(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159950
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】保育システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20231026BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069896
(22)【出願日】2022-04-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】522162831
【氏名又は名称】大西 宏幸
(71)【出願人】
【識別番号】522161649
【氏名又は名称】社会福祉法人 小百合苑
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】大西 宏幸
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で児童の活動を記録及び集計し、データ入力の労力を削減し、保護者が児童の活動記録を確認することができるシステムを提供する。
【解決手段】保育システムは、サーバ、ICカードリーダーが接続されたタブレット、事務所のコンピュータ、ICチップを含み、保育室に遊びのコーナーが設けられており、各遊びのコーナーにタブレット及びICカードリーダーが配置され、ICカードリーダーは、児童が遊びを開始及び終了する時にICチップを読み取り、サーバはICカードリーダーで読み取った児童のICチップの児童ナンバーを基に、児童の遊びのコーナーにおける活動をデータとして記録し、タブレットは、遊びのコーナーでの遊びを開始する時にICカードリーダーで読み取ったICカードの児童の名前を画面に表示し、遊びを終了する時にICカードリーダーで読み取った児童の名前を画面から消去する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ、
保育室に配置され、ICカードリーダーが接続されたタブレット、
事務所に配置されたコンピュータ、
児童ナンバーが記録されたICチップ、
を含む保育システムであって、
前記タブレットは前記サーバと無線LANを介して接続されており、前記コンピュータは無線LAN又は有線LANを介して前記サーバと接続されており、
前記ICチップは、児童の名札に内蔵されており、
前記保育室には複数の遊びのコーナーが設けられており、各遊びのコーナーに前記タブレット及び前記ICカードリーダーがそれぞれ配置されており、
前記遊びのコーナーに配置された前記ICカードリーダーは、児童が遊びを開始する時、及び、遊びを終了する時に、前記児童の前記名札の前記ICチップを読み取るために設けられており、
前記サーバは、前記ICカードリーダーで読み取った前記児童のICチップの児童ナンバーを基に、前記児童の前記遊びのコーナーにおける活動をデータとして記録し、
前記遊びのコーナーのタブレットは、前記遊びのコーナーでの遊びを開始する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた前記ICカードの前記児童ナンバーに対応する児童の名前を画面に表示し、前記遊びのコーナーでの遊びを終了する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた児童の名前を画面から消去するプログラムがインストールされており、
前記プログラムによって、前記遊びのコーナーでの遊びを開始する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた児童の数が、前記遊びのコーナーの定員をオーバーした時には、前記タブレットの画面において、定員をオーバーした児童の名前が順番待ちの枠に表示され、
前記プログラムによって前記遊びのコーナーにおける前記児童の活動のデータが前記サーバに送信されることを特徴とする保育システム。
【請求項2】
前記プログラムによって、前記遊びのコーナーのタブレットの画面に表示された児童の名前の背景は、児童のクラスに応じた色が表示され、前記遊びのコーナーで予め決められた遊びの時間を超えた児童の名前は、文字の色が変化する、ことを特徴とする請求項1に記載の保育システム。
【請求項3】
各遊びのコーナーのタブレットは、前記サーバを介して互いに接続されており、
第1の遊びのコーナーでの遊びが終了した児童が、前記第1の遊びのコーナーのICカードリーダーでのICチップの読み取りを行わないで、第2の遊びのコーナーのICカードリーダーでのICチップの読み取りを行った場合、第2の遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取った前記ICチップに該当する児童ナンバーが、前記第1の遊びのコーナーのタブレットに送信されて、第1の遊びのコーナーのタブレットの画面から名前が消去されることを特徴とする請求項1又は2に記載の保育システム。
【請求項4】
ランチルームに配置されたランチルーム用コンピュータ、モニター及びランチルーム用ICカードリーダーを含み、
前記ランチルーム用コンピュータに、前記モニター及び前記ランチルーム用ICカードリーダーが接続されており、
前記ランチルーム用コンピュータは前記サーバと接続されており、
前記モニターには児童の名前が表示されており、給食を食べる前に児童が前記ランチルーム用ICカードリーダーでICチップの読み取りを行うと、読み取られた前記ICチップの児童ナンバーに該当する児童の名前の背景の色が変化し、給食の時間がカウントされ、所定の時間が経過すると児童の名前の文字の色が変化し、給食を食べ終わった児童がICカードリーダーでICチップの読み取りを行うと、読み取られた前記ICチップの児童ナンバーに該当する児童の名前が、前記モニターの表示から消去されるプログラムが、前記ランチルーム用コンピュータにはインストールされており、
前記ランチルーム用コンピュータのプログラムによって、各児童の前記ランチルームにおける活動のデータを前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の保育システム。
【請求項5】
前記事務所に配置された前記コンピュータには、データ集計プログラムがインストールされており、前記データ集計プログラムによって、前記サーバに保存された児童の活動に関するデータを、各児童ごとに日別、月別及び年度別に集計し、クラス別、年代別に集計し、また、各遊びのコーナーごとに日別、月別及び年度別に集計し、クラス別、年代別に集計して、前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の保育システム。
