(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159952
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】割出し装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 16/02 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
B23Q16/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069899
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 高志
(72)【発明者】
【氏名】石崎 純一郎
(57)【要約】
【課題】駆動モータの出力軸に取り付けられる第1の歯車と、駆動対象物を駆動する駆動軸に取り付けられる第2の歯車と、第1の歯車の回転を第2の歯車に伝達すると共にフレームに固定された中間軸に対し回転可能に支持される中間歯車とを含み、中間軸がフレームの収容孔に嵌挿された駆動伝達機構を備える割出し装置において、フレーム内へのクーラント液の浸入を確実に防止することができる構成を提供する。
【解決手段】本発明は、前記割出し装置において、中間軸が有底孔状の収容凹部及び複数の貫通孔を有し、フレームに中間軸を固定するための固定機構が、テーパ面及び挿通孔を有する押圧部材と、各貫通孔に配置される鋼球と、挿通孔に挿通されて中間軸に螺挿されるネジ部材とを含み、押圧部材が収容凹部に収容されて鋼球がテーパ面及び収容孔に当接した状態で、押圧部材と収容凹部の底面との間に間隙が存在するように構成されていることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータを駆動源として駆動対象物の角度位置を割り出す割出し装置であって、前記駆動モータの出力軸に取り付けられる第1の歯車と、前記駆動対象物を駆動する駆動軸に取り付けられる第2の歯車と、前記第1の歯車の回転を前記第2の歯車に伝達するための中間歯車であってフレームに固定された中間軸に対し回転可能に支持される中間歯車とを含み、前記中間軸が端部において前記フレームに形成された収容孔に嵌挿された駆動伝達機構を備える割出し装置において、
前記中間軸は、前記端部に形成された有底孔状の収容凹部であって端面に開口すると共に軸線方向に見て中心が前記端面の外周縁の中心と一致するように形成された収容凹部と、前記収容凹部周りの周壁を半径方向に貫通する複数の貫通孔とを有し、
前記フレームに対し前記中間軸を固定するための固定機構が、周面にテーパ面を有すると共に中心位置で軸線方向に貫通する挿通孔を有する円筒状の押圧部材であって前記テーパ面を前記収容凹部の底面と対向させると共に前記テーパ面の少なくとも一部が前記収容凹部内に位置するように設けられる押圧部材と、各前記貫通孔に配置される鋼球であって前記周壁の肉厚よりも直径が大きい鋼球と、前記押圧部材の前記挿通孔に挿通されて前記底面に開口する雌ネジ孔に螺挿されるネジ部材とを含み、前記押圧部材が前記収容凹部に収容されると共に各前記貫通孔に収容された前記鋼球が前記テーパ面及び前記収容孔の内周面に当接した状態で、前記押圧部材と前記底面との間に間隙が存在するように構成されている
ことを特徴とする割出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
駆動モータを駆動源として駆動対象物の角度位置を割り出す割出し装置であって、前記駆動モータの出力軸に取り付けられる第1の歯車と、駆動対象物を駆動する駆動軸に取り付けられる第2の歯車と、第1の歯車の回転を第2の歯車に伝達するための中間歯車であってフレームに固定された中間軸に対し回転可能に支持される中間歯車とを含み、中間軸が端部においてフレームに形成された収容孔に嵌挿された駆動伝達機構を備える割出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械に用いられる割出し装置としては、例えば、ワークが載置されるテーブルが一端側に固定された主軸、及びその主軸を回転駆動するための駆動源としての駆動モータを含み、その駆動モータで主軸を回転駆動して駆動対象物であるテーブルの角度位置を割り出すように構成された回転割出し装置がある。そして、その回転割出し装置は、駆動モータの駆動を主軸に伝達するための駆動伝達機構を、そのフレーム内に備えている。また、その駆動伝達機構は、主軸(テーブル)を回転駆動するための駆動軸を含むと共に、駆動モータの出力軸に取り付けられる歯車(第1の歯車)及び駆動軸に取り付けられる歯車(第2の歯車)を含んでいる。さらに、そのような駆動伝達機構においては、その第1の歯車の回転を第2の歯車に伝達するための歯車(中間歯車)を備えたものがある。そして、そのような中間歯車を含む回転割出し装置として、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
