(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159787
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
B60L 58/18 20190101AFI20231025BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231025BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231025BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20231025BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231025BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B60L58/18
B60L50/60
H02J7/00 P
H02J7/34 B
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069713
(22)【出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(71)【出願人】
【識別番号】519417676
【氏名又は名称】株式会社アパード
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】マハムド アブドルナビ サイド アブダラ
(72)【発明者】
【氏名】竹下 隆晴
(72)【発明者】
【氏名】大橋 達之
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB01
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA01
5G503CA11
5G503DA04
5G503DA08
5G503FA06
5G503FA07
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB10
5H030BB21
5H030FF22
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA01
5H125AB03
5H125AC13
5H125BB05
5H125BB07
5H125BC01
5H125BC03
5H125BC28
5H125CB02
5H125EE01
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE25
5H125FF06
(57)【要約】
【課題】第1蓄電装置及び第2蓄電装置が分担してエネルギ供給を行いモータを力行させるとき、インバータの直流電圧を第1蓄電装置及び第2蓄電池装置のうち電圧の低い蓄電装置の電圧未満に制御することができる電動車両を提供する。
【解決手段】第1蓄電装置4及び第1電力変換器10が接続された第1モジュールM1と、第2蓄電装置5及び第2電力変換器11が接続された第2モジュールM2と、直列に接続された第1モジュールM1と第2モジュールM2とがインバータ2に接続された回路とを具備し、モータ1の力行時において、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御しつつ第1モジュールM1及び第2モジュールM2からインバータ2にエネルギを供給するものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力行可能なモータと、
直流電流から交流電流に変換可能なインバータと、
高容量型の特性を有する第1蓄電装置と、
高出力型の特性を有する第2蓄電装置と、
前記第1蓄電装置の出力電圧を降圧する機能を有する第1電力変換器と、
前記第2蓄電装置の出力電圧を降圧する機能を有する第2電力変換器と、
を有する電動車両であって、
前記第1蓄電装置及び第1電力変換器が接続された第1モジュールと、
前記第2蓄電装置及び第2電力変換器が接続された第2モジュールと、
直列に接続された前記第1モジュールと前記第2モジュールとが前記インバータに接続された回路と、
を具備し、前記モータの力行時において、前記第1モジュール及び第2モジュールの電圧を制御しつつ前記第1モジュール及び第2モジュールから前記インバータにエネルギを供給することを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記モータは、力行及び回生可能とされるとともに、回生時において、前記第1モジュール及び第2モジュールの電圧を制御しつつ前記第1モジュール及び第2モジュールでエネルギを回収することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項3】
前記第1モジュールと第2モジュールとの間にリアクトルが直列に接続されたことを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項4】
前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記モータの力行時において、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第1モジュールの電圧を制御しつつ前記第1モジュール及び第2モジュールから前記インバータにエネルギを供給することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項5】
前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記第1蓄電装置の温度に基づいて当該第1蓄電装置の温度状態を判断可能とされるとともに、前記モータの力行時において、前記第1蓄電装置の温度が所定値以上の場合、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第2モジュールから前記インバータにエネルギを供給することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項6】
前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記第1蓄電装置の温度に基づいて当該第1蓄電装置の温度状態を判断可能とされるとともに、前記モータの回生時において、前記第1蓄電装置の温度が所定値以上の場合、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第2モジュールでエネルギを回生することを特徴とする請求項2記載の電動車両。
【請求項7】
前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記モータの停止時において、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第1モジュールの電圧又は電流を制御しつつ当該第1モジュールから前記第2モジュールにエネルギを供給することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項8】
前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記モータの停止時において、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第1モジュールの電圧又は電流を制御しつつ当該第2モジュールから前記第1モジュールにエネルギを供給することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項9】
前記第1モジュールまたは前記第2モジュールと前記インバータとの間にリアクトルが直列に接続されたことを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項10】