【請求項6】
前記データ集計プログラムによって、集計した児童の活動に関するデータを表、グラフ、又は、表とグラフの組み合わせで表示することを特徴とする請求項5に記載の保育システム。
【請求項7】
前記サーバに保存されている児童の活動に関するデータを閲覧するための保護者の端末を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の保育システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICTを活用した保育システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
保育園、幼稚園等において、ITを用いて子供の活動を確認するシステムが用いられている。例えば、特許文献1には、子供に発信機を装着し、カメラ機能を有するセンサで子供の状態を示す動画を撮影し、保護者に子供の動画を配信し、保護者が子供の状態を動画で確認できる子供確認監視システムが開示されている。
【0003】
その他に、特許文献2には、各所に設置した入力端末装置から、担当者がその場所での幼児の行動記録を入力端末装置で入力し、出力装置で各幼児の行動記録を出力する幼児の行動記録システムが開示されており、さらに、出力された幼児の行動記録を保護者に提供することも記載されている。
【0004】
特許文献1のように子供の活動を動画で配信するシステムの場合、子供の動画を撮影して保護者に提供することはできるが、子供の活動の動画を撮影するためのカメラを適切な場所に多数配置する必要があり、動画を保存し、配信するために必要なサーバについても容量、動画処理能力等について求められるスペックが高くなるために、システム全体の費用が問題となる。また、保護者は子供の活動を確認するためには動画を見る時間が必要となり、子供の活動を全て確認することは実際には不可能である。また、特許文献2のようなシステムは、担当者が各幼児の活動記録を入力端末装置で入力する必要があり、担当者の負担が大きいという問題があった。
【0005】
従来のような一斉保育であれば、各クラスの児童は同じ活動をしていることから、児童の様子を把握し易く、また、「できる・できない」が比較対象で抽出されるので、保育者が子どもの成長の見極めが容易であった。しかしながら、現在の自由保育(環境保育)のスタンダードは「選択制保育」であり、保育者が子どもの多様性を認め、子どもがやりたいことを各自で選択するため活動が異なるので、比較対象の抽出方法がなく、保育者が子どもの成長の見極めが難しいという問題が生じている。自由保育では保育者は子どもの評価や記録(子どもの姿の把握)が難しく、子どもの一日を個別に追いかけることは非常に困難であることから、児童の活動をデータとして詳細にそして簡単に記録するシステムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3507772号公報
【特許文献2】特開2001-14398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は従来の問題点を鑑み、ICTを活用して、簡単な構成で保育者に負担を掛けないで児童の活動をデータとして記録して集計し、児童の活動に関するデータを数値化することができ、保護者が簡単に児童の活動記録をデータによって確認し、児童の活動をリアルタイムで確認することができ、さらに、保育者が児童の姿を把握し易い、保育システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の保育システムは、サーバ、保育室に配置され、ICカードリーダーが接続されたタブレット、事務所に配置されたコンピュータ、児童ナンバーが記録されたICチップ、を含む保育システムであって、前記タブレットは前記サーバと無線LANを介して接続されており、前記コンピュータは無線LAN又は有線LANを介して前記サーバと接続されており、前記ICチップは、児童の名札に内蔵されており、前記保育室には複数の遊びのコーナーが設けられており、各遊びのコーナーに前記タブレット及び前記ICカードリーダーがそれぞれ配置されており、前記遊びのコーナーに配置された前記ICカードリーダーは、児童が遊びを開始する時、及び、遊びを終了する時に、前記児童の前記名札の前記ICチップを読み取るために設けられており、前記サーバは、前記ICカードリーダーで読み取った前記児童のICチップの児童ナンバーを基に、前記児童の前記遊びのコーナーにおける活動をデータとして記録し、前記遊びのコーナーのタブレットは、前記遊びのコーナーでの遊びを開始する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた前記ICカードの前記児童ナンバーに対応する児童の名前を画面に表示し、前記遊びのコーナーでの遊びを終了する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた児童の名前を画面から消去するプログラムがインストールされており、前記プログラムによって、前記遊びのコーナーでの遊びを開始する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた児童の数が、前記遊びのコーナーの定員をオーバーした時には、前記タブレットの画面において、定員をオーバーした児童の名前が順番待ちの枠に表示され、前記プログラムによって前記遊びのコーナーにおける前記児童の活動のデータが前記サーバに送信されることを特徴とする。
【0009】
前記プログラムによって、前記遊びのコーナーのタブレットの画面に表示された児童の名前の背景は、児童のクラスに応じた色が表示され、前記遊びのコーナーで予め決められた遊びの時間を超えた児童の名前は、文字の色が変化する。
【0010】
各遊びのコーナーのタブレットは、前記サーバを介して互いに接続されており、第1の遊びのコーナーでの遊びが終了した児童が、前記第1の遊びのコーナーのICカードリーダーでのICチップの読み取りを行わないで、第2の遊びのコーナーのICカードリーダーでのICチップの読み取りを行った場合、第2の遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取った前記ICチップに該当する児童ナンバーが、前記第1の遊びのコーナーのタブレットに送信されて、第1の遊びのコーナーのタブレットの画面から名前が消去される。
【0011】
