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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159739
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】液体充填装置、及び、液体充填方法
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/00 20060101AFI20231025BHJP
   B65B 57/02 20060101ALI20231025BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B67C3/00 K
B67C3/00 Z
B65B57/02 A
B65B57/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069641
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 廉平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 三郎
(72)【発明者】
【氏名】嶺岸 潤
(72)【発明者】
【氏名】菅野 秀貴
【テーマコード(参考)】
3E079
【Fターム(参考)】
3E079AA02
3E079AA04
3E079AA06
3E079AB01
3E079AB02
3E079CC04
3E079FF03
3E079FG06
3E079GG02
(57)【要約】
【課題】スターホイールへの導入箇所における異常の発生の有無を踏まえて、液体充填を制御することが可能な液体充填装置、及び、液体充填方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る充填装置10は、回転駆動することによって容器20を搬送するスターホイール3Aと、スターホイール3Aに容器20を供給する容器供給ライン2と、容器供給ライン2を搬送される容器を検知する第1検知手段1Aと、スターホイール3Aによって搬送される容器20を検知する第2検知手段1Bと、第2検知手段1Bの下流側において、搬送される容器20に液体を充填する液体充填手段4と、第1検知手段1Aと第2検知手段1Bとの検知結果を、容器20の配列上における同位置のものどうしで比較し、液体充填の可否を判定する判定手段5と、判定手段5の結果に基づいて液体充填手段4による液体充填を制御する制御手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動することによって容器を搬送するスターホイールと、
前記スターホイールに容器を供給する容器供給ラインと、
前記容器供給ラインを搬送される容器を検知する第1検知手段と、
前記スターホイールによって搬送される容器を検知する第2検知手段と、
前記第2検知手段の下流側において、搬送される容器に液体を充填する液体充填手段と、
前記第1検知手段と前記第2検知手段との検知結果を、容器の配列上における同位置のものどうしで比較し、液体充填の可否を判定する判定手段と、
前記判定手段の結果に基づいて前記液体充填手段による液体充填を制御する制御手段と、
を備える液体充填装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記第1検知手段の検知結果が容器「有」であって、前記第2検知手段の検知結果が容器「有」の場合に、当該検知結果が得られた配列上の容器に液体充填を実施すると判定し、
前記第1検知手段の検知結果が容器「無」であって、前記第2検知手段の検知結果が容器「無」の場合、及び、前記第1検知手段の検知結果が容器「有」であって、前記第2検知手段の検知結果が容器「無」の場合に、当該検知結果が得られた配列上には容器がなく液体充填を実施しないと判定する請求項1に記載の液体充填装置。
【請求項3】
前記容器は、缶容器である請求項1又は請求項2に記載の液体充填装置。
【請求項4】
容器供給ラインを搬送される容器を検知する第1検知工程と、
前記容器供給ラインを搬送された後にスターホイールによって搬送される容器を検知する第2検知工程と、
前記第2検知工程の後において、搬送される容器に液体充填を行う液体充填工程と、
前記第1検知工程と前記第2検知工程とで得られた検知結果を、容器の配列上における同位置のものどうしで比較し、液体充填の可否を判定する判定工程と、