その特許文献1の装置は、前記した駆動伝達機構における駆動軸がウォーム軸である回転割出し装置である。すなわち、特許文献1の回転割出し装置(以下、「従来装置」と言う。)における駆動伝達機構は、主軸に取り付けられるウォームホイール、及びウォームホイールと噛合するウォームを含むウォーム軸から成る所謂ウォームギア機構を含むものとなっている。そして、その駆動伝達機構において、中間歯車は、端部においてフレームの軸孔(収容孔)に嵌挿されるかたちで設けられた中間軸によって支持されている。なお、その中間軸は、フレームに対し回転不能に固定され、中間歯車は、その中間軸に対し回転可能に支持されている。
【0004】
そして、従来装置では、その中間軸をフレームに対し固定するための機構(固定機構)として、止めネジ及び鋼球を用いたロック機構が採用されている。その固定機構(ロック機構)について、より詳しくは、中間軸には、前記した収容孔に嵌挿される端部に、その端面に開口して軸線方向に向けて穿設される雌ネジ孔(ねじ孔)が複数形成されると共に、各雌ネジ孔から外周面に向けて貫通する貫通孔(透孔)が形成されている。また、止めネジは、中間軸の前記端部における前記雌ネジ孔に螺挿されるものであって、先端部にテーパ面を有する所謂とがり先の止めネジとなっている。
【0005】
そして、その固定機構においては、中間軸の前記端部における各前記貫通孔に鋼球が配置されると共に、各前記雌ネジ孔に止めネジが螺挿されることで、止めネジのテーパ面と収容孔の内周面との間に鋼球が配置されるようになっている。その上で、軸線方向に変位に変位させるように止めネジを締め込んで鋼球に対し軸線方向の押力を作用させることで、収容孔の内周面に対し鋼球を介して半径方向の力が作用し、中間軸がフレームに対し固定された状態となるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記のような固定機構を採用した従来装置においては、ワークの加工時に用いられるクーラント液がフレーム内に浸入することによって、そのフレーム内に貯留された潤滑油の潤滑性能が低下してしまうといった問題が生じる虞がある。
【0008】
詳しくは、工作機械では、切削加工や研削加工等の機械加工が行われる場合、工具とワークとが接触する部分に対し多量のクーラント液をかけつつ、その加工が行われている。そのため、ワークが載置される回転割出し装置に対しても、その加工時において多くのクーラント液がかかることになる。
【0009】
なお、前記のような固定機構を採用した従来装置では、中間軸は、その前記端面が外部に露出するように設けられており、それに伴い、その前記端部に形成された各雌ネジ孔の開口も、外部に露出した状態となっている。その上で、その各雌ネジ孔に対し止めネジが螺挿されることで、各雌ネジ孔が閉塞された状態となっている。しかし、その各雌ネジ孔と止めネジとが螺合により組み合わされる関係上、両者間には僅かながら隙間が存在する。また、そのような構成においては、両者間にシール部材を設けることもできない。
【0010】
そのため、前記のように回転割出し装置にクーラント液がかかり、それが中間軸において前記のように外部に露出する各雌ネジ孔の開口に至ると、そのクーラント液が雌ネジ孔と止めネジとの間の隙間を通り、雌ネジ孔に連通する貫通孔を介してフレーム内に浸入してしまう場合がある。そして、その場合には、そのフレーム内において駆動伝達機構を潤滑するために貯留されている潤滑油にクーラント液が混入してしまい、潤滑油の潤滑性能が低下してしまうといった問題が生じる。
【0011】
なお、前記した雌ネジ孔と止めネジとの間の隙間からのクーラント液の浸入を防止すべく、例えば、止めネジにおける雄ネジ部分に液状のシール剤を塗布するといった対応も考えられる。しかし、そのシール剤の塗布は作業者による手作業で行われるため、作業者によっては塗りムラが発生してしまう場合があり、その対応では、クーラント液の浸入防止に対する確実性に欠ける。
【0012】
そこで、以上のような実情を鑑み、本発明は、割出し装置において、フレーム内へのクーラント液の浸入をより確実に防止することができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、駆動モータを駆動源として駆動対象物の角度位置を割り出す割出し装置であって、駆動モータの出力軸に取り付けられる第1の歯車と、駆動対象物を駆動する駆動軸に取り付けられる第2の歯車と、第1の歯車の回転を第2の歯車に伝達するための中間歯車であってフレームに固定された中間軸に対し回転可能に支持される中間歯車とを含み、中間軸が端部においてフレームに形成された収容孔に嵌挿された駆動伝達機構を備える割出し装置を前提とする。
【0014】
そして、本発明は、前記のような前提とする割出し装置において、中間軸が、端部に形成された有底孔状の収容凹部であって端面に開口すると共に軸線方向に見て中心が端面の外周縁の中心と一致するように形成された収容凹部と、収容凹部周りの周壁を半径方向に貫通する複数の貫通孔とを有するように構成されている。