本発明の保育システムは、ランチルームに配置されたランチルーム用コンピュータ、モニター及びランチルーム用ICカードリーダーをさらに含み、前記ランチルーム用コンピュータに、前記モニター及び前記ランチルーム用ICカードリーダーが接続されており、前記ランチルーム用コンピュータは前記サーバと接続されており、前記モニターには児童の名前が表示されており、給食を食べる前に児童が前記ランチルーム用ICカードリーダーでICチップの読み取りを行うと、読み取られた前記ICチップの児童ナンバーに該当する児童の名前の背景の色が変化し、給食の時間がカウントされ、所定の時間が経過すると児童の名前の文字の色が変化し、給食を食べ終わった児童がICカードリーダーでICチップの読み取りを行うと、読み取られた前記ICチップの児童ナンバーに該当する児童の名前が、前記モニターの表示から消去されるプログラムが、前記ランチルーム用コンピュータにはインストールされており、前記ランチルーム用コンピュータのプログラムによって、各児童の前記ランチルームにおける活動のデータを前記サーバに送信することも可能である。
【0012】
前記事務所に配置された前記コンピュータには、データ集計プログラムがインストールされており、前記データ集計プログラムによって、前記サーバに保存された児童の活動に関するデータを、各児童ごとに日別、月別及び年度別に集計し、クラス別、年代別に集計し、また、各遊びのコーナーごとに日別、月別及び年度別に集計し、クラス別、年代別に集計して、前記サーバに送信する。
【0013】
前記データ集計プログラムによって、集計した児童の活動に関するデータを表、グラフ、又は、表とグラフの組み合わせで表示する。
【0014】
前記サーバに保存されている児童の活動に関するデータを閲覧するための保護者の端末を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の保育システムは、サーバ、保育室に配置され、ICカードリーダーが接続されたタブレット、事務所に配置されたコンピュータ、児童ナンバーが記録されたICチップ、を含む保育システムであって、前記タブレットは前記サーバと無線LANを介して接続されており、前記コンピュータは無線LAN又は有線LANを介して前記サーバと接続されており、前記ICチップは、児童の名札に内蔵されており、前記保育室には複数の遊びのコーナーが設けられており、各遊びのコーナーに前記タブレット及び前記ICカードリーダーがそれぞれ配置されており、前記遊びのコーナーに配置された前記ICカードリーダーは、児童が遊びを開始する時、及び、遊びを終了する時に、前記児童の前記名札の前記ICチップを読み取るために設けられており、前記サーバは、前記ICカードリーダーで読み取った前記児童のICチップの児童ナンバーを基に、前記児童の前記遊びのコーナーにおける活動をデータとして記録し、前記遊びのコーナーのタブレットは、前記遊びのコーナーでの遊びを開始する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた前記ICカードの前記児童ナンバーに対応する児童の名前を画面に表示し、前記遊びのコーナーでの遊びを終了する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた児童の名前を画面から消去するプログラムがインストールされており、前記プログラムによって、前記遊びのコーナーでの遊びを開始する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた児童の数が、前記遊びのコーナーの定員をオーバーした時には、前記タブレットの画面において、定員をオーバーした児童の名前が順番待ちの枠に表示され、前記プログラムによって前記遊びのコーナーにおける前記児童の活動のデータが前記サーバに送信されることにより、児童の活動のデータを保育者に負荷を掛けることなく、正確に記録及び集計することができるようになり、さらに、保育者は各児童の活動の特徴を把握して、児童への適切な配慮と保育個別計画の見直しを行うことができ、児童は遊びのコーナーの定員をリアルタイムで知ることができ、順番待ち、場所取りのルール等の共有がし易く、トラブルを回避し、さらに、自然とルール等を身に付けることができるようになる。
【0016】
前記プログラムによって、前記遊びのコーナーのタブレットの画面に表示された児童の名前の背景は、児童のクラスに応じた色が表示され、前記遊びのコーナーで予め決められた遊びの時間を超えた児童の名前は、文字の色が変化することにより、予め決められた遊びの時間を超えていることを視覚的に知らせることができる。
【0017】
各遊びのコーナーのタブレットは、前記サーバを介して互いに接続されており、第1の遊びのコーナーでの遊びが終了した児童が、前記第1の遊びのコーナーのICカードリーダーでのICチップの読み取りを行わないで、第2の遊びのコーナーのICカードリーダーでのICチップの読み取りを行った場合、第2の遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取った前記ICチップに該当する児童ナンバーが、前記第1の遊びのコーナーのタブレットに送信されて、第1の遊びのコーナーのタブレットの画面から名前が消去されることにより、遊びを終了した際にICチップの読み取りを忘れた場合でも、児童の活動を適切に記録することができ、さらに、順番待ちの児童がスムーズに利用することができるようになる。
【0018】
本発明の保育システムは、ランチルームに配置されたランチルーム用コンピュータ、モニター及びランチルーム用ICカードリーダーをさらに含み、前記ランチルーム用コンピュータに、前記モニター及び前記ランチルーム用ICカードリーダーが接続されており、前記ランチルーム用コンピュータは前記サーバと接続されており、前記モニターには児童の名前が表示されており、給食を食べる前に児童が前記ランチルーム用ICカードリーダーでICチップの読み取りを行うと、読み取られた前記ICチップの児童ナンバーに該当する児童の名前の背景の色が変化し、給食の時間がカウントされ、所定の時間が経過すると児童の名前の文字の色が変化し、給食を食べ終わった児童がICカードリーダーでICチップの読み取りを行うと、読み取られた前記ICチップの児童ナンバーに該当する児童の名前が、前記モニターの表示から消去されるプログラムが、前記ランチルーム用コンピュータにはインストールされており、前記ランチルーム用コンピュータのプログラムによって、各児童の前記ランチルームにおける活動のデータを前記サーバに送信することにより、食べ始める時間がバラバラであっても、保育者は喫食時間が30分以上の児童をリアルタイムで把握することができるので、食事量の調節や保育の配慮を的確に行うことができる
