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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159948
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】圧着前端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069893
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 竣哉
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB02
5E085CC03
5E085DD14
5E085FF01
5E085JJ35
(57)【要約】
【課題】連結部の強度アップを図り、外力を受けた場合に連結部の後端が曲げの起点となることを抑制する。
【解決手段】本開示の圧着前端子10は、電線Wに圧着される前の圧着前端子10であって、端子接続部20と、端子接続部20の後方に配されて電線Wに接続される電線接続部30と、端子接続部20と電線接続部30を連結する連結部40と、を備え、端子接続部20は、第1底壁21と、一対の第1側壁22と、を備え、連結部40は、第2底壁41と、一対の第2側壁42と、を備え、電線接続部30は、第3底壁32と、一対の第3側壁33と、を備え、電線接続部30は電線Wに圧着されるようになっており、第2側壁42は、第3側壁33における第3底壁32から最も離れた頂点33Tに至る範囲で第3側壁33に一体に形成され、かつ第2側壁42の全高にわたって第3側壁33に連結されている、圧着前端子10である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に圧着される前の圧着前端子であって、
端子接続部と、
前記端子接続部の後方に配されて前記電線に接続される電線接続部と、
前記端子接続部と前記電線接続部を連結する連結部と、を備え、
前記端子接続部は、第1底壁と、前記第1底壁の両側縁から立ち上がる一対の第1側壁と、を備え、
前記連結部は、前記第1底壁に連なる第2底壁と、前記第2底壁の両側縁から立ち上がる一対の第2側壁と、を備え、
前記電線接続部は、前記第2底壁に連なる第3底壁と、前記第3底壁の両側縁から立ち上がる一対の第3側壁と、を備え、
前記電線接続部は、前記第3底壁に載せた前記電線の端末部に対し前記一対の第3側壁を湾曲変形させながら巻き付けることで、前記電線に圧着されるようになっており、
前記第2側壁は、前記第3側壁における前記第3底壁から最も離れた頂点に至る範囲で前記第3側壁に一体に形成され、かつ前記第2側壁の全高にわたって前記第3側壁に連結されている、圧着前端子。
【請求項2】
前記第2側壁は、前記第1側壁における前記第1底壁から最も離れた頂点には至らない範囲で前記第1側壁に一体に形成され、かつ前記第2側壁の全高にわたって前記第1側壁に連結されており、
前記第2側壁のうち前記第3側壁の頂点との連結部は、前記第2底壁から最も高くなるように形成されている、請求項1に記載の圧着前端子。
【請求項3】
前記第2側壁の前端部には、前記第2底壁からの立ち上がり端縁が前記第1側壁の後端縁に対して滑らかに連なるように曲線状をなす応力緩和部が形成されている、請求項1または請求項2に記載の圧着前端子。
【請求項4】
前記第2側壁のうち前記第2底壁からの立ち上がり端縁は、前記応力緩和部と、前記応力緩和部から前記第3側壁の頂点に向けて直線状にのびて形成されたストレート部と、を備える、請求項3に記載の圧着前端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電線に圧着される前の圧着前端子に関する。
【背景技術】
【0002】
