(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159757
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】冷凍コンテナ
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20231025BHJP
F25D 3/10 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
F25D3/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069664
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
【テーマコード(参考)】
3L044
3L045
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA02
3L044CA04
3L044CA11
3L044DA02
3L044DD07
3L044KA04
3L044KA05
3L045AA04
3L045BA02
3L045CA03
3L045DA02
3L045KA11
3L045PA04
3L045PA05
(57)【要約】
【課題】液化ガスタンク内の液化ガスのガス化を抑制できる冷凍コンテナを提供する。
【解決手段】コンテナ本体の内部の気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナであって、コンテナ本体と、コンテナ本体の内部にそれぞれ設けられた吸込口及び吹出口を有する循環ラインと、循環ラインに設けられ、コンテナ本体の内部から吸込口を介して循環ラインに吸引された気体を圧縮するように構成された圧縮機と、循環ラインに設けられ、圧縮機において圧縮された気体を冷却するように構成された熱交換器と、循環ラインに設けられ、熱交換器で冷却された気体を膨張させるように構成された膨張機と、コンテナ本体の内部に収容され、液化ガスを貯留するように構成された液化ガスタンクと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ本体の内部の気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナであって、
前記コンテナ本体と、
前記コンテナ本体の内部にそれぞれ設けられた吸込口及び吹出口を有する循環ラインと、
前記循環ラインに設けられ、前記コンテナ本体の内部から前記吸込口を介して前記循環ラインに吸引された前記気体を圧縮するように構成された圧縮機と、
前記循環ラインに設けられ、前記圧縮機において圧縮された前記気体を冷却するように構成された熱交換器と、
前記循環ラインに設けられ、前記熱交換器で冷却された前記気体を膨張させるように構成された膨張機と、
前記コンテナ本体の内部に収容され、液化ガスを貯留するように構成された液化ガスタンクと、を備える、
冷凍コンテナ。
【請求項2】
前記循環ラインに設けられ、前記圧縮機において圧縮された前記気体から酸素を分離するように構成された酸素分離装置をさらに備える、
請求項1に記載の冷凍コンテナ。
【請求項3】
前記酸素分離装置は、中空糸状の膜を束ねた膜モジュールを有する、
請求項2に記載の冷凍コンテナ。
【請求項4】
前記循環ラインの前記圧縮機と前記熱交換器の間に設けられ、前記循環ラインを流れる前記気体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器をさらに備え、
前記酸素分離装置は、前記循環ラインの前記冷却器よりも下流側、且つ前記熱交換器よりも上流側に設けられた、
請求項3に記載の冷凍コンテナ。
【請求項5】
前記循環ラインは、
前記圧縮機において圧縮された前記気体を前記熱交換器に導くためのメインラインと、
前記メインラインに一端が接続され、前記メインラインの前記一端の接続位置よりも下流側に他端が接続されたバイパスラインと、を含み、
前記酸素分離装置は、前記バイパスラインに設けられた、
請求項2乃至4の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項6】
前記循環ラインは、
前記圧縮機において圧縮された前記気体を前記熱交換器に導くためのメインラインと、
前記メインラインに一端が接続され、前記循環ラインの前記圧縮機よりも上流側に他端が接続されたリサーキュレーションラインと、を含み、
前記酸素分離装置は、前記リサーキュレーションラインに設けられた、
請求項2乃至4の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項7】
前記酸素分離装置において前記気体から分離された前記酸素を貯留するように構成されたバッファタンクと、
前記酸素分離装置において前記気体から分離された前記酸素を前記バッファタンクに導くための、酸素回収ラインと、
前記バッファタンクに貯留された前記酸素を前記コンテナ本体の内部に戻すための酸素戻しラインと、をさらに備える、
請求項2乃至4の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項8】
前記循環ラインの前記圧縮機よりも上流側に一端が接続され、他端が大気に開放された空気吸引ラインをさらに備える、
請求項2乃至4の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項9】
前記循環ラインの前記圧縮機と前記熱交換器の間に設けられ、前記循環ラインを流れる前記気体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器と、
前記圧縮機において圧縮された前記気体を前記循環ラインの外部に排出するための気体排出ラインであって、前記循環ラインの前記冷却器よりも下流側、且つ前記熱交換器の上流側に一端が接続された気体排出ラインと、をさらに備える、
請求項8に記載の冷凍コンテナ。
【請求項10】
前記圧縮機、前記熱交換器及び前記膨張機の各々は、前記コンテナ本体の外側空間において、前記コンテナ本体の内側空間と前記外側空間とを仕切る隔壁に沿って配置された、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項11】
前記コンテナ本体の内部に設けられた排気口を有し、前記排気口を介して前記コンテナ本体の内部に存在する気体を前記コンテナ本体の外部に排出するためのリリーフラインをさらに備える、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項12】
前記液化ガスタンクの内部に設けられたボイルオフガス取込口を有し、前記ボイルオフガス取込口を介して前記液化ガスタンクにおいて気化した前記液化ガスであるボイルオフガスを前記コンテナ本体の外部に排出するためのボイルオフガスラインをさらに備える、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンテナ本体の内部の気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍コンテナは、庫内に収容される貨物等の物品を冷凍又は冷蔵する冷凍機能を備えたコンテナである。
【0003】
従来の冷凍コンテナには、作動流体を循環させるクローズドサイクルを有し、クローズドサイクルを循環する作動流体の蒸発と凝縮作用を用いる冷凍機が使用されることがある。冷凍コンテナが空気の構成濃度(例えば、酸素や二酸化炭素の濃度)を調整可能なCA(Controlled Atmosphere)コンテナの場合には、上記冷凍機とは別に、コンテナ庫内の空気を取り出して酸素を分離させる膜に送り込む流路や、空気圧縮機などの専用機器が必要となる(特許文献1参照)。
【0004】
液化天然ガスや液体水素などの極低温燃料(液化ガス)を輸送する際には、上記の冷凍コンテナではなく、極低温燃料を貯留するタンクコンテナによる輸送が行われることがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2635536号公報
【特許文献2】特開2007-46714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タンクコンテナに貯留された極低温燃料(液化ガス)は、大気との温度差によりガス化し、タンクコンテナの内部が高圧となるため、タンクコンテナの爆発を招く虞がある。このため、タンクコンテナの内部に生じたボイルオフガスをタンクコンテナの外部に放出したり、タンクコンテナの外部で燃焼させたりして、タンクコンテナの内圧を低下させることが行われる。これにより、タンクコンテナの輸送中又は待機中に、タンクコンテナ内の極低温燃料(液化ガス)が減少する虞がある。
