(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159909
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】移送手段と収容手段との組合せ提示装置、移送手段と収容手段との組合せ提示プログラム、移送手段と収容手段との組合せ提示方法、及び移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0834 20230101AFI20231026BHJP
【FI】
G06Q10/08 308
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069815
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】520300057
【氏名又は名称】データバイザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】島田 孝司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特殊車両を用いた長距離幹線輸送における収容手段と移送手段との好適な組合せの候補を提示できる移送手段と収容手段との組合せ提示装置、移送希望者からの移送希望情報に適合した好適経路を提示できる移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置を提供する。
【解決手段】移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、移送対象の移送予定日において、かつ移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な収容手段及び移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、移送対象の移送予定日において移送対象を出発地から到着地まで移送するのに使用する、収容手段と移送手段との組合せの候補を提示する組合せ提示手段を有する移送手段と収容手段との組合せ提示装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、
前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、
前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する組合せ提示手段を有することを特徴とする、
移送手段と収容手段との組合せ提示装置。
【請求項2】
前記親和性情報が、前記収容手段保有機関と前記移送手段保有機関との輸送実績に基づき評価した関係性評価値であり、
前記使用可能性情報が、前記移送予定日において前記移送手段保有機関が保有している前記移送手段が待機中、運行の予約済、運行中、及び整備中のいずれかのステータス情報である、請求項1に記載の移送手段と収容手段との組合せ提示装置。
【請求項3】
前記組合せ提示手段が、前記関係性評価値が所定値以上であり、かつ前記ステータス情報が所定値の時に、前記関係性評価値と前記使用可能性情報とに基づき、前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する、請求項2に記載の移送手段と収容手段との組合せ提示装置。
【請求項4】
請求項1から2のいずれかに記載の組合せ提示装置と、
前記組合せ提示装置により提示された組合せの候補と、前記移送対象の移送希望者からの移送希望情報とに基づき、好適経路の候補を提示する経路提示手段と、を有することを特徴とする、
移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置。
【請求項5】
前記移送希望情報が、移送所要時間、移送コスト、及び、移送によるCO2排出量の少なくともいずれかである、請求項4に記載の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置。
【請求項6】
移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、
前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、
前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する処理をコンピュータに行わせることを特徴とする、
移送手段と収容手段との組合せ提示プログラム。
【請求項7】
移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、
前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、
前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する組合せ提示工程を含むことを特徴とする、
移送手段と収容手段との組合せ提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移送手段と収容手段との組合せ提示装置、移送手段と収容手段との組合せ提示プログラム、移送手段と収容手段との組合せ提示方法、及び移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路又は橋梁等のインフラを適正に維持した上で、道路法第47条の2に規定される特殊車両(以下、「特車」と称することもある)の利用を管理する「特車通行」制度の運用が複雑化しており、特に、被牽引車(トレーラ)を多く保有しRORO船の利用促進を期待する海運会社だけでなく、陸運会社も「特車通行」制度の管理及びデジタルトランスフォーメーション(DX)化に苦慮しているのが現状である。
【0003】
また、2024年には残業規制が厳格化され労働環境の厳しさに起因するドライバーの不足及び高齢化も進み、更に、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals(SDGs))の視点から、輸送時のCO2排出量の削減も求められるなど、運送業界は極めて厳しい状況に直面している。
【0004】
一方、IoT(Internet of Things)の普及によって複数の車載機(例えば、デジタルタコメーター(デジタコ)、ETC2.0、GPS捕捉機等)が一両(牽引する場合)の車両に搭載され始め、長距離幹線輸送の方式にも変化の兆しがあるものの、陸運会社は中小規模の会社が多くそれらの活用が適切になされていないという課題がある。
【0005】
このような背景の下、被牽引車(トレーラ)をシェアリング(共同利用)する動きも現れているが、個社単位での情報管理ですら不十分な状況であるため情報の利活用が進んでおらず、シェアリング機構に参加する運送事業者間の信頼関係が醸成されないという課題があるのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、特殊車両を用いた長距離幹線輸送における収容手段と移送手段との好適な組合せの候補を提示できる移送手段と収容手段との組合せ提示装置、移送手段と収容手段との組合せ提示プログラム、移送手段と収容手段との組合せ提示方法、及び、移送希望者からの移送希望情報に適合した好適経路を提示できる移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、
前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、
前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する組合せ提示手段を有することを特徴とする、
移送手段と収容手段との組合せ提示装置である。
<2> 前記親和性情報が、前記収容手段保有機関と前記移送手段保有機関との輸送実績に基づき評価した関係性評価値であり、
前記使用可能性情報が、前記移送予定日において前記移送手段保有機関が保有している前記移送手段が待機中、運行の予約済、運行中、及び整備中のいずれかのステータス情報である、前記<1>に記載の移送手段と収容手段との組合せ提示装置である。
<3> 前記組合せ提示手段が、前記関係性評価値が所定値以上であり、かつ前記ステータス情報が所定値の時に、前記関係性評価値と前記使用可能性情報とに基づき、前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する、前記<2>に記載の移送手段と収容手段との組合せ提示装置である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の組合せ提示装置と、
前記組合せ提示装置により提示された組合せの候補と、前記移送対象の移送希望者からの移送希望情報とに基づき、好適経路の候補を提示する経路提示手段と、を有することを特徴とする、
移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置である。
<5> 前記移送希望情報が、移送所要時間、移送コスト、及び、移送によるCO2排出量の少なくともいずれかである、前記<4>に記載の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置である。
<6> 移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、