電線に圧着される端子として、特開2012-54107号公報(下記特許文献1)に記載の端子金具が知られている。この端子金具は、角筒状の箱部と、箱部の後方に配されたオープンバレル状の圧着部と、箱部の後端と圧着部の前端とを連結する連結部と、を有している。連結部は、底壁部の両側縁から一対の側板部を立ち上げた略U字形をなしている。底板部の前端は、箱部を構成する底壁部に連なり、底板部の後端は、圧着部を構成する載板部に連なっている。側板部の前端は、底壁部の側縁から立ち上がる側壁部に連なり、側板部の後端は、載板部の側縁から立ち上がる第1カシメ片に連なっている。圧着部においては、載板部に載せた電線の端末部に対し第1カシメ片を湾曲変形させながら巻き付けることで、電線が圧着されている。側板部の立ち上がり端縁部には、側壁部に連なる前端から第1カシメ片に連なる後端まで連続した形態であって、内側に巻き込まれるように湾曲した領域を有する補強部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-54107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の端子金具では、圧着前の状態で側板部の立ち上がり端縁が第1カシメ片の頂点よりも低い位置で第1カシメ片の前縁に連結されている。このような構成によると、補強部によって連結部がある程度補強されるものの、端子金具の小型化に伴って素材となる金属板の薄板化がさらに進んでいくと、連結部の曲げに対する強度低下が懸念される。また、端子金具の小型化とともに電線が細径化していくと、圧着部が低背化し、外力を受けた場合に依然として連結部の後端が曲げの起点となってしまう。したがって、端子金具の小型化および電線の細径化を達成するにはこれまで以上に連結部の強度アップが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の圧着前端子は、電線に圧着される前の圧着前端子であって、端子接続部と、前記端子接続部の後方に配されて前記電線に接続される電線接続部と、前記端子接続部と前記電線接続部を連結する連結部と、を備え、前記端子接続部は、第1底壁と、前記第1底壁の両側縁から立ち上がる一対の第1側壁と、を備え、前記連結部は、前記第1底壁に連なる第2底壁と、前記第2底壁の両側縁から立ち上がる一対の第2側壁と、を備え、前記電線接続部は、前記第2底壁に連なる第3底壁と、前記第3底壁の両側縁から立ち上がる一対の第3側壁と、を備え、前記電線接続部は、前記第3底壁に載せた前記電線の端末部に対し前記一対の第3側壁を湾曲変形させながら巻き付けることで、前記電線に圧着されるようになっており、前記第2側壁は、前記第3側壁における前記第3底壁から最も離れた頂点に至る範囲で前記第3側壁に一体に形成され、かつ前記第2側壁の全高にわたって前記第3側壁に連結されている、圧着前端子である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、連結部の強度アップを図ることができ、外力を受けた場合に連結部の後端が曲げの起点となることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、圧着前端子を斜め後方から見た斜視図である。
図2図2は、圧着前端子を斜め前方から見た斜視図である。
図3図3は、圧着前端子の側面図である。
図4図4は、圧着前端子の平面図である。
図5図5は、端子付き電線を斜め後方から見た斜視図である。
図6図6は、端子付き電線を斜め前方から見た斜視図である。
図7図7は、端子付き電線の側面図である。
図8図8は、端子付き電線の平面図である。
図9図9は、端子付き電線の一部を拡大して示した側面図である。
図10図10は、端子付き電線の一部を拡大して示した平面図である。
図11図11は、図10のA-A断面図である。
図12図12は、図10のB-B断面図である。
図13図13は、図10のC-C断面図である。
図14図14は、図10のD-D断面図である。
図15図15は、図10のE-E断面図である。
図16図16は、図10のF-F断面図である。
