(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159845
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】ポリチオール組成物及びその応用
(51)【国際特許分類】
C07C 321/14 20060101AFI20231025BHJP
C08G 18/38 20060101ALI20231025BHJP
C07C 265/14 20060101ALI20231025BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20231025BHJP
G02C 7/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
C07C321/14
C08G18/38 076
C07C265/14
G02B1/04
G02C7/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157199
(22)【出願日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】202210420097.6
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522386758
【氏名又は名称】益豊新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(72)【発明者】
【氏名】孫 志利
(72)【発明者】
【氏名】梁 万根
(72)【発明者】
【氏名】崔 衛華
(72)【発明者】
【氏名】許 倩倩
(72)【発明者】
【氏名】費 瀟瑶
(72)【発明者】
【氏名】卞 文
【テーマコード(参考)】
2H006
4H006
4J034
【Fターム(参考)】
2H006BA01
4H006AA03
4H006AB46
4H006TA04
4J034BA06
4J034CA32
4J034CB04
4J034CB07
4J034CD08
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB03
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC09
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC17
4J034KD25
4J034KE02
4J034QB03
4J034QB14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造される光学材料の特性を改善することができ、特に材料の軟化温度を高くすることができ、耐衝撃性を改善することができる、ポリチオール組成物を提供する。
【解決手段】式(1)のチオール化合物と2,3-ジチオ(2-メルカプト)-1-プロパンチオールを含み、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率が0.01~3.0%であるポリチオール組成物。さらに、ポリチオール組成物は、単独で、または他のポリチオール化合物と混合して、触媒の存在下で一つまたは複数のポリイソシアネートと共に使用して、優れた光学特性を有する光学的に透明な材料を調製することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物および式(2)の化合物を含む、ことを特徴とするポリチオール組成物。
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記組成物中の式(1)の化合物の質量含有率が0.01~3.0%である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリチオール組成物。
【請求項3】
前記組成物中の式(1)の化合物の質量含有率が0.1~1.0%である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のポリチオール組成物。
【請求項4】
請求項1記載のポリチオール化合物とポリイソシアネートを含有する、ことを特徴とする光学材料用組成物。
【請求項5】
さらに他のポリチオール化合物を含有する、ことを特徴とする請求項4に記載の光学材料用組成物。
【請求項6】
前記ポリイソシアネートは、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、m-フェニレンビス(ジメチルメチレン)ジイソシアネート、ジチオジプロピルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、2,5‐ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ジイソシアネート-1,4-ジチアン、チオジヘキシルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)アダマンタン、ビス(イソシアナトメチル))テトラヒドロチオフェン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、トルエンジイソシアネート、o-トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートから選択される1種または複数種である、ことを特徴とする請求項4に記載の光学材料用組成物。
【請求項7】
前記ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン‐4,4’‐ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートおよび水添m-キシリレンジイソシアネートから選択される1種または複数種である、ことを特徴とする請求項4記載の光学材料用組成物。
【請求項8】