前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、
前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する処理をコンピュータに行わせることを特徴とする、
移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムである。
<7> 移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、
前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、
前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する組合せ提示工程を含むことを特徴とする、
移送手段と収容手段との組合せ提示方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、特殊車両を用いた長距離幹線輸送における収容手段と移送手段との好適な組合せの候補を提示できる移送手段と収容手段との組合せ提示装置、移送手段と収容手段との組合せ提示プログラム、移送手段と収容手段との組合せ提示方法、及び、移送希望者からの移送希望情報に適合した好適経路を提示できる移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、企業特車関連情報の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、単車・トラクタ・トレーラテーブルの情報と、車検証テーブルの情報と、連結検討書テーブルの情報との関係を説明する図である。
【
図3】
図3は、単車・トラクタ・トレーラテーブルの情報と、車両予定表テーブルの情報と、運行予定表テーブルの情報との関係を説明する図である。
【
図4】
図4は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施例1における荷物を延岡から東京へ輸送する「海ルート」、「陸1ルート」、及び「陸2ルート」を示す概略図である。
【
図8】
図8は、実施例1における「海ルート」の詳細を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例1における「陸1ルート」の詳細を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例1における「陸2ルート」の詳細を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例2における移送手段と収容手段との組合せ提示方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(移送手段と収容手段との組合せ提示装置及び移送手段と収容手段との組合せ提示方法)
本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示装置は、移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する組合せ提示手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
【0011】
本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示方法は、移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する組合せ提示工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0012】
本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示方法は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示装置により好適に実施することができ、前記組合せ提示工程は前記組合せ提示手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0013】
本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示装置及び移送手段と収容手段との組合せ提示方法においては、特殊車両を用いた長距離幹線輸送における収容手段と移送手段との組合せの候補を提示することができる。
【0014】
<特殊車両>
前記特殊車両(特車)とは、車両の構造が特殊である車両、あるいは輸送する貨物が特殊な車両で、幅、長さ、高さ及び総重量のいずれかの一般的制限値を超えたり、橋、高架の道路、トンネル等で総重量、高さのいずれかの制限値を超える車両を意味する。
【0015】
前記構造が特殊である車両としては、例えば、トラッククレーン等の自走式建設機械、トレーラ連結車の特例5車種(バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ用、自動車運搬用)のほか、あおり型、スタンション型、船底型の追加3車種などが挙げられる。特例5車種と追加3車種を合わせて、特例8車種という。
前記輸送する貨物が特殊な車両としては、例えば、分割不可能なため、一般的制限値のいずれかを超える建設機械、大型発電機、電車の車体、電柱等の貨物をいう。
【0016】
<長距離幹線輸送>
前記長距離幹線輸送とは、輸送距離がおおよそ300kmを超える長距離輸送であり、例えば、延岡から東京への輸送、福岡から大阪への輸送、福岡から東京への輸送、北海道から東京への輸送、北海道から大阪への輸送などが挙げられる。
【0017】
<組合せ提示工程及び組合せ提示手段>
前記組合せ提示工程は、移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する工程であり、組合せ提示手段により実施される。
【0018】
前記組合せ提示手段としては、上記の機能を実現可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のコンピュータ、サーバ装置、携帯端末などを用いて実現することができる。前記携帯端末としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などを用いることができる。
【0019】
本発明においては、前記親和性情報が、前記収容手段保有機関と前記移送手段保有機関との輸送実績に基づき評価した関係性評価値であり、前記使用可能性情報が、前記移送予定日において前記移送手段保有機関が保有している前記移送手段が待機中、運行の予約済、運行中、及び整備中のいずれかのステータス情報であることが好ましい。
前記組合せ提示手段は、前記関係性評価値が所定値以上であり、かつ前記ステータス情報が所定値の時に、前記関係性評価値と前記使用可能性情報とに基づき、前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する。
【0020】
前記「移送対象」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、荷物、貨物、コンテナなどが挙げられる。
【0021】
前記「収容手段」としては、例えば、トレーラ等の被牽引車などが挙げられる。
前記「収容手段保有機関」としては、例えば、少なくとも収容手段を保有する企業・拠点(運送事業者)などが挙げられる。なお、「収容手段保有機関」は移送手段を有していても構わない。前記企業としては、例えば、陸運会社、海運会社、空運会社などが挙げられる。前記拠点とは、企業が有する事業所などが挙げられる。
【0022】
前記「出発地」とは、輸送経路における出発地点を意味し、移送対象の移送希望者からの依頼内容に応じて決められる。
前記「到着地」とは、輸送経路における到着地点を意味し、移送対象の移送希望者からの依頼内容に応じて決められる。
前記「輸送経路」とは、出発地から到着地までの「道すじ」を意味し、「輸送ルート」とも称する。
前記出発地点及び到着地点における「地点」としては、例えば、緯度経度の座標軸上で示される点としてもよく、住所や地域の名称などの範囲としてもよい。
前記「移送予定日」とは、移送対象を移送する年月日時の情報であり、移送対象の移送希望者からの依頼内容に応じて決められる。
【0023】
前記「移送手段」としては、例えば、「陸運」、「海運」、「空運」などがあり、国内の物流においては「陸運」と「海運」が大部分を占めている。
前記「陸運」とは、トラック、貨物列車等の「陸上の貨車を用いる輸送」を意味し、取り扱う輸送対象の範囲が広いことが特徴である。
前記「海運」とは、船、タンカー、フェリー、RORO船等の「海上の船舶を用いる輸送」を意味し、輸送に時間がかかるものの大量の貨物を輸送できるため、陸運や空運と比べて「コストが低い」という特徴がある。前記RORO船とは、貨物を積んだトラック又はシャーシ(荷台)ごと輸送する船舶を意味する。
前記「空運」とは、「航空機を使った輸送」を意味し、大量輸送や重量品輸送には向かないものの、小型で軽量な高付加価値商品(電子製品等)や緊急性の高い荷物を輸送する手段として有効である。
【0024】
前記「移送手段保有機関」としては、例えば、少なくとも移送手段を保有する企業・拠点(運送事業者)などが挙げられる。なお、「移送手段保有機関」は収容手段を有していても構わない。企業としては、陸運会社、海運会社、空運会社などが挙げられる。拠点とは、企業が有する事業所などが挙げられる。
