(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159906
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】液位検出装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/263 20220101AFI20231026BHJP
【FI】
G01F23/263
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069806
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】藤川 友明
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014EA10
(57)【要約】
【課題】温度や湿度等の周囲の環境によって電極が検知する液位の値にバラつきが生じ、正しく満水が検知できずに容器内の液体が溢れてしまう恐れがあった。
【解決手段】液体との間に静電容量を形成するセンサ3は、第1電極4と、第2電極5と、を有し、第1電極4は、液位の変化する方向としての縦方向に設けた軸部4aと、軸部4aと電気的に接続され、横方向に設けた複数の腕部4bを有し、腕部4bは、下端以外の複数の腕部4bの長さが等しく、下端の腕部4bが他の腕部4bよりも長く、第2電極5は第1電極4と回転対称に形成され、第1電極4と、第2電極5と、は、電気的に接続されず、第1電極4の下端以外の複数の腕部4bと、第2電極5の上端以外の複数の腕部5bと、が全て対向するように配置されたことにより、液位を精度よく推定できるため、正しく満水が検知できずに容器内の液体が溢れてしまう恐れがない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体貯留体中で増減する液体との間に静電容量を形成する2つの導電検出部材と、
静電容量の変化に応じて検出値を出力する静電容量検出手段と、
を設けた液位検出装置において、
一方の導電検出部材は、液位の変化する方向としての縦方向に設けた軸部と、前記軸部と電気的に接続され、横方向に設けた複数の腕部を有し、該腕部は、下端以外の複数の前記腕部の長さが等しく、下端の前記腕部が他の前記腕部よりも長く、他方の導電検出部材は前記一方の導電検出部材と回転対称に形成され、前記一方の導電検出部材と、前記他方の導電検出部材と、は、電気的に接続されず、前記一方の導電検出部材の下端以外の複数の前記腕部と、前記他方の導電検出部材の上端以外の複数の前記腕部と、が全て対向するように配置されたことを特徴とする液位検出装置。
【請求項2】
前記一方の導電検出部材と、前記他方の導電検出部材と、により形成された一対の導電検出部材は、上限の液位に対応する高さに前記一対の導電検出部材の上端を設け、下限の液位に対応する高さに前記一対の導電検出部材の下端を設けたことを特徴とする請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項3】
前記静電容量検出手段は、前記一方の導電検出部材の検出する静電容量と、前記他方の導電検出部材の検出する静電容量と、前記一方の導電検出部材の検出する静電容量と前記他方の導電検出部材の検出する静電容量との差分と、に応じて、上限の液位と、下限の液位と、上限の液位から下限の液位との間で可変の液位と、を推定することを特徴とする請求項2に記載の液位検出装置。
【請求項4】
前記静電容量検出手段は、前記一方の導電検出部材の検出する静電容量と、前記他方の導電検出部材の検出する静電容量と、予めもうけられた複数の前記腕部に対応する複数の液位に応じた所定の静電容量と、を比較する事で、上限の液位から下限の液位の間の液位を段階的に検出可能とする事を特徴とする請求項3に記載の液位検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器内の液体の液位を検出するための液位検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、複数個の電極を備え、基板と、複数個の電極対と、を備え、複数個の電極は、液位の変化量に対する静電容量が変化する電極を用いて、液位を検出するための液位検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電容量式の液位検出装置を用いた液位検知では、温度や湿度等の周囲の環境によってバラつきが生じ、正しく満水を検知できず、漏水の恐れがある。