【0019】
前記事務所に配置された前記コンピュータには、データ集計プログラムがインストールされており、前記データ集計プログラムによって、前記サーバに保存された児童の活動に関するデータを、各児童ごとに日別、月別及び年度別に集計し、クラス別、年代別に集計し、また、各遊びのコーナーごとに日別、月別及び年度別に集計し、クラス別、年代別に集計して、前記サーバに送信し、前記データ集計プログラムによって、集計した児童の活動に関するデータを表、グラフ、又は、表とグラフの組み合わせで表示することにより、保育者は、児童の活動に関するデータを数値で把握することができ、また、児童別の集計データと、クラス別(年代別)集計データの平均値とを比較することで、児童の活動の特徴(子供の姿)を把握しやすくなり、遊びのコーナー別の集計データの全児童の利用回数及び利用時間をそれぞれ比較することで、子どもの興味を知ることができるようになり、保育環境の構成及び活動の計画の見直しを行うことができるようになる。
【0020】
前記サーバに保存されている児童の活動に関するデータを閲覧するための保護者の端末を含むことにより、保護者は自分の子供の活動について時間等を含んだデータとして得ることができ、一日の子供の姿と様子をより明確に把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】遊びのコーナーに配置されたタブレットの画面の表示を示す図である。
【
図3】遊びのコーナーに配置されたタブレットの画面の表示を示す図である。
【
図4】遊びのコーナーに配置されたタブレットの画面の表示を示す図である。
【
図5】ランチルームのモニターの表示画面であり、給食開始前を示す図である。
【
図6】ランチルームのモニターの表示画面であり、児童が食事中を示す図である。
【
図7】ランチルームのモニターの表示画面であり、児童が食事中を示す図である。
【
図8】遊びのコーナーを小科目及び大科目で分類する例を示す図である。
【
図9】児童別の集計データの表示例を示す図である。
【
図10】児童別の集計データのグラフを用いた表示例を示す図である。
【
図11】保護者の端末に表示される児童の活動のデータの表示例を示す図である。
【
図12】(a)は児童別の集計データの表示例を示す図であり、(b)は(a)に記載の「日別グラフ表示」のボタンをクリックして、グラフが表示された状態を示す図である。
【
図13】各遊びのコーナーを利用している児童の数をリアルタイムで表示する表示例を示す図である。
【
図14】クラスの児童の活動をリアルタイムで表示する表示例を示す図である。
【
図15】
図13に記載の利用者のボタンをクリックすると表示される各遊びのコーナーを利用している児童の活動をリアルタイムで表示する表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の保育システム1について、図面を用いて詳細に説明する。本発明の保育システム1は、
図1に示すように、事務所2に配置されたサーバ21及びコンピュータ22、保育室3に配置されたタブレット31、ICカードリーダー32及び無線LAN33、ランチルーム4に配置されたランチルーム用コンピュータ41、ランチルーム用ICカードリーダー42及びモニター43、及び、名札5に内蔵されているICチップ51を備える。
図1において、サーバ21と保護者の端末10とを接続する点線の表示は、インターネットを介した接続を示し、サーバ21と、無線LAN33とコンピュータ22及びランチルーム用コンピュータ41とを接続する直線の表示は有線LANによる接続を示し、無線LAN33とタブレット31とを接続する点線の表示は無線LANによる接続を示している。
【0023】
図1の保育システム1は、2つの保育室3(保育室(1)及び保育室(2))が配置されており、保育室(1)には遊びのコーナーA~Cが設けられ、保育室(2)には遊びのコーナーD,Eが設けられている。ここでは、保育室(1)を用いて説明する。保育室3(保育室(1))には、無線LAN33として、サーバ21と有線LANで接続されたルーター等を配置している。各遊びのコーナーA~Cにはタブレット31及びタブレット31とUSBで接続されたICカードリーダー32の組み合わせが、それぞれ配置されている。そして、各タブレット31は無線LAN33を介してサーバ21と接続されている。前記ICカードリーダー32は、児童が名札5をタッチすると、名札5に内蔵されているICチップ51に記憶されている児童ナンバーを読み取ることができる。
【0024】
各遊びのコーナーA~Cには、それぞれ利用時間が設定されており、タブレット31は、タブレット31が配置された遊びのコーナーA~Cを利用している児童の名前を画面に表示するプログラムがインストールされており、前記プログラムによってタブレット31の画面には、遊びのコーナーA~Cの名称、遊びのコーナーA~Cの定員数と同じ数の児童の名前を表示する欄、児童が遊びのコーナーA~Cを利用している時間、日時、遊びのコーナーA~Cに設定されている利用時間、遊びのコーナーA~Cを利用可能なクラス、遊びのコーナーA~Cを順番待ちしている児童の名前を表示する欄等が表示される。
図2,3に示すタブレット31の画面の表示例を参照すると、遊びのコーナーAは、定員数が8人、利用時間が30分であることが分かる。各タブレット31は、遊びのコーナーA~Cの名称、定員数、利用時間等の変更を適宜行うことができる。遊びのコーナーA~Cは、遊びだけではなく、学習等を行うことも可能であり、様々な内容のコーナーとすることができる。
【0025】
タブレット31のプログラムは、児童が遊びのコーナーA~Cの利用を開始する時に遊びのコーナーA~Cに配置されたICカードリーダー32に名札5をタッチすると、名札5に内蔵されたICチップ51の児童ナンバーを読みとり、児童ナンバーに対応する児童の名前をタブレット31の画面に表示し、児童が遊びのコーナーA~Cの利用を終了する時に遊びのコーナーに配置されたICカードリーダー32に名札5をタッチすると、名札5に内蔵されたICチップ51の児童ナンバーを読み取り、児童ナンバーに対応する児童の名前をタブレット31の画面から消去する。
【0026】
タブレット31のプログラムによって、前記タブレット31の画面の名前の欄は、前記ICカードリーダー32で読み取った児童ナンバーに対応する児童の名前が表示され、名前の欄の背景の色は、児童のクラスに対応する色が表示される。さらに、児童の名前の欄の右上には、児童が遊びのコーナーA~Cで遊んでいる時間が表示され、遊びのコーナーA~Cに設定された利用時間を過ぎると、遊んでいる時間を表示する文字の色が変化する。例えば、児童「A」が遊びのコーナーAのICカードリーダー32に名札5をタッチすると、