その上で、本発明の割出し装置は、フレームに対し中間軸を固定するための固定機構が、周面にテーパ面を有すると共に中心位置で軸線方向に貫通する挿通孔を有する円筒状の押圧部材であってテーパ面を収容凹部の底面と対向させると共にテーパ面の少なくとも一部が収容凹部内に位置するように設けられる押圧部材と、各貫通孔に配置される鋼球であって周壁の肉厚よりも直径が大きい鋼球と、押圧部材の挿通孔に挿通されて底面に開口する雌ネジ孔に螺挿されるネジ部材とを含み、押圧部材が収容凹部に収容されると共に各貫通孔に収容された鋼球がテーパ面及び収容孔の内周面に当接した状態で、押圧部材と底面との間に間隙が存在するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による割出し装置は、テーパ面及び鋼球を利用した固定機構において、その鋼球に対し軸線方向の押力を作用させるべく、テーパ面において鋼球と当接する押圧部材を軸線方向に変位させる機構(変位機構)が、従来装置のような押圧部材と中間軸との間のネジ機構では無く、押圧部材に対し前記のように形成された挿通孔に挿通されると共に中間軸における雌ネジ孔に螺挿されるネジ部材を用いたものとなっている。具体的には、その変位機構は、中間軸に対し締め込むことによって軸線方向に変位するネジ部材がその変位に伴って押圧部材を押し、それによって押圧部材を軸線方向に変位させるように構成されたものとなっている。
【0016】
そして、変位機構がそのように構成されることで、フレームの収容孔内において押圧部材の外周面がその周囲の部分(部材)に対し全周に亘って当接するように固定機構を構成することができる。そして、そのように構成された固定機構では、その押圧部材の外周面とその周囲の部分との間にOリング等のシール部材を配置することが可能となる。したがって、固定機構(変位機構)が前記のように構成された本発明による割出し装置によれば、そのようにシール部材を適宜に配置することで、フレーム内へのクーラント液の浸入を可及的に防止することができ、潤滑油の潤滑性能の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による割出し装置の一実施形態の全体を示す概略図。
【
図5】本発明による割出し装置の他の実施形態における要部を示す一部断面正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では、
図1~5に基づき、本発明が適用された割出し装置の一実施形態(実施例)について説明する。なお、本実施例は、その割出し装置を、ワークが載置されるテーブルを備えると共にそのテーブルの角度位置を割り出すように構成された所謂回転テーブル装置とした例である。
【0019】
図1は、回転テーブル装置1の外観を概略的に示した図である。その回転テーブル装置1は、その構成要素として、工作機械における設置面(図示略)上に設置されるフレーム10と、ワークが載置されるテーブル3とを備えている。なお、図示の例では、その回転テーブル装置1は、テーブル3におけるワークの載置面が前記設置面に対し垂直を成すように設置される、所謂縦置き型の回転テーブル装置である。そして、その回転テーブル装置1は、駆動モータを駆動源とし、その駆動モータにより駆動対象物であるテーブル3を回転させてその角度位置を割り出すように構成されている。
【0020】
その回転テーブル装置1において、フレーム10は、
図2に示すように、その大部分を占める主フレーム部11を主体として構成されている。また、回転テーブル装置1は、テーブル3が一端側に取り付けられる主軸2を備えている。そして、その主軸2は、フレーム10における主フレーム部11内に形成された収容空間内において、軸受(図示略)を介し、フレーム10(主フレーム部11)に対し回転可能に支持されている。その上で、テーブル3は、主フレーム部11における両側面と直交する面に対し、前記載置面が露出するかたちで、主軸2に対し取り付けられている。
【0021】
また、フレーム10における主フレーム部11は、後述する駆動伝達機構におけるウォーム軸が収容されるウォーム軸孔11aを有している。そのウォーム軸孔11aは、前記収容空間に連通すると共に主フレーム部11の両前記側面に開口するかたちで、主フレーム部11を貫通するように形成されている。
【0022】
また、フレーム10は、駆動源である駆動モータ4が取り付けられる副フレーム部12を含んでいる。その副フレーム部12は、外観的に略直方体状を成すと共に、内部に空間(内部空間)12aを有し、その内部空間12aが上方及び下方に開放されているように主に4つの周壁から成る周壁部12bと、その周壁部12bの上側の開口を閉塞するように周壁部12bに対し組み合わされる板状の蓋部12cとで構成されている。
【0023】
そして、駆動モータ4は、その副フレーム部12の周壁部12bにおける周壁の1つ(取付壁)の外側面に対し、出力軸4aを副フレーム部12側に向けるかたちで取り付けられている。なお、周壁部12bにおける前記取付壁には、その駆動モータ4の取り付けを許容するために、その前記取付壁を貫通する貫通孔が形成されている。それにより、駆動モータ4が周壁部12bにおける前記取付壁に取り付けられた状態では、出力軸4aは、その前記取付壁を貫通し、その端部が副フレーム部12の内部空間12a内に位置する状態となっている。
【0024】
その上で、副フレーム部12は、フレーム10の幅方向(ウォーム軸孔11aの貫通方向)に関し前記取付壁と平行な周壁の外側面の位置を主フレーム部11における一方の前記側面の位置に合わせた配置で、主フレーム部11の上面(工作機械に設置される面と反対側の面)に対し取り付けられている。なお、主フレーム部11の上面におけるその副フレーム部12が取り付けられる部分は、上方に向けて突出するように形成されている。また、その主フレーム部11における突出する部分(突出部)11cは、その内部にウォーム軸孔11aに連通する空間(連通空間)11dを有すると共に、その連通空間11dが上方に開放されるように上面側に開口を有するように構成されている。それにより、副フレーム部12が主フレーム部11(突出部11c)に取り付けられた状態では、主フレーム部11におけるウォーム軸孔11aと副フレーム部12における内部空間12aとが、突出部11cの連通空間11dを介して連通された状態となる。