【0007】
なお、仮に特許文献1に記載の冷凍コンテナに上記タンクコンテナのタンクを収容した場合には、以下の課題が想定される。特許文献1記載の冷凍コンテナでは、CAコンテナ専用の機器、冷凍機を構成する機器(蒸発器)、庫内空気を循環させるための機器(ファン及びモータ)が庫内に設けられるため、庫内の荷貨スペースが狭くなる。また、庫内に置かれる蒸発器(熱交換器)に付着した霜を除去するためにデフロスト運転をする必要があり、このため、庫内貨物の低温信頼性が低下するおそれがある。また、庫内にモータ等の発熱体が配置されるので、庫内に高温部が生じたり温度ムラが生じたりする。
【0008】
特許文献1記載の冷凍コンテナは、庫内の荷貨スペースが狭いので、庫内には収容できるタンクは、小型なものとなる。小型のタンクは、内容積に対する表面積が比較的小さいため、外部からの入熱によりタンク内の極低温燃料(液化ガス)が液化し易い、すなわち、タンク内の極低温燃料(液化ガス)のガス化リスクが大きいという課題がある。
【0009】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、液化ガスタンク内の液化ガスのガス化を抑制できる冷凍コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の少なくとも一実施形態に係る冷凍コンテナは、
コンテナ本体の内部の気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナであって、
前記コンテナ本体と、
前記コンテナ本体の内部にそれぞれ設けられた吸込口及び吹出口を有する循環ラインと、
前記循環ラインに設けられ、前記コンテナ本体の内部から前記吸込口を介して前記循環ラインに吸引された前記気体を圧縮するように構成された圧縮機と、
前記循環ラインに設けられ、前記圧縮機において圧縮された前記気体を冷却するように構成された熱交換器と、
前記循環ラインに設けられ、前記熱交換器で冷却された前記気体を膨張させるように構成された膨張機と、
前記コンテナ本体の内部に収容され、液化ガスを貯留するように構成された液化ガスタンクと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、液化ガスタンク内の液化ガスのガス化を抑制できる冷凍コンテナが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る冷凍コンテナの概略的な斜視図である。
【
図2】
図1に示される冷凍コンテナを別の方向から視た概略的な斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
【
図4】一実施形態に係る冷凍コンテナを
図2中の矢印Aで示す方向から視た図である。
【
図5】
図4に示される冷凍コンテナを
図2中の矢印Bで示す方向から視た図である。
【
図6】一実施形態に係る冷凍コンテナの分離装置の概略図である。
【
図7】一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
【
図8】一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
【
図9】一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
【
図10】一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
【
図11】一実施形態に係る冷凍コンテナの長手方向に直交する断面を概略的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0014】
(冷凍コンテナの構成)
図1は、一実施形態に係る冷凍コンテナ100の概略的な斜視図である。
図2は、
図1に示される冷凍コンテナ100を別の方向から視た概略的な斜視図である。
図2では、冷凍コンテナ100を構成する幾つかの壁を省略することで、冷凍コンテナ100の内部を示している。
【0015】
冷凍コンテナ100は、
図1及び
図2に示されるように、貨物などの物品を収容可能な内側空間2を有するコンテナ本体1を備える。冷凍コンテナ100は、コンテナ本体1の内部(すなわち、内側空間2)の空気などの気体を冷却可能に構成されている。コンテナ本体1は、内側空間2を形成する複数の壁4~9を有する。複数の壁4~9の各々により、コンテナ本体1の内側空間2と外側空間3とが仕切られる。複数の壁4~9は、天井壁4、底壁5、一対の短側壁6,7、及び、一対の長側壁8,9を含む。
【0016】
コンテナ本体1は、貨物などの輸送に用いられる輸送用コンテナであってもよい。コンテナ本体1は、10ftコンテナ、20ftコンテナ又は40ftコンテナなどの標準的な輸送コンテナであってもよい。
【0017】
図3は、一実施形態に係る冷凍コンテナ100の冷凍機(冷凍サイクル)の回路を模式的に示す図である。
図4は、一実施形態に係る冷凍コンテナ100を
図2中の矢印Aで示す方向(コンテナ本体1の長手方向)から視た図である。
図5は、
図4に示される冷凍コンテナ100を、コンテナ本体1の内部から
図2中の矢印Bで示す方向(
図4とは反対方向)から視た図である
【0018】
図2~
図5に示されるように、コンテナ本体1の内側空間2には、空気などの気体をコンテナ本体1の内部に吹き出すための吹出口16(開口)を含む吹出部14と、コンテナ本体1の内部の空気などの気体を吸い込むための吸込口20を含む吸込部18と、が設けられている。なお、
図3~
図5では吹出部14及び吸込部18の図示は省略している。
【0019】
(冷凍機)
図3~
図5に示されるように、冷凍コンテナ100は、上述の吸込口20及び吹出口16を有する循環ライン22と、圧縮機24と、熱交換器26と、膨張機28と、を備える。圧縮機24、熱交換器26及び膨張機28の各々は、循環ライン22に設けられる。循環ライン22、圧縮機24、熱交換器26及び膨張機28は、コンテナ本体1の内部の気体(庫内気体)を冷媒として使用する冷凍機(冷凍サイクル)30を構成する。冷凍コンテナ100は、冷凍機30により庫内気体の温度を調整可能である。
【0020】
循環ライン22は、吸込口20から吹出口16まで延びる通路であり、吸込口20を介してコンテナ本体1の内部から吸引された気体が流れるようになっている。圧縮機24は、コンテナ本体1の内部から吸込口20を介して循環ライン22に吸引された気体を圧縮するように構成される。圧縮機24を駆動させることで、コンテナ本体1の内部の気体が吸込口20を介して循環ライン22に吸引される。圧縮機24において圧縮された気体は、圧縮機24に導入される前よりも昇温昇圧され、高温高圧の気体となる。
【0021】
熱交換器26は、圧縮機24において圧縮された高温高圧の気体を冷却するように構成される。膨張機28は、熱交換器26において冷却された気体を膨張させるように構成される。膨張機28において膨張された低温の気体は、循環ライン22により吹出口16に導かれ、吹出口16を介して循環ライン22からコンテナ本体1の内部に吹き出されるようになっている。
【0022】
循環ライン22は、吸込口20から吸引された気体を圧縮機24に導くための吸引気体ライン22Aと、圧縮機24において圧縮された気体を膨張機28に導くための圧縮気体ライン22Bと、膨張機28において膨張された気体を吹出口16に導くための膨張気体ライン22Cと、を含む。
【0023】
(熱交換器)
熱交換器26は、吸引気体ライン22Aを流れる気体と圧縮気体ライン22Bを流れる気体との間で熱交換を行うように構成される。圧縮気体ライン22Bを流れる気体は、圧縮機24において圧縮されることで、吸引気体ライン22Aを流れる気体よりも高温となっている。熱交換器26における熱交換により、圧縮気体ライン22Bを流れる気体が、吸引気体ライン22Aを流れる気体により冷却されるとともに、吸引気体ライン22Aを流れる気体が、圧縮気体ライン22Bを流れる気体により加熱される。
【0024】
(冷却器)
冷凍コンテナ100は、
図3及び
図4に示されるように、循環ライン22の圧縮機24と熱交換器26の間に設けられた冷却器32をさらに備えていてもよい。冷却器32は、圧縮気体ライン22Bの熱交換器26よりも上流側に設けられ、圧縮気体ライン22B(循環ライン22)を流れる気体と、該気体よりも低温の冷却液(例えば、水)との間で熱交換を行うように構成される。冷却器32における熱交換により、圧縮気体ライン22Bを熱交換器26に向かって流れる気体が、冷却液により冷却される。熱交換器26には、冷却器32において冷却された気体が圧縮気体ライン22Bを通じて導入される。