他のポリチオール化合物は、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、メタンジチオール、メタントリチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,2-ジメルカプトプロパン、1,3-ジメルカプトプロパン、1,4-ジメルカプトブタン、1,6-ジメルカプトヘキサン、2,2-ジメルカプトプロパン、1,2-ビス(2-メルカプトエトキシ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ))エタン、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、1,2-ジメルカプトエタン、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2-メルカプトメチル-1,3-ジメルカプトプロパン、2-メルカプトメチル-1,4-ジメルカプトブタン、1,2,3-トリメルカプトプロパン、2-(2-メルカプトエチルチオ)-1,3-ジメルカプトプロパン、2,4-ジメルカプトメチル-1,5-ジメルカプト-3-チアペンタン、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、1,4-ブタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリメルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラメルカプトプロピオネート、1,2-ジメルカプトシクロヘキサン、1,1,1-トリス(メルカプトメチル)プロパン、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3-ジメルカプトシクロヘキサン、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、1,4-ジメルカプトシクロヘキサン、1,3-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(4-メルカプトフェニル)スルホン、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2,5-ビス(2-メルカプトエチルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-1-チアン、2,5-ジメルカプトエチル-1-チアン、2,5-ジメルカプトメチルチオフェン、ビス(4-メルカプトフェニル)スルフィド、1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,2’-ジメルカプトビフェニル、ビス(4-メルカプトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-メルカプトフェニル)プロパン、4,4’-ジメルカプトビフェニル、ビス(4-メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)メタン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、2,2-ビス(4-メルカプトメチルフェニル)プロパン、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)エーテル、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)スルフィド、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールおよび3,4-チオフェンジチオールから選択される1種または複数種である、ことを特徴とする請求項5に記載の光学材料用組成物。
【請求項9】
上記光学材料用組成物に、光学材料用組成物の全質量の0.001%~0.2%の触媒を添加し、重合硬化させる、ことを特徴とする光学材料の製造方法。
【請求項10】
前記触媒は、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズオキシド、オクタン酸第一スズから選択される1種である、ことを特徴とする請求項9に記載の光学材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学樹脂の技術分野に関し、特にポリチオール組成物およびその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材料は、軽量で強靭で染色しやすいことから、近年、各種光学材料の作製に多用されている。メガネやレンズには、低比重、高透明度、低黄色度、高耐熱性、高強度、高屈折率、高アッベ数が求められる。屈折率が高いとレンズを薄くすることができ、アッベ数が高いとレンズの色収差を減らすことができる。
【0003】
このような優れた特性を持つポリチオカーボン系光学樹脂材料は近年重要な開発方向であり、この種の樹脂材料は主にポリチオール化合物とイソシアネートまたはエピスルフィド化合物から作られる。
【0004】
しかしながら、この化合物を含む光学材料用組成物から得られる樹脂材料は、軟化温度が低く、耐衝撃性が低いため、光学用途ではレンズが柔らかくなり、染色に影響を与え、得られるレンズの歩留まりが低下するという問題があり、生産コストが高くなる。改善する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、このような現状に鑑みて検討を行い、先行技術の欠点を解決することを目的として、ポリチオール組成物を提供する。本発明が提供するチオール組成物は、従来のチオール化合物に基づいて、特に式(2)の化合物である2,3-ジチオ(2-メルカプト)-1-プロパンチオールを含むまたはそれが単独に存在する場合、式(1)の化合物の含有量を一定範囲にすることによって、樹脂材料の軟化温度および耐衝撃性を大幅に改善することができる。
【0006】