図2(a)に示すように、名前の欄に「A」と表示され、名前の欄の背景に児童「A」のクラスに対応する色を表示し、名前の欄の右上に時間の表示が開始され、
図2(b)に示すように、各児童の名前と共に、遊びのコーナーAを使用している時間をそれぞれ表示する。
【0027】
そして、児童「A」が遊びのコーナーAの利用を終了し、遊びのコーナーAに配置されたICカードリーダー32に再び名札5をタッチすると、ICチップ51の児童ナンバーが読み取られ、
図2(c)に示すように、児童「A」の名前がタブレット31の画面から消去される。その後、
図3(a)に示すように、児童の名前は1つずつ前の欄に移動される。その後、時間が経過して、
図3(b)に示すように、遊びのコーナーAを利用する児童の数が、定員数に達した状態で、新たに児童「J」、「え」が、遊びのコーナーAのICカードリーダー32に名札5をタッチすると、
図3(c)に示すように、順番待ちの欄に、2人の名前がICカードリーダー32にタッチした順番で表示される。
【0028】
その後、児童「い」が遊びのコーナーAの利用を終了し、ICカードリーダー32に名札5をタッチすると、
図4(a)に示すように、児童「い」の名前が消去され、
図4(b)に示すように、児童の名前は1つずつ前の欄に移動される。その後、児童「J」がタブレット31の画面を見て遊びのコーナーを利用できることを確認してICカードリーダー32に名札5をタッチすると、児童「J」の名前が、順番待ちの欄から消去され、
図4(c)に示すように、遊びのコーナーAを利用している児童の名前を表示する欄に表示される。そして、順番待ちの欄の先頭に、児童「え」の名前が表示される。
【0029】
各遊びのコーナーのタブレット31によって、遊びのコーナーの定員数をオーバーした場合、児童は順番待ちであることを簡単に確認することができ、何人目の順番待ちであるかも確認することができる。このように本発明の保育システム1によって、遊びのコーナーにおける児童同士の順番や場所の取り合い等のトラブルを減少させることができ、さらに、児童は集団行動における順番待ち等のルールを自然と身に着けることができるようになる。
【0030】
このように、各遊びのコーナーA~Cに配置されたタブレット31は、遊びのコーナーA~Cを利用している児童の名前を表示するだけでなく、各遊びのコーナーA~Cで得られる児童の活動記録、例えば、児童の名前、児童が利用を開始した時間、利用を終了した時間等のデータを、無線LAN33を介してサーバ21に送信する。サーバ21は、得られた各遊びのコーナーA~Cのデータを記録し、事務所2に配置されたコンピュータ22にインストールされているデータ集計プログラムで、前記サーバ21に記録されたデータを、児童別及び遊びのコーナー別に集計する。
【0031】
ランチルーム4に配置されているランチルーム用コンピュータ41は、ランチルーム用ICカードリーダー42及びモニター43と接続されており、ランチルーム用コンピュータ41にインストールされているプログラムによって、モニター43には、児童が食事を開始する初期状態では、
図5に示すように、児童全員の名前が表示されている。児童の名前の欄の背景は各クラスの色が表示され、児童の名前が黒色で表示されている。
図5の例では、3クラスの児童が表示されている。当日、欠席している児童の名前は、背景がグレーで、名前の文字が白で表示されている。
図5の例では、児童「N」、児童「O」、児童「P」、児童「た」、児童「ち」、児童「15」、児童「16」が欠席していることが分かる。
【0032】
児童がランチルーム4で食事を開始する時に、ランチルーム用ICカードリーダー42に名札5をタッチすると、ランチルーム用ICカードリーダー42が、名札5に内蔵されているICチップ51に記憶されている児童ナンバーを読み取り、ランチルーム用コンピュータ41のプログラムによって、モニター43に表示されている児童の名前を、文字の色をクラスの色に、そして、背景を白に変更し、さらに、名前の欄の上に、喫食時間が表示される。その後、給食が終了した児童がランチルーム用ICカードリーダー42に名札5をタッチすると、ランチルーム用コンピュータ41のプログラムによって、児童の名前が消去され、名前の欄が白い背景だけ表示される。
【0033】
児童「A」が、食事を開始する前に、ランチルーム用ICカードリーダー42に名札5をタッチすると、ランチルーム用ICカードリーダー42が名札5に内蔵されているICチップ51に記憶されている児童ナンバーを読み取り、ランチルーム用コンピュータ41のプログラムは、モニター43の表示を、
図6に示すように、児童「A」の名前の文字の色をクラスの色で表示し、背景を白に変更する。そして、児童「A」の喫食時間のカウントが開始され、喫食時間が児童「A」の名前の上に表示される。この時、モニター43の表示画面にはランチルーム4における喫食中の児童の人数(
図6の場合、9名)も表示されている。
【0034】
そして、児童「A」より先に喫食を開始していた児童「B」が給食が終わってランチルーム用ICカードリーダー42に名札5をタッチすると、ランチルーム用ICカードリーダー42が名札5に内蔵されているICチップ51に記憶されている児童ナンバーを読み取り、ランチルーム用コンピュータ41のプログラムは、モニター43の表示を、
図7に示すように、児童「B」の名前及び喫食時間を消去する。
図7では、先に給食が終わった児童「か」及び児童「7」の名前も消去されており、モニター43を見ると、喫食中の児童、給食が終わった児童、給食がまだの児童をすぐに確認することができる。
【0035】
ランチルーム用コンピュータ41のプログラムは、児童の喫食時間が、予め設定された喫食時間を過ぎた場合、児童の喫食時間を表示する数字の色を変更するように設定されている。例えば、喫食時間を30分に設定していると、喫食時間の30分を過ぎた児童の喫食時間の数字の色を黒色から赤色に変更する。
図6の例では、児童「B」の喫食時間が30分を過ぎており、
図7の例では、児童「5」の喫食時間が30分を過ぎているために、喫食時間の数字の色が変化している。このようにして、モニター43は、喫食時間をリアルタイムで表示するだけではなく、喫食時間の色だけで、設定された喫食時間を過ぎていることを確認することができる。喫食時間、喫食時間の数字の色等は、ランチルーム用コンピュータ41のプログラムによって変更可能であり、欠席している児童は、担当者がランチルーム用コンピュータ41によって入力することができる。そして、翌日になると、モニター43の表示がリセットされ、児童全員の名前が表示された状態となる。
