(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159720
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】光学部材
(51)【国際特許分類】
B60R 1/04 20060101AFI20231025BHJP
G02B 5/04 20060101ALI20231025BHJP
B60R 1/10 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B60R1/04 H
G02B5/04 F
G02B5/04 Z
B60R1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069608
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 和幸
(72)【発明者】
【氏名】辻 真俊
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042CA06
2H042CA14
2H042CA17
(57)【要約】
【課題】遮光部材が導光体の面と接することを抑制する光学部材を提供する。
【解決手段】光学部材10は、死角領域からの外景光が入射する入射面と、入射面からの光を反射する第1反射面31と、第1反射面31で反射された光を反射する第2反射面32と、第1反射面31から第1反射面31の法線方向Dnに突出しているとともに間隔を空けて複数配列されており入射面からの光および第2反射面32で反射された光を外部に射出するプリズムと、第1反射面31から法線方向Dnに突出している突起部211、212と、を有する導光体20と、突起部211、212と接触していることにより第1反射面31との間で空間50を形成するとともに、第1反射面31を覆うことで外部から第1反射面31に入射する光を遮る遮光部材70と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
死角領域からの外景光(Lo)が入射する入射面(25)と、前記入射面からの光を反射する第1反射面(31)と、前記第1反射面で反射された光を反射する第2反射面(32)と、前記第1反射面から前記第1反射面の法線方向(Dn)に突出しているとともに間隔を空けて複数配列されており前記入射面からの光および前記第2反射面で反射された光を外部に射出するプリズム(40)と、前記第1反射面から前記法線方向(Dn)に突出している突起部(211、212、213、214、215)と、を有する導光体(20)と、
前記突起部と接触していることにより前記第1反射面との間で空間(50)を形成するとともに、前記第1反射面を覆うことで外部から前記第1反射面に入射する光を遮る遮光部材(70)と、
を備える光学部材。
【請求項2】
前記導光体は、
前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている第1粗面(201)と、
前記第1粗面とは反対側に位置しており、前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている第2粗面(202)と、
をさらに有し、
前記第1反射面および前記遮光部材は、前記第1粗面から前記第2粗面に向かう方向に延びており、
前記突起部は、前記第1粗面から前記第2粗面に向かう方向における前記遮光部材の中心と接触している請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記導光体は、前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている粗面(201、202)をさらに有し、
前記突起部は、前記遮光部材と接触している接触面(221、222)と、前記接触面および前記粗面に接続されている接続面(231、232)と、を含む請求項1に記載の光学部材。
【請求項4】
前記接続面は、前記接続面と前記接触面との境界部から離れるにつれて前記法線方向における前記突起部の長さ(Hr1、Hr2)が小さくなる方向に傾斜しているとともに、前記遮光部材と接触している請求項3に記載の光学部材。
【請求項5】
前記導光体は、
前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている第1粗面(201、202)と、
前記第1粗面とは反対側に位置しており、前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている第2粗面(202)と、
をさらに有し、
前記プリズムは、
前記第1反射面に接続されているとともに前記入射面からの光および前記第2反射面で反射された光を外部に射出する射出面(42)と、
前記射出面および前記第1反射面に交差して接続されている非射出面(45)と、
を含み、
前記射出面と前記第1反射面との第1境界部(Pb)から、前記第1境界部の前記プリズムの隣に並ぶ前記プリズムの前記射出面と前記非射出面との第2境界部(Pt)までの前記法線方向における距離をHpとし、
前記法線方向および前記第1粗面から前記第2粗面に向かう方向と直交する方向における前記第1境界部から前記第2境界部までの距離をWpとし、
前記法線方向および前記第1粗面から前記第2粗面に向かう方向と直交する方向に延びる前記遮光部材の面の長さをWsとすると、
前記導光体および前記遮光部材は、
【数1】
の関係式(1)を満たすように形成されている請求項1または3に記載の光学部材。
【請求項6】
前記光学部材は、前記プリズムの少なくとも一部を覆う遮光層(60)をさらに備え、
前記プリズムは、前記法線方向と交差する一方向に複数配列されているとともに、前記法線方向および前記一方向と交差する他方向に複数配列されている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光学部材。