【0025】
-親和性情報-
前記「親和性情報」としては、収容手段保有機関と移送手段保有機関の関係性の強弱を示す情報であり、前記収容手段保有機関と前記移送手段保有機関との輸送実績などに基づき評価した関係性評価値であることが好ましい。
前記輸送実績としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「実務的重点度」、「実車走行距離」、「空車走行距離」などが含まれる。
前記「実務的重点度」とは、各企業・拠点が地域圏内又は幹線・長距離における事業の本気度を1~100の値で表した指標である。主要な企業・拠点の実務的重点度は予めデータベースに登録されている。
前記「実車走行距離」とは、出発地から到着地までの走行経路で輸送対象(例えば、荷物)を運搬する走行距離である。主要な走行経路の出発地と到着地間の走行距離は予めデータベースに登録されている。
前記「空車走行距離」とは、実車走行前後の企業・拠点の拠点と出発地及び到着地間の輸送対象(例えば、荷物)を運搬しない走行距離である。主要な企業・拠点の拠点と出発地と到着地間の走行距離は予めデータベースに登録されている。
【0026】
前記組合せ提示手段は、前記関係性評価値が所定値以上の時に、前記関係性評価値と前記使用可能性情報とに基づき、前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する。
前記関係性評価値における所定値以上とは、例えば、配車マッチング可である関係性評価値が「8」以上であることを意味する。
【0027】
前記複数の企業・拠点間(前記収容手段保有機関と前記移送手段保有機関)の関係性の濃淡は、下記の表1に示す関係性評価値で表され、予めデータベースに登録されている。
前記関係性評価値は、初期及び定期的(例えば、半年程度)な見直し時に、登録・変更される。また、企業・拠点間の折衝・交渉等によって関係性の濃淡が変化した場合には、適宜当該データベースを更新する。初期の関係性評価値のディフォルト値は「5」とする。関係性評価値が「9」に近づくほど関係性が濃くなり、関係性評価値が「0」に近づくほど関係性が薄くなる。関係性評価値が「0」の場合は、絶対的競合相手となる。
【0028】
【0029】
前記関係性評価値は、各企業・拠点同士の関係性の濃淡を各企業・拠点の意向として登録する。同一の企業・拠点同士であっても、幹線・長距離と地域圏内の関係性の濃淡は異なる可能性が高いので、別々に登録する。
同じ企業であっても拠点が違えは異なる作戦でビジネスをするのが一般的であり、また、長距離幹線と地域圏内とで異なる作戦を持つのも一般的である。
一方、関係性の定義例で示したものは、(1)関係性評価値「1」~「3」においては、費用がかかるものを他社と均等に分担し、規模の経済でコストパフォーマンスを高める狙いと、(2)関係性評価値「6」~「9」においては、収集される情報を活用し、ビジネスの大幅な拡大を図る狙い、とに2分した。そのため、新たにシェアリング機構へ参加する事業者は、以下の3つに分類される。
[I]:当初から関係性評価値が「8」又は「9」のレベル
従来から懇意に連携している既参加の事業者から誘われたケース
[II]:ディフォルトの関係性評価値「5」のレベル
諸々の費用の負担軽減を目的とするケース
[III]:シェアリング機構への登録のみの関係性評価値「1」のレベル
従来から、深くはない関係にある既参加の事業者から誘われただけのケース
【0030】
企業・拠点間の関係性を深化させる視点に立ち返ると、ケース[I]は、既に関係性評価値が「8」又は「9」と深化しているので、更に深化させる必要はない。ケース[III]は、単に付き合いだけの参加なので、関係性評価値「2」、「3」、「4」のメリットを宣伝できるに過ぎない。と判断し、具体的な成果が期待できるのはケース[II]である。したがって、ケース[II]で関係性を高めることが望ましい。
【0031】
ここで、下記の表2に各企業・拠点同士の関係性の濃淡の一例を示す。この表2では、対角線の左下半分が幹線・長距離の分を、右上半分が地域圏内の分をそれぞれ表している。
【0032】
【0033】
-使用可能性情報-
前記「使用可能性情報」としては、前記移送予定日において前記移送手段保有機関が保有している前記移送手段が待機中、運行の予約済、運行中、及び整備中のいずれかのステータス情報などが挙げられる。
前記組合せ提示手段が、前記ステータス情報が所定値の時に、前記ステータス情報と前記親和性情報とに基づき、前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する。
前記ステータス情報における所定値とは、例えば、「0」(待機中)、「1」(運行の予約済)、又は「2」(運行中)を意味し、予めデータベースに登録されている。
なお、「0」(待機中)以外の「1」(運行の予約済)又は「2」(運行中)の場合には、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補となるには、前記移送手段の「利用可能予定日時」と前記収容手段の企業・拠点への「到着予定日時」との時間差が、例えば、±10分以内であることが必要となる。
【0034】
本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示装置及び移送手段と収容手段との組合せ提示方法においては、前記親和性情報と前記使用可能性情報とに基づき、収容手段と移送手段との組合せの候補を提示する。
前記組合せの候補の提示の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、組合せの候補の結果をコンピュータのディスプレイ又はタブレット端末(スマートフォン)に表示させたり、メールで送信したり、紙媒体に印刷してFaxする方法などが挙げられる。
前記組合せの候補が複数存在する場合には、前記組合せ提示手段によって1つの組合せの候補に確定される。
【0035】
各企業・拠点に関する情報、前記関係性評価値、及び前記ステータス情報などについては、以下に説明する<企業特車関連情報>、及び<各社保有情報>に保存されており、一元管理されている。
【0036】
<企業特車関連情報>
前記企業特車関連情報は、下記の表3に示す「企業・拠点レイヤ」、「車両レイヤ」、「車両補足レイヤ」、及び「特車申請関係レイヤ」の4つのレイヤにそれぞれ保存されている情報を統合した企業及び特殊車両に関する情報を一元管理したデータベースである。
前記4つのレイヤは、それぞれ下記の表3に示す各テーブルを有している。
【0037】
【0038】
(1)企業・拠点レイヤ
企業・拠点レイヤには、企業及び拠点に関する各種情報が保存されている。
前記企業・拠点レイヤに含まれるテーブルとしては、例えば、[トラック会社テーブル]、[海運会社テーブル]、[会社間関係性テーブル]などが挙げられる。なお、[トラック会社テーブル]と[海運会社テーブル]とをまとめて[トラック会社及び海運会社テーブル]と称することもある。
【0039】
(2)車両レイヤ
車両レイヤには、特殊車両に関する各種情報が保存されている。
前記車両レイヤに含まれるテーブルとしては、例えば、[単車テーブル]、[トラクタ(牽引車)テーブル]、「トレーラテーブル(以下、被牽引車を代表してトレーラとする)]などが挙げられ、これらのテーブルをまとめて、[単車・トラクタ・トレーラテーブル]と称することもある。
【0040】
(3)車両補足レイヤ
車両補足レイヤには、特殊車両に関する車両レイヤに保存されている以外の情報が保存されている。
前記車両補足レイヤに含まれるテーブルとしては、例えば、[車検証テーブル]、[連結検討書テーブル]などが挙げられる。
【0041】
(4)特車申請関係レイヤ
特車申請関係レイヤに含まれるテーブルとしては、例えば、[特車申請本編テーブル]、[特車申請(車両内訳書)(「以下、「車両内訳書」と称する)テーブル]などが挙げられる。
【0042】
<<企業・拠点レイヤ>>
企業・拠点レイヤは、トラック会社又は海運会社が1社でも可能であり、複数社の場合がシェアリングを行う場合となる。
前記企業・拠点レイヤにおけるトラック会社、及び海運会社に関する情報をまとめた[トラック会社及び海運会社テーブル]について、下記の表4に示す。これらの情報は、初期時(運用開始、会社追加、車両追加、特車申請・変更時)において、静的に、登録される。
【0043】
【0044】
企業・拠点間の関係性に関しては、特開2022-30758号公報の記載に準拠した形で定義する。
下記の表5の[会社間関係性テーブル]に示すように、関係性評価値が「8」は「配車マッチング可」であり、シェアリング関係にあることを意味する。固定値で「8」としてもよい(標準)。
【0045】
[会社間関係性テーブル]
【表5】
運用の自由化を保証するために、企業・拠点間でシェアリング(共有関係)を認めない場合には関係性評価値を「1」とする等の各々の企業・拠点間の事情を踏まえて設定してもよい。シェアリングエコノミーとしての基盤確立のためには、特開2022-30758号公報の記載の利用を推奨する。
【0046】
<<車両レイヤ>>
車両レイヤとしては、単車、トラクタ、及びトレーラに関する情報をまとめた[単車・トラクタ・トレーラテーブル]について、下記の表6に示す。これらの情報は、初期時(運用開始、会社追加、車両追加、特車申請・変更時)において、静的に、登録される。
【0047】
【0048】