【0036】
ランチルーム用コンピュータ41のプログラムは、ランチルーム4における児童の給食状態を記録し、表示するだけではなく、ランチルーム用コンピュータ41のプログラムで得られた児童の給食に関する記録、例えば、給食開始、終了時間、喫食時間、給食メニュー等を、有線LANを介してサーバ21に送信する。サーバ21は、得られたランチルーム4における児童のデータを記録し、事務所2に配置されたコンピュータ22にインストールされているデータ集計プログラムで、前記サーバ21に記録されたデータを児童別に集計する。
【0037】
ランチルーム用コンピュータ41は、ランチルーム4において、給食だけでなく、おやつを提供する場合、おやつについても、給食と同様に、児童の喫食に関するデータを記録することも可能である。また、おやつを、ランチルーム4以外の場所で喫食する際には、その場所に、ランチルーム用コンピュータ41、ランチルーム用ICカードリーダー42及びモニター43と同じ構成を配置することで、ランチルーム4における給食と同じ方法でおやつに関する児童の喫食状態を管理することができる。
【0038】
自由保育によって、ランチルームにおいて児童が給食を食べ始める時間がバラバラであっても、保育者は喫食時間が30分(予め設定された時間)以上の児童をリアルタイムで把握することができるので、食事量の調節や保育の配慮を的確に行うことができる。これはおやつについても同様の効果を奏することができる。
【0039】
データ集計プログラムによって、児童別に集計されたデータは、1日単位の日別、各月の月別、4月からの通年の3つの形態で表示され、活動時間や活動回数がグラフ化によってわかりやすく表示される。児童別のデータを基に、クラス別、年代別等の集計データを編集することも可能であり、これらの集計データはサーバ21に保存されており、保護者が保護者の端末10にて閲覧することができるようになっており、保護者は自分の子供がどのような活動をしているのかを簡単にデータとして見ることができる。データ集計プログラムは、市販されているデータベース管理ソフトを用いることができる。
【0040】
また、遊びのコーナー別のデータ集計を行うことにより、保育者は各遊びのコーナーごとに、利用回数、利用人数、利用時間を知ることができ、さらに、遊びのコーナー別の集計データの全児童の利用回数と利用時間をそれぞれ比較することで、子どもの興味を知ることができ、遊びのコーナーの入れ替えや定員枠の増減等を正確に判断して、保育環境の構成及び活動の計画の見直しを行うことができるようになる。このように、本発明の保育システム1によって、保育者は、児童別に集計されたデータを基に、児童の姿を把握することができ、遊びのコーナー別に集計されたデータを基に、環境構成の見直しを行うことができるようになる。
【0041】
次に、児童の活動に関するデータの集計方法について、例を用いて説明する。各児童の個別のデータは、事務所2に配置されたコンピュータ21のデータ集計プログラムによって、1日単位の日別、各月の月別、4月からの通年の3つの形態で集計され、集計されたデータは、活動時間や活動回数を、一覧表及びグラフを用いてわかりやすく表示される。
【0042】
コンピュータ21のデータ集計プログラムは、データ集計の際に、
図8に示すように、各遊びのコーナーを小科目(床上積み木、机上積み木、ブロック(1)~(4)、おうちあそび、お店ピザ屋さん、動物園、アトリエ、クラフト、ゲーム(1)~(3)等)とし、各お遊びのコーナーを、遊びの内容によって、大科目(構成遊び、操作遊び、役割遊び、表現遊び、ルールのある遊び、絵本、給食等)に割り振りを行う。これにより、保育者は児童がどのような種類の遊びを行っているのかをデータとして確認することができる。
図8には、大科目及び小科目の一部について記載しており、大科目については、適宜、追加、削除、割り振りの修正を行うことができる。また、「絵本」、「給食」のように、小科目=大科目となるケースもある。データ集計プログラムによって、大科目及び小科目の名称の変更、及び、数の変更も可能である。
【0043】
そして、コンピュータ21のデータ集計プログラムは、遊びのコーナーごとに得られる日付、開始時間及び終了時間を基に、遊びのコーナーを利用した時間を算出し、
図9に示すように、コンピュータ21の画面に、遊びのコーナーごとに、日付、開始時間、時間(利用時間)、行動(遊びのコーナーの名称)を表示する。この際に、その日の給食及びおやつ関するデータ(給食メニュー及びおやつメニュー)を表示することも可能である。表示する児童別のデータの項目については、限定するものではなく、終了時間、平均値等をさらに表示することも可能であり、データ集計プログラムによって表示する項目、形式等については適宜変更することができる。
【0044】
図9の例では、画面に、大科目の13個のボタン(給食、おやつ、外遊び、ボール遊び、構成あそび、表現あそび、文字・数あそび、ルールあそび、今月のあそび、家あそび、自然あそび)が表示されており、大科目のボタンを選択してクリックすると、その大科目に含まれる小科目(遊びのコーナー)について、日付、開始時間、時間が表示される。
図9に記載されている活動別の項目は、大科目に相当することから、ボタンをクリックすると、行動の欄には、選択したボタンの大科目に含まれる小科目の内容が表示されることになる。小科目が少ない場合、あるいは、大科目に分類しない場合は、行動の欄を大科目ではなく、小科目とすることも可能である。そして、日付の欄の一番下には、日付のデータを基に、累計(回数)が表示され、時間の欄の一番下には、累計時間が表示されている。
【0045】
図9の表示例は、児童「A」について「表現あそび」のボタンをクリックした場合の表示例であり、児童「A」が、「表現あそび」に含まれる「お絵かき」、「塗り絵」及び「クラフト」を行った日付、開始時間、時間(分)が表示されている。このように、児童の活動に関するデータを大科目別に一覧で表示することができる。
【0046】
また、児童別のデータの日別の集計データは、
図10に示すように、児童が利用した遊びのコーナーの名前と時間、及び、給食時間及びおやつの時間が分単位で、グラフ及び一覧表で表示されている。同じ画面には、その日の給食のメニュー及びおやつのメニューを表示することもできる。月別の集計データ及び通年の集計データは、日別の集計データと同様に、一月及び一年の間に児童が利用した遊びのコーナーの名前と時間、及び、給食時間及びおやつの時間が分単位で、グラフ及び一覧表で表示されており、保育者が各児童の活動の傾向等を数値として把握することができるようになる。