【請求項7】
前記プリズムは、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されており、
前記第1反射面は、前記一方向および前記他方向に互いに隣り合う前記プリズム同士の間に形成されており、
前記遮光部材は、前記一方向に延びている第1遮光部(731)と、前記他方向に延びているとともに前記第1遮光部と交差している第2遮光部(732)と、を有し、
前記突起部は、前記第1遮光部と前記第2遮光部とが交差している部分と接触している請求項6に記載の光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、半透過ミラーと、ミラーと、導光体と、複数のプリズムと、を備える死角補助装置が知られている。半透過ミラーは、視認者側に設けられる。ミラーは、光を半透過ミラーへ反射する。導光体は、半透過ミラーおよびミラーの間に設けられる。複数のプリズムは、半透過ミラーおよび視認者の間に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、特許文献1に記載された死角補助装置では、半透過ミラーが備えられているところ、半透過ミラーは、誘電体多層膜等を有するため、死角補助装置の部品点数が多くなる。このため、死角補助装置のコストが高くなることから、死角補助装置のコスト削減のために死角補助装置が半透過ミラーを備えないことが望まれる。
【0005】
死角補助装置が半透過ミラーを備えないようにするため、半透過ミラーに代えて導光体の面にて光を全反射させることが考えられる。しかし、この場合、導光体の面に外部からの不要な光が入射すると、その外光によって死角領域の光景の視認性が低下する。このため、この外光を遮蔽する遮光部材を備えることが考えられる。しかし、遮光部材および導光体の屈折率は、外部媒体としての空気等の屈折率よりも大きい。このため、遮光部材が導光体の面に接すると、導光体内部を伝搬し導光体の面に入射する光は、導光体の面で全反射されないで、屈折して遮光部材に入射する。このとき、遮光部材に入射する光は、遮光部材によって遮られる。これにより、死角領域からの外景光が導光体を介して視認者に向かって射出されないため、死角領域の光景の視認性が低下する。このため、遮光部材と導光体の面とは、熱変形や振動等がある環境においても、接しないことが求められる。
【0006】
本開示は、遮光部材が導光体の面と接することを抑制する光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、死角領域からの外景光(Lo)が入射する入射面(25)と、入射面からの光を反射する第1反射面(31)と、第1反射面で反射された光を反射する第2反射面(32)と、第1反射面から第1反射面の法線方向(Dn)に突出しているとともに間隔を空けて複数配列されており入射面からの光および第2反射面で反射された光を外部に射出するプリズム(40)と、第1反射面から法線方向(Dn)に突出している突起部(211、212、213、214、215)と、を有する導光体(20)と、突起部と接触していることにより第1反射面との間で空間(50)を形成するとともに、第1反射面を覆うことで外部から第1反射面に入射する光を遮る遮光部材(70)と、を備える光学部材である。
【0008】
上記構成により形成された空間により、遮光部材と第1反射面とが接触しにくくなることから、遮光部材が第1反射面と接することが抑制される。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の光学部材が用いられる車両の構成図。
【
図8】光学部材の入射面に外景光が入射したときを示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態の光学部材10は、例えば、車両1に用いられる。この車両1は、
図1に示すように、ステアリングホイール2、フロントウィンドウ3、サイドウィンドウ4、ピラー5および光学部材10等を備えている。そして、光学部材10は、例えば、ピラー5に取り付けられており、ピラー5により死角となる領域からの外景光Loを車両1の乗員に導光することにより、死角領域の光景を車両1の乗員に視認させる。なお、車両1の乗員は、視認者に対応する。
【0013】
具体的には、光学部材10は、
図2~
図7に示すように、導光体20、遮光層60、遮光部材70、第1固定部材91、第2固定部材92、第3固定部材93および第4固定部材94を備えている。なお、
図5~
図7および後述の断面図において、理解がされやすい図とするために光学部材10の断面ハッチングが省略されている。
【0014】
導光体20は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンおよびアクリル等の樹脂材料やガラスなどの透光性材料で形成されている。また、導光体20は、入射面25、第1反射面31、第2反射面32、複数のプリズム40、第1粗面201、第2粗面202、複数の第1突起部211および複数の第2突起部212を有する。
【0015】
入射面25は、外景光Loが入射する面である。第1反射面31は、車両1の乗員側に配置されているとともに、入射面25と交差している。また、第1反射面31では、入射面25からの光が反射される。第2反射面32は、入射面25のうち第1反射面31とは反対側に接続されているとともに、第1反射面31と平行になっている。さらに、第2反射面32では、第1反射面31で反射された光が反射される。
【0016】
ここで、第1反射面31を通る法線の方向を法線方向Dnとする。そして、入射面25は、
図4、
図6および