図17図17は、圧着前端子の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の圧着前端子は、電線に圧着される前の圧着前端子であって、端子接続部と、前記端子接続部の後方に配されて前記電線に接続される電線接続部と、前記端子接続部と前記電線接続部を連結する連結部と、を備え、前記端子接続部は、第1底壁と、前記第1底壁の両側縁から立ち上がる一対の第1側壁と、を備え、前記連結部は、前記第1底壁に連なる第2底壁と、前記第2底壁の両側縁から立ち上がる一対の第2側壁と、を備え、前記電線接続部は、前記第2底壁に連なる第3底壁と、前記第3底壁の両側縁から立ち上がる一対の第3側壁と、を備え、前記電線接続部は、前記第3底壁に載せた前記電線の端末部に対し前記一対の第3側壁を湾曲変形させながら巻き付けることで、前記電線に圧着されるようになっており、前記第2側壁は、前記第3側壁における前記第3底壁から最も離れた頂点に至る範囲で前記第3側壁に一体に形成され、かつ前記第2側壁の全高にわたって前記第3側壁に連結されている、圧着前端子である。
【0009】
第2側壁が第3側壁の頂点に至る範囲で第3側壁に一体に形成されているから、曲げの起点になるような凹みが連結部の後端に形成されず、外力を受けた場合に連結部の後端が曲げの起点になることを抑制できる。また、第2側壁が全高にわたって第3側壁に連結されているから、第2側壁から第3側壁に応力を伝えやすくなり、連結部の後端にかかる応力を緩和しやすくなり、連結部の強度アップを図ることができる。
【0010】
(2)前記第2側壁は、前記第1側壁における前記第1底壁から最も離れた頂点には至らない範囲で前記第1側壁に一体に形成され、かつ前記第2側壁の全高にわたって前記第1側壁に連結されており、前記第2側壁のうち前記第3側壁の頂点との連結部は、前記第2底壁から最も高くなるように形成されていることが好ましい。
第2側壁のうち第3側壁の頂点との連結部が第2底壁から最も高くなるように形成されているから、曲げの起点となりやすい連結部の後端付近をピンポイントで強度アップすることができる。
【0011】
(3)前記第2側壁の前端部には、前記第2底壁からの立ち上がり端縁が前記第1側壁の後端縁に対して滑らかに連なるように曲線状をなす応力緩和部が形成されていることが好ましい。
第2側壁の前端部に応力緩和部が形成されているから、第2側壁から第1側壁に応力を伝えやすくなり、連結部の前端にかかる応力を緩和しやすくなり、連結部の強度アップを図ることができる。
【0012】
(4)前記第2側壁のうち前記第2底壁からの立ち上がり端縁は、前記応力緩和部と、前記応力緩和部から前記第3側壁の頂点に向けて直線状にのびて形成されたストレート部と、を備えることが好ましい。
第2側壁の立ち上がり端縁にストレート部が形成されているから、後方に向かうにつれて連結部の強度がアップし、応力が一箇所に集中しにくくなる。
【0013】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の圧着前端子の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
[圧着前端子]
圧着前端子10は、図1から図4に示すように、角筒状の端子接続部20と、端子接続部20の後方に配されたオープンバレル状の電線接続部30と、端子接続部20の後端と電線接続部30の前端とを連結する連結部40と、を備えて構成されている。圧着前端子10は、電線Wに圧着される前の雌端子である。電線接続部30には電線Wの端末が接続されるようになっている。電線Wの端末に圧着前端子10が接続されることで、図5に示す端子付き電線50が構成される。電線Wは、導電性の金属細線からなる導体W1を絶縁被覆W2で包囲した周知の形態のものである。
【0015】
圧着前端子10は、導電性の金属板材を打ち抜くことで図17に示す展開図の状態とした後、曲げ加工等を行うことで形成されている。本実施形態では図面を簡易化するため、端子接続部20の内部を空洞化しているが、実際の圧着前端子には、雄端子と導通可能に接続される弾性接触片等(図示せず)が形成されている。端子接続部20は、第1底壁21と、第1底壁21の両側縁から上方に立ち上がる一対の第1側壁22と、一方の第1側壁22の立ち上がり端縁(以下「上縁」という)から他方の第1側壁22の上縁に向かう天井壁23と、を備える。
【0016】