また、満水を検知するための別のセンサを設けると部品点数が増えてしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、液体貯留体中で増減する液体との間に静電容量を形成する2つの導電検出部材と、静電容量の変化に応じて検出値を出力する静電容量検出手段と、を設けた液位検出装置において、一方の導電検出部材は、液位の変化する方向としての縦方向に設けた軸部と、前記軸部と電気的に接続され、横方向に設けた複数の腕部を有し、該腕部は、下端以外の複数の前記腕部の長さが等しく、下端の前記腕部が他の前記腕部よりも長く、他方の導電検出部材は前記一方の導電検出部材と回転対称に形成され、前記一方の導電検出部材と、前記他方の導電検出部材と、は、電気的に接続されず、前記一方の導電検出部材の下端以外の複数の前記腕部と、前記他方の導電検出部材の上端以外の複数の前記腕部と、が全て対向するように配置されたことを特徴としている。
【0006】
また、本発明の請求項2では、前記一方の導電検出部材と、前記他方の導電検出部材と、により形成された一対の導電検出部材は、上限の液位に対応する高さに前記一対の導電検出部材の上端を設け、下限の液位に対応する高さに前記一対の導電検出部材の下端を設けたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明の請求項3では、前記静電容量検出手段は、前記一方の導電検出部材の検出する静電容量と、前記他方の導電検出部材の検出する静電容量と、前記一方の導電検出部材の検出する静電容量と前記他方の導電検出部材の検出する静電容量との差分と、に応じて、上限の液位と、下限の液位と、上限の液位から下限の液位との間で可変の液位と、を推定することを特徴としている。
【0008】
また、本発明の請求項4では、前記静電容量検出手段は、前記一方の導電検出部材の検出する静電容量と、前記他方の導電検出部材の検出する静電容量と、予めもうけられた複数の前記腕部に対応する複数の液位に応じた所定の静電容量と、を比較する事で、上限の液位から下限の液位の間の液位を段階的に検出可能とする事を特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、一方の電極と他方の電極とを用いて、精度良く液位を検出する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本実施形態の液位の変化に対するセンサの検出する静電容量の絶対値を表す図。
【
図3】本実施形態の液位の変化に対するセンサの検出する静電容量の差分を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
液位検出装置1は、図示しない液体貯留体中で増減する液体としての例えば水の液位を検出するために用いられる。
図1に示すように、液位検出装置1は、静電容量検出手段としての制御部2と、導電検出部材としてのセンサ3と、を備える。
【0012】
液位検出装置1は、センサ3で検知した静電容量は制御部2に入力され、入力された静電容量を元に液位を推定する。
【0013】
センサ3は、
図1に示すように、一方の導電検出部材としての第1電極4と、他方の導電検出部材としての第2電極5と、を一対の導電検出部材として備える。
【0014】
第1電極4は、液位の変化する方向としての縦方向に設けた軸部4aと、軸部4aと電気的に接続され、横方向に設けた複数の腕部4bを有する。軸部4aの高さ方向の長さは、腕部4bの最下部と、後述する腕部5bの最上部と、の高さに対応する長さを有する。軸部4aの横方向の長さは、静電容量の検出に支障がない程度の長さを有する。腕部4bは、下端以外の複数の腕部4bの長さが等しく、下端の腕部4bが他の腕部4bよりも長く形成されている。また、複数の腕部4bは、腕部4b間の間隔が均等になるように形成されている。腕部4bの高さ方向の長さと横方向の長さは、前述した腕部4bの下端と腕部4bの下端以外の長さの関係を満たした上で、静電容量の検出に支障がない程度の長さを有する。
【0015】