図7に示すように、法線方向Dnに対して傾いている。さらに、法線方向Dnに対する入射面25の傾斜角度である入射面角度Asiは、鋭角になっている。また、導光体20の屈折率をn1とする。また、導光体20の外部媒質の屈折率をn2とする。さらに、入射面25からの光が第1反射面31で反射されるときの入射角度および第1反射面31で反射された光が第2反射面32で反射されるときの入射角度をθiとする。このとき、導光体20は、下記関係式(1-1)を満たすように形成されている。これにより、導光体20が半透過ミラーを有さなくても、入射面25からの光が第1反射面31および第2反射面32で全反射される。
【0017】
【0018】
次に、プリズム40は、導光体20の形成の際において成形加工、切削加工、ブラスト加工等およびこれらの組み合わせにより形成されている。また、プリズム40は、第1反射面31から突出しており、三角柱形状に形成されている。さらに、プリズム40は、所定の間隔を空けて複数配列されている。これにより、第1反射面31がプリズム40の配列方向に所定の間隔を空けて複数配列されている。また、プリズム40は、プリズム射出面42およびプリズム遮光面45を含む。
【0019】
プリズム射出面42は、第1反射面31に接続されている。また、プリズム射出面42は、入射面25と平行になっている。このため、プリズム射出面42は、法線方向Dnに対して入射面角度Asiで傾いている。プリズム遮光面45は、非射出面に対応しており、プリズム射出面42と交差して接続されている。
【0020】
第1粗面201は、
図2、
図3および
図5に示すように、入射面25、第1反射面31および第2反射面32と交差して接続されている。第2粗面202は、第1粗面201とは反対側に配置され第1粗面201と対向しているとともに入射面25、第1反射面31および第2反射面32と交差して接続されている。また、第1粗面201および第2粗面202の表面粗さは、入射面25、第1反射面31および第2反射面32の表面粗さよりも大きくなっている。これにより、第1粗面201および第2粗面202にて光が反射されにくくなっている。なお、表面粗さは、例えば、2乗平均平方根高さ、最大山高さ、最大谷高さ、最大高さおよび算出平均高さ等であって、ISO25178およびJISB0601に準拠した測定法によって測定される。
【0021】
第1突起部211は、第1粗面201側における第1反射面31から法線方向Dnに突出している。また、第1突起部211は、第1接触面221および第1接続面231を含む。第1接触面221は、法線方向Dnと直交しているとともに後述の遮光部材70と接触している。第1接続面231は、第1接触面221および第1粗面201と接続されている。さらに、第1接続面231は、第1接続面231と第1接触面221との境界部から離れるにつれて第1突起長さHr1が小さくなる方向に傾斜しているとともに後述の遮光部材70と接触している。なお、第1突起長さHr1は、法線方向Dnにおける第1突起部211の長さである。
【0022】
第2突起部212は、第2粗面202側における第2反射面32から法線方向Dnに突出している。また、第2突起部212は、第2接触面222および第2接続面232を含む。第2接触面222は、法線方向Dnと直交しているとともに後述の遮光部材70と接触している。第2接続面232は、第2接触面222および第2粗面202と接続されている。さらに、第2接続面232は、第2接続面232と第2接触面222との境界部から離れるにつれて第2突起長さHr2が小さくなる方向に傾斜しているとともに後述の遮光部材70と接触している。なお、第2突起長さHr2は、法線方向Dnにおける第2突起部212の長さである。
【0023】
遮光層60は、光を99%以上吸収する光吸収膜である。また、遮光層60は、例えば、黒色の樹脂で塗装、印刷および蒸着等により形成されている。さらに、遮光層60は、
図4、
図6および
図7に示すように、それぞれのプリズム遮光面45の全面を覆っている。これにより、遮光層60は、車両1の乗員側からプリズム遮光面45に向かって入射する光を遮る。また、遮光層60は、導光体20の内部を伝搬する光がプリズム遮光面45に入射した際の界面反射も低減する。なお、遮光層60は、黒色の樹脂で形成されているところ、黒色の樹脂に限定されないで、例えば、金属で形成されてもよい。
【0024】
遮光部材70は、フィルム状に光吸収材、光拡散材および再帰性反射材等で形成されている。さらに、遮光部材70は、複数の遮光部700、第1固定部701および第2固定部702を有する。なお、遮光部材70では、複数の遮光部700、第1固定部701および第2固定部702は、一体となっているところ、これに限定されないで、別体であってもよい。
【0025】
遮光部700は、例えば、長さが数百mm、幅が1mm程度、厚さが数十~数百μmとなっている。また、遮光部700は、
図2~
図7に示すように、プリズム40の配列方向に間隔を空けて複数配列されている。さらに、遮光部700は、第1粗面201から第2粗面202に向かう方向に延びているとともに、第1反射面31の少なくとも一部を覆っている。これにより、遮光部700は、車両1の乗員側から第1反射面31に向かって入射する光を遮る。また、
図5に示すように、第1粗面201側における遮光部700の第1端部711は、第1突起部211と接触している。さらに、第2粗面202側における遮光部700の第2端部712は、第2突起部212と接触している。
【0026】
第1固定部701は、第1端部711に接続されているとともに、後述するように、第1固定部材91および第3固定部材93にて挟まれている。第2固定部702は、第2端部712に接続されているとともに、後述するように、第2固定部材92および第4固定部材94にて挟まれている。
【0027】