表6における車載機としてのデジタルタコグラフ(デジタコ)、GPS捕捉機、及びETC2.0の特徴は、下記の表7に示すとおりである。
【0049】
【0050】
デジタルタコグラフ(「デジタコ」と略称することもある)は、国土交通省自動車局と厚生労働省が連携してトラック事業者、バス事業者の労働状況を可視化し運行記録の取得を義務化する目的で、機器の認定を行っている。民間企業約20社が認定機器を出荷しており、例えば、株式会社トランストロン、矢崎エナジーシステム株式会社などが挙げられる。本発明においては、クラウド型に強い株式会社トランストロン製のデジタコを使用するが、クラウド型であれば特に制限されるものではない。なお、デジタコは電源供給有り、GPS取得間隔は1秒間である。
【0051】
GPS捕捉機は、電源供給無し、被牽引車(トレーラ、コンテナ車のシャーシ部、ダブル連結)等、被牽引状態でしか動かないため、近年、位置情報の把握が物流事業者の課題になっている。そのため、民間企業数社が製品化に着手している。なお、GPS捕捉機は電源供給無し、GPS取得間隔は、電池寿命との関係で用途毎に5秒~1時間で変更可能である。
【0052】
ETC2.0は、国土交通省道路局が高速道路の課金対象のため、従来からETC車載機を規格化してきたが、道路の混雑状況などを取得するために、道路側に路側機を設置し車両がその周辺を通過した際に、車載機に蓄積されたデータをアップロードする仕組みである。なお、ETC2.0は電源供給有り、GPS取得間隔は200m、進行方向の累積変化が45°である。物流事業者向けの高速道路割引制度により導入促進中で民間企業約10社が認定機器を出荷しており、例えば、パナソニック株式会社などが挙げられる。
【0053】
<<車両補足レイヤ>>
車両補足レイヤとしては、下記の表8の[車検証テーブル]及び下記の表9の[連結検討書テーブル]がある。車検以外の点検に関する情報(3ヶ月点検、日常点検など)の管理が必要な場合、[車検証テーブル]又は[単車・トラクタ・トレーラテーブル]で管理すればよい。これらのテーブルの情報は、初期時(運用開始、会社追加、車両追加、特車申請・変更時)において、静的に登録される。
【0054】
下記の表8に示す[車検証テーブル]は、「自動車登録番号」を紐付けキーとして有している。
【0055】
【0056】
下記の表9に示す[連結検討書テーブル]は、牽引車の「車台番号」と被牽引車の「車台番号」を紐付けキーとして有している。
【0057】
[連結検討書テーブル]
【表9】
*表9中「連結可能グループID」は、以下に説明する<特車申請関係レイヤ>を管轄するキーである。
【0058】
<<特車申請関係レイヤ>>
特車申請関係レイヤでは、初期時(特車申請処理時、又は更新処理時)に登録される情報として、特車申請書に割り振られた「許可番号」に対し[連結検討書テーブル]の「連結可能グループID」を割り当る。
特車申請関係レイヤでは、下記の表10に示す特車申請情報の本編を管理する[特車申請本編テーブル]と、下記の表11に示す「特車申請本編テーブル」に属する「自動車登録番号」を管理する[車両内訳書テーブル]を用意する。
1件の特車申請に割り振られる許可番号に対して、[特車申請本編テーブル]を1個、[車両内訳書テーブル]を車両数の個数(トラクタ+トレーラ)で構成される。
【0059】
下記の表10に示す[特車申請本編テーブル]は「連結可能グループID」を管轄キーとしている。
【0060】
【0061】
下記の表11に示す[車両内訳書テーブル]は、「連結可能グループID」を管轄キーとして「自動車登録番号」を管理する。
なお、「特殊車両オンライン申請マニュアル」(国土交通省道路局、公益社団法人全日本トラック協会)の「代表車両番号」を管轄キーとすることも考えられる。しかし、前記「代表車両番号」を管轄キーとすると、該当する特殊車両が廃棄された場合などに変更の影響が大きいことから、本発明においては、論理的な番号体系として「連結可能グループID」を新たに設けた。
【0062】
【0063】
前記企業・拠点レイヤに含まれるテーブル、前記車両レイヤに含まれるテーブル、前記車両補足レイヤに含まれるテーブル、前記特車申請関係レイヤに含まれるテーブルにおける初期登録情報と、前記特殊車両に搭載した車載機から収集した現在のプローブ情報及び過去の蓄積したプローブ情報の少なくともいずれかと、に基づき、前記企業特車関連情報は更新される。
【0064】
前記現在のプローブ情報とは、特殊車両に搭載されている各車載機から所定の送信間隔で取得したリアルタイムなプローブ情報である。
前記過去の蓄積したプローブ情報とは、リアルタイムで取得した現在のプローブ情報を所定の期間蓄積したビックデータである。前記所定の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半年程度などが挙げられる。
【0065】
前記プローブ情報としては、例えば、下記の表12に示すように、「車両ID」、「走行ルートID」、「位置(経度、緯度)」、「速度」、「出発日時」、「出発地(経度、緯度)」、「到着日時」、「目的地(経度、緯度)」、「移動距離」、「所要時間」などのデータ項目が含まれる。
【0066】
【0067】
「車両ID」のデータ項目は、車載機が搭載されている当該車両を識別するためのデータであり、予め設定される。
「走行ルートID」のデータ項目は、目的をもってある出発地からある目的地へ移動する単位である走行ルートを識別するために用いられる。
「日時」及び「位置(経度、緯度)」のデータ項目は、各車載機に搭載されているGPS(Global Positioning System)ユニットにより取得される。
「速度」のデータ項目は、GPSユニットと同期させ、車載機が有する速度センサを用いて車両の車軸から取得される。
「出発日時」及び「出発地(経度、緯度)」のデータ項目は、当該走行ルートの出発日時及び出発地の経度緯度である。
「到着日時」及び「目的地(経度、緯度)」のデータ項目は、当該走行ルートの到着日時及び目的地の経度、緯度である。
「移動距離」のデータ項目は、出発地から現在地までの移動距離である。
「所要時間」のデータ項目は、出発地から現在地までの所要時間である。
【0068】
次に、前記企業特車関連情報に保存されている情報としては、例えば、(i)初期に登録される静的な情報、(ii)日常の運用で検証される動的な情報、(iii)準リアルタイムに更新される情報、(iv)半年毎程度のサイクルで検出結果として修正情報の候補としてフィードバックする情報、などがある。
【0069】
初期登録される静的な情報は、初期登録時(運用開始、企業・拠点追加、車両追加、特車申請・変更時)に、<車両レイヤ>に含まれるテーブル、<車両補足レイヤ>に含まれるテーブル、<特車申請関係レイヤ>に含まれるテーブル、<検出結果レイヤ>に含まれるテーブルにそれぞれ保存される。
日常の運用で検証される情報は、日常の運用時に統合した特車関連情報の整合性及び最新性を担保し、検証するために、動的に収集し、自動的に更新される。なお、車両の最新位置情報を把握するため、日常運用時に、逐次、<車両レイヤ>の[単車・トラック・トレーラテーブル]における「位置情報」及び「最新日時」を更新する。
【0070】
ここで、
図1に示す企業特車関連情報において、初期登録時(運用開始、企業・拠点追加、車両追加、特車申請・変更時)に、<企業・拠点レイヤ>、<車両レイヤ>、<車両補足レイヤ>、及び<特車申請関係レイヤ>に情報を静的に登録する。
【0071】
図1に示すように、日常運用時検証では、取得したプローブ情報に基づき、自動的に、<車両レイヤ>及び<特車申請関係レイヤ>に情報を更新する。具体的には、日常運用時に取得したプローブ情報において、単車とトラクタにおけるデジタコとETC2.0の「同体」状態、トラクタとトレーラとの[車両内訳書テーブル]の同一の連結可能グループIDにおけるデジタコとGPS捕捉機の「一式」状態の情報を収集し、検証して、適正に「同体」状態又は「一式」状態であると検証されたならば、自動的に<車両レイヤ>の[単車テーブル]又は「トラクタテーブル」、及び<特車申請関係レイヤ>の[連結検討書テーブル]の「最新検証日時」を更新する。
【0072】
また、日常の運用中に、デジタコ、ETC2.0、及びGPS捕捉機の各車載機で取得されたプローブ情報のうちの「位置情報」及び「最新日時」を、
図1に示すように<車両レイヤ>の「最新位置情報」として保存する。
【0073】
ここで、
図2を参照して、<<車両レイヤ>>における「単車・トラクタ・トレーラテーブル]の情報と、<<車両補足レイヤ>>における[車検証テーブル]及び[連結検討書テーブル]の情報との処理の関連性について説明する。
【0074】
図2に示すように、[車検証テーブル]の「自動車登録番号」である「宮崎100か1111」と一致する[単車・トラクタ・トレーラテーブル]の「自動車登録番号」を検索する。すると、の[トラクタテーブル]の「自動車登録番号」が「宮崎100か1111」が見つかり、[トラクタテーブル]から「自動車登録番号」が「宮崎100か1111」の「車台番号」が「SH1EDX-1234」であることがわかる。
次に、「車台番号」が「SH1EDX-1234」と一致する[連結検討書テーブル]の「車台番号」を検索すると、「牽引車」の車台番号「SH1EDX-1234」が見つかり、[連結検討書テーブル]から「被牽引車」の車台番号が「CTB34003-666」であることがわかり、「牽引車」の車台番号「SH1EDX-1234」と「被牽引車」の車台番号「CTB34003-666」との「連結可能グループID」が「T-00001-12345」であることがわかる。