本発明の技術的な解決策は以下を含む。
まず、本発明は、式(1)の化合物と式(2)の化合物とを含むポリチオール組成物を提供する。
【化1】
【化2】
【0007】
好ましくは、組成物中の式(1)の化合物の質量含量は、0.01~3.0%、より好ましくは0.1~1.0%である。
これらの中で、式(1)で表される化合物の製造については、美源商事株式会社の特許出願KR1020100119601Aを参照することができる。
【0008】
本発明は、さらに、前記ポリチオール組成物に基づいて、前記ポリチオール組成物およびポリイソシアネートを含む光学材料用組成物を提供する。この組成物は、他のポリチオール化合物を配合してもよい。
【0009】
前記ポリイソシアネートは、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、m-フェニレンビス(ジメチルメチレン)ジイソシアネート、ジチオジプロピルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、2、5-ジイソシアナトメチルチオフェン、2,5-ジイソシアナトメチル-1,4-ジチアン、2,5-ジイソシアナト-1,4-ジチアン、チオジヘキシルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)アダマンタン、ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、トルエンジイソシアネート、o-トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートから選択される1種または複数種である。好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、水素化m-キシリレンジイソシアネートから選択される1種または複数種である。より好ましくは、水添m-キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートから選択される1種である。
【0010】
前記光学材料用組成物において、前記の他のポリチオール化合物は、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、メタンジチオール、メタントリチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,2-ジメルカプトプロパン、1,3-ジメルカプトプロパン、1,4-ジメルカプトブタン、1,6-ジメルカプトヘキサン、2,2-ジメルカプトプロパン、1,2-ビス(2-メルカプトエトキシ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、1,2-ジメルカプトエタン、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2-メルカプトメチル-1,3-ジメルカプトプロパン、2-メルカプトメチル-1,4-ジメルカプトブタン、1,2,3-トリメルカプトプロパン、2-(2-メルカプトエチルチオ)-1,3-ジメルカプトプロパン、2,4-ジメルカプトメチル-1,5-ジメルカプト-3-チアペンタン、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、1,4-ブタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリメルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラメルカプトプロピオネート、1,2-ジメルカプトシクロヘキサン、1,1,1-トリス(メルカプトメチル)プロパン、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3-ジメルカプトシクロヘキサン、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、1,4-ジメルカプトシクロヘキサン、1,3-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(4-メルカプトフェニル)スルホン、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2,5-ビス(2-メルカプトエチルチオメチル))-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-1-チアン、2,5-ジメルカプトエチル-1-チアン、2,5-ジメルカプトメチルチオフェン、ビス(4-メルカプトフェニル)スルフィド、1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,2’-ジメルカプトビフェニル、ビス(4-メルカプトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-メルカプトフェニル)プロパン、4,4’-ジメルカプトビフェニル、ビス(4-メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)メタン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、2,2-ビス(4-メルカプトメチルフェニル)プロパン、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)エーテル、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)スルフィド、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3、4-チオフェンジチオールから選択される1種または複数種である。
【0011】
前記光学材料用組成物に、光学材料用組成物の全質量の0.001%~0.2%の触媒を添加し、重合硬化させることを特徴とする光学材料の製造方法。