【0025】
また、回転テーブル装置1は、駆動モータ4の駆動を主軸2に伝達するための駆動伝達機構30を備えている。その駆動伝達機構30は、主軸2に取り付けられたウォームホイール21、及びそのウォームホイール21に噛合するウォーム軸22から成るウォームギア機構20を含んでいる。
【0026】
そのウォームギア機構20について、ウォームホイール21は、フレーム10(主フレーム部11)における前記収容空間内において、主軸2の軸線方向に関しウォーム軸孔11aと重複する位置で、主軸2に対し相対回転不能に取り付けられている。また、ウォーム軸22は、ウォームホイール21と噛合するウォーム22aを含んでいる。そして、そのウォーム軸22は、主フレーム部11におけるウォーム軸孔11a内において、軸受23、24により、ウォーム22aに対する両側で主フレーム部11(ウォーム軸孔11a)に対し回転可能に支持されている。その上で、ウォーム軸22は、そのウォーム22aにおいてウォームホイール21と噛合している。
【0027】
また、駆動伝達機構30は、複数の歯車の組み合わせから成るギア列31を含み、そのギア列31を介してウォーム軸22を駆動モータ4の出力軸4aに連結するように構成されている。そして、そのギア列31は、駆動モータ4における出力軸4aの前記端部に取り付けられる第1の歯車32、及びウォーム軸22におけるウォーム22aに対する一端側(軸受23よりも一方の前記側面側)の軸部22bに取り付けられる第2の歯車33を含んでいる。
【0028】
さらに、ギア列31は、その第1の歯車32の回転を第2の歯車33に伝達するための中間歯車34を含んでいる。その中間歯車34は、第1の歯車32と第2の歯車33とを連結するように構成されている。なお、その中間歯車34は、本実施例では、歯数が異なる2枚の歯車を組み合わせて構成された所謂2段歯車となっている。その上で、中間歯車34は、2枚の歯車のうちの一方が第1の歯車32に連結され、他方が第2の歯車33に連結されている。そして、中間歯車34は、主フレーム部11の突出部11cにおける両側壁11c1、11c2に架設されるかたちで連通空間11d内に設けられた中間軸35によって支持されている。
【0029】
その中間歯車34を支持する中間軸35について、その中間軸35が架設された状態とされる主フレーム部11における突出部11cには、その両前記側壁11c1、11c2のうちの外側(主フレーム部11における一方の前記側面側)の側壁11c1に収容孔としての貫通孔11bが形成されている。それにより、突出部11cに対し、その収容孔11b側から中間軸35を挿入可能となっている。また、その収容孔11bの内径は、中間軸35における一端側の部分である一端部35aの外径と略同じとなっている。そして、中間軸35は、その一端部35aにおいては、その収容孔11bに嵌挿された状態で、突出部11cにおける外側の側壁11c1に支持されている。
【0030】
また、突出部11cにおける内側の側壁11c2(外側の側壁11c1と対向する側壁)には、その内周面に開口する円形の溝(円形溝)が形成されている。また、その円形溝は、前記幅方向に見て、その中心が収容孔11bの中心と一致すると共に、その内径が収容孔11bの内径と略同じであるように形成されている。そして、中間軸35は、その他端側においては、その円形溝に挿入されるかたちで、突出部11cにおける内側の側壁11c2に支持されている。なお、中間軸35は、収容孔11bに嵌挿される一端部35aが、それ以外の部分よりも外径が大きい大径部であるように形成されている。すなわち、中間軸35においては、一端部35aの外径が他端側の部分の外径よりも大きくなっている。その上で、前記円形溝にはブッシュ36が嵌め込まれるかたちで取り付けられており、中間軸35は、その他端側の部分においては、そのブッシュ36に嵌挿されるかたちで支持されている。
【0031】
なお、中間軸35は、そのように支持された状態で、後述する固定機構により、突出部11cに対し回転不能となっている。そして、中間歯車34は、その中間軸35に対し軸受を介して回転可能に支持されている。
【0032】
以上のように構成された回転テーブル装置1において、本発明では、中間軸35をフレーム10に対し固定するための固定機構は、テーパ面を有すると共に中間軸35の一端部35aに形成された収容凹部に収容される押圧部材と、その押圧部材の挿通孔に挿通されて中間軸35の雌ネジ孔に螺挿されるネジ部材と、中間軸35に形成された貫通孔に配置されて押圧部材のテーパ面と収容孔11bの内周面との間に介装される鋼球とを含むように構成されている。その上で、本実施例は、押圧部材におけるテーパ面の全部が前記の収容凹部内に位置し、押圧部材が収容凹部の内周面に対し摺動するように設けられた例である。そのような固定機構を含む回転テーブル装置1の構成について、
図3~4に基づいて詳述する。
【0033】