【0075】
<各社保有情報>
各企業・拠点が保有している<各社保有情報>のうち、本発明に関連するものについて以下に説明する。
【0076】
<<各社従業員レイヤ>>
各社従業員レイヤは、初期時に登録される情報として、[現ドライバーテーブル]、[未ドライバーテーブル]などを含む。
[現ドライバーテーブル]は、現在既に従業員である者の情報を規定する。
[未ドライバーテーブル]は現在募集している(未来の)従業員の情報を規定する。
いずれのテーブルも勤務条件(日帰り必須又は宿泊可能、希望の勤務時間帯)の項目は必須入力とする。
【0077】
<<各社運行レイヤ>>
各社運行レイヤは、[運行予定表テーブル]などを含む。
下記の表13に示す[運行予定表テーブル]は、「運行情報-ID」を紐付けキーとして移送希望者(荷主)からの依頼(オーダー)に対応した運行予定情報に割り当てる車両と従業員を各々双方向でリンクさせる。
【0078】
【0079】
<<各社車両予定レイヤ>>
各社車両予定レイヤは、[車両予定表テーブル]などを含む。
下記の表14に示す[車両予定表テーブル]は、以下のような項目を保有する。
【0080】
【0081】
前記各社従業員レイヤに含まれるテーブル、前記各社運行レイヤに含まれるテーブル、前記各社車両予定レイヤに含まれるテーブルにおける初期登録情報と、前記特殊車両に搭載した車載機から収集した現在のプローブ情報及び過去の蓄積したプローブ情報の少なくともいずれかと、に基づき、前記各社保有情報は更新される。
【0082】
ここで、
図3を参照して、<<車両レイヤ>>における「単車・トラクタ・トレーラテーブル]の情報と、<<各社車両予定レイヤ>>における[車両予定表テーブル]の情報と、<<各社運行レイヤ>>における[運行予定表テーブル]の情報との関係について説明する。
【0083】
図3に示すように、[車両予定表テーブル]が存在し、企業・拠点の企業コードが「T-000001」であれば、[単車・トラクタ・トレーラテーブル]の「自動車登録番号」を検索すると、[トラクタテーブル]の「自動車登録番号」が「宮崎100か1111」が見つかり、[車両予定表テーブル]から「自動車登録番号」が「宮崎100か1111」のトラクタの利用可能予定日時がわかり、「運行情報-ID」が「TS-210702-101」であることがわかる。更に[運行予定表テーブル]から「運行情報-ID」が「TS-210702-101」のドライバーID及び到着予定日時などがわかる。
【0084】
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信工程、入力工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信手段、入力手段などが挙げられる。
【0085】
前記通信部としては、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置と通信可能なものであれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、送受信機、情報通信ネットワーク、インターネットなどが挙げられる。
【0086】
前記入力部としては、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置に対する各種要求を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。
【0087】
(移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置)
本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示装置と、経路提示手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置によると、移送希望者からの移送希望情報に適合した好適経路の候補を提示することができる。
【0088】
<経路提示手段>
前記経路提示手段は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示装置により提示された収容手段と移送手段との組合せの候補と、前記移送対象の移送希望者からの移送希望情報と、に基づき、好適経路の候補を提示する手段である。
前記経路提示手段としては、上記の機能を実現可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のコンピュータ、サーバ装置、携帯端末などを用いて実現することができる。前記携帯端末としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などを用いることができる。
【0089】
前記「移送希望者」としては、例えば、荷主などが挙げられる。
前記「移送希望情報」としては、例えば、移送所要時間、移送コスト、移送で生じるCO2排出量、他の移送希望情報などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記「移送所要時間」は、出発地から到着地までの所要時間である。
前記「移送コスト」は、移送に要するすべての費用である。
前記「移送によるCO2排出量」は、移送により生じるすべてのCO2排出量である。
前記「他の移送希望情報」としては、例えば、移送距離、移送に必要なドライバーの数、宿泊の必要なドライバーの数、勤務体制などが挙げられる。
【0090】
前記移送希望者からの移送希望情報が、例えば、「最速での輸送」である場合には、本発明の前記組合せ提示装置により提示された組合せの候補のうち、移送所要時間が最も短い組合せが好適経路となる。
前記移送希望者からの移送希望情報が、例えば、「急がないのでCO2排出量が少ない輸送」である場合には、本発明の前記組合せ提示装置により提示された組合せの候補のうち、移送によるCO2排出量が最も少ない組合せが好適経路となる。
【0091】
<その他の手段>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信手段、入力手段などが挙げられる。
【0092】
(移送手段と収容手段との組合せ提示プログラム)
本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムは、移送対象を収容する収容手段を保有する収容手段保有機関と、前記収容手段を移送する移送手段を保有する移送手段保有機関との間の親和性情報と、前記移送対象の移送予定日において、かつ前記移送対象の出発地から到着地までの経路において、使用可能な前記収容手段及び前記移送手段の存在に係る使用可能性情報と、に基づき、前記移送対象の移送予定日において前記移送対象を前記出発地から前記到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する処理をコンピュータに行わせる。
【0093】
本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムは、例えば、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示方法をコンピュータに実行させるプログラムとすることができる。また、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムにおける好適な態様は、例えば、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示方法における好適な態様と同様にすることができる。
【0094】
本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムは、使用するコンピュータシステムの構成及びオペレーティングシステムの種類・バージョンなどに応じて、公知の各種のプログラム言語を用いて作成することができる。
【0095】
本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムは、内蔵ハードディスク、外付けハードディスクなどの記録媒体に記録しておいてもよいし、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどの記録媒体に記録しておいてもよい。
更に、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムを、上記の記録媒体に記録する場合には、必要に応じて、コンピュータシステムが有する記録媒体読取装置を通じて、これを直接又はハードディスクにインストールして使用することができる。また、コンピュータシステムから情報通信ネットワークを通じてアクセス可能な外部記憶領域(他のコンピュータなど)に本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムを記録しておいてもよい。この場合、外部記憶領域に記録された本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムは、必要に応じて、外部記憶領域から情報通信ネットワークを通じてこれを直接、又はハードディスクにインストールして使用することができる。
なお、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムは、複数の記録媒体に、任意の処理毎に分割されて記録されていてもよい。