電線接続部30は、導体W1と導通可能に接続されるワイヤーバレル31と、ワイヤーバレル31の後方に配されて絶縁被覆W2に固定されるインシュレーションバレル34と、ワイヤーバレル31とインシュレーションバレル34をつなぐつなぎ部37と、を備える。ワイヤーバレル31は、第3底壁32と、第3底壁32の両側縁から上方に立ち上がる一対の第3側壁33と、を備える。インシュレーションバレル34は、第4底壁35と、第4底壁35の両側縁から上方に立ち上がる第4側壁36と、を備える。つなぎ部37は、第5底壁38と、第5底壁38の両側縁から上方に立ち上がる第5側壁39と、を備える。
【0017】
ワイヤーバレル31の第3底壁32とつなぎ部37の第5底壁38とインシュレーションバレル34の第4底壁35とは面一をなすように一体に形成されている。同様に、ワイヤーバレル31の一対の第3側壁33とつなぎ部37の一対の第5側壁39とインシュレーションバレル34の一対の第4側壁36とは面一をなすように一体に形成されている。
【0018】
ワイヤーバレル31は、インシュレーションバレル34よりも前後方向に長く、つなぎ部37よりも前後方向に長い。また、ワイヤーバレル31の一対の第3側壁33は、インシュレーションバレル34の一対の第4側壁36よりも上下方向に短く、つなぎ部37の一対の第5側壁39よりも上下方向に長い。
【0019】
連結部40は、第2底壁41と、第2底壁41の両側縁から上方に立ち上がる一対の第2側壁42と、を備える。第2底壁41の前端は端子接続部20の第1底壁21の後端に連結され、第2底壁41の後端はワイヤーバレル31の第3底壁32の前端に連結されている。図3に示すように、端子接続部20の第1底壁21と連結部40の第2底壁41とワイヤーバレル31の第3底壁32とは面一をなして直線状に並んで形成されている。
【0020】
第2側壁42は、ワイヤーバレル31の第3側壁33における第3底壁32から最も離れた頂点33Tに至る範囲で第3側壁33に一体に形成されている。したがって、第2側壁42は、第2側壁42の全高にわたって第3側壁33に連結されている。
【0021】
第2側壁42は、端子接続部20の第1側壁22における第1底壁21から最も離れた頂点22Tには至らない範囲で第1側壁22に一体に形成されている。第2側壁42は、第2側壁42の全高にわたって第1側壁22に連結されている。第2側壁42のうち第3側壁33の頂点33Tとの連結部は、第2底壁41から最も高くなるように形成されている。
【0022】
第2側壁42のうち第2底壁41からの立ち上がり端縁は、応力緩和部43と、ストレート部44と、を備える。応力緩和部43は第2側壁42の前端部に形成され、第2底壁41からの立ち上がり端縁が第1側壁22の後端縁に対して滑らかに連なるように曲線状をなしている。ストレート部44は、応力緩和部43から第3側壁33の頂点33Tとの連結部に向けて直線状にのびて形成されている。なお、第1側壁22の後端(応力緩和部43から上方にのびる部分)および天井壁23の後端には、端子付き電線50がハウジングに収容された際に、抜止部材が後方から係止するようになっており、これにより端子付き電線50が抜け止めされるようになっている。
【0023】
[端子付き電線]
端子付き電線50は、端子60と、電線Wと、を備えて構成されている。端子60は、圧着前端子10の電線接続部30が電線Wに圧着されることで形成された圧着後端子である。端子60の構成のうち圧着前端子10と共通する構成については同じ符号を用いることとし、その説明を省略する。
【0024】
端子60は、図5から図8に示すように、端子接続部20と、連結部70と、電線接続部80と、を備えて構成されている。電線接続部80は、導体W1に圧着されたワイヤーバレル81と、絶縁被覆W2に圧着されたインシュレーションバレル82と、ワイヤーバレル81とインシュレーションバレル82をつなぐつなぎ部83と、を備える。
【0025】
電線Wへの圧着前においては、電線Wの前端部でワイヤーバレル81の前後長よりも少し長い領域にわたって絶縁被覆W2を除去することにより導体W1が露出した状態(皮剥きされた状態)となっている。電線Wへの圧着時には、導体W1の露出部分が第3底壁32に載置され、次いで、一対の第3側壁33が導体W1に対して巻き付けられる(包囲する)ように湾曲変形させられながら固着される。すなわち、電線接続部80のワイヤーバレル81においては、第3底壁32に載せた導体W1に対し一対の第3側壁33を湾曲変形させながら巻き付ける。これにより、ワイヤーバレル81が電線Wが圧着されるようになっている。