【0025】
図3及び
図4に示される実施形態では、冷凍コンテナ100は、冷却液を循環させるための冷却液循環ライン34をさらに備える。冷却器32には、冷却液循環ライン34を介して冷却液が供給されるようになっている。具体的には、冷却液循環ライン34には、冷却液を冷却するための冷却装置36を構成するラジエータ38と、冷却液循環ライン34において冷却液を送るためのポンプ42と、が設けられている。冷却装置36は、ラジエータ38と、ラジエータ38を空冷するためのファン40と、を含む。冷却器32において圧縮気体ライン22Bを流れる気体との熱交換により温度が上昇した冷却液は、ポンプ42により冷却液循環ライン34に送られて、ラジエータ38を含む冷却装置36により冷却されるようになっている。冷却装置36により冷却された冷却液は、冷却液循環ライン34を介して冷却器32に供給される。
【0026】
(圧縮機、膨張機)
幾つかの実施形態では、膨張機28は、回転シャフト44を介して圧縮機24に連結されていてもよい。
図3及び
図4に示される実施形態では、圧縮機24及び膨張機28は、圧縮機24を駆動させるためのモータ46の出力シャフトである回転シャフト44を介して互いに同軸上に配置され、回転シャフト44にそれぞれ接続されている。モータ46は、図示しない電源(発電機等)から電流が供給されるようになっており、電源から供給された電流により駆動して回転シャフト44、圧縮機24及び膨張機28を駆動させるようになっている。膨張機28では、気体が膨張する際に発生する膨張エネルギーの一部が回収され、回収された膨張エネルギーによって圧縮機24の駆動が補助されるようになっている。
【0027】
図4に示されるように、吸引気体ライン22A、圧縮気体ライン22B及び膨張気体ライン22Cの各々は、配管によって形成される。なお、循環ライン22を形成する各配管は、複数の配管部分がフランジ等を介して接続されたものであってもよい。
【0028】
図4に示される実施形態では、吸引気体ライン22Aを形成する配管は、吸込口20と熱交換器26の入口との間に設けられる配管23Aと、熱交換器26の出口と圧縮機24との間に設けられる配管23Bと、を含む。圧縮気体ライン22Bを形成する配管は、圧縮機24の出口と冷却器32の入口との間に設けられる配管23Cと、冷却器32の出口と熱交換器26の入口との間に設けられる配管23Dと、熱交換器26の出口と膨張機28の入口との間に設けられる配管23Eと、を含む。膨張気体ライン22Cを形成する配管は、膨張機28の出口と吹出口16との間に設けられる配管23Fと、を含む。
【0029】
(分離装置)
図6は、一実施形態に係る冷凍コンテナ100の酸素分離装置50の概略図である。
図7~
図10の各々は、一実施形態に係る冷凍コンテナ100の冷凍機30の回路を模式的に示す図である。
幾つかの実施形態に係る冷凍コンテナ100は、
図3、
図4及び
図7~
図10に示されるように、上述したコンテナ本体1と、上述した循環ライン22と、上述した圧縮機24と、上述した熱交換器26と、上述した膨張機28と、コンテナ本体1の内部に収容され、液化ガスを貯留するように構成された液化ガスタンク110と、を備える。
【0030】
図1及び
図2に示される実施形態では、液化ガスタンク110は、その長手方向を軸方向する円筒状であり、その長手方向の両端が閉塞されている。液化ガスタンク110は、その長手方向がコンテナ本体1の長手方向に沿って配置される。液化ガスタンク110の内部には、液化ガスを貯留するための内部空間111(
図3参照)が形成されている。液化ガスタンク110の内部には、液化ガスが貯留される。
【0031】
液化ガスタンク110の内部に貯留される液化ガスの液化温度(又は沸点)は、水の液化温度(又は沸点)よりも低い。液化ガスは、液化ガスタンク110の内部において液状になっている。液化ガスタンク110の内部に貯留される液化ガスは、液化天然ガス(液化温度:約-163℃)や液体水素(液化温度:約-253℃)などの、液化した可燃性ガス(例えば、液体状態を維持するために極低温での貯蔵が必要な極低温燃料)であってもよいし、液化炭酸ガス(液化温度:約-76℃)や液体窒素(液化温度:約-196℃)などの、液化した不活性ガスであってもよい。
【0032】
冷凍機30により、コンテナ本体1の内部が冷却されることで、コンテナ本体1の内部に収容された液化ガスタンク110が保冷される。これにより、液化ガスタンク110内の液化ガスの温度が、液化ガスの液化温度以下に保たれるので、液化ガスのガス化が抑制される。
【0033】
上記の構成によれば、循環ライン22にそれぞれ設けられる圧縮機24、熱交換器26及び膨張機28を含み、コンテナ本体1の内部の気体(庫内気体)を冷媒として使用する冷凍機(冷凍サイクル)30が構築される。コンテナ本体1の内部の気体は、吹出口16での圧力と、吸込口20での圧力との差によって、吹出口16から吸込口20に至るまで自然循環するため、庫内気体を循環させるためのファンが不要である。このため、コンテナ本体1の内部にファン及びファンモータを設けることによる庫内温度上昇が生じない。よって、庫内温度を所期の温度に維持しやすい。また、コンテナ本体1の内部にファン及びファンモータが設けられないため、コンテナ内部の荷貨スペースを広く確保することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制可能であるとともに、庫内温度を安定的に維持することが可能な冷凍コンテナ100が得られる。
【0034】
上記の構成によれば、冷凍機30により庫内気体を保冷することで、コンテナの庫内に収容される液化ガスタンク110内の液化ガスのガス化を抑制できる。この場合には、液化ガスタンク110に取り付けられる断熱材として断熱効率が比較的高い高額な断熱材を使用しなくて良いので、液化ガスタンク110の製造コスト低減が図れる。また、上記の構成によれば、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制することで、液化ガスタンク110を内容積に対する表面積が比較的大きい大型なものにできるため、小型のタンクに比べて液化ガスタンク110内の液化ガスのガス化リスクを低減できる。
【0035】
幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ100は、
図1に示されるように、複数の壁4~9の各々と液化ガスタンク110との間にコンテナ本体1の内部の気体が流通可能な隙間が形成されるように、液化ガスタンク110を支持する少なくとも1つの支持部材(図示例では、支持脚)120をさらに備える。液化ガスタンク110は、少なくとも1つの支持部材120により、コンテナ本体1の内部において底壁5よりも上方に浮いた状態で支持されている。
【0036】
上記の構成によれば、複数の壁4~9の各々と液化ガスタンク110との間に形成された隙間にコンテナ本体1の内部の気体が流通することで、液化ガスタンク110を全体に亘って効果的に冷却できるので、液化ガスタンク110内の液化ガスのガス化を効果的に抑制できる。
【0037】
(酸素分離装置)
幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ100は、
図3、
図4及び
図7~
図10に示されるように、循環ライン22に設けられ、圧縮機24において圧縮された気体から酸素を分離するように構成された酸素分離装置50をさらに備える。
【0038】
図示される実施形態では、
図6に示されるように、酸素分離装置50は、中空糸状の膜を束ねた膜モジュール52と、膜モジュール52を収容するケーシング51を有する。ケーシング51には、ケーシング51の内部に圧縮機24において圧縮された気体を導入するための気体導入口54と、膜モジュール52において気体(例えば、空気)から分離されずに残ったガスである不分離ガス(例えば、窒素)を排出するための不分離ガス排出口56と、膜モジュール52において気体から分離されたガスである分離ガス(例えば、酸素、二酸化炭素、水分など)を排出するための分離ガス排出口58と、が形成されている。
【0039】