前記モータの力行時において、前記第1蓄電装置の電流が所定値以下になるように、前記第1モジュール及び前記第2モジュールの電圧を制御することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項11】
前記第1蓄電装置の温度に基づいて当該第1蓄電装置の温度状態を判断可能とされるとともに、前記第1蓄電装置の温度が高いほど、前記第1蓄電装置の電流の所定値を低く設定することを特徴とする請求項10に記載の電動車両。
【請求項12】
前記第2モジュールの電圧を制御する時、当該第2蓄電装置の電圧に応じて前記第2モジュールの電圧を制御することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項13】
前記第1モジュール及び前記第2モジュールの電圧を制御する時、前記第1モジュール及び前記第2モジュールの何れか一方の電圧を制御する時に比べて、前記第1電力変換器及び第2電力変換器のデューティ周期を長く設定することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項14】
前記第1モジュール及び前記第2モジュールの電圧を制御する時、前記第1電力変換器のデューティ周期中の電圧昇圧期間と前記第2電力変換器のデューティ周期中の電圧昇圧期間との重複期間が低減するように制御することを特徴とする請求項13記載の電動車両。
【請求項15】
前記第1蓄電装置は、前記第2蓄電装置より高電圧型の特性を有することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項16】
前記第1蓄電装置の満充電時のエネルギ量は、前記第2蓄電装置の満充電時のエネルギ量より多いことを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項17】
前記第1蓄電装置は、交換可能なカセット型の蓄電装置から成ることを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項18】
前記第1蓄電装置は、高容量リチウムイオン電池又は高容量ニッケル水素電池から成り、前記第2蓄電装置は、高出力リチウムイオン電池、高出力ニッケル水素電池、リチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタの何れかであることを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータと当該モータにエネルギ供給可能な蓄電装置とを具備した電動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
力行及び回生可能なモータと当該モータにエネルギ供給可能な蓄電装置とを具備し、モータの駆動力で推力を得るとともに、駆動輪の制動トルクを調整して蓄電装置にエネルギを回収可能な電動車両として、例えば特許文献1に記載されたものが挙げられる。かかる電動車両によれば、高容量型の特性を有するバッテリ及び高出力型の特性を有するキャパシタのそれぞれから任意タイミングでインバータにエネルギを供給してモータを駆動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、バッテリ(第1蓄電装置)及びキャパシタ(第2蓄電装置)が分担してエネルギ供給を行いモータを駆動させることができるものの、例えばモータが低回転で力行する時、インバータで必要とされる直流電圧が第1蓄電装置及び第2蓄電装置のうち電圧の低い蓄電装置(通常は容量が小さい第2蓄電装置)の電圧未満である場合、インバータの直流電圧を適切に制御することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、第1蓄電装置及び第2蓄電装置が分担してエネルギ供給を行いモータを力行させるとき、インバータの直流電圧を第1蓄電装置及び第2蓄電池装置のうち電圧の低い蓄電装置の電圧未満に制御することができる電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、力行可能なモータと、直流電流から交流電流に変換可能なインバータと、高容量型の特性を有する第1蓄電装置と、高出力型の特性を有する第2蓄電装置と、前記第1蓄電装置の出力電圧を降圧する機能を有する第1電力変換器と、前記第2蓄電装置の出力電圧を降圧する機能を有する第2電力変換器とを有する電動車両であって、前記第1蓄電装置及び第1電力変換器が接続された第1モジュールと、前記第2蓄電装置及び第2電力変換器が接続された第2モジュールと、直列に接続された前記第1モジュールと前記第2モジュールとが前記インバータに接続された回路とを具備し、前記モータの力行時において、前記第1モジュール及び第2モジュールの電圧を制御しつつ前記第1モジュール及び第2モジュールから前記インバータにエネルギを供給することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記モータは、力行及び回生可能とされるとともに、回生時において、前記第1モジュール及び第2モジュールの電圧を制御しつつ前記第1モジュール及び第2モジュールでエネルギを回収することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第1モジュールと第2モジュールとの間にリアクトルが直列に接続されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記モータの力行時において、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第1モジュールの電圧を制御しつつ前記第1モジュール及び第2モジュールから前記インバータにエネルギを供給することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記第1蓄電装置の温度に基づいて当該第1蓄電装置の温度状態を判断可能とされるとともに、前記モータの力行時において、前記第1蓄電装置の温度が所定値以上の場合、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第2モジュールから前記インバータにエネルギを供給することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項2記載の電動車両において、前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記第1蓄電装置の温度に基づいて当該第1蓄電装置の温度状態を判断可能とされるとともに、前記モータの回生時において、前記第1蓄電装置の温度が所定値以上の場合、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第2モジュールでエネルギを回生することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記モータの停止時において、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第1モジュールの電圧又は電流を制御しつつ当該第1モジュールから前記第2モジュールにエネルギを供給することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第2蓄電装置とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチを具備し、前記モータの停止時において、前記接続スイッチを接続状態とし、前記第1モジュールの電圧又は電流を制御しつつ当該第2モジュールから前記第1モジュールにエネルギを供給することを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第1モジュールまたは前記第2モジュールと前記インバータとの間にリアクトルが直列に接続されたことを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記モータの力行時において、前記第1蓄電装置の電流が所定値以下になるように、前記第1モジュール及び前記第2モジュールの電圧を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の電動車両において、前記第1蓄電装置の温度に基づいて当該第1蓄電装置の温度状態を判断可能とされるとともに、前記第1蓄電装置の温度が高いほど、前記第1蓄電装置の電流の所定値を低く設定することを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第2モジュールの電圧を制御する時、当該第2蓄電装置の電圧に応じて前記第2モジュールの電圧を制御することを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第1モジュール及び前記第2モジュールの電圧を制御する時、前記第1モジュール及び前記第2モジュールの何れか一方の電圧を制御する時に比べて、前記第1電力変換器及び第2電力変換器のデューティ周期を長く設定することを特徴とする。