【0047】
児童別に集計されたデータはサーバ21に保存され、各児童の保護者が保護者の端末10によって、閲覧することができるように設定されている。保護者の端末10による児童の活動に関するデータの閲覧は、サーバ21からメールにて各保護者の端末10にデータを送信する、保護者の端末10からHPにアクセスして、例えば、パスワードを入力することにより、自分の子供のデータを閲覧する等の方法を用いることができる。例えば、
図11に示すのは保護者の端末10で閲覧できる児童の活動に関するデータの表示画面であるが、各保護者は、自分の子供の活動を時系列で確認することができ、自分の子供が、どのような遊びを、どれくらいの時間行っていたかを簡単に確認することができる。保護者の端末10で閲覧できるデータの項目、表示形式等については、データ集計プログラムによって、簡単に変更することができる。
【0048】
各保護者が保護者の端末10でHPを通じて児童の活動に関するデータを閲覧する際には、上述のようにパスワード等を用いて自分の子供のデータだけを閲覧できるようにすることで、個人情報を保護する。また、保護者の端末10によって閲覧できるデータの範囲を制限することも可能である。
【0049】
図11に示すように、保護者の端末10で閲覧できるデータには、その日の給食及びおやつのメニューを表示することができる。「お名前」の欄に、「お昼ごはん」及び「おやつ」を表示し、「行動」の欄にメニューを記載している。そして、「時間(入)」欄に記載されている時間は、実際に児童が喫食した時間ではなく、予め「お昼ごはん」及び「おやつ」のメニューを表示するように設定されている時間である。そのため、実際に児童が喫食した時間と前後する場合もある。実際に児童が喫食した時間については、
図11に示すように、「行動」の欄に「給食」及び「おやつ」と記載されており、それぞれ、「時間(入)」、「時間(退)」、「滞在時間」が記載されている。
【0050】
このように、本発明の保育システム1によって、保育者が各児童について活動を記録する、あるいは、データを入力する等の作業を行うことなく、保護者は各児童の活動の記録を簡単に、そして正確に確認することができるようになり、保育者の負担が軽減され、保護者にとっても、自分の子供の様子を確認することができるという優れた効果を奏し、自由保育における従来の問題を解決することができる。
【0051】
クラス別の集計データは、
図12(a)に示すように、日別、月別、通算の3種類の集計データとして表示される。図示していないが、全体の集計データについても同様に表示することができる。
図12(a)に示すように、日別の集計データとして、各児童の給食の滞在時間を同時に表示している。日別、月別、通算の集計データは、それぞれ、行動(遊びのコーナー)、回数、時間を表示しており、各遊びのコーナー(行動)について、児童が利用した回数、及び、時間が、回数を基準に降順で並べられている。給食については、その日の児童別の給食時間(滞在時間)が表示されている。データとしては、その他のデータ、例えば、集計データプログラムによって、回数と時間を基に各遊びのコーナーの活動時間の平均を計算して表示することも可能であり、得られたデータを基に、平均値等様々な計算を行って表示することも可能である。
【0052】
図12(a)には、日別の表の上には、日付が記載されており、左右には、「前日」及び「後日」のボタンが表示されており、「前日」のボタンをクリックすると、日別の表は前日のデータが表示され、「後日」のボタンをクリックすると、次の日のデータが表示される。日付を入力してその日付のデータを表示することもできる。月別の表の上には「全クラス」のボタンが表示されており、「全クラス」のボタンをクリックして「3歳」、「4歳」、「5歳」及び「全クラス」の4つの項目から選択して集計データを表示することができる。例えば、「全クラス」を選択すると、図示していないが、全クラスの日別、月別、通算の3種類の集計データが表示される。
【0053】
図12(a)には、日別、月別、通算のデータの表の下に、「日別グラフ表示」、「月別グラフ表示」及び「通算グラフ表示」のボタンが表示されている。例えば、「日別グラフ表示」のボタンをクリックすると、集計データプログラムによって、
図12(b)に示すように、日別のデータ(回数)が円グラフで表示される。図示していないが、「月別グラフ表示」のボタンをクリックすると月別のデータ(回数)が円グラフで表示され、「通算グラフ表示」のボタンをクリックすると通算のデータ(回数)が円グラフで表示される。
【0054】
表示されるグラフの形態は円グラフに限定するものではなく、棒グラフ等の他の形態も可能であり、また、グラフ表示されるデータについても回数に限定するのではなく、他のデータをグラフ表示することも可能である。また、集計データを表示する画面についても、日別、月別、通算の集計データを全て同時に表示するのではなく、日別、月別、通算の集計データを別々に表示し、日別、月別、通算の集計データの表及びグラフをそれぞれ同時に表示するこもと可能であり、集計データの表示方法については、データ集計プログラムによって、様々な形態で集計し、表示することが可能である。
【0055】
このようにデータ集計プログラムによって得られた児童の活動に関するデータを基に、保育者は、遊びのコーナーごとの活動状況(活動時間や人数で利用頻度)のデータを簡単に見ることができるようになり、遊びのコーナーの活動の偏り等を数値としてとらえることができるようになり、児童の活動状況に合わせて、遊びのコーナーの入れ替え、増減等を適切に行うことで、児童の活動をより最適化することができるようになる。
【0056】
事務所2のコンピュータ22では、サーバ21に保存されているデータを基に、児童の活動についてリアルタイムで確認することができるプログラムがインストールされている。例えば、
図13に示すように、行動の欄には遊びのコーナ名が表示されており、その横の欄に、各遊びのコーナーを利用している児童の人数がリアルタイムで表示されている。また、全児童又は各クラスの児童の活動についてリアルタイムで確認することができる。例えば、
図14に示すように、児童の名前、利用している遊びのコーナ(行動の欄)、入室時間、滞在時間を表示することができる。さらに、
図13に記載の「利用者」のボタンをクリックすると、該当する遊びのコーナ、例えば、アトリエを現在利用している2名の児童に関するデータが、
図15に示すように、表示される。このような、児童の活動に関するデータをリアルタイムで表示するためのプログラムも事務所2のコンピュータ22にインストールされている。
【0057】