【0096】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムを記録してなる。
本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内蔵ハードディスク、外付けハードディスク、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどが挙げられる。
また、本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムが任意の処理毎に分割されて記録された複数の記録媒体であってもよい。
【0097】
以下では、装置の構成例などを用いて、本発明で開示する技術の一例を更に詳細に説明する。
図4に、本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置のハードウェア構成例を示す。
本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100においては、例えば、制御部101、主記憶装置102、補助記憶装置103、I/Oインタフェース104、通信インタフェース105、入力装置106、出力装置107、表示装置108が、システムバス109を介して接続されている。
【0098】
制御部101は、演算(四則演算、比較演算等)、ハードウェア及びソフトウェアの動作制御などを行う。制御部101としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)であってもよいし、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示方法に用いるマシンの一部であってもよく、これらの組み合わせでもよい。
制御部101は、例えば、主記憶装置102などに読み込まれたプログラム(例えば、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムなど)を実行することにより、種々の機能を実現する。
本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置における組合せ提示手段(組合せ提示部)及び経路提示手段(経路提示部)が行う処理は、例えば、制御部101により行うことができる。
【0099】
主記憶装置102は、各種プログラムを記憶するとともに、各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。主記憶装置102としては、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)の少なくともいずれかを有するものを用いることができる。
ROMは、例えば、BIOS(Basic Input/Output System)などの各種プログラムなどを記憶する。また、ROMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)などが挙げられる。
RAMは、例えば、ROMや補助記憶装置103などに記憶された各種プログラムが、制御部101により実行される際に展開される作業範囲として機能する。RAMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などが挙げられる。
【0100】
補助記憶装置103としては、各種情報を記憶できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。また、補助記憶装置103は、CDドライブ、DVDドライブ、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)ドライブなどの可搬記憶装置としてもよい。
また、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示プログラムは、例えば、補助記憶装置103に格納され、主記憶装置102のRAM(主メモリ)にロードされ、制御部101により実行される。
【0101】
I/Oインタフェース104は、各種の外部装置を接続するためのインタフェースである。I/Oインタフェース104は、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk ROM)、MOディスク(Magneto-Optical disk)、USBメモリ〔USB(Universal Serial Bus) flash drive〕などのデータの入出力を可能にする。
【0102】
通信インタフェース105としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、無線又は有線を用いた通信デバイスなどが挙げられる。
【0103】
入力装置106としては、本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100に対する各種要求や情報の入力を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。また、入力装置106がタッチパネル(タッチディスプレイ)である場合は、入力装置106が表示装置108を兼ねることができる。
【0104】
出力装置107としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、プリンタなどが挙げられる。
表示装置108としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられる。
【0105】
図5に、本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置の機能構成例を示す。
図5に示すように、本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100は、通信機能部120と、入力機能部130と、出力機能部140と、表示機能部150と、記憶機能部160と、制御機能部170とを備える。
【0106】
通信機能部120は、例えば、各種のデータを外部の装置と送受信する。通信機能部120は、例えば、外部の装置から、プローブ情報等のデータを受信してもよい。
入力機能部130は、例えば、本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100に対する各種指示を受け付ける。また、入力機能部130は、例えば、プローブ情報を受け付ける。
出力機能部140は、例えば、収容手段と移送手段との組合せの候補の結果、好適経路の候補の結果をプリントアウトする。
表示機能部150は、例えば、収容手段と移送手段との組合せの候補の結果、好適経路の候補の結果をディスプレイに表示する。
【0107】
記憶機能部160は、例えば、各種プログラムを記憶すると共に、企業特車関連情報DB161と、各社保有情報DB162と、マッチング結果DB163とを有する。
企業特車関連情報DB161は、企業・拠点レイヤのテーブルの情報、車両レイヤのテーブルの情報、車両補足レイヤのテーブルの情報、特車申請関係レイヤのテーブルの情報、及び検出結果レイヤのテーブルの情報を保存するDBである。
各社保有情報DB162は、各社従業員レイヤのテーブルの情報、各社運行レイヤのテーブルの情報、及び各社車両予定レイヤのテーブルの情報を保存するDBである。
マッチング結果DB163は、収容手段と移送手段との組合せの候補の結果、好適経路の候補の結果を保存するDBである。
【0108】
制御機能部170は、組合せ提示部171と、経路提示部172とを有する。制御機能部170は、例えば、記憶機能部160に記憶された各種プログラムを実行するとともに、本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100全体の動作を制御する。
【0109】
組合せ提示部171は、移送対象の移送予定日において前記移送対象を出発地から到着地まで移送するのに使用する、前記収容手段と前記移送手段との組合せの候補を提示する。
経路提示部172は、移送対象の移送希望者からの、移送所要時間、移送コスト、及び移送によるCO2排出量の少なくともいずれかの移送希望情報に基づき、好適経路の候補を提示する。
【0110】
ここで、
図6は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ経路提示方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、
図5を参照して、組合せ経路提示方法の処理の流れについて説明する。
【0111】
ステップS1では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、前記親和性情報と前記使用可能性情報とに基づき、収容手段と移送手段との組合せの候補を提示すると、処理をS2に移行する。
【0112】
ステップS2では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の経路提示部172は、前記移送希望者からの前記移送希望情報に基づき、好適経路の候補を提示すると、本処理を終了する。
【実施例0113】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0114】
(実施例1)
<企業特車関連情報に基づく輸送ルートの選択>