【0019】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の電動車両において、前記第1モジュール及び前記第2モジュールの電圧を制御する時、前記第1電力変換器のデューティ周期中の電圧昇圧期間と前記第2電力変換器のデューティ周期中の電圧昇圧期間との重複期間が低減するように制御することを特徴とする。
【0020】
請求項15記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第1蓄電装置は、前記第2蓄電装置より高電圧型の特性を有することを特徴とする。
【0021】
請求項16記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第1蓄電装置の満充電時のエネルギ量は、前記第2蓄電装置の満充電時のエネルギ量より多いことを特徴とする。
【0022】
請求項17記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第1蓄電装置は、交換可能なカセット型の蓄電装置から成ることを特徴とする。
【0023】
請求項18記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、前記第1蓄電装置は、高容量リチウムイオン電池又は高容量ニッケル水素電池から成り、前記第2蓄電装置は、高出力リチウムイオン電池、高出力ニッケル水素電池、リチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタの何れかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、第1蓄電装置及び第1電力変換器が接続された第1モジュールと、第2蓄電装置及び第2電力変換器が接続された第2モジュールと、直列に接続された前記第1モジュールと前記第2モジュールとが前記インバータに接続された回路とを具備し、モータの力行時において、第1モジュール及び第2モジュールの電圧を制御しつつ第1モジュール及び第2モジュールからインバータにエネルギを供給するので、第1蓄電装置及び第2蓄電装置が分担してエネルギ供給を行いモータを力行させるとき、インバータの直流電圧を第1蓄電装置及び第2蓄電池装置のうち電圧の低い蓄電装置の電圧未満に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動車両を示す模式図
【
図6】同電動車両の電力制御の全体を示すフローチャート
【
図7】同電動車両の要求特性(駆動輪の車両要求)を示すグラフ
【
図8】同電動車両の要求特性(駆動輪のモータ要求)を示すグラフ
【
図9】同電動車両の要求特性(従動輪の車両要求)を示すグラフ
【
図10】同電動車両の要求特性(従動輪のブレーキ要求)を示すグラフ
【
図11】同電動車両の電力制御の要求処理制御を示すフローチャート
【
図12】同電動車両の運転者要求テーブル(テーブル1)を示すグラフ
【
図13】同電動車両の運転者要求テーブル(テーブル2)を示すグラフ
【
図14】同電動車両の運転者要求テーブル(テーブル3)を示すグラフ
【
図15】同電動車両の運転者要求テーブル(テーブル4)を示すグラフ
【
図16】同電動車両の運転者要求テーブル(テーブル5)を示すグラフ
【
図17】同電動車両の運転者要求テーブル(テーブル6)を示すグラフ
【
図18a】同電動車両の電力制御のモータ制御を示すフローチャート
【
図18b】同電動車両の電力制御のモータ制御を示すフローチャート
【
図18c】同電動車両の電力制御のモータ制御を示すフローチャート
【
図20】同電動車両の電圧要求テーブル(テーブルA)を示すグラフ
【
図21】同電動車両の電圧要求テーブル(テーブルB)を示すグラフ
【
図22】同電動車両の電圧要求テーブル(テーブルC)を示すグラフ
【
図23】同電動車両における係数K1、K2の算出工程を示すフローチャート
【
図24】同電動車両における第1蓄電装置の温度、電流及び係数K1、K2の変化を示すグラフ
【
図25】同電動車両における第1蓄電装置の電流と温度との関係を示すグラフ
【
図26】同電動車両における第2蓄電装置の電圧と係数K2との関係を示すグラフ
【
図27】同電動車両における第1電力変換器及び第2電力変換器によるデューティ制御を示すグラフ
【
図28】同電動車両の第1蓄電装置の蓄電状態を示すグラフ
【
図29】同電動車両の第2蓄電装置の蓄電状態を示すグラフ
【
図30】同電動車両の蓄電装置の組み合わせを示す表
【
図31】本発明の他の実施形態に係る電動車両の電力変換装置を示す回路図
【
図33】本発明のさらに他の実施形態に係る電動車両の電力変換装置を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る電動車両は、モータの駆動力により走行可能な自動二輪車等の鞍乗り型車両から成るもので、
図1~4に示すように、モータ1と、インバータ2と、メカブレーキ(3a、3b)と、第1蓄電装置4と、第2蓄電装置5と、アクセル操作手段6と、メカブレーキ操作手段7と、回生ブレーキ操作手段8と、第1電力変換器10と、第2電力変換器11と、リアクトル12と、ECU13と、スタートスイッチ14と、モニタ15とを主に具備している。
【0027】
モータ1(Motor)は、エネルギ供給により駆動力を得るための電磁モータから成り、
図2、3に示すように、インバータ2を介して第2蓄電装置5及び第2電力変換器11を有する第2モジュールM2と電気的に接続可能とされ、力行及び回生可能とされている。インバータ2(DC-AC Inverter)は、直流電流から交流電流に変換可能なもので、本実施形態においては、第1蓄電装置4及び第2蓄電装置5の直流電流を交流電流に変換してモータ1に供給可能とされている。
【0028】
メカブレーキは、ディスクブレーキやドラムブレーキ等のエネルギを放出して制動可能な制動装置から成り、駆動輪Taの運動エネルギを放出して制動する駆動輪メカブレーキ3aと、従動輪Tbの運動エネルギを放出して制動する従動輪メカブレーキ3bとを有して構成されている。これら駆動輪メカブレーキ3a及び従動輪メカブレーキ3bは、ブレーキアクチュエータ9を介してメカブレーキ操作手段7と接続されている。
【0029】
かかるメカブレーキ操作手段7は、メカブレーキ(従動輪メカブレーキ3b)を制御して制動トルクを調整可能な部品(本実施形態においては、ハンドルバーの右側端部に取り付けられた操作レバー)から成り、その操作量に応じてメカブレーキ制御部18(
図4参照)がブレーキアクチュエータ9を作動させ、従動輪メカブレーキ3bを動作させ得るよう構成されている。
【0030】
アクセル操作手段6は、モータ1を制御して駆動輪Taの駆動トルクを調整可能な部品(本実施形態においては、ハンドルバーの右側端部に取り付けられたアクセルグリップ)から成り、
図4に示すように、その操作量に応じてインバータ制御部16によりトルク要求を推定してモータ1を作動させることにより、所望の駆動力を得るよう構成されている。なお、インバータ制御部16は、ECU13に形成された制御部の一つである。
【0031】
