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特開2023-159755コークス炉用プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159755
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】コークス炉用プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 29/06 20060101AFI20231025BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20231025BHJP
   F27D 1/16 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
C10B29/06
F27D1/00 K
F27D1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069662
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000170716
【氏名又は名称】黒崎播磨株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 寛直
(72)【発明者】
【氏名】境田 道隆
(72)【発明者】
【氏名】中村 宏
(72)【発明者】
【氏名】川野 健一
【テーマコード(参考)】
4K051
【Fターム(参考)】
4K051AA08
4K051AB03
4K051BD03
4K051BD07
(57)【要約】
【課題】開口溝を有するコークス炉用プレキャスト耐火ブロックとコークス炉の擁壁との間の隙間にモルタルを流し込んで目地を形成する際に、モルタルが開口溝に流れてしまうことを防止し、コークス炉用プレキャスト耐火ブロックと擁壁との間に目地をうまく形成することのできるコークス炉プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法を提供する。
【解決手段】鉛直方向に延びる開口溝7aを有するプレキャスト耐火ブロック7をコークス炉の擁壁5の炉内側壁面5aに隣接して設置する際に、開口溝7aが擁壁5の炉内側壁面5aを向きかつ擁壁5の炉内側壁面5aとの間に隙間W1を有するようにプレキャスト耐火ブロック7を設置する工程と、背板9を有するスポンジ8を、スポンジ8側を擁壁5の炉内側壁面5aに向けて開口溝7aに挿入する工程と、開口溝7aの内壁面と背板9との間にくさび10を挿入する工程と、隙間W1にモルタルを流し込む工程とを実施する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉の擁壁の炉内側壁面に隣接して設置されるコークス炉用プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法であって、
前記コークス炉用プレキャスト耐火ブロックは鉛直方向に延びる開口溝を有し、
前記開口溝が前記擁壁の炉内側壁面を向き、かつ前記擁壁の炉内側壁面との間に隙間を有するように前記コークス炉用プレキャスト耐火ブロックを設置する工程と、
背板を有するスポンジを、前記スポンジ側を前記擁壁の炉内側壁面に向けて前記開口溝に挿入する工程と、
前記開口溝の内壁面と前記背板との間にくさびを挿入する工程と、
前記擁壁の炉内側壁面と前記コークス炉用プレキャスト耐火ブロックとの間の前記隙間にモルタルを流し込む工程とを含む、コークス炉プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法。
【請求項2】
前記くさびは、当該くさびの先端部に向かうに連れて当該くさびの厚みが小さくなるように傾斜する傾斜面を有し、前記背板には前記傾斜面と面合する傾斜受け面が設けられており、
前記くさびを挿入する工程では、前記くさびの傾斜面が前記背板の傾斜受け面と面合するように当該くさびを挿入する、請求項1に記載のコークス炉プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉用プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室炉式コークス炉とも呼ばれるコークス炉においては、炭化室と燃焼室とが炉幅方向に交互に配置され、炭化室と燃焼室の上部には炉頂部、下部には蓄熱室が配列されている。そして、炉幅方向両端にコンクリート製の擁壁が設けられ、両擁壁間のれんが構築物を保持する機能を果たしている。
このようにコークス炉の擁壁はコンクリート製であり、コンクリートは耐熱性が低く高温に長時間さらされると劣化しやすいことから、擁壁とれんが構築物との間に空気が流通する空洞部として鉛直方向に延びるダクトが設けられることがある(例えば特許文献1)。