前記判定工程の結果に基づいて前記液体充填工程における液体充填を制御する制御工程と、
を含む液体充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に液体を充填する液体充填装置、及び、液体充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な飲料等の液体を容器に充填する液体充填装置について、研究開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、容器に液体を充填する液体充填手段と、液体が充填された容器を密閉する密閉手段と、前記液体充填手段の上流側において、容器を検知する上流検知手段と、前記密閉手段の下流側において、容器を検知する下流検知手段と、前記上流検知手段と前記下流検知手段との検知結果を、容器の配列上における同位置のものどうしで比較し、前記上流検知手段の検知結果が容器「有」であって前記下流検知手段の検知結果が容器「有」の場合、および、前記上流検知手段の検知結果が容器「無」であって前記下流検知手段の検知結果が容器「無」の場合、容器に異常の発生なしと判定し、前記上流検知手段の検知結果が容器「有」であって前記下流検知手段の検知結果が容器「無」の場合、容器に異常の発生ありと判定し、前記上流検知手段の検知結果が容器「無」であって前記下流検知手段の検知結果が容器「有」の場合、システム上の異常が発生していると判定する判定手段と、を備える充填装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6824647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る発明は、液体充填手段の上流側で容器の有無を検知し、かつ、液体充填手段の下流側で容器の有無を検知し、両方の検知結果に基づいて、異常の発生を判定する技術である。よって、特許文献1に係る技術によると、液体を充填する際に発生する容器の異常の発生(破瓶等)を正確に判定することができる。
【0006】
本発明者らは、液体を充填するライン(液体充填装置)上で発生する異常について詳細に検討したところ、特許文献1に係る発明では全く想定していなかった異常、具体的にはスターホイールへの導入箇所において容器が倒れたり引っ掛かったりするという異常の発生を確認した。
このようなスターホイールへの導入箇所における異常は、頻繁に発生するものではないが、液体充填装置によって処理される容器数は極めて膨大であることから、僅かな発生頻度であろうとも、異常の発生件数は無視してもよいレベルではない。そして、この異常の発生件数に応じて、下流側での容器への液体充填が適切に実施されない(容器が存在しないにもかかわらず、液体充填を行ってしまう)という件数も増加し、非常に多くの液体を亡失する結果を招いてしまう。
したがって、本発明者らは、スターホイールへの導入箇所における異常の発生を考慮して、液体充填を実施する必要があると考えた。
【0007】
そこで、本発明は、スターホイールへの導入箇所における異常の発生の有無を踏まえて、液体充填を制御することが可能な液体充填装置、及び、液体充填方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)回転駆動することによって容器を搬送するスターホイールと、前記スターホイールに容器を供給する容器供給ラインと、前記容器供給ラインを搬送される容器を検知する第1検知手段と、前記スターホイールによって搬送される容器を検知する第2検知手段と、前記第2検知手段の下流側において、搬送される容器に液体を充填する液体充填手段と、前記第1検知手段と前記第2検知手段との検知結果を、容器の配列上における同位置のものどうしで比較し、液体充填の可否を判定する判定手段と、前記判定手段の結果に基づいて前記液体充填手段による液体充填を制御する制御手段と、を備える液体充填装置。
(2)前記判定手段は、前記第1検知手段の検知結果が容器「有」であって、前記第2検知手段の検知結果が容器「有」の場合に、当該検知結果が得られた配列上の容器に液体充填を実施すると判定し、前記第1検知手段の検知結果が容器「無」であって、前記第2検知手段の検知結果が容器「無」の場合、及び、前記第1検知手段の検知結果が容器「有」であって、前記第2検知手段の検知結果が容器「無」の場合に、当該検知結果が得られた配列上には容器がなく液体充填を実施しないと判定する前記1に記載の液体充填装置。
(3)前記容器は、缶容器である前記1又は前記2に記載の液体充填装置。