このように、本発明の保育システム1によって、児童は、遊びのコーナーの定員がリアルタイムでわかるため、順番待ちや場所取りのルールの共有がしやすく、トラブルを回避し、スムーズに遊びのコーナーを利用できるという効果がある。また、保育者は、児童の活動のデータをリアルタイムで簡単に見ることができることから、各遊びのコーナーを誰でも簡単に把握することができ、児童の活動をより詳細に把握することができ、保育者の負担を低減し、さらに、保育の質を向上させることができるようになる。さらに、環境保育や自由保育では、児童によって一日の活動が異なることから、一斉保育のように児童の姿を「できるできない」で把握することは困難であるが、遊びのコーナーごとに、「各児童の活動の時間」と「年齢別(クラス別)児童の活動の時間の平均」を抽出して比較することで、保育者は全ての遊びのコーナーにおける児童の活動時間が平均値より「多い少ない」の「時間」を比較単位にして児童の姿を把握することができるという優れた効果がある。また、児童ごとに各遊びのコーナーに訪れた回数、利用総時間が集計されることから、各児童、クラス、全体の遊びのコーナに関する興味を数値として把握することができるようになり、保育者は、遊びのコーナーごとに稼働状況を比較して保育の環境構成の見直しを行うための理論的な根拠の一つとして使用できるようになる。そして、保護者は、自分の端末で1日の子どもの活動の記録を毎日簡単に確認することができるという効果がある。
【0058】
以上のように、本発明の保育システム1は、ICTを活用することによって、自由教育において保育者だけでなく、児童及び保護者にとっても優れた効果を奏する発明であり、児童の活動の記録を基に自由保育の質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 保育システム
2 事務所
21 サーバ
22 コンピュータ
3 保育室
31 タブレット
32 ICカードリーダー
33 無線LAN
4 ランチルーム
41 ランチルーム用コンピュータ
42 ランチルーム用ICカードリーダー
43 モニター
5 名札
51 ICチップ
10 保護者の端末
【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ、
保育室に配置され、ICカードリーダーが接続されたタブレット、
事務所に配置されたコンピュータ、
児童ナンバーが記録されたICチップ、
を含む保育システムであって、
前記タブレットは前記サーバと無線LANを介して接続されており、前記コンピュータは無線LAN又は有線LANを介して前記サーバと接続されており、
前記ICチップは、児童の名札に内蔵されており、
前記保育室には複数の遊びのコーナーが設けられており、各遊びのコーナーに前記タブレット及び前記ICカードリーダーがそれぞれ配置されており、
前記遊びのコーナーに配置された前記ICカードリーダーは、児童が遊びを開始する時、及び、遊びを終了する時に、前記児童の前記名札の前記ICチップを読み取るために設けられており、
前記サーバは、前記ICカードリーダーで読み取った前記児童のICチップの児童ナンバーを基に、前記児童の前記遊びのコーナーにおける活動をデータとして記録し、
前記遊びのコーナーのタブレットは、前記遊びのコーナーでの遊びを開始する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られたICカードの前記児童ナンバーに対応する児童の名前を画面に表示し、前記遊びのコーナーでの遊びを終了する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた児童の名前を画面から消去するプログラムがインストールされており、
前記プログラムによって、前記遊びのコーナーでの遊びを開始する時に前記遊びのコーナーのICカードリーダーで読み取られた児童の数が、前記遊びのコーナーの定員をオーバーした時には、前記タブレットの画面において、定員をオーバーした児童の名前が順番待ちの枠に表示され、
前記プログラムによって前記遊びのコーナーにおける前記児童の活動のデータが前記サーバに送信されることを特徴とする保育システム。
【請求項2】
前記プログラムによって、前記遊びのコーナーのタブレットの画面に表示された児童の名前の背景は、児童のクラスに応じた色が表示され、前記遊びのコーナーで予め決められた遊びの時間を超えた児童の名前は、文字の色が変化する、ことを特徴とする請求項1に記載の保育システム。
【請求項3】
ランチルームに配置されたランチルーム用コンピュータ、モニター及びランチルーム用ICカードリーダーを含み、
前記ランチルーム用コンピュータに、前記モニター及び前記ランチルーム用ICカードリーダーが接続されており、
前記ランチルーム用コンピュータは前記サーバと接続されており、
前記モニターには児童の名前が表示されており、給食を食べる前に児童が前記ランチルーム用ICカードリーダーでICチップの読み取りを行うと、読み取られた前記ICチップの児童ナンバーに該当する児童の名前の背景の色が変化し、給食の時間がカウントされ、所定の時間が経過すると児童の名前の文字の色が変化し、給食を食べ終わった児童がICカードリーダーでICチップの読み取りを行うと、読み取られた前記ICチップの児童ナンバーに該当する児童の名前が、前記モニターの表示から消去されるプログラムが、前記ランチルーム用コンピュータにはインストールされており、
前記ランチルーム用コンピュータのプログラムによって、各児童の前記ランチルームにおける活動のデータを前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の保育システム。
【請求項4】
前記事務所に配置された前記コンピュータには、データ集計プログラムがインストールされており、前記データ集計プログラムによって、前記サーバに保存された児童の活動に関するデータを、各児童ごとに日別、月別及び年度別に集計し、クラス別、年代別に集計し、また、各遊びのコーナーごとに日別、月別及び年度別に集計し、クラス別、年代別に集計して、前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の保育システム。
【請求項5】
前記データ集計プログラムによって、集計した児童の活動に関するデータを表、グラフ、又は、表とグラフの組み合わせで表示することを特徴とする請求項4に記載の保育システム。
【請求項6】
前記サーバに保存されている児童の活動に関するデータを閲覧するための保護者の端末を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の保育システム。