先ず中間軸35について、その中間軸35の一端部35aには、その一端側の端面に開口する凹部である収容凹部35cが形成されている。また、その収容凹部35cは、中間軸35の軸線方向に見て、円形であって、その中心が中間軸35の軸心(一端部35aにおける外周縁の中心)と一致するように形成されている。すなわち、中間軸35の一端部35aは、収容凹部35c周りの周壁35d内に、外部に開放された空間を有するように構成されている。また、中間軸35には、その収容凹部35c周りの周壁35dを半径方向に貫通する3つの貫通孔35e(図面では、断面において見える1つのみを図示)が形成されている。但し、その3つの貫通孔35eは、周壁35dの円周方向において等間隔で形成されている。
【0034】
その上で、固定機構40の各構成要素について、押圧部材42は、主として円筒状に形成された部材である。但し、その押圧部材42の周面の一端側は、テーパ面42a1であるように形成されている。このように、押圧部材42は、その一端側の周面がテーパ面42a1として形成された部分であるテーパ部42aと、そのテーパ部42aよりも他端側の部分である円筒部42bとから成っている。また、その円筒部42bの外径は、中間軸35における収容凹部35cの内径と略同じとなっている。
【0035】
なお、本実施例では、押圧部材42は、その軸線方向における寸法が中間軸35における収容凹部35cの深さ寸法と略同じであるように形成されている。さらに、その押圧部材42は、その軸線方向に関し、テーパ部42aの寸法と円筒部42bの寸法とが略同じである、すなわち、略中間位置よりも一端側がテーパ部42aであって、他端側が円筒部42bであるように構成されたものとなっている。
【0036】
さらに、押圧部材42には、押圧部材42をその軸線方向に貫通する挿通孔42cが形成されている。その挿通孔42cは、押圧部材42の軸線方向に見て、その中心が押圧部材42(円筒部42b)の軸心と一致するように形成されている。但し、その挿通孔42cは、押圧部材42の軸線方向における略中間位置において、内径が変化し、一端側(テーパ部42a側)の内径が他端側(円筒部42b側)の内径よりも小さくなるように形成されている。すなわち、その挿通孔42cは、その内部に、他端側を向く端面42dを含む段部を有するように形成されている。
【0037】
そして、その中間軸35における各貫通孔35eには、球体である鋼球41が配置される。なお、収容凹部35cは、その貫通孔35eが形成される収容凹部35c周りの周壁35dの肉厚が鋼球41の直径よりも若干小さくなるように形成されている。言い換えれば、鋼球41の直径は、その周壁35dの肉厚よりも若干大きくなっている。また、貫通孔35eは、その内径が鋼球41の直径と略同じであるように形成されている。したがって、一端部35aにおいて収容孔11bに嵌挿された中間軸35における各貫通孔35e内に鋼球41が配置(収容)された状態では、鋼球41が貫通孔35eの内周面及び収容孔11bの内周面に当接すると共に、鋼球41の一部が周壁35dの内周面から内側に突出した状態となる。
【0038】
その上で、固定機構40においては、押圧部材42が、その軸線方向を中間軸35の軸線方向に一致させると共に、円筒部42bに対しテーパ部42aが収容凹部35cの底面35g側となる向きで、中間軸35における収容凹部35cに対し嵌挿されるかたちで収容される。それにより、押圧部材42は、そのテーパ部42aのテーパ面42a1において、前記のように周壁35dの内周面から突出する鋼球41に当接した状態となる。言い換えれば、そのように押圧部材42が収容凹部35cに収容された状態では、鋼球41は、押圧部材42におけるテーパ部42aのテーパ面42a1と収容孔11bの内周面とに挟まれた状態となる。
【0039】
なお、前述のように本実施例では、押圧部材42が収容凹部35cに収容された状態で、押圧部材42(円筒部42b)が収容凹部35cの内周面に対し摺動するように、固定機構40が構成される。そのため、中間軸35の軸線方向に関し、一端部35aにおける鋼球41の位置、すなわち、その鋼球41が収容される貫通孔35eが形成される位置は、収容凹部35cの底面35g寄り(近傍)とされている。また、前記のように貫通孔35eの内径は鋼球41と略同じであるが、その貫通孔35eが形成される周壁35dの中間軸35の軸線方向における寸法(収容凹部35cの深さ寸法)は、中間軸35の軸線方向における寸法に関し一端部35aの略半分の大きさとなっている。
【0040】
その上で、押圧部材42におけるテーパ部42aは、そのテーパ面42a1の角度が、前述のように押圧部材42が収容凹部35cに収容されて鋼球41がテーパ面42a1及び収容孔11bの内周面に当接した状態(収容状態)で、押圧部材42における一端側の端面42eと収容凹部35cの底面35gとの間に間隙44が存在するような大きさの角度であるように形成されている。
【0041】
詳しくは、鋼球41の直径が特定されると共に、中間軸35の軸線方向における収容凹部35c内での鋼球41の配置(貫通孔35eの位置)が特定されている場合において、中間軸35の軸線方向に関し、押圧部材42のテーパ部42aにおけるテーパ面42a1と鋼球41との接触点Pのテーパ面42a1上の位置、及びその接触点Pから収容凹部35cの底面35gまでの距離Aは、そのテーパ面42a1の角度、より詳しくは、押圧部材42の軸線に対しテーパ面42a1が成す角度(テーパ角)θに応じたものとなる(