第1固定部材91、第2固定部材92、第3固定部材93および第4固定部材94は、四角柱状に樹脂等で形成されている。また、第1固定部材91は、例えば、接着材料等により第1粗面201に接続されている。さらに、第1固定部材91と第3固定部材93とは、例えば、図示しない接着材料やねじ等により固定されている。また、法線方向Dnにおける第1固定部材91の長さは、法線方向Dnにおける第1反射面31から第2反射面32までの距離よりも小さくなっている。さらに、第1固定部材91は、第3固定部材93とで第1固定部701を挟むことで、第1粗面201側における遮光部700を固定している。これにより、遮光部700の第1端部711は、折れ曲がっているとともに引っ張られている。
【0028】
また、第2固定部材92は、例えば、接着材料等により第2粗面202に接続されている。さらに、第2固定部材92と第4固定部材94とは、例えば、図示しない接着材料やねじ等により固定されている。また、法線方向Dnにおける第2固定部材92の長さは、法線方向Dnにおける第1反射面31から第2反射面32までの距離よりも小さくなっている。さらに、第2固定部材92は、第4固定部材94とで第2固定部702を挟むことで、第2粗面202側における遮光部700を固定している。これにより、遮光部700の第2端部712は、折れ曲がっているとともに引っ張られている。
【0029】
したがって、遮光部700は、第1突起部211および第2突起部212に押し付けられているとともに第1固定部材91、第2固定部材92、第3固定部材93および第4固定部材94によって引っ張られている。よって、遮光部700は、たわんでいる。これにより、
図4および
図5に示すように、遮光部700および第1反射面31の間に、法線方向Dnにおける長さが数百μmの空間50が形成されている。
【0030】
ここで、上記したように、第1接続面231は、第1接続面231と第1接触面221との境界部から離れるにつれて第1突起長さHr1が小さくなる方向に傾斜しているとともに、遮光部700の第1端部711と接触している。これにより、遮光部700の第1端部711は、第1接触面221に加えて第1接続面231と接触している。このため、第1接続面231がない場合に第1端部711が第1接触面221の角にのみ接触することが抑制される。したがって、法線方向Dnにおける第1接続面231の長さ分、遮光部700のたわみが小さくなる。また、上記したように、第2接続面232は、第2接続面232と第2接触面222との境界部から離れるにつれて第2突起長さHr2が小さくなる方向に傾斜しているとともに、遮光部700の第2端部712と接触している。これにより、遮光部700の第2端部712は、第2接触面222に加えて第2接続面232と接触している。このため、第2接続面232がない場合に第2端部712が第2接触面222の角にのみ接触することが抑制される。よって、法線方向Dnにおける第2接続面232の長さ分、遮光部700のたわみが小さくなる。
【0031】
さらに、ここで、
図6および
図7に示すように、第1反射面31とプリズム射出面42との境界部を第1境界部Pbとする。また、プリズム射出面42とプリズム遮光面45との境界部を第2境界部Ptとする。さらに、法線方向Dnにおいて、第1境界部Pbから第2境界部Ptまでの距離を境界間長さHpとする。また、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向における、第1境界部Pbから、第1境界部Pbのプリズム40の隣に並ぶプリズム40の第2境界部Ptまでの距離を境界間幅Wpとする。さらに、境界間幅Wpは、例えば、1.5~2.0mmである。また、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向に延びる遮光部700の面の長さを遮光部幅Wsとする。さらに、第1反射面31およびプリズム遮光面45によって区画される領域を区画領域Rsとする。なお、
図6において、遮光部幅Wsは、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向の長さに対応している。これに対して、遮光部700の面が法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向に対して傾斜している場合において、遮光部幅Wsは、その面の長さをいう。
【0032】
このとき、導光体20および遮光部700は、下記関係式(1-2)を満たすように形成されている。これにより、遮光部幅Wsは、第1境界部Pbから、第1境界部Pbのプリズム40の隣に並ぶプリズム40の第2境界部Ptまでの距離以下となる。このため、遮光部700が区画領域Rs内に配置されやすい。このことから、プリズム射出面42が遮光部700によって覆われにくくなる。
【0033】
【0034】
以上のように、第1実施形態の光学部材10は、構成されている。本実施形態の光学部材10では、ピラー5による死角領域の光景が車両1の乗員に視認されるとともに、遮光部材70が導光体20の第1反射面31と接することが抑制される。次に、
図8を参照して、死角領域の光景の視認について説明する。
【0035】
例えば、外景光Loが入射角θoで入射面25に入射すると、導光体20内で屈折することにより、入射光Liとなる。なお、入射角θoは、外景光Loの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。
【0036】