(4)容器供給ラインを搬送される容器を検知する第1検知工程と、前記容器供給ラインを搬送された後にスターホイールによって搬送される容器を検知する第2検知工程と、前記第2検知工程の後において、搬送される容器に液体充填を行う液体充填工程と、前記第1検知工程と前記第2検知工程とで得られた検知結果を、容器の配列上における同位置のものどうしで比較し、液体充填の可否を判定する判定工程と、前記判定工程の結果に基づいて前記液体充填工程における液体充填を制御する制御工程と、を含む液体充填方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る液体充填装置は、第1検知手段と第2検知手段とを備えるとともに、検知結果を比較して判定する判定手段と制御手段とを備えることから、第1検知手段と第2検知手段との区間における異常の発生の有無(スターホイールへの導入箇所での異常の発生の有無)を踏まえて、液体充填を制御することができる。
【0010】
本発明に係る液体充填方法は、第1検知工程と第2検知工程とを含むとともに、検知結果を比較して判定する判定工程と制御工程とを含むことから、第1検知工程と第2検知工程との間における異常の発生の有無(スターホイールへの導入箇所での異常の発生の有無)を踏まえて、液体充填を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る液体充填装置の模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る液体充填装置の判定手段が取得するデータである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る液体充填装置、及び、液体充填方法を実施するための形態(実施形態)について、図を参照して説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、本実施形態の構成を概略的に示したものであり、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張したり、部材の一部の図示を省略したりしているものがある。
【0013】
[容器]
まず、本実施形態に係る液体充填装置、及び、液体充填方法に使用する容器について、図1を参照して説明する。
容器20は、液体を内部に収容する収容部と、収容部を密閉する密閉部(缶蓋、王冠、キャップ等)と、を備える器である。そして、容器20の形状、サイズ、材質などについては特に限定されない。
容器20としては、具体的には、金属製容器であるボトル缶、アルミ缶、スチール缶、ガラス製容器であるビール瓶、合成樹脂製容器であるペットボトル等が挙げられるが、スターホイールへの導入箇所で倒れたり、引っ掛かったりし易い缶容器を用いる場合に本発明の効果が顕著に現れる。
【0014】
[充填物]
次に、本実施形態に係る液体充填装置、及び、液体充填方法において、容器に充填する充填物(液体、ガス)について説明する。
【0015】
(液体)
充填物である液体は、特に限定されないものの、例えば、ビール、サワー、炭酸飲料、ソーダ水等の発泡性飲料、ワイン、焼酎、清酒、果汁飲料、茶、水、コーヒー等の非発泡性飲料、さらには、シャンプー、リンス、化粧水、乳液等の化粧品、消毒薬、試薬等、様々な液体が挙げられる。
そして、液体の温度も特に限定されず、ホットパック(熱間充填)の場合は、液温を90℃以上としてもよい。
【0016】
(ガス)
充填物であるガスとは、容器に充填させる液体の劣化防止(酸化防止)や、液体への酸素混入量を抑制するために、事前に容器内に充填させるガスであり、炭酸ガス、窒素ガス等の不活性ガスが挙げられる。
具体的には、容器に充填させる液体がビール等の発泡性飲料である場合、炭酸ガスを用いればよい。
【0017】
[本実施形態に係る液体充填装置の構成]
次に、本実施形態に係る液体充填装置について、図1を参照して説明する。
本実施形態に係る液体充填装置10とは、連続(又は断続)して搬送される容器20に対して液体を充填し、容器20を密閉するという一連の処理を連続的に行う装置である。
そして、液体充填装置10は、第1検知手段1Aと、第2検知手段1Bと、容器供給ライン2と、スターホイール3と、液体充填手段4と、判定手段5と、制御手段(図示せず)と、を備える。また、液体充填装置10は、ガス充填手段、密閉手段、等をさらに備えていてもよい。
【0018】
(検知手段)
検知手段1(1A、1B)とは、容器を検知する手段である。