【0012】
前記触媒は、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズオキシドおよびオクタン酸第一スズから選択され、好ましくはジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジクロリドである。
【0013】
光学材料の製造方法においては、触媒の添加の他、必要に応じて離型剤、紫外線吸収剤、調色剤、離型剤等を添加し、光学材料の性能をさらに向上させることができる。
【0014】
以上のように、本発明は、ポリチオール組成物を調製し、この組成物によって光学材料を調製するものである。式(1)で表されるチオール化合物の質量含有率を調整することにより、製造される光学材料の特性を改善することができ、特に材料の軟化温度を高くすることができ、耐衝撃性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、特定の実施形態と併せて以下にさらに説明され、それは当業者に本発明をさらに理解させることができるが、本発明の内容を限定することを意図するものではない。本発明に記載された原理に基づくすべての技術は、本発明の範囲に属する。
【0016】
軟化温度:DSC-3示差走査熱量計を使用して測定を行い、昇温速度は10℃/分であった。
衝撃強度:中心厚さ2.0mm、一定の曲率を持つ素材を、凸面を上にして機器に固定する。質量16g、32g、64g、90g、110gの鋼球を選定し、質量の小から大の順で1.27mの高さから材料表面の中央に落下させる。各質量の小球で3回測定し、材料表面のクラックの有無を検出し、材料表面にクラックのない最大の鋼球の質量を衝撃強度とする。例えば、90gの鋼球を3回衝突させても割れず、110gの鋼球を衝突させて割れた場合、この材料の衝撃強度は90gとなる。
硬化昇温プログラム:30℃で180分間維持、120分後に45℃に昇温、90分後に50℃に昇温、120分後に60℃に昇温、240分後に120℃に昇温、この温度で240分間維持、120分後に70℃に冷却する。
二次硬化昇温プログラム:120分後に30℃から120℃に昇温、120分保持後、60分後に70℃に冷却する。
【0017】
(実施例1)
水添キシリレンジイソシアネート49.8質量部をフラスコに加え、触媒(ジブチルスズジクロリド)0.10質量部、離型剤(ポリリン酸塩)0.10質量部を加え、10~30℃の条件下で攪拌溶解する。ポリチオール組成物30.2質量部、ペンタエリスリトールテトラメルカプトプロピオネート20.0質量部を加え、均一に攪拌する。真空ポンプを使用して脱気し、絶対圧力を350Pa以下に制御し、脱気時間を0.5~1.0時間にして混合溶液を調製した。その後、調整した混合溶液を直径80mm、中心厚2.0mmのモールドに流し込み、オーブンに入れて昇温硬化させ、硬化後に脱型して光学材料を得る。
【0018】
上記ポリチオール組成物は、式(1)の化合物と式(2)の化合物から構成され、式(1)の化合物を0.01質量%含む。上記ポリチオール組成物はさらに無関係な不純物を微量含んでいてもよい。
【0019】
(実施例2~10)
実施例1のポリチオール組成物は、以下のものに変更した。
ポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は0.05%である);
ポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は0.1%である);
ポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率が0.3%である);
ポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は0.5%である);
ポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は0.8%である);
ポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は1.0%である);
ポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は1.5%である);
ポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は2.0%である);
ポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は3.0%である);
その他の条件は変更せず、実施例2~10の光学材料を作製した。
【0020】
(比較例1)
実施例1のポリチオール組成物をポリチオール組成物(式(1)および式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の質量含有率が5.0%である)に変更し、その他の条件は変更せず、比較例1の光学材料を調製した。
【0021】
(比較例2)
実施例1のポリチオール組成物をポリチオール組成物(式(1)の化合物を含まず、式(2)の化合物からなる)に変更し、その他の条件は変更せず、比較例2の光学組成物を調製した。
【0022】
実施例1~10及び比較例1~2で製造された光学材料の性能をそれぞれ試験し、その結果を表1に示す。
【表1】
【0023】
(実施例11)
キシリレンジイソシアネート48.0質量部、触媒(ジブチルスズジクロリド)0.01質量部、離型剤(ポリリン酸塩)0.10質量部をフラスコに加え、10~20℃で攪拌溶解した。ポリチオール組成物48.0質量部(組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は0.5%)を添加し、均一に攪拌した。真空ポンプを使用して脱気し、絶対圧力を350Pa以下に制御し、脱気時間を0.5~1.0時間にして混合溶液を調製した。その溶液を直径80mm、中心厚2.0mmのモールドに注入し、オーブンで加熱硬化した。硬化後の光学材料を脱型し、得られた光学材料は二次硬化をし、性能測定を行った。屈折率は1.6605、軟化温度は89.3℃、衝撃強度は110gであった。