蓄電装置は、モータ1にエネルギを供給可能なもので、本実施形態においては、第1蓄電装置4及び第2蓄電装置5を有して構成されている。第1蓄電装置4は、高容量型の特性を有する蓄電池から成り、
図30に示すように、例えば高容量リチウムイオン電池又は高容量ニッケル水素電池を使用することができる。第2蓄電装置5は、高出力型の特性を有する蓄電池から成り、
図30に示すように、例えば高出力リチウムイオン電池、高出力ニッケル水素電池、リチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタの何れかを使用することができる。
【0032】
より具体的には、第1蓄電装置4は、第2蓄電装置5より高電圧型の特性を有するとともに、第1蓄電装置4の満充電時のエネルギ量は、第2蓄電装置5の満充電時のエネルギ量より多いものとされている。また、本実施形態に係る第1蓄電装置4は、車両から取り外して交換可能なカセット型の蓄電装置から成り、第1蓄電装置4の蓄電状態に応じて満充電状態の第1蓄電装置4と交換可能とされている。
【0033】
回生ブレーキ操作手段8は、モータ1を制御して、駆動輪Taの制動トルクを調整し、蓄電装置(第1蓄電装置4及び第2蓄電装置5)にエネルギを回収可能な部品(本実施形態においては、ハンドルバーの左側端部に取り付けられた操作レバー)から成り、その操作量に応じてモータ1の回生を行わせて所望の制動力が得られるよう構成されている。かかるモータ1の回生により、第1蓄電装置4及び第2蓄電装置5にエネルギを回収することができる。
【0034】
第1電力変換器10は、モータ1の力行時(モータ1へのエネルギ供給時)に電圧を降圧する機能とモータ1の回生時(モータ1からのエネルギ回収時)に電圧を昇圧する機能を有し、本実施形態においては、第1蓄電装置4の出力電圧を降圧する機能を有するもので、
図2、3に示すように、第1モジュールM1を構成する。かかる第1モジュールM1は、
図2、3に示すように、第1蓄電装置4及び第1電力変換器10が接続されて構成されている。
【0035】
また、第1電力変換器10は、
図2に示すように、スイッチS1、S2及び整流器としてのダイオードを有する2つの半導体スイッチ素子(MOSFET)10a、10bを有して構成されるとともに、下流側のリアクトル12(コイル)と電気的に接続されている。そして、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2を高速スイッチング(duty制御)することにより、第1モジュールM1における電圧を制御可能とされている。
【0036】
第2電力変換器11は、モータ1の力行時(モータ1へのエネルギ供給時)に電圧を降圧する機能とモータ1の回生時(モータ1からのエネルギ回収時)に電圧を昇圧する機能を有し、本実施形態においては、第2蓄電装置5の出力電圧を降圧する機能を有するもので、
図2、3に示すように、第2モジュールM2を構成する。かかる第2モジュールM2は、
図2、3に示すように、第2蓄電装置5及び第2電力変換器11が接続されて構成されている。
【0037】
また、第2電力変換器11は、
図2に示すように、スイッチS3、S4及び整流器としてのダイオードを有する2つの半導体スイッチ素子(MOSFET)11a、11bを有して構成されるとともに、上流側のリアクトル12(コイル)と電気的に接続されている。そして、半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3、S4を高速スイッチング(duty制御)することにより、第2モジュールM2における電圧を制御可能とされている。
【0038】
ここで、本実施形態においては、直列に接続された第1モジュールM1と第2モジュールM2とがインバータ2に接続された回路を有するとともに、第1モジュールM1と第2モジュールM2との間にリアクトル12が直列に接続されている。これにより、モータ1の力行時において、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御しつつ第1モジュールM1及び第2モジュールM2からインバータ2にエネルギを供給するとともに、モータ1の回生時において、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御しつつ第1モジュールM1及び第2モジュールM2でエネルギを回収することができる。
【0039】
さらに、本実施形態においては、
図2に示すように、第2蓄電装置5とグラウンドとを接続(グラウンド接続)する回路を形成する接続スイッチSR1を具備して構成されており、モータ1の力行時において、接続スイッチSR1を接続状態とし、第1モジュールM1の電圧を制御しつつ第1モジュールM1及び第2モジュールM2からインバータ2にエネルギを供給し得るようになっている。なお、本実施形態に係る回路には、安定化のためのコンデンサCa、Cb、Ccが接続されている。
【0040】
ECU13は、入力された運転者の要求に応じてモータ1等を制御するためのもので、
図4に示すように、インバータ制御部16、回路制御部17及びメカブレーキ制御部18を有するとともに、インバータ2、第1電力変換器10、第2電力変換器11、第1蓄電装置4、第2蓄電装置5及びブレーキアクチュエータ9と接続されている。また、第1蓄電装置4の電圧を検出可能な電圧検出センサ4a及び当該第1蓄電装置4の温度を検出可能な温度検出センサ4bを具備するとともに、第2蓄電装置5の電圧を検出可能な電圧検出センサ5aを具備している。
【0041】
しかるに、電圧検出センサ4a、温度検出センサ4b及び電圧検出センサ5aが回路制御部17と電気的に接続されており、電圧検出センサ4a及び電圧検出センサ5aで検出される電圧によって第1蓄電装置4及び第2蓄電装置5の蓄電状態をそれぞれ判断可能とされるとともに、温度検出センサ4bによって第1蓄電装置4の温度を検出可能とされている。なお、第1蓄電装置4の蓄電状態を
図28、第2蓄電装置5の蓄電状態を
図29にそれぞれ示している。
【0042】
そして、第1蓄電装置4の温度に基づいて当該第1蓄電装置4の温度状態を判断可能とされるとともに、モータ1の力行時において、第1蓄電装置4の温度が所定値以上の場合、接続スイッチSR1を接続状態とし、第2モジュールM2からインバータ2にエネルギを供給するよう構成されている。また、モータ1の回生時において、第1蓄電装置4の温度が所定値以上の場合、接続スイッチSR1を接続状態とし、第2モジュールM2でエネルギを回生するよう構成されている。
【0043】
さらに、モータ1の停止時において、接続スイッチSR1を接続状態とし、第1モジュールM1の電圧又は電流を制御しつつ当該第1モジュールM1から第2モジュールM2にエネルギを供給し得るよう構成されている。またさらに、モータ1の停止時において、接続スイッチSR1を接続状態とし、第1モジュールM1の電圧又は電流を制御しつつ第2モジュールM2から第1モジュールM1にエネルギを供給し得るよう構成されている。
【0044】
スタートスイッチ14は、車両の走行を可能にする操作スイッチから成り、かかるスタートスイッチ14を操作した後、アクセル操作手段6を操作することにより、モータ1を作動させて走行し得るようになっている。モニタ15は、車両に取り付けられた液晶モニタ等の補助装置から成り、例えば車両の状態(速度、蓄電状態又は故障の有無等)やナビゲーションシステムの地図等を表示させ得るようになっている。
【0045】
さらに、本実施形態においては、
図4に示すように、モータ1の回転数を検知するセンサから成る検知手段19を具備しており、検知手段19で検知されたモータ1の回転数が所定値以上のとき、回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じた所定制動トルクを回生ブレーキにより発生するよう構成されている。また、モータ1の回生時、その所定制動トルクの最大値は、モータ1の定格トルクとされている。
【0046】