図4)。また、接触点Pから押圧部材42における一端側の端面42eまでの距離Bは、テーパ面42a1上における接触点Pの位置に応じたものとなる。因みに、テーパ角θが大きいほど距離A、Bは大きくなり、小さいほど距離A、Bは小さくなる。但し、テーパ角θを変化させた場合のその変化に対する距離A、Bの変化は、距離Bの方が大きく変化する。
【0042】
また、そのテーパ角θについて、押圧部材42に対しその軸線方向に押力を作用させた場合、その押力が鋼球41にも作用し、テーパ面42a1の作用によって鋼球41に対し半径方向の力も作用することとなる。その上で、その半径方向の力は、テーパ角θが小さいほど大きくなる。
【0043】
そこで、押圧部材42のテーパ部42aにおけるテーパ角θは、所定の押力を押圧部材42に作用させたときに、鋼球41に対し作用させる半径方向の力が所望の程度の力となるような角度とされる。同時に、そのテーパ角θは、距離Aが距離Bよりも大きくなる、すなわち、テーパ部42aが鋼球41に接触した状態で、押圧部材42の一端側の端面42eと収容凹部35cの底面35gとの間において間隙44が存在するような角度とされる。
【0044】
その上で、固定機構40においては、前記収容状態の押圧部材42に対し収容凹部35cの底面35g側へ変位させようとする力を作用させるネジ部材43が設けられている。そのネジ部材43は、前述のように、前記収容状態の押圧部材42における挿通孔42cに挿通されると共に、中間軸35に螺挿させるかたちで設けられている。そこで、中間軸35には、収容凹部35cの底面35gに開口すると共に、中間軸35の軸線方向に見てその中心が前記収容状態の押圧部材42における挿通孔42cの中心と一致するように形成された雌ネジ孔35fが形成されている。そして、ネジ部材43は、その雌ネジ孔35fに対し螺挿されている。
【0045】
そのネジ部材43は、頭部を有するボルト等のネジ部材である。また、そのネジ部材43が挿通される押圧部材42における挿通孔42cにおいて、その一端側(テーパ部42a側)の内径は、頭部の大きさ(外径)よりも小さくなっている。さらに、その挿通孔42cの他端側(円筒部42b側)の内径は、頭部の大きさよりも大きくなっている。したがって、そのネジ部材43を前記のように挿通孔42cに挿通させた状態では、そのネジ部材43は、その頭部で押圧部材42における挿通孔42c内の端面42dに当接し得る状態となる。そして、ネジ部材43は、中間軸35における雌ネジ孔35fに螺挿してねじ込まれることで、その頭部が端面42dに当接するかたちで設けられた状態とされる。なお、雌ネジ孔35fは、ネジ部材43の頭部が端面42dに当接した状態から、ネジ部材43を更にねじ込むことができるような深さ寸法を有するように形成されている。
【0046】
その上で、そのネジ部材43の頭部と押圧部材42における端面42dとの間には、シール部材51が介装されている。さらに、押圧部材42における円筒部42bの外周面と中間軸35における周壁35dの内周面との間、及び周壁35dの外周面と収容孔11bの内周面との間にも、それぞれOリング等のシール部材52、53が介装されている。但し、その周壁35dの外周面と収容孔11bの内周面との間に介装されるシール部材53は、中間軸35の軸線方向に関し、貫通孔35eの位置よりも外側(収容凹部35cの底面35g側とは反対側)において設けられている。
【0047】
以上のように構成された回転テーブル装置1では、ネジ部材43の頭部が前記収容状態の押圧部材42の端面42dと当接した状態において、そのネジ部材43を更に締め付ける方向に回転させると、ネジ部材43が中間軸35における収容凹部35cの底面35g側に変位しようとする作用が生じるため、そのネジ部材43の頭部と当接する押圧部材42がその頭部から収容凹部35cの底面35g側へ向けた力(押力)を受けることとなる。それにより、押圧部材42のテーパ面42a1と収容孔11bの内周面との間に介装されて両者に挟まれた状態となっている鋼球41に対し、その前記押力が作用することとなる。
【0048】
そして、押圧部材42が鋼球41に対し前記押力を作用させる状態となると、テーパ面42a1の作用により、鋼球41に対し収容孔11bの内周面側に向けた半径方向の力が作用し、鋼球41が収容孔11bの内周面に対し押し付けられた状態となる。その結果として、その押し付ける力に応じた摩擦力により、鋼球41が主フレーム部11における収容孔11bの内周面に対し固定された状態となる。そして、そのように鋼球41が主フレーム部11(フレーム10)における収容孔11bの内周面に対し固定される結果として、中間軸35は、押圧部材42及びネジ部材43を介して、フレーム10に対し固定された状態とされる。
【0049】
そして、その中間軸35をフレーム10に対し固定するための固定機構40においては、前記のように、押圧部材42に対し収容凹部35cの底面35g側へ変位させようとする(変位させようとする力が作用する)ことで、鋼球41に対し前記押力が作用する。そして、その押圧部材42を変位させようとする機構は、固定機構40では、従来のような押圧部材を中間軸に螺合させることで変位のためのネジ作用が押圧部材に直接的に生じる機構ではなく、前記のように押圧部材42に対し設けられたネジ部材43を中間軸35に螺挿し、変位のためのネジ作用がネジ部材43を介して間接的に押圧部材42に作用する機構となっている。