第2電極5は、第1電極4と回転対称に形成されている。第2電極5は、液位の変化する方向としての縦方向に設けた軸部5aと、軸部5aと電気的に接続され、横方向に設けた複数の腕部5bを有する。軸部5aの高さ方向の長さは、腕部4bの最下部と、腕部5bの最上部と、の高さに対応する長さを有する。軸部5aの横方向の長さは、静電容量の検出に支障がない程度の長さを有する。腕部5bは、上端以外の複数の腕部5bの長さが等しく、上端の腕部5bが他の腕部5bよりも長く形成されている。また、複数の腕部5bは、腕部5b間の間隔が均等になるように形成されている。腕部5bの高さ方向の長さと横方向の長さは、前述した腕部5bの上端と腕部5bの上端以外の長さの関係を満たした上で、静電容量の検出に支障がない程度の長さを有する。
【0016】
また、第1電極4と、第2電極5と、は、少なくとも電気的に接続されない程度の間隔が設けられ、第1電極4の下端以外の複数の腕部4bと、第2電極5の上端以外の複数の腕部5bと、が全て対向するように形成されている。
【0017】
下端の腕部4bは、所望の液位としての例えば空の液位に対応する高さに配置され、上端の腕部5bは、所望の液位としての例えば満水の液位に対応する高さに配置されている。
【0018】
次に、液位検出装置1を用いた液位の変化に応じた静電容量の検出値の変化について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1電極4と、第2電極5と、を用いて検出される液位の変化に応じて可変の静電容量を表している。第1電極4は液位が上昇すると液体と第1電極4との近接する面積が大きくなり、それに伴い第1電極4の検出する静電容量も大きくなっていく。第2電極5は液位が上昇すると液体と第2電極5との近接する面積が大きくなり、それに伴い第2電極5の検出する静電容量も大きくなっていく。この第1電極4と、第2電極5と、が検出する静電容量の値を予め設けた液位に対応する静電容量と比較する事で、液位を推定する事が可能となっている。
【0019】
次に、液位検出装置1を用いた空の液位と満水の液位との間で可変の液位を段階的に推定する方法について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1電極4と、第2電極5と、を用いて検出される液位の変化に応じて可変の静電容量を表している。第1電極4は液位が上昇すると液体と第1電極4との近接する面積が大きくなり、それに伴い第1電極4の検出する静電容量も大きくなっていく。第2電極5は液位が上昇すると液体と第2電極5との近接する面積が大きくなり、それに伴い第2電極5の検出する静電容量も大きくなっていく。制御部2は、この第1電極4と、第2電極5と、が検出する静電容量の値を予め設けた液位に対応する静電容量と比較する事で、液位を推定する事が可能となっている。
【0020】
この時、複数の腕部4bと腕部5bとに対応する液位では、第1電極4と第2電極5と液体との近接する面積は、軸部4aと軸部5aと腕部4bと腕部5bとの合計の面積となり、液位の変化に対する第1電極4と第2電極5との検出する静電容量は大きく変化する。また、複数の腕部4bと腕部5bとに対応しない液位では、第1電極4と第2電極5と液体との近接する面積は、軸部4aと軸部5aとの合計の面積となる。これにより、液位の変化に対する第1電極4と第2電極5との検出する静電容量は、腕部4bと腕部5bとに対応する液位の場合に対して小さく変化する。
【0021】
液位検出装置1は、第1電極4と第2電極5との検出する静電容量と、予め設けられた複数の腕部4bと腕部5bとに対応する液位に対応する静電容量とを比較する事により、複数の腕部4bと腕部5bとに対応する液位であるかを推定する。液位検出装置1は、推定された液位が、複数の腕部4bと腕部5bとに対応する液位である場合には、液位の変化に対する第1電極4と第2電極5との検出する静電容量は大きく変化する液位検知可能液位と判断する。一方、液位検出装置1は、推定された液位が、複数の腕部4bと腕部5bとに対応しない液位である場合には、液位の変化に対する第1電極4と第2電極5との検出する静電容量は小さく変化する液位検知不可能液位と判断する。液位検出装置1は、この液位検知可能液位のみ液位検知を行い、第1電極4と第2電極5との検出する静電容量と、予め設けられた複数の腕部4bと腕部5bとに対応する液位に対応する静電容量とを比較する。この事により、液位検出装置1は、第1電極4と第2電極5との検出する静電容量から複数の腕部4bと腕部5bとの何段目に対応する液位であるかを段階的に推定する。液位検出装置1は、液位検知不可能液位と判断した場合には液位検知を行わず、液位検知可能液位で推定された段階的な液位を保持する。この時、液位検知可能液位で推定された保持すべき段階的な液位が無い場合は、予め設けた初期値を用いる。又は、液位検出装置1は、例外的に液位検知不可能液位であっても、第1電極4と第2電極5との検出する静電容量から、近い段階的な液位を推定するなどして、制御に支障のない範囲で、段階的な液位を推定しても良い。