図示される実施形態では、酸素分離装置50は、膜分離法を用いて、すなわち、膜モジュール52に対する気体中の各成分の透過速度の差を利用して、気体からガス状の酸素を取り出すように構成される。具体的には、ガス状の酸素やガス状の二酸化炭素、水分等は、ガス状の窒素に比べて中空糸状の膜に対する透過速度が速い。気体導入口54を通じて膜モジュール52に気体(例えば、空気)を送り込むと、透過速度が速いガス状の酸素やガス状の二酸化炭素、水分等が中空糸状の膜を通り抜け、分離ガス排出口58を通じて酸素分離装置50の外部に排出される。また、透過速度が遅いガス状の窒素は、中空糸状の膜を通り抜けずに、不分離ガス排出口56を通じて酸素分離装置50の外部に排出される。
【0040】
なお、酸素分離装置50は、気体からガス状の酸素やガス状の酸素やガス状の二酸化炭素、水分等を完全に分離させなくてもよく、気体からガス状の酸素やガス状の酸素やガス状の二酸化炭素、水分等の一部を取り出すように構成されていればよい。つまり、不分離ガス排出口56を通じて酸素分離装置50の外部に排出される気体は、ガス状の酸素やガス状の二酸化炭素を含んでいてもよい。
【0041】
図4に示される実施形態では、上述した配管23Dは、冷却器32の出口と酸素分離装置50の入口である気体導入口54との間に設けられる配管23Gと、酸素分離装置50の出口である不分離ガス排出口56と熱交換器26の入口との間に設けられる配管23Hと、を含む。冷却器32にて冷却された気体が配管23Gを介して酸素分離装置50に導かれる。酸素分離装置50にて酸素等が分離された気体が、配管23Hを介して熱交換器26に導かれる。これにより、コンテナ本体1の内部に戻される気体は、酸素分離装置50にて酸素等が分離されたものとなる。
【0042】
上記の構成によれば、酸素分離装置50において、冷凍機30に取り込んだ気体から酸素を分離することで、コンテナ本体1の内部の気体に含まれる酸素の濃度を減らす濃度調整を実行できる。冷凍コンテナ100は、上記濃度調整を実行することで、庫内気体の構成濃度(例えば、酸素や二酸化炭素の濃度)を調整可能である。コンテナ本体1の内部の気体の酸素濃度を減らすことで、可燃性のガスによる火災や爆発を抑制できる。これにより、仮に液化ガスタンク110から可燃性のガスを液化させた液化ガスが漏洩しても、該液化ガスによる火災や爆発を抑制できる。冷凍機30や酸素分離装置50を含む冷凍コンテナ100は、液化ガスタンク110の輸送用や保管用等のコンテナとして好適に使用可能である。また、庫内気体を冷媒として使用する冷凍機30は、冷凍機30を流れる気体の流量が大きなものとなる。このため、冷凍機30に設けられた酸素分離装置50は、酸素分離装置50に導入される気体の流量が大きなものであるため、酸素の濃度を減らす濃度調整の速度を増加させることができる。
【0043】
また、上記の構成によれば、冷凍機30が酸素分離装置50の兼用設備として、コンテナ本体1の内部から酸素分離装置50への気体の導入や、酸素分離装置50からコンテナ本体1の内部への気体の排出を行うことができるため、冷凍コンテナ100のコンパクト化や軽量化が図れる。
【0044】
なお、冷凍機30が酸素分離装置50の兼用設備でない場合には、コンテナ本体1の内部から酸素分離装置50への気体の導入や、酸素分離装置50からコンテナ本体1の内部への気体の排出を行うための、専用の配管や機器を必要となる。このため、冷凍コンテナ100のコンパクト化や軽量化が困難となる虞がある。また、上記専用の配管や機器を単に小さくすると、酸素分離装置50への気体の流量が減少するため、酸素分離装置50への気体の流量の減少分を補うために、モータ46の消費電力を増加させる必要がある。
【0045】
上記の構成によれば、膜モジュール52を有する酸素分離装置50は、膜モジュール52に対する気体中の各ガス成分の透過速度の差を利用して、気体からガス状の酸素やガス状の二酸化炭素、水分等を取り出すことができる。よって、上記の構成によれば、コンテナ本体1の内部に窒素を充填させることで、可燃性のガスによる火災や爆発を抑制できる。
【0046】
液化ガスタンク110の内部に貯留される液化ガスが、液化天然ガスや液体水素などの液化した可燃性ガスである場合には、冷凍コンテナ100は、酸素分離装置50を備えることが好ましい。液化ガスタンク110の内部に貯留される液化ガスが、液化炭酸ガスや液体窒素などの液化した不活性ガスである場合には、冷凍コンテナ100は、酸素分離装置50を備えていなくてもよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、上述した酸素分離装置50は、
図3、
図4、
図7~
図10に示されるように、循環ライン22の冷却器32よりも下流側、且つ熱交換器26よりも上流側に設けられることが好ましい。この場合には、酸素分離装置50には、冷却器32において冷却された気体が導入されるようになっている。
【0048】
圧縮機24において圧縮された気体は、圧縮機24の運転条件によっては、100℃程度の高温になることがあり、高温の気体が膜モジュール52を有する酸素分離装置50に導入されると、膜モジュール52が損傷する虞がある。上記の構成によれば、膜モジュール52を有する酸素分離装置50に導入される気体を、冷却器32において予め冷却することで、膜モジュール52の熱による損傷を抑制できるため、酸素分離装置50を安全に運用可能となる。
【0049】
なお、上述した酸素分離装置50は、循環ライン22の圧縮機24よりも下流側、且つ冷却器32よりも上流側に設けてもよい。
【0050】
(バイパスライン)
幾つかの実施形態では、
図7及び
図9に示されるように、上述した循環ライン22は、圧縮機24において圧縮された気体を熱交換器26に導くためのメインライン64と、メインライン64に一端が接続され、メインライン64の一端の接続位置P1よりも下流側に他端が接続されたバイパスライン66と、を含む。上述した酸素分離装置50は、バイパスライン66に設けられている。
【0051】
図7及び
図9に示される実施形態では、メインライン64は、圧縮気体ライン22Bの一部を構成する。メインライン64は、冷却器32の出口にその一端が接続され、熱交換器26の入口にその他端が接続されている。バイパスライン66は、メインライン64の接続位置P1にその一端が接続され、メインライン64の接続位置P1よりも下流側(熱交換器26側)に位置する接続位置P2にその他端が接続されている。
【0052】
図7及び
図9に示される実施形態では、冷凍コンテナ100は、メインライン64における、バイパスライン66の一端の接続位置P1とバイパスライン66の他端の接続位置P2の間に設けられた第1の気体流量調整弁68と、バイパスライン66に設けられた第2の気体流量調整弁70と、を備える。気体流量調整弁68、70の各々は、不図示の弁体の開度を変更することで、該気体流量調整弁68、70よりも下流側に導かれる気体の流量を調整可能に構成される。
【0053】
上記の構成によれば、バイパスライン66に設けられた酸素分離装置50に導入される気体の流量の調整が容易となる。これにより、コンテナ本体1の内部の気体に含まれる酸素の濃度を減らす濃度調整の制御性を向上させることができ、ひいては庫内気体の構成濃度調整の制御性を向上させることができる。
【0054】
(リサーキュレーションライン)
幾つかの実施形態では、
図8及び
図10に示されるように、上述した循環ライン22は、圧縮機24において圧縮された気体を熱交換器26に導くためのメインライン64と、メインライン64に一端が接続され、循環ライン22の圧縮機24よりも上流側に他端が接続されたリサーキュレーションライン72と、を含む。上述した酸素分離装置50は、リサーキュレーションライン72に設けられている。
【0055】
図8及び
図10に示される実施形態では、メインライン64は、冷却器32の出口にその一端が接続され、熱交換器26の入口にその他端が接続されている。リサーキュレーションライン72は、メインライン64の接続位置P3にその一端が接続され、吸引気体ライン22A(循環ライン22)における熱交換器26と圧縮機24との間に位置する接続位置P4にその他端が接続されている。
【0056】
図8及び
図10に示される実施形態では、冷凍コンテナ100は、リサーキュレーションライン72に設けられた第3の気体流量調整弁74と、メインライン64における、リサーキュレーションライン72の一端の接続位置P3よりも下流側(熱交換器26側)に設けられた第4の気体流量調整弁76と、を備える。気体流量調整弁74、76の各々は、不図示の弁体の開度を変更することで、該気体流量調整弁74、76よりも下流側に導かれる気体の流量を調整可能に構成される。
【0057】
第4の気体流量調整弁76を閉じて、第3の気体流量調整弁74を開くことで形成される、リサーキュレーションライン72を含む閉回路を気体が繰り返し循環することで、酸素分離装置50に複数回に亘り気体が導入されるようになっている。
【0058】