そして、検知手段1は、容器の有無を確認できる構成であれば特に限定されず、光電センサ、レーザセンサ、超音波センサ等の非接触型のセンサであっても、接触型のセンサであってもよい。
そして、検知手段1によって得られた検知結果は、判定手段5に送信される。
【0019】
検知手段1は、スターホイール3Aへの導入箇所における異常の発生を検知するため、当該導入箇所の上流側と下流側に設置される。
具体的には、図1に示すように、容器供給ライン2を搬送される容器20を検知できるように第1検知手段1Aを設置し、スターホイール3Aによって搬送される容器20を検知できるように第2検知手段1Bを設置することで、容器供給ライン2とスターホイール3Aとの境界部分(スターホイールへの導入箇所)を2つの検知手段1A、1Bによって挟むように設置している。
【0020】
(容器供給ライン)
容器供給ライン2とは、後記するスターホイール3Aに容器20を供給するライン(供給路)である。つまり、容器供給ライン2は、スターホイール3A、3Bの上流側に位置し、容器20は、容器供給ライン2→スターホイール3A→スターホイール3Bという経路を搬送されることとなる。そして、容器供給ライン2上において、容器20は一列に整列した状態で連続的(又は断続的)に搬送される。
なお、容器供給ライン2は、従来公知の搬送用のコンベア(ベルトコンベア、ローラーコンベア等)であればよい。また、図示しないが、容器供給ライン2には、容器20を一列で適切に搬送できるように、容器20を左右方向(搬送方向と垂直となる方向)から押さえるようなガイドレールが設けられていてもよい。
【0021】
(スターホイール)
スターホイール3とは、回転駆動することによって容器20を搬送する器具である。
具体的には、図1に示すように、スターホイール3には、外周上に複数のガイドポケット3Pが等間隔で設けられており、スターホイール3が回転駆動することによって、ガイドポケット3Pに収まっている容器20を外周方向(スターホイール3Aは時計回り、スターホイール3Bは反時計回り)に搬送する。
なお、図示しないが、スターホイール3には、容器20が適切に外周方向に沿って搬送されるように、容器20をスターホイール3の中心方向に押さえるようなガイドレールが設けられていてもよい。また、図1では、スターホイール3を概略図として示しており、詳細な構造については、従来公知のスターホイールの構造であればよく特に限定されない。
【0022】
(液体充填手段)
液体充填手段4とは、容器に液体を充填する手段である。
液体充填手段4の構成は、液体を充填できる構成であれば特に限定されないものの、容器に液体を落下させるように充填する構成(グラビティー方式の構成)、容器内をガスで加圧しつつ、このガス圧を利用して液体に一定の圧力をかけながら充填する構成(カウンタープレッシャー方式の構成)、容器内を減圧し、この減圧によって容器に吸い込ませるように液体を充填する構成(バキューム方式の構成)等が挙げられる。
また、この液体充填手段4の構成は、例えば、シロップを充填した後、炭酸水を充填するというように、複数回に分けて液体(シロップ、炭酸水)を充填するという構成であってもよい。
なお、図1では、液体充填手段4は、スターホイール3Aの経路上に設置しているが、設置場所については第2検知手段1Bの下流側であれば特に限定されず、スターホイール3B、さらには、その後の搬送手段(図示せず)などに設置してもよい。
【0023】
(判定手段)
判定手段5とは、検知手段1(1A、1B)の検知結果を、容器20の配列上における同位置のものどうしで比較し、異常の発生を判定する手段である。
そして、判定手段5は、図2に示すように、各検知手段1(1A、1B)から送信された各検知結果(有、無)を、容器20の配列(P1、P2…)と組み合わせて記憶するとともに、当該配列の同位置の検知結果を比較し、液体充填の可否(ON/OFF)の判定を行う。
なお、判定手段5による詳細な判定の方法については、後記の液体充填方法において説明する。
【0024】
(制御手段)
制御手段(図示せず)は、判定手段5の判定の結果に基づいて、容器20への液体充填を制御する手段である。
具体的には、制御手段は、判定手段5から送信された判定結果(液体充填の可否(ON/OFF))に基づいて、液体充填手段4による液体充填を実施するか否か(作動/停止)を制御する。
【0025】
なお、前記した判定手段5、制御手段(図示せず)は、例えば、マイクロコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成される。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが判定や制御等の各種処理を実行するようになっている。