【0050】
それにより、その固定機構40においては、押圧部材42と中間軸35とは、その円筒部42bの外周面と収容凹部35cの内周面とを平面状に形成して、両者がその面で当接する構成とすることができる。そして、その構成によれば、その円筒部42bの外周面と収容凹部35cの内周面との間にOリング等のシール部材を配置することが可能となる。そこで、固定機構40においては、前記のように押圧部材42と中間軸35との間にシール部材52が配置されており、それにより、回転テーブル装置1にかかったクーラント液が押圧部材42と中間軸35との間の部分に至ったとしても、そのシール部材52によって押圧部材42と中間軸35との間でのフレーム10内へのクーラント液の浸入が防止される。
【0051】
また、固定機構40においては、前述のように機能するネジ部材43は、押圧部材42に対しては、挿通孔42cに挿通されるかたちで設けられるが、その挿通方向と直交する端面42dに対し頭部において当接した状態で設けられる。したがって、その構成は、そのネジ部材43と押圧部材42との間にもシール部材を配置することができるようになっている。そして、固定機構40においては、前記のようにネジ部材43の頭部と押圧部材42の端面42dとの間にもシール部材51が設けられている。それにより、そのネジ部材43と押圧部材42との間においても、そのシール部材51によってフレーム10内へクーラント液が浸入するのが防止されることとなる。そして、以上のように構成された固定機構40によれば、前記のようにシール部材を適宜に配置し、フレーム10内へのクーラント液の浸入が防止される結果として、そのフレーム10内に貯留されている潤滑油の潤滑性能が低下してしまうといった問題の発生を可及的に防止することができる。
【0052】
以上では、本発明が適用された割出し装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明した。しかし、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、以下のような他の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0053】
(1)固定機構について、前記実施例の固定機構40は、押圧部材42における円筒部42bの外径が中間軸35における収容凹部35cの内径と略同じに形成され、押圧部材42がその円筒部42bにおいて収容凹部35cに嵌挿されることで、押圧部材42が中間軸35に対しその軸線方向に摺動するように構成されている。しかし、本発明において、固定機構は、押圧部材が前記のように中間軸によってその摺動を案内されるように構成されたものに限らず、押圧部材が中間軸の外側に位置するフレーム側の部分(例えば、収容孔の内周面)でその摺動が案内されるように構成されたものであっても良い。
【0054】
具体的には、例えば
図5に示すように、中間軸35及びネジ部材43は前記実施例と同じである構成において、押圧部材62を、その円筒部62bの外径がフレーム10における収容孔11bの内径と略同じであるように形成されたものとする。そして、テーパ部62aが中間軸35の収容凹部35cに挿入されると共に、円筒部62bがフレーム10における収容孔11bに嵌挿されるかたちで押圧部材62が設けられるように、固定機構を構成する。したがって、その構成においては、押圧部材62は、その円筒部62bにおいて、フレーム10(主フレーム部11)に形成された収容孔11bの内周面で、その摺動が案内されることとなる。
【0055】
なお、その構成の場合、テーパ部62aは、押圧部材62(テーパ部62a)が鋼球41と当接した状態で、押圧部材62の軸線方向に関し、中間軸35(収容凹部35c)よりも外側に突出するかたちで存在する、すなわち、円筒部62における一端側(テーパ部62a側)の端面と中間軸35における一端側の端面(周壁35dの先端)との間に間隙が存在するような大きさの寸法であるように形成される。したがって、固定機構においては、押圧部材62は、テーパ面62a1について、前記実施例のようにその全部が収容凹部35c内に位置するのではなく、一部が収容凹部35c内に位置するものとなる。なお、そのように構成された固定機構においては、フレーム10内へのクーラントの浸入を防止すべく、押圧部材62における円筒部62bの外周面と収容孔11bの内周面との間に、Oリング等のシール部材が設けられる。
【0056】
また、押圧部材について、前記実施例では、押圧部材42は、テーパ面42a1において鋼球41と当接する部分であるテーパ部42a及び中間軸35に対し摺動する部分である円筒部42bのみから成っている。しかし、本発明において、押圧部材は、そのようにテーパ部及び円筒部のみから成るように構成されたものに限らず、そのテーパ部及び円筒部に加え、例えば、テーパ部に対する円筒部とは反対側に連続する円筒状の部分を有するように構成されたものであっても良い。
【0057】