延岡のフォワーダーであるN社が、延岡の移送希望者(荷主)から17.4tの移送対象(荷物)を受け取り、延岡から東京へ長距離幹線輸送するケースを考える。
ルートとしては、陸路利用が「陸1ルート」及び「陸2ルート」の2つ、海路利用が「海ルート」の1つであり、各々の中継地点(企業・拠点)は、
図7に示す通りである。各ルートの移送所要時間、移送距離、移送により生じるCO
2排出量、必要なドライバーの数、宿泊の必要なドライバーの数、勤務体制などは、下記の表15~表18に示す通りである。
表19には、最大積載21tのトレーラは平均して17.4t積載しているという統計情報があることを示す。
表20には、トレーラの千t・km当りのCO
2排出量の固定値(標準値)、船舶の千t・km当りのCO
2排出量の固定値(標準値)を示す。
なお、CO
2排出量の固定値(標準値)は、資源エネルギー庁にて公開されている「ロジスティクス分野におけるCO
2排出量算定方法 共同ガイドラインVer3.1」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/ninushi/pdf/gidelinev3.1.pdf)に基づき算出した。
例えば、表16の「陸1ルート」における延岡から美東SAのCO
2排出量は、300km×17.4t×97.6kg-CO
2=509.47kg-CO
2である。
同様に、表18の「海ルート」における大分港から清水港のCO
2排出量は、850km×17.4t×51.2kg-CO
2=757.25kg-CO
2である。
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
また、N社はシェアリング機構に参加しており、各地の企業・拠点との関係性は、下記の表21に示す通りである。これらの情報は事前に「企業特車関連情報」に全て登録済である。
【0122】
【0123】
前記複数企業・拠点間の関係性の濃淡は、上記の表1の関係性評価値で表され、予めデータベースに登録されている。前記関係性評価値は、初期及び定期的(例えば、半年程度)な見直し時に、登録・変更される。また、企業・拠点間の折衝・交渉等によって関係性の濃淡が変化した場合には、適宜当該データベースを更新する。初期の関係性評価値のディフォルト値は「5」とする。関係性評価値が「9」に近づくほど関係性が濃くなり、関係性評価値が「0」に近づくほど関係性が薄くなる。関係性評価値が「0」の場合は、絶対的競合相手となる。
【0124】
<延岡から東京へ輸送するケース1>
-条件:CO
2排出量が最少で輸送-
延岡のフォワーダーであるN社は、延岡の移送希望者(荷主)から「急がないので、CO
2排出量が少ない手段で輸送して欲しい」という条件で依頼された。
N社は、海路利用が、CO
2排出量が少ないので、「海ルート」を選択し、
図8に示す手順で配車マッチングを行った。
【0125】
[手順]
以下の処理は、下記の(3)でドレージを始める前に並行して処理するので、下記の(4)及び(5)も実質的に事前に行い、配車マッチングを完了する。
(1)N社が荷主から、延岡から東京までの輸送を依頼され、送り状No.「12xy-0」のオーダーを発行する。
(2)延岡から大分港までは、N社が自らドレージする手配を行う(オーダーNo.「12xy-1」)。
(3)N社が宮崎県内にあるトラクタ及びトレーラを確定し、ドレージする。
(4)大分港からの海路に関しては、シェアリング機構に参加しているOP社とN社の関係が「8」なので、配車マッチングが成立する(オーダーNo.「12xy-2」)。
(5)清水港に到着する時刻が事前に分かるので、シェアリング機構に参加しているSP社とN社の関係が「8」なので、早めにSP社に手配をかける(オーダーNo.「12xy-3」)。
(6)清水港での引き取りとして(3)と同様の処理を行い、トラクタを確定し、ドレージする。
以上により、「海ルート」により、「急がないので、CO2排出量が少ない手段で輸送して欲しい」という移送希望者(荷主)のニーズに適合した適切な長距離幹線輸送を実現できた。
【0126】
<延岡から東京へ輸送するケース2>
-条件:最速で輸送-
延岡のフォワーダーであるN社は、延岡の移送希望者(荷主)から「最速で東京まで輸送して欲しい」という条件で依頼された。
N社は、「陸1ルート」と「陸2ルート」を比較すると「陸1ルート」が短時間なので、「陸1ルート」を選択し、
図9に示す手順で以下のようにして配車マッチングを行った。
【0127】
[手順]
以下の処理は(3)でドレージを始める前に並行して処理するので、(7)で配車マッチング不可(関係性評価値が「7」以下)になることは(3)のドレージ前に判明する。
(1)N社が荷主から、延岡から東京までの輸送を依頼され、送り状No.「13xy-0」のオーダーを発行する。
(2)延岡から美東SAまでは、N社が自らドレージする手配を行う(オーダーNo.「13xy-1」)。
(3)宮崎県内にあるトラクタ及びトレーラを確定し、ドレージする。
(4)美東SAから加西SAまでは、シェアリング機構に参加しているM8社とN社の関係性評価値が「8」なので、配車マッチングが成立する(オーダーNo.「13xy-2」)。
(5)美東SAの近傍にあるトラクタを対象に上記(3)と同様の処理を行い、トラクタを確定させ、ドレージする。
(6)加西SAから浜松SAまでは、シェアリング機構に参加しているK8社とN社の関係性評価値が「8」なので、配車マッチングが成立する(オーダーNo.「13xy-3」)。
(7)加西SAの近傍にあるトラクタを対象に上記(3)と同様の処理を行い、トラクタを確定させようとしたが、K8社のトラクタが全て出払っており、トラクタの確定ができない(配車マッチング不可)。その結果、「陸1ルート」の採用を断念した。
【0128】
<延岡から東京へ輸送するケース3>
-条件:最速で輸送-
上記<延岡から東京へ輸送するケース2>で「陸1ルート」が成立しなかったので「陸2ルート」を選択し、
図10に示す手順で以下のようにして配車マッチングを行った。
【0129】
[手順]
(8)N社が移送希望者(荷主)から、延岡から東京の輸送を依頼され、送り状No.「14xy-0」のオーダーを発行する。
(9)延岡から美東SAまでは、N社が自らドレージする手配を行う(オーダーNo.「14xy-1」)。
(10)宮崎県内にあるトラクタ及びトレーラを確定し、ドレージする。
(11)美東SAから勝央SAまでは、シェアリング機構に参加しているM8社とN社の関係性評価値が「8」なので、配車マッチングが成立する(オーダーNo.「14xy-2」)。
(12)美東SAの近傍にあるトラクタを対象に上記(10)と同様の処理を行い、トラクタを確定し、ドレージする。
(13)勝央SAから岡崎SAまでは、シェアリング機構に参加しているS8社とN社の関係性評価値が「8」なので、配車マッチングが成立する(オーダーNo.「14xy-3」)。
(14)勝央SAの近傍にあるトラクタを対象に上記(10)と同様の処理を行い、トラクタを確定し、ドレージする。
(15)岡崎SAから東京までは、シェアリング機構に参加しているO8社とN社の関係性評価値が「8」なので、配車マッチングが成立する(オーダーNo.「14xy-4」)。
(16)岡崎SAの近傍にあるトラクタを対象に上記(10)と同様の処理を行い、トラクタを確定し、ドレージする。
以上により、「陸2ルート」により、「最速で東京まで輸送して欲しい」という移送希望者(荷主)のニーズに適合した適切な長距離幹線輸送を実施できた。
【0130】
ここで、
図11は、本発明の移送手段と収容手段との組合せ提示方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、
図5、表4、表5、表6、表14などを参照して、組合せ提示方法の処理の流れについて説明する。なお、
図11に示す処理は、各企業・拠点の場所毎に行われる。
【0131】
ステップS11では、移送希望者(荷主)の依頼に基づき、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100に関係性を判定する企業・拠点が入力されると、処理をS11に移行する。なお、実施例2では、関係性の相手を「N社」とし、企業・拠点を「加西SA」とする。
【0132】
ステップS12では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、表4の[トラック会社及び海運会社テーブル]の「拠点住所」により企業・拠点を抽出すると、処理をS13に移行する。
【0133】
ステップS13では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、抽出した企業・拠点における「企業・拠点コード」から、表5の[会社間関係性テーブル]を特定し、関係性評価値を求めると、処理をS14に移行する。
【0134】
ステップS14では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、表5の[会社間関係性テーブル]における関係性評価値が「8」(配車マッチング可)以上の企業・拠点と、関係性評価値が「7」(配車マッチング不可)以下の企業・拠点とに分け、処理用の一時的な表に格納すると、処理をS15に移行する。
【0135】
ステップS15では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、関係性評価値が「8」(配車マッチング可)以上の企業・拠点が存在するか否かを判定し、関係性評価値が「8」以上の企業・拠点が存在する場合には、処理をS16に移行し、関係性評価値が「8」以上の企業・拠点が存在しない場合には、処理をS23に移行する。