【0026】
(その他の手段:ガス充填手段)
ガス充填手段(図示せず)とは、容器にガスを充填する手段である。なお、ガス充填が必要な液体を対象とする場合に、液体充填手段4の上流側、又は、下流側に設ければよいが、必須の構成ではない。
ガス充填手段の構成は、ガスを充填できる構成であれば特に限定されないものの、容器を開口した状態で単に容器にガスを充填する構成(プレパージを行う構成)、容器を密閉した状態で容器内の空気を吸い出してガスを充填する構成(プリエヴァキュエーションを行う構成)等が挙げられる。
また、ガス充填手段2の構成は、前記した処理を複数回行う構成であってもよい。
【0027】
(その他の手段:密閉手段)
密閉手段(図示せず)とは、液体が充填された容器を密閉する手段である。
密閉手段4の構成は、容器を密閉できる構成であれば特に限定されないものの、瓶に王冠やマキシキャップを打栓する構成、ペットボトルにキャップをする構成、缶に缶蓋を巻き締めする構成等が挙げられる。
【0028】
(その他の手段:搬送手段)
液体充填装置10は、容器20がスターホイール3Bで搬送された後、さらに、別のスターホイールや搬送手段によって容器20を搬送させる構成としてもよい。
なお、搬送手段は、容器供給ライン2と同様、従来公知の搬送用のコンベア(ベルトコンベア、ローラーコンベア等)であればよい。
【0029】
[本実施形態に係る液体充填方法(液体充填装置の動作)]
次に、本実施形態に係る液体充填方法について、図1、2を参照して説明する。なお、前記した本実施形態に係る液体充填装置の動作も併せて説明する。
本実施形態に係る液体充填方法は、第1検知工程と、第2検知工程と、判定工程と、制御工程と、液体充填工程と、を含む。また、本実施形態に係る液体充填方法は、適宜、ガス充填工程、密閉工程を含んでもよい。
なお、液体充填工程は、第1検知工程と第2検知工程の検知結果に基づいて判定工程で判定された後に制御工程によって制御される工程であることから、厳密には、第1検知工程→第2検知工程→判定工程→制御工程→液体充填工程→密閉工程の順であり、適宜、液体充填工程の前後にガス充填工程が実施されることとなる。
以下、本実施形態に係る充填方法の各工程について説明する。
【0030】
(第1検知工程)
第1検知工程とは、容器供給ライン2を搬送される容器20の有無を検知する工程である。言い換えると、第1検知工程とは、スターホイール3Aに供給される前の容器20の有無を検知する工程である。
第1検知工程おいて、第1検知手段1Aが容器20の存在を検知した場合には、「有」との信号を判定手段5に送信し、容器20の存在を検知しなかった場合には、「無」との信号を判定手段5に送信する。
【0031】
(第2検知工程)
第2検知工程とは、スターホイール3Aを搬送される容器20の有無を検知する工程である。言い換えると、第2検知工程とは、スターホイール3Aに供給された後の容器20の有無を検知する工程である。
第2検知工程おいて、第2検知手段1Bが容器20の存在を検知した場合には、「有」との信号を判定手段5に送信し、容器20の存在を検知しなかった場合には、「無」との信号を判定手段5に送信する。
【0032】
(判定工程)
判定工程とは、第1検知工程、第2検知工程で得られた結果を、容器20の配列上における同位置のものどうしで比較し、液体充填の可否を判定する工程である。
判定工程では、第1検知手段1A、第2検知手段1Bから送信される検知結果を判定手段5が受信し、容器20の配列(P1、P2…)情報と組み合わせて記憶する。そして、判定手段5が、容器20の配列上における同位置の検知結果を比較して、液体充填の可否を判定する。
なお、各検知手段1A、1Bの所定の検知結果が、いずれの配列(P1、P2…)のものであるかを特定する方法については、特に限定されないものの、例えば、容器20の搬送速度、搬送開始位置から各検知手段1A、1Bまでの距離等によって特定する構成とすればよい。
【0033】
図2に示すように、配列P1での各検知手段の検知結果を比較すると、「無」(第1検知手段1Aの検知結果)→「無」(第2検知手段1Bの検知結果)であることから、判定手段5は、P1には容器20が存在せず「液体充填は停止(OFF)すべき」と判断する。
また、配列P2~P5、P7~P8での各検知手段の検知結果を比較すると、「有」(第1検知手段1Aの検知結果)→「有」(第2検知手段1Bの検知結果)であることから、判定手段5は、P2~P5、P7~P8には容器20が存在するため「液体充填は作動(ON)すべき」と判断する。