しかるに、検知手段19で検知されたモータ1の回転数が所定値未満のとき、回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じてメカブレーキ(駆動輪メカブレーキ3a)により制動トルクを発生させるようになっている。加えて、第1蓄電装置4の充電量が所定値以上のとき、回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じて、メカブレーキ(駆動輪メカブレーキ3a)により制動トルクを発生させるよう構成されている。
【0047】
またさらに、本実施形態においては、
図24、25に示すように、モータ1の力行時において、第1蓄電装置4の電流が所定値(許容値)以下になるように、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御するよう構成されている。また、既述のように、第1蓄電装置4の温度に基づいて当該第1蓄電装置4の温度状態を判断可能とされるとともに、
図24、25に示すように、第1蓄電装置4の温度が高いほど、第1蓄電装置4の電流の所定値を低く設定するよう構成されている。加えて、
図26に示すように、第2モジュールM2の電圧を制御する時、第2蓄電装置5の電圧に応じて第2モジュールM2の電圧を制御するよう構成されている。
【0048】
さらに、本実施形態においては、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御する時、
図27に示すように、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の何れか一方の電圧を制御する時に比べて、第1電力変換器10及び第2電力変換器11のデューティ周期Tを長く設定するようになっている。また、本実施形態においては、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御する時、
図27に示すように、第1電力変換器10のデューティ周期中の電圧昇圧期間と第2電力変換器11のデューティ周期中の電圧昇圧期間との重複期間が低減(重複期間を抑制)するように制御されている。
【0049】
図5は、上記実施形態に係る電動車両において、スタートスイッチ14をオンした後、アクセル操作手段6及び回生ブレーキ操作手段8の操作を行った場合の各パラメータの変化を示している。なお、同図の表における「FCCNO」(function circuit control number)は、
図4、18、19で示される「FCCNO」と対応するものである。
【0050】
次に、本実施形態に係る電動車両の制御(メイン制御)について、
図6のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、S1にてスタートスイッチ14がオンしたか否か判定され、スタートスイッチ14がオンしたと判断されると、S2にて第1蓄電装置4の蓄電状態(Soc1)が所定下限値(
図28参照)より大きいか否か判定される。そして、蓄電状態(Soc1)が所定下限値より大きいと判断されると、要求処理(S3)、モータ制御(S4)及びメカブレーキ制御(S5)が順次行われることとなる。
【0051】
次に、本実施形態に係る電動車両の要求特性について、
図7~10に基づいて説明する。
駆動輪Taにおける駆動トルク及び制動トルクと車速との関係は、
図7に示すような特性とされ、駆動輪Taにおけるモータトルクとモータ1の回転数(ω)との関係は、
図8に示すような特性とされる。特に、
図7において、高速走行の場合、駆動トルクが車速に対して漸減関係にあるのに対し、制動トルクは一定関係となっている。なお、
図8においては、縦軸のプラス側(上半分)がアクセル操作手段6の操作量に応じた駆動トルクを示しており、縦軸のマイナス側(下半分)が回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じた制動トルクを示している。同図中の符号Tm1は、モータ1の定格トルクを示している。
【0052】
また、従動輪Tbにおける制動トルクと車速との関係は、
図9に示すような特性とされ、従動輪Tbにおける制動トルク(メカ制動トルク(Tbmf)とモータ1の回転数(ω)との関係は、
図10に示すような特性とされる。なお、
図9、10においては、従動輪Tbの特性を示すものであるため、縦軸のマイナス側(下半分)のみの特性(制動トルク)のみが示されている。
【0053】
次に、本実施形態に係る電動車両の制御(要求処理制御)について、
図11のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、S1にて故障信号の有無に基づいてシステムが正常か否か判定され、故障信号がないと判断された場合、S2にてアクセル操作手段6の操作の有無(アクセル操作量Apが0より大きいか否か)が判定され、アクセル操作手段6の操作があると判断されると、S5に進み、
図12に示すテーブル1に基づいてアクセル操作手段6の操作量に応じたモータトルク(Tm)が算出される。
【0054】
そして、S5の算出の後、S9に進み、
図16に示すテーブル5に基づいて回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じたメカ制動トルク(Tbmr)が算出され、その後、S13に進み、
図17に示すテーブル6に基づいてメカブレーキ操作手段7の操作量に応じたメカ制動トルク(Tbmf)が算出される。なお、S9で算出されたメカ制動トルク(Tbmr)は、駆動輪Taの制動トルクとされるとともに、S13で算出されたメカ制動トルク(Tbmf)は、従動輪Tbの制動トルクとされる。
【0055】
また、S2にてアクセル操作手段の操作がないと判断されると、S3にてモータ1の回生が可能か否か判定される。かかる判定は、第1蓄電装置4の蓄電状態(Soc1)が所定上限値以下(
図28参照)であり、且つ、モータの回転数がω1(
図8参照)以上である場合、モータ1の回生が可能であると判断されるものである。そして、モータ1の回生が可能であると判断されると、S4にて第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が所定上限値(
図29参照)より大きいか否か判定される。
【0056】
S4にて第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が所定上限値(
図29参照)より大きいと判断されると、S6に進み、
図13に示すテーブル2に基づいて回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じたモータトルク(Tm)が算出される。ここで、テーブル2に基づくモータトルク(Tm)の算出においては、モータ1の回転数が
図8で示す所定回転数(ω2)以下の場合、Tm=Tm(ω-ω1)/(ω2-ω1)なる補正が行われる。なお、S6の算出後、S10に進み、
図15に示すテーブル4に基づいて回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じたメカ制動トルク(Tbmr)が算出され、その後、既述のS13が順次行われることとなる。
【0057】
さらに、S4にて第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が所定上限値(
図29参照)より大きくないと判断されると、S7に進み、
図14に示すテーブル3に基づいて回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じたモータトルク(Tm)が算出される。ここで、テーブル3に基づくモータトルク(Tm)の算出においては、テーブル2と同様、モータ1の回転数が
図8で示す所定回転数(ω2)以下の場合、Tm=Tm(ω-ω1)/(ω2-ω1)なる補正が行われる。なお、S7の算出後、S11にてメカ制動トルク(Tbmr)が0に設定された後、既述のS13が行われることとなる。
【0058】
一方、S1にて故障信号があると判断された場合やS3にて回生可能でないと判断された場合、S8に進み、モータトルク(Tm)=0に設定された後、S12に進み、