このダクトは、珪石れんがを一つ一つ手積みで積み上げて構築する手積み工法により設けられていた。しかし、手積み工法では、れんがとれんがの合わせ面に目地を形成するために、れんがにいちいちモルタルを塗布して積み上げる必要がある等の理由から、膨大な人数の熟練した築炉工が必要であり、近年では十分な人数の築炉工を確保することが困難となってきている。
【0003】
そこで近年、コークス炉を少人数で築炉するために、大型のプレキャスト耐火ブロックを設置することによりコークス炉を築炉する方法が採られることがある(例えば特許文献2)。この方法により上述のダクトを構築する場合、プレキャスト耐火ブロックには、予めダクトとなる開口溝が設けられる。そして、開口溝が擁壁の炉内側壁面を向き、かつ擁壁の炉内側壁面との間に隙間を有するようにコークス炉用プレキャスト耐火ブロックを設置し、その後、上記の隙間にモルタルを流し込む。
しかし、プレキャスト耐火ブロックには擁壁の炉内側壁面を向く開口溝があることから、上記の隙間にモルタルを流し込むと、そのモルタルが開口溝に流れてしまいプレキャスト耐火ブロックと擁壁との間に目地をうまく形成することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-187218号公報
【特許文献2】特開2020-8197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、開口溝を有するコークス炉用プレキャスト耐火ブロックとコークス炉の擁壁との間の隙間にモルタルを流し込んで目地を形成する際に、モルタルが開口溝に流れてしまうことを防止し、コークス炉用プレキャスト耐火ブロックと擁壁との間に目地をうまく形成することのできるコークス炉プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、次のコークス炉プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法が提供される。
コークス炉の擁壁の炉内側壁面に隣接して設置されるコークス炉用プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法であって、
前記コークス炉用プレキャスト耐火ブロックは鉛直方向に延びる開口溝を有し、
前記開口溝が前記擁壁の炉内側壁面を向き、かつ前記擁壁の炉内側壁面との間に隙間を有するように前記コークス炉用プレキャスト耐火ブロックを設置する工程と、
背板を有するスポンジを、前記スポンジ側を前記擁壁の炉内側壁面に向けて前記開口溝に挿入する工程と、
前記開口溝の内壁面と前記背板との間にくさびを挿入する工程と、
前記擁壁の炉内側壁面と前記コークス炉用プレキャスト耐火ブロックとの間の前記隙間にモルタルを流し込む工程とを含む、コークス炉プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコークス炉プレキャスト耐火ブロックのシール施工方法によれば、開口溝を有するコークス炉用プレキャスト耐火ブロックとコークス炉の擁壁との間の隙間にモルタルを流し込んで目地を形成する際に、モルタルが開口溝に流れてしまうことを防止でき、コークス炉用プレキャスト耐火ブロックと擁壁との間に目地をうまく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コークス炉の構造を概念的に示す斜視図。
図2A】コークス炉の擁壁及びバックステーの配列形態を概念的に示す斜視図。
図2B】コークス炉の擁壁及びバックステーの配列形態を概念的に示す概略平面図。
図3】コークス炉の擁壁の炉内側壁面に隣接して設置されるコークス炉用プレキャスト耐火ブロックの斜視図。
図4A】コークス炉の擁壁の炉内側壁面に隣接して、複数のプレキャスト耐火ブロックを炉長方向に配列した状態を示す斜視図。
図4B】コークス炉の擁壁の炉内側壁面に隣接して、複数のプレキャスト耐火ブロックを炉長方向に配列した状態を示す平面図。
図5A】プレキャスト耐火ブロックの開口溝に、背板を有するスポンジを挿入した状態を示す斜視図。
図5B】プレキャスト耐火ブロックの開口溝に、背板を有するスポンジを挿入した状態を示す平面図。
図6】背板を有するスポンジを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図。
図7】コークス炉用プレキャスト耐火ブロックの開口溝の内壁面と背板との間にくさびを挿入した状態を示す平面図。
図8】くさびを示し、(a)は正面図、(b)は側面図。