【0022】
次に、液位検出装置1を用いた空の液位と満水の液位との推定方法について、
図3を用いて説明する。
図3では、制御部2で算出される、可変の液位に応じて変化する、第1電極4と、第2電極5と、を用いて検出される静電容量の差分を表している。空の液位では、第1電極4と、第2電極5と、のすべての面が液体と近接しない事で第1電極4と、第2電極5と、液体と、の近接する面積が等しくなり、静電容量の差分は生じない。
【0023】
空の液位から液位が上昇し、腕部4bの下端に対応する液位に到達すると、第1電極4の下端と液体とが近接する面積は腕部4bの下端と軸部4aの下端との合計の面積となり、第2電極5の下端と液体とが近接する面積は軸部5aの下端の面積のみとなる。これにより、第1電極4と、第2電極5と、が液体と近接する面積に差が生じる。この時、液体と近接する面積は第1電極4に対して第2電極5が小さく上昇するため、第1電極4と、第2電極5と、の検出する静電容量にも差が生じ、差分は大きくなる。
【0024】
第1電極4の上端以外の複数の腕部4bと、第2電極5の下端以外の複数の腕部5bと、が全て対向するように形成されている。これにより、腕部4bの下端に対応する液位から液位が上昇し、腕部5bの上端に対応する液位に到達するまでは、第1電極4と、第2電極5と、が液体と近接する面積が等しく変化する。このため、第1電極4と、第2電極5と、の検出する静電容量に生じた差分は変化せず、一定の値となる。
【0025】
さらに液位が上昇し、腕部5bの上端に対応する液位に到達すると、第1電極4の上端と液体とが近接する面積は軸部4aの上端のみの面積となり、第2電極5の上端と液体とが近接する面積は軸部5aの上端と腕部5bの上端との合計の面積となる。これにより、第1電極4と、第2電極5と、が液体と近接する面積に差が生じる。この時、液体と近接する面積は第1電極4に対して第2電極5が大きく上昇するため、第1電極4と、第2電極5と、の検出する静電容量にも差が生じ、差分は小さくなる。
【0026】
腕部5bの上端に対応する液位よりも高い液位に到達すると、第1電極4と、第2電極5と、のすべての面が液体と近接する事で第1電極4と、第2電極5と、液体と、の近接する面積が等しくなり、静電容量の差分は生じない。
【0027】
液位検出装置1は、第1電極4と、第2電極5と、の検出する静電容量の絶対値が所定の値より小さく、第1電極4と、第2電極5と、の検出する静電容量の差分が生じていない場合に空の液位と推定する。
【0028】
液位検出装置1は、第1電極4と、第2電極5と、の検出する静電容量の絶対値が所定の値より大きく、第1電極4と、第2電極5と、の検出する静電容量の差分が生じていない場合に満水の液位と推定する。
【0029】
本実施形態によれば、液位検出装置1は、第1電極4と、第2電極5と、の検出する静電容量の絶対値と、第1電極4と、第2電極5と、の検出する静電容量の差分と、から空の液位と、満水の液位と、を推定する。この事で、液位検出装置1は、専用のセンサを用いなくても、誤検知無く空の液位と、満水の液位と、の推定が可能となる。
【0030】
また、本実施形態によれば、液位検出装置1は、液位検知可能液位のみ液位検知を行い、液位検知不可能液位と判断した場合には液位検知を行わず、液位を段階的に推定するので、高い感度で誤差なく液位の段階的な推定が可能となる。
【0031】
本実施形態では、液位検出装置1に用いられる第1電極4と、第2電極5と、は
図1のように軸部4aと軸部5aとの内側に腕部4bと腕部5bとが配置される一例を挙げて説明した。これによらず、図示しないが、腕部4bと腕部5bとは、軸部4aと軸部5aとの両側に配置されても良く、また、腕部4bと腕部5bとは、軸部4aと軸部5aとの外側に配置されても良い。
【符号の説明】
【0032】
2:制御部
3:センサ
4:第1電極
4a:軸部
4b:腕部
5:第2電極
5a:軸部
5b:腕部