【0024】
(実施例12)
キシリレンジイソシアネート48.0質量部、触媒(ジブチルスズジクロリド)0.01質量部、離型剤(ポリリン酸塩)0.10質量部をフラスコに加え、10~20℃で攪拌溶解した。ポリチオール組成物48.0質量部(組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は0.1%)を添加し、均一に攪拌した。真空ポンプを使用して脱気し、絶対圧力を350Pa以下に制御し、脱気時間を0.5~1.0時間にして混合溶液を調製した。その溶液を直径80mm、中心厚2.0mmのモールドに注入し、オーブンで加熱硬化した。硬化後の光学材料を脱型し、得られた光学材料は二次硬化をし、性能測定を行った。屈折率は1.6605、軟化温度は89.1℃、衝撃強度は90gであった。
【0025】
(比較例3)
キシリレンジイソシアネート48.0質量部、触媒(ジブチルスズジクロリド)0.01質量部、離型剤(ポリリン酸塩)0.10質量部をフラスコに加え、10~20℃で攪拌溶解した。ポリチオール組成物(式(2)の化合物からなり、式(1)の化合物を含まない)48.0質量部を添加し、均一に攪拌した。真空ポンプを使用して脱気し、絶対圧力を350Pa以下に制御し、脱気時間を0.5~1.0時間にして混合溶液を調製した。その溶液を直径80mm、中心厚2.0mmのモールドに注入し、オーブンで加熱硬化した。硬化後の光学材料を脱型し、得られた光学材料は二次硬化をし、性能測定を行った。屈折率は1.6604、軟化温度は87.9℃、衝撃強度は32gであった。
【0026】
(比較例4)
キシリレンジイソシアネート48.0質量部、触媒(ジブチルスズジクロリド)0.01質量部、離型剤(ポリリン酸塩)0.10質量部をフラスコに加え、10~20℃で攪拌溶解した。ポリチオール組成物(式(1)と式(2)の化合物からなり、組成物中の式(1)の化合物の含有量は4%)48.0質量部を加え、均一に攪拌した。真空ポンプを使用して脱気し、絶対圧力を350Pa以下に制御し、脱気時間を0.5~1.0時間にして混合溶液を調製した。その溶液を直径80mm、中心厚2.0mmのモールドに注入し、オーブンで加熱硬化した。硬化後の光学材料を脱型し、得られた光学材料は二次硬化をし、性能測定を行った。屈折率は1.6605、軟化温度は86.7℃、衝撃強度は32gであった。
【0027】
(実施例13)
ヘキサメチレンジイソシアネート22.8質量部、イソホロンジイソシアネート10.0質量部、水添キシリレンジイソシアネート16.0質量部、触媒(ジブチルスズジクロリド)0.15質量部、剥離剤(ポリリン酸塩)0.10質量部をフラスコに加え、10~20℃で攪拌溶解した。請求項1に記載のポリチオール組成物33.0質量部(組成物中の式(1)で表される化合物の質量含有率は0.5%)、ペンタエリスリトールテトラメルカプトプロピオネート18.2質量部を添加し、均一に攪拌した。真空ポンプを使用して脱気し、絶対圧力を350Pa以下に制御し、脱気時間を0.5~1.0時間にして混合溶液を調製した。その溶液を直径80mm、中心厚2.0mmのモールドに注入し、オープンで加熱硬化した。硬化後の光学材料を脱型し、得られた光学材料は二次硬化をし、性能測定を行った。屈折率は1.5955、軟化温度は85.0℃、衝撃強度は110gであった。
【0028】
(実施例14)
ノルボルナンジイソシアネート49.6質量部、触媒(ジブチルスズジクロリド)0.03質量部、離型剤(ポリリン酸塩)0.75質量部をフラスコに加え、10~20℃で攪拌溶解した。請求項1に記載のポリチオール組成物(組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は1.0%)25.5質量部、ペンタエリスリトールテトラメルカプトプロピオネート23.9質量部を加え、均一に攪拌した。真空ポンプを使用して脱気し、絶対圧力を350Pa以下に制御し、脱気時間0.5~1.0時間にして混合溶液を調製した。その溶液を直径80mm、中心厚2.0mmのモールドに注入し、オープンで加熱硬化した。硬化後の光学材料を脱型し、得られた光学材料は二次硬化をし、性能測定を行った。屈折率は1.5940、軟化温度は118℃、衝撃強度は64gであった。
【0029】
(実施例15)
4,4-ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン59.4質量部、触媒(ジブチルスズジクロリド)0.10質量部、離型剤(ポリリン酸塩)0.75質量部をフラスコに加え、10~20℃で攪拌して溶解させた。請求項1記載のポリチオール組成物(組成物中の式(1)の化合物の質量含有率は1.0%)29.9質量部、ペンタエリスリトールテトラメルカプトプロピオネート10.7質量部を加え、均一に攪拌する。真空ポンプを使用して脱気し、絶対圧力を350Pa以下に制御し、脱気時間を0.5~1.0時間にして混合溶液を調製した。その溶液を直径80mm、中心厚2.0mmのモールドに注入し、オープンで加熱硬化した。硬化後の光学材料を脱型し、得られた光学材料を二次硬化し、性能測定を行った。屈折率は1.5956、軟化温度は121℃、衝撃強度は64gであった。
【0030】
上記の実施例および対応する比較例のデータから、本発明のポリチオール組成物の適用において、先行技術と比較して有意な技術的効果を有することがさらに検証され得る。製造された光学材料の性能は大幅に向上し、特に材料の軟化温度を上昇させ、耐衝撃性を向上させることができる。
【0031】
上記で開示された実施形態により、当業者は本発明を実施または使用することができる。これらの実施形態に対する様々な変更は、当業者には明らかである。本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態で実施され得る。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。