さらに、入射光Liの一部は、入射角θiで第1反射面31に向かって進行して、第1反射面31に到達する。その到達した入射光Liは、第1反射面31で全反射し、第1反射光Lr1となる。また、第1反射光Lr1は、入射角θiで第2反射面32に向かって進行して、第2反射面32に到達する。その到達した第1反射光Lr1は、第2反射面32で全反射し、第2反射光Lr2となる。さらに、第2反射光Lr2は、プリズム射出面42に向かって進行して、プリズム射出面42に到達する。その到達した第2反射光Lr2は、プリズム射出面42から、入射角θoと同じとなる射出角θuで射出されて、射出光Luとなる。そして、射出光Luが車両1の乗員に向かって進行して到達することにより、ピラー5による死角領域の光景が視認される。なお、入射角θiは、入射光Liの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。射出角θuは、射出光Luの進行方向と法線方向Dnとのなす角度である。また、Asi<π/2-θiが満たされていることから、入射角θiは、入射角θoよりも大きくなっている。これにより、入射光Liは、第1反射面31の広範囲に向かって進行する。さらに、法線方向Dnに対するプリズム遮光面45の傾斜角度は、入射角θo以上となっている。このため、射出光Luがプリズム遮光面45に遮られることなく外部に射出されることから、射出における光量のロスが低減されている。
【0037】
また、入射光Liの一部は、プリズム射出面42に向かって進行して、プリズム射出面42に到達する。その到達した入射光Liは、プリズム射出面42から、入射角θoと同じとなる射出角θuで射出されて、射出光Luとなる。そして、射出光Luが車両1の乗員に向かって進行して到達することにより、ピラー5による死角領域の光景が視認される。
【0038】
以上のように、ピラー5による死角領域の光景が車両1の乗員に視認される。次に、遮光部材70が導光体20の第1反射面31と接することが抑制されることについて説明する。
【0039】
遮光部700は、第1突起部211および第2突起部212と接触していることにより、第1反射面31との間で空間50を形成している。この空間50により、遮光部700と第1反射面31とが接触しにくくなることから、遮光部材70が第1反射面31と接することが抑制される。
【0040】
また、第1実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0041】
[1-1]第1接続面231は、第1接続面231と第1接触面221との境界部から離れるにつれて第1突起長さHr1が小さくなる方向に傾斜しているとともに、遮光部700の第1端部711と接触している。これにより、遮光部700の第1端部711は、第1接触面221に加えて第1接続面231と接触している。このため、第1接続面231がない場合に第1端部711が第1接触面221の角にのみ接触することが抑制される。したがって、法線方向Dnにおける第1接続面231の長さ分、遮光部700のたわみが小さくなる。これにより、空間50が広がる方向の遮光部700のたわみが小さくなることで、法線方向Dnにおける第1反射面31と遮光部700とが離れ過ぎることが抑制される。その結果、射出光Luが遮光部700によって遮られにくくなるため、射出光Luが遮光部700によってケラれることが抑制される。また、第2接続面232は、第2接続面232と第2接触面222との境界部から離れるにつれて第2突起長さHr2が小さくなる方向に傾斜しているとともに、遮光部700の第2端部712と接触している。これにより、遮光部700の第2端部712は、第2接触面222に加えて第2接続面232と接触している。このため、第2接続面232がない場合に第2端部712が第2接触面222の角にのみ接触することが抑制されている。したがって、法線方向Dnにおける第2接続面232の長さ分、遮光部700のたわみが小さくなる。これにより、上記と同様に、空間50が広がる方向の遮光部700のたわみが小さくなることで、法線方向Dnにおける第1反射面31と遮光部700とが離れ過ぎることが抑制される。その結果、射出光Luが遮光部700によって遮られにくくなるため、射出光Luが遮光部700によってケラれることが抑制される。
【0042】
[1-2]導光体20および遮光部700は、上記関係式(1-2)を満たすように形成されている。これにより、遮光部幅Wsは、第1境界部Pbから、第1境界部Pbのプリズム40の隣に並ぶプリズム40の第2境界部Ptまでの距離以下となる。このため、遮光部700が区画領域Rsに配置されやすい。このことから、プリズム射出面42が遮光部700によって覆われにくくなる。したがって、射出光Luが遮光部700によって遮られにくくなるため、死角領域の光景の視認性が向上する。
【0043】
(第2実施形態)
第2実施形態では、導光体20は、
図9~
図11に示すように、第1突起部211および第2突起部212に加えて、第3突起部213をさらに有する。また、第1突起部211および第2突起部212の形状が第1実施形態と異なる。これら以外は、第1実施形態と同様である。
【0044】
第3突起部213は、第1反射面31から法線方向Dnに突出していることにより、遮光部700の中心と接触している。第1突起部211の第1接続面231は、平面に代えて、曲面になっている。また、第1接続面231は、第1接触面221から第1粗面201に向かって第1突起長さHr1が小さくなるように曲がっている。これにより、遮光部700の第1端部711は、第1接続面231に沿って曲がっている。第2突起部212の第2接続面232は、平面に代えて、曲面になっている。また、第2接続面232は、第2接触面222から第2粗面202に向かって第2突起長さHr2が小さくなるように曲がっている。このため、遮光部700の第2端部712は、第2接続面232に沿って曲がっている。
【0045】
以上のように、第2実施形態の光学部材10は、構成されている。第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0046】
[2]第3突起部213は、第1反射面31から法線方向Dnに突出していることにより、第1粗面201から第2粗面202に向かう方向における遮光部700の中心と接触している。これにより、遮光部700の中央が支持されることから、遮光部700の中央部の応力が低減する。このため、遮光部700が垂れにくくなっている。