図16に示すテーブル5に基づいて回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じたメカ制動トルク(Tbmr)が算出される。これにより、システムに故障があると判断されたときや回生可能でないと判断されたとき、回生ブレーキ操作手段8の操作量に応じてメカブレーキ(駆動輪メカブレーキ3a)により制動トルクを発生させることができる。なお、S12の算出後、既述のS13が行われることとなる。
【0059】
次に、本実施形態に係る電動車両の制御(モータ制御)について、
図18a~18cのフローチャートに基づいて説明する。
先ず、S1にて故障信号の有無に基づいてシステムが正常か否か判定され、故障信号がないと判断された場合、S2にてアクセル操作手段6の操作の有無(アクセル操作量Apが0より大きいか否か)が判定されるとともに、アクセル操作手段6の操作があると判断されると、S3にて第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が所定下限値(
図29参照)より大きいか否か判定される。
【0060】
そして、S3にて第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が所定下限値(
図29参照)より大きくないと判断されると、S7に進み、FCC(function circuit control)=1とするとともに、S3にて第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が所定下限値(
図29参照)より大きいと判断されると、S4に進み、第1蓄電装置4の温度が所定値より低いか否か判定される。
【0061】
S4の判定の結果、第1蓄電装置4の温度が所定値より低くない(所定値以上)と判断されると、S10に進み、FCC=4とするとともに、S4にて第1蓄電装置4の温度が所定値より低いと判断されると、S5に進み、モータ1の回転数(ω)がω2より小さいか否か判定される。
【0062】
そして、S5にてモータ1の回転数(ω)がω2より小さくないと判定されると、S8に進み、FCC=2とするとともに、S5にてモータ1の回転数(ω)がω2より小さいと判定されると、S6に進み、アクセル操作量Apが所定値より大きいか否か判定される。S6にてアクセル操作量Apが所定値より大きくないと判定されると、S8に進み、FCC=2とするとともに、S6にてアクセル操作量Apが所定値より大きいと判定されると、S9に進み、FCC=3とする。
【0063】
一方、S1にて故障信号があると判断された場合、S21に進み、FCC=10とするとともに、S2にてアクセル操作手段6の操作がないと判断されると、S11にてモータ1の回生が可能か否か判定される。そして、S11にてモータ1の回生が可能であると判断されると、S12に進み、第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が所定上限値より大きいか否か判定され、第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が所定上限値より大きいと判断されると、S16に進み、FCC=5とする。
【0064】
また、S12にて第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が所定上限値より大きくないと判断されると、S13に進み、第1蓄電装置4の温度が所定値より小さいか否か判定される。S13にて第1蓄電装置4の温度が所定値より小さいと判断されると、S17に進み、FCC=6とするとともに、第1蓄電装置4の温度が所定値より小さくないと判断されると、S18に進み、FCC=7とする。
【0065】
一方、S11にてモータ1の回生が可能でないと判断されると、S14に進み、第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が充電判定値以下か否か判定され、充電判定値以下であると判断されると、S19に進み、FCC=8とする。また、S14にて第2蓄電装置5の蓄電状態(Soc2)が充電判定値以下でないと判断されると、S15に進み、第1蓄電装置4の蓄電状態(Soc1)が充電判定値以下か否か判定される。
【0066】
そして、S15にて第1蓄電装置4の蓄電状態(Soc1)が充電判定値以下であると判断されると、S20に進み、FCC=9とするとともに、S15にて第1蓄電装置4の蓄電状態(Soc1)が充電判定値以下でないと判断されると、S21に進み、FCC=10とする。上記の如くモード(FCC)が決定した後、S22にて前回処理で決定したモード(FCCO)に対し、今回処理で決定したモード(FCC)の変更有無について判定される。
【0067】
S22にてモード変更がないと判断された場合、S23に進み、決定されたFCCを維持するとともに、モード変更があると判断された場合、S24に進み、FCCNO=11とする。その後、S25にて第1モジュールM1及び第2モジュールM2におけるデューティ比(K1、K2)が算出された後、S26にてFCCNOに応じた回路制御(
図19a、19b参照)が行われ、続いて、S27にて今回処理決定されたモード(FCC)をFCCOに記憶し、S28にてインバータ制御が行われる。
【0068】
しかるに、K1は、第1モジュールM1におけるデューティ比を示すもので、K1=スイッチS1のオン時間/(スイッチS1のオン時間+スイッチS1のオフ時間)とされるとともに、K2は、第2モジュールM2におけるデューティ比を示すもので、K2=スイッチS3のオン時間/(スイッチS3のオン時間+スイッチS3のオフ時間)とされる。また、第1蓄電装置4における電圧をVdc1及び電流をIdc1とし、第2蓄電装置5における電圧をVdc2及び電流をIdc2とするとともに、インバータ2における電圧をVinv及び電流をIinvとして説明する。
【0069】
ここで、S25のデューティ比(K1、K2)の算出方法について、
図23のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、S1にてK2=0とし、S2にてK1=Vinv/Vdcなる演算式を実行してK1を求める。そして、S3にてIdc1cmd=ABS(Iinv)*Vinv/Vdc1(「ABS(Iinv)」は「Iinv」の絶対値)なる演算式を実行してIdc1cmdを求めた後、S4に進み、
図25のテーブルに基づいてIdc1maxを算出する。
【0070】
その後、S5にてIdc1cmdがIdc1maxより大きいか否か判定し、Idc1cmdがIdc1maxより大きいと判断された場合、S6に進み、FCCNO=2又は6であるか否か判定される。FCCNO=2又は6であると判断された場合、S10にてK2が算出(K2=Vdc1*(Idc1cmd-Idc1max)/(Vdc2*Iinv)なる演算式にて算出)されるとともに、S11にてK1が算出(K1=(Vinv-Vdc2*Idc2/Iinv)/Vdcなる演算式にて算出)される。
【0071】
また、S6にてFCCNO=2又は6でないと判断された場合、S7にてFCCNO=3であるか否か判定され、FCCNO=3であると判断された場合、S12にてK1が算出(K1=Vdc2/Vdc1なる演算式にて算出)される。一方、S5にてIdc1cmdがIdc1maxより大きくないと判断された場合、及びS7にてFCCNO=3でないと判断された場合、S8に進み、FCCNO=8であるか否か判定され、FCCNO=8であると判断された場合、S13にてK1が算出(K1=Vdc2(充電所定値)/Vdc1なる演算式にて算出)される。
【0072】
さらに、S8=FCCNOが8でないと判断された場合、S9に進み、FCCNO=9であるか否か判定され、FCCNO=9であると判断された場合、S14にてK1が算出(K1=Vdc2/Vdc1(充電所定値)なる演算式にて算出)されるとともに、FCCNO=9でないと判断された場合、一連の算出工程を終了する。
【0073】
さらに、S26の回路制御は、
図19a、19bに示す制御表に基づいて行われる。かかる制御表による制御内容について以下に説明する。
