(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159933
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20231026BHJP
H05K 3/12 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
H05K3/12 610P
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069867
(22)【出願日】2022-04-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】512310402
【氏名又は名称】ミナミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073324
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134898
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 克子
(72)【発明者】
【氏名】吉住 浩二
(72)【発明者】
【氏名】行森 美昭
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343FF14
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】 金属若しくは導電性の極小柱状ピンのワークの電極パッド部への搭載にあたり、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの開口部への入り込みを、スムーズに且つ確実に行うことができるようにする。
【解決手段】 開口部2を、金属若しくは導電性の極小柱状ピン3の直径よりも僅かに大きい内径の保持部2Aと、該保持部2Aの上部に連続し、該保持部2Aよりも大きい内径で且つ上端から下端までストレートの導入ガイド部2Bとをもって構成する。導入ガイド部2Bは、その高さH2が、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの長さの1/3程度の高さであり、且つその内径D2が、保持部2Aの内径D1に、金属若しくは導電性の極小柱状ピン3の長さの1/2程度の長さを加えた内径とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属若しくは導電性の極小柱状ピンをワークの電極パッド部に落とし込むための開口部を、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの直径よりも僅かに大きい内径の保持部と、該保持部の上部に連続する、該保持部よりも大きい内径で且つ上端から下端までストレートの導入ガイド部とをもって構成してなることを特徴とする金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスク。
【請求項2】
前記導入ガイド部は、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの長さの1/3程度の高さであり、且つ保持部の内径に、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの長さの1/2程度の長さを加えた内径である請求項1記載の金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスク。
【請求項3】
下面に、電極パッド部に塗布された接合用ペーストが接触しない高さを有し、ワークに形成された一群の電極パッド部を取り囲むリブを設けてなる請求項1又は2記載の金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、Cu-Pin(銅ピン)、Cu-Pillar(銅ピラー)、Cu-Post(銅ポスト)、Cu-Column(銅カラム)等と呼ばれる金属若しくは導電性の極小柱状ピンの、半導体ウェハやプリント基板等のワークの電極パッド部への搭載に用いるメタルマスクに関するものである。
【0003】
Package-on-Package(POP)などの半導体製品の製作にあたっては、ウェハやプリント基板等のワークの電極パッド部に印刷により半田ペースト等の接合用ペーストが塗布された後、ワークの電極パッド部に合わせたパターンの開口部を形成したメタルマスクを用い、該メタルマスクの開口部から金属若しくは導電性の極小柱状ピンを落とし込むことによって各電極パッド部にこれらを載せる作業が行われる。
【0004】
そして、従来の斯かる作業に用いられるメタルマスクは、その開口部の内径が、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの直径よりも僅かに大きい程度であると共に、開口部内は、上端から下端までストレート、即ち、入口側から出口側まで同一の内径である。したがって、開口部内の入口側が狭くフラットな状態であるから、金属若しくは導電性の極小柱状ピンが入りにくい。
【0005】
ところで、半導体製品の製作にあたり、搭載する部品が微細になるほど金属若しくは導電性の極小柱状ピンを載せる間隔は狭く且つ金属若しくは導電性の極小柱状ピンの高さは高くなっていく。そして、金属若しくは導電性の極小柱状ピンは、その長さが直径に比して高比率になると横転しやすくなる。そして、完全に横転した場合にはメタルマスクの開口部に落ち込まず、その上を通過してしまうことになる。
【0006】
このようなことから、従来のメタルマスクを用いた場合には、その開口部に金属若しくは導電性の極小柱状ピンを落とし込もうとしたときに、その開口部に該金属若しくは導電性の極小柱状ピンがスムーズに入り込まず、作業を円滑に行うことができないという問題点があった。
【0007】
そして、特に、金属若しくは導電性の極小柱状ピンは、半田ボール等の球状体のように、向きに関係なく、どこの面からでも転入するものではなく、円柱状であるから、長さ方向の一端側の面が開口部に向いていなければ落ち込まない。然るに、上記の如く、従来のメタルマスクの開口部は、内径が金属若しくは導電性の極小柱状ピンの直径よりも僅かに大きい程度であり且つ入口側も狭くフラットであることから、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの長さ方向の一端側が該開口部に入り込みにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、金属若しくは導電性の極小柱状ピンのワークの電極パッド部への搭載にあたり、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの開口部への入り込みを、スムーズに且つ確実に行うことができるようになしたメタルマスクを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して、本発明の要旨とするところは、金属若しくは導電性の極小柱状ピンをワークの電極パッド部に落とし込むための開口部を、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの直径よりも僅かに大きい内径の保持部と、該保持部の上部に連続する、該保持部よりも大きい内径で且つ上端から下端までストレートの導入ガイド部とをもって構成してなることを特徴とする金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスクにある。