上記の構成によれば、リサーキュレーションライン72に設けられた酸素分離装置50に導入される気体の流量の調整が容易となる。これにより、コンテナ本体1の内部の気体に含まれる酸素の濃度を減らす濃度調整の制御性を向上させることができ、ひいては庫内気体の構成濃度調整の制御性を向上させることができる。また、酸素分離装置50をリサーキュレーションライン72に設けることで、上記バイパスライン66を設けなくてよいので、冷凍コンテナ100のコンパクト化や軽量化が図れる。
【0059】
(酸素排出ライン)
幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ100は、
図3、
図7及び
図8に示されるように、上述した酸素分離装置50において気体から分離された酸素を排出するための酸素排出ライン60をさらに備える。酸素分離装置50において気体から分離された酸素は、酸素排出ライン60を介してコンテナ本体1の外部(外側空間3)に排出されるようになっている。
【0060】
酸素排出ライン60は、配管によって形成される。図示される実施形態では、酸素排出ライン60は、酸素分離装置50の分離ガス排出口58にその一端が接続され、その他端が大気に開放(外側空間3に連通)されている。冷凍コンテナ100は、酸素排出ライン60に設けられた酸素排出量調整弁62を備える。酸素排出量調整弁62は、不図示の弁体の開度を変更することで、該酸素排出量調整弁62よりも下流側(他端側)に導かれる酸素の流量を調整可能に構成される。
【0061】
(バッファタンク)
幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ100は、
図9及び
図10に示されるように、酸素分離装置50において気体から分離された酸素(分離ガス)を貯留するように構成されたバッファタンク61と、酸素分離装置50において気体から分離された酸素をバッファタンク61に導くための、酸素回収ライン60Aと、バッファタンク61に貯留された酸素をコンテナ本体1の内部に戻すための酸素戻しライン63と、をさらに備える。
【0062】
酸素回収ライン60A及び酸素戻しライン63の各々は、配管によって形成される。図示される実施形態では、酸素回収ライン60Aは、膜モジュール52を有する酸素分離装置50の分離ガス排出口58にその一端が接続され、バッファタンク61にその他端が接続されている。酸素戻しライン63は、バッファタンク61にその一端が接続され、吸引気体ライン22A(循環ライン22)における熱交換器26と圧縮機24との間にその他端が接続されている。冷凍コンテナ100は、酸素戻しライン63に設けられた酸素戻し量調整弁65を備える。酸素戻し量調整弁65は、不図示の弁体の開度を変更することで、該酸素戻し量調整弁65よりも下流側(他端側)に導かれる酸素の流量を調整可能に構成される。
【0063】
上記の構成によれば、酸素回収ライン60Aを介して酸素分離装置50において気体から分離された酸素(分離ガス)をバッファタンク61に貯留でき、酸素戻しライン63を介してバッファタンク61に貯留した酸素をコンテナ本体1の内部に戻すことができる。これにより、コンテナ本体1の内部の気体に含まれる酸素の濃度を増やす濃度調整を迅速に実行可能である。例えば、コンテナ本体1の内部に人が侵入する場合には、酸欠を防止するために内側空間2の酸素濃度を所定濃度以上にする必要があるので、コンテナ本体1の内部の気体に含まれる酸素の濃度を増やす濃度調整が必要となる。
【0064】
(空気吸引ライン)
幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ100は、
図9及び
図10に示されるように、循環ライン22の圧縮機24よりも上流側に一端が接続され、他端が大気に開放(外側空間3に連通)された空気吸引ライン78を備える。
【0065】
空気吸引ライン78は、配管によって形成される。図示される実施形態では、空気吸引ライン78は、吸引気体ライン22A(循環ライン22)における熱交換器26と圧縮機24との間にその一端が接続されている。圧縮機24を駆動させることで、空気吸引ライン78を介してコンテナ本体1の外部(外側空間3)から吸引気体ライン22Aに空気が吸引される。冷凍コンテナ100は、空気吸引ライン78に設けられた空気吸引量調整弁80を備える。空気吸引量調整弁80は、不図示の弁体の開度を変更することで、該空気吸引量調整弁80よりも下流側(一端側)に導かれる空気の流量を調整可能に構成される。
【0066】
上記の構成によれば、冷凍機30により、コンテナ本体1の内部の気体が吸い込まれ、該気体から酸素などの成分の一部が取り除かれた気体がコンテナ本体1の内部に戻される。これが繰り返されてコンテナ本体1の内部が負圧になると、コンテナ本体1の外部から空気が流入する虞がある。コンテナ本体1の外部から空気が流入すると、該空気の熱によりコンテナ本体1の内部が昇温される虞もある。上記の構成によれば、空気吸引ライン78を介して空気を循環ライン22に取り込み、該空気から酸素を分離した気体をコンテナ本体1の内部に導入することで、コンテナ本体1の内部を陽圧にすることができる。コンテナ本体1の内部を陽圧にすることで、コンテナ本体1の外部からの空気の流入を阻止できる。
【0067】
幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ100は、
図9及び
図10に示されるように、上述した空気吸引ライン78と、圧縮機24において圧縮された気体を循環ライン22の外部に排出するための気体排出ライン82と、を備える。
【0068】
気体排出ライン82は、配管によって形成される。図示される実施形態では、気体排出ライン82は、循環ライン22の冷却器32よりも下流側、且つ熱交換器26の上流側にその一端が接続され、その他端が大気に開放(外側空間3に連通)されている。圧縮機24を駆動させることで、気体排出ライン82の一端と他端との間に生じる圧力差により、気体排出ライン82を介して循環ライン22からコンテナ本体1の外部(外側空間3)に気体が排出される。冷凍コンテナ100は、気体排出ライン82に設けられた気体排出量調整弁84を備える。気体排出量調整弁84は、不図示の弁体の開度を変更することで、該気体排出量調整弁84よりも下流側(他端側)に導かれる気体の流量を調整可能に構成される。
【0069】
上記の構成によれば、気体排出ライン82を介して循環ライン22の外部への排気を行うことで、コンテナ本体1の内部の圧力を下げる圧力制御が可能となる。これにより、コンテナ本体1の内部の圧力を増加させずに、コンテナ本体1の内部の上記濃度調整を実行できる。
【0070】
(冷凍機を構成する機器の配置)
幾つかの実施形態では、
図1及び
図4に示されるように、循環ライン22にそれぞれ設けられる、圧縮機24、冷却器32、熱交換器26、膨張機28及び酸素分離装置50の各々は、コンテナ本体1の外側空間3において、コンテナ本体1の内側空間2と外側空間3とを仕切る隔壁10に沿って配置されている。
【0071】
図示される実施形態では、循環ライン22に設けられる上述の機器は、隔壁10としての短側壁7に沿って配置されている。なお、
図1においては、循環ライン22に設けられる上述の機器のうち幾つかが、二点鎖線で模式的に示されている。
【0072】
図1及び
図4に示されるように、上述した冷凍コンテナ100は、コンテナ本体1の外側空間3に設けられる上述の機器を上方、下方及び側方から囲うように設けられるカバー12を備えていてもよい。
【0073】
なお、
図4及び
図5に示されるように、吸込口20と熱交換器26との間の配管23Aは、短側壁7(隔壁10)に設けられた貫通孔25を挿通するように設けられてもよい。また、膨張機28と吹出口16との間の配管23Fは、短側壁7(隔壁10)に設けられた貫通孔27を挿通するように設けられてもよい。
【0074】
上記の構成によれば、圧縮機24、冷却器32、熱交換器26、膨張機28及び酸素分離装置50の各々が、コンテナ本体1の外側空間3に設置される。すなわち、これらの機器がコンテナ本体1の内側空間2に設けられないため、コンテナ内部の荷貨スペースを広く確保することができる。また、上記の構成では、コンテナ本体1の内側空間2に蒸発器等の熱交換器を設ける必要がないため、このような熱交換器の除霜をするためのデフロスト運転をする必要がない。よって、庫内温度を所期の温度に維持しやすい。また、上記の構成では、コンテナ本体1の外側空間3にて隔壁10に沿った比較的狭いスペースに冷凍機30を構成する機器や酸素分離装置50が配置される。このように、コンテナ本体1に付加する冷凍機30や酸素分離装置50の設置領域が小さいため、冷凍機30や酸素分離装置50を含む冷凍コンテナ100を液化ガスタンク110の輸送用や保管用のコンテナとして好適に使用可能である。