【0026】
ワイヤーバレル81は、図9に示すように、ワイヤーバレル81の前後方向の長さと同じ長さの金型90を用いてかしめられる。通常、このような金型の前後には、テーパ状の傾斜面が形成されていて、その傾斜面によってワイヤーバレル81の前後両端にベルマウスを形成することが行われる。しかしながら、本開示の端子60では、金型90に傾斜面が形成されていないにもかかわらず、ワイヤーバレル81の前端にベルマウス71が形成されている。
【0027】
このベルマウス71は、連結部70に形成されている。ベルマウス71は、ワイヤーバレル81の前端から前方に向かうにつれて上方に向かう形状とされている。ベルマウス71の頂点72から応力緩和部43に向けての範囲は緩やかに斜め下方に傾斜した直線状に形成されている。ベルマウス71によって連結部70の後端側が大幅に増肉されており、ベルマウス71がない場合と比較して連結部70の強度が1.4倍から1.8倍にアップしている。また、ベルマウス71によって連結部70にかかる応力が分散され、連結部70の後端が曲げの起点となることを回避可能となっている。
【0028】
図11図10のA-A断面図であって、ワイヤーバレル81の前後方向中央の断面図である。一対の第3側壁33が金型90にかしめられて導体W1に圧着されている。一対の第3側壁33の先端同士は突き当てられて第3底壁32側に押し込まれている様子が示されている。図12図10のB-B断面図であって、ワイヤーバレル81の前端の断面図である。一対の第3側壁33は導体W1に圧着されているものの、一対の第3側壁33の先端同士はわずかに離間している。図12に示す一対の第2側壁42のうち頂点72に至る部分はベルマウス71を構成している。
【0029】
図13図10のC-C断面図であって、連結部40の断面図である。一対の第2側壁42は導体W1から離間しているものの、一対の第2側壁42の先端同士は第2底壁41と平行な姿勢で、やや離間して対向した配置となっている。
【0030】
図14図10のD-D断面図であって、連結部40における図13よりもやや前方の断面図である。一対の第2側壁42はほぼ直線状に立ち上がり、一対の第2側壁42の先端同士は斜め上方を向いている。図15図10のE-E断面図であって、連結部40における図14よりも前方の断面図である。一対の第2側壁42は図14よりも垂直に近い角度で立ち上がっていることがわかる。図16図10のF-F断面図であって、連結部40における図15よりもやや前方の断面図である。一対の第2側壁42は垂直に立ち上がっており、圧着前とほとんど同じ形状とされている。
【0031】
図17は圧着前端子10の展開図を示したものである。連結部40の両側縁は、一対の第3側壁33の頂点33Tから第1側壁22に向けて直線状に形成され、この部分がストレート部44に対応し、連結部40が増肉されて補強されている様子が示されている。
【0032】
[本開示の圧着前端子の作用効果]
本開示の圧着前端子10は、電線Wに圧着される前の圧着前端子10であって、端子接続部20と、端子接続部20の後方に配されて電線Wに接続される電線接続部30と、端子接続部20と電線接続部30を連結する連結部40と、を備え、端子接続部20は、第1底壁21と、第1底壁21の両側縁から立ち上がる一対の第1側壁22と、を備え、連結部40は、第1底壁21に連なる第2底壁41と、第2底壁41の両側縁から立ち上がる一対の第2側壁42と、を備え、電線接続部30のワイヤーバレル31は、第2底壁41に連なる第3底壁32と、第3底壁32の両側縁から立ち上がる一対の第3側壁33と、を備え、電線接続部30は、第3底壁32に載せた電線Wの端末部に対し一対の第3側壁33を湾曲変形させながら巻き付けることで、電線Wに圧着されるようになっており、第2側壁42は、第3側壁33における第3底壁32から最も離れた頂点33Tに至る範囲で第3側壁33に一体に形成され、かつ第2側壁42の全高にわたって第3側壁33に連結されている、圧着前端子10である。