【0136】
ステップS16では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、「企業・拠点コード」に基づき、表6の[単車・トラクタ・トレーラテーブル]を検索し、「ステータス」を抽出すると、処理をS17に移行する。
【0137】
ステップS17では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、「ステータス」が「0」(待機中)のトラクタが存在するか否かを判定し、「ステータス」が「0」(待機中)のトラクタが存在する場合には、処理をS18に移行し、「ステータス」が「0」(待機中)のトラクタが存在しない場合には、処理をS19に移行する。
【0138】
ステップS18では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、「ステータス」が「0」のトラックを確定すると、処理をS16に移行する。
【0139】
ステップS19では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、表6の[単車・トラクタ・トレーラテーブル]の「ステータス」が「1」(運行の予約済)又は「2」(運行中)のトラクタが存在するか否かを判定し、ステータスが「1」又は「2」のトラクタが存在する場合には、処理をS20に移行し、ステータスが「1」又は「2」のトラクタが存在しない場合には、処理をS15に移行する。
【0140】
ステップS20では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、表14の[車両予定表テーブル]とインタフェースをとり、当該トラクタの「利用可能予定日時」と、トレーラが企業・拠点に到着する到着予定日時との時間差を求めると、処理をS21に移行する。
【0141】
ステップS21では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、前記時間差が±10分以内であるか否かを判定し、前記時間差が±10分以内である場合には、処理をS22に移行し、前記時間差が±10分を超える場合には、処理をS19に移行する。
【0142】
ステップS22では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、前記時間差が±10分以内のトラックを確定すると、処理をS19に移行する。
【0143】
ステップS23では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、関係性評価値が「7」以下(配車マッチング不可)の企業・拠点が存在するか否かを判定し、関係性評価値が「7」以下の企業・拠点が存在する場合には、処理をS24に移行し、関係性評価値が「7」以下の企業・拠点が存在しない場合には、処理をS29に移行する。
【0144】
ステップS24では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、「企業・拠点コード」に基づき、表6の[単車・トラクタ・トレーラテーブル]を検索し、「ステータス」を抽出すると、処理をS25に移行する。
【0145】
ステップS25では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、表6の[単車・トラクタ・トレーラテーブル]の「ステータス」が「0」(待機中)、「1」(運行の予約済)又は「2」(運行中)のトラクタが存在するか否かを判定し、ステータスが「0」、「1」又は「2」のトラクタが存在する場合には、処理をS26に移行し、ステータスが「0」、「1」又は「2」のトラクタが存在しない場合には、処理をS23に移行する。
【0146】
ステップS26では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、表14の[車両予定表テーブル]とインタフェースをとり、当該トラクタの「利用可能予定日時」と、トレーラが企業・拠点に到着する到着予定日時との時間差を求めると、処理をS27に移行する。
【0147】
ステップS27では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、前記時間差が±10分以内であるか否かを判定し、前記時間差が±10分以内である場合には、処理をS28に移行し、前記時間差が±10分を超える場合には、処理をS25に移行する。
【0148】
ステップS28では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、前記時間差が±10分以内であるトラックを候補として提示すると、処理をS25に移行する。
【0149】
ステップS29では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、トラクタの候補数が1つ以上であるか否かを判定し、トラクタの候補数が1つ以上である場合には、処理をS30に移行し、トラクタの候補数が1つ未満である場合には、処理をS31に移行する。
【0150】
ステップS30では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、トラクタの候補が提示された企業・拠点の担当者に対して、N社との関係性が悪かったためにマッチングできなかった旨のメールを送信し、処理をS31に移行する。
【0151】
ステップS31では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、トラクタの確定数が1つ以上であるか否かを判定し、トラクタの確定数が1つ以上である場合には、処理をS32に移行し、トラクタの確定数が1つ未満である場合には、本処理を終了する。
【0152】
ステップS32では、移送手段と収容手段との組合せ経路提示装置100における制御機能部170の組合せ提示部171は、トラクタの確定数が複数である場合には、1つのトラクタに確定すると、本処理を終了する。なお、通常は、待機中のトラクタから順に確定される。
【0153】
(実施例2)
<陸海運横断配車の観点でマッチングした結果と最適な輸送ルートとの差分可視化>
-運送の要件の定義-
一般的に長距離幹線輸送ルートに求められる条件は、下記の表22に示すように、「CO2排出量が最少」と「所要時間が最短」という、相反する要件が求められる。
【0154】
【0155】
実施例1で提示した3つのケースは、上記の表22に示すように各々の要件が明示された場合である。ここで、長距離幹線輸送では、超大型の特殊車両が利用されるので、特車条件を遵守することは大前提になる。また、運送事業者としては、契約上その輸送を完遂することは基本中の基本であり、それに付随し安全で確実な輸送、及び交通規則の順守も基本である。これら基本条件を満たした上で、各ケースを見てみる。
【0156】
<延岡から東京へ輸送するケース1>
「CO2排出量が最少」という条件の視点から各ルートを評価すると、下記の表23に示すように「海ルート」が最適な輸送ルートであることがわかる。
【0157】
【0158】
<延岡から東京へ輸送するケース2及び3>
「所要時間が最速」という条件の視点から各ルートを評価すると、下記の表24に示すように「陸1ルート」が最適な輸送ルートであることがわかる。
【0159】
【表24】
今回実施した手順では、「陸1ルート」では(7)で配車マッチング不可となった関係で、(8)~(16)を行い、「陸2ルート」を選択したが、上記表24から、「陸2ルート」は最適な輸送ルートではないことがわかる。
【0160】
<最適な輸送ルートにならなかった原因の究明>
上記表21の「拠点の場所」の記載から、加西SAの近傍には、K8社とK5社の2つの企業・拠点がシェアリング機構に参加していることがわかる。なお、シェアリング機構に参加していない企業・拠点の存否状況は未登録であるため不明である。
K8社は3台のトラクタを有し、K5社は5台のトラクタを有することが「企業特車関連情報」からわかり、K8社が有する3台のトラクタが運行中であり、今回配車マッチングできないことから、上記(7)でトラクタを確定できず、最適な輸送ルートである「陸1ルート」が採用できない事態となった。
【0161】
並行してこの状況を詳しく把握するために、<<各社車両予定レイヤ>>の[車両予定表テーブル]とインタフェースをとり情報収集すると、K5社が有する5台のトラクタのうち、2台のトラクタはステータスが「2」(運行中)であり、「利用可能予定日時」とトレーラの企業・拠点への「到着予定日時」との時間差が±10分を超えるので配車マッチングできないが、他の2台のトラクタはステータスが「2」(運行中)であり、「利用可能予定日時」とトレーラの企業・拠点への「到着予定日時」との時間差が±10分以内であることがわかる。更に残りの1台のトラクタはステータスが「0」(待機中)であることがわかる。つまり、もし、K5社とN社との関係性評価値が「8」(配車マッチング可)以上であれば、K5社とN社が配車マッチングできたことになる。即ち最適な輸送ルートである「陸1ルート」が採用できることになり、社会的課題の解消に資することがわかる。
したがって、シェアリング機構が、K5社に対してN社との関係性評価値を「8」(配車マッチング可)以上となるように働きかけることが有意義であることがわかる。