図9】コークス炉の擁壁の炉内側壁面とコークス炉用プレキャスト耐火ブロックの背面との間の隙間、コークス炉の炉長方向に配列されたコークス炉用プレキャスト耐火ブロックの側面どうしの間の隙間にモルタルを流し込んだ状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、コークス炉の構造を概念的に示している。また、図2A及び図2Bにはコークス炉の擁壁及びバックステーの配列形態を概念的に示している。
コークス炉Aにおいては、炭化室1と燃焼室2とが炉幅方向Xに交互に配置され、炭化室1と燃焼室2の上部には炉頂部3、下部には蓄熱室4が配列されている。そして炉幅方向X両端にコンクリート製の擁壁5が設けられ、両擁壁5,5間の耐火物構造物を保持する機能を果たしている。また、コークス炉Aの炉長方向Y両端の炉外側には、耐火物構造物に炉締力を付与するためのバックステー6a,6bが互いに対向するように設置されている。
【0010】
図3に擁壁5の炉内側壁面5aに隣接して設置されるコークス炉用プレキャスト耐火ブロックを斜視図で示している。また、図4A及び図4Bには、擁壁5の炉内側壁面5aに隣接して、複数のコークス炉用プレキャスト耐火ブロックを炉長方向Yに配列した状態を示している。
ここで、プレキャスト耐火ブロックとは、粒状の耐火物組成物に水を加えて混練し、型枠に流し込み、乾燥させることで得られる耐火ブロックである。コークス炉用プレキャスト耐火ブロックとしては代表的には溶融シリカ質プレキャスト耐火ブロック、粘土質プレキャストブロックを用いることができる。溶融シリカ質プレキャスト耐火ブロックは、耐火物組成物の原料配合において主原料として溶融シリカを配合して得られるプレキャスト耐火ブロックである。粘土質プレキャスト耐火ブロックは、耐火物組成物の原料配合において主原料としてシャモットを配合して得られるプレキャスト耐火ブロックである。
なお、以下の説明では、「コークス炉用プレキャスト耐火ブロック」のことを単に「プレキャスト耐火ブロック」という。
【0011】
図3に示しているようにプレキャスト耐火ブロック7は、擁壁5の炉内側壁面5aと対向することになる背面に、鉛直方向に延びる4条の開口溝7aを有する。ここで、開口溝とはプレキャスト耐火ブロックの背面に開口する溝のことをいう。また、鉛直方向とはコークス炉Aの方向でいえば炉高方向Zのことである。なお、プレキャスト耐火ブロック7は、吊り具で吊り上げて所定の設置位置まで移動させる際にその吊り具と連結する吊り環を装着するための装着穴7bを上面に有する。
【0012】
以下、図3に示しているプレキャスト耐火ブロック7をコークス炉Aの擁壁5の炉内側壁面5aに隣接して設置する場合を例として、本発明のプレキャスト耐火ブロックのシール施工方法の実施形態について説明する。
なお、図4A及び図4B並びに後述する図5A及び図5Bにおいて、コークス炉の炉長方向Yの一端側に設置されているプレキャスト耐火ブロック7は、開口溝7aの条数が2条であり図3とは異なるが、以下の説明では特に区別することなく、いずれもプレキャスト耐火ブロック7として説明する。
本実施形態において、開口溝7aはプレキャスト耐火ブロック7の一側面側に設けられている。言い換えると、プレキャスト耐火ブロック7の上端、下端及び一側面が開口している。また、開口溝7aはプレキャスト耐火ブロック7の上端から下端の全長に亘って連続している。
【0013】
まず、本実施形態では図4A及び図4Bに示しているように、開口溝7aが擁壁5の炉内側壁面5aを向き、かつ擁壁5の炉内側壁面5aとの間に隙間W1を有するように複数のプレキャスト耐火ブロック7を設置する工程を実施する。この工程において、複数のプレキャスト耐火ブロックは、炉長方向Yに隙間W2を介して配列される。
【0014】
次に、図5A及び図5Bに示しているように、背板9を有するスポンジ8を、スポンジ8側を擁壁5の炉内側壁面5aに向けて開口溝7aに挿入する工程を実施する。
ここで、スポンジ8及び背板9は、プレキャスト耐火ブロック7の開口溝7aの全長よりも長くなるように構成されている。また、スポンジ8は開口溝7aを構成するプレキャスト耐火ブロック7の内壁のうちコークス炉の炉長方向Yの二つの内壁に当接させている。これら二つの内壁とスポンジ8はプレキャスト耐火ブロック7の上端から下端までの全長に亘って当接している。
【0015】
図6に示しているようにスポンジ8は、背板9の背面に例えば接着剤によって接合されることで、背板9を有する構成となっている。スポンジ8自体は例えばポリウレタンフォームよりなり、背板9は例えばベニヤ板によりなるが、スポンジ8及び背板9の材質はこれらに限定されない。
一方、背板9の正面には、後述するくさびの傾斜面と面合する傾斜受け面9a-1を有するくさび受け板9aがビス9bにより取り付けられている。くさび受け板9aも例えばベニヤ板によりなる。なお、本実施形態では図5Aに示しているように、背板9のくさび受け板9aの上部及びスポンジ8の上部が、開口溝7aの上端から突出するように背板9を有するスポンジ8を挿入する。