FCCNO=1のとき、第1モジュールM1が作動状態及び第2モジュールM2が非作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2がモータ力行時にDuty制御(周期TのDuty制御)されるとともに、半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3が遮断状態(オフ状態)及びスイッチS4が接続状態(オン状態)とされる。このとき、接続スイッチSR1は遮断状態(オフ状態)とされる。そして、FCCNO=1のとき、インバータ2の直流電圧制御は、
図20に示すテーブルAに基づいて行われる。
【0074】
かかるテーブルAによれば、PWM制御(pulse width modulation:パルス幅変調)でインバータ2の直流電圧制御が行われることを前提として、
図20に示すように、インバータ2の直流電圧をモータ1の回転数(ω)に応じて制御可能とされる。なお、後述するテーブルB~Cについても、PWM制御でインバータ2の直流電圧制御が行われることを前提としている。
【0075】
FCCNO=2のとき、第1モジュールM1及び第2モジュールM2が作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2がモータ力行時にDuty制御(周期2TのDuty制御)されるとともに、半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3、S4がモータ力行時にDuty制御(周期2TのDuty制御)される。このとき、接続スイッチSR1は遮断状態(オフ状態)とされる。そして、FCCNO=2のとき、インバータ2の直流電圧制御は、
図20に示すテーブルAに基づいて行われる。
【0076】
FCCNO=3のとき、第1モジュールM1及び第2モジュールM2が作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2がモータ力行時にDuty制御(周期TのDuty制御)されるとともに、半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3が遮断状態(オフ状態)及びスイッチS4が接続状態(オン状態)とされる。このとき、接続スイッチSR1は接続状態(オン状態)とされる。そして、FCCNO=3のとき、インバータ2の直流電圧制御は、
図22に示すテーブルCに基づいて行われる。
【0077】
FCCNO=4のとき、第2モジュールM2が作動状態及び第1モジュールM1が非作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2及び半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3、S4がモータ力行時に遮断状態(オフ状態)とされる。このとき、接続スイッチSR1は接続状態(オン状態)とされる。そして、FCCNO=4のとき、インバータ2の直流電圧制御は、
図22に示すテーブルCに基づいて行われる。
【0078】
FCCNO=5のとき、第1モジュールM1が作動状態及び第2モジュールM2が非作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2がモータ回生時にDuty制御(周期TのDuty制御)されるとともに、半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3が遮断状態(オフ状態)、第2スイッチS4が接続状態(オン状態)とされる。このとき、接続スイッチSR1は遮断状態(オフ状態)とされる。そして、FCCNO=5のとき、インバータ2の直流電圧制御は、
図21に示すテーブルBに基づいて行われる。
【0079】
FCCNO=6のとき、第1モジュールM1及び第2モジュールM2が作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2及び半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3、S4がモータ回生時にDuty制御(周期2TのDuty制御)される。このとき、接続スイッチSR1は遮断状態(オフ状態)とされる。そして、FCCNO=6のとき、インバータ2の直流電圧制御は、
図21に示すテーブルBに基づいて行われる。
【0080】
FCCNO=7のとき、第2モジュールM2が作動状態及び第1モジュールM1が非作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2及び半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3、S4がモータ回生時に遮断状態(オフ状態)とされる。このとき、接続スイッチSR1は接続状態(オン状態)とされる。そして、FCCNO=7のとき、インバータ2の直流電圧制御は、
図22に示すテーブルCに基づいて行われる。
【0081】
FCCNO=8のとき、第1モジュールM1及び第2モジュールM2が作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2がモータ停止時にDuty制御(周期TのDuty制御)されるとともに、半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3が遮断状態(オフ状態)及びスイッチS4が接続状態(オン状態)とされる。このとき、接続スイッチSR1は接続状態(オン状態)とされる。そして、FCCNO=8のとき、インバータ2の直流電圧制御は、
図22に示すテーブルCに基づいて行われる。
【0082】
FCCNO=9のとき、第1モジュールM1及び第2モジュールM2が作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2がモータ停止時にDuty制御(周期TのDuty制御)されるとともに、半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3が遮断状態(オフ状態)及びスイッチS4が接続状態(オン状態)とされる。このとき、接続スイッチSR1は接続状態(オン状態)とされる。そして、FCCNO=9のとき、インバータ2の直流電圧制御は、
図22に示すテーブルCに基づいて行われる。
【0083】
FCCNO=10のとき、第1モジュールM1及び第2モジュールM2が非作動状態とされ、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2及び半導体スイッチ素子11a、11bがモータ停止時に遮断状態(オフ状態)とされる。このとき、接続スイッチSR1は遮断状態(オフ状態)とされる。そして、FCCNO=10のとき、インバータ2の直流電圧制御は行われない。
【0084】
FCCNO=11のとき、半導体スイッチ素子10a、10bのスイッチS1、S2が切替時にDuty制御(周期TのDuty制御)されるとともに、半導体スイッチ素子11a、11bのスイッチS3及びスイッチS4が遮断状態(オフ状態)とされる。このとき、接続スイッチSR1は遮断状態(オフ状態)とされる。そして、FCCNO=11のとき、インバータ2の直流電圧制御は行われない。
【0085】
上記実施形態に係る電動車両によれば、直列に接続された第1モジュールM1と第2モジュールM2とがインバータ2に接続された回路を具備し、モータ1の力行時において、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御しつつ第1モジュールM1及び第2モジュールM2からインバータ2にエネルギを供給するので、2つのモジュールの電圧を別々に制御することができる。
【0086】
したがって、第1蓄電装置4及び第2蓄電装置5が分担してエネルギ供給を行いモータ1を力行させるとき、インバータ2の直流電圧(Vinv)を第1蓄電装置4及び第2蓄電装置5のうち電圧の低い蓄電装置の電圧未満に制御することができる。すなわち、直列に接続された第1モジュールM1と第2モジュールM2とがインバータ2に接続されることにより、インバータ2の直流電圧(Vinv)は、K1*Vdc1+K2*Vdc2で表すことができ、第1蓄電装置4の電圧(Vdc1)と第2蓄電装置5の電圧(Vdc2)とを加算した0V以上の任意の電圧に制御することができるので、インバータ2の直流電圧(Vinv)を第1蓄電装置4及び第2蓄電装置5のうち電圧の低い蓄電装置の電圧未満に制御することができるのである。