【0034】
一方、配列P6での各検知手段の検知結果を比較すると、「有」(第1検知手段1Aの検知結果)→「無」(第2検知手段1Bの検知結果)であることから、判定手段5は、P6には容器20が存在せず「液体充填は停止(OFF)すべき」と判断する。詳細には、P6では、両検知手段1A、1Bの間において倒缶などの異常が発生した結果、容器20が存在しないことから、判定手段5は「液体充填は停止(OFF)すべき」と判断する。
【0035】
(制御工程)
制御工程とは、判定工程の結果に基づいて、液体充填工程における液体の充填を制御する工程である。
具体的には、制御工程では、判定工程で「液体充填は作動(ON)すべき」との結果が得られた場合、液体充填工程での液体充填を「実施」(又は、実施を継続)させ、判定工程で「液体充填は停止(OFF)すべき」との結果が得られた場合、液体充填工程での液体充填を「停止」させる。
なお、制御工程では、例えば、制御手段(図示せず)から液体充填手段4に対し、作動信号(実施の継続信号)、又は、停止信号を送信することで液体充填手段4を制御すればよい。また、制御工程では、停止信号を送信する際に、容器20の搬送も併せて停止するように制御(例えば、容器供給ライン2や当該容器供給ライン2の上流側においてストッパー等によって搬送を停止)してもよい。
【0036】
(液体充填工程)
液体充填工程とは、第1検知工程と第2検知工程の後であって、搬送される容器20に対して液体を充填する工程である。
液体充填工程における充填方法は、特に限定されないものの、前記のとおり、容器に液体を落下させるように充填する方法、容器内をガスで加圧しつつ、このガス圧を利用して液体に一定の圧力をかけながら充填する方法、容器内を減圧し、この減圧によって容器に吸い込ませるように液体を充填する方法等が挙げられる。
なお、図1では、液体充填工程での液体充填は、スターホイール3Aを搬送される容器20に対して実施されているが、スターホイール3Bを搬送される容器20に対して実施してもよく、さらに後の搬送手段(図示せず)などを搬送される容器20に対して実施してもよい。
そして、液体充填工程において、容器20に一つずつ液体を充填してもよいが、複数の容器20を一組として同時に液体を充填してもよい。後者の場合では、当該複数の容器20のいずれか1つでも「液体充填は停止(OFF)すべき」との結果が得られた場合に、当該複数の容器20の一組に対して、液体充填を停止すればよい。また、液体充填工程において、所定の液体(例えば、シロップ)を充填した後に、別の液体(例えば、炭酸水)を充填してもよい。
【0037】
(その他の工程:ガス充填工程)
ガス充填工程とは、搬送される容器20にガスを充填する工程である。なお、ガス充填が必要な液体を対象とする場合に、液体充填工程の前、又は、液体充填工程の後に実施すればいが、必須の工程ではない。
ガス充填工程における充填方法は、特に限定されないものの、前記のとおり、容器を開口した状態で単に容器にガスを充填する方法、容器を密閉した状態で容器内の空気を吸い出してガスを充填する方法等が挙げられる。
なお、ガス充填工程において、容器20に一つずつガスを充填してもよいが、複数の容器20に同時にガスを充填してもよい。
【0038】
(その他の工程:密閉工程)
密閉工程は、液体充填後の容器20を密閉する工程である。
密閉工程における密閉方法は、特に限定されないものの、前記のとおり、瓶に王冠やマキシキャップを打栓する方法、ペットボトルにキャップをする方法、缶に缶蓋を巻き締めする方法等が挙げられる。
なお、密閉工程において、容器20を一つずつ密閉してもよいが、複数の容器20を同時に密閉してもよい。
【0039】
[本実施形態に係る液体充填装置、及び、液体充填方法の効果]
次に、本実施形態に係る液体充填装置、及び、液体充填方法の効果について、図1~2を参照して説明する。
【0040】
本実施形態に係る液体充填装置10は、第1検知手段1Aと第2検知手段1Bとを備えるとともに、検知結果を比較して判定する判定手段5と制御手段とを備えることから、第1検知手段1Aと第2検知手段1Bとの区間における異常の発生の有無(スターホイール3Aへの導入箇所での異常の発生の有無)を踏まえて、液体充填を制御することができる。つまり、本実施形態に係る液体充填装置10は、特許文献1では全く想定していなかったスターホイール3Aへの導入箇所での異常の発生の有無を考慮して、液体充填を適切に制御することができる。