【0047】
(第3実施形態)
第3実施形態では、導光体20は、
図12に示すように、第2突起部212を備えていないで、突起部211を有する。また、光学部材10は、第1固定部材91、第2固定部材92、第3固定部材93および第4固定部材94に代えて、第1棒状部材921および第2棒状部材922を備える。これら以外は、第1実施形態と同様である。
【0048】
突起部211は、第1突起部211に対応している。このため、突起部211の詳細な説明は、省略する。なお、突起部211は、第1粗面201側における第1反射面31から法線方向Dnに突出しているところ、これに限定されないで、例えば、第2粗面202側における第1反射面31から法線方向Dnに突出してもよい。また、突起部211は、第1反射面31の中央部から法線方向Dnに突出してもよい。
【0049】
第1棒状部材921は、円柱状に形成されており、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向に延びている。また、第1棒状部材921は、接着材料等により第1粗面201と接続されている。そして、第1棒状部材921には、遮光部材70の第1固定部701が巻回されている。これにより、遮光部700の第1端部711は、折れ曲がっているとともに引っ張られている。
【0050】
第2棒状部材922は、円柱状に形成されており、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向に延びている。また、第2棒状部材922は、接着材料等により第2粗面202と接続されているとともに、遮光部700の第2端部712と接している。そして、第2棒状部材922には、遮光部材70の第2固定部702が巻回されている。このため、遮光部700は、引っ張られている。
【0051】
以上のように、第3実施形態の光学部材10は、構成されている。第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第3実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0052】
[3]導光体20は、第2突起部212を備えていないで、突起部211を有する。これにより、第1突起部211および第2突起部212の両方を有する導光体20を成形する場合と比較して、第2突起部212をなくした分、導光体20の成形がしやすくなる。
【0053】
(第4実施形態)
第4実施形態では、
図13、
図14、
図15に示すように、プリズム40の配列および形状が第1実施形態と異なる。また、遮光部材70の形状が第1実施形態と異なる。さらに、導光体20は、第1突起部211および第2突起部212に加えて、第3突起部213、第4突起部214および第5突起部215を有する。これら以外は、第1実施形態と同様である。
【0054】
プリズム40は、
図13に示すように、第1反射面31から法線方向Dnに向かって突出しており、三角柱形状に形成されている。また、プリズム40は、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向に間隔を空けて複数配列されている。さらに、プリズム40は、第1粗面201から第2粗面202に向かう方向に間隔を空けて複数配列されている。したがって、複数のプリズム40は、2次元配列になっている。また、互いに隣り合う同士のプリズム40の間が第1反射面31となっていることから、第1反射面31は、格子状の面になっている。
【0055】
遮光部材70は、複数の第1遮光部731、複数の第2遮光部732、第1固定部701および第2固定部702を有する。なお、複数の第1遮光部731、複数の第2遮光部732、第1固定部701および第2固定部702は、一体となっているところ、これに限定されないで、別体であってもよい。
【0056】
第1遮光部731は、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向に複数配列されているとともに、第1粗面201から第2粗面202に向かう方向に延びている。これにより、第1遮光部731は、第1反射面31のうち第1粗面201から第2粗面202に向かう方向に延びている部分の少なくとも一部を、覆っている。このため、第1遮光部731は、車両1の乗員側から第1反射面31に向かって入射する光を遮る。
【0057】
第2遮光部732は、第1粗面201から第2粗面202に向かう方向に複数配列されているとともに、第1遮光部731と交差して、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向に延びている。これにより、第2遮光部732は、第1反射面31のうち法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向に延びている部分の少なくとも一部を、覆っている。このため、第2遮光部732は、車両1の乗員側から第1反射面31に向かって入射する光を遮る。
【0058】
第1突起部211および第2突起部212は、
図14に示すように、第1実施形態と同様に形成されている。このため、第1突起部211および第2突起部212の詳細な説明は省略する。
【0059】
第3突起部213は、第1反射面31の中央付近から法線方向Dnに突出している。また、第3突起部213は、第3接触面223および第3接続面233を含む。第3接触面223は、法線方向Dnと直交しているとともに、第1遮光部731と第2遮光部732とが交差している部分と接触している。第3接続面233は、第3接触面223および第1反射面31と接続されている。
【0060】
第4突起部214は、