【0087】
また、モータ1は、力行及び回生可能とされるとともに、回生時において、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御しつつ第1モジュールM1及び第2モジュールM2でエネルギを回収するので、2つのモジュールの電圧を別々に制御することができる。したがって、第1蓄電装置4及び第2蓄電装置5が分担してエネルギ回収を行いモータ1を回生させるとき、インバータ2の直流電圧(Vinv)を第1蓄電装置4の電圧(Vdc1)と第2蓄電装置5の電圧(Vdc2)とを加算した0V以上の任意の電圧に制御することができる。
【0088】
さらに、第1モジュールM1と第2モジュールM2との間にリアクトル12が直列に接続されたので、第1モジュールM1及び第2モジュールM2のリアクトル12を共用することができ、部品点数を削減することができる。またさらに、第2蓄電装置5とグラウンドとを接続する回路を形成する接続スイッチSR1を具備し、モータ1の力行時において、接続スイッチSR1を接続状態とし、第1モジュールM1の電圧を制御しつつ第1モジュールM1及び第2モジュールM2からインバータ2にエネルギを供給するので、第1モジュールM1及び第2モジュールM2からインバータ2に対して並列にエネルギを供給することができ(Iinv=Idc1+Idc2、Idc1=f(K1))、モータ1の力行時に第1蓄電装置4の電流を任意に設定することができる。
【0089】
加えて、第1蓄電装置4の温度に基づいて当該第1蓄電装置4の温度状態を判断可能とされるとともに、モータ1の力行時において、第1蓄電装置4の温度が所定値以上の場合、接続スイッチSR1を接続状態とし、第2モジュールM2からインバータ2にエネルギを供給するので、第1蓄電装置4の温度上昇を抑制することができる。また、第1蓄電装置4の温度に基づいて当該第1蓄電装置4の温度状態を判断可能とされるとともに、モータ1の回生時において、第1蓄電装置4の温度が所定値以上の場合、接続スイッチSR1を接続状態とし、第2モジュールM2でエネルギを回生するので、第1蓄電装置4の温度上昇を抑制することができる。
【0090】
さらに、モータ1の停止時において、接続スイッチSR1を接続状態とし、第1モジュールM1の電圧又は電流を制御しつつ当該第1モジュールM1から第2モジュールM2にエネルギを供給するので、モータ1の停止時に第2蓄電装置5を充電することができ、車両走行時に第2モジュールM2のエネルギが不足してしまうのを抑制することができる。またさらに、モータ1の停止時において、接続スイッチSR1を接続状態とし、第1モジュールM1の電圧又は電流を制御しつつ当該第2モジュールM2から第1モジュールM1にエネルギを供給するので、モータ1の停止時に第1蓄電装置4を充電することができ、車両走行時に第1モジュールM1のエネルギが不足してしまうのを抑制することができる。
【0091】
しかるに、モータ1の力行時において、第1蓄電装置4の電流が所定値以下になるように、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御するので、第1蓄電装置4の温度が高いほど、第1蓄電装置4の温度上昇を抑制することができる。また、第1蓄電装置4の温度に基づいて当該第1蓄電装置4の温度状態を判断可能とされるとともに、
図24、25に示すように、第1蓄電装置4の温度が高いほど、第1蓄電装置4の電流の所定値を低く設定するので、第1蓄電装置4の電流が所定値(許容値)を超えてしまうのを確実に防止することができる。
【0092】
さらに、第2モジュールM2の電圧を制御する時、第2蓄電装置5の電圧に応じて第2モジュールM2の電圧を制御するので、第2蓄電装置5の電圧が変動した場合であっても第2モジュールM2の電圧の変動を防止することができる。またさらに、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御する時、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の何れか一方の電圧を制御する時に比べて、第1電力変換器10及び第2電力変換器11のデューティ周期を長く設定することにより、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御するときの単位時間あたりの半導体スイッチ素子のオン・オフ回数を低減させることができる。
【0093】
また、第1モジュールM1及び第2モジュールM2の電圧を制御する時、第1電力変換器10のデューティ周期中の電圧昇圧期間と第2電力変換器11のデューティ周期中の電圧昇圧期間との重複期間が低減するように制御(位相がずれるように制御)することにより、インバータ2の直流電圧(Vinv)の変動を低減させることができる。
【0094】
しかるに、第1蓄電装置4は、第2蓄電装置5より高電圧型の特性を有するので、第1蓄電装置4の出力電圧を降圧して第2蓄電装置5にエネルギを供給することができる。また、第1蓄電装置4の満充電時のエネルギ量は、第2蓄電装置5の満充電時のエネルギ量より多いので、第1蓄電装置4から第2蓄電装置5にエネルギを円滑に供給することができる。さらに、第1蓄電装置4は、交換可能なカセット型の蓄電装置から成るので、必要時に第1蓄電装置4を短時間で交換して、第1蓄電装置4から第2蓄電装置5にエネルギを安定して供給することができる。
【0095】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、
図31、32に示すように、第2モジュールM2とインバータ2との間にリアクトル12が直列に接続されたものであってもよい。また、
図33に示すように、第1モジュールM1とインバータ2との間にリアクトル12が直列に接続されたものであってもよい。どちらの場合も、先の実施形態と同様、第1モジュールM1と第2モジュールM2のリアクトル12を共用することができるので、部品点数を低減させることができる。
【0096】
さらに他の実施形態として、例えば半導体スイッチ素子10a、10b及び半導体スイッチ素子11a、11bを他の形態のスイッチとしてもよく、別個必要とされるスイッチを追加してもよい。また、半導体スイッチ素子は、MOSFETに代えてIGBTとしてもよい。さらに、モニタ15を具備しないもの、或いはバギー等の3輪車両又は4輪車両に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
第1蓄電装置及び第1電力変換器が接続された第1モジュールと、第2蓄電装置及び第2電力変換器が接続された第2モジュールと、直列に接続された第1モジュールと第2モジュールとがインバータに接続された回路とを具備し、モータの力行時において、第1モジュール及び第2モジュールの電圧を制御しつつ第1モジュール及び第2モジュールからインバータにエネルギを供給する電動車両であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 モータ
2 インバータ
3a 駆動輪メカブレーキ
3b 従動輪メカブレーキ
4 第1蓄電装置
4a 電圧検出センサ
4b 温度検出センサ
5 第2蓄電装置
5a 電圧検出センサ
6 アクセル操作手段
7 メカブレーキ操作手段
8 回生ブレーキ操作手段
9 ブレーキアクチュエータ
10 第1電力変換器
10a、10b 半導体スイッチ素子(MOSFET)
11 第2電力変換器
11a、11b 半導体スイッチ素子(MOSFET)
12 リアクトル(コイル)
13 ECU
14 スタートスイッチ
15 モニタ
16 インバータ制御部
17 回路制御部
18 メカブレーキ制御部
19 検知手段
Ta 駆動輪
Tb 従動輪
Vdc1 第一蓄電装置(電池)電圧
Vdc2 第二蓄電装置(キャパシタ)電圧
Vinv インバータ直流電圧
V1 S2端子平均電圧
V2 S4端子平均電圧
M1 第1モジュール
M2 第2モジュール
SR1 接続スイッチ
Ca、Cb、Cc 平滑コンデンサ