【0016】
背板9を有するスポンジ8を開口溝7aに挿入する工程が終わったら、図7に示すように、開口溝7aの内壁面と背板9との間にくさび10を挿入する工程を実施する。なお、図7では図5Aに表れている養生テープ12を省略して示している。
図8に示しているようにくさび10は板状の形状を有し、その先端部に向かうに連れてくさび10の厚みが小さくなるように傾斜する傾斜面10aを正面側の全長に亘って有する。そして、くさび10を挿入するときは、傾斜面10aが、上述の背板9のくさび受け板9aの正面に形成されている傾斜受け面9a-1と面合するように挿入する。ここで、くさび10(傾斜面10a)の長さ及び幅は、くさび受け板9a(傾斜受け面9a-1)の長さ及び幅と同じであり、傾斜受け面9a-1は先端部に向かうに連れてくさび受け板9aの厚みが大きくなるように傾斜している。したがって、くさび10の傾斜面10aが背板9の傾斜受け面9a-1と面合するようにくさび10を挿入することで、くさび10の挿入によって、スポンジ8が擁壁5の炉内側壁面5aに向かって押圧されるくさび効果が背板9の全長に亘って確実かつ均等に得られる。ただし、背板9及びくさび10の形状は本実施形態の形状に限定されず、要するに開口溝7aの内壁面と背板9との間にくさび10を挿入したときに、スポンジ8に対してくさび効果を与える形状であればよい。
【0017】
くさび10を挿入する工程が終わったら、図9に示しているように、擁壁5の炉内側壁面5aとプレキャスト耐火ブロック7の背面との間の隙間W1、及び炉長方向Yに配列されたプレキャスト耐火ブロック7の側面どうしの間の隙間W2にモルタル11を流し込む工程を実施するが、この工程の前に、図5Aに示しているように隙間W1及び隙間W2からモルタルが流出しないようにするため適宜箇所を養生テープ12で養生する。その後、隙間W1及び隙間W2にモルタルを流し込んで目地を形成する。その際、図7及び図9に示しているように、開口溝7aの開口部と擁壁5の炉内側壁面5aとの間には、上述のくさび10によるくさび効果によって、スポンジ8が押圧されているので、モルタル11が開口溝7aに流れてしまうことを防止でき、プレキャスト耐火ブロック7と擁壁5との間に目地をうまく形成することができる。
【0018】
モルタル12が硬化したら、背板9を有するスポンジ8及びくさび10を開口溝7aから引き抜く。ここで、本実施形態では図6及び図8に表れているように、背板9に接続金具9cを設けると共にくさび10に接続金具10bを設け、接続金具9cと接続金具10bとを図示しない連結紐で連結することにより、背板9とくさび10とを連結紐で連結するようにしている。これにより、モルタル12の硬化後に背板9を有するスポンジ8及びくさび10を開口溝7aから引き抜く際に、例えばくさび10が開口溝7aに落下して回収できなくなる等の落下問題が起きることを防止できる。
【0019】
このようにして1段目のプレキャスト耐火ブロック7の設置施工が終わったら、2段目のプレキャスト耐火ブロック7の設置施工を行う。2段目のプレキャスト耐火ブロック7の設置施工は、1段目のプレキャスト耐火ブロック7の上面に同じ形状のプレキャスト耐火ブロック7を設置し、あとは1段目のプレキャスト耐火ブロック7の設置施工と同じ要領で設置施工を実施する。3段目以降のプレキャスト耐火ブロック7の設置施工も同様である。このようにして最上段のプレキャスト耐火ブロック7の設置施工が終わると、各段のプレキャスト耐火ブロック7の開口溝7aが鉛直方向に連通し、擁壁7とプレキャスト耐火ブロック7の構築物との間に空気が流通する空洞部として鉛直方向に延びるダクトが形成される。
【0020】
以上の通り本実施形態によれば、開口溝7aを有するプレキャスト耐火ブロック7とコークス炉の擁壁5との間の隙間W1にモルタル11を流し込んで目地を形成する際に、モルタル11が開口溝7aに流れてしまうことを防止し、プレキャスト耐火ブロック7と擁壁5との間に目地をうまく形成することができる。
また、本実施形態では、くさび10の傾斜面10aが背板9の傾斜受け面9a-1と面合するようにくさび10を挿入することから、くさび10の挿入によるくさび効果が背板9の全長に亘って確実かつ均等に得られる。
【符号の説明】
【0021】
A コークス炉
X 炉幅方向
Y 炉長方向
Z 炉高方法
W1,W2 隙間
1 炭化室
2 燃焼室
3 炉頂部
4 蓄熱室
5 擁壁
5a 擁壁の炉内側壁面
6a,6b バックステー
7 プレキャスト耐火ブロック
7a 開口溝
7b 装着穴
8 スポンジ
9 背板
9a くさび受け板
9a-1 傾斜受け面
9b ビス
9c 接続金具
10 くさび
10a 傾斜面
10b 接続金具
11 モルタル
12 養生テープ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9