図15に示すように、入射面25側における第1反射面31から法線方向Dnに突出している。また、第4突起部214は、第4接触面224および第4接続面234を含む。第4接触面224は、法線方向Dnと直交しているとともに、第2遮光部732と接触している。第4接続面234は、第4接触面224および入射面25と接続されている。さらに、第4接続面234は、第4接続面234と第4接触面224と境界部から離れるにつれて第4突起長さHr4が小さくなる方向に傾斜しているとともに、第2遮光部732の端部と接触している。これにより、第4接続面234がない場合に第2遮光部732の端部が第4接触面224の角にのみ接触することが抑制される。このことから、第2遮光部732と第4接触面224とのみが接触する場合と比較して、第2遮光部732と第4突起部214との接触面積が大きくなる。このため、第2遮光部732が第4突起部214により支持されやすくなっている。なお、第4突起長さHr4は、法線方向Dnにおける第4突起部214の長さである。また、第4接続面234は、平面であるところ、これに限定されないで、例えば、曲面であってもよい。
【0061】
第5突起部215は、入射面25とは反対側における第1反射面31から法線方向Dnに突出している。また、第5突起部215は、第5接触面225および第5接続面235を含む。第5接触面225は、法線方向Dnと直交しているとともに、第2遮光部732と接触している。第5接続面235は、第5接触面225および入射面25とは反対側の面と接続されている。さらに、第5接続面235は、第5接続面235と第5接触面225と境界部から離れるにつれて第5突起長さHr5が小さくなる方向に傾斜しているとともに、第2遮光部732の端部と接触している。これにより、第5接続面235がない場合に第2遮光部732の端部が第5接触面225の角にのみ接触することが抑制される。このことから、第2遮光部732と第5接触面225とのみが接触する場合と比較して、第2遮光部732と第5突起部215との接触面積が大きくなる。このため、第2遮光部732が第5突起部215により支持されやすくなっている。したがって、第2遮光部732が第4突起部214および第5突起部215により支持されていることにより、第2遮光部732は、たわんでいる。これにより、第2遮光部732および第1反射面31の間に、法線方向Dnにおける長さが数百μmの空間50が形成されている。なお、第5突起長さHr5は、法線方向Dnにおける第5突起部215の長さである。また、第5接続面235は、平面であるところ、これに限定されないで、例えば、曲面であってもよい。
【0062】
以上のように、第4実施形態の光学部材10は、構成されている。第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第4実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0063】
[4-1]ここで、特許文献1に記載された死角補助装置では、比較用プリズムが上下方向に延びているとともに左右方向に複数配列されていることから、比較用プリズムの一部を覆う比較用遮光層も上下方向に延びているとともに左右方向に複数配列されている。このため、比較用遮光層が、例えば、黒色の樹脂で形成されており、視認者が死角補助装置を見ると、比較用遮光層は、上下方向に延びているとともに左右方向に複数配列された黒い筋に見える。
【0064】
また、ここで、視認者が景色を見るとき、視認者の両眼が、景色に眼の輻輳および調節を合わせると、死角補助装置上の黒い筋は、景色に対して左右の眼で異なる位置に重畳されることがある。このとき、死角補助装置を通して見える景色に対して、黒い筋の視野の比率が増すと、左右の眼の情報の不一致度が増す。その結果、視認者による筋に対する認識しやすさである誘目性が上昇する。これにより、死角補助装置に映る死角領域の光景に対する認識が低下するため、死角領域の光景の視認性が低下する。
【0065】
これに対して、本実施形態では、遮光層60がプリズム40のプリズム遮光面45を覆うとともに、プリズム40は、第1粗面201から第2粗面202に向かう方向に複数配列されている。また、プリズム40は、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向に複数配列されている。なお、第1粗面201から第2粗面202に向かう方向は、法線方向Dnと直交する一方向に対応する。また、法線方向Dnおよび第1粗面201から第2粗面202に向かう方向と直交する方向は、法線方向Dnおよび一方向と直交する方向に対応する。さらに、一方向は、法線方向Dnと交差する方向であってもよい。また、他方向は、法線方向Dnおよび一方向と交差する方向であってもよい。
【0066】
これにより、法線方向Dnから見たときの複数のプリズム40の総面積を一定とした場合に、一方向、例えば、左右方向におけるプリズム40の長さを大きくして他方、例えば、上下方向におけるプリズム40の長さを小さくすることができる。このため、プリズム40を覆う遮光層60による左右方向の筋の比率は、増加するところ、上下方向の筋の比率が低減される。視認者が顔を水平面内で回転させる限りは、左右の眼において、死角領域の景色に対する左右方向の筋の重畳位置が一致する。このため、プリズム40の総面積が一定で上下方向の筋しかない場合に比べて、黒い筋が強調されることが抑制されることから、誘目性が低下する。したがって、光学部材10に映る死角領域の光景に対する認識の低下が抑制される。
【0067】