また、前記実施例では、その押圧部材42における挿通孔42cは、その一端側の内径がネジ部材43の頭部よりも小さく、且つ、他端側の内径がネジ部材43の頭部よりも大きい孔として形成され、その他端側の部分にネジ部材43の頭部が挿入されるものとなっている。しかし、本発明における固定機構において、押圧部材における挿通孔は、そのように他端側の内径が大きくなるように形成されたものに限らず、内径が全体に亘って一様で、且つその内径がネジ部材の頭部よりも小さい孔であっても良い。なお、その場合、固定機構においては、そのネジ部材が中間軸35に締め込まれた状態で、ネジ部材の頭部が押圧部材における他端側の端面に対し当接する(他端側の端面に押力を作用させる)かたちとなる。
【0058】
また、固定機構について、前記実施例では、固定機構40は、中間軸35が3つの貫通孔35eを有し、その3つの貫通孔35eのそれぞれに対し配置されるかたちで、3つの鋼球41を備えている。しかし、本発明の固定機構において、鋼球の数は、2以上であれば良く、その数は特に限定はされない。また、貫通孔の数も、鋼球の数と同数とは限らず、鋼球の数以上であれば良い。すなわち、全ての貫通孔に鋼球が配置されているのには限定されず、例えば、n個(n≧3)の貫通孔が形成され、そのnよりも少ない数の適宜な貫通孔を選択して鋼球を配置するようにしても良い。
【0059】
(2)駆動伝達機構について、前記実施例では、駆動伝達機構30は、中間歯車34が2枚の歯車を組み合わせて構成された所謂2段歯車であるように構成されている。しかし、本発明において、駆動伝達機構は、中間歯車による減速比の変更が不要な場合、中間歯車が、前記実施例のような2段歯車ではなく、1枚の歯車で構成された所謂1段歯車(遊び歯車)であるように構成されたものであっても良い。
【0060】
また、前記実施例では、駆動伝達機構30は、中間歯車34及びその中間歯車34を支持する中間軸35の組が1組のみ備えられるように構成されている。すなわち、その駆動伝達機構30は、1枚の中間歯車34を介して第1の歯車32と第2の歯車33とが直接的に連結されるように構成されている。なお、本発明が前提とする割出し装置においては、本発明で言う第1の歯車と第2の歯車とが2以上の中間歯車を介して連結されるように構成されたものも存在する。そして、本発明は、そのような2以上の中間歯車及び各中間歯車を支持する中間軸を備えた割出し装置(駆動伝達機構)にも適用可能である。
【0061】
また、その中間歯車を支持する中間軸について、前記実施例では、中間軸35は、収容孔11bに嵌挿される一端部35aの外径が、それ以外の部分の外径よりも大きくなるように形成されている。しかし、本発明が前提とする割出し装置において、中間軸は、そのように形成されたものに限らず、例えば、外径が全体に亘って一様であるように形成されたものであっても良い。
【0062】
また、前記実施例では、駆動伝達機構30は、主軸2に取り付けられるウォームホイール21及びウォームホイール21に噛合するウォーム22aを有するウォーム軸22とから構成された所謂ウォームギア機構20を採用したものとなっている。しかし、本発明が前提とする割出し装置において、駆動伝達機構は、そのようなウォームギア機構を採用したものには限られない。例えば、駆動伝達機構は、複数のローラが円周方向に配置されたローラギヤ及びそのローラギヤと噛合する螺旋状のカム溝を有するローラカム軸で構成されたローラギヤカム機構を採用したものであっても良い。あるいは、その駆動伝達機構は、ウォームホイールとウォーム軸とが係合部材としてのボールを介して間接的に係合するように構成された所謂ボールドライブ機構(ボール減速機)を採用したものであっても良い。
【0063】
(3)本発明が適用される割出し装置について、以上で説明した例では、ワークが載置されるテーブルを備えると共にそのテーブルの角度位置を割り出すように構成された所謂回転テーブル装置に対し、本発明を適用する例となっている。しかし、本発明が適用される割出し装置は、そのような回転テーブル装置に限らず、例えば、主軸に相当する支持軸によって支持された駆動対象としての主軸スピンドルを備えると共に、支持軸の軸線回りにその主軸スピンドルの角度位置を割り出すように構成されたミーリングヘッド(スピンドルヘッド)等の他の割出し装置であっても良い。
【0064】
また、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 回転テーブル装置(割出し装置)
2 主軸
3 テーブル
4 駆動モータ
4a 出力軸
10 フレーム
11 主フレーム部
11a ウォーム軸孔
11b 貫通孔(収容孔)
11c 突出部
11c1 外側の側壁
11c2 内側の側壁
11d 連通空間
12 副フレーム部
12a 内部空間
12b 周壁部
12c 蓋部
20 ウォームギア機構
21 ウォームホイール
22 ウォーム軸(駆動軸)
22a ウォーム
22b 軸部
23 軸受
24 軸受
30 駆動伝達機構
31 ギア列
32 第1の歯車
33 第2の歯車
34 中間歯車
35 中間軸
35a 一端部
35c 収容凹部
35d 周壁
35e 貫通孔
35f 雌ネジ孔
35g 底面
36 ブッシュ
40 固定機構
41 鋼球
42 押圧部材
42a テーパ部
42a1 テーパ面
42b 円筒部
42c 挿通孔
42d 他端側を向く端面
42e 一端側の端面
43 ネジ部材
44 間隙
51 シール部材
52 シール部材
53 シール部材
62 押圧部材
62a テーパ部
62a1 テーパ面
62b 円筒部