その結果、本実施形態に係る液体充填装置10によると、スターホイール3Aの導入箇所において容器が倒れたり引っ掛かったりする異常の発生に伴う液体充填のミス(容器が存在しないにもかかわらず、液体充填を行ってしまうミス)を予防し、液体が大量に亡失するといった事態を回避(亡失量を抑制)することができる。
【0041】
本実施形態に係る液体充填方法は、第1検知工程と第2検知工程とを含むとともに、検知結果を比較して判定する判定工程と制御工程とを含むことから、第1検知工程と第2検知工程との間における異常の発生の有無(スターホイールへの導入箇所での異常の発生の有無)を踏まえて、液体充填を制御することができる。
【0042】
[本実施形態に係る液体充填装置、及び、液体充填方法の変形例]
本実施形態に係る液体充填装置10は、判定手段5において「液体充填の可否(ON/OFF)」を判定する構成について説明したが、以下のような判定を行ってもよい。
図2に示すように、配列P1での検知結果のような、「無」(第1検知手段1Aの検知結果)→「無」(第2検知手段1Bの検知結果)の検知結果の場合、判定手段5は、「異常なし」+「液体充填は停止(OFF)すべき」と判断する。
また、配列P2~P5、P7~P8での検知結果のような、「有」(第1検知手段1Aの検知結果)→「有」(第2検知手段1Bの検知結果)の検知結果の場合、判定手段5は、「異常なし」+「液体充填は作動(ON)すべき」と判断する。
一方、配列P6での検知結果のような、「有」(第1検知手段1Aの検知結果)→「無」(第2検知手段1Bの検知結果)の検知結果の場合、判定手段5は、「異常あり」+「液体充填は停止(OFF)すべき」と判断する。
つまり、この判定手段5は、「液体充填の可否(ON/OFF)」だけでなく、「異常の発生の有無」も判断する構成である。よって、例えば、判定手段5が、配列P6に基づく結果を得ることで「異常あり」+「液体充填は停止(OFF)すべき」と判定した場合に、制御手段は、液体充填手段4による液体充填を停止するだけではなく、液体充填装置10全体の稼働を停止(又は、容器20の搬送などを停止)し、当該異常から連鎖して発生してしまう別の異常の発生を予防することもできる。なお、この場合、制御手段は、異常の発生を知らせる警報システム(音、光)を作動させるように制御するといった構成としてもよい。
一方、配列P1での検知結果のような、「無」(第1検知手段1Aの検知結果)→「無」(第2検知手段1Bの検知結果)の検知結果の場合、判定手段5は、「異常なし」+「液体充填は停止(OFF)すべき」と判断することから、制御手段は、液体充填装置10全体の稼働を停止させることはなく、液体充填手段4による配列P1への液体充填のみを停止することができる。
つまり、この液体充填装置(変形例)によると、配列P1の結果が得られた場合と、配列6の結果が得られた場合とで、異なる制御を実施することができるため、極力、液体充填装置10全体の稼働を停止させることなく、液体充填を行うことが可能となる。
【0043】
本実施形態に係る液体充填装置10は、2つの検知手段1A、1Bを備える構成について説明したが、別途、検知手段を備えてもよい。
例えば、液体充填手段4の下流を搬送される容器20を検知する補助検知手段を設けるとともに、判定手段5において第2検知手段1Bの検知結果と補助検知手段の検知結果を比較して、液体充填手段4での異常の発生も判定する構成としてもよい。
また、密閉手段の下流を搬送される容器20を検知する補助検知手段を設けるとともに、判定手段5において第2検知手段1Bの検知結果と補助検知手段の検知結果を比較して、密閉手段(及び、液体充填手段4)での異常の発生も判定する構成としてもよい。
【0044】
第1検知手段1Aの検知結果が「無」であって、第2検知手段1Bの検知結果が「有」である場合、システム上の異常(検知手段の異常、配列情報と検知結果との組み合わせる際の異常等)が発生していると判定手段5が判定する構成になっていてもよい。
【0045】
図1に示す液体充填装置10のスターホイール3A、3Bのサイズ、容器供給ライン2の長さ、スターホイール3Bの下流の搬送手段(図示せず)の構成等は、設置場所のスペース等に合わせて設計すればよく、増設、減設、変形等を、適宜行ってもよい。
【0046】
なお、本実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0047】
1 検知手段(第1検知手段、第2検知手段)
1A 第1検知手段
1B 第2検知手段
2 容器供給ライン
3 スターホイール
3A 上流側のスターホイール
3B 下流側のスターホイール
4 液体充填手段
5 判定手段
10 液体充填装置
20 容器
図1
図2