【0075】
幾つかの実施形態では、上述した熱交換器26又は冷却器32の少なくとも一方は、プレート式熱交換器又はマイクロチャネル熱交換器を含んでもよい。プレート式熱交換器又はマイクロチャネル熱交換器は、アルミニウム又はチタンを含む材料から形成されたものであってもよい。
【0076】
幾つかの実施形態では、吸込口20には、
図5に示されるような、異物を除去するためのフィルタ部21が設けられる。フィルタ部21は、複数の孔又はメッシュを有する部材等を含み、これらの孔やメッシュ等により形成される複数の開口を有する。
【0077】
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、コンテナ本体1の外側にて圧縮機24、冷却器32、熱交換器26、膨張機28、及び酸素分離装置50が設置される領域と、コンテナ本体1の内側空間2とを仕切る隔壁10(
図1に示す例ではコンテナ本体1の短側壁7)は、コンテナ本体1の長手方向に直交する平面に沿って延在する。
【0078】
上述の実施形態では、コンテナ本体1の長手方向に直交する平面に沿って延在する比較的小さい壁である隔壁10(短側壁7)に沿った比較的狭いスペースに冷凍機30を構成する機器(圧縮機24、熱交換器26、膨張機28)や酸素分離装置50が配置される。このため、コンテナ本体1に付加する冷凍機30や酸素分離装置50の設置領域を小さくすることができ、該冷凍機30や酸素分離装置50を含む冷凍コンテナ100を液化ガスタンク110の輸送用や保管用のコンテナとして好適に使用可能である。
【0079】
一実施形態では、圧縮機24、冷却器32、熱交換器26、膨張機28、及び酸素分離装置50は、外側空間3にて、コンテナ本体1の長手方向における隔壁10からの長さL1が、コンテナ本体1の長さL0の1/10以下の範囲内に配置されてもよい(
図1参照)。
【0080】
この場合、冷凍機30を構成する機器や酸素分離装置50の設置領域が、コンテナ本体1の長さL0の1/10以下の範囲内である。よって、コンテナ本体1に付加する冷凍機30や酸素分離装置50の設置領域が小さいため、該冷凍機30や酸素分離装置50を含む冷凍コンテナ100を液化ガスタンク110の輸送用や保管用のコンテナとして好適に使用可能である。
【0081】
例えばコンテナ本体1が20ftコンテナ(長さL0:約6.1m、幅W0:約2.4m、高さH0:約2.6m)の場合、上述の設置領域の長さ(L1)が、610mm以下であってもよい。
【0082】
図11は、一実施形態に係る冷凍コンテナの長手方向に直交する断面を概略的に示す概略断面図である。幾つかの実施形態では、
図11に示されるように、上述した冷凍コンテナ100は、コンテナ本体1の内部に設けられた排気口131を有し、排気口131を介してコンテナ本体1の内部に存在する気体をコンテナ本体1の外部に排出するためのリリーフライン130をさらに備える。
【0083】
排気口131は、コンテナ本体1の内側空間2における液化ガスタンク110の外部に設けられて、内側空間2とリリーフライン130の内部とを連通させる。リリーフライン130は、コンテナ本体1の外側空間3に設けられて、外側空間3とリリーフライン130の内部とを連通させる外側開口132をさらに有する。外側開口132は、カバー12の外部において大気に開放(外側空間3に連通)されている。リリーフライン130は、その一端に設けられた排気口131から、その他端に設けられた外側開口132まで延びる通路であり、排気口131を介してコンテナ本体1の内部から導入された気体が流れるようになっている。
【0084】
リリーフライン130は、配管によって形成される。
図11に示されるように、リリーフライン130は、天井壁4(隔壁10)に設けられた貫通孔29を挿通するように設けられてもよい。リリーフライン130の一端(排気口131)と他端(外側開口132)との間に生じる圧力差により、リリーフライン130を介してコンテナ本体1の内側空間2からコンテナ本体1の外部(外側空間3)に気体が排出される。なお、空気吸引ライン78を介して空気を循環ライン22に取り込むことでコンテナ本体1の内部を陽圧にするような場合だけでなく、液化ガスタンク110内の液化ガスがコンテナ本体1の内側空間2に漏洩した場合にも、内側空間2の圧力が高まり、外側空間3よりも高圧になる。これらの場合に、リリーフライン130を介したコンテナ本体1の内部からの排気が可能となる。
【0085】
図11に示されるように、冷凍コンテナ100は、リリーフライン130に設けられたリリーフ弁133をさらに備えていてもよい。リリーフ弁133は、不図示の弁体の開度を変更することで、リリーフライン130のリリーフ弁133よりも下流側(外側開口132側)に導かれる気体の流量を調整可能に構成される。また、リリーフ弁133は、コンテナ本体1の外部からの手動操作が容易となるように、コンテナ本体1の外部、具体的には、リリーフライン130における貫通孔29に挿通される部分よりも下流側(外側開口132側)に設けられてもよい。リリーフ弁133を開くことで、リリーフライン130を介したコンテナ本体1の内部からの排気が可能となる。なお、リリーフ弁133は、内側空間2の圧力が所定圧を超えたときに自動的に作動するように構成されていてもよい。
【0086】
上記の構成によれば、仮に液化ガスタンク110から液化ガスが漏洩したときに、リリーフライン130を通じてコンテナ本体1の内部に漏れたガス(液化ガスが気化したガス)をコンテナ本体1の外部に排出できる。これにより、コンテナ本体1の内部に漏れたガスがコンテナ本体1の内部や循環ライン22に留まることを抑制できるので、該ガスによるコンテナ本体1の内部に入った人の酸欠を防止したり、該ガスによる火災や爆発を抑制できる。
【0087】
幾つかの実施形態では、
図11に示されるように、上述した冷凍コンテナ100は、液化ガスタンク110の内部に設けられたボイルオフガス取込口141を有し、ボイルオフガス取込口141を介して液化ガスタンク110において気化した液化ガスであるボイルオフガスをコンテナ本体1の外部に排出するためのボイルオフガスライン140をさらに備える。
【0088】
ボイルオフガス取込口141は、液化ガスタンク110の内部空間111に設けられて、内部空間111とボイルオフガスライン140の内部とを連通させる。ボイルオフガスライン140は、コンテナ本体1の外側空間3に設けられて、外側空間3とボイルオフガスライン140の内部とを連通させる外側開口142をさらに有する。外側開口142は、カバー12の外部において大気に開放(外側空間3に連通)されている。ボイルオフガスライン140は、その一端に設けられたボイルオフガス取込口141から、その他端に設けられた外側開口142まで延びる通路であり、ボイルオフガス取込口141を介して液化ガスタンク110の内部から導入されたボイルオフガスが流れるようになっている。
【0089】
ボイルオフガスライン140は、配管によって形成される。
図11に示されるように、ボイルオフガスライン140は、天井壁4(隔壁10)に設けられた貫通孔31や、液化ガスタンク110の上部に設けられた貫通孔112を挿通するように設けられてもよい。ボイルオフガスライン140の一端(ボイルオフガス取込口141)と他端(外側開口142)との間に生じる圧力差により、ボイルオフガスライン140を介して液化ガスタンク110の内部空間111からコンテナ本体1の外部(外側空間3)にボイルオフガスが排出される。
【0090】
図11に示されるように、冷凍コンテナ100は、ボイルオフガスライン140に設けられたボイルオフガス弁143をさらに備えていてもよい。ボイルオフガス弁143は、不図示の弁体の開度を変更することで、ボイルオフガスライン140のボイルオフガス弁143よりも下流側(外側開口142側)に導かれるボイルオフガスの流量を調整可能に構成される。また、ボイルオフガス弁143は、コンテナ本体1の外部からの手動操作が容易となるように、コンテナ本体1の外部、具体的には、ボイルオフガスライン140における貫通孔31に挿通される部分よりも下流側(外側開口142側)に設けられてもよい。ボイルオフガス弁143を開くことで、ボイルオフガスライン140を介した液化ガスタンク110の内部からのボイルオフガスの排出が可能となる。
【0091】
上記の構成によれば、仮に液化ガスタンク110内において気化したボイルオフガスを、ボイルオフガスライン140を通じてコンテナ本体1の外部に排出できる。これにより、ボイルオフガスにより液化ガスタンク110内が高圧になることや、ボイルオフガスが内側空間2に漏洩することを抑制できるので、該ボイルオフガスによるコンテナ本体1の内部に入った人の酸欠を防止したり、該ボイルオフガスによる火災や爆発を抑制できる。