【0033】
第2側壁42が第3側壁33の頂点33Tに至る範囲で第3側壁33に一体に形成されているから、曲げの起点になるような凹みが連結部40の後端に形成されず、外力を受けた場合に連結部40の後端が曲げの起点になることを抑制できる。また、第2側壁42が全高にわたって第3側壁33に連結されているから、第2側壁42から第3側壁33に応力を伝えやすくなり、連結部40の後端にかかる応力を緩和しやすくなり、連結部40の強度アップを図ることができる。
【0034】
第2側壁42は、第1側壁22における第1底壁21から最も離れた頂点22Tには至らない範囲で第1側壁22に一体に形成され、かつ第2側壁42の全高にわたって第1側壁22に連結されており、第2側壁42のうち第3側壁33の頂点33Tとの連結部は、第2底壁41から最も高くなるように形成されていることが好ましい。
第2側壁42のうち第3側壁33の頂点33Tとの連結部が第2底壁41から最も高くなるように形成されているから、曲げの起点となりやすい連結部40の後端付近をピンポイントで強度アップすることができる。
【0035】
第2側壁42の前端部には、第2底壁41からの立ち上がり端縁が第1側壁22の後端縁に対して滑らかに連なるように曲線状をなす応力緩和部43が形成されていることが好ましい。
第2側壁42の前端部に応力緩和部43が形成されているから、第2側壁42から第1側壁22に応力を伝えやすくなり、連結部40の前端にかかる応力を緩和しやすくなり、連結部40の強度アップを図ることができる。
【0036】
第2側壁42のうち第2底壁41からの立ち上がり端縁は、応力緩和部43と、応力緩和部43から第3側壁33の頂点33Tに向けて直線状にのびて形成されたストレート部44と、を備えることが好ましい。
第2側壁42の立ち上がり端縁にストレート部44が形成されているから、後方に向かうにつれて連結部40の強度がアップし、応力が一箇所に集中しにくくなる。
【0037】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では電線接続部30がワイヤーバレル31とインシュレーションバレル34を備えるものを例示したが、ワイヤーバレルのみを備える電線接続部としてもよい。
【0038】
(2)上記実施形態ではつなぎ部37がインシュレーションバレル34の第4側壁36の頂点には至らない範囲で接続されているが、つなぎ部がインシュレーションバレル34の第4側壁36の頂点に至る範囲で接続されているものでもよい。このようにすることで、つなぎ部37の第4側壁36の強度をアップすることができる。
【0039】
(3)上記実施形態では連結部40の第2側壁42のうち第3側壁33の頂点33Tとの連結部が第2底壁41から最も高くなるように形成されているが、ストレート部の途中で最も高くなるように形成してもよい。また、応力緩和部43から第3側壁33の頂点33Tに向かう部分は直線状でなくてもよく、弧状でもよい。
【0040】
(4)上記実施形態では応力緩和部43が曲線状をなすように形成されているが、第1側壁22の後端縁に対して鈍角をなすように直線状に応力緩和部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10:圧着前端子
20:端子接続部 21:第1底壁 22:第1側壁 22T:頂点 23:天井壁
30:電線接続部 31:ワイヤーバレル 32:第3底壁 33:第3側壁 33T:頂点 34:インシュレーションバレル 35:第4底壁 36:第4側壁 37:つなぎ部 38:第5底壁 39:第5側壁
40:連結部 41:第2底壁 42:第2側壁 43:応力緩和部 44:ストレート部
50:端子付き電線
60:端子
70:連結部 71:ベルマウス 72:頂点
80:電線接続部 81:ワイヤーバレル 82:インシュレーションバレル 83:つなぎ部
90:金型
W:電線 W1:導体 W2:絶縁被覆
図1
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