【0010】
また、上記構成において、導入ガイド部は、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの長さの1/3程度の高さであり、且つ保持部の内径に、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの長さの1/2程度の長さを加えた内径であることが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、下面に、電極パッド部に塗布された接合用ペーストが接触しない高さを有し、ワークに形成された一群の電極パッド部を取り囲むリブを設けるようにしてもよい。尚、本明細書において使用する「接合用ペースト」の語には、半田ペーストに限らず、フラック材、銀ペースト等本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の材料を含むものでる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記の如き構成であり、開口部を、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの直径よりも僅かに大きい内径の保持部と、該保持部の上部に連続し、該保持部よりも大きい内径で且つ上端から下端までストレートの導入ガイド部とをもって構成したから、開口部の上部側、即ち、金属若しくは導電性の極小柱状ピンが入り込む側の開口面積が拡大され、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの長さ方向の一端側が開口部内に入って落ち込みやすくなるものである。また、完全に横転していても、金属若しくは導電性の極小柱状ピンは開口部の上部でバランスを崩し、その長さ方向の一端側が開口部に落ち込むことになるものである。また、導入ガイド部は上端から下端までストレートであり、もって導入ガイド部と保持部とは段状になっていることから、一旦傾きだすと一気に滑り落ちやすく、確実に落とすことができるものである。
【0013】
また、保持部内に落下した金属若しくは導電性の極小柱状ピンは、該保持部の内径が該金属若しくは導電性の極小柱状ピンの直径よりも僅かに大きい程度であることから、これを垂直に且つワークの電極パッド部の中心位置に立てることができるものである。
【0014】
また、下面に、電極パッド部に塗布された接合用ペーストが接触しない高さを有し、ワークに形成された一群の電極パッド部を取り囲むリブを設けた場合には、ワークの電極パッド部に塗布された接合用ペーストが、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスクの下面に付着することを防ぐことができ、もって該メタルマスクを洗浄する手間を省くことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスクの要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図中、1は金属若しくは導電性の極小柱状ピンをワークの電極パッド部(図示せず。)に落とし込むための開口部2を形成したメタルマスクである。また、3は金属若しくは導電性の極小柱状ピンである。
【0018】
また、前記開口部2は、金属若しくは導電性の極小柱状ピン3の直径よりも僅かに大きい内径の保持部2Aと、該保持部2Aの上部に連続する、該保持部2Aよりも大きい内径で且つ上端から下端までストレートの導入ガイド部2Bとをもって構成している。
【0019】
そしてまた、前記導入ガイド部2Bは、その高さH2が、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの長さの1/3程度の高さであり、且つその内径D2が、保持部2Aの内径D1に、金属若しくは導電性の極小柱状ピン3の長さの1/2程度の長さを加えた内径としている。
【0020】
また、下面に、電極パッド部に塗布された接合用ペーストが接触しない高さH3を有し、ワークに形成された一群の電極パッド部を取り囲むリブ1Aを設けたから、ワークの電極パッド部に塗布された接合用ペーストが、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスク1の下面に付着することを防ぐことができ、もって該メタルマスク1を洗浄する手間を省くことができるものである。尚、前記リブ1Aの内面と電極パッド部との間には、接触しない程度の適宜の隙間を設けている。
【0021】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態は、上記の如き構成であり、開口部2を、金属若しくは導電性の極小柱状ピン3の直径よりも僅かに大きい内径の保持部2Aと、該保持部2Aの上部に連続し、該保持部2Aよりも大きい内径で且つ上端から下端までストレートの導入ガイド部2Bとをもって構成したから、開口部2の上部側、即ち、金属若しくは導電性の極小柱状ピン3が入り込む入口側の開口面積が拡大され、金属若しくは導電性の極小柱状ピン3の長さ方向の一端側が開口部内に入って落ち込みやすくなるものである。また、完全に横転していても、金属若しくは導電性の極小柱状ピン3は開口部2の上部でバランスを崩し、その長さ方向の一端側が開口部2に落ち込むことになるものである。また、導入ガイド部2Bは上端から下端までストレートであり、もって導入ガイド部と保持部とは段状になっていることから、一旦傾きだすと一気に滑り落ちやすく、確実に落とすことができるものである。
【0022】
また、保持部2A内に落下した金属若しくは導電性の極小柱状ピン3は、該保持部2Aの内径が該金属若しくは導電性の極小柱状ピン3の直径よりも僅かに大きい程度であることから、これを垂直に且つワークの電極パッド部の中心位置に立てることができるものである。尚、本実施形態に係る開口部2を有するメタルマスク1は、メッキ工程を増やすことによって製作するものである。
【0023】
また、下面に、電極パッド部に塗布された接合用ペーストが接触しない高さH3を有し、ワークに形成された一群の電極パッド部を取り囲むリブ1Aを設けたから、ワークの電極パッド部に塗布された接合用ペーストが、金属若しくは導電性の極小柱状ピンの搭載用メタルマスク1の下面に付着することを防ぐことができ、もって該メタルマスク1を洗浄する手間を省くことができるものである。
【符号の説明】
【0024】
1 メタルマスク
1A リブ
2 開口部
2A 開口部の保持部
2B 開口部の導入ガイド部
3 金属若しくは導電性の極小柱状ピン