【0092】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0093】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0094】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0095】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る冷凍コンテナ(100)は、
コンテナ本体(1)の内部の気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナ(100)であって、
前記コンテナ本体(1)と、
前記コンテナ本体(1)の内部にそれぞれ設けられた吸込口(20)及び吹出口(16)を有する循環ライン(22)と、
前記循環ライン(22)に設けられ、前記コンテナ本体(1)の内部から前記吸込口(20)を介して前記循環ライン(22)に吸引された前記気体を圧縮するように構成された圧縮機(24)と、
前記循環ライン(22)に設けられ、前記圧縮機(24)において圧縮された前記気体を冷却するように構成された熱交換器(26)と、
前記循環ライン(22)に設けられ、前記熱交換器(26)で冷却された前記気体を膨張させるように構成された膨張機(28)と、
前記コンテナ本体(1)の内部に収容され、液化ガスを貯留するように構成された液化ガスタンク(110)と、を備える。
【0096】
上記1)の構成によれば、循環ライン(22)にそれぞれ設けられる圧縮機(24)、熱交換器(26)及び膨張機(28)を含み、コンテナ本体(1)の内部の気体(庫内気体)を冷媒として使用する冷凍機(30)が構築される。コンテナ本体(1)の内部の気体は、吹出口(16)での圧力と、吸込口(20)での圧力との差によって、吹出口(16)から吸込口(20)に至るまで自然循環するため、庫内空気を循環させるためのファンが不要である。このため、コンテナ本体(1)の内部にファン及びファンモータを設けることによる庫内温度上昇が生じない。よって、庫内温度を所期の温度に維持しやすい。また、コンテナ本体(1)の内部にファン及びファンモータが設けられないため、コンテナ本体(1)の内部の荷貨スペースを広く確保することができる。したがって、上記(1)の構成によれば、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制可能であるとともに、庫内温度を安定的に維持することが可能な冷凍コンテナ(100)が得られる。
【0097】
上記1)の構成によれば、冷凍機(30)により庫内気体を保冷することで、コンテナの庫内に収容される液化ガスタンク(110)内の液化ガスのガス化を抑制できる。この場合には、液化ガスタンク(110)に取り付けられる断熱材として断熱効率が比較的高い高額な断熱材を使用しなくて良いので、液化ガスタンク(110)の製造コスト低減が図れる。また、上記1)の構成によれば、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制することで、液化ガスタンク(110)を内容積に対する表面積が比較的大きい大型なものにできるため、小型のタンクに比べて液化ガスタンク(110)内の液化ガスのガス化リスクを低減できる。
【0098】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記循環ライン(22)に設けられ、前記圧縮機(24)において圧縮された前記気体から酸素を分離するように構成された酸素分離装置(50)をさらに備える。
【0099】
上記2)の構成によれば、酸素分離装置(50)において、冷凍機(30)に取り込んだ気体から酸素を分離することで、コンテナ本体(1)の内部の気体に含まれる酸素の濃度を減らす濃度調整を実行できる。冷凍コンテナ(100)は、上記濃度調整を実行することで、庫内気体の構成濃度(例えば、酸素や二酸化炭素の濃度)を調整可能である。コンテナ本体(1)の内部の気体の酸素濃度を減らすことで、可燃性のガスによる火災や爆発を抑制できる。これにより、仮に液化ガスタンク(110)から可燃性のガスを液化させた液化ガスが漏洩しても、該液化ガスによる火災や爆発を抑制できる。冷凍機(30)や酸素分離装置(50)を含む冷凍コンテナ(100)は、液化ガスタンク(110)の輸送用や保管用等のコンテナとして好適に使用可能である。また、庫内気体を冷媒として使用する冷凍機(30)は、冷凍機(30)を流れる気体の流量が大きなものとなる。このため、冷凍機(30)に設けられた酸素分離装置(50)は、酸素分離装置(50)に導入される気体の流量が大きなものであるため、酸素の濃度を減らす濃度調整の速度を増加させることができる。
【0100】
また、上記2)の構成によれば、冷凍機(30)が酸素分離装置(50)の兼用設備として、コンテナ本体(1)の内部から酸素分離装置(50)への気体の導入や、酸素分離装置(50)からコンテナ本体(1)の内部への気体の排出を行うことができるため、冷凍コンテナ(100)のコンパクト化や軽量化が図れる。
【0101】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記酸素分離装置(50)は、中空糸状の膜を束ねた膜モジュール(52)を有する。
【0102】
上記3)の構成によれば、膜モジュール(52)を有する酸素分離装置(50)は、膜モジュール(52)に対する気体中の各ガス成分の透過速度の差を利用して、気体からガス状の酸素やガス状の二酸化炭素、水分等を取り出すことができる。よって、上記3)の構成によれば、コンテナ本体(1)の内部に窒素を充填させることで、可燃性のガスによる火災や爆発を抑制できる。
【0103】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)と前記熱交換器(26)の間に設けられ、前記循環ライン(22)を流れる前記気体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器(32)をさらに備え、
前記酸素分離装置(50)は、前記循環ライン(22)の前記冷却器(32)よりも下流側、且つ前記熱交換器(26)よりも上流側に設けられた。
【0104】
圧縮機(24)において圧縮された気体は、圧縮機(24)の運転条件によっては、100℃程度の高温になることがあり、高温の気体が膜モジュール(52)を有する酸素分離装置(50)に導入されると、膜モジュール(52)が損傷する虞がある。上記4)の構成によれば、膜モジュール(52)を有する酸素分離装置(50)に導入される気体を冷却器(32)において予め冷却することで、膜モジュール(52)の熱による損傷を抑制できるため、酸素分離装置(50)を安全に運用可能となる。
【0105】
5)幾つかの実施形態では、上記2)から上記4)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記循環ライン(22)は、
前記圧縮機(24)において圧縮された前記気体を前記熱交換器(26)に導くためのメインライン(64)と、
前記メインライン(64)に一端が接続され、前記メインライン(64)の前記一端の接続位置(P1)よりも下流側に他端が接続されたバイパスライン(66)と、を含み、
前記酸素分離装置(50)は、前記バイパスライン(66)に設けられた。
【0106】
上記5)の構成によれば、バイパスライン(66)に設けられた酸素分離装置(50)に導入される気体の流量の調整が容易となる。これにより、コンテナ本体(1)の内部の気体に含まれる酸素の濃度を減らす濃度調整の制御性を向上させることができ、ひいては庫内気体の構成濃度調整の制御性を向上させることができる。
【0107】
6)幾つかの実施形態では、上記2)から上記4)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記循環ライン(22)は、
前記圧縮機(24)において圧縮された前記気体を前記熱交換器(26)に導くためのメインライン(64)と、
前記メインライン(64)に一端が接続され、前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)よりも上流側に他端が接続されたリサーキュレーションライン(72)と、を含み、
前記酸素分離装置(50)は、前記リサーキュレーションライン(72)に設けられた。
【0108】
