホログラム340から、入射角θoと同じとなる射出角θuで射出されて、射出光Luとなる。そして、射出光Luが車両1の乗員に向かって進行して到達することにより、ピラー5による死角領域の光景が視認される。なお、入射角θiは、上記したように、入射光Liの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。射出角θuは、上記したように、射出光Luの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。また、上記と同様に、Asi<π/2-θiが満たされている。さらに、射出角θuが入射角θoと同じとなるように、入射用ホログラム325および射出用ホログラム340の微細な凹凸の大きさや向きが調整されている。また、入射用ホログラム325および射出用ホログラム340に記録されている光の電場の振幅および位相が調整されている。
【0119】
また、入射光Liの一部は、射出用ホログラム340に向かって進行して、射出用ホログラム340に到達する。その到達した入射光Liは、射出用ホログラム340にて干渉することで、射出用ホログラム340から、入射角θoと同じとなる射出角θuで射出されて、射出光Luとなる。そして、射出光Luが車両1の乗員に向かって進行して到達することにより、ピラー5による死角領域の光景が視認される。
【0120】
以上のように、第8実施形態の光学部材10においても、ピラー5による死角領域の光景が車両1の乗員に視認される。また、第8実施形態においても、第7実施形態と同様の効果を奏する。
【0121】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0122】
上記各実施形態では、プリズム40は、三角柱形状であるところ、三角柱形状であることに限定されないで、例えば、台形柱形状であってもよい。
【0123】
上記各実施形態では、遮光層60、傾斜面用遮光層75および入射用遮光層90は、光吸収膜で形成されているところ、光吸収膜で形成されていることに限定されないで、光拡散材および再帰性反射材等で形成されてもよい。
【0124】
上記各実施形態では、平滑面32は、反射面31と平行になっている。これに対して、平滑面32は、反射面31と平行になっていることに限定されないで、光学部材10から視認者までの距離に応じて、反射面31と平行にならない形態であってもよい。
【0125】
上記各実施形態は、適宜組み合わされてもよい。
【0126】
(本発明の特徴)
[請求項1]光学部材であって、死角領域からの外景光(Lo)が入射する入射面(25)と、前記入射面からの光を反射する反射面(31)と、前記反射面で反射された光を反射する平滑面(32)と、前記反射面から前記反射面の法線方向(Dn)に突出しており前記入射面からの光および前記平滑面で反射された光を外部に射出するプリズム(40)と、を有する導光体(20)を備え、前記プリズムは、前記法線方向と交差する一方向(Da1)に間隔を空けて複数配列されているとともに前記法線方向および前記一方向と交差する他方向(Da2)に間隔を空けて複数配列されており、前記反射面は、互いに隣り合う前記プリズム同士の間に形成されていることにより、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されている光学部材。
[請求項2]前記プリズムの一部を覆うことにより、前記導光体の外部から前記プリズムに向かう光を遮光する遮光部(60)をさらに備え、前記遮光部は、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されている請求項1に記載の光学部材。
[請求項3]前記プリズムは、前記入射面からの光および前記平滑面で反射された光を前記法線方向および前記一方向に外部に射出し、前記他方向における前記プリズムの長さ(Wev)と前記他方向に互いに隣り合う前記プリズム同士の間に位置する前記反射面の前記他方向の長さ(Wsv)との和(Pev)は、2mm以下となっている請求項1または2に記載の光学部材。
[請求項4]前記一方向において前記入射面とは反対側に位置する前記プリズムおよび前記反射面における前記法線方向から見たときの面積の和に対する前記一方向において前記入射面とは反対側に位置する前記反射面における前記法線方向から見たときの面積の和の割合は、前記一方向において前記入射面側に位置する前記プリズムおよび前記反射面における前記法線方向から見たときの面積の和に対する前記一方向において前記入射面とは反対側に位置する前記反射面における前記法線方向から見たときの面積の和の割合よりも小さくなっている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光学部材。
[請求項5]前記入射面は、前記反射面および前記平滑面と交差して接続されており、前記導光体は、前記入射面とは反対側に位置しているとともに前記反射面および前記平滑面と交差して接続されている接続面(33)をさらに有し、前記入射面側から前記接続面側に向かって数えて最後尾の前記プリズムは、前記接続面と交差して接続されている請求項1ないし4のいずれか1つに記載の光学部材。
[請求項6]光学部材であって、死角領域からの外景光(Lo)が入射して入射した光を回折させる入射部(225)と、前記入射部により回折した光を反射する反射面(31)と、前記反射面で反射された光を反射する平滑面(32)と、前記反射面上に位置しているとともに前記入射部からの光および前記平滑面で反射された光を回折させることにより外部に射出する射出部(240)と、を有する導光体(20)を備え、前記射出部は、前記反射面の法線方向と交差する一方向(Da1)に間隔を空けて複数配列されているとともに前記法線方向および前記一方向と交差する他方向(Da2)に間隔を空けて複数配列されており、前記反射面は、互いに隣り合う前記射出部同士の間に形成されていることにより、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されている光学部材。
[請求項7]光学部材であって、死角領域からの外景光(Lo)が入射し、入射した光を干渉させることにより屈折させる第1ホログラム(325)と、前記第1ホログラムにより屈折した光を反射する反射面(31)と、前記反射面で反射された光を反射する平滑面(32)と、前記反射面上に位置しているとともに前記第1ホログラムからの光および前記平滑面で反射された光を干渉させることにより屈折させて外部に射出する第2ホログラム(340)と、を有する導光体(20)を備え、前記第2ホログラムは、前記反射面の法線方向と交差する一方向(Da1)に間隔を空けて複数配列されているとともに前記法線方向および前記一方向と交差する他方向(Da2)に間隔を空けて複数配列されており、前記反射面は、互いに隣り合う前記第2ホログラム同士の間に形成されていることにより、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されている光学部材。
【符号の説明】
【0127】
20 導光体
25 入射面
31 反射面
32 平滑面
40 プリズム
60 遮光部
225 入射用回折格子
240 射出用回折格子
325 入射用ホログラム
340 射出用ホログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24