[4-2]プリズム40が一方向および他方向に間隔を空けて複数配列されていることで、第1反射面31は、一方向および他方向に互いに隣り合うプリズム40同士の間に形成されている。また、遮光部材70は、第1遮光部731と、第2遮光部732と、を有する。第1遮光部731は、一方向に延びている。第2遮光部732は、他方向に延びているとともに第1遮光部731と交差している。さらに、導光体20は、第3突起部213を有する。第3突起部213は、第1反射面31の中央付近から法線方向Dnに突出していることにより、第1遮光部731と第2遮光部732とが交差している部分と接触している。これにより、第1遮光部731および第2遮光部732の両方が支持されることから、第1遮光部731および第2遮光部732が垂れにくくなっている。
【0068】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0069】
上記各実施形態では、プリズム40は、三角柱形状であるところ、三角柱形状であることに限定されないで、例えば、台形柱形状であってもよい。
【0070】
上記各実施形態では、遮光層60は、光吸収膜で形成されているところ、光吸収膜で形成されていることに限定されないで、光拡散材および再帰性反射材等で形成されてもよい。
【0071】
上記各実施形態では、第2反射面32は、第1反射面31と平行になっている。これに対して、第2反射面32は、第1反射面31と平行になっていることに限定されないで、光学部材10から視認者までの距離に応じて、第1反射面31と平行にならない形態であってもよい。
【0072】
上記各実施形態は、適宜組み合わされてもよい。
【0073】
(本発明の特徴)
[請求項1]死角領域からの外景光(Lo)が入射する入射面(25)と、前記入射面からの光を反射する第1反射面(31)と、前記第1反射面で反射された光を反射する第2反射面(32)と、前記第1反射面から前記第1反射面の法線方向(Dn)に突出しているとともに間隔を空けて複数配列されており前記入射面からの光および前記第2反射面で反射された光を外部に射出するプリズム(40)と、前記第1反射面から前記法線方向(Dn)に突出している突起部(211、212、213、214、215)と、を有する導光体(20)と、前記突起部と接触していることにより前記第1反射面との間で空間(50)を形成するとともに、前記第1反射面を覆うことで外部から前記第1反射面に入射する光を遮る遮光部材(70)と、を備える光学部材。
[請求項2]前記導光体は、前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている第1粗面(201)と、前記第1粗面とは反対側に位置しており、前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている第2粗面(202)と、をさらに有し、前記第1反射面および前記遮光部材は、前記第1粗面から前記第2粗面に向かう方向に延びており、前記突起部は、前記第1粗面から前記第2粗面に向かう方向における前記遮光部材の中心と接触している請求項1に記載の光学部材。
[請求項3]前記導光体は、前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている粗面(201、202)をさらに有し、前記突起部は、前記遮光部材と接触している接触面(221、222)と、前記接触面および前記粗面に接続されている接続面(231、232)と、を含む請求項1に記載の光学部材。
[請求項4]前記接続面は、前記接続面と前記接触面との境界部から離れるにつれて前記法線方向における前記突起部の長さ(Hr1、Hr2)が小さくなる方向に傾斜しているとともに、前記遮光部材と接触している請求項3に記載の光学部材。
[請求項5]前記導光体は、前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている第1粗面(201、202)と、前記第1粗面とは反対側に位置しており、前記入射面、前記第1反射面および前記第2反射面と交差して接続されている第2粗面(202)と、をさらに有し、前記プリズムは、前記第1反射面に接続されているとともに前記入射面からの光および前記第2反射面で反射された光を外部に射出する射出面(42)と、前記射出面および前記第1反射面に交差して接続されている非射出面(45)と、を含み、前記射出面と前記第1反射面との第1境界部(Pb)から、前記第1境界部の前記プリズムの隣に並ぶ前記プリズムの前記射出面と前記非射出面との第2境界部(Pt)までの前記法線方向における距離をHpとし、前記法線方向および前記第1粗面から前記第2粗面に向かう方向と直交する方向における前記第1境界部から前記第2境界部までの距離をWpとし、前記法線方向および前記第1粗面から前記第2粗面に向かう方向と直交する方向に延びる前記遮光部材の面の長さをWsとすると、前記導光体および前記遮光部材は、
【数3】
の関係式(1)を満たすように形成されている請求項1、3、4のいずれか1つに記載の光学部材。
[請求項6]前記光学部材は、前記プリズムの少なくとも一部を覆う遮光層(60)をさらに備え、前記プリズムは、前記法線方向と交差する一方向に複数配列されているとともに、前記法線方向および前記一方向と交差する他方向に複数配列されている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の光学部材。
[請求項7]前記プリズムは、前記一方向および前記他方向に間隔を空けて複数配列されており、前記第1反射面は、前記一方向および前記他方向に互いに隣り合う前記プリズム同士の間に形成されており、前記遮光部材は、前記一方向に延びている第1遮光部(731)と、前記他方向に延びているとともに前記第1遮光部と交差している第2遮光部(732)と、を有し、前記突起部は、前記第1遮光部と前記第2遮光部とが交差している部分と接触している請求項6に記載の光学部材。
【符号の説明】
【0074】
20 導光体
25 入射面
31 第1反射面
32 第2反射面
40 プリズム
70 遮光部材
211 第1突起部
212 第2突起部
213 第3突起部