上記6)の構成によれば、リサーキュレーションライン(72)に設けられた酸素分離装置(50)に導入される気体の流量の調整が容易となる。これにより、コンテナ本体(1)の内部の気体に含まれる酸素の濃度を減らす濃度調整の制御性を向上させることができ、ひいては庫内気体の構成濃度調整の制御性を向上させることができる。また、酸素分離装置(50)をリサーキュレーションライン(72)に設けることで、上記バイパスライン(66)を設けなくてよいので、冷凍コンテナ(100)のコンパクト化や軽量化が図れる。
【0109】
7)幾つかの実施形態では、上記2)から上記4)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記酸素分離装置(50)において前記気体から分離された前記酸素を貯留するように構成されたバッファタンク(61)と、
前記酸素分離装置(50)において前記気体から分離された前記酸素を前記バッファタンク(61)に導くための、酸素回収ライン(60A)と、
前記バッファタンク(61)に貯留された前記酸素を前記コンテナ本体(1)の内部に戻すための酸素戻しライン(63)と、をさらに備える。
【0110】
上記7)の構成によれば、酸素回収ライン(60A)を介して酸素分離装置(50)において気体から分離された酸素をバッファタンク(61)に貯留でき、酸素戻しライン(63)を介してバッファタンク(61)に貯留した酸素をコンテナ本体(1)の内部に戻すことができる。これにより、コンテナ本体(1)の内部の気体に含まれる酸素の濃度を増やす濃度調整を迅速に実行可能である。
【0111】
8)幾つかの実施形態では、上記2)から上記7)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)よりも上流側に一端が接続され、他端が大気に開放された空気吸引ライン(78)をさらに備える。
【0112】
上記8)の構成によれば、冷凍機(30)により、コンテナ本体(1)の内部の気体が吸い込まれ、該気体から酸素などの成分の一部が取り除かれた気体がコンテナ本体(1)の内部に戻される。これが繰り返されてコンテナ本体(1)の内部が負圧になると、コンテナ本体(1)の外部から空気が流入する虞がある。コンテナ本体(1)の外部から空気が流入すると、該空気の熱によりコンテナ本体(1)の内部が昇温される虞もある。上記8)の構成によれば、空気吸引ライン(78)を介して空気を循環ライン(22)に取り込み、該空気から酸素を分離した気体をコンテナ本体(1)の内部に導入することで、コンテナ本体(1)の内部を陽圧にすることができる。コンテナ本体(1)の内部を陽圧にすることで、コンテナ本体(1)の外部からの空気の流入を阻止できる。
【0113】
9)幾つかの実施形態では、上記8)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)と前記熱交換器(26)の間に設けられ、前記循環ライン(22)を流れる前記気体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器(32)と、
前記圧縮機(24)において圧縮された前記気体を前記循環ライン(22)の外部に排出するための気体排出ライン(82)であって、前記循環ライン(22)の前記冷却器(32)よりも下流側、且つ前記熱交換器(26)の上流側に一端が接続された気体排出ライン(82)と、をさらに備える。
【0114】
上記9)の構成によれば、気体排出ライン(82)を介して循環ライン(22)の外部への排気を行うことで、コンテナ本体(1)の内部の圧力を下げる圧力制御が可能となる。これにより、コンテナ本体(1)の内部の圧力を増加させずに、コンテナ本体(1)の内部の上記濃度調整を実行できる。
【0115】
10)幾つかの実施形態では、上記1)から上記9)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記圧縮機(24)、前記熱交換器(26)及び前記膨張機(28)の各々は、前記コンテナ本体(1)の外側空間(3)において、前記コンテナ本体(1)の内側空間(2)と前記外側空間(3)とを仕切る隔壁(10)に沿って配置された。
【0116】
上記10)の構成によれば、圧縮機(24)、熱交換器(26)及び膨張機(28)の各々が、コンテナ本体(1)の外側空間(3)に設置される。すなわち、これらの機器がコンテナ本体(1)の内側空間(2)に設けられないため、コンテナ内部の荷貨スペースを広く確保することができる。また、上記10)の構成では、コンテナ本体(1)の内側空間(2)に蒸発器等の熱交換器を設ける必要がないため、このような熱交換器の除霜をするためのデフロスト運転をする必要がない。よって、庫内温度を所期の温度に維持しやすい。また、上記10)の構成では、コンテナ本体(1)の外側空間(3)にて隔壁(10)に沿った比較的狭いスペースに冷凍機(30)を構成する機器が配置される。このように、コンテナ本体(1)に付加する冷凍機(30)の設置領域が小さいため、冷凍機(30)を含む冷凍コンテナ(100)を液化ガスタンク(110)の輸送用や保管用のコンテナとして好適に使用可能である。
【0117】
11)幾つかの実施形態では、上記1)から上記10)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記コンテナ本体(1)の内部に設けられた排気口(131)を有し、前記排気口(131)を介して前記コンテナ本体(1)の内部に存在する気体を前記コンテナ本体(1)の外部に排出するためのリリーフライン(130)をさらに備える。
【0118】
上記11)の構成によれば、仮に液化ガスタンク(110)から液化ガスが漏洩したときに、リリーフライン(130)を通じてコンテナ本体(1)の内部に漏れたガス(液化ガスが気化したガス)をコンテナ本体(1)の外部に排出できる。これにより、コンテナ本体(1)の内部に漏れたガスがコンテナ本体(1)の内部や循環ライン(22)に留まることを抑制できるので、該ガスによるコンテナ本体(1)の内部に入った人の酸欠を防止したり、該ガスによる火災や爆発を抑制できる。
【0119】
12)幾つかの実施形態では、上記1)から上記11)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記液化ガスタンク(110)の内部に設けられたボイルオフガス取込口(141)を有し、前記ボイルオフガス取込口(141)を介して前記液化ガスタンク(110)において気化した前記液化ガスであるボイルオフガスを前記コンテナ本体(1)の外部に排出するためのボイルオフガスライン(140)をさらに備える。
【0120】
上記12)の構成によれば、仮に液化ガスタンク(110)内において気化したボイルオフガスを、ボイルオフガスライン(140)を通じてコンテナ本体(1)の外部に排出できる。これにより、ボイルオフガスにより液化ガスタンク(110)内が高圧になることや、ボイルオフガスが内側空間(2)に漏洩することを抑制できるので、該ボイルオフガスによるコンテナ本体(1)の内部に入った人の酸欠を防止したり、該ボイルオフガスによる火災や爆発を抑制できる。
【符号の説明】
【0121】
1 コンテナ本体
2 内側空間
3 外側空間
4 天井壁
5 底壁
6,7 短側壁
8,9 長側壁
10 隔壁
12 カバー
14 吹出部
16 吹出口
18 吸込部
20 吸込口
21 フィルタ部
22 循環ライン
22A 吸引気体ライン
22B 圧縮気体ライン
22C 膨張気体ライン
23A~23H 配管
24 圧縮機
25,27,29,31,112 貫通孔
26 熱交換器
28 膨張機
30 冷凍機
32 冷却器
34 冷却液循環ライン
36 冷却装置
38 ラジエータ
40 ファン
42 ポンプ
44 回転シャフト
46 モータ
50 酸素分離装置
51 ケーシング
52 膜モジュール
54 気体導入口
56 不分離ガス排出口
58 分離ガス排出口
60 酸素排出ライン
60A 酸素回収ライン
61 バッファタンク
62 酸素排出量調整弁
63 酸素戻しライン
64 メインライン
65 酸素戻し量調整弁
66 バイパスライン
68 第1の気体流量調整弁
70 第2の気体流量調整弁
72 リサーキュレーションライン
74 第3の気体流量調整弁
76 第4の気体流量調整弁
78 空気吸引ライン
80 空気吸引量調整弁
82 気体排出ライン
84 気体排出量調整弁
100 冷凍コンテナ
110 液化ガスタンク
120 支持部材
130 リリーフライン
131 排気口
132 外側開口
133 リリーフ弁
140 ボイルオフガスライン
141 ボイルオフガス取込口
142 外側開口
143 ボイルオフガス弁